睡眠に関する情報を監視するためのシステム及び方法
被験者が体験した周囲照明を監視するように構成されるシステムである。ある実施例において、前記システムは、照明センサ、タイマー及び記憶モジュールを有する。前記照明センサは、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を発生させることにより、前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度を監視するように構成される。前記タイマーは期間の経過を示すように構成される。前記記憶モジュールは、個々の期間に、前記1つ以上の出力信号により搬送されるように、前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度に関する情報を記憶するように構成される。前記システムは、被験者により担持されるように携帯可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、35 U.S.C.§119(e)によって2007年6月8日出願の米国仮出願60/942,935から優先権を主張し、この内容は参照することにより本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、被験者の睡眠に関する情報を決定するために、前記被験者の状況及び/又は生理学的機能に関する情報を決定するためのシステム及び方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
被験者の状況及び/又は生理学的機能に関する情報を決定するためのシステムは既知である。これらシステムの幾つかは、被験者により携帯可能及び/又は着用可能であり、この被験者が普通の日にずっと監視されることを可能にする装置を含んでいる。しかしながら、従来のシステムは、被験者の概日周期に関する情報の決定の強化を可能にする前記被験者の状況の様々な態様を監視していない。この状況情報は、既知のシステムでは訂正されない固有の誤差を持つ1つ以上のセンサにより監視される。さらに、携帯可能及び/又は着用可能な装置による情報の記憶は、従来のシステムでもよく、非効率である。これは追加の情報を記憶するのにより大きな装置を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のある態様は、被験者が体験した周囲照明を監視するように構成されるシステムに関する。ある実施例において、前記システムは、照明センサ、タイマー及び記憶モジュールを有する。前記照明センサは、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を発生させることにより、前記2つ以上の波長内にある前記周囲照明の強度を監視するように構成される。前記タイマーは、期間の経過を示すように構成される。前記記憶モジュールは、個々の期間に、前記1つ以上の出力信号により搬送されるように、前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度に関する情報を記憶するように構成される。このシステムは被験者により担持されるように携帯可能である。
【0005】
本発明のもう1つの態様は、被験者が体験した周囲照明を監視する方法に関する。ある実施例において、前記方法は、被験者により担持される照明センサを用いて、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度を監視するステップ、期間の経過を決定するステップ、及び個々の期間に、前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度に関する情報を記憶するステップ、を有する。
【0006】
本発明のもう1つの態様は、被験者が体験した周囲照明を監視するように構成されるシステムに関する。ある実施例において、前記システムは、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を発生させることにより、前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度を監視する手段、期間の経過を決定する手段、及び個々の期間に、前記1つ以上の出力信号により搬送されるように、前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度に関する情報を記憶する手段を有する。このシステムは被験者により担持されるように携帯可能である。
【0007】
本発明のもう1つの態様は、被験者が体験した周囲照明に関する情報を決定するように構成されるシステムに関する。ある実施例において、前記システムは、受信器及び処理器を有する。受信器は、2つ以上の波長範囲内にある前記被験者が体験した周囲照明の強度(i)及び前記被験者が体験した周囲照明の全強度(ii)に関する情報を受信するように構成される。処理器は、前記2つ以上の波長範囲内にある前記被験者が体験した周囲照明の強度及び前記被験者が体験した周囲照明の全強度に基づく、前記被験者の概日周期への前記被験者が体験した周囲照明のリセット効果を表すスコアを決定するように構成される。
【0008】
本発明のもう1つの態様は、被験者が体験した周囲照明に関する情報を決定する方法に関する。ある実施例において、前記方法は、2つ以上の波長範囲内にある前記被験者が体験した周囲照明の強度に関する情報を得るステップ、前記被験者が体験した周囲照明の全強度に関する情報を得るステップ、及び前記2つ以上の波長範囲内にある前記被験者が体験した前記周囲照明の強度及び前記被験者が体験した前記周囲照明の全強度に基づく、前記被験者の概日周期への前記被験者が体験した周囲照明のリセット効果を表すスコアを決定するステップを有する。
【0009】
本発明のもう1つの態様は、被験者が体験した周囲照明に関する情報を決定するように構成されるシステムに関する。ある実施例において、前記システムは、2つ以上の波長範囲内にある前記被験者が体験した周囲照明の強度に関する情報を得る手段、前記被験者が体験した周囲照明の全強度に関する情報を得る手段、並びに前記2つ以上の波長範囲内にある前記被験者が体験した前記周囲照明の強度及び前記被験者が体験した前記周囲照明の全強度に基づく、前記被験者の概日周期への前記被験者が体験した周囲照明のリセット効果を表すスコアを決定する手段を有する。
【0010】
本発明のもう1つの態様は、被験者の状況及び/又は生理学的機能に関する情報を記憶するように構成されるシステムに関する。ある実施例において、前記システムは、センサ、タイマー、処理器及び記憶モジュールを有する。センサは、パラメタをこのパラメタに関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を発生させることにより監視するように構成され、前記パラメタは被験者が体験した周囲条件又は被験者の生理学的機能に関する。タイマーは期間の経過を示すように構成される。処理器は、前記センサにより発生した前記1つ以上の出力信号を受信し、記憶するための個々の期間に対するパラメタの値を決定し、互いに時間に関して近接している一連の期間を急送することにより、前記個々の期間に対するパラメタの決められた値を圧縮するように構成される。これに対し、前記パラメタは、前記一連の期間に対する値及び前記一連の期間における期間数を表す値として類似値にとどまる。前記記憶モジュールは、前記処理器に動作可能なように接続され、この処理器により供給される圧縮された情報を記憶するように構成される。
【0011】
本発明のもう1つの態様は、被験者の状況及び/又は生理学的機能に関する情報を記憶する方法に関する。ある実施例において、前記方法は、パラメタに関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を得るステップであり、ここで前記パラメタは、被験者が体験した周囲条件又は被験者の生理学的機能に関連しているステップ、期間の経過を決定するステップ、記憶するための個々の期間に対する前記パラメタの値を決定するステップ、互いに時間に関して近接している一連の期間を急送することにより、前記個々の期間に対するパラメタの決められた値を圧縮するステップであり、これに対し、前記パラメタは、前記一連の期間に対する値及び前記一連の期間における期間数を表す値として類似値にとどまっているステップ、並びに前記圧縮された情報を記憶するステップを有する。
【0012】
本発明のもう1つの態様は、被験者の状況及び/又は生理学的機能に関する情報を記憶するように構成されるシステムに関する。ある実施例において、前記システムは、パラメタに関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を得る手段であり、ここで前記パラメタは、被験者が体験した周囲条件又は被験者の生理学的機能に関連している手段、期間の経過を決定する手段、前記得られた1つ以上の出力信号に基づいて、記憶するための個々の期間に対するパラメタの値を決定する手段、として類似の値にある、互いに時間に関して近接している一連の期間を急送することにより、前記個々の期間に対するパラメタの決められた値を圧縮する手段であり、これに対し、前記パラメタは、前記一連の期間に対する値及び前記一連の期間における期間数を表す値として類似値にとどまっている手段、並びに前記圧縮する手段に動作可能なように接続された、前記圧縮された情報を記憶する手段を有する。
【0013】
本発明のもう1つの態様は、第1の照明センサ及び第2の照明センサの波長応答における重複を訂正する方法に関する。ある実施例において、前記方法は、前記第1の照明センサ及び前記第2の照明センサの波長応答にわたり円滑に変化する波長を持つ照明を供給するステップ、前記第1の照明センサの波長応答に対応する透過関数を持つ第1のフィルタを用いて前記供給された照明をフィルタリングするステップ、前記第1のフィルタによりフィルタリングされた前記照明の全放射照度を測定するステップ、前記第2の照明センサの波長応答に対応する透過関数を持つ第2のフィルタを用いて前記供給された照明をフィルタリングするステップ、前記第2のフィルタによりフィルタリングされた前記照明の全放射照度を測定するステップ、前記第1及び第2のフィルタを両方用いて前記供給された照明をフィルタリングするステップ、前記第1及び第2のフィルタによりフィルタリングされた前記照明の全放射照度を測定するステップ、並びに前記測定した放射照度に基づいて、前記第1及び第2の照明センサの波長応答の間における重複の訂正を決定するステップを有する。
【0014】
本発明のもう1つの実施例は、照明センサの重複する波長応答関数を訂正するように構成されるシステムに関する。ある実施例において、前記システムは、処理器及び記憶モジュールを有する。処理器は、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号に関する情報を得て、前記2つ以上の波長範囲の個々の範囲内にある前記周囲照明の強度間の1つ以上の比較に基づいて、前記周囲照明を発する照明光源の照明光源形式を決定するように構成される。記憶モジュールは、複数の照明光源形式に対応する訂正を記憶する。前記処理器はさらに、前記1つ以上の出力信号に関する情報から決定される前記照明光源形式に対応する記憶モジュールに記憶される前記訂正を入手し、前記1つ以上の出力信号に関する情報に基づいて、前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度を決定するときに前記入手した訂正を実施するように構成される。
【0015】
本発明のもう1つの態様は、照明センサの重複する波長応答関数を訂正する方法に関する。ある実施例において、前記方法は、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号に関する情報を得るステップ、前記2つ以上の波長範囲の個々の範囲内にある前記周囲照明の強度間の1つ以上の比較に基づいて、前記周囲照明を発する照明光源の照明光源形式を決定するステップ、複数の照明光源形式に対応する記憶される訂正の組から訂正を入手するステップであり、前記入手した訂正は、前記決定した照明光源形式に対応しているステップ、及び前記1つ以上の出力信号に関する情報に基づいて、前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度を決定するときに前記入手した訂正を実施するステップを有する。
【0016】
本発明のもう1つの態様は、照明センサの重複する波長応答関数を訂正するように構成されるシステムに関する。前記システムは、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号に関する情報を得る手段、前記2つ以上の波長範囲の個々の範囲内にある前記周囲照明の強度間の1つ以上の比較に基づいて、前記周囲照明を発する照明光源の照明光源形式を決定する手段、複数の照明光源形式に対応する予め記憶された訂正の組から訂正を入手する手段であり、前記入手した訂正は前記決定した照明光源形式に対応している手段、及び前記1つ以上の出力信号に関する情報に基づいて、前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度を決定するときに前記入手した訂正を実施する手段を有する。
【0017】
本発明のこれら及び他の目的、特徴及び特性は、作業の方法、構造物の関連する要素の機能、部品の組み合わせ及び製造効果と同様に、その全てが本明細書の一部を形成する、添付の図面を参照して以下の記述及び付随する請求項を考慮するとさらに明らかとなり、ここで同様な参照番号は、様々な図面において対応する部品を表している。しかしながら、特に当然のことながら、これら図面は、単に例証及び説明を目的とするだけで、本発明の範囲の定義として意図されない。明細書及び請求項に用いられるように、複数で表現していないことも、文脈が別段の明らかな指図がない限り、それが複数あることも含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のある実施例による、被験者の状況及び/又は生理学的機能に関する情報を決定するように構成されるシステムを説明する。
【図2】本発明のある実施例による、被験者の状況及び/又は生理学的機能に関する情報を決定するように構成されるシステムの構成要素を説明する。
【図3】本発明にある実施例による、近接センサを説明する。
【図4】本発明のある実施例による、電源モジュールを説明する。
【図5】本発明のある実施例による、ユーザが体験した周囲照明を監視する方法を説明する。
【図6】本発明のある実施例による、ユーザの状況及び/又は生理学的機能に関する情報を圧縮する方法を説明する。
【図7】本発明のある実施例による、ユーザの概日周期への周囲照明のリセット効果を表すスコアを決定する方法を説明する。
【図8】本発明のある実施例による、波長応答関数の組を説明する。
【図9】本発明のある実施例による、照明センサの波長応答関数の重複の訂正を決定する方法を説明する。
【図10】本発明のある実施例による、照明センサの重複する波長応答関数を訂正する方法を説明する。
【図11】本発明のある実施例による、前記周囲照明を発する照明光源の照明光源形式を決定するために、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度を比較する方法を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、被験者12の状況及び/又は生理学的機能に関する情報を決定するように構成されるシステム10のある実施例の概略図である。特に、システム10により決定される情報は、被験者の睡眠周期及び/又は概日周期に関する。例えばある実施例において、システム10は、被験者12の身体運動、被験者12が体験した周囲照明及び/又は被験者12の状況及び/又は生理学的機能に関する他の情報に関する情報を決定してもよい。ある実施例において、システム10は、センサ14、タイマー16、ユーザインターフェース18、電源モジュール20、記憶モジュール22及び処理器24を含んでいる。幾つかの実施において、システム10はさらに、通信システム26の構成要素(例えばセンサ14、タイマー16、ユーザインターフェース18、電源モジュール20、記憶モジュール22、処理器24等)の間に及び/又は互いに離れて置かれているシステム10の構成要素のサブ構成要素の間に動作通信(operative communication)を可能にする通信システム26を含んでいる。
【0020】
センサ14は、被験者12の1つ以上の生理学的機能及び/又は被験者12が体験した1つ以上の周囲条件を監視するように構成される。ある実施例において、センサ14はさらに、センサ14により発生した情報が正確であることを保証するために、センサ14の使用の1つ以上の態様を監視する。特に、センサ14は,前記1つ以上の生理学的機能、前記1つ以上の周囲条件及び/又は前記センサ14の使用の1つ以上の態様に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を発生させる1つ以上のセンサ装置を含む。例えば、ある実施例において、センサ14は、動きセンサ28、照明センサ30及び近接センサ32を含む。当然のことながら、センサ14に含まれる前記センサ装置のこのリストが限定するつもりではなく、センサ14は、他のセンサ装置と一緒に及び/又はリストにあるセンサ装置の全てを持たずに含まれてもよい。さらに、センサ14は、前記含まれるセンサ装置(センサ28、30及び32)をシステム10の単一の単品要素に組み合わせているように、図1に示されていたとしても、これは単に説明を目的としただけである。センサ装置28、30及び32は互いに離れて置かれてよいし及び/又はシステム10内にあるそれら機能を実行するときに互いに区別して機能してもよい。
【0021】
動きセンサ28は、被験者12の運動に関する情報を搬送する出力信号を発生させることにより被験者12の運動を監視するように構成される。さらに以下に(例えば図2に関して)説明されるように、ある実施例において、図1に説明されるシステム10の部分は、被験者12により担持されるように携帯可能な装置に設けられ、さらに被験者12により着用可能であってもよい。この実施例において、動きセンサ28は、被験者12と共に動き、被験者12が持っている動きセンサ28の動きに関する情報を搬送する出力信号を発生させるために、被験者12に取り付けられるセンサとして実施されることができる。例えば、動きセンサ28が被験者12の手足(例えば被験者12の手首)に取り付けられ、この手足の運動を監視してもよい。このような実施例において、動きセンサ28は、アクチメータ(actimeter)、位置センサ、変位センサ、加速度計及び/又は動き及び/又は位置を監視することが可能である他のセンサを含んでもよい。
【0022】
様々な実施例によれば、動きセンサ28は、動きの変化(例えば加速)により生じた変形に反応して出力電圧を発生させる圧電センサを含む。このようなある実施例において、前記動きセンサ28は、例えば自動車のエアバッグのような(通常の身体運動と比較して)かなり過度な動きの変化の検出を必要とする状況に通常は実施される圧電センサの一種を含んでいる。これらセンサは一般的に"ショックセンサ"と呼ばれ、回路基板に直接取り付けられる小型のセラミックパッケージ内に封入される圧電素子を含む。これら素子は、かなり過度な動きの変化を検出するように構成されるので、ショックセンサを圧電素子として含んでいる実施例において、動きセンサ28は、一般的な人間の運動が正確に監視されるように、適当な感度を供給するように設計される駆動回路をさらに含んでいる。
【0023】
照明センサ30は、被験者12が体験した周囲照明を監視するように構成される。ある実施例において、センサ30は、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を発生させることにより前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度を監視する。ある実施例において、前記2つ以上の波長範囲は3つの波長範囲を含んでいる。これら3つの波長範囲は、可視スペクトルにおいて略如何なる色も前記3つの波長範囲からの照明の組み合わせにより示されるように選択される。例えば、これら3つの波長範囲は、赤色に対応する波長範囲、緑色に対応する波長範囲及び青色に対応する波長範囲を含む。
【0024】
ある実施例において、照明センサ30は、基板上に配される小型の光学センサ(例えばフォトダイオード)の集積アレイを含んでいる。前記光学センサは、照明がこれら光学センサにより測定される3つの波長範囲に対応する光学センサの組を3つ含んでいる。アドレスラインは前記センサの集合の各々が(別々に又は同時に)稼働する及び読み出されることを可能にする。前記センサの集合の所与の集合が稼働するとき、前記照明センサは、この所与のセンサの集合に対応する波長範囲にある周囲光の放射照度(W/cm2)を示す出力信号を出力する。
【0025】
ある実施例において、照明センサ30は、照明センサ30により監視される波長範囲の個々の波長範囲に対応する複数の別個のフォトダイオードを含む。例えば、実装されるこれらフォトダイオードは、WSPD(wavelength-sensitive photodiode)を含む。各WSPDは、所与の波長を持つ照明に対する応答を表す波長応答関数を持つ。これらWSPDは、照明センサ30に実装される所与のWSPDの波長応答が監視される前記波長範囲の1つに対応するように選択される。
【0026】
使用中、ある実施例において、前記WSPDは、1つ1つ順番に稼働し、それにより発生した出力信号は、個々の波長範囲にある周囲照明の強度の測定値を提供する。照明センサ30の出力信号の電圧は、対応する波長範囲にある周囲照明の強度に比例する電流を発生させる稼働したWSPDを抵抗と結合することにより生じ、この抵抗の両端の電圧が前記出力信号である。
【0027】
ある実施例において、前記WSPDの所与の1つと直列接続された前記抵抗は、選択的に回路に切り替わる及び回路から外れることができる切り替え可能な抵抗の組を有する。これは、(前記所与のWSPDにより生じた対応する低電流を用いた)低い周囲光強度で、抵抗の負荷が増大することができ、かなり低い光強度で感度を提供する出力信号を発生させるように、前記負荷が変化されることを可能にする。同様に、かなり高い周囲光強度で、前記抵抗の組により与えられる負荷は、この抵抗の負荷が固定された場合に起こる出力信号の飽和状態を避けるために減少することができ、かなり低い光強度で感度を提供するように設計される。
【0028】
ある実施例において、照明センサ30は、分光光度計を含んでいる。この分光光度計は、周囲照明の2つ以上の波長範囲の強度に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を供給するように構成される。この照明センサ30の実施例は、上述した他の実施例よりも一般に大きいサイズである。しかしながら、増大したサイズが実用的である分光光度計の実施は、フォトダイオードのアレイ又は別個のフォトダイオードの実施に関して他の強化を提供する。
