説明

着火薬、イニシエータ、ガス発生器、エアバッグ装置及びシートベルト装置

【課題】 摩擦感度が低減された着火薬と、この着火薬を有するイニシエータと、このイニシエータを備えてなるガス発生器と、このガス発生器を備えたエアバッグ装置及びシートベルト装置とを提供する。
【解決手段】 ジルコニウム、過塩素酸カリウム及び硝酸カリウムを含有した着火薬。配合比は好ましくはジルコニウム40〜60重量%、過塩素酸カリウム10〜55重量%、硝酸カリウム1〜35重量%である。必要に応じ樹脂又はゴム系のバインダーを添加する。この着火薬が装填されたイニシエータ。このイニシエータを備えてなるガス発生器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着火薬と、この着火薬を用いたイニシエータと、このイニシエータを備えたガス発生器とに関する。このガス発生器は、例えば自動車等のエアバッグ装置やシートベルト装置に組み込まれるものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の高速移動体に設けられるエアバッグ装置は、袋状のエアバッグをインフレータと称されるガス発生器によって急速に膨張させるよう構成されている。このガス発生器は、ガス発生剤と、このガス発生剤のガス発生反応を開始させるイニシエータとを備えている。このイニシエータは、反応薬剤と、この反応薬剤の反応を開始させるための抵抗発熱体としてのフィラメント(ブリッジワイヤ)とを備えている(例えば米国特許第5404263号)。
【0003】
この従来例に係るイニシエータの一例について第1図を参照して説明する。
【0004】
このイニシエータ10は、後部(第1図においては下部。)が開放した略カップ形状のケーシング12を有している。このケーシング12内に着火薬14が収容されている。ケーシング12の後部は焼結ガラス等よりなる絶縁材16によって閉鎖されている。このケーシング12内には、該絶縁材16を貫通した1対の電極18,20の先端側が臨んでいる。
【0005】
この電極18,20の先端部同士の間にフィラメント22が架設されている。このフィラメント22の両端側は各電極18,20の先端面に溶接されている。このフィラメント22は、ケーシング12内において着火薬14に接している。
【0006】
なお、該電極18,20同士並びにケーシング12は、電気的に接触しないよう互いに離間して配置されている。
【0007】
このように構成されたイニシエータ10においては、一方の電極18が電圧昇圧回路等を備えた制御回路24を介して自動車のバッテリ26の正極に接続され、他方の電極20が自動車の車体に接続(アース接続)される。なお、該バッテリ26の負極は自動車の車体に接続されている。
【0008】
車両衝突時等の緊急時には、制御回路24内のスイッチ素子がONになり、各電極18,20を介してバッテリ26からフィラメント22に電圧が印加される。これにより、該フィラメント22が発熱して着火薬14が点火され、反応を開始する。そして、この着火薬14の反応により高圧ガスや熱が生じ、これによりガス発生器のガス発生剤がガス発生反応を引き起こす。
【0009】
このイニシエータ10を備えたガス発生器の一例について第2図を参照して説明する。このガス発生器30は、上側ハウジング32及び下側ハウジング34よりなる外殻体と、該外殻体内に設置された円筒状の仕切部材36とからなる容器を有する。仕切部材36の一端は下側ハウジング34の底面の開口を通り、下方に突出している。この開口の内周面と仕切部材36の外周面とはレーザービーム溶接等により溶接されている。この仕切部材36の内側に伝火薬(ブースタプロペラント)40が収容され、仕切部材36の外周側にガス発生剤(メインプロペラント)42が収容されている。
【0010】
この仕切部材36の該一端にイニシエータ10が設置されている。該イニシエータ10により伝火薬40が点火されると、ガスが仕切部材36の開口44から噴出してガス発生剤42が点火し、大量のガスが急速に発生し、このガスがメッシュ等よりなるフィルタ46を通り、開口48を通ってガス発生器30外に噴出し、エアバッグを膨張させる。なお、第2図はガス発生器の一例であって、図示以外の形状のガス発生器も多数種類用いられている。
【0011】
この着火薬として、ジルコニウム及び過塩素酸カリウムを主成分としたものがある。
【0012】
例えば、特表平9−504599号の請求項5には、ジルコニウム30〜60重量%、過塩素酸カリウム30〜60重量%、フレークアルミニウム1〜10重量%、クラトンG2〜8重量%、及びクラトンFG0.1〜5重量%を含むプライマを備えてなる電気イニシエータが記載されている。
