説明

直動案内ユニット

【課題】 この直動案内ユニットは,スライダに遮蔽板の機能を果たすスカートを設け,液状スラッジ等の異物がスライダの下面に回り込むのを防止する。
【解決手段】この直動案内ユニットは,スライダ2には,防塵装置7,8と防塵装置7に隣接したスカート20とが配設されており,スカート20は,スライダ2の下面22に液状スラッジ等の異物が回り込むのを防止するために取付けベース23に向かってスライダ2の下面22より突出している。スカート20は,弾性部材から平らな板部材に形成され,下端面36が取付けベース23に接する状態又は近接した状態に延びている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,例えば,長尺な軌道レール及び該軌道レール上を転動体を介して相対移動するスライダから構成されている直動案内ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に,直動案内ユニットは,図8及び図9に示すように,長手方向両側面42に軌道面11(第1軌道面)を形成した長尺な軌道レール1,及び軌道レール1上を跨架して軌道面11に対向する軌道面12(第2軌道面)を備え且つ軌道面11と軌道面12との間の負荷軌道路34を転動する転動体5を介して摺動可能に装着されたスライダ2とから構成されている。図示の直動案内ユニットでは,転動体5としてローラが使用されてるタイプであるが,転動体がボールの場合には軌道面は軌道溝を指すものである。スライダ2は,軌道レール1に対して相対的に摺動可能であり且つ両側の袖部16に軌道面12を形成したケーシング3,対向する軌道面11と軌道面12との間で相対移動可能に転動する多数のローラでなる転動体5,及びケーシング3の両端面35にそれぞれ取り付けられたエンドキャップ4を有している。軌道レール1は,取付け用孔17を通じて固定ボルト31(図1)で取付けベース23に取り付けられる。ケーシング3には,ベッド,機器等を取り付けるため,取付け用ねじ孔18が形成されている。また,軌道レール1とスライダ2との間の長手方向のシールを達成するため,各エンドキャップ4の端面にはエンドシール15が取り付けられる。エンドキャップ4及びエンドシール15は,ケーシング3に固定ボルト44によって固定されている。また,エンドキャップ4には,軌道レール1とスライダ2との間の転動体5及び摺動面に給油口29を通じて潤滑剤を供給するためグリースニップル(図示せず)が取り付けられている。更に,上記直動案内ユニットは,ケーシング3から転動体5が脱落するのを防止するため,保持板13が多数の転動体5を囲むようにケーシング3に取り付けられている。図では,ローラの転動面39は,軌道面11,12上を転動し,ローラの端面40は,ケーシング3の軌道面12に直角に延びる受け面と保持板13によって保持されている。
【0003】
また,上記直動案内ユニットは,ケーシング3及びエンドキャップ4と軌道レール1の長手方向側面42との間の隙間をシールするため,エンドキャップ4及びケーシング3の下面に下面シール14が取り付けられている。軌道レール1の軌道面11を走行する負荷域即ち負荷軌道路34における転動体5は,エンドキャップ4内に形成された方向転換路(図示せず)に導かれ,更にケーシング3の軌道面12と平行に形成されたリターン路10に移動し,多数の転動体5は無限循環路内を無限循環するように構成されている。ケーシング3に形成されたリターン路10は,図では,ケーシング3に形成された嵌挿孔9に嵌挿された通し孔を持つ多孔質部材等から成るパイプ6によって形成されており,パイプ6は,図では,二分割の半円筒体が分割面41で合わされて形成されているが,種々の形状のものを用いることができるものである。また,上記のような直動案内ユニットでは,軌道レール1とスライダ2との隙間にごみ,ほこり,粉塵,切屑等の異物が入り込み,軌道面11,12に付着すると,転動体5の円滑な転動が妨げられることから,スライダ2の前後両端の隙間からの異物の侵入を防ぐためにエンドシール15がエンドキャップ4の端面にねじで取り付けられるのが,通例である。
【0004】
