説明

眼鏡及びその給電器

【課題】電池交換の手間や、交換用の専用電池の用意が不要であって、電極腐食のおそれがない眼鏡の給電構造を提供する。
【解決手段】給電構造10は、液晶シャッタ50とその駆動機構を備えた眼鏡30とクレードル(給電器)12により構成される。クレードル12の内部には、送電用の1次コイル20が設けられている。一方、眼鏡30には、液晶駆動機構に電力を供給する2次電池74と、1次コイル20との間で電磁誘導を行う受電用の2次コイル60と、該2次コイル60で発生した交流電圧を直流に整流する整流部70と、整流された直流電圧の電圧を制御して2次電池74に充電する制御部72が設けられている。電磁誘導を利用することで、電池交換や専用電池を必要とせずに、眼鏡30をクレードル12に置くだけで2次電池74の充電が可能となる。また、接触電極部がないため、電極腐食のおそれがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、3D用眼鏡などのように、液晶駆動機構を備えた眼鏡及びその給電器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
3次元に見える映像方式には、様々な方法があるが、その中の一つに、眼鏡映像をアクティブに切り換える方法がある。アクティブ方式としては、具体的に、眼鏡本体に液晶駆動装置を用いた3D用眼鏡が知られている。一般的には、テレビジョン画面や映画のスクリーンに、左右それぞれの目用の映像を高速に切り換えて表示ないし映写すると同時に、同期信号を赤外線や電波で送信する。そして、3D用眼鏡側では、その同期信号を受信し、受信した信号に基づいて左右それぞれのレンズの液晶を駆動し、左右のレンズを高速で切り替える。これにより、右目用の映像が表示されているときは右目が見えるようにし、左目用の映像が表示されているときは左目が見えるようにすることで、立体的な映像を見ることができる。このような3D用眼鏡には、液晶駆動のための電源が必要となる。従来は、電源として一次電池等が使用されていた。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、右眼用と左眼用の画面の時分割的な切り替えに同期して、右眼用と左眼用のシャッターが開閉する立体視用シャッターメガネにおいて、電源装置をメガネに一体構造としたことが開示されている。前記電源装置は、ヘッドハンドに取り付けられることで、メガネと一体構造となっている。また、下記特許文献2には、モダンの内部に電子眼鏡を駆動する電池を含み、該モダンをテンプルに対して着脱可能とすることにより、電源交換が可能な電子眼鏡が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭64−19915号公報
【特許文献2】特開2009−237450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、以上のような背景技術には、次のような不都合がある。まず、特許文献1に記載の技術では、電源装置として一次電池が用いられると考えられるが、3D映像を見ている最中に電池が切れて映像の観賞が中断されたり、電池を交換したりする手間がかかる。また、ヘッドバンドを頭部に装着して使用するため、汗が電源装置に隙間から染み込んで電極部を腐食するおそれがある。前記特許文献2に記載の技術においても、電池交換は必要であり、その際には、電池を内蔵したモダン部,すなわち、モダン形状の専用電池が必要になるという不都合がある。
【0006】
本発明は、以上のような点に着目したもので、電池交換の手間や交換用の専用電池の用意が不要であって、電極部の腐食のおそれがない液晶駆動機構を備えた眼鏡及びその給電器を提供することを、その目的とする。他の目的は、複数の眼鏡を同時に充電できる給電器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、液晶シャッタとその駆動機構を有する眼鏡であって、前記駆動機構に電力を供給する2次電池と、前記眼鏡の内部に設けられており、電磁誘導によって受電する2次コイルと、該2次コイルで得た電力に基づいて、前記2次電池に充電する充電回路と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
