説明

着色感光性樹脂組成物

【課題】高明度な塗膜及びカラーフィルタが得られる着色感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】着色剤(A)、バインダー樹脂(B)、光重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)及び溶剤(E)を含み、前記着色剤(A)は、式(1)で表される構造を有する化合物(1)を含む着色感光性樹脂組成物。[式中、環Zおよび環Zは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい複素環を表す。lは0以上3以下の整数を表す。mは1を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色感光性樹脂組成物及び該着色感光性樹脂組成物から得られるカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタの材料として、着色剤を含有する着色感光性樹脂組成物が従来より知られている。
近年、カラーフィルタについて、高精細化、高明度化や高コントラスト化が望まれている。
カラーフィルタの高コントラスト化を目的とした着色感光性樹脂組成物として、染料色素としてピラゾール系スクアリリウム化合物と、顔料色素として青色顔料Pigment Blue(P.B)15:6とを含有する着色感光性樹脂組成物が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−079012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の着色感光性樹脂組成物では、得られる塗膜及びカラーフィルタの明度が必ずしも十分ではない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題について検討した結果、ある種の染料を含む着色感光性樹脂組成物から高明度の塗膜やカラーフィルタが得られることを見出し、本発明に至った。
本発明者らは、即ち、以下の発明[1]〜[16]を完成させた。
[1]着色剤(A)、バインダー樹脂(B)、光重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)及び溶剤(E)を含み、
前記着色剤(A)は、式(1)

[式中、環Zおよび環Zは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい複素環を表す。lは0以上3以下の整数を表す。mは1の整数を表す。]
で表される構造を有する化合物(1)を含む着色感光性樹脂組成物。
【0006】

[式中、環Z、環Z、lおよびmは、それぞれ請求項1と同じ。
は、ハロゲンアニオン、ClO、OH、1価の有機カルボン酸アニオン、1価の有機スルホン酸アニオン、1価のホウ素アニオン又は1価の有機金属錯体アニオンを表す。 ]
で表される[1]記載の着色感光性樹脂組成物。
【0007】
[3] 化合物(1)は、式(2a)で表される[1]記載の着色感光性樹脂組成物。

[式中、環Z及び環Zは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環又は置換基を有していてもよいナフタレン環を表す。
は、Cl、Br、I、ClO、OH、1価の有機カルボン酸アニオン、1価の有機スルホン酸アニオン、1価のホウ素アニオン又は1価の有機金属錯体アニオンを表す。
nは、0以上3以下の整数を表す。
及びAは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、炭素原子又は窒素原子を表す。
及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい1価の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表す。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又は1価の炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表すか、1個のRと1個のRとが一緒になって形成された2価の炭素数2〜6の脂肪族炭化水素基を表す。
aおよびbは、それぞれ独立に、0以上2以下の整数を表す。]
【0008】
[4]nは1である[3]記載の着色感光性樹脂組成物。
【0009】
[5]Yは1価の有機スルホン酸アニオンである[3]または[4]記載の着色感光性樹脂組成物。
【0010】
[6] 化合物(1)は、下記式(1b)


[式中、環Z、環Z、lおよびmは、それぞれ請求項1と同じ。環Zおよび環Zは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい複素環を表す。Xa−は、ハロゲンアニオン、ClO、OH、有機カルボン酸アニオン、有機スルホン酸アニオン、ホウ素アニオン又は有機金属錯体アニオンを表す。aは、Xa−の価数を表す。l’は0以上3以下の整数を表す。m’は1の整数を表す。Lは、置換されていてもよい2価の炭化水素基を表す。]
で表される[1]記載の着色感光性樹脂組成物。
【0011】
[7] 化合物(1)は、下記式(2b)

【0012】
[式中、環Z、環Z8、環Zおよび環Z10は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環又は置換基を有していてもよいナフタレン環を表す。
b−は、ハロゲンアニオン、ClO、OH、有機カルボン酸アニオン、有機スルホン酸アニオン、ホウ素アニオン又は有機金属錯体アニオンを表す。bは、Yb-の価数を表す。bが1である場合、各Yb-は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
およびnは、それぞれ独立に、0以上3以下の整数を表す。
、A、AおよびAは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、炭素原子又は窒素原子を表す。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表すか、1個のRと1個のRとが一緒になって形成された2価の炭素数2〜6の脂肪族炭化水素基を表す。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表すか、1個のRと1個のRとが一緒になって形成された2価の炭素数2〜6の脂肪族炭化水素基を表す。
及びR10は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい1価の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表す。
c、d、eおよびfは、それぞれ独立に0以上2以下の整数を表す。
は、置換されていてもよい2価の炭化水素基を表す。]
で表される[6]記載の着色感光性樹脂組成物。
【0013】
[8] nおよびnは、それぞれ1である[7]記載の着色感光性樹脂組成物。
【0014】
[9] Yb−が2価の有機スルホン酸アニオンである[7]または[8]記載の着色感光性樹脂組成物。
【0015】
[10] bは2であり、Yb−の1つは1価の有機スルホン酸アニオンであり、もう一つのYb−はハロゲンアニオンある[7]または[8]記載の着色感光性樹脂組成物。
【0016】
[11] 着色剤(A)は、さらに有機顔料を含む[1]〜[10]のいずれか1に記載の着色感光性樹脂組成物。
【0017】
[12] 有機顔料は、C.I.ピグメントブルー15:6である[11]記載の着色感光性樹脂組成物。
【0018】
[13] C.I.ピグメントブルー15:6と化合物(1)との質量比は、(C.I.ピグメントブルー15:6):化合物(1)=97:3〜50:50である[12]記載の着色感光性樹脂組成物。
【0019】
[14] [1]〜[13]のいずれか1に記載の着色感光性樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
【0020】
[15] フォトリソグラフ法又はインクジェット法によって形成される[14]記載のカラーフィルタ。
【0021】
[16] 式(1)

