説明

真空弁

【課題】コンパクトかつ、長寿命で、安価な真空弁の提供
【解決手段】シリンダ部12と、弁本体31に備える第1ポート32と、第2ポート33と、弁座部34と、可動軸23に接続され弁座部34と当接、離間するシール部材35部材を備える弁体24と、を有する真空弁1において、シリンダ部12が、第1ピストン45と第2ピストンを備え、第1操作ポート25に圧力流体が供給されることで、第1ピストン45及び第2ピストン46が受圧し移動して、第2ピストン46が、シリンダチューブ内当接面21dに当接した際、第1ピストン45と端部当接面45dとの間に空間を有するので、さらに第1ポート32と第2ポート33を遮断する側に移動し、第1ピストン45の押圧力のみが、弁座部34に当接するシール部材35への圧力となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空弁の弁開閉推進力発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体製造工程において、真空チャンバの内部を真空ポンプで減圧する場合に、これらの真空チャンバと真空ポンプとを結ぶ流路内に、真空弁を接続し、この真空弁で流路を開閉するようにしている。
このような用途に使用される真空弁は、一般的に、流路を開閉する弁部材にシリンダのロッドを接続し、シリンダのピストン運動によって駆動するように構成されている。
真空弁を開閉させる駆動力にシリンダを用いているのは、比較的単純な構造で大きな推力を出すことが安価に実現できるためである。
このような真空弁のシリンダの駆動方式は、ノーマルクローズタイプ、ノーマルオープンタイプ、復動タイプの3種類があり、それぞれ用途に合わせて選定される。
ノーマルクローズタイプの真空弁は、片側の弁室に駆動エアを供給し、片側にバネを用いることでシリンダを駆動することができ、駆動エアを供給しない場合、真空弁は閉状態となる。従って、電源が落ちてエアが抜けた場合に真空弁を閉じることで、安全サイドに働く場合に用いられる。
【0003】
一方、ノーマルオープンタイプの真空弁は、同様に片側の弁室に駆動エアを供給し、片側にバネを用いることでシリンダを駆動し、駆動エアを供給しない場合、真空弁は開状態となる。このようなノーマルオープンタイプの真空弁は、使用者の使用態様によって、真空弁を開けた場合に安全サイドに働くケースに使用される。
また、復動タイプの真空弁は、両側の弁室に駆動エアを供給して弁を開閉する。このような復動タイプの真空弁は、使用者の安全の考え方の違いから、電源が落ちた場合に駆動エアの圧力によって確実に真空弁を遮断したい場合等に使用される。
この3種類の方式のうち、最も良く使用されるのがノーマルクローズタイプである。ただし、ノーマルオープンタイプ、復動タイプも製造ラインの設計によっては必要とされて、需要がある。しかしながら、需要はそれほど多くないため、専用設計の部品を用意したのでは、ノーマルオープンタイプと復動タイプのコストが高くなってしまう。
このような事情から、真空弁はノーマルクローズタイプを基準に設計し、ノーマルオープンタイプや、復動タイプの駆動方式についても、例えば、シリンダ内径を共通化する等、ノーマルクローズタイプと部品を共通化していることで、低コスト化を図っている。
【0004】
従来の真空弁の一例として、特許文献1を示す。
特許文献1の真空弁は、図11に示すような高真空用バルブの定荷重シール装置であり、定荷重でシールするために板バネを採用している復動タイプの真空弁である。
特許文献1の真空弁は、弁ボディ100の弁室111に菅部を介して連通する複数のポートが形成され、弁棒119を作動させるアクチュエータが弁ボディ100に隣接して配接されている。弁室111と一方の菅部を結ぶ流路に弁座が形成され、弁棒119の基端の弁体に装着したシールゴムを弁座に接触させることにより流路が閉じられ、弁体のシールゴムを弁座から離すことによって流路が開かれる。
アクチュエータの駆動力が駆動部材125から板バネ101を介して弁棒119に伝達され、駆動部材125は弁棒119の周りに往復自在に装着されるとともに移動量が規制されており、駆動部材125から弁棒119に伝達される荷重が所定量を越えないようにされている。
【0005】
このように、駆動部材125から弁棒119に伝達される荷重が所定量を越えないようにしている理由は、シールゴムを保護する目的がある。
シールゴムには最適ツブシ代があり、ツブシ代不足の時はリークが発生し、ツブシ代過大の時はゴムの劣化が促進される。そして、最適ツブシ代に維持しようとする場合には加圧気体の使用圧力を狭い範囲に限定する必要がある。
しかし、最適ツブシ代を維持するために設定した加圧気体の圧力では、真空弁を開状態にするための推力が得られず、真空弁を開状態に出来ない。そこで特許文献1では、真空弁を開状態に出来るように加圧気体の圧力範囲を決定し、真空弁を閉状態にする際には駆動部材125から弁棒119に伝達される荷重が所定量を越えないように板バネ101を設けてその荷重の一部を吸収し、シールゴムの最適なツブシ代を維持しているのである。
【0006】
次に、別の真空弁の一例として、特許文献2を示す。
特許文献2の真空弁は、図12に示すような開度を調整可能な2ポート真空弁であり、シリンダ機能を2つ組み合わせることで開度調整が可能となっている。
特許文献2の真空弁は、シリンダ202のピストン室202a内に第1ピストン215と第2ピストン232とを収容し、第1ピストン215は主流路206を開閉する主弁部材214に連結し、第2ピストン232は、位置調節自在のストッパ243を備えた第2ロッド242に連結し、第2圧力室240に圧力流体を供給して第2ピストン232をストッパ243が当接部239bに当接するまで前進させ、その状態で第1圧力室229に圧力流体を供給して第1ピストン215を第2ピストン232に当接する位置までストロークさせることにより、主弁部材214をこの第1ピストン215のストロークX分だけ開弁させる。
また、上記主流路206を制限的に開閉する副弁機構208を有しており、第1ピストン215内に副ピストン248を備え、主弁部材214に設けられた副流路206Aの開閉を行うことで、真空弁に接続される真空チャンバのスロー排気を実現している。
すなわち、第1ピストン215と第2ピストン232を組み合わせ、それぞれ自在にストローク可能とすることで、弁体を3位置で任意に止めることが可能であり、かつ副流路206Aを設け、副ピストン248により開閉することでスロー排気を実現する構造となっている。
【特許文献1】特開平10−220640号公報
【特許文献2】特開2004−44727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術には以下のような問題があった。
(1)復動タイプ真空弁において、弁閉時の最適荷重範囲に設定が出来ない。
前述したように、コストや保守部品管理等の観点から、ノーマルクローズタイプ、ノーマルオープンタイプ、復動タイプの真空弁は、部品を共通化している。
しかしながら、部品を共通化することで問題も発生する。
真空弁において、弁の開閉推進荷重は、真空弁に備えられるピストンの受圧面積と駆動エアの圧力の積で決定される。
復動タイプのシリンダを駆動装置に採用している場合、弁開時はシリンダ内径からロッド外径の差がピストンの受圧面積となり、ピストンを上昇させる力と、弁体内に流れる流体の圧力に打ち勝つ力が必要になる。一方、弁閉時はシリンダ内径がピストンの受圧面積となり、ピストンを下降させる力、及び弁体に備えられるシールゴムを押し潰すための力を必要とする。真空弁にベローズを備える場合には、更に弁開時、弁閉時共にベローズを伸縮する力を必要とする。
即ち、復動タイプの真空弁において、弁開時と弁閉時の最適荷重範囲は異なり、通常、弁開時に必要とする力の方が、弁閉時に必要とする力よりも大きい。設計によっては、弁開時と弁閉時で必要とする力が数倍も異なる場合もある。
ただし、真空弁は弁を開閉できなければ機能を果たさないため、より力が必要となる弁開時に合わせて設計されることになる。
【0008】
ところで、真空弁は、弁座に弁体に備えられるシールゴムを当接させ、シールゴムを押し潰すことで、弁を閉じ、流路を遮断する。
すなわち、押し潰されたシールゴムの復元力によって弁座の全周をシールし、流体を遮断している。
しかし、シールゴムの弾性力は、真空弁開閉時に繰り返し潰されることで、失われてゆき、シールゴムが潰れた状態になり、シールができなくなる。このような劣化は、シールゴムに過大な力がかかると起こりやすい。シールゴムの劣化は真空弁の流体遮断の性能の低下につながり、真空弁としての機能を果たさなくなるため、シールゴムが劣化してしまった場合には、シールゴムの交換が必要となる。
すなわち、弁閉時の力を最適化していない場合、シールゴムの劣化が早くなってしまい、頻繁にシールゴムの交換をしなければならないという問題があった。
【0009】
そこで、復動タイプの真空弁を用いたい場合には、レギュレータを用いて真空弁閉時に駆動エアを供給する側のエア圧を落とすことも考えられるが、この方法だと、レギュレータを別途設ける必要があり、設置スペースも余分に必要となる。
特許文献1では、この問題に対して、板バネ101を用いることで課題を解決しようとしている。
なお、特許文献2の発明は、シール荷重調整目的ではないため、このような問題の解決手段とはならない。
【0010】
(2)組み付け時に調整が必要であるため、コスト高になる。
ところが、特許文献1で(1)の問題を解決するために用いられる板バネ101は、真空弁に板バネ101を組みつける際に、板バネ101のたわみ代とシールゴムのツブシ代との関係を調整する必要がある。特許文献1にはそのような記載は直接的にはないが、実際に製品誤差等について考えると、シールゴムとして使用しているOリング製品誤差が機械加工したものに比べて大きく、最適ツブシ代を得るためのピストンの位置は一定ではない。一方、板バネ101は比較的大きなバネ定数を持ち、わずかな変形量の変化で発生加重が大きく変わる性質を持つため、適切なツブシ代を得るためには、調整機構を有し、組みつけ時の調整が必要であると考えられる。
しかし、このような調整は、板バネ101のツブシ代を、製品の個体差にあわせて微調整をすることを意味するので、適切な範囲に調整する作業は手間がかかる。
このような調整作業は、組み付け時に必要となるため、組み立てコストが増加し、製品のコストアップを招く結果となるため、好ましくない。
