説明

相関演算方法、相関演算装置、焦点検出装置および撮像装置

【課題】同一性が崩れた一対のデータ列の相関関係を演算する。
【解決手段】複数の第1データA1,A2,・・が一次元上に配列された第1データ列ANと、複数の第2データB1,B2,・・が一次元上に配列された第2データ列BNとを、一次元上で変位量を変えながら相対的に変位させ、第1データ列ANと第2データ列BNの間の相関量を演算して相関量の極値が得られる変位量を求める相関演算方法において、複数の第1データAn、An+1のN階(ただし、N=1,2,・・)の差分データ(An−An+1)から成る第3データ列と、複数の第2データBn+k、Bn+1+kのN階の差分データ(Bn+k−Bn+1+k)から成る第4データ列との間で内積演算を行い、算出された演算値を相関量とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は相関演算方法、相関演算装置、焦点検出装置および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一対の物体像に対応する一対の信号データ列(A1,A2,・・),(B1,B2,・・)をシフト量Lを変えながら比較し、相関量C(L)をC(L)=Σ|Ai−Bi+L|(ただし、Σは所定範囲(i=q〜r)における総和演算を表す)により算出し、相関量C(L)の極値を与えるシフト量Lに基づいて像ズレ量を演算するようにした相関演算方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この出願の発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
【特許文献1】特開平04−338905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の相関演算方法では、一対のデータ列が2つの同一のデータ列を相対的にシフトしたものであるという前提のもとに考案された相関演算方法であるため、同一性が崩れている一対のデータ列に適用すると、算出されたシフト量の誤差が増大したり、シフト量の演算が不能になることがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 請求項1の発明は、複数の第1データが一次元上に配列された第1データ列と、複数の第2データが一次元上に配列された第2データ列とを、一次元上で変位量を変えながら相対的に変位させ、前記第1データ列と前記第2データ列の間の相関量を演算して前記相関量の極値が得られる前記変位量を求める相関演算方法において、前記複数の第1データのN階(ただし、N=1,2,・・)の差分データから成る第3データ列と、前記複数の第2データのN階の差分データから成る第4データ列との間で内積演算を行い、算出された演算値を前記相関量とする相関演算方法である。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載の相関演算方法において、前記内積演算に用いた前記複数の第1データと前記複数の第2データにより前記演算値を正規化するようにしたものである。
(3) 請求項3の発明は、請求項1に記載の相関演算方法において、一次元上の所定位置の近傍における前記第3データ列のM個(ただし、M=2,3,・・)のデータと、前記第4データ列のM個のデータとをそれぞれM次元のベクトルの成分としてベクトルの内積演算を行って局所的相関量を算出し、前記内積演算に用いた前記複数の第1データと前記複数の第2データにより前記局所的相関量を正規化する演算を、一次元上の前記所定位置を所定区間に亘って移動させて行い、前記局所的相関量を積算して前記相関量を算出するようにしたものである。
(4) 請求項4の発明は、請求項1に記載の相関演算方法において、一次元上の所定位置の近傍における前記第3データ列のM個(ただし、M=2,3,・・)のデータと、前記第4データ列のM個のデータとをそれぞれM次元のベクトルの成分としてベクトルの内積演算を行って局所的相関量を算出する演算を、一次元上の前記所定位置を所定区間に亘って移動させて行い、前記局所的相関量を積算して該積算値を前記内積演算に用いた前記複数の第1データと前記複数の第2データにより正規化して前記相関量を算出するようにしたものである。
(5) 請求項5の発明は、複数の第1データが一次元上に配列された第1データ列と、複数の第2データが一次元上に配列された第2データ列とを、一次元上で変位量を変えながら相対的に変位させ、前記第1データ列と前記第2データ列の間の相関量を演算して前記相関量の極値が得られる前記変位量を求める相関演算方法において、前記複数の第1データのN階(ただし、N=1,2,・・)の差分データから成る第3データ列と、前記複数の第2データのN階の差分データから成る第4データ列との間で外積演算を行い、算出された演算値を前記相関量とする相関演算方法である。
(6) 請求項6の発明は、請求項5に記載の相関演算方法において、前記外積演算に用いた前記複数の第1データと前記複数の第2データにより前記演算値を正規化するようにしたものである。
(7) 請求項7の発明は、請求項5に記載の相関演算方法において、一次元上の所定位置の近傍における前記第3データ列のM個(ただし、M=2,3,・・)のデータと、前記第4データ列のM個のデータとをそれぞれM次元のベクトルの成分としてベクトルの外積演算を行って局所的相関量を算出し、前記外積演算に用いた前記複数の第1データと前記複数の第2データにより前記局所的相関量を正規化する演算を、一次元上の前記所定位置を所定区間に亘って移動させて行い、前記局所的相関量を積算して前記相関量を算出するようにしたものである。
(8) 請求項8の発明は、請求項5に記載の相関演算方法において、一次元上の所定位置の近傍における前記第3データ列のM個(ただし、M=2,3,・・)のデータと、前記第4データ列のM個のデータとをそれぞれM次元のベクトルの成分としてベクトルの外積演算を行って局所的相関量を算出する演算を、一次元上の前記所定位置を所定区間に亘って移動させて行い、前記局所的相関量を積算して該積算値を前記外積演算に用いた前記複数の第1データと前記複数の第2データにより正規化して前記相関量を算出するようにしたものである。
(9) 請求項9の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の相関演算方法により、前記相関量の極値が得られる前記変位量を求める演算手段を備えた相関演算装置である。
(10) 請求項10の発明は、結像光学系を通る一対の光束を受光し、この一対の光束が前記結像光学系の予定焦点面上に形成する一対の像に対応する一対のデータ列を生成する瞳分割像検出手段と、前記一対のデータ列の間の相関量の極値が得られる変位量を求める請求項9に記載の相関演算装置と、前記変位量に基づいて前記結像光学系の焦点調節状態を検出する焦点検出手段とを備えた焦点検出装置である。
(11) 請求項11の発明は、請求項10に記載の焦点検出装置と、マイクロレンズと光電変換部から成る撮像用画素と焦点検出用画素が配列された撮像素子とを備え、前記瞳分割像検出手段は、前記焦点検出用画素の出力に基づいて前記一対のデータ列を生成する撮像装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、同一性が崩れた一対のデータ列の相関関係を正確に演算することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
一実施の形態の撮像素子および撮像装置として、レンズ交換式デジタルスチルカメラを例に上げて説明する。図1は一実施の形態のカメラの構成を示すカメラの横断面図である。一実施の形態のデジタルスチルカメラ201は交換レンズ202とカメラボディ203から構成され、交換レンズ202がマウント部204を介してカメラボディ203に装着される。カメラボディ203にはマウント部204を介して種々の撮影光学系を有する交換レンズ202が装着可能である。
【0008】
交換レンズ202はレンズ209、ズーミング用レンズ208、フォーカシング用レンズ210、絞り211、レンズ駆動制御装置206などを備えている。レンズ駆動制御装置206は不図示のマイクロコンピューター、メモリ、駆動制御回路などから構成され、フォーカシング用レンズ210の焦点調節と絞り211の開口径調節のための駆動制御や、ズーミング用レンズ208、フォーカシング用レンズ210および絞り211の状態検出などを行う他、後述するボディ駆動制御装置214との通信によりレンズ情報の送信とカメラ情報の受信を行う。絞り211は、光量およびボケ量調整のために光軸中心に開口径が可変な開口を形成する。
【0009】
カメラボディ203は撮像素子212、ボディ駆動制御装置214、液晶表示素子駆動回路215、液晶表示素子216、接眼レンズ217、メモリカード219などを備えている。撮像素子212には、撮像画素が二次元状に配置されるとともに、焦点検出位置に対応した部分に焦点検出画素が組み込まれている。この撮像素子212については詳細を後述する。
【0010】
ボディ駆動制御装置214はマイクロコンピューター、メモリ、駆動制御回路などから構成され、撮像素子212の駆動制御と画像信号および焦点検出信号の読み出しと、焦点検出信号に基づく焦点検出演算と交換レンズ202の焦点調節を繰り返し行うとともに、画像信号の処理と記録、カメラの動作制御などを行う。また、ボディ駆動制御装置214は電気接点213を介してレンズ駆動制御装置206と通信を行い、レンズ情報の受信とカメラ情報(デフォーカス量や絞り値など)の送信を行う。
【0011】
