説明

監視システム

【課題】 子局の数が増大しても適切でかつ効率のよい監視を行うことができる監視システムを得る。
【解決手段】 監視センタ200は、複数の監視端末220a〜220nで特定の監視端末を予め設けている。監視制御手段241は、監視データの種別毎に付与された優先度に基づき、特定の監視端末で任意の監視データに対する監視処理中に、その監視データよりも優先度の高い監視データを受け取った場合、優先度の高い監視データを送信した監視データ送信装置100a〜100nに、特定の監視端末の接続を切り替えるよう制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、ネットワークを利用して遠隔地の監視対象先を画像により遠隔監視する監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の監視システムとして、複数の子局と1つの親局とが、前記子局から前記親局へ異常が発生したことを示す異常データを送信する第一のチャネルと画像データを送信するチャネルであって同時には前記第一のチャネルにより異常デ−タが収集される監視ポイント数より少ない数の監視ポイントから画像デ−タを収集するチャネルが使用可能な第2のチャネルとにより接続される監視システムであって、前記子局から送られてきた異常データについて監視の優先度を検出する優先度検出手段と、この優先度検出手段が検出した優先度に基づいて、異常データに対応する第2のチャネルを選択して画像データによる監視を実行する監視チャネル選択手段とを備えるものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第3153595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の監視システムは、以上のように構成されているため、親局は複数の子局から異常データを入手したときには、異常データの優先度に従い、親局が有する表示端末に表示させることができるようになり、適切な監視を行うことができる。しかしながら、近年の監視システムの大型化により以下のような課題が発生した。
【0005】
(1)監視システムが大型化するのに伴い、システムに接続する子局の数が増大する。これにより、親局の負荷も増大して1つの親局の能力では処理しきれない課題がある。
(2)また、システムに接続する子局の数が増大すると、1つの表示端末のみに表示していたのでは、待っている他の異常データの検知が遅くなり、結果として適切な監視を行えなくなる課題がある。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、親局を分散化することで各々の負荷を軽減できるとともに、子局の数が増大しても適切でかつ効率のよい監視を行うことができる監視システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る監視システムは、監視データ送信装置から送信された監視データを受信する監視手段が、特定の監視端末を含み、監視データを処理する複数の監視端末と、監視データの種別毎に付与された優先度に基づき、特定の監視端末で任意の監視データに対する監視処理中に、その監視データよりも優先度の高い監視データを受け取った場合、特定の監視端末が優先度の高い監視データを処理するよう接続を切り替える監視制御手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の監視システムは、優先度の高い監視データを受け取った場合、特定の監視端末は、その監視データを送信した監視データ送信装置に接続を切り替えるため、子局の数が増大しても適切でかつ効率のよい監視を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による監視システムを示す構成図である。
図において、監視システムは、複数の監視データ送信装置100a〜100nと監視センタ(監視手段)200と、これらを接続する通信回線300からなる。監視データ送信装置100a〜100nは、子局に相当するもので、それぞれ、監視対象の画像や音声等からなる監視データと、その監視データの種別を示す種別情報を送信する装置である。このような監視データ送信装置100a〜100nは、例えば、店舗に設置され、店内の監視画像や音声を送信するものである。また、監視センタ200は、親局に相当するもので、監視データ送信装置100a〜100nからの監視データに基づいて、遠隔地で監視処理を行う機能部であり、監視データ受信装置210a〜210nと監視端末220a〜220nと管理サーバ240を備えている。また、監視センタ200では、監視データ送信装置数の増大に対応できるように、監視センタ200内をLANによってネットワーク化して処理を分散させている。
