説明

着色硬化性樹脂組成物の製造方法

【課題】現像ムラが生じない塗膜を形成し得る着色硬化性樹脂組成物の製造方法を提供すること。
【解決手段】(1)着色硬化性樹脂組成物を構成する成分を混合し、混合物を得る混合工程、(2)混合工程で得られた混合物を攪拌する攪拌工程を含み、さらに攪拌工程で得られた混合物を、(3)20℃以上40℃以下の温度で、10時間以上720時間以下静置する保温処理工程及び(4)濾過して濾液を回収する濾過工程を任意の順に含む、着色硬化性樹脂組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色硬化性樹脂組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラやデジタルビデオなどに用いられるイメージセンサは、カラーフィルタを有する。
そして、カラーフィルタの製造方法には、フォトレジストに代表される感光性樹脂組成物に顔料や染料などの色素を含有させた着色感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィー法により製造する方法が開発されてきた。
前記の製造方法によれば、顔料や染料などの色素によって光の三原色(赤色、緑色、青色)にそれぞれ着色された画素の集合体であるカラーフィルタが形成される。
【0003】
このような塗膜を形成するための着色硬化性樹脂組成物の製造方法として、例えば、着色硬化性樹脂組成物を構成する成分を混合し、攪拌し、濾過する工程からなる製造方法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−328477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記の、成分を混合し、攪拌し、濾過する工程からなる製造方法により得られた着色硬化性樹脂組成物を用いて形成した塗膜では、現像ムラが発生する場合があった。本発明の課題は、現像ムラを生じない塗膜を形成し得る着色硬化性樹脂組成物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記の課題を解決し得る着色硬化性樹脂組成物の製造方法を見出すべく検討した結果、(1)着色硬化性樹脂組成物を構成する成分を混合し、(2)攪拌する工程を含み、さらに得られた混合物を(3)20℃以上40℃以下の温度で、10時間以上720時間以下の時間静置する保温処理、及び(4)濾過する工程を任意の順に含む製造方法により得られる着色硬化性樹脂組成物によって、現像ムラを生じない塗膜を形成することができることを見出し、本発明に至った。
【0007】
即ち、本発明は以下の[1]〜[10]を提供するものである。
[1]以下の工程:
(1)着色硬化性樹脂組成物を構成する成分を混合し、混合物を得る混合工程
(2)混合工程で得られた混合物を攪拌する攪拌工程
を含み、さらに、攪拌工程を経て得られた混合物を、
(3)20℃以上40℃以下の温度で、10時間以上720時間以下静置する保温処理工程、及び、
(4)濾過して濾液を回収する濾過工程
を任意の順に含む、着色硬化性樹脂組成物の製造方法。
[2]保温処理工程を行った後に、濾過工程を行う前記[1]に記載の製造方法。
[3]保温処理工程における温度(X)及び時間(Y)が、式(I)を充足する前記[1]又は[2]に記載の製造方法。
−7.2(X)+330≦(Y) (I)
[4]着色硬化性樹脂組成物が、着色剤(A)、バインダー樹脂(B)、感光剤(C)、硬化剤(D)及び溶剤(E)を含む、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]着色剤(A)が、式(1)で表される化合物を含む着色剤である、前記[4]に記載の製造方法。
【化1】

[式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、−R又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R、−OH、−OR、−SO、−SOH、SOM、−COH、−CO、−SO、−SONHR又は−SONRで置換されていてもよい。
は、−SO、−SOH、SOM、−COH、−CO、−SO、−SONHR又は−SONRを表す。
mは、0〜5の整数を表す。mが2以上の整数である場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよい。
Xは、ハロゲン原子を表す。
aは、0又は1の整数を表す。
は、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。該飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は−NR−で置換されていてもよい。
は、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。該飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基又は−Qを表す。あるいはR及びRは、互いに結合して炭素数1〜10の複素環を形成していてもよい。
Qは、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基又は炭素数5〜10の芳香族複素環基を表し、該芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基に含まれる水素原子は、−OH、−R、−OR、−NO、−CH=CH、−CH=CHR又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基に含まれる水素原子は、水酸基、ハロゲン原子、−Q、−CH=CH又は−CH=CHRで置換されていてもよい。炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は−NR−で置換されていてもよい。炭素数1〜10の複素環に含まれる水素原子は、−R、−OH又は−Qで置換されていてもよい。
Mは、ナトリウム原子又はカリウム原子を表す。]
[6]溶剤(E)が、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びジアセトンアルコールからなる群から選ばれる少なくとも2種の溶剤を含んでなる溶剤である、前記[4]又は[5]に記載の製造方法。
[7]感光剤(C)が、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルである、前記[4]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]硬化剤(D)が、式(2)で表される2価の基を2つ以上有する硬化剤である、前記[4]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
【化2】

[式(2)中、Y1は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
[9]前記[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法により得られる着色硬化性樹脂組成物を用いて形成される塗膜。
[10]前記[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法により得られる着色硬化性樹脂組成物を用いて形成されるパターン。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法によれば、現像ムラを生じない塗膜を形成することができる着色硬化性樹脂組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法を適用できる着色硬化性樹脂組成物としては、例えば、カラーフィルタを構成する各要素の形成に用いられるような一般的な着色硬化性樹脂組成物が挙げられる。中でも、本発明の方法を適用する着色硬化性樹脂組成物としては、その構成成分として、着色剤(A)、バインダー樹脂(B)、感光剤(C)、硬化剤(D)及び溶剤(E)を含有する着色硬化性樹脂組成物であることが好ましい。
【0010】
本発明の製造方法を適用する着色硬化性樹脂組成物に用いられる着色剤(A)としては、特に限定されるものではなく、通常、着色硬化性樹脂組成物に用いられる着色剤を使用することができるが、中でも、下記式(1)で表される化合物を含有する着色剤であることが好ましい。
【0011】
【化3】

