短鎖干渉RNA(siRNA)アナログ
本発明は、ロックト核酸(LNA)モノマーを含有する新規な二重鎖短鎖干渉(siRNA)アナログを提供する。本発明の化合物は、RNA干渉(RNAi)として知られるプロセスによって、多数の生物において配列特異的な転写後遺伝子サイレンシングを誘発する。本発明の化合物は、非改変siRNAと比較して改善された性質を有し、従って、例えば様々な癌形態の処置において治療薬として有用であり得る。より具体的には、本発明は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含有するsiRNAアナログ(ここで、各鎖は12〜35個のヌクレオチドを含み、そしてsiRNAアナログは少なくとも1個のロックト核酸(LNA)モノマーを含む)を提供する。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、ロックト核酸(LNA)モノマーを含有する新規な二重鎖短鎖干渉(short interfering)(siRNA)アナログに関する。該化合物は、RNA干渉(interference)(RNAi)として知られるプロセスによって、多数の生物中で配列特異的な転写後遺伝子サイレンシングを誘発する。本明細書中に開示する化合物は、非改変siRNAと比較して改善された性質を有し、従って、例えば様々な癌形態の処置における治療薬として有用であることが分かった。
【0002】
(背景技術)
線虫(C. Elegans)中でのRNA干渉(RNAi)の発見は、Fireら(Nature, 1998, 391, 806-811)によってなされた。二重鎖RNA(dsRNA)の長鎖ストレッチは、寄生虫における世代間で続き得る遺伝子発現において強力なノックダウン効果を有することが知られる。RNA干渉(RNAi)は直ぐに、線虫中での機能的なゲノムツールとなった(初期RNA干渉は、Fire(TIG, 1999, 15, 358-363)、並びにBosherおよびLabouesse(Nature Cell Biology, 2000, 2, E31-E36)によって概説されている)。RNA干渉が脊椎動物において作用することが実証された最初の研究は、ゼブラフィッシュ胎仔およびマウス卵母細胞中で行なわれた(Wargeliusらによる, Biochem. Biophys. Res. Com. 1999, 263, 156-161, WiannyおよびZernicka-Goetzによる, Nature Cell Biology, 2000, 2, 70-75)。dsRNAは哺乳動物細胞において非特異的な効果を誘発するので、これらの機序はマウス胎仔系において十分に発生しないと議論されてきた。(Alexopoulouらによる, Nature, 2001, 413, 732-738, Reviews:Starkらによる, Annu. Rev. Biochem., 1998, 67, 227-264;およびSamuel, Clin.による, Micro. Rev., 2001, 14, 778-809)。
【0003】
線虫およびショウジョウバエに関する限り、長いRNAi鎖が短い二本鎖(21〜23ヌクレオチド)に分解されて、そしてこれらの分解形態は該干渉を媒介する、ことが分かっている(Zamoreらによる, Cell, 2000, 101, 25-33;および、Elbashirらによる, Gen. Dev., 2001, 15, 188-200)。Elbashirら(Gen. Dev., 2001, 15, 188-200)は、センス標的またはアンチセンス標的が等しく切断され、そしてsiRNA中の両方の鎖がそれぞれ標的アンチセンスまたはセンスRNAへの切断をガイドすることができることを示した。該siRNAが様々な哺乳動物セルラインにおける強力なノックダウンを媒介し、そしておそらく哺乳動物細胞中での長鎖dsRNAの有害な非特異的な影響を回避することができるであろうことが、Elbashirら(Nature, 2001, 411, 494-498)によって明白に示されている。この発見は、最新生物学において折り紙つきであり、そしてsiRNAの治療薬としての使用は直ぐに魅力的な研究分野となった(McManusおよびSharpによって総説, Nature Reviews Genetics, 2002, 3, 737-747;および、Thompson, DDT, 2002, 7, 912-917)。
【0004】
DsRNAsは、生物学的な媒質中でかなり安定である。しかしながら、該二重鎖のモーメントは個々の鎖に解離され、これらはRNAによって直ぐに分解される。siRNAに更なる安定性をもたらす1方法は、化学的に改変されたRNA残基を該siRNAの個々の鎖中に導入することである。合成RNAアナログは生物学的な媒質中でずっとより安定であって、そして安定性の増大はまた近位の天然RNA残基に誘発されることはよく知られている。安定性の増大は、主にヌクレアーゼ耐性の増大、および細胞取り込みがより良いことも、並びに組織分布が該改変によって与えられ得ること、を意味する。いくつかのsiRNAアナログが記載されている。
【0005】
プレ−siRNA(Parrishらによる, Mol. Cell, 2000, 6, 1077-1087)は、線虫中でのRNAiにとっての特定の骨格改変に対する耐性を示す。改変ヌクレオチドの存在下での2個の異なる鎖のインビトロ転写によって、ホスホロ−チオエートはセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方において耐性であって、その結果ウラシルの代わりに2’−フルオロウラシルであることを示すのは不可能である。2’−アミノウラシルおよび2’−アミノシチジンは、センス鎖中に取り込まれるとRNAi活性を低下し、そして該活性は、アンチセンス鎖中に取り込まれると完全に消滅する。センス鎖中でウラシルを2’−デオキシチミジンに交換する場合に、該効果はまた低下し、そして該交換がアンチセンス鎖中のものである場合にはより一層低下する。一方または両方の鎖がDNAモノマーから完全に構成される場合には、該RNAi活性は消滅する。上記の研究において、塩基の改変もまた研究されている。4−チオウラシルおよび5−ブロモウラシルが両方の鎖中で許容されて、一方で5−ヨードウラシルおよび5−(3−アミノアリル)ウラシルが該センス鎖中での該効果を低下し、アンチセンス鎖中でより大きい、ことが分かった。グアノシンをイノシンで置き代えることにより、該活性を著しく低下し、このことは該改変がセンス鎖またはアンチセンス鎖中で行なわれるかどうかとは関係ない。
【0006】
しかしながら、UU3’オーバーハングは、2’デオキシチミジンを3’オーバーハングで交換することができ、そしてこのものは十分に許容される(Elbashirらによる, Nature, 2001, 411, 494-498;およびBoutlaらによる, Curr. Biol., 2001, 11, 1776-1780)。
【0007】
DNAモノマーは、活性を損なうことなく、センス鎖中に取り込むことができることもわかっている。
【0008】
Elbashirら(EMBO, 2001, 20, 6877-6888)は、該siRNAの各3’末端中に4個のデオキシヌクレオチドを含有する改変siRNAが十分な活性を保つことを示した。その上、該siRNAが該分子の「中間」に1個だけの塩基対ミスマッチを含む場合には、該活性は消滅することを示した。
【0009】
しかしながら、1〜2個のミスマッチは、該ミスマッチがセンス鎖中に導入される限りには許容され得ることも報告されている(Holenらによる, NAR, 2002, 30, 1757-1766;Hohjohによる, FEBS Lett., 2002, 26179, 1-5;Hamadaらによる, アンチセンス and Nucl. Acid Drug Dev., 2002, 12, 301-309;および、Boutlaらによる, Curr. Biol., 2001, 11, 1776-1780))。
【0010】
Nykanenら(Cell, 2001, 107, 309-321)は、siRNAをRNAiから製造する際にATPを必要とするが、このものはまたより遅い段階でsiRNA活性を発揮することを示した。ATPは、RISI認識のために5’−ホスフェートをほどき(unwinding)そして保つのに必要である。該5’−ホスフェートは、siRNA活性に必要である。Martinezら(Cell, 2002, 110, 563-574)は、一本鎖がRNA誘発性サイレンシング複合体を再構築することができ(RISC, Hammondらによる, Nature, 2000, 404, 293-296)、そして5’−リン酸化される場合に特に、1本のアンチセンス鎖が活性を有することを見出した。該センス鎖の3’末端および5’末端の両方を改変することができるが、5’−アンチセンス鎖の改変が活性を示す。
【0011】
Amarzguiouiら(NAR, 2003, 31, 589-595)は、アンチセンス鎖の5’末端にあまり近位でない限りでは、ミスマッチが許容されると結論付けている。アンチセンス鎖の5’末端からの3〜5個のヌクレオシドのミスマッチは、該活性を著しく低下する。しかしながら、アンチセンス鎖の「中間」または3’末端方向に存在する場合には、2個のミスマッチは、活性がわずかに低下するが、許容されることが分かった。
【0012】
改変(例えば、ホスホロチオエートおよび2’−O−メチルRNA)は、siRNAの末端において導入され(Amarzguiouiらによる, NAR, 2003, 31, 589-595)、そしてそれらは十分に許容される。アンチセンス鎖の5’末端に存在する場合には、2’−O−アリル化は該効果を低下する。
【0013】
二環式ヌクレオシドアナログENA(2’−O,4’−C−エチレンチミジン)(ENAチミジン、eT)もまた、siRNA中に取り込まれる(Hamadaらによる, Antisense and Nucl. Acid Drug Dev., 2002, 12, 301-309)。該センス鎖の5’末端中の2個のENAチミジンはその効果を低下させることが知られる。「2’−O,4’−C−エチレンチミジン(このものは、エチレン−架橋核酸(ENA)の成分であり、RNAiを完全に消滅する)の使用」は、Hamadaら(2002)によって結論付けられている。
【0014】
より最近には、取り込まれたLNAモノマーを含有する多数のsiRNAが、Braaschら(Biochemistry 2003, 42, 7967-7975)によって記載されている。
【0015】
結論として、アンチセンス鎖はセンス鎖よりも改変に対してより感受性であることが分かった。いずれの特定の理論に制限されるものでないが、この現象は少なくともいくらか、アンチセンス/標的二重鎖の構造が天然のA型RNAでなければいけないという事実に基づくと考えられる。siRNAのセンス鎖は、アンチセンス鎖の標的への運搬にとってのビヒクルであるとみなすことができ、そしてセンス鎖はRNAの酵素触媒分解には関与しない。従って、該アンチセンス鎖と対比して、例え該改変がsiRNAのA−型構造への変化を誘発するとしても、センス鎖の改変はあるウィンドウ内では許容される。変化を該アンチセンス鎖中に導入する場合には、それらは天然RNA誘発サイレンシング複合体(RISC)の認識フレーム内で構造的に平衡でなければいけない。
【0016】
現在入手可能なsiRNA化合物と比較した強力なインビボ性質、生物学的安定性の増大(Tmの増大に相当する)、ヌクレアーゼ耐性の増大、細胞取り込みの改善、および/または組織分布の改善を有する新規で且つ改善されたsiRNAアナログに対する要求が当該分野において存在することは明らかである。
【0017】
従って、本発明の目的は、上記の改善された性質の1個以上を有する改善されたsiRNAアナログを提供することである。従って、本発明は、改善されたsiRNAアナログを提供し、このものはとりわけ、高い程度の生物学的安定性および/またはヌクレアーゼ安定性を示し、そしてRNA(例えば、mRNAもしくはプレ−mRNA、様々な構造的なRNA(例えば、tRNA、snRNA、scRNA、rRNA)、または調節RNA(例えば、ミクロRNA)さえ)を有効に標的とする。
【0018】
(発明の概要)
従って、第1の態様において、本発明は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含有する二重鎖化合物に関するものであって、ここで、各鎖は12〜35個のヌクレオチドを含み、該化合物は少なくとも1個のロックト核酸(LNA)モノマーを含む。
【0019】
別の態様において、本発明は、本発明の化合物および医薬的に許容し得る希釈物、担体またはアジュバントを含有する医薬組成物に関する。
【0020】
更なる態様において、本発明は、医薬としての使用のための本発明に記載の化合物に関する。
【0021】
更に別の態様において、本発明は、癌または重症急性呼吸器症候群(SARS)の処置のための医薬の製造における、本発明の化合物の使用に関する。
【0022】
更になお別の態様において、本発明は、癌または重症急性呼吸器症候群(SARS)の処置方法に関するものであって、該方法は、本発明の化合物または本発明の医薬組成物を処置が必要な患者に投与することを含む。
【0023】
本発明の他の態様は、以下の記載および特許請求の範囲から明らかである。
【0024】
(発明の詳細な記載)
(定義)
本明細書中の用語「ヌクレオチド」とは、窒素性塩基(例えば、アデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)、グアニン(U)、またはウラシル(U))と1番の炭素原子を介して結合し、そしてヌクレオシド間の連結基(以下で定義する)または末端基(以下で定義する)と5番の炭素原子を介して結合する、2−デオキシリボース(DNA)単位またはリボース(RNA)単位を意味する。従って、本明細書中で使用する場合に用語「ヌクレオチド」とは、窒素性塩基(例えば、A、C、T、GまたはU)と1番の炭素原子を介して結合し、およびホスフェート基または末端基と5番の炭素原子を介して結合する、リボース単位を含有するRNA単位(または、モノマー)を包含する。同様に、用語「ヌクレオチド」はまた、窒素性塩基(例えば、A、C、T、GまたはU)と1番の炭素を介して結合し、そしてホスフェート基または末端基と5番の炭素を介して結合する、2−デオキシリボース単位を含有するDNA単位(または、モノマー)をも包含する。用語「ヌクレオチド」はまた、該RNAおよびDNAモノマーの変異体またはアナログをも包含する。該RNAおよびRNAモノマーの変異体またはアナログの詳細な開示を、以下に示す。
【0025】
本明細書中の用語「ヌクレオシド」とは、窒素性塩基(例えば、アデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)、グアニン(G)またはウラシル(U))と1番の炭素を介して結合する、2−デオキシリボース(DNA)単位またはリボース(RNA)単位を意味する。従って、本明細書中の用語「ヌクレオシド」とは、窒素性塩基(例えば、A、C、T、GまたはU)と1番の炭素を介して結合する、リボース単位を含有するRNA単位(または、モノマー)を包含する。同様に、用語「ヌクレオシド」はまた、窒素性塩基(例えば、A、C、T、GまたはU)と1番の炭素を介して結合する、2−デオキシリボースを含有するDNA単位(または、モノマー)をも包含する。用語「ヌクレオシド」とはまた、該RNAおよびDNAモノマーの変異体またはアナログをも包含する。個々のヌクレオシドは、ヌクレオシド間連結基によって一緒に結合すると理解される。
【0026】
本明細書中で使用する用語「ロックト核酸モノマー」、「ロックト核酸残基」、「LNAモノマー」または「LNA残基」とは、二環式のヌクレオチドアナログを意味する。LNAモノマーは、とりわけWO 99/14226、WO 00/56746、WO 00/56748、WO 01/25248、WO 02/28875、O 03/006475およびWO 03/095467中に記載されている。該LNAモノマーはまた、その化学式に関して定義することもできる。従って、本明細書中で使用する「LNAモノマー」は、以下の反応式2:
【化1】
[式中、
Xは、O、SおよびNRHからなる群から選ばれ、ここで、RHはHまたはアルキル(例えば、C1〜4−アルキル)であり;
Yは、(−CH2)r(式中、rは1〜4の整数であって、但し、X=Oである場合にはrは2でない)であり;
ZおよびZ*は独立して存在しないか、またはヌクレオシド間連結基、末端基および保護基からなる群から選ばれ;
Bは、核酸塩基である]
中に示される化学構造を有する。好ましいLNAモノマーの詳細な記載を、以下に示す。
【0027】
用語「ヌクレオシド間の連結基」とは、2個のヌクレオシド、2個のLNAモノマー、ヌクレオシドとLNAモノマーなどが一緒に共有結合することができる基を意味すると意図する。具体的で且つ好ましい例は、ホスフェート基およびホスホロチオエート基を含む。
【0028】
用語「核酸」とは、2個以上のヌクレオチドの共有結合によって生成する分子と定義する。用語「核酸」および「ポリヌクレオチド」は、本明細書中で相互交換可能に使用する。本明細書中で使用する「核酸」または「ポリヌクレオチド」は典型的に、35個以上のヌクレオチドを含む。
【0029】
本明細書中の用語「オリゴヌクレオチド」とは、RNA、DNAおよび/またはLNAモノマーのオリゴマー(このものは、オリゴとも呼ばれる)、並びにそれらの変異体およびアナログを意味する。本明細書中で使用する場合に、「オリゴヌクレオチド」は典型的に、2〜35個のヌクレオチド(特に、12〜35個のヌクレオチド)を含む。
【0030】
用語「改善された性質」とは、本発明のSiLNA化合物がその天然の対応物と比較してより良い全体の性能(overall performance)を示す1個以上の性質であると理解される。該パラメータとしては例えば、生産および生産コストの容易さ、より長い有効期間、標的に対するより高い結合アフィニティー(siLNAまたはmRNA標的における暫定補完(interim complement))、細胞膜を透過するより高い能力、細胞外もしくは細胞内ヌクレアーゼに対するより良い耐性、医薬的に製剤化する容易さ、作用様式におけるより高い効力、より良い組織分布、より良い表現型の応答、およびより長い持続効果などを挙げられる。
【0031】
用語「単位」または「残基」とは、モノマーであると理解される。
【0032】
用語「少なくとも1個」とは、1以上の整数を包含し、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17などを挙げられる。
【0033】
ヌクレオチド、ヌクレオシド、活性剤、LNAモノマーなどについて使用する用語「a」および「an」とは、1個以上を意味すると意図する。特に、「---からなる群から選ばれる(一)成分(例えば、ヌクレオチド、ヌクレオシド、活性剤、LNAモノマーなど)」は、該引用成分の1個以上が選ばれ得ることを意味すると意図する。従って、表現「A、BおよびCからなる群から選ばれる(一)成分」とは、A、BおよびCの全ての組み合わせ(すなわち、A、B、C、A+B、A+C、B+C、およびA+B+C)を含むと意図する。
【0034】
用語「チオ−LNA」とは、反応式2中のXがSであるロックトヌクレオチドを意味する。チオ−LNAは、ベータ−D型およびアルファ−L型の両方であり得る。通常、チオ−LNAのベータ−D型が好ましい。チオ−LNAのベータ−D型を、化合物3Cとして反応式3中に示す。
【0035】
用語「アミノ−LNA」とは、反応式2中のXがNHまたはNRH(ここで、RHは水素またはC1〜4アルキルである)であるロックトヌクレオチドを意味する。アミノ−LNAは、ベータ−D型およびアルファ−L型の両方であり得る。通常、アミノ−LNAのベータ−D型が好ましい。アミノ−LNAのベータ−D型を、化合物3Dとして反応式3中に示す。
【0036】
用語「オキシ−LNA」は、反応式2中のXがOであるロックトヌクレオチドを意味する。オキシ−LNAは、ベータ−D型およびアルファ−L型の両方であり得る。オキシ−LNAのベータ−D型が好ましい。該ベータ−D型およびアルファ−L型を、それぞれ化合物3Aおよび3Bとして反応式3中に示す。
【0037】
用語「siLNA」とは、本発明の二重鎖化合物について広義に使用される。従って、本明細書中で使用する「siLNA」とは、常に少なくとも1個のLNAモノマーを含む。
【0038】
本明細書中に使用する用語「siRNA」とは、RNAまたは修飾RNAモノマーの二重鎖ストレッチを意味する。典型的なsiRNA化合物の場合には、該2個の鎖は通常互いに相補的な19個のヌクレオチドを有し、その結果、19ヌクレオチド長である二重鎖を創製し、そして各鎖は2個のオーバーハングヌクレオチドの3’末端を有する。このことはsiRNAの厳密な定義ではなく、このものは、わずかに長いかまたは短く、オーバーハングを有するかまたは有しないことがあり得る。siRNAにおいて、1個の鎖はガイドされ(guiding)、そして標的RNA(アンチセンス鎖)に対して相補的であり、そして他の鎖(センス鎖)は標的RNAと同じ配列を有し、従ってこのものはガイド/アンチセンス鎖に相補的である。ここで、調節RNAs(例えば、マイクロRN(「miRNA」)および「短RNA(「shRNA」))、および様々な構造的なRNAs(例えば、tRNA、snRNA、scRNA、rRNA))は、用語「siRN」と相互交換可能に使用する。
【0039】
本明細書中で使用する用語「mRNA」とは、標的遺伝子の現在知られるmRNA転写物、およびいずれかの更なる転写物(このものは、解明され得る)を意味する。
【0040】
本明細書中で使用する用語「標的核酸」とは、アンチセンス鎖によってガイドされる、調整、ターゲット切断、立体的な遮断(標的RNAの存在量を減少しおよび/または翻訳を阻害する)を受けるであろういずれかのRNAを包含する。該標的RNAは例えば、ゲノムRNA、ゲノムウイルスRNAまたはプレ−RNAであり得る。
【0041】
本明細書中で使用する用語「標的特異的な核酸の改変」とは、標的核酸に対するいずれかの改変を意味する。
【0042】
本明細書中で使用する用語「遺伝子」とは、エキソン、イントロン、非コード5’および3’領域、調節要素、並びに全ての現在知られるその変異体およびいずれかの更なる変異体(このものは、解明され得る)を含む遺伝子を意味する。
【0043】
本明細書中で使用する用語「調整(modulation)」とは、遺伝子の発現の増大(刺激)または減少(阻害)のいずれかを意味する。本発明において、阻害は遺伝子発現の調整の好ましい形態であり、そしてmRNAは好ましい標的である。
【0044】
本明細書中で使用する用語、siLNAまたはsiRNA化合物をある標的核酸に「標的(指向化)する」とは、該siLNAまたはsiRNAオリゴヌクレオチドを、該siLNAまたはsiRNA化合物が標的と結合しそして該標的の機能を調整するような様式で、細胞、動物またはヒトに供することを意味する。
【0045】
本明細書中で使用する「ハイブリダイゼーション」とは、相補ヌクレオシドまたはヌクレオチド塩基の間の水素結合を意味し、ワトソン−クリック,フーグステン(Hoogsteen)型水素結合、逆フーグステン水素結合などであり得る。DNA中に通常見られる4個の核酸塩基は、G、A、TおよびCであり、その内、GはCと対形成し、そしてAはTと対形成する。RNAの場合は、Tは、ウラシル(U)によって置き代えられ、このものはAと対形成する。標準的な二重鎖形成に関与する核酸塩基中の化学基は、ワトソン−クリック面(face)を構成する。フーグステンは数年後に、ワトソン−クリック面に加えて、プリン核酸塩基(GおよびA)が二重鎖の外側から認識することができるフーグステン面を有し、それを使ってピリミジンオリゴヌクレオチドと水素結合で結合することにより、三重らせん構造を形成することができることを示した。
【0046】
本明細書中の「相補的」とは、2個のヌクレオチド配列間で相互に正確な対形成をする能力を意味する。例えば、オリゴヌクレオチドのある位置でのヌクレオチドがDNAまたはRNA分子の対応する位置でヌクレオチドと水素結合することができる場合には、該オリゴヌクレオチドおよび該DNAまたはRNAは、該位置で互いに相補的であると考えられる。該オリゴヌクレオチド中の十分な数のヌクレオチドが標的DNAまたはRNA中の対応するヌクレオチドと水素結合を形成することができて、安定な複合体を形成することができる場合には、該DNAまたはRNA鎖は互いに相補的であると考えられる。インビトロまたはインビボで安定であるためには、siLNAまたはsiRNA化合物の配列はその標的核酸分子に対して100%相補的である必要はない。従って、用語「相補的」および「特異的にハイブリダイズ可能」とは、siLNAまたはsiRNA化合物が該標的分子と十分に強く且つ特異的に結合して、該標的の正常な機能を望ましく干渉し、一方で、非標的mRNAの機能に影響を及ぼさないことを意味する。
【0047】
本明細書中の用語「接合体」とは、本明細書中に記載する化合物と1個以上の非ヌクレオチド分子または非ポリヌクレオチド分子との共有結合によって生成する外来分子を意味すると意図する。非ヌクレオチド分子または非ポリヌクレオチド分子としては例えば、高分子(macromolecular)物質(例えば、タンパク質、脂肪酸鎖、糖残基、糖タンパク質、ポリマー、またはそれらの組み合わせ)を含む。典型的なタンパク質は、標的タンパク質に対する抗体であり得る。典型的なポリマーは、ポリエチレン(polyethelene)グリコールであり得る。