【0010】
更に、N台の監視端末220a〜220nのうち、1台の監視端末を最優先の監視端末(以下、特定の監視端末という)として設定している。尚、特定の監視端末以外の監視端末の優先度は全て同じとする。以下の実施の形態では、特定の監視端末を監視端末220aとして説明する。
【0011】
監視センタ200における監視データ受信装置210a〜210nは、それぞれ、いずれかの監視データ送信装置100a〜100nの監視データを受信する装置であり、受信した監視データは、管理サーバ240の制御により、いずれかの監視端末220a〜220nに送出されるよう構成されている。管理サーバ240は、例えばパーソナルコンピュータ等で構成され、監視センタ200における監視処理を司る制御部であり、監視制御手段241を備えている。
【0012】
監視制御手段241は、特定の監視端末がどの監視端末であるかの情報と、監視データをその監視種別毎に予め決められた優先度を付与した優先度テーブル(これについては後述する)とを有し、優先度テーブルで示される優先度に基づいて、特定の監視端末220aにおいて、任意の監視データに対する監視処理中に、その監視データよりも優先度の高い監視データを受け取った場合、優先度の高い監視データを送信した監視データ送信装置100a〜100nに接続を切り替えるよう制御を行う機能部である。また、これら監視データ受信装置210a〜210n〜管理サーバ240は、それぞれ監視センタ200内のLANによって相互に接続されている。更に、通信回線300は、例えばISDNを用いたネットワークである。
【0013】
図2は、優先度テーブルの説明図である。
図示の優先度テーブルは、監視データとして警報の場合であり、警報種別に対する優先度を示している。また、図中の優先度の数値が小さい程、優先度が高いことを示している。例えば、警報種別で非常警報が最も優先度が高く、インターホンが最も優先度が低いことを示している。
【0014】
次に、図1の各構成要素について詳細に説明する。
図3は、監視データ送信装置100a〜100nの詳細を示す構成図である。
図において、監視データ送信装置100a〜100nは、カメラ101、画像入力回路102、画像符号化回路103、画像音声多重回路104、マイク105、音声入力回路106、音声符号化回路107、回線制御回路108、センサ109、センサ入力回路110、制御部111、音声分離回路112、音声復号回路113、音声出力回路114、スピーカ115を備えている。
【0015】
カメラ101は、監視場所の画像を取得するための装置であり、このカメラ101により取込まれた撮像画像は画像入力回路102によりA/D変換され、デジタル画像として画像符号化回路103に入力されるよう構成されている。画像符号化回路103は、MEPG4やJPEGなどの符号化方式により画像符号化を行う回路であり、符号化された画像データは画像音声多重回路104に入力される。また、マイク105は、監視場所の音声を取得するものであり、マイク105により取込まれた音声信号は音声入力回路106によりA/D変換され、デジタル音声信号として音声符号化回路107に入力されるよう構成されている。音声符号化回路107は、G.711などの符号化方式により音声符号化を行う回路であり、符号化された音声データが画像音声多重回路104に入力される。
【0016】
画像音声多重回路104は、符号化された画像データと符号化された音声データを多重化する回路であり、回線制御回路108は、画像音声多重回路104で多重化された符号化データを、ISDNの伝送フォーマットにフォーマット化および符号化して通信回線300に送出する回路である。また、センサ109は、例えば、店舗への侵入者検知といった異常検知のためのセンサであり、センサ109が異常を検知したときは、センサからの信号がセンサ入力回路110に入力され、センサ入力回路110はセンサ109からの信号を検知して制御部111に異常信号を通知するよう構成されている。制御部111はマイクロプロセッサやメモリ等で構成され、センサ入力回路110からの異常信号により回線制御回路108に警報信号を出力して、回線制御回路108より警報信号を監視センタに通報するよう制御する機能を有している。
【0017】