また,従来の直動案内ユニットは,図10に示すように,軌道レール1に上面カバー21を設けた構造に構成されている。直動案内ユニットが研削盤等の工作機械に組み込まれた場合に,工作機械ではワークを研削することによって研削スラッジを含んだ液状金属くず(以下,液状スラッジという)が発生する。上面カバー21は,軌道レール1の取付け用孔17を覆って,異物, 液状スラッジ等が軌道レール1の取付け用孔17に入り込まないようにするものであり, 軌道レール1の取付け用孔17に固定ボルト24(図1参照)を挿入して軌道レール1を取付けベース23に固定した後に,上面カバー21を軌道レール1の上面に取り付けるようになっている。その理由は,軌道レール1の取付け用孔17に異物, 液状スラッジ等が入り込むと, 軌道レール1に対して相対摺動するスライダ2に異物, 液状スラッジ等の異物がエンドシール15をくぐって, 結果的に, スライダ2の内部に侵入してしまうことになる。また,直動案内ユニットにおいて,上面カバー21は, 軌道レール1の取付け用孔17に異物, 液状スラッジ等が入り込む使用状況では,一般に軌道レール1に取り付けて使用されている。
【0005】
本出願人は,直動転がり案内ユニットとして,基本仕様を変更することなく適用可能であり,容易に取付け取外しができるシール装置を備えたものを開発した。該直動転がり案内ユニットは,軌道レールに跨架して摺動可能なスライダの端面に固定したシール装置を備えており,該シール装置は,軌道レールの上面側に位置する上部と該上部の両側で軌道レールの両側に位置する側部とから成るシール用カセット,該シール用カセット内に収容され且つ軌道レールの上面に摺接するシール上部と該シール上部の両側で互いに拡開し得る一対のシール側部とから成るシール,及びシール用カセット内の端面に位置して収容され且つ軌道レール上に位置して軌道レールとの間に若干の隙間を有するスクレーパプレートから構成されている。即ち,シール装置は,切粉等の異物が多量に発生するような環境の下で使用される場合であっても,防塵効果が高く,長期寿命を維持することができるものであり,スクレーパプレートは,軌道レールとの間に若干の隙間を有してなり,軌道レールに付着した大きな異物を排除するためのものになっている。また,シール装置は,シール側部が互いに拡開可能でシールを軌道レールの上方から着脱可能なものになっており,シールの交換作業が簡単に行えるものになっている(例えば,特許文献1参照)。
【0006】
従来知られているプロテクタ付リニアガイド装置は,防塵シールの外形とほぼ同様の外形を有し,防塵シールを前後より挟んでスライダ本体に固定された外側プロテクタと内側プロテクタとを備えている。外側プロテクタは,防塵シールと隙間を形成して外側に取り付けられ,熱い溶接スパッタ等から防塵シールの焼損を防止している。また,内側プロテクタは,防塵シールの裏面に密接して防塵シールのリップ部をバックアップして異物の噛み込みを防止している(例えば,特許文献2参照)。
【0007】
また,軌道軸と該軌道軸に多数の転動体を介して長さ方向に往復運動可能に係合するスライド部材とを有する案内装置に,防塵構造を設けたものが知られている。該案内装置は,防塵構造を有することにより,クーラントの使用を必要としたり,ごみ,ほこり,木片,切り粉がふりかかるような過酷な使用条件下でも長期にわたって軌道軸に対するスライド部材の円滑な往復運動を維持することができるものである。上記防塵構造は,軌道軸に密着し且つ潤滑剤を保持する弾性部材が軌道軸の長さ方向に重ね合わされているものである。或いは,上記防塵構造は,弾性材料で形成され,軌道軸の表面と共働して潤滑剤が充填される潤滑剤ポケットを形成する凹溝部を有する潤滑剤ポケット形成部材を備え,該潤滑剤ポケット形成部材が潤滑剤を含浸して潤滑剤供給部を構成する複数の弾性部材と,該弾性部材間に介装されて弾性部材と共働して凹溝部を形成するスペーサ部材とから形成されている(例えば,特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平9−42284号公報
【特許文献2】実開平2−48612号公報
