説明

着地タイミング特定装置及び歩行補助装置

【課題】第1脚に装着する装具が備えられたセンサのみで、第2脚の着地タイミングを特定する着地タイミング特定装置を提供する。
【解決手段】歩行補助装置10は、反力センサ22と加速度センサ34とタイミング特定部42を備える。反力センサ22は、脚装具12を装着する第1脚の足裏に加わる接地反力を検出する。加速度センサ34は、第1脚の大腿部の鉛直方向加速度を検出する。タイミング特定部44は、検出された接地反力が予め定められた反力閾値を横切る反力タイミングと検出された加速度が予め定められた加速度閾値を横切る加速度タイミングを特定するとともに、それらのタイミングに基づいて第2脚の着地タイミングを特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの一方の脚に装着してその一方の脚の物理的状態を検出し、ユーザの歩行中にその物理的状態から他方の脚の着地タイミングを特定する着地タイミング特定装置と、着地タイミング特定の技術を応用した歩行補助装置に関する。その歩行補助装置は、ユーザの一方の脚の大腿から下腿に沿って装着し、膝にトルクを加えることによって歩行動作を補助する。なお、本明細書では、ユーザの夫々の脚を区別するために、一方の脚を第1脚と称し、他方の脚を第2脚と称する場合がある。
【背景技術】
【0002】
ユーザの脚や腕に沿って装着し、ユーザの筋力を増強するいわゆるパワードスーツが開発されている。パワードスーツの応用として、ユーザの脚に装着して歩行動作を補助する歩行補助装置がある。歩行補助装置の一形態では、アクチュエータ付き多リンク機構を有する脚装具をユーザの大腿部から下腿部にかけて装着して歩行動作を補助する。例えば特許文献1に、ユーザの夫々の脚にアクチュエータ付き脚装具を装着し、両脚の動作を補助する歩行補助装置が開示されている。また、特許文献2に、ユーザの一方の脚にのみアクチュエータ付き脚装具を装着してその一方の脚の動作を補助する歩行補助装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−135543号公報
【特許文献2】特開2006−314670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歩行動作は両脚の協調した動作であるため、一方の脚の動きに応じて他方の脚の動作を補助する必要がある。従って、第1脚の動作を補助するには第2脚の物理的状態を検出することが望ましい。特許文献1の歩行補助装置はユーザの両脚に装具を取り付けるため、夫々の装具に脚の物理的状態を検知するセンサを取り付ければよい。特許文献2の歩行補助装置では、第1脚にアクチュエータ付き脚装具を装着するとともに、第2脚に脚動作検出用の装具を装着することを要する。
【0005】
片脚のみ不自由なユーザのための歩行補助装置は、不自由な脚にのみアクチュエータ付き装具を装着すればよい。特許文献2の歩行補助装置のごとく、他方の脚に脚動作検出用の装具を取り付けるのはユーザによってわずらわしい。第2脚にセンサ等を取り付けることなく、第1脚に取り付けた装具のセンサから他方の脚の状態を特定できる技術が望まれている。さらには、第2脚にセンサ等を装着することなしに、特定した第2脚の状態に基づいて第1脚の歩行動作を補助する歩行補助装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一方の脚の歩行動作を補助する脚装具の制御に際しては他方の脚の着地タイミングが重要な要因である。なぜならば、脚の着地タイミングで片脚立脚から両脚立脚へ状態が大きく変化するからである。本発明は、第1脚に装着する装具に備えられたセンサのみで、第2脚の着地タイミングを特定する技術を提供する。本発明はさらに、着地タイミングを特定する技術を応用した歩行補助装置を提供する。本発明の歩行補助装置は、第2脚にセンサ等を装着することなく第1脚に装着するアクチュエータ付き装具のみで第2脚の着地タイミングを特定し、第2脚の動作に協調して第1脚の歩行動作を補助することができる。
【0007】
本発明の一つは、ユーザの歩行中に第1脚の物理的状態から第2脚の着地タイミングを特定する着地タイミング特定装置に具現化することができる。このタイミング特定装置は、反力センサと加速度センサとタイミング特定部を備える。この着地タイミング特定装置は、典型的にはユーザの第1脚に装着される脚装具として具現化されてよい。反力センサは、脚装具を装着する第1脚の足裏に加わる接地反力を検出する。加速度センサは、第1脚の大腿部の鉛直方向加速度を検出する。より厳密には、加速度センサは、大腿部に固定される脚装具部位の鉛直方向加速度成分を検出する。また、加速度センサは、大腿部に発生する加速度のうち、鉛直方向成分の概ねの大きさが検出できればよい。タイミング特定部は、検出された接地反力が予め定められた反力閾値を横切る反力タイミングと検出された加速度が予め定められた加速度閾値を横切る加速度タイミングを特定するとともに、それらのタイミングに基づいて第2脚の着地タイミングを特定する。