【0011】
出願人は、(1)の問題を解決するために、図10のようなOリングを用いた真空弁を考案した。この方法においては、シリンダチューブ内当接面21dにさらにOリング300を一つ設け、弁体24の備える、前述のシールゴムに相当するシール部材35が弁座部34に当接した後に、ピストン部22がシリンダチューブ内当接面21dに備えるOリング300に当接し、シール部材35とOリング300は時間差で潰されることでシール部材35のツブシ代をコントロールし、シール部材35の圧力を低下させようというものである。
この方法であれば、シール部材35とOリング300と両方の弾性体で弁体の推力を受けるので、シール部材35にかかる力は減殺され、特許文献1の方法よりも構造が簡単になるため、安価にできあがるメリットがある。しかし、シール部材35とOリング300の位置関係が重要であるため、ツブシ代の調整が必要となる。
従って、構造は簡単になった分、特許文献1よりも安価にできあがるが、やはり調整は必要であるため、組み立てコストがかかるという点においては変わらない。
【0012】
また、シールゴムへの負担を軽減する別の手段としては、真空弁の駆動部のシリンダの径を小さくしてやるという方法も考えられる。この方法であれば、シリンダの径を小さくするだけであるので、コスト的にも安価に済む。
ただし、駆動エアからの押圧力を抑えるためにシリンダの径を小さくし、ピストンの受圧面積を減らすと、流路遮断時のシールゴムへの負担は軽減されるが、流路連通時に弁体を動作させる力も減少してしまう結果となる。従って、真空弁に接続される真空チャンバや真空ポンプで使用する真空圧によっては、流路解放時に弁体を持ち上げられなくなり、駆動エアの圧力をあげる必要が発生し、別途増圧弁等を用意して、昇圧回路を組む必要も出てくる。すなわち、駆動エアの圧力を小さくしたり、受圧面積を小さくしたりすることは、作動に影響し、他の問題発生の一因となる。
【0013】
つまり、従来技術又は前述した出願人の提案した例などにおいては上述したように、復動タイプの真空弁に、弁開時と、弁閉時の両方において最適荷重範囲になるように、消耗部品である弁体に備えるシールゴムにかかる力を抑える機構を設けることは難しかった。
弁体に備えられたシールゴムに必要以上の力がかかると、シールゴムの寿命が短くなり、メンテナンスを頻繁に行わなければならない等の問題が発生し、使用者に負担をかけることになり問題である。
【0014】
そこで、本発明ではこのような問題を解決するためになされたものであり、弁開時と弁閉時の両方において弁体にかかる荷重範囲を最適化した真空弁の提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために、本発明の真空弁は以下のような特徴を有する。
(1)弁本体に接続され、可動軸を内部に備えるシリンダと、前記弁本体に形成される第1ポートと、前記弁本体に形成され前記第1ポートと連通する第2ポートと、前記第1ポートと前記第2ポートを連通する流路に形成される弁座と、前記可動軸に接続され前記弁座と当接及び離間するシール部材を備える弁体と、を有する真空弁において、前記シリンダが、前記可動軸に結合され、受圧面積が前記シリンダの円筒内面断面積より小さい第1ピストンと、前記可動軸と係合し圧力流体の力によって間接的に前記第1ピストンを移動させる第2ピストンを備え、前記シリンダに備えられる第1操作ポートに前記圧力流体が供給されることで、前記第1ピストン及び前記第2ピストンが受圧し、前記第1ピストンは、前記第2ピストンの内部に備えられた凹部内壁を摺動し、前記第2ピストンは、前記シリンダの円筒部内壁面を摺動することで、前記第1ピストン及び前記第2ピストンが移動し、前記第2ピストンが、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側の第2ピストン用ストッパに当接した際、前記第1ピストンは、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側の第1ピストン用ストッパとの間に空間を有するので、さらに前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側に移動し、前記第1ピストンの押圧力のみが前記弁座に当接する前記シール部材への押付荷重となり、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断することを特徴とする。
【0016】
ここでいう「前記可動軸に結合され」とは、可動軸と、第1ピストンが物理的に結合されていることをいい、第1ピストンにネジを切った場合や、可動軸側にネジを切りボルトで結合する場合、また簡易な結合手段として可動軸に対して第1ピストンを止め輪等の部材で外れないように止め、多少ガタのある状態で保持されていても構わない。
また、ここでいう「シール部材」とは、例えばOリングの様な弾性部材や、メタルシールなどを含むシールする機能を有する部材である。本発明の場合は、弁体に備えられたシール部材を弁座に当接させ、押し潰すことにより弁座との隙間を無くし、シールを行う。Oリングのような弾性部材は、押圧力によってOリングを潰すことによってシール機能を発生する。メタルシールの場合は、Oリングの場合ほど変形しないため、弁体と弁座との平行度と、ぞれぞれの平面度を要求されるが、微視的に見ればメタルシールは押圧されて変形し、シール機能を発生する。従って、流体を遮断する機能はどちらの場合でも果たし得る。なお、一般的には加工コスト等を下げるために、Oリングのように変形量の多いシール部材が用いられている。
【0017】
(2)弁本体に接続され、可動軸を内部に備えるシリンダと、前記弁本体に形成される第1ポートと、前記弁本体に形成され前記第1ポートと連通する第2ポートと、前記第1ポートと前記第2ポートを連通する流路に形成される弁座と、前記可動軸に接続され前記弁座と当接及び離間するシール部材を備える弁体と、を有する真空弁において、前記シリンダが、前記可動軸に結合され、受圧面積が前記シリンダの円筒内面断面積より小さい第1ピストンと、前記可動軸と係合し圧力流体の力によって間接的に前記第1ピストンを移動させる第2ピストンを備え、前記第1ピストンは、前記第2ピストンの内側にあって、前記第1ピストンの外周と前記第2ピストンの内周が可撓膜で接続され、前記シリンダに備えられる第1操作ポートに前記圧力流体が供給されることで、前記第1ピストン及び前記第2ピストンが受圧して移動し、前記第2ピストンが、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側の第2ピストン用ストッパに当接した際、前記第1ピストンは、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側の第1ピストン用ストッパとの間に空間を有するので、さらに前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側に移動し、前記第1ピストンの押圧力のみが前記弁座に当接する前記シール部材への押付荷重となり、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断することを特徴とする。
ここでいう「可撓膜」とは、ダイアフラムや、ベローズ等の可撓性を有する膜を指す。第1ピストンと第2ピストンがダイアフラム膜等で接続されていることにより、(1)のような摺動面を持つ構造でなくシールすることが可能となる。
【0018】
(3)弁本体に接続され、可動軸を内部に備えるシリンダと、前記弁本体に形成される第1ポートと、前記弁本体に形成され前記第1ポートと連通する第2ポートと、前記第1ポートと前記第2ポートを連通する流路に形成される弁座と、前記可動軸に接続され前記弁座と当接及び離間するシール部材を備える弁体と、を有する真空弁において、前記シリンダが、前記可動軸に結合され、受圧面積が前記シリンダの円筒内面断面積より小さい第1ピストンと、前記可動軸と係合し圧力流体の力によって間接的に前記第1ピストンを移動させる第2ピストンを備え、前記シリンダに備えられる第1操作ポートに前記圧力流体が供給されることで、前記第1ピストン及び前記第2ピストンが受圧し、前記第1ピストンは、前記第2ピストンに備えられた凸部壁面を摺動し、前記第2ピストンは、前記シリンダの円筒部内壁面を摺動することで、前記第1ピストン及び前記第2ピストンが移動し、前記第2ピストンが、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側の第2ピストン用ストッパに当接した際、前記第1ピストンは、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側の第1ピストン用ストッパとの間に空間を有するので、さらに前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側に移動し、前記第1ピストンの押圧力のみが前記弁座に当接する前記シール部材への押付荷重となり、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断することを特徴とする。
【0019】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の真空弁において、前記第1ピストンが、前記シリンダの前記円筒部内壁面と摺動する支持部を持ち、前記支持部が、前記第1操作ポート側にあって、前記支持部に、前記圧力流体を通過させるための通気部を備えることを特徴とする。
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の真空弁において、前記第2ピストンは、前記可動軸に貫通され、前記第1ピストンと前記弁体の間に備えられ、前記可動軸には、前記第2ピストンと係合するための掛止部を備え、前記第2ピストンの係合部が係合し、前記第2ピストンの前記係合部の厚みは、前記第1ピストンの端面から前記掛止部までの長さよりも薄いことを特徴とする。
ここでいう「掛止部」とは、例えば可動軸に段付き加工を施して段差を設け、係合部が引っかかるようにしても良いし、止め輪を用いて係合部が引っかかるようにしても良い。即ち、第1ピストンの端面から掛止部までの距離よりも厚みが薄く作られた第2ピストンの係合部が、可動軸に設けられた掛止部によって移動が規制されればよい。よって、第2ピストンの係合部の移動範囲は、第1ピストンの端面と可動軸の掛止部によって定められることになる。