【特許文献3】特開2000−227115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら,工作機械等の装置において,ワークの切削等によって大きな異物が発生したり,多量の異物が発生したりする厳しい作業環境の下では,精密部品である直動案内ユニットを使用する場合には,直動案内ユニットに対して別の防塵対策を講じることが必要不可欠となっている。即ち,近年,直動案内ユニットは,研削盤等の液状スラッジが飛散する作業環境にも使用されるようになり,特に,研削盤等では図1及び図2に示すように転動体5がローラのものが多用されるようになった。ローラ形式の直動案内ユニットは,図9に示すように,軌道レール1の側面42とスライダ2におけるケーシング3の袖部16の内側面とに互いに対向する軌道面11,12が形成され,軌道面11と軌道面12との間にローラを介在してそれぞれ2条列の負荷軌道路34が形成された構造を有している。それで,2条列の負荷軌道路34の内,軌道レール1の下面側になる下側の軌道路34は,下面シール14に近い位置に位置しており,液状スラッジ等の異物がスライダ2の下面22に回り込んだ場合に,液状スラッジがスライダ2と軌道レール1との隙間に侵入し易い構造になっている。
【0009】
最近では,直動案内ユニットは,高速化された各種機械装置に盛んに使用されている。直動案内ユニットは,特に,研削機械等の工作機械において,工作物の研削で発生する研削スラッジを含んだ液状スラッジ等の異物が飛散する環境で使用される場合に,蛇腹装置等の大掛かりな防塵装置が使用されているが,そのような大掛かりな防塵装置を設けることなく,簡単な構造の防塵装置を直動案内ユニットに配備して防塵機能が満足できるものが求められている。
【0010】
また,直動案内ユニットにおいて,上記特許文献1に開示されたような研削機械など,研削後の研削スラッジを含んだ研削液など液状スラッジが飛散する環境で使用される場合には,飛散した研削液が前記シール装置の下面からスライダの下面へ回り込んでしまい,スライダの下面に下面シールが配設されているものの,スライダの下面から研削液等の異物が侵入して研削液に含まれる微細な切り屑等が原因で軌道レールとスライダとの軌道面の摩耗が促進される要因になっていた。
【0011】
また,上記プロテクタ付リニアガイド装置のようなものでは,外側プロテクタと内側プロテクタとは,異物の侵入,特に,熱い溶接スパッタ等からの異物の侵入を防止するものであり,上記プロテクタでは液状スラッジがスライダの下面に回り込むのを防止するという機能や作用を有していないことは明らかである。
【0012】
この発明の目的は,上記の課題を解決することであり,従来設けられている防塵装置への補助的役割をする部材であるスカートを備えたものであり,研削スラッジ等の異物を含んだ研削液の液状スラッジ等の異物がスライダの下面に回り込むのを防止する遮蔽板の機能を果たし,しかも既存のスライダに対して防塵装置の両側に容易に組み込むことができる簡単な構造から成る直動案内ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は,取付けベースに取り付けられ且つ長手方向両側面に第1軌道面を備えた軌道レール,及び前記軌道レールに跨架して前記第1軌道面に対向する第2軌道面を備え且つ前記第1軌道面と前記第2軌道面との間を転動する転動体を介して摺動自在なスライダから成る直動案内ユニットにおいて,前記スライダには,防塵装置と前記防塵装置に隣接したスカートとが配設されており,前記スカートは,前記スライダの下面に液状スラッジ等の異物が回り込むのを防止するために前記取付けベースに向かって前記スライダの前記下面より突出していることを特徴とする直動案内ユニットに関する。
【0014】
この直動案内ユニットにおいて,前記スカートは,その下端面が前記取付けベースに接する状態又は近接した状態に延びている。また,前記スカートは,平らな板部材に形成されている。更に,前記スカートは合成ゴム部材から形成され,前記合成ゴム部材には芯金が接して配設されている。
【0015】
また,この直動案内ユニットにおいて,前記スカートは,前記防塵装置の本体部材を前後に挟むように配設された第1スカートと第2スカートから構成されている。前記スライダは前記第2軌道面を備えたケーシング,前記ケーシングの端面に配置されたエンドキャップ,及び前記エンドキャップの端面側に配置されたエンドシールから成り,前記防塵装置の前記本体部材は前記スライダに間座を介在して配設されている。更に,前記第1スカートは前記エンドキャップと前記エンドシールとの間に配設された潤滑プレートに接して配設され,前記第2スカートは前記防塵装置の前記本体部材と前記防塵装置のスクレーパとの間に配設されている。
