説明

真空浸炭処理方法及び真空浸炭処理装置

【課題】処理温度を高くすることにより浸炭及び拡散の進行を速めて処理時間を短縮した場合にも高温処理による結晶粒の肥大化を改善して品質を確保する。
【解決手段】予熱工程において加熱室内の被処理物の温度を第1の温度にし、浸炭工程において加熱室内を極低気圧状態に減圧した状態から浸炭性ガスを加熱室内に供給して被処理物に浸炭させ、拡散工程において浸炭性ガスの供給を停止して被処理物の表面から内部へ炭素を拡散させ、焼入れ工程において被処理物の温度を第2の温度にした状態から急冷する真空浸炭処理方法であって、拡散工程と焼入れ工程との間に、被処理物の温度を第1の温度から所定温度まで温度履歴が所定条件を満たすように降下させる焼ならし工程と、被処理物全体が前記所定温度となるよう所定時間保温することにより被処理物の結晶粒を微細化させる焼ならし後保持工程と、被処理物の温度を第2の温度まで上昇させる再加熱工程とを順次行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空浸炭処理方法及び真空浸炭処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
真空浸炭処理は、金属製の被処理物の表層部に浸炭させて焼入れすることにより表層部の硬度を高める浸炭処理の一つである。真空浸炭処理には、特許文献1や特許文献2に示すものがある。
特許文献1に示す真空浸炭処理は、被処理物を加熱室において極低圧状態で所定温度に加熱し、加熱室内にアセチレン等の浸炭性ガスを装入して被処理物に浸炭させた後、浸炭性ガスの供給を停止し再び加熱室内を極低圧状態にすることにより被処理物の表面近くの炭素を内部へ拡散させ、焼入れ温度まで降温させてから油冷する。
特許文献2に示す真空浸炭処理は、被処理物の表面(特に角部)の過剰な浸炭を改善するために、特許文献1のような真空浸炭処理における拡散の初期で、炉(特許文献1における加熱室と同等)内に脱炭性ガスを導入し、被処理物の表面のセメンタイトを減少又は除去する。
【特許文献1】特開平8−325701号公報
【特許文献2】特開2004−115893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような従来の真空浸炭処理においては、処理温度を高くするほど浸炭及び拡散が速く進行する。このため、処理温度を高くするほど真空浸炭処理に要する時間を短縮できる。しかし、その反面、高温で真空浸炭処理を行うと、被処理物の結晶粒が肥大化してしまう。結晶粒が肥大化した被処理物は、所定の物性値をもたないという問題がある。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、処理温度を高くすることにより浸炭及び拡散の進行を速めて処理時間を短縮した場合にも、高温処理による被処理物の結晶粒の肥大化を改善して所定の物性値をもつ被処理物を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明では、第1の手段として、予熱工程において加熱室内の被処理物の温度を第1の温度にし、浸炭工程において前記加熱室内を極低気圧状態に減圧した状態から浸炭性ガスを前記加熱室内に供給して前記被処理物に浸炭させ、拡散工程において前記浸炭性ガスの供給を停止して前記被処理物の表面から内部へ炭素を拡散させ、焼入れ工程において前記被処理物の温度を第2の温度にした状態から急冷する真空浸炭処理方法であって、前記拡散工程と前記焼入れ工程との間において、前記被処理物の温度を前記第1の温度から所定温度まで温度履歴が所定条件を満たすように降下させる焼ならし工程と、前記焼ならし工程の後に、前記被処理物全体が前記所定温度となるよう所定時間保温することにより前記被処理物の結晶粒を微細化させる焼ならし後保持工程と、前記焼ならし後保持工程の後に、前記被処理物の温度を前記第2の温度まで上昇させる再加熱工程と、を行うことを特徴とする真空浸炭処理方法を採用した。
【0006】
また、第2の手段として、上記第1の手段に係る真空浸炭処理方法において、前記浸炭工程、前記拡散工程、前記焼ならし工程及び前記再加熱工程を前記加熱室内にて行うものを採用した。
【0007】
第3の手段として、上記第1又は2の手段に係る真空浸炭処理方法において、前記加熱室と別に設けられ前記被処理物を冷却する冷却室で前記焼入れ工程を行うものを採用した。
【0008】
第4の手段として、上記第1から3の何れかの手段に係る真空浸炭処理方法において、前記予熱工程、前記拡散工程及び前記再加熱工程は、前記加熱室内を極低気圧状態に減圧するか或いは前記加熱室内に不活性ガスを装入した状態で行うものを採用した。
