説明

真空蒸着装置及び電気光学装置の製造方法

【課題】 真空蒸着装置において生産性を向上させる。
【解決手段】 真空蒸着装置10は、ターゲットチャンバ100、プロセスチャンバ200及び飛行チャンバ300を備える。ターゲットチャンバ100内の空間101に設置された複数のターゲット110のうち選択された一のターゲットは、電子ビーム照射系120によって照射される電子ビームにより蒸発し、飛行チャンバ300内の空間301を介してプロセスチャンバ200内の空間201に到達し、基板210に蒸着される。この際、電子ビーム照射系120は、電子ビーム移動系130の作用により、選択された一のターゲットに対応する位置まで移動する。従って、複数のターゲットに対し、電子ビーム照射手段120が共有される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置に係る無機配向膜を斜方蒸着するのに好適に用いられる、真空蒸着装置及びそれを用いた電気光学装置の製造方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術分野において、コリメータを使用したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された成膜装置(以下、「従来の技術」と称する)によれば、真空槽或いは真空チャンバ内にて、ターゲットと成膜対象である基板との間に、ターゲットから基板に向かう粒子を基板の成膜面に対し斜めに向かうように規制するコリメータを配置することによって、装置の小型化が可能となりメンテナンス性が向上するとされている。
【0003】
また、この種の技術分野において、金属酸化膜を電子ビーム蒸着法によって基板表面の斜方から成膜する技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−332101号公報
【特許文献2】特開2003−202573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板上に均一に蒸着物質を成膜しようとする場合、蒸着源の物理的な条件及び基板の物理的な条件によって、蒸着源及び基板間の最適距離或いはこれら両者間に必要とされる距離は左右される。生産性を向上させる観点からは、蒸着源及び基板はある程度大きいことが望ましいから、それに伴って蒸着物質の分布の偏りをキャンセルし得る両者間の距離は大きいものとなる。従って、従来の技術の如くコリメータなどによって基板に対し斜めに向かうように蒸着物質を規制することによって装置を小型化し得たとしても、蒸着装置の巨視的な大きさを変化させることは難しく、蒸着装置の生産性を左右するメンテナンス性は十分に改善され難い。即ち、従来の技術には、蒸着装置の生産性を十分に向上させ難いという技術的な問題点がある。
【0006】
特に、液晶装置等の電気光学装置を構成する素子基板や対向基板などの基板に対して、所定のプレティルト角が付与された無機配向膜を斜方蒸着により形成する場合、従来の技術を用いての成膜によれば、真空槽全体の小型化を図りつつ基板面の全域に均一な無機配向膜を形成することは実践上極めて困難である。
【0007】
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、生産性を向上させ得る真空蒸着装置及びそれを用いた電気光学装置の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明に係る真空蒸着装置は、複数の蒸着源を設置するための第1空間を規定すると共に該第1空間を真空に維持することが可能な第1真空槽と、前記第1空間に設置され、前記蒸着源に電子ビームを照射することによって前記蒸着源の一部を蒸発物質として蒸発させる電子ビーム照射手段と、前記第1空間において、前記電子ビーム照射手段の少なくとも一部を、前記照射される電子ビームによって前記複数の蒸着源のうち選択された一の蒸着源が蒸発する位置に移動させる電子ビーム移動手段と、前記第1空間と連通可能であって且つ前記選択された一の蒸着源に対応する前記蒸発物質を蒸着するための基板を設置するための空間である第2空間を規定すると共に、少なくとも該第2空間と前記第1空間とが相互に連通した状態において前記第2空間を真空に維持することが可能な少なくとも一つの第2真空槽と、前記第1と第2真空槽との間に前記第1及び第2真空槽と夫々着脱可能に設置され、前記第1及び第2真空槽と接続された状態において(i)前記第1及び第2空間と相互に連通可能であり且つ(ii)前記選択された一の蒸着源に対応する蒸発物質が前記第2空間に向かって飛行するための空間となる第3空間を規定すると共に、少なくとも前記第1及び第2空間と相互に連通した状態において前記第3空間を真空に維持することが可能な少なくとも一つの第3真空槽とを具備することを特徴とする。
【0009】
本発明における「第1真空槽」とは、複数の蒸着源(ターゲット)を設置するための第1空間を規定すると共に、この第1空間を真空に維持することが可能に構成された、チャンバなどの箱体を表す概念であり、係る概念が担保される限りにおいて、その形状及び材質などは何ら限定されない。但し、構成材料としては、機械的、物理的及び化学的な安定性に鑑みて金属材料、鉄鋼材料、ガラス材料、陶器又は陶磁器材料などが使用されて好適である。
【0010】
ここで、「真空」とは、大気圧より低い圧力の気体で満たされている空間の状態を包括する概念であり、好適には、蒸発物質が基板上に蒸着される際の膜質に大気雰囲気中に含まれる酸素や窒素などの不純物が膜質に影響しない程度に大気圧から減圧された状態を指す。また、係る真空を作り出すための排気機構、排気装置又は排気システムの構成も、係る真空を作り出すことが可能である限りにおいて何ら限定されない。例えば、ロータリーポンプ、メカニカルブースターポンプ、油拡散ポンプ又はターボ分子ポンプなどによって係る真空状態が作り出されてもよい。或いは、これらが予備排気系及び主排気系として複合的に使用されることによって真空状態が作り出されてもよい。尚、「真空に維持する」とは、このような排気系によって排気される気体の量と、第1真空槽における気体の漏れ(リーク)量とが相殺する結果として、一定或いは一定とみなし得る程度に安定した真空度に到達している状態を含む概念である。
【0011】
本発明における「蒸着源」とは、電子ビームで加熱することによって蒸発させることが可能な物質を包括する概念であり、係る概念が担保される限りにおいて、その材質、形状及びその他の物理特性は何ら限定されない。例えば、蒸着源は、SiOやSiOなどの無機材料であってもよい。また、液晶装置などの電気光学装置における無機配向膜材料として使用可能な無機材料であってもよい。
【0012】
第1空間には、蒸着源の他に電子ビーム照射手段が設置される。ここで、本発明に係る電子ビーム照射手段とは、蒸着源に電子ビームを照射することによって蒸着源の一部を蒸発物質として蒸発させる機構、装置又はシステムのうち、第1空間に設置される少なくとも一部を包括する概念であり、例えば電子銃装置の一部などを指す。例えば、電子銃装置は、一般的にフィラメント、制御系、電源系及び冷却水系などを含むが、本発明に係る電子ビーム照射手段としての電子銃装置は、そのうち第1真空槽内に設置されるものを指す。従って、必ずしも、制御系、電源系及び冷却水系の全てが第1空間内に設置されておらずともよい。例えば、制御装置、電源又は冷却水源などは、第1空間の外部に設置されていてもよい。電子ビーム照射手段によって蒸発した蒸着源の一部は、蒸発物質として第2真空槽内に規定される第2空間に到達する。