【0029】
近接センサ32は、センサ14への被験者12の近接を監視するように構成される。このセンサ14への被験者12の近接は、照明センサ30により監視される周囲照明が実際に体験した周囲照明であることを保証する。さらに、センサ14への被験者12の近接は、被験者12の運動が動きセンサ28により正確に監視されていることを保証する。例えば、動きセンサ28が被験者12に着用される加速度計又は他の動きセンサを含んでいる実施例において、動きセンサ28の装着(フィット)が緩い場合、動きセンサ28の出力信号に完全に反映されない被験者12の動きが存在する。同様に、動きセンサ28が被験者12に緩く装着されている場合、動きセンサ28は、被験者28に対して動き(例えば滑る)、このような動きは、被験者12の運動として動きセンサ28の出力信号に反映されてしまう。さらに、被験者12がセンサ14を自分に触れている状態から取り外してしまった場合、被験者12の動きは何ひとつ動きセンサ28の出力信号に反映されない。
【0030】
図3に関して以下に説明されるある実施例において、近接センサ32は、センサ14が被験者12に近接して置かれているかの判断を可能にするため、被験者12の解剖学的組織の誘電特性を実装する容量センサを含む。これは、使用中にセンサ14が被験者12から取り外されたかを判断することを含み、幾つかの実施例において、センサ14が被験者12に不適切に装着していること(例えばその間において相対的な移動を可能にする緩い装着)を検出することを含む。
【0031】
タイマー16は、期間の経過を示すように構成される。被験者12の状況及び/又は生理学的機能を監視するために、この状況及び/又は生理学的機能に関する情報は、ここでは時々エポック(epoch)と呼ばれる別個の期間の組の各々に対し処理及び/又は記録される。例えば被験者12の概日周期に関する情報を決定するためのシステム10の実施において、前記期間は、約1秒以上から数分(例えば約5分)までの長さのどこでもよい。さらに、ある実施例において、異なる長さの期間(例えば、3秒の期間の1つの組と10秒の期間の1つの組と)が同時に決定される。これは、前記状況及び/又は生理学的機能の異なる態様に関する情報が異なる長さの期間に対して監視されることを可能にする(例えば第1の態様は、前記3秒の期間に対して監視され、第2の態様は前記10秒の期間に対して監視される)。ある実施例において、タイマー16は、時間の経過を示す電子パルスを供給する集積回路を含む。当然のことながら、タイマー16が図1において、システム10の別個の構成要素として説明されていたとしても、ある実施例において、タイマー16の実際の要素の幾つか又は全てが処理器24内に一体化して含まれてもよい。
【0032】
ユーザインターフェース18は、システム10と1人以上のユーザ(例えば介護人、研究者、被験者12等)との間にインターフェースを提供するように構成され、これを介して、ユーザはシステム10に情報を供給したり、システム10から情報を受信したりする。これは、データ、結果及び/又は命令並びに集合的に"情報"と呼ばれる如何なる他の通信アイテムが前記ユーザと、センサ14、タイマー16、電源モジュール20、記憶モジュール22及び/又は処理器24の1つ以上との間を通信されることを可能にする。ユーザインターフェース18に加えるのに適した従来のインターフェース装置の実施例は、キーパッド、ボタン、スイッチ、キーボード、ノブ、レバー、表示スクリーン、タッチスクリーン、スピーカ、マイク、表示灯、音声アラーム及びプリンターを含む。ある実施例において、それらの機能が以下に論じられ、ユーザインターフェース18は、センサ14と一体化した装置に設けられる1つのインターフェースを含んでいる複数の別個のインターフェース、並びに(例えば、センサ14及びシステム10の他の付随する構成要素からの情報が受信されるホストコンピュータにより供給される)センサ14と一体化した前記装置から取り出された記憶した情報を視聴及び/又は管理するために設けられる別個のインターフェースを実際に含んでいる。
【0033】
有線又は無線のどちらか一方の他の通信技術は、本発明によりユーザインターフェース18としても考えられると理解されるべきである。例えば、本発明は、ユーザインターフェース18が記憶モジュール22により設けられる脱着可能な記憶インターフェースと一体化されてよいことを考慮している。この実施例において、ユーザがシステム10の実施をカスタマイズすることを可能にする脱着可能な記憶装置(例えば、スマートカード、フラッシュドライブ、リムーバブルディスク等)からシステム10に情報がロードされる。ユーザインターフェース18としてシステム10と共に使用するのに適した他の例示的な入力装置及び技術は、RS−232ポート、RFリンク、IRリンク、モデム(電話、ケーブル又はその他)を含むが、これらに限定されない。要するに、システム10と情報を通信する如何なる技術も本発明によりユーザインターフェース18として考えられる。
【0034】
電源モジュール20は、システム10の他の構成要素の1つ以上に電力を供給するように構成される。ある実施例において、電源モジュール20は、システム10の他の構成要素の1つ以上に安定化電力を供給する充電式バッテリーを含む。この実施例において、電源モジュール20は、この電源モジュール20が外部電源(例えば壁のソケット、ホストコンピュータ等)と接続したとき、このバッテリーの充電を調節する充電回路を含む。
【0035】
記憶モジュール22は、システム10に電子記憶機能を提供する。記憶モジュール22は、センサ14、タイマー16、ユーザインターフェース18、処理器24及び/又は通信システム26の1つ以上と動作可能なように結合される1つ以上の電子的に読み取り可能な記憶媒体を含む。この動作可能なような結合が図1に説明される。記憶モジュール22の電子的に読み取り可能な記憶媒体は、システム10と一体化して(すなわち実質的に取り外し不可能で)供給されるシステム記憶装置、及び例えばポート(例えばUSBポート、ファイヤーワイヤーポート等)若しくはドライブ(例えばディスクドライブ等)を介してシステム10に脱着可能なように接続可能である脱着可能な記憶装置の一方又は両方を含む。記憶モジュール22は、光学的に読み取り可能な記憶媒体(例えば光学ディスク等)、磁気的に読み取り可能な記憶媒体(例えば磁気テープ、磁気ハードドライブ、フロッピードライブ等)、電荷ベースの記憶媒体(例えばEEPROM、RAM等)、ソリッドステート記憶媒体(例えばフラッシュドライブ等)及び/又は他の電子的に読み取り可能な記憶媒体の1つ以上を含んでいる。記憶モジュール22は、ソフトウェアアルゴリズム、センサ14及び/又はタイマー16により発生した出力信号に関する情報、処理器24により決定される情報及び/又はシステム10が適切に機能することを可能にする他の情報を記憶する。記憶モジュール22は、システム10内にある別個の構成要素でもよいし、又は記憶モジュール22がセンサ14又は処理器24の1つ以上と一体化して供給されてもよい。
【0036】
処理器24は、システム10に情報処理機能を提供するように構成される。例えば、処理器24は、デジタル処理器、アナログ処理器、情報を処理するように設計されたデジタル回路、情報を処理するように設計されたアナログ回路、ステートマシン(state machine)及び/又は情報を電子的に処理するための他の機構の1つ以上を含んでよい。処理器24が図1に単一の要素として示されたとしても、これは単に説明を目的とするためである。幾つかの実施において、処理器24が複数の処理ユニットを含んでもよい。これら処理ユニットが同じ装置内に物理的に置かれてもよいし、又は処理器24が協調して動作する複数の装置の処理機能を表してもよい。例えば、ある実施例において、以下の処理器24に起因する前記機能は、被験者12により携帯可能である、またさらに着用可能でもあるように設計される装置にあるセンサ14に動作可能なように接続される第1の処理器と、センサ14により発生した出力信号に関する情報を得て、この得られた情報をさらに処理するために、前記携帯可能な装置と少なくとも定期的に通信する第2の処理器とに分類される。この実施例において、処理器24の前記第2の処理器は、ホストコンピュータにより設けられる処理器を含んでいる。システム10内にある他の構成要素の外部にある処理器(例えば上述した第2の処理器)は、幾つかの事例において、システム10にある構成要素と一体化した処理器(例えば上述した第1の処理器)に冗長処理を供給する、及び/又は前記外部の処理器がシステム10の動作及び/又は被験者12の概日周期に関する追加の情報を決定するために追加の処理を供給してもよい。
【0037】
図1に示されるように、ある実施例において、処理器24は、圧縮モジュール34、イベントモジュール36、訂正モジュール38、睡眠モジュール40、光子束モジュール42及び照明スコアモジュール44を含んでいる。これらモジュール34、36、38、40、42及び44は、ソフトウェア、ハードウェア、ファイヤワイヤ、ソフトウェア、ハードウェア及び/又はファイヤワイヤの何らかの組み合わせ及び/又は別の方法で実施されてもよい。当然のことながら、モジュール34、36、38、40、42及び44は、処理器24が複数の処理ユニット(例えば携帯可能な装置に置かれる第1の処理器及びこの第1の処理器と少なくとも定期的に通信する第2の処理器)を含んでいる実施において、図1において単一の処理ユニット内に共同設置されているように説明されたとしても、モジュール34、36、38、40、42及び44は、他のモジュールと離れて置かれてもよい。
【0038】
圧縮モジュール34は、記憶モジュール22内に記憶するための情報を圧縮するように構成される。この圧縮は一般的に、システム10が上述した第1及び第2の処理器を含み、記憶モジュール22内に情報の記憶を可能にする実施例において実施され、
これは携帯可能な装置にも含まれる一方、情報のサイズを減らす。この情報のサイズを減らすことは、記憶モジュール22のサイズ(物理的なサイズ及び必要とされる記憶空間の記憶容量の両方)を減らすことを可能にし、これが携帯可能な装置のフォームファクタ(form factor)を向上させ及び/又は記憶モジュール22から、さらに処理するための第2の処理器へ記憶した情報をダウンロードすることなく、より多くの情報が記憶モジュール22内に記憶されることを可能にする。
【0039】
ある実施例において、圧縮モジュール34は、損失の大きい及び/又は無損失の圧縮を実施する。例えば、センサ14により発生したアナログ出力信号は、16ビットのデジタル信号に変換され、この信号は記憶するために圧縮モジュール34により8ビットに圧縮される。これは、損失の大きい圧縮を有する。もう1つの損失の大きい圧縮は、圧縮モジュール34がセンサ14により発生した1つ以上の出力信号のデジタル表現を圧縮するために2を底とする対数を実施する実施例において実施される。もう1つの例として、ある実施例において、圧縮モジュール34は、(タイマー16により決定されるような)個々の期間にセンサ14の出力信号(例えば動き、照明強度等に関する情報を搬送する出力信号)の表現(例えばアナログ値のデジタル表現)を受信し、互いに時間に関し近接している(i)及び前記出力信号の表現が同様の値を持つ(ii)一連の期間を、前記一連の期間に含まれる期間に対する前記出力信号の表現を表す値(a)及び前記一連の期間に含まれる期間の数(b)として表すことにより前記表現を圧縮する。これは、前記一連の期間に対する前記出力信号の表現の値の必須の類似点に依存して、無損失又は殆ど無損失の圧縮を有する。
【0040】
イベントモジュール36は、センサ14により発生した出力信号に基づいて決定される様々なイベントに関する情報を決定するように構成される。例えば、イベントは、近接センサ32により発生した出力信号に基づいて検出されてもよい。これらイベントは、被験者12からセンサ14を取り除く又は(取り除いた後)被験者12上のセンサ14の交換を含む。これらイベントは、センサ14が被験者12から取り除かれるため、有用ではない情報からセンサ14により発生した有用な情報を決定するのに使用されるおそれがある。システム10が簡潔に上述した第1の処理器を備える携帯可能な装置を含むある実施例において、イベントモジュール36は、センサ14が被験者12に正しく取り付けられているかを判断するために、少なくとも部分的に前記携帯可能な装置において実施される。この実施例において、イベントモジュール36がセンサ14は正しく取り付けられていないと判断する場合、システム10は被験者12に取り付けが正しくないと警告し、取り付けが正しくない間、センサ14により発生した出力信号に関するフラグ情報は、センサ14が被験者12に正しく取り付けられるまで前記携帯可能な装置にある記憶モジュール22への情報の記憶を中止又は休止し、前記イベントの発生を(例えば時間/日付スタンプにより)記録し及び/又は前記イベントに応答して他の行動をとる。幾つかの例において、イベントモジュール36は、センサ14の完全に取り外されたのを検出するだけでなく、センサ14の正しくない取り付け(例えばセンサ14と被験者12との間の緩い装着)も検出し、このことが適切な行動(例えば上述した手続きの何れか)を引き起こす。
【0041】
ある実施例において、イベントモジュール36は、システム10の機能に関する他のイベントに関するイベントを検出する。例えば、イベントモジュール36は、バッテリー容量に対するイベント(例えば低バッテリー)、メモリ容量に対するイベント(例えばフルメモリ)及び/又はシステム10の機能に関する他のイベントを決定する。
【0042】
ある実施例において、イベントモジュール36は、被験者12が体験した周囲条件及び/又は被験者12の生理学的機能に関するイベントを検出する。例えば、これらイベントは、例えば運動、瞑想、うたた寝及び/又は他の活動のような活動の開始及び/又は終了を含んでもよい。
【0043】
ある実施例において、イベントモジュール36は、被験者12がイベントを"スコア"することを可能にする。被験者12により(例えばユーザインターフェース18を介して)入力されたスコアは、心の情動状態、身体的な痛みのレベル、疲労及び/又はイベントが発生している被験者12の状態の他の主観的な態様の兆候を供給する。
【0044】
訂正モジュール38は、センサ14により発生した1つ以上の出力信号に関する情報に訂正を施すように構成される。ある実施例において、照明センサ30により発生した出力信号から決定される情報に前記訂正が施される。図8及び図9に関して以下にさらに説明されるように、ある実施例において、前記訂正は、照明センサ30に実装されるフォトダイオードの波長透過関数の間にある重複に対し訂正を行う。照明センサ30、動きセンサ28、近接センサ32及び/又はセンサ14に含まれる他のセンサにより発生した出力信号に基づいて決定される情報に対する他の訂正は、訂正モジュール38により決定及び/又は施されることも可能である。
【0045】
睡眠モジュール40は、被験者12の睡眠に関する情報を決定するように構成される。これは、睡眠周期情報、睡眠段階情報、覚醒情報及び/又は活動情報を含む。睡眠モジュール40は、動きセンサ28により発生した出力信号に基づいて上記情報を決定する。システム10がセンサ14を含んでいる携帯可能な装置を含む実施例において、睡眠モジュール40は、この携帯可能な装置から情報がダウンロードされる前記第2の処理器により実行される及び/又は前記携帯可能な装置にある前記第1の処理器により実行されてもよい。前記第2の処理器に睡眠モジュール40を単独で実装することは、前記携帯可能な装置の記憶及び/又は処理要件を減少させ、これにより、もっと魅力的なフォームファクタを持つより小さな装置を可能にする。しかしながら、前記第1の処理器により睡眠モジュールを前記携帯可能な装置に含めることは、睡眠モジュール40により決定される情報が前記携帯可能な装置に設けられるユーザインターフェース18を介して被験者12に直接供給されることを可能にする。
【0046】
光子束モジュール42は、周囲照明により被験者12が体験した光子の束に関する情報を決定するように構成される。光子束モジュール42は、照明センサ30により発生した出力信号に基づいてこの情報を決定する。放射照度を光子当りのエネルギーで除算
Φ=E/(Q/光子)
することにより光子束が決められ、ここでΦは光子束を表し、Eは放射照度を表し、Q/光子は、光子当たりのエネルギーを表す。当然のことながら、この光子当りのエネルギーは波長依存である。スペクトルの所与の部分にある光子束を決定するために、(前記スペクトルの所与の部分にわたる各々の別個の波長に対する放射照度の測定が実用的でないので)このエネルギーに対する何らかの近似が使用されなければならない。この近似は、前記スペクトルの所与の部分内における光子当りの平均エネルギーであり、
と計算されることができる。ここでQmeanは、光子当りの平均エネルギーを表し、Q(λ)は前記エネルギーを波長の関数として表し、λは波長を表し並びにλ1及びλ2は分析されているスペクトルの部分の範囲を表す。決定した光子当りの平均エネルギーは、光子束を光子当りのエネルギーと決定するために上記数式に代入される。
【0047】
明らかに、上記近似を用いて分析されているスペクトルの部分がさらに大きくなるにつれて、近似の使用に付いて回る不正確さも大きくなる。照明センサ30が2つ以上の波長範囲及びある実施例では3つの波長範囲の強度(又は放射照度)に関する情報を供給するので、照明センサ30により供給される照明の測定値に基づく全光子束の決定は、全ての可視スペクトルに対する放射照度に関する情報を供給する単一センサに基づく決定と比較して強化される。さらに、照明センサ30により監視される波長範囲内にある照明の強度及び/又は放射照度に関する情報の有用性は、(例えば上に示される数式、関係及び近似を用いて)光子束モジュール42による個々の波長範囲の各々の中にある前記光子束の決定を可能にする。
【0048】
照明スコアモジュール44は、被験者12の概日周期への被験者12が体験した周囲照明のリセット効果を示すスコアを決定するように構成される。ある実施例において、前記スコアを決定することは、(光子束モジュール42により決定されるような)照明センサ30により監視される2つ以上の波長範囲内にある前記照明の光子束の重み付け和を決定することを含んでいる。例えば、照明センサ30が可視スペクトルの赤色部分に対応する1つの波長範囲、可視スペクトルの緑色部分に対応するもう1つの波長範囲及び可視スペクトルの青色部分に対応するもう1つの波長範囲を監視する実施例において、前記重み付け和は、対応する重み付け係数で乗算されたこれらの波長範囲各々の光子束の合計である。これは、
(2) S=Φred*φred+Φgreen*φgreen+Φblue*φblue
と数学的に表されてもよく、ここでΦred、Φgreen及びΦblueは、可視スペクトルの赤色、緑色及び青色部分夫々における光子束を表し、φred、φgreen及びφblueは、可視スペクトルの赤色、緑色及び青色部分夫々に対する重み付け因子を表し、Sは周囲照明のスコアを表す。φred、φgreen及びφblueの相対的な大きさは、被験者12の概日周期をリセットする際の可視スペクトルの赤色、緑色及び青色部分における周囲照明の相対的影響を反映する。
【0049】
ある実施例において、前記重み付け因子φred、φgreen及びφblueはさらに、周囲照明の強度を用いて前記可視スペクトルの様々な部分内における周囲照明の前記相対的影響の変化も反映する。例えば、比較的低い強度で、可視スペクトルの青色部分内における照明の概日周期をリセットする影響は最大となる。前記周囲照明の相対的な強度が増大するにつれて、前記スペクトルの青色部分内における照明の前記相対的影響は、前記スペクトルの緑色部分内における前記照明のリセットする影響に対し減少する。ある実施例において、強度によるこの変化を説明するために、照明スコアモジュール44は、(照明センサ30により発生した出力信号に基づいて決定したように)周囲照明の強度の関数として前記重み付け因子φred、φgreen及びφblueを決定する。
【0050】
図2は、携帯可能な装置46及びドッキング装置48を含んでいるシステム10の実施例を説明している。図2に説明される携帯可能な装置46は、携帯可能な装置(例えば携帯可能な装置46)内に配される第1の処理器(図2には図示せず)、この第1の処理器から情報を受信する第2の処理器及び/又はさらに処理及び/又は記憶するために前記携帯可能な装置内に配される記憶モジュール(図2には図示せず)を含んでいる上述した携帯可能な装置のある実施例である。図2に説明される実施例において、携帯可能な装置46は、この携帯可能な装置46が被験者により着用可能であるように、被験者12の付属肢に装着されるように構成されるストラップ50を含む。例えば、携帯可能な装置46は、従来の腕時計と同様に被験者の手首に着用されてもよい。しかしながら、当然のことながら以下に記載される携帯可能な装置46の特定の構造が限定するつもりではなく、他の携帯可能な装置が実施されてもよい。例えば、腕時計以外の携帯可能な個人用の電子装置(例えばPDA、携帯電話、ハンドヘルドコンピュータ等)が(例えば周囲照明を監視するような)携帯可能な装置46に関してここに論じた機能の幾つか又は全てを供給するように実装されてもよい。
【0051】
図2に説明される携帯可能な装置46の実施例において、装置46のハウジング52は、前記第1の処理器、前記記憶モジュール及びセンサ14(図2には図示せず)を収容している。特に、照明センサ30(図2には図示せず)は、ハウジング52の面56上に形成される光学的に透過な窓54によって周囲照明にアクセスできる。被験者12が携帯可能な装置46を着用するので、照明センサ30は、上述したように、窓54によって被験者12が体験した周囲光を受信し、それに応答して1つ以上の出力信号を発生させる。
【0052】
ある実施例において、ハウジング52内に配されたセンサ14はさらに、動きセンサ28(図2には図示せず)を有する。上述したように、動きセンサ28は、この動きセンサ28の位置及び/又は動きに関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を発生させ、この情報は、装置46が被験者12により着用されているので、被験者12の身体の動きに対応している。
【0053】
ある実施例において、センサ14は、ハウジング52及び/又はストラップ50内に配される近接センサ32(図2には図示せず)を有する。上述したように、近接センサ32は、被験者12へのセンサ14及び携帯可能な装置46の取り付けに関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を発生させる。この情報は、携帯可能な装置46の使用中に被験者12が体験する周囲照明及び/又は被験者12の身体の動きに関する情報の記憶及び/又は処理に実施される。