【0009】
更に、本発明では、第5の手段として、加熱器を備える加熱室と、冷却器を備える冷却室と、を有し、前記加熱器により加熱して前記加熱室内の被処理物の温度を第1の温度にし、前記加熱室内を所定気圧以下に減圧した状態から浸炭性ガスを前記加熱室内に供給して前記被処理物に浸炭させ、前記浸炭性ガスの供給を停止して前記被処理物の表面から内部へ炭素を拡散させ、前記被処理物の温度を第2の温度にした状態から前記冷却室において前記冷却器により急冷する真空浸炭処理装置であって、前記加熱室内に第2冷却器を設け、該第2冷却器により、浸炭後の前記被処理物の温度を前記第1の温度から所定温度まで温度履歴が所定条件を満たすように降下させ、前記被処理物全体が前記所定温度となるように所定時間保温することにより前記被処理物の結晶粒を微細化させることを特徴とする真空浸炭処理装置を採用した。
【0010】
また、第6の手段として、上記第5の手段に係る真空浸炭処理装置において、前記第2冷却器は、前記加熱室内の気体を循環させて前記被処理物を冷却するものであるものを採用した。
【0011】
更に、本発明では、第7の手段として、加熱器及び冷却器を備える加熱室を有し、前記加熱器により加熱して前記加熱室内の被処理物の温度を第1の温度にし、前記加熱室内を所定気圧以下に減圧した状態から浸炭性ガスを前記加熱室内に供給して前記被処理物に浸炭させ、前記浸炭性ガスの供給を停止して前記被処理物の表面から内部へ炭素を拡散させ、前記被処理物の温度を第2の温度にした状態から前記冷却器により急冷する真空浸炭処理装置であって、前記冷却器により、浸炭後の前記被処理物の温度を前記第1の温度から所定温度まで温度履歴が所定条件を満たすように降下させ、前記被処理物全体が前記所定温度となるように所定時間保温することにより前記被処理物の結晶粒を微細化させることを特徴とする真空浸炭処理装置を採用した。
【0012】
また、第8の手段として、上記第5から7の何れかの手段に係る真空浸炭処理装置において、前記加熱器は、高温状態からの急冷に耐える導電性材料で形成され前記加熱室内に配設された発熱部材と、前記加熱室外壁に取り付けられ前記発熱部材を前記加熱室外壁に対して位置固定に支持する支持部材と、を有し、前記加熱室外において前記発熱部材の地絡電流を測定する電流測定手段を配設し、前記電流測定手段の測定値から前記発熱部材の地絡の有無を検知するものを採用した。
【0013】
第9の手段として、上記第5から8の何れかの手段に係る真空浸炭処理装置において、前記冷却器は、高圧ガスを循環させて前記被処理物を冷却するものであるものを採用した。
【0014】
第10の手段として、上記第5から9の何れかの手段に係る真空浸炭処理装置において、前記加熱器は、ガス対流装置を備えるものを採用した。
【発明の効果】
【0015】
本発明の真空浸炭処理方法によれば、拡散の後に焼ならし及びその後の温度保持を行うので、処理時間短縮のために浸炭及び拡散を高温で行って結晶粒を粗大化させても、焼ならし及びその後の温度保持によって被処理物の結晶粒を微細化させることができる。特に、焼ならし後に温度保持を行うことにより被処理物全体の温度分布が均一化され、被処理物の結晶粒を確実且つ均一に微細化させることができる。このため、高温処理によって処理時間を短縮しつつも、高温処理による被処理物の結晶粒の肥大化を改善して、所定の物性値をもつ被処理物を得ることができ、所定の品質を確保できる。
更に、本発明によれば、焼ならしに続けて再加熱及び焼入れを行うので、効率よく真空浸炭処理を完了することができる。
また、本発明の真空浸炭処理装置によれば、加熱室に冷却器を設けたので、拡散後の焼ならし及びその後の温度保持を容易に実行することができる。特に、温度保持を行うためには加熱器が必要であるため、焼ならし後に続けて温度保持を行うためには冷却と加熱とを連続的に行う必要があり、加熱室に冷却器を設けることによりこれを容易に実行することができる。また、加熱室に冷却器を設けたことにより、焼ならしを加熱室内で行うことが可能であるため、焼ならしのために被処理物を加熱室から出す必要がないので高温の被処理物を移動させる回数を増やすことがなく、被処理物が高温の状態で移動することにより変形する等の危険を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る真空浸炭処理装置及び方法の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は、本実施形態の真空浸炭処理装置の構成を示した断面図である。図1に示すように、本実施形態の真空浸炭処理装置は、ケース1、加熱室2及び冷却室3を備え、加熱と冷却とを別室で行う2室型である。ケース1は、略円筒形であって、軸線を水平にして設置され、軸線方向略中央で区切った一方に加熱室2を収納し、他方は冷却室3とされている。また、ケース1の軸線方向略中央部には、冷却室3の入口3aを閉じる扉11を昇降させることにより冷却室3を開閉する開閉機構12が設けられている。
