説明

着色硬化性組成物及びその調製方法、カラーフィルタ及びその製造方法、並びに固体撮像素子

【課題】分散性、分散安定性に優れた着色硬化性組成物の調製方法を提供し、それによって得られた着色硬化性組成物を提供し、また、色純度が高く、色ムラ発生が抑えられたカラーフィルタの製造方法を提供し、それによって得られたカラーフィルタを提供し、さらに高解像度の固体撮像素子を提供する。
【解決手段】少なくとも染料を有機溶剤に溶解して染料溶液を調製する工程、少なくとも顔料を分散剤で分散して顔料分散液を調製する工程、および前記染料溶液と前記顔料分散液を混合する工程、を有する着色硬化性組成物の調製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色硬化性組成物及びその調製方法、カラーフィルタ及びその製造方法、並びに固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD等)や固体撮像素子(CCD、CMOS等)に用いられるカラーフィルタを作製する方法として、顔料分散法が広く知られている。
【0003】
顔料分散法は、顔料を種々の感光性組成物に分散させた着色硬化性組成物を用いてフォトリソ法によってカラーフィルタを作製する方法である。これは、フォトリソ法によってパターニングするため、位置精度が高く、大画面、高精細のカラーフィルタを作製するのに好適な方法とされている。顔料分散法によりカラーフィルタを作製する場合、ガラス基板上に着色硬化性組成物をスピンコーターやロールコーター等により塗布して塗膜を形成し、該塗膜をパターン露光・現像することによって着色画素が形成され、この操作を各色毎に繰り返し行なうことでカラーフィルタが得られる。
顔料を用いた着色硬化性組成物としては、例えば、特許文献1に記載のフタロシアニン系顔料を含有するカラーフィルタ用青色着色硬化性組成物が知られている。
【0004】
顔料を用いたカラーフィルタを設けて液晶表示装置や固体撮像素子等を作製する場合、コントラスト向上、解像度向上の点から、より微小な粒子サイズの顔料が求められるようになっている。これは、顔料による光の散乱、複屈折等で偏光軸が回転してしまうとの要因によるものである。顔料の微細化が不充分であると、顔料により光が散乱、吸収され、光透過率が低下し、コントラストが低くなり、或いは色ムラが生じやすく、更にはパターン露光時の硬化感度が低下してしまう。
【0005】
特に、固体撮像素子用のカラーフィルタにおいては、近年、更なる高精細化が望まれているため、従来から行なわれている顔料分散法では、解像度を更に向上させることが困難な状況にある。つまり、顔料の粗大粒子の影響で色ムラが発生する等の問題がある。そのため、顔料分散法は、固体撮像素子のような画素サイズが0.9〜3.0μm角となるような微細パターンが要求される用途には適さなかった。
【0006】
このような状況に対応して、従来から顔料に代えて染料を使用する技術が提案されている。しかしながら、染料は、一般に顔料に比べて耐光性、耐熱性に劣ることが知られており、カラーフィルタの性能の点で問題となることがあった。また、染料は着色硬化性組成物に対する溶解性が低く、液状調製物や塗布膜の状態では経時での安定性が低く、染料が析出してしまうといった問題も有していた。
これらの問題に対して、ジピロメテン系化合物を含む染料とフタロシアニン染料とを併用することで、保存安定性に優れ、耐光性の高いカラーフィルタを形成しうる着色硬化性組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0007】
また、染料と顔料とを組み合わせた着色硬化性組成物も知られている(例えば、特許文献3参照。)が、染料と顔料とを用いた着色硬化性組成物の調製方法と液性状については考慮されていないのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−33616号公報
【特許文献2】特開2008−292970号公報
【特許文献3】特開2009−86375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記したように、顔料と染料とを用いて着色硬化性組成物を調製するにあたって、顔料と染料とを混合するが、顔料と染料とを混合する方法としては、顔料を分散した顔料分散物に粉体の染料を直接混合し着色硬化性組成物を調製する方法が考えられる。着色硬化性組成物中の固形分濃度が高い場合や、顔料に対する染料の質量比率が大きい場合には、粉体の染料を直接顔料分散液に添加すると、添加後の攪拌溶解工程で、染料が有機溶剤に溶解していく過程で、顔料の分散状態が変化し、顔料の分散性、分散安定性が劣化してしまう、という問題があった。
また、粉体の染料を直接顔料分散液に添加する場合は、粉体である染料の溶解に時間がかかるケースや完全に染料が溶解しないケースがあったり、また、溶解したことの確認が難しいという点で、製造上の観点でも問題があった。
【0010】
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、分散性、分散安定性に優れた着色硬化性組成物の調製方法を提供し、それによって得られた着色硬化性組成物を提供し、また、色純度が高く、色ムラ発生が抑えられたカラーフィルタの製造方法を提供し、それによって得られたカラーフィルタを提供し、さらに高解像度の固体撮像素子を提供することを本発明の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 少なくとも染料を有機溶剤に溶解して染料溶液を調製する工程、少なくとも顔料を分散剤で分散して顔料分散液を調製する工程、および前記染料溶液と前記顔料分散液を混合する工程、を有する着色硬化性組成物の調製方法。
【0012】
<2> 前記着色硬化性組成物の固形分が、前記着色硬化性組成物全体に対して、13質量%〜20質量%の範囲である<1>に記載の着色硬化性組成物の調製方法。
<3> 前記着色硬化性組成物における顔料の含有量および染料の含有量が、前記着色硬化性組成物の固形分に対して、それぞれ10質量%〜60質量%の範囲、および10質量%〜60質量%の範囲である<1>または<2>に記載の着色硬化性組成物の調製方法。
【0013】
<4> 前記着色硬化性組成物における染料の含有量が、顔料の含有量に対して、20質量%〜500質量%の範囲である<1>〜<3>のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物の調製方法。
<5> 前記染料溶液における有機溶剤が、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、およびエチルラクテートからなる群から選ばれた少なくとも1種である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物の調製方法。
【0014】
<6> 前記顔料がフタロシアニン系顔料を含み、且つ、前記染料が下記一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位した錯体である<1>〜<5>のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物の調製方法。
【0015】
【化1】

【0016】
〔一般式(I)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。〕
【0017】
<7> <1>〜<6>のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物の調製方法により調製された着色硬化性組成物。
<8> さらに重合性化合物および重合開始剤を含む<7>に記載の着色硬化性組成物。
【0018】
<9> 支持体上に、<7>または<8>に記載の着色硬化性組成物を塗布して着色硬化性組成物層を形成する工程(A)と、
前記着色硬化性組成物層を、マスクを介して露光した後、現像して着色パターンを形成する工程(B)と、
を有するカラーフィルタの製造方法。
【0019】
<10> <9>に記載のカラーフィルタの製造方法により製造されたカラーフィルタ。<11> <10>に記載のカラーフィルタを備えた固体撮像素子。
【0020】
本発明においては、顔料を分散剤で分散した顔料分散液を調製し、他方、粉体の染料を有機溶剤に溶解して染料溶液を調製した後、該顔料分散液と該染料溶液を混合して着色硬化性組成物を調製することによって、顔料の分散状態に影響を与えることがなく、分散状態をより高い状態にすることができる。これは染料が均一に分子状に溶解し、染料分子が顔料の表面に吸着し、顔料表面を保護してさらに良好な分散状態を実現したものと推定される。これによって、顔料の分散安定性を保持でき、分散の経時変化を小さくできたものと思われる。
また、本発明によれば、粉体の染料が溶液に溶解するのに要する時間が短縮されるため、着色硬化性組成物を調製する時間が短くなることや、染料が有機溶剤に溶解したことの確認が容易であることから、着色硬化性組成物の調製がし易くなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、分散性、分散安定性に優れた着色硬化性組成物の調製方法を提供することができ、それによって得られた着色硬化性組成物を提供することができる。また、色純度が高く、色ムラ発生が抑えられたカラーフィルタの製造方法を提供することができ、それによって得られたカラーフィルタを提供することができる。さらに高解像度の固体撮像素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の着色硬化性組成物の調製方法は、少なくとも染料を有機溶剤に溶解して染料溶液を調製する工程、少なくとも顔料を分散剤で分散して顔料分散液を調製する工程、および前記染料溶液と前記顔料分散液を混合する工程、を有することを特徴とする。
【0023】
<染料溶液、染料>
まず、少なくとも染料を有機溶剤に溶解して染料溶液を調製する工程を説明する。
本発明において用いられる染料としては、特に制限はなく、従来カラーフィルタ用途として用いられている公知の染料を使用できる。例えば、特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特許第2592207号、米国特許第4,808,501号明細書、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報、特開平8−211599号公報、特開平4−249549号公報、特開平10−123316号公報、特開平11−302283号公報、特開平7−286107号公報、特開2001−4823号公報、特開平8−15522号公報、特開平8−29771号公報、特開平8−146215号公報、特開平11−343437号公報、特開平8−62416号公報、特開2002−14220号公報、特開2002−14221号公報、特開2002−14222号公報、特開2002−14223号公報、特開平8−302224号公報、特開平8−73758号公報、特開平8−179120号公報、特開平8−151531号公報等に記載の色素である。
【0024】
好ましい染料の化学構造としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ペンゾピラン系、インジゴ系等の染料が使用できる。
【0025】
−一般式(I)で表される化合物と金属原子又は金属化合物とを含む錯体−
特に、好ましくは下記一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位した錯体(以下、適宜、「特定錯体」と称する。)である。
【0026】
【化2】