【0054】
図2に見られるように、携帯可能な装置46は、ハウジング52の面56上に配される表示スクリーン58を含んでいる。ある実施例において表示スクリーン58は、被験者12に情報を表示する液晶ディスプレイ(LCD)を含んでいる。表示スクリーン58は、図1に関して上述したユーザインターフェース18の一部を少なくとも形成する。例えば、表示スクリーン58は、被験者の生理学的機能、被験者の状況及び/又は装置46の正しい又は間違った機能に関する情報を被験者に知らせる。例えば、表示スクリーン58は、被験者12に時刻を表示する時間ディスプレイを提供する。表示スクリーン58は、装置46が正しく取り付けられた及び正常に機能していることを被験者12に示す表示器をさらに含んでいる。ある実施例において、装置46が被験者12の状況及び/又は生理学的機能を監視するのに使用される既定の監視期間が終了したとき、表示スクリーン58は、このことを被験者12に知らせる。例えば、前記時刻の表示が空になり、これにより前記監視期間が終わったことを被験者12に知らせる。他の実施例において、この知らせは、もう1つの視覚的表示器及び/又は装置46により発せられる音声アラームを含んでもよい。
【0055】
ある実施例において、タイマー16(図2には図示せず)は、ハウジング52内に含まれ、装置46内に配された前記第1の処理器は圧縮モジュールを有する。センサ14により出力信号が発生するので、これら出力信号から得られる情報は(例えば上述されるように)圧縮され、後で取り出す及び処理するためにハウジング52内に含まれる記憶モジュールに記憶される。装置46に含まれる前記第1の処理器はさらに、図1を参照して上述されたようなモジュール36、38、40、42及び/又は44の1つ以上を含むことが図1及び図2の両方の上記記述から理解されるべきであるので、この実施例が限定するつもりではない。さらに、当然のことながら、これら追加のモジュールの1つ以上を含んでいる実施例において、前記追加のモジュールにより発生した情報は、装置46から離れてさらに処理されなくても、表示スクリーン58を介して被験者12に直接搬送される。
【0056】
ドッキング装置48は、ドッキング部60において携帯可能な装置46を収容するように構成される。ドッキング装置48は、ドッキングステーション48は、ホスト処理システム(例えばパーソナルコンピュータ)に結合され、前記ドッキング部60に通信インターフェース62を含む点で、図1に関して簡潔に上述した通信システム26の一部を形成し、この通信インターフェース62は、装置46のハウジング52内に含まれる第1の処理器及び/又は記憶モジュールと、ドッキング装置48が結合される前記ホスト処理システムとの間の通信を可能にする、装置46に形成される対応する通信インターフェース64と連動するように構成される。前記装置46の処理器及び/又は記憶装置と、前記ホスト処理システムとの間において、ホスト処理システムが装置46から情報を取り出し、この情報をさらに処理するように、情報がやりとりされる。例えば、図1に関して上述したようなモジュール36、38、40、42及び/又は44の1つ以上は、前記ホスト処理システムにより形成され、このホスト処理システムのユーザインターフェースは、ユーザ(例えば被験者12、介護人等)が装置46から取り出された情報及び/又は前記ホスト処理システムに形成されるモジュール36、38、40、42及び/又は44の何れかにより発生した情報にアクセスすることを可能にする。
【0057】
ある実施例において、通信インターフェース62及び64は、光学赤外線信号がドッキング装置48と携帯可能な装置46との間で情報をやりとりするように実施されることを可能にする。しかしながら、これが限定するつもりではない。例えば、ある実施例において、通信インターフェース62及び64は、有線通信用の電気接点を1つ以上含んでいる。もう1つの実施例において、ドッキング装置48と携帯可能な装置46との間の"連動(インターフェース)"は、(例えばRF通信による)無線であり、その間における情報の通信に近接は必須ではない。
【0058】
図2に示されるようなドッキング装置48はさらに、ハウジング52に形成される対応する電源インターフェース68と連動するように動作する電源インターフェースを含む。装置46がドッキング装置48にドッキングしている間、装置46内に配された電源モジュール20(図2には図示せず)を充電するために、電源インターフェース66及び68を介して、携帯可能な装置46に電力が供給される。
【0059】
図3は、センサ14の近接センサ32のある実施例の回路図を説明している。示される実施例において、近接センサ32は、容量センサマルチバイブレータ70、(前記第2の処理器内にモジュールとして又は別個の処理ユニットとして形成される)比較器72及び集合的にコンデンサ74を形成する2つの接点を含む。これら2つの接点は、導電性(例えば金属)であるが、センサ32が機能するのを可能にするために、被験者12の皮膚と接するように必ずしも置かれる必要はない。例えば、前記接点は、図2に説明される携帯可能な装置46のハウジング52及び/又はストラップ50内に配される金属素子で形成されてもよい。
【0060】
図3に戻り、比較器72の出力がハイ(High)である場合、コンデンサ74は充電する。比較器72のマイナス端子の電圧がプラス端子の電圧を上回る場合、比較器72の出力はロー(Low)になり、コンデンサ74は放電する。これが再び比較器72のマイナス端子の電圧をプラス端子の電圧より下に降下させ、これが比較器72の出力を再びハイにさせ、コンデンサ74が充電するのを可能にする。この変動の頻度は、前記接点により形成されるコンデンサ74のキャパシタンスにより部分的に決められる。空気と被験者12の皮膚への近接との間にあるコンデンサ74のキャパシタンスが上述した振動の頻度を変化させ、コンデンサ74の前記接点の被験者12への近接との予測可能な関係であるように変化するので、これにより被験者12のセンサ32への近接の決定を可能にする。この近接の検出は、被験者12へのセンサ32(並びにそれと一緒にセンサ14の他のセンサ38及び/又は30)の取り付けの有効性の判断を可能にする。
【0061】
図4は、電源モジュール20のバッテリー76を充電するための電源モジュール20のある実施例に含まれるバッテリー充電回路の回路図を説明する。電源インターフェース68において外部電力が前記回路に印加されてもよい。電源インターフェース68に外部電力が印加されないとき、抵抗78はこの回路に含まれる2つのFETスイッチ80及び82のゲートをローにさせる。この状態において、スイッチ80及び82はオンに切り替わり、バッテリー76が電源モジュール20の出力84に電力を供給することを可能にする。第1のダイオード86は、漏れ電流が電源インターフェース68を通り接地するのを阻止する。外部電源が電源インターフェース68に適用されるとき、スイッチ80及び82はオフに切り替わり、従ってバッテリー76を出力84から切り離す。電力は、電源インターフェース68からダイオード86を介し出力84に供給される。これはバッテリー76のバッテリー電圧が回路の最低限度より低くても、電源モジュール20がシステム10の構成要素に給電することを可能にする。電力が電源インターフェース68に印加されている間、回路調整器88は電源インターフェース68に印加される電圧及び抵抗90により設定される電流を持つ電流源となる。この電流源は次いで、ダイオード92を通りバッテリー76を充電する。電流調整器88及びダイオード92が電圧降下をもたらすので、バッテリー電圧が既定のしきい値に達するまで、電流は単に一定であり、その後、バッテリー電圧が増大するので、充電電流は減少する。これは、簡単な定電圧充電回路に比べ、バッテリーの充電時間を減少させる。
【0062】
図5は、被験者が体験した周囲照明を監視する方法94を説明している。方法94の作業が上述された及び図1から図4に説明されたシステム10の構成要素に関して以下に論じられていたとしても、当然のことながら、これは単に説明を目的とし、この方法94が本開示の範囲から外れずに他の構成要素及び/又はシステムを用いて実施されてもよい。
【0063】
ある実施例において、方法94は、2つ以上の別個の波長範囲において周囲照明の強度が監視される作業96を有する。これら2つ以上の別個の波長範囲は、3つの波長範囲を含んでいる。これら2つ以上の波長範囲は、可視スペクトルの赤色部分に対応する第1の波長範囲、可視スペクトルの緑色部分に対応する第2の波長範囲及び可視スペクトルの青色部分に対応する第3の波長範囲を含む。幾つかの例において、作業96は、上述された並びに図1及び図2に説明された照明センサ30に類似の照明センサにより実施されてもよい。
【0064】
作業98において、被験者の動きが監視される。ある実施例において、作業98は、上述された及び図1に説明された動きセンサ28に類似の動きセンサにより行われる。
【0065】
作業100において、個々の期間の経過が決定される。ある実施例において、作業100は、上述された及び図1に説明されたタイマー16に類似のタイマーにより実行される。
【0066】
作業102において、個々の期間に被験者が体験した周囲照明に関する情報を表す値及び/又は前記個々の期間に被験者の動きに関する情報を表す値が決定される。これら値は、作業96で決定した被験者が体験した周囲照明に関する情報、作業98で決定した被験者の動きに関する情報及び/又は作業100で決定した期間の経過に基づいて決められる。ある実施例において、作業102は上述された及び図1に示された処理器24に類似の処理器により実施される。
【0067】
作業104において、作業102で決定した値は、記憶するために圧縮される。ある実施例において、個々の期間に被験者の周囲照明及び/又は動きに関する情報を表す値が受信され、互いに時間的に近接している(i)及び出力信号の表現が略同じ値を持つ(ii)一連の期間を、この一連の期間に含まれるこれら期間に対する前記出力信号の表現を表す値(a)及びこの一連の期間に含まれる期間の数(b)で表すことにより前記表現を圧縮する。作業104は、図1に示された及び上述された圧縮モジュール34に類似の圧縮モジュールにより実施されてもよい。
【0068】
作業106において、作業104で圧縮された情報が記憶される。ある実施例において、作業104で記憶された情報は、上述された及び図1に説明された記憶モジュール22に類似の記憶モジュールに記憶される。
【0069】
図6は、被験者の状況及び/又は生理学的機能に関する情報を圧縮する方法108を説明している。ある実施例において、方法108は、上述された及び図5に示された方法94内の作業104として実施される。しかしながら、方法108は様々な状況内で実施されることができるので、これが限定するつもりではない。
【0070】
作業110において、現在の期間の経過が決定される。作業120において、被験者の状況及び/又は生理学的機能に関するパラメタの値が前記現在の期間に対し決定される。例えば、前記パラメタは、周囲照明の強度、被験者の身体の動き及び/又は他の状況又は生理学的情報に関するパラメタを含んでもよい。
【0071】
作業114において、前記現在の期間に対するパラメタの値と、以前の期間に対するパラメタの値との間の差が既定のしきい値を超えるかに関する決定を行う。幾つかの例において、前記既定のしきい値は、前記2つの値の間に実質的同等性を要する。他の例において、大きいしきい値は、現在の期間に対する値と以前の期間に対する値との間に幾らかの変動を可能にするために用いられる。
【0072】
前記値の間の差が既定のしきい値を超えない場合、方法108は、これら値の間の差が既定のしきい値を超えない期間のカウントを1つ増加させる作業116に進み、制御は作業110及び112に戻る。
【0073】
前記値の間の差が既定のしきい値を超える場合、方法108は、作業118及び120に進む。作業118において、以前の期間に対するパラメタの値は、(例えば作業116により保持されるような)現在のカウントと共に記憶される。方法108が(図5に示される)方法94内において作業104として実施される場合、作業118は方法94の作業106として実施される。方法108に戻り、作業120において、現在の期間の値は、後続する期間と比較するための以前の期間の値として保存され、方法108は作業122に進む。作業122において、(例えば、作業116により保持され、作業118で記憶される)前記カウントは零にリセットされる。方法108は、作業122から作業110及び112に逆戻りする。
【0074】
図7は、被験者の概日周期への周囲照明のリセット効果を表すスコアを決定する方法を説明している。ある実施例において、方法124は、上述された及び図1に説明された照明スコアモジュール44により実施される。しかしながら、方法124の他の実施も考えられる。
【0075】
方法124は、周囲照明の強度に関する情報が得られる作業126を含んでいる。この情報は、周囲照明の個々の波長範囲の強度及び/又は周囲照明の全強度を含んでもよい。ある実施例において、作業126は、周囲照明の強度に関する記憶した情報を取り出すことを含んでいる。もう1つの実施例において、作業126は、1つ以上の照明センサから情報を直接得ることを有する。
【0076】
作業128において、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の光子束に関する情報は、作業126で得られた情報に基づいて決定される。ある実施例において、周囲照明の全光子束は、作業126で決めた情報に基づいて作業130で決定される。
【0077】
作業132において、重み付け係数は、2つ以上の波長範囲の各々に対し決定される。ある実施例において、前記重み付け係数を決定することは、記憶した定数値にアクセスすることを有する。もう1つの実施例において、前記重み付け係数を決定することは、作業126で得られた情報の関数として、これら重み付け係数を決定することを有する。作業134において、前記2つ以上の波長範囲に対する重み付け係数は、作業128で決めた前記2つ以上の波長範囲の光子束で乗算される。この乗算は、前記2つ以上の波長範囲の各々に対する重み付け値をもたらす。
【0078】
作業136において、周囲照明のスコアは、作業134で決めた前記重み付け値を合計することにより決定される。
【0079】
上述したように、本開示の特徴の1つは、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の監視である。ある実施例において、これは1つ以上のフォトダイオードが監視される2つ以上の波長範囲の1つに対応している(個々に又は一体化したアレイとして形成される)複数のフォトダイオードを用いることを含んでいる。実際に、これは一般的に、異なるフォトダイオードの波長応答関数が幾分の空間的重複を持つフォトダイオードを実装することを含んでいる。例えば、この原理は図8に説明され、可視スペクトルの青色、緑色及び赤色部分内に夫々ある周囲照明を監視するフォトダイオードに対応するサンプルの波長応答関数138、140及び142(波長対換算係数)を示す。当然のことながら、これら波長応答関数のこの記述は、単に説明を目的に提供され、実際に波長応答関数がこのような規則的な形状でなくてもよく及び/又はこれら関数の裾野がより大きな"広がり"を含んでもよい。さらに、示される特定のスペクトル区域(例えば青色、緑色及び赤色)の使用は、異なるスペクトル領域(例えば、シアン、マゼンダ及び黄色)内の照明を監視する他のフォトダイオードの組み合わせが考えられるので、限定するつもりではない。
【0080】
図8に見られるように、スペクトルの"青色"部分がλ0からλ1に延在していたとしても、フォトダイオードの前記波長応答138及び140は、これらの境界と正確に一致していない。代わりに、青色のフォトダイオード及び緑色のフォトダイオードの前記波長応答138及び140は、この青色のフォトダイオードの前記波長応答関数の一部が前記スペクトルの"緑色"部分に入り(例えば>λ1)、前記緑色のフォトダイオードの波長応答関数140の一部が前記スペクトルの"青色"部分に入る(例えば<λ1)ように重複する。この重複が訂正されない場合、スペクトルの緑色部分の照明は、青色のフォトダイオードによりスペクトルの青色部分に帰属し、スペクトルの青色部分の照明は、それが緑色のフォトダイオードにより検出されるので、スペクトルの緑色部分に帰属する。
【0081】
この波長応答の重複の実施例は、スペクトルの青色部分に対応するフォトダイオード及びスペクトルの緑色部分に対するフォトダイオードが実施される例に限定されない。スペクトルの近接区域に対応するフォトダイオードが実施される大多数の例において、このような重複は考えられる。しかしながら、この重複は、スペクトルのこれら部分と、フォトダイオードの実際の応答関数との間にある相対的な近接によって幾らか悪化する。例えば実際に、赤色のフォトダイオード及び緑色のフォトダイオードの応答関数の間に通例幾らかの重複が存在している。この重複は、青色及び緑色のフォトダイオード間にある前記重複よりも小さい傾向があり、従ってある実施例では無視されてもよいし又は青色及び緑色のフォトダイオードに対し以下に述べられるように訂正されてもよい。
【0082】
図9は、波長応答関数138及び140(又は何れかの他の重複している応答関数)に対応しているフォトダイオードの実施の不正確さを減少する訂正を決定する方法144を説明している。作業146において、放射が供給される。この供給された放射は、前記重複している波長応答関数にわたり円滑に変化する波長を持つ。例えば、作業146は、黒体放射を供給する黒体放射源により行われることができる。
【0083】
作業148において、波長応答関数の第1の関数(例えば図8に示される波長応答関数138)に実質的に対応している透過関数を持つ第1のフィルタは、前記供給された放射をフィルタリングするのに使用される。ある実施例において、前記第1のフィルタの透過関数と、前記波長応答関数の前記第1の関数との間における対応は、前記透過関数及び波長応答関数のカットイン(cut in)とカットアウト(cut out)との間における近似の品質を有する。ある実施例において、前記第1のフィルタの透過関数と、前記波長応答関数の第1の関数との間における対応は、透過関数及び波長応答関数のピーク間における近似の品質を有する。ある実施例において、前記第1のフィルタの透過関数と、前記波長応答関数の第1の関数との間における対応は、スペクトルの対応する部分(例えばスペクトルの青色部分)に配される透過関数及び波長応答関数の両方を有する。
【0084】
方法144はさらに、作業148で作成されたフィルタリングされた照明の測定値の組が得られる作業150、152及び154の組を含んでいる。これら測定値は連続的に又は並行して得られてよい。作業150において、フィルタリングされた照明の全放射照度の測定値が、波長専用ではない照明センサ(例えば光度計)を介して得られる。作業152において、青色のフォトダイオードの出力信号(例えば出力電流)が決められる一方、この青色のフォトダイオードは、作業148で作成されたフィルタリングされた照明に曝される。作業154において、緑色のフォトダイオードの出力信号(例えば出力電流)が決められる一方、この緑色のフォトダイオードは、前記フィルタリングされた照明に曝される。
【0085】
作業156において、作業146において放射が供給され、前記波長応答関数の第2の関数(例えば図8に示される波長応答関数140)に実質的に対応している透過関数を持つ第2のフィルタは、供給された放射をフィルタリングするのに使用される。ある実施例において、前記第2のフィルタの透過関数と、前記波長応答関数の前記第2の関数との間における対応は、前記透過関数及び波長応答関数のカットインとカットアウトとの間における近似の品質を有する。ある実施例において、前記第2のフィルタの透過関数と、前記波長応答関数の第2の関数との間における対応は、透過関数及び波長応答関数のピーク間における近似の品質を有する。ある実施例において、前記第2のフィルタの透過関数と、前記波長応答関数の第2の関数との間における対応は、前記スペクトルの対応する部分(例えばスペクトルの緑色部分)に配される透過関数及び波長応答関数の両方を有する。
【0086】
作業158、160及び162の組において、作業156で作成されたフィルタリングされた照明の測定値の組が得られる。これら測定値は連続的に又は並行して得られてよい。作業158において、フィルタリングされた照明の全放射照度の測定値が、波長専用ではない照明センサを介して得られる。作業160において、青色のフォトダイオードの出力信号が決められる一方、この青色のフォトダイオードは、作業156で作成されたフィルタリングされた照明に曝される。作業162において、緑色のフォトダイオードの出力信号が決められる一方、この緑色のフォトダイオードは、前記フィルタリングされた照明に曝される。
【0087】
作業164において、作業146で供給された前記照明は、前記第1及び第2のフィルタの両方を用いてフィルタリングされる。作業164で作成されたフィルタリングされた照明の測定値の組は、作業166、168及び170で得られる。再び、これら測定値は連続的に又は並行して行われる。作業166において、フィルタリングされた照明の全放射照度の測定値が、波長専用ではない照明センサにより行われる。作業168において、青色のフォトダイオードの出力信号が決められる一方、この青色のフォトダイオードの出力信号は、作業164で作成されたフィルタリングされた照明に曝される。作業170において、緑色のフォトダイオードの出力信号が決められる一方、この緑色のフォトダイオードは前記フィルタリングされた照明に曝される。
【0088】
図8に戻ってみると、作業150で検出した放射照度は、(λ0からλ1の間における)スペクトルの青色部分にある青色フィルタからの照明により生じる放射照度("εBB")、及び(λ0からλ1の間における)スペクトルの緑色部分にある青色フィルタからの照明により生じる放射照度("εBG")を含んでいる。同様に、作業158で検出した放射照度は、スペクトルの緑色部分にある緑色フィルタからの照明により生じる放射照度("εGG")、及びスペクトルの青色部分にある緑色フィルタからの照明により生じる放射照度("εGB")を含んでいる。作業166での放射照度は、緑色フィルタの透過関数のカットイン("λl")と、青色フィルタの透過関数のカットアウト("λh")との間に重複する緑色及び青色フィルタの透過関数の部分だけで本質的に生じる放射照度を含んでいる。
【0089】
図9に戻ってみると、作業172において、εBB、εGG、εBG及びεBGは、作業150、158及び166で行った測定と、εBB、εGG、εBG及びεGBとの間の予め得られた関係に基づいて、作業150、158及び160で行った測定から決定される。これら関係を得るための1つの可能な処理は以下のとおりである。
【0090】