【0017】
加熱室2は、断熱隔壁21、加熱器22、電源部23、冷却器24及び載置台25を備えている。ここで、図2は、加熱器22の形状を示す斜視図である。また、図3は、断熱隔壁21に対する加熱器22の取付構造及び加熱器22と電源部23との電気的接続を示す模式図である。
断熱隔壁21は、図3に示すように、金属製の外郭21aと、グラファイト製の内郭21bとの間に、断熱材21cを充填して形成されている。また、図1に示すように、断熱隔壁21の上面及び下面には、それぞれ扉21d、21eが設けられている。
【0018】
加熱器22は、図2に示すように、同型の3つのヒータH1〜H3からなる。各ヒータH1〜H3は、中空細軸部g1、中実細軸部g2、中実太軸部g3、コネクタc1〜c3、給電軸部mとからなる。中空細軸部g1、中実細軸部g2及び中実太軸部g3は、グラファイト製である。給電軸部mは、金属製である。
コネクタc1は、直方体であって、長手方向に2等分したそれぞれ領域に1つずつ互いに逆向きの接続部a1、b1を備えており、中空細軸部g1と中実細軸部g2とを通電可能に接続する。コネクタc2は、2つの接続部a2、b2が互いに直交方向を向くように設けられたL字型であって、中空細軸部g1同士を通電可能に接続する。コネクタc3は、2つの同方向を向く接続部a3、b3を離間させて連結したものであって、中空細軸部g1同士を通電可能に接続する。
【0019】
中空細軸部g1は、4本で矩形を作るように配され、矩形の3つの角がコネクタc2により接続される。上記矩形の残る1つの角を形成する2本の中空細軸部g1の各端部のうちの一方には、コネクタc1によって中実細軸部g2が接続され、他方はコネクタc3の接続部a3、b3の一方に取り付けられる。中実細軸部g2のコネクタc1に取り付けられた端部の逆側の端部は、中実太軸部g3の一端部に連続しており、中実太軸部g3の他端部には、給電軸部mが取り付けられている。
上記のような4本の中空細軸部g1、中実細軸部g2、中実太軸部g3、コネクタc1、3個のコネクタc2及び給電軸部mからなる構成が、対をなし、コネクタc3によって接続されることにより、各ヒータH1〜H3が構成されている。
なお、中空細軸部g1、中実細軸部g2及び中実太軸部g3は、各々の断面積の差異によって発熱し易さを変えたものであって、中空細軸部g1、中実細軸部g2、中実太軸部g3の順に発熱し易く、中実太軸部g3は発熱しにくい。
【0020】
図3に示すように、給電軸部mは、中空であり、内部に冷却管tが収納されている。冷却管tには、通電による温度上昇を抑える冷却水が循環させられる。
ヒータH1〜H3は、断熱隔壁21の一部に設けられたヒータ支持部26によって支持されている。ヒータ支持部26は、セラミックス製であって、内径が中実太軸部g3の径よりも大きい略円筒形に形成されており、円筒の軸方向を断熱隔壁21の厚さ方向に平行に、各端部を断熱隔壁21の内側と外側とにそれぞれ位置させるように固定されている。断熱隔壁21の外側に位置する端部は、円筒の内径よりも小径である中実太軸部g3の径と同径の開口26aが設けられており、この開口26aに中実太軸部g3が嵌装されることにより、各ヒータH1〜H3が支持される。
【0021】
また、給電軸部mは、ケース1に設けられた開口1aからケース1外へ導出されている。開口1aと給電軸部mとの隙間は、シール材1bで塞がれることにより密閉されている。給電軸部mには、電源部23が接続される。
電源部23は、電源23a、ブレーカ23b、サイリスタ23c、温度調節計23d、変圧器23e、抵抗器23f及び電流計23gを有している。
【0022】
電源23aは、ブレーカ23b、サイリスタ23c及び変圧器23eを介して給電軸部mに接続されており、給電軸部mに電力を供給する。ブレーカ23bは、回路への負荷が許容範囲を超えたときに電力を遮断し、回路に過負荷がかかることを防止するものである。
サイリスタ23cは、温度調節計23dと協働して、ヒータH1〜H3の温度が所定温度に達するまで回路を導通状態にし、ヒータH1〜H3の温度が所定温度に達すると導通を解除する。変圧器23eは、電源23aから給電される電力の電圧を所定の値に変換する。
抵抗器23f及び電流計23gは、変圧器23eと給電軸部mとの間の回路から分岐してアースされる回路の途中に配設される。電流計23gは、地絡電流を測定する。
【0023】