主要な形態の一つは、前記2次電池を、前記眼鏡を使用者が装着したときに耳を支点とする後方側に設けたことを特徴とする。他の形態の一つは、前記2次コイルを、前記眼鏡のフレームのいずれかの部位の内部に形成したことを特徴とする。あるいは、前記2次コイルを、前記液晶シャッタに対して透明電極により形成したことを特徴とする。更に他の形態によれば、前記2次コイルの近傍に磁性体を配置したことを特徴とする。
他の形態の一つは、前記充電回路に設けられており、前記2次電池の充電状態を検出する充電状態検出手段と、前記充電状態検出手段で検出された結果を表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする。また、前記充電状態検出手段は、前記2次電池における電力の残量,充電が必要になったこと,充電が完了したこと,の少なくとも一つを検出することを特徴とする。
【0009】
他の発明は、前記いずれかの眼鏡に電力を供給する給電器であって、前記眼鏡を少なくとも1つ載置ないし収納可能であって、送電用の1次コイルが内部に設けられたことを特徴とする。主要な形態の一つは、前記1次コイルの近傍に磁性体を配置したことを特徴とする。他の形態の一つは、前記1次コイルと前記眼鏡の2次コイルの位置が対応するように位置決めする位置決め手段を設けたことを特徴とする。更に他の形態の一つは、多数の眼鏡を収納可能なボックス形状であり、その底面及び側面の少なくとも一方の内側に、多数の1次コイルを備えていることを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、液晶シャッタとその駆動機構を有する眼鏡に電力を供給する給電構造において、給電器の内部に送電用の1次コイルを設け、眼鏡側には、駆動機構に電力を供給する2次電池と、前記1次コイルとの間で電磁誘導を行う受電用の2次コイルと、2次電池に充電する充電回路とを設けることとした。これにより、前記給電器に眼鏡を載置ないし収納することで、電磁誘導を利用して2次電池の充電が可能となるため、電池交換や専用電池が不要となり、更に、無接点での給電により電極腐食を防止できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1を示す図であり、(A)は全体構成を示す図,(B)は前記(A)を#A−#A線に沿って切断し矢印方向に見た断面図,(C)は変形例の主要部を示す断面図である。
【図2】前記実施例1の充電回路のブロック部である。
【図3】本発明の実施例2を示す図であり、(A)は全体構成を示す図,(B)は前記(A)を#B−#B線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。
【図4】前記実施例2を示す図であり、(A)は図3(A)を#C−#C線に沿って切断し矢印方向に見た断面図,(B)は前記(A)を一部拡大して示す図である。
【図5】前記実施例2の変形例を示す図であり、(A)は全体構成を示す図,(B)は前記(A)を#D−#D線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。
【図6】本発明の実施例3を示す図であり、(A)は全体構成を示す図,(B)は眼鏡を示す外観斜視図,(C)は応用例を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施例4を示す図である。
【図8】本発明の実施例5及びその変形例の全体構成を示す図である。
【図9】本発明の実施例6の主要部を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
最初に、図1及び図2を参照しながら本発明の実施例1を説明する。図1(A)は、本実施例の全体構成を示す図,図1(B)は前記(A)を#A−#A線に沿って切断し矢印方向に見た断面図,図1(C)は変形例の主要部を示す断面図である。前記図1(B)及び(C)における矢印は磁束を示している。また、図2は、本実施例の回路ブロック図である。本実施例は、本発明をアクティブ方式で3D映像を観賞するための眼鏡の給電に適用した例である。図1(A)及び(B)に示すように、本実施例の給電構造10は、液晶シャッタ50とその駆動機構(図示せず)を備えた立体映像観賞用の眼鏡30と、その給電器であるクレードル12により構成されている。
【0014】
前記クレードル12は、図示の例では、略長方形であって、縁部14A〜14Dの内側には、前記眼鏡30を1つ載置可能な形状及び寸法のレンズ載置部16が凹状に形成されている。また、レンズ載置部16の略中央部の一部には、液晶シャッタ50の位置がずれないように位置決めするための凸部18が、縁部14Cに連続して設けられている。このようなクレードル12の内側には、交流磁場ないし交流磁界を発生させる送電用の1次コイル20が、例えば、被覆導体により形成されており、外部に露出しないように封止されている。前記1次コイル20には、コード22を介して図2に示す交流電源24が接続される。