【0013】
特開平6−207799号には、ジルコニウム20〜50重量%、過塩素酸カリウム40〜60重量%及びピグメンタルアルミニウム5〜20重量%を含む着火薬が記載されている。なお、同号公報の0012段落には、樹脂系バインダーとしてフッ素系樹脂、シリコン接着剤を添加することが記載されている。
【特許文献1】米国特許第5404263号
【特許文献2】特表平9−504599号
【特許文献3】特開平6−207799号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
一般に、ジルコニウム及び過塩素酸カリウムを主要成分とした着火薬は、摩擦感度が高い。
【0015】
本発明は、摩擦感度が低減されたジルコニウム−過塩素酸カリウム系着火薬と、この着火薬を有するイニシエータと、このイニシエータを備えてなるガス発生器と、このガス発生器を備えたエアバッグ装置及びシートベルト装置とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1の着火薬は、燃料成分及び酸化剤を含む着火薬において、燃料成分としてジルコニウムを含み、酸化剤として過塩素酸カリウム及び硝酸カリウムを含むことを特徴とするものである。
【0017】
請求項2の着火薬は、請求項1において、ジルコニウム40〜60重量%過塩素酸カリウム10〜55重量%硝酸カリウム1〜35重量%を含むことを特徴とするものである。
【0018】
請求項3の着火薬は、請求項2において、ジルコニウム45〜55重量%過塩素酸カリウム20〜45重量%硝酸カリウム2〜30重量%を含むことを特徴とするものである。
【0019】
請求項4の着火薬は、請求項1ないし3のいずれか1項において、さらに樹脂又はゴム系バインダーを含有することを特徴とするものである。
【0020】
請求項5の着火薬は、請求項4において、該バインダーの含有量が0.5〜5重量%であることを特徴とするものである。
【0021】
請求項6の着火薬は、請求項1ないし5のいずれか1項において、燃料成分としてさらにホウ素又はタングステンを含むことを特徴とするものである。
【0022】
請求項7のイニシエータは、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の着火薬を備えてなるものである。
【0023】
請求項8のガス発生器は、請求項7に記載のイニシエータを備えてなるものである。
【0024】
請求項9のエアバッグ装置は、エアバッグと、該エアバッグを膨張させるためのガス発生器とを備えてなるエアバッグ装置において、該ガス発生器が請求項8に記載のガス発生器であることを特徴とするものである。
【0025】
請求項10のシートベルト装置は、シートベルトと、緊急時にガス発生器からのガス圧により該シートベルトにプリテンションを付与するプリテンショナとを備えてなるシートベルト装置において、該ガス発生器が請求項8に記載のガス発生器であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明者は、種々の研究の結果、燃料成分としてジルコニウムを含み、酸化剤として過塩素酸カリウムを含む着火薬において、硝酸カリウムを配合することにより、摩擦感度が低下することを見出した。本発明はかかる知見に基づくものである。なお、着火薬の摩擦感度が低下すると、管理コストを低減でき、イニシエータを安価に製造することができる。
【0027】
着火薬に樹脂又はゴム系のバインダーを配合することにより、着火薬が取り扱い易いものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の着火薬は、燃料成分としてジルコニウムを含み、酸化剤成分として過塩素酸カリウム及び硝酸カリウムを含むものである。
【0029】
この着火薬の燃料成分の好ましい組成は次の通りである。
【0030】
ジルコニウム:40〜60重量%特に45〜55重量%
過塩素酸カリウム:10〜55重量%特に20〜45重量%
硝酸カリウム:1〜35重量%特に2〜30重量%
【0031】
なお、ジルコニウムは、粒径10μm以下の粉末であることが好ましく、その平均粒径は5μm以下、特に0.5〜3.0μm程度が好ましい。過塩素酸カリウム及び硝酸カリウムの平均粒径はいずれも3〜10μm程度が好ましい。粉末の粒径は、例えば篩などを用いて計測することができる。
【0032】
本発明の着火薬は、上記の成分のみからなってもよく、燃料成分としてさらにホウ素又はタングステンを含んでもよい。着火薬中におけるホウ素の含有量は10重量%以下、例えば2〜8重量%が好ましく、タングステンの含有量は40重量%以下、例えば5〜38重量%が好ましい。
