説明

相対変位計測方法及び相対変位計測装置

【課題】蒸気発生器の伝熱管と振止部材との相対変位を計測できる相対変位計測方法を提供することにある。
【解決手段】伝熱管と振止部材との間で発生する相対変位を検出する相対変位計測方法であって、伝熱管に配置された距離測定手段により、振止部材に配置されたターゲットとの距離を測定する測定ステップと、測定ステップにより測定した間隔に基づいて、伝熱管と振止部材との相対変位を算出する算出ステップとを有し、振動時の伝熱管の所定位置と振止部材の所定位置との相対変位を計測することで上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源から供給された熱を利用して蒸気を発生させる蒸気発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
熱源で生成された熱を利用して蒸気を発生させる蒸気発生器としては、例えば、図5及び図6に示すような蒸気発生器がある。図5は、蒸気発生器の一例の概略構成を示す模式図であり、図6は、図5に示す蒸気発生器の伝熱管と振止部とを拡大して示す拡大模式図である。蒸気発生器100は、例えば、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)に用いられる。加圧水型原子炉は、原子炉冷却材および中性子減速材として軽水を使用している。加圧水型原子炉は、軽水を炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水としての一次冷却水を蒸気発生器100に送る。蒸気発生器100では、高温高圧の一次冷却水の熱を二次冷却水に伝え、二次冷却水に水蒸気を発生させる。そして、この水蒸気によりタービン発電機が回されて発電する。
【0003】
蒸気発生器100は、上下方向に延在され、かつ密閉された中空円筒形状を成し、上半部に対して下半部が若干小径とされた胴部102を有している。胴部102の下半部内には、該胴部102の内壁面と所定間隔をもって配置された円筒形状を成す管群外筒103が設けられている。この管群外筒103は、その下端部が、胴部102の下半部内の下方に配置された管板104まで延設されている。管群外筒103内には、逆U字形状をなす複数の伝熱管105からなる伝熱管群151が設けられている。各伝熱管105は、U字形状の円弧部を上方に向けて配置され、下方に向く端部が管板104に支持されると共に、中間部が複数の管支持板106により支持されている。管支持板106には、多数の貫通孔(図示せず)が形成されており、この貫通孔内に各伝熱管105が非接触状態で貫通されている。
【0004】
胴部102の下端部には、水室107が設けられている。水室107は、内部が隔壁108により入室171と出室172とに区画されている。入室171には、各伝熱管105の一端部が連通され、出室172には、各伝熱管105の他端部が連通されている。また、入室171には、胴部102の外部に通じる入口ノズル711が形成され、出室172には、胴部102の外部に通じる出口ノズル721が形成されている。そして、入口ノズル711には、加圧水型原子炉から一次冷却水が送られる冷却水配管(図示せず)が連結される一方、出口ノズル721には、熱交換された後の一次冷却水を加圧水型原子炉に送る冷却水配管(図示せず)が連結される。
【0005】
胴部102の上半部には、給水を蒸気と熱水とに分離する気水分離器109、および分離された蒸気の湿分を除去して乾き蒸気に近い状態とする湿分分離器110が設けられている。気水分離器109と伝熱管群151との間には、外部から胴部102内に二次冷却水の給水を行う給水管111が挿入されている。さらに、胴部102の上端部には、蒸気排出口112が形成されている。また、胴部102の下半部内には、給水管111からこの胴部102内に給水された二次冷却水を、胴部102と管群外筒103との間を流下させて管板104にて折り返させ、伝熱管群151に沿って上昇させる給水路113が設けられている。なお、蒸気排出口112には、タービンに蒸気を送る冷却水配管(図示せず)が連結され、給水管111には、タービンで使用された蒸気が復水器(図示せず)で冷却された二次冷却水を供給するための冷却水配管(図示せず)が連結される。
【0006】
このような蒸気発生器100では、加圧水型原子炉で加熱された一次冷却水は、入室171に送られ、多数の伝熱管105内を通って循環して出室172に至る。一方、復水器で冷却された二次冷却水は、給水管111に送られ、胴部102内の給水路113を通って伝熱管群151に沿って上昇する。このとき、胴部102内で、高圧高温の一次冷却水と二次冷却水との間で熱交換が行われる。そして、冷やされた一次冷却水は出室172から加圧水型原子炉に戻される。一方、高圧高温の一次冷却水と熱交換を行った二次冷却水は、胴部102内を上昇し、気水分離器109で蒸気と熱水とに分離される。そして、分離された蒸気は、湿分分離器110で湿分を除去されてからタービンに送られる。
【0007】
