説明

真空ポンプ

使用中、イオンが経路に沿って運ばれる第1及び第2の圧力チャンバを有する質量分光計を備えた差動排気質量分光計システム。チャンバ(62,66,68)を差動排気するポンプ組立体(10)は質量分光計に取付けられる。ポンプ組立体は、質量分光計に取付けられたハウジング(12)と、ハウジングに挿入されたカートリッジ(14)を有する。カートリッジは、それぞれの圧力チャンバ(62,66,68)から流体を各々受け入れる複数の流入口(16,18,20)と、チャンバから流体を差動排気する排気機構(30,32,34)を有する。カートリッジは、排気機構(10)がイオン経路(76)に対して傾けられるように、しかし少なくとも1つの流入口(16,18)がイオン経路を横切ることなく、少なくとも部分的にそれぞれの圧力チャンバ(62,66)内に突入する程度まで質量分光計内に突入してハウジングに挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプに関し、特に、複式チャンバの差動排気(differential pumping)に適する複式流入口を有する真空ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
複式チャンバ又はシステムを、異なった真空レベルに排気する必要がある多数のタイプの装置がある。例えば、よく知られたタイプの質量分光計(mass spectrometer)では、分析器/検出器は、比較的高い真空、例えば、10-5mbarで作動させなければならず、これに対して、イオン源から引き込まれ且つ案内されるイオンが検出器に向かって運ばれる移送チャンバは、より低い真空、例えば、10-3mbarで作動される。質量分光計は、さらに1つ又はそれ以上の更なるチャンバを分析器チャンバより上流に有し、これらのチャンバは、雰囲気源で発生されたイオンを捕捉し、最終的に検出器に向かって案内させることができるように漸次に高い真空圧で作動される。
【0003】
これらのチャンバは、別の又は共通の補助ポンプ、例えば、回転翼ポンプによって各々補助される別々のターボ分子真空ポンプを使用して排気されてもよいが、2つ又はそれ以上の隣接するチャンバを、流体をそれぞれのチャンバから各々受け入れるための複数の流入口と、チャンバを差動排気するための複数の排気段と、を有する単一の「分流」ターボ分子ポンプを使用して排気することが益々普通になっている。そのようなポンプを利用することは、大きさ,費用及び部品の合理化に利点を提供する。
【0004】
例えば、ヨーロッパ特許第A−0919726号は、複数の真空段を有し、且つ、ガスがポンプ段をすべて通ることができる第1のポンプ流入口と、ガスが段間位置でポンプに入ってポンプのそれに続く段のみを通ることができる第2のポンプ流入口と、を有する分流ポンプを記載する。段間位置の前のポンプ段は、第1及び第2の流入口にそれぞれ取付けられた異なるチャンバの圧力要求を満すため、段間位置に続くこれらの段とは異なって寸法決めされる。
【0005】
しかしながら、例えば、ポンプの軸線又はより詳細にはポンプのシャフトの軸線が、質量分光計の出口フランジの平面と平行か垂直のいずれかで、従来の方法で質量分光計に取付けられたとき、分流ポンプの伝導性の制限により、隣接するチャンバがそれぞれのチャンバに直接取付けられた前記真空ポンプを用いて排気される構成と比較して性能を危うくする。
【0006】
例えば、シャフトの軸線が出口フランジの平面と平行であるように、ポンプが質量分光計に対して向けられるとき、ガスは、ポンプ流入口に入るには直角な曲がり部(bend)の周りを流れなければならず、その結果、圧力降下及び関連した排気速度損失をもたらす。真空ポンプが、シャフトの軸線が出口フランジの入口の平面と垂直な状態で向けられ、ガスが第1の流入口に容易に流入するとき、第2のポンプ流入口に入るために2つの曲がり部の周りを流れなければならない。
【0007】
ヨーロッパ特許第A−1085214号では、シャフトの軸線が出口フランジの平面と或る角度に傾けられるように、分流ポンプを質量分光計の底に取付けることにより、これらの問題が減じられている。この向きでは、ガスは、鈍角の曲がり部の周りを流れることにより流入口に流れ込み、これにより、出口フランジと排気流入口との間には圧力降下がほとんどない。しかしながら、そのような構成では、質量分光計及び分流ポンプが占める全容積が、シャフトの軸線が出口フランジと平行である構成と比べて増す。
【0008】
本発明の少なくとも好ましい実施形態の目的は、質量分光計のような、複式チャンバシステムの差動排気のための改良された構成を提供しようとするものである。
【発明の開示】
【0009】
第1の観点では、本発明は、複数の圧力チャンバと、チャンバを差動排気するための真空ポンプと、を備えたシステムであって、ポンプが、それぞれの圧力チャンバから流体を各々受け入れる複数の流入口と、チャンバから流体を差動排気するための排気機構と、を有し、ポンプは、開口を通してチャンバ内に突入し、流体流入口の少なくとも1つがそれぞれの圧力チャンバ内に少なくとも部分的に配置され、且つ、ポンプの長手方向軸線が開口の口の平面に対して傾けられる、前記システムを提供する。