【発明の効果】
【0016】
この直動案内ユニットは,上記のように,防塵装置に簡単な構成でなる板状のスカートを配設し,スカートがスライダの下面から突出して取付けベースへと延びているので, 研削盤の研削液等が飛散する使用条件で使用されても,研削液に含まれた研削スラッジを含む液状スラッジ等の異物がスライダの下面に回り込むことを防止し, 異物による軌道レールとスライダとの軌道面の摩耗を低減し,長期寿命を達成でき,しかも,スカートそのものは,安価で, コンパクトで, 既存のスライダに対して容易に取付け取外し可能な構造に構成されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下,図面を参照して,この発明による直動案内ユニットの実施例を説明する。この発明による直動案内ユニットは,例えば,図8〜図10に示すような従来の直動案内ユニットに容易に組み込むことができるものであるので,これらに示されている部品や部材と同一機能を有する部品や部材には同一の符号を付し,ここでは重複する説明は省略する。
【0018】
この直動案内ユニットは, 図1及び図3に示すように, 従来例になる図8〜図10に示す直動案内ユニットのスライダ2の端面に,従来の防塵装置7,8に加えて防塵対策として一種のカーテンとして機能するスカート20を設けたものあり,研削盤等で発生する研削屑が研削液に混入している液状スラッジ等の異物が飛散する作業環境で使用するのに好適である。この直動案内ユニットは,例えば, スライダ2がテーブルに組み付けられた時に,外側に位置するスライダ2の少なくとも一方の端面にスカート20が配設されている。この実施例では,軌道レール1が取付けベース23に固定されており, 軌道レール2には,その上面に上面カバー21が覆って取り付けられている。
【0019】
この直動案内ユニットは, 取付けベース23に取り付けられ且つ長手方向両側面42に軌道面11(第1軌道面)を備えた軌道レール1,及び軌道レール1に跨架して軌道面11に対向する軌道面12(第2軌道面)を備え且つ軌道面11と軌道面12との間を転動するローラでなる転動体5を介して摺動自在なスライダ2から構成されている。この直動案内ユニットは,特に,液状スラッジ等の異物が取付けベース23とスライダ2の下面22との間を通ってスライダ2の下面22に回り込むのを防止するために, 一種の防塵装置として機能する簡単な構造でなるスカート20がスライダ2に設けられたことを特徴としている。スカート20は,特に,後述するが,スライダ2の下面22から取付けベース23に向かって突出してなる板部材に形成されている。
【0020】
この直動案内ユニットでは,軌道レール1には,取付け用孔17が隔置して複数個形成されている。軌道レール1は,取付け用孔17に固定ボルト24を通して取付けベース23に固定されている。また,軌道レール1は,その上面を覆って取付け用孔17等を閉鎖するため上面カバー21が取り付けられている。スライダ2は,軌道面12を備えたケーシング3,ケーシング3の両端面35にそれぞれ配置されたエンドキャップ4,及びエンドキャップ4の端面側に配置されたエンドシール15から構成されている。ケーシング3の端面35に取り付けられた一方のエンドキャップ4には,グリースニップル43が設けられており,また,他方のエンドキャップ4にはグリースニップル取付け部を塞ぐため止め栓38が取り付けられている。
【0021】
この直動案内ユニットは,図4及び図7に示すように, 具体的には,防塵手段が従来のエンドシール15を含めて次のように構成されているものである。この実施例では,防塵手段は,本体部材7Aである防塵装置7,スクレーパ8Aである防塵装置8,及び一対のスカート20から構成されている。スカート20は,防塵装置7の本体部材7Aを前後に挟むように配設された第1スカート20Aと第2スカート20Bとの2枚から構成されている。防塵装置7の本体部材7Aは,スライダ2に間座25を介在して配設されている。更に,第1スカート20Aは,エンドキャップ4とエンドシール15との間に配設された潤滑プレート19に接して配設されている。第2スカート20Bは,防塵装置7の本体部材7Aと防塵装置8のスクレーパ8Aとの間に配設されている。