【0012】
式(1)で表される化合物における置換基R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、−R又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。
【0013】
ここで、上記Rは、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。また、該炭素数1〜10の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、メチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は−NR−(Rは、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、メチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。)で置換されていてもよい。
【0014】
−Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロオクチル基、ノニル基、デカニル基、トリシクロデカニル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、ヘキシロキシプロピル基、2−エチルヘキシロキシプロピル基、メトキシヘキシル基、エトキシプロピル基などが挙げられる。
【0015】
置換基R〜Rにおける炭素数6〜10の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0016】
また、置換基R〜Rにおける炭素数6〜10の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R、−OH、−OR、−SO、−SOH、SOM、−COH、−CO、−SO、−SONHR又は−SONRで置換されていてもよい。
【0017】
ここで、上記Rは、前記と同じ意味を表す。
上記R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基又は−Q(Qは、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基又は炭素数5〜10の芳香族複素環基を表し、これらに含まれる水素原子は、−OH、−R、−OR、−NO、−CH=CH、−CH=CHR又はハロゲン原子で置換されていてもよい。)を表す。
及びRにおける、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基に含まれる水素原子は、−OH、ハロゲン原子、−Q、−CH=CH又は−CH=CHRで置換されていてもよく、メチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は−NR−で置換されていてもよい。
及びRは、互いに結合して炭素数1〜10の複素環を形成していてもよい。この場合、炭素数1〜10の複素環に含まれる水素原子は、−R、−OH又は−Qで置換されていてもよい。
また、上記Mは、ナトリウム原子又はカリウム原子を表す。
【0018】
置換基R〜Rにおける炭素数6〜10の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子と置換してもよいハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子などが挙げられる。
【0019】
−ORとしては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基等などが挙げられる。
【0020】
−COとしては、例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、シクロヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、シクロオクチルオキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デカニルオキシカルボニル基、トリシクロデカニルオキシカルボニル基、メトキシプロピルオキシカルボニル基、エトキシプロピルオキシカルボニル基、ヘキシロキシプロピルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシロキシプロピルオキシカルボニル基、メトキシヘキシルオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0021】
−SOとしては、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、ヘキサンスルホニル基、デカンスルホニル基などが挙げられる。
【0022】
−SONHRとしては、スルファモイル基、メタンスルファモイル基、エタンスルファモイル基、プロパンスルファモイル基、イソプロパンスルファモイル基、ブタンスルファモイル基、イソブタンスルファモイル基、ペンタンスルファモイル基、イソペンタンスルファモイル基、ネオペンタンスルファモイル基、シクロペンタンスルファモイル基、ヘキサンスルファモイル基、シクロヘキサンスルファモイル基、ヘプタンスルファモイル基、シクロヘプタンスルファモイル基、オクタンスルファモイル基、2−エチルヘキサンスルファモイル基、1,5−ジメチルヘキサンスルファモイル基、シクロオクタンスルファモイル基、ノナンスルファモイル基、デカンスルファモイル基、トリシクロデカンスルファモイル基、メトキシプロパンスルファモイル基、エトキシプロパンスルファモイル基、プロポキシプロパンスルファモイル基、イソプロポキシプロパンスルファモイル基、ヘキシロキシプロパンスルファモイル基、2−エチルヘキシロキシプロパンスルファモイル基、メトキシヘキサンスルファモイル基、3−フェニル−1−メチルプロパンスルファモイル基などが挙げられる。
【0023】
さらに、−SONHRとしては、下記式で表される基が挙げられる。
【0024】
【化4】

【0025】
【化5】

【0026】
【化6】

【0027】
【化7】

【0028】
【化8】

【0029】
【化9】

【0030】
【化10】

【0031】
【化11】

【0032】
【化12】

【0033】
【化13】

【0034】
【化14】

【0035】
【化15】

【0036】
【化16】

【0037】
【化17】

【0038】
−SONHRとして例示される上記化合物において、式中、Xは、ハロゲン原子を表し、Xは、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ハロゲン原子又はニトロ基を表す。また、Xは、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシ基を表す。さらに、X及びXにおけるアルキル基及びアルコキシ基の水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0039】
、XおよびXにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子などが挙げられる。
ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、パーフルオロメチル基などが挙げられる。
ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜3のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
【0040】
中でも、−SONHRとしては、Rが、素数6〜8の分岐状アルキル基、炭素数5〜7の脂環式アルキル基、アリル基、フェニル基、炭素数8〜10のアラルキル基、炭素数2〜8の水酸基含有アルキル基およびアリール基又は炭素数2〜8のアルコキシ基含有アルキル基またはアリール基であるものが好ましく、特に、2−エチルヘキシル基であるものが好ましい。
【0041】
−SONRとしては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。
【0042】
【化18】

【0043】
【化19】

【0044】
【化20】

【0045】
【化21】

【0046】
【化22】

【0047】
−SONRとして例示される上記化合物において、式中、Xは、前記と同じ意味を表す。
【0048】
中でも、−SONRとしては、R及びRが、炭素数6〜8の分岐状アルキル基、炭素数5〜7の脂環式アルキル基、アリル基、フェニル基、炭素数8〜10のアラルキル基、炭素数2〜8の水酸基含有アルキルおよびアリール基又は炭素数2〜8のアルコキシ基含有アルキルまたはアリール基であるものが好ましく、特に、2−エチルヘキシル基であるものが好ましい。
【0049】
式(1)中の置換基R〜Rにおける、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基の置換基としては、エチル基、プロピル基、フェニル基、ジメチルフェニル基、−SO又は−SONHRが好ましい。
【0050】
置換基を有する炭素数6〜10の芳香族炭化水素基としては、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、デカニルフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ヘキシロキシフェニル基、デカニロキシフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基などが挙げられる。
【0051】
式(1)中の置換基R〜Rにおいては、R及びRの中の少なくとも1つ、又は、R及びRの中の少なくとも1つが、炭素数1〜4のアルキル基又は置換されていてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基であることが好ましい。
また、R及びRの中の少なくとも1つ、かつ、R及びRの中の少なくとも1つが、炭素数1〜4のアルキル基又は置換されていてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基であることが好ましく、特に、R及びRの中の少なくとも1つ、かつ、R及びRの中の少なくとも1つが、置換されていてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基であることがより好ましい。
【0052】
式(1)で表される化合物における置換基Rは、−SO、−SOH、SOM、−COH、−CO、−SO、−SONHR又は−SONRを表す。
式(1)中、mは0〜5の整数を表し、mが2以上の整数である場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよい。
【0053】
として、好ましくは、カルボキシル基、エチルオキシカルボニル基、スルホキシル基、2−エチルヘキシロキシプロパンスルファモイル基、1,5−ジメチルヘキサンスルファモイル基、3−フェニル−1−メチルプロパンスルファモイル基、イソプロポキシプロパンスルファモイル基が挙げられる。
【0054】
式(1)中、Xは、ハロゲン原子を表し、aは、0又は1の整数を表す。
Xで示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子などが挙げられる。
【0055】
式(1)で表される化合物としては、下記式(1−1)又は(1−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0056】
【化23】

[式(1−1)中、R11〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、−R又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。該炭素数6〜10の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R、−OH、−OR、−SO、−SOH、−SONa、−COH、−CO、−SO、−SONHR又は−SONRで置換されていてもよい。
15は、水素原子、−SO、−SOH、−SONHR又は−SONRを表す。
16は、−SO、−SOH、−SONHR又は−SONRを表す。
、R、R、m、X及びaは、前記と同じ意味を表す。]
【0057】
【化24】

