監視装置、監視方法及びコンピュータプログラム
【課題】被害者がストーカー行為に気づいていなくても、ストーカー行為の存在を被害者に通知できるサービスを提供する。
【解決手段】監視装置4は、ユーザにより予め登録される位置条件を記憶する位置条件記憶部50と、移動局装置11の位置情報を移動体通信ネットワーク2から受信する位置情報受信部42と、位置条件を満たす頻度が所定の基準よりも高い移動局装置11を検出する検出部43と、検出部43により検出された移動局装置11を特定する情報を、ユーザに予め指定される受信装置5へ送信する移動局情報送信部46と、を備える。
【解決手段】監視装置4は、ユーザにより予め登録される位置条件を記憶する位置条件記憶部50と、移動局装置11の位置情報を移動体通信ネットワーク2から受信する位置情報受信部42と、位置条件を満たす頻度が所定の基準よりも高い移動局装置11を検出する検出部43と、検出部43により検出された移動局装置11を特定する情報を、ユーザに予め指定される受信装置5へ送信する移動局情報送信部46と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で論じられる実施態様は、移動体通信ネットワークにおける移動局装置の監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ストーカー被害の被害者が増加している。このため、ストーカー行為を行う者の監視のために移動体通信システムを使用することが提案されている。
【0003】
被害者が所有する第1携帯電話と、ストーカー犯罪者が所有する第2携帯電話と、第2携帯電話の位置を監視する監視サーバと、から成る監視システムが提案されている。この監視サーバは、第2携帯電話が発信した電波から、第2携帯電話の位置情報である第2位置情報を取得して、予め設定された固定位置を中心とした所定距離内のエリア内に、第2携帯電話が存在するか否かを判定する。第2携帯電話が存在すると判定した場合、第2位置情報を第1携帯電話に送信する。第1携帯電話は、監視サーバから送信された第2位置情報を受信して、第2携帯電話の現在位置を表示する。
【0004】
また、複数の監視対象者の監視端末と、監視端末の位置情報を管理する情報管理装置とを備える通信制御システムが提案されている。監視端末が、地理的位置情報を取得する位置情報取得部と、相互にグループ化することが許可された監視対象者の監視端末どうしでグループを設定するグループ設定部と、取得した位置情報とグループの設定情報とを、センタへ送信する送信部とを備える。情報管理装置が、位置情報とグループの設定情報を受信する受信部と、監視対象者の属性情報と、監視対象者の監視レベルの判定条件とを記憶した記憶部と、設定されたグループ内の監視端末ごとに受信した位置情報から、監視端末相互間の距離を算出する相互距離確認部と、算出された距離と、監視対象者の属性情報と、判定条件とから、監視対象者の現在の監視レベルを判定する監視レベル判定部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−282888号公報
【特許文献2】特開2008−70981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ストーカー被害を大きくする要因として、被害が大きくなるまで被害者がストーカー行為に気づかず、被害者の防犯対策が不十分となる点が挙げられる。実施態様に係る装置及び方法は、被害者がストーカー行為に気づいていなくても、ストーカー行為の存在を被害者に通知できるサービスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態による監視装置は、ユーザにより予め登録される位置条件を記憶する位置条件記憶部と、移動局装置の位置情報を移動体通信ネットワークから受信する位置情報受信部と、位置条件を満たす頻度が所定の基準よりも高い移動局装置を検出する検出部と、検出部により検出された移動局装置を特定する情報を、ユーザに予め指定される受信装置へ送信する移動局情報送信部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本件開示の装置又は方法によれば、被害者がストーカー行為に気づいていなくても、ストーカー行為の存在を検出し、被害者に通知できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】通信システムの構成例を示す図である。
【図2】監視装置のハードウエア構成例を示す図である。
【図3】監視装置の構成例を示す図である。
【図4】第1条件の第1例を示す図である。
【図5】第1条件の第2例を示す図である。
【図6】仮名変換テーブルの一例を示す図である。
【図7】位置情報データの例を示す図である。
【図8】位置情報蓄積データの例を示す図である。
【図9】ユーザに通知される移動局情報の第1例を示す図である。
【図10】ユーザに通知される移動局情報の第2例を示す図である。
【図11】監視装置による処理の説明図である。
【図12】加入者情報取得処理の説明図である。
【図13】位置情報取得処理の第1例の説明図である。
【図14】位置情報取得処理の第2例の説明図である。
【図15】移動局検出処理の説明図である。
【図16】移動局情報送信処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付する図面を参照して本発明の実施例について説明する。図1は、通信システムの構成例を示す図である。通信システム1は、移動体通信ネットワーク2と、通信ネットワーク3と、監視装置4と、端末装置5を備える。通信システム1は、本システムのユーザに対して以下に説明する通知サービスを提供する。この通知サービスは、ユーザが予め指定した位置条件を満たす頻度が高い移動局装置を検出し、検出された移動局装置を特定する情報をユーザに通知するサービスである。
【0011】
上記の位置条件として、例えば、検出対象の移動局装置が、本通知サービスのユーザが携帯する移動局装置との距離が所定範囲内にあることや、検出対象の移動局装置が、ユーザの生活エリア内に位置することを指定してよい。このような位置条件を指定することで、本通知サービスのユーザは、自分にまとわりつくストーカー行為が行われていることを知ることができる。
【0012】
移動体通信ネットワーク2は、例えば、移動体通信サービスを提供する移動体通信事業者のネットワークであり、無線アクセスネットワーク10と、コアネットワーク20を備える。無線アクセスネットワーク10は、少なくとも移動局装置11と基地局装置12とを備える。移動局装置11は、例えば、携帯電話、PHS(Personal Handy-phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータであってよい。
【0013】
コアネットワーク20は、加入者情報記憶装置21と、測位装置22と、測位サービス提供装置23を備える。加入者情報記憶装置21は、移動体通信ネットワーク2を利用するサービスのサービス加入者に個別の情報である加入者情報を記憶する。例えば加入者情報記憶装置21は、移動体通信事業者が準備したデータベースサーバであってよい。
【0014】
測位装置22は、移動局装置11の位置を測定する装置である。また、測位サービス提供装置23は、移動体通信ネットワーク2に対して、移動局装置11の位置測定と位置情報の提供の要求を受け付け、位置情報を提供する装置である。
【0015】
測位装置22の一例として、3GPP(3 Generation Partnership Program)に準拠する通信ネットワークにおける移動交換局(MSC: Mobile Services Switching Center)が挙げられる。また、測位サービス提供装置23の一例として、3GPPに準拠する通信ネットワークにおけるGMLC(Gateway Mobile Location Center)が挙げられる。
【0016】
GMLCは、クライアント端末から位置サービス要求を受け付ける。位置サービス要求を受け付けたとき、GMLCは、対象の移動局装置をカバーする無線アクセスネットワークを管理するMSCへ測位要求を送信する。測位要求を受信したMSCは、無線ネットワーク制御装置(RNC: Radio Network Controller)及び移動局装置と共に移動局装置の位置を測定する。測定結果は、GMLCからクライアント端末へ提供される。
【0017】
また移動局装置がサービス用コネクション確立を要求したとき、MSCは、RNC及び移動局装置と共に移動局装置の位置を測定する。この測定結果である位置情報は、MSCからGMLCへ送信される。GMLCは、このように受信した位置情報をクライアント端末に提供してもよい。
【0018】
なお、3GPPにおけるGMLC及びMSCを用いた上記説明は、あくまでも例示であって、移動体通信ネットワーク2は、移動局装置の位置情報を提供するために様々な構成を採用してよい。
【0019】
移動体通信ネットワーク2、監視装置4及び端末装置5は、通信ネットワーク3に接続される。監視装置4は、通信ネットワーク3を介して、加入者情報記憶装置21に記憶された加入者情報を移動体通信ネットワーク2から受信可能である。また、監視装置4は、通信ネットワーク3を介して、移動局装置11の位置情報を移動体通信ネットワーク2から受信可能である。監視装置4は、加入者情報及び位置情報に基づいて、ユーザが予め設定した位置条件を満足する頻度が高い移動局装置11を検出する。監視装置4は、検出された移動局装置11に関する移動局情報を、このユーザによって指定された端末装置5へ通信ネットワーク3を介して送信する。