【0048】
本明細書中、用語「C1〜6−アルキル」とは、最長鎖が1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝の飽和炭化水素鎖を意味すると意図し、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、およびヘキシルを挙げられる。分枝炭化水素鎖は、いずれかの炭素において炭化水素鎖で置換されたC1〜6−アルキルを意味することを意図する。
【0049】
本明細書中の用語「C1〜4−アルキル」とは、最長鎖が1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝の飽和炭化水素鎖を意味すると意図し、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルを挙げられる。分枝炭化水素鎖は、いずれかの炭素において炭化水素鎖で置換されたC1〜4−アルキルを意味することを意図する。
【0050】
本明細書中の用語「C1〜6−アルコキシ」とは、C1〜6−アルキル−オキシを意味すると意図し、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロピキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシおよびヘキシルオキシ(hexoxy)を挙げられる。
【0051】
本明細書中の用語「C2〜6−アルケニル」とは、炭素数2〜6個を有し且つ1個以上の二重結合を含有する直鎖または分枝の炭化水素基を意味すると意図する。C2〜6−アルケニル基の例示としては例えば、アリル、ホモ−アリル、ビニル、クロチル(crotyl)、ブテニル、ブタジエニル、ペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニルおよびヘキサジエニルを含む。不飽和(二重結合)の位置は、炭素鎖に沿ったいずれかの位置であり得る。
【0052】
本明細書中、用語「C2〜6−アルキニル」とは、炭素数2〜6個を有し且つ1個以上の三重結合を含有する直鎖または分枝の炭化水素基を意味すると意図する。C2〜6−アルキニル基の例示としては例えば、アセチレン、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニルを含む。不飽和(三重結合)の位置は、炭素鎖に沿ったいずれかの位置であり得る。1個以上の結合は不飽和であり得て、その結果、「C2〜6−アルキニル」は当該分野の当業者にとって知られるジインまたはエンジインである。
【0053】
用語「癌腫」とは、上皮起源の悪性腫瘍を示すと意図する。上皮組織は、身体の内側および外側の体表の身体表面を覆うかまたは沿う(line)。上皮組織は例えば、皮膚、並びに腸菅、膀胱、子宮などの体腔および内臓に沿う粘膜および漿膜である。上皮組織はまた、腺(例えば、粘液分泌の腺)からより深い組織層にまでも拡張し得る。
【0054】
用語「肉腫」とは、結合組織(例えば、軟骨、脂肪、筋肉、腱および骨)から増殖する悪性腫瘍を意味すると意図する。
【0055】
本明細書中で使用する用語「神経膠腫」とは、膠細胞起源の悪性腫瘍を包含することを意図する。
【0056】
(本発明の化合物)
本発明は、いくらか、LNAモノマーを二重鎖ポリヌクレオチド(例えば、siRNA)のセンス鎖および/またはアンチセンス鎖中に取り込むことによって、LNAを用いてRNA干渉を改善することができるという驚くべき発見に基づく。このことは、最小に改変したsiRNAの場合でさえも、構造的に密接に関連するENAモノマーがRNA干渉を強く低下させるので、特に驚くべきことである(Hamadaらによる, Antisense and Nucl. Acid Drug Dev., 2002, 12, 301-309)。
【0057】
LNAは、DNAおよびRNA標的配列に対する予期しない結合性質を示す。これらの著しいハイブリダイズ性質に加えて、LNAモノマーは混合され、そしてDNAおよびRNAモノマー、並びにヌクレオチドアナログ(例えば、2’−O−アルキル−改変RNAモノマー)と協同的に作用することができる。DNAまたはRNA標的配列に対するLNAの予期しない結合アフィニティー、およびLNAモノマーをDNAおよびRNAモノマー並びにある範囲のヌクレオチドアナログと自由に混合する能力は、有効で且つ安全なsiRNA似化合物の開発にとって重要な結果を有する。
【0058】
天然のdsDNAは、生理学的なpHでB型らせんとして存在し、一方でdsRNAはA型らせんとして存在する。この形態学上の相違は、デオキシリボースおよびリボースの好ましい糖コンホメーションの差違に起因する。室温でデオキシリボースのフラノース環は、C’−エンド(S−タイプ)およびC3’−エンド(N−タイプ)コンホメーションの間での平衡で存在し、エネルギー障壁は〜2kcal/molを有する(図1を参照)。該C2’−エンド(S−タイプ)コンホメーションはB型らせんを生じ、一方で該C3’−エンド(N−タイプ)コンホメーションはA型らせんを生じる。デオキシリボースの場合には、S−タイプのコンホメーションは、N−タイプと比較してエネルギーがわずかに低く、このことは、なぜDNAがS−タイプのコンホメーションで存在するかを説明する。リボースの場合には、N−タイプのコンホメーションが好ましく、従って、RNAはA型らせんをとる。A型らせんは、より高いハイブリダイゼーションの安定性と関係することが知られる。
【0059】
LNAモノマーは、極端なC3’−エンドコンホメーションに対応するコンホメーションでのフラノース環のコンホメーションをロック(locking)する。従って、これらのモノマーはRNAコンホメーションを模倣し、そしてオリゴヌクレオチドおよび該モノマーの二重鎖の構造はRNA−似であることが分かっている(Petersenらによる, J. Am. Chem. Soc., 2002, 124, 5974-82)。このことは、RNAオリゴヌクレオチドおよびRNA/RNA二重鎖(この中に、LNAモノマーが取り込まれる)の構造が、天然のRNAオリゴヌクレオチドおよびRNA/RNA二重鎖と比較して有意に変わらないことを意味する。その上、LNAモノマーはDNA中に導入されると、RNA似のコンホメーションを誘発することが分かった。従って、該LNAモノマーは、特に3’末端において、強い大きさのC3’−エンドコンホメーション(RNA似)を課される。例えば、DNAオリゴマー中のあらゆる第2番目および第3番目の残基をLNAモノマーで置き代える場合には、該オリゴヌクレオチドの全体の構造はRNAにずっと似るであろう。従って、該オリゴヌクレオチドによって形成される二重鎖は、天然のA型二重鎖(RNA/RNA)に似ている構造を達成するであろう。DNAのコンホメーションをRNA構造の方向に向けるために、LNAモノマーのこの性質を使用することは、本発明の一部分である。
【0060】
LNAの予期しないアフィニティーを用いて、薬理学的な活性に必要なアフィニティーを損なうことなく、siRNAオリゴヌクレオチドの通常の長さを短く(21〜35マー(mer)から、例えば12〜20マーに)できることは認められるであろう。オリゴヌクレオチドの固有の特異性はその長さに逆相関するので、該短縮はRNA標的に対するsiLNA化合物の特異性を有意に増大する。従って、本発明の1目的は、ヒトゲノムの配列が入手可能であり、そしてその遺伝子のアノテーションが速く進歩しているという事実のため、標的mRNA中の最も短くあり得る特異な配列を同定することである。その上、オリゴヌクレオチドのサイズを低下し、その結果製造プロセスが容易となりそして該製造コストを下げることによって、siLNA化合物(例えば、本明細書中に開示するもの)は、RNAi療法にとっての基礎となり、そして様々な疾患に対して提供することができる商業的な競合処置となる可能性を有すると考えられる。
【0061】
従って、最も広い態様において、本発明はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含有する二重鎖化合物に関し、ここで、各鎖は12〜35個のヌクレオチドを含み、そして該化合物は少なくとも1個のロックト核酸(LNA)モノマーを含む。本発明の二重鎖化合物は、LNAモノマーで完全に構成され得たり、あるいはLNAモノマーをDNAモノマー、RNAモノマーまたはヌクレオチドアナログとのいずれかの組み合わせで構成され得る。
【0062】
上記の通り、用語「ヌクレオチド」とは、窒素性塩基(例えば、アデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)、グアニン(G)またはウラシル(U))と1番の炭素を介して結合し、そしてヌクレオシド連結基(上記で定義)または末端基(以下に記載)と5番の炭素を介して結合する、2−デオキシリボース(DNA)単位またはリボース(RNA)単位を意味する。従って、用語「ヌクレオチド」とは、窒素性塩基(例えば、A、C、T、GまたはU)と1番の炭素を介して結合し、そしてホスフェート基または末端基と5番の炭素を介して結合するリボース単位を含有するRNA単位(またはモノマー)を包含する。上で説明する通り、用語「ヌクレオチド」とはまた、窒素性塩基(例えば、A、C、T、G、またはU)と1番の炭素を介して結合し、そしてホスフェート基または末端基と5番の炭素を介して結合する2−デオキシリボース単位を含有するDNA単位(または、モノマー)を包含する。用語「ヌクレオチド」はまた、該RNAおよびDNAモノマーの変異体またはアナログをも包含する。例えば、2’−OH(RNA)または2’−H(DNA)基は、−O−CH3、−O−CH2−CH2−OCH3、−O−CH2−CH2−CH2−NH2、−O−CH2−CH2−CH2−OHまたはFで置換され得る。ヌクレオチドアナログの他の例は、LNAモノマーである。また、該ヌクレオシド間連結基は、ホスフェート(−O−P(O)2−O−)に限定されるわけではなく、例えば−O−P(O,S)−O−、−O−P(S)2−O−、−S−P(O)2−O−、−S−P(O,S)−O−、−S−P(S)2−O−、−O−P(O)2−S−、−O−P(O,S)−S−、−S−P(O)2−S−、−O−PO(RH)−O−、O−PO(OCH3)−O−、−O−PO(NRH)−O−、−O−PO(OCH2CH2S−R)−O−、−O−PO(BH3)−O−、−O−PO(NHRH)−O−、−O−P(O)2−NRH−、−NRH−P(O)2−O−、−NRH−CO−O−、−NRH−CO−RH−、−O−CO−O−、−O−CO−NRH−、−NRH−CO−CH2−、−O−CH2−CO−NRH−、−O−CH2−CH2−NRH−、−CO−NRH−CH2−、−CH2−NRH−CO−、−O−CH2−CH2−S−、−S−CH2−CH2−O−、−S−CH2−CH2−S−、−CH2−SO2−CH2−、−CH2−CO−NRH−、−O−CH2−CH2−NRH−CO−、−CH2−NCH3−O−CH2−(ここで、RHは水素またはC1〜4−アルキルである)を含み得る。その上、該窒素性塩基はA、C、T、GまたはUに限定されず、他のプリンおよびピリミジン(例えば、5−メチルシトシン、イソシトシン、プソイドシトシン、5−ブロモウラシル、5−プロピニルウラシル、5−プロピニル−6−フルオロウラシル、5−メチルチアゾールウラシル、6−アミノプリン、2−アミノプリン、イノシン、2,6−ジアミノプリン、7−プロピン−7−デアザアデニン、7−プロピン−7−デアザグアニン、および2−クロロ−6−アミノプリン)を含み得る。ヌクレオチド変異体およびアナログの他の例(これは、「ヌクレオチド」の本明細書の定義の範囲内にある)は、FreierおよびAltmann(Nucl. Acid Res., 1997, 25, 4429-4443)並びにUhlmann(Curr. Opinion in Drug & Development (2000, 3(2): 293-213)中に記載されている。以下の反応式1は、該ヌクレオチド変異体およびアナログの選択した例を例示する。結論として、本発明の化合物は、該化合物が少なくとも1個の該鎖中に少なくとも1個のLNAモノマーを含む限りは、上記のヌクレオチドのいずれかを含み得る。
【化2】
【0063】
上記の通り、用語「ロックト核酸モノマー」または「LNAモノマー」とは、二環式ヌクレオチドアナログを意味し、このものは以下の反応式2:
【化3】
[式中、
Xは、O、S、およびNRHからなる群から選ばれ、ここで、RHはHまたはアルキル(例えば、C1〜4アルキル)であり;
Yは、(−CH2)r(ここで、X=Oである場合にはrは2でないという条件で、rは1〜4の整数である)であり;
ZおよびZ*は独立して存在しないか、またはヌクレオチド連結基、末端基および保護基からなる群から選ばれ;そして、
Bは、核酸塩基である]
に示す化学構造を有する。
【0064】
本発明の好ましい実施態様はrが1であり、すなわち、好ましいLNAモノマーは以下の反応式3:
【化4】
[式中、
Z、Z*、RHおよびHは上で定義する通りである]
に示す化学構造を有する。
【0065】
本発明のより好ましい実施態様において、XはOでありそしてrは1であり、すなわち、より好ましいLNAモノマーは以下の反応式4:
【化5】
[式中、
Z、Z*およびBは上で定義する通りである]
に示す化学構造を有する。
【0066】
上記の3Aおよび3B中に示す構造はまた、それぞれ「ベータ−D型」および「アルファ−L型」と呼ばれ得る。本発明の非常に好ましい実施態様において、該LNAモノマーはベータ−D型であり、すなわち、該LNAモノマーは上記3Aに示す化学構造を有する。
【0067】
上で示す通り、ZおよびZ*(このものは、ヌクレオシド間連結として機能する)は独立して存在しないか、あるいは該化合物内のLNAモノマーの実際の位置に応じてヌクレオシド間連結基、末端基および保護基からなる群から選ばれる。LNAモノマーが3’末端に位置する実施態様において、Zが末端基であり、そしてZ*がヌクレオシド間連結基であることは理解されるであろう。LNAモノマーが5’末端に位置する実施態様において、Zは存在せず、そしてZ*は末端基である。LNAモノマーがヌクレオチド配列内に位置する実施態様において、Zは存在せず、そしてZ*はヌクレオシド間連結基である。
【0068】
ヌクレオシド間連結基の具体例は、−O−P(O)2−O−、−O−P(O,S)−O−、−O−P(S)2−O−、−S−P(O)2−O-、−S−P(O,S)−O−、−S−P(S)2−O−、−O−P(O)2−S−、−O−P(O,S)−S−、−S−P(O)2−S−、−O−PO(RH)−O−、O−PO(OCH3)−O−、−O−PO(NRH)−O−、−O−PO(OCH2CH2S−R)−O−、−O−PO(BH3)−O−、−O−PO(NHRH)−O−、−O−P(O)2−NRH−、−NRH−P(O)2−O−、−NRH−CO−O−、−NRH−CO−NRH−、−O−CO−O−、−O−CO−NRH−、−NRH−CO−CH2−、−O−CH2−CO−NRH−、−O−CH2−CH2−NRH−、−CO−NRH−CH2−、−CH2−NRH−CO−、−O−CH2−CH2−S−、−S−CH2−CH2−O−、−S−CH2−CH2−S−、−CH2−SO2−CH2−、−CH2−CO−NRH−、−O−CH2−CH2−NRH−CO−、−CH2−NCH3−O−CH2−(ここで、RHは水素またはC1〜4−アルキルである)を含む。
【0069】
本発明の好ましい実施態様において、ヌクレオシド間連結基はホスフェート基(−O−P(O)2−O−)、ホスホロチオエート基(−P(O,S)−O−)であるか、または該化合物はホスフェート基およびホスホロチオエート基の両方を含み得る。
【0070】
末端基の具体例は、水素、アジド、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、Prot−O−、Act−O−、メルカプト、Prot−S−、Act−S−、C1〜6−アルキルチオ、アミノ、Prot−N(RH)−、Act−N(RH)−、モノ−もしくはジ−(C1〜6−アルキル)アミノ、場合により置換されたC1〜6アルコキシ、場合により置換されたC1〜6アルキル、場合により置換されたC2〜6アルケニル、場合により置換されたC2〜6アルケニルオキシ、場合により置換されたC2〜6アルキニル、場合により置換されたC2〜6アルキニルオキシ、モノホスフェート(例えば、保護されたモノホスフェートを含む)、モノチオホスフェート(例えば、保護されたモノチオホスフェートを含む)、ジホスフェート(例えば、保護されたジホスフェートを含む)、ジチオホスフェート(例えば、保護されたジチオホスフェートを含む)、トリホスフェート(例えば、保護されたトリホスフェートを含む)、トリチオホスフェート(例えば、保護されたトリチオホスフェートを含む)(ここで、Protは−OH、SH、および−NH(RH)についての保護基であり、Actは−OH、−SH、および−NH(RH)についての活性化基であり、そしてRHは水素またはC1〜6アルキルである)からなる群から選ばれる末端基を含む。
【0071】
ホスフェートの保護基としては例えば、S−アセチルチオエチル(SATE)およびS−ピバロイルチオエチル(t−ブチル−SATE)を含む。
【0072】
末端基の更なる別の例は、DNA挿入基(intercalators)、光化学的に活性な基、熱化学的に活性な基、キレート基、受容体基、リガンド、カルボキシ、スルホノ、ヒドロキシメチル、Prot−O−CH2−、Act−O−CH2−、アミノメチル、Prot−N(RH)−CH2−、Act−N(RH)−CH2−、カルボキシメチル、スルホノメチル(ここで、Protは−OH、SH、および−NH(RH)についての保護基であり、Actは−OH、−SH、および−NH(RH)についての活性化基であり、そしてRHは水素またはC1〜6アルキルである)を含む。
【0073】
−OHおよび−SH基の保護基の例としては、置換トリチル(例えば、4,4'−ジメトキシトリチルオキシ(DMT)、4−モノメトキシトリチルオキシ(MMT));トリチルオキシ、場合により置換された9−(9−フェニル)キサンテニルオキシ(ピクシル(pixyl))、場合により置換されたメトキシテトラヒドロピラニルオキシ(mthp);シリルオキシ(例えば、トリメチルシリルオキシ(TMS)、トリイソプロピルシリルオキシ(TIPS)、tert−ブチルジメチルシリルオキシ(TBDMS)、トリエチルシリルオキシ、フェニルジメチルシリルオキシ;tert−ブチルエーテル;アセタール(2個のヒドロキシ基を含む);アシルオキシ(例えば、アセチル)またはハロゲン置換のアセチル(例えば、クロロアセチルオキシ、またはフルオロアセチルオキシ)、イソブチリルオキシ、ピバロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、および置換ベンゾイル、メトキシメチルオキシ(MOM)、ベンジルエーテルまたは置換ベンジルエーテル(例えば、2,6−ジクロロベンジルオキシ(2,6−Cl2Bzl)を含む。その上、ZまたはZ*がヒドロキシルである場合には、それらは場合により連結基によって固体支持体と結合することによって保護し得る。
【0074】
アミン保護基の例としては、フルオレニルメトキシカルボニルアミノ(Fmoc)、tert−ブチルオキシカルボニルアミノ(BOC)、トリフルオロアセチルアミノ、アリルオキシカルボニルアミノ(alloc、AOC)、Z−ベンジルオキシカルボニルアミノ(Cbz)、置換ベンジルオキシカルボニルアミノ(例えば、2−クロロベンジルオキシカルボニルアミノ(2−ClZ))、モノメトキシトリチルアミノ(MMT)、ジメトキシトリチルアミノ(DMT)、フタロイルアミノ、および9−(9−フェニル)キサンテニルアミノ(ピクシル)を含む。
【0075】
該活性基は、他の残基および/またはヌクレオチドモノマーとのカップリングを媒介することが好ましく、そして該カップリングが完結した後には、該活性基は典型的にヌクレオシド間連結に変換される。該活性基としては例えば、場合により置換されたO−ホスホロアミダイト、場合により置換されたO−ホスホトリエステル、場合により置換されたO−ホスホジエステル、場合により置換されたH−ホスホネート、および場合により置換されたO−ホスホネートを含む。本明細書中の用語「ホスホロアミダイト」とは、式−P(ORx)−N(Ry)2(式中、Rxは、場合により置換されたアルキル基(例えば、メチル、2−シアノエチル、またはベンジル)であり、そして各Ryは場合により置換されたアルキル基(例えば、エチルまたはイソプロピル)であるか、または基−N(Ry)2はモルホリノ基(−N(CH2CH2)2Oを形成する、ことを意味する。Rxは、2−シアノエチルであることが好ましく、そして該2個のRyは同じであって、イソプロピルであることが好ましい。従って、特に好ましいホスホロアミダイトは、N,N−ジイソプロピル−O−(2−シアノエチル)ホスホロアミダイトである。
【0076】
上記の通り、Bは天然または非天然の起源であり得る核酸塩基である。核酸塩基の具体例としては例えば、アデニン(A)、シトシン(C)、5−メチルシトシン(MeC)、イソシトシン、プソイドイソシトシン、グアニン(G)、チミン(T)、ウラシル(U)、5−ブロモウラシル、5−プロピニルウラシル、5−プロピニル−6−フルオロウラシル、5−メチルチアゾールウラシル、6−アミノプリン、2−アミノプリン、イノシン、2,6−ジアミノプリン、7−プロピン−7−デアザアデニン、7−プロピン−7−デアザグアニン、および2−クロロ−6−アミノプリンを含む。好ましい核酸塩基は、A、C、MeC、G、TおよびU(特に、A、C、MeC、GおよびU)を含む。
【0077】
本発明の1実施態様において、センス鎖は少なくとも1個のLNAモノマー、例えば1〜10個のLNAモノマー(例えば、1〜5個のLNAモノマー)を含む。本発明の別の実施態様においては、アンチセンス鎖は少なくとも1個のLNAモノマー、例えば1〜10個のLNAモノマー(例えば、1〜5個のLNAモノマー)を含む。本発明の更なる実施態様において、センス鎖は少なくとも1個のLNAモノマーを含み、そしてアンチセンス鎖は少なくとも1個のLNAモノマーを含む。例えば、センス鎖は典型的に1〜10個のLNAモノマー(例えば、1〜5個のLNAモノマー)を含み、そしてアンチセンス鎖は典型的に1〜10個のLNAモノマー(例えば、1〜5個のLNAモノマー)を含む。
【0078】
本発明の化合物についての1つの利点は、生物学的な液体(例えば、血清)中での改善された安定性である。従って、本発明の1実施態様は、LNAモノマーの標準的なDNAまたはLNAオリゴヌクレオチド中への導入を含む。これにより、例えばヌクレアーゼ(エンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼ)に対する耐性の増大によって、生物学的な液体中での生成siLNA化合物の安定性が増大する。従って、本発明の化合物は、LNAモノマーの導入により、融解温度の上昇および/またはヌクレアーゼ耐性の増大の結果として循環性半減期(circulation half-life)の増大を示す。安定性の大きさは、使用するLNAモノマーの数、オリゴヌクレオチド中でのそれらの位置、および使用するLNAモノマーのタイプに依存する。DNAおよひホスホロチオエートと比較して、ヌクレオチド分解(nucleolytic)に対してオリゴヌクレオチドを安定化する能力の以下の順序を確立することができる:DNA<<ホスホロチオエート、LNAホスホロジエステル<LNA−ホスホロチオエート。
【0079】
従って、特に好ましい本発明の化合物は、血清(例えば、ヒト、ウシまたはマウスの血清)(例えば、生理学的な塩溶液中での10%胎仔ウシ血清)中、37℃で5時間インキュベートする場合に、対応するdsRNA化合物よりも低い程度で分解される化合物である。本発明の化合物の最初の量の25%以下が5時間後に分解されることが好ましく、本発明の化合物の最初の量の50%以下が5時間後に分解されることがより好ましく、本発明の化合物の最初の量の75%以下が5時間後に分解されることがより一層好ましい。別の実施態様において、本発明の化合物の最初の量の25%以下が10時間後に分解されることが好ましく、本発明の化合物の最初の量の50%以下が10時間後に分解されることがより好ましい。
【0080】
LNA合成が標準的なRNA/DNA合成と適合し且つ該LNAモノマーが多数の現行核酸アナログと自由に混合するという事実からして、siRNA化合物のヌクレアーゼ耐性は、本発明に従って、増大したヌクレアーゼ安定性を示す他のアナログを取り込むかまたはヌクレアーゼ−耐性ヌクレオシド間連結(例えば、ホスホロモノチオエート連結、ホスホロジチオエート連結、およびメチルホスホネート連結など)を利用するかのいずれかによって、更に増大することができる。
【0081】
LNAモノマーは、センス鎖の3’オーバーハングおよび5’末端の両方でのsiRNAの設計において自由に使用することができ、siLNA効果の十分な活性化およびタンパク質産生の下方調節(>90%低下)を有する。LNAモノマーは、高い下方調節性の能力(80%低下)を保ちながら、siLNA中のセンス鎖よりも全く自由に分配することができる。siRNAにおけるアンチセンス鎖の5’末端はまたLNAモノマーによって改変し得て、その結果、50〜70%までの下方調節能力を生じ得る。組み合わせの特定のデザインがRNAi効果を発揮することができることをあり得ないとすることはできないが、高度にLNAモノマーで置換されたアンチセンス鎖を用いて、下方調節効果を与えるとは考えられない。siLNAのセンス鎖の5’末端に加えて3’オーバーハングのLNAモノマー置換は、タンパク質レベルの最大の低下を示す。該アンチセンス鎖の5’末端はLNAモノマーの改変に対して最も感受性であって、一方で多数の改変の他の部位はより許容される。