【0015】
前記眼鏡30は、外形上は、左右それぞれの目に対応する一対の液晶シャッタ50とそれを支持するフレーム32により構成されている。前記フレーム32は、図示の例では、液晶シャッタ50を支持する一対のリム34,左右のリム34を接続するブリッジ36,リム34とテンプル(つる)38をつなげる智35及び丁番40と、前記テンプル38の先に設けられており装着者の耳にかかるモダン42により構成されている。本実施例では、前記丁番40により、テンプル38が折り畳み可能となっている。
【0016】
一方、前記眼鏡30の充電回路は、図2に示すように、2次コイル60,整流部70,定電圧制御部72,2次電池(負荷)74により構成されている。これら2次コイル60,整流部70,定電圧制御部72,2次電池74は、表面に露出しないように眼鏡30の内部に収納されている。前記2次コイル60は、前記1次コイル20との間で電磁誘導を行うもので、該2次コイル60で発生した交流電圧を、前記整流部70によって直流に整流する。前記定電圧制御部72は、前記整流された直流電圧の電圧を制御して2次電池74に充電する。また、前記定電圧制御部72には、2次電池74の電池残量を検出するための残量検出部76が設けられており、該残量検出部76は、前記眼鏡30の任意の位置に設けられた残量表示部78に、電池残量を表示する。図示の例では、左目用の液晶シャッタ50の左上角に、前記残量表示部78が設けられている。前記整流部70,定電圧制御部72,2次電池74は、フレーム32の任意の位置に設けることができるが、特に2次電池74については重量があるため、装着したときに耳の後方になる位置,すなわち、モダン42に設置すると、安定した装着感が得られて都合がよい。なお、二つの2次コイル60を整流部70に対して直列・並列のいずれの接続とするかは、2次コイル60の個々の起電力や電流値によって適宜決めてよい。
【0017】
ところで、前記1次コイル20と2次コイル60は、相対的な位置関係により充電効率が大きく変動するため、その配置が重要である。本実施例では、図1(A)及び(B)に示すように、2次コイル60が眼鏡30のリム34内に、液晶シャッタ50の外周に沿って被覆導体で渦巻き状に形成されている。また、クレードル12側では、眼鏡30をレンズ載置部16に載置したときに、前記2次コイル60と対向する位置に前記1次コイル20を内蔵している。図1(B)の例では、縁部14Aと凸部18の内側を通過するように、1次コイル20が形成されている。同様に、縁部14Bと凸部18の内側にも1次コイル20が形成されている。また、図1(C)に示す変形例では、クレードル12Aに設けられる1次コイル20は、レンズ載置部16の表面16A寄りであって、前記2次コイル60と対応する位置に渦巻き状に形成されている。上述した1次コイル20と2次コイル60は、レンズ載置部16に載置した眼鏡30の左右の液晶シャッタ50が、前記凸部18により位置が固定されるため、効率良く充電を行うことができる。
【0018】
次に、本実施例の作用を説明する。まず、クレードル12のコード22を交流電源24に接続し、1次コイル20に交流電流を流し、その周囲に交流磁場を発生させる。そして、液晶シャッタ50が下向きになるようにして、クレードル12のレンズ載置部16に眼鏡30を置く。すると、前記1次コイル20と眼鏡30の2次コイル60が向き合うようになるため、前記1次コイル20の周りに発生した交流磁束が、眼鏡30側の2次コイル60を通過するようになり、公知の電磁誘導の作用により、2次コイル60には交流電圧が発生する。その交流電圧を、前記整流部70によって整流し、定電圧制御部72によって電圧を制御して2次電池74に充電する。
【0019】
充電が完了した眼鏡30を利用者が装着し、該眼鏡30の液晶シャッタ50を駆動する信号を映画館などに設けられた送信機(図示せず)から受信すると、図示しない液晶駆動機構が左右の液晶シャッタ50を駆動する。そして、左目用及び右目用の再生映像の切り替えに同期して、液晶シャッタ50が左右切替駆動され、利用者は立体映像を見ることができる。このような眼鏡30の動作中、前記液晶駆動機構には、前記2次電池74から電力が供給され、また、電力の残量が残量表示部78に表示される。表示の形態としては、バーの伸縮などの図形ないしシンボルによる表示,文字・数字による表示,など、適宜の形態としてよい。映像の観賞後、電池残量が残り少ない場合には、眼鏡30をクレードル12に置いて充電する。