このように構成された蒸気発生器100において、一次冷却水が各伝熱管105内を通過する際、逆U字形状の円弧部にて流体励起振動が発生する。そこで、伝熱管105の円弧部には、振止部材114が設けられている。
【0008】
伝熱管群151の上端部には、上述したように伝熱管105の逆U字形状の円弧部が配置されている。図6に示すように伝熱管105は、外側(上側)に向けて円弧部の径が大きなものを配列する。さらに、配列した複数の伝熱管105を、配列された方向に直交する方向に重ねつつ、かつ、直交方向の位置に応じて配列する伝熱管の数を変えることで、伝熱管群151の上端部を半球形状に形成している。そして、振止部材114は、重ねられた伝熱管105の列の間に挿入されている。振止部材114は、矩形断面を成し、ほぼV字形状に形成され、重ねられた各伝熱管の列における同径の部位(所定位置)に屈曲部が配置され、かつ、最も大きい径の伝熱管105の円弧部の外側に両端部が突出されている。このため、振止部材114の端部は、伝熱管群151の円弧に沿って一列に並んで配置される。また、振止部材114は、大きいほぼV字形状のものの内側に小さいV字形状のものが配置されて対を成し、この対が伝熱管105の半円部分に3つ配置されている。さらに、振止部材114は、重ねられた伝熱管105の列の間に挿入されている部分が、振動を抑止するのに好ましい材料(例えば、SUS405)で形成されている。
【0009】
振止部材114の溶接部115には、図6に示すように保持部材116が溶接されている。保持部材116は、伝熱管群151の半球状の外周に沿って取り付けられた棒状の部材である。これにより、振止部材114は、伝熱管105の間の所定位置に挿入された形態で伝熱管群151に配設されている。蒸気発生器は以上のような構成である。
【0010】
ここで、このような蒸気発生器に関しては、故障の発生を抑制するため、製造時や検査時に蒸気発生器の状態を測定する測定装置が提案されている。例えば、特許文献1には、伝熱管の内部に検出コイルを挿入し、検出コイルで検出される電圧の変化に基づいて、伝熱管の表面と振れ止め具(振止部材)との距離を測定する測定プローブが記載されている。
【0011】
また、特許文献2には、支持架構と、該支持架構に支持される環境設定容器と、該環境設定容器の内部に容器壁を貫通して移動可能状態に支持される試験用筒状体と、該試験用筒状体に一端部が接続され他端部が環境設定容器または支持架構に接続される試験用伝熱管と、支持架構と試験用筒状体との間に介在状態に配され試験用筒状体に機械的移動力を付与する強制変位発生手段とを具備することを特徴とする熱交換器伝熱管の試験装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平2−259405号公報
【特許文献2】実開平6−4699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ここで、蒸気発生器の振止部材は、地震等により加振された場合に伝熱管との間でこすれて摩擦することにより、伝熱管の振動を抑制する。そのため、振動時は、伝熱管と振止部材とが適切に摩擦する必要がある。しかしながら、伝熱管と振動部材との間でどの程度の摩擦が発生しているかの測定方法は開発されていない。特許文献1は、静止している状態で測定する装置であり、伝熱管と振止部材との距離を測定するものであるため、振動時の相対変位を測定することはできない。また、摩擦力は、伝熱管と振動部材との相対的な移動を検出することで、評価をすることができるが、伝熱管と振動部材との相対的な移動を計測する方法もなかった。さらに、伝熱管は、密に配置されているため、伝熱管と振動部材との相対変位を測定することが困難であるという問題もある。
【0014】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、蒸気発生器の伝熱管と振止部材との相対変位を計測できる相対変位計測方法及び相対変位計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、伝熱管と振止部材との間で発生する相対変位を検出する相対変位計測方法であって、前記伝熱管に配置された距離測定手段により、前記振止部材に配置されたターゲットとの距離を測定する測定ステップと、前記測定ステップにより測定した間隔に基づいて、前記伝熱管と前記振止部材との相対変位を算出する算出ステップとを有することを特徴とする。本発明によれば、伝熱管と振止部材との相対変位を適切に計測することができる。
【0016】
さらに、前記伝熱管を保持する保持手段を振動させる加振ステップと、を有し、前記測定ステップは、前記加振ステップで振動させられている時に前記ターゲットとの距離を測定することが好ましい。これにより、加振時に発生する伝熱管と振止部材との相対変位を適切に計測することができる。