液晶表示素子216は電気的なビューファインダー(EVF:Electronic View Finder)として機能する。液晶表示素子駆動回路215は撮像素子212によるスルー画像を液晶表示素子216に表示し、撮影者は接眼レンズ217を介してスルー画像を観察することができる。メモリカード219は、撮像素子212により撮像された画像を記憶する画像ストレージである。
【0012】
交換レンズ202を通過した光束により、撮像素子212の受光面上に被写体像が形成される。この被写体像は撮像素子212により光電変換され、画像信号と焦点検出信号がボディ駆動制御装置214へ送られる。
【0013】
ボディ駆動制御装置214は、撮像素子212の焦点検出画素からの焦点検出信号に基づいてデフォーカス量を算出し、このデフォーカス量をレンズ駆動制御装置206へ送る。また、ボディ駆動制御装置214は、撮像素子212からの画像信号を処理して画像を生成し、メモリカード219に格納するとともに、撮像素子212からのスルー画像信号を液晶表示素子駆動回路215へ送り、スルー画像を液晶表示素子216に表示させる。さらに、ボディ駆動制御装置214は、レンズ駆動制御装置206へ絞り制御情報を送って絞り211の開口制御を行う。
【0014】
レンズ駆動制御装置206は、フォーカシング状態、ズーミング状態、絞り設定状態、絞り開放F値などに応じてレンズ情報を更新する。具体的には、ズーミング用レンズ208とフォーカシング用レンズ210の位置と絞り211の絞り値を検出し、これらのレンズ位置と絞り値に応じてレンズ情報を演算したり、あるいは予め用意されたルックアップテーブルからレンズ位置と絞り値に応じたレンズ情報を選択する。
【0015】
レンズ駆動制御装置206は、受信したデフォーカス量に基づいてレンズ駆動量を算出し、レンズ駆動量に応じてフォーカシング用レンズ210を合焦位置へ駆動する。また、レンズ駆動制御装置206は受信した絞り値に応じて絞り211を駆動する。
【0016】
図2は、交換レンズ202の撮影画面上における焦点検出位置を示す図であり、後述する撮像素子212上の焦点検出画素列が焦点検出の際に撮影画面上で像をサンプリングする領域(焦点検出エリア、焦点検出位置)の一例を示す。この例では、矩形の撮影画面100上の中央および上下の3箇所に焦点検出エリア101〜103が配置される。長方形で示す焦点検出エリアの長手方向に、焦点検出画素が直線的に配列される。
【0017】
図3は撮像素子212の詳細な構成を示す正面図であり、撮像素子212上の焦点検出エリア101の近傍を拡大して示す。撮像素子212には撮像画素310が二次元正方格子状に稠密に配列されるとともに、焦点検出エリア101に対応する位置には焦点検出用の焦点検出画素313、314が垂直方向の直線上に隣接して交互に配列される。なお、図示を省略するが、焦点検出エリア102、103の近傍の構成も図3に示す構成と同様である。
【0018】
撮像画素310は、図4に示すようにマイクロレンズ10、光電変換部11、および色フィルター(不図示)から構成される。色フィルターは赤(R)、緑(G)、青(B)の3種類からなり、それぞれの分光感度は図6に示す特性になっている。撮像素子212には、各色フィルターを備えた撮像画素310がベイヤー配列されている。
【0019】
焦点検出画素313は、図5(a)に示すようにマイクロレンズ10と光電変換部13とから構成され、光電変換部13の形状は半円形である。また、焦点検出画素314は、図5(b)に示すようにマイクロレンズ10と光電変換部14とから構成され、光電変換部14の形状は半円形である。焦点検出画素313と焦点検出画素314とをマイクロレンズ10を重ね合わせて表示すると、光電変換部13と14が垂直方向に並んでいる。焦点検出画素313と焦点検出画素314は、焦点検出エリア101〜103において垂直方向(光電変換部13と14の並び方向)に交互に配置される。
【0020】
焦点検出画素313、314には光量をかせぐために色フィルターが設けられておらず、その分光特性は光電変換を行うフォトダイオードの分光感度と、赤外カットフィルター(不図示)の分光特性とを総合した分光特性(図7参照)となる。つまり、図6に示す緑画素、赤画素および青画素の分光特性を加算したような分光特性となり、その感度の光波長領域は緑画素、赤画素および青画素の感度の光波長領域を包括している。
【0021】
焦点検出用の焦点検出画素313、314は、撮像画素310のBとGが配置されるべき列に配置されている。焦点検出用の焦点検出画素313、314が、撮像画素310のBとGが配置されるべき列に配置されているのは、画素補間処理において補間誤差が生じた場合に、人間の視覚特性上、赤画素の補間誤差に比較して青画素の補間誤差が目立たないためである。
【0022】
撮像画素310の光電変換部11は、マイクロレンズ10によって最も明るい交換レンズの射出瞳径(例えばF1.0)を通過する光束をすべて受光するような形状に設計される。また、焦点検出画素313、314の光電変換部13、14は、マイクロレンズ10によって交換レンズの射出瞳の所定の領域(例えばF2.8)を通過する光束をすべて受光するような形状に設計される。
【0023】
図8は撮像画素310の断面図である。撮像画素310では撮像用の光電変換部11の前方にマイクロレンズ10が配置され、マイクロレンズ10により光電変換部11の形状が前方に投影される。光電変換部11は半導体回路基板29上に形成される。なお、不図示の色フィルターはマイクロレンズ10と光電変換部11の中間に配置される。
【0024】
図9(a)は焦点検出画素313の断面図である。画面中央の焦点検出エリア101に配置された焦点検出画素313において、光電変換部13の前方にマイクロレンズ10が配置され、マイクロレンズ10により光電変換部13の形状が前方に投影される。光電変換部13は半導体回路基板29上に形成されるとともに、その上にマイクロレンズ10が半導体イメージセンサーの製造工程により一体的かつ固定的に形成される。なお、画面上下の焦点検出エリア102、103に配置された焦点検出画素313の断面構造についても、図9(a)に示す断面構造と同様である。
【0025】
図9(b)は焦点検出画素314の断面図である。画面中央の焦点検出エリア101に配置された焦点検出画素314において、光電変換部14の前方にマイクロレンズ10が配置され、マイクロレンズ10により光電変換部14の形状が前方に投影される。光電変換部14は半導体回路基板29上に形成されるとともに、その上にマイクロレンズ10が半導体イメージセンサーの製造工程により一体的かつ固定的に形成される。なお、画面上下の焦点検出エリア102、103に配置された焦点検出画素314の断面構造についても、図9(b)に示す断面構造と同様である。
【0026】
図10は、マイクロレンズを用いた瞳分割型位相差検出方式の焦点検出光学系の構成を示す。なお、焦点検出画素の部分は拡大して示す。図において、90は、交換レンズ202(図1参照)の予定結像面に配置されたマイクロレンズから前方dの距離に設定された射出瞳である。この距離dは、マイクロレンズの曲率、屈折率、マイクロレンズと光電変換部との間の距離などに応じて決まる距離であって、この明細書では測距瞳距離と呼ぶ。91は交換レンズの光軸、10a〜10dはマイクロレンズ、13a、13b、14a、14bは光電変換部、313a、313b、314a、314bは焦点検出画素、73,74、83,84は焦点検出光束である。
【0027】
また、93は、マイクロレンズ10a、10cにより投影された光電変換部13a、13bの領域であり、この明細書では測距瞳と呼ぶ。図10では、説明を解りやすくするために楕円形の領域で示しているが、実際には光電変換部の形状が拡大投影された形状になる。同様に、94は、マイクロレンズ10b、10dにより投影された光電変換部14a、14bの領域であり、この明細書では測距瞳と呼ぶ。図10では、説明を解りやすくするために楕円形の領域で示しているが、実際には光電変換部の形状が拡大投影された形状になる。
【0028】
図10では、撮影光軸に隣接する4つの焦点検出画素313a、313b、314a、314bを模式的に例示しているが、焦点検出エリア101のその他の焦点検出画素においても、また画面周辺部の焦点検出エリア102、103の焦点検出画素においても、光電変換部はそれぞれ対応した測距瞳93、94から各マイクロレンズに到来する光束を受光するように構成されている。焦点検出画素の配列方向は一対の測距瞳の並び方向、すなわち一対の光電変換部の並び方向と一致させる。
【0029】
マイクロレンズ10a〜10dは交換レンズ202(図1参照)の予定結像面近傍に配置されており、マイクロレンズ10a〜10dによりその背後に配置された光電変換部13a、13b、14a、14bの形状がマイクロレンズ10a〜10cから測距瞳距離dだけ離間した射出瞳90上に投影され、その投影形状は測距瞳93,94を形成する。すなわち、投影距離dにある射出瞳90上で各焦点検出画素の光電変換部の投影形状(測距瞳93,94)が一致するように、各焦点検出画素におけるマイクロレンズと光電変換部の相対的位置関係が定められ、それにより各焦点検出画素における光電変換部の投影方向が決定されている。
【0030】
光電変換部13aは測距瞳93を通過し、マイクロレンズ10aに向う光束73によりマイクロレンズ10a上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、光電変換部13bは測距瞳93を通過し、マイクロレンズ10cに向う光束83によりマイクロレンズ10c上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。また、光電変換部14aは測距瞳94を通過し、マイクロレンズ10bに向う光束74によりマイクロレンズ10b上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、光電変換部14bは測距瞳94を通過し、マイクロレンズ10dに向う光束84によりマイクロレンズ10d上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