【0010】
圧力チャンバに対するポンプのそのような向きでは、ポンプの流入口の伝導性を最大にすることができ、高い効率の排気速度を所定の排気機構に対して達成することができる。その上、ポンプがチャンバ内に突入しているので、チャンバとポンプが占める全容積は最小にされる。
【0011】
本発明の使用は、排気下のシステムが質量分光計である場合に特に有利である。なぜなら、ポンプの傾斜により、ポンプが質量分光計内に運ばれるイオンの経路を横切ることなしに、ポンプをチャンバ内に挿入させるからである。従って、第2の観点では、本発明は、使用中、イオンが経路に沿って運ばれる複数の圧力チャンバを有する質量分光計と、チャンバを差動排気するためのポンプと、を備えた差動排気質量分光計システムであって、ポンプが、それぞれの圧力チャンバから流体を各々受け入れる複数の流入口と、チャンバから流体を差動排気するための排気機構と、を有し、ポンプが、イオン経路の少なくとも一部に対して傾けられ、且つ、イオン経路を横切ることなく、しかし、流体流入口の少なくとも1つ又は好ましくは流体流入口の各々がそれぞれの圧力チャンバ内に少なくとも部分的に配置されて、質量分光計内に突入する、差動排気質量分光計システムを提供する。
【0012】
ポンプは、好ましくは、質量分光計に又はその一部に取付けられたハウジング内に挿入されたカートリッジの形態であり、カートリッジはハウジングの口から前記チャンバの少なくとも1つに突入する。これは、ポンプが質量分光計の本体内に一体化される構成とは対照的に、ポンプを排気下のチャンバに対して取付け及び整合させるための比較的簡単な構造を提供することができる。
【0013】
ポンプは、質量分光計と分離して提供されてもよいので、本発明の第3の観点は、ハウジングと、流体流入口及び排気機構を有し、且つ、ハウジング内に挿入可能なカートリッジと、流体流入口を構成するカートリッジの一部がハウジングの口から突入し、且つ、排気機構の長手方向軸線が口の平面に対して傾けられるように、カートリッジをハウジング内に位置決めするための手段と、を有するポンプを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の好ましい態様が、一例として添付図面を参照して記載される。
【0015】
ポンプ10は、排気機構を収容する円筒カートリッジ14を受け入れる穴(bore),複数の流体流入口16,18,20及び流体流出口22を有するハウジング12を備えている。
【0016】
図1を参照すると、カートリッジ14は、内部にドライブシャフト26が取付けられた多部品本体(multi-component body)24を有する。シャフト26の回転は、シャフト26の周囲に配置されたモータ28により行われる。シャフト26は、向い合った軸受に取付けられている。例えば、ドライブシャフト26は、永久磁石軸受及び油潤滑軸受のハイブリッドシステムによって支持されるのがよい。
【0017】
カートリッジ内の排気機構は、少なくとも3つの排気区域30,32,34を含む。第1の排気区域30は、1組のターボ分子段を有する。図1に示す例では、1組のターボ分子段30は、周知の傾斜構造の4つのロータブレードと4つのステータブレードを有する。この例では、第1の排気区域のロータブレードは、ドライブシャフト26と一体である。
【0018】
第2の排気区域32は、第1の排気区域30と同様であり、1組のターボ分子段を有する。図1に示す例では、1組のターボ分子段32も、周知の傾斜構造の4つのロータブレードと4つのステータブレードを有する。この例では、第1の排気区域のロータブレードも、ドライブシャフト26と一体である。
【0019】
第3の排気区域34は、第1及び第2の排気区域の下流である。第3の排気区域34は、分子ドラッグ機構、例えば、ハルウェックドラッグ機構(Holweck drag mechanism)の形態である。この例では、ハルウェック機構は、2つの回転シリンダー及びそれ自体知られている方法でらせん溝を形成した対応する環状ステータを有する。回転シリンダーは、好ましくはカーボンファイバー材料で形成され、そしてドライブシャフト26に配置された円盤に取付けられている。この例では、円盤も、ドライブシャフト26と一体である。ポンプ流出口22は、ハルウェック機構34より下流に配置されている。
【0020】
カートリッジ14は、3つの流入口16,18,20を有する。第1の低流体圧力流入口16は、すべての排気区域の上流に配置されている。この例では、第1の流入口16は、36で指示されているように、ドライブシャフト26の長手方向軸線と実質的に直交する。第2の中間流体圧力流入口18は、第1の排気区域30と第2の排気区域32の段間に配置されている。この例では、第2の流入口18は、ドライブシャフト26の長手方向軸線の周りに延びる。第3の低流体圧力流入口20は、図示のように、ハルウェック機構34の上流に配置されてもよいし、或いは変形例としてハルウェック機構34の段間に配置されてもよく、これにより、ハルウェック機構の段のすべてが流入口16,18,20の各々と流体連通する。