【0017】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、伝熱管と、前記伝熱管の間に配置され、前記伝熱管の振動を抑制する振止部材とを有する蒸気発生器の相対変位計測装置であって、前記伝熱管に固定された計測器本体と、前記振止部材に固定されたターゲットと、を有し、前記計測器本体は、前記ターゲットとの距離を計測して前記伝熱管と前記振止部材との距離を測定することを特徴とする。本発明によれば、伝熱管と振止部材との相対変位を適切に計測することができる。
【0018】
前記計測器本体は、前記ターゲットとの距離に応じて変化する渦電流を検出して前記ターゲットとの距離を計測することが好ましい。このように渦電流を検出することで、計測器本体を小型化することができ、伝熱管と振止部材との間で発生する相対変位をより正確に計測することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる相対変位計測方法及び相対変位計測装置は、伝熱管と振止部材との相対変位を適切に計測することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の相対変位計測装置を備える試験機の一実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、図1に示す試験機の一部の断面を示す断面図である。
【図3−1】図3−1は、相対変位計測装置の概略構成を示す側面図である。
【図3−2】図3−2は、図3−1に示す相対変位計測装置の底面図である。
【図3−3】図3−3は、図3−1に示す相対変位計測装置のA−A線断面図である。
【図4】図4は、本発明の相対変位計測装置を備える試験機の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。
【図5】図5は、蒸気発生器の一例の概略構成を示す模式図である。
【図6】図6は、図5に示す蒸気発生器の伝熱管と振止部とを拡大して示す拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明にかかる相対変位計測方法および相対変位計測装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。なお、以下に示す実施形態では、相対変位計測装置を伝熱管と振止部材との関係を評価するための試験機に設けた場合について説明する。
【0022】
図1は、本発明の相対変位計測装置を備える試験機の一実施形態の概略構成を示す模式図である。また、図2は、図1に示す試験機の一部の断面を示す断面図である。図1に示すように、試験機10は、加振装置12と、試験体14と、相対変位計測装置16とを有する。
【0023】
加振装置12は、架台20と、支持部22と、加振手段24とを有し、試験体14を支持し、振動させる振動試験装置である。架台20は、地面に固定された台であり、支持部22を振動可能な状態、つまり、一定範囲内で移動可能な状態で支持している。支持部22は、架台20に振動可能な状態で支持された板状部材である。支持部22の上面には、試験体14が設置されている。加振手段24は、架台20に固定されており、支持部22を振動させる。なお、加振手段24としては、種々の振動発生手段を用いることができ、例えば、偏心モータを用いることができる。ここで、架台20による支持部22の支持方法は、支持体を振動させることができれば特に限定されず、ダンパー等の緩衝部材を介して支持しても、ばね、ゴム等の弾性部材を介して支持してもよい。また、加振手段24を介して架台20と支持部22とを接続するようにしてもよい。
【0024】
試験体14は、管群外筒30と、伝熱管32と、振止部材34と、保持部材36とを有する。試験体14は、伝熱管32と振止部材34との関係を計測するために、蒸気発生器のうち振止部材34の周辺の構成のみを組み立てたものである。
管群外筒30は、円筒形状の筒であり、鉛直方向下側の端部が支持部22に支持されている。管群外筒30は、内部に逆U字形状の複数の伝熱管32が配置されている。
【0025】
伝熱管32は、U字形状の円弧部を上方に向けて配置され、下方に向く端部が支持部22に支持されると共に、中間部が複数の管支持板(図示省略)により支持されている。また、伝熱管32が、U字形状の直線部が管群外筒30の内部に配置され、円弧部が管群外筒30の鉛直方向上側の端部から露出している。なお、管支持板には、多数の貫通孔が形成されており、この貫通孔内に各伝熱管32が非接触状態で貫通されている。ここで、伝熱管32は、例えば、インコネル(登録商標)で作製することができる。
【0026】
また、伝熱管32は、図2に示すように、管群外筒30の内部に多数配置されている。また、伝熱管32は、隣接する伝熱管32と非接触の状態で、かつ、1本の伝熱管32の外周に6本の伝熱管32が等間隔に配置されている。つまり、伝熱管32は、ハニカム構造で配置されている。また、複数の伝熱管32は、外側(上側)に向けて円弧部の径が大きなものを配列する。さらに、配列した複数の伝熱管32を、配列された方向に直交する方向に重ねつつ、かつ、直交方向の位置に応じて配列する伝熱管の数を変えることで、伝熱管群の上端部を半球形状に形成している。