ホウ素の平均粒径は5μm以下が好ましく、タングステンの平均粒径は5μm以下が好ましい。
本発明では、着火薬にフッ素ゴム、フッ素樹脂、シリコン樹脂等の樹脂又はゴム系のバインダーを配合し、取り扱い易くしてもよい。バインダーの配合量は、上記の着火成分との合計100重量%において5重量%以下特に0.5〜5重量%程度が好適である。
【0033】
このような着火薬は、例えば前記第1図のようにイニシエータ中に填装される。このイニシエータは例えば前記第2図のようにガス発生器に組み込まれる。ただし、イニシエータやガス発生器の構成は特に限定されるものではなく、図示以外の種々のものにも適用することができる。
【0034】
次に、第1図のイニシエータ10を備えたガス発生器と、このガス発生器を備えたエアバッグ装置及びシートベルト装置との一例について第3〜5図を参照して説明する。
【0035】
第3図は第2図のガス発生器を備えたエアバッグ装置の縦断面図である。
【0036】
エアバッグ装置80は、第2図のガス発生器30と、このガス発生器30からのガスにより膨張するエアバッグ81と、該ガス発生器30及びエアバッグ81を保持するリテーナ82と、折り畳まれたエアバッグ81を覆うように該リテーナ82に装着されたモジュールカバー83等を備えている。
【0037】
エアバッグ81は、膨張したときに車両乗員等と対向するフロント面及びこれと反対側のリア面を有し、該リア面に、ガス発生器30が挿入される開口(口元部)81aを備えている。
【0038】
リテーナ82は、主板部82aと、該主板部82aの周縁部から下方へ曲成された脚片部82bとからなる。該主板部82aの中央部にはガス発生器差込口82cが設けられている。第3図に示すように、このガス発生器差込口82cに該主板部82aの裏面側からガス発生器30の先頭側が挿入されている。このガス発生器差込口82cの周縁部にエアバッグ81の口元部81aが重ね合わされ、取付リング84によって固定されている。ガス発生器30の先頭側は該口元部81aを介してエアバッグ81内に配置されている。
【0039】
取付リング84からはボルト(スタッドボルト)84aが突設されており、このボルト84aが該口元部81aの周囲及びガス発生器差込口82cの周囲の各挿通孔(符号略)並びにフランジ69の挿通孔70に挿通されて該フランジ69の裏側に延出し、このボルト84aにナット84bが締め付けられことにより、エアバッグ81及びガス発生器30がリテーナ82に固定される。
【0040】
このエアバッグ81を折り畳み、このエアバッグ81の折り畳み体を覆うようにモジュールカバー83が装着されることにより、エアバッグ装置80が構成される。
【0041】
なお、この実施の形態では、該モジュールカバー83の裏面から下方へ脚片部83aが立設されており、この脚片部83aがリベット等の固着具83bによりリテーナ82の脚片部82bに固着されている。このモジュールカバー83は、エアバッグが膨張するときにこのエアバッグ81に押されて開裂するよう構成されている。符号83cは、この開裂を誘導するテアラインを示している。
【0042】
かかる構成のガス発生器30及びエアバッグ装置80においては、イニシエータ10の電極18,20に通電されると、イニシエータ10内の着火薬14が反応し、これにより伝火薬40が点火される。次いで、開口44を介して該伝火薬40からの高温ガスによりガス発生剤42が点火され、ガスが発生する。このガスはフィルタ46を通過して開口48から即ちエアバッグ81内に噴出する。この結果、エアバッグ81が膨張する。このエアバッグ81は、モジュールカバー83を押し開けて車両乗員等に対向するように膨張展開し、該車両乗員等を保護する。
【0043】
第4図はガス発生器を備えたシートベルト装置の全体図、第5図はこのシートベルト装置のリトラクタ(プリテンショナ)の分解斜視図である。
【0044】
このシートベルト装置90のシートベルト91は、一端がリトラクタ92に巻き取り可能に連結され、他端はアンカ93によって車体に固定されている。シートベルト91の途中部分はショルダーアンカ94及びタング95にそれぞれ掛け通されている。該アンカ93はシートの車室側面側に配置されている。シートの該アンカ93と反対側のサイドには、タング95がラッチされるバックル装置96が設けられている。ショルダーアンカ94は、車室側面の上部に配置されている。
【0045】
この実施の形態では、リトラクタ92は、車両緊急時にシートベルト91に対してプリテンションを加えるプリテンショナと、該シートベルト91から乗員に加えられる衝撃を吸収する衝撃吸収機構(EA機構)とが設けられている。以下に、第5図を参照してこのリトラクタ92の構成について説明する。