【0021】
ここでハウジング12に戻ると、穴は、ハウジング12の後面38に形成された入口を有し、カートリッジ14はこの入口を通してハウジング12に挿入される。カートリッジ14が穴に挿入されるとき、穴の内面40,42,44,46は、カートリッジ14を、図1〜図6に示された完全挿入位置に向かって案内する。穴の端は、図1に48で指示されているように輪郭形成されて、挿入されたカートリッジ14の前端に係合するための当接面を定め、ハウジング12の後面38と共に、カートリッジ14をハウジング12に挿入することができる程度を制限する。
【0022】
図1〜図6に示すように、ハウジング12は、カートリッジ14が完全挿入位置にあるとき、流体を流体流入口16,18,20に入れるため、多数の位置で穴を露出させるように形成されている。示した例では、ハウジング12は、ハウジング12のフランジ付き平面52に形成された口50を有し、フランジ付き平面52は、ハウジングの後面38に対して鋭角に、又、ハウジングの穴の長手方向軸線に対して鋭角θに傾けられている。角度θは、10°〜80°間の任意の角度でよく、好ましくは、20°〜50°間の角度である。図に示された例では、θ=27.5°である。図に示された完全挿入位置では、排気機構の長手方向軸線36は、ハウジング12の穴と同軸である。
【0023】
カートリッジを完全挿入位置に位置決めするため、ハウジング12の穴の一部分をなす湾曲部材54,56が、ハウジング12の口50を横切って延びる。この例では、湾曲部材54,56は、ハウジング12と一体である。変形例として、湾曲部材54,56は、ハウジング12に差込み可能な別々の部材であってもよい。ハウジング12の穴の一部分を形成する湾曲部材54,56の湾曲内面44,46は、流入口16,18,20の各々を、ハウジング12のフランジ付き平面52に形成された口50によって部分的に露出させながら、カートリッジ14の本体24と共にシールを形成する。図に示されたように、第1の流入口16の一部及び第2の流入口18の一部は、ハウジング12の口50を通して突出し、第3の流入口20は、口50のすぐ下に位置する。
【0024】
図7は、ポンプ10を用いて排気されるべき一例の複式チャンバ(multi-chamber)システム60に取付けられたポンプ10を示す。示された例では、複式チャンバシステム60は、質量分光計システムである。高真空チャンバ62が隣接して、第1,(システムのタイプに応じて)第2及び第3の排気インターフェースチャンバ64,66,68に続く。第1のインターフェースチャンバ64は、排気された質量分光計システムで最も高い圧力のチャンバであり、そして、イオンをイオン源から第1のインターフェースチャンバ64に引き込む毛管又は試料円錐体を収容してもよい。第2のインターフェースチャンバ66は、イオンを第1のインターフェースチャンバ64から第3のインターフェースチャンバ68に案内するための第1のイオンガイドを含んでいてもよく、第3のチャンバ68は、イオンを第2のインターフェースチャンバから高真空チャンバ62に案内するための第2のイオンガイドを含んでいてもよい。
【0025】
ポンプ10のフランジ付き平面52は、例えば、ボルト等によって、システム60の底平面70に取付けられる。溝72内に配置されたOリングが、面52と面70との間のシールを形成するのを助ける。図7に示すように、ポンプ10がシステム60に取付けられた状態では、カートリッジ14は、システムの底面70に形成された開口74を通して、システム60内に突入する。これにより、カートリッジ14の第1の流入口16及び第1の排気区域30が、高真空チャンバ62内に突入し、カートリッジ14の第2の流入口18及び第2の排気区域32が、第3のチャンバ68内に突入し、ポンプ10は、使用中、システム60内で運ばれるイオンの経路76と角度θに傾けられ、ポンプ流入口での伝導性を最大にする。しかしながら、ポンプ10がシステム60内に延びる程度は、ポンプをイオン経路76と交差させるほどは大きくない。使用中、システム60のチャンバ間での流体漏れを防止するため、横部材54の上面78は、高真空チャンバ62と第3のチャンバ68との間の分割壁80の一致して輪郭形成された下面に密封係合し、横部材56の上面82は、第2のチャンバ66と第3のチャンバ68との間の分割壁84の一致して輪郭形成された下面と密封係合する。
【0026】
