説明

監視システム及び監視方法

【課題】監視装置がネットワークを介して被監視装置に接続することができなくなった場合にも、監視装置が被監視装置の情報収集を行うことができるようにする。
【解決手段】監視装置10と被監視装置A、BとがLAN30により接続され、監視装置10と情報端末40とが別のLAN20により接続されており、また、被監視装置A、Bと情報端末40とがシリアル接続装置100を介してシリアル接続されて構成されている。シリアル接続装置100は、情報端末40から制御可能であり、監視装置10と被監視装置A、Bとの間でLAN30を介して通信ができなくなった場合に、監視装置10から遠隔操作で情報端末40の起動、停止を行い、かつ、被監視装置A、Bの情報を監視装置10に収集させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システム及び監視方法に係り、特に、監視装置から被監視装置へのアクセスが、なんらかの原因により不可能となった場合にも、監視装置から被監視装置の情報を収集することができるようにした監視システム及び監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被監視装置の状況を監視する監視システムの技術に関する従来技術として、例えば、特許文献1等に記載された技術が知られている。この従来技術は、監視装置がデータ収集ユニットを介して被監視装置の状態信号を収集しており、監視装置が障害となると監視装置が復旧するまでの間、被監視装置の状態信号がデータ収集ユニットに保持されていて、監視装置が復旧したときに、監視装置が被監視装置の状態信号を取得するというものである。そして、この従来技術は、これにより、監視装置のダウンに伴うデータ欠けを無くし、システム全体の信頼性を向上させることができるものである。
【0003】
また、他の従来技術として、例えば、特許文献2等に記載された技術が知られている。この従来技術は、複数の構内制御装置を遠隔操作により監視する際、遠隔操作を簡略化すると共に、監視処理時間を短縮することができるようにしたものである。そして、この従来技術は、ローカル保守端末が、複数の構内制御装置を監視して状態情報を収集し、リモート保守端末がローカル保守端末から構内制御装置の状態情報を取得するというものである。
【0004】
さらに、他の従来技術として、例えば、特許文献3等に記載された技術が知られている。この従来技術は、被監視システムと、該システムに同期して起動と停止とを行う監視サーバとを備え、監視サーバは、被監視システムから正常起動、正常終了の通知を受けたときには、上位の監視端末への通知を行わず、被監視システムから予定起動時刻を過ぎても正常起動通知を受信できなかった場合、上位端末に異常を報告するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−73432号公報
【特許文献2】特開2002−300279号公報
【特許文献2】特開2004−213621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した従来技術によるリモート監視システムは、いずれも、監視装置により被監視装置の監視を行っており、被監視装置に障害が発生したとき、監視装置から被監視装置の状態確認、障害情報の収集を行い、収集した情報を解析し障害の詳細を明確にすることができるものである。
【0007】
しかし、前述した従来技術によるリモート監視システムは、被監視装置に搭載されているネットワーク接続装置の障害、あるいは、ネットワークの障害等のなにかしらの原因により監視装置から被監視装置に接続を行うことができなくなった場合、監視装置が被監視装置の情報を収集することができないという問題点を有している。
【0008】
また、前述の従来技術は、監視装置から被監視装置の情報収集を行うことができなくなった場合、保守員が被監視装置が設置してある場所に行って、現地で被監視装置の情報収集を行うことができる。
【0009】
しかし、保守員による現地での情報収集は、保守員が現地に到着するまでに多くの時間を要する場合、被監視装置の障害復旧を優先させるために被監視装置の再起動が行われてしまうことがあり、被監視装置の再起動により障害情報が削除されてしまい、被監視装置から必要な障害情報を収集することができず、障害の解析を行うことができなくなる場合があるという問題点を生じさせる。
【0010】