【0027】
一般式(I)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
【0028】
一般式(I)においてR〜Rで表される置換基は、以下に示されるような1価の基(以下、列記した一価の基の群を「置換基R」と総称する場合がある。)が挙げられる。
即ち、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24の、直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−ノルボルニル基、1−アダマンチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜18のアルケニル基で、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基)、シリル基(好ましくは炭素数3〜38、より好ましくは炭素数3〜18のシリル基で、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリブチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ヘキシルジメチルシリル基)、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルコキシ基で、例えば、メトキシ基、エトキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、ドデシルオキシ基、また、シクロアルキルオキシ基であれば、例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ基、1−ナフトキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環オキシ基で、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアシルオキシ基で、例えば、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルオキシ基で、例えば、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、また、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基であれば、例えば、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜48、よりこの好ましくは炭素数1〜24のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N−ブチルカルバモイルオキシ基、N−フェニルカルバモイルオキシ基、N−エチル−N−フェニルカルバモイルオキシ基)、スルファモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジエチルスルファモイルオキシ基、N−プロピルスルファモイルオキシ基)、アルキルスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜38、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニルオキシ基で、例えば、メチルスルホニルオキシ基、ヘキサデシルスルホニルオキシ基、シクロヘキシルスルホニルオキシ基)、
【0029】
アリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニルオキシ基で、例えば、フェニルスルホニルオキシ基)、アシル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアシル基で、例えば、ホルミル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、テトラデカノイル基、シクロヘキサノイル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルシクロヘキシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のカルバモイル基で、例えば、カルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−エチル−N−オクチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−メチルN−フェニルカルバモイル基、N,N−ジシクロへキシルカルバモイル基)、アミノ基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のアミノ基で、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、テトラデシルアミノ基、2−エチルへキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基)、アニリノ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは6〜24のアニリノ基で、例えば、アニリノ基、N−メチルアニリノ基)、ヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは1〜18のヘテロ環アミノ基で、例えば、4−ピリジルアミノ基)、カルボンアミド基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは2〜24のカルボンアミド基で、例えば、アセトアミド基、ベンズアミド基、テトラデカンアミド基、ピバロイルアミド基、シクロヘキサンアミド基)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のウレイド基で、例えば、ウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基、N−フェニルウレイド基)、イミド基(好ましくは炭素数36以下、より好ましくは炭素数24以下のイミド基で、例えば、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、シクロヘキシルオキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルホンアミド基で、例えば、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、ヘキサデカンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルアミノ基で、例えば、N、N−ジプロピルスルファモイルアミノ基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイルアミノ基)、アゾ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアゾ基で、例えば、フェニルアゾ基、3−ピラゾリルアゾ基)、
【0030】
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルチオ基で、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、オクチルチオ基、シクロヘキシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環チオ基で、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、2−ピリジルチオ基、1−フェニルテトラゾリルチオ基)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルフィニル基で、例えば、ドデカンスルフィニル基)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルフィニル基で、例えば、フェニルスルフィニル基)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ヘキサデシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のスルファモイル基で、例えば、スルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル基、N−エチル−N−フェニルスルファモイル基、N−シクロヘキシルスルファモイル基)、スルホ基、ホスホニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスホニル基で、例えば、フェノキシホスホニル基、オクチルオキシホスホニル基、フェニルホスホニル基)、ホスフィノイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスフィノイルアミノ基で、例えば、ジエトキシホスフィノイルアミノ基、ジオクチルオキシホスフィノイルアミノ基)を表す。
【0031】
上述した1価の基が更に置換可能な基である場合には、上述した各基のいずれかによって更に置換されていてもよい。なお、2個以上の置換基を有している場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0032】
一般式(I)において、RとR、RとR、RとR、及びRとRは、各々独立に、互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。なお、形成される環としては、飽和環、又は不飽和環がある。この5員、6員、又は7員の飽和環、又は不飽和環としては、例えば、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環が挙げられ、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環が挙げられる。
なお、形成される5員、6員、及び7員の環が、更に置換可能な基である場合には、前記置換基Rのいずれかで置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0033】
次に、特定錯体を構成する金属原子又は金属化合物について説明する。
ここで用いられる金属又は金属化合物としては、錯体を形成可能な金属原子又は金属化合物であればいずれであってもよく、2価の金属原子、2価の金属酸化物、2価の金属水酸化物、又は2価の金属塩化物が含まれる。例えば、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、Fe等の他に、AlCl、InCl、FeCl、TiCl、SnCl、SiCl、GeClなどの金属塩化物、TiO、VO等の金属酸化物、Si(OH)等の金属水酸化物も含まれる。
これらの中でも、錯体の安定性、分光特性、耐熱、耐光性、及び製造適性等の観点から、Fe、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、又はVOが好ましく、Fe、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、又はVOが更に好ましく、Fe、Zn、Cu、Co、又はVO(V=O)が最も好ましい。
【0034】
一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位した錯体において、好ましい態様を以下に示す。
即ち、一般式(I)中、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基で表され、R及びRが、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基で表され、R及びRが、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アニリノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、又はホスフィノイルアミノ基で表され、Rが、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基で表され、金属原子又は金属化合物が、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、又はVOで表される態様が挙げられる。
【0035】
一般式(I)で表される化合物と金属原子又は金属化合物とを含む錯体において、より好ましい態様を以下に示す。
即ち、一般式(I)中、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基で表され、R及びRが、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基で表され、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基で表され、Rが、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基で表され、金属原子又は金属化合物が、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、又はVOで表される態様が挙げられる。
【0036】
一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位した錯体において特に好ましい態様を以下に示す。
即ち、一般式(I)中、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基で表され、R及びRが、各々独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基で表され、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基で表され、Rが、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基で表され、金属原子又は金属化合物が、Zn、Cu、Co、又はVOで表される態様が挙げられる。
【0037】
特に、一般式(I)において、R及びRがそれぞれフェニル基であることが、堅牢性に優れる点から、好ましい。この理由としては、(1)R及びRがそれぞれフェニル基であることで、この化合物の吸収スペクトルが長波長化し、併用するフタロシアニン系顔料との吸収スペクトルと重なり(550nm付近)が大きくなり、その間のエネルギー移動がし易くなるため、(2)立体的に嵩高い置換基の存在によりこの化合物自身の堅牢性が高まるため、と考えられる。
また、一般式(I)において、R及び/又はRが、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルシクロヘキシルオキシカルボニル基であることが、溶剤溶解性に優れる点から、好ましい。
【0038】
以下に、本発明における特定錯体の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】
【化3】