【0082】
1実施態様においては、LNAモノマーがsiLNA化合物中に、それらがセンス鎖の5’末端における二重鎖での塩基対を強化するような様式で取り込まれるように、siLNA化合物を設計する。該ヘリカーゼは、他の5’末端(アンチセンス鎖の5’末端)から巻き戻すように(unwinde)方向付けることができる。この方法において、アンチセンス/ガイド鎖のRISCへの取り込みは、コントロールすることができる。該ヘリカーゼは、最も弱い結合末端でsiRNA二重鎖の巻き戻しを開始する。おそらく、放出された3’末端は分解のために標的化され、一方で残りの鎖はRISC中に取り込まれる。有効なsiRNAは、アンチセンス鎖/ガイド鎖の蓄積、および該アンチセンス/ガイド鎖の5’末端における弱い塩基対形成を示す。望まない副作用は、正しい鎖のみ(アンチセンス/ガイド鎖)(望まないセンス鎖(所望する標的RNAに対して相補的でない)ではない)をRISC中に有することによって避けることができるであろう。
【0083】
アンチセンス鎖の5’末端にLNAモノマーを取り込む効果は、図11から知ることができる。5’−末端におけるLNA残基のRNAi妨害効果は、逆(opposite)ミスマッチを取り込むことによっていくらか改善することができる。図11に、このことはウミシイタケおよびホタルの両方の標的について示す。
【0084】
アンチセンス鎖の5’末端において取り込まれたLNAモノマーのRNAi妨害効果は、LNAモノマーを3’末端方向に1塩基位置を動かすことによってほとんど排除することができる(図12)。LNAモノマーをアンチセンス鎖の3’末端方向に更に動かすことは遺伝子発現に影響を及ぼさないが、しかし、LNAモノマーが10または12位にある場合には、RNAi効果の有意な低下が観察される。該RISC複合体は、siRNAのアンチセンス鎖の10および11の間の位置の反対側の位置でmRNAを切断し、そして外見上は、該位置に合成LNAモノマーを取り込むことにより、RISC複合体による切断を妨害する。LNAモノマーを更にアンチセンス鎖の方向に動かす場合には、この妨害影響は低下する。
【0085】
上記の通り、該ヘリカーゼはストランドバイアス(strand bias)を示し、そしてsiRNAの最も弱い結合末端からsiRNAを取り込むことが好ましい。従って、実際には、siRNA二重鎖における両方の鎖を取り込むことができる。RISC+siRNAシステムの他の性質におけるこのものは、オフ−標的(target)効果を生じる。このものを低下させる1様式は、高アフィニティLNAモノマーを取り込むことである。Ren1部位の場合には、アンチセンス鎖における5’−核酸塩基は、U(このものは、「低」結合残基を構築する)である。従って、該RISC複合体はこの側から読み取られ、そしてこのものはアンチセンス鎖(正しい鎖)を取り込む。Ren2およびRen3部位の場合には、5’−核酸塩基はC(このものは、「高い」結合部位を構築する)である。これらの部位の場合には、センス鎖の5’末端は、AおよびU核酸塩基(共に、「低い」結合部位のを構築する)によって位置づけられる。従って、RISCはこの場合にストランドバイアスを示し得て、そしてセンス鎖(間違った(wrong)鎖)から部分的に読みとることができる。5’−アデノシンおよびウリジン残基を対応するA−およびU−LNA残基で置き代えることによって、該ストランドバイアスは除かれ、そしてアンチセンス鎖はRISC複合体中に取り込まれる(図13)。従って、LNA残基はストランドバイアスを低下し、そして二重鎖の効力を増大することができる。本発明のsiRNAはアンチセンス配列を有し、このものは標的分子と少なくとも70%(90〜100%の配列一致度がより好ましい)を有することが好ましい。
【0086】
上記の通り、いくつかのある設計は天然siRNAの全効力適用性を増強する:
(a)LNAを用いるsiRNAの「エンドキャッピング(end capping)」は、ヌクレアーゼ安定性を改善し(図2および15);
(b)センス鎖の5’末端の方向にLNAモノマーを置くことは、天然siRNAと比較してsiRNAの効力を改善する(「ロックする」)。このことは、中程度に有効な標的にとっての効力の増大によって例示される(図13および15)。
(c)「LNAウォーク(walk)」(図12)の場合には、RISC複合体の切断部位上(例えば、アンチセンス鎖における5’末端から数えて10位)にLNAモノマーを置くことは、siRNAの活性を低下する(「ブロック」)。
【0087】
これらの基本的な観察は、siRNAの全効力を改善するのに重要である。最適化された設計において、3’末端はLNAモノマーで「キャップ」されるべきであり、その結果、ヌクレアーゼ耐性を確実とする(図12および15)。センス鎖の5’末端はまた、アンチセンス鎖との結合を増大させ、その結果、ヘリカーゼを該二重鎖の「正しい側」から取り込まれるよう方向付けるように改変したLNAであるべきである。該二重鎖のセンス5’末端センス/アンチセンス3’側の該「ロック(する)」は、該二重鎖のいずれかの側に少なくとも1個のLNAモノマーを取り込むことによって行なわれ得る。該改変された二重鎖はまた、LNA−LNA水素結合塩基を含み得る。LNAがアンチセンス鎖の10または12位に取り込まれる場合に、遺伝子のサイレンシングは低下するという観察により、逆のシナリオで使用することができる。RISC複合体がセンス鎖の部に取り込まれ、その結果、望まないオフ−標的効果を生じる場合には、該望まない取り込みの効力は、LNAをセンス鎖の10および12位に取り込むことによって低下する(「ブロックする」)ことができる(図12に示す通り)。
【0088】
従って、本発明の関心ある実施態様において、該センス鎖は5’末端から数えて9〜13の位置の少なくとも1個(例えば、1個)に少なくとも1個のLNAモノマーを含む。該センス鎖は、5’末端から数えて10〜12の位置の少なくとも1個(例えば、1個)に少なくとも1個のLNAモノマーを含むことが好ましい。本発明の特に関心ある実施態様において、センス鎖は、5’末端から数えて10位、12位または10および12の両方の位置にLNAモノマーを含む。その上、10位に取り込まれた場合には、LNAモノマーが窒素性塩基(これは、天然に存在するRNA塩基と異なる(すなわち、A、C、GおよびUとは異なる))を含むことが特に好ましい。特に好ましい実施態様において、10位(5’末端から数えて)に存在するLNAモノマーは窒素性塩基Tを含む。
【0089】
オリゴ中に取り込まれたLNAモノマーがオリゴおよびハイブリッド(形成し得る)のRNA似構造を誘発することは知られる。LNA残基がDNA残基の構造を改変し、特にLNA残基が3’末端の近位に取り込まれる場合には、DNA残基の構造を改変することも分かった。5’末端方向でのLNAモノマーの取り込みは、より小さな影響を有するように考えられる。このことは、DNAモノマーを含むRNA鎖を改変することができ、そして1個以上のLNA残基がDNAモノマーをフランクする場合には、それらもまたRNA似構造を達成するであろうことを意味する。従って、DNAおよびLNAモノマーはRNAモノマーに置き代えることができ、そして更に該オリゴは全RNA似構造を達成するであろう。DNAモノマーはRNAモノマーよりもかなり安価であり、合成が容易であり、そしてヌクレオチド分解に対してより安定であるので、従って、該改変はsiRNAの全使用および利用性を改善するであろう(図15を参照)。
【0090】
従って、少なくとも1個(例えば、1個)のLNAモノマーはセンス鎖の5’末端に位置することが好ましい。少なくとも2個(例えば、2個)のLNAモノマーがセンス鎖の5’末端に位置することがより好ましい。
【0091】
本発明の別の好ましい実施態様において、センス鎖は、該センス鎖の3’末端に位置する少なくとも1個(例えば、1個)のLNAモノマーを含む。少なくとも2個(例えば、2個)のLNAモノマーがセンス鎖の3’末端に位置することがより好ましい。
【0092】
本発明の特に好ましい実施態様において、センス鎖は、該センス鎖の5’末端に位置する少なくとも1個(例えば、1個)のLNAモノマーを含み、そして該センス鎖の3’末端に位置する少なくとも1個(例えば、1個)のLNAモノマーを含む。センス鎖は、該センス鎖の5’末端に位置する少なくとも2個(例えば、2個)のLNAモノマー、および該センス鎖の3’末端に位置する少なくとも2個(例えば、2個)のLNAモノマーを含む。
【0093】
少なくとも1個(例えば、1個)のLNAモノマーはアンチセンス鎖の3’末端に位置することが好ましい。少なくとも2個(例えば、2個)のLNAモノマーがアンチセンス鎖の3’末端に位置することがより好ましい。少なくとも3個(例えば、3個)のLNAモノマーが、アンチセンス鎖の3’末端に位置することが一層より好ましい。本発明の特に好ましい実施態様において、LNAモノマーは、アンチセンス鎖の5’末端またはその近くに(すなわち、1、2、または3個のヌクレオチド内)位置しない。
【0094】
従って、本発明の更なる実施態様において、LNAモノマーは、アンチセンス鎖の5’末端を除いて、センス鎖およびアンチセンス鎖のいずれかの位置に位置し得る。
【0095】
本発明の非常に好ましい実施態様において、センス鎖は5’末端に少なくとも1個のLNAモノマーを、および3’末端に少なくとも1個のLNAモノマーを含み、そしてアンチセンス鎖は3’末端に少なくとも1個のLNAモノマーを含む。センス鎖は5’末端に少なくとも1個のLNAモノマーを、および3’末端に少なくとも1個のLNAモノマーを含み、そしてアンチセンス鎖は3’末端に少なくとも2個のLNAモノマーを含むことがより好ましい。センス鎖は5’末端に少なくとも2個のLNAモノマーを、および3’末端に少なくとも2個のLNAモノマーを含み、そしてアンチセンス鎖は3’末端に少なくとも2個のLNAモノマーを含むことがより一層好ましい。センス鎖は5’末端に少なくとも2個のLNAモノマーを、および3’末端に少なくとも2個のLNAモノマーを含み、そしてアンチセンス鎖は3’末端に少なくとも3個のLNAモノマーを含むことがなお一層好ましい。最も好ましい実施態様においては、上記の化合物のいずれも、アンチセンス鎖の5’末端に位置するLNAモノマーを含まないと理解する。
【0096】
本発明の更なる関心ある実施態様において、LNAモノマーは、3’末端の近く(すなわち、3’末端から数えて2、3または4位であって、2または3位が好ましく、2位が特に好ましい)に位置する。
【0097】
従って、本発明の更に非常に関心ある実施態様において、センス鎖は、3’末端から数えて2位に位置するLNAモノマーを含む。別の実施態様において、センス鎖は、3’末端から数えて2および3位に存在するLNAモノマーを含む。
【0098】
本発明の特に好ましい実施態様において、センス鎖は、5’末端に位置する少なくとも1個(例えば、1個)のLNAモノマーを、および3’末端から数えて2位に位置するLNAモノマーを含む。更なる実施態様において、センス鎖は、センス鎖の5’末端に位置する少なくとも2個(例えば、2個)のLNAモノマーを、および3’末端から数えて2位)に位置するLNAモノマーを含む。
【0099】
その上、アンチセンス鎖は、3’末端から数えて2位にLNAモノマーを含む。アンチセンス鎖は、3’末端から数えて2および3位にLNAモノマーを含むことがより好ましい。アンチセンス鎖は、3’末端から数えて2、3、4位に位置するLNAモノマーを含むことがより一層好ましい。本発明の特に好ましい実施態様において、LNAモノマーはアンチセンス鎖の5’末端またはその近くに(すなわち、1、2、または3個のヌクレオチド内に)位置しない。
【0100】
本発明の非常に好ましい実施態様において、センス鎖は、5’末端に少なくとも1個のLNAモノマーを、および2位(3’末端から数えて)にLNAモノマーを含み、そしてアンチセンス鎖は、2位(3’末端から数えて)に位置するLNAモノマーを含む。センス鎖は、5’末端に少なくとも1個のLNAモノマーを、および2位(3’末端から数えて)にLNAモノマーを含み、そしてアンチセンス鎖は、2および3位(3’末端から数えて)にLNAモノマーを含むことがより好ましい。センス鎖は、5’末端に少なくとも2個のLNAモノマーを、並びに2および3位(3’末端から数えて)にLNAモノマーを含み、そしてアンチセンス鎖は、2および3位(3’末端から数えて)にLNAモノマーを含むことがより一層好ましい。該センス鎖は、5’末端に少なくとも2個のLNAモノマーを、並びに2および3位(3’末端から数えて)にLNAモノマーを含み、そしてアンチセンス鎖は、2、3、および4位(3’末端から数えて)にLNAモノマーを含むことがなおより一層好ましい。最も好ましい実施態様において、上記の化合物のどれも、アンチセンス鎖の5’末端に位置するLNAモノマーを含まないと理解される。
【0101】
上記の通り、各鎖は12〜35個のヌクレオチドを含む。これらの数は、該鎖中の天然ヌクレオチド、ヌクレオチド変異体およびアナログ、LNAモノマーなどの総数を意味すると理解される。従って、該天然ヌクレオチド、ヌクレオチド変異体およびアナログ、LNAモノマーなどの総数は、12よりも低いことはなく、且つ35を超えることもない。本発明の関心ある実施態様において、各鎖は、17〜25個のヌクレオチド(例えば、20〜22個または20〜21個のヌクレオチド)を含む。
【0102】
本発明の化合物は平滑末端し得て、そして1個のある実施態様において、本発明のsiRNA化合物は19マーであり、そして平滑末端である。しかしながら、少なくとも1個の該鎖は3’オーバーハングを有することが好ましい。典型的には、該3’オーバーハングは、1〜7個のヌクレオチド(または、ヌクレオチド変異体もしくはアナログ、またはLNAモノマー)であって、1〜3個のヌクレオチドが好ましい。従って、センス鎖が3’オーバーハングを含み得て、そしてアンチセンス鎖が3’オーバーハングを含み得るか、あるいはセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方が3’オーバーハングを含み得ると理解される。
【0103】
同様な方法で、該鎖の少なくとも1つは5’オーバーハングを有し得る。典型的には、該5’オーバーハングは1〜4個のヌクレオチド(または、ヌクレオチドの変異体もしくはアナログ、またはLNAモノマー)であって、1〜3個のヌクレオチドが好ましい。従って、センス鎖が5’オーバーハングを含み得て、そしてアンチセンス鎖が5’オーバーハングを含み得るか、あるいはセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方が5’オーバーハングを含み得ると理解される。明らかに、センス鎖は3’および5’オーバーハングを含み得る。あるいは、アンチセンス鎖は、3’および5’オーバーハングの両方を含み得る。
【0104】
典型的には、本発明の化合物は、LNAモノマー以外の他の残基を含む。該他の残基は上記の「ヌクレオチド」の定義に関連して記載する残基のいずれかであり得て、そしてこのものは例えば、天然RNAモノマー、天然DNAモノマー、並びにヌクレオチドの変異体およびアナログ(例えば、上記の「ヌクレオチド」の定義に関連して記載するもの)を含む。該ヌクレオチドの変異体およびアナログの具体的な例は例えば、2’−F、2’−OMe、2’−O−メトキシエチル(MOE)、2’−O−(3−アミノプロピル)(AP)、ヘキシトール核酸(HMA)、2’−F−アラビノ核酸(2’−F−ANA)およびD−シクロヘキセニルヌクレオシド(CeNA)を含む。その上、ヌクレオシド間連結は、上記のホスホロジエステル、ホスホロチオエートまたはN3’−P5’ホスホロアミデートヌクレオシド間連結であり得る。
【0105】
通常、本発明の化合物の個々の鎖は、鎖中のヌクレオチドの総数を基準として、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、または少なくとも約20%のLNAモノマーを含む。ある実施態様において、本発明の化合物は、鎖中のヌクレオチドのの総数を基準として、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%を含む。
【0106】
LNAモノマーに関する限り、反応式2および3中に示すLNAモノマーのいずれかが本発明の目的において有用であると理解する。しかしながら、LNAモノマーはベータ−D型であり、このものは化合物3A、3Cおよび3Dとして示すLNAモノマーに相当することが現在好ましい。現在最も好ましいLNAモノマーは、上記の反応式3および4に化合物3Aとして示すモノマーであり、すなわち、現在最も好ましいLNAモノマーはオキシ−LNAのベータ−D型である。
【0107】
本発明の更なる実施態様において、本発明の化合物は1個以上のリガンドと連結して、接合体を生成する。該リガンドは、非接合化合物と比べて接合体の細胞取り込みを増大する役割を果たしている。この接合は、末端5’−OHおよび/または3’−OH位で起こり得るが、該接合はまた糖類および/または核酸塩基でも起こり得る。特に、アンチセンスオリゴヌクレオチドが接合し得る増殖因子は、トランスフェリンまたは葉酸を含み得る。トランスフェリン−ポリリシン−オリゴヌクレオチド複合体または葉酸−ポリリシン−オリゴヌクレオチド複合体は、高レベルのトランスフェリンまたは葉酸受容体を発現する細胞による取り込みにおいて製造され得る。接合体/リガンドの他の例はコレステロール分子、二重鎖挿入物(例えば、アクリジン、ポリ−L−リシン、1個以上のヌクレアーゼ耐性連結基(例えば、ホスホロモノチオエート)を有する「エンド−キャッピング」などである。
【0108】
細胞中へのオリゴヌクレオチド取り込みの担体としてのトランスフェリン複合体の製造は、Wagnerらによる, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87, 3410-3414 (1990)によって記載されている。葉酸受容体エンドサイトーシスによる葉酸−高分子接合体の細胞運搬(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドの運搬を含む)は、Lowらによる, US 5,108,921およびLeamonらによる, Proc. Natl. Acad. Sci. 88, 5572 (1991)によって記載されている。
【0109】
本発明の化合物または接合体もまた接合し、あるいは更に活性な薬物物質(例えば、アスピリン、イブプロフェン、サルファ剤、抗糖尿病剤、抗菌剤、化学療法剤または抗生物質)と接合し得る。
【0110】
天然のRNA核酸塩基は、A、C、GおよびUである。LNAモノマーにおけるこれらの使用は、最小の改変を構築する。しかしながら、塩基MeC(5’メチルシトシン)およびチミン(T)は、LNAモノマーとして容易に使用され、そしてこのものはまた本明細書中に示す(図16を参照)siRNA二重鎖中で使用することもできる。siLNAの末端において使用される塩基の性質は、それらが該分子中の塩基対形成位置を占有する場合には、相補的な塩基とハイブリダイズする能力を保持する限り、siRNA分子の官能性に有意に影響を及ぼさないと予想される。しかしながら、LNA改変が二重鎖の内部位置に位置する場合(例えば、10位(5’末端から数えて))には、核酸塩基の性質は重要であると予想しなければいけない。従って、天然の塩基であるCおよびUは、塩基の改変物、TおよびMeCよりもより小さい程度にまで二重鎖を乱すであろう。このことにより、わずかなデザインの可能性を供する。例えば、切断部位(例えば、10番目の位置)で該センス鎖を「ブロック」したい場合には、TまたはMeCを使用しなければならないが(相補的である場合)、しかし、切断部位(例えば、10位)で該アンチセンス鎖を改変するのが必要である場合には、UまたはCを使用すべきである(相補的である場合)。従って、本発明の1実施態様は、改変された核酸塩基を含むことである。該核酸塩基の妨害は、メチルよりもバルキーな基(例えば、エチル、プロピル、フェニル、またはビオチンなどのレポーター基)を用いることによって得ることができる。従って、RISC複合体または他の酵素による核酸塩基の区別された認識は、LNA改変siRNAの設計機会の余分なレベルを供する。従って、本発明の関心ある実施態様において、10位(5’末端から数えて)はTまたはMeCを含む。
【0111】
環境の変化および他の変化に対する速い応答を可能とするために、生物学的なシステムは典型的に、動力学的なシステム(すなわち、平衡状態をアクチベーターおよびデアクチベーター(deactivator)の両方の作用によって保つシステム)として構築する。従って、該RISC複合体に関心ある場合には、活性化された複合体(すなわち、標的の破壊を触媒する無傷のオリゴヌクレオチドを含有するタンパク質複合体)は、失活活性(例えば、例えば、該オリゴヌクレオチドの全てまたはその一部を除去し、その結果、活性化RISC複合体の機能を無能にする、ヌクレアーゼ活性)を受けることが予想され得る。あるいは、RISC複合体の失活は、RISC複合体からのオリゴヌクレオチドのオフ速度(これは、解離後に、再結合(reassociate)することができないかもしれない)によって簡単に測定することができる。
【0112】
従って、1つの関心ある態様において、本発明は、活性RISC複合体の寿命を増大し、その結果、その作用時間を増大するために、本明細書中に開示する化合物の使用に関する。本発明の1実施態様において、このことは、推定RNAse活性による分解に対するRISC複合体のRNA成分の耐性を増大することによるか、LNAおよび/または他の核酸アナログの取り込みによるか、あるいは化学的な改変によって、達成される。本発明の別の実施態様において、活性RISC複合体の寿命の所望する増大は、LNAおよび/または他の核酸アナログの導入によるRISC複合体からRNAオリゴヌクレオチドのオフ速度を低下させることによって、および/またはRISC複合体中の結合パートナーに対するオリゴヌクレオチドのアフィニティーを増大する化学的な改変によって、達成される。
【0113】
インヒビターとして設計する場合には、本発明のsiLNAは標的核酸と結合し、そしてその同族タンパク質の発現を調整する。該調整により、正常な発現レベルと比較して、少なくとも10%または少なくとも20%(少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%がより好ましい)の発現の阻害を与えることが好ましい。
【0114】
(製造)
本発明の化合物は、核酸化学の重合技術(これは、有機化学の分野における当業者にとってよく知られる)を用いて製造することができる。通常、ホスホロアミダイト方法の標準的な重合サイクル(S. L. BeaucageおよびR. P. Iyerによる, Tetrahedron, 1993, 49, 6123;並びに、S. L. BeaucageおよびR. P. Iyerによる, Tetrahedron, 1992, 48, 2223)を使用できるが、しかし、他の化学(例えば、H−ホスホネート化学またはホスホロトリエステル化学)をまた使用することができる。
【0115】
いくつかのモノマーについて、より長いカップリング時間、および/または新しい試薬との繰り返しカップリング、および/またはより濃縮したカップリング試薬の使用が、必要であり得る。しかしながら、我々の思いのままに、使用するホスホロアミダイトを十分な>97%の工程毎のカップリング収率でカップリングする。該ホスフェートのチオール化は、通常の酸化(すなわち、ヨウ素/ピリジン/H2O酸化)をビューケイジ(Beaucage)試薬(商業的に入手可能)を用いる酸化プロセスで交換することによって実施することができる。当業者にとって明らかである通り、他の硫黄化(sulphurisation)試薬を使用することができる。
【0116】
個々の鎖の精製は、廃棄可能な逆相精製カートリッジおよび/または逆相HPLCおよび/またはエタノールもしくはブタノールからの沈降を用いて行なうことができる。ゲル電気泳動、逆相HPLC、MALDI−MS、およびESI−MSを用いて、合成したLNA含有オリゴヌクレオチドの純度を確認することができる。その上、固定化された核酸塩基保護で且つ5’−OH保護のLNAを有する固体の支持物質は特に、LNA含有オリゴヌクレオチド(ここで、LNAモノマーは3’末端で含まれる)の合成に特に関心が持たれる。この目的のために、該固体の支持物質は、CPGまたはポリスチレン(3’−官能化され、場合により核酸塩基で保護され、そして場合により5’−OH保護されたLNAモノマーが連結される)であることが好ましい。該LNAモノマーは、ある固体の支持物質についての供給者によって述べられている条件を用いて、該固体の支持体と結合することができる。
【0117】
本発明の1態様は、本発明の化合物の製造のための新規な方法に関するものであって、このものは、個々のモノマー、例えばLNAモノマーおよびRNAモノマーを、1H−テトラゾールまたは5−エチルチオ−1H−テトラゾールを用いてカップリングすることを特徴とする。本態様の更なる実施態様は、該方法が200〜1200秒の範囲にある(例えば、400から1200秒の範囲にあり、600〜900秒の範囲にあることが好ましい)カップリング時間を含むものである、ことである。
【0118】
本発明に従って改変する標的は、多数の塩基性の生物学的な機序(例えば、赤血球の増殖、細胞増殖、イオン代謝、グルコースおよびエネルギー代謝、pH調節、およびマトリックス代謝を含む)に関与する標的であり得る。本明細書中に記載する本発明は、該処置が必要なヒトに治療学的に有効な量の標的調整siRNA化合物を含有する、癌を予防しまたは治療する方法を包含する。