[式(1−2)中、R21〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、−R26又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。該炭素数6〜10の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R26、−OH、−OR26、−SO、−SONa、−COH、−CO26、−SOH、−SO26又は−SONHR28で置換されていてもよい。
25は、−SO、−SONa、−COH、−CO26、−SOH又は−SONHR28を表す。
26は、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、−OR27又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
27は、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
28は、水素原子、−R26、−CO26又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、該炭素数6〜10の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、−R26又は−OR26で置換されていてもよい。
m、X及びaは、前記と同じ意味を表す。]
【0058】
さらに、式(1)で表される化合物としては、下記式(1−3)で表される化合物であることが好ましい。
【0059】
【化25】

[式(1−3)中、R31及びR32は、それぞれ独立に、フェニル基を表す。該フェニル基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R26、−OR26、−CO26、−SO26又は−SONHR28で置換されていてもよい。
33は、−SO又は−SONHR28を表す。
34は、水素原子、−SO又は−SONHR28を表す。
26、R28、X及びaは、前記と同じ意味を表す。]
【0060】
さらに、式(1)で表される化合物としては、下記式(1−4)で表される化合物であることが、より好ましい。
【0061】
【化26】

[式(1−4)中、R41及びR42は、それぞれ独立に、フェニル基を表す。該フェニル基に含まれる水素原子は、−R26又は−SONHR28で置換されていてもよい。
43は、−SO又は−SONHR28を表す。
26、R28、X及びaは、前記と同じ意味を表す。]
【0062】
式(1)で表される化合物としては、例えば、下記式(1a)〜式(1f)で表される化合物が挙げられる。
【0063】
【化27】

[式(1a)中、R51及びR52は、それぞれ独立に、水素原子、−SO、−SOH、−COH又は−SONHR50を表す。R50は、2−エチルヘキシルを表す。X及びaは、上記と同じ意味を表す。]
【0064】
【化28】

[式(1b)中、R51は、上記と同じ意味を表す。]
【0065】
式(1b)で表される化合物は、式(1b−1)で表される化合物の互変異性体である。
【化29】

[式(1b−1)中、R51、X及びaは、上記と同じ意味を表す。]
【0066】
【化30】

[式(1c)及び式(1d)中、R53、R54及びR55は、それぞれ独立に、−SO、−SONa又は−SONHR50を表す。R50は、2−エチルヘキシルを表す。]
【0067】
【化31】

[式(1e)及び式(1f)中、R56、R57及びR58は、それぞれ独立に、水素原子、−SO、−SOH又は−SONHR50を表す。R50は、2−エチルヘキシルを表す。]
【0068】
式(1a)〜式(1f)で表される化合物としては、具体的には、スルホローダミンB、スルホローダミンBの−SO又は−SOHをスルホンアミド化した化合物、C.I.ソルベントレッド49、ローダミンB、C.I.アシッドバイオレット102、C.I.アシッドバイオレット102の−SO又は−SOHをスルホンアミド化した化合物、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドレッド289の−SO又は−SOHをスルホンアミド化した化合物などが挙げられる。本発明の製造方法を適用する着色剤(A)としては、中でも、式(1e)又は式(1f)で表される化合物が好ましく、具体的にはC.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドレッド289の−SO又は−SOHをスルホンアミド化した化合物が好ましい。とりわけ、式(A−I)で表される化合物が好ましい。
【化32】

【0069】
式(1)で表される化合物は、例えば、−SOHを有する色素または色素中間体を定法によりクロル化して、得られた−SOClを有する色素または色素中間体をR−NHで表されるアミンと反応させることにより製造することができる。また、特開平3−78702号公報3頁の右上欄〜左下欄に記載の方法により製造された色素を、上記同様、クロル化後、アミンと反応させることにより製造することができる。
【0070】
着色剤(A)が、式(1)で表される化合物を含有する着色剤である場合、着色剤(A)は、式(1)で表される化合物を含む着色剤(以下、「着色剤(A1)」という場合がある。)の他に、さらに他の染料を含有する着色剤であってよい。
【0071】
染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料、硫化染料、建染染料、ナフトール染料、反応染料、分散染料などが挙げられ、従来のカラーフィルタ用途として公知の染料から選択することができる。
具体的には、例えば、C.I.ソルベント・イエロー4、14、15、24、82、94、98、162;C.I.ソルベント・レッド45;
C.I.ソルベント・オレンジ2、7、11、15、26、56;
C.I.ソルベント・ブルー35、37、59、67;
C.I.アシッド・イエロー17、29、40、76;
C.I.アシッド・レッド91、92、97、114、138、151;
C.I.アシッド・オレンジ51、63;
C.I.アシッド・ブルー80、83、90;
C.I.アシッド・グリーン9、16、25、27;
C.I.ベーシック・レッド1などが挙げられ、好ましくは、C.I.ソルベント・イエロー82、162、C.I.ソルベント・レッド45、C.I.ソルベント・オレンジ56、C.I.ソルベント・ブルー6、C.I.アシッド・ブルー90、C.I.アシッド・グリーン9、16、C.I.ベーシック・レッド1などが挙げられる。
【0072】
着色剤(A1)及びその他の着色剤は、それぞれ1種または2種以上を組合わせて用いることができる。また、着色剤(A1)及びその他の着色剤は、任意の比率で混合して用いることができる。その場合、着色剤(A1)及びその他の着色剤の混合比率は、質量比で、以下の範囲にあることが好ましい。
着色剤(A1);20〜60質量%
その他の着色剤;40〜80質量%
【0073】
着色剤(A1)およびその他の着色剤の混合比率が前記の範囲にあると、目的の分光を得ることができ、好ましい。
【0074】
着色剤(A)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物中の固形分に対して質量分率で、好ましくは1〜75質量%であり、より好ましくは10〜70質量%であり、さらに好ましくは20〜65質量%である。ここで、固形分とは、着色硬化性樹脂組成物から溶剤を除いた成分の合計量をいう。着色剤(A)の含有量が前記の範囲にあると、目的の分光を得ることができ、好ましい。
【0075】
本発明の製造方法を適用する着色硬化性樹脂組成物に用いられるバインダー樹脂(B)としては、特に限定されるものではなく、通常、着色硬化性樹脂組成物に用いられるものを使用することができる。中でも、アルカリ性の現像液に溶解し得るアルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、例えば、カルボキシ基を有する樹脂、及びヒドロキシ基(特にフェノール性水酸基)を有する樹脂などが挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。
【0076】
そのようなアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、p−クレゾールのノボラック樹脂、p−クレゾールとm−クレゾールとのノボラック樹脂、下記式(3)で表される構造を有するノボラック樹脂などのノボラック樹脂、ポリビニルフェノール、スチレンとビニルフェノールとの共重合体などが挙げられる。中でも、ノボラック樹脂が好ましい。これらは、単独で又は2種以上組合わせて用いることができる。
【化33】