【発明の効果】
【0020】
このような特徴を有する本発明の真空弁により、以下のような作用、効果が得られる。
(1)弁本体に接続され、可動軸を内部に備えるシリンダと、前記弁本体に形成される第1ポートと、前記弁本体に形成され前記第1ポートと連通する第2ポートと、前記第1ポートと前記第2ポートを連通する流路に形成される弁座と、前記可動軸に接続され前記弁座と当接及び離間するシール部材を備える弁体と、を有する真空弁において、前記シリンダが、前記可動軸に結合され、受圧面積が前記シリンダの円筒内面断面積より小さい第1ピストンと、前記可動軸と係合し圧力流体の力によって間接的に前記第1ピストンを移動させる第2ピストンを備え、前記シリンダに備えられる第1操作ポートに前記圧力流体が供給されることで、前記第1ピストン及び前記第2ピストンが受圧し、前記第1ピストンは、前記第2ピストンの内部に備えられた凹面部内壁を摺動し、前記第2ピストンは、前記シリンダの円筒部内壁面を摺動することで、前記第1ピストン及び前記第2ピストンが移動し、前記第2ピストンが、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側の第2ピストン用ストッパに当接した際、前記第1ピストンは、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側の第1ピストン用ストッパとの間に空間を有するので、さらに前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側に移動し、前記第1ピストンの押圧力のみが前記弁座に当接する前記シール部材への押付荷重となり、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断することを特徴とするので、弁開時と弁閉時の両方において弁体にかかる荷重範囲を最適化できるという優れた効果を奏する。
【0021】
弁開時と弁閉時の両方において弁体にかかる荷重範囲を最適化できるという効果は、発明の構成が次のような作用によって実現される。
真空弁の弁開時においては、第1ピストンと第2ピストンによって行われるので、圧力流体の操作圧Pとシリンダの内径と可動軸の外径の差の受圧面積Aとの積Aによって決定される。
一方、真空弁の弁閉時においては、第2ピストンは、弁体に備えられるシール部材が弁座に当接する前に第2ピストン用ストッパに当接し、シリンダの円筒内面断面積よりも小さい第1ピストンの受圧面積Aと操作圧Pとの積Aの押圧力で、弁座に当接するシール部材への押付荷重を加えるため、シール部材に最適な荷重範囲での押圧が可能となる。
即ち、弁開時には受圧面積Aで、弁閉時には受圧面積Aで、圧力流体の操作圧Pを受け、受圧面積が異なることで、それぞれの最適荷重範囲が設定しうる。
【0022】
(2)弁本体に接続され、可動軸を内部に備えるシリンダと、前記弁本体に形成される第1ポートと、前記弁本体に形成され前記第1ポートと連通する第2ポートと、前記第1ポートと前記第2ポートを連通する流路に形成される弁座と、前記可動軸に接続され前記弁座と当接及び離間するシール部材を備える弁体と、を有する真空弁において、前記シリンダが、前記可動軸に結合され、受圧面積が前記シリンダの円筒内面断面積より小さい第1ピストンと、前記可動軸と係合し圧力流体の力によって間接的に前記第1ピストンを移動させる第2ピストンを備え、前記第1ピストンは、前記第2ピストンの内側にあって、前記第1ピストンの外周と前記第2ピストンの内周が可撓膜で接続され、前記シリンダに備えられる第1操作ポートに前記圧力流体が供給されることで、前記第1ピストン及び前記第2ピストンが受圧して移動し、前記第2ピストンが、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側の第2ピストン用ストッパに当接した際、前記第1ピストンは、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側の第1ピストン用ストッパとの間に空間を有するので、さらに前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側に移動し、前記第1ピストンの押圧力のみが前記弁座に当接する前記シール部材への押付荷重となり、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断することを特徴とするので、摺動部を無くし、例えばダイアフラム膜で第1ピストンと第2ピストンを接続した場合、第1ピストンを動作させることにより(1)の真空弁と同等の効果を得た上で、(1)の真空弁よりも少ない抵抗で第1ピストンを動作させることが出来る。
【0023】
(3)弁本体に接続され、可動軸を内部に備えるシリンダと、前記弁本体に形成される第1ポートと、前記弁本体に形成され前記第1ポートと連通する第2ポートと、前記第1ポートと前記第2ポートを連通する流路に形成される弁座と、前記可動軸に接続され前記弁座と当接及び離間するシール部材を備える弁体と、を有する真空弁において、前記シリンダが、前記可動軸に結合され、受圧面積が前記シリンダの円筒内面断面積より小さい第1ピストンと、前記可動軸と係合し圧力流体の力によって間接的に前記第1ピストンを移動させる第2ピストンを備え、前記シリンダに備えられる第1操作ポートに前記圧力流体が供給されることで、前記第1ピストン及び前記第2ピストンが受圧し、前記第1ピストンは、前記第2ピストンに備えられた凸部壁面を摺動し、前記第2ピストンは、前記シリンダの円筒部内壁面を摺動することで、前記第1ピストン及び前記第2ピストンが移動し、前記第2ピストンが、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側の第2ピストン用ストッパに当接した際、前記第1ピストンは、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側の第1ピストン用ストッパとの間に空間を有するので、さらに前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側に移動し、前記第1ピストンの押圧力のみが前記弁座に当接する前記シール部材への押付荷重となり、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断することを特徴とするので、(1)の真空弁と同等の効果を得ることが出来る。
【0024】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の真空弁において、前記第1ピストンが、前記シリンダの前記円筒部内壁面と摺動する支持部を持ち、前記支持部が、前記第1操作ポート側にあって、前記支持部に、前記圧力流体を通過させるための通気部を備えることを特徴とするので、弁体を弁座に当接させる際に、可動軸の半径方向への振れを抑えることができ、弁体に備えるシール部材を弁座に均等な力をかけて当接させることが可能となる。
また、第1ピストンの受圧面積に関しては、第1ピストンに通気部を設けることで、シリンダチューブの円筒内面断面積よりも小さくすることが可能となる。
【0025】
(5)(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の真空弁において、前記第2ピストンは、前記可動軸に貫通され、前記第1ピストンと前記弁体の間に備えられ、前記可動軸には、前記第2ピストンと係合するための掛止部を備え、前記第2ピストンの係合部が係合し、前記第2ピストンの前記係合部の厚みは、前記第1ピストンの端面から前記掛止部までの長さよりも薄いことを特徴とするので、簡易な方法で、第2ピストンがストッパに当接した後、第1ピストンが動作する幅をもたせることができ、第1ピストンのみによって弁体に備えるシール部材を弁座に当接させる力を発生する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例について図面を用いて説明する。最初に第1実施例の構成について説明する。
図1は、第1実施例の真空弁の閉状態の断面図を示している。図2は、第1実施例の真空弁の開状態の断面図を示している。
また、図3及び図4は、真空弁の閉状態における、拡大図を示している。
真空弁1は、図1に示すように、弁部11とシリンダ部12の2つの部分からなり、弁部11は、中空部を有するステンレス又はアルミニウム製の加工品である弁本体31からなり、内面にガス溜まりが出来ないように隙間や凹凸部無く一体的に形成されている。また、シリンダ部12は円筒内面21aを有するシリンダチューブ21からなり、アルミニウム製の押出成形品である。弁部11とシリンダ部12はボルト等によって着脱可能に締結されている。
【0027】
弁部11には、シリンダ部12と対向する位置に第1ポート32を備える略円筒形状の第1ポート部材41が設けられ、第1ポート部材41の先端には第1ポートフランジ部41aが形成されている。また、弁部11側面に、第2ポート33を備える略円筒形状の第2ポート部材42が設けられ、第2ポート部材42の先端には第1ポート部材41同様に第2ポートフランジ部42aが形成されている。そして、第1ポート32又は第2ポート33に形成される第1ポートフランジ部41a及び第2ポートフランジ部42aによって、真空チャンバや真空ポンプなどの外部機器等に接続される。
【0028】
次に、弁部11の内部構造について説明する。
図1及び図2に示される弁本体31の内部であって、第1ポート部材41の第1ポートフランジ部41aと対向する端部には、弁座部34が設けられ、シール部材35を着脱自在に有する弁体24が当接、離間する。
シール部材35はフッ素ゴム製のOリングであり、弁体24にシール固定部材24aによって変形可能に取り付けられている。
このシール固定部材24aは、弁体24にボルトによって締結される。シール固定部材24aが弁体24に取り付けられた状態の断面は、アリ溝状であり、シール部材35を保持する空間となっている。このアリ溝状の空間の深さは、シール部材35の断面直径よりも浅い。すなわち、シール部材35が弁体24に取り付けられた状態では、弁体24の弁座部34側の面にシール部材35が円周状に飛び出している状態となる。
そして、弁体24が弁座部34に当接することによって、シール部材35は全周にわたって押しつぶされ、その復元力により、シール機能を発揮する。