【0008】
上記着地タイミング特定装置の作用を説明する。着地タイミング特定装置は、第1脚の物理的状態から第2脚の着地タイミングを特定する。ここでいう第1脚の物理的状態とは、接地反力と大腿部の鉛直方向加速度成分である。この着地タイミング特定装置は、第1脚の反力タイミングと加速度タイミングに基づいて第2脚の着地タイミングを特定する。
【0009】
本発明の着地タイミング特定装置は、第2脚の着地時の衝撃によって第1脚の大腿部の鉛直方向加速度が変化するという事象と、第2脚の着地時に第1脚の足裏に加わる接地反力が変化するという事象を利用する。具体的には、第2脚が着地する際の衝撃が第1脚に伝わるため、第1脚に生じる鉛直方向の加速度も着地タイミングで急変する。また、第2脚の着地タイミングで片脚立脚から両脚立脚に変化するので、第2脚の着地タイミングで第1脚の接地反力は急減する。第1脚の大腿部の加速度或いは接地反力のみでも第2脚の着地タイミングを特定することは可能であるが、加速度や接地反力は歩行中に常に変化するため、それら単独の検出値のみでは着地タイミングを誤って特定してしまう虞がある。そこで本発明の着地タイミング特定装置は、加速度タイミングと反力タイミングを特定し、それら2つの異なる物理量の組み合わせによって着地タイミングを特定する。そうすることによって、本発明の着地タイミング特定装置は、着地タイミングを確実に特定することができる。
【0010】
着地に起因する加速度タイミングと反力タイミングの発生状況を子細に解析すると、加速度の急変に続いて接地反力が大きく変化する。そこでタイミング特定部は、加速度タイミングに続く反力タイミングを着地タイミングとして特定することが好ましい。厳密には加速度タイミングで第2脚が着地しているのであるが、加速度タイミングに続く反力タイミングを着地タイミングとして特定することで、加速度のみによる着地タイミングの誤特定を避けることができる。発明者らの検討によると、加速度タイミングと反力タイミングのタイミングずれはわずかであるので、加速度タイミングに続いて発生する反力タイミングを着地タイミングとして扱っても脚装具の制御に支障がないことが判明している。
【0011】
さらには、タイミング特定部は、加速度タイミングから予め定められたリミット時間内に検知した反力タイミングを着地タイミングとして特定することが好ましい。そのような着地タイミング特定装置は、リミット時間の経過後に検知した反力タイミングは着地タイミングと判定しない。リミット時間を設定することによって、着地タイミングの誤特定を一層確実に防止することができる。なお、反力閾値、加速度閾値、及び、リミット時間は、予め実験やシミュレーションによって定めておけばよい。
【0012】
前述したように、第2脚の着地タイミングは第1脚の動作補助に利用される。他方、第2脚の着地タイミングでユーザが歩行を停止しようとしていることを判定できれば、第1脚の動作補助を周期的な歩行動作の補助に代えて停止に至る過渡的な動作補助に切り替えることに役立つ。本発明の着地タイミング特定装置は、次の技術的特徴を備えることによって、着地タイミングにおいて、ユーザが歩行を停止しようとしている意図を判定する停止判定信号を出力することが可能となる。即ち、着地タイミング特定装置は、第1脚の関節角度と関節角速度の少なくとも一方を検出する関節センサを備える。そして、タイミング特定部は、特定された着地タイミングにおける関節センサの値が予め定められた範囲から外れている場合に、歩行停止を判定する停止判定信号を出力する。この技術的特徴は、第1脚の関節角度によって定まる姿勢、或いは関節角速度によって定まる動作速度が、歩行継続中における着地タイミングと歩行を停止しようとしている場合の着地タイミングで大きく異なるという知見に基づいている。停止意図の判定に用いる関節角度或いは関節角速度は、たとえば第1脚の股関節のピッチ軸回りの角度或いは角速度でよい。
【0013】
本発明の他の一つは、第2脚の着地タイミングを特定する技術を応用した歩行補助装置に具現化することができる。本発明の歩行補助装置は、アクチュエータ付きの脚装具、反力センサ、加速度センサ、及び、脚装具を制御するコントローラを備える。脚装具は、大腿リンクと下腿リンクが駆動ジョイントによって揺動可能に連結されている多リンク機構を有している。駆動ジョイントがアクチュエータに相当する。駆動ジョイントは、大腿リンクと下腿リンクをユーザの第1脚の大腿部と下腿部に夫々固定したときにユーザの膝関節に隣接して位置するように構成されている。反力センサは、第1脚の足裏に加わる接地反力を検出する。加速度センサは、脚装具の大腿リンクの鉛直方向の加速度を検出する。コントローラは、予め定められたジョイント角軌道パターンに追従するように駆動ジョイントを制御する。本発明の歩行補助装置は、コントローラが、検出された接地反力が予め定められた反力閾値を横切る反力タイミングと検出された加速度が予め定められた加速度閾値を横切る加速度タイミングに基づいて、ジョイント角軌道パターンを立脚用ジョイント角軌道パターンから遊脚用ジョイント角軌道パターンに切り替えることを特徴とする。ジョイント角軌道パターンを切り替えるタイミングが、前述した着地タイミング特定装置における特定された着地タイミングに相当する。即ちこの歩行補助装置は、特定された着地タイミングで駆動ジョイントの目標角軌道パターンを立脚用ジョイント角軌道パターンから遊脚用ジョイント角軌道パターンに切り替える。歩行補助装置のコントローラは、好適には、加速度タイミングに続いて検知された反力タイミングで立脚用ジョイント角軌道パターンから遊脚用ジョイント角軌道パターンに切り替えるとよい。