【0077】
バインダー樹脂(B)としては、例えば、マルカリンカーM、マルカリンカーCST−15、マルカリンカーCST−70(丸善石油化学(株)製)、ヒタノール1501(日立化成(株)製)、タッキロール101(田岡化学工業(株)製)、タマノル7508(荒川化学工業(株)製)、PSM−4261、PSM−4324、PSM−4327、PSM−4326(いずれも群栄化学(株)製)、CRG−951(昭和高分子(株)製)などの市販品を用いてもよい。
【0078】
バインダー樹脂(B)の分子量は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリスチレン換算の重量平均分子量として、3,000〜100,000、さらに5,000〜50,000程度であることが好ましい。バインダー樹脂(B)の重量平均分子量が前記の範囲にあると、塗布性が良好となる傾向があり、また現像時に膜減りが生じにくく、さらに現像時に非画素部分の抜け性が良好である傾向にあり、好ましい。
【0079】
バインダー樹脂(B)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物中の固形分に対して質量分率で、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは1〜20質量%である。バインダー樹脂(B)の含有量が前記の範囲にあると、露光部の像液への溶解性、パターンの形状が良好になる傾向があり、好ましい。
【0080】
本発明の製造方法を適用する着色硬化性樹脂組成物に用いられる感光剤(C)としては、特に限定されるものではなく、通常、着色硬化性樹脂組成物に用いられるものを使用することができる。例えば、o−ベンゾキノンジアジドスルホン酸エステル、o−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル、o−ベンゾキノンジアジドスルホン酸アミドまたはo−ナフトキノンジアジドスルホン酸アミドなどが挙げられ、感度が高い傾向にあることから、中でも、ナフトキノンジアジド基を有する化合物が好ましく、o−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルが特に好ましい。これらは、単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。
【0081】
ナフトキノンジアジド基を有する化合物としては、例えば、o−ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物と下記式(I)〜(V)からなる群から選択される少なくとも1種のフェノール化合物とのエステル化合物、及びこれらエステル化合物の2種以上の混合物などが挙げられる。
【0082】
【化34】

【0083】
o−ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物としては、o−ナフトキシノンジアジド−5−スルホン酸、o−ナフトキシノンジアジド−4−スルホン酸などが挙げられる。
【0084】
感光剤(C)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物中の固形分に対して質量分率で、好ましくは1〜40質量%、より好ましくは10〜40質量%である。感光剤(C)の含有量が前記の範囲にあると、未露光部と露光部の溶解速度差が大きくなることにより、現像残膜率が高く保持できる傾向があり、好ましい。
【0085】
本発明の製造方法を適用する着色硬化性樹脂組成物に用いられる硬化剤(D)としては、特に限定されるものではなく、通常、着色硬化性樹脂組成物に用いられるものを使用することができるが、中でも、加熱により硬化させる加熱硬化剤が適している。
【0086】
そのような硬化剤としては、例えば、メラミン化合物や下記式(i)〜(vi)の化合物などが挙げられる。
【化35】

【0087】
特に、本発明の製造方法を適用する着色硬化性樹脂組成物に用いられる硬化剤(D)としては、下記式(2)で表される2価の基を、2つ以上有する化合物であることが好ましい。
【化36】