【0013】
ここで、本発明に係る「第2真空槽」とは、第1空間と連通可能な第2空間を規定すると共に、少なくとも第1空間と連通した状態において係る第2空間を真空に維持することが可能な、チャンバなどの箱体を包括する概念であり、第1真空槽と同様、その材質や形状などは何ら限定されない。尚、第2空間における真空は、第1真空槽における各種排気系によって実現されるものであってもよい。また、第1空間及び第2空間における物理的数値としての真空度は必ずしも一致しておらずともよい。或いは、第2真空槽に、第1真空槽と同等の或いはそれとは異なる形態の各種排気系が接続され、第2空間が積極的に真空に維持されてもよい。いずれにしても、第1空間と第2空間とが連通した状態において、第2真空槽は、第2空間を真空に維持することが可能である。
【0014】
第2空間には、蒸着源からの蒸発物質を蒸着するための基板が設置される。ここで、第2空間に設置される基板の枚数は、本発明に係る蒸着動作が阻害されない範囲で自由である。従って、本発明に係る真空蒸着装置は、第2空間に基板が一枚設置される所謂バッチ方式の真空蒸着装置であってもよいし、複数の基板が設置される枚葉式の真空蒸着装置であってもよい。
【0015】
尚、第2空間が、蒸着室(成膜室)としての位置付けであることに鑑みれば、第2真空槽には、第2空間に基板を供給するためのロードロック室(ロードロックチャンバ)或いは、第2空間から蒸着(成膜)済みの基板を排出するための搬送室(搬送チャンバ)などが適宜接続されていてもよい。これら前工程或いは後工程と相関するロードロックチャンバや搬送チャンバなどが接続される場合には、更にこれら各チャンバにおいてプリベイク或いはポストベイクなどの前処理或いは後処理が実行されてもよい。
【0016】
ここで特に、蒸着源から基板までの距離は、蒸着源の大きさや形状、基板の大きさや蒸着エリアの大きさ、又は蒸着膜に要求される膜質など多様な要素によって決定されるが、総じて大きい傾向であり、故に真空蒸着装置の構成は必然的に肥大化し、メンテナンス性は劣化の傾向にある。メンテナンス性の低下は、最終的に生産性の低下へ繋がるという問題点がある。
【0017】
そこで、本発明に係る真空蒸着装置は、第3真空槽を備えることによって係る問題点を解決している。本発明に係る第3真空槽は、第1真空槽と第2真空槽との間に、これら第1及び第2真空槽と夫々着脱可能に設置される。
【0018】
第3真空槽は、第3空間を規定している。この第3空間は、第3真空槽が第1及び第2真空槽と接続された状態(即ち、着脱可能の「着」に相当する状態)において、(i)第1及び第2空間と相互に連通可能であり且つ(ii)選択された一の蒸着源に対応する蒸発物質が第2空間に向かって飛行するための空間となる。第3真空槽は、第1及び第2空間と連通した状態において第3空間を真空に維持することが可能である。本発明に係る第3真空槽とは、このような第3空間を規定する筒状物体を包括する概念であり、係る概念が担保される限りにおいてその材質や形状は何ら限定されない。尚、第3空間は、第1真空槽或いはそれに加えて第2真空槽に備わる各種排気系の作用によって真空に維持されてもよいし、第3真空槽に、これらとは別個に排気系が設置されることによって真空に維持されてもよい。
【0019】
尚、第3真空槽と第1及び第2真空槽とは、直接的に接続されてもよいし、間接的に接続されてもよい。ここで、「間接的に接続される」とは、例えば、フランジ、ガスケット又はカプラなどのシーリング部材を介して接続されることなどを表す。或いは、ゲートバルブなどのバルブ機構などを介して接続されることなどを表す。但し、フランジなどを介する場合には、これらフランジやゲートバルブなどを介していても、蒸発物質が第1空間から第2空間へと飛行することが可能であることに鑑みれば、これらフランジやゲートバルブなどが一種の第3真空槽とみなされてもよい。即ち、第3真空槽とは、必ずしも一体に構成された筒状物体でなくてもよい。
【0020】
第3真空槽は、第1及び第2真空槽から取り外すことが可能である(即ち、着脱の「脱」に相当する状態)。尚、第3真空槽を、第1空間及び第2空間を真空に維持した状態で第1真空槽及び第2真空槽から取り外すことを考えれば、第3空間と第1及び第2空間との間には、何らかの真空維持部材が介在していることが好ましい。但し、第3真空槽が第1及び第2真空槽と着脱可能である限りにおいて、必ずしもこのような真空維持部材が介在しておらずともよい。
【0021】
このように第3真空槽は、第1及び第2真空槽から取り外すことが可能であり、故に個別にメンテナンスを行うことが可能に構成される。従って、真空蒸着装置のメンテナンス性が向上し、真空蒸着装置の生産性が向上する。別言すれば、本発明に係る真空蒸着装置は、装置を小型化することによってメンテナンス性向上を図るという概念とは一線を画しており、装置を小型化することなくメンテナンス性を向上させ得る点において、従来の技術に対し明らかに有利に構成される。
【0022】
尚、第3真空槽が第1及び第2真空槽に対し着脱可能に構成されることに鑑みれば、長さの異なる複数の第3真空槽を使用することによって、真空蒸着装置本体は共通化された状態で、蒸着源と基板との距離を最適化することも容易にして可能であり、膜質最適化の観点からも、生産性の向上に寄与し得るものである。
【0023】
一方、生産性を向上させる観点からは、複数の蒸着源各々に対し個別に電子ビーム照射手段が設けられるのは望ましくない場合がある。そこで、本発明に係る真空蒸着装置は、電子ビーム移動手段を更に備え、一層真空蒸着装置の生産性を向上させている。
【0024】
電子ビーム移動手段は、第1空間において、電子ビーム照射手段の少なくとも一部を、照射される電子ビームによって複数の蒸着源のうち選択された一の蒸着源が蒸発する位置に移動させる。従って、電子ビーム照射手段は、複数の蒸着源のうち、選択的に一の蒸着源を蒸発させることが可能であり、複数の蒸着源に対し電子ビーム照射手段を共有化することが可能となる。即ち、コストを低下させることが可能となって、真空蒸着装置の生産性が向上するのである。尚、電子ビーム移動手段による移動の対象は、電子ビーム照射手段の全てでなくともよい。例えば、電源系或いは冷却水系の一部が、第1空間内で電子ビーム照射手段の一部として含まれる場合には、それら電源系や冷却水系の一部は移動せずともよい。尚、電子ビーム移動手段の態様は、このように電子ビーム照射手段の少なくとも一部を移動させることが可能である限りにおいて何ら限定されない。
【0025】
本発明に係る真空蒸着装置の一の態様では、前記第1真空槽と前記第3真空槽との間に介在し、前記第1空間と前記第3空間とを少なくとも連通及び隔絶させることが可能な第1連通制御手段と、前記第2真空槽と前記第3真空槽との間に介在し、前記第2空間と前記第3空間とを少なくとも連通及び隔絶させることが可能な第2連通制御手段とを更に具備し、前記第1真空槽及び前記第2真空槽は、前記第3空間と隔絶された状態において夫々前記第1空間及び第2空間を真空に維持することが可能であり、前記第3真空槽は、前記第3空間が前記第1及び第2空間と夫々隔絶された状態において前記第1真空槽及び前記第2真空槽と夫々着脱可能である。