【0020】
以下、監視装置4の構成について説明する。図2は、監視装置4のハードウエア構成例を示す図である。監視装置32は、プロセッサ31と、記憶部32と、入力インタフェース33と、グラフィック処理装置34と、通信インタフェース35を備える。プロセッサ31と、記憶部32と、入力インタフェース33と、グラフィック処理装置34と、通信インタフェース35は、データを伝送するバス36によって接続される。監視装置4は、例えば、コンピュータ装置やサーバ装置によって実現可能である。
【0021】
記憶部32には、監視装置4の動作を制御するための各種コンピュータプログラム及びデータが記憶される。記憶部32は、メモリ等の記憶装置やハードディスク等の補助記憶装置を含んでいてよい。プロセッサ31は、公知のデータ処理装置であり、記憶部32に記憶されるプログラムを実行し、監視装置4の動作を制御するための各処理を実行する。
【0022】
入力インタフェース33は、バス36を介して、入力デバイス37から入力される信号をプロセッサ31へ送信する。入力デバイス37は、例えばキーボードやマウスであってよい。グラフィック処理装置34には、表示装置38が接続されている。グラフィック処理装置34は、プロセッサ31からの命令に従って、画像や文字情報を表示装置38の画面上に表示させる。
【0023】
通信インタフェース35は、監視装置4と通信ネットワーク3との間の通信インタフェース処理を実行する。なお、図2に示すハードウエア構成は、あくまで監視装置4のハードウエア構成の一例である。以下に説明する処理を実行するものであれば、様々な種類のハードウエア構成が監視装置4のために採用できる。
【0024】
図3は、監視装置4の構成例を示す図である。図3に示す各構成要素によって実行される処理は、記憶部32に記憶されるプログラムをプロセッサ31が実行することにより実現されるものである。なお同図では、この実施例に関係する機能を中心として示している。監視装置4は、加入者情報受信部41と、位置情報受信部42と、データ処理部43と、データベース44と、設定データ記憶部45と、移動局情報送信部46を備える。データ処理部43は、特許請求の範囲に記載の検出部及び仮名作成部の一例として挙げられる。
【0025】
加入者情報受信部41は、図1に示す加入者情報記憶装置21から、本通知サービスのユーザの加入者情報を受信する。加入者情報受信部41は、受信した加入者情報を、加入者データ50として、データベース44内に格納する。加入者情報記憶装置21から受信されデータベース44内に記憶される加入者データ50は、本通知サービスのユーザの識別子を含んでいてよい。ユーザの識別子は、例えば、移動体通信ネットワーク2にてユーザにより使用される移動局装置の識別子であってよい。移動局装置の識別子は、例えば電話番号であってよい。
【0026】
加入者データ50は、例えば、本通知サービスの利用の有無を識別する情報を含んでいてよい。また、加入者データ50は、ユーザによって指定された端末装置5へ、移動局情報を送信するために使用可能な端末装置5の識別子を含んでいてよい。端末装置5の識別子の識別子は、例えば通信ネットワーク3上における端末装置5のアドレス情報であってよい。
【0027】
加入者データ50は、ユーザが任意に指定する位置条件を含んでいてよい。以下、説明のため、ユーザにより指定された移動局装置を移動局装置11Aと表記する。移動局装置11Aは、例えばユーザが携帯する移動局装置である。一方で移動局装置11A以外の他の移動局装置を移動局装置11Bと表記する。
【0028】
位置条件には複数の種別があってよい。位置条件は、位置条件の種別に関する指定を含んでいてよい。例えば、第1の種別の位置条件は、ユーザにより指定された移動局装置11Aの位置を基準とするある範囲内に移動局装置11Bが存在するとき満足する条件であってよい。すなわち、ユーザにより指定された移動局装置11Aの位置を基準とするある範囲内に移動局装置11Bが存在するとき、移動局装置11Bは第1の種別の位置条件を満足してよい。
【0029】
また、例えば第2の種別の位置条件は、ユーザにより指定された固定エリア内に移動局装置11Bが存在するとき満足する条件であってよい。すなわち、ユーザにより指定された固定エリア内に移動局装置11Bが存在するとき、移動局装置11Bは第2の種別の位置条件を満足してよい。
【0030】
位置条件は、加入者データ50によって指定される位置条件が、第1の種別の位置条件であるか、第2の種別の位置条件であるかを指定する情報を含んでいてよい。加入者データ50は、複数の位置条件を指定してよい。位置条件には、第1の種別の位置条件と第2の種別の位置条件とが混在して含まれていてもよい。
【0031】
第1の種別の位置条件は、ユーザにより指定された移動局装置11Aの指定と、移動局装置11Aの周囲の範囲を画定するための範囲の大きさに関する指定を含んでいてよい。
【0032】
第2の種別の位置条件は、ユーザにより指定された固定位置の指定と、指定された固定位置の周囲の範囲を画定するための範囲の大きさに関する指定を含んでいてよい。また、第2の種別の位置条件は、ユーザにより指定される固定エリアの境界の指定を含んでいてもよい。
【0033】
加入者データ50は、上記の位置条件を満たす移動局装置11の検出対象とする期間に関する条件を含んでいてよい。
【0034】
加入者データ50は、加入者情報記憶装置21においてユーザにより予め登録された第1条件を含んでよい。第1条件は、監視装置4による移動局装置11の検出を禁止する条件である。図4は、第1条件の第1例を示す図である。以下の説明において第1条件を、「ホワイトリスト条件」と表記することがある。
【0035】
ホワイトリスト条件は、例えば、検出の対象から外す移動局装置の指定であってよい。図4に示す例では、電話番号「090−111−AAAA」、「090−2222−BBBB」及び「090−3333−CCCC」をそれぞれ有する移動局装置11は、監視装置4による検出の対象から除外される。ユーザは、例えば知人や家族の移動局装置の電話番号をホワイトリスト条件として指定することにより、知人や家族がストーカーとして誤って検出されることが防止される。また、ストーカーの可能性の低い人物を候補から外すことによって、ストーカーの候補者を絞り込む際の利便性が向上する。
【0036】
図5は、ホワイトリスト条件の第2例を示す図である。ホワイトリスト条件は、例えば、監視装置4による移動局装置11の検出を停止する期間の指定であってよい。図5に示す例では、昼間の時間帯である午前9時から午後12時、及び午後1時から午後6時の間は、監視装置4による移動局装置11の検出が停止される。ホワイトリスト条件は、例えば曜日の指定であってもよい。
【0037】
このように期間をホワイトリスト条件として指定することにより、ストーカー行為をしにくいと考えられる期間に偶発的にユーザの近くに滞在する第三者を、ストーカーの候補から除外することができる。このように偶発的な事象をストーカー行為の候補から除外することより、ストーカーの候補者を絞り込む際の利便性が向上する。
【0038】
加入者データ50は、加入者情報記憶装置21においてユーザにより予め登録された第2条件を含んでよい。第2条件は、上記のホワイトリスト条件による検出禁止を解除する条件である。以下の説明において第2条件を、「ブラックリスト条件」と表記することがある。
【0039】
ブラックリスト条件は、ホワイトリスト条件が成立するか否かに関わらず検出の対象に含める移動局装置の指定であってよい。例えばストーカー候補者が予め分かっているとき、この候補者の移動局装置をブラックリスト条件として指定してよい。このようにブラックリスト条件を定めることにより、例えばホワイトリスト条件にて指定される期間内であっても、ストーカー候補者によるストーカー行為を監視することができる。このためユーザは、特定のストーカー候補者によるストーカー行為を漏れなく網羅した証拠を取得することができる。
【0040】
ブラックリスト条件は、ホワイトリスト条件が成立するか否かに関わらず検出を行う期間の指定であってよい。例えばストーカー行為をし易いと考えられる特定の期間や、又はユーザの近くやその行動エリアに長時間滞在することが不自然と考えられる特定の期間をブラックリスト条件として指定してよい。このようにブラックリスト条件を定めることにより、例えばホワイトリスト条件にて指定される移動局装置のユーザが、ストーカー行為と思われる不審な行動を行っていることを気づくことが可能となる。
【0041】
加入者データ50は、仮名(かめい)変換テーブルを含んでいてよい。図6は、仮名変換テーブルの一例を示す図である。監視装置4により検出された移動局装置11に関する情報をユーザに通知する場合、移動局装置11の識別子や電話番号など、移動局装置11のユーザを直接特定する情報を通知することは、不慮のプライバシーの侵害を生じる恐れがある。このため、監視装置4は検出された移動局情報11をユーザに通知する場合、移動局情報11のそれぞれ対応する仮名をユーザに通知する。
【0042】
例えば、仮名変換テーブルは、識別子欄と、仮名欄とを備える。識別子欄には、移動局装置11の識別子、例えば電話番号が格納される。仮名欄にはこの移動局装置11に対して作成された仮名が格納される。図6の例では、例えば識別子「090−1111−XXXX」の移動局装置11には、仮名「α」が割り当てられている。
【0043】
図3を参照する。位置情報受信部42は、図1に示す測位サービス提供装置23から、移動体通信ネットワーク2にて利用される移動局装置11のそれぞれの位置情報を受信する。位置情報受信部42が受信した位置情報は、データ処理部43により加工された後に位置情報データ51としてデータベース44内に格納される。