[式(2)中、Yは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
【0088】
そのような化合物としては、具体的には、ヘキサメトキシメチルメラミン及び上記式(iii)、(iv)、(v)、(vi)で表される化合物などが挙げられる。
【0089】
硬化剤(D)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物中の固形分に対して質量分率で、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは10〜30質量%である。硬化剤(D)の含有量が、前記の範囲にあると、着色硬化性樹脂組成物から形成した塗膜やパターンの溶剤に対する耐性が良好になる傾向があり、好ましい。
【0090】
本発明の製造方法を適用する着色硬化性樹脂組成物が含有する溶剤(E)としては、好ましくは、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びジアセトンアルコールからなる群から選ばれる少なくとも2種の溶剤からなる溶剤が挙げられる。
即ち、乳酸エチルとプロピレングリコールモノメチルエーテルとの混合溶剤、乳酸エチルとジアセトンアルコールとの混合溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルとジアセトンアルコールとの混合溶剤、及び乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルとジアセトンアルコールとの混合溶剤が挙げられる。中でも、乳酸エチルを含有する混合溶剤であることがより好ましい。
【0091】
乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びジアセトンアルコールは、任意の比率で混合して用いることができる。
特に、乳酸エチルの含有量は、溶剤(E)の合計量に対して、好ましくは10〜90質量%であり、さらに15〜85質量%であることがより好ましい。
また、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びジアセトンアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種の溶剤の含有量は、溶剤(E)の合計量に対して、好ましくは10〜90質量%であり、さらに15〜85質量%であることがより好ましい。
【0092】
このような混合溶剤を用いることにより、着色硬化性樹脂組成物の各成分との相溶性を確保して、スピンコーター、スリット&スピンコーター、スリットコーター(ダイコーター、カーテンフローコーターとも呼ばれることがある。)、インクジェット、ロールコータ、ディップコーターなどの種々の塗布装置を利用して、種々の塗布法、特に、スピン塗布法によって凹凸基板上に塗布した場合においても、有効に筋の発生を防止することができる。
【0093】
溶剤(E)は、前述した溶剤のみで構成されることが好ましいが、本発明の効果を損なわない程度であれば、その他の溶剤を含んでいてもよい。その他の溶剤としては、通常、着色硬化性樹脂組成物に用いられている各種溶剤を使用することができ、例えば、モノアルコール、多価アルコールなどのアルコール類が挙げられる。
このようなアルコールとして、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、乳酸メチル、2-メチル乳酸メチル、3−メトキシブタノール、グリセリンなどが挙げられる。
【0094】
さらに、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル及びエチレングリコールモノブチルエーテルのようなエチレングリコールモノアルキルエーテル類;
メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類;
プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;
プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテルプロピレングリコールプロピルメチルエーテル、プロピレングリコールエチルプロピルエーテルなどのプロピレングリコールジアルキルエーテル類
プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールブチルエーテルプロピオネートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルプロピオネート類;
メトキシブチルアルコール、エトキシブチルアルコール、プロポキシブチルアルコール、ブトキシブチルアルコールなどのブチルジオールモノアルキルエーテル類;
メトキシブチルアセテート、エトキシブチルアセテート、プロポキシブチルアセテート、ブトキシブチルアセテートなどのブタンジオールモノアルキルエーテルアセテート類;
メトキシブチルプロピオネート、エトキシブチルプロピオネート、プロポキシブチルプロピオネート、ブトキシブチルプロピオネートなどのブタンジオールモノアルキルエーテルプロピオネート類;
ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテルなどのジプロピレングリコールジアルキルエーテル類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類;
メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3−ヒドロキシプロピオン酸ブチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸プロピル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸プロピル、エトキシ酢酸ブチル、プロポキシ酢酸メチル、プロポキシ酢酸エチル、プロポキシ酢酸プロピル、プロポキシ酢酸ブチル、ブトキシ酢酸メチル、ブトキシ酢酸エチル、ブトキシ酢酸プロピル、ブトキシ酢酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸ブチル、2−ブトキシプロピオン酸メチル、2−ブトキシプロピオン酸エチル、2−ブトキシプロピオン酸プロピル、2−ブトキシプロピオン酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸プロピル、3−エトキシプロピオン酸ブチル、3−プロポキシプロピオン酸メチル、3−プロポキシプロピオン酸エチル、3−プロポキシプロピオン酸プロピル、3−プロポキシプロピオン酸ブチル、3−ブトキシプロピオン酸メチル、3−ブトキシプロピオン酸エチル、3−ブトキシプロピオン酸プロピル、3−ブトキシプロピオン酸ブチル、ピルビン酸エチルなどのエステル類;
テトラヒドロフラン、ピランなどの環状エーテル類;
γ−ブチロラクトンなどの環状エステル類;
さらに、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサン、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテルなどを含有していてもよい。
【0095】
溶剤(E)の含有量は、着色硬化性樹脂組成物に対して質量分率で、好ましくは10〜90質量%、より好ましくは50〜90質量%である。溶剤(E)の含有量が、前記の範囲にあると、塗布性が良好になる傾向があり、好ましい。
【0096】
本発明の着色硬化性樹脂組成物の製造方法は、(1)着色硬化性樹脂組成物を構成する成分を混合し、混合物を得る混合工程を含む。
着色硬化性樹脂組成物を構成する成分を混合する方法は、特に限定されるものではなく、着色硬化性樹脂組成物の製造に常用される方法、装置などを用いることができる。例えば、ガラス製セパラブルフラスコ、ビーカー、スクリュー管など、好ましくはステンレス鋼製攪拌槽に、各成分を順次、別々に投入して混合することができる。また、投入前に、例えば、バインダー樹脂、着色剤などを溶剤とあらかじめ混合しておくなど、各成分を予備混合してから投入し、混合してもよい。
ここで、着色硬化性樹脂組成物を構成する成分であって、該工程において混合する成分としては、例えば、前記の着色剤(A)、バインダー樹脂(B)、感光剤(C)、硬化剤(D)及び溶剤(E)などが挙げられる。
【0097】
各成分を混合する際の温度は、特に限定されないが、例えば、溶剤が凝固しない温度である10℃以上であることが好ましく、特に20℃以上であることが好ましい。また、製造中の組成物の劣化を抑制できる傾向にあることから、60℃以下であることが好ましく、特に40℃以下であることが好ましい。
【0098】
本発明の着色硬化性樹脂組成物の製造方法は、(2)混合工程で得られた混合物を攪拌する攪拌工程を含む。
【0099】
混合物を攪拌する工程は、各成分を均一に攪拌混合することができる限り、特に限定されるものではなく、着色硬化性樹脂組成物の製造に常用される方法、装置などを用いることができる。
混合工程で用いられる混合槽と攪拌工程で用いられる攪拌槽は、通常同じであることが好ましく、ステンレス鋼製攪拌槽、ガラス製セパラブルフラスコ、ビーカー、スクリュー管などが用いられる。
攪拌装置は、製造量、攪拌槽の種類などによって選択することができる。例えば、エアモーター式攪拌機、タービンステーター型高速回転式攪拌機、ディスクミル型攪拌機、ローターミル型攪拌機、メカニカルスターラー、マグネティックスターラー、ミックスローターなどの攪拌装置が挙げられ、中でも、エアモーター式攪拌機が好ましい。また、攪拌翼としては、パドル翼、多段パドル翼、プロペラ翼、ファウドラー翼、多段ファウドラー翼、ブルーマージン翼、アンカー翼、ループ翼、マックスブレンド翼、フルーゾーン翼