【0022】
この直動案内ユニットは,特に,スカート20は,図5及び図6に示すように,平らな板部材に形成されており,スカート20の下端面36が取付けベース23に接する状態又は近接した状態に延びていることであり,スカート20は, 取付けベース23に接して或いは当接しても, また, 異物を巻き込んでも相手部材である取付けベース23を損傷することがないように, 弾性部材である合成ゴム材料で形成されている。具体的には,スカート20は,合成ゴム部材から形成され,合成ゴム部材には,芯金26,32が接して配設されている。また,スカート20の取付け部は, 図示していないが,ねじの締結によって弾性変形しないように剛性材から成るカラーが挿入されており,ねじ径よりも大きな取付け孔45又は凹部46に形成されている。スカート20は, スライダ2に対応する形状の逆U字形の凹部が形成され, エンドキャップ4の下面即ちスライダ2の下面22から取付けベース23に向かって突出する下部を除き, エンドキャップ4の外形と同形のサイズに形成されている。
【0023】
この直動案内ユニットでは,防塵装置7は,カバー30に防塵部材28が収容されている。防塵装置7の本体部材7Aは,スライダ2に間座25を介在して配設されている。更に,第1スカート20Aは,エンドキャップ4とエンドシール15との間に配設された潤滑プレート19に接して配設されている。また,第2スカート20Bは,防塵装置7の本体部材7Aと防塵装置8のスクレーパ8Aとの間に配設されている。スカート20の下部である下面は, 取付けベース23に接して又は近接して構成されている。この実施例では, 近接するタイプであり, 下端面36は直線状にフラットな面に形成されている。また, スカート20が取付けベース23に接する場合には, スカート20の下端面36をぎざぎざの波状に形成し,取付けベース23に対する摺接抵抗を小さくすることもできる。
【0024】
この直動案内ユニットでは,スライダ2の端面に取り付けられた防塵手段は,具体的には,エンドキャップ4の端面側から,第1スカート20Aをバックアップする芯金26,芯金26に隣接した第1スカート20A,第1スカート20Aに隣接した潤滑油が含浸された潤滑プレート19, 潤滑プレート19に隣接したエンドシール15, エンドシール15に隣接した間座25, 間座25に隣接した芯金27,芯金27に隣接した防塵装置7を構成する本体部材7A,本体部材7Aに隣接した芯金32,芯金32に隣接した第2スカート20B,及び第2スカート20Bに隣接した防塵装置8を構成するスクレーパ8Aが順次配設されて構成されている。防塵装置7を構成する本体部材7Aは,防塵部材28と防塵部材28を収容したカバー30とから構成されている。この直動案内ユニットでは,エンドキャップ4を介在して芯金26にバックアップされた第1スカート20A,潤滑プレート19,エンドシール15,間座25,芯金27及び防塵装置7が固定ボルト31によってケーシング3に螺入して固定されている。また,芯金32にバックアップされた第2スカート20B,及び防塵装置8を構成するスクレーパ8Aは,固定ボルト33がカバー30のねじ穴37に螺入されてカバー30に固定されている。
【0025】
この直動案内ユニットでは,潤滑プレート19は,エンドシール15のリップ部及び軌道レール1の軌道面11を潤滑するために設けられている。カバー30に挿入される防塵部材28は, 液状スラッジを遮蔽するように, フェルト又は合成樹脂製の繊維体, 合成樹脂の燒結体, 合成樹脂又は合成ゴムの発泡体等の部材で形成されている。この実施例では,防塵部材28は, フェルトで形成されている。また,スクレーパ8Aは, 軌道レール1との間に若干の隙間を有してなる金属板等で形成されており,軌道レール1に付着した大きな異物を排除する機能を有るものである。
【産業上の利用可能性】
【0026】