【0044】
図7は、位置情報データ51の例を示す図である。位置情報データ51は、例えば日時欄と、識別子欄と、位置情報欄を含んでいてよい。日時欄には、移動局装置11の測位を実行した日時が格納される。識別子欄には、測位対象の移動局装置11の識別子が格納される。
【0045】
位置情報欄には、測位対象の移動局装置11の位置情報が格納される。位置情報欄は、基地局識別子欄と、セル識別子欄と、測位結果欄とを含んでいてよい。基地局識別子欄には、測位が行われた移動局装置11が接続されていた基地局装置12の識別子が格納される。セル識別子欄には、測位が行われた移動局装置11が位置されていたセルの識別子が格納される。測位結果は、移動局装置11の位置の測定結果が格納される。図7の例では、測定結果は北緯及び東経で表されている。
【0046】
図7の例では、識別子「090−1111−XXXX」の加入者Aの移動局装置は、「X年Y月Z日HH時M1分SS秒」において、基地局1のセル1内に位置していたことが示される。またこのとき加入者Aの移動局装置の位置は、北緯「34度AA分1111秒」及び東経「135度AA分1111秒」であったことが示される。
【0047】
図7の例では、識別子「090−2222−YYYY」の加入者Bの移動局装置は、「X年Y月Z日HH時M2分SS秒」において、基地局1のセル1内に位置していたことが示される。またこのとき加入者Bの移動局装置の位置は、北緯「34度BB分2222秒」及び東経「135度BB分2222秒」であったことが示される。
【0048】
図7の例では、識別子「090−3333−ZZZZ」の加入者Cの移動局装置は、「X年Y月Z日HH時M3分SS秒」において、基地局1のセル3内に位置していたことが示される。またこのとき加入者Cの移動局装置の位置は、北緯「34度CC分3333秒」及び東経「135度CC分3333秒」であったことが示される。
【0049】
図3を参照する。データ処理部43は、位置情報データ51に新たに位置情報を格納するタイミングで、位置情報データ51に位置情報が格納されている各移動局装置11のうち、ユーザにより指定された位置条件の判定対象とする移動局装置11を選択する。例えばデータ処理部43は、ユーザにより指定された位置条件を満たす移動局装置11を漏れなく検出するのに足りる範囲内に位置する移動局装置11を選択してよい。
【0050】
第1の種別の位置条件が指定されたとき、データ処理部43は、例えばユーザの移動局装置11と同じ地域内に位置する移動局装置11を選択してよい。第2の種別の位置条件が指定されたとき、データ処理部43は、例えばユーザにより指定された固定エリアと同じ地域に位置する移動局装置11を選択してよい。データ処理部43は、選択された移動局装置11を、データベース44に格納された位置情報蓄積データ52に記憶する。
【0051】
図8は、位置情報蓄積データ52の例を示す図である。図8は、第1の種別の位置条件が判定される際に使用される場合の位置情報蓄積データ52の一例を示している。位置情報蓄積データ52は、日時欄と、識別子1欄と、識別子2欄と、判定結果欄を含む。
【0052】
位置情報蓄積データ52には、位置情報データ51に新たに位置情報を格納するタイミングで新たに移動局装置11が記憶される。位置情報蓄積データ52の日時欄には、位置情報蓄積データ52に新たにデータを追加する契機となった位置情報の測定日時が格納される。
【0053】
識別子1欄には、ユーザの移動局装置11の識別子が格納される。図8に示す例では、本通知サービスのユーザである加入者Aの移動局装置11の識別子「090−1111−XXXX」が識別子欄1に格納される。識別子2欄には、位置条件の判定対象とする移動局装置11の識別子が格納される。判定結果欄は、位置条件の判定結果を格納するために用意される。
【0054】
図3を参照する。データ処理部43は、所定の出会い頻度判定間隔の周期で、位置情報蓄積データ52に格納された各移動局装置11が、ユーザにより指定された位置条件を満たすか否かを判定する。データ処理部43は、位置情報蓄積データ52のレコード(行)のうち、まだ判定結果欄に位置条件の判定結果が格納されていないものについて、日時欄に格納された時期に識別子2欄に格納された移動局装置11が位置条件を満たすか否かを判定する。出会い頻度判定間隔は設定データ記憶部45に記憶されていてよい。
【0055】
データ処理部43は、装置11の位置を、位置情報データ51から読み出してよい。各移動局装置11の位置を位置情報データ51から読み出すとき、データ処理部43は、判定対象の位置情報蓄積データ52のレコードの日時欄に格納された時期に直近の時期の位置情報を、位置情報データ51から読み出してよい。データ処理部43は、判定結果を位置情報蓄積データ52の判定結果欄に格納する。
【0056】
図8に示す例では、位置条件として、識別子1欄の移動局装置11の位置を基準とする範囲内に識別子2欄の各移動局装置11が位置するときに満足する条件が使用される場合の判定結果欄の例を示す。位置条件が満たされるときフラグ「近い」が判定結果欄に格納され、位置条件が満たされないときフラグ「遠い」が判定結果欄に格納される。複数の位置条件が指定されるとき、データ処理部43は、複数の位置条件の論理和の演算結果に応じて位置条件全体が満たされるか否かを判定してよい。
【0057】
データ処理部43は、位置条件の判定結果に基づき各移動局装置11について、出会い頻度を算出する。出会い頻度は、位置条件を満たすと判定された頻度を示す。データ処理部43は、位置条件の判定回数に対する位置条件を満たした回数の割合を出会い頻度として算出してよい。
【0058】
データ処理部43は、所定の閾値以上の出会い頻度を有する各移動局装置11を検出する。この閾値は、ユーザによって指定されて加入者データ50に含まれていてよい。データ処理部43は、検出された移動局装置に対して仮名を作成し、作成された仮名を仮名テーブルに格納する。
【0059】
データ処理部43は、位置情報蓄積データ52の各レコードについて位置条件が満たされるか否か判定するとき、このレコードに格納されるデータがホワイトリスト条件を満足するか否かを判定してよい。例えばデータ処理部43は、識別子2欄に記憶された識別子が、ホワイトリスト条件として記憶されているか否かを判定してよい。また、例えばデータ処理部43は、日時欄に記憶された時間が、ホワイトリスト条件として記憶された期間に含まれるか否かを判定してよい。
【0060】
データ処理部43は、ホワイトリスト条件が満たされるとき、このレコードを位置条件の判定対象から除いてもよい。これに代えて、データ処理部43は、ホワイトリスト条件を満たすレコードを、出会い頻度の算出根拠から除いてもよい。
【0061】
データ処理部43は、位置情報蓄積データ52の各レコードについて位置条件が満たされるか否か判定するとき、このレコードに格納されるデータがブラックリスト条件を満足するか否かを判定してよい。データ処理部43は、ブラックリスト条件を満足するレコードがホワイトリスト条件を満たしていても、このレコードを位置条件の判定対象に加えてよい。データ処理部43は、ブラックリスト条件を満たすレコードがホワイトリスト条件を満たしていても、このレコードを出会い頻度の算出根拠に加えてよい。
【0062】
移動局情報送信部46は、検出された移動局装置11の仮名と出会い頻度を含んだ移動局情報を、ユーザによって指定された端末装置5へ送信する。移動局情報の形式は、ユーザによって指定されてよい。例えば、位置条件を満足する移動局装置11の検出対象とする期間が、加入者データ50において指定されているとき、データ処理部43は、指定された期間内における出会い頻度を算出する。移動局情報送信部46は、指定された期間の表示とこの期間内における出会い頻度の順位を含んだ移動局情報を作成する。
【0063】
図9は、移動局情報の第1例を示す図である。図9に示す移動局情報の例は、「X月Y日」において測定された出会い頻度の順位を示しており、第1位〜第4位の移動局装置11の仮名がそれぞれ「β」、「γ」、「δ」及び「ε」であることを示している。「β」、「γ」、「δ」及び「ε」の出会い頻度は、それぞれ「45%」、「15%」、「0.2%」及び「0.1%」である。
【0064】
図10は、移動局情報の第2例を示す図である。図10に示す移動局情報の例は、測定対象期間中の時間帯21:00〜22:00において測定された出会い頻度の順位を示している。第1位〜第4位の移動局装置11の仮名は、それぞれ「β」、「γ」、「δ」及び「ε」であり、「β」、「γ」、「δ」及び「ε」の出会い頻度は、それぞれ「66%」、「33%」、「3%」及び「1%」である。
【0065】
以下、監視装置4の処理について説明する。図11は、監視装置4による処理の説明図である。なお、他の実施態様においては、下記のオペレーションAA〜ADの各オペレーションはステップであってもよい。
【0066】
オペレーションAAにおいて加入者情報受信部41は、加入者情報取得処理を行う。オペレーションABにおいて位置情報受信部42は、位置情報取得処理を行う。オペレーションACにおいてデータ処理部43は、移動局検出処理ACを行う。オペレーションADにおいて移動局情報送信部46は、移動局情報送信処理ADを行う。各処理AA〜ADの詳細を以下に説明する。
【0067】
図12は、図11に示す加入者情報取得処理AAの説明図である。なお、他の実施態様においては、下記のオペレーションBA〜BBの各オペレーションはステップであってもよい。オペレーションBAにおいて移動体通信ネットワーク2の加入者情報記憶装置21は、加入者情報を加入者情報受信部41へ送信する。加入者情報を受信すると、オペレーションBBにおいて加入者情報受信部41は、受信した加入者情報を、加入者データ50としてデータベース44内に格納する。