【0014】
上記の歩行補助装置の作用効果を説明する。人の歩行動作を子細に解析すると、立脚の動作と遊脚の動作は大きく異なっている。立脚は、体重を支える必要があるため膝関節に大きな負担が加わる。他方、遊脚は、体重を支える必要はないが円滑な動きが求められる。このように、立脚と遊脚では動作が大きく異なるため、歩行補助装置は、立脚用と遊脚用で異なるジョイント角軌道パターンを有し、第2脚の着地タイミングでそれらの軌道パターンを切り替えることが好ましい。そのような歩行補助装置は、軌道パターンを切り替えるタイミングが実際の着地タイミングと相違するとユーザに違和感を与える。本発明の歩行補助装置は、加速度タイミングと反力タイミングで第2脚の着地タイミングを特定し、特定した着地タイミングで軌道パターンを切り替えるので、ユーザに違和感を与えることなく第1脚の歩行動作を補助することができる。
【0015】
典型的な立脚用ジョイント角軌道パターンは、その終端期間でジョイント角がほぼ一定であり、典型的な遊脚用ジョイント角軌道パターンは、その初期期間において駆動ジョイントを膝関節の屈曲方向に回転させる軌道を有している。これは次の知見に基づいている。第1脚のみで体重を支える片脚立脚期間の終端期間には、第1脚の膝関節は第2脚が着地するまでほぼ一定の角度を保つ。第2脚が着地すると、第1脚は立脚状態から遊脚状態に移行する。遊脚状態に移行すると、第1脚の膝関節が屈曲方向に回転し始めるとともに、第1脚全体が前方へ振り出される。即ち、第2脚が着地する直前では第1脚の膝関節はほぼ一定に保たれ、第2脚が着地するとほぼ同時に第1脚の膝関節は屈曲方向に回転し始める。上記の立脚用ジョイント角軌道パターンと遊脚用ジョイント角軌道パターンは、このようなユーザの歩行パターンに合致している。ここで、遊脚用ジョイント角軌道パターンに切り替えるタイミングがユーザの歩行動作とずれていると、立脚から遊脚への移行時の膝関節の揺動タイミングと、脚装具が駆動ジョイントを屈曲方向に回転させ始めるタイミングがずれてしまい、ユーザに違和感を与えてしまう。本発明の歩行補助装置は、特定した第2脚の着地タイミングで軌道パターンを切り替えて、膝関節にトルクを与える駆動ジョイントを膝の屈曲方向へ回転させ始める。このように本発明の歩行補助装置は、第2脚にセンサ等を配置することなく、ユーザの歩行動作に応じて第1脚の動作を円滑に補助することができる。別言すれば、本発明の歩行補助装置は、第2脚の着地タイミングで第1脚の膝関節に屈曲方向のトルクを加えることができ、ユーザに違和感を与えることなく歩行動作を補助することができる。
【0016】
ユーザが歩行停止を意図している場合、歩行補助装置も歩行補助のための周期的な軌道パターンに代えて停止に至る過渡的な軌道パターンに追従するように駆動ジョイントを制御することが好ましい。そのような機能を実現するために、本発明の歩行補助装置は、次の技術的特徴を有していることが好ましい。脚装具は、第1脚の関節角度と関節角速度の少なくとも一方を検出する関節センサを備えている。そして、コントローラは、加速度タイミングに続いて検知された反力タイミングにおける関節センサの出力が予め定められた範囲から外れている場合に、立脚用ジョイント角軌道パターン及び遊脚用ジョイント角軌道パターンとは異なる第3のジョイント角軌道パターンに切り替えて駆動ジョイントを制御する。「第3のジョイント角軌道パターン」とは、周期的な歩行パターンではなく、非周期的であるとともに、歩行停止に至る膝関節の目標角軌道を示す軌道パターンである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第2脚にセンサ等を装着することなく第2脚の着地タイミングを特定する着地タイミング特定装置を実現することができる。さらに本発明によれば、着地タイミングを特定する技術を応用し、第2脚にセンサ等を装着することなく第1脚に装着するアクチュエータ付き装具のみで第2脚の動作に協調して第1脚の動作を補助する歩行補助装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、歩行補助装置の模式図である。
【図2】図2は、歩行補助装置のコントローラの模式的ブロック図である。
【図3】図3は、着地タイミングを特定するアルゴリズムを説明する図である。
【図4】図4は、着地タイミングを特定する処理のフローチャートである。