冷却器24は、断熱隔壁21の上部に設けられており、熱交換器24a及びファン24bを有している。熱交換器24aは、加熱室2で加熱された気体から熱を取り除くものである。ファン24bは、加熱室2内及びケース1内の気体を循環させるものである。
加熱室2内を冷却する際には、断熱隔壁21の扉21d、21eを開放して、加熱室2内及びケース1内の気体をファン24bで循環させながら熱交換器24aで冷却することにより、加熱室2内の温度及び加熱室2内の被処理物Wの温度を低下させる。
【0024】
載置台25は、矩形のフレームと、複数本のローラとを有して構成されており、各ローラは、回転軸線をフレームの対向する2辺に平行に並列されて、フレームの他の2辺に両端を回転自在に支持されている。このような載置台25は、各ローラの回転軸線が搬送方向に直交するように設置されて、被処理物Wの移送を良好にする。被処理物Wは、載置台25に載置されることにより、下面側からも均一に加熱される。
なお、真空状態では、温度が高いほど、蒸気圧が低い物質から順に蒸発するので、加熱室2内で高温にさらされる上記各部は、1300℃程度まで加熱室2の温度を昇温させても蒸発しない物質で製作したものを用いる。
【0025】
冷却室3は、被処理物Wを冷却するための部屋であって、冷却器31、整流板32及び載置台33を備えている。
冷却器31は、熱交換器31a及びファン31bを有している。熱交換器31aは、冷却室3内の気体から熱を取り除くものである。ファン31bは、冷却室3内で気体を高圧で循環させるものである。
整流板32は、格子状に間切りをされた格子箱とパンチングメタルとを組み合わせたものであって、冷却室3内の被処理物Wが載置される位置の上下に配設されて、冷却室3内の気体の流れ方向を整えるものである。載置台33は、加熱室2内に設置された載置台25と略同構造であって、且つ、載置台25と同じ高さに配置されている。
【0026】
次に、上記構成の真空浸炭処理装置で行う真空浸炭処理について図4〜図7を用いて説明する。真空浸炭処理においては、予熱工程、浸炭前保持工程、浸炭工程、拡散工程、焼ならし工程、再加熱工程、焼入れ前保持工程及び焼入れ工程を、順次行う。
図4は、母材炭素濃度が0.2%のSCr420という鋼材を処理対象材料とし、表面炭素濃度目標を0.8%、有効浸炭深さを0.8mm、有効浸炭深さにおける炭素濃度目標を0.35%とした場合の各工程の処理時間と温度、雰囲気条件及び装置形態例を示した説明図である。図5は、比較のために示す図であり、従来の真空浸炭処理における各工程の処理時間と温度、雰囲気条件及び装置形態例を示した説明図である。
上記説明図における各工程の処理時間は、Fickの第2法則による拡散方程式で算出したものである。
【0027】
予熱工程では、まず、被処理物Wを、加熱室2内のヒータH1〜H3で囲まれる位置に載置する。続いて、加熱室2から排気して、加熱室2内を減圧し真空状態にする。ここで、一般的な真空浸炭処理において『真空』とは大気圧の1/10程度の10kPa以下程度をさすが、本実施形態では1Pa以下を『真空』とした。
次に、加熱器22に通電して、加熱室2内の温度を昇温させる。予熱工程の全てを真空で行っても真空浸炭処理は可能であるが、本実施形態では、650℃まで加熱室2内の温度を昇温させたところで、被処理物Wの表面から物質が蒸発するのを防ぐために不活性ガスを加熱室2内に装入する。このときの加熱室2内の気圧は、0.1kPa〜大気圧未満程度である。そして更に昇温を継続し、1050℃まで加熱室2内の温度を昇温させたら、浸炭前保持工程へ移行する。
【0028】
浸炭前保持工程では、加熱室2内の温度を予熱工程終了時の温度に保持する。この浸炭前保持工程を経ることにより、被処理物Wの温度が表面から内部まで1050℃に均一化される。浸炭前保持工程の最後の2分では、不活性ガスを排気して加熱室2内を減圧し真空状態に戻す。
【0029】
浸炭工程では、加熱室2内に浸炭性ガスを装入する。浸炭性ガスは、例えばアセチレンである。このときの加熱室2内の気圧は、0.1kPa以下である。この浸炭工程において、被処理物Wは、加熱室2内は1050℃という高温の浸炭性ガス雰囲気下におかれることにより、浸炭される。
拡散工程では、加熱室2内の浸炭性ガスを排気して不活性ガスを装入する。このときの加熱室2内の気圧は、0.1kPa〜大気圧未満程度である。そして、加熱室2内の温度を保持する。この拡散工程を経ることにより、被処理物Wの表面近くの炭素が表面から内部へ拡散される。
処理温度が同条件であれば、浸炭工程の処理時間及び拡散工程の処理時間によって、表面炭素濃度、有効浸炭深さ、有効浸炭深さにおける炭素濃度が決定する。
【0030】