【0031】
上述した2種類の焦点検出画素を直線状に多数配置し、各画素の光電変換部の出力を測距瞳93および測距瞳94に対応した出力グループにまとめることによって、測距瞳93と測距瞳94をそれぞれ通過する焦点検出用光束が画素列上に形成する一対の像の強度分布に関する情報が得られる。この情報に対して後述する像ズレ検出演算処理(相関演算処理、位相差検出処理)を施すことによって、いわゆる瞳分割型位相差検出方式で一対の像の像ズレ量が検出される。さらに、像ズレ量に一対の測距瞳の重心間隔に応じた変換演算を行うことによって、予定結像面に対する現在の結像面(予定結像面上のマイクロレンズアレイの位置に対応した焦点検出位置における結像面)の偏差(デフォーカス量)が算出される。
【0032】
図11は、一実施の形態のデジタルスチルカメラ(撮像装置)の撮像動作を示すフローチャートである。ボディ駆動制御装置214は、ステップ100でカメラの電源がオンされると、ステップ110以降の撮像動作を開始する。ステップ110において撮像画素のデータを間引き読み出しし、電子ビューファインダーに表示させる。続くステップ120では焦点検出画素列から一対の像に対応した一対の像データを読み出す。なお、焦点検出エリアは、撮影者が焦点検出エリア選択部材(不図示)を用いて焦点検出エリア101〜103の内のいずれかを予め選択しているものとする。
【0033】
ステップ130では読み出された一対の像データに基づいて後述する像ズレ検出演算処理(相関演算処理)を行い、像ズレ量を演算してデフォーカス量に変換する。ステップ140で合焦近傍か否か、すなわち算出されたデフォーカス量の絶対値が所定値以内であるか否かを調べる。合焦近傍でないと判定された場合はステップ150へ進み、デフォーカス量をレンズ駆動制御装置206へ送信し、交換レンズ202のフォーカシングレンズ210を合焦位置に駆動させる。その後、ステップ110へ戻って上述した動作を繰り返す。
【0034】
なお、焦点検出不能な場合もこのステップに分岐し、レンズ駆動制御装置206へスキャン駆動命令を送信し、交換レンズ202のフォーカシングレンズ210を無限から至近までの間でスキャン駆動させる。その後、ステップ110へ戻って上述した動作を繰り返す。
【0035】
ステップ140で合焦近傍であると判定された場合はステップ160へ進み、シャッターボタン(不図示)の操作によりシャッターレリーズがなされたか否かを判別する。シャッターレリーズがなされていないと判定された場合はステップ110へ戻り、上述した動作を繰り返す。一方、シャッターレリーズがなされたと判定された場合はステップ170へ進み、レンズ駆動制御装置206へ絞り調整命令を送信し、交換レンズ202の絞り値を制御F値(撮影者または自動により設定されたF値)にする。絞り制御が終了した時点で、撮像素子212に撮像動作を行わせ、撮像素子212の撮像画素310および全ての焦点検出画素313,314から画像データを読み出す。
【0036】
ステップ180において、焦点検出画素列の各画素位置の画素データを焦点検出画素の周囲の撮像画素のデータに基づいて画素補間する。続くステップ190では、撮像画素のデータおよび補間されたデータからなる画像データをメモリーカード219に記憶し、ステップ110へ戻って上述した動作を繰り返す。
【0037】
図12は、図11のステップ130における焦点検出演算処理の詳細を示す示すフローチャートである。ボディ駆動制御装置214は、ステップ200からこの焦点検出演算処理(相関演算処理)を開始する。
【0038】
ステップ210において、 焦点検出画素列から出力される一対のデータ列(α1〜αM、β1〜βM:Mはデータ数)に対して(1)式に示すような高周波カットフィルター処理を施し、第1信号データ列(A1〜AN)と第2信号データ列(B1〜BN)を生成する。これにより、信号データ列(以下、単にデータ列という)から相関処理に悪影響を及ぼすノイズ成分や高周波成分を除去することができる。なお、演算時間の短縮を図る場合や、すでに大きくデフォーカスしていて高周波成分が少ないことがわかっている場合などには、ステップ210の処理を省略することもできる。
An=αn+2・αn+1+αn+2,
Bn=βn+2・βn+1+βn+2 ・・・(1)
(1)式において、n=1〜Nである。
【0039】
データ列An、Bnは、理想的には同一データ列を相対的にシフトしたものとなるはずであるが、上述した瞳分割方式の焦点検出画素で得られる一対のデータ列では、焦点検出光束のケラレ(口径蝕)により、同一性が崩れている。
【0040】
図13は、焦点検出光束のケラレ(口径蝕)を説明するための図である。図において、位置x0(像高0)と位置x1(像高h)にある一対の焦点検出画素は、それぞれ予定焦点面92の前方dにある測距瞳面90において測距瞳領域93、94を通過する一対の焦点検出光束53,54および63、64を受光するように構成されている。予定焦点面92の前方d1(<d)の面95に光学系の絞り開口96がある場合には、位置x0(像高0)にある一対の焦点検出画素が受光する一対の焦点検出光束53,54は、絞り開口96により光軸91に対して対称に口径蝕が発生するため、一対の焦点検出画素が受光する光量のバランスは崩れない。
【0041】
これに対し、位置x1(像高h)にある一対の焦点検出画素が受光する一対の焦点検出光束63,64は、絞り開口96によって非対称に口径蝕が発生するために、一対の焦点検出画素が受光する光量のバランスは崩れてしまう。
【0042】
図14は、予定焦点面92から光軸91の方向に測距瞳面90を見た場合の図である。焦点検出光束64は絞り開口96により大きく口径蝕が発生しているのに対し、焦点検出光束63は絞り開口96による口径蝕の発生が少ないことがわかる。
【0043】
図15(a)、(b)は、図13および図14の状態において位置x0(像高0)の近傍の焦点検出画素列が受光する一対の像と、位置x1(像高h)の近傍の焦点検出画素列が受光する一対の像の強度分布(縦軸は光量、横軸は撮影画面上の位置)を示したものである。焦点検出光束の口径蝕のバランスがとれている場合には、図15(a)に示すように、一対の像信号400,401は同一の像信号関数が単に横方向にシフトしたものとなっている。これに対し、焦点検出光束の口径蝕のバランスが崩れている場合には、図15(b)に示すように、一対の像信号402,403は同一の信号を相対的にシフトしたものにはならない。
【0044】
この一実施の形態では、焦点検出光束の口径蝕により同一性が崩れた一対の像信号に対応する一対のデータ列(第1データ列と第2データ列)に対して以下のような演算処理を行い、一対の像信号間の像ズレ量を検出する。
【0045】
図12のステップ220において、まず、第1データ列(A1〜AN)に対して第2データ列(B1〜BN)を相対的にシフト(シフト量k)させて相関量を演算するにあたり、(2)式により第1データ列(A1〜AN)に属する複数の第1データ(A1,A2,A3,・・,AN)の内のデータAnの近傍の1階差分と、第2データ列(B1〜BN)に属する第2データ(B1,B2,B3,・・,BN)の内のBn+kの近傍の1階差分との内積演算を行い、データAnの近傍とデータBn+kの近傍との局所的相関量P(n)を演算する。
P(n)=−(An−An+d)・(Bn+k−Bn+k+k) ・・・(2)
(2)式において、dは整数定数(=1,2,3,・・・)である。局所的相関量P(n)は、1階差分データ(An−An+d)と1階差分データ(Bn+k−Bn+d+k)との内積演算の結果を符号反転したものとなっており、相関度が高いほど小さな値となる。
【0046】
(2)式の局所的相関量P(n)をデータの位置nを所定区間(例えばn=p〜q)に亘って積算したものが、(3)式に示す一対のデータ列のシフト量kにおける相関量C(k)となり、この相関量C(k)は一対の像信号間の同一性が崩れていた場合においても、同一性が崩れる前の像信号が一致するシフト量kにおいて極小値を取ることになる。
C(k)=ΣP(n)=−Σ(An−An+d)・(Bn+k−Bn+d+k) ・・・(3)
【0047】
図16は、d=1とした場合の上記相関量C(k)の演算と一対のデータ列(A1〜AN、B1〜BN)との関係を図式化したものである。
【0048】
ステップ230において、(3)式の演算結果は、図17(a)に示すように、一対のデータの相関が高いシフト量(図17(a)ではk=kj=2)において相関量C(k)が最小(小さいほど相関度が高い)になる。(4)式〜(7)式による3点内挿の手法を用い、連続的な相関量に対する最小値C(x)を与えるシフト量xを求める。
x=kj+D/SLOP ・・・(4),
C(x)= C(kj)−|D| ・・・(5),
D={C(kj-1)−C(kj+1)}/2 ・・・(6),
SLOP=MAX{C(kj+1)−C(kj),C(kj-1)−C(kj)} ・・・(7)
【0049】
例えば図18に示すような同一性の崩れたサイン波形の一対の像データ列に対し、(3)式に示す相関演算(d=1)を適用して相関量C(k)を求めると、図19に示すようなグラフとなる。なお、図19において、横軸がシフト量k、縦軸が(3)式による相関演算値である。
【0050】