【図5】図5は、着地タイミングに応じた軌道パターン切り替え処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施例の歩行補助装置が有する技術的特徴のいくつかを列挙する。
(1)歩行補助装置のコントローラは、加速度タイミングに続く反力タイミングで駆動ジョイントを膝関節の屈曲方向に回転させ始める。なお、駆動ジョイントを回転させ始めるタイミングは、反力タイミングに厳密に一致している必要はなく、加速度タイミングに続く反力タイミングをトリガとして駆動ジョイントを屈曲方向に回転させ始めればよい。
(2)歩行補助装置のコントローラは、立脚用ジョイント角軌道パターンから遊脚用ジョイント角軌道パターンへの切り替えに先立って、ユーザに軌道パターンの切り替えを通知する。あるいは、歩行補助装置は、着地タイミングを特定した後に駆動ジョイントを膝屈曲方向に回転させ始めるのに先立って、回転開始をユーザに通知する。コントローラは、音を出力することによって、或いは、駆動ジョイントを振動させることによってユーザに通知する。
【実施例】
【0020】
図面を参照して実施例の歩行補助装置を説明する。図1に、歩行補助装置10の模式図を示す。図1(A)は、ユーザが装着した状態における歩行補助装置10の正面図を示し、図1(B)はユーザが装着した状態における歩行補助装置10の側面図を示す。本実施例では、左脚を自由に動かすことができないユーザのための歩行補助装置を想定する。歩行補助装置10は、ユーザの左膝関節に適切なトルクを加えてユーザの歩行動作を補助する。なお、左脚が第1脚に相当し、右脚が第2脚に相当する。
【0021】
歩行補助装置10は、ユーザの左脚に装着する脚装具12とユーザの腰に装着するコントローラ40を有している。コントローラ40は、ユーザの腰に固定される支持リンク30に固定されている。支持リンク30は、脚装具12の上端に連結されている。
【0022】
脚装具12の構造を詳しく説明する。脚装具12は、ユーザの大腿部から下腿部に沿って左脚の外側に装着される。脚装具12は、大腿リンク14、下腿リンク16、及び足底リンク18を有する多リンク機構である。大腿リンク14の上端が股ジョイント20aを介して支持リンク30に連結されている。下腿リンク16は、膝の外側に位置する膝ジョイント20bによって、大腿リンク14に連結されている。足底リンク18は、ユーザの踝の外側に位置する足首ジョイント20cによって、下腿リンク16に連結されている。大腿リンク14は、ベルトでユーザの大腿部に固定される。下腿リンク16は、ベルトでユーザの下腿部に固定される。足底リンク18は、ベルトでユーザの足底に固定される。なお足底リンク18を固定するベルトは、図示を省略している。
【0023】
ユーザが脚装具12を装着すると、股ジョイント20a、膝ジョイント20b、及び、足首ジョイント20cは夫々、ユーザの股関節、膝関節、及び、足首関節に夫々隣接して位置する。より具体的には、ユーザが脚装具12を装着すると、股ジョイント20a、膝ジョイント20b、及び、足首ジョイント20cは夫々、ユーザの股関節のピッチ軸、膝関節のピッチ軸、及び、足首関節のピッチ軸と同軸に位置する。脚装具12は、ユーザの左脚の動きに応じて揺動することができる。各ジョイントには、リンク間の角度を検出するためのエンコーダ21が取り付けられている。以下では、リンク間の角度をジョイントの角度と別言する。また、エンコーダが検出するジョイント角度を微分することによってジョイントの角速度を得ることができる。エンコーダ21は、関節の角度或いは角速度を検出する関節センサに相当する。
【0024】
膝ジョイント20bには、モータ32(アクチュエータ)が取り付けられている。即ち、膝ジョイント20bは、駆動ジョイントに相当する。以下では、「膝ジョイント20b」を「駆動ジョイント20b」と別称する場合がある。モータ32は、ユーザの膝関節の外側に位置する。モータ32は、大腿リンク14に対して下腿リンク16を回転させることができる。即ちモータ32は、ユーザの左膝関節にトルクを加えることができる。後述するように歩行補助装置10は、駆動ジョイントの目標角度の経時的変化を記述したいくつかの軌道パターンを記憶している。歩行補助装置10は、それらの軌道パターンの中から一つの軌道パターンを選択し、選択した軌道パターンに追従するように駆動ジョイント20bを制御する。
【0025】
大腿リンク14には、加速度センサ34が固定されている。加速度センサ34は、大腿リンク14のサジタル(Sagittal)面内の加速度を検出する。なお、「サジタル面」とは、ピッチ軸に直交する面を意味する。また、後述するように、本実施例では、加速度センサ34が検出する加速度のうち、鉛直方向成分のみに注目する。鉛直方向成分は、エンコーダ21によって検知した大腿リンク14の傾きから求めることができる。
【0026】