【0026】
第1連通制御手段は、第1空間と第3空間とを少なくとも連通及び隔絶させることが可能な手段である。ここで、「少なくとも」とは、第1空間と第3空間とが連通及び隔絶される限りにおいて、更に多段階に連通状態が制御されてもよいことを表す趣旨である。また、第2連通手段は、第2空間と第3空間とを少なくとも連通及び隔絶させることが可能な手段である。ここで、「少なくとも」とは、第2空間と第3空間とが連通及び隔絶される限りにおいて、更に多段階に連通状態が制御されてもよいことを表す趣旨である。
【0027】
第1及び第2真空槽は、これら第1及び第2連通制御手段によって夫々第3空間と隔絶された状態で、第1及び第2空間を夫々真空に維持することが可能である。また、第3真空槽は、第3空間が第1及び第2空間と夫々隔絶された状態で第1真空槽及び第2真空槽と夫々着脱可能である。従って、例えば装置メンテナンスを行うために第3真空槽を第1及び第2真空槽から取り外した場合であっても、第1空間及び第2空間の真空が破られることがない。真空蒸着装置では、内容積が大きい程必然的に排気に要する時間が増大するから、このように、局所的な真空を維持することが可能である場合、装置メンテナンスに要する時間は確実に短縮化される。従って、生産性が確実に向上する。
【0028】
尚、このように連通及び隔絶の間で連通状態を切り替えることが可能な第1及び第2連通制御手段の態様は、上記した如き作用を実現し得る限りにおいて何ら限定されないが、好適には、ゲートバルブと称される板状の開閉弁を含む。また、この場合、ゲートバルブを開閉させるための機構が更に含まれてもよい。このような機構は、第1真空槽と第3真空槽との間、或いは第2真空槽と第3真空槽との間に夫々介在するように設置されたフランジなどに収容されていてもよい。
【0029】
本発明に係る真空蒸着装置の他の態様では、前記選択された一の蒸着源の少なくとも一部と、前記選択された一の蒸着源に対応する蒸発物質を蒸着するための基板の少なくとも一部とは、相互に対面して配置される。
【0030】
この態様によれば、選択された一の蒸着源の少なくとも一部と、選択された一の蒸着源に対応する蒸発物質を蒸着するための基板の少なくとも一部とが相互に対面して配置されるから、効率的に蒸着を行うことが可能であり、真空蒸着装置の生産性が向上する。
【0031】
尚、「基板の少なくとも一部」とは、第1空間と第2空間との間に何らかの遮蔽物が介在することによって、基板の一部が蒸着源に対し遮蔽されていてもよいことを表す趣旨である。また、「対面して」とは、正対していることのみを表すものではなく、蒸着源、又は蒸発物質の飛行方向(蒸着方向)に対し、一定の傾きをもって基板が設置されてもよい趣旨である。
【0032】
この蒸発物質の少なくとも一部と基板の少なくとも一部とが対面配置される態様では、前記基板の少なくとも一部は、前記第2真空槽内で、前記第3空間を介して飛行する前記蒸発物質に対して斜めに対面するように保持されてもよい。
【0033】
このように構成すれば、例えば、液晶装置等の電気光学装置を構成する素子基板や対向基板などの基板に対して、所定のプレティルト角が付与された無機配向膜を斜方蒸着により形成することが可能となる。即ち、斜方蒸着を好適に行うことが可能となる。この際特に、真空槽全体の小型化を図りつつ基板面の全域に均一な無機配向膜を形成することが可能となる。
【0034】
この蒸発物質の少なくとも一部と基板の少なくとも一部とが対面配置される態様では、前記基板は、前記第2真空槽内で、前記第3空間を介して飛行する前記蒸発物質の飛行方向に交わる方向に沿って回動可能に保持されてもよい。
【0035】
このように構成すれば、真空槽全体の小型化を図りつつ基板面の全域に、より一層均一な無機配向膜等の膜を形成することが可能となる。
【0036】
本発明に係る真空蒸着装置の他の態様では、前記電子ビーム移動手段は、前記電子ビーム照射手段の少なくとも一部が固定された台座部と、前記台座部に固定された少なくとも一部が前記選択された一の蒸着源に対応する位置に移動するように前記台座部を回転させる台座回転手段とを含む。
【0037】
この態様によれば、台座回転手段によって台座部を回転させることにより、台座部に少なくとも一部が固定された電子ビーム照射手段を、選択された一の蒸着源に対応する位置に移動させることが可能となるため、効率的に電子ビーム照射手段が共有される。
【0038】
尚、台座部の材質及び形状は、台座部に固定される電子ビーム照射手段が蒸着源を蒸発させることが可能である限りにおいて何ら限定されない。
【0039】
本発明に係る真空蒸着装置の他の態様では、前記電子ビーム移動手段は、前記第1空間内の所定位置を介して前記複数の蒸着源各々を結ぶレール部と、前記レール部上で、前記電子ビーム照射手段の少なくとも一部を、前記選択された一の蒸着源に対応する位置に移動させる移動部と、前記レール部上を移動する少なくとも一部を、前記選択された一の蒸着源に対応付けて自転させる自転手段とを含む。
【0040】
この態様によれば、複数の蒸着源各々は、第1空間内の所定位置を介してレール部により結ばれている。ここで、第1空間内の所定位置とは、例えば、第1空間内において、複数の蒸着源各々が設置される面部分の一部であってもよい。更にこの場合、係る面部分の中心であってもよい。
【0041】
一方、電子ビーム照射手段における電子ビーム照射の原理に照らし合わせれば、このようにレール部上を移動手段の作用によって電子ビーム照射手段を移動させた場合には、フィラメントの向き又は磁場の向きによっては、蒸着源に対し電子ビームを照射し得ない向きで電子ビーム照射手段が移動することがある。
【0042】
そこで、このような場合に備え、この態様では、自転手段が、レール部上を移動する電子ビーム照射手段の少なくとも一部を選択された一の蒸着源に対応付けて自転させる。その際、自転量は、予め実験的に、経験的に、或いはシミュレーションなどによって、蒸着源を効果的に蒸発させ得る量に定められていてもよい。この態様によれば、自転手段の作用によって、複数の蒸着源各々における蒸発特性のばらつきを抑制することが可能であり、電子ビーム照射手段を効率的に共有し得る。
【0043】
本発明に係る真空蒸着装置の他の態様では、前記第1及び第2真空槽は夫々一つであり、前記第3真空槽は、前記複数の蒸着源各々に対応付けられて複数設置される。
【0044】
この態様によれば、第3真空槽が複数の蒸着源各々に対応付けられて複数設置される。従って、一の第3真空槽のメンテナンス時には、他の第3真空槽を使用することが可能となって、生産性が向上する。
【0045】
本発明に係る真空蒸着装置の他の態様では、前記第1真空槽は一つであり、前記第3真空槽は、前記複数の蒸着源各々に対応付けられて複数設置され、前記第2真空槽は、前記複数の第3真空槽各々に対応付けられて複数設置される。
【0046】
この態様によれば、第2及び第3真空槽を含む蒸着系が、複数の蒸着源各々に対応付けられて複数存在し、常にそのうちの一の蒸着系が稼動することとなるから、その他の蒸着系に対し、比較的自由にメンテナンスを行うことが可能であり、効率的である。
【0047】