【0119】
(治療および医薬組成物)
最初に説明した通り、本発明の化合物は、改善された性質を有する適当な薬物を構築する。強力で且つ安全なRNAi薬物の設計は、多様なパラメータ(例えば、アフィニティー/特異性、生物学的な液体中での安定性、細胞による取り込み、作用様式、薬物動態学的な性質、および毒性)の微調整(fine-tuning)を必要とする。
【0120】
従って、更なる態様において、本発明は、本発明の化合物および医薬的に許容し得る希釈物、担体またはアジュバントを含有する医薬組成物に関する。
【0121】
更に別の態様において、本発明は、薬物としての使用のための本発明の化合物に関する。
【0122】
投薬は処置する疾患状態の激しさおよび応答性、並びに処置の期間(数日間から数ヶ月にまで続くか、あるいは治癒が有効となるまでかまたは該疾患状態の軽減が達成されるまで)に依存することは理解されるであろう。最適な投薬スケジュールは、患者の身体中での薬物の蓄積の測定から算出することができる。最適な用量は、個々のsiLNAの相対的な効力に依存して変えることができる。通常、そのものは、インビトロおよびインビボでの動物モデルにおいて有効であることが分かる、EC50に基づいて見積もることができる。通常、用量は、体重kg当たり0.01μg〜1gであり、そしてこのものは、毎日、毎週、毎月、もしくは毎年1回以上、または2〜10年毎に1回、あるいは数時間から数ヶ月の間での連続的な注入によって与えることができる。投薬の反復速度は、身体の液体または組織中での該薬物の測定される存在(residence)時間および濃度に基づいて見積もることができる。成功処置後に、該疾患状態の再発を防止するために、該患者が維持療法を受けることが望まれ得る。
【0123】
(医薬組成物)
本発明はまた医薬組成物に関するものであって、このものは、活性成分として少なくとも1個の本発明の化合物を含む。本発明の医薬組成物は場合により医薬的な担体を含み、そして該医薬組成物は場合により更なる化合物(例えば、化学療法化合物、抗炎症化合物、抗ウイルス化合物および/または免疫調整化合物)を含む、と理解されるべきである。
【0124】
本発明に含まれるオリゴマー化合物は、様々な医薬的に許容し得る塩で使用することができる。本明細書中で使用する該用語は、塩(このものは、本明細書中で同定される化合物の所望する生物学的な活性を保持し、そして最小の所望しない毒物学的な効果を示す)を意味する。該塩の非限定的な例は、有機アミノ酸および塩基の付加塩;金属カチオン(例えば、亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウム、ナトリウム、カリウムなど)と形成する塩;または、アンモニア、N,N−ジベンジルエチレン−ジアミン、D−グルコサミン、テトラエチルアンモニウム、もしくはエチレンジアミンから生成するカチオンと形成する塩を含む。
【0125】
本発明の1実施態様においては、オリゴマー化合物は、プロドラッグの形態であり得る。オリゴヌクレオチドは、負に荷電したイオンによる。細胞膜の親油性の性質のために、オリゴヌクレオチドの細胞取り込みは、中性または親油性の等価物と比較して低下する。この極性「障害」は、プロドラッグ方法(例えば、Crooke, R. M. (1998) in Crooke, S. T. Antisense research and Application. Springer-Verlag, Berlin, Germany, 131巻, 頁103-140を参照)を用いることによって避けることができる。この方法において、該オリゴヌクレオチドは保護様式で製造し、その結果、該オリゴは投与の際に中性である。これらの保護基は、オリゴが細胞によって摂取されると除去され得るような様式で設計する。該保護基としては例えば、S−アセチルチオエチル(SATE)またはS−ピバロイルチオエチル(t−ブチル−SATE)である。これらの保護基はヌクレアーゼ耐性であり、そして細胞内で選択的に除去される。
【0126】
医薬的に許容し得る結合剤およびアジュバントは、製剤化された薬物の部を含み得る。カプセル剤、錠剤および丸剤などは、例えば以下の化合物を含み得る:結合剤としての微結晶性セルロース、ガムまたはゼラチン;賦形剤としてのデンプンおよびラクトース;滑沢剤としてのステアリン酸;様々な甘味剤または芳香剤。カプセル剤の場合には、投薬単位は液体担体(脂肪油など)を含み得る。糖類または腸溶剤の同様なコーティングは、該投薬単位の一部であり得る。該オリゴヌクレオチド製剤はまた、活性医薬成分およびミセル乳液を形成する脂質との乳剤であり得る。本発明の化合物は、所望する作用を損なわないいずれかの物質または所望する作用を補足する物質と一緒に混合することができる。これらは、例えば他のヌクレオチド化合物を含有する他の薬物を含む。非経口、皮下、皮内、または局所の投与の場合に、該製剤としては、減菌希釈剤、緩衝剤、張性の調節因子、および抗菌薬を含み得る。該活性化合物は、分解または身体からの速い排除を防止する担体(例えば、徐放性を有するインプラントまたはマイクロカプセルを含む)と一緒に製造することができる。静脈内投与の場合には、好ましい担体は、生理学的な生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水である。
【0127】
オリゴマー化合物は単位製剤のものを含むことが好ましく、例えばこのものは処置する患者において重大な副作用を引き起こすことなく、治療学的に有効な量を患者に運搬するのに十分な量での医薬的に許容し得る担体または希釈物中のものが挙げられる。
【0128】
本発明の医薬組成物は、局所または全身のどちらの処置が所望されるかにおよび処置する領域に応じた多数の方法で投与することができる。投与は、(a)経口(b)肺(例えば、散剤もしくはエアロゾル剤(例えば、ネブライザーを含む)の吸入もしくはガス注入による);気管内、鼻腔内;(c)局所(例えば、上皮、経皮、眼を含む)および粘膜(例えば、膣および直腸の運搬を含む);または、(d)非経口(例えば、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内もしくは筋肉内の注射もしくは注入);頭蓋内(例えば、くも膜下腔内もしくは脳室内の投与を含む)であり得る。1実施態様において、医薬組成物は、IV投与、IP投与、経口投与、局所投与するか、ボーラス注射として投与するか、または標的器官に直接投与する。局所投与のための医薬組成物および医薬製剤としては、経皮パッチ剤、軟膏、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、点滴剤、スプレー剤、坐剤、液剤および散剤を含み得る。通常の医薬的な担体、水性基剤、粉末基剤または油性基剤、増粘剤などが、必要でありまたは所望し得る。コーティングされたコンドーム、グローブなどもまた、有用であり得る。好ましい局所用製剤としては、本発明の化合物が局所用運搬剤(例えば、脂質、リポソーム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド、キレート剤および界面活性剤など)と混合されているものを含む。経口投与用の組成物および製剤としては、例えば散剤または顆粒剤、マイクロ粒子、ナノ粒子、水もしくは非水性媒質中の懸濁剤もしくは溶液剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、分包(sachet)、錠剤またはミニ錠剤などを含むが、これらに限定されない。非経口投与、髄腔内投与または脳室内投与用の組成物および製剤としては滅菌水溶液剤を含み得るが、このものはまた緩衝剤、希釈剤および他の適当な添加剤(例えば、浸透促進剤、担体化合物および他の医薬的に許容できる担体または賦形剤などであるが、これらに限定されない)を含み得る。
【0129】
本発明の医薬組成物としては、例えば液剤、乳剤、およびリボーソーム含有製剤を含むが、これらに限定されない。これらの組成物は、様々な成分(例えば、既製の液体、自己乳化性固体および自己乳化性半固体を含むが、これらに限定されない)から製造することができる。腫瘍組織への薬物の運搬は、担体媒介性運搬(例えば、カチオンリポソーム、シクロデキストリン、ポルフィリン誘導体、分岐鎖デンドリマー、ポリエチレンイミンポリマー、ナノ粒子およびミクロスフェアを含むが、これらに限定されない)によって増大し得る(Dass C. R.による, J Pharm Pharmacol 2002;54(1): 3-27)。本発明の医薬製剤(このものは、単位投薬形態で便利に供し得る)は、製薬産業においてよく知られる通常の技術に従って製造することができる。該技術としては、活性化成分を医薬的な担体または賦形剤と組み合わせる工程を含む。一般に製剤は、活性成分を液体担体もしくは微細に分けた固形担体またはその両方と均一かつ十分に混合した後、必要であれば製品を成型することによって製造する。本発明の組成物は、多数のあり得る投薬形態のいずれか(例えば、錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、液状シロップ剤、ソフトゲル剤および坐剤などを含むが、これらに限定されない)に製剤化し得る。本発明の組成物はまた、水性、非水性媒質、または混合媒質中での懸濁剤としても製剤化し得る。水性懸濁剤は更に、懸濁剤の粘性を増大する物質(例えば、カルボキシメチルセルロース、ソルビトールおよび/またはデキストランを含む)を含み得る。該懸濁液剤はまた、安定化剤を含み得る。本発明の化合物はまた、活性薬物物質(例えば、アスピリン、イブプロフェン、サルファ剤、抗糖尿病剤、抗菌剤または抗生物質)とも接合し得る。
【0130】
別の実施態様において、本発明の組成物は、1個以上のsiLNA化合物(このものは、第1の核酸を標的化する)および1個以上の別のsILNA化合物(このものは、第2の核酸標的を標的化する)を含み得る。2個以上の組み合わせ化合物は、一緒にまたは連続的に使用することができる。
【0131】
本明細書中に開示する化合物は、上記の多数の治療学的な利用法に有用である。通常、本発明の治療学的な方法としては例えば、治療学的に有効な量のsiLNAを哺乳動物(特に、ヒト)に投与することを含む。ある実施態様において、本発明は、(a)1個以上の本発明の化合物、および(b)1個以上の化学療法剤、を含有する医薬組成物を提供する。本発明の化合物と一緒に使用する場合には、該化学療法剤は、個別に、連続して、または1個以上の他の該化学療法剤もしくは放射線療法と組み合わせて使用することができる。当該分野における当業者にとって知られる全ての化学療法剤は、本発明載の化合物との組み合わせ処置として本明細書中に包含する。他の活性剤(例えば、抗炎症性薬)(このものは例えば、非ステロイド性抗炎症性薬およびコルチコステロイド、抗ウイルス薬、および免疫調整薬を含むが、これらに限定されない)はまた、本発明の組成物中で組み合わせることができる。2個以上の組み合わせ化合物は、一緒にまたは連続して使用することができる。
【0132】
(癌)
更になお別の態様において、本発明は、癌の処置のための医薬の製造における本発明の化合物の使用に関する。別の態様において、本発明は、癌の治療または予防のための方法に関し、該方法は、本発明の化合物または本発明の医薬組成物を処置が必要な患者に投与することを含む。
【0133】
該癌としては例えば、リンパ網内性新生物(lymphoreticular neoplasia)、リンパ芽球性白血病(lymphoblastic leukemia)、脳腫瘍、胃癌、プラズマ細胞腫(plasmacytomas)、多発性骨髄腫、白血病、結合組織腫瘍、リンパ腫、および固形腫瘍を含む。
【0134】
癌の処置のための医薬の製造における本発明の化合物の使用において、該癌は、固形腫瘍の形態であることが適当であり得る。同様に、本明細書中に開示する癌の処置方法において、該癌は固形腫瘍の形態であることが適当であり得る。
【0135】
その上、該癌はまた好適には、癌腫である。該癌腫は典型的に、悪性黒色腫、基底細胞癌、卵巣癌、乳癌、非小細胞肺癌、腎細胞癌、膀胱癌、再発性表在性膀胱癌、胃癌、前立腺癌、膵癌、肺癌、子宮頸癌、子宮頚部形成異常、咽頭乳頭腫症、結腸癌、および腎細胞癌からなる群から選ばれる。より典型的には、該癌腫は、悪性黒色腫、非小細胞肺癌、乳癌、結腸癌および腎細胞癌からなる群から選ばれる。悪性黒色腫は典型的には、表在拡大型黒色腫、結節型黒色腫、悪性黒子型黒色腫、先端黒色腫、メラニン欠乏症黒色腫および線維硬化性黒色腫からなる群から選ばれる。
【0136】
癌は好適には肉腫であり得る。肉腫は、典型的には骨肉腫、ユーイング肉腫、軟骨肉腫、悪性線維性組織球腫、線維肉腫およびカポジ肉腫からなる群より選ばれる形態をとる。
【0137】
あるいは、癌は好適には神経膠腫であり得る。
【0138】
更なる実施態様は、癌の処置のための医薬の製造における本発明に記載する化合物の使用に関し、ここで、該医薬は更に、副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン、デキサメタゾンまたはデカドロン);アルトレタミン(へキサレン、ヘキサメチルメラミン(HMM));アミフォスチン(エチロール);アミノグルテチミド(シタドレン);アムサクリン(M−AMSA);アナストロゾール(アリミデックス);アンドロゲン(例えば、テストステロン):アスパラギナーゼ(エルスパル);バシラスカルメッテ−グリン;ビカルタミド(カソデックス);ブレオマイシン(ブレオキサン);ブスルファン(ミレラン);カルボプラチン(パラプラチン);カルムスチン(BCNU、BiCNU);クロラムブシル(ルークラン);クロロデオキシアデノシン(2−CDA、クラドリビン、ロイスタチン);シスプラチン(プラチノール);シトシンアラビノシド(シタラビン);ダカルバジン(DTIC);ダクチノマイシン(アクチノマイシン−D、コスメゲン);ダウノルビシン(セルビジン);ドセタキセル(タキソテール);ドキソルビシン(アドリアマイシン);エピルビシン;エストラムスチン(emcyt);エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール(DES));エトポシド(VP−16、ベプシド、エトホホス);フルダラビン(フルダラ);フルタミド(ユーレクシン);5−FUDR(フロキシウリジン);5−フルオロウラシル(5−FU);ゲムシタビン(ジェムザール);ゴセレリン(ゾダレックス);ハーセプチン(トラスツズマブ);ヒドロキシ尿素(ハイドレア);イダルビシン(イダマイシン);イホスファミド;IL−2(プロリュウキン、アルデスリュウキン);インターフェロンアルファ(イントロンA、ロフェロンA);イリノテカン(カンプトスター);ロイプロリド(ループロン);レバミソール(エルガミソール);ロムスチン(CCNU);メクロラタミン(ムスタルゲン、ナイトロジェンマスタード);メルファラン(アルケラン);メルカプトプリン(ピュリネソール、6−MP);メトトレキセート(メキセート);マイトマイシン−C(ムタムシン);ミトキサントロン(ノバントロン);オクトレオチド(サンドスタチン);ペントスタチン(2−デオキシコホルマイシン、ニペント);プリカマイシン(ミトラマイシン、ミタラシン);プロロカルバジン(マツラン);ストレプトゾシン;タモキシフェン(ノルバデックス);タキソール(パクリタキセル);テニポシド(ブモン、VM−26);チオテパ;トポテカン(ハイカムチン);トレチノイン(ベサノイド、オールトランスレチノイン酸);ビンブラスチン(バルバン);ビンクリスチン(オンコビン);および、ビノレルビン(ナベルビン)からなる群から選ばれる化学療法剤を含む。該更なる化学療法剤は、タキソール、パクリタキセル、またはドセタキセルなどのタキサンから選ばれることが好ましい。
【0139】
同様に、本発明は更に、癌の処置のための医薬の製造における本発明に記載の化合物の使用に関し、ここで、該処置は更に、副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン、デキサメタゾンまたはデカドロン);アルトレタミン(へキサレン、ヘキサメチルメラミン(HMM));アミフォスチン(エチロール);アミノグルテチミド(シタドレン);アムサクリン(M−AMSA);アナストロゾール(アリミデックス);アンドロゲン(例えば、テストステロン):アスパラギナーゼ(エルスパル);バシラスカルメッテ−グリン;ビカルタミド(カソデックス);ブレオマイシン(ブレオキサン);ブスルファン(ミレラン);カルボプラチン(パラプラチン);カルムスチン(BCNU、BiCNU);クロラムブシル(ルークラン);クロロデオキシアデノシン(2−CDA、クラドリビン、ロイスタチン);シスプラチン(プラチノール);シトシンアラビノシド(シタラビン);ダカルバジン(DTIC);ダクチノマイシン(アクチノマイシン−D、コスメゲン);ダウノルビシン(セルビジン);ドセタキセル(タキソテール);ドキソルビシン(アドリアマイシン);エピルビシン;エストラムスチン(emcyt);エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール(DES));エトポシド(VP−16、ベプシド、エトホホス);フルダラビン(フルダラ);フルタミド(ユーレクシン);5−FUDR(フロキシウリジン);5−フルオロウラシル(5−FU);ゲムシタビン(ジェムザール);ゴセレリン(ゾダレックス);ハーセプチン(トラスツズマブ);ヒドロキシ尿素(ハイドレア);イダルビシン(イダマイシン);イホスファミド;IL−2(プロリュウキン、アルデスリュウキン);インターフェロンアルファ(イントロンA、ロフェロンA);イリノテカン(カンプトスター);ロイプロリド(ループロン);レバミソール(エルガミソール);ロムスチン(CCNU);メクロラタミン(ムスタルゲン、ナイトロジェンマスタード);メルファラン(アルケラン);メルカプトプリン(ピュリネソール、6−MP);メトトレキセート(メキセート);マイトマイシン−C(ムタムシン);ミトキサントロン(ノバントロン);オクトレオチド(サンドスタチン);ペントスタチン(2−デオキシコホルマイシン、ニペント);プリカマイシン(ミトラマイシン、ミタラシン);プロロカルバジン(マツラン);ストレプトゾシン;タモキシフェン(ノルバデックス);タキソール(パクリタキセル);テニポシド(ブモン、VM−26);チオテパ;トポテカン(ハイカムチン);トレチノイン(ベサノイド、オールトランスレチノイン酸);ビンブラスチン(バルバン);ビンクリスチン(オンコビン);および、ビノレルビン(ナベルビン)からなる群から選ばれる更なる化学療法剤の投与を含む。好適には、該処置は更に、例えばタキソール、パクリタキセル、またはドセタキセルなどのタキサンから選ばれる更なる化学療法剤の投与を含む。
【0140】
別に述べると、本発明は更に癌の処置方法に関し、ここで、該方法は本発明の化合物または本発明の医薬組成物を処置が必要な患者に投与することを含み、そして更に更なる化学療法剤の投与を含む。該更なる投与は、該更なる化学療法剤が本発明の化合物と接合し、医薬組成物中に存在し、または別個の製剤として投与されるようにすることもできる。
【0141】
(感染性疾患)
本発明の特に関心ある実施態様において、本発明のsiLNA化合物は、重症急性呼吸器症候群(SARS)(このものは、2002年11月に中国において最初に出現した)を標的とするために使用する。WHOによれば、8,000人を超える人々が世界中で感染し、その結果、900人以上が死亡した。これまでに未知のコロナウイルスが、SARS伝染病の原因物質として同定された(Drosten Cらによる, N. Engl. J. Med. 2003, 348, 1967-76;および、Fouchier R.A.らによる, Nature 2003, 423, 240)。SARS−CoVの同定は、多数の単離物のウイルスゲノムの速やかな配列決定による(Ruanらによる, Lancet 2003, 361, 1779-85;Rota P. A.らによる, Science 2003, 300, 1394-9;および、Marra M. A.らによる, Science 2003, 300, 399-404)。この配列情報は、核酸ベースのノックダウン技術によるSARS抗ウイルス剤(例えば、siRNA)の開発を直ぐに可能とした。SARS−CoV RNA依存性RNAポリメラーゼをコードするヌクレオチド配列(Pol)は、コロナウイルスファミリー全般にわたって高く保存される。該Pol遺伝子産物は、ポリタンパク質の一部としてゲノムRNAから翻訳され、そしてマイナス鎖RNAおよびその後にサブゲノムmRNAを合成する鋳型として、ゲノムRNAを使用する。従って、該Polタンパク質は、ウイルスのライフサイクルにおいて早期に発現し、そしてウイルス複製にとって重要である(図10を参照)。
【0142】
従って、更なる別の態様において、本発明は、重症急性呼吸器症候群(SARS)の処置のための医薬の製造における本発明の化合物の使用、並びに重症急性呼吸器症候群(SARS)の処置方法に関し、ここで、該方法は、本発明の化合物または本発明の医薬組成物を処置が必要な患者に投与することを含む。
【0143】
本発明の化合物は、広範囲な感染性疾患(例えば、ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、B型肝炎、インフルエンザ菌(hemophilus influenza)、はしか、おたふく風邪、および風疹)に広く利用可能である。
【0144】
従って、更に別の態様において、本発明は、感染性疾患の処置のための医薬の製造における本発明の化合物の使用、並びに感染性疾患の処置方法に関し、ここで、該方法は、本発明の化合物または本発明の医薬組成物を処置が必要な患者に投与することを含む。
【0145】
(炎症性疾患)
炎症性応答は、感染性物質の攻撃に対する生物の本質的な防御機序であって、そしてそのものはまた、多数の急性および慢性の疾患(例えば、自己免疫疾患を含む)の病因にも関係する。病原と闘うのに必要とされるのにもかかわらず、炎症性バースト(inflammatory burst)の効果は壊滅的となり得る。従って、抗炎症薬の使用により炎症の総体症状を制限するのが必要なことも多い。炎症は、組織損傷(このものは、多数の群の(a large array)酵素の活性化、血管透過性の増大、および血液の血管外遊出を含む)によって通常トリガーされる複雑なプロセスである。
【0146】
更に別の態様において、本発明は、炎症性疾患の処置のための医薬の製造における本発明の化合物の使用、並びに炎症性疾患の処置方法に関し、ここで、該方法は、本発明の化合物または本発明の医薬組成物を処置が必要な患者に投与することを含む。
【0147】
本発明の好ましい実施態様において、炎症性疾患は、リウマチ疾患および/または結合組織疾患であり、例えば関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)もしくはループス、強皮症、多発性筋炎、炎症性腸疾患、皮膚筋炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、血管炎、乾癬性関節炎、剥脱性乾癬性皮膚炎(exfoliative psoriatic dermatitis)、尋常性天疱瘡およびシェーグレン症候群(Sjorgren's syndrome)(特に、炎症性腸疾患およびクローン病)である。
【0148】
あるいは、炎症性疾患は、非リウマチ性炎症(例えば、滑液包炎、滑膜炎、被膜炎、腱炎、および/または外傷性および/または突然変異性(sportive)起源の他の炎症性病変など)であり得る。
【0149】
(他の用途)
本発明のsiRNA化合物は、診断薬、治療薬および予防薬のための研究試薬として使用することができる。研究では、細胞および実験動物における標的遺伝子の合成を特異的に阻害し、その結果、標的の機能解析または治療的挿入物の標的としてのその有用性の評価を容易にするために、siRNAを使用することができる。診断薬の場合は、ノーザンブロット法、インサイチューハイブリダイゼーションまたは同様の技術によって、細胞および組織における標的発現を検出しおよび定量化するために、siRNAオリゴヌクレオチドを使用することができる。治療薬の場合は、標的の発現を調整することによって処置することができる疾患または障害を持つと予想される動物またはヒトを、本発明に従ってsiRNA化合物を投与することによって処置する。さらに、標的の発現に関係する疾患または病状を有するかまたはそのような疾患または病状を患い易いと予想される動物(特に、マウスおよびラットならびにヒト)を、治療学的な有効量または予防学的な有効量の1個以上の本発明のsiRNA化合物または本発明の組成物を投与することによって、処置する方法をも提供する。
【0150】
本発明は更に、以下の実施例によって非限定的な様式で例示する。
(実施例)
【数1】
【0151】
(実施例1:モノマー合成)
LNAモノマーの製造は、引用文献:Koshkinらによる, J. Org. Chem., 2001, 66, 8504-8512、およびPedersenらによる, Synthesis, 2002, 6, 802-809、並びにそれらの中に記載されている刊行物中で非常に詳しく記載されている。ZおよびZ*保護基がオキシ−N,N−ジイソプロピル−O−(2−シアノエチル)ホスホロアミダイトおよびジメトキシトリチルオキシである場合には、該化合物は、WO 03/095467;Pedersenらによる, Synthesis 6, 802-808, 2002;Sorensenらによる, J. Am. Chem. Soc., 124, 2164-2176, 2002;Singhらによる, J. Org. Chem. 63, 6078-6079, 1998;および、Rosenbohmらによる, Org. Biomol. Chem. 1, 655-663, 2003に記載されている通り製造した。全てのシトシン含有モノマーは、全カップリングについて5−メチル−シトシンモノマーで置き換えた。使用した全てのLNAモノマーは、ベータ−D−オキシLNA(化合物3A)であった。