足底リンク18の足底面には、複数の圧力センサ22a、22bが取り付けられている。図1(B)に示すように、複数の圧力センサは、足底リンク18の前方と後方に離間して取り付けられている。圧力センサ22aは、足底リンク18の前方に取り付けられており、圧力センサ22bは、足底リンク18の後方に取り付けられている。前方の圧力センサ22aは、ユーザの拇指球に相当する位置に取り付けられており、後方の圧力センサ22bはユーザの踵に相当する位置に取り付けられている。以下では、2つの圧力センサ22aと22bを、圧力センサ22と総称する。圧力センサ22は、左脚の足裏に加わる接地反力を検出する。従って以下では、「圧力センサ22」を「反力センサ22」と別称することがある。なお、図1では圧力センサ22が足底リンク18から下方に突出しているように描いているが、これは図面の理解を助けるためであり、圧力センサ22は足底リンク18に埋設されている。また左脚の足底リンク18は、ユーザが右脚に履く靴の靴底と同じ厚みであり、左右の脚でバランスが取れるように配慮されている。
【0027】
図2にコントローラ40のブロック図を示す。コントローラ40は、タイミング特定部42、モータ制御部44、及び記憶装置46を備えている。以下では簡単のため、「タイミング特定部42」を単純に「特定部42」と称する。
【0028】
コントローラ40の機能を概説する。特定部42は、反力センサ22が検出する接地反力のデータと、加速度センサ34が検出する大腿リンク14に発生する鉛直方向加速度から、ユーザの右脚の着地タイミングを特定する。また、特定部42にはエンコーダ21によって検出される股関節の角度と角速度に基づいて、ユーザが歩行を停止しようとしているか否かを判定する。この停止判定は、特定した着地タイミングにおける股関節の角度と角速度に基づいて行われる。特定した着地タイミングと停止判定信号はモータ制御部44に送られる。モータ制御部44は、着地タイミング、及び停止判定信号に基づいて、駆動ジョイント20bを制御する。モータ制御部44は、記憶装置46に記憶されている「立脚用ジョイント角軌道パターン」、「遊脚用ジョイント角軌道パターン」及び、「停止用ジョイント角軌道パターン」からいずれかを選択し、選択した軌道パターンに追従するように駆動ジョイント20bを制御する。図では、簡単のため、「立脚用ジョイント角軌道パターン」、「遊脚用ジョイント角軌道パターン」及び、「停止用ジョイント角軌道パターン」を夫々、「立脚用パターン」、「遊脚用パターン」、及び「停止用パターン」と表現している。以下の説明でも、この略称を用いる。また、これらのパターンを「軌道パターン」と総称する。軌道パターンの具体例については後述する。
【0029】
図3を参照して、右脚の着地タイミングの特定アルゴリズムと、特定結果に基づく軌道パターンの切り替えアルゴリズムについて説明する。図3の上段のグラフは、加速度センサ34が検出する大腿リンク14の鉛直方向加速度の経時的変化を示すグラフである。グラフの縦軸は、鉛直上方を正として加速度を示している。中段のグラフは、反力センサ22が検出する接地反力の経時的変化を示すグラフである。グラフの縦軸は、接地反力の大きさを示している。接地反力はゼロ以下にはならないので、グラフは正の値のみをとる。接地反力=ゼロは、左脚が浮いていることを示している。下段のグラフは、駆動ジョイント20bの目標角度の経時的変化を示すグラフである。駆動ジョイント20bの目標角度の時系列が軌道パターンに相当する。縦軸は、駆動ジョイント20bの目標角度を示している。ここで、目標角度は、大腿リンク14と下腿リンク16が一直線となるときをゼロとし、膝を屈曲する方向を正値と定めている。即ち、グラフの値が大きいほど、駆動ジョイント20bが膝の屈曲方向に大きく回転していることを示す。これらのグラフは説明のため模式的に表したものであることに留意されたい。ただし、経時的変化の傾向は図3に表されている。
【0030】
加速度は、大腿リンク14の動きに応じて緩やかに変化するが、右脚が着地するときの衝撃が大腿リンク14に伝わる時点で急激に変化する。図3の矢印aが示す加速度の変化が、右脚の着地衝撃の影響を示している。右脚の着地衝撃によって左脚が鉛直上方の加速度を得るため、右脚接地タイミングでグラフが上方に急変している。特定部42は、検出した加速度が予め定められた加速度閾値Gthを横切るタイミングTgを特定する。このTgが加速度タイミングに相当する。特定部42は、加速度タイミングTgの検知時からリミット時間TLの間で接地反力が反力閾値Fthを横切るタイミングTfを特定する。このタイミングTfが、反力タイミングに相当する。図2の矢印bが、反力タイミングTfを示している。加速度タイミングTgに続いて検知した反力タイミングTfが着地タイミングに相当する。特定部42は、加速度タイミングTgに続いて検知した反力タイミングTfを着地タイミングとして特定し、特定した着地タイミングをモータ制御部44へ出力する。なお、特定部42は、加速度タイミングTgからリミット時間TLが経過した後に検知した反力タイミングは無視する。即ち特定部42は、加速度タイミングTgからリミット時間TL内に検知した反力タイミングTfを着地タイミングとして特定・出力し、リミット時間TL経過後に検知した反力タイミングTfは無視する。