弁体24は、可動軸23と接続され、可動軸23はシリンダ部12によって、駆動する。
弁体24とシリンダ部12の間には、金属ベローズ36が設けられている。
金属ベローズ36は、ステンレス製の伸縮自在な形状をしており、可動軸23がスライドする際に発生するパーティクルを、第1ポート32と第2ポート33が連通する流路内に落とさないように、金属ベローズ36の端部は弁本体31と弁体24に、それぞれ気密に取り付けられている。
【0029】
次に、シリンダ部12の内部構造について説明する。
図1及び図2に示されるシリンダチューブ21には、第1操作ポート25と第2操作ポート26が設けられ、第1操作ポート25は第1シリンダ室27と、第2操作ポート26は第2シリンダ室28と連通している。そして、第1操作ポート25及び第2操作ポート26に取り付けられる図示しない継ぎ手によって、エアチューブに接続され、さらに電磁弁を介しコンプレッサに接続される。
【0030】
弁体24に結合される可動軸23は、シリンダチューブ21内部の円筒内面21aを摺動するピストン部22と接続されている。従って、図示しない電磁弁から供給される駆動エアが、第1操作ポート25又は第2操作ポート26に供給されると、ピストン部22が円筒内面21aを摺動し、ピストン部22と接続される可動軸23が駆動する。
可動軸23は、シリンダチューブ21に凸設される可動軸保持部21bに摺動可能に保持されており、可動軸保持部21bには可動軸保持パッキン21cが設けられて、可動軸23が摺動することによって、パーティクルが発生しづらいようになっているとともに、金属ベローズ36内に駆動エアの圧力がかかることを防止している。
【0031】
ピストン部22は、第2ピストン46の凹部摺動面46cを摺動する第1ピストン45と、円筒内面21aを摺動する第2ピストン46の2つのピストンより構成される。
第1ピストン45には円筒状の凸部が形成され、第2ピストン46には円筒状の凹部摺動面46cが形成され、嵌り込むようになっている。
また、第1ピストン45の凸部には第1摺動パッキン45aが嵌め込まれ、第2ピストン46の凹部摺動面46cを摺動する。
第1ピストン45には、円筒内面21aとの接触部にウェアリング45bが設けられている。さらに、第1ピストン45には、流体通過穴45cが複数設けられている。
【0032】
一方、第2ピストン46には、第2摺動パッキン46aと、ピストン磁石46bが設けられており、円筒内面21aを摺動する。このピストン磁石46bは、シリンダの位置を検出する図示しないオートスイッチの検出等に使用される。
また、第2ピストン46は、第1ピストン45に接続される可動軸23が貫通して、第1ピストン45とシリンダチューブ内当接面21dの間に設けられており、可動軸23には、段差が設けられて、可動軸23の、シリンダチューブ内当接面21dとの摺動部より一段細くなった部分である段差部23aに、第2ピストン46の係合部46fが係合している。
可動軸23と第2ピストン46の間には隙間Sが設けてあり、図5にその拡大図が示されている。この隙間Sは、弁体24が図面に対して左右に振れた場合であっても、可動軸23と第2ピストン46が干渉しない程度のクリアランスとなっている。
さらに、可動軸23の段差部23aからさらに1段細くなった部分でネジが切られ、第1ピストン45が結合されている。
【0033】
従って、可動軸23の段差部23aで係合部46fが係合する第2ピストン46は、可動軸23の段差と第1ピストン45と挟み込まれる形となっている。
ただし、可動軸23の段差部23aから端部当接面45dまでの距離より、第2ピストン46の係合部46fの厚みは、若干薄くなっており、図2のピストン部22上昇端において、第2ピストン46は図面で見て上下に動くだけのクリアランスがある。図1のピストン部22下降端においても、同様である。このクリアランスは、弁体24の備えるシール部材35のツブシ代よりもよりも大きい。
【0034】
図3及び図4は、真空弁1の閉状態について説明している。また、図5は図3のA部を拡大した断面詳細図であり、図6は図4のB部を拡大した断面詳細図である。
図3には第2ピストン46の第2ピストン下面46dが、シリンダチューブ内当接面21dに当接した状態における、第1ピストン45の移動上端の位置を示している。
この移動上端の位置は、図5に示すように段差部23aと係合部46fとのクリアランスによって決定する。
また、図4には、第2ピストン46の第2ピストン下面46dが、シリンダチューブ内当接面21dに当接した状態における、第1ピストン45の移動下端の位置を示している。
すなわち、図1で示す真空弁1の閉状態のうち、第1ピストン45が第1シリンダ室27に供給された駆動エアによって、圧力を受け、第1ピストン45に可動軸23を介して接続される弁体24の備えるシール部材35が弁座部34に当接し、第1ピストン45は可動軸23と弁体24を介してシール部材35に対して押圧力を伝えている。
【0035】
この際に、図6に示すように、第2ピストン46の備える係合部46fは、可動軸23の備える段差部23aに接触せず、第1クリアランスXと第2クリアランスXが出来るように各部品の寸法が決定される。この、第1クリアランスX+第2クリアランスXが、シール部材35のツブシ代よりも大きく、第1実施例ではツブシ代の2倍程度に設定されている。
すなわち、弁座部34にシール部材35が当接し、適度なツブシ代を与えられている状態において、段差部23aと係合部46fの関係が第1クリアランスXと第2クリアランスXをもって存在しているため、第2ピストン46は可動軸23に力を伝えず、可動軸23に直接接続される第1ピストン45のみがシール部材35に押圧力を加える状態に、可動軸23、弁体24、シール部材35、第1ピストン45、第2ピストン46の形状寸法が決定されている。
【0036】
次に、以上のような構成からなる第1実施例の真空弁1の作用について説明する。
まず、真空弁1が開状態になる場合について説明する。
図1に示す状態で、第2操作ポート26に駆動エアが供給されると、第2シリンダ室28に駆動エアが流入し、第1シリンダ室27からエアが排気されるので、図1の図面上側に向けてピストン部22は上昇することになる。
この時、シリンダチューブ内当接面21dと当接していた第2ピストン下面46dが、駆動エアのエア圧により押し上げられ、第2ピストン46は、図2に示すように、シリンダチューブ端部当接面21eと、弁体当接面24dが当接するまで移動する。
【0037】
また同時に、第1ピストン45は、第2ピストン46の第2ピストン46の凹部当接面46eと第1ピストン45の端部当接面45dで当接するので、第2ピストン46と共に移動する。
これによって、図2の状態となり、第1ピストン45に可動軸23を介して連結される弁体24は、弁座部34と離間し、第1ポート32と第2ポート33が連通するため、真空弁1は開状態となる。
このように、真空弁1が開状態となるので、例えば第1ポート32に図示しない真空チャンバが、第2ポート33に図示しない真空ポンプが接続されていれば、真空ポンプによって、真空チャンバ内の流体を排気することが可能となる。
【0038】
真空弁1が閉状態になる場合について説明する。
図2に示す状態で、第1操作ポート25に駆動エアが供給されると、第1シリンダ室27に駆動エアが流入し、第2シリンダ室28からエアが排気されるので、図2の図面下側に向けてピストン部22は下降することになる。
第1シリンダ室27に流入した駆動エアは、第1ピストン上面45eを押し、図面下側に第1ピストン45を移動させる。
また、第1ピストン45には流体通過穴45cが設けられているので、第1シリンダ室27に流入した駆動エアは第2ピストン上面46gも押すことになり、第2ピストン46も図面下側への力を発生する。
なお、第1ピストン45の受圧面積は、流体通過穴45cによって下面にも圧力流体が流入するため、流体通過穴45cの穴の大きさが十分大きければ、第1ピストン上面45eの面積ではなく、第2ピストン46に設けられた凹部摺動面46cを形成する円筒の断面積と等しい。従って、第1ピストン45と第2ピストン46の受圧面積の和はシリンダチューブ内当接面21dが形成する円筒の断面積と等しくなる。
このようにしてピストン部22は図面下側に移動する。
【0039】
この時、第1ピストン45と第2ピストン46との位置関係は、第1摺動パッキン45a、及び第2摺動パッキン46aの摺動抵抗、及び金属ベローズ36の伸縮時の抵抗、第1操作ポート25又は第2操作ポート26に供給される駆動エアの圧力及び供給量のバランスによって決まる。
従って、第1ピストン45がシリンダチューブ内当接面21dに当接するタイミングと、第2ピストン46が第1ピストン45の端部当接面45dに当接するタイミングも、前述のバランスによって左右される。
【0040】
例えば、第2ピストン46の凹部当接面46eと第1ピストン45の端部当接面45dが、第2ピストン下面46dとシリンダチューブ内当接面21dが当接するよりも先に当接するような設定であった場合、第1操作ポート25から第1シリンダ室27に駆動エアが供給された結果、先に第2ピストン46の凹部当接面46eと第1ピストン45の端部当接面45dが当接して、その後、第2ピストン下面46dとシリンダチューブ内当接面21dが当接することによって、第2ピストン46の凹部当接面46eと第1ピストン45の端部当接面45dは、離間する。
この場合、第2ピストン46の第2ピストン下面46dがシリンダチューブ内当接面21dに当接することによって、それ以上第2ピストン46は図面下側に動けないので、第1ピストン45のみが図面下側への力を弁体24に伝えることとなり、弁体24の備えるシール部材35が弁座部34に当接した時点で、第1ピストン45のみの押圧力によって、シール部材35は潰されることになる。
【0041】
また、第2ピストン下面46dとシリンダチューブ内当接面21dが、第2ピストン46の凹部当接面46eと第1ピストン45の端部当接面45dが当接するよりも先に当接するような設定であった場合、第1操作ポート25から第1シリンダ室27に駆動エアが供給された結果、第2ピストン下面46dとシリンダチューブ内当接面21dが当接して、その後、第2ピストン46の凹部当接面46eと第1ピストン45の端部当接面45dが当接する方向に第1ピストン45は動こうとする。