再び図8を参照すると、前記青色フィルタを用いてフィルタリングされた(例えば、方法144の作業148)照明の全放射照度("EB")は、
と表されることができる。ここで、εB(λ)は、青色フィルタによりフィルタリングされた照明の放射照度を波長の関数として表す。同様に、緑色フィルタを用いてフィルタリングされた(例えば、方法144の作業156)照明の全放射照度("EG")は、
と表されることができる。ここで、εG(λ)は、緑色フィルタによりフィルタリングされた照明の放射照度を波長の関数として表す。
【0091】
所与のフィルタに対するスペクトルの何れかの領域に対する放射照度関数("ε(λ)")がε(λ)=W(λ)F(λ)と表されることができると仮定し、ここでW(λ)はフィルタリングされた白色光の放射照度を波長の関数として表し、F(λ)は、前記所与のフィルタの透過関数を波長の関数として表すと仮定する場合、方法144の作業166で得られる放射照度("EC")の測定値は、
と表されることができる。ここで、FB(λ)は、青色フィルタの透過関数を表し、FG(λ)は、緑色フィルタの透過関数を表す。
【0092】
(方法144の作業146で供給される)フィルタリングされる放射照度が略黒体放射であり、FG(λ)は、λ1とλ2との間にある定数であり、並びにFG(λ)及びFB(λ)はλ1に関して対称であると仮定することにより、数式(5)は、
のように簡略化する。ここで、
は、λ1とλ2との間における緑色フィルタの平均透過値である。εB(λ)を数式(3)から数式(6)に代入することにより、数式は、
となる。(注:λhとλ2の間における数式(3)の積分の部分は零である)、解はλ1に関して対称であると仮定されるので、
となる。ここで、
は、λlとλ1との間における青色フィルタの平均透過値である。
【0093】
数式(8)に表される関係は、帯域外放射照度εBG及びεGBを両方のフィルタにより光がフィルタリングされる間に測定(例えば方法144の作業166で行われる測定)した全放射照度の関数として説明される以下の数式を生じさせる。
及び
【0094】
平均放射照度
は、実施されるフィルタの仕様から決められる定数値である。
【0095】
数式(9)及び(10)は、数式(3)及び(4)の項と組み合わされ、以下のような関係
及び
を生じさせることができ、これは、
及び
と表すこともできる。
【0096】
従って、再び図9に戻ると、ある実施例において、εBB、εGG、εBG及びεGBは、作業172において、等式(9)、(10)、(13)及び(14)に基づいて、作業150、158及び166で行った測定から決定される。
【0097】
作業174において、作業172で行った決定は、作業152、154、160、162、168及び170で行った測定を利用し、青色及び緑色のフォトダイオードの波長応答関数の間にある重複を説明する訂正を決定する。この訂正は、前記青色及び緑色のフォトダイオードの出力電流に基づいて、前記スペクトルの青色及び緑色部分内にある放射照度に対する訂正された値を決めるために使用される係数の組を決定することを含んでいる。これら係数は、数式
の解である行列
と表されることができる。ここでiBは青色のフォトダイオードの出力電流を表し、iGは緑色のフォトダイオードの出力電流を表す。
【0098】
フォトダイオードの出力電流は、
I=R*ε
と表されることができると仮定し、ここでIは出力電流を表し、Rはフォトダイオード応答を表し、及びεはこのフォトダイオードにより受信される放射照度を表すと仮定する場合、作業152で得られたフィルタリングされた青色の放射照度("iBB")に応答する青色のフォトダイオードの出力電流は、
と表されることができる。
【0099】
青色のフォトダイオードの応答RB(λ)がスペクトル範囲(λ0−λ1及びλ1−λ2)の各々にわたり略一定であると仮定すると、数式(16)の積分は、
及び
と書かれる。
【0100】
それ故に、
(19) iBB=AεBB+BεBG
であり、ここでA及びBは比例定数である。この数式は、スペクトルの青色部分内にある青色フィルタを通過する照明(εBB)及びスペクトルの緑色部分内にある青色フィルタを通過する照明(εBG)による、(作業152での)放射照度のiBBへの寄与を表す。同様の技術により、(作業154で得られた)青色フィルタによりフィルタリングされた照明("iGB")に応答する緑色のフォトダイオードの出力電流は、
(20) iGB=ΓεBB+ΔεBG
と表されることができ、ここでΓ及びΔは、比例定数を表す。同様に、(作業160で得られた)緑色フィルタによりフィルタリングされた照明("iBG")に応答する青色のダイオードの出力電流、及び(作業162で得られた)緑色フィルタによりフィルタリングされた照明("iGG")に応答する緑色のダイオードの出力電流は夫々、
(21) iBG=AεBG+BεGG、及び
(22) iGG=GεBG+DεGG
と表されることができる。
【0101】
まとめると、数式(19)及び(20)は、
と行列形式で書かれることができ、数式(21)及び(22)は、
と書かれることができる。
【0102】
波長応答関数及び透過関数の重複をλ1に関して略対称であると仮定するので、A=A、B=B、Γ=G及びΔ=Dと仮定することができる。従って、行列式(23)及び(24)は、4つの未知数(比例定数A、B、Γ及びΔ)を用いた4つの連立方程式を生じさせる。これは、前記未知数(比例定数)が決定されることを可能にする。
【0103】
数式(23)及び(24)に戻ってみると、前記比例定数A、B、Γ及びΔは現在分からないが、数式(23)及び(24)は、電流を放射照度の関数として返す。これら数式は、数式を逆行列することにより、放射照度を電流の関数として提供するように再び書かれることができ、これは、
及び
を生じさせ、ここで
である。
【0104】
もちろん、実際の用法では、スペクトルの緑色及び青色部分の照明は、2つの電流しか利用可能でないため、別々にフォトダイオードに到達しない。数式(25)及び(26)を組み合わせることにより、作業174で決定される訂正を供給する行列式は、
であり、ここでα、β、γ及びδは、上に設けられた導出に従って決定される定数である。この訂正は、前記青色のダイオード及び緑色のダイオードの出力電流に適用され、それにより決められる放射照度の精度を高める。
【0105】
当然のことながら、方法144が単に訂正の組を決める1つの例として意図されること、及び他の方法は、照明センサに含まれる個々のフォトダイオードの波長応答関数の間にある重複に対する訂正を決定するために用いられる。例えば、簡易化した訂正の組は、個々のフォトダイオード(又はダイオードのアレイが実施されている実施例における個々のフォトダイオードの組)の出力信号を適切な比例定数で乗算することにより、前記波長範囲にある照明の強度の決定を可能にする。例えば、上記行列式の形式以外でも、3つのフォトダイオード全てに対する訂正が以下の形式、
(29a) εB=ρBiB
(29b) εG=ρGiG、及び
(29c) εR=ρRiR
でもよい。ここでρBは、スペクトルの青色のフォトダイオード/部分に対する比例定数を表し、ρGは、スペクトルの緑色のフォトダイオード/部分に対する比例定数を表し、及びρRは、スペクトルの赤色のフォトダイオード/部分に対する比例定数を表す。このような数式の組は例えば、照明センサの製造時に実験的に集められたデータに基づいて決定されてもよい。
【0106】
数式(28)に表される訂正の導出から明らかであるように、この訂正がどんな形式(例えば数式(28)、数式(29a)−(29c)等)をとろうとも、照明光源(例えば数式(28)の導出における黒体放射源)の本質に関して前記訂正を決定する際に行われる仮定は、前記照明センサが異なる形式の放射源(例えば色付きのLED、カラーフィルタリングされた照明等)から放射を受信するとき、所与の訂正により発生する結果を不正確にする。
【0107】
図1に戻ってみると、照明センサ30におけるフォトダイオードの波長関数の間にある重複に対する訂正を決定する際に行われる照明光源に関する仮定により生じる不正確さを説明するために、ある実施例において、記憶モジュール22は、異なる形式の照明光源に対応する訂正の組を記憶する。この実施例において、訂正モジュール38は、照明センサ30により発生した1つ以上の出力信号に基づいて周囲放射を放出している照明光源の形式を決定し、前記決定した形式の照明光源に対応する記憶モジュール22に記憶される訂正の組から1つの訂正を実施するように構成される。前記照明光源の形式は、例えば白色光源(例えば黒体放射源)、青色光源、緑色光源、赤色光源及び/又は他の光源形式を含んでもよい、
【0108】
訂正モジュール28が照明光源形式を決定し、及び前記対応する訂正を実施する実施例において、訂正モジュール38は、(例えば、図2に説明される携帯可能な装置46内にある)センサ14と実質的に連続的に通信して配される。この実施例において、訂正モジュール38は、前記周囲放射をリアルタイム又は略リアルタイムで放出している照明光源の照明光源形式を決定し、記憶モジュール22内に記憶する前に、照明センサ30により発生した出力信号に前記対応する訂正を実施する。もう1つの実施例において、訂正モジュール38は、(例えば図2のドッキング装置48が接続されるホストコンピュータにある)センサ14から離れた処理器に配され、この離れた処理器にダウンロードされた情報に基づいて前記照明光源の照明光源形式を決定する。
【0109】
図10は、照明センサの重複する波長応答関数を訂正する方法178を説明している。方法178の作業が上述された及び図1から図4に説明されたシステム10の構成要素に関して以下に論じられているが、当然のことながら、これは単に説明を目的とするだけであり、方法178が本発明の範囲から外れることなく代替の構成要素及び/又はシステムを用いて実施されてもよい。
【0110】
作業180において、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号に関する情報が得られる。ある実施例において、前記1つ以上の出力信号は、上述された及び図1に説明された照明センサ30に類似の照明センサにより発生する。作業180において情報を得ることは、出力信号が発生するとき、これら出力信号を受信すること、出力信号が発生するとき、これら出力信号を表す情報を受信すること、前記1つ以上の出力信号を表す記憶された情報にアクセスすること及び/又は別の方法で前記情報を得ることを含む。
【0111】
作業182において、周囲照明を放出している照明光源の照明光源形式は、前記2つ以上の波長範囲の個々の範囲内にある周囲照明の強度間における1つ以上の比較に基づいて決定される。ある実施例において、作業182は、図1に説明された及び上述された訂正モジュール38に類似の訂正モジュールにより行われる。
【0112】
作業184において、複数の照明光源形式に対応する記憶された訂正の組から1つの訂正がアクセスされる。このアクセスされた訂正は、決定した照明光源形式に対応している。ある実施例において、前記記憶された訂正の組は、図1に説明された及び上述された記憶モジュール22に類似の記憶モジュール内に記憶される。作業184は、図1に説明された及び上述された訂正モジュール38に類似の訂正モジュールにより実施される。
【0113】
作業186において、前記アクセスされた訂正は、作業180で得られた1つ以上の出力信号に関する情報に基づいて、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度を決定する際に実施される。ある実施例において、作業186は、図1に説明された及び上述された処理器18に類似の処理器により行われる。
【0114】
図11は、周囲照明を放出している照明光源の照明光源形式を決定するために、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度を比較する方法188を説明している。ある実施例において、方法188は、図10に説明された及び上述された方法178における作業182として実施されることができる。しかしながら、他の状態における方法188の実施も考えられる。例えば方法188に関して、本明細書では、前記強度の比較とは、実質的に強度に関連する入射照明(例えば放射照度、照明等)の如何なる測定値の比較に言及している。
【0115】
ある実施例において、前記2つ以上の波長範囲は、(例えばスペクトルの青色部分に対応する)第1の波長範囲、(例えばスペクトルの緑色部分に対応する)第2の波長範囲及び(例えばスペクトルの赤色部分に対応する)第3の波長範囲を含んでいる。前記1つ以上の出力信号は、前記第1の波長範囲に実質的に対応する波長応答関数を用いてセンサにより発生した第1の出力信号、前記第2の波長範囲に実質的に対応する波長応答関数を用いてセンサにより発生した第2の出力信号及び前記第3の波長範囲に実質的に対応する波長応答関数を用いてセンサにより発生した第3の出力信号を含んでいる。
【0116】
方法188は、前記第1の波長範囲内にある周囲照明の強度と、前記第2の波長範囲内にある周囲照明の強度との間において比較を行う作業190を含む。ある実施例において、この比較は、第3の出力信号及び第1の出力信号の大きさの比(例えばiR/iB)を決定することを含む。この決定した比は次いで、作業192において既定値と比較される。作業188で決定した比が既定値よりも大きいと判断される場合、照明光源は作業194において第3の波長範囲内にある照明(例えば赤色光源)を主に放出する形式であると判断される。
【0117】
作業192において、作業188で決定した比が既定値よりも小さい場合、方法188は作業196へ進む。作業196において、第1の波長範囲内にある周囲照明の強度と、第2の波長範囲内にある周囲照明の強度との間において比較が行われる。ある実施例において、この比較は、第1の出力信号の大きさが第2の出力信号の大きさよりも大きい(例えばiB>iG)かどうかを決めることである。前記第1の出力信号の大きさが前記第2の出力信号の大きさよりも大きい場合、前記第1及び第2の波長範囲内にある周囲照明の強度間において行われる第2の比較が作業198で行われる。作業198で行われるこの比較は、第1の出力信号の大きさと第2の出力信号の大きさとの比(例えばiB/iG)を決定することを含む。この決定した比は次いで、作業200においてもう1つの既定値と比較される。
【0118】
作業198で決定した比が作業200において前記既定値よりも大きいと判断される場合、前記周囲照明を放出している照明光源の照明光源形式は、作業202において第1の波長範囲内にある照明(例えば青色光源)を主に放出する形式であると判断される。作業198で決定した比が作業200において前記既定値よりも小さいと判断される場合、前記周囲照明光源は、作業204において第1、第2及び第3の波長範囲の各々にわたる相対的一様性を持つ照明(例えば白色光源)を放出する形式であると判断される。
【0119】
作業196において、第1の出力信号の大きさが第2の出力信号の大きさよりも小さい(iB/iG)と判断される場合、方法144は作業206に進み、前記第1の波長範囲内にある周囲照明の強度と、第2の波長範囲内にある周囲照明の強度との間においてさらにもう1つの比較が行われる。ある実施例において、この比較は、第2の出力信号の大きさと、第1の出力信号の大きさとの間における比(例えばiG/iB)を決定することを含む。この決定した比は次いで、作業208においてさらにもう1つの既定値と比較される。
【0120】
作業206で決定した比が作業208において既定値よりも大きいと判断される場合、前記周囲照明を放出している照明光源の照明光源形式は、作業210において第2の波長範囲内にある照明(例えば緑色光源)を主に放出する形式であると判断される。作業206で決定した比が作業208において前記既定値よりも小さいと判断される場合、前記周囲照明光源は、作業212において第1、第2及び第3の波長範囲各々にわたる相対的一様性を持つ照明(例えば白色光源)を放出する形式であると判断される。
【0121】
本発明は、現在最も実用的で好ましい実施例であると考えられることに基づいて、説明を目的として詳細に記載されているが、このような詳細な記載は、単に説明を目的とするためであり、本発明が開示される実施例に限定されるのではなく、それどころか添付の請求項の意図及び範囲内にある修正及び等価の装置も含むことを目的としていることを理解すべきである。例えば本発明が、可能な程度に、何れかの実施例の1つ以上の特徴が何れかの他の実施例の1つ以上の特徴と組み合わされることを考慮していると理解されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本出願は、35 U.S.C.§119(e)によって2007年6月8日出願の米国仮出願60/942,935から優先権を主張し、この内容は参照することにより本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、被験者の睡眠に関する情報を決定するために、前記被験者の状況及び/又は生理学的機能に関する情報を決定するためのシステム及び方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
被験者の状況及び/又は生理学的機能に関する情報を決定するためのシステムは既知である。これらシステムの幾つかは、被験者により携帯可能及び/又は着用可能であり、この被験者が普通の日にずっと監視されることを可能にする装置を含んでいる。しかしながら、従来のシステムは、被験者の概日周期に関する情報の決定の強化を可能にする前記被験者の状況の様々な態様を監視していない。この状況情報は、既知のシステムでは訂正されない固有の誤差を持つ1つ以上のセンサにより監視される。さらに、携帯可能及び/又は着用可能な装置による情報の記憶は、従来のシステムでもよく、非効率である。これは追加の情報を記憶するのにより大きな装置を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のある態様は、被験者が体験した周囲照明を監視するように構成されるシステムに関する。ある実施例において、前記システムは、照明センサ、タイマー及び記憶モジュールを有する。前記照明センサは、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を発生させることにより、前記2つ以上の波長内にある前記周囲照明の強度を監視するように構成される。前記タイマーは、期間の経過を示すように構成される。前記記憶モジュールは、個々の期間に、前記1つ以上の出力信号により搬送されるように、前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度に関する情報を記憶するように構成される。このシステムは被験者により担持されるように携帯可能である。
【0005】
本発明のもう1つの態様は、被験者が体験した周囲照明を監視する方法に関する。ある実施例において、前記方法は、被験者により担持される照明センサを用いて、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度を監視するステップ、期間の経過を決定するステップ、及び個々の期間に、前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度に関する情報を記憶するステップ、を有する。
【0006】
本発明のもう1つの態様は、被験者が体験した周囲照明を監視するように構成されるシステムに関する。ある実施例において、前記システムは、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を発生させることにより、前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度を監視する手段、期間の経過を決定する手段、及び個々の期間に、前記1つ以上の出力信号により搬送されるように、前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度に関する情報を記憶する手段を有する。このシステムは被験者により担持されるように携帯可能である。
【0007】
本発明のもう1つの態様は、被験者が体験した周囲照明に関する情報を決定するように構成されるシステムに関する。ある実施例において、前記システムは、受信器及び処理器を有する。受信器は、2つ以上の波長範囲内にある前記被験者が体験した周囲照明の強度(i)及び前記被験者が体験した周囲照明の全強度(ii)に関する情報を受信するように構成される。処理器は、前記2つ以上の波長範囲内にある前記被験者が体験した周囲照明の強度及び前記被験者が体験した周囲照明の全強度に基づく、前記被験者の概日周期への前記被験者が体験した周囲照明のリセット効果を表すスコアを決定するように構成される。
【0008】
本発明のもう1つの態様は、被験者が体験した周囲照明に関する情報を決定する方法に関する。ある実施例において、前記方法は、2つ以上の波長範囲内にある前記被験者が体験した周囲照明の強度に関する情報を得るステップ、前記被験者が体験した周囲照明の全強度に関する情報を得るステップ、及び前記2つ以上の波長範囲内にある前記被験者が体験した前記周囲照明の強度及び前記被験者が体験した前記周囲照明の全強度に基づく、前記被験者の概日周期への前記被験者が体験した周囲照明のリセット効果を表すスコアを決定するステップを有する。
【0009】
本発明のもう1つの態様は、被験者が体験した周囲照明に関する情報を決定するように構成されるシステムに関する。ある実施例において、前記システムは、2つ以上の波長範囲内にある前記被験者が体験した周囲照明の強度に関する情報を得る手段、前記被験者が体験した周囲照明の全強度に関する情報を得る手段、並びに前記2つ以上の波長範囲内にある前記被験者が体験した前記周囲照明の強度及び前記被験者が体験した前記周囲照明の全強度に基づく、前記被験者の概日周期への前記被験者が体験した周囲照明のリセット効果を表すスコアを決定する手段を有する。
【0010】
本発明のもう1つの態様は、被験者の状況及び/又は生理学的機能に関する情報を記憶するように構成されるシステムに関する。ある実施例において、前記システムは、センサ、タイマー、処理器及び記憶モジュールを有する。センサは、パラメタをこのパラメタに関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を発生させることにより監視するように構成され、前記パラメタは被験者が体験した周囲条件又は被験者の生理学的機能に関する。タイマーは期間の経過を示すように構成される。処理器は、前記センサにより発生した前記1つ以上の出力信号を受信し、記憶するための個々の期間に対するパラメタの値を決定し、互いに時間に関して近接している一連の期間を急送することにより、前記個々の期間に対するパラメタの決められた値を圧縮するように構成される。これに対し、前記パラメタは、前記一連の期間に対する値及び前記一連の期間における期間数を表す値として類似値にとどまる。前記記憶モジュールは、前記処理器に動作可能なように接続され、この処理器により供給される圧縮された情報を記憶するように構成される。