【0046】
このリトラクタ92のベースフレーム97の内部にはスプール98が収納されており、このスプール98にシートベルト91の一端側が巻き付けられている。スプール98の回転に伴ってシートベルト91の巻き取り及び巻き出しが行われる。スプール98の軸心にはトーションバー99が配置されており、該トーションバー99の一端はロック機構部品100,101を介して支持部材102に支持されている。
【0047】
トーションバー99は、EA機構の主要部品であり、シートベルト91の張力が所定値を超えると塑性捩れ変形し、これに伴ってスプール98が抗力を受けつつシートベルト91の巻き出し方向へ回転する。
【0048】
スプール98の一端(第5図における左端)にはギア103が設けられている。このギア103は、第5図の下段左端に示されているリターンスプリングカバー104内のギア(図示略)と係合している。このリターンスプリングカバー104内のリターンスプリング(図示略)により、スプール98はシートベルト91を巻き取る方向に付勢されている。
【0049】
第5図において該リターンスプリングカバー104の右隣に示されているプリテンショナカバー105と、第5図の下段右端に示されているプリテンショナプレート106との間には、パイプ107が設けられている。このパイプ107の一端側にガス発生器108が取り付けられている。また、このパイプ107の内部には、スプリング109、ピストン110及び複数のボール111が配列されている。パイプ107の他端近傍の側面には切り欠き状の開口部(符号略)が形成されている。該パイプ107の他端側にはガイドブロック112が嵌め込まれている。
【0050】
プリテンショナカバー105にはピン113が設けられており、このピン113に対し、外歯及び内歯を有するリングギア114が保持されている。パイプ107は、このリングギア114の外周を周回するように配設されている。なお、パイプ107は、その前記一端側から他端側へ向う方向がスプール98のシートベルト巻き取り回転方向となるように配置されている。前記開口部はリングギア104の外周面と対面するよう配置されており、この開口部に露出した先頭のボール111が該リングギア104の外歯に係合している。
【0051】
前記ギア103の根元部115には、該リングギア114の内歯と噛合可能なピニオン116が設けられている。リングギア114がピン113に保持された状態にあるときには、該リングギア114とピニオン116とは噛合していない。
【0052】
ガス発生器108がガス噴出作動すると、パイプ107内にガスが供給され、このガス圧によりボール111が該パイプ107の前記他端側、即ちスプール98のシートベルト巻き取り回転方向へ移動する。この際、先頭のボール111がリングギア114を押圧することによりピン113が折れて該ピン113によるリングギア114の保持が解除され、該リングギア114がピニオン116に噛合する。
【0053】
この結果、スプール98が該ピニオン116、リングギア114及びボール111を介してガス発生器108からのガス圧によりシートベルト巻き取り回転方向へ付勢され、該スプール98にシートベルト91が巻き取られる。これにより、シートベルト91にプリテンションが加えられる。
【0054】
この実施の形態では、ガス発生器108は、略円筒形のハウジングを備え、このハウジング内にガス発生剤及び第1図のイニシエータ10が収容されている。
【0055】
かかる構成のガス発生器108及びシートベルト装置90においては、イニシエータ10に通電されると、着火薬14が反応し、これによりガス発生剤が点火され、ガスが発生する。そして、このガス圧によりガス発生器108からパイプ107内にガスが噴出する。この結果、リトラクタ92のプリテンショナ機構が前述のように作動してシートベルト91にプリテンションが加えられる。
【0056】
上記の各実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態をもとりうる。例えば、本発明のイニシエータは上記以外の各種のガス発生器に組み込むことができる。また、このガス発生器は上記以外の各種のエアバッグ装置及びシートベルト装置に組み込むことができる。
【実施例】
【0057】
以下、実施例及び比較例について説明する。
【0058】
実施例1〜5、比較例1
ジルコニウム、過塩素酸カリウム及び硝酸カリウムと、フッ素ゴムバインダーを表1に示す割合で混合し、着火薬を作成した。
【0059】