【0040】
【化4】

【0041】
【化5】

【0042】
【化6】

【0043】
【化7】

【0044】
【化8】

【0045】
【化9】

【0046】
【化10】

【0047】
【化11】

【0048】
【化12】

【0049】
【化13】

【0050】
【化14】

【0051】
【化15】

【0052】
【化16】

【0053】
【化17】

【0054】
【化18】

【0055】
【化19】

【0056】
【化20】

【0057】
【化21】

【0058】
【化22】

【0059】
【化23】

【0060】
【化24】

【0061】
【化25】

【0062】
【化26】

【0063】
【化27】

【0064】
【化28】

【0065】
【化29】

【0066】
【化30】

【0067】
【化31】

【0068】
【化32】

【0069】
【化33】

【0070】
【化34】

【0071】
【化35】

【0072】
【化36】

【0073】
【化37】

【0074】
【化38】

【0075】
【化39】

【0076】
【化40】

【0077】
【化41】

【0078】
【化42】

【0079】
【化43】

【0080】
【化44】

【0081】
【化45】

【0082】
【化46】

【0083】
本発明における特定錯体のモル吸光係数は、膜厚の観点から、できるだけ高いほうが好ましい。また、最大吸収波長λmaxは、色純度向上の観点から、520nm〜580nmが好ましく、530nm〜570nmが更に好ましい。なお、最大吸収波長、及びモル吸光係数は、分光光度計UV−2400PC(島津製作所社製)により測定されるものである。
本発明における特定錯体の融点は、溶解性の観点から、高すぎない方がよい。
【0084】
本発明における特定錯体は、米国特許第4,774,339号、同−5,433,896号、特開2001−240761号、同2002−155052号、特許第3614586号、Aust.J.Chem,1965,11,1835−1845、J.H.Boger et al,Heteroatom Chemistry,Vol.1,No.5,389(1990)等に記載の方法で合成することができる。
本発明における特定錯体の合成方法について、具体的には、特開2008−292970号公報の段落〔0131〕〜〔0157〕に記載の方法を適用することができる。
【0085】
本発明の染料溶液で用いる染料は、特定錯体に限らず他の構造の染料を使用することが可能である。この場合特定錯体以外の構造の染料を2種以上併用してもよい。
また、複数の種類の染料を用いて着色硬化性組成物を調製する場合には、各染料毎に別々に染料溶液を調製し、顔料分散液と混合してもよい。
特定錯体を使用する場合は、特定錯体を1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、特定錯体と他の構造の染料とを用いてもよい。
【0086】
本発明における染料の染料溶液中における含有量は、分子量及びモル吸光係数によって異なるが、染料溶液の全固形分成分に対して、5質量%〜100質量%が好ましく、15質量%〜100質量%がより好ましく、50質量%〜100質量%が最も好ましい。
この範囲とすることによって、顔料分散液との調合液の分散安定性が良好となる。
【0087】
<有機溶剤>
染料溶液に用いる有機溶剤としては、染料を溶解するものであれば、いかなる有機溶剤でもよい。着色硬化性組成物を調製するために後述する顔料分散液と混合するので、顔料分散液に用いている有機溶剤と類似の構造の有機溶剤が好ましく、同一の有機溶剤であることがより好ましい。
【0088】
染料溶液に用いる有機溶剤の例としては、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル(エチルラクテート)、オキシ酢酸アルキルエステル類(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(具体的には、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等が挙げられる。))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(具体的には、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等が挙げられる。))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(具体的には、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル等が挙げられる。))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(具体的には、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等が挙げられる。)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等が挙げられる。
【0089】
また、エーテル類としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等が挙げられる。
ケトン類としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等が挙げられる。
芳香族炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
これらの中で、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、およびエチルラクテートからなる群から選ばれた少なくとも1種であることが染料の溶解性や、着色硬化性組成物の塗布性の観点で好ましい
【0090】
これらの有機溶剤は、前述の染料の溶解性、及び染料溶液に添加されるその他の成分を含む場合はその溶解性、着色硬化性組成物の塗布性などの観点から、2種以上を混合することも好ましい。この場合、特に好ましくは、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル(エチルラクテート)、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
【0091】
<染料溶液の調製>
染料溶液の調製の方法としては、有機溶剤を染料に投入して撹拌してもよいが、撹拌させている有機溶剤中に粉体の染料を投入してもよい。染料の投入方法は全量を一括で投入してもよいが、分割して投入することが好ましい。分割して投入する場合には、全量の1/10〜1/2に相当する量を投入し、目視で凡そ溶解したのを確認した後、更に染料を投入する作業を複数回行うのが好ましい。また、事前に染料を少量の有機溶剤でスラリー状にして添加してもよい。
【0092】
溶解の方法としては、上記の染料と有機溶剤を含む溶液を、棒状のもので撹拌しても、マグネチックスターラーを使用してもよく、また、プロペラ状の撹拌子を容器内で一定速度・一方向に回転させる通常の撹拌機で溶解すればよい。
また、ミキサー、ディゾルバー等でせん断をかけて溶解してもよい。必要によっては加温して溶解してもよい。
【0093】
本発明の染料溶液には、染料、有機溶剤以外のその他の成分を必要によって添加してもよく、その他の成分としてはラジカル安定剤、UV吸収剤、熱硬化剤、界面活性剤等が挙げられる。
有機溶剤の染料溶液中における含有量としては、染料溶液中の全固形分濃度が5質量%〜30質量%になる量が好ましく、10質量%〜20質量%になる量がより好ましい。この範囲とすることによって、染料の溶解性が良好となる。
【0094】
<顔料分散液、顔料>
次に、顔料を分散剤で分散して顔料分散液を調製する工程を説明する。
本発明に係る顔料分散液に用いることができる顔料としては、従来公知の種々の無機顔料又は有機顔料を用いることができる。また、顔料は、無機顔料または有機顔料を問わず、高透過率であることが好ましいことを考慮すると、できるだけ粒子径が小さく微少な粒子サイズの顔料を使用することが好ましく、ハンドリング性をも考慮すると、好ましくは平均一次粒子径0.01μm〜0.3μm、より好ましくは0.01μm〜0.15μmの顔料である。該粒径が前記範囲内であると、透過率が高く、色特性が良好であると共に、色ムラがなく、高いコントラストのカラーフィルタを形成するのに有効である。
平均一次粒子径は、SEMあるいはTEMで観察し、粒子が凝集していない部分で粒子サイズを100個計測し、平均値を算出することによって求める。
【0095】
無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物を挙げることができ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、及び前記金属の複合酸化物を挙げることができる。
【0096】
前記有機顔料としては、例えば、
C.I.Pigment Red 1、2、3、4、5、6、7、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、52:1、52:2、53:1、57:1、60:1、63:1、66、67、81:1、81:2、81:3、83、88、90、105、112、119、122、123、144、146、149、150、155、166、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、184、185、187、188、190、200、202、206、207、208、209、210、216、220、224、226、242、246、254、255、264、270、272、279、
C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214
【0097】
C.I.Pigment Orange 2、5、13、16、17:1、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、71、73
C.I.Pigment Green 7、10、36、37、58
C.I.Pigment Blue 1、2、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66、79、79のCl置換基をOHに変更したもの、80
C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、32、37、42
C.I.Pigment Brown 25、28
C.I.Pigment Black 1、等を挙げることができる。
【0098】
これらの中で好ましく用いることができる顔料として、以下のものを挙げることができる。但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
C.I.Pigment Yellow 11、24、108、109、110、138、139、150、151、154、167、180、185、
C.I.Pigment Orange 36、71、
C.I.Pigment Red 122、150、171、175、177、209、224、242、254、255、264、
C.I.Pigment Violet 19、23、32、
C.I.Pigment Blue 15:1、15:3、15:6、16、22、60、66、
C.I.Pigment Green 7、36、37、58;
C.I.Pigment Black 1、
【0099】
−顔料の微細化−
本発明の顔料分散液に用いる顔料は、必要に応じて、微細でかつ整粒化された有機顔料を用いることができる。顔料の微細化は、顔料と水溶性有機溶剤と水溶性無機塩類と少なくとも含む高粘度な液状組成物を調製し、湿式粉砕装置等を使用して、応力を付加して摩砕する工程を経ることで達成される。
【0100】
顔料の微細化工程に使用される水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテール、ジエチレングリコールモノエチルエーテール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレンゴリコールモノメチルエーテルアセテート等を挙げることができる。
また、少量用いることで顔料に吸着して、廃水中に流失しない限りにおいては、水溶性は低いか、或いは、水溶性を有しない他の有機溶剤、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、アニリン、ピリジン、キノリン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘササン、ハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等を用いてもよい。
顔料の微細化工程に使用する有機溶剤は、1種のみでもよく、必要に応じて2種類以上を混合して使用してもよい。
【0101】
顔料の微細化工程に使用される水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。
微細化工程における水溶性無機塩の使用量は顔料の1〜50質量倍であり、多い方が摩砕効果はあるが、より好ましい量は生産性の点で1〜10質量倍である。また、水分が1%以下の無機塩類を用いることが好ましい。
微細化工程における水溶性有機溶剤の使用量は、顔料100質量部に対して50質量部から300質量部の範囲であり、好ましくは100質量部から200質量部の範囲である。
【0102】
顔料の微細化工程における湿式粉砕装置の運転条件については特に制限はないが、粉砕メディアによる磨砕を効果的に進行させるため、装置がニーダーの場合の運転条件は、装置内のブレードの回転数は、10〜200rpmが好ましく、また2軸の回転比が相対的に大きいほうが摩砕効果が大きく好ましい。運転時間は乾式粉砕時間と併せて1時間〜8時間が好ましく、装置の内温は50〜150℃が好ましい。また粉砕メディアである水溶性無機塩は粉砕粒度が5〜50μmで粒子径の分布がシャープで、且つ球形が好ましい。
【0103】
本発明における顔料分散液中における顔料の含有量としては、顔料分散液中の全固形分(質量)に対して、10〜60質量%が好ましく、15〜50質量%がより好ましい。顔料の含有量が前記範囲内であると、色濃度が充分で優れた色特性を確保するのに有効である。
【0104】
本発明における顔料分散液は、分散剤を少なくとも1種を含有する。この分散剤の含有により、顔料の分散性を向上させることができる。
分散剤としては、例えば、公知の顔料分散剤や界面活性剤を適宜選択して用いることができる。本発明においては、分散剤としては高分子分散剤が好ましく、顔料の分散安定性が得られ、好ましい。
【0105】
分散剤としては、多くの種類の化合物を使用可能であり、例えば、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学工業(株)製)、W001(裕商(株)社製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤;W004、W005、W017(裕商(株)社製)等のアニオン系界面活性剤;EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(いずれもBASFジャパン社製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(いずれもサンノプコ社製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(日本ルーブリゾール(株)社製);アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123((株)ADEKA製)及びイオネットS−20(三洋化成(株)製)、Disperbyk101、103、106、108、109、111、112、116、130、140、142、162、163、164、166、167、170、171、174、176、180、182、2000、2001、2050、2150(ビックケミー(株)社製)が挙げられる。また、川研ファインケミカル(株)製 ヒノアクトT−8000Eなどの両性分散剤も挙げられる。
その他、アクリル系共重合体など、分子末端もしくは側鎖に極性基を有するオリゴマーもしくはポリマーが挙げられる。
【0106】
分散剤の顔料分散液中における含有量としては、既述の顔料100質量部に対して、1〜100質量部が好ましく、3〜70質量部がより好ましい。
また、分散剤を2種以上併用することも好ましく、高分子分散剤と低分子分散剤を併用することも好ましい。
【0107】
本発明において顔料分散液を調製するに際しては、顔料、分散剤、有機溶剤以外の種々の化合物を添加することができる。以下、顔料分散液の調製に有用な任意成分について説明する。
【0108】
−顔料誘導体−
本発明における顔料分散液には、必要に応じて、顔料誘導体を添加することができる。
顔料誘導体を用いることで、分散剤と親和性のある部分、あるいは極性基を導入した顔料誘導体を顔料表面に吸着させて分散剤の吸着点として用いうるため、顔料を微細な粒子として着色硬化性組成物中に分散させ、その再凝集を防止することができ、コントラストが高く、色ムラがない優れたカラーフィルタを構成するのに有効である。
【0109】
顔料誘導体としては、有機顔料を母体骨格として有する公知の色素誘導体を適宜用いることができ、該有機顔料としては、具体的には、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、キノフタロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノリン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ベンゾイミダゾロン顔料等が挙げられる。一般に、色素と呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系、トリアジン系、キノリン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。色素誘導体としては、特開平11−49974号公報、特開平11−189732号公報、特開平10−245501号公報、特開2006−265528号公報、特開平8−295810号公報、特開平11−199796号公報、特開2005−234478号公報、特開2003−240938号公報、特開2001−356210号公報等に記載されているものを使用できる。
【0110】