上述した課題を解決するため、本発明に係る他の真空蒸着装置は、単一の蒸着源を設置するための第1空間を夫々規定すると共に該第1空間を真空に維持することが夫々可能な複数の第1真空槽と、前記第1空間に設置され、前記蒸着源に電子ビームを照射することによって前記蒸着源の一部を蒸発物質として蒸発させる電子ビーム照射手段と、前記第1空間と連通可能であって且つ前記選択された一の蒸着源に対応する前記蒸発物質を蒸着するための基板を設置するための空間である第2空間を規定すると共に、少なくとも該第2空間と前記第1空間とが相互に連通した状態において前記第2空間を真空に維持することが可能な単一の第2真空槽と、前記複数の第1真空槽各々と前記第2真空槽との間に前記各々及び前記第2真空槽と夫々着脱可能に夫々設置され、前記第1及び第2真空槽と接続された状態において(i)前記第1及び第2空間と相互に夫々連通可能であり且つ(ii)前記選択された一の蒸着源に対応する蒸発物質が前記第2空間に向かって飛行するための空間となる第3空間を夫々規定すると共に、少なくとも前記各々における第1空間及び前記第2空間と相互に連通した状態において前記第3空間を真空に維持することが夫々可能な複数の第3真空槽とを具備することを特徴とする。
【0048】
本発明に係る他の真空蒸着装置によれば、複数の第1真空槽各々に電子ビーム照射手段が設けられると共に、複数の蒸着源各々に対し第3真空槽が設けられる。従って、蒸着源、電子ビーム照射手段及び第3真空槽を含む蒸着系が複数存在することとなり、真空蒸着装置のタクトタイムが飛躍的に向上し、スループットが増大する。即ち、生産性が向上する。
【0049】
尚、第1空間に設置される電子ビーム照射手段が、必ずしも電子ビームを蒸着源に照射するために必要となる機構、装置或いはシステムなどの全てでなくてもよいことに鑑みれば、第1真空槽が複数設置され、夫々に電子ビーム照射手段が設けられてはいても、各電子ビーム照射手段で共有可能な機構、装置或いはシステムを設けることが可能であり、装置構成を簡素化することは可能となる。即ち、本発明に係る他の真空蒸着装置は、装置構成を簡素化することによる生産性向上の効果を併せ持つものと言うことができる。
【0050】
上述した課題を解決するため、本発明に係る電気光学装置の製造方法は、無機材料を前記蒸着源とする請求項1から8のいずれか一項に記載の真空蒸着装置によって前記基板上に電気光学装置用の無機配向膜を形成する無機配向膜形成工程を具備することを特徴とする。
【0051】
本発明に係る電気光学装置の製造方法によれば、高品質な画像表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器に使用可能な液晶表示装置などの電気光学装置の製造工程において、無機配向膜を生産性良く蒸着することが可能となる。
【0052】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
<実施形態>
以下、適宜図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0054】
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る真空蒸着装置10の構成を説明する。ここに、図1は、真空蒸着装置10の模式的斜視図である。
【0055】
図1において、真空蒸着装置10は、ターゲットチャンバ100、プロセスチャンバ200及び飛行チャンバ300を備える。
【0056】
ターゲットチャンバ100は、少なくとも一部が、例えばアルミニウムやステンレス鋼などの金属材料或いは鉄鋼材料で構成された真空槽であり、本発明に係る「第1真空槽」の一例である。
【0057】
ターゲットチャンバ100の内壁部分は、ターゲットチャンバ100の内部に本発明に係る「第1空間」の一例たる空間101を規定しており、空間101には、複数のターゲット110及び単一の電子ビーム照射系120が設置されている。尚、ターゲットチャンバ100の底面部分の一部は不図示の排気系と接続されており、空間101内の気体をターゲットチャンバ100外に排出することが可能に構成されている。尚、排気系は、例えば、副排気装置(粗引き用)であるロータリーポンプ及び主排気装置(本引き用)であるターボ分子ポンプからなる一般的な真空排気系である。
【0058】
ターゲット110は、例えば、液晶表示装置において無機配向膜の形成材料となる無機材料のバルクであり、不図示のルツボに載置されている。
【0059】
電子ビーム照射系120は、不図示のフィラメント並びに電源系、冷却水系、制御系及び各種配線部材の一部などを含んでなり、フィラメントから電子ビームを発生させることが可能に構成された、本発明に係る「電子ビーム照射手段」の一例である。
【0060】
電子ビーム照射系120は、電子ビーム移動系130によって駆動される。ここで、図2を参照して、電子ビーム移動系130の詳細について説明する。ここに、図2は電子ビーム移動系130の模式図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略することとする。
【0061】
図2において、電子ビーム移動系130は、回転テーブル131、駆動部132及び駆動制御部133を備えた、本発明に係る「電子ビーム移動手段」の一例である。
【0062】
回転テーブル131は、本発明に係る「台座部」の一例となる円板状の部材であり、表面部分に電子ビーム照射系120が設置されている。回転テーブル131は、中心部が、図示B方向に回転可能な回転軸131aと接続されている。
【0063】
駆動部132は、電源132a、ステッピングモータ132b及びギア系132cを含んで構成された、本発明に係る「台座回転手段」の一例である。駆動部132は、電源132aから供給される電力に従ってステッピングモータ132bが回転し、ステッピングモータ132bの回転運動が、ギア系132cを介して回転軸131aの回転運動に変換されることによって、回転テーブル131を図示B方向に回転駆動することが可能に構成されている。
【0064】
このような駆動部132による回転テーブル131の回転駆動は、駆動制御部133によって制御されている。駆動制御部133は、CPU(Central Processing Unit)及びROM(Read Only Memory)などを備えた電子制御系であり、電源132aによる供給電力の制御及びステッピングモータ132bのステップ量制御などを実行することが可能に構成される。ステッピングモータ132bのステップ量は、各ターゲット110の設置位置に対応した値として予めROMに予め格納されている。
【0065】
図1に戻り、飛行チャンバ300は、ターゲットチャンバ100と同様に少なくとも一部が金属材料或いは鉄鋼材料で形成された筒状の真空槽であり、本発明に係る「第3真空槽」の一例である。飛行チャンバ300は、ターゲットチャンバ100に設置された複数のターゲット110各々の直上に設置される形で複数設置されている。また、各飛行チャンバ300の内壁部分は、飛行チャンバ300の内部に、本発明に係る「第3空間」の一例たる空間301を規定している。飛行チャンバ300の側面部分の一部は、不図示の排気系と接続されており、空間301内の気体を飛行チャンバ300外に排出することが可能に構成されている。尚、排気系は、例えば、副排気装置(粗引き用)であるロータリーポンプ及び主排気装置(本引き用)であるターボ分子ポンプからなる一般的な真空排気系である。
【0066】