などが挙げられ、中でも、好ましくは、パドル翼、アンカー翼、プロペラ翼が挙げられる。
これらの装置は、例えば、ガラス製セパラブルフラスコ、メカニカルスターラー、パドル翼、アンカー翼の組み合わせなどで用いることができるが、特に、ステンレス鋼製攪拌槽、エアモーター式攪拌機及びパドル翼の組み合わせで攪拌工程を行うことが好ましい。
【0100】
本発明の攪拌工程における攪拌条件は、特に限定されるものではなく、各成分が均一に混合されるように、攪拌、混練しようとする成分、その物性(粘度など)や含有量などによって適宜調整することができるが、好ましい攪拌条件としては、例えば以下の条件が挙げられる。
【0101】
攪拌速度は、例えば、各成分を十分均一に混合するために、好ましくは10〜1000rpmであり、さらに100〜700rpmとすることがより好ましい。
また、攪拌時間は、攪拌速度によっても異なるが、5〜30時間とすることが好ましく、さらに20〜28時間とすることが好ましい。通常、攪拌速度が速いほど、攪拌に要する時間は短縮される傾向にある。
さらに、攪拌時の温度は、各成分の溶解度の点から、15℃以上であることが好ましく、さらに20℃以上であることがより好ましい。また、含有する成分の劣化を抑制できることから、30℃以下であることが好ましく、さらに25℃以下であることがより好ましい。前記の範囲で攪拌が行われると、成分の劣化を抑制して迅速に溶解することができる傾向にあり、好ましい。
【0102】
混合工程と攪拌工程は、別々に行っても、同時に行ってもよい。即ち、着色硬化性樹脂組成物を構成する全ての成分を混合機内へ投入した後、攪拌を開始してもよく、また、一部の成分を投入後、攪拌しながら、残りの各成分を順次、混合機内に投入、攪拌し、混合物を得ることもできる。
混合と攪拌を同時に行う場合、攪拌速度などの操作条件は、混合機内へ投入する成分、投入順などによって、適宜変更し、調整することができる。
【0103】
さらに、本発明の着色硬化性樹脂組成物の製造方法は、攪拌工程を経て得られた混合物を、(3)20℃以上40℃以下の温度で、10時間以上720時間以下静置する保温処理の工程、及び、(4)濾過して濾液を回収する濾過工程を含む。
【0104】
(3)保温処理の工程及び(4)濾過工程は、任意の順に行ってよい。即ち、攪拌工程を経て得られた混合物を、保温処理した後、濾過を行ってもよく、又は、濾過を行った後、保温処理を行ってもよい。好ましくは、攪拌工程を経て得られた混合物を、保温処理した後に濾過を行う。
【0105】
保温処理は、20℃以上40℃以下の温度で、10時間以上720時間以下の時間静置して行う。該保温処理を行うことにより、現像ムラを生じない塗膜を形成し得る着色硬化性樹脂組成物を得ることができる。このような着色硬化性樹脂組成物は、例えば、カラーフィルタを構成する着色パターンを形成するための原料として、有用である。
【0106】
保温処理は、攪拌工程を経て得られた混合物を、攪拌混合機から別の容器、装置などに移し替えて行っても、攪拌混合機内でそのまま連続して行ってもよい。好ましくは、別の容器に移して行う。
【0107】
保温温度(X)は、低すぎると現像ムラが抑制された組成物を得るまでに保温時間が長くかかり、生産性が低下する傾向にあるため、20℃以上であり、さらに22℃以上、特に23℃以上であることが好ましい。また、高すぎると含有する成分が劣化して感度等の性能が低下する傾向があるため、40℃以下であり、さらに35℃以下、特に30℃以下であることが好ましい。また、適切な保温時間を決定し、管理する上で、保温温度を一定に保つことが好ましい。
ここで、該工程における「保温温度」とは、保温処理時に、混合物自体の温度を測定した場合に示される温度を意味する。混合物の温度は、通常、攪拌工程における攪拌時の温度を維持することにより、あるいは加温又は冷却することにより、20℃以上40℃以下の温度となるように調整することができる。
【0108】
保温時間(Y)は、短すぎると現像ムラが発生する傾向にあるため、10時間以上であり、さらに20時間以上、特に30時間以上であることがより好ましい。また、長すぎると含有する成分が劣化して感度等の性能が低下する傾向にあるため、720時間以下であり、さらに500時間以下、特に300時間以下であることがより好ましい。
【0109】
さらに、前記の保温温度(X)及び保温時間(Y)が、下記式(I)を充足する関係にあることが好ましい。即ち、式(I)によれば、保温温度が低いほど、比較的長い時間保温処理を行うことが好ましい。
−7.2(X)+330≦(Y) (I)
【0110】
保温温度(X)及び時間(Y)が、式(I)を充足する関係にあると、例えば、保温温度が低く、かつ、保温時間が短い場合に発生しやすい、塗膜やパターンの現像ムラを抑制する傾向にあり、好ましい。また、保温温度が高く、かつ、保温時間が短い場合において、着色硬化性樹脂組成物に含まれる感光剤や硬化剤が分解されることにより、組成物の粘度が上昇して塗布性、現像性又は耐薬品性が低下したり、組成物の感度が低下することにより、生産性が低くなったり、また、着色剤の分解により分光が変化したりする傾向を抑制することができるため、好ましい。
【0111】
混合物を濾過する工程は、混合物中に混入した微細な異物などを除去し、目的とする組成物を得ることができる限り、特に限定されるものではなく、着色硬化性樹脂組成物の製造に常用される方法、装置などを用いることができる。例えば、吸引濾過、減圧濾過、加圧濾過などにより濾過を行うことができ、中でも加圧濾過が好ましい。
【0112】
該工程における濾過条件は、特に限定されないが、より好ましい濾過条件としては、例えば、以下のような条件が挙げられる。
【0113】
濾過に用いるフィルタは、従来の濾過用途などに用いられているものであれば、特に限定されることなく使用することができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)などの材質からなるフィルタや金属フィルタなどが挙げられる。
【0114】
フィルタの孔径は、0.01〜0.5μm程度が適しており、好ましくは0.01〜0.2μm、さらに0.01〜0.1μmであることが好ましい。フィルタの孔径が前記の範囲にあると、均一及び平滑な着色硬化性樹脂組成物の調製を阻害する微細な異物などを、溶解した組成物中から除去することが可能となるため、好ましい。
フィルタの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタなどが提供する各種のフィルタが挙げられ、目的とする組成物にあわせて、これらの中から適宜選択して使用することができる。
【0115】
加圧濾過において、溶解した組成物をフィルタに通す際の圧力は、必要十分な濾過量が確保できれば特に制限はされないが、好ましくは0.1〜1.0MPa、特に0.2〜0.5MPaに調整することが好ましい。
加圧に使用するガスの種類としては、空気、窒素などが好ましい。これらの中では安全性の観点から、不活性ガスである窒素が特に好ましく用いられる。
【0116】
また、濾過は、1回のみ行ってもよいし、2回以上行ってもよい。2回以上行う場合は、連続して行ってもよいし、別々の段階で行ってもよい。その際、孔径の異なるフィルタを組合わせて用いることもできる。
【0117】
濾過の際の混合物の温度は、20〜40℃であることが好ましく、さらに20〜25 ℃であることが好ましい。
【0118】
さらに、本発明の製造方法を適用する着色硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、連鎖移動剤などの種々の添加剤を併用していてもよい。これらの種々の添加剤は、本発明の方法において、均一に混合される限り、特に限定されることなく適宜混合することができる。通常、着色硬化性樹脂組成物を構成する成分である、例えば前記の着色剤、バインダー樹脂、溶剤などを混合する工程において混合されることが好ましい。
【0119】
界面活性剤としては、市販の界面活性剤を用いることができる。界面活性剤は、シリコーン系、フッ素系、エステル系、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性などの界面活性剤のいずれでもよい。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類、ポリエチレンイミン類などが挙げられ、商品名でKP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄化学(株)製)、エフトップ(トーケムプロダクツ社製)、メガファック(DIC(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子(株)製)、ソルスパース(ゼネカ(株)製)、EFKA(EFKA CHEMICALS社製)、PB821(味の素(株)製)などを用いることができる。
【0120】
密着促進剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0121】
酸化防止剤としては、例えば、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンズ[d、f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどが挙げられる。
【0122】