【0020】
このように、実施例1によれば、次のような効果がある。
(1)クレードル12側に設けた1次コイル20と、眼鏡30側に設けた2次コイル60による電磁誘導を利用して眼鏡30に設けた2次電池74を充電することとしたので、電池交換や専用電池を必要とせずに、眼鏡30の充電が可能となる。また、前記2次電池74を充電した状態から使用開始できるため、使用中の電池切れを低減することができる。
(2)接触電極部がないため、利用者の汗などによる電極腐食のおそれがない。
(3)眼鏡30のフレーム32のモダン42の部分に、前記2次電池74を設けることとしたので、装着時に2次電池74の重みで眼鏡30が前方にずれることがなく、装着時の安定感が増す。
(4)クレードル12の内部に1次コイル20を封止し、眼鏡30の内部に、2次コイル60,整流部70,定電圧制御部72,2次電池74を封止した防水構造とすることができ、電極の腐食のおそれがない。
【0021】
(5)眼鏡30の左右のリム34の内側に液晶シャッタ50の外周に沿って渦巻き状の2次コイル60を設け、該2次コイル60と対向する位置にクレードル12に渦巻き状の1次コイル20を設けることで、磁束を広い面積で受けることが可能となり、効率良く短時間で充電でき、使い勝手がよい。
(6)眼鏡30に設けた残量表示部78に、残量検出部76で検出した結果を表示することとしたので、電池残量を容易に把握でき、充電のタイミングや、充電済みの他の眼鏡30との交換のタイミングなどを適切に把握することができる。
(7)クレードル12に眼鏡30を置くだけで充電できるため、充電作業に手間がかからない。また、クレードル12側に、位置ずれ防止用の凸部18を設けたので、効率よく短時間で電磁誘導による充電を行なうことができる。
【実施例2】
【0022】
次に、図3〜図5を参照しながら本発明の実施例2を説明する。なお、上述した実施例1と同一ないし対応する構成要素には同一の符号を用いることとする(以下の実施例についても同様)。図3(A)は本実施例の全体構成を示す図,図3(B)は前記(A)を#B−#B線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。図4(A)は、前記図3(A)を#C−#C線に沿って切断し矢印方向に見た断面図,図4(B)は前記(A)を一部拡大して示す図である。図5(A)は本実施例の変形例の全体構成を示す図,図5(B)は前記(A)を#D−#D線に沿って切断し矢印方向に見た断面図である。上述した実施例1は、眼鏡30のフレーム32の内側に、被覆導体によって2次コイルを形成した例であるが、本実施例では、眼鏡30の液晶シャッタ50に2次コイルを形成した構成となっている。図3(A)及び(B)に示すように、本実施例の給電構造80は、クレードル12Bと眼鏡30Aにより構成されている。前記クレードル12Bは、1次コイル20が、レンズ載置部表面16A寄りの位置のほぼ全面に渦巻き状に形成されているほかは、前記実施例1のクレードル12と同様の構成となっている。あるいは、必要に応じて、前記クレードル12Bの1次コイル20の近傍に、磁性体26を配置して、磁気抵抗を低減して磁束を通りやすくしてもよい。
【0023】
一方、眼鏡30Aでは、2次コイル60が、液晶シャッタ50の表面側(目と当たらない側)のほぼ全面に、透明電極材料による渦巻き状のコイルパターンにより形成されている。図4(B)には、前記液晶シャッタ50の積層構造の一例が示されている。図示の例では、液晶シャッタ50は、液晶52の両面に配向膜54A,54Bが設けられており、該配向膜54A,54Bには、それぞれ、透明電極56A,56Bと、ガラス基板58A,58Bが順に積層されている。そして、一方のガラス基板58A上に、前記2次コイル60が、例えば、酸化インジウム錫、酸化錫、酸化亜鉛などの透明電極材料により、渦巻き状に形成される。該2次コイル60と前記ガラス基板58Bの上には、偏光フィルタ62A,62Bが設けられる。このため、2次コイル60が液晶シャッタ50の表面に露出することがない。なお、図示の液晶シャッタ50の構造は一例であり、液晶シャッタの内部構造は、図示の例に限定されるものではなく、公知の各種の液晶パネルの構造が適用可能である。
【0024】