図20に□で示すグラフは、図18に示すサイン波形の一対の像データを±1画素の範囲において0.1画素単位で相対的にずらした場合の、横軸に像ズレ量をとり、縦軸に(3)式による像ズレ量演算結果をとって示したもので、誤差がない場合には原点(0,0)を通り傾き1の直線になるはずのものである。また、図21に□で示すグラフは横軸に像ズレ量をとり、縦軸に(3)式による像ズレ量演算の誤差量をとって示したものであり、良好な結果が得られている。なお、図20および図21に■で示すグラフについては後述する。
【0051】
図12のステップ240において、(4)式で求めたシフト量xより、被写体像面の予定結像面に対するデフォーカス量DEFを(8)式で求めることができる。
DEF=KX・PY・x ・・・(8)
(8)式において、PYは検出ピッチであり、KXは一対の測距瞳の重心の開き角の大きさによって決まる変換係数である。
【0052】
算出されたデフォーカス量DEFの信頼性があるかどうかは、以下のようにして判定される。図17(b)に示すように、一対のデータの相関度が低い場合は、内挿された相関量の最小値C(x)の値が大きくなる。したがって、C(x)が所定値以上の場合は信頼性が低いと判定する。あるいは、C(x)をデータのコントラストで規格化するために、コントラストに比例した値となるSLOPでC(x)を除した値が所定値以上の場合は信頼性が低いと判定する。あるいはまた、コントラストに比例した値となるSLOPが所定値以下の場合は、被写体が低コントラストであり、算出されたデフォーカス量DEFの信頼性が低いと判定する。図17(c)に示すように、一対のデータの相関度が低く、シフト範囲kmin〜kmaxの間で相関量C(k)の落ち込みがない場合は、最小値C(x)を求めることができず、このような場合は焦点検出不能と判定する。焦点検出が可能であった場合には算出された像ズレ量に所定の変換係数を乗じてデフォーカス量を算出する。
【0053】
ステップ250で、焦点検出演算処理(相関演算処理)を終了して図11のステップ140へリターンする。
【0054】
上述したように、焦点検出光束の口径蝕により同一性が崩れた一対の像信号の像ズレ量を検出するために、一実施の形態では第1データ列(A1〜AN)に対して第2データ列(B1〜BN)を相対的にシフト(シフト量k)させて相関量を演算するにあたり、(2)式により第1データ列(A1〜AN)間の1階差分と第2データ列(B1〜BN)間の1階差分との内積演算を行い、データAnの近傍とデータBn+kの近傍との局所的相関量P(n)を演算するとともに、局所的相関量P(n)をデータの位置nを所定区間(例えばn=p〜q)に亘って積算することにより、高精度に像ズレ量の検出を行うことを特徴としている。
【0055】
ここで、第1データ列間の1階差分と第2データ列間の1階差分との内積演算により局所的相関量P(n)を演算する優位性を、第1データ列と第2データ列との間で生データどうしの内積演算により局所的相関量P(n)を演算する場合と比較して説明する。
【0056】
局所的相関量P(n)の演算に、第1データ列と第2データ列との間で生データどうしの内積演算を用いる場合には、相関量C(k)は例えば次式のように表される。
C(k)=ΣP(n)=−ΣAn・Bn+k ・・・(9)
図18に示す同一性の崩れたサイン波形の一対の像データに対し、(9)式に示す相関演算(d=1)を適用して相関量C(k)を求めると、図22に示すようなグラフとなり、元の波形のバランス崩れの影響を受け大きく歪んでいる。
【0057】
図23に□で示すグラフは、図18に示すサイン波形の一対の像データを±1画素の範囲において0.1画素単位で相対的にずらした場合の、横軸に像ズレ量をとり、縦軸に(9)式による像ズレ量演算結果をとって示したものであり、原点(0,0)を通り傾き1の直線から大きくずれてしまい、大きな誤差を生じてしまう。
【0058】
別な例として、図24に示すような同一性の崩れたステップ波形の一対の像データに対し、(9)式に示す相関演算(d=1)を適用して相関量C(k)を求めると、図25に示すグラフになり、元の波形のバランス崩れの影響を受け大きく歪んでいる。図26に□で示すグラフは、図24に示すステップ波形の一対の像データを±1画素の範囲において0.1画素単位で相対的にずらした場合の、横軸に像ズレ量をとり、縦軸に(9)式による像ズレ量演算結果をとって示したものであり、原点(0,0)を通り傾き1の直線から大きくずれてしまい、大きな誤差を生じてしまう。
【0059】
これに対し、図24に示すような同一性の崩れたステップ波形の一対の像データに対して(3)式に示す相関演算(d=1)を適用して相関量C(k)を求めると、図27に示すようなグラフになり、元の波形のバランス崩れの影響はほとんど受けていない。図28に□で示すグラフは、図24に示すステップ波形の一対の像データを±1画素の範囲において0.1画素単位で相対的にずらした場合の、横軸に像ズレ量をとり、縦軸に(3)式による像ズレ量演算結果をとって示したものであり、図26に比較して誤差が少なくなっている。また、図29に□で示すグラフは横軸に像ズレ量をとり、縦軸に(3)式による像ズレ量演算の誤差量をとって示したものである。
【0060】
以上の結果は、生データどうしの内積演算では元の波形の歪みの影響を十分に取り切ることができず、1階差分データどうしの内積演算により元の波形の歪みの影響を効率的に取り除くことができることを示している。
【0061】
なお、上述した一実施の形態では、複数の第1データが一次元上に配列された第1データ列(A1〜AN)と、複数の第2データが一次元上に配列された第2データ列(B1〜BN)とを、一次元上で変位量を変えながら相対的に変位させ、第1データ列と第2データ列の間の相関量を演算して相関量の極値が得られる変位量を求める相関演算方法において、複数の第1データの1階の差分データから成る第3データ列と、複数の第2データの1階の差分データから成る第4データ列との間で内積演算を行い、算出された演算値を相関量とする例を示したが、差分データは2階以上としてもよい。
【0062】
また、一次元上の所定位置の近傍における上記第3データ列のM個(ただし、M=2,3,・・)のデータと、上記第4データ列のM個のデータとをそれぞれM次元のベクトルの成分としてベクトルの内積演算を行って局所的相関量を算出するとともに、内積演算に用いた複数の第1データと複数の第2データにより局所的相関量を正規化する演算を、一次元上の所定位置を所定区間に亘って移動させて行い、局所的相関量を積算して相関量を算出するようにしてもよい。
【0063】
あるいは、一次元上の所定位置の近傍における上記第3データ列のM個(ただし、M=2,3,・・)のデータと、上記第4データ列のM個のデータとをそれぞれM次元のベクトルの成分としてベクトルの内積演算を行って局所的相関量を算出する演算を、一次元上の所定位置を所定区間に亘って移動させて行い、局所的相関量を積算して該積算値を内積演算に用いた複数の第1データと複数の第2データにより正規化して相関量を算出するようにしてもよい。
【0064】
《発明の他の実施の形態》
以上説明した実施形態では、第1データ列間の1階差分と第2データ列間の1階差分との内積演算により局所的相関量P(n)を算出し、この局所的相関量P(n)をデータの位置nを所定区間に亘って積算することによって、歪みが生じた一対の像に対して高精度に像ズレ量の検出を行う例を示したが、本発明はこのような相関演算方法に限定されるものではなく、以下に示す相関演算方法としてもよい。
【0065】
(3)式に示す相関量の演算では、(2)式で算出する局所的相関量P(n)(1階差分データどうしの内積演算の値)をそのまま積算する例を示したが、(10)式〜(13)式に示すように、内積演算に用いるデータに応じて正規化処理を行うことによって、一対の像の歪みの影響をさらに緩和することができる。
P(n)=(An−An+d−Ma)・(Bn+k−Bn+d+k−Mb) ・・・(10),
Ma=Σ(An−An+d)/N ・・・(11),
Mb=Σ(Bn+k−Bn+d+k)/N ・・・(12),
C(k)=1−ΣP(n)/{Sqrt(Σ(An−An+d))・Sqrt(Σ(Bn+k−Bn+d+k))} ・・・(13)
なお、(11)式、(12)式において、Nは(11)式〜(13)式のΣ演算の積算数であり、Sqrt( )は平方根を表す。
【0066】
図18に示すような同一性の崩れたサイン波形の一対の像データに対し、(13)式に示す相関演算(d=1)を適用して相関量C(k)を求めると、図30に示すようなグラフになる。また、上記図20に■印で示すグラフは、図18に示すサイン波形の一対の像データを±1画素の範囲において0.1画素単位で相対的にずらした場合の、横軸に像ズレ量をとり、縦軸に(13)式による像ズレ量演算結果をとって示したものである。また、上記図21に■印で示すグラフは、横軸に像ズレ量をとり、縦軸に(13)式による像ズレ演算結果の誤差量をとって示したものであり、良好な結果が得られている。
【0067】
図24に示すような同一性の崩れたステップ波形の一対の像データに対し、(13)式に示す相関演算(d=1)を適用して相関量C(k)を求めると図31に示すようなグラフとなる。上記図28に■印で示すグラフは、図24に示すステップ波形の一対の像データを±1画素の範囲において0.1画素単位で相対的にずらした場合の、横軸に像ズレ量をとり、縦軸に(13)式による像ズレ量演算の結果をとって示したものであり、□印で示す上述した(3)式による像ズレ量演算のグラフとほぼ重なっている。また、上記図29に■印で示すグラフは横軸に像ズレ量をとり、縦軸に(13)式による像ズレ量演算の誤差量をとって示したものであり、□印で示す上述した(3)式による像ズレ量演算の誤差量とほぼ重なっている。
【0068】