本発明における顔料誘導体の顔料分散液中における含有量としては、顔料100質量部に対して、0〜30質量部が好ましく、3〜20質量部がより好ましい。該含有量が前記範囲内であると、粘度を低く抑えながら、分散を良好に行なえると共に分散後の分散安定性を向上させることができ、透過率が高く優れた色特性が得られ、カラーフィルタを作製するときには良好な色特性を有する構成とすることができる。
【0111】
<顔料分散液の調製>
顔料分散液を調製する方法としては、例えば、顔料と分散剤と有機溶剤とを予め混合して、予備分散しておいたものを、ジルコニアビーズ等を用いたビーズ分散機等を用いて微分散させることによって行なう。
微分散は主として縦型もしくは横型のサンドグラインダーミル、ピンミル、スリットミル、超音波分散機等を使用し、0.01〜1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズで微分散処理し、顔料分散液を得る。
ビーズ分散を行なう前の予備分散としては、顔料と分散剤と有機溶剤と、さらに必要によっては顔料誘導体、アルカリ可溶性樹脂を加えて、二本ロール、三本ロール、ボールミル、トロンミル、ディスパー、ニーダー、コニーダー、ホモジナイザー、ブレンダー、単軸もしくは2軸の押出機等を用いて、強い剪断力を与えながら混練分散処理を行なうことも可能である。
ビーズ分散による分散時間としては、3〜6時間程度が好適である。顔料誘導体の添加は、顔料分散液形成する為のどの工程でも添加可能であるが、顔料の微細化工程及び/或いは微分散時に添加することが好ましい。
【0112】
なお、混練、分散についての詳細は、T.C.Patton著”Paint Flow and Pigment Dispersion”(1964年 John Wiley and Sons社刊)等に記載されている。
また、顔料分散液に用いる有機溶剤は、染料溶液の項で述べた有機溶剤が使用可能である。
【0113】
<着色硬化性組成物の調製>
このようにして調製された顔料分散液と、前述の染料溶液とを混合し、さらに重合開始剤や重合性化合物等の、その他の成分を添加することで着色硬化性組成物を調製することができる。
着色硬化性組成物を調製する方法としては、顔料分散液に染料溶液を添加してもよいし、染料溶液に顔料分散液を添加してもよい。さらに必要によって有機溶剤、重合開始剤、重合性化合物等の、その他の成分を添加し、染料溶液の調製の項で述べた撹拌機で撹拌して調製する。
このようにして調製された着色硬化性組成物は、好ましくは、孔径0.01μm〜3.0μm、より好ましくは孔径0.05μm〜0.5μm、更に好ましくは、0.2〜0.5μm程度のフィルタなどを用いて濾別した後、使用に供することができる。フィルタの材質としては、ポリエチレン、ポリプロプレン、ナイロンが好ましい。
【0114】
本発明における着色硬化性組成物の固形分は、着色硬化性組成物全体に対して、13質量%から20質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは15質量%から20質量%の範囲である。この範囲にあれば、膜厚の制御性が良好である。
【0115】
本発明の着色硬化性組成物に含まれる顔料分散液の量としては、着色硬化性組成物の固形分に対して、顔料の含有量で10〜60質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、20〜58質量%の範囲である。また、着色硬化性組成物に含まれる染料溶液の量としては、着色硬化性組成物の固形分に対して、染料の含有量で10〜60質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは、15〜40質量%の範囲である。
顔料分散液および染料溶液を上記配合量の範囲で含むことで、分散性、分散安定性が良好で、高いコントラストで色ムラがなく、薄層であっても十分な色相を有するカラーフィルタを形成しうる着色硬化性組成物を得ることができる。
【0116】
−顔料と染料の調合−
着色硬化性組成物を調製するのに用いる顔料分散液に含まれる顔料、および染料溶液に含まれる染料の好ましい組合せについて述べる。
顔料と染料とを種々組合せて用いることにより、目的の色相および色純度を実現することができる。以下、組合せの具体例を示す。
【0117】
−赤色−
アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料のいずれかと、アニリンアゾ系染料、チアゾールアゾ系染料、アントラキノン系染料、アントラピリドン系染料、アジン系染料、キノフタロン系染料、ピラゾロトリアゾール系染料、ピリドンアゾ系染料、およびメチン系染料のいずれかと、を組み合わせることが好ましい。
【0118】
より好ましい組合せとしては、C.I.ピグメント・レッド177、C.I.ピグメント・レッド155、C.I.ピグメント・レッド224、およびC.I.ピグメント・レッド254から選ばれた少なくとも1種と、キノフタロン系染料、ピラゾロトリアゾール系染料、ピリドンアゾ系染料、およびメチン系染料から選ばれた少なくとも1種の組合せ、C.I.ピグメント・イエロー83、C.I.ピグメント・イエロー139、およびC.I.ピグメント・レッド177から選ばれた少なくとも1種と、アニリンアゾ系染料、チアゾールアゾ系染料、アントラキノン系染料、およびアントラピリドン系染料から選ばれた少なくとも1種との組合せが挙げられる。
着色硬化性組成物における顔料と染料との質量比は、顔料:染料が100:20〜100:500の範囲が好ましく、100:30〜100:100の範囲がより好ましい。この範囲において、400nmから500nmの光透過率を抑え、色純度の向上が図れ、且つ、十分な発色力が達成される。
【0119】
−緑色−
ハロゲン化フタロシアニン系顔料、ジスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色、イソインドリン系黄色顔料のいずれかと、フタロシアニン系染料、キノフタロン系染料、ピラゾロトリアゾール系染料、ピリドンアゾ系染料、メチン系染料のいずれかとを組み合わせて用いることが好ましい。
【0120】
より好ましい組合せとしては、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37、およびC.I.ピグメントグリーン58から選ばれた少なくとも1種と、キノフタロン系染料、ピラゾロトリアゾール系染料、ピリドンアゾ系染料、およびメチン系染料から選ばれた少なくとも1種との組合せ、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180、およびC.I.ピグメントイエロー185から選ばれた少なくとも1種と、キノフタロン系染料、ピラゾロトリアゾール系染料、ピリドンアゾ系染料、およびメチン系染料から選ばれた少なくとも1種との組合せである。特に好ましくは、C.I.ピグメントグリーン36、またはC.I.ピグメントグリーン58と、キノフタロン系染料、ピラゾロトリアゾール系染料、ピリドンアゾ系染料、およびメチン系染料から選ばれた少なくとも1種との組合せである。
着色硬化性組成物における顔料と染料との質量比は、顔料:染料が100:20〜100:500の範囲が好ましく、100:30〜100:100の範囲がより好ましい。この範囲において、400nmから450nmおよび650nm〜700nmの光透過率を抑え、色純度の向上が図れ、且つ、十分な発色力が達成される。
【0121】
−青色−
フタロシアニン系顔料、およびジオキサジン系紫色顔料から選ばれた少なくとも1種と、フタロシアニン系染料、およびピロメテン系染料から選ばれた少なくとも1種との組合せが好ましい。
特に好適な例として、C.I.ピグメントブルー15:6、またはC.I.ピグメントバイオレット23のいずれかと、ピロメテン系染料との混合を挙げることができる。
着色硬化性組成物における顔料と染料との質量比は、顔料:染料が100:20〜100:500の範囲が好ましく、100:30〜100:100の範囲がより好ましい。この範囲において、500nmから700nmの光透過率を抑え、色純度の向上が図れ、且つ、十分な発色力が達成される。
【0122】
特に好ましい組合せとしては、本発明においては、染料が前記した一般式(I)で表される化合物と金属原子又は金属化合物とを含む特定錯体である場合には、顔料としてフタロシアニン系顔料を用いると本発明の効果を遺憾なく発揮できる。
【0123】
−フタロシアニン系顔料−
フタロシアニン系顔料としては、フタロシアニン骨格を有する顔料であれば特に制限されるものではない。また、フタロシアニン系顔料に含まれる中心金属としては、フタロシアニン骨格を構成できる金属であればよく、特に限定されない。その中でも、中心金属としては、マグネシウム、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウムが好ましく用いられる。
【0124】
フタロシアニン系顔料として、具体的には、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー17:1、C.I.ピグメントブルー75、C.I.ピグメントブルー79、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37、クロロアルミニウムフタロシアニン、ヒドロキシアルミニウムフタロシアニン、アルミニウムフタロシアニンオキシド、亜鉛フタロシアニンが挙げられる。中でも、耐光性と着色力との点から、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:6、ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2が好ましく、特に、C.I.ピグメントブルー15:6が好ましい。
【0125】
フタロシアニン系顔料の着色硬化性組成物中における含有量は、着色硬化性組成物の全固形分成分に対して、10質量%〜60質量%が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましく、35質量%〜50質量%が最も好ましい。
また、着色硬化性組成物中における特定錯体とフタロシアニン系顔料との含有比は、フタロシアニン系顔料:特定錯体=100:20〜100:500が好ましく、100:25〜100:300がより好ましく、100:30〜100:100が更に好ましい。
【0126】
以下、本発明の着色硬化性組成物に含むことが好ましい成分について述べる。これらの成分は、前記染料溶液と前記顔料分散液とを混合させることにより、着色硬化性組成物を調製する過程において添加することが好ましい態様であるが、上記した顔料分散液の調製、または染料溶液の調製において添加してもよい。
<重合性化合物>
本発明の着色硬化性組成物には、重合性化合物を含有することが好ましい。重合性化合物としては、例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物を挙げることができる。具体的には、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの(共)重合体などの化学的形態のいずれであってもよい。
【0127】
モノマー及びその(共)重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類、並びにこれらの(共)重合体が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、及び不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類、並びにこれらの(共)重合体である。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
【0128】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート等が挙げられる。
また、メタクリル酸エステルとして、例えば、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙げられる。
【0129】
更に、イタコン酸エステルとして、例えば、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が、また、クロトン酸エステルとして、例えば、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等が、イソクロトン酸エステルとして、例えば、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が、また、マレイン酸エステルとして、例えば、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。更に、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
【0130】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報に記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
【0131】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載の、1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(A)で表される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH=C(R)COOCHCH(R’)OH …(A)
〔一般式(A)中、R及びR’は、それぞれ独立に、H又はCHを表す。〕
【0132】
また、重合性化合物としては、酸基を有するエチレン性不飽和化合物類も好適である。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物類は、前記多官能アルコールの一部のヒドロキシ基を(メタ)アクリレート化し、残ったヒドロキシ基に酸無水物を付加反応させてカルボキシ基とするなどの方法で得られる。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製のカルボキシ基含有3官能アクリレートであるTO−756、及びカルボキシ基含有5官能アクリレートを含むTO−1382などが挙げられる。
【0133】
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、着色硬化性組成物の最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、感度の観点では、1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合は2官能以上が好ましい。また、着色硬化膜の強度を高める観点では、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。また、着色硬化性組成物に含有される他の成分(例えば、光重合開始剤、顔料、染料、バインダーポリマー等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体などの硬質表面との密着性を向上させる観点で特定の構造を選択することもあり得る。
【0134】
着色硬化性組成物の全固形分中における重合性化合物の含有量(2種以上の場合は総含有量)としては、特に限定はなく、本発明の効果をより効果的に得る観点から、10質量%〜80質量%が好ましく、15質量%〜75質量%がより好ましく、20質量%〜60質量%が特に好ましい。
【0135】
<光重合開始剤>
着色硬化性組成物は、光重合開始剤を含有することが好ましい。
光重合開始剤は、上述の重合性化合物を重合させ得るものであれば、特に制限はなく、特性、開始効率、吸収波長、入手性、コスト等の観点で選ばれるのが好ましい。
【0136】
光重合開始剤としては、例えば、ハロメチルオキサジアゾール化合物及びハロメチル−s−トリアジン化合物から選択される少なくとも1つの活性ハロゲン化合物、3−アリール置換クマリン化合物、ロフィン2量体、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、オキシム系化合物、等が挙げられる。光重合開始剤の具体例については、特開2004−295116号公報の段落〔0070〕〜〔0077〕に記載のものが挙げられる。中でも、重合反応が迅速である点等から、オキシム系化合物が好ましい。
【0137】
前記オキシム系化合物(以下、「オキシム系光重合開始剤」ともいう)としては、特に限定はなく、例えば、特開2000−80068号公報、WO02/100903A1、特開2001−233842号公報等に記載のオキシム系化合物が挙げられる。
具体的な例としては、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ペンタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘキサンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘプタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(エチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(ブチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−メチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−プロプル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−ブチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンなどが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
【0138】
これらのうち、より少ない露光量で形状(特に、固体撮像素子の場合はパターンの矩形性)の良好なパターンが得られる点で、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン等のオキシム−O−アシル系化合物が特に好ましく、具体的には、例えば、CGI−124、CGI−242(以上、BASFジャパン社製)等が挙げられる。
【0139】
また、本発明においては、感度、経時安定性、後加熱時の着色の観点から、オキシム系化合物として、下記一般式(1)および(2)で表される化合物がより好ましい。
【0140】
【化47】