【0011】
本発明のもう1つの態様は、被験者の状況及び/又は生理学的機能に関する情報を記憶する方法に関する。ある実施例において、前記方法は、パラメタに関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を得るステップであり、ここで前記パラメタは、被験者が体験した周囲条件又は被験者の生理学的機能に関連しているステップ、期間の経過を決定するステップ、記憶するための個々の期間に対する前記パラメタの値を決定するステップ、互いに時間に関して近接している一連の期間を急送することにより、前記個々の期間に対するパラメタの決められた値を圧縮するステップであり、これに対し、前記パラメタは、前記一連の期間に対する値及び前記一連の期間における期間数を表す値として類似値にとどまっているステップ、並びに前記圧縮された情報を記憶するステップを有する。
【0012】
本発明のもう1つの態様は、被験者の状況及び/又は生理学的機能に関する情報を記憶するように構成されるシステムに関する。ある実施例において、前記システムは、パラメタに関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を得る手段であり、ここで前記パラメタは、被験者が体験した周囲条件又は被験者の生理学的機能に関連している手段、期間の経過を決定する手段、前記得られた1つ以上の出力信号に基づいて、記憶するための個々の期間に対するパラメタの値を決定する手段、として類似の値にある、互いに時間に関して近接している一連の期間を急送することにより、前記個々の期間に対するパラメタの決められた値を圧縮する手段であり、これに対し、前記パラメタは、前記一連の期間に対する値及び前記一連の期間における期間数を表す値として類似値にとどまっている手段、並びに前記圧縮する手段に動作可能なように接続された、前記圧縮された情報を記憶する手段を有する。
【0013】
本発明のもう1つの態様は、第1の照明センサ及び第2の照明センサの波長応答における重複を訂正する方法に関する。ある実施例において、前記方法は、前記第1の照明センサ及び前記第2の照明センサの波長応答にわたり円滑に変化する波長を持つ照明を供給するステップ、前記第1の照明センサの波長応答に対応する透過関数を持つ第1のフィルタを用いて前記供給された照明をフィルタリングするステップ、前記第1のフィルタによりフィルタリングされた前記照明の全放射照度を測定するステップ、前記第2の照明センサの波長応答に対応する透過関数を持つ第2のフィルタを用いて前記供給された照明をフィルタリングするステップ、前記第2のフィルタによりフィルタリングされた前記照明の全放射照度を測定するステップ、前記第1及び第2のフィルタを両方用いて前記供給された照明をフィルタリングするステップ、前記第1及び第2のフィルタによりフィルタリングされた前記照明の全放射照度を測定するステップ、並びに前記測定した放射照度に基づいて、前記第1及び第2の照明センサの波長応答の間における重複の訂正を決定するステップを有する。
【0014】
本発明のもう1つの実施例は、照明センサの重複する波長応答関数を訂正するように構成されるシステムに関する。ある実施例において、前記システムは、処理器及び記憶モジュールを有する。処理器は、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号に関する情報を得て、前記2つ以上の波長範囲の個々の範囲内にある前記周囲照明の強度間の1つ以上の比較に基づいて、前記周囲照明を発する照明光源の照明光源形式を決定するように構成される。記憶モジュールは、複数の照明光源形式に対応する訂正を記憶する。前記処理器はさらに、前記1つ以上の出力信号に関する情報から決定される前記照明光源形式に対応する記憶モジュールに記憶される前記訂正を入手し、前記1つ以上の出力信号に関する情報に基づいて、前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度を決定するときに前記入手した訂正を実施するように構成される。
【0015】
本発明のもう1つの態様は、照明センサの重複する波長応答関数を訂正する方法に関する。ある実施例において、前記方法は、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号に関する情報を得るステップ、前記2つ以上の波長範囲の個々の範囲内にある前記周囲照明の強度間の1つ以上の比較に基づいて、前記周囲照明を発する照明光源の照明光源形式を決定するステップ、複数の照明光源形式に対応する記憶される訂正の組から訂正を入手するステップであり、前記入手した訂正は、前記決定した照明光源形式に対応しているステップ、及び前記1つ以上の出力信号に関する情報に基づいて、前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度を決定するときに前記入手した訂正を実施するステップを有する。
【0016】
本発明のもう1つの態様は、照明センサの重複する波長応答関数を訂正するように構成されるシステムに関する。前記システムは、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号に関する情報を得る手段、前記2つ以上の波長範囲の個々の範囲内にある前記周囲照明の強度間の1つ以上の比較に基づいて、前記周囲照明を発する照明光源の照明光源形式を決定する手段、複数の照明光源形式に対応する予め記憶された訂正の組から訂正を入手する手段であり、前記入手した訂正は前記決定した照明光源形式に対応している手段、及び前記1つ以上の出力信号に関する情報に基づいて、前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度を決定するときに前記入手した訂正を実施する手段を有する。
【0017】
本発明のこれら及び他の目的、特徴及び特性は、作業の方法、構造物の関連する要素の機能、部品の組み合わせ及び製造効果と同様に、その全てが本明細書の一部を形成する、添付の図面を参照して以下の記述及び付随する請求項を考慮するとさらに明らかとなり、ここで同様な参照番号は、様々な図面において対応する部品を表している。しかしながら、特に当然のことながら、これら図面は、単に例証及び説明を目的とするだけで、本発明の範囲の定義として意図されない。明細書及び請求項に用いられるように、複数で表現していないことも、文脈が別段の明らかな指図がない限り、それが複数あることも含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のある実施例による、被験者の状況及び/又は生理学的機能に関する情報を決定するように構成されるシステムを説明する。
【図2】本発明のある実施例による、被験者の状況及び/又は生理学的機能に関する情報を決定するように構成されるシステムの構成要素を説明する。
【図3】本発明にある実施例による、近接センサを説明する。
【図4】本発明のある実施例による、電源モジュールを説明する。
【図5】本発明のある実施例による、ユーザが体験した周囲照明を監視する方法を説明する。
【図6】本発明のある実施例による、ユーザの状況及び/又は生理学的機能に関する情報を圧縮する方法を説明する。
【図7】本発明のある実施例による、ユーザの概日周期への周囲照明のリセット効果を表すスコアを決定する方法を説明する。
【図8】本発明のある実施例による、波長応答関数の組を説明する。
【図9】本発明のある実施例による、照明センサの波長応答関数の重複の訂正を決定する方法を説明する。
【図10】本発明のある実施例による、照明センサの重複する波長応答関数を訂正する方法を説明する。
【図11】本発明のある実施例による、前記周囲照明を発する照明光源の照明光源形式を決定するために、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度を比較する方法を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、被験者12の状況及び/又は生理学的機能に関する情報を決定するように構成されるシステム10のある実施例の概略図である。特に、システム10により決定される情報は、被験者の睡眠周期及び/又は概日周期に関する。例えばある実施例において、システム10は、被験者12の身体運動、被験者12が体験した周囲照明及び/又は被験者12の状況及び/又は生理学的機能に関する他の情報に関する情報を決定してもよい。ある実施例において、システム10は、センサ14、タイマー16、ユーザインターフェース18、電源モジュール20、記憶モジュール22及び処理器24を含んでいる。幾つかの実施において、システム10はさらに、通信システム26の構成要素(例えばセンサ14、タイマー16、ユーザインターフェース18、電源モジュール20、記憶モジュール22、処理器24等)の間に及び/又は互いに離れて置かれているシステム10の構成要素のサブ構成要素の間に動作通信(operative communication)を可能にする通信システム26を含んでいる。
【0020】
センサ14は、被験者12の1つ以上の生理学的機能及び/又は被験者12が体験した1つ以上の周囲条件を監視するように構成される。ある実施例において、センサ14はさらに、センサ14により発生した情報が正確であることを保証するために、センサ14の使用の1つ以上の態様を監視する。特に、センサ14は,前記1つ以上の生理学的機能、前記1つ以上の周囲条件及び/又は前記センサ14の使用の1つ以上の態様に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を発生させる1つ以上のセンサ装置を含む。例えば、ある実施例において、センサ14は、動きセンサ28、照明センサ30及び近接センサ32を含む。当然のことながら、センサ14に含まれる前記センサ装置のこのリストが限定するつもりではなく、センサ14は、他のセンサ装置と一緒に及び/又はリストにあるセンサ装置の全てを持たずに含まれてもよい。さらに、センサ14は、前記含まれるセンサ装置(センサ28、30及び32)をシステム10の単一の単品要素に組み合わせているように、図1に示されていたとしても、これは単に説明を目的としただけである。センサ装置28、30及び32は互いに離れて置かれてよいし及び/又はシステム10内にあるそれら機能を実行するときに互いに区別して機能してもよい。
【0021】
動きセンサ28は、被験者12の運動に関する情報を搬送する出力信号を発生させることにより被験者12の運動を監視するように構成される。さらに以下に(例えば図2に関して)説明されるように、ある実施例において、図1に説明されるシステム10の部分は、被験者12により担持されるように携帯可能な装置に設けられ、さらに被験者12により着用可能であってもよい。この実施例において、動きセンサ28は、被験者12と共に動き、被験者12が持っている動きセンサ28の動きに関する情報を搬送する出力信号を発生させるために、被験者12に取り付けられるセンサとして実施されることができる。例えば、動きセンサ28が被験者12の手足(例えば被験者12の手首)に取り付けられ、この手足の運動を監視してもよい。このような実施例において、動きセンサ28は、アクチメータ(actimeter)、位置センサ、変位センサ、加速度計及び/又は動き及び/又は位置を監視することが可能である他のセンサを含んでもよい。
【0022】
様々な実施例によれば、動きセンサ28は、動きの変化(例えば加速)により生じた変形に反応して出力電圧を発生させる圧電センサを含む。このようなある実施例において、前記動きセンサ28は、例えば自動車のエアバッグのような(通常の身体運動と比較して)かなり過度な動きの変化の検出を必要とする状況に通常は実施される圧電センサの一種を含んでいる。これらセンサは一般的に"ショックセンサ"と呼ばれ、回路基板に直接取り付けられる小型のセラミックパッケージ内に封入される圧電素子を含む。これら素子は、かなり過度な動きの変化を検出するように構成されるので、ショックセンサを圧電素子として含んでいる実施例において、動きセンサ28は、一般的な人間の運動が正確に監視されるように、適当な感度を供給するように設計される駆動回路をさらに含んでいる。
【0023】
照明センサ30は、被験者12が体験した周囲照明を監視するように構成される。ある実施例において、センサ30は、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を発生させることにより前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度を監視する。ある実施例において、前記2つ以上の波長範囲は3つの波長範囲を含んでいる。これら3つの波長範囲は、可視スペクトルにおいて略如何なる色も前記3つの波長範囲からの照明の組み合わせにより示されるように選択される。例えば、これら3つの波長範囲は、赤色に対応する波長範囲、緑色に対応する波長範囲及び青色に対応する波長範囲を含む。
【0024】
ある実施例において、照明センサ30は、基板上に配される小型の光学センサ(例えばフォトダイオード)の集積アレイを含んでいる。前記光学センサは、照明がこれら光学センサにより測定される3つの波長範囲に対応する光学センサの組を3つ含んでいる。アドレスラインは前記センサの集合の各々が(別々に又は同時に)稼働する及び読み出されることを可能にする。前記センサの集合の所与の集合が稼働するとき、前記照明センサは、この所与のセンサの集合に対応する波長範囲にある周囲光の放射照度(W/cm2)を示す出力信号を出力する。
【0025】
ある実施例において、照明センサ30は、照明センサ30により監視される波長範囲の個々の波長範囲に対応する複数の別個のフォトダイオードを含む。例えば、実装されるこれらフォトダイオードは、WSPD(wavelength-sensitive photodiode)を含む。各WSPDは、所与の波長を持つ照明に対する応答を表す波長応答関数を持つ。これらWSPDは、照明センサ30に実装される所与のWSPDの波長応答が監視される前記波長範囲の1つに対応するように選択される。
【0026】
使用中、ある実施例において、前記WSPDは、1つ1つ順番に稼働し、それにより発生した出力信号は、個々の波長範囲にある周囲照明の強度の測定値を提供する。照明センサ30の出力信号の電圧は、対応する波長範囲にある周囲照明の強度に比例する電流を発生させる稼働したWSPDを抵抗と結合することにより生じ、この抵抗の両端の電圧が前記出力信号である。
【0027】
ある実施例において、前記WSPDの所与の1つと直列接続された前記抵抗は、選択的に回路に切り替わる及び回路から外れることができる切り替え可能な抵抗の組を有する。これは、(前記所与のWSPDにより生じた対応する低電流を用いた)低い周囲光強度で、抵抗の負荷が増大することができ、かなり低い光強度で感度を提供する出力信号を発生させるように、前記負荷が変化されることを可能にする。同様に、かなり高い周囲光強度で、前記抵抗の組により与えられる負荷は、この抵抗の負荷が固定された場合に起こる出力信号の飽和状態を避けるために減少することができ、かなり低い光強度で感度を提供するように設計される。
【0028】
ある実施例において、照明センサ30は、分光光度計を含んでいる。この分光光度計は、周囲照明の2つ以上の波長範囲の強度に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を供給するように構成される。この照明センサ30の実施例は、上述した他の実施例よりも一般に大きいサイズである。しかしながら、増大したサイズが実用的である分光光度計の実施は、フォトダイオードのアレイ又は別個のフォトダイオードの実施に関して他の強化を提供する。
【0029】
近接センサ32は、センサ14への被験者12の近接を監視するように構成される。このセンサ14への被験者12の近接は、照明センサ30により監視される周囲照明が実際に体験した周囲照明であることを保証する。さらに、センサ14への被験者12の近接は、被験者12の運動が動きセンサ28により正確に監視されていることを保証する。例えば、動きセンサ28が被験者12に着用される加速度計又は他の動きセンサを含んでいる実施例において、動きセンサ28の装着(フィット)が緩い場合、動きセンサ28の出力信号に完全に反映されない被験者12の動きが存在する。同様に、動きセンサ28が被験者12に緩く装着されている場合、動きセンサ28は、被験者28に対して動き(例えば滑る)、このような動きは、被験者12の運動として動きセンサ28の出力信号に反映されてしまう。さらに、被験者12がセンサ14を自分に触れている状態から取り外してしまった場合、被験者12の動きは何ひとつ動きセンサ28の出力信号に反映されない。
【0030】
図3に関して以下に説明されるある実施例において、近接センサ32は、センサ14が被験者12に近接して置かれているかの判断を可能にするため、被験者12の解剖学的組織の誘電特性を実装する容量センサを含む。これは、使用中にセンサ14が被験者12から取り外されたかを判断することを含み、幾つかの実施例において、センサ14が被験者12に不適切に装着していること(例えばその間において相対的な移動を可能にする緩い装着)を検出することを含む。
【0031】
タイマー16は、期間の経過を示すように構成される。被験者12の状況及び/又は生理学的機能を監視するために、この状況及び/又は生理学的機能に関する情報は、ここでは時々エポック(epoch)と呼ばれる別個の期間の組の各々に対し処理及び/又は記録される。例えば被験者12の概日周期に関する情報を決定するためのシステム10の実施において、前記期間は、約1秒以上から数分(例えば約5分)までの長さのどこでもよい。さらに、ある実施例において、異なる長さの期間(例えば、3秒の期間の1つの組と10秒の期間の1つの組と)が同時に決定される。これは、前記状況及び/又は生理学的機能の異なる態様に関する情報が異なる長さの期間に対して監視されることを可能にする(例えば第1の態様は、前記3秒の期間に対して監視され、第2の態様は前記10秒の期間に対して監視される)。ある実施例において、タイマー16は、時間の経過を示す電子パルスを供給する集積回路を含む。当然のことながら、タイマー16が図1において、システム10の別個の構成要素として説明されていたとしても、ある実施例において、タイマー16の実際の要素の幾つか又は全てが処理器24内に一体化して含まれてもよい。
【0032】
ユーザインターフェース18は、システム10と1人以上のユーザ(例えば介護人、研究者、被験者12等)との間にインターフェースを提供するように構成され、これを介して、ユーザはシステム10に情報を供給したり、システム10から情報を受信したりする。これは、データ、結果及び/又は命令並びに集合的に"情報"と呼ばれる如何なる他の通信アイテムが前記ユーザと、センサ14、タイマー16、電源モジュール20、記憶モジュール22及び/又は処理器24の1つ以上との間を通信されることを可能にする。ユーザインターフェース18に加えるのに適した従来のインターフェース装置の実施例は、キーパッド、ボタン、スイッチ、キーボード、ノブ、レバー、表示スクリーン、タッチスクリーン、スピーカ、マイク、表示灯、音声アラーム及びプリンターを含む。ある実施例において、それらの機能が以下に論じられ、ユーザインターフェース18は、センサ14と一体化した装置に設けられる1つのインターフェースを含んでいる複数の別個のインターフェース、並びに(例えば、センサ14及びシステム10の他の付随する構成要素からの情報が受信されるホストコンピュータにより供給される)センサ14と一体化した前記装置から取り出された記憶した情報を視聴及び/又は管理するために設けられる別個のインターフェースを実際に含んでいる。
【0033】
有線又は無線のどちらか一方の他の通信技術は、本発明によりユーザインターフェース18としても考えられると理解されるべきである。例えば、本発明は、ユーザインターフェース18が記憶モジュール22により設けられる脱着可能な記憶インターフェースと一体化されてよいことを考慮している。この実施例において、ユーザがシステム10の実施をカスタマイズすることを可能にする脱着可能な記憶装置(例えば、スマートカード、フラッシュドライブ、リムーバブルディスク等)からシステム10に情報がロードされる。ユーザインターフェース18としてシステム10と共に使用するのに適した他の例示的な入力装置及び技術は、RS−232ポート、RFリンク、IRリンク、モデム(電話、ケーブル又はその他)を含むが、これらに限定されない。要するに、システム10と情報を通信する如何なる技術も本発明によりユーザインターフェース18として考えられる。
【0034】
電源モジュール20は、システム10の他の構成要素の1つ以上に電力を供給するように構成される。ある実施例において、電源モジュール20は、システム10の他の構成要素の1つ以上に安定化電力を供給する充電式バッテリーを含む。この実施例において、電源モジュール20は、この電源モジュール20が外部電源(例えば壁のソケット、ホストコンピュータ等)と接続したとき、このバッテリーの充電を調節する充電回路を含む。
【0035】
記憶モジュール22は、システム10に電子記憶機能を提供する。記憶モジュール22は、センサ14、タイマー16、ユーザインターフェース18、処理器24及び/又は通信システム26の1つ以上と動作可能なように結合される1つ以上の電子的に読み取り可能な記憶媒体を含む。この動作可能なような結合が図1に説明される。記憶モジュール22の電子的に読み取り可能な記憶媒体は、システム10と一体化して(すなわち実質的に取り外し不可能で)供給されるシステム記憶装置、及び例えばポート(例えばUSBポート、ファイヤーワイヤーポート等)若しくはドライブ(例えばディスクドライブ等)を介してシステム10に脱着可能なように接続可能である脱着可能な記憶装置の一方又は両方を含む。記憶モジュール22は、光学的に読み取り可能な記憶媒体(例えば光学ディスク等)、磁気的に読み取り可能な記憶媒体(例えば磁気テープ、磁気ハードドライブ、フロッピードライブ等)、電荷ベースの記憶媒体(例えばEEPROM、RAM等)、ソリッドステート記憶媒体(例えばフラッシュドライブ等)及び/又は他の電子的に読み取り可能な記憶媒体の1つ以上を含んでいる。記憶モジュール22は、ソフトウェアアルゴリズム、センサ14及び/又はタイマー16により発生した出力信号に関する情報、処理器24により決定される情報及び/又はシステム10が適切に機能することを可能にする他の情報を記憶する。記憶モジュール22は、システム10内にある別個の構成要素でもよいし、又は記憶モジュール22がセンサ14又は処理器24の1つ以上と一体化して供給されてもよい。
【0036】