各飛行チャンバ300における空間301と、ターゲットチャンバ100における空間101との連通状態は、各飛行チャンバ300とターゲットチャンバ100との間に介在するゲートバルブ400によって制御されている。尚、ゲートバルブ400については後述する。
【0067】
プロセスチャンバ200は、ターゲットチャンバ100及び飛行チャンバ300と同様に少なくとも一部が金属材料或いは鉄鋼材料で構成された真空槽であり、本発明に係る「第2真空槽」の一例である。プロセスチャンバ200の内壁部分は、プロセスチャンバ200の内部に本発明に係る「第2空間」の一例たる空間201を規定しており、空間201には、複数の基板210が設置されている。
【0068】
基板210は、低温ポリシリコン基板であり、空間201において、プロセスチャンバ200の内側面に対し一定の傾きを有するように並べて配置されている。基板210は、プロセスチャンバ200に気密を保って接続された不図示のロードロックチャンバから真空を保った状態で供給されており、成膜終了後は、プロセスチャンバ200に気密を保って接続された不図示の搬送チャンバへ排出される構成となっている。
【0069】
尚、プロセスチャンバ200の側面部分の一部は不図示の排気系と接続されており、空間201内の気体をプロセスチャンバ200外に排出することが可能に構成されている。尚、排気系は、例えば、副排気装置(粗引き用)であるロータリーポンプ及び主排気装置(本引き用)であるターボ分子ポンプからなる一般的な真空排気系である。
【0070】
空間201と、各飛行チャンバ300における空間301との連通状態は、プロセスチャンバ200と各飛行チャンバ300との間に介在するゲートバルブ500によって制御されている。尚、ゲートバルブ500については後述する。
【0071】
一方、空間201において、各基板210は、不図示の治具に固定されている。係る治具は、回転軸220に固定されており、回転軸220が図示A方向に回転するのに伴い、図示A方向に同様に回転することが可能に構成されている。回転軸220は、不図示の駆動制御系によってその動作が電気的及び機械的に制御されており、各基板210は、治具と共に図示A方向に回転する過程で、飛行チャンバ300における空間301を介してターゲットチャンバ100における空間101に設置されたターゲット110に対面する。
【0072】
次に、図3を参照して、ゲートバルブ400及びゲートバルブ500の詳細について説明する。ここに、図3は、真空蒸着装置10の模式断面図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。尚、図3では、一の飛行チャンバ300についてのみが示されている。また、ターゲットチャンバ100、プロセスチャンバ200及び飛行チャンバ300の相対的な位置関係は、説明の簡略化のため、必ずしも実際のものと一致しない。
【0073】
図3において、ターゲットチャンバ100と飛行チャンバ300との間には、ゲートバルブ400が設置される。ゲートバルブ400は、バルブ部410、フランジ部420及びバルブ駆動部430を備えた、本発明に係る「第1連通制御手段」の一例である。
【0074】
バルブ部410は、金属製の円板状部材である。フランジ部420は、ゲートバルブ400の形状を規定すると共にフランジとして機能するように構成されている。フランジ部420の内部は、バルブ部410の退避空間421が形成されている。バルブ駆動部430は、バルブ部410を電気的及び機械的に駆動制御するシステムであり、一部が気密を保った状態でフランジ部420の外空間へ露出している。バルブ駆動部430による電気的及び機械的な制御によって、バルブ部410は、退避空間421からターゲットチャンバ100に形成された連通口102の直上に相当する空間まで移動することが可能であり、更に、係る直上に相当する空間において、図示位置Cから図示位置Dまで上下移動を行うことが可能に構成されている。また、図示位置Dに位置制御された状態において、バルブ410は、ターゲットチャンバ100の空間101と、飛行チャンバ300の空間301とを相互に気密を保って隔絶することが可能に構成されている。
【0075】
一方、プロセスチャンバ200と飛行チャンバ300との間には、ゲートバルブ500が設置される。ゲートバルブ500は、バルブ部510、フランジ部520及びバルブ駆動部530を備えた、本発明に係る「第2連通制御手段」の一例である。
【0076】
バルブ部510は、金属製の円板状部材である。フランジ部520は、ゲートバルブ500の形状を規定すると共にフランジとして機能するように構成されている。フランジ部520の内部は、バルブ部510の退避空間521が形成されている。バルブ駆動部530は、バルブ部510を電気的及び機械的に駆動制御するシステムであり、一部が気密を保った状態でフランジ部520の外空間へ露出している。バルブ駆動部530による電気的及び機械的な制御によって、バルブ部510は、退避空間521からプロセスチャンバ200に形成された連通口202の直下に相当する空間まで移動することが可能であり、更に、係る直下に相当する空間において、図示位置Eから図示位置Fまで上下移動を行うことが可能に構成されている。また、図示位置Fに位置制御された状態において、バルブ510は、プロセスチャンバ200の空間201と、飛行チャンバ300の空間301とを相互に気密を保って隔絶することが可能に構成されている。
【0077】
<実施形態の動作>
次に、再び図2を参照して、電子ビーム照射系120の動作について説明する。
【0078】
図2において、電子ビーム照射系120は、電子ビーム移動系130に作用により、複数のターゲット110のうち選択された一のターゲット110に対応する位置まで移動する。尚、電子ビーム照射系120と選択された各ターゲット110との位置関係は、電子ビーム照射系120の電子ビーム生成原理から言って重要である。より具体的には、電子ビーム照射系120におけるフィラメントの位置及び磁場の方向の相対的な位置関係は変化させ難いため、電子ビーム照射系120は、全てのターゲット120に対し、電子ビームが確実に照射されるように移動する必要がある。本実施形態では、回転テーブル131上に電子ビーム照射系120が載置されることにより、係る問題を好適に解決している。即ち、回転テーブル131が回転する(即ち、電子ビーム照射系120が公転する)ことによって、電子ビーム照射系120から照射される電子ビームの方向は、常にターゲット110の方向となる。従って、本実施形態に係る電子ビーム移動系130は、電子ビーム照射系120による電子ビームの照射条件を、ターゲット間で一定に保つための負荷が著しく軽くて済むようになっており、いずれのターゲットが選択されたとしても、比較的高い精度で電子ビームの照射条件が一定に保持される。
【0079】
ターゲット110の選択は、電子ビーム移動系130の駆動制御部133を更に上位制御する真空蒸着装置の制御ユニット(不図示)によって決定される。尚、この制御ユニットは、前述したプロセスチャンバ200の駆動制御系並びにゲートバルブ400及び500など真空蒸着装置10の各部を統一的に制御しており、ターゲットの選択及び電子ビーム照射系による電子ビーム照射動作と連動して各部を協調的に制御している。
【0080】