[式中、環Zおよび環Zは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい複素環を表す。lは0以上3以下の整数を表す。mは1を表す。]
で表される構造を有する化合物(1)を含む着色剤。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、明度が高い塗膜及びカラーフィルタが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1の透過率を示すグラフである。
【図2】実施例4の透過率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の着色感光性樹脂組成物において、着色剤(A)は、式(1)で表される構造を有する化合物(以下「化合物(1)」という場合がある)を含有する。
【0025】

【0026】
[式中、環Zおよび環Zは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい複素環を表す。lは0以上3以下の整数を表す。mは1又は2の整数を表す。]
【0027】
化合物(1)は、目的とするカラーフィルタの色に合わせて選択することができる。
化合物(1)は、溶剤(E)に充分に溶解することが好ましい。更に、化合物(1)は、パターン形成に使用する現像液に、パターン形成ができる程度に溶解することが好ましい。
【0028】
本発明において、置換基を有していてもよい複素環は、1つ又は複数のヘテロ原子を含む。上記複素環は、単環であってもよいし、多環であってもよい。
上記ヘテロ原子は、周期律表における第15族又は第16族の元素から選ばれる原子であればよく、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子やテルル原子が挙げられる。
上記複素環としては、例えば、インドール環、ベンゾインドール環、インドレニン環、ベンゾインドレニン環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環やキノリン環が挙げられる。
【0029】
上記複素環の置換基としては、例えば、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基などの脂肪族炭化水素基;
フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基などの芳香族炭化水素基;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基などのアルコキシ基;
フェノキシ基などのアリールオキシ基;
ベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基;
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などのエステル結合を有する基;
メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスルファモイル基、n−プロピルスルファモイル基、ジ−n−プロピルスルファモイル基、イソプロピルスルファモイル基、ジイソプロピルスルファモイル基、n−ブチルスルファモイル基、ジ−n−ブチルスルファモイル基などのアルキルスルファモイル基;
メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基などのアルキルスルホニル基;
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;
ニトロ基、シアノ基が挙げられる。
なお、かかる置換基が水素原子を有する場合、該水素原子は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基などのアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基などの芳香族炭化水素基;カルボキシ基;シアノ基;ニトロ基;などによって置換されていてもよい。
【0030】
上記複素環としては、インドール環、ベンゾインドール環、インドレニン環、ベンゾインドレニン環が好ましく、インドール環、ベンゾインドレニン環がより好ましい。
上記複素環は、アルキル基またはハロゲン原子を置換基として1個または2個有することが好ましい。
上記lは、明度の点で、1であることが好ましい。
【0031】
上記式(1)の構造を有する化合物、すなわち両端に環が結合されたメチン鎖を有する化合物を、一般にシアニン系染料という。
式(1)で表される構造、すなわちシアニン染料骨格は正に帯電している。上記化合物(1)は、イオン化合物であり、一般にシアニン染料骨格にイオン結合するアニオンを有している。このようなアニオンとしては、後述するようなハロゲンアニオン、ClO、OH、有機カルボン酸アニオン、有機スルホン酸アニオン、ホウ素アニオン、有機金属錯体アニオン等が挙げられる。
上記式(1)の構造としてシス−トランス異性体が存在する場合、いずれの異性体も本発明に包含される。
【0032】
上記化合物(1)としては、たとえば、下記式(1a)

で表される化合物が挙げられる。
【0033】
式(1a)において、環Z、環Z、lおよびmは、それぞれ式(1)と同じ定義である。
上記環Zおよび環Zとしては、それぞれインドール環であることが好ましい。
上記lは、1であることが好ましい。
【0034】
は、ハロゲンアニオン、ClO、OH、1価の有機カルボン酸アニオン、1価の有機スルホン酸アニオン、1価のホウ素アニオン又は1価の有機金属錯体アニオンを表す。
式(1a)の化合物において、上記Xは、一般にシアニン染料骨格へイオン結合する。
としては、具体的には、
Cl、Br、Iなどのハロゲンアニオン;
ベンゼンカルボン酸イオン、アルキルカルボン酸イオン、トリハロアルキルカルボン酸イオン、ニコチン酸イオン、などの有機カルボン酸アニオン;
ベンゼンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、などの有機スルホン酸アニオン;
BF、などのホウ素アニオン;
アゾ系、ビスフェニルジチオール系、チオカテコールキレート系、チオビスフェノレートキレート系、ビスジオール−α−ジケトン系の有機金属錯体イオン;
などが挙げられる。
上記有機金属錯体イオンにおいて、中心金属としては、周期律表における第3族〜第11族の遷移元素が挙げられる。
上記遷移金属としては、例えば、スカンジウム、イットリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ヴァナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、テクネチウム、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、カドミウム、水銀などが挙げられる。
上記有機金属錯体としては、アゾ金属錯体やビスフェニルジチオール金属錯体が好ましく、アゾ金属錯体がより好ましい。
上記中心金属としては、製造コストと取扱易さの点で、コバルト、ニッケルや銅が好ましい。
上記有機金属錯体は、具体的には、中心金属がコバルト、ニッケルもしくは銅であるアゾ金属錯体またはビスフェニルジチオール金属錯体であることが好ましく、中心金属がコバルト、ニッケルまたは銅であるアゾ金属錯体がより好ましい。
【0035】
上記Xとしては、有機スルホン酸アニオンが好ましい。該有機スルホン酸アニオンとしては、ベンゼンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、アルキルスルホン酸イオンなどが挙げられる。
【0036】
上記化合物(1)としては、塗膜の明度を高くする点で、式(2a)で表される化合物がより好ましい。