使用中、第1のインターフェースチャンバ64は、補助ポンプ(図示せず)に連結され、補助ポンプは、また流体をポンプ10の流出口22から排気する。補助ポンプは、典型的には、ポンプ10の流出口22での大きさとおおよそ同じ程度の大きさの圧力を第1のチャンバ内に生成する。ポンプ10の各流入口16,18,20に入る流体は、ポンプから出る前に、それぞれ異なる数の段を通過する。第1の流入口16を通って排気される流体は、順にターボ分子段の両方の組30,32及びハルウェック機構34を通り、流出口22からポンプを出る。第2の流入口18を通って排気される流体は、ターボ分子段の組32及びハルウェック機構34を通り、流出口22からポンプを出る。第3の流入口20を通って排気される流体は、ハルウェック機構34のみを通り、流出口22からポンプを出る。その結果、ポンプ10は、チャンバ62,66,68内に所要真空レベルを提供することができ、補助ポンプは、チャンバ64に所要の真空レベルを提供する。この例では、使用中、第1のインターフェースチャンバ64は、約1〜10mbarの圧力であり、第2のインターフェースチャンバ66は、約10-1〜1mbarの圧力であり、第3のインターフェースチャンバ68は、約10-2〜10-3mbarの圧力であり、高真空チャンバ62は、約10-5〜10-6mbarの圧力である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】真空ポンプの縦断面図である。
【図2】ポンプの種々の異なる外観図である。
【図3】ポンプの種々の異なる外観図である。
【図4】ポンプの種々の異なる外観図である。
【図5】ポンプの種々の異なる外観図である。
【図6】ポンプの種々の異なる外観図である。
【図7】組立体と多チャンバシステムとの連結を示す簡単化した断面図である。
【符号の説明】
【0028】
10 ポンプ
12 ハウジング
14 カートリッジ
16,18,20 流入口
22 流出口
24 本体
26 シャフト
28 モータ
36 長手方向軸線
38 後面
40,42,44,46 内面
50 口
60 システム
62,64,66,68 チャンバ
70 底平面
74 開口
76 イオン経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の圧力チャンバと、チャンバを差動排気するための真空ポンプと、を備えたシステムであって、
ポンプは、それぞれの圧力チャンバから流体を各々受け入れる複数の流入口と、チャンバから流体を差動排気するための排気機構と、を有し、
ポンプは、開口を通してチャンバ内に突入し、少なくとも1つの流体流入口が該流入口のそれぞれの圧力チャンバ内に少なくとも部分的に配置され、且つ、ポンプの長手方向軸線が開口の口の平面に対して傾けられる、システム。
【請求項2】
各流体流入口が、該流入口のそれぞれの圧力チャンバ内に少なくとも部分的に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
ポンプの軸線は、10°〜80°間の角度に傾けられている、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
ポンプの軸線は、20°〜50°間の角度に傾けられている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
ポンプは、穴内に挿入されたカートリッジの形態であり、穴がカートリッジの流体流入口を露出させるように形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
穴は、開口からチャンバ内に突入し、穴の長手方向軸線が、開口の口の平面に対して傾けられている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
穴は、脱着可能なハウジングに配置される、請求項5又は6に記載のシステム。
【請求項8】
ハウジングは、開口の口を構成する面に取付け可能である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
ハウジングは、穴内にカートリッジを位置決めするための手段を有する、請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項10】
位置決め手段は、カートリッジの外面と共にシールを形成するように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
位置決め手段は、カートリッジを穴内に挿入することができる程度を制限する手段を有する、請求項9又は10に記載のシステム。
【請求項12】
排気機構は、第1の排気区域と、第1の排気区域より下流の第2の排気区域と、を有し、
第1及び第2の区域は、第1の流入口からカートリッジに入った流体が、第1及び第2の排気区域を通って流体流出口に向かって流れ、第2の流入口からカートリッジに入った流体が、前記区域のうち、第2の区域のみを通って流出口に向かって流れるように構成される、請求項1〜11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
第1の流入口が、ポンプの長手方向軸線と実質的に直交する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