【0068】
図13は、図11に示す位置情報取得処理ABの第1例の説明図である。なお、他の実施態様においては、下記のオペレーションCA〜CGの各オペレーションはステップであってもよい。オペレーションCAにおいて、データ処理部43は、位置情報データ51の収集周期を定める所定の位置データ収集周期ごとに、位置情報データ51に格納された各移動局装置11の位置情報の更新有無を判定する。位置データ収集周期は、設定データ記憶部45に記憶されていてよい。
【0069】
オペレーションCBにおいて、データ処理部43は、位置データ収集周期に位置の更新が無かった移動局装置11の位置情報の取得を、位置情報受信部42へ要求する。オペレーションCCにおいてデータ処理部43は、移動局装置11の位置情報の送信を要求する位置情報サービス要求信号を、移動体通信ネットワーク2の測位サービス提供装置23に送信する。
【0070】
オペレーションCDにおいて測位サービス提供装置23は、位置情報サービス要求信号に対する応答信号を監視装置4に送信する。応答信号は位置情報受信部42にて受信される。
【0071】
オペレーションCEにおいて位置情報受信部42は、応答信号に含まれている移動局装置11の位置情報をデータ処理部43へ送信する。オペレーションCFにおいてデータ処理部43は、位置情報を位置情報データ51としてデータベース44内に格納する。オペレーションCGにおいてデータ処理部43は、位置条件の判定対象とする移動局装置11を選択し、選択された移動局装置11に関するレコードを位置情報蓄積データ52に追加する。
【0072】
図14は、図11に示す位置情報取得処理ABの第2例の説明図である。なお、他の実施態様においては、下記のオペレーションDA〜DDの各オペレーションはステップであってもよい。オペレーションDAにおいて測位サービス提供装置23は、位置情報を監視装置4に送信する。例えば、移動局装置11からのサービス用コネクション確立の要求を契機として移動局装置11の測位が行われたとき、測位サービス提供装置23は、このときの測位結果を示す位置情報を監視装置4に送信してよい。
【0073】
オペレーションDBにおいて位置情報受信部42は、受信した移動局装置11の位置情報をデータ処理部43へ送信する。オペレーションDCにおいてデータ処理部43は、位置情報を位置情報データ51としてデータベース44内に格納する。オペレーションDDにおいてデータ処理部43は、位置条件の判定対象とする移動局装置11を選択し、選択された移動局装置11に関するレコードを位置情報蓄積データ52に追加する。
【0074】
図15は、図11に示す移動局検出処理ACの説明図である。なお、他の実施態様においては、下記のオペレーションEA〜EBの各オペレーションはステップであってもよい。オペレーションEAにおいてデータ処理部43は、位置情報蓄積データ52に記憶されている移動局装置11について出会い頻度を算出する。オペレーションEBにおいてデータ処理部43は、所定の閾値以上の出会い頻度を有する各移動局装置11を検出し、検出された移動局装置に対して仮名を作成し、作成された仮名を仮名テーブルに格納する。
【0075】
図16は、図11に示す移動局情報送信処理ADの説明図である。なお、他の実施態様においては、下記のオペレーションFA〜FCの各オペレーションはステップであってもよい。オペレーションFAにおいてデータ処理部43は、移動局装置11の仮名と出会い頻度を含んだ移動局情報を端末装置5へ送信するように、移動局情報送信部46へ要求する。オペレーションFBにおいて移動局情報送信部46は、ユーザによって指定された形式の移動局情報を作成する。オペレーションFBにおいて移動局情報送信部46は、移動局情報を端末装置5へ送信する。
【0076】
本実施例によれば、本通知サービスのユーザは、監視装置4から受信した移動局情報を参照することにより、ユーザが指定した位置条件を満たす頻度が高い移動端末の存在を認識することが可能となる。例えば、ユーザの移動局装置11から所定の距離内に位置することを位置条件として指定し、及び/又はユーザの自宅付近の所定の範囲内に位置することを位置条件として指定することにより、ユーザはストーカー行為の可能性を認識することができる。またユーザは、通知サービスの提供者に対してストーカーの疑いがある加入者の資料の提出を警察に要求することで、ストーカーの疑いがある容疑者を特定することができる。
【0077】
また本実施例によれば、ユーザは、監視装置4から受信した移動局情報を、ストーカー行為の証拠として用いることができる。このように、本実施例のシステムはストーカー犯罪捜査を補助することが可能である。また本実施例によれば、ユーザに対しては仮名データを送信することで、不慮のプライバシー侵害を防止することができる。
【0078】
以上の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0079】
(付記1)
ユーザにより予め登録される位置条件を記憶する位置条件記憶部と、
移動局装置の位置情報を移動体通信ネットワークから受信する位置情報受信部と、
前記位置条件を満たす頻度が所定の基準よりも高い移動局装置を検出する検出部と、
前記検出部により検出された移動局装置を特定する情報を、前記ユーザに予め指定される受信装置へ送信する移動局情報送信部と、
を備える監視装置。
【0080】
(付記2)
ユーザにより予め登録される第1条件を記憶する第1条件記憶部を備え、
前記第1条件は、前記検出部による移動局装置の検出を禁止する条件である付記1に記載の監視装置。
【0081】
(付記3)
ユーザにより予め登録される第2条件を記憶する第2条件記憶部を備え、
前記第2条件は、前記第1条件による移動局装置の検出禁止を解除する条件である付記2に記載の監視装置。
【0082】
(付記4)
前記移動局装置に対応する仮名を作成する仮名作成部を備え、
移動局情報送信部は、前記移動局装置を特定する情報として前記仮名を送信する付記1〜3のいずれか一項に記載の監視装置。
【0083】
(付記5)
前記位置条件は、前記ユーザの移動局装置の位置との距離が所定閾値より短いとき満足される、付記1〜4のいずれか一項に記載の監視装置。
【0084】
(付記6)
前記位置条件は、所定の固定エリア内に位置するとき満足される、付記1〜4のいずれか一項に記載の監視装置。
【0085】
(付記7)
ユーザにより予め登録される位置条件を所定の記憶部に格納する手順と、
移動局装置の位置情報を移動体通信ネットワークから受信する手順と、
前記位置条件を満たす頻度が所定の基準よりも高い移動局装置を検出する手順と、
検出された前記移動局装置を特定する情報を、前記ユーザに予め指定される受信装置へ送信する手順と、
をコンピュータが実行する監視方法。
【0086】
(付記8)
ユーザにより予め登録される位置条件を所定の記憶部に格納する手順と、
移動局装置の位置情報を移動体通信ネットワークから受信する手順と、
前記位置条件を満たす頻度が所定の基準よりも高い移動局装置を検出する手順と、
検出された前記移動局装置を特定する情報を、前記ユーザに予め指定される受信装置へ送信する手順と、
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0087】
1 通信システム
2 移動体通信ネットワーク
4 監視装置
5 端末装置
41 加入者情報受信部
42 位置情報受信部
43 データ処理部
46 移動局情報送信部
【技術分野】
【0001】
本明細書で論じられる実施態様は、移動体通信ネットワークにおける移動局装置の監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ストーカー被害の被害者が増加している。このため、ストーカー行為を行う者の監視のために移動体通信システムを使用することが提案されている。
【0003】
被害者が所有する第1携帯電話と、ストーカー犯罪者が所有する第2携帯電話と、第2携帯電話の位置を監視する監視サーバと、から成る監視システムが提案されている。この監視サーバは、第2携帯電話が発信した電波から、第2携帯電話の位置情報である第2位置情報を取得して、予め設定された固定位置を中心とした所定距離内のエリア内に、第2携帯電話が存在するか否かを判定する。第2携帯電話が存在すると判定した場合、第2位置情報を第1携帯電話に送信する。第1携帯電話は、監視サーバから送信された第2位置情報を受信して、第2携帯電話の現在位置を表示する。
【0004】
また、複数の監視対象者の監視端末と、監視端末の位置情報を管理する情報管理装置とを備える通信制御システムが提案されている。監視端末が、地理的位置情報を取得する位置情報取得部と、相互にグループ化することが許可された監視対象者の監視端末どうしでグループを設定するグループ設定部と、取得した位置情報とグループの設定情報とを、センタへ送信する送信部とを備える。情報管理装置が、位置情報とグループの設定情報を受信する受信部と、監視対象者の属性情報と、監視対象者の監視レベルの判定条件とを記憶した記憶部と、設定されたグループ内の監視端末ごとに受信した位置情報から、監視端末相互間の距離を算出する相互距離確認部と、算出された距離と、監視対象者の属性情報と、判定条件とから、監視対象者の現在の監視レベルを判定する監視レベル判定部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−282888号公報