ここで、1階差分データどうしの内積演算を正規化した場合の優位性について、生データどうしの内積演算を正規化した場合((14)式〜(17)式)と比較して説明する。
P(n)=(An−Ma)・(Bn+k−Mb) ・・・(14),
Ma=ΣAn/N ・・・(15),
Mb=ΣBn+k/N ・・・(16),
C(k)=1−ΣP(n)/{Sqrt(ΣAn)・Sqrt(ΣBn+k)} ・・・(17)
【0069】
図18に示すような同一性の崩れたサイン波形の一対の像データに対し、(17)式に示す相関演算(d=1)を適用して相関量C(k)を求めると、図32に示すようなグラフとなり、図22に比較して歪みの影響は少なくなる。上記図23に■印で示すグラフは、図18に示すサイン波形の一対の像データを±1画素の範囲において0.1画素単位で相対的にずらした場合の、横軸に像ズレ量をとり、縦軸に(17)式による像ズレ量演算結果をとって示したものであり、図33は(17)式による像ズレ量演算結果の誤差量を示す。図23に□印のグラフで示す(9)式による像ズレ量演算の結果よりは改善しているが、図28、図29に示す(13)式による像ズレ量演算結果には及ばない。
【0070】
図24に示すような同一性の崩れたステップ波形の一対の像データに対し、(17)式に示す相関演算(d=1)を適用して相関量C(k)を求めると、図34に示すようなグラフとなる。上記図26に■印で示すグラフは、図24に示すステップ波形の一対の像データを±1画素の範囲において0.1画素単位で相対的にずらした場合の、横軸に像ズレ量をとり、縦軸に(17)式による像ズレ量演算結果をとって示したものであり、□印のグラフで示す(9)式による演算結果よりは改善しているが、図28に示す(13)式による演算結果には及ばない。
【0071】
正規化の方式としては、(10)式〜(13)式以外に下記の(18)式、(19)式に示すような簡略化した方式も可能である。
P(n)=(An−An+d)・(Bn+k−Bn+d+k) ・・・(18),
C(k)=1−ΣP(n)/{(ΣAn/N)・(ΣBn+k/N)} ・・・(19)
【0072】
(10)式〜(13)式の正規化方法および(18)式、(19)式の正規化方法においては、いったん局所的相関量P(n)の積算を行った後に、正規化のために第1データ列の積算量(Sqrt(Σ(An−An+d))、ΣAn/N)、および第1データ列の積算量(Sqrt(Σ(Bn+k−Bn+d+k))、ΣBn+k/N)で一律に正規化を行っているが、局所的相関量P(n)ごとに個々に正規化を行い、それを積算して相関量C(k)を求めるようにしてもよい。このようにすれば、個々の局所的相関量P(n)ごとに像歪みの影響を軽減できるので、さらに像ズレ検出精度の向上が期待できる。
【0073】
例えば(20)式、(21)式に示すように局所的相関量P(n)と相関量C(k)を演算する。
P(n)=(An−An+d)・(Bn+k−Bn+d+k)/{Sqrt(An+An+d)・Sqrt(Bn+k+Bn+d+k)} ・・・(20),
C(k)=W−ΣP(n) ・・・(21)
(21)式において、Wは所定の定数である。なお、(20)式の代わりに(22)式を用いることもできる。
P(n)=(An−An+d)・(Bn+k−Bn+d+k)/{(An+An+d)・(Bn+k+Bn+d+k)} ・・・(22)
【0074】
《発明の他の実施の形態》
上述した(2)式では局所的相関量P(n)を1階差分データどうしの内積演算とした例を示したが、(23)式に示すように2階差分データどうしの内積演算とすることもできる。
P(n)=−(An−2・An+d+An+2d)・(Bn+k−2・Bn+d+k+Bn+2d+k) ・・・(23)
(23)式において、dは整数定数(=1,2,3,・・・)である。また、局所的相関量P(n)は、2階差分データ(An−2・An+d+An+2d)と2階差分データ(Bn+k−2・Bn+d+k+Bn+2d+k)との内積演算の結果を符号反転したものであり、相関度が高いほど小さな値となる。
【0075】
(23)式の局所的相関量P(n)をデータの位置nを所定区間(例えばn=p〜q)に亘って積算したものが、(24)式に示す一対のデータ間のシフト量kにおける相関量C(k)となり、この相関量C(k)は、一対の像信号間の同一性が崩れていた場合でも、同一性が崩れる前の像信号が一致するシフト量kにおいて極小値を取ることになる。
C(k)=ΣP(n)=−Σ(An−2・An+d+An+2d)・(Bn+k−2・Bn+d+k+Bn+2d+k) ・・・(24)
【0076】
図18に示すような同一性の崩れたサイン波形の一対の像データに対し、(24)式に示す相関演算(d=1)を適用して相関量C(k)を求めると、図35に示すようなグラフとなる。また、図36に□印で示すグラフは、図18に示すサイン波形の一対の像データを±1画素の範囲において0.1画素単位で相対的にずらした場合の、横軸を像ズレ量、縦軸を(24)式による像ズレ量演算結果を示す。さらに、図37に□印で示すグラフは横軸を像ズレ量、縦軸を(24)式による像ズレ量演算の誤差量を示し、良好な結果が得られている。
【0077】
図24に示すような同一性の崩れたステップ波形の一対の像データに対し、(24)式に示す相関演算(d=1)を適用して相関量C(k)を求めると、図38に示すようなグラフとなり、元の波形のバランス崩れの影響はほとんど受けていない。図39に□印で示すグラフは、図24に示すステップ波形の一対の像データを±1画素の範囲において0.1画素単位で相対的にずらした場合の、横軸に像ズレ量をとり、縦軸に(24)式による像ズレ量演算結果をとって示したものである。また、図40に□印で示すグラフは横軸に像ズレ量をとり、縦軸に(24)式による像ズレ量演算の誤差量をとって示したものであり、良好な結果が得られている。
【0078】
(24)式に示す相関量演算において、(23)式により算出する局所的相関量P(n)(2階差分データどうしの内積演算の値)をそのまま積算しているが、(25)式〜(28)式に示すように、内積演算に用いるデータに応じて正規化処理を行うことにより、一対の像の歪みの影響をさらに緩和することができる。
P(n)=(An−2・An+d+An+2d−Ma)・(Bn+k−2・Bn+d+k+Bn+2d+k−Mb) ・・・(25),
Ma=Σ(An−2・An+d+An+2d)/N ・・・(26),
Mb=Σ(Bn+k−2・Bn+d+k+Bn+2d+k)/N ・・・(27),
C(k)=1−ΣP(n)/{Sqrt(Σ(An−2・An+d+An+2d))・Sqrt(Σ(Bn+k−2・Bn+d+k+Bn+2d+k))} ・・・(28)
(26)式、(27)式において、Nは(25)式〜(28)式のΣ演算の積算数である。
【0079】
図18に示すような同一性の崩れたサイン波形の一対の像データに対し、(28)式に示す相関演算(d=1)を適用して相関量C(k)を求めると、図41に示すようなグラフとなる。上記図36に■印で示すグラフは、図18に示すサイン波形の一対の像データを±1画素の範囲において0.1画素単位で相対的にずらした場合の、横軸に像ズレ量をとり、縦軸に(28)式による像ズレ量演算結果をとって示したものである。また、上記図37に■印で示すグラフは横軸に像ズレ量をとり、縦軸に(28)式による像ズレ量演算の誤差量をとって示したものであり、良好な結果が得られている。
【0080】
図24に示すような同一性の崩れたステップ波形の一対の像データに対し、(28)式に示す相関演算(d=1)を適用して相関量C(k)を求めると、図42に示すようなグラフとなる。上記図39に■印で示すグラフは、同図中に□印のグラフで示す上述した(24)式による演算結果とほぼ重なっているが、図24に示すステップ波形の一対の像データを±1画素の範囲において0.1画素単位で相対的にずらした場合の、横軸に像ズレ量をとり、縦軸に(28)式による像ズレ量演算結果をとって示したものである。また、上記図40に■印で示すグラフは、同図中に□印のグラフで示す(24)式による像ズレ量演算の誤差量を示すグラフと重なっているが、横軸に像ズレ量をとり、縦軸に(28)式による像ズレ量演算の誤差量をとって示したものであり、良好な結果が得られている。
【0081】
正規化の方式としては、(25)式〜(28)式以外に(29)式、(30)式のような簡略化した方式も可能である。
P(n)=(An−2・An+d+An+2d)・(Bn+k−2・Bn+d+k+Bn+2d+k) ・・・(29),
C(k)=1−ΣP(n)/{(ΣAn/N)・(ΣBn+k/N)} ・・・(30)
【0082】
(25)式〜(28)式の正規化方法および(29)式、(30)式の正規化方法においては、いったん局所的相関量P(n)の積算を行った後に、正規化のために第1データ列の積算量(Sqrt(Σ(An−2・An+d+An+2d))、ΣAn/N)、および第2データ列の積算量(Sqrt(Σ(Bn+k−2・Bn+d+k+Bn+2d+kk))、ΣBn+k/N)で一律に正規化を行う例を示したが、局所的相関量P(n)ごとに個々に正規化を行い、それを積算して相関量C(k)を求めるようにしてもよい。このようにすれば個々の局所的相関量P(n)ごとに像歪みの影響を軽減できるので、さらに像ズレ検出精度の向上が期待できる。
【0083】
例えば(31)式、(32)式に示す局所的相関量P(n)と相関量C(k)を演算する。
P(n)=(An−2・An+d+An+2d)・(Bn+k−2・Bn+d+k+Bn+2d+k)/{Sqrt(An+An+d+An+2d)・Sqrt(Bn+k+Bn+d+k+Bn+2d+k)}・・・(31),
C(k)=W−ΣP(n) ・・・(32)
(32)式において、Wは所定の定数である。なお、(31)式の代わりに(33)式を用いることもできる。