【0027】
振止部材34は、重ねられた伝熱管32の列の間に挿入されている。振止部材34は、矩形断面を成し、ほぼV字形状に形成され、重ねられた各伝熱管32の列における同径の部位(所定位置)に屈曲部が配置され、かつ、最も大きい径の伝熱管32の円弧部の外側に両端部が突出している。また、振止部材34の端部は、伝熱管32で形成される円弧の外周に沿って一列に並んで配置される。また、振止部材34は、大きいほぼV字形状のものの内側に小さいV字形状のものが配置されて対を成し、この対が伝熱管32の半円部分に3つ配置されている。さらに、振止部材34は、重ねられた伝熱管32の列の間に挿入されている部分が、振動を抑止するのに好ましい材料(例えば、SUS405)で形成されている。
【0028】
保持部材36は、複数の伝熱管32で構成される半球状の外周に沿って取り付けられた棒状の部材である。保持部材36は、複数の振止部材34の端部と連結し、各振止部材34を保持している。このように、振止部材34は、保持部材36に端部を保持され、かつ、伝熱管32の間の所定位置に挿入された状態で伝熱管群に配設されている。また、振止部材34同士は、保持部材36により連結されている。
【0029】
次に、図3−1から図3−3を用いて相対変位計測装置16について説明する。ここで、図3−1は、相対変位計測装置の概略構成を示す側面図であり、図3−2は、図3−1に示す相対変位計測装置の底面図であり、図3−3は、図3−1に示す相対変位計測装置のA−A線断面図である。図3−1から図3−3に示すように、相対変位計測装置16は、変位計本体40と、ターゲット42とを有し、伝熱管32と振止部材34との相対変位を検出する。
【0030】
変位計本体40は、対象物との距離を計測する渦電流式変位計であり、半球状の外周側に配置された伝熱管32に固定されている。ここで、本実施形態では、変位計本体40は、伝熱管32のU字形状の円弧形状の中でも鉛直方向上方側となる任意の位置に配置されている。
【0031】
ターゲット42は、変位計本体40が配置された伝熱管32と接触している振止部材34に固定されている。より詳しくは、ターゲット42は、振止部材34の表面のうち、変位計本体40の近傍、かつ、変位計本体40よりも外側(円弧の中心から離れた側)となる位置に固定され、変位計本体40に対向している。相対変位計測装置16は、以上のような構成であり、変位計本体40は、ターゲット42との距離を流れるインダクタンスの変化により相対位置の変化を検出する。つまり、相対変位計測装置16は、変位計本体40とターゲット42との相対距離が変化したら、検出値が変化し、この検出値の変化から相対距離の変化つまり相対変位を計測する。試験機10は、基本的に以上のような構成である。
【0032】
次に、試験機10の動作を説明することにより、試験機10を用いた試験方法及び相対変位計測装置16を用いた相対変位計測方法について説明する。まず、試験機10は、試験体14を支持部22上に設置した状態とする。その状態で、試験機10は、加振手段24で支持部22を振動させ、試験体14を振動させる。このように試験体14が振動されると、試験体14の伝熱管32と振止部材34とはこすれあって相対位置が変化する。伝熱管32と振止部材34との相対位置が変化すると、伝熱管32に固定されている変位計本体40と振止部材34に固定されているターゲット42との相対位置も変化する。相対変位計測装置16は、変位計本体40とターゲット42との相対位置の変化を検出することで、計測位置における伝熱管32と振止部材34との相対位置の変化を検出する。
【0033】
このように試験機10は、振動時の伝熱管32と振止部材34との相対変位を検出できることで、振動時に伝熱管32と振止部材34との間で発生する摩擦力を算出することができる。また、振動時の伝熱管32と振止部材34との相対変位を検出できることで、同様のモデルを用いたシミュレーションで算出した相対変位の妥当性を判断することができる。シミュレーションの妥当性を判断できることで、より精度の高いシミュレーションソフトを作成することができる。また、試験機10での計測結果に基づいて精度の高いシミュレーションソフトを作成できることで、試験を行うことなく種々の蒸気発生器の振止部材の防振性能を算出することができる。
【0034】
また、相対変位計測装置として、電位(渦電流、電界)の変化を検出する渦電流型の変位計を用いることで変位計本体を小型化することができ、密に配置された伝熱管に、伝熱管の振動特性を大きく変化させることなく、固定することができる。これにより、伝熱管と振止部材との相対変位をより正確に検出することができる。
【0035】