本実施例によれば、液晶シャッタ50の表面側のほぼ全面に2次コイル60を設け、クレードル12Bのレンズ載置部表面16A近傍のほぼ全面に1次コイル20を設けることとしたので、前記実施例1の構成よりも、磁束を広い面積で受けることができ、充電効率の向上を図ることができる。他の効果については、前記実施例1と同様である。1次コイル20の近傍に磁性体26を配置した場合には、一層の効率向上が見込まれる。なお、図3及び図4に示す例では、液晶シャッタ50のほぼ全面に2次コイル60を設けることとしたが、図5(A)及び(B)に示す変形例の給電構造80Aのように、眼鏡30Bの液晶シャッタ50の外周寄りの部分のみに、透明電極材料による渦巻き状のコイルパターンによって2次コイル60を形成し、クレードル12C側には、前記2次コイル60に対応する位置にのみ1次コイル20を形成してもよい。本例の場合も、1次コイル60の近傍に、必要に応じて磁性体26を配置してもよい。
【実施例3】
【0025】
次に、図6を参照して、本発明の実施例3を説明する。図6(A)は本実施例の全体構成を示す図,図6(B)は眼鏡を示す外観斜視図,図6(C)は応用例を示す斜視図である。本実施例の給電構造90は、給電パッド92と、眼鏡30Cにより構成されている。前記眼鏡30Cは、図6(B)に示すように、フレーム32のフロント上部(リム34の上部及びブリッジ36)に被覆導体などにより2次コイル60Aを内蔵するとともに、フレーム32の一対のテンプル38に、他の2次コイル60B,60Cを内蔵した構造のほかは、上述した実施例1の眼鏡30と同様の構成となっている。なお、前記2次コイル60A〜60Cの内側には、必要に応じて磁性体コア26A〜26Cを設けるようにしてもよい。一方、給電パット92は、図6(C)に示すように、フレキシブルな基板92A上に、多数の1次コイル94を形成し、該1次コイル94を適宜のカバー96で保護のために被覆した構成となっている。このような給電パッド92は、コード98によって図示しない交流電源に接続される。
【0026】
図6(A)の実施例では、給電パッド92側には、眼鏡30Cの位置を固定するための位置決め手段は設けられていないが、多数の1次コイル94が給電パッド92の全面に設けられているため、給電パッド92上のどの部分に眼鏡30Cを置いても、電磁誘導を利用した充電が可能となる。なお、本実施例では、2次コイル60A〜60Cを、フレーム32のフロント上部とテンプル38の内部に設けたため、図6(A)に示すように、液晶シャッタ50が上方を向くように載置すると、効率良く充電することができる。図6(C)に示す応用例は、前記給電パッド92を大きく形成することで、複数の眼鏡30Cを同時に充電可能な構成としたものである。この給電パッド92に、前記眼鏡30Cを、前記図6(A)と同じ状態で置いてもよいし、図6(C)に示すように液晶シャッタ50側が下を向くように置いてもよい。あるいは、図6(B)に示す状態のまま、テンプル38を折り畳まずに置いても充電を行うことができる。
【実施例4】
【0027】
次に、図7を参照しながら本発明の実施例4を説明する。上述した実施例1及び2では、クレードルによる給電を行い、実施例3では給電パッドによる給電を行うこととしたが、いずれの場合も、クレードル又は給電パッドに眼鏡を載置して充電を行っている。これに対し、本実施例では、一度に多数の眼鏡を収納可能な給電ボックスを利用して給電を行うこととした例である。図7に示すように、本実施例の給電構造100は、多数の眼鏡30,30A〜30Cと、給電ボックス102により構成されている。眼鏡30,30A〜30Cについては上述した実施例1〜3で説明した通りである。給電ボックス102は、底面104と側面106の内側全面に、多数の1次コイル108を形成した構成となっており、図示しないコードを介して交流電源に接続可能となっている。このような給電ボックス102に、眼鏡30,30A〜30Cをランダムに収納すると、必ずしも1次コイルと2次コイルが最適な状態で配置されるとは限らないため、多少の充電ムラは生じるが、多数の眼鏡30,30A〜30Cを同時に充電することができる。このため、映画館などのように大勢が利用する場所では、1つ1つ充電する手間が省けるという効果がある。
【実施例5】
【0028】