拡散工程に続いて、焼ならし工程及び焼ならし後保持工程を行う。焼ならし工程の前に、被処理物Wは1050℃という高温に長時間晒されるので、結晶粒が肥大化している。焼ならし工程では、冷却器24を用いて加熱室2内の温度を低下させる。焼ならし工程において所定の処理時間(本実施形態では5分)で600℃以下に温度を低下させ、続く焼ならし後保持工程において所定時間保温して被処理物全体の温度を均一にすることにより、肥大化した結晶粒が微細化される。
再加熱工程では、焼ならし工程で下げられた加熱室2内の温度を再び上げる。再加熱工程では、後の焼入れ工程における焼入れ温度の850℃まで昇温する。そして、この温度を焼入れ前保持工程において所定時間保持する。この焼入れ前保持工程を経ることにより、被処理物Wの温度が表面から内部まで850℃に均一化される。
【0031】
最後に、被処理物Wを冷却室3へ移して、焼入れ工程を行う。焼入れ工程では、冷却器31によって、被処理物Wを冷却する。このときの冷却は、本実施形態の処理対象材料つまりSCr420という鋼材のように焼きが入りにくい材料では、焼きを入れるためには、処理時間の初期の1分程度の時間内に冷却する温度差の半分程度まで冷却することが必要である。冷却器31は、例えば大気圧の10倍から30倍程度の高い圧力で冷却室3内部の気体を循環させつつ冷却することによって、被処理物Wの冷却速度を向上させている。
【0032】
上記本実施形態の真空浸炭処理に対して、従来は、図5に示すように、処理温度X℃を930℃程度にして行うのが一般的である。本実施形態の真空浸炭処理は1050℃で行うので、浸炭及び拡散の進行が早いため、処理時間が従来の930℃で行う真空浸炭処理の処理時間よりも短縮される。
また、図5に示す従来の真空浸炭処理の処理工程には、焼きならし工程はなく、拡散工程の後、降温工程において焼入れ温度まで降温させた後、焼入れ前保持工程に移る。このような従来の真空浸炭処理においても、処理温度を上げることにより処理時間は短縮される。しかし、高温処理によって肥大化した被処理物Wの結晶粒を微細化することができないので、所定の物性値をもつ被処理物Wを得ることができない。
【0033】
上記従来の真空浸炭処理に対して、本実施形態の真空浸炭処理によれば、処理時間短縮のために浸炭及び拡散を高温で行って結晶粒を粗大化させても、焼ならしによって結晶粒を微細化させることができ、このため、高温処理によって処理時間を短縮しつつも、高温処理による結晶粒の肥大化を改善して、所定の物性値の被処理物Wを得ることができる。更に、本実施形態によれば、焼ならしに続けて再加熱及び焼入れを行うので、効率よく真空浸炭処理を完了することができる。
また、本実施形態の真空浸炭処理装置によれば、加熱室2に冷却器24を設けたので、拡散後の焼ならしを容易に実行することができる。また、加熱室2に冷却器24を設けたことにより、焼ならしを加熱室2内で行うことが可能であるため、焼ならしのために被処理物Wを加熱室2から出す必要がないので高温の被処理物Wを移動させる回数を増やすことがなく、被処理物Wが高温の状態で移動することにより変形する等の危険を回避することができる。
【0034】
図6は、母材炭素濃度が0.2%のSCr420という鋼材を処理対象材料とし、表面炭素濃度目標を0.8%、有効浸炭深さを1.5mm、有効浸炭深さにおける炭素濃度目標を0.35%とした場合の各工程の処理時間と温度、雰囲気条件及び装置形態例を示した説明図である。つまり、図6に示す真空浸炭処理では、図4に示す真空浸炭処理と同じ鋼材を処理対象材料としており、図4に示す真空浸炭処理との差異は有効浸炭深さを1.5mmとしている点である。図7は、比較のために示す図であり、従来の真空浸炭処理における各工程の処理時間と温度、雰囲気条件及び装置形態例を示した説明図である。
図4及び図5と同様に、上記説明図における各工程の処理時間は、Fickの第2法則による拡散方程式で算出したものである。
【0035】
図6に示す真空浸炭処理においては、図4の真空浸炭処理よりも有効浸炭深さが深く設定されているために、浸炭工程及び拡散工程の処理時間が長くされている。図6のその他の工程の処理時間は図4と同じである。従来の真空浸炭処理においても同様に、図7に示す従来の真空浸炭処理においては、図5の従来の真空浸炭処理よりも有効浸炭深さが深く設定されているために、浸炭工程及び拡散工程の処理時間が長くされている。図7のその他の工程の処理時間は図5と同じである。