【0141】
上記一般式(1)および(2)中、R及びXは、各々独立に、1価の置換基を表し、Aは、2価の有機基を表し、Arは、アリール基を表す。nは、1〜5の整数である。
【0142】
一般式(1)および(2)におけるRとしては、高感度化の点から、アシル基が好ましく、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、トルイル基が好ましい。
【0143】
一般式(1)および(2)におけるAとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
【0144】
一般式(1)および(2)におけるArとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。置換フェニル基の場合、その置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基が好ましい。
【0145】
一般式(1)および(2)におけるXとしては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオキシ基、置換基を有してもよいアリールチオキシ基、置換基を有してもよいアミノ基が好ましい。
また、一般式(1)および(2)におけるnは1〜2の整数が好ましい。
【0146】
以下、一般式(1)および(2)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0147】
【化48】

【0148】
また、本発明の着色硬化性組成物には、上記の光重合開始剤のほかに、特開2004−295116号公報の段落〔0079〕に記載の他の公知の光重合開始剤を使用してもよい。
【0149】
光重合開始剤は、1種単独で或いは2種以上を組み合わせて含有することができる。
着色硬化性組成物の全固形分中における光重合開始剤の含有量(2種以上の場合は総含有量)は、本発明の効果をより効果的に得る観点から、3質量%〜20質量%が好ましく、4質量%〜19質量%がより好ましく、5質量%〜18質量%が特に好ましい。
【0150】
<有機溶剤>
本発明の着色硬化性組成物は、有機溶剤を含有する。
有機溶剤は、並存する各成分の溶解性や着色硬化性組成物としたときの塗布性を満足できるものであれば、基本的には特に制限はなく、特に、バインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
有機溶剤の具体例としては、染料溶液の項で述べた化合物と同じであり、好ましい化合物も同じである。
【0151】
有機溶剤の着色硬化性組成物中における含有量としては、組成物中の全固形分濃度が10質量%〜80質量%になる量が好ましく、15質量%〜60質量%になる量がより好ましい。
【0152】
<その他の成分>
本発明の着色硬化性組成物は、上述の各成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、更に、アルカリ可溶性バインダー、架橋剤などの他の成分を含んでいてもよい。
【0153】
−アルカリ可溶性バインダー−
アルカリ可溶性バインダーは、アルカリ可溶性を有すること以外は特に限定はなく、好ましくは、耐熱性、現像性、入手性等の観点から選択することができる。
【0154】
アルカリ可溶性バインダーとしては、線状有機高分子重合体であり、且つ、有機溶剤に可溶で、弱アルカリ水溶液で現像できるものが好ましい。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられ、同様に側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体が有用である。
【0155】
上述したものの他、本発明におけるアルカリ可溶性バインダーとしては、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等や、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、等も有用である。また、線状有機高分子重合体は、親水性を有するモノマーを共重合したものであってもよい。この例としては、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2級若しくは3級のアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のプロピル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のブチル(メタ)アクリレート、又は、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。その他、親水性を有するモノマーとしては、テトラヒドロフルフリル基、燐酸基、燐酸エステル基、4級アンモニウム塩基、エチレンオキシ鎖、プロピレンオキシ鎖、スルホン酸基及びその塩由来の基、モルホリノエチル基等を含んでなるモノマー等も有用である。
【0156】
また、アルカリ可溶性バインダーは、架橋効率を向上させるために、重合性基を側鎖に有してもよく、例えば、アリル基、(メタ)アクリル基、アリルオキシアルキル基等を側鎖に含有するポリマー等も有用である。上述の重合性基を含有するポリマーの例としては、市販品のKSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)等が挙げられる。また、硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロルヒドリンとのポリエーテル等も有用である。
【0157】
これら各種アルカリ可溶性バインダーの中でも、耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
【0158】
前記アクリル系樹脂としては、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等から選ばれるモノマーからなる共重合体や、市販品のダイヤナールNRシリーズ(三菱レイヨン株式会社製)、ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業株式会社製)、サイクロマーPシリーズ、プラクセル CF200シリーズ(いずれもダイセル化学工業株式会社製)、Ebecryl3800(ダイセルサイテック株式会社製)などが好ましい。
【0159】
アルカリ可溶性バインダーは、現像性、液粘度等の観点から、重量平均分子量(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)が1000〜2×10の重合体が好ましく、2000〜1×10の重合体がより好ましく、5000〜5×10の重合体が特に好ましい。
【0160】
−架橋剤−
本発明の着色硬化性組成物に補足的に架橋剤を用い、着色硬化性組成物を硬化させてなる着色硬化膜の硬度をより高めることもできる。
架橋剤としては、架橋反応により膜硬化を行なえるものであれば、特に限定はなく、例えば、(a)エポキシ樹脂、(b)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物又はヒドロキシアントラセン化合物、が挙げられる。中でも、多官能エポキシ樹脂が好ましい。
架橋剤の具体例などの詳細については、特開2004−295116号公報の段落〔0134〕〜〔0147〕の記載を参照することができる。
【0161】
−界面活性剤−
本発明の着色硬化性組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
【0162】
特に、本発明の着色硬化性組成物は、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
即ち、フッ素系界面活性剤を含有する着色硬化性組成物を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
【0163】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、着色硬化性組成物中における溶解性も良好である。
【0164】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株))等が挙げられる。
【0165】
ノニオン系界面活性剤として具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1等が挙げられる。
【0166】
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
【0167】
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(以上、裕商(株)社製)等が挙げられる。
【0168】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)、TSF−4440、TSF−4300、TSF−4445、TSF−4460、TSF−4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、KP341、KF6001、KF6002(以上、信越シリコーン株式会社製)、BYK307、BYK323、BYK330(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
【0169】
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
界面活性剤の添加量は、着色硬化性組成物の全質量に対して、0.001質量%〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005質量%〜1.0質量%である。
【0170】
−重合禁止剤−
本発明の着色硬化性組成物においては、該着色硬化性組成物の製造中又は保存中において、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の重合禁止剤を添加することが望ましい。
本発明に用いうる重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
重合禁止剤の添加量は、着色硬化性組成物の質量に対して、約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
【0171】
−その他の添加物−
着色硬化性組成物には、さらに必要に応じて、各種添加物、例えば、充填剤、上記以外の高分子化合物、ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。これらの添加物としては、特開2004−295116号公報の段落〔0155〕〜〔0156〕に記載のものを挙げることができる。
本発明の着色硬化性組成物においては、特開2004−295116号公報の段落〔0078〕に記載の増感剤や光安定剤、同公報の段落〔0081〕に記載の熱重合防止剤を含有することができる。
【0172】
また、非露光領域のアルカリ溶解性を促進し、着色硬化性組成物の現像性の更なる向上を図る場合には、該組成物に有機カルボン酸、好ましくは分子量1000以下の低分子量有機カルボン酸の添加を行なうことが好ましい。
具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等のその他のカルボン酸が挙げられる。
【0173】
本発明の着色硬化性組成物は、保存安定性に優れ、更に、耐光性に優れた着色硬化膜を形成することができるため、液晶表示装置(LCD)や固体撮像素子(例えば、CCD、CMOS等)に用いられるカラーフィルタなどの着色画素形成用として、また、印刷インキ、インクジェットインキ、及び塗料などの作製用途として好適に用いることができる。特に、CCD、及びCMOS等の固体撮像素子用の着色画素形成用として好適に用いることができる。
【0174】
<カラーフィルタ及びその製造方法>
次に、本発明の着色硬化性組成物を用いてカラーフィルタを製造する方法(本発明のカラーフィルタの製造方法)について説明する。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、支持体上に、本発明の着色硬化性組成物を塗布して着色硬化性組成物層を形成する工程(A)と、工程(A)にて形成された着色硬化性組成物層を、マスクを介して露光した後、現像して着色パターンを形成する工程(B)と、を有する。
また、本発明のカラーフィルタの製造方法では、特に、工程(B)で形成された着色パターンに対し紫外線を照射する工程(C)と、工程(C)で紫外線を照射された着色パターンに対し加熱処理を行う工程(D)と、を更に有することが好ましい。
以下、本発明のカラーフィルタの製造方法について、より具体的に説明する。
【0175】
−工程(A)−
本発明のカラーフィルタの製造方法では、まず、支持体上に、既述の本発明の着色硬化性組成物を回転塗布、流延塗布、ロール塗布、インクジェット塗布等の塗布方法により塗布して、着色硬化性組成物層を形成し、その後、必要に応じて、予備硬化(プリベーク)を行い、該着色硬化性組成物層を乾燥させる。
【0176】
本発明のカラーフィルタの製造方法に用いられる支持体としては、例えば、液晶表示装置等に用いられる無アルカリガラス、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス(パイレックス(登録商標)ガラス)、石英ガラス、及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、CCDやCMOSの固体撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、シリコン基板等が挙げられる。これらの基板は、各画素を隔離するブラックストライプが形成されている場合もある。また、これらの支持体上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止、或いは表面の平坦化のために、下塗り層を設けてもよい。
【0177】
なお、着色硬化性組成物を支持体上に回転塗布する際には、液の滴下量を低減のため、着色硬化性組成物の滴下に先立ち、適当な有機溶剤を滴下、回転させることにより、着色硬化性組成物の支持体への馴染みをよくすることができる。
【0178】
上記プリベークの条件としては、ホットプレートやオーブンを用いて、70℃〜130℃で、0.5分間〜15分間程度加熱する条件が挙げられる。
また、着色硬化性組成物により形成される着色硬化性組成物層の厚みは、目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、0.2μm〜5.0μmであることが好ましく、0.3μm〜2.5μmであることが更に好ましく、0.3μm〜1.5μm最も好ましい。なお、ここでいう着色硬化性組成物層の厚さは、プリベーク後の膜厚である。
【0179】
−工程(B)−
続いて、本発明のカラーフィルタの製造方法では、支持体上に形成された着色硬化性組成物層には、マスクを介した露光が行われる。
この露光に適用し得る光若しくは放射線としては、g線、h線、i線、KrF光、ArF光が好ましく、特にi線が好ましい。照射光にi線を用いる場合、100mJ/cm〜10000mJ/cmの露光量で照射することが好ましい。
また、露光した着色硬化性組成物層は、次の現像処理前にホットプレートやオーブンを用いて、70℃〜180℃で、0.5分間〜15分間程度加熱することができる。