次に、図8を参照しながら本発明の実施例5を説明する。図8(A)は本実施例の全体構成を示す図,図8(B)は本実施例の変形例を示す図である。本実施例は、クレードルタイプの給電器の応用例であって、充電する眼鏡は、実施例1〜3のいずれの眼鏡であってよいが、図示の例では、実施例1の眼鏡30を例に挙げている。まず、図8(A)に示すクレードル110は、複数の眼鏡載置面112A〜112Eが、段差114によって接続されるとともに、前記眼鏡載置面112A〜112Eのそれぞれに、位置決め用の突起116が設けられた構造となっている。次に、図8(B)に示すクレードル120は、前記図8(A)に示すクレードル110の眼鏡載置面112A〜112Eに、凹状のレンズ収納部118A〜118Eを設けた構造となっており、前記レンズ収納部118A〜118Eには、前記突起116も設けられている。本実施例によれば、複数の眼鏡30を同時に充電することが可能となっているほかは、基本的な効果は前記実施例1と同様である。
【実施例6】
【0029】
次に、図9を参照しながら本発明の実施例6を説明する。上述した実施例では、図9(A)に主要部を示すように、残量検出部76を設け、これによって検出した電池残量を残量表示部78に表示するようにしたが、2次電池74に関する情報の表示態様としては、各種可能である。
【0030】
図9(B)の例は、2次電池74の出力端子間電圧を検出する電圧検出部200を図2の定電圧制御部72に設け、充電が必要になったことを警告する充電警告表示部202を、液晶シャッタ50等に設けた例である。長時間の使用によって2次電池74の出力電圧が低下し、充電が必要な電圧となると、それが電圧検出部200で検出され、その旨が充電警告表示部202に表示される。この充電警告表示を見ることで、眼鏡30の利用者は、充電の時期がきたことを知ることができる。
【0031】
なお、充電警告表示部202としては、前記実施例と同様に液晶シャッタ50に設けてもよいが、例えば、眼鏡30のモダン42にLEDなどによって形成すれば、眼鏡30の利用者のみならず、他の者も容易に充電の時期を知ることができる。表示の形態としては、バーの伸縮などの図形ないしシンボルによる表示,文字・数字による表示,など、適宜の形態としてよいが、例えば、液晶シャッタ50を閉じた状態とすれば、非常に分かりやすい。
【0032】
図9(C)の例は、2次電池74の充電量を検出する充電量検出部210を図2の定電圧制御部72に設け、充電が完了したことを表示する充電完了表示部212を、液晶シャッタ50等に設けた例である。2次電池74の充電が完了すると、それが充電量検出部210で検出され、その旨が充電完了表示部212に表示される。表示の形態としては、バーの伸縮などの図形ないしシンボルによる表示,文字・数字による表示,など、適宜の形態としてよい。特に、充電完了表示部212を、例えば、眼鏡30のモダン42など、外部から見える位置にLEDなどによって設けるようにすれば、図6(C),図7,図8に示した充電状態で、いずれの眼鏡が充電完了したかを簡単に知ることができ、好都合である。
【0033】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した形状,寸法は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。材質についても、同様の効果を奏する範囲内で、公知の各種の材質を利用してよい。
(2)前記実施例で示したフレーム32も一例であり、本発明は、公知の各種の形状・構造のフレームが利用可能である。例えば、前記実施例では、テンプル38が丁番40により折曲げ可能なこととしたが、丁番がなくテンプルが曲がらない構造のフレームにも本発明は適用可能である。
(3)前記実施例で示した1次コイルや2次コイルの形成部位も一例であり、同様の効果を奏する範囲内で、適宜設計変更可能である。
(4)前記実施例を組み合わせるようにしてもよい。例えば、図9(A)〜(C)に示した表示態様のうち、いずれか2つ以上を組み合わせるという具合である。
(5)前記実施例2では、1次コイル20の近傍に磁性体26を設けることとしたが、他の実施例についても、必要に応じて1次コイルの近傍に磁性体を配置してよい。
(6)前記実施例では、本発明を、3D用(立体視用)眼鏡に適用したが、駆動電力を必要とする他の公知の各種の眼鏡(例えば、弱視矯正用眼鏡や、近距離・遠距離用切換可能な電子眼鏡など)にも本発明は適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、給電器の内部に送電用の1次コイルを設け、眼鏡側には、液晶駆動機構に電力を供給する2次電池と、前記1次コイルとの間で電磁誘導を行う受電用の2次コイルと、2次電池に充電する充電回路とを設ける。そして、前記給電器に眼鏡を載置ないし収納し、前記1次コイルと2次コイルによる電磁誘導を利用して無接点で2次電池を充電することとしたので、電池交換や専用電池が不要となり、液晶シャッタとその駆動機構を有する眼鏡の給電構造に適用できる。特に、アクティブ方式の3D観賞用眼鏡の給電の用途に好適である。