第2の流入口は、ポンプの長手方向軸線の周りに延びる、請求項12又は13に記載のシステム。
【請求項15】
第1及び第2の排気区域の少なくとも1つが、それぞれの圧力チャンバ内に突入する、請求項12〜14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
第1及び第2の排気区域の少なくとも1つが、少なくとも1つのターボ分子段からなる、請求項12〜15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
第1及び第2の排気区域の両方が、少なくとも1つのターボ分子段からなる、請求項12〜16のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項18】
カートリッジが、第3の流入口を有し、
排気機構が、第3の排気区域を第2の排気区域より下流に有し、
第3の排気区域が、第3の流入口からカートリッジに入った流体が、前記区域のうち、第3の排気区域のみを通ってポンプ流出口に向かって流れるように構成される、請求項12〜17のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
第3の排気区域は、多段の分子ドラッグ機構からなる、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
分子ドラッグ機構が、複数のらせんとして構成された複数のチャンネルを有する多段のハルウェック機構である、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
使用中、中を通るイオンが経路に沿って運ばれる複数の圧力チャンバを有する質量分光計と、チャンバを差動排気するためのポンプと、を備えた差動排気質量分光計システムであって、
ポンプが、それぞれの圧力チャンバから流体を各々受け入れる複数の流入口と、チャンバから流体を差動排気するための排気機構と、を有し、
ポンプが、イオン経路の少なくとも一部に対して傾けられ、且つ、イオン経路を横切ることはないが、流体流入口の少なくとも1つがそれぞれの圧力チャンバ内に少なくとも部分的に配置されて質量分光計内に突入する、差動排気質量分光計システム。
【請求項22】
ハウジングと、
流体流入口及び排気機構を有し、且つ、ハウジング内に挿入可能なカートリッジと、
流体流入口を構成するカートリッジの一部がハウジングの口から突入し、且つ、排気機構の長手方向軸線が口の平面に対して傾けられるように、カートリッジをハウジング内に位置決めするための手段と、を有する真空ポンプ。
【請求項23】
位置決め手段は、排気機構が10°〜80°間の角度に、好ましくは、20°〜50°間の角度に傾けられるように、カートリッジをハウジング内に配置するよう構成された、請求項22に記載のポンプ。
【請求項24】
位置決め手段が、カートリッジの外面と共にシールを形成するように構成された、請求項22又は23に記載のポンプ。
【請求項25】
位置決め手段が、カートリッジがハウジングの口から突入することができる程度を制限するためにカートリッジに係合する手段を有する、請求項22〜24のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項26】
位置決め手段が、ハウジングの口を横切って延びる少なくとも1つの湾曲部材を有する、請求項22〜25のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項27】
口が、ハウジングのフランジ付き面に配置される、請求項22〜26のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項28】
フランジ付き面は、ハウジングを、ポンプを使用して排気されるべきシステムに取付けるための手段を有する、請求項27に記載のポンプ。
【請求項29】
カートリッジが、複数の流体流入口を有し、
排気機構が、流入口から受けた流体を差動排気するための複数の排気区域を有する、請求項22〜28のいずれか1項に記載のポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−504479(P2008−504479A)
【公表日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517437(P2007−517437)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【国際出願番号】PCT/GB2005/002249
【国際公開番号】WO2006/000745
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(591004445)ザ ビーオーシー グループ ピーエルシー (59)
【Fターム(参考)】