なお、ジルコニウムとしては平均粒径約1μmのものを用いた。過塩素酸カリウム及び硝酸カリウムはボールミルで粉砕した平均粒径約7μmのものを使った。フッ素ゴムはデュポン社「バイトン(登録商標)」を用い、1gに対してアセトン50mlで溶解して用いた。これらを混合し、乾燥し、ほぐし、着火薬とした。各着火薬の摩擦感度をJISK4810(火薬類性能試験方法)により測定した。その結果を表1に示す。
【0060】
また、各々の着火薬50mgを金属カップに計量した。これにφ20μmのニクロム線が溶接されたヘッダーを定押力(1000N)で圧入してイニシエータを組み立てた。このように組み立てられたものに1.2A×2msの定電流を印加し、着火発火時の光を光センサにより検知し、着火時間を測定した。
【0061】
その結果を表1に併せて示す。
【0062】
【表1】

【0063】
表1の通り、実施例1〜5はいずれも、比較例1に比べて摩擦感度が低い。なお、平均着火時間は比較例1に比べて若干長いが、実用的には十分である。
【0064】
なお、実施例1〜5は、比較例1における過塩素酸カリウムの一部を硝酸カリウムで置換した組成系である。そこで、過塩素酸カリウム及び硝酸カリウムの配合割合に基づいて過塩素酸カリウムの酸素を硝酸カリウムの酸素で置換したと仮定してその置換比率を演算し、表1中に酸素置換率として示した。
【0065】
実施例1〜5は、硝酸カリウムで過塩素酸カリウムの酸素の5〜50%を置換した配合であり、この範囲において摩擦感度が低下していることが認められる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】イニシエータの一例を示す断面図である。
【図2】ガス発生器の一例を示す断面図である。
【図3】図2のガス発生器を備えたエアバッグ装置の縦断面図である。
【図4】ガス発生器を備えたシートベルト装置の全体図である。
【図5】図4のシートベルト装置のリトラクタの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0067】
10 イニシエータ
14 着火薬
30,108 ガス発生器
40 伝火薬(ブースタプロペラント)
42 ガス発生剤
80 エアバッグ装置
90 シートベルト装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料成分及び酸化剤を含む着火薬において、燃料成分としてジルコニウムを含み、酸化剤として過塩素酸カリウム及び硝酸カリウムを含むことを特徴とする着火薬。
【請求項2】
請求項1において、
ジルコニウム40〜60重量%
過塩素酸カリウム10〜55重量%
硝酸カリウム1〜35重量%
を含むことを特徴とする着火薬。
【請求項3】
請求項2において、
ジルコニウム45〜55重量%
過塩素酸カリウム20〜45重量%
硝酸カリウム2〜30重量%
を含むことを特徴とする着火薬。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、さらに樹脂又はゴム系バインダーを含有することを特徴とする着火薬。
【請求項5】
請求項4において、該バインダーの含有量が0.5〜5重量%であることを特徴とする着火薬。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、燃料成分としてさらにホウ素又はタングステンを含むことを特徴とする着火薬。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の着火薬を備えてなるイニシエータ。
【請求項8】
請求項7に記載のイニシエータを備えてなるガス発生器。
【請求項9】
エアバッグと、該エアバッグを膨張させるためのガス発生器とを備えてなるエアバッグ装置において、該ガス発生器が請求項8に記載のガス発生器であることを特徴とするエアバッグ装置。
【請求項10】
シートベルトと、緊急時にガス発生器からのガス圧により該シートベルトにプリテンションを付与するプリテンショナとを備えてなるシートベルト装置において、
該ガス発生器が請求項8に記載のガス発生器であることを特徴とするシートベルト装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−30971(P2008−30971A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203449(P2006−203449)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(306009581)タカタ株式会社 (812)
【Fターム(参考)】