【0037】
式(2a)において、環Z及び環Zは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環又は置換基を有していてもよいナフタレン環を表す。
該ベンゼン環および該ナフタレン環における置換基としては、上述の複素環における置換基と同様の基が挙げられる。
環Z及び環Zは、それぞれ置換されてもよいベンゼン環であることが好ましく、無置換のベンゼン環であることがより好ましい。
【0038】
は、Cl、Br、I、ClO、OH、1価の有機カルボン酸アニオン、1価の有機スルホン酸アニオン、1価のホウ素アニオン又は1価の有機金属錯体アニオンを表す。
上記Yの具体例としては、上述のXと同様の基が挙げられる。上記Yとしては、1価の有機スルホン酸アニオンが好ましい。
【0039】
nは、0以上3以下の整数を表す。
nは、明度の点で1であることが好ましい。
【0040】
及びAは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、炭素原子又は窒素原子を表す。
及びAは、それぞれ炭素原子であることが好ましい。
aおよびbは、それぞれ独立に、0以上2以下の整数を表す。
aおよびbは、それぞれ2であることが好ましい。
【0041】
及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい1価の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表す。
該脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、エチニル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−プロピニル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、2−ペンテン−4−イニル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、5−メチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が挙げられる。
該脂肪族炭化水素基における置換基としては、例えば、
フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基などの芳香族炭化水素基;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアルコキシ基;
フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基;
さらには、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基が挙げられる。
及びRは、それぞれ、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましい。
【0042】
及びRは、それぞれ独立に水素原子又は1価の炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表すか、1個のRと1個のRとが一緒になって形成された2価の炭素数2〜6の脂肪族炭化水素基を表す。
やRにより表される脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基が挙げられる。
及びRとしては、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。R及びRは、同じ基であることが好ましい。
【0043】
上記化合物(1)としては、たとえば、下記式(1b)


で表される化合物が好ましい。
【0044】
式(1b)において、環Z、環Z、lおよびmは、それぞれ上記定義と同じである。
環Zおよび環Zは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい複素環を表す。
環Zや環Zにより表される複素環としては、環Zや環Zにより表される複素環と同様の基が挙げられる。
環Z、環Z、環Zおよび環Zは、それぞれインドール環であることが好ましい。
【0045】
a−は、ハロゲンアニオン、ClO、OH、有機カルボン酸アニオン、有機スルホン酸アニオン、ホウ素アニオン又は有機金属錯体アニオンを表す。
上記ハロゲンアニオンとしては、Cl、Br、Iなどが挙げられる。
上記有機カルボン酸アニオンとしては、例えば、ベンゼンカルボン酸イオン、アルキルカルボン酸イオン、トリハロアルキルカルボン酸イオン、ニコチン酸イオンが挙げられる。
上記有機スルホン酸アニオンとしては、例えば、ベンゼンスルホン酸イオン、ベンゼンジスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、ナフタレンジスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、アルキルスルホン酸イオンが挙げられる。
上記ホウ素アニオンとしては、例えば、BFが挙げられる。
上記有機金属錯体アニオンとしては、Xの例示に挙げた有機金属錯体アニオンが挙げられる。
aは、Xa−の価数を表す。即ち、式(1b)において、Xa−は1個であってもよいし、2個であってもよい。Xa−が2個である場合、各Xa−は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
l’は0以上3以下の整数を表す。
m’は1又は2の整数を表す。
【0046】
は、置換されていてもよい2価の炭化水素基を表す。
該Lとしては、例えば、
メチレン基、エチレン基、ビニレン基、トリメチレン基、プロピレン基、プロペニレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などの脂肪族炭化水素基;
シクロペンチレン基、シクロヘキセニレン基、シクロヘキサジエニレン基などの脂環式炭化水素基;
o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフチレン基などの芳香族炭化水素基;等
が挙げられる。
【0047】
なお、Lにおいて、得られる塗膜の明度が損なわれない範囲であれば、1又は複数の水素原子が、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基などに置換されていてもよい。
式(1)の構造に由来する吸光特性や溶解性が実質的に損なわれない範囲に限り、Lは、環Zおよび環Zの何れの位置に結合してもよい。
該Lとしては、炭素数1〜16のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜10のアルキレン基がより好ましく、炭素数3〜8のアルキレン基が更に好ましい。
上記Lとしては、合成のし易さや有機溶剤への溶解性の点で、主鎖の構成原子数(the number of atoms constituting its main chain)が好ましくは10個未満、より好ましくは3以上、8以下である。
【0048】
化合物(1)は、塗膜の明度や耐熱性を向上させる点で、式(2b)で表される化合物(以下「化合物(2b)」という場合がある)であることがより好ましい。
【0049】

【0050】
式(2b)において、環Z、環Z8、環Zおよび環Z10は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環又は置換基を有していてもよいナフタレン環を表す。
該ベンゼン環および該ナフタレン環における置換基としては、上述の複素環における置換基と同様の基が挙げられる。
【0051】
およびnは、それぞれ独立に、0以上3以下の整数を表す。
およびnは、それぞれ1であることが好ましい。
、A、AおよびAは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、炭素原子又は窒素原子を表す。
、A、AおよびAは、それぞれ炭素原子であることが好ましい。
c、d、eおよびfは、それぞれ独立に0以上2以下の整数を表す。
c、d、eおよびfは、それぞれ2であることが好ましい。
【0052】
およびRは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表すか、1個のRと1個のRとが一緒になって形成された2価の炭素数2〜6の脂肪族炭化水素基を表す。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表すか、1個のRと1個のRとが一緒になって形成された2価の炭素数2〜6の脂肪族炭化水素基を表す。
、R、RやRにより表される脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。このようなアルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基が挙げられる。
【0053】
上記R及びR10は、それぞれ炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表す。該脂肪族炭化水素は置換基を有していてもよい。
上記RやR10により表される脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、エチニル基、プロピル基、イソプロピル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−プロピニル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、2−ペンテン−4−イニル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、5−メチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられる。
該脂肪族炭化水素基における置換基としては、例えば、
フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基などの芳香族炭化水素基;
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアルコキシ基;
フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基;
カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基が挙げられる。
【0054】
b−は、ハロゲンアニオン、ClO、OH、有機カルボン酸アニオン、有機スルホン酸アニオン、ホウ素アニオン又は有機金属錯体アニオンを表す。
bは、Yb−の価数を表す。bが1である場合、式(2b)には2つのYb-が存在する。この場合、各Yb-は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
即ち、化合物(2b)は、bが1である場合、下記式(3b)
【0055】