【特許文献2】特開2008−70981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ストーカー被害を大きくする要因として、被害が大きくなるまで被害者がストーカー行為に気づかず、被害者の防犯対策が不十分となる点が挙げられる。実施態様に係る装置及び方法は、被害者がストーカー行為に気づいていなくても、ストーカー行為の存在を被害者に通知できるサービスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態による監視装置は、ユーザにより予め登録される位置条件を記憶する位置条件記憶部と、移動局装置の位置情報を移動体通信ネットワークから受信する位置情報受信部と、位置条件を満たす頻度が所定の基準よりも高い移動局装置を検出する検出部と、検出部により検出された移動局装置を特定する情報を、ユーザに予め指定される受信装置へ送信する移動局情報送信部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本件開示の装置又は方法によれば、被害者がストーカー行為に気づいていなくても、ストーカー行為の存在を検出し、被害者に通知できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】通信システムの構成例を示す図である。
【図2】監視装置のハードウエア構成例を示す図である。
【図3】監視装置の構成例を示す図である。
【図4】第1条件の第1例を示す図である。
【図5】第1条件の第2例を示す図である。
【図6】仮名変換テーブルの一例を示す図である。
【図7】位置情報データの例を示す図である。
【図8】位置情報蓄積データの例を示す図である。
【図9】ユーザに通知される移動局情報の第1例を示す図である。
【図10】ユーザに通知される移動局情報の第2例を示す図である。
【図11】監視装置による処理の説明図である。
【図12】加入者情報取得処理の説明図である。
【図13】位置情報取得処理の第1例の説明図である。
【図14】位置情報取得処理の第2例の説明図である。
【図15】移動局検出処理の説明図である。
【図16】移動局情報送信処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付する図面を参照して本発明の実施例について説明する。図1は、通信システムの構成例を示す図である。通信システム1は、移動体通信ネットワーク2と、通信ネットワーク3と、監視装置4と、端末装置5を備える。通信システム1は、本システムのユーザに対して以下に説明する通知サービスを提供する。この通知サービスは、ユーザが予め指定した位置条件を満たす頻度が高い移動局装置を検出し、検出された移動局装置を特定する情報をユーザに通知するサービスである。
【0011】
上記の位置条件として、例えば、検出対象の移動局装置が、本通知サービスのユーザが携帯する移動局装置との距離が所定範囲内にあることや、検出対象の移動局装置が、ユーザの生活エリア内に位置することを指定してよい。このような位置条件を指定することで、本通知サービスのユーザは、自分にまとわりつくストーカー行為が行われていることを知ることができる。
【0012】
移動体通信ネットワーク2は、例えば、移動体通信サービスを提供する移動体通信事業者のネットワークであり、無線アクセスネットワーク10と、コアネットワーク20を備える。無線アクセスネットワーク10は、少なくとも移動局装置11と基地局装置12とを備える。移動局装置11は、例えば、携帯電話、PHS(Personal Handy-phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータであってよい。
【0013】
コアネットワーク20は、加入者情報記憶装置21と、測位装置22と、測位サービス提供装置23を備える。加入者情報記憶装置21は、移動体通信ネットワーク2を利用するサービスのサービス加入者に個別の情報である加入者情報を記憶する。例えば加入者情報記憶装置21は、移動体通信事業者が準備したデータベースサーバであってよい。
【0014】
測位装置22は、移動局装置11の位置を測定する装置である。また、測位サービス提供装置23は、移動体通信ネットワーク2に対して、移動局装置11の位置測定と位置情報の提供の要求を受け付け、位置情報を提供する装置である。
【0015】
測位装置22の一例として、3GPP(3 Generation Partnership Program)に準拠する通信ネットワークにおける移動交換局(MSC: Mobile Services Switching Center)が挙げられる。また、測位サービス提供装置23の一例として、3GPPに準拠する通信ネットワークにおけるGMLC(Gateway Mobile Location Center)が挙げられる。
【0016】
GMLCは、クライアント端末から位置サービス要求を受け付ける。位置サービス要求を受け付けたとき、GMLCは、対象の移動局装置をカバーする無線アクセスネットワークを管理するMSCへ測位要求を送信する。測位要求を受信したMSCは、無線ネットワーク制御装置(RNC: Radio Network Controller)及び移動局装置と共に移動局装置の位置を測定する。測定結果は、GMLCからクライアント端末へ提供される。
【0017】
また移動局装置がサービス用コネクション確立を要求したとき、MSCは、RNC及び移動局装置と共に移動局装置の位置を測定する。この測定結果である位置情報は、MSCからGMLCへ送信される。GMLCは、このように受信した位置情報をクライアント端末に提供してもよい。
【0018】
なお、3GPPにおけるGMLC及びMSCを用いた上記説明は、あくまでも例示であって、移動体通信ネットワーク2は、移動局装置の位置情報を提供するために様々な構成を採用してよい。
【0019】
移動体通信ネットワーク2、監視装置4及び端末装置5は、通信ネットワーク3に接続される。監視装置4は、通信ネットワーク3を介して、加入者情報記憶装置21に記憶された加入者情報を移動体通信ネットワーク2から受信可能である。また、監視装置4は、通信ネットワーク3を介して、移動局装置11の位置情報を移動体通信ネットワーク2から受信可能である。監視装置4は、加入者情報及び位置情報に基づいて、ユーザが予め設定した位置条件を満足する頻度が高い移動局装置11を検出する。監視装置4は、検出された移動局装置11に関する移動局情報を、このユーザによって指定された端末装置5へ通信ネットワーク3を介して送信する。
【0020】
以下、監視装置4の構成について説明する。図2は、監視装置4のハードウエア構成例を示す図である。監視装置32は、プロセッサ31と、記憶部32と、入力インタフェース33と、グラフィック処理装置34と、通信インタフェース35を備える。プロセッサ31と、記憶部32と、入力インタフェース33と、グラフィック処理装置34と、通信インタフェース35は、データを伝送するバス36によって接続される。監視装置4は、例えば、コンピュータ装置やサーバ装置によって実現可能である。
【0021】
記憶部32には、監視装置4の動作を制御するための各種コンピュータプログラム及びデータが記憶される。記憶部32は、メモリ等の記憶装置やハードディスク等の補助記憶装置を含んでいてよい。プロセッサ31は、公知のデータ処理装置であり、記憶部32に記憶されるプログラムを実行し、監視装置4の動作を制御するための各処理を実行する。
【0022】
入力インタフェース33は、バス36を介して、入力デバイス37から入力される信号をプロセッサ31へ送信する。入力デバイス37は、例えばキーボードやマウスであってよい。グラフィック処理装置34には、表示装置38が接続されている。グラフィック処理装置34は、プロセッサ31からの命令に従って、画像や文字情報を表示装置38の画面上に表示させる。
【0023】
通信インタフェース35は、監視装置4と通信ネットワーク3との間の通信インタフェース処理を実行する。なお、図2に示すハードウエア構成は、あくまで監視装置4のハードウエア構成の一例である。以下に説明する処理を実行するものであれば、様々な種類のハードウエア構成が監視装置4のために採用できる。
【0024】
図3は、監視装置4の構成例を示す図である。図3に示す各構成要素によって実行される処理は、記憶部32に記憶されるプログラムをプロセッサ31が実行することにより実現されるものである。なお同図では、この実施例に関係する機能を中心として示している。監視装置4は、加入者情報受信部41と、位置情報受信部42と、データ処理部43と、データベース44と、設定データ記憶部45と、移動局情報送信部46を備える。データ処理部43は、特許請求の範囲に記載の検出部及び仮名作成部の一例として挙げられる。
【0025】
加入者情報受信部41は、図1に示す加入者情報記憶装置21から、本通知サービスのユーザの加入者情報を受信する。加入者情報受信部41は、受信した加入者情報を、加入者データ50として、データベース44内に格納する。加入者情報記憶装置21から受信されデータベース44内に記憶される加入者データ50は、本通知サービスのユーザの識別子を含んでいてよい。ユーザの識別子は、例えば、移動体通信ネットワーク2にてユーザにより使用される移動局装置の識別子であってよい。移動局装置の識別子は、例えば電話番号であってよい。
【0026】
加入者データ50は、例えば、本通知サービスの利用の有無を識別する情報を含んでいてよい。また、加入者データ50は、ユーザによって指定された端末装置5へ、移動局情報を送信するために使用可能な端末装置5の識別子を含んでいてよい。端末装置5の識別子の識別子は、例えば通信ネットワーク3上における端末装置5のアドレス情報であってよい。