P(n)=(An−2・An+d+An+2d)・(Bn+k−2・Bn+d+k+Bn+2d+k)/{(An+An+d+An+2d)・(Bn+k+Bn+d+k+Bn+2d+k)} ・・・(33)
【0084】
この他の実施の形態では、局所的相関量P(n)に、一対のデータ列の1階差分データどうしの内積演算、あるいは2階差分データどうしの内積演算を用いた例を示したが、3階以上の差分データどうしの内積演算を用いてもよい。また、正規化演算に対しては、内積演算を略正規化できる演算、例えばデータの相乗平均などであれば適用可能である。
【0085】
《発明の他の実施の形態》
以上説明した実施形態では、第1データ列間の1階以上の差分データと第2データ列間の1階以上の差分データとの内積演算により算出した局所的相関量P(n)を、データの位置nを所定区間に亘って積算することによって、歪みが生じた一対の像に対して高精度に像ズレ量の検出を行う例を示したが、本発明はこれらの相関演算方法に限定されるものではなく、以下に示すような他の実施形態も可能である。
【0086】
(2)式では局所的相関量P(n)を1階差分データどうしの内積演算とした例を示したが、(34)式に示すように1階差分データどうしの外積演算としてもよい。
P(n)=|(An−An+d)・(Bn+d+k−Bn+2d+k)−(An+d−An+2d)・(Bn+k−Bn+d+k)| ・・・(34)
(34)式において、dは整数定数(=1,2,3,・・・)である。局所的相関量P(n)は、1階差分データの組{(An−An+d)、(An+d−An+2d)}と,
1階差分データの組{(Bn+k−Bn+d+k)、(Bn+d+k−Bn+2d+k)}を2次元ベクトルの成分と考えた場合の外積演算の絶対値をとったものとなっており、相関度が高いほど小さな値となる。
【0087】
(34)式の局所的相関量P(n)をデータの位置nを所定区間(例えばn=p〜q)に亘って積算したものが、(35)式に示すように一対のデータ間のシフト量kにおける相関量C(k)となり、この相関量C(k)は、一対の像信号間の同一性が崩れていた場合でも、同一性が崩れる前の像信号が一致するシフト量kにおいて極小値を取ることになる。
C(k)=ΣP(n)=Σ|(An−An+d)・(Bn+d+k−Bn+2d+k)−(An+d−An+2d)・(Bn+k−Bn+d+k)| ・・・(35)
【0088】
図18に示すような同一性の崩れたサイン波形の一対の像データに対し、(35)式に示す相関演算(d=1)を適用して相関量C(k)を求めると、図43に示すようなグラフとなる。図44に□印で示すグラフは、図18に示すサイン波形の一対の像データを±1画素の範囲において0.1画素単位で相対的にずらした場合の、横軸に像ズレ量をとり、縦軸に(35)式による像ズレ量演算結果をとって示したものである。また、図45に□印で示すグラフは横軸に像ズレ量をとり、縦軸に(35)式による像ズレ量演算の誤差量をとって示したものであり、良好な結果が得られている。
【0089】
さらに、局所的相関量P(n)を1階以上の差分データどうしの外積演算とすることも可能であるとともに、正規化処理を適用することも可能である。
【0090】
(34)式において、局所的相関量P(n)は、1階差分データの組{(An−An+d)、(An+d−An+2d)}と1階差分データの組{(Bn+k−Bn+d+k)、(Bn+d+k−Bn+2d+k)}を2次元ベクトルの成分と考えた場合の外積演算としたが、(36)式に示すように局所的相関量P(n)を1階差分データの組{(An−An+d)、(An+d−An+2d)、(An+2d−An+3d)}と、1階差分データの組{(Bn+k−Bn+d+k)、(Bn+d+k−Bn+2d+k)、(Bn+2d+k−Bn+3d+k)}を3次元ベクトルの成分と考えた場合の外積演算(外積により生成されるベクトルの大きさ)としてもよい。
P(n)={(An−An+d)・(Bn+d+k−Bn+2d+k)−(An+d−An+2d)・(Bn+k−Bn+d+k)}+{(An−An+d)・(Bn+2d+k−Bn+3d+k)−(An+2d−An+3d)・(Bn+k−Bn+d+k)}+{(An+d−An+2d)・(Bn+2d+k−Bn+3d+k)−(An+2d−An+3d)・(Bn+d+k−Bn+2d+k)} ・・・(36)
【0091】
なお、上述した一実施の形態では、複数の第1データが一次元上に配列された第1データ列(A1〜AN)と、複数の第2データが一次元上に配列された第2データ列(B1〜BN)とを、一次元上で変位量を変えながら相対的に変位させ、第1データ列と第2データ列の間の相関量を演算して相関量の極値が得られる変位量を求める相関演算方法において、複数の第1データの1階の差分データから成る第3データ列と、複数の第2データのN階の差分データから成る第4データ列との間で外積演算を行い、算出された演算値を相関量とする例を示したが、差分データは2階以上としてもよい。
【0092】
また、一次元上の所定位置の近傍における上記第3データ列のM個(ただし、M=2,3,・・)のデータと、上記第4データ列のM個のデータとをそれぞれ2または3次元のベクトルの成分としてベクトルの外積演算を行って局所的相関量を算出し、外積演算に用いた複数の第1データと複数の第2データにより局所的相関量を正規化する演算を、一次元上の所定位置を所定区間に亘って移動させて行い、局所的相関量を積算して相関量を算出するようにしてもよい。
【0093】
あるいは、一次元上の所定位置の近傍における上記第3データ列のM個(ただし、M=2,3,・・)のデータと、上記第4データ列のM個のデータとをそれぞれM次元のベクトルの成分としてベクトルの外積演算を行って局所的相関量を算出する演算を、一次元上の所定位置を所定区間に亘って移動させて行い、局所的相関量を積算して該積算値を外積演算に用いた複数の第1データと複数の第2データにより正規化して相関量を算出するようにしてもよい。
【0094】
《一実施の形態の変形例》
撮像素子における焦点検出エリアの配置は図2に示す配置に限定されず、対角線方向やその他の位置に水平方向および垂直方向に焦点検出エリアを配置してもよい。
【0095】
図3に示す撮像素子において、焦点検出画素313、314はひとつの画素内にひとつの光電変換部を備えた例を示したが、ひとつの画素内に一対の光電変換部を備えてもよく、例えば図46に示すような撮像素子212Aとしてもよい。この撮像素子212Aでは、各焦点検出画素311に一対の光電変換部を備えており、各焦点検出画素311が図3に示す一対の焦点検出画素313、314に相当する機能を果たす。
【0096】
焦点検出画素311は、図47に示すようにマイクロレンズ10と一対の光電変換部13,14を備えている。焦点検出画素311には光量をかせぐために色フィルタは配置されておらず、その分光特性は光電変換を行うフォトダイオードの分光感度、赤外カットフィルター(不図示)の分光特性を総合した分光特性(図7参照)となり、図6に示す緑画素、赤画素および青画素の分光特性を加算したような分光特性となり、その感度の光波長領域は緑画素、赤画素および青画素の感度の光波長領域を包括している。
【0097】
図48は、図46に示す撮像素子212Aの焦点検出画素による瞳分割方式の焦点検出動作を説明するための図である。図において、90は、交換レンズの予定結像面に配置されたマイクロレンズの前方dの距離に設定された射出瞳である。ここで、距離dは、マイクロレンズの曲率、屈折率、マイクロレンズと光電変換部の間の距離などに応じて決まる距離であって、以下では測距瞳距離と呼ぶ。91は交換レンズの光軸、50、60はマイクロレンズ、(53,54)、(63,64)は焦点検出画素の対の光電変換部、73,74、83,84は焦点検出用光束である。
【0098】
さらに、93はマイクロレンズ50、60により投影された光電変換部53,63の領域であり、以下では測距瞳と呼ぶ。同様に、94はマイクロレンズ50、60により投影された光電変換部54,64の領域であり、以下では測距瞳と呼ぶ。図48では、光軸91上にある焦点検出画素(マイクロレンズ50と一対の光電変換部53、54からなる)と、隣接する焦点検出画素(マイクロレンズ60と一対の光電変換部63、64からなる)を模式的に例示しているが、撮像面上の周辺に配置された焦点検出用画素においても、一対の光電変換部はそれぞれ一対の測距瞳93、94から各マイクロレンズに到来する光束を受光する。焦点検出画素の配列方向は一対の測距瞳の並び方向と一致させる。
【0099】
マイクロレンズ50、60は光学系の予定結像面近傍に配置されており、光軸91上に配置されたマイクロレンズ50によって、その背後に配置された一対の光電変換部53、54の形状がマイクロレンズ50、60から測距瞳距離dだけ離間した射出瞳90上に投影され、その投影形状は測距瞳93,94を形成する。また、マイクロレンズ50に隣接して配置されたマイクロレンズ60によって、その背後に配置された一対の光電変換部63、64の形状が測距瞳距離dだけ離間した射出瞳90上に投影され、その投影形状は測距瞳93,94を形成する。すなわち、測距瞳距離dにある射出瞳90上で各焦点検出画素の光電変換部の投影形状(測距瞳93,94)が一致するように、各画素のマイクロレンズと光電変換部の位置関係が決定されている。
【0100】