また、保守員による現地での情報収集は、保守員が情報端末を持ち込んで収集した情報を外部に持ち出すことになり、情報漏洩の危険性があると共に持ち込んだ情報端末がウイルスに感染している可能性があり、被監視装置であるシステムがウイルスに感染する危険性があるという問題点をも有している。
【0011】
本発明の目的は、前述した従来技術の問題点を解決し、監視装置がネットワークを介して被監視装置に接続することができなくなった場合にも、監視装置が被監視装置の情報収集を行うことが可能な監視システム及び監視方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば前記目的は、監視装置から被監視装置の情報を収集する監視システムにおいて、監視装置と複数の被監視装置とが第1のネットワークにより接続され、監視装置と情報端末とが第2のネットワークにより接続され、また、前記複数の被監視装置と情報端末とが第3のネットワークにより接続されて構成されており、前記監視装置は、該監視装置と被監視装置との間で前記第1のネットワークを介して通信ができなくなった場合に、遠隔操作で情報端末の起動を行い、前記情報端末に、前記第3のネットワークを介して前記複数の被監視装置の情報を収集させ、その被監視装置の情報を前記第2のネットワークを介して取得することにより達成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、監視装置が通常使用しているネットワークを介して被監視装置に接続することができなくなった場合にも、監視装置が被監視装置の情報収集を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態による監視システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態による監視システムの処理動作を説明するフローチャートである。
【図3】シリアル接続装置と被監視装置との接続情報を格納した接続情報テーブルの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明による監視システム及び監視方法の実施形態を図面入力より詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態による監視システムの構成例を示すブロック図である。なお、本発明の実施形態による監視システムは、リモート監視システムである。
【0017】
本発明の実施形態による監視システムは、図1に示すように、監視装置10と該監視装置10から監視される複数の被監視装置A50、B60とがLAN30等によるネットワークにより接続され、また、複数の被監視装置A50、B60にシリアル接続装置100がシリアル伝送路80、90により接続され、さらに、シリアル接続装置100がシリアル伝送路70を介して情報端末40に接続されると共に、この情報端末40がLAN20等のネットワークを介して監視装置10に接続されて構成されている。
【0018】
なお、図1に示す本発明の実施形態は、2台の被監視装置を備えたたものとして示しているが、本発明は、被監視装置をさらに多数備えて構成することもできる。
【0019】
前述において、監視装置10は、監視機能部11と、情報端末制御部13と、処理部12とを備えて構成されている。そして、監視装置10の監視機能部11は、被監視装置A50、B60の監視を行う機能を有し、情報端末制御部13は、周知のリモートアシストを備え、情報端末40を遠隔操作する機能を有している。また、処理部12は、監視装置10での被監視装置A50、B60の監視、情報端末40の遠隔制御させる制御を行う機能を有している。
【0020】
また、情報端末40は、パソコン通信ソフト部42と、シリアル接続装置制御部43と、これらを制御する制御部41とを備えて構成されている。そして、パソコン通信ソフト部42は、シリアル接続装置100から被監視装置A50または被監視装置B60にシリアル伝送路80または90を経る経路で接続を行って通信を行う機能を有し、シリアル接続装置制御部43は、シリアル接続装置100を制御し、被監視装置A50または被監視装置B60の接続ポートを選択させる機能を有している。
【0021】
前述したように構成される本発明の実施形態による監視システムにおいて、通常、監視装置10は、通常使用しているLAN30を介して被監視装置A50またはB60に接続してこれらの被監視装置の監視を行い、被監視装置A50またはB60に障害が発生したことを検出した場合、その障害情報を収集することが可能である。
【0022】