図6及び図7の比較からわかるように、有効浸炭深さが深く設定された真空浸炭処理においても、浸炭工程及び拡散工程の処理時間は、従来の真空浸炭処理に比べて短縮することができる。そして、有効浸炭深さが深く設定された真空浸炭処理においても、処理時間短縮のために浸炭及び拡散を高温で行って結晶粒を粗大化させても、焼ならしによって結晶粒を微細化させることができ、このため、高温処理によって処理時間を短縮しつつも、高温処理による結晶粒の肥大化を改善して、所定の物性値の被処理物Wを得ることができる。
【0036】
次に、脱ガス工程について説明する。本実施形態においては、加熱器22に地絡が発生した場合に、脱ガス工程を行う。脱ガス工程は、電流計23gにより測定される地絡電流の値が所定の閾値を超えた場合には、加熱室2に被処理物Wを入れずに、加熱室2の温度を処理温度(本実施形態では1050℃)よりも50〜150℃高い温度にまで昇温させて、所定時間保持した後、冷却する。この脱ガス工程を経ることにより、加熱室2内の煤が蒸発する。
脱ガス工程においては、1200℃程度まで加熱室2の温度が昇温されるが、加熱室2を構成する各部は1300℃程度まで加熱室2の温度を昇温させても蒸発しない物質で製作したものであるので、加熱室2を構成する各部が損なわれることなく、煤を除去することができる。
【0037】
上記の脱ガス工程を実施するにあたり、加熱器22の構造を従来の構造から変更している。即ち、従来の加熱器は、煤が付着することによる不具合が発生しないように、発熱部分つまり通電部分をセラミックス等の絶縁体により覆って、絶縁体を介して間接的に外部に熱を伝える構造になっている。
しかし、本実施形態の焼ならし工程を加熱室2内で行う場合、上記従来の構造では、通電部分を覆う絶縁体のセラミックスが、熱せられた状態から急激に冷やされるために割れてしまう。そこで、本実施形態の構造の加熱器2としている。
本実施形態の構造の加熱器2は、熱せられた状態からの急激な冷却に耐えられる構造とされている。但し、図3に示す本実施形態の構造の加熱器2では、ヒータ支持部26が煤で覆われると地絡が発生することになる。これに対して、本実施形態では、地絡電流を監視し、地絡電流が所定の閾値を上回ったときに脱ガス工程を行って地絡状態から回復させ、地絡による被害を防いでいる。
【0038】
上記実施形態では、図1に示す2室型の真空浸炭処理装置を用いて説明したが、他の形態の真空浸炭処理装置において上記実施形態のように拡散工程の後に焼ならし工程及び再加熱工程を行う真空浸炭処理を行うことが可能である。
図8は、真空浸炭処理装置の形態の例を示す模式図である。図8に示すように、真空浸炭処理装置の形態には、上記実施形態の2室型の他、単室型、連続型、搬送装置別体型等がある。
単室型は、冷却専用室なしで加熱室のみで構成され、加熱室内に冷却器を備えた形態である。単室型は、冷却器が加熱室内にあるため、温度低下速度が遅いので、焼入れ性のよい鋼材が処理対象材料であるとき、利用可能である。上記実施形態の処理対象材料であるSCr420という鋼材は、焼入れ性が悪いので、単室型では焼入れ工程まで行うことができない。
【0039】
連続型は、多数の被処理物Wを連続的に真空浸炭処理する場合に用いる形態で、予熱室、第1加熱室、第2加熱室及び冷却室を備えている。第2加熱室には、冷却器が備えられている。このような連続型では、例えば、予熱室で予熱工程を行い、第1加熱室で浸炭前保持工程、浸炭工程及び拡散工程を行い、第2加熱室で焼ならし工程、再加熱工程及び焼入れ前保持工程を行い、冷却室で焼入れ工程を行うという手順で真空浸炭処理を行う。被処理物Wが工程の進行に伴って処理室を順次移動していくので、多数の被処理物Wの真空浸炭処理を次々と進めることができる。
【0040】
搬送装置別体型は、上記実施形態の加熱室2と冷却室3とを同一のケース1内に設けず別体とし、更に両処理室間を移動する被処理物Wを搬送する搬送装置を設けたものである。真空浸炭処理の各工程は、上記実施形態と同様に、予熱工程〜焼入れ前保持工程までを加熱室で行い、焼入れ工程を冷却室で行う。
ここで、加熱室は、1台に限らず複数台設置してもよい。真空浸炭処理において、冷却室を要する時間よりも加熱室を要する時間の方が長いので、加熱室と冷却室との台数が1:1であると冷却室の空き時間が長くなるが、加熱室を被処理物の数に応じて増設すれば、冷却室へ複数の加熱室から順次被処理物が搬送されるようにすることにより、冷却室の空き時間を減らし冷却室を有効に活用することができるため、効率よく真空浸炭処理を行うことができる。なお、複数台の加熱室を設ける場合にはそのうち少なくとも1台を冷却器付としその他の加熱器は冷却器無しとしてもよい。
【0041】
搬送装置別体型の例としては、図示したものの他に、主容器及び準備室を更に備えるものが考えられる。主容器は、例えば円筒形の密閉容器であって、この円筒形の主容器の外周面に放射状に、1乃至複数の加熱室、冷却室及び準備室が連結され、主容器内に搬送装置が収納される。搬送装置は、加熱室、冷却室及び準備室の何れかと連結される位置の間で主容器内を回転する。