【0152】
(実施例2:オリゴヌクレオチド合成)
全ての合成は、MOSS Expedite instrument platform上で1μmolスケールで行なった。該合成方法は、装置マニュアル中に実質的に記載されている通り行なった。
【0153】
(LNAスクシニルヘミエステルの製造)
5'−O−DMT−3''−ヒドロキシ−LNAモノマー(500mg)、無水コハク酸(1.2当量)およびDMAP(1.2当量)をDCM(35mL)に溶解した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。NaH2PO4,0.1M,pH5.5(2回)および食塩水(1回)で抽出した後、該有機層を更に無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、そして蒸発した。該ヘミエステル誘導体を95%収率で得て、そしてこれをさらに精製することなく使用した。
【0154】
(LNA−CPG(微細孔性ガラス)の製造)
上で製造したヘミエステル誘導体(90μmol)を最少量のDMFに溶解した。DIEAおよびpyBOP(90μmol)を加え、そして一緒に1分間混合した。このプレ活性化混合物を手動合成装置中でLCAA−Cpg(500Å、80〜120メッシュサイズ、300mg)と混合し、そして撹拌した。室温で1.5時間撹拌後に、支持体をろ過して除き、DMF、DCMおよびMeOHで洗浄した。乾燥後に、ロード量は57μmol/gと測定した(Tom Brown, Dorcas J. S. Brownによる, Modern machine-aided methods of oligodeoxyribonucleotide synthesis. In;F. Eckstein編, Oligonucleotides and Analogues A Practical Approach. Oxford: IRL Press, 1991: 13-14を参照)。
【0155】
(ホスホロチオエートサイクル)
CPGと結合した5'−O−DMT(A(bz)、C(bz)、G(ibu)、またはT)を、ジクロロメタン中の3%(容量比)のトリクロロ酢酸溶液を用いて脱保護した。該CPGは、アセトニトリルを用いて洗浄した。ホスホロアミダイト(A(bz)、G(ibu)、5−メチル−C(bz))またはT−β−シアノエチルホスホロアミダイト)のカップリング反応は、5’−O−DMT−保護アミダイトのアセトニトリル溶液(0.08M)を使用することによって実施し、そして活性化はアセトニトリル中のDCI(4,5−ジシアノイミダゾール)(0.25M)を用いることによって行なった。該カップリング反応は、2分間行なった。チオール化は、ビューケイジ試薬(0.05Mのアセトニトリル溶液)を用いることによって行ない、そしてこのものを3分間反応させた。該支持体をアセトニトリルを用いて洗浄し、そしてその後のキャップ化(capping)は、標準溶液(CAP A)および(CAP B)を用いることによって行なって、未反応の5’−ヒドロキシル基をキャップする。次いで、該キャップ化工程は、アセトニトリル洗浄によって停止した。
【0156】
(LNA単位サイクル)
CPGと結合した5’−O−DMT(A(bz)、G(ibu)、またはT)を、上記と同じ方法を用いることによって脱保護した。カップリング反応は、5’−O−DMT−A(bz)、C(bz)、G(ibu)、またはT−β−シアノエチルホスホロアミダイト(0.1Mのアセトニトリル溶液)を用いることによって実施し、そして活性化はDCI(0.25Mのアセトニトリル溶液)によって行なった。該カップリング反応を、7分間行なった。キャップ化は、標準溶液(CAP A)および(CAP B)を30秒間用いることによって行なった。該ホスファイトトリエステルを、I2およびピリジンのTHF標準溶液を30秒間用いることによって、より安定なホスフェートトリエステルに酸化した。該支持体をアセトニトリルを用いて洗浄し、そしてキャップ化工程を繰り返した。該サイクルは、アセトニトリル洗浄によって停止した。
【0157】
(切断および脱保護)
該オリゴヌクレオチドを該支持体から切断し、そして該支持体を35%NH4OHを用いて室温で1時間処理することによって、β−シアノエチル保護基を除去した。該支持体をろ過して除き、そして温度を65℃まで4時間かけて昇温することによって、該塩基保護基を除去した。次いで、アンモニアを蒸発によって除去した。
【0158】
(精製)
該オリゴを、逆相−HPLC(RP−HPLC)またはアニオン交換クロマトグラフィー(AIE)のいずれかによって精製した。
【表1】
【表2】
【0159】
(Tm測定)
融解曲線は、PTP−6ペルチェ(peltier)システムと連結したパーキンエルマーUV/VIS分光光度計ラムダ40を用いて記録した。オリゴヌクレオチドを、濃度が1.5μMで経路長1cmのセルを用いて、塩緩衝液(10mM リン酸緩衝液、100mM NaCl、0.1mM EDTA、pH 7.0)中に溶解した。試料を95℃で3分間変性し、そしてこのものを測定前に20℃までゆっくりと冷却した。融解曲線は、加熱速度を1℃/分で、スリットが2nmおよび応答が0.2秒で用いて、260nmで記録した。Tm値は、該融解曲線の第1微分(derivative)の最大値から得た。
【0160】
(実施例3:LNA/RNAオリゴヌクレオチドの製造)
(製造)
LNA/RNAオリゴヌクレオチドは、自動核酸合成装置(MOSS Expedite 8909)を用いておよび標準試薬を用いて、1.0μmolスケールでDMT−オフ(off)合成した。1H−テトラゾールまたは5−エチルチオ−1H−テトラゾールを、アクチベーターとして使用した。該LNA ABz、GiBuおよびTホスホラミダイト濃度は、無水アセトニトリル中で0.1Mとした。該MeCBzを、15%のTHF/アセトニトリル中に溶解した。全モノマーのカップリングについてのカップリング時間は、600秒とした。該RNAホスホラミダイト(Glen Research, Sterling, Virginia)は、N−アセチルおよび2’−O−トリイソプロピルシリルオキシメチル(TOM)で保護した。該モノマー濃度は0.1M(無水アセトニトリル)とし、そしてカップリング時間は900秒とした。該酸化時間は、50秒にセットした。該固体の支持体は、DMT−LNA−CPG(1000Å、30〜40μmol/g)であった。
【0161】
(ワークアップおよび精製)
樹脂からの切断および核酸塩基/ホスフェート脱保護は、メチルアミン溶液(33%メチルアミン/エタノール:40%メチルアミン/水の1:1)(1.5mL)を用いて35℃で6時間または終夜放置することで処理することによって減菌管中で行なった。該管を遠心分離し、そして該メチルアミン溶液を第2の減菌管に移した。該メチルアミン溶液を、真空遠心分離機中で蒸発させた。2’−O−保護基を除去するために、該残渣を1.0M TBAF/THF(1.0mL)中に溶解し、そしてこのものを55℃にまで15分間加熱し、そして35℃で終夜放置した。該THFを真空遠心分離機中で蒸発させることにより、明黄色ガムが残り、このものをRNaseなしの1.0Mトリス緩衝液(pH7)(600μL(試料の総容量:1.0mL))を用いて中和した。該混合物を振り混ぜることによって均一とし、そして65℃まで3分間加熱した。該オリゴヌクレオチドの脱塩は、NAP−10カラム(Amersham Biosciences社製、以下を参照)を用いて行なった。工程4(以下を参照)からのろ液を集め、そしてこのものをMALDI−TOFおよびゲル電気泳動(16%シークエンシングのアクリルアミドゲル(1mm)、0.9%TBE[トリス:89mM、ホウ酸:89mM、EDTA:2mM、pH8.3]緩衝液)によって分析し、制限パラメータとして20Wで2時間操作した。該ゲルを、サイバーゴールド(CyberGold)(Molecular Probes社製、0.9×TBE中に1:10000)中で30分間染色し、続いてBio−Rad FX画像処理装置中でスキャンした。該オリゴヌクレオチドの濃度は、UV分光光度計によって260nmで測定した。
【表3】
【0162】
当業者によって認められるであろうが、標準的な方法と比較してLNA/RNAオリゴの合成における最も重要な問題は、以下の通りである:i)良好なカップリング効率を達成するのに、長時間のカップリング時間が必要であること;および、ii)欠失断片の生成を最少とするために、酸化時間を延長しなければいけないこと。その上、2’−O−TOM保護ホスホラミダイトのカップリングは、2’−O−TBDMSよりも優れていた。このことを考慮すると、粗オリゴヌクレオチドは、更なる精製を回避することができるような質とした。MS分析は、TOM基を除去した後に行なうべきである。
【0163】
(実施例4:siRNAと比較したsiLNAの安定性の改善)
siRNAと比較したsiLNAの改善された安定性を、図2に示す。両方のわずかにおよびより高度に改変したsiRNAは、安定性の改善を示した。安定性は、生理学的な食塩水溶液中に希釈した10%胎仔ウシ血清中で評価した。該siRNAおよびsiLNAを、該血清中で37℃でインキュベートした。標本を異なる時間で取り出し、そしてこのものを15%ポリアクリルアミドTBEゲルを用いて分析し、そしてSYBR−ゴールド(gold)(Molecular probes社製)を用いて染色した。バンドを定量化し、そしてこのものをグラフにプロットした。未改変siRNA化合物については、中間体のバンドの蓄積を見ることができ(dsRNAおよびssRNAの間に)、二重鎖19マー、すなわち分解された3’オーバーハングを有するsiRNAであることが同定された。このことは、対応するsiLNAの場合には観察されなかった。
【0164】
(実施例5:哺乳動物レポーターシステムにおけるsiLNAの設計の試験)
異なるsiRNAデザインおよび組み合わせの効力は、哺乳動物細胞培養物中のルシフェラーゼレポーター(reported)システム中で最初に評価した。使用するオリゴヌクレオチドを、表1に示す。センスおよび対応アンチセンスのオリゴヌクレオチドをハイブリダイズして、二重鎖(すなわち、siRNAまたはsiLNA)を得た。
【0165】
使用する細胞は、ヒト胎児由来腎臓(HEK)293セルラインであった。HEK293細胞を、DMEM(Invitorogen社製, Paisely, UK)(このものは、10%胎仔ウシ血清、ペニシリン、ストレプトマイシンおよびグルタミンを用いて補足する)中で保った。該プラスミドは、SV40プロモーターおよびエンハンサーのコントロール下でホタルルシフェラーゼをコードするpGL3−コントロールとし、そしてHSV−TKプロモーターのコントロール下でウミシイタケルシフェラーゼをコードするpRL−TKとした。
【0166】
(トランスフェクション)
トランスフェクションの1日前に、細胞を24ウェルプレート中、500μLの培地中に播種し、接着させ、そしてトランスフェクション時点で集密を70〜90%にまで到達させた。細胞を抗体のない培地中に播種し、そしてトランスフェクションミックスを細胞に加える直前に、Opti−MEM I(500μL)に変えた。標準的な同時トランスフェクション混合物は、pGL3−コントロール(510ng)、pRL−TK(51ng)およびsiRNA(340ng)をOpti−MEM I(インビトロゲン社(Invitrogen)製)(150μL)に、およびリポフェクタミン(LipofectAMINE)2000(インビトロゲン社製)(3μL)を別のOpti−MEM I(150μL)に別々に加えることによって、3組のウェルとして調製した。該2個の溶液を混合し、そしてこのものを室温で20〜30分間インキュベートし、その後にこのものを該細胞に加えた。該トランスフェクションミックス(100μL)を、該3個のウェルの各々に加えた。該媒地+トランスフェクションミックスの最終的な容量は、600μLであった。該siLNAまたはsiRNAの濃度は、約13nMに相当した。細胞を該トランスフェクションミックスと一緒に4時間インキュベートし、次いで該培地を十分に補足したDMEMに変えた。
【0167】
(デュアル−ルシフェラーゼレポーターアッセイ(プロメガ(Promega)社製))
細胞を受動溶解緩衝液(passive lysis buffer)中で収集し、そしてこのものを、基質ディスペンサー(substrate dispenser)(BMG Labtechnologies社製, Offenburg, 独国)を有するNovoSTAR 96ウェルフォーマット・ルミノメーターを用いて、プロトコール(プロメガ社製)に従ってアッセイした。試料(10μL)を96ウェルプレートの各ウェル中に適用し、そしてルシフェラーゼアッセイ試薬II(ホタルルシフェラーゼについての基質)(50μL)をルミノメーターによってウェルに加え、そして測定した。次いで、ストップ・アンド・フロー(Stop and Glow)(ホタルルシフェラーゼの場合のストップ溶液およびウミシイタケルシフェラーゼの場合の基質)(50μL)を加え、そして測定した。10秒間測定したルシフェラーゼ活性の平均値を用いて、ホタルルシフェラーゼとウミシイタケルシフェラーゼとの間の比率またはその逆を計算した。
【0168】
(実施例6:インビトロモデル:内因的な標的に及ぼす効力の評価)
使用する細胞は、ラットの副腎褐色細胞腫、PC12セルラインである。PC12を、DMEM(このものは、10%ウマ血清、5%胎仔ウシ血清、ペニシリン、ストレプトマイシン(streptomycine)およびグルタミンを用いて補足する)中に保った。内因性遺伝子(PC12細胞中のNPYなど)についての該siLNAまたはsiRNAトランスフェクションプロトコールは上記の同じ方法に従うが、ルシフェラーゼプラスミドなしで且つNPYを標的とするsiRNAを加えるのみとする(その理由は、NPY遺伝子はPC12細胞中で内因的に発現するからである)。最終的なsiLNAまたはsiRNAの濃度は、1〜100nMの範囲内である。細胞を通常、トランスフェクトの24〜48時間後に収集し、そしてmRNAを抽出した。mRNAレベルをリアルタイムPCRを用いて測定した。PC12中での該NPY標的の下方調節を、図3に示す。
【0169】
(実施例7:インビトロモデル:標的の阻害の分析)
(リアルタイムPCRによる発現)
標的のsiLNAまたはsiRNAの遺伝子サイレンシングは、当該分野において知られる様々な方法でアッセイすることができる。例えば、標的mRNAレベルは、例えばノーザンブロット分析、競争的ポリメラーゼ連鎖反応(competitive polymetargete chain reaction)(PCR)またはリアルタイムPCRによって定量した。リアルタイム定量PCRが、現在好ましい。RNA分析は、全細胞RNAまたはmRNAについて行なうことができる。RNA単離およびRNA分析の方法(例えば、ノーザンブロット分析)は当該分野においてルーチンであり、そしてこのものは例えば、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons中で教示されている。
【0170】
細胞を収集し、そしてmRNAを抽出した。標準的なリアルタイムPCRプロトコールを用いて、遺伝子特異的なプライマー、および内部コントロールとしてのハウスキーピング遺伝子に対するプライマー対(例えば、サイクロフィリン)と一緒に、mRNAから増幅した。下方調節を、コントロールmRNAの量に対する標的mRNAの量の比率として表現した。リアルタイム定量(PCR)を、商業的に入手可能なiQマルチカラーリアルタイム(Multi-Color Real Time)PCR検出システム(BioRAD社製)を用いて容易に達成することができる。
【0171】
(実施例8:インビトロ分析:siLNAオリゴヌクレオチドによるレポーター標的発現のSiRNA阻害)
LNAモノマーを用いて、siRNAと比較した効果を維持しながら(未処理の試料と比較してホタルルシフェラーゼ発現を>90%阻害)、siRNA中のセンス鎖の両末端を改変することができる。該アンチセンス鎖はまた、効果の低下なしで3’末端で改変することができ、一方でアンチセンス鎖の5’末端での改変は該効果を25〜50%の阻害まで低下した。該センス鎖中の全てのウラシル含有残基をLNAチミンに交換することによって、該効果を80%阻害まで低下させた。該アンチセンス鎖の同様な改変は、該効果を消滅させた(図4)。siLNAアンチセンス鎖の5’末端のリン酸化は、該低下を改善しなかった(20〜30%の低下、データは示さない)。ウミシイタケルシフェラーゼを標的とする同様な実験は、センス鎖の両末端をLNAモノマーで改変することができ、一方でアンチセンス鎖は3’末端LNAモノマー改変を許容するが(全ての場合で95%阻害)、しかし3’末端および5’末端でのLNA改変の両方について阻害の低下を示した。75%までの阻害が観察された(図5)。LNA/RNAの安定性は、100%ラット血清中での全てのRNAウラシルからLNAチミジンのオリゴ(2189)について測定し、ここで、該安定性は裸DNAオリゴと同様であった。非改変RNA一本鎖(GL−3)および非改変二重鎖(GL3+/−)は、0時で既に分解した(図6)。
【0172】
(実施例9:SiLNAによる内因的な(Endogenious)標的のsiRNAの阻害)
(細胞毒性の阻害)
細胞を、siRNAもしくはsiLNAのそれぞれ(85nM)(SARS1〜4、図7を参照)、ホタルルシフェラーゼ遺伝子(Luc)もしくはラット神経ペプチドY(NPY)遺伝子を標的とするコントロールsiRNAを用いてトランスフェクトした。モックのトランスフェクト細胞をリポフェクタミン2000だけを用いて処理し、そしてこのものを正コントロールとして使用した。非感染性細胞を、負コントロールとして含む。トランスフェクト細胞を、SARS−CoVの60,000、6,000または600のTCID50のいずれかを用いて感染させた。感染の50時間後に、該CPEおよび細胞毒性を測定した。モックのトランスフェクト細胞と比較して最も有効なsiRNA、SARS 1を用いて処理した細胞間でのCPEには、著しい差違が存在した(図8)。該細胞毒性を、モックのトランスフェクトコントロール細胞と比較した、処理細胞からのLDH放出パーセントとして測定した。細胞毒性の阻害パーセントは、siRNA処理試料における細胞毒性パーセントを100として算出した。4個のPol特異的なsiRNAおよびsiLNAは、細胞毒性における様々な効果を有した(図9)。最も有効なsiRNAおよびsiLNAはSARS 1部位を標的とするものであり、このものは細胞毒性を600 TCID50で65%にまで低下した。該SARS 3部位は、全て3つのウイルス用量でsiRNAを用いた場合に中位に有効であった。しかしながら、SARS 3はまた、全ての3つのウイルス用量でsiLNAを用いることによって、SARS 1と同じく有効な部位であった。該SARS 2部位およびSAR 4部位は、いずれかのウイルス用量でsiRNAまたはsiLNAによるいずれかの効果をも示さなかった。該データは、4組の内の3個の独立した実験によって決定される平均値および標準偏差を示す。
【0173】
(ウイルスおよび細胞)
ベロ細胞を、全ての細胞実験について使用した。細胞を、5%FCSおよび1%PESTを含有するフェノールレッドなしのイーグルMEM中、37℃且つ5%CO2で培養した。フランクフルト(Frankfurt)1単離物(ジーンバンク寄託番号AY291315、このものはDr. H. W. Doerrによって好意で提供された)を、ベロ細胞中で高力価にまで増殖した。2個のT225細胞培養フラスコからの上清液を貯蔵し、そしてこのものを1mLのバイアル中、−80℃で冷蔵し、そしてこのものはウイルスストックを構成した。該ストックウイルスは、BNIoutS2およびBNIoutAs11プライマー、並びにCor−p−F2およびCor−p−R1プライマー2を用いる、診断用逆転写PCRによってSARS−CoVと同定した。該ウイルスストックを10倍希釈物でまたは一定の希釈物で使用して、96ウェル細胞培養プレート中でベロ細胞を感染した。該ウイルスストックを600,000倍に希釈して(これは、Reed-Muench方法によって決定する)、96ウェル細胞培養プレート中でTCID50に達しさせた。
【0174】
該siRNAオリゴヌクレオチドを、上記の通り製造した。該配列を、図7に示す。
【0175】
(トランスフェクション)
リポフェクタミン2000(インビトロゲン社製)を用いて、該細胞をsiRNAおよびsiLNAでトランスフェクトした。トランスフェクト効果は高く、そしてほとんどの細胞はトランスフェクトされた。該トランスフェクション媒地を4時間後に、フェノールレッドなしのイーグルMEMに変えて、そして細胞を終夜増殖させて、集密単層を得た。
【0176】
(細胞変性および細胞毒性)
感染細胞における細胞変性効果(CPE)を、細胞の球体化(cell rounding)および細胞培養プレートからの脱離として検出した。該CPEを、光学顕微鏡中でスコアした。該細胞毒性を、細胞毒性検出キット(LDH)(ロシュ社(Roche)製、独国)を用いて測定した。リポフェクタミン2000だけを用いて処理したモックのトランスフェクト細胞を、各ウイルス希釈でのウイルス感染によって引き起こされる細胞毒性の100%としてセットした。非感染細胞を用いて、バックグラウンドの細胞毒性を決定した。細胞毒性パーセントは、[((Abs490試料−バックグラウンド)/(Abs490モックのトランスフェクトコントロール−バックグラウンド))×100]として測定した。細胞毒性の阻害は、[(1−(Abs490試料−バックグラウンド)/(Abs490モックのトランスフェクトコントロール−バックグラウンド))×100]として算出した。
【0177】
(実施例10:オフサイト(Off-Site)効果の低下)
ホタルルスフェラーゼの3’UTRにおけるSARSのセンス/アンチセンス標的の阻害は、プラスミド:pS3Xs(SARSセンス標的の場合のpGL3)、pS3Xas(SARSアンチセンス標的の場合のpGL3)、およびpGL3(SARS標的なしの場合)を用いて、1.6nMのsiRNA/siLNAで行なった。
【0178】
該SARS 3標的配列を、pGL3中のルシフェラーゼコード領域およびポリAの間のホタルルシフェラーゼ3’UTR中のセンス(SARS mRNAに相当する配列)およびアンチセンス方向(SARS mRNAに相補的な配列)中でクローニングした。pGL3を、XbaI(luc.停止コドンとおよびポリAの間)、およびXba Iオーバーハングを有するSARS S3標的配列DNAオリゴ二重鎖を用いて切断した。
(Xba Iオーバーハングを有する、SARS 3標的(SARSゲノム位置14593)DNAオリゴ二重鎖)
【数2】
【0179】
オリゴ二重鎖のライゲーションは、センスまたはアンチセンス標的のいずれかを有する2個のプラスミド生成物を与える(pS3Xs:センス方向における標的、pS3Xas:アンチセンス方向における標的)。該2個の異なるプラスミドを、実施例5に記載するプロトコールに従って、コントロールプラスミドpRL−TKおよびsiRNA標的SARS3またはsiLNA標的SARS3と一緒に別個のHEK293細胞培養物中でトランスフェクトした(最終濃度は1.6nMである)。細胞を24時間インキュベートし、細胞を収集し、そしてルシフェラーゼ活性を実施例5に記載する通り測定した。
【0180】
アンチセンス鎖の十分な効果を維持しながら、siRNAは望まないセンス鎖を失活することができる。siRNAは、両方の鎖の効果を示す。SARS 3標的配列を、siLNAおよびsiRNAを2個の異なるプラスミドに及ぼす阻害効果についてアッセイした後に、センスおよびアンチセンスの両方の方向でクローニングした。
【0181】
siRNAは、センス標的(SARS mRNA配列由来の一部、ルシフェラーゼ活性の〜90%を低下)、並びにアンチセンス標的(SARS mRNAに相補的な配列)の両方の下方調節を示す(〜50%低下)。従って、siRNA中のセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方が、下方調節効果を有する。しかしながら、siLNA SARS 3はセンス標的を下方調節する等しく良好な効果を示し(〜90%低下)、一方でアンチセンス標的には全く活性を示さない(0%低下)。従って、siRNA中のアンチセンス鎖は十分な効果を維持する一方で、望まないセンス鎖の効果は消滅する。このことは、siRNAが、RNA干渉機構で失活させることによってセンス鎖によるオフ標的を最小とすることができることを意味する(図17)。
【0182】
(実施例11:siLNAのインビボ効力)
この研究の目的は、LNAモノマーの導入によって改変される2個の抗eGFP siRNAのインビボ効力を試験することである。使用する化合物は、3029/3031および3030/3031であった。
【0183】