また、露光は、着色硬化性組成物層中の色材の酸化褪色を抑制するために、チャンバー内に窒素ガスを流しながら行なうことができる。
【0180】
続いて、露光後の着色硬化性組成物層に対し、現像液にて現像を行う。これにより、ネガ型若しくはポジ型の着色パターン(レジストパターン)を形成することができる。
現像液は、着色硬化性組成物層の未硬化部(未露光部)を溶解し、硬化部(露光部)を溶解しないものであれば、種々の有機溶剤の組み合わせやアルカリ性水溶液を用いることができる。
前記アルカリ性水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、アルカリ濃度が好ましくはpH11〜13、更に好ましくはpH11.5〜12.5となるように調製するのがよい。
特に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドを、濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜5質量%となるように調製したアルカリ性水溶液を現像液として用いることができる。
現像時間は、30秒〜300秒が好ましく、更に好ましくは30秒〜120秒である。現像温度は、20℃〜40℃が好ましく、更に好ましくは23℃である。
現像は、パドル方式、シャワー方式、スプレー方式等で行うことができる。
【0181】
また、アルカリ性水溶液を用いて現像した後は、水で洗浄することが好ましい。洗浄方式も、目的に応じて適宜選択されるが、シリコンウエハ基板等の支持体を回転数10rpm〜500rpmで回転させつつ、その回転中心の上方より純水を噴出ノズルからシャワー状に供給してリンス処理を行うことができる。
【0182】
その後、本発明のカラーフィルタの製造方法では、必要に応じて、現像により形成された着色パターンに対し後加熱及び/又は後露光を行い、着色パターンの硬化を促進させることもできる。
【0183】
−工程(C)−
特に、本発明のカラーフィルタの製造方法では、着色硬化性組成物から形成された着色パターン(画素)に対して、紫外線照射による後露光を行うことで、隣接する画素や、積層された上下層への色移りを効果的に抑制することができる。この色移りは、以下のような紫外線照射による後露光により低減させることができる。
【0184】
(紫外線照射による後露光)
紫外線照射による後露光では、前述のようにして現像処理を行なった後の着色パターンに、現像前の露光処理における露光量[mJ/cm]の10倍以上の照射光量[mJ/cm]の紫外光を照射することが好ましい。
なお、現像処理と後述の工程(D)による加熱処理との間に、現像後の着色パターンに紫外光(UV光)を所定時間、照射することにより、後に加熱された際に色移りするのを効果的に防止でき、耐光性が向上する。
【0185】
紫外光を照射する光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、DEEP UVランプなどを用いることができる。中でも、照射される紫外光中に275nm以下の波長光を含み、かつ、275nm以下の波長光の照射照度が紫外光中の全波長光の積分照射照度に対して5%以上である光を照射できるものが好ましい。紫外光中の275nm以下の波長光の照射照度を5%以上とすることで、隣接する画素間や上下層への色移りの抑制効果及び耐光性の向上効果をより高めることができる。
この点から、紫外線照射による後露光は、前述の工程(B)における露光に用いられるi線等の輝線などの光源と異なる光源、具体的には、高圧水銀灯、低圧水銀灯などを用いて行なうことが好ましい。中でも、前記同様の理由から、275nm以下の波長光の照射照度は、紫外光中の全波長光の積分照射照度に対して7%以上が好ましい。また、275nm以下の波長光の照射照度の上限は、25%以下が望ましい。
【0186】
なお、積分照射照度とは、分光波長ごとの照度(単位面積を単位時間に通過する放射エネルギー;[mW/m])を縦軸とし、光の波長[nm]を横軸とした曲線を引いた場合に照射光に含まれる各波長光の照度の和(面積)をいう。
【0187】
紫外光の照射は、前述の工程(B)における露光時の露光量の10倍以上の照射光量[mJ/cm]として行なうことが好ましい。本工程(C)での照射光量が、前述の工程(B)における露光時の露光量の10倍以上とすることで、隣接する画素間や上下層間における色移りを防止でき、また、耐光性を向上させることができる。
中でも、紫外光の照射光量は、前述の工程(B)における露光時の露光量の12倍以上200倍以下が好ましく、15倍以上100倍以下がより好ましい。
【0188】
この場合、照射される紫外光における積分照射照度が200mW/cm以上であることが好ましい。積分照射照度が200mW/cm以上であると、隣接する画素間や上下層への色移りの抑制効果及び耐光性の向上効果をより効果的に高めることができる。中でも、250mW/cm〜2000mW/cmが好ましく、300mW/cm〜1000mW/cmがより好ましい。
【0189】
−工程(D)−
前述のような、紫外線照射による後露光が行われた着色パターンに対しては、加熱処理を行うことが好ましい。形成された着色パターンを加熱(いわゆる、ポストベーク)することにより、着色パターンを更に硬化させることができる。
この加熱処理は、例えば、ホットプレート、各種ヒーター、オーブンなどにより行なうことができる。
加熱処理の際の温度としては、100℃〜300℃であることが好ましく、更に好ましくは、150℃〜250℃である。また、加熱時間は、30秒〜30000秒が好ましく、更に好ましくは、60秒〜1000秒である。
【0190】
本発明のカラーフィルタの製造方法においては、前述の工程(C)のような紫外線照射による後露光の代わりに、g線、h線、i線、KrF、ArF、電子線、X線等による後露光をおこなってもよい。
これらの手段による後露光の場合には、照射時間としては、10秒〜180秒、好ましくは20秒〜120秒、更に好ましくは30秒〜60秒である。
【0191】
また、本発明のカラーフィルタの製造方法においては、前述の工程(C)のような紫外線照射による後露光を行わず、前述の工程(D)のような後露光のみを行ってもよい。
更に、後露光と後加熱とは、どちらを先に行ってもよいが、後加熱に先立って、後露光を実施することが好ましい。後露光で硬化を促進させることにより、後加熱過程で見られる着色パターンの熱ダレ(矩形パターンの球形化)やすそ引き(パターン下層部のリフロー化)による形状の変形を抑止するためである。
【0192】
このようにして得られた、着色パターンがカラーフィルタにおける画素を構成することになる。
複数の色相の画素を有するカラーフィルタの作製においては、前述の工程(A)、工程(B)、更に、必要に応じて、工程(C)や工程(D)を所望の色数に合わせて繰り返せばよい。
なお、単色の着色硬化性組成物層の形成、露光、現像が終了する毎に(1色毎に)、前述の工程(C)及び/又は工程(D)を行なってもよいし、所望の色数の全ての着色硬化性組成物層の形成、露光、現像が終了した後に、一括して前述の工程(C)及び/又は工程(D)を行なってもよい。
【0193】
本発明のカラーフィルタの製造方法により得られたカラーフィルタ(本発明のカラーフィルタ)は、本発明の着色硬化性組成物を用いていることから、耐光性に優れたものとなる。
そのため、本発明のカラーフィルタは、液晶表示装置や、CCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサー等の固体撮像素子及びこれを用いたカメラシステムに用いることができ、中でも、着色パターンが微少サイズで薄膜に形成され、しかも良好な矩形の断面プロファイルが要求される固体撮像素子の用途、特に100万画素を超えるような高解像度のCCD素子やCMOS等の用途に好適である。
【0194】
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、本発明のカラーフィルタを備えたものである。本発明のカラーフィルタは、高い耐光性を有するものであり、このカラーフィルタを備えた固体撮像素子は優れた色再現性を得ることが可能となる。
【0195】
固体撮像素子の構成としては、本発明のカラーフィルタを備え、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、次のような構成が挙げられる。
即ち、支持体上に、CCDイメージセンサー(固体撮像素子)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる転送電極を有し、その上に、本発明のカラーフィルタを設け、次いで、マイクロレンズを積層する構成である。
【0196】
また、本発明のカラーフィルタを備えるカメラシステムは、色材の光褪色性の観点から、カメラレンズやIRカット膜が、ダイクロコートされたカバーガラス、マイクロレンズ等を備えており、その材料の光学特性は、400nm以下のUV光の一部又は全部を吸収するものであることが望ましい。また、カメラシステムの構造としては、色材の酸化褪色を抑止するため、カラーフィルタへの酸素透過性が低減されるような構造になっていることが好ましく、例えば、カメラシステムの一部又は全体が窒素ガスで封止されていることが好ましい。
【0197】
<液晶表示装置>
本発明のカラーフィルタは、色相に優れ、且つ、欠けや剥がれ、ヨレのない着色画素を有することから、特に、液晶表示装置用のカラーフィルタとして好適である。
このようなカラーフィルタを備えた液晶表示装置は、高品位の画像を表示することができる。
表示装置の定義や各表示装置の説明は、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
【0198】
本発明のカラーフィルタは、中でも特に、カラーTFT方式の液晶表示装置に対して有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。更に、本発明はIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置や、STN、TN、VA、OCS、FFS、及びR−OCB等にも適用できる。
また、本発明のカラーフィルタは、明るく高精細なCOA(Color-filter On Array)方式にも供することが可能である。COA方式の液晶表示装置にあっては、カラーフィルタ層に対する要求特性は前述のような通常の要求特性に加え、層間絶縁膜に対する要求特性、即ち低誘電率及び剥離液耐性が必要である。本発明のカラーフィルタは、紫外光レーザーによる露光方法に加え、本発明が規定する画素の色相や膜厚を選択することによって、露光光である紫外光レーザーの透過性を高めるものと考えられる。これによって、着色画素の硬化性が向上し、欠けや剥がれ、ヨレのない画素を形成できるので、TFT基板上に直接または間接的に設けた着色層の特に剥離液耐性が向上し、COA方式の液晶表示装置に有用である。低誘電率の要求特性を満足するためには、カラーフィルタ層の上に樹脂被膜を設けてもよい。
【0199】
さらにCOA方式により形成される着色層には、着色層上に配置されるITO電極と着色層の下方の駆動用基板の端子とを導通させるために、一辺の長さが1〜15μm程度の矩形のスルーホールあるいはコの字型の窪み等の導通路を形成する必要であり、導通路の寸法(即ち、一辺の長さ)を特に5μm以下にすることが好ましいが、本発明を用いることにより、5μm以下の導通路を形成することも可能である。
これらの画像表示方式については、例えば、「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページなどに記載されている。
【0200】
本発明の液晶表示装置は、本発明のカラーフィルタ以外に、電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ、視野角保障フィルムなどさまざまな部材から構成される。本発明のカラーフィルタは、これらの公知の部材で構成される液晶表示装置に適用することができる。
これらの部材については、例えば、「’94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島 健太郎 (株)シーエムシー 1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表 良吉(株)富士キメラ総研 2003年発行)」に記載されている。
【0201】
バックライトに関しては、SID meeting Digest 1380(2005)(A.Konno et.al)や、月刊デイスプレイ 2005年12月号の18〜24ページ(島 康裕)、同25〜30ページ(八木 隆明)などに記載されている。
【0202】
本発明のカラーフィルタを液晶表示装置に用いると、従来公知の冷陰極管の三波長管と組み合わせたときに高いコントラストを実現できるが、更に、赤、緑、青のLED光源(RGB−LED)をバックライトとすることによって輝度が高く、また、色純度の高い色再現性の良好な液晶表示装置を提供することができる。
【実施例】
【0203】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は共に質量基準である。
【0204】
〔実施例1〕
(1)染料溶液の調製
特定錯体(例示化合物Ia−3)0.183部を、シクロヘキサノン1.133部に添加し、ミックスローター(井内盛栄堂製)を用いて常温で60分間撹拌し、染料溶液を得た。
【0205】
(2)顔料分散液の調製
まず、顔料としてピグメント ブルー 15:6(BASF社製Heliogen L6700F)を用いて、下記により微細化を行った。
下記の組成を双腕型ニーダーに仕込み、80℃で30時間混練した。その後、80℃の1%塩酸水溶液100部に前記混合物を取り出し、1時間攪拌した後、濾過、湯洗、乾燥、粉砕し、微細化顔料のピグメント ブルー 15:6を得た。
・ピグメント ブルー 15:6 40部
・粉砕した塩化ナトリウム 400部
・ジエチレングリコール 80部
【0206】
次いで、得られた微細化顔料を用いて、下記組成の混合物を、GETZMANN社製のディスパーマット(ビーズ:ジルコニアビーズ0.5mm径)を用いて、7時間分散して顔料分散液を得た。得られた顔料分散液は、固形分濃度17.70%、顔料濃度11.80%であった。
・ピグメント ブルー 15:6 8.26部
・分散剤(特開2009−109750号公報に記載の合成例2樹脂)のプロピレングリコールメチルエーテルアセテートの30%溶液 13.77部
・有機溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 47.97部
【0207】
(3)着色硬化性組成物の調製(方法-A)
得られた染料溶液と顔料分散液を用いて、下記の組成で各成分を混合して着色硬化性組成物を得た。
(着色硬化性組成物の組成)
・(1)で得られた染料溶液 1.316部
・(2)で得られた顔料分散液 2.418部
・メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸の共重合体 (モル比=70/30、重量平均分子量:30000、20%シクロヘキサノン溶液) 1.009部
・フッ素系界面活性剤(DIC社製 F−475) 0.125部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)社製 DPHA) 2.0部
・オキシム系光重合開始剤(下記構造の化合物) 0.087部
・界面活性剤(グリセロールプロポキシレート、1%シクロヘキサノン溶液) 0.048部
【0208】
【化49】