図2は本発明の実施形態による監視システムの処理動作を説明するフローチャート、図3はシリアル接続装置と被監視装置との接続情報を格納した接続情報テーブルの構成例を示す図であり、次に、図2、図3を参照して、本発明の実施形態による監視システムの処理動作を説明する。
【0023】
図2に示すフローによる処理動作を説明する前に、図3を参照して、シリアル接続装置100と被監視装置A50、B60との接続情報を格納した接続情報テーブルの構成例について説明する。なお、接続情報テーブルは、情報端末40内に保持されている。
【0024】
図3に示しているように、接続情報テーブルには、シリアル接続装置100と被監視装置A50、B60とを接続するポートのポート番号が格納されており、図3に示す例では、シリアル接続装置100と被監視装置A50とがポート1で接続され、シリアル接続装置100と被監視装置B60とがポート2で接続されていることを示す情報が格納されている。
【0025】
次に、図2を参照して、本発明の実施形態による監視システムの処理動作を説明する。ここで説明する処理は、監視装置10から被監視装置A50、B60の監視を行うに際して、通常使用しているLAN30を介して被監視装置A50またはB60へのアクセスができなくなる障害が発生した場合の処理である。
【0026】
(1)監視装置10の監視機能部11は、通常、前述したように、LAN30を介して被監視装置A50、B60の監視を行っているが、LAN30の障害、被監視装置内のLAN30に対する接続機能の障害等により、被監視装置A50またはB60にアクセスすることができない障害が発生していることを検知すると、その被監視装置情報を監視装置10の処理部12に送信する。処理部12は、送信されてきた被監視装置情報から被監視装置A50またはB60のどちらへのアクセスでの障害であったかの確認を行い、情報端末制御部13対して情報端末40の遠隔操を行う要求を送信する(ステップ201)。
【0027】
(2)監視装置10の処理部12からの要求を受信した情報端末制御部13は、情報端末40の電源状態が、電源ONとなっているか否かをチェックし、情報端末40の電源がOFFとなっていた場合、監視装置10から情報端末40に対して、その電源をONとするように要求する信号を送信する。この要求信号を受信した情報端末40は、電源をONとして稼動を開始し、監視装置10に対して電源をONしたことを通知する情報を送信する(ステップ202、203)。
【0028】
(3)ステップ203の処理で情報端末40から送信されてきた電源をONとした通知情報を受信した後、あるいは、ステップ202のチェックで、情報端末40の電源がONとなっていた場合、監視装置10の情報端末制御部13は、情報制御部内のリモートアシストを起動して監視装置10を情報端末40へ接続させて情報端末40の遠隔操作を行うことができる環境を整える(ステップ204、205)。
【0029】
(4)ステップ205の処理で、情報端末40の遠隔操作環境が整うと、情報端末40からの画面が監視装置10の図示していない表示装置上に表示され、監視装置10から情報端末40の操作を行うことが可能となる(ステップ206)。
【0030】
(5)情報端末40の制御部41は、監視装置10から自情報端末40の操作を行うことが可能となった状態を認識すると、シリアル接続装置制御部43に対してシリアル接続装置100と被監視装置との間の接続情報を格納している接続情報テーブルの接続情報に基づいて、シリアル接続装置100に被監視装置A50または被監視装置A60を接続する接続ポートを選択させるように指示する(ステップ207)。
【0031】
(6)次に、情報端末40は、パソコン通信ソフト42を起動し、パソコン通信ソフト42が被監視装置A50または被監視装置B60を、シリアル伝送路80または90、シリアル接続装置100、シリアル伝送路70を介して情報端末40に接続する(ステップ208)。
【0032】
(7)その後、監視装置10の監視機能部11は、被監視装置A50または被監視装置B60の監視を行って状態情報の収集を行う。被監視装置A50または被監視装置B60の情報収集の完了後、情報端末制御部13は、情報端末40に対して被監視装置50AまたはB60との接続を切断するように指示し、リモートアシストを停止する。情報端末40は、切断指示を受けて自情報端末40と被監視装置50AまたはB60との接続を切断し、パソコン通信ソフト42を停止すると共に、情報端末40の電源をOFFとして、ここでの処理を終了する。
【0033】