要するに、雌性ヌードマウス(NMRI nu/nu, Charles River Netherlands社製, Maastricht, オランダ国)を、15PC3およびミアパカ(Miapaca)異種移植片を用いて注入した。該15PC3細胞およびミアパカ細胞は、Fluiterらによる(2002) Cancer Research 62, 2024-2028によって記載されている通り、eGFPを発現する。
【0184】
腫瘍増殖の2週間後に、マウスを浸透圧ミニポンプ(Alzet 1007D, ロット番号10052-02(7日ポンプ)(Durect Corporation, Cupertino, CA))を皮下にフィットさせた。これらのポンプを3029/3031または3030/3031のいずれかを用いて充填して、0.5mg/kg/日の用量を得た。該マウスを、5日間処理した。5日目に、該マウスを殺し、そして腫瘍蛍光を画像処理し、そしてLAS3000発光(luminesent)画像処理装置(富士フィルム社製)を用いて測定した。該蛍光を、AIDAソフトウェア(Raytest GmbH, Straubenhardt, 独国)を用いて定量化した。画像処理後に、腫瘍を採り出し、そしてこのものをタンパク質分析(ウェスタンブロット法)のために保存した。15PC3について得られる結果を、図18に示す。観察することができる通り、siRNA化合物は、腫瘍増殖において有意な効果を有した。同様な結果が、ミアパカ異種移植片モデルを用いた場合に得られた。
【0185】
siRNAを、MALDI−tof分析を用いてインプラント前および実験後(ポンプ内に残る(leftover))に調べた。該siRNAを、ヌクレーブジェノタイピングキット(Nucleave genotyping kit)(Waters, Milford, MA, 米国)からの精製プレートを用いるイオン交換によって精製し、そしてBiflex III MALDI(ブルカーインスツルメント社(Brucker instruments)製、Leipzig、独国)によるマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)を用いて分析した。データを、図20に示す。
【表4】
【表5】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】図1は、2個のフラノースのコンホメーション(S−タイプおよびN−タイプ)を示す図面である。
【図2】図2は、生物学的な液体中でのsiRNAを超えるsiLNAの改善された安定性を示す図面である。GL3+/−は速く分解するが、一方でわずかに改変されたsiLNA(2185/2186番)およびより高度に改変されたsiLNA(2703−01/2186番)は、著しく改善された安定性を示す。該安定性の研究は、生理学的な塩溶液中での10%胎仔ウシ血清中、37℃で行なった。
【図3】図3は、siLNAによるPC12細胞中での内因性NPY遺伝子の下方調節を示す図面である。被験化合物は、以下の通りである(左から右):第2目のバーは、非関連(unrelated)siLNA。3番目のバーは、NPY+/1。4番目のバーは、2796/NPY−。5番目のバーは、2795/NPY+。6番目のバーは、NPY+/2797。7番目のバーは、2796/2797。
【図4】図4は、ホタルルシフェラーゼの標的化および該発現の調整における、siRNAの効果を示す図面である。該左のラインはsiLNAのセンス鎖を、そして右のラインはアンチセンス鎖を示す。個々のライン上のマークは、LNAモノマーの位置を示す。右側の最後の2個のラインは、コントロールsiRNAを示す。1番目のバー(左側)は、十分な非調整性ルシフェラーゼレポーター発現を示し、全ての試料をこのものに対して正規化する。被験化合物は、以下の通りである(左から右);2番目のバーは、GL3+/−であり;3番目のバーは、GL3+/2186であり;4番目のバーは、GL3+/2187であり;5番目のバーは、2184/GL3−であり;6番目のバーは、2184/2186であり;7番目のバーは、2184/2187であり;8番目のバーは、2184/GL3−であり;9番目のバーは、2185/2186であり;10番目のバーは、2185/2187であり;11番目のバーは、2703−1/GL3−であり;12番目のバーは、2703−1/2186であり;13番目のバーは、GL3+/2189であり;14番目のバーは、非関連siRNAである。
【図5】図5は、ウミシイタケルシフェラーゼの標的化および該発現の調整における、siLNAの効果を示す図面である。左のラインはsiLNAのセンス鎖を示し、そして右のラインはアンチセンス鎖を示す。個々のライン上のマークは、LNAモノマーの位置を示す。1番目は、十分な非調整ルシフェラーゼレポーター発現を示し、全ての試料をこのものに対して正規化する。被験化合物は、以下の通りである(左から右);2番目のバーは、RL+/−であり;3番目のバーは、RL+/2699−1であり;4番目のバーは、2700−1/2699−1であり;5番目のバーは、2702−1/2699−1であり;6番目のバーは、RL+/2701−1であり;7番目のバーは、2700−1/2701−1であり;8番目のバーは、2702−1/2701−1である。
【図6】図6は、LNAモノマーおよびRNAモノマー、二重鎖(ds)RNA、並びに一本鎖(ss)RNAを含有する一本鎖オリゴのラット血清中での安定性を示す図面である。dsRNAおよびssRNAは直ぐに分解するが、しかし、LNAモノマーおよびRNAモノマーを含有する無傷の一本鎖オリゴは20〜40分後に検出することができる。被験オリゴは、2189、対応するssRNA(GL3−)およびdsRNA(GL3+/1)であった。
【図7】図7は、SARSを標的とするsiLNAおよびsiRNA化合物を示す図面である。大文字はベータ−D−オキシLNAモノマーであり、そして小文字はRNAモノマーである。
【図8】図8は、SARSで感染した場合でのベロ細胞中での細胞変性影響(CPE)、およびsiRNA処置後のCPEの低下を示す図面である。siRNA SARS 1を示す。モックは、トランスフェクション剤であるリポフェクタミン2000のみを用いて処理する。非感染細胞をも示す。
【図9】図9は、siRNAおよびsiLNAによる、SARS誘発性細胞毒性の阻害を示す図面である。被験化合物は、以下の通りである。SARS 1:2842−1/2843−1;SARS 2:2872−1/2845−1;SARS 3:2846−1/2847−1;SARS 4:2848−1/2849−1、並びに対応する非改変siRNAである。siLNAおよびsiRNAを用いて処置する際の差違は、最も有効な部位であるSARS 1について検出することができる。中位に有効な部位であるSARS 3はsiLNAによって改善されて、SARS 1部位と同じくらいに有効となった。全てのSARS 2およびSARS 4においてsiRNA効力を示さなかった2個の部位は、いずれのsiRNA処置によってもいずれの効果を示さなかった。該阻害効果は、高ウイルス用量で低下する(60,000 TCID50)。コントロールは、ルシフェラーゼ(Luc)、並びに神経ペプチドY(NPY)siRNAおよびsiLNAとした。有害な効果は、siLNAコントロールによっては観察されなかった。細胞毒性は、感染の50時間後での乳酸脱水素酵素(LDH)の放出として測定した。異なるグラフは、異なるウイルス用量(組織培養感染用量50、TCID50)を示す。
【図10】図10は、ヘリカーゼが最も弱い結合末端でsiRNA二重鎖をほどく、RISCロードの推定機序を示す図面である。
【図11】図11は、アンチセンス鎖の5’末端の反対側に導入される一本鎖塩基対ミスマッチの効果を示す図面である。ラインはRNAの取り込みを、円形はLNAモノマーの取り込みを、そして十字形はミスマッチの取り込みを示す。被験化合物は、以下の通りである(左から右)。ウミシイタケルシフェラーゼ:2番目のバーは、RL+/−であり;3番目のバーは、RL+/2701−1であり;4番目のバーは、RL+(pos.19A→C)/2701−1であり;5番目のバーは、RL+(pos.19A→C)/−である。ホタルルシフェラーゼ:2番目のバーは、GL3+/−であり;3番目のバーは、GL3+/2187であり;4番目のバーは、GL3+(pos.19A→C)/2187であり;5番目のバーは、GL3+(pos.19A→C)/−である。
【図12】図12は、アンチセンス鎖におけるLNAモノマーの位置の効果を示す図面である。ラインはRNAを、そして円形はLNAモノマーを示す。被験化合物は、以下の通りである(左から右):2番目のバーは、GL3+/−であり;3番目のバーは、GL3+/2187であり;4番目のバーは、GL3+/2789であり;5番目のバーは、GL3+/2790であり;6番目のバーは、GL3+/2792であり;7番目のバーは、GL3+/2793であり;8番目のバーは、GL3+/2794であり;9番目のバーは、GL3+/2864あり;10番目のバーは、GL3+/2865であり;11番目のバーは、GL3+/2866であり;12番目のバーは、GL3+/2867である。
【図13】図13は、中程度に有効な標的部位のsiLNAによる改善を示す図面である。モックは、非オリゴを示す。Ren1はsiRNAに対する最適な標的部位であり、Ren2およびRen3は力価が劣る部位である。ラインはRNAを、そして円形はLNAモノマーを示す。被験化合物は、以下の通りである:Ren1:RL+/−;Ren2:2863/対応する非改変アンチセンス鎖;Ren3:2826/対応する非改変アンチセンス鎖、並びに対応する非改変siRNA。
【図14】図14は、siLNAおよびsiRNAの濃度依存性遺伝子サイレンシング効果を示す図面である。
【図15】図15は、DNAモノマーおよびLNAモノマーの取り込みによる、改変siRNAのデザインの改善を示す図面である。
【図16】図16は、アンチセンス鎖における切断部位10でのバルキーな核酸塩基の代わりにLNAモノマーを(Uの代わりにT)用いることによる、siLNA効力の低下を示す図面である。被験化合物は、以下の通りである:siRNA:GL3+/−;siLNA10T:GL3+/2865;siLNA10U:GL3+/2865−U。
【図17】図17は、ホタルルシフェラーゼの3’−UTRにおけるSARSセンス/アンチセンス標的の阻害を示す図面である。
【図18】図18は、15PC3−EGFP異種移植片NMRIマウスに及ぼす、2個の抗−EGFP siLNA(3029/3031および3030/3031)のインビボ抗腫瘍効果を示す図面である。
【図19】図19は、Alzet 1007Dミニポンプを用いる、siLNAおよび生理食塩水で処置した15PC3−EGFP異種移植片NMRIマウスの腫瘍の大きさを示す図面である。該腫瘍を、0日目に実行(implement)した。該処置を7日目に開始し、そして12日目に終止した。観察することができる通り、該siLNA処置マウスは、コントロールマウスのものに相当する腫瘍の大きさを有した。
【図20】図20は、siLNA二重鎖がAlzet 1007Dミニポンプ中で7日後に無傷であることを示す図面である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、ロックト核酸(LNA)モノマーを含有する新規な二重鎖短鎖干渉(short interfering)(siRNA)アナログに関する。該化合物は、RNA干渉(interference)(RNAi)として知られるプロセスによって、多数の生物中で配列特異的な転写後遺伝子サイレンシングを誘発する。本明細書中に開示する化合物は、非改変siRNAと比較して改善された性質を有し、従って、例えば様々な癌形態の処置における治療薬として有用であることが分かった。
【0002】
(背景技術)
線虫(C. Elegans)中でのRNA干渉(RNAi)の発見は、Fireら(Nature, 1998, 391, 806-811)によってなされた。二重鎖RNA(dsRNA)の長鎖ストレッチは、寄生虫における世代間で続き得る遺伝子発現において強力なノックダウン効果を有することが知られる。RNA干渉(RNAi)は直ぐに、線虫中での機能的なゲノムツールとなった(初期RNA干渉は、Fire(TIG, 1999, 15, 358-363)、並びにBosherおよびLabouesse(Nature Cell Biology, 2000, 2, E31-E36)によって概説されている)。RNA干渉が脊椎動物において作用することが実証された最初の研究は、ゼブラフィッシュ胎仔およびマウス卵母細胞中で行なわれた(Wargeliusらによる, Biochem. Biophys. Res. Com. 1999, 263, 156-161, WiannyおよびZernicka-Goetzによる, Nature Cell Biology, 2000, 2, 70-75)。dsRNAは哺乳動物細胞において非特異的な効果を誘発するので、これらの機序はマウス胎仔系において十分に発生しないと議論されてきた。(Alexopoulouらによる, Nature, 2001, 413, 732-738, Reviews:Starkらによる, Annu. Rev. Biochem., 1998, 67, 227-264;およびSamuel, Clin.による, Micro. Rev., 2001, 14, 778-809)。
【0003】
線虫およびショウジョウバエに関する限り、長いRNAi鎖が短い二本鎖(21〜23ヌクレオチド)に分解されて、そしてこれらの分解形態は該干渉を媒介する、ことが分かっている(Zamoreらによる, Cell, 2000, 101, 25-33;および、Elbashirらによる, Gen. Dev., 2001, 15, 188-200)。Elbashirら(Gen. Dev., 2001, 15, 188-200)は、センス標的またはアンチセンス標的が等しく切断され、そしてsiRNA中の両方の鎖がそれぞれ標的アンチセンスまたはセンスRNAへの切断をガイドすることができることを示した。該siRNAが様々な哺乳動物セルラインにおける強力なノックダウンを媒介し、そしておそらく哺乳動物細胞中での長鎖dsRNAの有害な非特異的な影響を回避することができるであろうことが、Elbashirら(Nature, 2001, 411, 494-498)によって明白に示されている。この発見は、最新生物学において折り紙つきであり、そしてsiRNAの治療薬としての使用は直ぐに魅力的な研究分野となった(McManusおよびSharpによって総説, Nature Reviews Genetics, 2002, 3, 737-747;および、Thompson, DDT, 2002, 7, 912-917)。
【0004】
DsRNAsは、生物学的な媒質中でかなり安定である。しかしながら、該二重鎖のモーメントは個々の鎖に解離され、これらはRNAによって直ぐに分解される。siRNAに更なる安定性をもたらす1方法は、化学的に改変されたRNA残基を該siRNAの個々の鎖中に導入することである。合成RNAアナログは生物学的な媒質中でずっとより安定であって、そして安定性の増大はまた近位の天然RNA残基に誘発されることはよく知られている。安定性の増大は、主にヌクレアーゼ耐性の増大、および細胞取り込みがより良いことも、並びに組織分布が該改変によって与えられ得ること、を意味する。いくつかのsiRNAアナログが記載されている。
【0005】
プレ−siRNA(Parrishらによる, Mol. Cell, 2000, 6, 1077-1087)は、線虫中でのRNAiにとっての特定の骨格改変に対する耐性を示す。改変ヌクレオチドの存在下での2個の異なる鎖のインビトロ転写によって、ホスホロ−チオエートはセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方において耐性であって、その結果ウラシルの代わりに2’−フルオロウラシルであることを示すのは不可能である。2’−アミノウラシルおよび2’−アミノシチジンは、センス鎖中に取り込まれるとRNAi活性を低下し、そして該活性は、アンチセンス鎖中に取り込まれると完全に消滅する。センス鎖中でウラシルを2’−デオキシチミジンに交換する場合に、該効果はまた低下し、そして該交換がアンチセンス鎖中のものである場合にはより一層低下する。一方または両方の鎖がDNAモノマーから完全に構成される場合には、該RNAi活性は消滅する。上記の研究において、塩基の改変もまた研究されている。4−チオウラシルおよび5−ブロモウラシルが両方の鎖中で許容されて、一方で5−ヨードウラシルおよび5−(3−アミノアリル)ウラシルが該センス鎖中での該効果を低下し、アンチセンス鎖中でより大きい、ことが分かった。グアノシンをイノシンで置き代えることにより、該活性を著しく低下し、このことは該改変がセンス鎖またはアンチセンス鎖中で行なわれるかどうかとは関係ない。
【0006】
しかしながら、UU3’オーバーハングは、2’デオキシチミジンを3’オーバーハングで交換することができ、そしてこのものは十分に許容される(Elbashirらによる, Nature, 2001, 411, 494-498;およびBoutlaらによる, Curr. Biol., 2001, 11, 1776-1780)。
【0007】
DNAモノマーは、活性を損なうことなく、センス鎖中に取り込むことができることもわかっている。
【0008】
Elbashirら(EMBO, 2001, 20, 6877-6888)は、該siRNAの各3’末端中に4個のデオキシヌクレオチドを含有する改変siRNAが十分な活性を保つことを示した。その上、該siRNAが該分子の「中間」に1個だけの塩基対ミスマッチを含む場合には、該活性は消滅することを示した。
【0009】
しかしながら、1〜2個のミスマッチは、該ミスマッチがセンス鎖中に導入される限りには許容され得ることも報告されている(Holenらによる, NAR, 2002, 30, 1757-1766;Hohjohによる, FEBS Lett., 2002, 26179, 1-5;Hamadaらによる, アンチセンス and Nucl. Acid Drug Dev., 2002, 12, 301-309;および、Boutlaらによる, Curr. Biol., 2001, 11, 1776-1780))。
【0010】
Nykanenら(Cell, 2001, 107, 309-321)は、siRNAをRNAiから製造する際にATPを必要とするが、このものはまたより遅い段階でsiRNA活性を発揮することを示した。ATPは、RISI認識のために5’−ホスフェートをほどき(unwinding)そして保つのに必要である。該5’−ホスフェートは、siRNA活性に必要である。Martinezら(Cell, 2002, 110, 563-574)は、一本鎖がRNA誘発性サイレンシング複合体を再構築することができ(RISC, Hammondらによる, Nature, 2000, 404, 293-296)、そして5’−リン酸化される場合に特に、1本のアンチセンス鎖が活性を有することを見出した。該センス鎖の3’末端および5’末端の両方を改変することができるが、5’−アンチセンス鎖の改変が活性を示す。
【0011】
Amarzguiouiら(NAR, 2003, 31, 589-595)は、アンチセンス鎖の5’末端にあまり近位でない限りでは、ミスマッチが許容されると結論付けている。アンチセンス鎖の5’末端からの3〜5個のヌクレオシドのミスマッチは、該活性を著しく低下する。しかしながら、アンチセンス鎖の「中間」または3’末端方向に存在する場合には、2個のミスマッチは、活性がわずかに低下するが、許容されることが分かった。
【0012】
改変(例えば、ホスホロチオエートおよび2’−O−メチルRNA)は、siRNAの末端において導入され(Amarzguiouiらによる, NAR, 2003, 31, 589-595)、そしてそれらは十分に許容される。アンチセンス鎖の5’末端に存在する場合には、2’−O−アリル化は該効果を低下する。
【0013】
二環式ヌクレオシドアナログENA(2’−O,4’−C−エチレンチミジン)(ENAチミジン、eT)もまた、siRNA中に取り込まれる(Hamadaらによる, Antisense and Nucl. Acid Drug Dev., 2002, 12, 301-309)。該センス鎖の5’末端中の2個のENAチミジンはその効果を低下させることが知られる。「2’−O,4’−C−エチレンチミジン(このものは、エチレン−架橋核酸(ENA)の成分であり、RNAiを完全に消滅する)の使用」は、Hamadaら(2002)によって結論付けられている。
【0014】
より最近には、取り込まれたLNAモノマーを含有する多数のsiRNAが、Braaschら(Biochemistry 2003, 42, 7967-7975)によって記載されている。
【0015】
結論として、アンチセンス鎖はセンス鎖よりも改変に対してより感受性であることが分かった。いずれの特定の理論に制限されるものでないが、この現象は少なくともいくらか、アンチセンス/標的二重鎖の構造が天然のA型RNAでなければいけないという事実に基づくと考えられる。siRNAのセンス鎖は、アンチセンス鎖の標的への運搬にとってのビヒクルであるとみなすことができ、そしてセンス鎖はRNAの酵素触媒分解には関与しない。従って、該アンチセンス鎖と対比して、例え該改変がsiRNAのA−型構造への変化を誘発するとしても、センス鎖の改変はあるウィンドウ内では許容される。変化を該アンチセンス鎖中に導入する場合には、それらは天然RNA誘発サイレンシング複合体(RISC)の認識フレーム内で構造的に平衡でなければいけない。
【0016】
現在入手可能なsiRNA化合物と比較した強力なインビボ性質、生物学的安定性の増大(Tmの増大に相当する)、ヌクレアーゼ耐性の増大、細胞取り込みの改善、および/または組織分布の改善を有する新規で且つ改善されたsiRNAアナログに対する要求が当該分野において存在することは明らかである。
【0017】
従って、本発明の目的は、上記の改善された性質の1個以上を有する改善されたsiRNAアナログを提供することである。従って、本発明は、改善されたsiRNAアナログを提供し、このものはとりわけ、高い程度の生物学的安定性および/またはヌクレアーゼ安定性を示し、そしてRNA(例えば、mRNAもしくはプレ−mRNA、様々な構造的なRNA(例えば、tRNA、snRNA、scRNA、rRNA)、または調節RNA(例えば、ミクロRNA)さえ)を有効に標的とする。
【0018】
(発明の概要)
従って、第1の態様において、本発明は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含有する二重鎖化合物に関するものであって、ここで、各鎖は12〜35個のヌクレオチドを含み、該化合物は少なくとも1個のロックト核酸(LNA)モノマーを含む。
【0019】
別の態様において、本発明は、本発明の化合物および医薬的に許容し得る希釈物、担体またはアジュバントを含有する医薬組成物に関する。
【0020】
更なる態様において、本発明は、医薬としての使用のための本発明に記載の化合物に関する。
【0021】
更に別の態様において、本発明は、癌または重症急性呼吸器症候群(SARS)の処置のための医薬の製造における、本発明の化合物の使用に関する。
【0022】
更になお別の態様において、本発明は、癌または重症急性呼吸器症候群(SARS)の処置方法に関するものであって、該方法は、本発明の化合物または本発明の医薬組成物を処置が必要な患者に投与することを含む。
【0023】
本発明の他の態様は、以下の記載および特許請求の範囲から明らかである。
【0024】
(発明の詳細な記載)
(定義)
本明細書中の用語「ヌクレオチド」とは、窒素性塩基(例えば、アデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)、グアニン(U)、またはウラシル(U))と1番の炭素原子を介して結合し、そしてヌクレオシド間の連結基(以下で定義する)または末端基(以下で定義する)と5番の炭素原子を介して結合する、2−デオキシリボース(DNA)単位またはリボース(RNA)単位を意味する。従って、本明細書中で使用する場合に用語「ヌクレオチド」とは、窒素性塩基(例えば、A、C、T、GまたはU)と1番の炭素原子を介して結合し、およびホスフェート基または末端基と5番の炭素原子を介して結合する、リボース単位を含有するRNA単位(または、モノマー)を包含する。同様に、用語「ヌクレオチド」はまた、窒素性塩基(例えば、A、C、T、GまたはU)と1番の炭素を介して結合し、そしてホスフェート基または末端基と5番の炭素を介して結合する、2−デオキシリボース単位を含有するDNA単位(または、モノマー)をも包含する。用語「ヌクレオチド」はまた、該RNAおよびDNAモノマーの変異体またはアナログをも包含する。該RNAおよびRNAモノマーの変異体またはアナログの詳細な開示を、以下に示す。
【0025】
本明細書中の用語「ヌクレオシド」とは、窒素性塩基(例えば、アデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)、グアニン(G)またはウラシル(U))と1番の炭素を介して結合する、2−デオキシリボース(DNA)単位またはリボース(RNA)単位を意味する。従って、本明細書中の用語「ヌクレオシド」とは、窒素性塩基(例えば、A、C、T、GまたはU)と1番の炭素を介して結合する、リボース単位を含有するRNA単位(または、モノマー)を包含する。同様に、用語「ヌクレオシド」はまた、窒素性塩基(例えば、A、C、T、GまたはU)と1番の炭素を介して結合する、2−デオキシリボースを含有するDNA単位(または、モノマー)をも包含する。用語「ヌクレオシド」とはまた、該RNAおよびDNAモノマーの変異体またはアナログをも包含する。個々のヌクレオシドは、ヌクレオシド間連結基によって一緒に結合すると理解される。