【0031】
加速度タイミングTgと反力タイミングTfの物理的意味を説明する。加速度タイミングTgに先立つ期間では、右脚が遊脚状態であり、左脚のみが接地している。従って加速度タイミングTg以前では、左脚の接地反力の大きさはユーザの自重にほぼ等しい。右脚が着地すると、その衝撃が大腿リンク14に伝わり、加速度が大きく変化する。矢印aの箇所がその様子を示している。右脚の着地後、着地した右脚も自重を支え始めるので、左脚の接地反力は急激に減少する。このように、右脚の着地と同時に左脚の加速度が急変し、その直後に左脚の接地反力が急激に低下する。特定部42は、加速度タイミングTgの検知に続く反力タイミングTfを着地タイミングとして特定する。特定部42は、加速度と接地反力という異なる物理量の組合せで右脚の着地タイミングを特定する。そのようなアルゴリズムにより、誤判定することなく、右脚の着地タイミングを確実に特定することができる。なお、加速度タイミングTgから反力タイミングTfまでの期間はわずかであるから、反力タイミングTfを着地タイミングとみなすことに実質的に不都合はない。また、図3の中段の反力のグラフにおいて、左脚の接地反力がゼロとなるタイミングは、左脚が離床するタイミングを示している。
【0032】
モータ制御部44の機能を説明する。着地タイミング(反力タイミングTf)が特定されるまでは、モータ制御部44は立脚用パターン(立脚用ジョイント角軌道パターン)に追従するように駆動ジョイント20bを制御する。図3の下段の符号Paが立脚用パターンを示している。立脚用パターンPaは、図3において「立脚期間」と記述した期間における目標角度パターンである。立脚の間は、駆動ジョイント20bの目標角度変化が小さく、終端期間においては目標角度が一定である。符号Paeが示す破線で囲った期間が、終端期間を示している。モータ制御部44は、着地タイミングの特定に応答して、軌道パターンを立脚用パターンから遊脚用パターン(遊脚用ジョイント角軌道パターン)に切り替える。図3の符号Pbが、遊脚用パターンを示している。遊脚用パターンPbは、図3において「遊脚期間」と記述した期間における目標角度パターンに相当する。遊脚用パターンでは、その初期期間Pbsにおいて目標角度が膝の屈曲側に増大する。別言すれば、遊脚用パターンは、その初期期間Pbsに駆動ジョイント20bを膝屈曲側へ回転させる軌道を有している。さらに別言すれば、モータ制御部44は、特定した着地タイミングTfで、駆動ジョイント20bを膝屈曲側に回転させ始める。
【0033】
着地タイミングTfをトリガとして立脚用パターンから遊脚用パターンへ切り替えることは次の利点を有する。右脚の着地タイミングは、ユーザの歩行速度、或いは着地予定面の高さに依存して変化する。例えば、着地予定面が一歩前の着地面よりも高い場合には着地タイミング早まる。逆に、着地予定面が一歩前の着地面よりも低い場合には着地タイミングが遅れる。いずれの場合であっても、右脚の着地タイミングでユーザは左脚の膝関節を屈曲側に曲げ始める。実施例の歩行補助装置10では、立脚用パターンの終端期間で駆動ジョイント20bの目標角度が一定に保たれており、特定した着地タイミングで駆動ジョイント20bを屈曲側に回転させ始める。そのような軌道パターンの切り替えアルゴリズムは、歩行動作におけるユーザの左脚の膝関節の曲げ動作によく合致する。この歩行補助装置10は、右脚にセンサなどを取り付けることなく、ユーザの歩行動作に応じて違和感なく左脚の膝関節にトルクを加えることができる。
【0034】
上記のコントローラ40の動作は次のように表現することもできる。すなわち、コントローラ40は、加速度タイミング続く反力タイミングで駆動ジョイント20bを膝関節の屈曲方向に回転させ始める。なお、駆動ジョイント20bを回転させ始めるタイミングは、反力タイミングに厳密に一致している必要はなく、加速度タイミングに続く反力タイミングの検知をトリガとして駆動ジョイント20bを屈曲方向に回転させ始めればよい。
【0035】
特定部42が実行する着地タイミング特定処理のフローチャートを図4に示す。なお、図4に示す「Gフラグ」は検出した加速度が加速度閾値Gthを横切るタイミングを特定するためのフラグである。「Gフラグ」は、検出した加速度が加速度閾値Gthを横切るタイミングでONが設定される。なお「Gフラグ」は、後述するように、着地タイミングが検知された後に、次回に備えてOFFにリセットされる。「着地フラグ」は、右脚の着地タイミングを特定部42が特定したときにONが設定されるフラグである。「着地フラグ」は、左脚の接地反力がゼロの間にOFFが設定される。「停止判定フラグ」は、ユーザが歩行停止を意図していることの判定結果を示すフラグである。「停止判定フラグ」は、歩行補助装置の起動時にOFFが設定され、歩行停止の意図が判定されたときにONが設定される。
【0036】