【0209】
〔比較例1〕
(4)着色硬化性組成物の調製(方法-B)
下記の各成分を順次、混合した後、スターラーで1200分間攪拌した。
・シクロヘキサノン 1.133部
・メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸の共重合体(モル比=70:30、重量平均分子量:30000、20%シクロヘキサノン溶液) 1.009部
・フッ素系界面活性剤(DIC社製 F−475) 0.125部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)社製 DPHA) 2.0部
・オキシム系光重合開始剤(上記構造の化合物) 0.087部
・特定錯体(例示化合物Ia−3) 0.183部
・(2)で得られた顔料分散液 2.418部
・界面活性剤(グリセロールプロポキシレート、1%シクロヘキサノン溶液) 0.048部
【0210】
(5)下塗り層付シリコンウエハの作製
下記レジスト組成の成分を混合して溶解し、下塗り層用にレジスト液を調製した。
<レジスト組成>
・バインダーポリマー 30.51部
(メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸/メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体(モル比=60/22/18)の40%PGMEA溶液)
・重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 12.20部
・重合禁止剤:p−メトキシフェノール 0.0061部
・フッ素系界面活性剤(F−475、DIC(株)製) 0.83部
・光重合開始剤(TAZ−107、トリハロメチルトリアジン系の光重合開始剤、みどり化学社製) 0.586部
・有機溶剤 PGMEA 19.20部
・有機溶剤 乳酸エチル 36.67部
【0211】
6inchシリコンウエハをオーブン中で200℃のもと30分加熱処理した。次いで、このシリコンウエハ上に前記レジスト液を乾燥膜厚が2μmになるように塗布し、更に220℃のオーブン中で1時間加熱乾燥させて下塗り層を形成し、下塗り層付シリコンウエハ基板を得た。
【0212】
(6)固体撮像素子用カラーフィルタの作製
上記で得られた実施例1の着色硬化性組成物を、上記で得られた下塗り層付シリコンウエハにスピンコート法で塗布し、その後ホットプレート上で120℃で2分加熱して着色硬化性組成物層を得た。
次いで、得られた着色硬化性組成物層を、i線ステッパーを用い、1μm角のパターンを有するフォトマスクを介して露光量1000mJ/cmで露光した。露光後の着色硬化性組成物層に対し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド0.3%水溶液を用い、25℃40秒間パドル現像を行った。その後スピンシャワーにてリンスを行いさらに純水にて水洗し、固体撮像素子用のカラーフィルタを得た。
【0213】
〔実施例2〜8、比較例2〜8〕
上記の着色硬化性組成物の調製(方法-A)、および(方法-B)において、染料の種類、有機溶剤の種類と組成比を表1に記載のように変更して、表1の固形分となるように有機溶剤の量を調整して、実施例2〜8、比較例2〜8の着色硬化性組成物を得た。有機溶剤の量を変更しているので着色硬化性組成物の固形分も変更される。得られたそれぞれの着色硬化性組成物を用いて分散安定性を下記の方法で評価した。
なお、表1および(5)レジスト組成で有機溶剤の欄で、PGMEAはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、PGMEはプロピレングリコールモノメチルエーテル、ELはエチルラクテートをそれぞれ表し、( )内は有機溶剤を2種使用したときの組成比(質量比)を表し、(100)は単独の有機溶剤であることを示す。
【0214】
−分散安定性評価−
分散安定性の評価は、粘度の測定により、行った。得られたそれぞれの着色硬化性組成物について、E型粘度計(東機産業(株)社製、RE−810)を用いて、調製直後の着色硬化性組成物の粘度η1、および調製後室温にて1週間経過した後の着色硬化性組成物の粘度η2をそれぞれ測定し、増粘の程度を下記式で得られるΔηで評価した。評価結果を表1に示す。ここで、粘度上昇が小さいことは、分散性、分散安定性が良好であることを示す。
式 Δη=(η2-η1)/η1x100 (%)
【0215】
〔判定基準〕
○:Δη<30(%)
△:30(%)≦Δη<100(%)
×:100(%)≦Δη
【0216】
【表1】