【0026】
本明細書中で使用する用語「ロックト核酸モノマー」、「ロックト核酸残基」、「LNAモノマー」または「LNA残基」とは、二環式のヌクレオチドアナログを意味する。LNAモノマーは、とりわけWO 99/14226、WO 00/56746、WO 00/56748、WO 01/25248、WO 02/28875、O 03/006475およびWO 03/095467中に記載されている。該LNAモノマーはまた、その化学式に関して定義することもできる。従って、本明細書中で使用する「LNAモノマー」は、以下の反応式2:
【化1】
[式中、
Xは、O、SおよびNRHからなる群から選ばれ、ここで、RHはHまたはアルキル(例えば、C1〜4−アルキル)であり;
Yは、(−CH2)r(式中、rは1〜4の整数であって、但し、X=Oである場合にはrは2でない)であり;
ZおよびZ*は独立して存在しないか、またはヌクレオシド間連結基、末端基および保護基からなる群から選ばれ;
Bは、核酸塩基である]
中に示される化学構造を有する。好ましいLNAモノマーの詳細な記載を、以下に示す。
【0027】
用語「ヌクレオシド間の連結基」とは、2個のヌクレオシド、2個のLNAモノマー、ヌクレオシドとLNAモノマーなどが一緒に共有結合することができる基を意味すると意図する。具体的で且つ好ましい例は、ホスフェート基およびホスホロチオエート基を含む。
【0028】
用語「核酸」とは、2個以上のヌクレオチドの共有結合によって生成する分子と定義する。用語「核酸」および「ポリヌクレオチド」は、本明細書中で相互交換可能に使用する。本明細書中で使用する「核酸」または「ポリヌクレオチド」は典型的に、35個以上のヌクレオチドを含む。
【0029】
本明細書中の用語「オリゴヌクレオチド」とは、RNA、DNAおよび/またはLNAモノマーのオリゴマー(このものは、オリゴとも呼ばれる)、並びにそれらの変異体およびアナログを意味する。本明細書中で使用する場合に、「オリゴヌクレオチド」は典型的に、2〜35個のヌクレオチド(特に、12〜35個のヌクレオチド)を含む。
【0030】
用語「改善された性質」とは、本発明のSiLNA化合物がその天然の対応物と比較してより良い全体の性能(overall performance)を示す1個以上の性質であると理解される。該パラメータとしては例えば、生産および生産コストの容易さ、より長い有効期間、標的に対するより高い結合アフィニティー(siLNAまたはmRNA標的における暫定補完(interim complement))、細胞膜を透過するより高い能力、細胞外もしくは細胞内ヌクレアーゼに対するより良い耐性、医薬的に製剤化する容易さ、作用様式におけるより高い効力、より良い組織分布、より良い表現型の応答、およびより長い持続効果などを挙げられる。
【0031】
用語「単位」または「残基」とは、モノマーであると理解される。
【0032】
用語「少なくとも1個」とは、1以上の整数を包含し、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17などを挙げられる。
【0033】
ヌクレオチド、ヌクレオシド、活性剤、LNAモノマーなどについて使用する用語「a」および「an」とは、1個以上を意味すると意図する。特に、「---からなる群から選ばれる(一)成分(例えば、ヌクレオチド、ヌクレオシド、活性剤、LNAモノマーなど)」は、該引用成分の1個以上が選ばれ得ることを意味すると意図する。従って、表現「A、BおよびCからなる群から選ばれる(一)成分」とは、A、BおよびCの全ての組み合わせ(すなわち、A、B、C、A+B、A+C、B+C、およびA+B+C)を含むと意図する。
【0034】
用語「チオ−LNA」とは、反応式2中のXがSであるロックトヌクレオチドを意味する。チオ−LNAは、ベータ−D型およびアルファ−L型の両方であり得る。通常、チオ−LNAのベータ−D型が好ましい。チオ−LNAのベータ−D型を、化合物3Cとして反応式3中に示す。
【0035】
用語「アミノ−LNA」とは、反応式2中のXがNHまたはNRH(ここで、RHは水素またはC1〜4アルキルである)であるロックトヌクレオチドを意味する。アミノ−LNAは、ベータ−D型およびアルファ−L型の両方であり得る。通常、アミノ−LNAのベータ−D型が好ましい。アミノ−LNAのベータ−D型を、化合物3Dとして反応式3中に示す。
【0036】
用語「オキシ−LNA」は、反応式2中のXがOであるロックトヌクレオチドを意味する。オキシ−LNAは、ベータ−D型およびアルファ−L型の両方であり得る。オキシ−LNAのベータ−D型が好ましい。該ベータ−D型およびアルファ−L型を、それぞれ化合物3Aおよび3Bとして反応式3中に示す。
【0037】
用語「siLNA」とは、本発明の二重鎖化合物について広義に使用される。従って、本明細書中で使用する「siLNA」とは、常に少なくとも1個のLNAモノマーを含む。
【0038】
本明細書中に使用する用語「siRNA」とは、RNAまたは修飾RNAモノマーの二重鎖ストレッチを意味する。典型的なsiRNA化合物の場合には、該2個の鎖は通常互いに相補的な19個のヌクレオチドを有し、その結果、19ヌクレオチド長である二重鎖を創製し、そして各鎖は2個のオーバーハングヌクレオチドの3’末端を有する。このことはsiRNAの厳密な定義ではなく、このものは、わずかに長いかまたは短く、オーバーハングを有するかまたは有しないことがあり得る。siRNAにおいて、1個の鎖はガイドされ(guiding)、そして標的RNA(アンチセンス鎖)に対して相補的であり、そして他の鎖(センス鎖)は標的RNAと同じ配列を有し、従ってこのものはガイド/アンチセンス鎖に相補的である。ここで、調節RNAs(例えば、マイクロRN(「miRNA」)および「短RNA(「shRNA」))、および様々な構造的なRNAs(例えば、tRNA、snRNA、scRNA、rRNA))は、用語「siRN」と相互交換可能に使用する。
【0039】
本明細書中で使用する用語「mRNA」とは、標的遺伝子の現在知られるmRNA転写物、およびいずれかの更なる転写物(このものは、解明され得る)を意味する。
【0040】
本明細書中で使用する用語「標的核酸」とは、アンチセンス鎖によってガイドされる、調整、ターゲット切断、立体的な遮断(標的RNAの存在量を減少しおよび/または翻訳を阻害する)を受けるであろういずれかのRNAを包含する。該標的RNAは例えば、ゲノムRNA、ゲノムウイルスRNAまたはプレ−RNAであり得る。
【0041】
本明細書中で使用する用語「標的特異的な核酸の改変」とは、標的核酸に対するいずれかの改変を意味する。
【0042】
本明細書中で使用する用語「遺伝子」とは、エキソン、イントロン、非コード5’および3’領域、調節要素、並びに全ての現在知られるその変異体およびいずれかの更なる変異体(このものは、解明され得る)を含む遺伝子を意味する。
【0043】
本明細書中で使用する用語「調整(modulation)」とは、遺伝子の発現の増大(刺激)または減少(阻害)のいずれかを意味する。本発明において、阻害は遺伝子発現の調整の好ましい形態であり、そしてmRNAは好ましい標的である。
【0044】
本明細書中で使用する用語、siLNAまたはsiRNA化合物をある標的核酸に「標的(指向化)する」とは、該siLNAまたはsiRNAオリゴヌクレオチドを、該siLNAまたはsiRNA化合物が標的と結合しそして該標的の機能を調整するような様式で、細胞、動物またはヒトに供することを意味する。
【0045】
本明細書中で使用する「ハイブリダイゼーション」とは、相補ヌクレオシドまたはヌクレオチド塩基の間の水素結合を意味し、ワトソン−クリック,フーグステン(Hoogsteen)型水素結合、逆フーグステン水素結合などであり得る。DNA中に通常見られる4個の核酸塩基は、G、A、TおよびCであり、その内、GはCと対形成し、そしてAはTと対形成する。RNAの場合は、Tは、ウラシル(U)によって置き代えられ、このものはAと対形成する。標準的な二重鎖形成に関与する核酸塩基中の化学基は、ワトソン−クリック面(face)を構成する。フーグステンは数年後に、ワトソン−クリック面に加えて、プリン核酸塩基(GおよびA)が二重鎖の外側から認識することができるフーグステン面を有し、それを使ってピリミジンオリゴヌクレオチドと水素結合で結合することにより、三重らせん構造を形成することができることを示した。
【0046】
本明細書中の「相補的」とは、2個のヌクレオチド配列間で相互に正確な対形成をする能力を意味する。例えば、オリゴヌクレオチドのある位置でのヌクレオチドがDNAまたはRNA分子の対応する位置でヌクレオチドと水素結合することができる場合には、該オリゴヌクレオチドおよび該DNAまたはRNAは、該位置で互いに相補的であると考えられる。該オリゴヌクレオチド中の十分な数のヌクレオチドが標的DNAまたはRNA中の対応するヌクレオチドと水素結合を形成することができて、安定な複合体を形成することができる場合には、該DNAまたはRNA鎖は互いに相補的であると考えられる。インビトロまたはインビボで安定であるためには、siLNAまたはsiRNA化合物の配列はその標的核酸分子に対して100%相補的である必要はない。従って、用語「相補的」および「特異的にハイブリダイズ可能」とは、siLNAまたはsiRNA化合物が該標的分子と十分に強く且つ特異的に結合して、該標的の正常な機能を望ましく干渉し、一方で、非標的mRNAの機能に影響を及ぼさないことを意味する。
【0047】
本明細書中の用語「接合体」とは、本明細書中に記載する化合物と1個以上の非ヌクレオチド分子または非ポリヌクレオチド分子との共有結合によって生成する外来分子を意味すると意図する。非ヌクレオチド分子または非ポリヌクレオチド分子としては例えば、高分子(macromolecular)物質(例えば、タンパク質、脂肪酸鎖、糖残基、糖タンパク質、ポリマー、またはそれらの組み合わせ)を含む。典型的なタンパク質は、標的タンパク質に対する抗体であり得る。典型的なポリマーは、ポリエチレン(polyethelene)グリコールであり得る。
【0048】
本明細書中、用語「C1〜6−アルキル」とは、最長鎖が1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝の飽和炭化水素鎖を意味すると意図し、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、およびヘキシルを挙げられる。分枝炭化水素鎖は、いずれかの炭素において炭化水素鎖で置換されたC1〜6−アルキルを意味することを意図する。
【0049】
本明細書中の用語「C1〜4−アルキル」とは、最長鎖が1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝の飽和炭化水素鎖を意味すると意図し、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルを挙げられる。分枝炭化水素鎖は、いずれかの炭素において炭化水素鎖で置換されたC1〜4−アルキルを意味することを意図する。
【0050】
本明細書中の用語「C1〜6−アルコキシ」とは、C1〜6−アルキル−オキシを意味すると意図し、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロピキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシおよびヘキシルオキシ(hexoxy)を挙げられる。
【0051】
本明細書中の用語「C2〜6−アルケニル」とは、炭素数2〜6個を有し且つ1個以上の二重結合を含有する直鎖または分枝の炭化水素基を意味すると意図する。C2〜6−アルケニル基の例示としては例えば、アリル、ホモ−アリル、ビニル、クロチル(crotyl)、ブテニル、ブタジエニル、ペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニルおよびヘキサジエニルを含む。不飽和(二重結合)の位置は、炭素鎖に沿ったいずれかの位置であり得る。
【0052】
本明細書中、用語「C2〜6−アルキニル」とは、炭素数2〜6個を有し且つ1個以上の三重結合を含有する直鎖または分枝の炭化水素基を意味すると意図する。C2〜6−アルキニル基の例示としては例えば、アセチレン、プロピニル、ブチニル、ペンチニルおよびヘキシニルを含む。不飽和(三重結合)の位置は、炭素鎖に沿ったいずれかの位置であり得る。1個以上の結合は不飽和であり得て、その結果、「C2〜6−アルキニル」は当該分野の当業者にとって知られるジインまたはエンジインである。
【0053】
用語「癌腫」とは、上皮起源の悪性腫瘍を示すと意図する。上皮組織は、身体の内側および外側の体表の身体表面を覆うかまたは沿う(line)。上皮組織は例えば、皮膚、並びに腸菅、膀胱、子宮などの体腔および内臓に沿う粘膜および漿膜である。上皮組織はまた、腺(例えば、粘液分泌の腺)からより深い組織層にまでも拡張し得る。
【0054】
用語「肉腫」とは、結合組織(例えば、軟骨、脂肪、筋肉、腱および骨)から増殖する悪性腫瘍を意味すると意図する。
【0055】
本明細書中で使用する用語「神経膠腫」とは、膠細胞起源の悪性腫瘍を包含することを意図する。
【0056】
(本発明の化合物)
本発明は、いくらか、LNAモノマーを二重鎖ポリヌクレオチド(例えば、siRNA)のセンス鎖および/またはアンチセンス鎖中に取り込むことによって、LNAを用いてRNA干渉を改善することができるという驚くべき発見に基づく。このことは、最小に改変したsiRNAの場合でさえも、構造的に密接に関連するENAモノマーがRNA干渉を強く低下させるので、特に驚くべきことである(Hamadaらによる, Antisense and Nucl. Acid Drug Dev., 2002, 12, 301-309)。
【0057】
LNAは、DNAおよびRNA標的配列に対する予期しない結合性質を示す。これらの著しいハイブリダイズ性質に加えて、LNAモノマーは混合され、そしてDNAおよびRNAモノマー、並びにヌクレオチドアナログ(例えば、2’−O−アルキル−改変RNAモノマー)と協同的に作用することができる。DNAまたはRNA標的配列に対するLNAの予期しない結合アフィニティー、およびLNAモノマーをDNAおよびRNAモノマー並びにある範囲のヌクレオチドアナログと自由に混合する能力は、有効で且つ安全なsiRNA似化合物の開発にとって重要な結果を有する。
【0058】
天然のdsDNAは、生理学的なpHでB型らせんとして存在し、一方でdsRNAはA型らせんとして存在する。この形態学上の相違は、デオキシリボースおよびリボースの好ましい糖コンホメーションの差違に起因する。室温でデオキシリボースのフラノース環は、C’−エンド(S−タイプ)およびC3’−エンド(N−タイプ)コンホメーションの間での平衡で存在し、エネルギー障壁は〜2kcal/molを有する(図1を参照)。該C2’−エンド(S−タイプ)コンホメーションはB型らせんを生じ、一方で該C3’−エンド(N−タイプ)コンホメーションはA型らせんを生じる。デオキシリボースの場合には、S−タイプのコンホメーションは、N−タイプと比較してエネルギーがわずかに低く、このことは、なぜDNAがS−タイプのコンホメーションで存在するかを説明する。リボースの場合には、N−タイプのコンホメーションが好ましく、従って、RNAはA型らせんをとる。A型らせんは、より高いハイブリダイゼーションの安定性と関係することが知られる。
【0059】
LNAモノマーは、極端なC3’−エンドコンホメーションに対応するコンホメーションでのフラノース環のコンホメーションをロック(locking)する。従って、これらのモノマーはRNAコンホメーションを模倣し、そしてオリゴヌクレオチドおよび該モノマーの二重鎖の構造はRNA−似であることが分かっている(Petersenらによる, J. Am. Chem. Soc., 2002, 124, 5974-82)。このことは、RNAオリゴヌクレオチドおよびRNA/RNA二重鎖(この中に、LNAモノマーが取り込まれる)の構造が、天然のRNAオリゴヌクレオチドおよびRNA/RNA二重鎖と比較して有意に変わらないことを意味する。その上、LNAモノマーはDNA中に導入されると、RNA似のコンホメーションを誘発することが分かった。従って、該LNAモノマーは、特に3’末端において、強い大きさのC3’−エンドコンホメーション(RNA似)を課される。例えば、DNAオリゴマー中のあらゆる第2番目および第3番目の残基をLNAモノマーで置き代える場合には、該オリゴヌクレオチドの全体の構造はRNAにずっと似るであろう。従って、該オリゴヌクレオチドによって形成される二重鎖は、天然のA型二重鎖(RNA/RNA)に似ている構造を達成するであろう。DNAのコンホメーションをRNA構造の方向に向けるために、LNAモノマーのこの性質を使用することは、本発明の一部分である。
【0060】
LNAの予期しないアフィニティーを用いて、薬理学的な活性に必要なアフィニティーを損なうことなく、siRNAオリゴヌクレオチドの通常の長さを短く(21〜35マー(mer)から、例えば12〜20マーに)できることは認められるであろう。オリゴヌクレオチドの固有の特異性はその長さに逆相関するので、該短縮はRNA標的に対するsiLNA化合物の特異性を有意に増大する。従って、本発明の1目的は、ヒトゲノムの配列が入手可能であり、そしてその遺伝子のアノテーションが速く進歩しているという事実のため、標的mRNA中の最も短くあり得る特異な配列を同定することである。その上、オリゴヌクレオチドのサイズを低下し、その結果製造プロセスが容易となりそして該製造コストを下げることによって、siLNA化合物(例えば、本明細書中に開示するもの)は、RNAi療法にとっての基礎となり、そして様々な疾患に対して提供することができる商業的な競合処置となる可能性を有すると考えられる。
【0061】
従って、最も広い態様において、本発明はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含有する二重鎖化合物に関し、ここで、各鎖は12〜35個のヌクレオチドを含み、そして該化合物は少なくとも1個のロックト核酸(LNA)モノマーを含む。本発明の二重鎖化合物は、LNAモノマーで完全に構成され得たり、あるいはLNAモノマーをDNAモノマー、RNAモノマーまたはヌクレオチドアナログとのいずれかの組み合わせで構成され得る。
【0062】
上記の通り、用語「ヌクレオチド」とは、窒素性塩基(例えば、アデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)、グアニン(G)またはウラシル(U))と1番の炭素を介して結合し、そしてヌクレオシド連結基(上記で定義)または末端基(以下に記載)と5番の炭素を介して結合する、2−デオキシリボース(DNA)単位またはリボース(RNA)単位を意味する。従って、用語「ヌクレオチド」とは、窒素性塩基(例えば、A、C、T、GまたはU)と1番の炭素を介して結合し、そしてホスフェート基または末端基と5番の炭素を介して結合するリボース単位を含有するRNA単位(またはモノマー)を包含する。上で説明する通り、用語「ヌクレオチド」とはまた、窒素性塩基(例えば、A、C、T、G、またはU)と1番の炭素を介して結合し、そしてホスフェート基または末端基と5番の炭素を介して結合する2−デオキシリボース単位を含有するDNA単位(または、モノマー)を包含する。用語「ヌクレオチド」はまた、該RNAおよびDNAモノマーの変異体またはアナログをも包含する。例えば、2’−OH(RNA)または2’−H(DNA)基は、−O−CH3、−O−CH2−CH2−OCH3、−O−CH2−CH2−CH2−NH2、−O−CH2−CH2−CH2−OHまたはFで置換され得る。ヌクレオチドアナログの他の例は、LNAモノマーである。また、該ヌクレオシド間連結基は、ホスフェート(−O−P(O)2−O−)に限定されるわけではなく、例えば−O−P(O,S)−O−、−O−P(S)2−O−、−S−P(O)2−O−、−S−P(O,S)−O−、−S−P(S)2−O−、−O−P(O)2−S−、−O−P(O,S)−S−、−S−P(O)2−S−、−O−PO(RH)−O−、O−PO(OCH3)−O−、−O−PO(NRH)−O−、−O−PO(OCH2CH2S−R)−O−、−O−PO(BH3)−O−、−O−PO(NHRH)−O−、−O−P(O)2−NRH−、−NRH−P(O)2−O−、−NRH−CO−O−、−NRH−CO−RH−、−O−CO−O−、−O−CO−NRH−、−NRH−CO−CH2−、−O−CH2−CO−NRH−、−O−CH2−CH2−NRH−、−CO−NRH−CH2−、−CH2−NRH−CO−、−O−CH2−CH2−S−、−S−CH2−CH2−O−、−S−CH2−CH2−S−、−CH2−SO2−CH2−、−CH2−CO−NRH−、−O−CH2−CH2−NRH−CO−、−CH2−NCH3−O−CH2−(ここで、RHは水素またはC1〜4−アルキルである)を含み得る。その上、該窒素性塩基はA、C、T、GまたはUに限定されず、他のプリンおよびピリミジン(例えば、5−メチルシトシン、イソシトシン、プソイドシトシン、5−ブロモウラシル、5−プロピニルウラシル、5−プロピニル−6−フルオロウラシル、5−メチルチアゾールウラシル、6−アミノプリン、2−アミノプリン、イノシン、2,6−ジアミノプリン、7−プロピン−7−デアザアデニン、7−プロピン−7−デアザグアニン、および2−クロロ−6−アミノプリン)を含み得る。ヌクレオチド変異体およびアナログの他の例(これは、「ヌクレオチド」の本明細書の定義の範囲内にある)は、FreierおよびAltmann(Nucl. Acid Res., 1997, 25, 4429-4443)並びにUhlmann(Curr. Opinion in Drug & Development (2000, 3(2): 293-213)中に記載されている。以下の反応式1は、該ヌクレオチド変異体およびアナログの選択した例を例示する。結論として、本発明の化合物は、該化合物が少なくとも1個の該鎖中に少なくとも1個のLNAモノマーを含む限りは、上記のヌクレオチドのいずれかを含み得る。
【化2】
【0063】
上記の通り、用語「ロックト核酸モノマー」または「LNAモノマー」とは、二環式ヌクレオチドアナログを意味し、このものは以下の反応式2:
【化3】
[式中、
Xは、O、S、およびNRHからなる群から選ばれ、ここで、RHはHまたはアルキル(例えば、C1〜4アルキル)であり;
Yは、(−CH2)r(ここで、X=Oである場合にはrは2でないという条件で、rは1〜4の整数である)であり;
ZおよびZ*は独立して存在しないか、またはヌクレオチド連結基、末端基および保護基からなる群から選ばれ;そして、
Bは、核酸塩基である]
に示す化学構造を有する。
【0064】
本発明の好ましい実施態様はrが1であり、すなわち、好ましいLNAモノマーは以下の反応式3:
【化4】
[式中、
Z、Z*、RHおよびHは上で定義する通りである]
に示す化学構造を有する。
【0065】
本発明のより好ましい実施態様において、XはOでありそしてrは1であり、すなわち、より好ましいLNAモノマーは以下の反応式4:
【化5】
[式中、
Z、Z*およびBは上で定義する通りである]
に示す化学構造を有する。
【0066】
上記の3Aおよび3B中に示す構造はまた、それぞれ「ベータ−D型」および「アルファ−L型」と呼ばれ得る。本発明の非常に好ましい実施態様において、該LNAモノマーはベータ−D型であり、すなわち、該LNAモノマーは上記3Aに示す化学構造を有する。
【0067】
上で示す通り、ZおよびZ*(このものは、ヌクレオシド間連結として機能する)は独立して存在しないか、あるいは該化合物内のLNAモノマーの実際の位置に応じてヌクレオシド間連結基、末端基および保護基からなる群から選ばれる。LNAモノマーが3’末端に位置する実施態様において、Zが末端基であり、そしてZ*がヌクレオシド間連結基であることは理解されるであろう。LNAモノマーが5’末端に位置する実施態様において、Zは存在せず、そしてZ*は末端基である。LNAモノマーがヌクレオチド配列内に位置する実施態様において、Zは存在せず、そしてZ*はヌクレオシド間連結基である。
【0068】
ヌクレオシド間連結基の具体例は、−O−P(O)2−O−、−O−P(O,S)−O−、−O−P(S)2−O−、−S−P(O)2−O-、−S−P(O,S)−O−、−S−P(S)2−O−、−O−P(O)2−S−、−O−P(O,S)−S−、−S−P(O)2−S−、−O−PO(RH)−O−、O−PO(OCH3)−O−、−O−PO(NRH)−O−、−O−PO(OCH2CH2S−R)−O−、−O−PO(BH3)−O−、−O−PO(NHRH)−O−、−O−P(O)2−NRH−、−NRH−P(O)2−O−、−NRH−CO−O−、−NRH−CO−NRH−、−O−CO−O−、−O−CO−NRH−、−NRH−CO−CH2−、−O−CH2−CO−NRH−、−O−CH2−CH2−NRH−、−CO−NRH−CH2−、−CH2−NRH−CO−、−O−CH2−CH2−S−、−S−CH2−CH2−O−、−S−CH2−CH2−S−、−CH2−SO2−CH2−、−CH2−CO−NRH−、−O−CH2−CH2−NRH−CO−、−CH2−NCH3−O−CH2−(ここで、RHは水素またはC1〜4−アルキルである)を含む。
【0069】
本発明の好ましい実施態様において、ヌクレオシド間連結基はホスフェート基(−O−P(O)2−O−)、ホスホロチオエート基(−P(O,S)−O−)であるか、または該化合物はホスフェート基およびホスホロチオエート基の両方を含み得る。