また、監視センタ200に設置されたマイク(これについては後述する)から入力された音声は通信回線300を介して回線制御回路108に入力された後、音声分離回路112により監視センタ200からの図示されない各種制御データと分離され、音声復号回路113に入力されるよう構成されている。音声復号回路113は、符号化された音声データを復号してデジタルデータとして音声出力回路114に出力する機能部である。音声出力回路114は、音声入力回路106と逆の処理となるD/A変換を行い、アナログ音声信号に戻し、これをスピーカ115に出力する回路である。制御部111は、センサ入力回路110からの異常信号により回線制御回路108に警報信号を出力すると共に、画像音声多重回路104の多重化制御、音声分離回路112の分離制御、および回線制御回路108を制御して通信回線300の接続切断の通信制御を行う機能を有している。以上のようにして、監視先に設置されたセンサ、カメラ、およびマイクからの入力が通信回線300を介して監視センタ200に送出され、また監視センタ200から通信回線300を介して受信した音声がスピーカ115から出力されることになる。
【0018】
次に、監視センタ200の詳細について説明する。
図4は、監視データ受信装置210a〜210nの構成を示すブロック図である。
図において、回線制御回路211は、通信回線300を介して監視データ送信装置100a〜100nから監視データである画像音声データを受信すると共に、フォーマット変換回路212からの音声データを監視データ送信装置100a〜100nへ送信する。また、回線制御回路211は、監視データ送信装置100a〜100nからの警報信号の受信、および監視端末220a〜220nからの図示されない各種制御データをフォーマット変換回路212より受信して監視データ送信装置100a〜100nへ送信する。フォーマット変換回路212は通信回線(ISDN)300に対応した伝送フォーマットとLANに対応した伝送フォーマットの変換を行う。通信制御回路213は、フォーマット変換回路212からの画像音声データおよび警報信号をLANに送出すると共に、監視端末220a〜220nからの音声データを受信して、フォーマット変換回路212に送出する。制御部214は、回線制御回路211、フォーマット変換回路212、および通信制御回路213の制御を行う。
【0019】
図5は、監視端末220a〜220nの構成の一例を示すブロック図である。
監視端末220a〜220nは、通信制御回路221、画像音声分離回路222、画像復号回路223、画像出力回路224、モニタ225、音声復号回路226、音声出力回路227、スピーカ228、マイク229、音声入力回路230、音声符号化回路231、音声多重回路232、制御部233を備えている。
【0020】
通信制御回路221は、監視センタ200内のLANより受信した画像音声データおよび警報信号を受信して、画像音声データは画像音声分離回路222に送出し、警報データは制御部233に送出するよう構成されている。また、通信制御回路221は、音声多重回路232からの音声データ、および制御部233からの図示されていない各種制御信号を受信してLANに送出する機能を有している。画像音声分離回路222は、画像音声データを分離する機能部であり、画像音声分離回路222で分離された画像データは画像復号回路223により復号された後、画像出力回路224によりD/A変換されてモニタ225に出力され、モニタ225に監視先の映像が表示されるようになっている。また、画像音声分離回路222で分離された音声データは音声復号回路226により復号された後、音声出力回路227によりD/A変換されてスピーカ228に出力され、監視先の音声がスピーカ228より出力されるようになっている。
【0021】
一方、マイク229より入力された音声は音声入力回路230によりA/D変換された後、音声符号化回路231によりG.711などの符号化方式により音声符号化される。符号化された音声データは音声多重回路232に入力される。音声多重回路232では伝送フォーマットに多重化し、多重化した音声データを通信制御回路221に出力する。制御部233は、通信制御回路221より受信した警報信号を画像出力回路224にてモニタ225に警報を表示する形式に変換して画像出力回路224に出力する。画像出力回路224は前述の画像復号回路223からの画像データをA/D変換すると共に、警報をモニタ225に表示出力する。そして、監視センタ200の監視員はモニタ225に表示される警報信号によって、監視先でセンサが異常を検知したことを知ることができる。尚、制御部233は、警報信号の送受信制御以外にも、通信制御回路221、画像音声分離回路222および音声多重回路232の制御を行うとともに、各種制御信号を通信制御回路221に送信する機能を有している。