【0217】
表1の結果から以下のことがわかる。
本発明の方法-Aを用いて調製した実施例1〜8の着色硬化性組成物は分散安定性が良好であった。これに対し、染料溶液を調製しないで染料をそのまま顔料分散液と混合した方法-Bを用いて調製した比較例1〜8の着色硬化性組成物は分散安定性が不良であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも染料を有機溶剤に溶解して染料溶液を調製する工程、少なくとも顔料を分散剤で分散して顔料分散液を調製する工程、および前記染料溶液と前記顔料分散液を混合する工程、を有する着色硬化性組成物の調製方法。
【請求項2】
前記着色硬化性組成物の固形分が、前記着色硬化性組成物全体に対して、13質量%〜20質量%の範囲である請求項1に記載の着色硬化性組成物の調製方法。
【請求項3】
前記着色硬化性組成物における顔料の含有量および染料の含有量が、前記着色硬化性組成物の固形分に対して、それぞれ10質量%〜60質量%の範囲、および10質量%〜60質量%の範囲である請求項1または請求項2に記載の着色硬化性組成物の調製方法。
【請求項4】
前記着色硬化性組成物における染料の含有量が、顔料の含有量に対して、20質量%〜500質量%の範囲である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物の調製方法。
【請求項5】
前記染料溶液における有機溶剤が、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、およびエチルラクテートからなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物の調製方法。
【請求項6】
前記顔料がフタロシアニン系顔料を含み、且つ、前記染料が下記一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位した錯体である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物の調製方法。
【化1】


〔一般式(I)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。〕
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物の調製方法により調製された着色硬化性組成物。
【請求項8】
さらに重合性化合物および重合開始剤を含む請求項7に記載の着色硬化性組成物。
【請求項9】
支持体上に、請求項7または請求項8に記載の着色硬化性組成物を塗布して着色硬化性組成物層を形成する工程(A)と、
前記着色硬化性組成物層を、マスクを介して露光した後、現像して着色パターンを形成する工程(B)と、
を有するカラーフィルタの製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載のカラーフィルタの製造方法により製造されたカラーフィルタ。
【請求項11】
請求項10に記載のカラーフィルタを備えた固体撮像素子。

【公開番号】特開2011−76075(P2011−76075A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183700(P2010−183700)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】