【0056】
(式中、環Z、環Z8、環Z、環Z10、n、n、A、A、A、A、R、R、R、R、R、R10、c、d、e、fおよびLは、式(2b)と同じ。
およびYは、それぞれ独立に、ハロゲンアニオン、ClO、OH、1価の有機カルボン酸アニオン、1価の有機スルホン酸アニオン、1価のホウ素アニオン又は1価の有機金属錯体アニオンを表す。)
により表すこともできる。
上記Yb−の具体例は、上述のXa−として例示した基と同様である。
b−が有機金属錯体アニオンである場合、製造コストと取扱易さの点では、コバルト、ニッケル、銅を中心金属とする有機金属錯体が好ましい。
上記有機金属錯体としては、アゾ金属錯体またはビスフェニルジチオール金属錯体が好ましく、アゾ金属錯体がより好ましい。
【0057】
化合物(2b)において、式(1)で表される構造部分、すなわちシアニン染料骨格は、正に帯電しており、Yb−は該シアニン染料骨格にイオン結合する。
【0058】
上記Yb−としては、有機スルホン酸アニオンが好ましく、ベンゼンスルホン酸イオン、ベンゼンジスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、ナフタレンジスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、アルキルスルホン酸イオンがより好ましい。
上記Yb−が2個存在する場合、1つのYb−がハロゲンアニオンであり、もう1つが有機スルホン酸アニオンであることが好ましい。
このようなハロゲンアニオンと有機スルホン酸アニオンとの組み合わせとしては、ハロゲンアニオンとベンゼンスルホン酸イオン、ハロゲンイオンとナフタレンスルホン酸イオン、ハロゲンアニオンとp−トルエンスルホン酸イオン、ハロゲンアニオンとアルキルスルホン酸イオンが好ましい。
【0059】
は、置換されていてもよい2価の炭化水素基を表す。Lの具体例としては、Lと同様の基が挙げられる。
該Lとしては、炭素数1〜16のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜10のアルキレン基がより好ましく、炭素数3〜8のアルキレン基が更に好ましい。
【0060】
化合物(2b)としては、
式(2b)において、n及びnが1であり、b=2であり、Yb−が有機スルホン酸アニオンである化合物や、
式(2b)において、n及びnが1であり、b=1であり、Yb−の1つがハロゲンアニオンであり、もう1つのYb−がベンゼンスルホン酸イオンまたはナフタレンスルホン酸イオンである化合物が好ましい。
【0061】
着色剤(A)は、化合物(1)にくわえ、さらに有機顔料を含むことが好ましい。
有機顔料としては、具体的には、例えば、
C.I.ピグメントブルー15(例えば、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、60)等の青色顔料;
C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38などのバイオレット色顔料などが挙げられる。
これらの顔料は、単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
上記有機顔料としては、C.I.ピグメントレッドバイオレット23、C.I.ピグメントブルー15:3、およびC.I.ピグメントブルー15:6から選ばれる少なくとも一つの顔料を含有していることが好ましく、C.I.ピグメントブルー15:6を含有していることが特に好ましい。
【0062】
上記有機顔料は、必要に応じて、ロジン処理;顔料誘導体などを用いた表面処理;顔料表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法などによる微粒化処理;又は有機溶剤や水などによる洗浄処理;イオン交換法などによる除去処理;などが施されていてもよい。
有機顔料は、粒径が均一であることが好ましい。
【0063】
着色剤(A)は有機顔料を含む場合には、顔料分散剤を含有させて分散処理を行うことで、顔料が溶液中で均一に分散した状態の顔料分散液を得ることができる。
前記の顔料分散剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性の何れの界面活性剤であってもよく、たとえば、ポリエステル系界面活性剤、ポリアミン系界面活性剤、アクリル系界面活性剤などが挙げられる。これらの顔料分散剤は、1種のみ使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
着色剤(A)が顔料分散剤を含む場合、その使用量は、有機顔料1質量部あたり、好ましくは1質量部以下であり、より好ましくは0.05質量部以上0.5質量部以下である。顔料分散剤の使用量が前記の範囲にあると、顔料が均一に分散した顔料分散液が容易に得られるので好ましい。
【0064】
着色剤(A)の含有量は、着色感光性樹脂組成物中の固形分に対して質量分率で、好ましくは10〜60質量%であり、より好ましくは15〜55質量%であり、さらに好ましくは18〜50質量%である。
ここで、固形分とは、着色感光性樹脂組成物中の、溶剤をのぞく成分の合計をいう。
本発明の着色感光性樹脂組成物は、着色剤(A)の含有量が前記の範囲にあると、色濃度が十分であるカラーフィルタを容易に得ることができ、更に、バインダー樹脂(B)を必要量含有させやすいので機械的強度が十分なパターンを形成しやすい。
着色剤(A)中の有機顔料の含有量は、質量比率で20〜97%であり、好ましくは30〜95質量%であり、より好ましくは40〜95質量%である。
特に着色剤(A)が、C.I.ピグメントブルー15:6と化合物(1)とを含む場合、両者の質量比が(C.I.ピグメントブルー15:6):化合物(1)=97:3〜50:50であることが好ましく、(C.I.ピグメントブルー15:6):化合物(1)=97:3〜70:30であることがより好ましい。
上記着色感光性樹脂組成物は、着色剤(A)中の有機顔料の含有量が前記の範囲にあると、高明度のカラーフィルタを容易に得ることができる。さらに、該含有量が前記の範囲にある場合、透過スペクトルの最適化が容易である。
【0065】
上述の着色剤(A)、すなわち上述の化合物(1)を含む着色剤もまた、本発明の1つである。
本発明の着色剤は、上述のように着色感光性樹脂組成物の材料として有用なことに加え、インクジェットインク記録用インク着色剤、塗料、印刷インキ、プラスチック用着色剤、各種のカラーフィルター用着色剤等にも有用である。
【0066】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂(B)を含む。
前記のバインダー樹脂(B)は、好ましくは(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位を含有する。ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。前記の(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位の含有量は、バインダー樹脂(B)を構成する全構成単位中、モル分率で、好ましくは16モル%以上40モル%以下、より好ましくは18モル%以上38モル%以下である。上記バインダー樹脂(B)は、(メタ)アクリル酸から導かれる構成単位を含む場合、現像時における非画素部の溶解性が良好であり、現像後の非画素部に残渣が残りにくい点で、該含有量が前記の範囲にあることが好ましい。
【0067】
前記のバインダー樹脂(B)は、(メタ)アクリル酸とその他のモノマーとの共重合体であってもよい。
その他のモノマーとしては、例えば、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸エステル類、不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類、不飽和カルボン酸グリシジルエステル類、カルボン酸ビニルエステル類、不飽和エーテル類、シアン化ビニル化合物、不飽和アミド類、不飽和イミド類、脂肪族共役ジエン類、重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基又はモノメタクリロイル基を有するマクロモノマー類等のモノマーが挙げられる。更に、(メタ)アクリル酸以外のモノマーから導かれる構成単位として、式(I)で表される構成単位や式(III)で表される構成単位が挙げられる。
【0068】