この場合も、第2ピストン46の第2ピストン下面46dがシリンダチューブ内当接面21dに当接することによって、それ以上第2ピストン46は図面下側に動けないので、第1ピストン45のみが図面下側への力を弁体24に伝えることとなり、弁体24の備えるシール部材35が弁座部34に当接した時点で、第1ピストン45のみの押圧力によって、シール部材35は潰されることになる。
このようにどちらの場合でも、シール部材35が弁座部34に当接した状態では、第1ピストン45からの押圧力のみがシール部材35にかかることになる。
【0042】
図3及び図4は、シリンダチューブ内当接面21dに第2ピストン下面46dが当接し、さらに第1ピストン45が、第2ピストン46の凹部当接面46eと第1ピストン45の端部当接面45dが当接する方向に動く場合の図を示している。
まず、前述のように第1操作ポート25から供給された駆動エアが、第1シリンダ室27に供給されることで、図3のように、第2ピストン46の第2ピストン下面46dは、シリンダチューブ内当接面21dに当接する。
この際に、第1シリンダ室27に供給される駆動エアは、第1ピストン45の流体通過穴45cを通過して、第2ピストン46の第2ピストン上面46gに圧力を加えているので、シリンダチューブ内当接面21dを押し続けるが、第2ピストン46は移動下限にいるので、第2ピストン46の係合部46fから、可動軸23の段差部23aに力を伝えなくなる。
【0043】
一方、第1ピストン45は、図3の状態では移動下限にいないために、さらに第1シリンダ室27に供給される駆動エアの力を受けて、図面下側に移動しようとする。
第1ピストン45の移動下限は、第1ピストン45に可動軸23を介して接続される弁体24の備えるシール部材35が弁座部34に当接し、適当なツブシ代をもった状態、即ち、図5に示される、段差部23aと係合部46fの関係が、第1クリアランスX及び第2クリアランスXが出来る状態である。
この状態で、第1シリンダ室27に駆動エアが供給されることにより、第1ピストン45に与えられる推力と、シール部材35が適当なツブシ代をもって潰されることによって発生する反力が釣り合い、シール部材35には、過大な力がかからない。
即ち、真空弁1の閉状態では、第2ピストン46は移動下限にあり、第1クリアランスX及び第2クリアランスXが出来ることで、可動軸23に推力を伝えておらず、第1ピストン45のみがシール部材35に押圧力を加えることになる。
第1ピストン45の駆動エアからの圧力の受圧面積は、第1ピストン45が流体通過穴45cを備えるため、第2ピストン46の凹部摺動面46cの断面積と等しくなる。従って、第1ピストン45の受圧面積はシリンダチューブ21の円筒内面21aの断面積よりも小さいので、シール部材35に加えられる押圧力は、シリンダチューブ21の円筒内面21aの断面積全体が発生する押圧力よりも小さくすることが可能になる。
【0044】
このように、真空弁1が閉状態になるので、第1ポート32と第2ポート33は遮断され、例えば第1ポート32に図示しない真空チャンバが、第2ポート33に図示しない真空ポンプが接続されていれば、真空ポンプによる、真空チャンバ内の空気の排気を停止する。
前述したように、真空弁1が閉状態である場合に、第1ピストン45から発生する推力のみで弁体24に備えるシール部材35を押しつぶしており、シール部材35を適度な力で押しつぶすことが可能になる。
従って、シール部材35を過剰な力で押すことが無くなり、シール部材35の寿命を延ばすことに繋がる。
真空弁1の開閉を繰り返す度に、シール部材35は弁座部34に押しつけられて変形するが、過剰な力で押しつけられることは、シール部材35を劣化させ、寿命を短くする。
これにより、シール部材35の交換等の作業を使用者に強いることになるが、本発明の真空弁を用いることで、シール部材35への押圧力などの負荷を減らすことが可能であり、寿命が延びるので、交換頻度を減らすことが可能となり作業者への負担を減らすことが出来る。
また、シール部材35への押付荷重は、第1ピストン45の受圧面積と駆動エアの操作圧によって決定されるため、部品素材強度や、寸法のバラツキの影響はほとんど無くなる。第1ピストン45の受圧面積は、設計によって決定されるからである。従って真空弁1を組み付ける際に、特許文献1の場合に考えられるような調整は必要がない。すなわち、生産時のコストを下げることが可能となる。
【0045】
以上に説明した、本発明の真空弁1の第1実施例により、以下のような効果が得られる。
(1)弁本体31に接続され、可動軸23を内部に備えるシリンダ部12と、弁本体31に形成される第1ポート32と、弁本体31に形成され第1ポート32と連通する第2ポート33と、第1ポート32と第2ポート33を連通する流路に形成される弁座部34と、可動軸23に接続され弁座部34と当接及び離間するシール部材35を備える弁体24と、を有する真空弁1において、シリンダ部12が、可動軸23に結合され、受圧面積がシリンダ部12の円筒内面断面積より小さい第1ピストン45と、可動軸23と係合し圧力流体の力によって間接的に第1ピストン45を移動させる第2ピストン46を備え、シリンダチューブ21に備えられる第1操作ポート25に圧力流体が供給されることで、第1ピストン45及び第2ピストン46が受圧し、第1ピストン45は、第2ピストン46の内部に備えられた第2ピストン46の凹部摺動面46cを摺動し、第2ピストン46は、シリンダチューブ21の円筒内面21aを摺動することで、第1ピストン45及び第2ピストン46が移動し、第2ピストン46が、第1ポート32と第2ポート33を遮断する側のシリンダチューブ内当接面21dに当接した際、第1ピストン45は、第1ポート32と第2ポート33を遮断する側の第2ピストン46の凹部当接面46eとの間に第1クリアランスXを有するので、さらに第1ポート32と第2ポート33を遮断する側に移動し、第1ピストン45の押圧力のみが弁座部34に当接するシール部材35への押付荷重となり、第1ポート32と第2ポート33を遮断することを特徴とするので、真空弁1の弁開時と弁閉時の両方において弁体にかかる荷重範囲を最適化できるという優れた効果を奏する。
【0046】
弁開時と弁閉時の両方において弁体24にかかる荷重範囲を最適化できるという効果は、次のような作用によって実現される。
真空弁1の弁開時においては、第1ピストン45と第2ピストン46によって行われるので、圧力流体の操作圧Pとシリンダチューブ21の内径と可動軸23の外径の差の受圧面積Aとの積Aによって決定される。
一方、真空弁の弁閉時においては、第2ピストン46は、弁体24に備えられるシール部材が弁座部34に当接する前にシリンダチューブ内当接面21dに当接し、シリンダチューブ21の円筒内面21aの断面積よりも小さい第1ピストン45の受圧面積Aと操作圧Pとの積Aの押圧力で、弁座部34に当接するシール部材35への押付荷重を加えるため、シール部材35に最適な荷重範囲での押圧が可能となる。
即ち、弁開時には受圧面積Aで、弁閉時には受圧面積Aで、圧力流体の操作圧Pを受け、受圧面積が異なることで、それぞれの最適荷重範囲が設定しうる。
これによって、真空弁1の弁開時には弁本体31内に流れる流体の圧力に打ち勝って弁を開くための最適荷重範囲に、弁閉時にはシール部材35のツブシ代を最適にできる最適荷重範囲に設定でき、シール部材35の長寿命化が図れる。
【0047】
さらに、弁体24に備えられたシール部材35の押圧力は、第1ピストン45の受圧面積によって決められるので、事前の加工によって決定され、組み付け時に余計な調整が必要ない。従って、コスト削減の面でも効果がある。
すなわち、(1)の発明によって、弁開時と弁閉時の両方において弁体にかかる荷重範囲を最適化できると共に、長寿命化、低コスト化をはかれるという優れた効果を奏する。
従って、シリンダチューブ21の内径を小さくせずにシール部材35への負担軽減を実現しているので、駆動エアの圧力を高くする必要がない。
さらに、弁体24に備えられるシール部材35の長寿命化が図れることで、真空弁1のメンテナンスの回数を減らすことが可能となり、使用者への負担を減らすことが可能となる。
また、ピストンを組み合わせて用いるという単純な構造により、シール部材35の長寿命化を実現しているために製造コストを削減可能である。
【0048】
(2)(1)に記載の真空弁において、第1ピストン45が、シリンダ部12の円筒内面21aと摺動する支持部を持ち、第1ピストン45の支持部が、第1操作ポート25側にあって、第1ピストン45の支持部に、圧力流体を通過させるための流体通過穴45cを備えることを特徴とするので、弁体24を弁座部34に当接させる際に、可動軸23の半径方向への振れを抑えることができ、弁体24を弁座部34に均等な力をかけて当接させることが可能となる。
また、第1ピストン45の受圧面積に関しては、第1ピストン45に流体通過穴45cを設けることで、シリンダチューブ21の円筒内面21aの断面積よりも受圧面積を小さくすることが可能となる。
【0049】
(3)(2)に記載の真空弁において、第2ピストン46は、可動軸23に貫通され、第1ピストン45と弁体24の間に備えられ、可動軸23には、第2ピストン46と係合するための段差部23aを備え、第2ピストン46の係合部46fが段差部23aと係合し、第2ピストン46の係合部46fの厚みは、第1ピストン45の端部当接面45dから段差部23aまでの長さよりも薄いことを特徴とするので、簡易な方法で、第2ピストン46がシリンダチューブ内当接面21dに当接した後、第1ピストン45が動作する幅を持つようにでき、第1ピストン45のみによって弁体24に備えるシール部材35を弁座部34に当接させる力を発生する。
【0050】
(第2実施例)
次に、本発明の第2実施例について図面を用いて説明する。最初に第2実施例の構成について説明する。
図7は、第2実施例の真空弁の閉状態の拡大断面図を示している。
第2実施例は、第1実施例の変形例であるため、大まかな構成は第1実施例と同様であり、第2実施例と第1実施例の差はピストン部22の部分の構造の違いである。従って、構成の違うピストン部22について説明を行う。他の部分は同様であるため、説明を省略する。図7においても、第1実施例と構成の違う特徴部分を拡大して図示している。
ピストン部22は、第1ピストン45と第2ピストン46の2つのピストンで構成されている。
第1ピストン45は、第2ピストン46と可撓膜の一例であるダイアフラム膜47で接続され、第2ピストン46の備える凹部よりも径が小さく、第2ピストン46の凹部に入り込む状態で備えられる。また、第1ピストン45は可動軸23に接続されている。