【0022】
次に、実施の形態1の監視システムの動作について説明する。
監視データ送信装置100a〜100nにおいて、センサ109が異常を検知すると、該当する監視データ送信装置100a〜100nから通信回線300を介して監視センタ200に警報信号が通知される。また、この場合、その警報種別も付加されて送信される。監視センタ200では、このような警報信号を受信すると、管理サーバ240の監視制御手段241は、監視端末220a〜220nへの割り当て制御を行う。
【0023】
図6は、監視端末220a〜220nへの割り当て制御を示すフローチャートである。
監視制御手段241は監視端末220a〜220nの優先度を記憶している。即ち、監視端末220a〜220nにおいて、監視端末220aが特定(最優先)の監視端末であることを示す情報である。
【0024】
先ず、監視端末220a〜220nが全く警報処理を行っていない状態で監視データ送信装置100a〜100nのいずれかから警報を受信すると、監視制御手段241は、特定の監視端末220aにこの警報を通知する。警報を通知された特定の監視端末220aでは、警報の内容に応じて監視処理を行うことになる(ステップST1、ステップST2)。
【0025】
即ち、管理サーバ240は、いずれかの監視データ受信装置210a〜210nと、当該警報を通知した監視先の監視データ送信装置100a〜100nを接続する。監視データ受信装置210a〜210nと接続された監視データ送信装置100a〜100nは、カメラ101の画像の送信を開始する。カメラ101での取得画像、あるいはマイクによる音声信号が画像入力回路102および音声入力回路106に入力され、更に、画像符号化回路103および音声符号化回路107で符号化され、画像音声多重回路104で多重化されて回線制御回路108より送出される。送信された画像データはこのような動作により特定の監視端末220aのモニタ225に表示され、監視員は画像を確認することができる。
【0026】
次に、この特定の監視端末220aで監視処理中に別の警報を受信すると、監視制御手段241は、他の監視端末220b〜220nが空いているかを判定する(ステップST3)。他の監視端末220b〜220nのいずれかが空いており、受信した警報の優先順位が、特定の監視端末220aで処理中の警報より高くない場合(ステップST4)は、空いている監視端末に対して警報を通知し、この監視端末で警報が処理される(ステップST5)。
【0027】
一方、ステップST4において、受信した警報の優先順位が、特定の監視端末220aで処理中の警報より高かった場合、監視制御手段241は、空いている監視端末に対して特定の監視端末220aで処理中の監視処理を引き継ぐことを通知する。そして通知を受けた監視端末は、その監視処理を引き継いで行う(ステップST6)。尚、ここで、空いている監視端末が複数存在した場合は、例えば、それぞれの監視端末220a〜220nに識別番号を付与しておき、もっとも若番の監視端末から割り当てる。
【0028】
次に、監視制御手段241は、特定の監視端末220aに対して、現在処理中の警報よりも優先度の高い警報を受信したことを通知する。そして、現在処理中の警報よりも優先度の高い警報を受信したことを通知された特定の監視端末220aは、現在処理中の監視処理を終了して、通知された警報に関する監視処理を行う(ステップST7)。尚、処理する警報を切り替える場合、特定の監視端末220aにおいて、監視処理を切り替える旨のメッセージ等を表示するようにしてもよい。
【0029】
また、上記のステップST3において、他の監視端末220b〜220nに空きがなかった場合、即ち、全ての監視端末220a〜220nが監視処理中であった場合、受信した警報の優先順位が、それぞれの監視端末220a〜220nで処理中の最も優先順位の低い警報より高いかを判定する(ステップST8)。ここで、いずれの監視端末220a〜220nで処理している最も優先順位が低い警報よりも優先度が低かった場合は、各監視端末220a〜220nに対して警報受信の通知のみを行う(ステップST9)。一方、ステップST8において、受信した警報の優先順位が、それぞれの監視端末220a〜220nで処理中の優先順位の最も低い警報より高かった場合は、優先順位の最も低い警報を処理している監視端末の警報処理を中断させ、その監視端末を空ける(ステップST10)。
【0030】