このような真空浸炭処理装置においては、ユーザが準備室に被処理物を入れると、搬送装置が準備室から加熱室へ被処理物を搬送し、また、加熱室から冷却室へ被処理物を搬送し、冷却室から準備室へ被処理物を搬送する。そして、ユーザは、準備室から被処理物を取り出す。
上記真空浸炭処理装置によれば、被処理物は各室間を搬送される際は常に主容器内を通るので、被処理物が準備室に入れられてから真空浸炭処理を施されて準備室から取り出されるまで確実に外気に触れないようにすることが出来る。また、被処理物が加熱室や冷却室内に装入されている間に、別の処理物を準備室から出し入れすることができるので、複数個の被処理物の真空浸炭処理にあたって、真空浸炭処理装置の各室を有効に活用することができる。
なお、上記主容器の形状は一例であって、主容器は、搬送装置を収納すると共に加熱室、冷却室及び準備室が連結されたものであればよい。
【0042】
更に、搬送装置を加熱器及び/又は冷却器付のものにすることにより、被処理物の温度を管理しながら加熱室と冷却室との間を搬送することができる。更に、被処理物の搬送にあたって加熱室或いは冷却室と搬送装置とを連通させる際、搬送装置の加熱器(或いは冷却器)により、加熱室内の温度(或いは冷却室内の温度)と搬送装置内の温度とを同程度に合わせることができる。そして、搬送装置の冷却器によって、真空浸炭処理後の被処理物を常温まで冷却することができる。
【0043】
なお、図9に示すように、加熱器22の構成要素として、対流加熱用ファンFとこの対流加熱用ファンFを回転駆動するモータMとを、更に設けてもよい。対流加熱用ファンF及びモータMは、ガス対流装置を構成する。
このような構成において、例えば予熱工程のように低温状態から昇温させる際に、加熱室2に不活性ガスを装入して被処理物Wを不活性雰囲気下におき、モータMにより対流加熱用ファンFを回転駆動させながらヒータH1〜H3に通電して発熱させることにより、被処理物Wを素早く均一に昇温させることができる。
また、上記実施形態では、高圧の気体を循環させて被処理物Wを冷却する冷却器31としたが、実施にあたっては、冷却器は、油冷により被処理物Wを冷却するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態における真空浸炭処理装置の構成を示した断面図である。
【図2】本発明の一実施形態における加熱器の形状を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態における断熱隔壁21に対する加熱器22の取付構造及び加熱器22と電源部23との電気的接続を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施形態における真空浸炭処理の各工程の処理時間と温度、雰囲気条件及び装置形態例を示した説明図である。
【図5】図4の比較として示す従来の真空浸炭処理の各工程の処理時間と温度、雰囲気条件及び装置形態例を示した説明図である。
【図6】本発明の一実施形態における真空浸炭処理の各工程の処理時間と温度、雰囲気条件及び装置形態例を示した説明図である。(図4とは有効浸炭深さが異なる)
【図7】図6の比較として示す従来の真空浸炭処理の各工程の処理時間と温度、雰囲気条件及び装置形態例を示した説明図である。
【図8】本発明の一実施形態における真空浸炭処理装置の形態の例を示す模式図である。
【図9】本発明の他の実施形態における真空浸炭処理装置の構成を示した断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1…ケース、
11…扉、 12…開閉機構、
1a…開口、 1b…シール材、
2…加熱室、
21…断熱隔壁、
21a…外郭、 21b…内郭、 21c…断熱材、 21d、21e…扉、
22…加熱器、
H1〜H3…ヒータ(発熱部材)、
g1…中空細軸部、 g2…中実細軸部、 g3…中実太軸部、
m…給電軸部、 t…冷却管、
c1〜c3…コネクタ、
a1、b1、a2、b2、a3、b3…接続部、
23…電源部、
23a…電源、 23b…ブレーカ、 23c…サイリスタ、
23d…温度調節計、 23e…変圧器、 23f…抵抗器、
23g…電流計(電流測定手段)、
24…冷却器(第2冷却器)、
24a…熱交換器、 24b…ファン、
25…載置台、
26…ヒータ支持部(支持部材)、
26a…開口、
3…冷却室、
3a…入口、
31…冷却器、
31a…熱交換器、 31b…ファン、
32…整流板、
33…載置台、
W…被処理物