【0069】
(各式中、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
本発明において、R11はメチル基であることが好ましく、R12は水素原子であることが好ましい。
【0070】
前記のバインダー樹脂としては、具体的には、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、メタクリル酸/式(I)で表される構成単位(ただし、R11はメチル基を表し、R12は水素原子を表す。)/ベンジルメタクリレート共重合体、式(I)で表される構成単位(ただし、R11はメチル基を表し、R12は水素原子を表す。)/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/式(III)で表される構成単位(ただし、R11はメチル基を表し、R12は水素原子を表す。)/スチレン共重合体/トリシクロデカニルメタクリレート共重合体などが好ましい。
【0071】
上記バインダー樹脂(B)の酸価は、通常、50〜150であり、好ましくは60〜135、特に好ましくは70〜135である。現像液に対する溶解性が向上するので未露光部が溶解しやすくなることにくわえ、感度が向上するので現像後の残膜率が向上することより、上記酸価は、前記の範囲にあることが好ましい。
ここで酸価は、アクリル酸系重合体1gを中和するに必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、通常は水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0072】
バインダー樹脂(B)の含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して質量分率で、通常、15〜35質量%であり、好ましくは18〜33質量%であり、より好ましくは21〜31質量%である。パターン形成が容易であり、また解像度や残膜率が向上する点で、バインダー樹脂(B)の含有量は、前記の範囲にあることが好ましい。
【0073】
式(I)で表される構成単位を有するバインダー樹脂、例えば、メタクリル酸/式(I)で表される構成単位(ただし、R11はメチル基を表し、R12は水素原子を表す。)/ベンジルメタクリレート共重合体は、メタクリル酸とベンジルメタクリレートとを重合させて2成分重合体を得て、得られた2成分重合体と式(II)で表される化合物(ただし、R13は水素原子を表す。)とを反応させて得ることができる。
【0074】

【0075】
(式中、R13は水素原子を表す。)
【0076】
メタクリル酸/式(III)で表される構成成分(ただし、R11はメチル基を表し、R12は水素原子を表す。)/スチレン共重合体/トリシクロデカニルメタクリレート共重合体は、ベンジルメタクリレート、メタクリル酸、トリシクロデカン骨格のモノメタクリレート共重合体に、グリシジルメタクリレートを反応させて得ることができる。
【0077】
バインダー樹脂(B)は、ポリスチレン換算重量平均分子量が、通常5,000〜35,000であり、好ましくは6,000〜30,000であり、特に好ましくは7,000〜28,000である。
塗膜硬度が向上し、残膜率も高く、未露光部の現像液に対する溶解性が良好で、解像度が向上するので、バインダー樹脂(B)は該平均分子量が前記の範囲にあることが好ましい。
上記平均分子量は、GPC[ゲルパーミエーションクロマトグラフィー]の測定値より換算される値である。
【0078】
特に式(IV)で表されるバインダー樹脂(B)が、硬化性、現像性の点で好ましい。