次に、受信した警報の優先順位が、特定の監視端末220aで処理中の警報より高いかを判定する(ステップST11)。このステップST11において、特定の監視端末220aで処理中の警報より高かった場合はステップST6に移行する。即ち、特定の監視端末220aで処理中の警報を、ステップST10で空けた監視端末へ移動させ、受信した優先順位の最も高い警報の処理を特定の監視端末220aで行う(ステップST6、ステップST7)。
【0031】
一方、ステップST11において、受信した警報の優先順位が、特定の監視端末220aで処理中の警報より高くはなかった場合は、ステップST10において警報処理を中断した監視端末で、受信した警報を処理するよう通知を行い、この監視端末で警報処理が行う(ステップST12)。
【0032】
また、ステップST9やステップST12において、待機状態にある警報や監視処理を中断した警報については、ステップST1からの処理を行い、監視端末220a〜220nのいずれかにおいて、監視処理が終了した場合は、その監視端末で監視処理を行う。
【0033】
このような動作により、特定の監視端末220aの監視員は常にその時点で最も優先度の高い警報を発した監視先の画像を確認することができる。図2に示す優先度テーブルの例では、例えば、“優先度4”の設備異常を発生した監視先の画像を監視中に、より優先度の高い“優先度1”の非常警報を受信したときには、管理サーバ240が非常警報を発生した監視先の監視データ送信装置100a〜100nに通信を切り替えることになり、監視員はより重要性の高い警報の画像を確認することができる。
【0034】
尚、上記ステップST6では、他の監視端末220b〜220nにおいて複数の監視端末が空いていた場合、そのうちの若番順に選択するようにしたが、これ以外の順序に従って決定するようにしてもよい。
【0035】
このように、本実施の形態では、監視処理中に優先度のより高い警報を受信したとき、管理サーバ240における監視制御手段241の制御により、現在の通信を切断して、より優先度の高い警報を通知した監視データ送信装置100a〜100nに接続するので、監視員が重要性の高い警報を見逃すことなく監視ができる。また、切断、接続の操作をしなくてよいので、効率的な監視を行うことができる。
【0036】
尚、上記実施の形態1では、監視データ受信装置210a〜210nと監視端末220a〜220nは別の装置として構成されているが、上述した機能を持った一体の装置として構成してもよい。また、上記実施の形態1では、監視データ送信装置100a〜100nが有するカメラ、マイク、スピーカ、およびセンサは1台の場合について説明したが、複数のカメラ、マイク、スピーカ、およびセンサが存在する場合にも適用することができる。
【0037】
以上のように、実施の形態1の監視システムによれば、それぞれが監視対象の監視データと監視データの種別情報を送信する複数の監視データ送信装置と、複数の監視データ送信装置と通信接続された監視手段とを備え、監視手段は、特定の監視端末を含み、監視データを処理する複数の監視端末と、監視データの種別毎に付与された優先度に基づき、任意の監視データに対する監視処理中に、特定の監視端末が処理する監視データよりも優先度の高い監視データを受け取った場合、特定の監視端末が優先度の高い監視データを処理するよう接続を切り替える監視制御手段とを備えたので、子局の数が増大しても適切でかつ効率のよい監視を行うことができる。即ち、特定の監視端末の監視員として、監視業務を行う能力が高い監視員とすることにより、優先度の高い監視データの処理を監視業務を行う能力の高い監視員が行うことができ、例えば、重要性の高い異常も早期に発見できるといった効果がある。
【0038】
また、実施の形態1の監視システムによれば、監視手段は、全ての監視端末で処理する監視データの中で優先度の最も低い監視データより高い優先度を持つ監視データを受け取った場合、優先度の最も低い監視データを処理している監視端末の監視処理を中断して、監視処理を中断した監視端末で、受信した監視データの処理を行うようにしたので、同時に多くの警報が通知された場合でも、重要な警報から監視処理を行うことができるため、より監視システムとしての信頼性を向上させることができる。
【0039】
また、実施の形態1の監視システムによれば、監視手段は、監視データを受信する監視データ受信装置と、監視データ受信装置を制御する管理サーバとを備え、監視制御手段は、管理サーバに設けられているので、監視データ受信装置の設置台数等の構成には関係なく、統一して制御を行うことができ、監視センタ内の構成の変更等に柔軟に対応できる効果がある。
【0040】