F…対流加熱用ファン(ガス対流装置の一部)、 M…モータ(ガス対流装置の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予熱工程において加熱室内の被処理物の温度を第1の温度にし、浸炭工程において前記加熱室内を極低気圧状態に減圧した状態から浸炭性ガスを前記加熱室内に供給して前記被処理物に浸炭させ、拡散工程において前記浸炭性ガスの供給を停止して前記被処理物の表面から内部へ炭素を拡散させ、焼入れ工程において前記被処理物の温度を第2の温度にした状態から急冷する真空浸炭処理方法であって、
前記拡散工程と前記焼入れ工程との間において、
前記被処理物の温度を前記第1の温度から所定温度まで温度履歴が所定条件を満たすように降下させる焼ならし工程と、
前記焼ならし工程の後に、前記被処理物全体が前記所定温度となるよう所定時間保温することにより前記被処理物の結晶粒を微細化させる焼ならし後保持工程と、
前記焼ならし後保持工程の後に、前記被処理物の温度を前記第2の温度まで上昇させる再加熱工程と、
を行うことを特徴とする真空浸炭処理方法。
【請求項2】
前記浸炭工程、前記拡散工程、前記焼ならし工程及び前記再加熱工程を前記加熱室内にて行うことを特徴とする請求項1に記載の真空浸炭処理方法。
【請求項3】
前記加熱室と別に設けられ前記被処理物を冷却する冷却室で前記焼入れ工程を行うことを特徴とする請求項1又2に記載の真空浸炭処理方法。
【請求項4】
前記予熱工程、前記拡散工程及び前記再加熱工程は、前記加熱室内を極低気圧状態に減圧するか或いは前記加熱室内に不活性ガスを装入した状態で行うことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の真空浸炭処理方法。
【請求項5】
加熱器を備える加熱室と、冷却器を備える冷却室と、を有し、
前記加熱器により加熱して前記加熱室内の被処理物の温度を第1の温度にし、前記加熱室内を所定気圧以下に減圧した状態から浸炭性ガスを前記加熱室内に供給して前記被処理物に浸炭させ、前記浸炭性ガスの供給を停止して前記被処理物の表面から内部へ炭素を拡散させ、前記被処理物の温度を第2の温度にした状態から前記冷却室において前記冷却器により急冷する真空浸炭処理装置であって、
前記加熱室内に第2冷却器を設け、該第2冷却器により、浸炭後の前記被処理物の温度を前記第1の温度から所定温度まで温度履歴が所定条件を満たすように降下させ、前記被処理物全体が前記所定温度となるように所定時間保温することにより前記被処理物の結晶粒を微細化させることを特徴とする真空浸炭処理装置。
【請求項6】
前記第2冷却器は、前記加熱室内の気体を循環させて前記被処理物を冷却するものであることを特徴とする請求項5に記載の真空浸炭処理装置。
【請求項7】
加熱器及び冷却器を備える加熱室を有し、
前記加熱器により加熱して前記加熱室内の被処理物の温度を第1の温度にし、前記加熱室内を所定気圧以下に減圧した状態から浸炭性ガスを前記加熱室内に供給して前記被処理物に浸炭させ、前記浸炭性ガスの供給を停止して前記被処理物の表面から内部へ炭素を拡散させ、前記被処理物の温度を第2の温度にした状態から前記冷却器により急冷する真空浸炭処理装置であって、
前記冷却器により、浸炭後の前記被処理物の温度を前記第1の温度から所定温度まで温度履歴が所定条件を満たすように降下させ、前記被処理物全体が前記所定温度となるように所定時間保温することにより前記被処理物の結晶粒を微細化させることを特徴とする真空浸炭処理装置。
【請求項8】
前記加熱器は、高温状態からの急冷に耐える導電性材料で形成され前記加熱室内に配設された発熱部材と、前記加熱室外壁に取り付けられ前記発熱部材を前記加熱室外壁に対して位置固定に支持する支持部材と、を有し、
前記加熱室外において前記発熱部材の地絡電流を測定する電流測定手段を配設し、
前記電流測定手段の測定値から前記発熱部材の地絡の有無を検知する
ことを特徴とする請求項5から7の何れかに記載の真空浸炭処理装置。
【請求項9】
前記冷却器は、高圧ガスを循環させて前記被処理物を冷却するものである
ことを特徴とする請求項5から8の何れかに記載の真空浸炭処理装置。
【請求項10】
前記加熱器は、ガス対流装置を備えることを特徴とする請求項5から9の何れかに記載の真空浸炭処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−81781(P2008−81781A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262525(P2006−262525)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】