光電変換部53は、測距瞳93を通過してマイクロレンズ50へ向う焦点検出光束73によってマイクロレンズ50上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。また、光電変換部54は、測距瞳94を通過してマイクロレンズ50へ向う焦点検出光束74によってマイクロレンズ50上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、光電変換部63は、測距瞳93を通過してマイクロレンズ60へ向う焦点検出光束83によってマイクロレンズ60上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。また、光電変換部64は、測距瞳94を通過してマイクロレンズ60へ向う焦点検出光束84によってマイクロレンズ60上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
【0101】
このような焦点検出用画素を直線状に多数配置し、各画素の一対の光電変換部の出力を測距瞳93および測距瞳94に対応した出力グループにまとめることによって、測距瞳93と測距瞳94を各々通過する焦点検出光束が焦点検出画素列上に形成する一対の像の強度分布に関する情報が得られる。この情報に対して後述する像ズレ検出演算処理(相関演算処理、位相差検出処理)を施すことによって、いわゆる瞳分割方式で一対の像の像ズレ量が検出される。さらに、像ズレ量に所定の変換処理を施すことによって、予定結像面に対する現在の結像面(予定結像面上のマイクロレンズアレイの位置に対応した焦点検出位置における結像面)の偏差(デフォーカス量)が算出される。
【0102】
次に、図3に示す撮像素子212では撮像画素310がベイヤー配列の色フィルターを備えた例を示したが、色フィルターの構成や配列はこれに限定されることはなく、補色フィルター(緑:G、イエロー:Ye、マゼンタ:Mg,シアン:Cy)の配列を採用してもよい。また、図3に示す撮像素子212では焦点検出画素313、314に色フィルターを設けない例を示したが、撮像画素310と同色の色フィルターの内のひとつのフィルター(例えば緑フィルター)を設けるようにした場合でも、本発明を適用することができる。
【0103】
また、上述した一実施の形態の図5、図47に示す焦点検出画素311、313、314では、光電変換部の形状を半円形や矩形にした例を示したが、焦点検出画素の光電変換部の形状はこれらに限定されず、他の形状であってもよい。例えば焦点検出画素の光電変換部の形状を楕円や多角形にすることも可能である。
【0104】
さらに、図3に示す撮像素子212では、撮像画素と焦点検出画素を稠密正方格子配列に配置した例を示したが、稠密六方格子配列としてもよい。
【0105】
上述した一実施の形態では、マイクロレンズを用いた瞳分割方式による焦点検出動作を説明したが、本発明はこのような方式の焦点検出に限定されず、再結像瞳分割方式の焦点検出にも適用可能である。図49により、再結像瞳分割方式の焦点検出動作を説明する。図49において、191は交換レンズの光軸、110,120はコンデンサレンズ、111、121は絞りマスク、112,113、122,123は絞り開口、114、115、124,125は再結像レンズ、116、126は焦点検出用のイメージセンサー(CCD)である。
【0106】
また、132,133、142,143は焦点検出光束、190は交換レンズの予定結像面の前方d5の距離に設定された射出瞳である。ここで、距離d5は、コンデンサレンズ110,120の焦点距離と、コンデンサレンズ110,120と絞り開口112,113、122,123との間の距離などに応じて決まる距離であって、以下では測距瞳距離と呼ぶ。192は、コンデンサレンズ110,120により投影された絞り開口112,122の領域であり、以下では測距瞳と呼ぶ。同様に、193は、コンデンサレンズ110,120により投影された絞り開口113,123の領域であり、以下では測距瞳と呼ぶ。コンデンサレンズ110、絞りマスク111、絞り開口112,113、再結像レンズ114、115およびイメージセンサー116が、一つの位置で焦点検出を行う再結像方式の瞳分割方位相差検出の焦点検出ユニットを構成する。
【0107】
図49においては、光軸191上にある焦点検出ユニットと光軸外にある焦点検出ユニットとを模式的に例示している。複数の焦点検出ユニットを組み合わせることによって、図2に示す3箇所の焦点検出位置101〜103において再結像方式の瞳分割位相差検出で焦点検出を行う焦点検出装置を実現することができる。
【0108】
コンデンサレンズ110からなる焦点検出ユニットは、交換レンズの予定結像面近傍に配置されたコンデンサレンズ110、その背後に配置されたイメージサンサ116、コンデンサレンズ110とイメージサンサ116との間に配置され、予定結像面近傍に結像された1次像をイメージセンサー116上に再結像する一対の再結像レンズ114、115、一対の再結像レンズの近傍(図では前面)に配置された一対の絞り開口112、113を有する絞りマスク11から構成される。
【0109】
イメージセンサー116は、複数の光電変換部が直線に沿って密に配置されたラインサンサであり、光電変換部の配置方向は一対の測距瞳の分割方向(=絞り開口の並び方向)と一致させる。このイメージセンサー116からは、イメージセンサー116上に再結像された一対の像の強度分布に対応した情報が出力され、この情報に対して後述する像ズレ検出演算処理(相関処理、位相差検出処理)を施すことによって、いわゆる瞳分割型位相差検出方式(再結像方式)で一対の像の像ズレ量が検出される。さらに、像ズレ量に所定の変換係数を乗ずることによって、予定結像面に対する現在の結像面の偏差(デフォーカス量)が算出される。
【0110】
イメージセンサー116は再結像レンズ114、115により予定結像面上に投影されており、デフォーカス量(像ズレ量)の検出精度は、像ズレ量の検出ピッチ(再結像方式の場合は予定結像面上に投影された光電変換部の配列ピッチ)により決まる。
【0111】
コンデンサレンズ110は、絞りマスク111の絞り開口112、113を射出瞳190上に領域192、193として投影している。領域192,193を測距瞳と呼ぶ。すなわち、イメージセンサー116上に再結像される一対の像は射出瞳190上の一対の測距瞳192,193を通過する光束によって形成される。射出瞳190上の一対の測距瞳192,193を通過する光束132、133を焦点検出用光束と呼ぶ。
【0112】
このような再結像瞳分割方式においても、測距瞳の口径蝕によってイメージセンサー上に形成される一対の像のバランス崩れが生ずるので、イメージセンサーの出力信号を処理する際に本発明を適用することができる。
【0113】
また、本発明は撮影光学系を通過する光束を瞳分割する方式の焦点検出に限定されず、外光三角測距方式による距離測定にも適用可能である。図50により、外光三角測距方式の焦点検出動作を説明する。図50において、レンズ320とその結像面に配置されたイメージセンサー326からなるユニットと、レンズ330とその結像面に配置されたイメージセンサー336からなるユニットとが基線長を隔てて配置される。これらの一対のユニットが測距装置347を構成する。
【0114】
測距対象350の像が、レンズ320および330によりイメージセンサー326および336上に形成される。イメージセンサー326および336上に形成される像の位置関係は、測距装置347から測距対象350までの距離に応じて変化する。したがって、イメージセンサー326および336の信号データに対して本発明を適用した像ズレ検出を行うことによって、2像の相対的位置関係を検出し、この位置関係に基づいて測距対象350までの距離を測定することができる。
【0115】
外光三角測距方式においては、レンズ320とレンズ330に汚れや雨滴が付着することによって、一対の信号にレベル差が生じたり歪みが生じたりすることが発生するので、本発明の適用は有効である。
【0116】
なお、撮像装置としては、上述したようなカメラボディに交換レンズが装着される構成のデジタルスチルカメラやフィルムスチルカメラに限定されない。例えばレンズ一体型のデジタルスチルカメラ、フィルムスチルカメラ、あるいはビデオカメラにも本発明を適用することができる。さらには、携帯電話などに内蔵される小型カメラモジュール、監視カメラやロボット用の視覚認識装置などにも適用できる。
【0117】
また、本発明は、カメラ以外の焦点検出装置や測距装置、さらにはステレオ測距装置にも適用できる。さらに、時間が異なるイメージセンサーの信号間の相関を検出して被写体像の動きやカメラのブレを検出する装置にも適用できる。さらにまた、イメージセンサーの画像信号と特定の画像信号のパターンマッチングにも適用できる。
【0118】
さらに、本発明は、画像信号データの相関を検出するものに限定されず、音に関するデータの相関やその他一般に2つの信号の相関を検出するものにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】一実施の形態のカメラの構成を示すカメラの横断面図
【図2】交換レンズの撮影画面上における焦点検出位置を示す図
【図3】撮像素子の詳細な構成を示す正面図
【図4】撮像画素の構成を示す正面図
【図5】焦点検出画素の構成を示す正面図
【図6】撮像画素の分光特性を示す図
【図7】焦点検出画素の分光特性を示す図
【図8】撮像画素の断面図
【図9】焦点検出画素の断面図
【図10】マイクロレンズを用いた瞳分割型位相差検出方式の焦点検出光学系の構成を示す図
【図11】一実施の形態のデジタルスチルカメラ(撮像装置)の撮像動作を示すフローチャート
【図12】図11のステップ130における焦点検出演算処理の詳細を示す示すフローチャート
【図13】焦点検出光束のケラレ(口径蝕)を説明するための図
【図14】予定焦点面から光軸の方向に測距瞳面を見た場合の図
【図15】図13および図14の状態において位置x0(像高0)の近傍の焦点検出画素列が受光する一対の像と、位置x1(像高h)の近傍の焦点検出画素列が受光する一対の像の強度分布(縦軸は光量、横軸は撮影画面上の位置)を示した図