処理器24は、システム10に情報処理機能を提供するように構成される。例えば、処理器24は、デジタル処理器、アナログ処理器、情報を処理するように設計されたデジタル回路、情報を処理するように設計されたアナログ回路、ステートマシン(state machine)及び/又は情報を電子的に処理するための他の機構の1つ以上を含んでよい。処理器24が図1に単一の要素として示されたとしても、これは単に説明を目的とするためである。幾つかの実施において、処理器24が複数の処理ユニットを含んでもよい。これら処理ユニットが同じ装置内に物理的に置かれてもよいし、又は処理器24が協調して動作する複数の装置の処理機能を表してもよい。例えば、ある実施例において、以下の処理器24に起因する前記機能は、被験者12により携帯可能である、またさらに着用可能でもあるように設計される装置にあるセンサ14に動作可能なように接続される第1の処理器と、センサ14により発生した出力信号に関する情報を得て、この得られた情報をさらに処理するために、前記携帯可能な装置と少なくとも定期的に通信する第2の処理器とに分類される。この実施例において、処理器24の前記第2の処理器は、ホストコンピュータにより設けられる処理器を含んでいる。システム10内にある他の構成要素の外部にある処理器(例えば上述した第2の処理器)は、幾つかの事例において、システム10にある構成要素と一体化した処理器(例えば上述した第1の処理器)に冗長処理を供給する、及び/又は前記外部の処理器がシステム10の動作及び/又は被験者12の概日周期に関する追加の情報を決定するために追加の処理を供給してもよい。
【0037】
図1に示されるように、ある実施例において、処理器24は、圧縮モジュール34、イベントモジュール36、訂正モジュール38、睡眠モジュール40、光子束モジュール42及び照明スコアモジュール44を含んでいる。これらモジュール34、36、38、40、42及び44は、ソフトウェア、ハードウェア、ファイヤワイヤ、ソフトウェア、ハードウェア及び/又はファイヤワイヤの何らかの組み合わせ及び/又は別の方法で実施されてもよい。当然のことながら、モジュール34、36、38、40、42及び44は、処理器24が複数の処理ユニット(例えば携帯可能な装置に置かれる第1の処理器及びこの第1の処理器と少なくとも定期的に通信する第2の処理器)を含んでいる実施において、図1において単一の処理ユニット内に共同設置されているように説明されたとしても、モジュール34、36、38、40、42及び44は、他のモジュールと離れて置かれてもよい。
【0038】
圧縮モジュール34は、記憶モジュール22内に記憶するための情報を圧縮するように構成される。この圧縮は一般的に、システム10が上述した第1及び第2の処理器を含み、記憶モジュール22内に情報の記憶を可能にする実施例において実施され、
これは携帯可能な装置にも含まれる一方、情報のサイズを減らす。この情報のサイズを減らすことは、記憶モジュール22のサイズ(物理的なサイズ及び必要とされる記憶空間の記憶容量の両方)を減らすことを可能にし、これが携帯可能な装置のフォームファクタ(form factor)を向上させ及び/又は記憶モジュール22から、さらに処理するための第2の処理器へ記憶した情報をダウンロードすることなく、より多くの情報が記憶モジュール22内に記憶されることを可能にする。
【0039】
ある実施例において、圧縮モジュール34は、損失の大きい及び/又は無損失の圧縮を実施する。例えば、センサ14により発生したアナログ出力信号は、16ビットのデジタル信号に変換され、この信号は記憶するために圧縮モジュール34により8ビットに圧縮される。これは、損失の大きい圧縮を有する。もう1つの損失の大きい圧縮は、圧縮モジュール34がセンサ14により発生した1つ以上の出力信号のデジタル表現を圧縮するために2を底とする対数を実施する実施例において実施される。もう1つの例として、ある実施例において、圧縮モジュール34は、(タイマー16により決定されるような)個々の期間にセンサ14の出力信号(例えば動き、照明強度等に関する情報を搬送する出力信号)の表現(例えばアナログ値のデジタル表現)を受信し、互いに時間に関し近接している(i)及び前記出力信号の表現が同様の値を持つ(ii)一連の期間を、前記一連の期間に含まれる期間に対する前記出力信号の表現を表す値(a)及び前記一連の期間に含まれる期間の数(b)として表すことにより前記表現を圧縮する。これは、前記一連の期間に対する前記出力信号の表現の値の必須の類似点に依存して、無損失又は殆ど無損失の圧縮を有する。
【0040】
イベントモジュール36は、センサ14により発生した出力信号に基づいて決定される様々なイベントに関する情報を決定するように構成される。例えば、イベントは、近接センサ32により発生した出力信号に基づいて検出されてもよい。これらイベントは、被験者12からセンサ14を取り除く又は(取り除いた後)被験者12上のセンサ14の交換を含む。これらイベントは、センサ14が被験者12から取り除かれるため、有用ではない情報からセンサ14により発生した有用な情報を決定するのに使用されるおそれがある。システム10が簡潔に上述した第1の処理器を備える携帯可能な装置を含むある実施例において、イベントモジュール36は、センサ14が被験者12に正しく取り付けられているかを判断するために、少なくとも部分的に前記携帯可能な装置において実施される。この実施例において、イベントモジュール36がセンサ14は正しく取り付けられていないと判断する場合、システム10は被験者12に取り付けが正しくないと警告し、取り付けが正しくない間、センサ14により発生した出力信号に関するフラグ情報は、センサ14が被験者12に正しく取り付けられるまで前記携帯可能な装置にある記憶モジュール22への情報の記憶を中止又は休止し、前記イベントの発生を(例えば時間/日付スタンプにより)記録し及び/又は前記イベントに応答して他の行動をとる。幾つかの例において、イベントモジュール36は、センサ14の完全に取り外されたのを検出するだけでなく、センサ14の正しくない取り付け(例えばセンサ14と被験者12との間の緩い装着)も検出し、このことが適切な行動(例えば上述した手続きの何れか)を引き起こす。
【0041】
ある実施例において、イベントモジュール36は、システム10の機能に関する他のイベントに関するイベントを検出する。例えば、イベントモジュール36は、バッテリー容量に対するイベント(例えば低バッテリー)、メモリ容量に対するイベント(例えばフルメモリ)及び/又はシステム10の機能に関する他のイベントを決定する。
【0042】
ある実施例において、イベントモジュール36は、被験者12が体験した周囲条件及び/又は被験者12の生理学的機能に関するイベントを検出する。例えば、これらイベントは、例えば運動、瞑想、うたた寝及び/又は他の活動のような活動の開始及び/又は終了を含んでもよい。
【0043】
ある実施例において、イベントモジュール36は、被験者12がイベントを"スコア"することを可能にする。被験者12により(例えばユーザインターフェース18を介して)入力されたスコアは、心の情動状態、身体的な痛みのレベル、疲労及び/又はイベントが発生している被験者12の状態の他の主観的な態様の兆候を供給する。
【0044】
訂正モジュール38は、センサ14により発生した1つ以上の出力信号に関する情報に訂正を施すように構成される。ある実施例において、照明センサ30により発生した出力信号から決定される情報に前記訂正が施される。図8及び図9に関して以下にさらに説明されるように、ある実施例において、前記訂正は、照明センサ30に実装されるフォトダイオードの波長透過関数の間にある重複に対し訂正を行う。照明センサ30、動きセンサ28、近接センサ32及び/又はセンサ14に含まれる他のセンサにより発生した出力信号に基づいて決定される情報に対する他の訂正は、訂正モジュール38により決定及び/又は施されることも可能である。
【0045】
睡眠モジュール40は、被験者12の睡眠に関する情報を決定するように構成される。これは、睡眠周期情報、睡眠段階情報、覚醒情報及び/又は活動情報を含む。睡眠モジュール40は、動きセンサ28により発生した出力信号に基づいて上記情報を決定する。システム10がセンサ14を含んでいる携帯可能な装置を含む実施例において、睡眠モジュール40は、この携帯可能な装置から情報がダウンロードされる前記第2の処理器により実行される及び/又は前記携帯可能な装置にある前記第1の処理器により実行されてもよい。前記第2の処理器に睡眠モジュール40を単独で実装することは、前記携帯可能な装置の記憶及び/又は処理要件を減少させ、これにより、もっと魅力的なフォームファクタを持つより小さな装置を可能にする。しかしながら、前記第1の処理器により睡眠モジュールを前記携帯可能な装置に含めることは、睡眠モジュール40により決定される情報が前記携帯可能な装置に設けられるユーザインターフェース18を介して被験者12に直接供給されることを可能にする。
【0046】
光子束モジュール42は、周囲照明により被験者12が体験した光子の束に関する情報を決定するように構成される。光子束モジュール42は、照明センサ30により発生した出力信号に基づいてこの情報を決定する。放射照度を光子当りのエネルギーで除算
Φ=E/(Q/光子)
することにより光子束が決められ、ここでΦは光子束を表し、Eは放射照度を表し、Q/光子は、光子当たりのエネルギーを表す。当然のことながら、この光子当りのエネルギーは波長依存である。スペクトルの所与の部分にある光子束を決定するために、(前記スペクトルの所与の部分にわたる各々の別個の波長に対する放射照度の測定が実用的でないので)このエネルギーに対する何らかの近似が使用されなければならない。この近似は、前記スペクトルの所与の部分内における光子当りの平均エネルギーであり、
と計算されることができる。ここでQmeanは、光子当りの平均エネルギーを表し、Q(λ)は前記エネルギーを波長の関数として表し、λは波長を表し並びにλ1及びλ2は分析されているスペクトルの部分の範囲を表す。決定した光子当りの平均エネルギーは、光子束を光子当りのエネルギーと決定するために上記数式に代入される。
【0047】
明らかに、上記近似を用いて分析されているスペクトルの部分がさらに大きくなるにつれて、近似の使用に付いて回る不正確さも大きくなる。照明センサ30が2つ以上の波長範囲及びある実施例では3つの波長範囲の強度(又は放射照度)に関する情報を供給するので、照明センサ30により供給される照明の測定値に基づく全光子束の決定は、全ての可視スペクトルに対する放射照度に関する情報を供給する単一センサに基づく決定と比較して強化される。さらに、照明センサ30により監視される波長範囲内にある照明の強度及び/又は放射照度に関する情報の有用性は、(例えば上に示される数式、関係及び近似を用いて)光子束モジュール42による個々の波長範囲の各々の中にある前記光子束の決定を可能にする。
【0048】
照明スコアモジュール44は、被験者12の概日周期への被験者12が体験した周囲照明のリセット効果を示すスコアを決定するように構成される。ある実施例において、前記スコアを決定することは、(光子束モジュール42により決定されるような)照明センサ30により監視される2つ以上の波長範囲内にある前記照明の光子束の重み付け和を決定することを含んでいる。例えば、照明センサ30が可視スペクトルの赤色部分に対応する1つの波長範囲、可視スペクトルの緑色部分に対応するもう1つの波長範囲及び可視スペクトルの青色部分に対応するもう1つの波長範囲を監視する実施例において、前記重み付け和は、対応する重み付け係数で乗算されたこれらの波長範囲各々の光子束の合計である。これは、
(2) S=Φred*φred+Φgreen*φgreen+Φblue*φblue
と数学的に表されてもよく、ここでΦred、Φgreen及びΦblueは、可視スペクトルの赤色、緑色及び青色部分夫々における光子束を表し、φred、φgreen及びφblueは、可視スペクトルの赤色、緑色及び青色部分夫々に対する重み付け因子を表し、Sは周囲照明のスコアを表す。φred、φgreen及びφblueの相対的な大きさは、被験者12の概日周期をリセットする際の可視スペクトルの赤色、緑色及び青色部分における周囲照明の相対的影響を反映する。
【0049】
ある実施例において、前記重み付け因子φred、φgreen及びφblueはさらに、周囲照明の強度を用いて前記可視スペクトルの様々な部分内における周囲照明の前記相対的影響の変化も反映する。例えば、比較的低い強度で、可視スペクトルの青色部分内における照明の概日周期をリセットする影響は最大となる。前記周囲照明の相対的な強度が増大するにつれて、前記スペクトルの青色部分内における照明の前記相対的影響は、前記スペクトルの緑色部分内における前記照明のリセットする影響に対し減少する。ある実施例において、強度によるこの変化を説明するために、照明スコアモジュール44は、(照明センサ30により発生した出力信号に基づいて決定したように)周囲照明の強度の関数として前記重み付け因子φred、φgreen及びφblueを決定する。
【0050】
図2は、携帯可能な装置46及びドッキング装置48を含んでいるシステム10の実施例を説明している。図2に説明される携帯可能な装置46は、携帯可能な装置(例えば携帯可能な装置46)内に配される第1の処理器(図2には図示せず)、この第1の処理器から情報を受信する第2の処理器及び/又はさらに処理及び/又は記憶するために前記携帯可能な装置内に配される記憶モジュール(図2には図示せず)を含んでいる上述した携帯可能な装置のある実施例である。図2に説明される実施例において、携帯可能な装置46は、この携帯可能な装置46が被験者により着用可能であるように、被験者12の付属肢に装着されるように構成されるストラップ50を含む。例えば、携帯可能な装置46は、従来の腕時計と同様に被験者の手首に着用されてもよい。しかしながら、当然のことながら以下に記載される携帯可能な装置46の特定の構造が限定するつもりではなく、他の携帯可能な装置が実施されてもよい。例えば、腕時計以外の携帯可能な個人用の電子装置(例えばPDA、携帯電話、ハンドヘルドコンピュータ等)が(例えば周囲照明を監視するような)携帯可能な装置46に関してここに論じた機能の幾つか又は全てを供給するように実装されてもよい。
【0051】
図2に説明される携帯可能な装置46の実施例において、装置46のハウジング52は、前記第1の処理器、前記記憶モジュール及びセンサ14(図2には図示せず)を収容している。特に、照明センサ30(図2には図示せず)は、ハウジング52の面56上に形成される光学的に透過な窓54によって周囲照明にアクセスできる。被験者12が携帯可能な装置46を着用するので、照明センサ30は、上述したように、窓54によって被験者12が体験した周囲光を受信し、それに応答して1つ以上の出力信号を発生させる。
【0052】
ある実施例において、ハウジング52内に配されたセンサ14はさらに、動きセンサ28(図2には図示せず)を有する。上述したように、動きセンサ28は、この動きセンサ28の位置及び/又は動きに関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を発生させ、この情報は、装置46が被験者12により着用されているので、被験者12の身体の動きに対応している。
【0053】
ある実施例において、センサ14は、ハウジング52及び/又はストラップ50内に配される近接センサ32(図2には図示せず)を有する。上述したように、近接センサ32は、被験者12へのセンサ14及び携帯可能な装置46の取り付けに関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を発生させる。この情報は、携帯可能な装置46の使用中に被験者12が体験する周囲照明及び/又は被験者12の身体の動きに関する情報の記憶及び/又は処理に実施される。
【0054】
図2に見られるように、携帯可能な装置46は、ハウジング52の面56上に配される表示スクリーン58を含んでいる。ある実施例において表示スクリーン58は、被験者12に情報を表示する液晶ディスプレイ(LCD)を含んでいる。表示スクリーン58は、図1に関して上述したユーザインターフェース18の一部を少なくとも形成する。例えば、表示スクリーン58は、被験者の生理学的機能、被験者の状況及び/又は装置46の正しい又は間違った機能に関する情報を被験者に知らせる。例えば、表示スクリーン58は、被験者12に時刻を表示する時間ディスプレイを提供する。表示スクリーン58は、装置46が正しく取り付けられた及び正常に機能していることを被験者12に示す表示器をさらに含んでいる。ある実施例において、装置46が被験者12の状況及び/又は生理学的機能を監視するのに使用される既定の監視期間が終了したとき、表示スクリーン58は、このことを被験者12に知らせる。例えば、前記時刻の表示が空になり、これにより前記監視期間が終わったことを被験者12に知らせる。他の実施例において、この知らせは、もう1つの視覚的表示器及び/又は装置46により発せられる音声アラームを含んでもよい。
【0055】
ある実施例において、タイマー16(図2には図示せず)は、ハウジング52内に含まれ、装置46内に配された前記第1の処理器は圧縮モジュールを有する。センサ14により出力信号が発生するので、これら出力信号から得られる情報は(例えば上述されるように)圧縮され、後で取り出す及び処理するためにハウジング52内に含まれる記憶モジュールに記憶される。装置46に含まれる前記第1の処理器はさらに、図1を参照して上述されたようなモジュール36、38、40、42及び/又は44の1つ以上を含むことが図1及び図2の両方の上記記述から理解されるべきであるので、この実施例が限定するつもりではない。さらに、当然のことながら、これら追加のモジュールの1つ以上を含んでいる実施例において、前記追加のモジュールにより発生した情報は、装置46から離れてさらに処理されなくても、表示スクリーン58を介して被験者12に直接搬送される。
【0056】
ドッキング装置48は、ドッキング部60において携帯可能な装置46を収容するように構成される。ドッキング装置48は、ドッキングステーション48は、ホスト処理システム(例えばパーソナルコンピュータ)に結合され、前記ドッキング部60に通信インターフェース62を含む点で、図1に関して簡潔に上述した通信システム26の一部を形成し、この通信インターフェース62は、装置46のハウジング52内に含まれる第1の処理器及び/又は記憶モジュールと、ドッキング装置48が結合される前記ホスト処理システムとの間の通信を可能にする、装置46に形成される対応する通信インターフェース64と連動するように構成される。前記装置46の処理器及び/又は記憶装置と、前記ホスト処理システムとの間において、ホスト処理システムが装置46から情報を取り出し、この情報をさらに処理するように、情報がやりとりされる。例えば、図1に関して上述したようなモジュール36、38、40、42及び/又は44の1つ以上は、前記ホスト処理システムにより形成され、このホスト処理システムのユーザインターフェースは、ユーザ(例えば被験者12、介護人等)が装置46から取り出された情報及び/又は前記ホスト処理システムに形成されるモジュール36、38、40、42及び/又は44の何れかにより発生した情報にアクセスすることを可能にする。
【0057】
ある実施例において、通信インターフェース62及び64は、光学赤外線信号がドッキング装置48と携帯可能な装置46との間で情報をやりとりするように実施されることを可能にする。しかしながら、これが限定するつもりではない。例えば、ある実施例において、通信インターフェース62及び64は、有線通信用の電気接点を1つ以上含んでいる。もう1つの実施例において、ドッキング装置48と携帯可能な装置46との間の"連動(インターフェース)"は、(例えばRF通信による)無線であり、その間における情報の通信に近接は必須ではない。
【0058】
図2に示されるようなドッキング装置48はさらに、ハウジング52に形成される対応する電源インターフェース68と連動するように動作する電源インターフェースを含む。装置46がドッキング装置48にドッキングしている間、装置46内に配された電源モジュール20(図2には図示せず)を充電するために、電源インターフェース66及び68を介して、携帯可能な装置46に電力が供給される。
【0059】
図3は、センサ14の近接センサ32のある実施例の回路図を説明している。示される実施例において、近接センサ32は、容量センサマルチバイブレータ70、(前記第2の処理器内にモジュールとして又は別個の処理ユニットとして形成される)比較器72及び集合的にコンデンサ74を形成する2つの接点を含む。これら2つの接点は、導電性(例えば金属)であるが、センサ32が機能するのを可能にするために、被験者12の皮膚と接するように必ずしも置かれる必要はない。例えば、前記接点は、図2に説明される携帯可能な装置46のハウジング52及び/又はストラップ50内に配される金属素子で形成されてもよい。
【0060】
図3に戻り、比較器72の出力がハイ(High)である場合、コンデンサ74は充電する。比較器72のマイナス端子の電圧がプラス端子の電圧を上回る場合、比較器72の出力はロー(Low)になり、コンデンサ74は放電する。これが再び比較器72のマイナス端子の電圧をプラス端子の電圧より下に降下させ、これが比較器72の出力を再びハイにさせ、コンデンサ74が充電するのを可能にする。この変動の頻度は、前記接点により形成されるコンデンサ74のキャパシタンスにより部分的に決められる。空気と被験者12の皮膚への近接との間にあるコンデンサ74のキャパシタンスが上述した振動の頻度を変化させ、コンデンサ74の前記接点の被験者12への近接との予測可能な関係であるように変化するので、これにより被験者12のセンサ32への近接の決定を可能にする。この近接の検出は、被験者12へのセンサ32(並びにそれと一緒にセンサ14の他のセンサ38及び/又は30)の取り付けの有効性の判断を可能にする。
【0061】
図4は、電源モジュール20のバッテリー76を充電するための電源モジュール20のある実施例に含まれるバッテリー充電回路の回路図を説明する。電源インターフェース68において外部電力が前記回路に印加されてもよい。電源インターフェース68に外部電力が印加されないとき、抵抗78はこの回路に含まれる2つのFETスイッチ80及び82のゲートをローにさせる。この状態において、スイッチ80及び82はオンに切り替わり、バッテリー76が電源モジュール20の出力84に電力を供給することを可能にする。第1のダイオード86は、漏れ電流が電源インターフェース68を通り接地するのを阻止する。外部電源が電源インターフェース68に適用されるとき、スイッチ80及び82はオフに切り替わり、従ってバッテリー76を出力84から切り離す。電力は、電源インターフェース68からダイオード86を介し出力84に供給される。これはバッテリー76のバッテリー電圧が回路の最低限度より低くても、電源モジュール20がシステム10の構成要素に給電することを可能にする。電力が電源インターフェース68に印加されている間、回路調整器88は電源インターフェース68に印加される電圧及び抵抗90により設定される電流を持つ電流源となる。この電流源は次いで、ダイオード92を通りバッテリー76を充電する。電流調整器88及びダイオード92が電圧降下をもたらすので、バッテリー電圧が既定のしきい値に達するまで、電流は単に一定であり、その後、バッテリー電圧が増大するので、充電電流は減少する。これは、簡単な定電圧充電回路に比べ、バッテリーの充電時間を減少させる。