コントローラ40はまず、反力センサ22、加速度センサ34、及びエンコーダ21の値を取得する(S2)。なお、加速度センサ34で取得したサジタル面内の加速度から鉛直方向の加速度成分を抽出するためにカルマンフィルタを採用する。GフラグがONでない場合、コントローラ40は検出した加速度を加速度閾値Gthと比較する(S4:NO、S6)。前述したように着地タイミング以前は加速度の値は加速度閾値Thを下回っている。コントローラ40は、検出した加速度が加速度閾値Gthを超えたとき、別言すれば、検出した加速度が加速度閾値Gthを横切ったとき、GフラグにONをセットする(S6:YES、S8)。またこのとき、コントローラ40はタイマをスタートする(S8)。図4の処理は制御周期毎に実行され、コントローラ40は、検出した加速度が加速度閾値Gthを横切るまで上記の処理を繰り返す(S6:NO)。
【0037】
GフラグにONが設定されると、コントローラ40はタイマの時間がリミット時間を超えるまで、検出した接地反力を反力閾値Fthと比較する(S4:YES、S10:NO、S12)。リミット時間内に検出した接地反力が反力閾値Fthを下回ったとき、別言すれば検出した接地反力がリミット時間内に反力閾値Fthを横切ったときに、コントローラ40は着地フラグにONをセットする(S12:YES、S14)。着地フラグにONがセットされるタイミングが、着地タイミングに相当する。
【0038】
着地フラグにONが設定された後、コントローラ40は、第1脚のピッチ軸回りの股関節角度と関節角速度が規定の範囲内か否かを判断する(S16)。ここで、「規定の範囲」は、実験等によって予め求められており、歩行継続中の右脚着地タイミングにおいて股関節角度と角速度が取り得る範囲に定められている。すなわち、第1脚のピッチ軸回りの股関節角度と関節角速度が規定の範囲から外れている場合には、ユーザが歩行を停止しようとしている可能性が極めて高い。コントローラ40は、着地タイミングにおける股関節角度と角速度が規定の範囲から外れている場合に、ユーザが歩行を停止しようとしていると判定する。すなわちコントローラ40は、着地タイミングにおける第1脚のピッチ軸回りの股関節角度と関節角速度が規定の範囲を超えている場合、停止判定フラグにONをセットする(S16:NO、S18)
【0039】
なお、ステップS14で着地フラグにONが設定された後、或いは、ステップS10の分岐でタイマ時間がリミット時間を超えた後に、コントローラ40は次の着地タイミングの検知に備えてGフラグをOFFにリセットする(S20)。また、コントローラ40は、Gフラグのリセットと同時にタイマも停止する(S20)。
【0040】
図4のフローチャートは、制御サンプリング毎に実行される。特定部42は、着地フラグと停止判定フラグをモータ制御部44へ出力する。また、図4の処理は、後述するモータ制御部44が実行する処理と並列して実行される。すなわち、特定部42が特定した着地タイミングは、リアルタイムにモータ制御部44で利用される。別言すれば、後述するように、モータ制御部44は特定された着地タイミングで軌道パターンを切り替える。
【0041】
図5を参照して、モータ制御部44が実行する処理のフローチャートを示す。モータ制御部44は、特定部42から着地フラグと停止判定フラグを受け取る。停止判定フラグにONが設定されている場合、モータ制御部44は、記憶装置46から停止用パターンを選択してモータ32を制御する(S30:YES、S32)。他方、停止判定フラグがONでなく、かつ、着地フラグにONが設定されている場合には、モータ制御部44は、記憶装置46から遊脚用パターンを選択し、選択したパターンに追従するようにモータ32を制御する(S34:YES、S36)。最後に、停止判定フラグがONでなく、かつ、着地フラグにもONが設定されていない場合、コントローラ40は、記憶装置46から立脚用パターンを選択し、選択した軌道パターンに追従するようにモータ32を制御する(S38)。以上のとおり、コントローラは、右脚の特定した着地タイミングで軌道パターンを切り替える。なお、停止用パターンは、立脚用パターン及び遊脚用パターンと異なる軌道パターンである。具体的には停止用パターンは、駆動ジョイント20bの目標角速度が徐々にゼロに近づき、最終的に駆動ジョイント20bを角度ゼロで停止する軌道パターンである。
【0042】
歩行補助装置10のその他の特徴を説明する。歩行補助装置10は、立脚用パターンから遊脚用パターンに軌道パターンを切り替えるのに先立って、駆動ジョイント20bを振動させる。この振動により、軌道パターンの切り替えをユーザに知らせる。前述したように遊脚用パターンへの切り替えによって駆動ジョイント20bは膝屈曲方向に回転し始める。振動によりユーザは駆動ジョイント20bの回転開始を知ることができるので、ユーザは歩行補助装置10の動きを事前に知ることができる。なお、歩行補助装置10は、振動の代わりに音出力を採用してもよい。
【0043】
上記の実施例では、加速度タイミングに続く反力タイミングで軌道パターンを切り替える歩行補助装置10を説明した。歩行補助装置10のうち、図4に示した着地タイミング特定処理を実行する装置が、着地タイミング特定装置に相当する。