【0027】
加入者データ50は、ユーザが任意に指定する位置条件を含んでいてよい。以下、説明のため、ユーザにより指定された移動局装置を移動局装置11Aと表記する。移動局装置11Aは、例えばユーザが携帯する移動局装置である。一方で移動局装置11A以外の他の移動局装置を移動局装置11Bと表記する。
【0028】
位置条件には複数の種別があってよい。位置条件は、位置条件の種別に関する指定を含んでいてよい。例えば、第1の種別の位置条件は、ユーザにより指定された移動局装置11Aの位置を基準とするある範囲内に移動局装置11Bが存在するとき満足する条件であってよい。すなわち、ユーザにより指定された移動局装置11Aの位置を基準とするある範囲内に移動局装置11Bが存在するとき、移動局装置11Bは第1の種別の位置条件を満足してよい。
【0029】
また、例えば第2の種別の位置条件は、ユーザにより指定された固定エリア内に移動局装置11Bが存在するとき満足する条件であってよい。すなわち、ユーザにより指定された固定エリア内に移動局装置11Bが存在するとき、移動局装置11Bは第2の種別の位置条件を満足してよい。
【0030】
位置条件は、加入者データ50によって指定される位置条件が、第1の種別の位置条件であるか、第2の種別の位置条件であるかを指定する情報を含んでいてよい。加入者データ50は、複数の位置条件を指定してよい。位置条件には、第1の種別の位置条件と第2の種別の位置条件とが混在して含まれていてもよい。
【0031】
第1の種別の位置条件は、ユーザにより指定された移動局装置11Aの指定と、移動局装置11Aの周囲の範囲を画定するための範囲の大きさに関する指定を含んでいてよい。
【0032】
第2の種別の位置条件は、ユーザにより指定された固定位置の指定と、指定された固定位置の周囲の範囲を画定するための範囲の大きさに関する指定を含んでいてよい。また、第2の種別の位置条件は、ユーザにより指定される固定エリアの境界の指定を含んでいてもよい。
【0033】
加入者データ50は、上記の位置条件を満たす移動局装置11の検出対象とする期間に関する条件を含んでいてよい。
【0034】
加入者データ50は、加入者情報記憶装置21においてユーザにより予め登録された第1条件を含んでよい。第1条件は、監視装置4による移動局装置11の検出を禁止する条件である。図4は、第1条件の第1例を示す図である。以下の説明において第1条件を、「ホワイトリスト条件」と表記することがある。
【0035】
ホワイトリスト条件は、例えば、検出の対象から外す移動局装置の指定であってよい。図4に示す例では、電話番号「090−111−AAAA」、「090−2222−BBBB」及び「090−3333−CCCC」をそれぞれ有する移動局装置11は、監視装置4による検出の対象から除外される。ユーザは、例えば知人や家族の移動局装置の電話番号をホワイトリスト条件として指定することにより、知人や家族がストーカーとして誤って検出されることが防止される。また、ストーカーの可能性の低い人物を候補から外すことによって、ストーカーの候補者を絞り込む際の利便性が向上する。
【0036】
図5は、ホワイトリスト条件の第2例を示す図である。ホワイトリスト条件は、例えば、監視装置4による移動局装置11の検出を停止する期間の指定であってよい。図5に示す例では、昼間の時間帯である午前9時から午後12時、及び午後1時から午後6時の間は、監視装置4による移動局装置11の検出が停止される。ホワイトリスト条件は、例えば曜日の指定であってもよい。
【0037】
このように期間をホワイトリスト条件として指定することにより、ストーカー行為をしにくいと考えられる期間に偶発的にユーザの近くに滞在する第三者を、ストーカーの候補から除外することができる。このように偶発的な事象をストーカー行為の候補から除外することより、ストーカーの候補者を絞り込む際の利便性が向上する。
【0038】
加入者データ50は、加入者情報記憶装置21においてユーザにより予め登録された第2条件を含んでよい。第2条件は、上記のホワイトリスト条件による検出禁止を解除する条件である。以下の説明において第2条件を、「ブラックリスト条件」と表記することがある。
【0039】
ブラックリスト条件は、ホワイトリスト条件が成立するか否かに関わらず検出の対象に含める移動局装置の指定であってよい。例えばストーカー候補者が予め分かっているとき、この候補者の移動局装置をブラックリスト条件として指定してよい。このようにブラックリスト条件を定めることにより、例えばホワイトリスト条件にて指定される期間内であっても、ストーカー候補者によるストーカー行為を監視することができる。このためユーザは、特定のストーカー候補者によるストーカー行為を漏れなく網羅した証拠を取得することができる。
【0040】
ブラックリスト条件は、ホワイトリスト条件が成立するか否かに関わらず検出を行う期間の指定であってよい。例えばストーカー行為をし易いと考えられる特定の期間や、又はユーザの近くやその行動エリアに長時間滞在することが不自然と考えられる特定の期間をブラックリスト条件として指定してよい。このようにブラックリスト条件を定めることにより、例えばホワイトリスト条件にて指定される移動局装置のユーザが、ストーカー行為と思われる不審な行動を行っていることを気づくことが可能となる。
【0041】
加入者データ50は、仮名(かめい)変換テーブルを含んでいてよい。図6は、仮名変換テーブルの一例を示す図である。監視装置4により検出された移動局装置11に関する情報をユーザに通知する場合、移動局装置11の識別子や電話番号など、移動局装置11のユーザを直接特定する情報を通知することは、不慮のプライバシーの侵害を生じる恐れがある。このため、監視装置4は検出された移動局情報11をユーザに通知する場合、移動局情報11のそれぞれ対応する仮名をユーザに通知する。
【0042】
例えば、仮名変換テーブルは、識別子欄と、仮名欄とを備える。識別子欄には、移動局装置11の識別子、例えば電話番号が格納される。仮名欄にはこの移動局装置11に対して作成された仮名が格納される。図6の例では、例えば識別子「090−1111−XXXX」の移動局装置11には、仮名「α」が割り当てられている。
【0043】
図3を参照する。位置情報受信部42は、図1に示す測位サービス提供装置23から、移動体通信ネットワーク2にて利用される移動局装置11のそれぞれの位置情報を受信する。位置情報受信部42が受信した位置情報は、データ処理部43により加工された後に位置情報データ51としてデータベース44内に格納される。
【0044】
図7は、位置情報データ51の例を示す図である。位置情報データ51は、例えば日時欄と、識別子欄と、位置情報欄を含んでいてよい。日時欄には、移動局装置11の測位を実行した日時が格納される。識別子欄には、測位対象の移動局装置11の識別子が格納される。
【0045】
位置情報欄には、測位対象の移動局装置11の位置情報が格納される。位置情報欄は、基地局識別子欄と、セル識別子欄と、測位結果欄とを含んでいてよい。基地局識別子欄には、測位が行われた移動局装置11が接続されていた基地局装置12の識別子が格納される。セル識別子欄には、測位が行われた移動局装置11が位置されていたセルの識別子が格納される。測位結果は、移動局装置11の位置の測定結果が格納される。図7の例では、測定結果は北緯及び東経で表されている。
【0046】
図7の例では、識別子「090−1111−XXXX」の加入者Aの移動局装置は、「X年Y月Z日HH時M1分SS秒」において、基地局1のセル1内に位置していたことが示される。またこのとき加入者Aの移動局装置の位置は、北緯「34度AA分1111秒」及び東経「135度AA分1111秒」であったことが示される。
【0047】
図7の例では、識別子「090−2222−YYYY」の加入者Bの移動局装置は、「X年Y月Z日HH時M2分SS秒」において、基地局1のセル1内に位置していたことが示される。またこのとき加入者Bの移動局装置の位置は、北緯「34度BB分2222秒」及び東経「135度BB分2222秒」であったことが示される。
【0048】
図7の例では、識別子「090−3333−ZZZZ」の加入者Cの移動局装置は、「X年Y月Z日HH時M3分SS秒」において、基地局1のセル3内に位置していたことが示される。またこのとき加入者Cの移動局装置の位置は、北緯「34度CC分3333秒」及び東経「135度CC分3333秒」であったことが示される。
【0049】
図3を参照する。データ処理部43は、位置情報データ51に新たに位置情報を格納するタイミングで、位置情報データ51に位置情報が格納されている各移動局装置11のうち、ユーザにより指定された位置条件の判定対象とする移動局装置11を選択する。例えばデータ処理部43は、ユーザにより指定された位置条件を満たす移動局装置11を漏れなく検出するのに足りる範囲内に位置する移動局装置11を選択してよい。
【0050】
第1の種別の位置条件が指定されたとき、データ処理部43は、例えばユーザの移動局装置11と同じ地域内に位置する移動局装置11を選択してよい。第2の種別の位置条件が指定されたとき、データ処理部43は、例えばユーザにより指定された固定エリアと同じ地域に位置する移動局装置11を選択してよい。データ処理部43は、選択された移動局装置11を、データベース44に格納された位置情報蓄積データ52に記憶する。
【0051】
図8は、位置情報蓄積データ52の例を示す図である。図8は、第1の種別の位置条件が判定される際に使用される場合の位置情報蓄積データ52の一例を示している。位置情報蓄積データ52は、日時欄と、識別子1欄と、識別子2欄と、判定結果欄を含む。
【0052】