以上のように、実施の形態1の監視システムによれば、それぞれが監視対象の監視データと監視データの種別情報を送信する複数の監視データ送信装置と、複数の監視データ送信装置と通信接続された監視手段とを備え、監視手段は、特定の監視端末を含み、監視データを処理する複数の監視端末と、特定の監視端末で処理されている監視データよりも優先度の高い監視データを監視手段が受け取った場合、優先度の高い監視データを処理させる監視端末を、特定の監視端末に設定する監視制御手段とを有するようにしたので、子局の数が増大しても適切でかつ効率のよい監視を行うことができる。即ち、監視手段が、特定の監視端末で処理されている監視データよりも優先度の高い監視データを受け取った場合、これを監視制御手段が特定の監視端末に設定することができるのであれば、監視データの受信からこの監視データを特定の監視端末で処理するまでの構成はどのようなものであっても同様の効果を奏することができる。
【0041】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、優先度は警報種別により決定したが、警報を受信した回数、警報受信の時刻、および警報を通知した画像送信装置、並びにそれらの組合せにより優先度を変動させてもよく、これを実施の形態2として説明する。尚、図面上の構成は実施の形態1と同様であるため、図1等を援用して説明する。
【0042】
実施の形態2の監視制御手段241は、警報を受信した回数、警報受信の時刻、および警報を通知した画像送信装置、並びにそれらの組合せにより優先度を変動させる。例えば、繰り返し発生した警報については、その警報種別の優先度を高くしたり、あるいは、時刻による優先度の変動として、警報種別「非常」に対する昼間と夜間の優先度を変更する、といった処理を行う。例えば、これは、昼間は人間が多数存在するが夜間は無人になるような場所では、昼間の優先度を低くなるよう設定するといったことである。これ以外の構成および動作については、実施の形態1と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0043】
以上のように、実施の形態2の監視システムによれば、優先度は、監視データを受信した回数、受信の時刻、および通知した監視データ送信装置のうち、少なくともいずれか一つにより決定するようにしたので、上記実施の形態1の効果に加えて、更に、繰り返し発生した警報や、監視先をより注意深く監視する必要がある場合等に対して、迅速な対応をとることができる。
【0044】
実施の形態3.
また、上記各実施の形態において、特定の監視端末220aで監視処理中に、現在処理中の警報より優先度の高い警報を受信したときに、優先度の高い警報に対応する監視データ送信装置100a〜100nに切り替えるが、優先度の高い警報に対する確認処理が終了したとき、特定の監視端末220aは、優先度の高い警報を受信する前の警報に対する監視データ送信装置100a〜100nに接続を戻すようにしても良く、これを実施の形態3として説明する。尚、この実施の形態3についても、図面上の構成は上述した各実施の形態と同様であるため、図1等を援用して説明する。
【0045】
監視制御手段241は、特定の監視端末220aから処理終了の通知を受け取った場合、その監視処理を行う前に中断した監視処理があったかを判定する。中断した処理があった場合は、その監視処理を行っている監視端末から、監視処理を移行する。即ち、特定の監視端末220aにて中断した処理を実行する。この中断した監視処理は、その警報受信時点では最も優先度の高い警報であることから、特定の監視端末220aは、移行後の時点で最も優先度の高い監視処理を行うことになる。
【0046】
また、中断した監視処理を特定の監視端末220aに移行した後、その監視処理を行っていた監視端末は空くことになるため、移行前の時点で全ての監視端末220a〜220nに空きがなく、待機状態となっている警報があった場合は、その監視端末で待機状態の警報の処理を行う。
【0047】
尚、特定の監視端末220aにて中断した監視処理が、他の監視端末において既に終了していた場合、特定の監視端末220aはそのまま待機状態となる。
【0048】
以上のように、実施の形態3の監視システムによれば、監視手段は、特定の監視端末で、優先度の高い監視データに対する監視処理が終了した場合、優先度の高い監視データを受信する前に監視中であった監視データ送信装置に通信接続するようにしたので、監視途中であった優先度の高い監視処理を確実に行うことができる効果がある。
【0049】
実施の形態4.