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、オクチル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネート、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(2’−エチル)ヘキシル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブチルオキシフェニル)−6−(2,4−ビス−ブチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0123】
光安定剤としては、例えば、コハク酸と(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)エタノールからなる高分子、N,N',N'',N'''−テトラキス(4,6−ビス(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、デカンジオイックアシッドと、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステルと、1,1−ジメチルエチルヒドロパーオキシドとの反応物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケートなどが挙げられる。
【0124】
連鎖移動剤としては、例えば、ドデシルメルカプタン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。
【0125】
本発明の製造方法により得られる着色硬化性樹脂組成物は、例えば、以下のようにして、基材、例えば、シリコンウェハ、ガラス、金属、プラスチック等の基板、カラーフィルタ、各種絶縁又は導電膜、駆動回路等を形成したこれらの基板上に塗布することによって、塗膜を形成することができる。塗膜は、乾燥及び硬化したものであることが好ましい。また、得られた塗膜を所望の形状にパターニングして、パターンとして用いることもできる。さらに、これら塗膜又はパターンを、表示装置等の構成部品の一部として形成して使用してもよい。
【0126】
まず、本発明の製造方法により得られた着色硬化性樹脂組成物を、基材上に塗布する。
塗布は、前述したように、スピンコーター、スリット&スピンコーター、スリットコーター、インクジェット、ロールコータ、ディップコーターなどの種々の塗布装置を用いて行うことができる。中でも、溶解性、乾燥防止、異物の発生防止などの理由から、スピンコート法による塗布、つまり、スリット&スピンコーター又はスピンコーターなどを利用する塗布を行うことが好ましい。
【0127】
次いで、乾燥又はプリベークして、溶剤などの揮発成分を除去することが適している。これにより、平滑な未硬化塗膜を得ることができる。
乾燥又はプリベークの温度は、例えば、80〜130℃程度が挙げられる。また、塗膜の膜厚は、特に限定されず、用いる材料、用途等によって適宜調整することができ、例えば、0.4〜2μm程度が例示される。
【0128】
さらに、得られた未硬化塗膜に、目的のパターンを形成するためのマスクを介して、光、例えば、水銀灯、発光ダイオードから発生する紫外線などを照射する。この際のマスクの形状は特に限定されず、種々の形状が挙げられる。また、線幅も、マスクサイズによって、適宜調整することができる。
露光には、例えば、マスクアライナーやステッパーなどの露光装置を使用する。これらを用いれば、露光部全体に均一に平行光線を照射でき、且つマスクと基板の正確な位置合せを行える。光源の種類は、ポジ型感光性組成物を可溶化できる限り特に限定されないが、通常、g線、h線又はi線などの紫外線が使用される。
【0129】
この後、塗膜をアルカリ水溶液に接触させて所定部分、例えば、露光部を溶解させ、現像することにより、目的とするパターン形状を得ることができる。
現像方法は、液盛り法、ディッピング法、スプレー法などのいずれでもよい。さらに現像時に基材を任意の角度に傾けてもよい。
【0130】
現像に使用する現像液は、通常、アルカリ性化合物と界面活性剤とを含む水溶液である。アルカリ性化合物は、無機及び有機のアルカリ性化合物のいずれであってもよい。
無機アルカリ性化合物の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二アンモニウム、燐酸二水素アンモニウム、燐酸二水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニアなどが挙げられる。
また、有機アルカリ性化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミンなどが挙げられる。
これらの無機及び有機アルカリ性化合物のアルカリ現像液中の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.03〜5質量%である。
【0131】
アルカリ現像液中の界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤のいずれであってもよい。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、その他のポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウムやオレイルアルコール硫酸エステルナトリウムのような高級アルコール硫酸エステル塩類、ラウリル硫酸ナトリウムやラウリル硫酸アンモニウムのようなアルキル硫酸塩類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウムのようなアルキルアリールスルホン酸塩類などが挙げられる。
カチオン系界面活性剤としては、例えば、ステアリルアミン塩酸塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライドのようなアミン塩又は第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
アルカリ現像液中の界面活性剤の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜8質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%である。
【0132】
現像後、水洗を行い、さらに必要に応じて、ポストベークを行ってもよい。ポストベークは、例えば、150〜250℃、好ましくは160〜220℃、より好ましくは170〜200℃で行われる。ポストベーク時間は、数分程度、例えば、1〜3分間が適している。
【0133】
このようにして得られる塗膜又はパターンは、例えば、液晶表示装置に使用されるフォトスペーサ、パターニング可能なオーバーコート、カラーフィルタとして有用である。また、未硬化塗膜へのパターニング露光の際に、ホール形成用フォトマスクを使用することにより、ホールを形成することができ、層間絶縁膜として有用である。さらに、未硬化塗膜への露光の際に、フォトマスクを使用せず、全面露光及び加熱硬化又は加熱硬化のみを行うことにより、透明膜又は着色膜を形成することができる。この透明膜又は着色膜は、オーバーコートとして有用である。また、タッチパネル等の表示装置にも用いることができる。これにより、高品質の塗膜又はパターンを備えた表示装置を、高い歩留りで製造することが可能である。
本発明の製造方法により得られる着色硬化性樹脂組成物は、液晶表示装置やイメージセンサの画素となる塗膜又は着色パターンなどを形成するために好適に利用することができる。また、これらの塗膜又はパターンをその構成部品の一部として備えるカラーフィルタ、アレイ基板、さらに、これらカラーフィルタ及び/又はアレイ基板などを具備する表示装置、例えば、液晶表示装置、有機EL装置、固体撮像装置などに利用することができる。
【実施例】
【0134】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特に断らない限り質量基準である。
【0135】
[実施例1]
(A)着色剤:式(A−I)で表される着色剤(以下、「着色剤A−a」とする) 21部
(A)着色剤:C.I.ソルベントオレンジ56 20部
(A)着色剤:C.I.ソルベントイエロー162 18部
(B)バインダー樹脂:樹脂B−a 2部(固形分換算2部)
※ 樹脂B−a;マルカリンカーCST−15〔丸善石油化学(株)製〕(スチレンとヒドロキシスチレンの共重合体。全共重合体ユニットに対してヒドロキシスチレンの割合が15モル%、重量平均分子量9.0×10(カタログ値))
(C)感光剤:o−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸と下記式(C−I)で表される化合物とのエステル化物(以下、「感光剤C−a」とする) 24部
(D)硬化剤:ヘキサメトキシメチロールメラミン 16部
(E)溶剤:乳酸エチル 130部
(E)溶剤:ジアセトンアルコール 152部
(E)溶剤:1−メトキシ−2−プロパノール 152部
上記成分を、ビーカーに順次投入し、混合した(混合工程)。その後、23℃で24時間、攪拌速度400rpmで攪拌し各成分を均一に混合した(攪拌工程)。攪拌工程を経て得られた混合物をサンプル瓶に移し替え、20℃で192時間静置し、保温処理を行った(保温処理工程)。保温処理後の混合物を、孔径0.1μmのメンブレンフィルター〔日本インテグリス株式会社社製〕を用いて、窒素中、0.3MPaの条件下で加圧濾過し(濾過工程)、着色硬化性樹脂組成物1を得た。
なお、着色硬化性樹脂組成物に対して、50ppmのシリコーン系界面活性剤〔SH8400:東レ・ダウコーニング製〕を、上記混合工程で添加した。
【0136】
【化37】