位置情報蓄積データ52には、位置情報データ51に新たに位置情報を格納するタイミングで新たに移動局装置11が記憶される。位置情報蓄積データ52の日時欄には、位置情報蓄積データ52に新たにデータを追加する契機となった位置情報の測定日時が格納される。
【0053】
識別子1欄には、ユーザの移動局装置11の識別子が格納される。図8に示す例では、本通知サービスのユーザである加入者Aの移動局装置11の識別子「090−1111−XXXX」が識別子欄1に格納される。識別子2欄には、位置条件の判定対象とする移動局装置11の識別子が格納される。判定結果欄は、位置条件の判定結果を格納するために用意される。
【0054】
図3を参照する。データ処理部43は、所定の出会い頻度判定間隔の周期で、位置情報蓄積データ52に格納された各移動局装置11が、ユーザにより指定された位置条件を満たすか否かを判定する。データ処理部43は、位置情報蓄積データ52のレコード(行)のうち、まだ判定結果欄に位置条件の判定結果が格納されていないものについて、日時欄に格納された時期に識別子2欄に格納された移動局装置11が位置条件を満たすか否かを判定する。出会い頻度判定間隔は設定データ記憶部45に記憶されていてよい。
【0055】
データ処理部43は、装置11の位置を、位置情報データ51から読み出してよい。各移動局装置11の位置を位置情報データ51から読み出すとき、データ処理部43は、判定対象の位置情報蓄積データ52のレコードの日時欄に格納された時期に直近の時期の位置情報を、位置情報データ51から読み出してよい。データ処理部43は、判定結果を位置情報蓄積データ52の判定結果欄に格納する。
【0056】
図8に示す例では、位置条件として、識別子1欄の移動局装置11の位置を基準とする範囲内に識別子2欄の各移動局装置11が位置するときに満足する条件が使用される場合の判定結果欄の例を示す。位置条件が満たされるときフラグ「近い」が判定結果欄に格納され、位置条件が満たされないときフラグ「遠い」が判定結果欄に格納される。複数の位置条件が指定されるとき、データ処理部43は、複数の位置条件の論理和の演算結果に応じて位置条件全体が満たされるか否かを判定してよい。
【0057】
データ処理部43は、位置条件の判定結果に基づき各移動局装置11について、出会い頻度を算出する。出会い頻度は、位置条件を満たすと判定された頻度を示す。データ処理部43は、位置条件の判定回数に対する位置条件を満たした回数の割合を出会い頻度として算出してよい。
【0058】
データ処理部43は、所定の閾値以上の出会い頻度を有する各移動局装置11を検出する。この閾値は、ユーザによって指定されて加入者データ50に含まれていてよい。データ処理部43は、検出された移動局装置に対して仮名を作成し、作成された仮名を仮名テーブルに格納する。
【0059】
データ処理部43は、位置情報蓄積データ52の各レコードについて位置条件が満たされるか否か判定するとき、このレコードに格納されるデータがホワイトリスト条件を満足するか否かを判定してよい。例えばデータ処理部43は、識別子2欄に記憶された識別子が、ホワイトリスト条件として記憶されているか否かを判定してよい。また、例えばデータ処理部43は、日時欄に記憶された時間が、ホワイトリスト条件として記憶された期間に含まれるか否かを判定してよい。
【0060】
データ処理部43は、ホワイトリスト条件が満たされるとき、このレコードを位置条件の判定対象から除いてもよい。これに代えて、データ処理部43は、ホワイトリスト条件を満たすレコードを、出会い頻度の算出根拠から除いてもよい。
【0061】
データ処理部43は、位置情報蓄積データ52の各レコードについて位置条件が満たされるか否か判定するとき、このレコードに格納されるデータがブラックリスト条件を満足するか否かを判定してよい。データ処理部43は、ブラックリスト条件を満足するレコードがホワイトリスト条件を満たしていても、このレコードを位置条件の判定対象に加えてよい。データ処理部43は、ブラックリスト条件を満たすレコードがホワイトリスト条件を満たしていても、このレコードを出会い頻度の算出根拠に加えてよい。
【0062】
移動局情報送信部46は、検出された移動局装置11の仮名と出会い頻度を含んだ移動局情報を、ユーザによって指定された端末装置5へ送信する。移動局情報の形式は、ユーザによって指定されてよい。例えば、位置条件を満足する移動局装置11の検出対象とする期間が、加入者データ50において指定されているとき、データ処理部43は、指定された期間内における出会い頻度を算出する。移動局情報送信部46は、指定された期間の表示とこの期間内における出会い頻度の順位を含んだ移動局情報を作成する。
【0063】
図9は、移動局情報の第1例を示す図である。図9に示す移動局情報の例は、「X月Y日」において測定された出会い頻度の順位を示しており、第1位〜第4位の移動局装置11の仮名がそれぞれ「β」、「γ」、「δ」及び「ε」であることを示している。「β」、「γ」、「δ」及び「ε」の出会い頻度は、それぞれ「45%」、「15%」、「0.2%」及び「0.1%」である。
【0064】
図10は、移動局情報の第2例を示す図である。図10に示す移動局情報の例は、測定対象期間中の時間帯21:00〜22:00において測定された出会い頻度の順位を示している。第1位〜第4位の移動局装置11の仮名は、それぞれ「β」、「γ」、「δ」及び「ε」であり、「β」、「γ」、「δ」及び「ε」の出会い頻度は、それぞれ「66%」、「33%」、「3%」及び「1%」である。
【0065】
以下、監視装置4の処理について説明する。図11は、監視装置4による処理の説明図である。なお、他の実施態様においては、下記のオペレーションAA〜ADの各オペレーションはステップであってもよい。
【0066】
オペレーションAAにおいて加入者情報受信部41は、加入者情報取得処理を行う。オペレーションABにおいて位置情報受信部42は、位置情報取得処理を行う。オペレーションACにおいてデータ処理部43は、移動局検出処理ACを行う。オペレーションADにおいて移動局情報送信部46は、移動局情報送信処理ADを行う。各処理AA〜ADの詳細を以下に説明する。
【0067】
図12は、図11に示す加入者情報取得処理AAの説明図である。なお、他の実施態様においては、下記のオペレーションBA〜BBの各オペレーションはステップであってもよい。オペレーションBAにおいて移動体通信ネットワーク2の加入者情報記憶装置21は、加入者情報を加入者情報受信部41へ送信する。加入者情報を受信すると、オペレーションBBにおいて加入者情報受信部41は、受信した加入者情報を、加入者データ50としてデータベース44内に格納する。
【0068】
図13は、図11に示す位置情報取得処理ABの第1例の説明図である。なお、他の実施態様においては、下記のオペレーションCA〜CGの各オペレーションはステップであってもよい。オペレーションCAにおいて、データ処理部43は、位置情報データ51の収集周期を定める所定の位置データ収集周期ごとに、位置情報データ51に格納された各移動局装置11の位置情報の更新有無を判定する。位置データ収集周期は、設定データ記憶部45に記憶されていてよい。
【0069】
オペレーションCBにおいて、データ処理部43は、位置データ収集周期に位置の更新が無かった移動局装置11の位置情報の取得を、位置情報受信部42へ要求する。オペレーションCCにおいてデータ処理部43は、移動局装置11の位置情報の送信を要求する位置情報サービス要求信号を、移動体通信ネットワーク2の測位サービス提供装置23に送信する。
【0070】
オペレーションCDにおいて測位サービス提供装置23は、位置情報サービス要求信号に対する応答信号を監視装置4に送信する。応答信号は位置情報受信部42にて受信される。
【0071】
オペレーションCEにおいて位置情報受信部42は、応答信号に含まれている移動局装置11の位置情報をデータ処理部43へ送信する。オペレーションCFにおいてデータ処理部43は、位置情報を位置情報データ51としてデータベース44内に格納する。オペレーションCGにおいてデータ処理部43は、位置条件の判定対象とする移動局装置11を選択し、選択された移動局装置11に関するレコードを位置情報蓄積データ52に追加する。
【0072】
図14は、図11に示す位置情報取得処理ABの第2例の説明図である。なお、他の実施態様においては、下記のオペレーションDA〜DDの各オペレーションはステップであってもよい。オペレーションDAにおいて測位サービス提供装置23は、位置情報を監視装置4に送信する。例えば、移動局装置11からのサービス用コネクション確立の要求を契機として移動局装置11の測位が行われたとき、測位サービス提供装置23は、このときの測位結果を示す位置情報を監視装置4に送信してよい。
【0073】
オペレーションDBにおいて位置情報受信部42は、受信した移動局装置11の位置情報をデータ処理部43へ送信する。オペレーションDCにおいてデータ処理部43は、位置情報を位置情報データ51としてデータベース44内に格納する。オペレーションDDにおいてデータ処理部43は、位置条件の判定対象とする移動局装置11を選択し、選択された移動局装置11に関するレコードを位置情報蓄積データ52に追加する。
【0074】
図15は、図11に示す移動局検出処理ACの説明図である。なお、他の実施態様においては、下記のオペレーションEA〜EBの各オペレーションはステップであってもよい。オペレーションEAにおいてデータ処理部43は、位置情報蓄積データ52に記憶されている移動局装置11について出会い頻度を算出する。オペレーションEBにおいてデータ処理部43は、所定の閾値以上の出会い頻度を有する各移動局装置11を検出し、検出された移動局装置に対して仮名を作成し、作成された仮名を仮名テーブルに格納する。