実施の形態4では、監視処理中に他の警報を受信した場合、その警報に関する確認処理を所定時間行って、元の画像監視に戻る時分割モードを備えたものである。図面上の構成は実施の形態1と同様であるため、図1等を援用して説明する。
【0050】
実施の形態4の監視制御手段241は、優先度モードと時分割モードを備えている。優先度モードは、上述した実施の形態1〜3のいずれかの処理に相当するものである。即ち、画像監視中に他の優先度の高い警報を受信した場合は、その警報に対応した画像監視を行うものである。一方、時分割モードでは、画像監視中に他の警報を受信した場合、その警報に関する画面確認を所定時間行い、その後、元の画像監視に戻るよう動作を行うようにしたモードである。また、この時分割モードでは、各監視端末220a〜220nの優先度は同じとし、特定の監視端末は存在しない構成となっている。即ち、時分割モードでは、警報の種別で優先度を設けず、警報の受信時刻順に優先度を設けて、各警報をキュー(待ち行列)として管理し、受信した順に監視端末220a〜220nに対して所定時間毎に割り当てるようにしている。
【0051】
例えば、時分割モードで動作を行う場合、ある監視端末において、いずれかの監視データ送信装置100a〜100nと接続されていた状態で、他の警報が通知されると、監視制御手段241は、所定時間経過後、画像監視中の通信を切断して、通知された警報に対する監視データ送信装置100a〜100nに接続を切り替える。そして、所定時間経過後、再び、元の監視データ送信装置100a〜100nに接続を戻す。
【0052】
また、複数の警報を受信した場合は、順次警報を通知した監視データ送信装置100a〜100nに接続を切り替えるようにする。例えば、監視端末が5台(監視端末1〜監視端末5とする)あり、三つの警報(受信時刻順に警報1〜警報3とする)が順次受信されたとする。監視制御手段241は、これらの警報1〜警報3を、それぞれ監視端末1〜監視端末3に割り当て、所定時間毎に切り替えて処理するよう制御を行う。即ち、監視端末1は、最初の所定時間で警報1、次の所定時間で警報2、更に次の所定時間で警報3といったように、警報の監視処理を所定時間毎に切り替える。
【0053】
このような状態で、警報が監視端末の数よりも多くなった場合(警報が5個を超えた場合)、各警報は待ち行列として各監視端末1〜5で処理される。即ち、監視制御手段241は、これら警報を所定時間毎に順次各監視端末で処理するよう制御を行う。また、いずれかの監視処理が終了した場合は、次の順位の監視処理を繰り上げるよう制御する。
【0054】
このように、実施の形態4では、同時に多数の警報を通知された場合でも、監視端末220a〜220nによって、時分割に処理が行えるため、監視端末の数に比べて多くの警報が通知されるような状態において特に大きな効果を奏することができる。
【0055】
以上のように実施の形態4の監視システムによれば、監視制御手段は、監視データの種別毎に付与された優先度に基づき、任意の監視データに対する監視処理中に、特定の監視端末が処理する監視データよりも優先度の高い監視データを受け取った場合、特定の監視端末が優先度の高い監視データを送信した監視データ送信装置に接続を切り替える優先度モードと、任意の監視データに対する監視処理中に、他の監視データを受け取った場合、いずれかの監視端末が他の監視データを送信した監視データ送信装置に所定時間接続し、その後任意の監視データに対する監視処理を行う時分割モードとを有するので、運用条件等に応じて最適な動作を選択することができ、効率的な監視処理を実現することができる。
【0056】
また、実施の形態4の監視システムによれば、監視制御手段は、時分割モードで、任意の監視データに対する監視処理中に、他の監視データを複数受け取った場合、他の監視データを送信した監視データ送信装置に所定時間順次接続するよう制御したので、複数の異常が同時に発生した場合であっても一定時間の監視を順次行うようにすることで、監視員の操作を簡易にできるとともに、重要性の高い異常を早期に発見することができる。
【0057】
尚、上記各実施の形態において、監視データとして画像と音声の例を説明したが、これに限定されるものではなく、画像のみ、あるいは音声のみ、更には画像や音声以外の他のデータであっても同様に適用可能である。また、監視データとして警報以外のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】この発明の実施の形態1による監視システムを示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1の監視システムにおける優先度テーブルの説明図である。
【図3】この発明の実施の形態1の監視システムにおける監視データ送信装置の構成図である。