【0062】
図5は、被験者が体験した周囲照明を監視する方法94を説明している。方法94の作業が上述された及び図1から図4に説明されたシステム10の構成要素に関して以下に論じられていたとしても、当然のことながら、これは単に説明を目的とし、この方法94が本開示の範囲から外れずに他の構成要素及び/又はシステムを用いて実施されてもよい。
【0063】
ある実施例において、方法94は、2つ以上の別個の波長範囲において周囲照明の強度が監視される作業96を有する。これら2つ以上の別個の波長範囲は、3つの波長範囲を含んでいる。これら2つ以上の波長範囲は、可視スペクトルの赤色部分に対応する第1の波長範囲、可視スペクトルの緑色部分に対応する第2の波長範囲及び可視スペクトルの青色部分に対応する第3の波長範囲を含む。幾つかの例において、作業96は、上述された並びに図1及び図2に説明された照明センサ30に類似の照明センサにより実施されてもよい。
【0064】
作業98において、被験者の動きが監視される。ある実施例において、作業98は、上述された及び図1に説明された動きセンサ28に類似の動きセンサにより行われる。
【0065】
作業100において、個々の期間の経過が決定される。ある実施例において、作業100は、上述された及び図1に説明されたタイマー16に類似のタイマーにより実行される。
【0066】
作業102において、個々の期間に被験者が体験した周囲照明に関する情報を表す値及び/又は前記個々の期間に被験者の動きに関する情報を表す値が決定される。これら値は、作業96で決定した被験者が体験した周囲照明に関する情報、作業98で決定した被験者の動きに関する情報及び/又は作業100で決定した期間の経過に基づいて決められる。ある実施例において、作業102は上述された及び図1に示された処理器24に類似の処理器により実施される。
【0067】
作業104において、作業102で決定した値は、記憶するために圧縮される。ある実施例において、個々の期間に被験者の周囲照明及び/又は動きに関する情報を表す値が受信され、互いに時間的に近接している(i)及び出力信号の表現が略同じ値を持つ(ii)一連の期間を、この一連の期間に含まれるこれら期間に対する前記出力信号の表現を表す値(a)及びこの一連の期間に含まれる期間の数(b)で表すことにより前記表現を圧縮する。作業104は、図1に示された及び上述された圧縮モジュール34に類似の圧縮モジュールにより実施されてもよい。
【0068】
作業106において、作業104で圧縮された情報が記憶される。ある実施例において、作業104で記憶された情報は、上述された及び図1に説明された記憶モジュール22に類似の記憶モジュールに記憶される。
【0069】
図6は、被験者の状況及び/又は生理学的機能に関する情報を圧縮する方法108を説明している。ある実施例において、方法108は、上述された及び図5に示された方法94内の作業104として実施される。しかしながら、方法108は様々な状況内で実施されることができるので、これが限定するつもりではない。
【0070】
作業110において、現在の期間の経過が決定される。作業120において、被験者の状況及び/又は生理学的機能に関するパラメタの値が前記現在の期間に対し決定される。例えば、前記パラメタは、周囲照明の強度、被験者の身体の動き及び/又は他の状況又は生理学的情報に関するパラメタを含んでもよい。
【0071】
作業114において、前記現在の期間に対するパラメタの値と、以前の期間に対するパラメタの値との間の差が既定のしきい値を超えるかに関する決定を行う。幾つかの例において、前記既定のしきい値は、前記2つの値の間に実質的同等性を要する。他の例において、大きいしきい値は、現在の期間に対する値と以前の期間に対する値との間に幾らかの変動を可能にするために用いられる。
【0072】
前記値の間の差が既定のしきい値を超えない場合、方法108は、これら値の間の差が既定のしきい値を超えない期間のカウントを1つ増加させる作業116に進み、制御は作業110及び112に戻る。
【0073】
前記値の間の差が既定のしきい値を超える場合、方法108は、作業118及び120に進む。作業118において、以前の期間に対するパラメタの値は、(例えば作業116により保持されるような)現在のカウントと共に記憶される。方法108が(図5に示される)方法94内において作業104として実施される場合、作業118は方法94の作業106として実施される。方法108に戻り、作業120において、現在の期間の値は、後続する期間と比較するための以前の期間の値として保存され、方法108は作業122に進む。作業122において、(例えば、作業116により保持され、作業118で記憶される)前記カウントは零にリセットされる。方法108は、作業122から作業110及び112に逆戻りする。
【0074】
図7は、被験者の概日周期への周囲照明のリセット効果を表すスコアを決定する方法を説明している。ある実施例において、方法124は、上述された及び図1に説明された照明スコアモジュール44により実施される。しかしながら、方法124の他の実施も考えられる。
【0075】
方法124は、周囲照明の強度に関する情報が得られる作業126を含んでいる。この情報は、周囲照明の個々の波長範囲の強度及び/又は周囲照明の全強度を含んでもよい。ある実施例において、作業126は、周囲照明の強度に関する記憶した情報を取り出すことを含んでいる。もう1つの実施例において、作業126は、1つ以上の照明センサから情報を直接得ることを有する。
【0076】
作業128において、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の光子束に関する情報は、作業126で得られた情報に基づいて決定される。ある実施例において、周囲照明の全光子束は、作業126で決めた情報に基づいて作業130で決定される。
【0077】
作業132において、重み付け係数は、2つ以上の波長範囲の各々に対し決定される。ある実施例において、前記重み付け係数を決定することは、記憶した定数値にアクセスすることを有する。もう1つの実施例において、前記重み付け係数を決定することは、作業126で得られた情報の関数として、これら重み付け係数を決定することを有する。作業134において、前記2つ以上の波長範囲に対する重み付け係数は、作業128で決めた前記2つ以上の波長範囲の光子束で乗算される。この乗算は、前記2つ以上の波長範囲の各々に対する重み付け値をもたらす。
【0078】
作業136において、周囲照明のスコアは、作業134で決めた前記重み付け値を合計することにより決定される。
【0079】
上述したように、本開示の特徴の1つは、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の監視である。ある実施例において、これは1つ以上のフォトダイオードが監視される2つ以上の波長範囲の1つに対応している(個々に又は一体化したアレイとして形成される)複数のフォトダイオードを用いることを含んでいる。実際に、これは一般的に、異なるフォトダイオードの波長応答関数が幾分の空間的重複を持つフォトダイオードを実装することを含んでいる。例えば、この原理は図8に説明され、可視スペクトルの青色、緑色及び赤色部分内に夫々ある周囲照明を監視するフォトダイオードに対応するサンプルの波長応答関数138、140及び142(波長対換算係数)を示す。当然のことながら、これら波長応答関数のこの記述は、単に説明を目的に提供され、実際に波長応答関数がこのような規則的な形状でなくてもよく及び/又はこれら関数の裾野がより大きな"広がり"を含んでもよい。さらに、示される特定のスペクトル区域(例えば青色、緑色及び赤色)の使用は、異なるスペクトル領域(例えば、シアン、マゼンダ及び黄色)内の照明を監視する他のフォトダイオードの組み合わせが考えられるので、限定するつもりではない。
【0080】
図8に見られるように、スペクトルの"青色"部分がλ0からλ1に延在していたとしても、フォトダイオードの前記波長応答138及び140は、これらの境界と正確に一致していない。代わりに、青色のフォトダイオード及び緑色のフォトダイオードの前記波長応答138及び140は、この青色のフォトダイオードの前記波長応答関数の一部が前記スペクトルの"緑色"部分に入り(例えば>λ1)、前記緑色のフォトダイオードの波長応答関数140の一部が前記スペクトルの"青色"部分に入る(例えば<λ1)ように重複する。この重複が訂正されない場合、スペクトルの緑色部分の照明は、青色のフォトダイオードによりスペクトルの青色部分に帰属し、スペクトルの青色部分の照明は、それが緑色のフォトダイオードにより検出されるので、スペクトルの緑色部分に帰属する。
【0081】
この波長応答の重複の実施例は、スペクトルの青色部分に対応するフォトダイオード及びスペクトルの緑色部分に対するフォトダイオードが実施される例に限定されない。スペクトルの近接区域に対応するフォトダイオードが実施される大多数の例において、このような重複は考えられる。しかしながら、この重複は、スペクトルのこれら部分と、フォトダイオードの実際の応答関数との間にある相対的な近接によって幾らか悪化する。例えば実際に、赤色のフォトダイオード及び緑色のフォトダイオードの応答関数の間に通例幾らかの重複が存在している。この重複は、青色及び緑色のフォトダイオード間にある前記重複よりも小さい傾向があり、従ってある実施例では無視されてもよいし又は青色及び緑色のフォトダイオードに対し以下に述べられるように訂正されてもよい。
【0082】
図9は、波長応答関数138及び140(又は何れかの他の重複している応答関数)に対応しているフォトダイオードの実施の不正確さを減少する訂正を決定する方法144を説明している。作業146において、放射が供給される。この供給された放射は、前記重複している波長応答関数にわたり円滑に変化する波長を持つ。例えば、作業146は、黒体放射を供給する黒体放射源により行われることができる。
【0083】
作業148において、波長応答関数の第1の関数(例えば図8に示される波長応答関数138)に実質的に対応している透過関数を持つ第1のフィルタは、前記供給された放射をフィルタリングするのに使用される。ある実施例において、前記第1のフィルタの透過関数と、前記波長応答関数の前記第1の関数との間における対応は、前記透過関数及び波長応答関数のカットイン(cut in)とカットアウト(cut out)との間における近似の品質を有する。ある実施例において、前記第1のフィルタの透過関数と、前記波長応答関数の第1の関数との間における対応は、透過関数及び波長応答関数のピーク間における近似の品質を有する。ある実施例において、前記第1のフィルタの透過関数と、前記波長応答関数の第1の関数との間における対応は、スペクトルの対応する部分(例えばスペクトルの青色部分)に配される透過関数及び波長応答関数の両方を有する。
【0084】
方法144はさらに、作業148で作成されたフィルタリングされた照明の測定値の組が得られる作業150、152及び154の組を含んでいる。これら測定値は連続的に又は並行して得られてよい。作業150において、フィルタリングされた照明の全放射照度の測定値が、波長専用ではない照明センサ(例えば光度計)を介して得られる。作業152において、青色のフォトダイオードの出力信号(例えば出力電流)が決められる一方、この青色のフォトダイオードは、作業148で作成されたフィルタリングされた照明に曝される。作業154において、緑色のフォトダイオードの出力信号(例えば出力電流)が決められる一方、この緑色のフォトダイオードは、前記フィルタリングされた照明に曝される。
【0085】
作業156において、作業146において放射が供給され、前記波長応答関数の第2の関数(例えば図8に示される波長応答関数140)に実質的に対応している透過関数を持つ第2のフィルタは、供給された放射をフィルタリングするのに使用される。ある実施例において、前記第2のフィルタの透過関数と、前記波長応答関数の前記第2の関数との間における対応は、前記透過関数及び波長応答関数のカットインとカットアウトとの間における近似の品質を有する。ある実施例において、前記第2のフィルタの透過関数と、前記波長応答関数の第2の関数との間における対応は、透過関数及び波長応答関数のピーク間における近似の品質を有する。ある実施例において、前記第2のフィルタの透過関数と、前記波長応答関数の第2の関数との間における対応は、前記スペクトルの対応する部分(例えばスペクトルの緑色部分)に配される透過関数及び波長応答関数の両方を有する。
【0086】
作業158、160及び162の組において、作業156で作成されたフィルタリングされた照明の測定値の組が得られる。これら測定値は連続的に又は並行して得られてよい。作業158において、フィルタリングされた照明の全放射照度の測定値が、波長専用ではない照明センサを介して得られる。作業160において、青色のフォトダイオードの出力信号が決められる一方、この青色のフォトダイオードは、作業156で作成されたフィルタリングされた照明に曝される。作業162において、緑色のフォトダイオードの出力信号が決められる一方、この緑色のフォトダイオードは、前記フィルタリングされた照明に曝される。
【0087】
作業164において、作業146で供給された前記照明は、前記第1及び第2のフィルタの両方を用いてフィルタリングされる。作業164で作成されたフィルタリングされた照明の測定値の組は、作業166、168及び170で得られる。再び、これら測定値は連続的に又は並行して行われる。作業166において、フィルタリングされた照明の全放射照度の測定値が、波長専用ではない照明センサにより行われる。作業168において、青色のフォトダイオードの出力信号が決められる一方、この青色のフォトダイオードの出力信号は、作業164で作成されたフィルタリングされた照明に曝される。作業170において、緑色のフォトダイオードの出力信号が決められる一方、この緑色のフォトダイオードは前記フィルタリングされた照明に曝される。
【0088】
図8に戻ってみると、作業150で検出した放射照度は、(λ0からλ1の間における)スペクトルの青色部分にある青色フィルタからの照明により生じる放射照度("εBB")、及び(λ0からλ1の間における)スペクトルの緑色部分にある青色フィルタからの照明により生じる放射照度("εBG")を含んでいる。同様に、作業158で検出した放射照度は、スペクトルの緑色部分にある緑色フィルタからの照明により生じる放射照度("εGG")、及びスペクトルの青色部分にある緑色フィルタからの照明により生じる放射照度("εGB")を含んでいる。作業166での放射照度は、緑色フィルタの透過関数のカットイン("λl")と、青色フィルタの透過関数のカットアウト("λh")との間に重複する緑色及び青色フィルタの透過関数の部分だけで本質的に生じる放射照度を含んでいる。
【0089】
図9に戻ってみると、作業172において、εBB、εGG、εBG及びεBGは、作業150、158及び166で行った測定と、εBB、εGG、εBG及びεGBとの間の予め得られた関係に基づいて、作業150、158及び160で行った測定から決定される。これら関係を得るための1つの可能な処理は以下のとおりである。
【0090】
再び図8を参照すると、前記青色フィルタを用いてフィルタリングされた(例えば、方法144の作業148)照明の全放射照度("EB")は、
と表されることができる。ここで、εB(λ)は、青色フィルタによりフィルタリングされた照明の放射照度を波長の関数として表す。同様に、緑色フィルタを用いてフィルタリングされた(例えば、方法144の作業156)照明の全放射照度("EG")は、
と表されることができる。ここで、εG(λ)は、緑色フィルタによりフィルタリングされた照明の放射照度を波長の関数として表す。
【0091】
所与のフィルタに対するスペクトルの何れかの領域に対する放射照度関数("ε(λ)")がε(λ)=W(λ)F(λ)と表されることができると仮定し、ここでW(λ)はフィルタリングされた白色光の放射照度を波長の関数として表し、F(λ)は、前記所与のフィルタの透過関数を波長の関数として表すと仮定する場合、方法144の作業166で得られる放射照度("EC")の測定値は、
と表されることができる。ここで、FB(λ)は、青色フィルタの透過関数を表し、FG(λ)は、緑色フィルタの透過関数を表す。
【0092】
(方法144の作業146で供給される)フィルタリングされる放射照度が略黒体放射であり、FG(λ)は、λ1とλ2との間にある定数であり、並びにFG(λ)及びFB(λ)はλ1に関して対称であると仮定することにより、数式(5)は、
のように簡略化する。ここで、
は、λ1とλ2との間における緑色フィルタの平均透過値である。εB(λ)を数式(3)から数式(6)に代入することにより、数式は、
となる。(注:λhとλ2の間における数式(3)の積分の部分は零である)、解はλ1に関して対称であると仮定されるので、
となる。ここで、
は、λlとλ1との間における青色フィルタの平均透過値である。
【0093】
数式(8)に表される関係は、帯域外放射照度εBG及びεGBを両方のフィルタにより光がフィルタリングされる間に測定(例えば方法144の作業166で行われる測定)した全放射照度の関数として説明される以下の数式を生じさせる。
及び
【0094】
平均放射照度
は、実施されるフィルタの仕様から決められる定数値である。
【0095】
数式(9)及び(10)は、数式(3)及び(4)の項と組み合わされ、以下のような関係
及び
を生じさせることができ、これは、
及び
と表すこともできる。
【0096】
従って、再び図9に戻ると、ある実施例において、εBB、εGG、εBG及びεGBは、作業172において、等式(9)、(10)、(13)及び(14)に基づいて、作業150、158及び166で行った測定から決定される。
【0097】
作業174において、作業172で行った決定は、作業152、154、160、162、168及び170で行った測定を利用し、青色及び緑色のフォトダイオードの波長応答関数の間にある重複を説明する訂正を決定する。この訂正は、前記青色及び緑色のフォトダイオードの出力電流に基づいて、前記スペクトルの青色及び緑色部分内にある放射照度に対する訂正された値を決めるために使用される係数の組を決定することを含んでいる。これら係数は、数式
の解である行列
と表されることができる。ここでiBは青色のフォトダイオードの出力電流を表し、iGは緑色のフォトダイオードの出力電流を表す。
【0098】
フォトダイオードの出力電流は、
I=R*ε
と表されることができると仮定し、ここでIは出力電流を表し、Rはフォトダイオード応答を表し、及びεはこのフォトダイオードにより受信される放射照度を表すと仮定する場合、作業152で得られたフィルタリングされた青色の放射照度("iBB")に応答する青色のフォトダイオードの出力電流は、
と表されることができる。
【0099】
青色のフォトダイオードの応答RB(λ)がスペクトル範囲(λ0−λ1及びλ1−λ2)の各々にわたり略一定であると仮定すると、数式(16)の積分は、
及び
と書かれる。
【0100】
それ故に、
(19) iBB=AεBB+BεBG
であり、ここでA及びBは比例定数である。この数式は、スペクトルの青色部分内にある青色フィルタを通過する照明(εBB)及びスペクトルの緑色部分内にある青色フィルタを通過する照明(εBG)による、(作業152での)放射照度のiBBへの寄与を表す。同様の技術により、(作業154で得られた)青色フィルタによりフィルタリングされた照明("iGB")に応答する緑色のフォトダイオードの出力電流は、
(20) iGB=ΓεBB+ΔεBG
と表されることができ、ここでΓ及びΔは、比例定数を表す。同様に、(作業160で得られた)緑色フィルタによりフィルタリングされた照明("iBG")に応答する青色のダイオードの出力電流、及び(作業162で得られた)緑色フィルタによりフィルタリングされた照明("iGG")に応答する緑色のダイオードの出力電流は夫々、
(21) iBG=AεBG+BεGG、及び
(22) iGG=GεBG+DεGG
と表されることができる。
【0101】
まとめると、数式(19)及び(20)は、
と行列形式で書かれることができ、数式(21)及び(22)は、
と書かれることができる。
【0102】
波長応答関数及び透過関数の重複をλ1に関して略対称であると仮定するので、A=A、B=B、Γ=G及びΔ=Dと仮定することができる。従って、行列式(23)及び(24)は、4つの未知数(比例定数A、B、Γ及びΔ)を用いた4つの連立方程式を生じさせる。これは、前記未知数(比例定数)が決定されることを可能にする。
【0103】
数式(23)及び(24)に戻ってみると、前記比例定数A、B、Γ及びΔは現在分からないが、数式(23)及び(24)は、電流を放射照度の関数として返す。これら数式は、数式を逆行列することにより、放射照度を電流の関数として提供するように再び書かれることができ、これは、
及び
を生じさせ、ここで
である。
【0104】
もちろん、実際の用法では、スペクトルの緑色及び青色部分の照明は、2つの電流しか利用可能でないため、別々にフォトダイオードに到達しない。数式(25)及び(26)を組み合わせることにより、作業174で決定される訂正を供給する行列式は、
であり、ここでα、β、γ及びδは、上に設けられた導出に従って決定される定数である。この訂正は、前記青色のダイオード及び緑色のダイオードの出力電流に適用され、それにより決められる放射照度の精度を高める。
【0105】
当然のことながら、方法144が単に訂正の組を決める1つの例として意図されること、及び他の方法は、照明センサに含まれる個々のフォトダイオードの波長応答関数の間にある重複に対する訂正を決定するために用いられる。例えば、簡易化した訂正の組は、個々のフォトダイオード(又はダイオードのアレイが実施されている実施例における個々のフォトダイオードの組)の出力信号を適切な比例定数で乗算することにより、前記波長範囲にある照明の強度の決定を可能にする。例えば、上記行列式の形式以外でも、3つのフォトダイオード全てに対する訂正が以下の形式、
(29a) εB=ρBiB
(29b) εG=ρGiG、及び
(29c) εR=ρRiR
でもよい。ここでρBは、スペクトルの青色のフォトダイオード/部分に対する比例定数を表し、ρGは、スペクトルの緑色のフォトダイオード/部分に対する比例定数を表し、及びρRは、スペクトルの赤色のフォトダイオード/部分に対する比例定数を表す。このような数式の組は例えば、照明センサの製造時に実験的に集められたデータに基づいて決定されてもよい。
【0106】