前述した処理において、監視装置10からではなく、保守者が手動でリモートアシストを起動させることが可能であり、手動で起動を行った場合にも前述と同様の処理を行うことが可能である。また、本発明は、情報端末を保守者が直接操作することにより被監視装置の情報収集を行うことが可能である。
【0034】
前述した本発明の実施形態は、情報端末と複数の被監視装置との間を、シリアル接続装置100及びシリアル伝送路70、80、90で接続するとして説明したが、本発明は、情報端末と複数の被監視装置との間を、情報端末がの障害情報の収集のために被監視装置に接続できるものであれば、どのようなネットワークを用いて接続してもよい。
【0035】
前述した本発明の実施形態によれば、監視装置と被監視装置との接続を行っているネットワークとは別のネットワークで監視装置と情報端末とを接続し、また、情報端末と被監視装置とをシリアル接続しているので、監視装置から被監視装置へ通常使用しているネットワークを介した接続ができなくなった場合でも、情報端末から被監視装置へシリアル接続することにより、被監視装置の情報収集を行うことが可能となる。
【0036】
また、本発明の実施形態によれば、遠隔操作で被監視装置の情報収集を行うことができるので、情報収集を行うため保守員が現地に移動する時間を省くことができ、障害の迅速な復旧が可能となり、また、収集した情報を外部へ持ち出す必要がないため情報漏洩の危険性を排除することができる。
【0037】
さらに、本発明の実施形態によれば、情報端末がネットワークに接続されているため、ウイルスへの対応も行うことが可能となっており、ウイルスへの感染防止を行うことができる。
【符号の説明】
【0038】
10 監視装置
11 監視機能部
12 処理部
13 情報端末制御部
20、30 LAN
40 情報端末
41 制御部
42 パソコン通信ソフト部
43 シリアル接続装置制御部
50、60 被監視装置
70〜90 シリアル伝送路
100 シリアル接続装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視装置から被監視装置の情報を収集する監視システムにおいて、
監視装置と複数の被監視装置とが第1のネットワークにより接続され、監視装置と情報端末とが第2のネットワークにより接続され、また、前記複数の被監視装置と情報端末とが第3のネットワークにより接続されて構成されており、
前記監視装置は、該監視装置と被監視装置との間で前記第1のネットワークを介して通信ができなくなった場合に、遠隔操作で情報端末の起動を行い、前記情報端末に、前記第3のネットワークを介して前記複数の被監視装置の情報を収集させ、その被監視装置の情報を前記第2のネットワークを介して取得することを特徴とする監視システム。
【請求項2】
複数の被監視装置と情報端末とを接続する前記第3のネットワークがシリアル接続装置とシリアル伝送路とによるネットワークであることを特徴とする請求項1記載の監視システム。
【請求項3】
前記監視装置は、被監視装置の監視を行う監視機能部と、前記情報端末を制御する情報端末制御部と、前記監視機能部及び前記情報端末制御部を制御する処理部とを備えることを特徴とする請求項1または2記載の監視システム。
【請求項4】
前記監視装置は、前記情報端末からの情報端末画面を表示し、表示される情報端末画面を操作することにより被監視装置の情報収集を行うことを特徴とする請求項1または2記載の監視システム。
【請求項5】
監視装置から被監視装置の情報を収集する監視システムにおける監視方法において、
前記監視システムは、監視装置と複数の被監視装置とが第1のネットワークにより接続され、監視装置と情報端末とが第2のネットワークにより接続され、また、前記複数の被監視装置と情報端末とが第3のネットワークにより接続されて構成されており、
前記監視装置は、該監視装置と被監視装置との間で前記第1のネットワークを介して通信ができなくなった場合に、遠隔操作で情報端末の起動を行い、前記情報端末に、前記第3のネットワークを介して前記複数の被監視装置の情報を収集させ、その被監視装置の情報を前記第2のネットワークを介して取得することを特徴とする監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−118692(P2012−118692A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266848(P2010−266848)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】