【符号の説明】
【0035】
10:給電構造
12,12A,12B,12C:クレードル(給電器)
14A〜14D:縁部
16:レンズ載置部
16A:表面
18:凸部
20:1次コイル
22:コード
24:交流電源
26:磁性体
26A〜26C:磁性体コア
30,30A,30B,30C:眼鏡
32:フレーム
34:リム
35:智
36:ブリッジ
38:テンプル(つる)
40:丁番
42:モダン
50:液晶シャッタ
52:液晶
54A,54B:配向膜
56A,56B:透明電極
58A,58B:ガラス基板
60,60A〜60C:2次コイル
62A,62B:偏光フィルタ
70:整流部
72:定電圧制御部
74:2次電池(負荷)
76:残量検出部
78:残量表示部
80,80A:給電構造
90:給電構造
92:給電パッド(給電器)
92A:基板
94:1次コイル
96:カバー
98:コード
100:給電構造
102:給電ボックス(給電器)
104:底面
106:側面
108:1次コイル
110:クレードル
112A〜112E:メガネ載置面
114:段差
116:突起
118A〜118E:レンズ収納部
120:クレードル
200:電圧検出部
202:充電警告表示部
210:充電量検出部
212:充電完了表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶シャッタとその駆動機構を有する眼鏡であって、
前記駆動機構に電力を供給する2次電池と、
前記眼鏡の内部に設けられており、電磁誘導によって受電する2次コイルと、
該2次コイルで得た電力に基づいて、前記2次電池に充電する充電回路と、
を備えたことを特徴とする眼鏡。
【請求項2】
前記2次電池を、前記眼鏡を使用者が装着したときに耳を支点とする後方側に設けたことを特徴とする請求項1記載の眼鏡。
【請求項3】
前記2次コイルを、前記眼鏡のフレームのいずれかの部位の内部に形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の眼鏡。
【請求項4】
前記2次コイルを、前記液晶シャッタに対して透明電極により形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の眼鏡。
【請求項5】
前記2次コイルの近傍に磁性体を配置したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の眼鏡。
【請求項6】
前記充電回路に設けられており、前記2次電池の充電状態を検出する充電状態検出手段と、
前記充電状態検出手段で検出された結果を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の眼鏡。
【請求項7】
前記充電状態検出手段は、前記2次電池における電力の残量,充電が必要になったこと,充電が完了したこと,の少なくとも一つを検出することを特徴とする請求項6記載の眼鏡。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の眼鏡に電力を供給する給電器であって、
前記眼鏡を少なくとも1つ載置ないし収納可能であって、送電用の1次コイルが内部に設けられたことを特徴とする眼鏡の給電器。
【請求項9】
前記1次コイルの近傍に磁性体を配置したことを特徴とする請求項8記載の眼鏡の給電器。
【請求項10】
前記1次コイルと前記眼鏡の2次コイルの位置が対応するように位置決めする位置決め手段を設けたことを特徴とする請求項8又は9に記載の眼鏡の給電器。
【請求項11】
多数の眼鏡を収納可能なボックス形状であり、その底面及び側面の少なくとも一方の内側に、多数の1次コイルを備えていることを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の眼鏡の給電器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−232550(P2011−232550A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102839(P2010−102839)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】