例えば、ターゲット120のうち、選択された一のターゲットに対応する位置に電子ビーム照射系120が移動した場合、選択された一のターゲットに対応する(即ち、直上の)飛行チャンバ300の上下両端におけるゲートバルブ400及び500についてのみ、各バルブ部が各退避空間へ移動するように制御され、残る飛行チャンバ300における各ゲートバルブ400及び500については、空間101及び空間201と、空間301とが相互に隔絶されるように各バルブ部の位置が制御される。
【0081】
次に、再び図3を参照して、真空蒸着装置10における蒸着動作について説明する。
【0082】
図3において、電子ビーム照射系120から電子ビームを照射されたターゲット110は加熱され、その一部が蒸発する。蒸発したターゲットからなる蒸発物質110aは、空間101から連通口102を介して空間301内に突入し、更に空間301内を飛行して、連通口202を介して空間201内に到達する。ここで、連通口202の直上には、ターゲット110に対面配置された基板210があり、蒸発物質110aは、基板210上に蒸着される。尚、前述した通り、各基板210は治具と共に回転しており、回転の過程で適宜連通口202上を通過し、蒸発物質110aが蒸着される構成となっている。尚、治具の回転速度及びプロセス時間(空間201に設置された全ての基板に対して蒸着が完了する時間)などは、予め実験的に、経験的に、或いはシミュレーションなどによって得られた最適な値に設定されている。
【0083】
ここで、本実施形態において、ターゲット110は無機材料であり、基板210上には、無機配向膜が成膜される。この際、基板210は、プロセスチャンバ200の内壁面に対し傾斜して配置されるため、基板表面に、蒸着方向に傾斜して配列された多数の柱状構造物からなる無機配向膜が、蒸発物質110aから良好に形成される。即ち、真空蒸着装置10は、ターゲット110たる無機材料の斜方蒸着が可能に構成されている。このような無機配向膜は、液晶表示装置における配向膜として好適に利用可能であり、この場合、柱状構造物の傾斜方向や傾斜角等を制御することによって、所望の配向膜(所望の配向方向やプレティルト角)を得ることができ、これによって液晶分子の配向状態を規制することができる。しかも、この無機配向膜によれば、有機配向膜において必要となるラビング処理が必要ないから、その分の工程数等を削減可能である。また、液晶分子を所定の配向状態に維持する力が、有機配向膜に比べて強いという利点も得られる。
【0084】
一方、選択されていないターゲット110に対応する飛行チャンバ300では、対応するゲートバルブ400及び500におけるバルブ部410及びバルブ部510が、空間310が空間101及び空間201と相互に隔絶される位置(図3における位置D及び位置Fに相当する位置)に位置制御される。従って、これらの飛行チャンバ300は、真空蒸着装置10のプロセスには無関係なチャンバとなる。これらプロセスと無関係な飛行チャンバ300については、排気系を停止して空間301を大気開放することによって、いつでも真空蒸着装置10から取り外すことが可能である。このため、一の飛行チャンバ300が使用されている期間に、他の飛行チャンバ300をメンテナンスすることが容易にして可能となり、高いメンテナンス性が担保されている。更に、メンテナンスが終了して真空蒸着装置10に再び取り付ける際には、空間301のみを排気系で排気すればよく、メンテナンスに要する時間は著しく短縮される。従って、生産性が向上する。尚、ターゲットチャンバ100及びプロセスチャンバ200のメンテナンスを行う場合、真空蒸着装置10に係る成膜プロセスは中止せざるを得ないが、この場合であっても、空間101、空間201及び空間301が夫々独立に真空を維持可能に構成されているため、効率的なメンテナンスが実現される。
【0085】
以上説明したように、本実施形態に係る真空蒸着装置10によれば、電子ビーム照射系120が、複数のターゲット110間で共有されるため、コストが低下し、高い生産性が実現される。また、真空蒸着装置10は、ターゲットチャンバ100、プロセスチャンバ200及び飛行チャンバ300を有し、各チャンバが、相互に独立して真空を維持可能な構成となっているため、高いメンテナンス性を有し、この点からも生産性の向上が実現されるのである。
【0086】
<第2実施形態>
ターゲットチャンバ、プロセスチャンバ及び飛行チャンバの関係は、第1実施形態のものに限定されない。例えば、以下のように真空蒸着装置を構成することも可能である。ここで、図4を参照して、本発明の第2実施形態に係る真空蒸着装置20について説明する。ここに、図4は、真空蒸着装置20の模式的斜視図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略することとする。
【0087】
図4において、真空蒸着装置20は、ターゲットチャンバ100及び飛行チャンバ300については第1実施形態と同様に構成されており、プロセスチャンバ200が、飛行チャンバ300と一対一に対応して設けられている点で、第1実施形態に係る真空蒸着装置10と相違する構成となっている。尚、図4では、図面の煩雑化を防ぐ目的から、プロセスチャンバ200については、一部の飛行チャンバ300に対応するもののみが描かれている。
【0088】
このような構成では、真空蒸着装置20の蒸着動作中に、選択されたターゲット以外のターゲットに対応するプロセスチャンバ200及び飛行チャンバ300について、比較的自由にメンテナンスを行うことが可能であり、効率的である。
【0089】
<第3実施形態>
ターゲットチャンバ、プロセスチャンバ及び飛行チャンバの関係は、第1及び第2実施形態のものに限定されない。例えば、以下のように真空蒸着装置を構成することも可能である。ここで、図5を参照して、本発明の第3実施形態に係る真空蒸着装置30について説明する。ここに、図5は、真空蒸着装置30の模式的斜視図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略することとする。
【0090】
図5において、真空蒸着装置30は、プロセスチャンバ200及び飛行チャンバ300については第1実施形態と同様に構成されており、ターゲットチャンバ100の代わりに、飛行チャンバ300と一対一に対応して設けられたターゲットチャンバ600を備える点で、第1実施形態に係る真空蒸着装置10と相違する構成となっている。
【0091】
図5において、ターゲットチャンバ600の内壁によって規定される空間601には、一のターゲット610とそれに対応して固定された電子ビーム照射系620が設置される。即ち、本実施形態において、電子ビーム照射系620は移動しない構成となっている。
【0092】
本実施形態によれば、各ターゲットチャンバ600を同時に稼働させることが可能となるから、真空蒸着装置30において基板一枚を蒸着するのに要するタクトタイムは、上述した各実施形態よりも明らかに短縮化される。従って、生産性が向上する。
【0093】
尚、電子ビーム照射系620がターゲット610毎に設置されている点に鑑みれば、第1及び第2実施形態の如く、電子ビーム照射系を電子ビーム移動系によって移動させることによる電子ビーム照射系共有化のメリットはほぼ消失する。然るに、電子ビーム照射系620に含まれない電源系、冷却水系及び制御系の一部は、各電子ビーム照射系620間で共有可能であり、その点では、コスト低下の効果が担保されている。
【0094】
<第1変形例>