【0044】
実施例では立脚用パターンと遊脚用パターンの一例を説明した。特定した着地タイミングで切り替える軌道パターンは実施例に限定されるものではない。また、加速度センサ34は、大腿リンク14よりも上方に位置する支持リンク30に取り付けられていてもよい。また、膝ジョイント20bに加え、脚装具12の股ジョイント20aや足首ジョイント20cにモータを取り付け、それらのジョイントを駆動ジョイントとして採用してもよい。
【0045】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0046】
10:歩行補助装置
12:脚装具
14:大腿リンク
16:下腿リンク
18:足底リンク
20a:股ジョイント
20b:膝ジョイント(駆動ジョイント)
20c:足首ジョイント
21:エンコーダ
22:圧力センサ(反力センサ)
30:支持リンク
32:モータ
34:加速度センサ
40:コントローラ
42:タイミング特定部
44:モータ制御部
46:記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの歩行中に第1脚の物理的状態から第2脚の着地タイミングを特定する着地タイミング特定装置であり、
第1脚の足裏に加わる接地反力を検出する反力センサと、
第1脚の大腿部の鉛直方向加速度を検出する加速度センサと、
検出された接地反力が予め定められた反力閾値を横切る反力タイミングと検出された加速度が予め定められた加速度閾値を横切る加速度タイミングを特定するとともに、特定された反力タイミングと加速度タイミングに基づいて第2脚の着地タイミングを特定するタイミング特定部と、
を備えることを特徴とする着地タイミング特定装置。
【請求項2】
タイミング特定部は、加速度タイミングに続く反力タイミングを着地タイミングとして特定することを特徴とする請求項1に記載の着地タイミング特定装置。
【請求項3】
タイミング特定部は、加速度タイミングから予め定められたリミット時間内に検知した反力タイミングを着地タイミングとして特定することを特徴とする請求項2に記載の着地タイミング特定装置。
【請求項4】
第1脚の関節角度と関節角速度の少なくとも一方を検出する関節センサを備えており、
タイミング特定部は、特定された着地タイミングにおける関節センサの出力値が予め定められた範囲から外れている場合に、歩行停止を判定する停止判定信号を出力することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の着地タイミング特定装置。
【請求項5】
ユーザの第1脚に装着してユーザの歩行動作を補助する歩行補助装置であり、
大腿リンクと下腿リンクが駆動ジョイントによって揺動可能に連結されており、大腿リンクと下腿リンクをユーザの第1脚の大腿部と下腿部に夫々固定したときに駆動ジョイントがユーザの膝関節に隣接して位置する脚装具と、
第1脚の足裏に加わる接地反力を検出する反力センサと、
脚装具の鉛直方向の加速度を検出する加速度センサと、
予め定められたジョイント角軌道パターンに追従するように駆動ジョイントを制御するコントローラと、を備えており、
コントローラは、検出された接地反力が予め定められた反力閾値を横切る反力タイミングと検出された加速度が予め定められた加速度閾値を横切る加速度タイミングに基づいてジョイント角軌道パターンを立脚用ジョイント角軌道パターンから遊脚用ジョイント角軌道パターンに切り替えることを特徴とする歩行補助装置。
【請求項6】
コントローラは、加速度タイミングに続いて検知された反力タイミングで立脚用ジョイント角軌道パターンから遊脚用ジョイント角軌道パターンに切り替えることを特徴とする請求項5に記載の歩行補助装置。
【請求項7】
立脚用ジョイント角軌道パターンの終端期間はジョイント角が一定であり、遊脚用ジョイント角軌道パターンは初期期間に駆動ジョイントを膝関節の屈曲方向に回転させる軌道を有していることを特徴とする請求項6に記載の歩行補助装置。
【請求項8】
脚装具が第1脚の関節角度と関節角速度の少なくとも一方を検出する関節センサを備えており、
コントローラは、加速度タイミングに続いて検知された反力タイミングにおける関節センサの出力が予め定められた範囲から外れている場合に、立脚用ジョイント角軌道パターンと遊脚用ジョイント角軌道パターンとは異なる第3のジョイント角軌道パターンに切り替えて駆動ジョイントを制御することを特徴とする請求項6に記載の歩行補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−273748(P2010−273748A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127203(P2009−127203)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】