この発明による直動案内ユニットは,研削盤等の工作機械,精密機械,半導体製造装置,測定・検査装置,医療機器,マイクロマシーン等の各種の装置の摺動部に組み込まれて使用される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明による直動案内ユニットの一実施例を示す正面図である。
【図2】図1の直動案内ユニットを示す側面図である。
【図3】図1の直動案内ユニットを示す平面図である。
【図4】図1の直動案内ユニットにおけるスライダの端面に取り付けられたスカートと防塵装置を示す分解図である。
【図5】図1の直動案内ユニットのスライダに設けたスカートを示す正面図である。
【図6】図5のスカートを示す側面図である。
【図7】図4におけるA−A矢視で見たケーシングに対するスカートと防塵装置との組立状態を示す側面図である。
【図8】従来例の直動案内ユニットの一例を示す斜視図である。
【図9】図8のB平面で断面された直動案内ユニットを示す断面図である。
【図10】従来の直動案内ユニットに使用された上面カバーを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1 軌道レール
2 スライダ
3 ケーシング
4 エンドキャップ
5 転動体
7,8 防塵装置
7A 本体部材
8A スクレーパ
11 軌道面(第1軌道面)
12 軌道面(第2軌道面)
15 エンドシール
19 潤滑プレート
20 スカート
20A 第1スカート
20B 第2スカート
22 スライダの下面
23 取付けベース
25 間座
26,32 芯金
28 防塵部材
35 端面
36 スカートの下端面
42 軌道レールの側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付けベースに取り付けられ且つ長手方向両側面に第1軌道面を備えた軌道レール,及び前記軌道レールに跨架して前記第1軌道面に対向する第2軌道面を備え且つ前記第1軌道面と前記第2軌道面との間を転動する転動体を介して摺動自在なスライダから成る直動案内ユニットにおいて,
前記スライダには,防塵装置と前記防塵装置に隣接したスカートとが配設されており,前記スカートは,前記スライダの下面に液状スラッジ等の異物が回り込むのを防止するために前記取付けベースに向かって前記スライダの前記下面より突出していることを特徴とする直動案内ユニット。
【請求項2】
前記スカートは,その下端面が前記取付けベースに接する状態又は近接した状態に延びていることを特徴とする請求項1に記載の直動案内ユニット。
【請求項3】
前記スカートは,平らな板部材で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の直動案内ユニット。
【請求項4】
前記スカートは合成ゴム部材から形成され,前記合成ゴム部材には芯金が接して配設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項5】
前記スカートは,前記防塵装置の本体部材を前後に挟むように配設された第1スカートと第2スカートから構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項6】
前記スライダは前記第2軌道面を備えたケーシング,前記ケーシングの端面に配置されたエンドキャップ,及び前記エンドキャップの端面側に配置されたエンドシールから成り,前記防塵装置の前記本体部材は前記スライダに間座を介在して配設されていることを特徴とする請求項5に記載の直動案内ユニット。
【請求項7】
前記第1スカートは前記エンドキャップと前記エンドシールとの間に配設された潤滑プレートに接して配設され,前記第2スカートは前記防塵装置の前記本体部材と前記防塵装置のスクレーパとの間に配設されていることを特徴とする請求項6に記載の直動案内ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−307924(P2006−307924A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−129367(P2005−129367)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(000229335)日本トムソン株式会社 (96)
【Fターム(参考)】