本発明において、電子ビーム照射系120を移動させる態様は、上述した第1及び第2実施形態に係る電子ビーム移動系130に限定されない。このことについて、図6を参照して説明する。ここに、図6は、本発明の第1変形例に係る電子ビーム移動系700の模式図である。尚、同図において、上述した図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略することとする。
【0095】
図6において、電子ビーム移動系700は、レール部710、駆動部720及び駆動制御部730を備える。
【0096】
レール部710は、複数のターゲット110各々を、空間101における図示基準位置(本発明に係る「第1空間内の所定位置」の一例)を介して相互に連結するレール部材であり、本発明に係る「レール部」の一例である。電子ビーム照射系120は、レール部710に、アタッチメント711を介して固定されている。
【0097】
駆動部720は、前述したアタッチメント711をレール部710上で滑動させるための機構であり、モータ、電源及びアタッチメント回転機構を備えた、本発明に係る「移動部」及び「自転部」の夫々一例である。
【0098】
駆動部720は、レール部710上でアタッチメント711を滑動させ、ターゲット110に対応する位置に電子ビーム照射系120を移動させると共に、図示回転軸721を中心としてアタッチメント711を回転させることにより、電子ビーム照射系120を図示G方向に回転させることが可能に構成されている。
【0099】
このような駆動部720の動作は、駆動制御部730によって制御されている。駆動制御部730は、CPUやROMなどからなる電子制御系であり、選択された一のターゲットに対応する位置に電子ビーム照射系120が移動するように、駆動部720におけるモータなどの制御量を決定している。尚、この態様では、第1及び第2実施形態に係る電子ビーム移動系130と異なり、レール部710上を滑動させただけでは電子ビーム照射系120による電子ビーム照射位置がターゲット110の設置位置と一致しないため、駆動制御部730は、電子ビーム照射系120がターゲット位置まで移動した段階で、アタッチメント711の回転指令を駆動部720に与え、アタッチメント711を、電子ビームがターゲット110に確実に照射される位置まで回転させる。即ち、アタッチメント711によって、電子ビーム照射系120を自転させる。尚、この際の詳細な回転量(自転量)については、予めROMに固定値として格納されている。
【0100】
駆動部720及び駆動制御部730による滑動制御及び自転制御によって、電子ビーム照射系120は、選択された一のターゲット110に対し、電子ビームを照射することが可能となり、複数のターゲット間で、電子ビーム照射系120が共有化される。
【0101】
<第2変形例>
第1及び第2実施形態に係る真空蒸着装置において、ターゲットチャンバ100内には単一の電子ビーム照射系120が配置されているが、ターゲットチャンバ100における電子ビーム照射系120の配置態様はこれに限定されない。例えば、図7の如き態様を採ることも可能である。ここに、図7は本発明の第2変形例に係るターゲットチャンバ800の模式図である。尚、同図において、図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を省略することとする。
【0102】
図7において、ターゲットチャンバ800は、電子ビーム照射系120を複数備える点において、上述したターゲットチャンバ100と相違している。
【0103】
電子ビーム照射系120は、回転テーブル131上において、一の電子ビーム照射系120と回転テーブル131の中心とを結ぶ線分を、回転テーブル131の周方向に90度ずつ回転させて得られる位置に合計4個配置されている。
【0104】
このように回転テーブル131上に複数の電子ビーム照射系120が配置される場合には、第1及び第2実施形態いずれの場合であっても、一台の真空蒸着装置でマルチタスクが可能となり、装置のスループットが向上する。従って、生産性が向上し得る。
【0105】
尚、回転テーブル131上に配置される電子ビーム照射系120の数量は図示のように4個でなくともよい。無論、ターゲット110の数量よりも少なくてもよい。電子ビーム照射系120が複数配置されていたとしても、電子ビーム移動系130の作用によって、選択されたターゲット110位置に所望の電子ビーム照射系120を移動させることは可能であり、上述した如き本発明の効果は何ら阻害されない。
【0106】
<電気光学装置の製造方法>
図8を参照して、上述した本実施形態に係る真空蒸着装置を用いて、電気光学装置を製造する方法について説明する。ここでは、電気光学装置の一例として、一対の基板である素子基板と対向基板間に、電気光学物質の一例たる液晶が挟持されてなる液晶装置を製造する場合について説明する。図8は、その製造の流れを示す工程図である。
【0107】
図8において先ず、一方で、素子基板上に、各種配線、各種電子素子、各種電極、各種内蔵回路等を、既存の薄膜形成技術やパターンニング技術等により、その製造すべき機種に応じて適宜作成する(ステップS1)。その後、上述した第1から第3実施形態のいずれかに係る真空蒸着装置を用いて、素子基板における、対向基板に面することとなる側の表面に、斜方蒸着により所定のプレティルト角を持つ無機配向膜を形成する(ステップS2)。
【0108】
他方で、対向基板上に、各種電極、各種遮光膜、各種カラーフィルタ、各種マイクロレンズ等を、既存の薄膜形成技術やパターンニング技術等により、その製造すべき機種に応じて適宜作成する(ステップS3)。その後、上述した第1から第3実施形態のいずれかに係る真空蒸着装置を用いて、対向基板における、素子基板に面することとなる側の表面に、斜方蒸着により所定のプレティルト角を持つ無機配向膜を形成する(ステップS4)。
【0109】
その後、無機配向膜が形成された一対の素子基板及び対向基板を、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなるシール材を用いて、両無機配向膜が対面するように貼り合わせる(ステップS5)。その後、これらの貼り合わせられた基板間に、例えば真空吸引等を用いて液晶を注入し、例えば接着剤等の封止材による封止や、更に洗浄、検査などが行われる(ステップS6)。
【0110】
以上により、上述した第1から第3実施形態のいずれかに係る真空蒸着装置による斜方蒸着を用いて形成された無機配向膜を備えた液晶装置の製造が完了する。このように、上述した第1から第3実施形態のいずれかに係る真空蒸着装置を用いて無機配向膜を形成するので、本製造方法によればメンテナンスに要する時間を含めた上での生産効率が顕著に高くなる。
【0111】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う真空蒸着装置及び電気光学装置の製造方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の第1実施形態に係る真空蒸着装置の模式的斜視図である。
【図2】図1の真空蒸着装置における電子ビーム移動系の模式図である。
【図3】図1の真空蒸着装置の模式断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る真空蒸着装置の模式的斜視図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る真空蒸着装置の模式的斜視図である。