一方、第2ピストン46は、シリンダチューブ21の円筒内面21aを摺動するように、第2摺動パッキン46aを備えている。そして、第2ピストン46は、可動軸23が貫通して、第1ピストン45とシリンダチューブ内当接面21dの間に設けられている。可動軸23には段差部23aが設けられており、第2ピストン46の係合部46fが、第1ピストン45の端部当接面45dと段差部23aに挟まれる形で可動軸23の1段細くなった部分に係合している。
係合部46fの厚みは、第1ピストンの端部当接面45dと段差部23aの距離よりも薄く、第2ピストン46は、図7のように第2ピストン46がシリンダチューブ内当接面21dに当接した状態で、第1ピストン45が図面で見て上下に動くだけのクリアランスがある。
【0051】
次に、以上のような構成からなる第2実施例の作用について説明する。
なお、作用についても第1実施例とほぼ同様であるため、差異のある閉状態について説明を行う。
第1操作ポート25に駆動エアが供給されると、第1シリンダ室27に駆動エアが流入し、第2シリンダ室28からエアが排気されるので、第1実施例のピストン部22が図2の図面下側に向けて降下したのと同様に、第2実施例のピストン部22も降下する。
そして、図7に示すように第2ピストン46がシリンダチューブ内当接面21dに当接すると、第2ピストン上面46gに駆動エアからの圧力が加えられても、第2ピストン46は移動下限にいるので、第2ピストン46の係合部46fから、可動軸23の段差部23aに力を伝えなくなる。
【0052】
一方、第1ピストン45は、図7の状態では移動下限にいないために、さらに第1シリンダ室27に供給される駆動エアの力を受けて、図面下側に移動しようとする。第1ピストン45は第2ピストン46にダイアフラム膜47で接続されているために、第1ピストン45自体に摺動部を持たず、第1実施例よりも小さな抵抗で動作することが出来る。
第1ピストン45の移動下限は、第1ピストン45に可動軸23を介して接続される弁体24の備えるシール部材35が弁座部34に当接し、適当なツブシ代をもった状態である。
この状態で、第1シリンダ室27に駆動エアが供給されることにより、第1ピストン45に与えられる推力と、シール部材35が適当なツブシ代を持ってつぶされることによって発生する反力が釣り合い、シール部材35には、過大な力がかからない。
即ち、真空弁1の閉状態では、第2ピストン46は移動下限にあり、可動軸23に推力を伝えておらず、第1ピストン45のみがシール部材35に押圧力を加えることになる。
第1ピストン45の駆動エアからの圧力の受圧面積は、第1ピストン45が流体通過穴45cを備えるため、第2ピストン46の凹部46hの断面積と等しくなる。従って、第1ピストン45の受圧面積はシリンダチューブ21の円筒内面21aの断面積よりも小さいので、シール部材35に加えられる押圧力は、シリンダチューブ21の円筒内面21aの断面積全体が発生する押圧力よりも小さくすることが可能になる。
【0053】
このように、真空弁1が閉状態になるので、第1ポート32と第2ポート33は遮断され、例えば第1ポート32に図示しない真空チャンバが、第2ポート33に図示しない真空ポンプが接続されていれば、真空ポンプによる、真空チャンバ内の空気の排気を停止する。
前述したように、真空弁1が閉状態である場合に、第1ピストン45から発生する推力のみで弁体24に備えるシール部材35を押しつぶしており、シール部材35を適度な力で押しつぶすことが可能になる。
従って、シール部材35を過剰な力で押すことが無くなり、シール部材35の寿命を延ばすことに繋がる等の第1実施例と同様の効果が得られる。
ダイアフラム膜47を用いることの利点として、第2ピストン46と摩擦力でなくダイアフラム膜47の復元力のみで接続されているため、第1ピストン45が弱い力で押されている場合にも、可動軸23に力を伝えうる点が上げられる。
なお、第1ピストン45に第1実施例の第1ピストン45の備えるようなウェアリング45bを備えた支持部を備えても良い。この支持部によって可動軸23の振れを抑えることが可能となる。
【0054】
以上に説明した、本発明の真空弁1の第2実施例により、以下のような効果が得られる。
(1)弁本体31に接続され、可動軸23を内部に備えるシリンダ部12と、弁本体31に形成される第1ポート32と、弁本体31に形成され第1ポート32と連通する第2ポート33と、第1ポート32と第2ポート33を連通する流路に形成される弁座部34と、可動軸23に接続され弁座部34と当接及び離間するシール部材35を備える弁体24と、を有する真空弁1において、シリンダ部12が、可動軸23に結合され、受圧面積がシリンダ部12の円筒内面断面積より小さい第1ピストン45と、可動軸23と係合し圧力流体の力によって間接的に第1ピストン45を移動させる第2ピストン46を備え、第1ピストン45は、第2ピストン46の内側にあって、第1ピストン45の外周と第2ピストン46の内周がダイアフラム膜47で接続され、シリンダ部12に備えられる第1操作ポート25に圧力流体が供給されることで、第1ピストン45及び第2ピストン46が受圧して移動し、第2ピストン46が、第1ポート32と第2ポート33を遮断する側のシリンダチューブ内当接面21dに当接した際、第1ピストン45は、第1ポート32と第2ポート33を遮断する側の第2ピストン46の凹部当接面46eとの間に第1クリアランスXを有するので、さらに第1ポート32と第2ポート33を遮断する側に移動し、第1ピストン45の押圧力のみが弁座部34に当接するシール部材35への押付荷重となり、第1ポート32と第2ポート33を遮断することを特徴とするので、摺動部を無くしダイアフラム膜47で第1ピストン45を動作させることにより第1実施例の真空弁と同等の効果を得た上で、第1実施例の真空弁よりも少ない抵抗で第1ピストン45を動作させることが出来る。
【0055】
(2)(1)に記載の真空弁において、第1ピストン45が、シリンダ部12の円筒内面21aと摺動する支持部を持ち、第1ピストン45の支持部が、第1操作ポート25側にあって、第1ピストン45の支持部に、圧力流体を通過させるための流体通過穴45cを備えることを特徴とするので、弁体24を弁座部34に当接させる際に、可動軸23の半径方向への振れを抑えることができ、弁体24を弁座部34に均等な力をかけて当接させることが可能となる。
また、第1ピストンの受圧面積に関しては、第1ピストンに通気部を設けることで、シリンダチューブの円筒内面断面積よりも小さくすることが可能となる。
【0056】
(3)(2)に記載の真空弁において、第2ピストン46は、可動軸23に貫通され、第1ピストン45と弁体24の間に備えられ、可動軸23には、第2ピストン46と係合するための段差部23aを備え、第2ピストン46の係合部46fが段差部23aと係合し、第2ピストン46の係合部46fの厚みは、第1ピストン45の端部当接面45dから段差部23aまでの長さよりも薄いことを特徴とするので、簡易な方法で、第2ピストン46がシリンダチューブ内当接面21dに当接した後、第1ピストン45が動作する幅を持つようにでき、第1ピストン45のみによって弁体24に備えるシール部材35を弁座部34に当接させる力を発生する。
【0057】
(第3実施例)
次に、本発明の第3実施例について図面を用いて説明する。最初に第3実施例の構成について説明する。
図8は、第2実施例の真空弁の閉状態の拡大断面図を示している。
第3実施例は、第1実施例の変形例であるため、大まかな構成は第1実施例及び第2実施例と同様であり、第1実施例及び第2実施例との差はピストン部22の部分の構造の違いである。従って、構成の違うピストン部22について説明を行う。他の部分は同様であるため、説明を省略する。図8においても、第1実施例と構成の違う特徴部分を拡大して図示している。
ピストン部22は、第1ピストン45と第2ピストン46の2つのピストンで構成されている。
第1ピストン45には、第2ピストン46に設けられる凸部が嵌り込む凹部が設けられており、第1ピストン45は可動軸23に接続されている。なお、第1ピストン45の凹部と、第2ピストン46の凸部は、摺動可能に第1摺動パッキン45aが、第1ピストン45側に設けられている。
一方、第2ピストン46は、シリンダチューブ21の円筒内面21aを摺動するように、第2摺動パッキン46aを備えている。そして、第2ピストン46は、可動軸23が貫通して、第1ピストン45とシリンダチューブ内当接面21dの間に設けられている。可動軸23には段差部23aが設けられており、第2ピストン46の係合部46fが、第1ピストン45の凹部内端面45fと段差部23aに挟まれる形で可動軸23の1段細くなった部分に係合している。
係合部46fの厚みは、第1ピストン45の凹部内端面45fから段差部23aまでの距離よりも薄い。
また、第1ピストン45の凹部内端面45fが凸部端面46iに当接する前に、端部当接面45dが第2ピストン上面46gに当たらないように逃がしてある。
即ち、凹部内端面45fから凸部端面46iまでの距離を第1クリアランスX、端部当接面45dから第2ピストン上面46gまでの距離を第3クリアランスXとすると、第1クリアランスX<第3クリアランスXの関係になっている。
よって、第2ピストン46は、図8のように第2ピストン46がシリンダチューブ内当接面21dに当接した状態で、第1ピストン45が図面で見て上下に動くだけのクリアランスがある。
なお、第1クリアランスXと第3クリアランスXのどちらの距離を短くするかについては、設計事項であるので当接させたい面によって適宜変更すればよい。
【0058】
次に、以上のような構成からなる第3実施例の作用について説明する。
なお、作用についても第1実施例及び第2実施例とほぼ同様であるため、差異のある閉状態について説明を行う。
第1操作ポート25に駆動エアが供給されると、第1シリンダ室27に駆動エアが流入し、第2シリンダ室28からエアが排気されるので、第1実施例のピストン部22が図2の図面下側に向けて降下したのと同様に、第2実施例のピストン部22も降下する。
そして、図8に示すように第2ピストン46がシリンダチューブ内当接面21dに当接すると、第2ピストン上面46gに駆動エアからの圧力が加えられても、第2ピストン46は移動下限にいるので、第2ピストン46の係合部46fから、可動軸23の段差部23aに力を伝えなくなる。
【0059】