また、上記実施形態では、電位(渦電流、電界)の変化により相対変位を計測したが、本発明の相対変位計測装置に用いることができる相対変位の計測方法は、これに限定されない。図4は、本発明の相対変位計測装置を備える試験機の他の実施形態の概略構成を示す模式図である。ここで、図4に示す試験機50は、相対変位計測装置60の構成を除いて他の構成は、図1に示す試験機10と同様の構成である。したがって、以下では、試験機10と同様の構成について説明を省略し、試験機50に特有の点を重点的に説明する。図4に示すように、試験機50は、加振装置12と、試験体14と、相対変位計測装置60とを有する。
【0036】
相対変位計測装置60は、支持体62と、第1位置検出器64と、第2位置検出器66とを有する。支持体62は、試験体14の鉛直方向上方を覆うように配置された板状部材であり、架台20に固定されている。なお、支持体62は、試験体14とは接触しないように配置されている。第1位置検出器64は、レーザ変位計等の非接触で目標位置との距離を測定できる測定器であり、支持体62に固定されている。第1位置検出器64は、伝熱管32の所定位置との距離を計測する。また、第2位置検出器66も、レーザ変位計等の非接触で目標位置との距離を測定できる測定器であり、支持体62に固定されている。第2位置検出器66は、振止部材34の所定位置との距離を計測する。ここで、伝熱管32の所定位置と、振止部材34の所定位置を特定する方法は特に限定されないが、例えば、伝熱管32の所定位置及び振止部材34の所定位置に目印となる部材(反射物)を貼り付けたり、他の部分と異なる色にしたりする方法がある。
【0037】
相対変位計測装置60は、以上のような構成であり、第1位置検出器64で検出した伝熱管32の所定位置との距離と、第2位置検出器66で検出した振止部材34の所定位置との距離と、既知の第1位置検出器64と第2位置検出器66との位置関係(距離)とに基づいて、伝熱管32の所定位置と振止部材34の所定位置との距離を計測する。
【0038】
このように、所定位置に固定された部分から伝熱管32の所定位置と振止部材34の所定位置との距離を計測することで、所定位置における伝熱管32と振止部材34との距離を計測することができる。これにより、試験機50も加振手段24に加振させたときの伝熱管32の所定位置と振止部材34の所定位置との相対変位を計測することができ、上記と同様の効果を得ることができる。
【0039】
また、上記実施形態では、変位計として、レーザ変位計を用いたが本発明はこれに限定されず、支持体に固定されて、非接触で伝熱管32の所定位置との距離及び/または振止部材34の所定位置との距離を測定できるものであればよい。例えば、伝熱管32と振止部材34とを撮影し、画像解析により相対距離を算出する方法も用いることができる。また、支持体62の構成は特に限定されず、試験体14の全体を覆う板状部材としても、棒状の部材としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上のように、本発明にかかる相対変位計測方法及び相対変位計測装置は、蒸気発生器の性能評価に有用であり、特に、蒸気発生器の振止部材の防振性の測定に用いることに適している。
【符号の説明】
【0041】
10、50 試験機
12 加振装置
14 試験体
16、60 相対変位計測装置
20 架台
22 支持部
24 加振手段
30 管群外筒
32 伝熱管
34 振止部材
36 保持部材
40 変位計本体
42 ターゲット
64、66 位置検出器
62 支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝熱管と振止部材との間で発生する相対変位を検出する相対変位計測方法であって、
前記伝熱管に配置された距離測定手段により、前記振止部材に配置されたターゲットとの距離を測定する測定ステップと、
前記測定ステップにより測定した間隔に基づいて、前記伝熱管と前記振止部材との相対変位を算出する算出ステップとを有することを特徴とする相対変位計測方法。
【請求項2】
さらに、前記伝熱管を保持する保持手段を振動させる加振ステップと、を有し、
前記測定ステップは、前記加振ステップで振動させられている時に前記ターゲットとの距離を測定することを特徴とする請求項1に記載の相対変位計測方法。
【請求項3】
伝熱管と、前記伝熱管の間に配置され、前記伝熱管の振動を抑制する振止部材とを有する蒸気発生器の相対変位計測装置であって、
前記伝熱管に固定された計測器本体と、
前記振止部材に固定されたターゲットと、を有し、
前記計測器本体は、前記ターゲットとの距離を計測して前記伝熱管と前記振止部材との距離を測定することを特徴とする相対変位計測装置。
【請求項4】
前記計測器本体は、前記ターゲットとの距離に応じて変化する渦電流を検出して前記ターゲットとの距離を計測することを特徴とする請求項3に記載の相対変位計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−197096(P2010−197096A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39652(P2009−39652)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】