【0137】
【化38】

【0138】
得られた着色硬化性樹脂組成物1について、下記の方法によりパターンを形成し、現像ムラの評価を行った。結果を表3に示す。
【0139】
<パターン形成>
シリコンウェハ上にポリグリシジルメタクリレート樹脂を主成分とした平坦化膜形成材をスピンコート法により塗布し、120℃で2分間加熱して揮発成分を除去し、0.96μmの膜厚の支持体を形成した。該支持体上に、プリベーク後の膜厚が1.00±0.05μmとなるように、着色硬化性組成物1をスピンコート法により塗布した。次いで100℃で1分間プリベークして、塗膜を形成した。その後、露光機〔NSR−1755i7A;(株)ニコン製〕を用いて、露光量を段階的に変化させて、i線を照射した。
なお、フォトマスクとして、3μm角の市松状パターンを形成するためのフォトマスクを用いた。
照射後、現像液〔2.38%TMAH水溶液、23℃〕に1分間浸漬し、現像した。現像後、水洗、乾燥をして、赤色パターンを得た。得られたパターンの膜厚は、膜厚測定装置〔Axiospeed;Zeiss社製〕を用いて測定したところ、0.95μmであった。
【0140】
<感度評価>
得られたパターンの幅を、走査型電子顕微鏡〔S−4000;(株)日立製作所製〕でパターン上面から測定し、パターンの幅が3μmとなる露光量を感度とした。結果を表1に示す。
【0141】
<現像ムラ評価>
得られたパターンを、走査型電子顕微鏡〔S−4000;(株)日立製作所製〕でパターン上面から観察した。現像ムラが生じていないものを良好と、生じているものを不良と判断した。良好である場合を○として、結果を表3に示す。
【0142】
[実施例2〜8]
表1及び2に示す組成となるように、実施例1と同様にして、着色硬化性樹脂組成物を構成する各成分を混合(混合工程)、攪拌(攪拌工程)した。攪拌工程を経て得られた混合物を、表1及び2に示す保温温度及び保温時間で保温処理し(保温処理工程)、その後、実施例1と同様にして濾過を行い(濾過工程)、着色硬化性樹脂組成物を得た。得られた着色硬化性樹脂組成物について、実施例1と同様にしてその評価を行った。結果を表1〜表3に示す。
【0143】
[比較例1]
表1に示す組成となるように、実施例1と同様にして、着色硬化性樹脂組成物を構成する各成分を混合(混合工程)、攪拌(攪拌工程)した。その後、保温処理(保温処理工程)を行わずに、実施例1と同様にして、第2工程を経て得られた混合物の濾過を行い(濾過工程)、着色硬化性樹脂組成物を得た。得られた着色硬化性樹脂組成物について、実施例1と同様にしてその評価を行った。結果を表1及び表3に示す。
【0144】
【表1】

【0145】
【表2】

【0146】
【表3】

【0147】
本発明の製造方法により得られた着色硬化性樹脂組成物からなる塗膜は、塗膜の現像ムラを生じないことがわかった。一方、保温処理を行わなかった比較例の着色硬化性樹脂組成物からは、現像ムラを生じない塗膜を形成することができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本発明の製造方法によれば、現像ムラを生じない塗膜を形成し得る着色硬化性樹脂組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
(1)着色硬化性樹脂組成物を構成する成分を混合し、混合物を得る混合工程
(2)混合工程で得られた混合物を攪拌する攪拌工程
を含み、さらに、攪拌工程を経て得られた混合物を、
(3)20℃以上40℃以下の温度で、10時間以上720時間以下静置する保温処理工程、及び、
(4)濾過して濾液を回収する濾過工程
を任意の順に含む、着色硬化性樹脂組成物の製造方法。
【請求項2】
保温処理工程を行った後に、濾過工程を行う請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
保温処理工程における温度(X)及び時間(Y)が、式(I)を充足する、請求項1又は2に記載の製造方法。
−7.2(X)+330≦(Y) (I)
【請求項4】
着色硬化性樹脂組成物が、着色剤(A)、バインダー樹脂(B)、感光剤(C)、硬化剤(D)及び溶剤(E)を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
着色剤(A)が、式(1)で表される化合物を含む着色剤である、請求項4に記載の製造方法。
【化1】

[式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、−R又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R、−OH、−OR、−SO、−SOH、SOM、−COH、−CO、−SO、−SONHR又は−SONRで置換されていてもよい。
は、−SO、−SOH、SOM、−COH、−CO、−SO、−SONHR又は−SONRを表す。
mは、0〜5の整数を表す。mが2以上の整数である場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよい。
Xは、ハロゲン原子を表す。
aは、0又は1の整数を表す。
は、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。該飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は−NR−で置換されていてもよい。
は、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。該飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置換されていてもよい。
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基又は−Qを表す。あるいはR及びRは、互いに結合して炭素数1〜10の複素環を形成していてもよい。
Qは、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基又は炭素数5〜10の芳香族複素環基を表し、該芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基に含まれる水素原子は、−OH、−R、−OR、−NO、−CH=CH、−CH=CHR又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基に含まれる水素原子は、水酸基、ハロゲン原子、−Q、−CH=CH又は−CH=CHRで置換されていてもよい。炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は−NR−で置換されていてもよい。炭素数1〜10の複素環に含まれる水素原子は、−R、−OH又は−Qで置換されていてもよい。
Mは、ナトリウム原子又はカリウム原子を表す。]
【請求項6】
溶剤(E)が、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びジアセトンアルコールからなる群から選ばれる少なくとも2種の溶剤を含んでなる溶剤である、請求項4又は5に記載の製造方法。
【請求項7】
感光剤(C)が、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルである、請求項4〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
硬化剤(D)が、式(2)で表される2価の基を2つ以上有する硬化剤である、請求項4〜7のいずれかに記載の製造方法。
【化2】

[式(2)中、Y1は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法により得られる着色硬化性樹脂組成物を用いて形成される塗膜。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法により得られる着色硬化性樹脂組成物を用いて形成されるパターン。

【公開番号】特開2011−32300(P2011−32300A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176705(P2009−176705)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】