【図16】(11)式に示す相関量C(k)の演算と一対のデータ列(A1〜AN、B1〜BN)との関係を示す図
【図17】焦点検出演算(相関演算)結果の評価方法を説明する図
【図18】同一性の崩れたサイン波形の一対の像データを示す図
【図19】図18に示す同一性の崩れたサイン波形の一対の像データ列に対する(3)式による相関演算結果を示す図
【図20】図18に示すサイン波形の一対の像データに対する(3)式による像ズレ量演算結果を示す図
【図21】図18に示すサイン波形の一対の像データに対する(3)式による像ズレ量演算の誤差量を示す図
【図22】図18に示すサイン波形の一対の像データに対する(9)式による像ズレ量演算結果を示す図
【図23】図18に示すサイン波形の一対の像データに対する(9)式による像ズレ量演算結果を示す図
【図24】同一性の崩れたステップ波形の一対の像データの例を示す図
【図25】図24に示す同一性の崩れたステップ波形の一対の像データに対する(9)式による相関演算結果を示す図
【図26】図24に示す同一性の崩れたステップ波形の一対の像データに対する(9)式による像ズレ量演算結果を示す図
【図27】図24に示す同一性の崩れたステップ波形の一対の像データに対する(3)式による相関量演算結果を示す図
【図28】図24に示す同一性の崩れたステップ波形の一対の像データに対する(3)式による像ズレ量演算結果を示す図
【図29】図24に示す同一性の崩れたステップ波形の一対の像データに対する(3)式による像ズレ量演算の誤差量を示す図
【図30】図18に示すような同一性の崩れたサイン波形の一対の像データに対する(13)式による相関演算結果を示す図
【図31】図24に示すような同一性の崩れたステップ波形の一対の像データに対する(13)式による相関演算結果を示す図
【図32】図18に示すような同一性の崩れたサイン波形の一対の像データに対する(17)式による相関演算結果を示す図
【図33】図18に示すような同一性の崩れたサイン波形の一対の像データに対する(17)式による像ズレ量演算の誤差量を示す図
【図34】図24に示すような同一性の崩れたステップ波形の一対の像データに対する(17)式による相関演算結果を示す図
【図35】図18に示すような同一性の崩れたサイン波形の一対の像データに対する(24)式による相関演算結果を示す図
【図36】図18に示すような同一性の崩れたサイン波形の一対の像データに対する(24)式による像ズレ量演算結果を示す図
【図37】図18に示すような同一性の崩れたサイン波形の一対の像データに対する(24)式による像ズレ量演算の誤差量を示す図
【図38】図24に示すような同一性の崩れたステップ波形の一対の像データに対する(24)式による相関演算結果を示す図
【図39】図24に示すような同一性の崩れたステップ波形の一対の像データに対する(24)式による像ズレ量演算結果を示す図
【図40】図24に示すような同一性の崩れたステップ波形の一対の像データに対する(24)式による像ズレ量演算の誤差量を示す図
【図41】図18に示すような同一性の崩れたサイン波形の一対の像データに対する(28)式による相関演算結果を示す図
【図42】図24に示すような同一性の崩れたステップ波形の一対の像データに対する(28)式による相関演算結果を示す図
【図43】図18に示すような同一性の崩れたサイン波形の一対の像データに対する(35)式による相関演算結果を示す図
【図44】図18に示すような同一性の崩れたサイン波形の一対の像データに対する(35)式による像ズレ量演算結果を示す図
【図45】図18に示すような同一性の崩れたサイン波形の一対の像データに対する(35)式による像ズレ量演算の誤差量を示す図
【図46】変形例の撮像素子の部分拡大図
【図47】図46に示す変形例の撮像素子で用いる焦点検出画素の正面図
【図48】図46に示す変形例の撮像素子の焦点検出画素による瞳分割方式の焦点検出動作を説明するための図
【図49】再結像瞳分割方式の焦点検出動作を説明するための図
【図50】外光三角測距方式の焦点検出動作を説明するための図
【符号の説明】
【0120】
10;マイクロレンズ、11、13、14;光電変換部、202;交換レンズ、212、212A;撮像素子、214 ボディ駆動制御装置、310;撮像画素、311、313、314;焦点検出画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1データが一次元上に配列された第1データ列と、複数の第2データが一次元上に配列された第2データ列とを、一次元上で変位量を変えながら相対的に変位させ、前記第1データ列と前記第2データ列の間の相関量を演算して前記相関量の極値が得られる前記変位量を求める相関演算方法において、
前記複数の第1データのN階(ただし、N=1,2,・・)の差分データから成る第3データ列と、前記複数の第2データのN階の差分データから成る第4データ列との間で内積演算を行い、算出された演算値を前記相関量とすることを特徴とする相関演算方法。
【請求項2】
請求項1に記載の相関演算方法において、
前記内積演算に用いた前記複数の第1データと前記複数の第2データにより前記演算値を正規化することを特徴とする相関演算方法。
【請求項3】
請求項1に記載の相関演算方法において、
一次元上の所定位置の近傍における前記第3データ列のM個(ただし、M=2,3,・・)のデータと、前記第4データ列のM個のデータとをそれぞれM次元のベクトルの成分としてベクトルの内積演算を行って局所的相関量を算出し、前記内積演算に用いた前記複数の第1データと前記複数の第2データにより前記局所的相関量を正規化する演算を、一次元上の前記所定位置を所定区間に亘って移動させて行い、前記局所的相関量を積算して前記相関量を算出することを特徴とする相関演算方法。
【請求項4】
請求項1に記載の相関演算方法において、
一次元上の所定位置の近傍における前記第3データ列のM個(ただし、M=2,3,・・)のデータと、前記第4データ列のM個のデータとをそれぞれM次元のベクトルの成分としてベクトルの内積演算を行って局所的相関量を算出する演算を、一次元上の前記所定位置を所定区間に亘って移動させて行い、前記局所的相関量を積算して該積算値を前記内積演算に用いた前記複数の第1データと前記複数の第2データにより正規化して前記相関量を算出することを特徴とする相関演算方法。
【請求項5】
複数の第1データが一次元上に配列された第1データ列と、複数の第2データが一次元上に配列された第2データ列とを、一次元上で変位量を変えながら相対的に変位させ、前記第1データ列と前記第2データ列の間の相関量を演算して前記相関量の極値が得られる前記変位量を求める相関演算方法において、
前記複数の第1データのN階(ただし、N=1,2,・・)の差分データから成る第3データ列と、前記複数の第2データのN階の差分データから成る第4データ列との間で外積演算を行い、算出された演算値を前記相関量とすることを特徴とする相関演算方法。
【請求項6】
請求項5に記載の相関演算方法において、
前記外積演算に用いた前記複数の第1データと前記複数の第2データにより前記演算値を正規化することを特徴とする相関演算方法。
【請求項7】
請求項5に記載の相関演算方法において、
一次元上の所定位置の近傍における前記第3データ列のM個(ただし、M=2,3,・・)のデータと、前記第4データ列のM個のデータとをそれぞれM次元のベクトルの成分としてベクトルの外積演算を行って局所的相関量を算出し、前記外積演算に用いた前記複数の第1データと前記複数の第2データにより前記局所的相関量を正規化する演算を、一次元上の前記所定位置を所定区間に亘って移動させて行い、前記局所的相関量を積算して前記相関量を算出することを特徴とする相関演算方法。
【請求項8】
請求項5に記載の相関演算方法において、
一次元上の所定位置の近傍における前記第3データ列のM個(ただし、M=2,3,・・)のデータと、前記第4データ列のM個のデータとをそれぞれM次元のベクトルの成分としてベクトルの外積演算を行って局所的相関量を算出する演算を、一次元上の前記所定位置を所定区間に亘って移動させて行い、前記局所的相関量を積算して該積算値を前記外積演算に用いた前記複数の第1データと前記複数の第2データにより正規化して前記相関量を算出することを特徴とする相関演算方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の相関演算方法により、前記相関量の極値が得られる前記変位量を求める演算手段を備えることを特徴とする相関演算装置。
【請求項10】
結像光学系を通る一対の光束を受光し、この一対の光束が前記結像光学系の予定焦点面上に形成する一対の像に対応する一対のデータ列を生成する瞳分割像検出手段と、
前記一対のデータ列の間の相関量の極値が得られる変位量を求める請求項9に記載の相関演算装置と、
前記変位量に基づいて前記結像光学系の焦点調節状態を検出する焦点検出手段とを備えることを特徴とする焦点検出装置。
【請求項11】
請求項10に記載の焦点検出装置と、
マイクロレンズと光電変換部から成る撮像用画素と焦点検出用画素が配列された撮像素子とを備え、
前記瞳分割像検出手段は、前記焦点検出用画素の出力に基づいて前記一対のデータ列を生成することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【公開番号】特開2009−251523(P2009−251523A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−102673(P2008−102673)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】