一方、第1ピストン45は、図8の状態では移動下限にいないために、さらに第1シリンダ室27に供給される駆動エアの力を受けて、図面下側に移動しようとする。第1ピストン45は第2ピストン46の凸部と摺動して、図面下側に移動する。
第1ピストン45の移動下限は、第1ピストン45に可動軸23を介して接続される弁体24の備えるシール部材35が弁座部34に当接し、適当なツブシ代をもった状態である。
この状態で、第1シリンダ室27に駆動エアが供給されることにより、第1ピストン45に与えられる推力と、シール部材35が適当なツブシ代を持ってつぶされることによって発生する反力が釣り合い、シール部材35には、過大な力がかからない。
即ち、真空弁1の閉状態では、第2ピストン46は移動下限にあり、可動軸23に推力を伝えておらず、第1ピストン45のみがシール部材35に押圧力を加えることになる。
第1ピストン45の駆動エアからの圧力の受圧面積は、第1ピストン45が流体通過穴45cを備えるため、第2ピストン46の凸部端面46iの断面積と等しくなる。従って、第1ピストン45の受圧面積はシリンダチューブ21の円筒内面21aの断面積よりも小さいので、シール部材35に加えられる押圧力は、シリンダチューブ21の円筒内面21aの断面積全体が発生する押圧力よりも小さくすることが可能になる。
【0060】
このように、真空弁1が閉状態になるので、第1ポート32と第2ポート33は遮断され、例えば第1ポート32に図示しない真空チャンバが、第2ポート33に図示しない真空ポンプが接続されていれば、真空ポンプによる、真空チャンバ内の空気の排気を停止する。
前述したように、真空弁1が閉状態である場合に、第1ピストン45から発生する推力のみで弁体24に備えるシール部材35を押しつぶしており、シール部材35を適度な力で押しつぶすことが可能になる。
従って、シール部材35を過剰な力で押すことが無くなり、シール部材35の寿命を延ばすことに繋がる等の第1実施例と同様の効果が得られる。
第3実施例と第1実施例とは、第1ピストン45と第2ピストン46の凹凸の関係が逆になっているが、このような構成を取った場合においても同様の効果が得られる。
なお、第1ピストン45に第1実施例の第1ピストン45の備えるようなウェアリング45bを備えた支持部を備えても良い。この支持部によって可動軸23の振れを抑えることが可能となる。
【0061】
以上に説明した、本発明の真空弁1の第3実施例により、以下のような効果が得られる。
(1)弁本体31に接続され、可動軸23を内部に備えるシリンダ部12と、弁本体31に形成される第1ポート32と、弁本体31に形成され第1ポート32と連通する第2ポート33と、第1ポート32と第2ポート33を連通する流路に形成される弁座部34と、可動軸23に接続され弁座部34と当接及び離間するシール部材35を備える弁体24と、を有する真空弁1において、シリンダ部12が、可動軸23に結合され、受圧面積がシリンダ部12の円筒内面断面積より小さい第1ピストン45と、可動軸23と係合し圧力流体の力によって間接的に第1ピストン45を移動させる第2ピストン46を備え、シリンダチューブ21に備えられる第1操作ポート25に圧力流体が供給されることで、第1ピストン45及び第2ピストン46が受圧し、第1ピストン45は、第2ピストン46に備えられた凸部壁面を摺動し、第2ピストン46は、シリンダチューブ21の円筒内面21aを摺動することで、第1ピストン45及び第2ピストン46が移動し、第2ピストン46が、第1ポート32と第2ポート33を遮断する側のシリンダチューブ内当接面21dに当接した際、第1ピストン45は、第1ポート32と第2ポート33を遮断する側の凸部端面46i及び第2ピストン上面46gとの間に第1クリアランスX及び第3クリアランスXを有するので、さらに第1ポート32と第2ポート33を遮断する側に移動し、第1ピストン45の押圧力のみが弁座部34に当接するシール部材35への押付荷重となり、第1ポート32と第2ポート33を遮断することを特徴とするので、第1実施例の真空弁と同等の効果を得ることが出来る。
【0062】
(2)(1)に記載の真空弁において、第1ピストン45が、シリンダ部12の円筒内面21aと摺動する支持部を持ち、第1ピストン45の支持部が、第1操作ポート25側にあって、第1ピストン45の支持部に、圧力流体を通過させるための流体通過穴45cを備えることを特徴とするので、弁体24を弁座部34に当接させる際に、可動軸23の半径方向への振れを抑えることができ、弁体24を弁座部34に均等な力をかけて当接させることが可能となる。
また、第1ピストンの受圧面積に関しては、第1ピストンに通気部を設けることで、シリンダチューブの円筒内面断面積よりも小さくすることが可能となる。
【0063】
(3)(2)に記載の真空弁において、第2ピストン46は、可動軸23に貫通され、第1ピストン45と弁体24の間に備えられ、可動軸23には、第2ピストン46と係合するための段差部23aを備え、第2ピストン46の係合部46fが段差部23aと係合し、第2ピストン46の係合部46fの厚みは、第1ピストン45の凹部内端面45fから段差部23aまでの距離よりも薄いことを特徴とするので、簡易な方法で、第2ピストン46がシリンダチューブ内当接面21dに当接した後、第1ピストン45が動作する幅を持つようにでき、第1ピストン45のみによって弁体24に備えるシール部材35を弁座部34に当接させる力を発生する。
【0064】
(第4実施例)
次に、本発明の第4実施例について図面を用いて説明する。最初に第4実施例の構成について説明する。
図9は、第2実施例の真空弁の閉状態の拡大断面図を示している。
第4実施例は、第1実施例の変形例であるため、大まかな構成は第1実施例と同様であり、第1実施例との差はピストン部22の部分の構造の違いである。従って、構成の違うピストン部22について説明を行う。他の部分は同様であるため、説明を省略する。図9においても、第1実施例と構成の違う特徴部分を拡大して図示している。
ピストン部22は、第1ピストン45と第2ピストン46の2つのピストンで構成されている。
第1ピストン45には、第2ピストン46が入り込む凹部が設けられており、第1ピストン45は可動軸23に接続されている。また、第2ピストン46には、第1ピストン45の抜け止めとして凹部にストッパ46jが設けられている。
なお、第1ピストン45の凹部と、第2ピストン46は、摺動可能に第1摺動パッキン45aが、第1ピストン45側に設けられている。
【0065】
一方、第2ピストン46は、シリンダチューブ21の円筒内面21aを摺動するように、第2摺動パッキン46aを備えている。そして、第2ピストン46は、可動軸23が貫通して、第1ピストン45とシリンダチューブ内当接面21dの間に設けられている。
第1ピストン45の厚みは、ストッパ46jから凹部当接面46eまでの距離よりも薄い。従って、第2ピストン46は、図9のように第2ピストン46がシリンダチューブ内当接面21dに当接した状態で、第1ピストン45が図面で見て上下に動くだけのクリアランスがある。
なお、第1実施例と異なり第4実施例では第1ピストン45の形状において、ウェアリング45bを備える支持部を有していない形状になっている。このため、可動軸23と可動軸保持部21bのクリアランスを狭くし、軸方向の振れを矯正する構成にする必要がある。
【0066】
次に、以上のような構成からなる第4実施例の作用について説明する。
なお、作用についても第1実施例とほぼ同様であるため、差異のある閉状態について説明を行う。
第1操作ポート25に駆動エアが供給されると、第1シリンダ室27に駆動エアが流入し、第2シリンダ室28からエアが排気されるので、第1実施例のピストン部22が図2の図面下側に向けて降下したのと同様に、第2実施例のピストン部22も降下する。
そして、図9に示すように第2ピストン46がシリンダチューブ内当接面21dに当接すると、第2ピストン上面46gに駆動エアからの圧力が加えられても、第2ピストン46は移動下限にいるので、第2ピストン46のストッパ46jから、可動軸23に結合される第1ピストン45に力を伝えなくなる。
【0067】
一方、第1ピストン45は、図9の状態では移動下限にいないために、さらに第1シリンダ室27に供給される駆動エアの力を受けて、図面下側に移動しようとする。第1ピストン45は第2ピストン46の凹部と摺動して、図面下側に移動する。
第1ピストン45の移動下限は、第1ピストン45に可動軸23を介して接続される弁体24の備えるシール部材35が弁座部34に当接し、適当なツブシ代をもった状態である。
この状態で、第1シリンダ室27に駆動エアが供給されることにより、第1ピストン45に与えられる推力と、シール部材35が適当なツブシ代を持ってつぶされることによって発生する反力が釣り合い、シール部材35には、過大な力がかからない。
即ち、真空弁1の閉状態では、第2ピストン46は移動下限にあり、可動軸23に推力を伝えておらず、第1ピストン45のみがシール部材35に押圧力を加えることになる。
第1ピストン45の駆動エアからの圧力の受圧面積は、第2ピストン46の凹部摺動面46cの断面積と等しくなる。従って、第1ピストン45の受圧面積はシリンダチューブ21の円筒内面21aの断面積よりも小さいので、シール部材35に加えられる押圧力は、シリンダチューブ21の円筒内面21aの断面積全体が発生する押圧力よりも小さくすることが可能になる。
【0068】
このように、真空弁1が閉状態になるので、第1ポート32と第2ポート33は遮断され、例えば第1ポート32に図示しない真空チャンバが、第2ポート33に図示しない真空ポンプが接続されていれば、真空ポンプによる、真空チャンバ内の空気の排気を停止する。
前述したように、真空弁1が閉状態である場合に、第1ピストン45から発生する推力のみで弁体24に備えるシール部材35を押しつぶしており、シール部材35を適度な力で押しつぶすことが可能になる。
従って、シール部材35を過剰な力で押すことが無くなり、シール部材35の寿命を延ばすことに繋がる等の第1実施例と同様の効果が得られる。
【0069】
以上に説明した、本発明の真空弁1の第3実施例により、以下のような効果が得られる。