【図4】この発明の実施の形態1の監視システムにおける監視データ受信装置の構成図である。
【図5】この発明の実施の形態1の監視システムにおける監視端末の構成図である。
【図6】この発明の実施の形態1による監視システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
100a〜100n 監視データ送信装置、200 監視センタ(監視手段)、210a〜210n 監視データ受信装置、220a〜220n 監視端末、240 管理サーバ、241 監視制御手段、300 通信回線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが監視対象の監視データと当該監視データの種別情報を送信する複数の監視データ送信装置と、当該複数の監視データ送信装置と通信接続された監視手段とを備え、
前記監視手段は、
特定の監視端末を含み、前記監視データを処理する複数の監視端末と、
前記監視データの種別毎に付与された優先度に基づき、任意の監視データに対する監視処理中に、前記特定の監視端末が処理する監視データよりも優先度の高い監視データを受け取った場合、前記特定の監視端末が当該優先度の高い監視データを処理するよう接続を切り替える監視制御手段とを備えた監視システム。
【請求項2】
監視手段は、全ての監視端末で処理する監視データの中で優先度の最も低い監視データより高い優先度を持つ監視データを受け取った場合、優先度の最も低い監視データを処理している監視端末の監視処理を中断して、当該監視処理を中断した監視端末で、前記受信した監視データの処理を行うことを特徴とする請求項1記載の監視システム。
【請求項3】
優先度は、監視データを受信した回数、受信の時刻、および通知した監視データ送信装置のうち、少なくともいずれか一つにより決定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の監視システム。
【請求項4】
監視手段は、監視データを受信する監視データ受信装置と、当該監視データ受信装置を制御する管理サーバとを備え、
監視制御手段は、前記管理サーバに設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の監視システム。
【請求項5】
監視手段は、特定の監視端末で、優先度の高い監視データに対する監視処理が終了した場合、当該優先度の高い監視データを受信する前に監視中であった監視データ送信装置に通信接続することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の監視システム。
【請求項6】
監視制御手段は、監視データの種別毎に付与された優先度に基づき、任意の監視データに対する監視処理中に、特定の監視端末が処理する監視データよりも優先度の高い監視データを受け取った場合、前記特定の監視端末が当該優先度の高い監視データを送信した監視データ送信装置に接続を切り替える優先度モードと、任意の監視データに対する監視処理中に、他の監視データを受け取った場合、いずれかの監視端末が当該他の監視データを送信した監視データ送信装置に所定時間接続し、その後前記任意の監視データに対する監視処理を行う時分割モードとを有することを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の監視システム。
【請求項7】
監視制御手段は、時分割モードで、任意の監視データに対する監視処理中に、他の監視データを複数受け取った場合、当該他の監視データを送信した監視データ送信装置に所定時間順次接続するよう制御することを特徴とする請求項6記載の監視システム。
【請求項8】
それぞれが監視対象の監視データと当該監視データの種別情報を送信する複数の監視データ送信装置と、当該複数の監視データ送信装置と通信接続された監視手段とを備え、
前記監視手段は、
特定の監視端末を含み、前記監視データを処理する複数の監視端末と、
前記特定の監視端末で処理されている監視データよりも優先度の高い監視データを前記監視手段が受け取った場合、当該優先度の高い監視データを処理させる監視端末を、前記特定の監視端末に設定する監視制御手段とを有することを特徴とする監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−330922(P2006−330922A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−151211(P2005−151211)
【出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000202361)綜合警備保障株式会社 (266)
【Fターム(参考)】