【0079】
本発明の着色感光性樹脂組成物は,光重合性化合物(C)を含む。光重合性化合物(C)は、光を照射されることによって光重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル、酸などによって重合しうる化合物であって、例えば、重合性の炭素−炭素不飽和結合を有する化合物などが挙げられる。
【0080】
前記の光重合性化合物(C)は、3個以上の官能基を有する光重合性化合物(このような光重合性化合物を、多官能光重合性化合物ともいう。)であることが好ましい。
該多官能光重合性化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートなどが挙げられる。
本発明の着色感光性樹脂組成物は、前記の光重合性化合物(C)を1種含有してもよいし、2種以上含有してもよい。
前記光重合性化合物(C)の含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して質量分率で、5〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜80質量%であり、さらに好ましくは20〜70質量%である。
硬化が十分におこり、現像前後での膜厚比率が向上し、パターンにアンダーカットが入りにくくなって密着性が良好になることから、前記の光重合性化合物(C)の含有量は、前記の範囲にあることが好ましい。
【0081】
本発明の着色感光性樹脂組成物は光重合開始剤(D)を含む。前記の光重合開始剤(D)としては、アセトフェノン系化合物、活性ラジカル発生剤、酸発生剤などが挙げられる。
前記のアセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられ、好ましくは2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オンなどが挙げられる。
【0082】
活性ラジカル発生剤は、光を照射されることによって活性ラジカルを発生する。前記の活性ラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物などが挙げられる。
【0083】
前記のベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0084】
前記のベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0085】
前記のチオキサントン系化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0086】
前記のトリアジン系化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0087】
前記のオキシム系化合物としては、例えば、O−アシルオキシム系化合物が挙げられ、その具体例としては、1−(4−フェニルスルファニル−フェニル)−ブタン−1,2−ジオン2−オキシム−O−ベンゾアート、1−(4−フェニルスルファニル−フェニル)−オクタン−1,2−ジオン2−オキシム−O−ベンゾアート、1−(4−フェニルスルファニル−フェニル)−オクタン−1−オンオキシム−O−アセタート、1−(4−フェニルスルファニル−フェニル)−ブタン−1−オンオキシム−O−アセタート等が挙げられる。
【0088】
前記の例示以外の活性ラジカル発生剤として、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物などを用いることもできる。
【0089】
前記の酸発生剤としては、例えば、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−アセトキシフェニル・メチル・ベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類などを挙げることができる。
【0090】
また、前記の活性ラジカル発生剤の中には、活性ラジカルと同時に酸を発生する化合物もある。例えば、トリアジン系光重合開始剤は、酸発生剤としても使用される。
【0091】
光重合開始剤(D)の含有量は、バインダー樹脂(B)及び光重合性化合物(C)の合計量に対して質量分率で、好ましくは0.1〜20質量%であり、より好ましくは1〜15質量%である。感度が高くなり露光時間が短縮されるので生産性が向上するが、感度が高すぎないので解像パターンの最小線幅が太くなりすぎない点で、光重合開始剤の含有量は、前記の範囲にあることが好ましい。
【0092】
本発明の着色感光性樹脂組成物には、さらに光重合開始助剤(F)が含まれていてもよい。光重合開始助剤(F)は、通常、光重合開始剤(D)と組み合わせて用いられ、光重合開始剤によって重合が開始された光重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物である。
光重合開始助剤(F)としては、アミン系化合物、アルコキシアントラセン系化合物、チオキサントン系化合物などが挙げられる。
前記のアミン系化合物としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられ、中でも4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
【0093】
前記のアルコキシアントラセン系化合物としては、例えば、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどが挙げられる。
【0094】
前記のチオキサントン系化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0095】
光重合開始助剤(F)は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、光重合開始助剤(F)としては、市販のものを用いることもでき、市販の光重合開始助剤(F)としては、例えば、商品名「EAB−F」(保土谷化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0096】
本発明の着色感光性樹脂組成物における光重合開始剤(D)及び光重合開始助剤(F)の組合せとしては、例えば、ジエトキシアセトフェノン/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマー/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられ、好ましくは2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン/4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが挙げられる。
【0097】
光重合開始助剤(F)の含有量は、光重合開始剤(D)1モルあたり、好ましくは0.01〜10モル、より好ましくは0.01〜5モルである。
【0098】
本発明の着色感光性樹脂組成物は溶剤(E)を含む。溶剤(E)としては、例えば、エーテル類、芳香族炭化水素類、ケトン類、アルコール類、エステル類、アミド類、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホオキシドなどが挙げられる。
【0099】
前記のエーテル類やエステル類としては、例えば、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、メトキシペンチルアセテート、アニソール、フェネトール、メチルアニソール、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0100】
前記の芳香族炭化水素類としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどが挙げられる。
前記のケトン類としては、例えば、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。
前記のアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
【0101】
前記のアミド類としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
前記の溶剤は、単独で用いられていてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いられていてもよい。
溶剤(E)としては、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等のエーテル類やエステル類、およびケトン類が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びシクロヘキサノンがより好ましく、これらを併用することが更に好ましい。
【0102】
着色感光性樹脂組成物における溶剤(E)の含有量は、着色感光性樹脂組成物に対して質量分率で、好ましくは70〜95質量%であり、より好ましくは75〜90質量%である。塗布時の平坦性が良好になり、また表示特性が良好なカラーフィルタが容易に得られる点で、溶剤(E)の含有量は前記の範囲にあることが好ましい。
【0103】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、さらに、界面活性剤(G)が含まれていてもよい。界面活性剤(G)としては、シリコーン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
前記のシリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合を有する界面活性剤などが挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同29SHPA、同SH30PA、ポリエーテル変性シリコンオイルSH8400(商品名:トーレシリコーン(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越シリコーン製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452、TSF4460(ジーイー東芝シリコーン(株)製)などが挙げられる。
前記シリコーン系界面活性剤としては、更にフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤が挙げられる。このようなシリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤などが挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477、同F443(大日本インキ化学工業(株)製)などがあげられる。
【0104】
前記のフッ素系界面活性剤としては、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤などが挙げられる。具体的には、フロラード(商品名)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(商品名)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同R30(大日本インキ化学工業(株)製)、エフトップ(商品名)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(新秋田化成(株)製)、サーフロン(商品名)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)、E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、BM−1000、BM−1100(いずれも商品名:BM Chemie社製)などが挙げられる。
これらの界面活性剤は、単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤(G)の含有量は、着色感光性樹脂組成物に対し質量分率で、好ましくは0.0005〜0.6質量%であり、より好ましくは0.001〜0.5質量%である。平坦な塗膜を得る点で、界面活性剤(G)の含有量は前記の範囲にあることが好ましい。
【0105】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、高コントラストな塗膜を得ることができる。
本発明の着色感光性樹脂組成物から形成されるカラーフィルタもまた、本発明の1つである。
本発明のカラーフィルタは、フォトリソグラフ法やインクジェット法によって形成することができる。
該フォトリソグラフ法としては、例えば、本発明の着色感光性樹脂組成物を、基板上に塗布し、溶剤など揮発成分を除去して着色層を形成し、フォトマスクを介して該着色層を露光して、現像する方法が挙げられる。本方法において、上記着色感光性樹脂組成物は、それ以外の着色感光性樹脂組成物から得られる樹脂層を基板上に形成し、該樹脂層上に塗布してもよい。
【実施例】
【0106】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
本実施例で用いる成分は以下の通りであり、以下、省略して表示することがある。
(A−1)着色剤成分:C.I.ピグメントブルー15:6

【0107】
(A−2)着色剤成分:下記化合物(NK−9402、(株)林原生物化学研究所製)

【0108】
(A−3)着色剤成分:下記化合物(NK−8635、(株)林原生物化学研究所製)

【0109】
(A−4)着色剤成分:下記化合物(NK−9422、(株)林原生物化学研究所製)

【0110】
(A−5)着色剤成分:下記化合物(NK−9424、(株)林原生物化学研究所製)