【0075】
図16は、図11に示す移動局情報送信処理ADの説明図である。なお、他の実施態様においては、下記のオペレーションFA〜FCの各オペレーションはステップであってもよい。オペレーションFAにおいてデータ処理部43は、移動局装置11の仮名と出会い頻度を含んだ移動局情報を端末装置5へ送信するように、移動局情報送信部46へ要求する。オペレーションFBにおいて移動局情報送信部46は、ユーザによって指定された形式の移動局情報を作成する。オペレーションFBにおいて移動局情報送信部46は、移動局情報を端末装置5へ送信する。
【0076】
本実施例によれば、本通知サービスのユーザは、監視装置4から受信した移動局情報を参照することにより、ユーザが指定した位置条件を満たす頻度が高い移動端末の存在を認識することが可能となる。例えば、ユーザの移動局装置11から所定の距離内に位置することを位置条件として指定し、及び/又はユーザの自宅付近の所定の範囲内に位置することを位置条件として指定することにより、ユーザはストーカー行為の可能性を認識することができる。またユーザは、通知サービスの提供者に対してストーカーの疑いがある加入者の資料の提出を警察に要求することで、ストーカーの疑いがある容疑者を特定することができる。
【0077】
また本実施例によれば、ユーザは、監視装置4から受信した移動局情報を、ストーカー行為の証拠として用いることができる。このように、本実施例のシステムはストーカー犯罪捜査を補助することが可能である。また本実施例によれば、ユーザに対しては仮名データを送信することで、不慮のプライバシー侵害を防止することができる。
【0078】
以上の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0079】
(付記1)
ユーザにより予め登録される位置条件を記憶する位置条件記憶部と、
移動局装置の位置情報を移動体通信ネットワークから受信する位置情報受信部と、
前記位置条件を満たす頻度が所定の基準よりも高い移動局装置を検出する検出部と、
前記検出部により検出された移動局装置を特定する情報を、前記ユーザに予め指定される受信装置へ送信する移動局情報送信部と、
を備える監視装置。
【0080】
(付記2)
ユーザにより予め登録される第1条件を記憶する第1条件記憶部を備え、
前記第1条件は、前記検出部による移動局装置の検出を禁止する条件である付記1に記載の監視装置。
【0081】
(付記3)
ユーザにより予め登録される第2条件を記憶する第2条件記憶部を備え、
前記第2条件は、前記第1条件による移動局装置の検出禁止を解除する条件である付記2に記載の監視装置。
【0082】
(付記4)
前記移動局装置に対応する仮名を作成する仮名作成部を備え、
移動局情報送信部は、前記移動局装置を特定する情報として前記仮名を送信する付記1〜3のいずれか一項に記載の監視装置。
【0083】
(付記5)
前記位置条件は、前記ユーザの移動局装置の位置との距離が所定閾値より短いとき満足される、付記1〜4のいずれか一項に記載の監視装置。
【0084】
(付記6)
前記位置条件は、所定の固定エリア内に位置するとき満足される、付記1〜4のいずれか一項に記載の監視装置。
【0085】
(付記7)
ユーザにより予め登録される位置条件を所定の記憶部に格納する手順と、
移動局装置の位置情報を移動体通信ネットワークから受信する手順と、
前記位置条件を満たす頻度が所定の基準よりも高い移動局装置を検出する手順と、
検出された前記移動局装置を特定する情報を、前記ユーザに予め指定される受信装置へ送信する手順と、
をコンピュータが実行する監視方法。
【0086】
(付記8)
ユーザにより予め登録される位置条件を所定の記憶部に格納する手順と、
移動局装置の位置情報を移動体通信ネットワークから受信する手順と、
前記位置条件を満たす頻度が所定の基準よりも高い移動局装置を検出する手順と、
検出された前記移動局装置を特定する情報を、前記ユーザに予め指定される受信装置へ送信する手順と、
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0087】
1 通信システム
2 移動体通信ネットワーク
4 監視装置
5 端末装置
41 加入者情報受信部
42 位置情報受信部
43 データ処理部
46 移動局情報送信部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより予め登録される位置条件を記憶する位置条件記憶部と、
移動局装置の位置情報を移動体通信ネットワークから受信する位置情報受信部と、
前記位置条件を満たす頻度が所定の基準よりも高い移動局装置を検出する検出部と、
前記検出部により検出された移動局装置を特定する情報を、前記ユーザに予め指定される受信装置へ送信する移動局情報送信部と、
を備える監視装置。
【請求項2】
ユーザにより予め登録される第1条件を記憶する第1条件記憶部を備え、
前記第1条件は、前記検出部による移動局装置の検出を禁止する条件である請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
ユーザにより予め登録される第2条件を記憶する第2条件記憶部を備え、
前記第2条件は、前記第1条件による移動局装置の検出禁止を解除する条件である請求項2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記移動局装置に対応する仮名を作成する仮名作成部を備え、
移動局情報送信部は、前記移動局装置を特定する情報として前記仮名を送信する請求項1〜3のいずれか一項に記載の監視装置。
【請求項5】
前記位置条件は、前記ユーザの移動局装置の位置との距離が所定閾値より短いとき満足される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の監視装置。
【請求項6】
ユーザにより予め登録される位置条件を所定の記憶部に格納する手順と、
移動局装置の位置情報を移動体通信ネットワークから受信する手順と、
前記位置条件を満たす頻度が所定の基準よりも高い移動局装置を検出する手順と、
検出された前記移動局装置を特定する情報を、前記ユーザに予め指定される受信装置へ送信する手順と、
をコンピュータが実行する監視方法。
【請求項7】
ユーザにより予め登録される位置条件を所定の記憶部に格納する手順と、
移動局装置の位置情報を移動体通信ネットワークから受信する手順と、
前記位置条件を満たす頻度が所定の基準よりも高い移動局装置を検出する手順と、
検出された前記移動局装置を特定する情報を、前記ユーザに予め指定される受信装置へ送信する手順と、
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【請求項1】
ユーザにより予め登録される位置条件を記憶する位置条件記憶部と、
移動局装置の位置情報を移動体通信ネットワークから受信する位置情報受信部と、
前記位置条件を満たす頻度が所定の基準よりも高い移動局装置を検出する検出部と、
前記検出部により検出された移動局装置を特定する情報を、前記ユーザに予め指定される受信装置へ送信する移動局情報送信部と、
を備える監視装置。
【請求項2】
ユーザにより予め登録される第1条件を記憶する第1条件記憶部を備え、
前記第1条件は、前記検出部による移動局装置の検出を禁止する条件である請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
ユーザにより予め登録される第2条件を記憶する第2条件記憶部を備え、
前記第2条件は、前記第1条件による移動局装置の検出禁止を解除する条件である請求項2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記移動局装置に対応する仮名を作成する仮名作成部を備え、
移動局情報送信部は、前記移動局装置を特定する情報として前記仮名を送信する請求項1〜3のいずれか一項に記載の監視装置。
【請求項5】
前記位置条件は、前記ユーザの移動局装置の位置との距離が所定閾値より短いとき満足される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の監視装置。
【請求項6】
ユーザにより予め登録される位置条件を所定の記憶部に格納する手順と、
移動局装置の位置情報を移動体通信ネットワークから受信する手順と、
前記位置条件を満たす頻度が所定の基準よりも高い移動局装置を検出する手順と、
検出された前記移動局装置を特定する情報を、前記ユーザに予め指定される受信装置へ送信する手順と、
をコンピュータが実行する監視方法。
【請求項7】
ユーザにより予め登録される位置条件を所定の記憶部に格納する手順と、
移動局装置の位置情報を移動体通信ネットワークから受信する手順と、
前記位置条件を満たす頻度が所定の基準よりも高い移動局装置を検出する手順と、
検出された前記移動局装置を特定する情報を、前記ユーザに予め指定される受信装置へ送信する手順と、
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−203951(P2011−203951A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69874(P2010−69874)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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