【図6】本発明の第1変形例に係る電子ビーム移動系の模式図である。
【図7】本発明の第2変形例に係るターゲットチャンバの模式図である。
【図8】本発明の電気光学装置の製造方法の実施形態に係り、液晶装置の製造の流れを示す工程図である。
【符号の説明】
【0113】
10…真空蒸着装置、100…ターゲットチャンバ、100a…蒸発物質、101…空間、110…ターゲット、120…電子ビーム照射系、130…電子ビーム移動系、131…回転テーブル、132…駆動部、133…駆動制御部、200…プロセスチャンバ、201…空間、210…基板、300…飛行チャンバ、301…空間、400…ゲートバルブ、500…ゲートバルブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蒸着源を設置するための第1空間を規定すると共に該第1空間を真空に維持することが可能な第1真空槽と、
前記第1空間に設置され、前記蒸着源に電子ビームを照射することによって前記蒸着源の一部を蒸発物質として蒸発させる電子ビーム照射手段と、
前記第1空間において、前記電子ビーム照射手段の少なくとも一部を、前記照射される電子ビームによって前記複数の蒸着源のうち選択された一の蒸着源が蒸発する位置に移動させる電子ビーム移動手段と、
前記第1空間と連通可能であって且つ前記選択された一の蒸着源に対応する前記蒸発物質を蒸着するための基板を設置するための空間である第2空間を規定すると共に、少なくとも該第2空間と前記第1空間とが相互に連通した状態において前記第2空間を真空に維持することが可能な少なくとも一つの第2真空槽と、
前記第1と第2真空槽との間に前記第1及び第2真空槽と夫々着脱可能に設置され、前記第1及び第2真空槽と接続された状態において(i)前記第1及び第2空間と相互に連通可能であり且つ(ii)前記選択された一の蒸着源に対応する蒸発物質が前記第2空間に向かって飛行するための空間となる第3空間を規定すると共に、少なくとも前記第1及び第2空間と相互に連通した状態において前記第3空間を真空に維持することが可能な少なくとも一つの第3真空槽と
を具備することを特徴とする真空蒸着装置。
【請求項2】
前記第1真空槽と前記第3真空槽との間に介在し、前記第1空間と前記第3空間とを少なくとも連通及び隔絶させることが可能な第1連通制御手段と、
前記第2真空槽と前記第3真空槽との間に介在し、前記第2空間と前記第3空間とを少なくとも連通及び隔絶させることが可能な第2連通制御手段と
を更に具備し、
前記第1真空槽及び前記第2真空槽は、前記第3空間と隔絶された状態において夫々前記第1空間及び第2空間を真空に維持することが可能であり、
前記第3真空槽は、前記第3空間が前記第1及び第2空間と夫々隔絶された状態において前記第1真空槽及び前記第2真空槽と夫々着脱可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の真空蒸着装置。
【請求項3】
前記選択された一の蒸着源の少なくとも一部と、前記選択された一の蒸着源に対応する蒸発物質を蒸着するための基板の少なくとも一部とは、相互に対面して配置される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の真空蒸着装置。
【請求項4】
前記基板の少なくとも一部は、前記第2真空槽内で、前記第3空間を介して飛行する前記蒸発物質に対して斜めに対面するように保持される
ことを特徴とする請求項3に記載の真空蒸着装置。
【請求項5】
前記基板は、前記第2真空槽内で、前記第3空間を介して飛行する前記蒸発物質の飛行方向に交わる方向に沿って回動可能に保持される
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の真空蒸着装置。
【請求項6】
前記電子ビーム移動手段は、
前記電子ビーム照射手段の少なくとも一部が固定された台座部と、
前記台座部に固定された少なくとも一部が前記選択された一の蒸着源に対応する位置に移動するように前記台座部を回転させる台座回転手段と
を含む
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の真空蒸着装置。
【請求項7】
前記電子ビーム移動手段は、
前記第1空間内の所定位置を介して前記複数の蒸着源各々を結ぶレール部と、
前記レール部上で、前記電子ビーム照射手段の少なくとも一部を、前記選択された一の蒸着源に対応する位置に移動させる移動部と、
前記レール部上を移動する少なくとも一部を、前記選択された一の蒸着源に対応付けて自転させる自転手段と
を含む
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の真空蒸着装置。
【請求項8】
前記第1及び第2真空槽は夫々一つであり、
前記第3真空槽は、前記複数の蒸着源各々に対応付けられて複数設置される
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の真空蒸着装置。
【請求項9】
前記第1真空槽は一つであり、
前記第3真空槽は、前記複数の蒸着源各々に対応付けられて複数設置され、
前記第2真空槽は、前記複数の第3真空槽各々に対応付けられて複数設置される
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の真空蒸着装置。
【請求項10】
単一の蒸着源を設置するための第1空間を夫々規定すると共に該第1空間を真空に維持することが夫々可能な複数の第1真空槽と、
前記第1空間に設置され、前記蒸着源に電子ビームを照射することによって前記蒸着源の一部を蒸発物質として蒸発させる電子ビーム照射手段と、
前記第1空間と連通可能であって且つ前記選択された一の蒸着源に対応する前記蒸発物質を蒸着するための基板を設置するための空間である第2空間を規定すると共に、少なくとも該第2空間と前記第1空間とが相互に連通した状態において前記第2空間を真空に維持することが可能な単一の第2真空槽と、
前記複数の第1真空槽各々と前記第2真空槽との間に前記各々及び前記第2真空槽と夫々着脱可能に夫々設置され、前記第1及び第2真空槽と接続された状態において(i)前記第1及び第2空間と相互に夫々連通可能であり且つ(ii)前記選択された一の蒸着源に対応する蒸発物質が前記第2空間に向かって飛行するための空間となる第3空間を夫々規定すると共に、少なくとも前記各々における第1空間及び前記第2空間と相互に連通した状態において前記第3空間を真空に維持することが夫々可能な複数の第3真空槽と
を具備することを特徴とする真空蒸着装置。
【請求項11】
無機材料を前記蒸着源とする請求項1から10のいずれか一項に記載の真空蒸着装置によって前記基板上に電気光学装置用の無機配向膜を形成する無機配向膜形成工程を具備することを特徴とする電気光学装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−9313(P2007−9313A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−195462(P2005−195462)
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】