【0111】
(A−6)着色剤成分:下記化合物(NK−9425、(株)林原生物化学研究所製)

【0112】
<樹脂(B−1)の合成>
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート182gを導入し、フラスコ内雰囲気を空気から窒素にした後、100℃に昇温後、ベンジルメタクリレート70.5g(0.40モル)、メタクリル酸43.0g(0.5モル)、トリシクロデカン骨格のモノメタクリレート(日立化成(株)製FA−513M)22.0g(0.10モル)及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート136gからなる混合物にアゾビスイソブチロニトリル3.6gを添加した溶液を滴下し、さらに100℃で撹拌し続けた。次に、フラスコ内雰囲気を窒素から空気にし、グリシジルメタクリレート35.5g[0.25モル、(本反応に用いたメタクリル酸のカルボキシル基に対して50モル%)]、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.9g及びハイドロキノン0.145gをフラスコ内に投入し、110℃で反応を続け、固形分酸価が79mgKOH/gの樹脂(B−1)を得た。GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は30,000であった。
【0113】
上記の樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量の測定については、GPC法を用いて、以下の条件で行った。
装置;HLC-8120GPC(東ソー(株)製)
カラム;TSK−GELG2000HXL
カラム温度;40℃
溶媒;THF
流速;1.0mL/分
被検液固形分濃度;0.001〜0.01質量%
注入量;50μL
検出器;RI
校正用標準物質;TSK STANDARD POLYSTYRENE F−40、F−4、F−1、A−2500、A−500(東ソー(株)製)
【0114】
(C−1)光重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製)
(D−1)光重合開始剤:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン
(F−1)光重合開始助剤:4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
(E−1)溶剤 :プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(E−2)溶剤 :プロピレングリコールモノメチルエーテル
(E−3)溶剤 :シクロヘキサノン
(G−1)界面活性剤:メガファックF475(大日本インキ化学工業(株)製)
【0115】
実施例1
[着色感光性樹脂組成物1の調製]
(A−1) 4.370質量部
アクリル系顔料分散剤 1.533質量部
(A−2) 0.230質量部
(B−1) 3.952質量部
(C−1) 5.773質量部
(D−1) 1.732質量部
(F−1) 0.577質量部
(E−1) 77.454質量部
(E−3) 4.369質量部
(G−1) 0.010質量部
を混合して着色感光性樹脂組成物1を得た。
【0116】
〔パターンの形成〕
ガラス基板〔#1737;コーニング社製〕の上に、上記で得た着色感光性樹脂組成物1をスピンコート法で塗布したのち、100℃で3分間乾燥して揮発分(溶剤)を揮発させて、さらに冷却することにより、着色感光性樹脂組成物1の層を形成した。この着色感光性樹脂組成物層にフォトマスクを介してi線〔波長365nm〕を照射して露光した。i線の光源としては、超高圧水銀ランプを用い、照射光量は150mJ/cm2とした。その後、220℃で20分間加熱処理して、塗膜を形成した。該塗膜の膜厚は2.2μmであった。
【0117】
実施例2
[着色感光性樹脂組成物2の調製]
(A−1) 4.370質量部
アクリル系顔料分散剤 1.533質量部
(A−3) 0.230質量部
(B−1) 3.952質量部
(C−1) 5.773質量部
(D−1) 1.732質量部
(F−1) 0.577質量部
(E−1) 77.454質量部
(E−3) 4.369質量部
(G−1) 0.010質量部
を混合して着色感光性樹脂組成物2を得た。着色感光性樹脂組成物1に代えて着色感光性樹脂組成物2を用いる以外は、実施例1と同様にして、塗膜を得た。
【0118】
実施例3
[着色感光性樹脂組成物3の調製]
(A−1) 4.370質量部
アクリル系顔料分散剤 1.533質量部
(A−4) 0.230質量部
(B−1) 3.952質量部
(C−1) 5.773質量部
(D−1) 1.732質量部
(F−1) 0.577質量部
(E−1) 77.454質量部
(E−3) 4.369質量部
(G−1) 0.010質量部
を混合して着色感光性樹脂組成物3を得た。着色感光性樹脂組成物1に代えて着色感光性樹脂組成物3を用いる以外は、実施例1と同様にして、塗膜を得た。
【0119】
〔評価1〕
得られたガラス基板上の塗膜について、測色機(OSP−SP−200;オリンパス(株)製)を用いて、C光源を照射して、CIEのXYZ表色系におけるxy色度座標(Bx, By)及び明度を測定した。
結果を表1に示す。
【0120】
【表1】

【0121】
表1から実施例1、実施例2や実施例3の着色感光性樹脂組成物から得られる各塗膜において、優れた明度が確認された。
【0122】
図1は、実施例1において得られた塗膜の透過率を示すグラフである。
該透過率は、上述の明度と同様の方法で測定した。横軸に波長を、縦軸に透過率を示す。
図1に示すように、実施例1の着色感光性樹脂組成物は、本発明の着色剤を含むので、透過スペクトルの最適化により明度を更に高くすることができる。実施例2及び3についても、透過スペクトルは実施例1と同等であった。
【0123】
実施例4
[着色感光性樹脂組成物4の調製]
(A−1) 4.370質量部
アクリル系顔料分散剤 1.533質量部
(A−5) 0.46質量部
(B−1) 3.952質量部
(C−1) 5.773質量部
(D−1) 1.732質量部
(F−1) 0.577質量部
(E−1) 77.454質量部
(E−3) 4.369質量部
(G−1) 0.010質量部
を混合して着色感光性樹脂組成物1を得た。
【0124】
〔パターンの形成〕
ガラス基板〔#1737;コーニング社製〕の上に、上記で得た着色感光性樹脂組成物1をスピンコート法で塗布したのち、100℃で3分間乾燥して揮発分(溶剤)を揮発させて、さらに冷却することにより、着色感光性樹脂組成物4の層を形成した。この着色感光性樹脂組成物層にフォトマスクを介してi線〔波長365nm〕を照射して露光した。i線の光源としては、超高圧水銀ランプを用い、照射光量は150mJ/cm2とした。その後、220℃で20分間加熱処理して、塗膜を形成した。該塗膜の膜厚は2.2μmであった。
【0125】
実施例5
[着色感光性樹脂組成物5の調製]
(A−1) 4.370質量部
アクリル系顔料分散剤 1.533質量部
(A−6) 0.460質量部
(B−1) 3.952質量部
(C−1) 5.773質量部
(D−1) 1.732質量部
(F−1) 0.577質量部
(E−1) 77.454質量部
(E−3) 4.369質量部
(G−1) 0.010質量部
を混合して着色感光性樹脂組成物5を得た。着色感光性樹脂組成物4に代えて着色感光性樹脂組成物5を用いる以外は、実施例4と同様にして、塗膜を得た。
【0126】
〔評価〕
得られたガラス基板上の塗膜について、上記評価1と同様の方法により色度及び明度を測定した。
結果を表2に示す。
【0127】
【表2】