数式(28)に表される訂正の導出から明らかであるように、この訂正がどんな形式(例えば数式(28)、数式(29a)−(29c)等)をとろうとも、照明光源(例えば数式(28)の導出における黒体放射源)の本質に関して前記訂正を決定する際に行われる仮定は、前記照明センサが異なる形式の放射源(例えば色付きのLED、カラーフィルタリングされた照明等)から放射を受信するとき、所与の訂正により発生する結果を不正確にする。
【0107】
図1に戻ってみると、照明センサ30におけるフォトダイオードの波長関数の間にある重複に対する訂正を決定する際に行われる照明光源に関する仮定により生じる不正確さを説明するために、ある実施例において、記憶モジュール22は、異なる形式の照明光源に対応する訂正の組を記憶する。この実施例において、訂正モジュール38は、照明センサ30により発生した1つ以上の出力信号に基づいて周囲放射を放出している照明光源の形式を決定し、前記決定した形式の照明光源に対応する記憶モジュール22に記憶される訂正の組から1つの訂正を実施するように構成される。前記照明光源の形式は、例えば白色光源(例えば黒体放射源)、青色光源、緑色光源、赤色光源及び/又は他の光源形式を含んでもよい、
【0108】
訂正モジュール28が照明光源形式を決定し、及び前記対応する訂正を実施する実施例において、訂正モジュール38は、(例えば、図2に説明される携帯可能な装置46内にある)センサ14と実質的に連続的に通信して配される。この実施例において、訂正モジュール38は、前記周囲放射をリアルタイム又は略リアルタイムで放出している照明光源の照明光源形式を決定し、記憶モジュール22内に記憶する前に、照明センサ30により発生した出力信号に前記対応する訂正を実施する。もう1つの実施例において、訂正モジュール38は、(例えば図2のドッキング装置48が接続されるホストコンピュータにある)センサ14から離れた処理器に配され、この離れた処理器にダウンロードされた情報に基づいて前記照明光源の照明光源形式を決定する。
【0109】
図10は、照明センサの重複する波長応答関数を訂正する方法178を説明している。方法178の作業が上述された及び図1から図4に説明されたシステム10の構成要素に関して以下に論じられているが、当然のことながら、これは単に説明を目的とするだけであり、方法178が本発明の範囲から外れることなく代替の構成要素及び/又はシステムを用いて実施されてもよい。
【0110】
作業180において、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号に関する情報が得られる。ある実施例において、前記1つ以上の出力信号は、上述された及び図1に説明された照明センサ30に類似の照明センサにより発生する。作業180において情報を得ることは、出力信号が発生するとき、これら出力信号を受信すること、出力信号が発生するとき、これら出力信号を表す情報を受信すること、前記1つ以上の出力信号を表す記憶された情報にアクセスすること及び/又は別の方法で前記情報を得ることを含む。
【0111】
作業182において、周囲照明を放出している照明光源の照明光源形式は、前記2つ以上の波長範囲の個々の範囲内にある周囲照明の強度間における1つ以上の比較に基づいて決定される。ある実施例において、作業182は、図1に説明された及び上述された訂正モジュール38に類似の訂正モジュールにより行われる。
【0112】
作業184において、複数の照明光源形式に対応する記憶された訂正の組から1つの訂正がアクセスされる。このアクセスされた訂正は、決定した照明光源形式に対応している。ある実施例において、前記記憶された訂正の組は、図1に説明された及び上述された記憶モジュール22に類似の記憶モジュール内に記憶される。作業184は、図1に説明された及び上述された訂正モジュール38に類似の訂正モジュールにより実施される。
【0113】
作業186において、前記アクセスされた訂正は、作業180で得られた1つ以上の出力信号に関する情報に基づいて、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度を決定する際に実施される。ある実施例において、作業186は、図1に説明された及び上述された処理器18に類似の処理器により行われる。
【0114】
図11は、周囲照明を放出している照明光源の照明光源形式を決定するために、2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度を比較する方法188を説明している。ある実施例において、方法188は、図10に説明された及び上述された方法178における作業182として実施されることができる。しかしながら、他の状態における方法188の実施も考えられる。例えば方法188に関して、本明細書では、前記強度の比較とは、実質的に強度に関連する入射照明(例えば放射照度、照明等)の如何なる測定値の比較に言及している。
【0115】
ある実施例において、前記2つ以上の波長範囲は、(例えばスペクトルの青色部分に対応する)第1の波長範囲、(例えばスペクトルの緑色部分に対応する)第2の波長範囲及び(例えばスペクトルの赤色部分に対応する)第3の波長範囲を含んでいる。前記1つ以上の出力信号は、前記第1の波長範囲に実質的に対応する波長応答関数を用いてセンサにより発生した第1の出力信号、前記第2の波長範囲に実質的に対応する波長応答関数を用いてセンサにより発生した第2の出力信号及び前記第3の波長範囲に実質的に対応する波長応答関数を用いてセンサにより発生した第3の出力信号を含んでいる。
【0116】
方法188は、前記第1の波長範囲内にある周囲照明の強度と、前記第2の波長範囲内にある周囲照明の強度との間において比較を行う作業190を含む。ある実施例において、この比較は、第3の出力信号及び第1の出力信号の大きさの比(例えばiR/iB)を決定することを含む。この決定した比は次いで、作業192において既定値と比較される。作業188で決定した比が既定値よりも大きいと判断される場合、照明光源は作業194において第3の波長範囲内にある照明(例えば赤色光源)を主に放出する形式であると判断される。
【0117】
作業192において、作業188で決定した比が既定値よりも小さい場合、方法188は作業196へ進む。作業196において、第1の波長範囲内にある周囲照明の強度と、第2の波長範囲内にある周囲照明の強度との間において比較が行われる。ある実施例において、この比較は、第1の出力信号の大きさが第2の出力信号の大きさよりも大きい(例えばiB>iG)かどうかを決めることである。前記第1の出力信号の大きさが前記第2の出力信号の大きさよりも大きい場合、前記第1及び第2の波長範囲内にある周囲照明の強度間において行われる第2の比較が作業198で行われる。作業198で行われるこの比較は、第1の出力信号の大きさと第2の出力信号の大きさとの比(例えばiB/iG)を決定することを含む。この決定した比は次いで、作業200においてもう1つの既定値と比較される。
【0118】
作業198で決定した比が作業200において前記既定値よりも大きいと判断される場合、前記周囲照明を放出している照明光源の照明光源形式は、作業202において第1の波長範囲内にある照明(例えば青色光源)を主に放出する形式であると判断される。作業198で決定した比が作業200において前記既定値よりも小さいと判断される場合、前記周囲照明光源は、作業204において第1、第2及び第3の波長範囲の各々にわたる相対的一様性を持つ照明(例えば白色光源)を放出する形式であると判断される。
【0119】
作業196において、第1の出力信号の大きさが第2の出力信号の大きさよりも小さい(iB/iG)と判断される場合、方法144は作業206に進み、前記第1の波長範囲内にある周囲照明の強度と、第2の波長範囲内にある周囲照明の強度との間においてさらにもう1つの比較が行われる。ある実施例において、この比較は、第2の出力信号の大きさと、第1の出力信号の大きさとの間における比(例えばiG/iB)を決定することを含む。この決定した比は次いで、作業208においてさらにもう1つの既定値と比較される。
【0120】
作業206で決定した比が作業208において既定値よりも大きいと判断される場合、前記周囲照明を放出している照明光源の照明光源形式は、作業210において第2の波長範囲内にある照明(例えば緑色光源)を主に放出する形式であると判断される。作業206で決定した比が作業208において前記既定値よりも小さいと判断される場合、前記周囲照明光源は、作業212において第1、第2及び第3の波長範囲各々にわたる相対的一様性を持つ照明(例えば白色光源)を放出する形式であると判断される。
【0121】
本発明は、現在最も実用的で好ましい実施例であると考えられることに基づいて、説明を目的として詳細に記載されているが、このような詳細な記載は、単に説明を目的とするためであり、本発明が開示される実施例に限定されるのではなく、それどころか添付の請求項の意図及び範囲内にある修正及び等価の装置も含むことを目的としていることを理解すべきである。例えば本発明が、可能な程度に、何れかの実施例の1つ以上の特徴が何れかの他の実施例の1つ以上の特徴と組み合わされることを考慮していると理解されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者が体験した周囲照明を監視するように構成されるシステムであり、
2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を発生させることにより、前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度を監視するように構成される照明センサ、
期間の経過を示すように構成されるタイマー、及び
個々の期間に、前記1つ以上の出力信号により搬送されるように、前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度に関する情報を記憶するように構成される記憶モジュール
有するシステムにおいて、被験者により担持されるように携帯可能なシステム。
【請求項2】
前記システムは、前記被験者が着用可能である請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記被験者の手足に装着するストラップをさらに有する請求項2に記載のシステムにおいて、前記照明センサ、前記タイマー及び前記記憶モジュールは、前記ストラップに担持されているシステム。
【請求項4】
前記システムは、携帯可能な個人用電子装置に組み込まれている請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記2つ以上の波長範囲は、3つの波長範囲を有する請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記3つの波長範囲は、赤色に対応する第1の波長範囲、緑色に対応する第2の波長範囲及び青色に対応する第3の波長範囲を含んでいる請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記記憶モジュールにより記憶された前記情報は、個々の期間に前記2つ以上の波長範囲の個々の範囲に対する光子束の決定を可能にする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記照明センサは、フォトダイオードのアレイ(i)又は分光光度計(ii)の一方又は両方を有する請求項1に記載のシステムにおいて、
前記アレイに含まれる前記フォトダイオードは、前記2つ以上の波長範囲の所与の波長範囲に対し、前記2つ以上の波長範囲の前記所与の波長範囲にある周囲照明の強度を監視することが可能である1つ以上のフォトダイオードを有するシステム。
【請求項9】
前記被験者の運動に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を発生させることにより、前記被験者の運動を監視するように構成される動きセンサをさらに有する請求項1に記載のシステムにおいて、前記記憶モジュールはさらに、個々の期間に、前記動きセンサにより発生した前記1つ以上の出力信号により搬送されるように、前記被験者の運動に関する情報を記憶するように構成されるシステム。
【請求項10】
前記動きセンサは、アクチメータ、位置センサ、変位センサ又は加速度計の1つ以上を有する請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
被験者が体験した周囲照明を監視するように構成されるシステムであり、
2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を発生させることにより、前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度を監視する手段、
期間の経過を決定する手段、及び
個々の期間に、前記1つ以上の出力信号により搬送されるように、前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度に関する情報を記憶する手段、
を有するシステムにおいて、前記被験者により担持されるように携帯可能なシステム。
【請求項12】
前記被験者が着用可能である請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記被験者の手足に装着するストラップをさらに有する請求項12に記載のシステムにおいて、前記監視する手段、前記決定する手段及び前記記憶する手段は前記ストラップに担持されている請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムは、携帯可能な個人用電子装置に組み込まれている請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記2つ以上の波長範囲は、3つの波長範囲を有する請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記3つの波長範囲は、赤色に対応する第1の波長範囲、緑色に対応する第2の波長範囲及び青色に対応する第3の波長範囲を含んでいる請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記記憶モジュールにより記憶される前記情報は、個々の期間に前記2つ以上の波長範囲の個々の範囲に対する光子束の決定を可能にする請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記監視する手段は、フォトダイオードのアレイ(i)又は分光光度計(ii)の一方又は両方を有する請求項11に記載のシステムにおいて、
前記アレイに含まれる前記フォトダイオードは、前記2つ以上の波長範囲の所与の波長範囲に対し、前記2つ以上の波長範囲の前記所与の波長範囲にある周囲照明の強度を監視することが可能である1つ以上のフォトダイオードを有するシステム。
【請求項19】
請求項11に記載のシステムはさらに、
前記被験者の運動に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を発生させることにより、前記被験者の運動を監視する手段、及び
個々の期間に、前記運動を監視する手段により発生した前記1つ以上の出力信号により搬送されるように、被験者の運動に関する情報を記憶する手段
を有するシステム。
【請求項20】
前記運動を監視する手段は、アクチメータ、位置センサ、変位センサ又は加速度計の1つ以上を有する請求項19に記載のシステム。
【請求項1】
被験者が体験した周囲照明を監視するように構成されるシステムであり、
2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を発生させることにより、前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度を監視するように構成される照明センサ、
期間の経過を示すように構成されるタイマー、及び
個々の期間に、前記1つ以上の出力信号により搬送されるように、前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度に関する情報を記憶するように構成される記憶モジュール
有するシステムにおいて、被験者により担持されるように携帯可能なシステム。
【請求項2】
前記システムは、前記被験者が着用可能である請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記被験者の手足に装着するストラップをさらに有する請求項2に記載のシステムにおいて、前記照明センサ、前記タイマー及び前記記憶モジュールは、前記ストラップに担持されているシステム。
【請求項4】
前記システムは、携帯可能な個人用電子装置に組み込まれている請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記2つ以上の波長範囲は、3つの波長範囲を有する請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記3つの波長範囲は、赤色に対応する第1の波長範囲、緑色に対応する第2の波長範囲及び青色に対応する第3の波長範囲を含んでいる請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記記憶モジュールにより記憶された前記情報は、個々の期間に前記2つ以上の波長範囲の個々の範囲に対する光子束の決定を可能にする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記照明センサは、フォトダイオードのアレイ(i)又は分光光度計(ii)の一方又は両方を有する請求項1に記載のシステムにおいて、
前記アレイに含まれる前記フォトダイオードは、前記2つ以上の波長範囲の所与の波長範囲に対し、前記2つ以上の波長範囲の前記所与の波長範囲にある周囲照明の強度を監視することが可能である1つ以上のフォトダイオードを有するシステム。
【請求項9】
前記被験者の運動に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を発生させることにより、前記被験者の運動を監視するように構成される動きセンサをさらに有する請求項1に記載のシステムにおいて、前記記憶モジュールはさらに、個々の期間に、前記動きセンサにより発生した前記1つ以上の出力信号により搬送されるように、前記被験者の運動に関する情報を記憶するように構成されるシステム。
【請求項10】
前記動きセンサは、アクチメータ、位置センサ、変位センサ又は加速度計の1つ以上を有する請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
被験者が体験した周囲照明を監視するように構成されるシステムであり、
2つ以上の波長範囲内にある周囲照明の強度に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を発生させることにより、前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度を監視する手段、
期間の経過を決定する手段、及び
個々の期間に、前記1つ以上の出力信号により搬送されるように、前記2つ以上の波長範囲内にある前記周囲照明の強度に関する情報を記憶する手段、
を有するシステムにおいて、前記被験者により担持されるように携帯可能なシステム。
【請求項12】
前記被験者が着用可能である請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記被験者の手足に装着するストラップをさらに有する請求項12に記載のシステムにおいて、前記監視する手段、前記決定する手段及び前記記憶する手段は前記ストラップに担持されている請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムは、携帯可能な個人用電子装置に組み込まれている請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記2つ以上の波長範囲は、3つの波長範囲を有する請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
前記3つの波長範囲は、赤色に対応する第1の波長範囲、緑色に対応する第2の波長範囲及び青色に対応する第3の波長範囲を含んでいる請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記記憶モジュールにより記憶される前記情報は、個々の期間に前記2つ以上の波長範囲の個々の範囲に対する光子束の決定を可能にする請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記監視する手段は、フォトダイオードのアレイ(i)又は分光光度計(ii)の一方又は両方を有する請求項11に記載のシステムにおいて、
前記アレイに含まれる前記フォトダイオードは、前記2つ以上の波長範囲の所与の波長範囲に対し、前記2つ以上の波長範囲の前記所与の波長範囲にある周囲照明の強度を監視することが可能である1つ以上のフォトダイオードを有するシステム。
【請求項19】
請求項11に記載のシステムはさらに、
前記被験者の運動に関する情報を搬送する1つ以上の出力信号を発生させることにより、前記被験者の運動を監視する手段、及び
個々の期間に、前記運動を監視する手段により発生した前記1つ以上の出力信号により搬送されるように、被験者の運動に関する情報を記憶する手段
を有するシステム。
【請求項20】
前記運動を監視する手段は、アクチメータ、位置センサ、変位センサ又は加速度計の1つ以上を有する請求項19に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−537674(P2010−537674A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511311(P2010−511311)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/065828
【国際公開番号】WO2008/154261
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(505338497)アールアイシー・インベストメンツ・エルエルシー (81)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/065828
【国際公開番号】WO2008/154261
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(505338497)アールアイシー・インベストメンツ・エルエルシー (81)
【Fターム(参考)】
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