(1)弁本体31に接続され、可動軸23を内部に備えるシリンダ部12と、弁本体31に形成される第1ポート32と、弁本体31に形成され第1ポート32と連通する第2ポート33と、第1ポート32と第2ポート33を連通する流路に形成される弁座部34と、可動軸23に接続され弁座部34と当接及び離間するシール部材35を備える弁体24と、を有する真空弁1において、シリンダ部12が、可動軸23に結合され、受圧面積がシリンダ部12の円筒内面断面積より小さい第1ピストン45と、可動軸23と係合し圧力流体の力によって間接的に第1ピストン45を移動させる第2ピストン46を備え、シリンダチューブ21に備えられる第1操作ポート25に圧力流体が供給されることで、第1ピストン45及び第2ピストン46が受圧し、第1ピストン45は、第2ピストン46の内部に備えられた第2ピストン46の凹部摺動面46cを摺動し、第2ピストン46は、シリンダチューブ21の円筒内面21aを摺動することで、第1ピストン45及び第2ピストン46が移動し、第2ピストン46が、第1ポート32と第2ポート33を遮断する側のシリンダチューブ内当接面21dに当接した際、第1ピストン45は、第1ポート32と第2ポート33を遮断する側の第2ピストン46の凹部当接面46eとの間に第1クリアランスXを有するので、さらに第1ポート32と第2ポート33を遮断する側に移動し、第1ピストン45の押圧力のみが弁座部34に当接するシール部材35への押付荷重となり、第1ポート32と第2ポート33を遮断することを特徴とするので、真空弁1の弁開時と弁閉時の両方において弁体にかかる荷重範囲を最適化できる等の第1実施例と同等の効果を奏する。
【0070】
なお、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、色々な応用が可能である。
例えば、各場所に示された材料は、適宜他のものに置き換え可能である。
また、第1ピストン45に設けられる流体通過穴45cは、流体が通過することを目的としているため、単純な円形の穴ではなく、第1ピストン45に切り欠きを設けた形状としても良い。
また、第1ポート32と第2ポート33の形状も、接続相手によって変えることも設計事項の範囲内であり、例えば、第1ポート32の第1ポート部材41及び第2ポート33の第2ポート部材42を45度方向に曲げるようなことも考えられる。
また、第1実施例及び第3実施例の第1ピストン45が第2ピストン46に対して摺動するためにもうけられる第1摺動パッキン45aは、第1ピストン45側に設けられても、第2ピストン46側に設けられても良い。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】第1実施例における、閉状態の真空弁の断面図を示している。
【図2】第1実施例における、開状態の真空弁の断面図を示している。
【図3】第1実施例における、閉状態の真空弁の断面拡大図を示しており、第1ピストンはストロークの上端にいる。
【図4】第1実施例における、閉状態の真空弁の断面拡大図を示しており、第1ピストンはストロークの下端にいる。
【図5】第1実施例における、図3のA部詳細断面を示している。
【図6】第1実施例における、図4のB部詳細断面を示している。
【図7】第2実施例における、閉状態の真空弁の断面拡大図を示しており、第1ピストンはストロークの上端にいる。
【図8】第3実施例における、閉状態の真空弁の断面拡大図を示しており、第1ピストンはストロークの上端にいる。
【図9】第4実施例における、閉状態の真空弁の断面拡大図を示しており、第1ピストンはストロークの上端にいる。
【図10】出願人提案の例における、Oリングをもちいて、真空弁の弁体に備えられたシール部材のツブシ代を調整する真空弁の断面図を示している。
【図11】特許文献1における、板バネを用いて、真空弁の弁体に備えられたシール部材のツブシ代を調整する真空弁の断面図を示している。
【図12】特許文献2における、ピストンを2つ用いてシリンダの開度を調整する真空弁の断面図を示している。
【符号の説明】
【0072】
1 真空弁
11 弁部
12 シリンダ部
21 シリンダチューブ
22 ピストン部
23 可動軸
24 弁体
25 第1操作ポート
26 第2操作ポート
27 第1シリンダ室
28 第2シリンダ室
31 弁本体
32 第1ポート
33 第2ポート
34 弁座部
35 シール部材
36 金属ベローズ
41 第1ポート部材
42 第2ポート部材
45 第1ピストン
46 第2ピストン
47 ダイアフラム膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁本体に接続され、可動軸を内部に備えるシリンダと、前記弁本体に形成される第1ポートと、前記弁本体に形成され前記第1ポートと連通する第2ポートと、前記第1ポートと前記第2ポートを連通する流路に形成される弁座と、前記可動軸に接続され前記弁座と当接及び離間するシール部材を備える弁体と、を有する真空弁において、
前記シリンダが、前記可動軸に結合され、受圧面積が前記シリンダの円筒内面断面積より小さい第1ピストンと、前記可動軸と係合し圧力流体の力によって間接的に前記第1ピストンを移動させる第2ピストンを備え、
前記シリンダに備えられる第1操作ポートに前記圧力流体が供給されることで、前記第1ピストン及び前記第2ピストンが受圧し、前記第1ピストンは、前記第2ピストンの内部に備えられた凹部内壁を摺動し、前記第2ピストンは、前記シリンダの円筒部内壁面を摺動することで、前記第1ピストン及び前記第2ピストンが移動し、
前記第2ピストンが、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側の第2ピストン用ストッパに当接した際、前記第1ピストンは、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側の第1ピストン用ストッパとの間に空間を有するので、さらに前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側に移動し、前記第1ピストンの押圧力のみが前記弁座に当接する前記シール部材への押付荷重となり、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断することを特徴とする真空弁。
【請求項2】
弁本体に接続され、可動軸を内部に備えるシリンダと、前記弁本体に形成される第1ポートと、前記弁本体に形成され前記第1ポートと連通する第2ポートと、前記第1ポートと前記第2ポートを連通する流路に形成される弁座と、前記可動軸に接続され前記弁座と当接及び離間するシール部材を備える弁体と、を有する真空弁において、
前記シリンダが、前記可動軸に結合され、受圧面積が前記シリンダの円筒内面断面積より小さい第1ピストンと、前記可動軸と係合し圧力流体の力によって間接的に前記第1ピストンを移動させる第2ピストンを備え、
前記第1ピストンは、前記第2ピストンの内側にあって、前記第1ピストンの外周と前記第2ピストンの内周が可撓膜で接続され、
前記シリンダに備えられる第1操作ポートに前記圧力流体が供給されることで、前記第1ピストン及び前記第2ピストンが受圧して移動し、
前記第2ピストンが、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側の第2ピストン用ストッパに当接した際、前記第1ピストンは、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側の第1ピストン用ストッパとの間に空間を有するので、さらに前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側に移動し、前記第1ピストンの押圧力のみが前記弁座に当接する前記シール部材への押付荷重となり、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断することを特徴とする真空弁。
【請求項3】
弁本体に接続され、可動軸を内部に備えるシリンダと、前記弁本体に形成される第1ポートと、前記弁本体に形成され前記第1ポートと連通する第2ポートと、前記第1ポートと前記第2ポートを連通する流路に形成される弁座と、前記可動軸に接続され前記弁座と当接及び離間するシール部材を備える弁体と、を有する真空弁において、
前記シリンダが、前記可動軸に結合され、受圧面積が前記シリンダの円筒内面断面積より小さい第1ピストンと、前記可動軸と係合し圧力流体の力によって間接的に前記第1ピストンを移動させる第2ピストンを備え、
前記シリンダに備えられる第1操作ポートに前記圧力流体が供給されることで、前記第1ピストン及び前記第2ピストンが受圧し、前記第1ピストンは、前記第2ピストンに備えられた凸部壁面を摺動し、前記第2ピストンは、前記シリンダの円筒部内壁面を摺動することで、前記第1ピストン及び前記第2ピストンが移動し、
前記第2ピストンが、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側の第2ピストン用ストッパに当接した際、前記第1ピストンは、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側の第1ピストン用ストッパとの間に空間を有するので、さらに前記第1ポートと前記第2ポートを遮断する側に移動し、前記第1ピストンの押圧力のみが前記弁座に当接する前記シール部材への押付荷重となり、前記第1ポートと前記第2ポートを遮断することを特徴とする真空弁。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の真空弁において、
前記第1ピストンが、前記シリンダの前記円筒部内壁面と摺動する支持部を持ち、
前記支持部が、前記第1操作ポート側にあって、
前記支持部に、前記圧力流体を通過させるための通気部を備えることを特徴とする真空弁。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の真空弁において、
前記第2ピストンは、前記可動軸に貫通され、前記第1ピストンと前記弁体の間に備えられ、
前記可動軸には、前記第2ピストンと係合するための掛止部を備え、前記第2ピストンの係合部が係合し、
前記第2ピストンの前記係合部の厚みは、前記第1ピストンの端面から前記掛止部までの長さよりも薄いことを特徴とする真空弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−120522(P2007−120522A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−309497(P2005−309497)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】