【0128】
表2に示すように、実施例4や実施例5の着色感光性樹脂組成物から得られた各塗膜において、優れた明度が確認された。
【0129】
図2は、実施例4において得られた塗膜の透過率を示すグラフである。該透過率は、上述の明度と同様の方法で測定した。横軸に波長を、縦軸に透過率を示す。
図2に示すように、実施例4の着色感光性樹脂組成物は、本発明の着色剤を含むので、透過スペクトルの最適化により明度を更に高くすることができる。実施例2及び3についても、透過スペクトルは実施例1と同等であった。
実施例5についても、透過スペクトルは実施例4と同等であった。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明の着色感光性樹脂組成物によれば、高明度な塗膜及びカラーフィルタを得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤(A)、バインダー樹脂(B)、光重合性化合物(C)、光重合開始剤(D)及び溶剤(E)を含み、
前記着色剤(A)は、式(1)

[式中、環Zおよび環Zは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい複素環を表す。lは0以上3以下の整数を表す。mは1を表す。]
で表される構造を有する化合物(1)を含む着色感光性樹脂組成物。
【請求項2】
化合物(1)は、下記式(1a)

[式中、環Z、環Z、lおよびmは、それぞれ請求項1と同じ。
は、ハロゲンアニオン、ClO、OH、1価の有機カルボン酸アニオン、1価の有機スルホン酸アニオン、1価のホウ素アニオン又は1価の有機金属錯体アニオンを表す。 ]
で表される請求項1記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項3】
化合物(1)は、式(2a)で表される請求項1記載の着色感光性樹脂組成物。

[式中、環Z及び環Zは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環又は置換基を有していてもよいナフタレン環を表す。
は、Cl、Br、I、ClO、OH、1価の有機カルボン酸アニオン、1価の有機スルホン酸アニオン、1価のホウ素アニオン又は1価の有機金属錯体アニオンを表す。
nは、0以上3以下の整数を表す。
及びAは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、炭素原子又は窒素原子を表す。
及びRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい1価の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表す。
及びRは、それぞれ独立に水素原子又は1価の炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表すか、1個のRと1個のRとが一緒になって形成された2価の炭素数2〜6の脂肪族炭化水素基を表す。
aおよびbは、それぞれ独立に、0以上2以下の整数を表す。]
【請求項4】
nは1である請求項3記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項5】
は1価の有機スルホン酸アニオンである請求項3または4記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項6】
化合物(1)は、下記式(1b)


[式中、環Z、環Z、lおよびmは、それぞれ請求項1と同じ。環Zおよび環Zは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい複素環を表す。Xa−は、ハロゲンアニオン、ClO、OH、有機カルボン酸アニオン、有機スルホン酸アニオン、ホウ素アニオン又は有機金属錯体アニオンを表す。aは、Xa−の価数を表す。l’は0以上3以下の整数を表す。m’は1を表す。Lは、置換されていてもよい2価の炭化水素基を表す。]
で表される請求項1記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項7】
化合物(1)は、下記式(2b)


[式中、環Z、環Z8、環Zおよび環Z10は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環又は置換基を有していてもよいナフタレン環を表す。
b−は、ハロゲンアニオン、ClO、OH、有機カルボン酸アニオン、有機スルホン酸アニオン、ホウ素アニオン又は有機金属錯体アニオンを表す。bは、Yb−の価数を表す。bが1である場合、各Yb-は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
およびnは、それぞれ独立に、0以上3以下の整数を表す。
、A、AおよびAは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、炭素原子又は窒素原子を表す。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表すか、1個のRと1個のRとが一緒になって形成された2価の炭素数2〜6の脂肪族炭化水素基を表す。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表すか、1個のRと1個のRとが一緒になって形成された2価の炭素数2〜6の脂肪族炭化水素基を表す。
及びR10は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい1価の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表す。
は、置換されていてもよい2価の炭化水素基を表す。
c、d、eおよびfは、それぞれ独立に0以上2以下の整数を表す。]
で表される請求項6記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項8】
およびnは、それぞれ1である請求項7記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項9】
b−が2価の有機スルホン酸アニオンである請求項7または8記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項10】
bは2であり、Yb−の1つは1価の有機スルホン酸アニオンであり、もう1つのYb−はハロゲンアニオンある請求項7または8記載の着色感光性着色感光性樹脂組成物。
【請求項11】
着色剤(A)は、さらに有機顔料を含む請求項1〜10のいずれか1項に記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項12】
有機顔料は、C.I.ピグメントブルー15:6である請求項11記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項13】
C.I.ピグメントブルー15:6と化合物(1)との質量比は、(C.I.ピグメントブルー15:6):化合物(1)=97:3〜50:50である請求項12記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の着色感光性樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
【請求項15】
フォトリソグラフ法又はインクジェット法によって形成される請求項14記載のカラーフィルタ。
【請求項16】
式(1)

[式中、環Zおよび環Zは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい複素環を表す。lは0以上3以下の整数を表す。mは1を表す。]
で表される構造を有する化合物(1)を含む着色剤。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−235392(P2009−235392A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45606(P2009−45606)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】