【0070】
末端基の具体例は、水素、アジド、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、Prot−O−、Act−O−、メルカプト、Prot−S−、Act−S−、C1〜6−アルキルチオ、アミノ、Prot−N(RH)−、Act−N(RH)−、モノ−もしくはジ−(C1〜6−アルキル)アミノ、場合により置換されたC1〜6アルコキシ、場合により置換されたC1〜6アルキル、場合により置換されたC2〜6アルケニル、場合により置換されたC2〜6アルケニルオキシ、場合により置換されたC2〜6アルキニル、場合により置換されたC2〜6アルキニルオキシ、モノホスフェート(例えば、保護されたモノホスフェートを含む)、モノチオホスフェート(例えば、保護されたモノチオホスフェートを含む)、ジホスフェート(例えば、保護されたジホスフェートを含む)、ジチオホスフェート(例えば、保護されたジチオホスフェートを含む)、トリホスフェート(例えば、保護されたトリホスフェートを含む)、トリチオホスフェート(例えば、保護されたトリチオホスフェートを含む)(ここで、Protは−OH、SH、および−NH(RH)についての保護基であり、Actは−OH、−SH、および−NH(RH)についての活性化基であり、そしてRHは水素またはC1〜6アルキルである)からなる群から選ばれる末端基を含む。
【0071】
ホスフェートの保護基としては例えば、S−アセチルチオエチル(SATE)およびS−ピバロイルチオエチル(t−ブチル−SATE)を含む。
【0072】
末端基の更なる別の例は、DNA挿入基(intercalators)、光化学的に活性な基、熱化学的に活性な基、キレート基、受容体基、リガンド、カルボキシ、スルホノ、ヒドロキシメチル、Prot−O−CH2−、Act−O−CH2−、アミノメチル、Prot−N(RH)−CH2−、Act−N(RH)−CH2−、カルボキシメチル、スルホノメチル(ここで、Protは−OH、SH、および−NH(RH)についての保護基であり、Actは−OH、−SH、および−NH(RH)についての活性化基であり、そしてRHは水素またはC1〜6アルキルである)を含む。
【0073】
−OHおよび−SH基の保護基の例としては、置換トリチル(例えば、4,4'−ジメトキシトリチルオキシ(DMT)、4−モノメトキシトリチルオキシ(MMT));トリチルオキシ、場合により置換された9−(9−フェニル)キサンテニルオキシ(ピクシル(pixyl))、場合により置換されたメトキシテトラヒドロピラニルオキシ(mthp);シリルオキシ(例えば、トリメチルシリルオキシ(TMS)、トリイソプロピルシリルオキシ(TIPS)、tert−ブチルジメチルシリルオキシ(TBDMS)、トリエチルシリルオキシ、フェニルジメチルシリルオキシ;tert−ブチルエーテル;アセタール(2個のヒドロキシ基を含む);アシルオキシ(例えば、アセチル)またはハロゲン置換のアセチル(例えば、クロロアセチルオキシ、またはフルオロアセチルオキシ)、イソブチリルオキシ、ピバロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、および置換ベンゾイル、メトキシメチルオキシ(MOM)、ベンジルエーテルまたは置換ベンジルエーテル(例えば、2,6−ジクロロベンジルオキシ(2,6−Cl2Bzl)を含む。その上、ZまたはZ*がヒドロキシルである場合には、それらは場合により連結基によって固体支持体と結合することによって保護し得る。
【0074】
アミン保護基の例としては、フルオレニルメトキシカルボニルアミノ(Fmoc)、tert−ブチルオキシカルボニルアミノ(BOC)、トリフルオロアセチルアミノ、アリルオキシカルボニルアミノ(alloc、AOC)、Z−ベンジルオキシカルボニルアミノ(Cbz)、置換ベンジルオキシカルボニルアミノ(例えば、2−クロロベンジルオキシカルボニルアミノ(2−ClZ))、モノメトキシトリチルアミノ(MMT)、ジメトキシトリチルアミノ(DMT)、フタロイルアミノ、および9−(9−フェニル)キサンテニルアミノ(ピクシル)を含む。
【0075】
該活性基は、他の残基および/またはヌクレオチドモノマーとのカップリングを媒介することが好ましく、そして該カップリングが完結した後には、該活性基は典型的にヌクレオシド間連結に変換される。該活性基としては例えば、場合により置換されたO−ホスホロアミダイト、場合により置換されたO−ホスホトリエステル、場合により置換されたO−ホスホジエステル、場合により置換されたH−ホスホネート、および場合により置換されたO−ホスホネートを含む。本明細書中の用語「ホスホロアミダイト」とは、式−P(ORx)−N(Ry)2(式中、Rxは、場合により置換されたアルキル基(例えば、メチル、2−シアノエチル、またはベンジル)であり、そして各Ryは場合により置換されたアルキル基(例えば、エチルまたはイソプロピル)であるか、または基−N(Ry)2はモルホリノ基(−N(CH2CH2)2Oを形成する、ことを意味する。Rxは、2−シアノエチルであることが好ましく、そして該2個のRyは同じであって、イソプロピルであることが好ましい。従って、特に好ましいホスホロアミダイトは、N,N−ジイソプロピル−O−(2−シアノエチル)ホスホロアミダイトである。
【0076】
上記の通り、Bは天然または非天然の起源であり得る核酸塩基である。核酸塩基の具体例としては例えば、アデニン(A)、シトシン(C)、5−メチルシトシン(MeC)、イソシトシン、プソイドイソシトシン、グアニン(G)、チミン(T)、ウラシル(U)、5−ブロモウラシル、5−プロピニルウラシル、5−プロピニル−6−フルオロウラシル、5−メチルチアゾールウラシル、6−アミノプリン、2−アミノプリン、イノシン、2,6−ジアミノプリン、7−プロピン−7−デアザアデニン、7−プロピン−7−デアザグアニン、および2−クロロ−6−アミノプリンを含む。好ましい核酸塩基は、A、C、MeC、G、TおよびU(特に、A、C、MeC、GおよびU)を含む。
【0077】
本発明の1実施態様において、センス鎖は少なくとも1個のLNAモノマー、例えば1〜10個のLNAモノマー(例えば、1〜5個のLNAモノマー)を含む。本発明の別の実施態様においては、アンチセンス鎖は少なくとも1個のLNAモノマー、例えば1〜10個のLNAモノマー(例えば、1〜5個のLNAモノマー)を含む。本発明の更なる実施態様において、センス鎖は少なくとも1個のLNAモノマーを含み、そしてアンチセンス鎖は少なくとも1個のLNAモノマーを含む。例えば、センス鎖は典型的に1〜10個のLNAモノマー(例えば、1〜5個のLNAモノマー)を含み、そしてアンチセンス鎖は典型的に1〜10個のLNAモノマー(例えば、1〜5個のLNAモノマー)を含む。
【0078】
本発明の化合物についての1つの利点は、生物学的な液体(例えば、血清)中での改善された安定性である。従って、本発明の1実施態様は、LNAモノマーの標準的なDNAまたはLNAオリゴヌクレオチド中への導入を含む。これにより、例えばヌクレアーゼ(エンドヌクレアーゼおよびエキソヌクレアーゼ)に対する耐性の増大によって、生物学的な液体中での生成siLNA化合物の安定性が増大する。従って、本発明の化合物は、LNAモノマーの導入により、融解温度の上昇および/またはヌクレアーゼ耐性の増大の結果として循環性半減期(circulation half-life)の増大を示す。安定性の大きさは、使用するLNAモノマーの数、オリゴヌクレオチド中でのそれらの位置、および使用するLNAモノマーのタイプに依存する。DNAおよひホスホロチオエートと比較して、ヌクレオチド分解(nucleolytic)に対してオリゴヌクレオチドを安定化する能力の以下の順序を確立することができる:DNA<<ホスホロチオエート、LNAホスホロジエステル<LNA−ホスホロチオエート。
【0079】
従って、特に好ましい本発明の化合物は、血清(例えば、ヒト、ウシまたはマウスの血清)(例えば、生理学的な塩溶液中での10%胎仔ウシ血清)中、37℃で5時間インキュベートする場合に、対応するdsRNA化合物よりも低い程度で分解される化合物である。本発明の化合物の最初の量の25%以下が5時間後に分解されることが好ましく、本発明の化合物の最初の量の50%以下が5時間後に分解されることがより好ましく、本発明の化合物の最初の量の75%以下が5時間後に分解されることがより一層好ましい。別の実施態様において、本発明の化合物の最初の量の25%以下が10時間後に分解されることが好ましく、本発明の化合物の最初の量の50%以下が10時間後に分解されることがより好ましい。
【0080】
LNA合成が標準的なRNA/DNA合成と適合し且つ該LNAモノマーが多数の現行核酸アナログと自由に混合するという事実からして、siRNA化合物のヌクレアーゼ耐性は、本発明に従って、増大したヌクレアーゼ安定性を示す他のアナログを取り込むかまたはヌクレアーゼ−耐性ヌクレオシド間連結(例えば、ホスホロモノチオエート連結、ホスホロジチオエート連結、およびメチルホスホネート連結など)を利用するかのいずれかによって、更に増大することができる。
【0081】
LNAモノマーは、センス鎖の3’オーバーハングおよび5’末端の両方でのsiRNAの設計において自由に使用することができ、siLNA効果の十分な活性化およびタンパク質産生の下方調節(>90%低下)を有する。LNAモノマーは、高い下方調節性の能力(80%低下)を保ちながら、siLNA中のセンス鎖よりも全く自由に分配することができる。siRNAにおけるアンチセンス鎖の5’末端はまたLNAモノマーによって改変し得て、その結果、50〜70%までの下方調節能力を生じ得る。組み合わせの特定のデザインがRNAi効果を発揮することができることをあり得ないとすることはできないが、高度にLNAモノマーで置換されたアンチセンス鎖を用いて、下方調節効果を与えるとは考えられない。siLNAのセンス鎖の5’末端に加えて3’オーバーハングのLNAモノマー置換は、タンパク質レベルの最大の低下を示す。該アンチセンス鎖の5’末端はLNAモノマーの改変に対して最も感受性であって、一方で多数の改変の他の部位はより許容される。
【0082】
1実施態様においては、LNAモノマーがsiLNA化合物中に、それらがセンス鎖の5’末端における二重鎖での塩基対を強化するような様式で取り込まれるように、siLNA化合物を設計する。該ヘリカーゼは、他の5’末端(アンチセンス鎖の5’末端)から巻き戻すように(unwinde)方向付けることができる。この方法において、アンチセンス/ガイド鎖のRISCへの取り込みは、コントロールすることができる。該ヘリカーゼは、最も弱い結合末端でsiRNA二重鎖の巻き戻しを開始する。おそらく、放出された3’末端は分解のために標的化され、一方で残りの鎖はRISC中に取り込まれる。有効なsiRNAは、アンチセンス鎖/ガイド鎖の蓄積、および該アンチセンス/ガイド鎖の5’末端における弱い塩基対形成を示す。望まない副作用は、正しい鎖のみ(アンチセンス/ガイド鎖)(望まないセンス鎖(所望する標的RNAに対して相補的でない)ではない)をRISC中に有することによって避けることができるであろう。
【0083】
アンチセンス鎖の5’末端にLNAモノマーを取り込む効果は、図11から知ることができる。5’−末端におけるLNA残基のRNAi妨害効果は、逆(opposite)ミスマッチを取り込むことによっていくらか改善することができる。図11に、このことはウミシイタケおよびホタルの両方の標的について示す。
【0084】
アンチセンス鎖の5’末端において取り込まれたLNAモノマーのRNAi妨害効果は、LNAモノマーを3’末端方向に1塩基位置を動かすことによってほとんど排除することができる(図12)。LNAモノマーをアンチセンス鎖の3’末端方向に更に動かすことは遺伝子発現に影響を及ぼさないが、しかし、LNAモノマーが10または12位にある場合には、RNAi効果の有意な低下が観察される。該RISC複合体は、siRNAのアンチセンス鎖の10および11の間の位置の反対側の位置でmRNAを切断し、そして外見上は、該位置に合成LNAモノマーを取り込むことにより、RISC複合体による切断を妨害する。LNAモノマーを更にアンチセンス鎖の方向に動かす場合には、この妨害影響は低下する。
【0085】
上記の通り、該ヘリカーゼはストランドバイアス(strand bias)を示し、そしてsiRNAの最も弱い結合末端からsiRNAを取り込むことが好ましい。従って、実際には、siRNA二重鎖における両方の鎖を取り込むことができる。RISC+siRNAシステムの他の性質におけるこのものは、オフ−標的(target)効果を生じる。このものを低下させる1様式は、高アフィニティLNAモノマーを取り込むことである。Ren1部位の場合には、アンチセンス鎖における5’−核酸塩基は、U(このものは、「低」結合残基を構築する)である。従って、該RISC複合体はこの側から読み取られ、そしてこのものはアンチセンス鎖(正しい鎖)を取り込む。Ren2およびRen3部位の場合には、5’−核酸塩基はC(このものは、「高い」結合部位を構築する)である。これらの部位の場合には、センス鎖の5’末端は、AおよびU核酸塩基(共に、「低い」結合部位のを構築する)によって位置づけられる。従って、RISCはこの場合にストランドバイアスを示し得て、そしてセンス鎖(間違った(wrong)鎖)から部分的に読みとることができる。5’−アデノシンおよびウリジン残基を対応するA−およびU−LNA残基で置き代えることによって、該ストランドバイアスは除かれ、そしてアンチセンス鎖はRISC複合体中に取り込まれる(図13)。従って、LNA残基はストランドバイアスを低下し、そして二重鎖の効力を増大することができる。本発明のsiRNAはアンチセンス配列を有し、このものは標的分子と少なくとも70%(90〜100%の配列一致度がより好ましい)を有することが好ましい。
【0086】
上記の通り、いくつかのある設計は天然siRNAの全効力適用性を増強する:
(a)LNAを用いるsiRNAの「エンドキャッピング(end capping)」は、ヌクレアーゼ安定性を改善し(図2および15);
(b)センス鎖の5’末端の方向にLNAモノマーを置くことは、天然siRNAと比較してsiRNAの効力を改善する(「ロックする」)。このことは、中程度に有効な標的にとっての効力の増大によって例示される(図13および15)。
(c)「LNAウォーク(walk)」(図12)の場合には、RISC複合体の切断部位上(例えば、アンチセンス鎖における5’末端から数えて10位)にLNAモノマーを置くことは、siRNAの活性を低下する(「ブロック」)。
【0087】
これらの基本的な観察は、siRNAの全効力を改善するのに重要である。最適化された設計において、3’末端はLNAモノマーで「キャップ」されるべきであり、その結果、ヌクレアーゼ耐性を確実とする(図12および15)。センス鎖の5’末端はまた、アンチセンス鎖との結合を増大させ、その結果、ヘリカーゼを該二重鎖の「正しい側」から取り込まれるよう方向付けるように改変したLNAであるべきである。該二重鎖のセンス5’末端センス/アンチセンス3’側の該「ロック(する)」は、該二重鎖のいずれかの側に少なくとも1個のLNAモノマーを取り込むことによって行なわれ得る。該改変された二重鎖はまた、LNA−LNA水素結合塩基を含み得る。LNAがアンチセンス鎖の10または12位に取り込まれる場合に、遺伝子のサイレンシングは低下するという観察により、逆のシナリオで使用することができる。RISC複合体がセンス鎖の部に取り込まれ、その結果、望まないオフ−標的効果を生じる場合には、該望まない取り込みの効力は、LNAをセンス鎖の10および12位に取り込むことによって低下する(「ブロックする」)ことができる(図12に示す通り)。
【0088】
従って、本発明の関心ある実施態様において、該センス鎖は5’末端から数えて9〜13の位置の少なくとも1個(例えば、1個)に少なくとも1個のLNAモノマーを含む。該センス鎖は、5’末端から数えて10〜12の位置の少なくとも1個(例えば、1個)に少なくとも1個のLNAモノマーを含むことが好ましい。本発明の特に関心ある実施態様において、センス鎖は、5’末端から数えて10位、12位または10および12の両方の位置にLNAモノマーを含む。その上、10位に取り込まれた場合には、LNAモノマーが窒素性塩基(これは、天然に存在するRNA塩基と異なる(すなわち、A、C、GおよびUとは異なる))を含むことが特に好ましい。特に好ましい実施態様において、10位(5’末端から数えて)に存在するLNAモノマーは窒素性塩基Tを含む。
【0089】
オリゴ中に取り込まれたLNAモノマーがオリゴおよびハイブリッド(形成し得る)のRNA似構造を誘発することは知られる。LNA残基がDNA残基の構造を改変し、特にLNA残基が3’末端の近位に取り込まれる場合には、DNA残基の構造を改変することも分かった。5’末端方向でのLNAモノマーの取り込みは、より小さな影響を有するように考えられる。このことは、DNAモノマーを含むRNA鎖を改変することができ、そして1個以上のLNA残基がDNAモノマーをフランクする場合には、それらもまたRNA似構造を達成するであろうことを意味する。従って、DNAおよびLNAモノマーはRNAモノマーに置き代えることができ、そして更に該オリゴは全RNA似構造を達成するであろう。DNAモノマーはRNAモノマーよりもかなり安価であり、合成が容易であり、そしてヌクレオチド分解に対してより安定であるので、従って、該改変はsiRNAの全使用および利用性を改善するであろう(図15を参照)。
【0090】
従って、少なくとも1個(例えば、1個)のLNAモノマーはセンス鎖の5’末端に位置することが好ましい。少なくとも2個(例えば、2個)のLNAモノマーがセンス鎖の5’末端に位置することがより好ましい。
【0091】
本発明の別の好ましい実施態様において、センス鎖は、該センス鎖の3’末端に位置する少なくとも1個(例えば、1個)のLNAモノマーを含む。少なくとも2個(例えば、2個)のLNAモノマーがセンス鎖の3’末端に位置することがより好ましい。
【0092】
本発明の特に好ましい実施態様において、センス鎖は、該センス鎖の5’末端に位置する少なくとも1個(例えば、1個)のLNAモノマーを含み、そして該センス鎖の3’末端に位置する少なくとも1個(例えば、1個)のLNAモノマーを含む。センス鎖は、該センス鎖の5’末端に位置する少なくとも2個(例えば、2個)のLNAモノマー、および該センス鎖の3’末端に位置する少なくとも2個(例えば、2個)のLNAモノマーを含む。
【0093】
少なくとも1個(例えば、1個)のLNAモノマーはアンチセンス鎖の3’末端に位置することが好ましい。少なくとも2個(例えば、2個)のLNAモノマーがアンチセンス鎖の3’末端に位置することがより好ましい。少なくとも3個(例えば、3個)のLNAモノマーが、アンチセンス鎖の3’末端に位置することが一層より好ましい。本発明の特に好ましい実施態様において、LNAモノマーは、アンチセンス鎖の5’末端またはその近くに(すなわち、1、2、または3個のヌクレオチド内)位置しない。
【0094】
従って、本発明の更なる実施態様において、LNAモノマーは、アンチセンス鎖の5’末端を除いて、センス鎖およびアンチセンス鎖のいずれかの位置に位置し得る。
【0095】
本発明の非常に好ましい実施態様において、センス鎖は5’末端に少なくとも1個のLNAモノマーを、および3’末端に少なくとも1個のLNAモノマーを含み、そしてアンチセンス鎖は3’末端に少なくとも1個のLNAモノマーを含む。センス鎖は5’末端に少なくとも1個のLNAモノマーを、および3’末端に少なくとも1個のLNAモノマーを含み、そしてアンチセンス鎖は3’末端に少なくとも2個のLNAモノマーを含むことがより好ましい。センス鎖は5’末端に少なくとも2個のLNAモノマーを、および3’末端に少なくとも2個のLNAモノマーを含み、そしてアンチセンス鎖は3’末端に少なくとも2個のLNAモノマーを含むことがより一層好ましい。センス鎖は5’末端に少なくとも2個のLNAモノマーを、および3’末端に少なくとも2個のLNAモノマーを含み、そしてアンチセンス鎖は3’末端に少なくとも3個のLNAモノマーを含むことがなお一層好ましい。最も好ましい実施態様においては、上記の化合物のいずれも、アンチセンス鎖の5’末端に位置するLNAモノマーを含まないと理解する。
【0096】
本発明の更なる関心ある実施態様において、LNAモノマーは、3’末端の近く(すなわち、3’末端から数えて2、3または4位であって、2または3位が好ましく、2位が特に好ましい)に位置する。
【0097】
従って、本発明の更に非常に関心ある実施態様において、センス鎖は、3’末端から数えて2位に位置するLNAモノマーを含む。別の実施態様において、センス鎖は、3’末端から数えて2および3位に存在するLNAモノマーを含む。
【0098】
本発明の特に好ましい実施態様において、センス鎖は、5’末端に位置する少なくとも1個(例えば、1個)のLNAモノマーを、および3’末端から数えて2位に位置するLNAモノマーを含む。更なる実施態様において、センス鎖は、センス鎖の5’末端に位置する少なくとも2個(例えば、2個)のLNAモノマーを、および3’末端から数えて2位)に位置するLNAモノマーを含む。
【0099】
その上、アンチセンス鎖は、3’末端から数えて2位にLNAモノマーを含む。アンチセンス鎖は、3’末端から数えて2および3位にLNAモノマーを含むことがより好ましい。アンチセンス鎖は、3’末端から数えて2、3、4位に位置するLNAモノマーを含むことがより一層好ましい。本発明の特に好ましい実施態様において、LNAモノマーはアンチセンス鎖の5’末端またはその近くに(すなわち、1、2、または3個のヌクレオチド内に)位置しない。
【0100】
本発明の非常に好ましい実施態様において、センス鎖は、5’末端に少なくとも1個のLNAモノマーを、および2位(3’末端から数えて)にLNAモノマーを含み、そしてアンチセンス鎖は、2位(3’末端から数えて)に位置するLNAモノマーを含む。センス鎖は、5’末端に少なくとも1個のLNAモノマーを、および2位(3’末端から数えて)にLNAモノマーを含み、そしてアンチセンス鎖は、2および3位(3’末端から数えて)にLNAモノマーを含むことがより好ましい。センス鎖は、5’末端に少なくとも2個のLNAモノマーを、並びに2および3位(3’末端から数えて)にLNAモノマーを含み、そしてアンチセンス鎖は、2および3位(3’末端から数えて)にLNAモノマーを含むことがより一層好ましい。該センス鎖は、5’末端に少なくとも2個のLNAモノマーを、並びに2および3位(3’末端から数えて)にLNAモノマーを含み、そしてアンチセンス鎖は、2、3、および4位(3’末端から数えて)にLNAモノマーを含むことがなおより一層好ましい。最も好ましい実施態様において、上記の化合物のどれも、アンチセンス鎖の5’末端に位置するLNAモノマーを含まないと理解される。
【0101】
上記の通り、各鎖は12〜35個のヌクレオチドを含む。これらの数は、該鎖中の天然ヌクレオチド、ヌクレオチド変異体およびアナログ、LNAモノマーなどの総数を意味すると理解される。従って、該天然ヌクレオチド、ヌクレオチド変異体およびアナログ、LNAモノマーなどの総数は、12よりも低いことはなく、且つ35を超えることもない。本発明の関心ある実施態様において、各鎖は、17〜25個のヌクレオチド(例えば、20〜22個または20〜21個のヌクレオチド)を含む。
【0102】
本発明の化合物は平滑末端し得て、そして1個のある実施態様において、本発明のsiRNA化合物は19マーであり、そして平滑末端である。しかしながら、少なくとも1個の該鎖は3’オーバーハングを有することが好ましい。典型的には、該3’オーバーハングは、1〜7個のヌクレオチド(または、ヌクレオチド変異体もしくはアナログ、またはLNAモノマー)であって、1〜3個のヌクレオチドが好ましい。従って、センス鎖が3’オーバーハングを含み得て、そしてアンチセンス鎖が3’オーバーハングを含み得るか、あるいはセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方が3’オーバーハングを含み得ると理解される。
【0103】
同様な方法で、該鎖の少なくとも1つは5’オーバーハングを有し得る。典型的には、該5’オーバーハングは1〜4個のヌクレオチド(または、ヌクレオチドの変異体もしくはアナログ、またはLNAモノマー)であって、1〜3個のヌクレオチドが好ましい。従って、センス鎖が5’オーバーハングを含み得て、そしてアンチセンス鎖が5’オーバーハングを含み得るか、あるいはセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方が5’オーバーハングを含み得ると理解される。明らかに、センス鎖は3’および5’オーバーハングを含み得る。あるいは、アンチセンス鎖は、3’および5’オーバーハングの両方を含み得る。
【0104】
典型的には、本発明の化合物は、LNAモノマー以外の他の残基を含む。該他の残基は上記の「ヌクレオチド」の定義に関連して記載する残基のいずれかであり得て、そしてこのものは例えば、天然RNAモノマー、天然DNAモノマー、並びにヌクレオチドの変異体およびアナログ(例えば、上記の「ヌクレオチド」の定義に関連して記載するもの)を含む。該ヌクレオチドの変異体およびアナログの具体的な例は例えば、2’−F、2’−OMe、2’−O−メトキシエチル(MOE)、2’−O−(3−アミノプロピル)(AP)、ヘキシトール核酸(HMA)、2’−F−アラビノ核酸(2’−F−ANA)およびD−シクロヘキセニルヌクレオシド(CeNA)を含む。その上、ヌクレオシド間連結は、上記のホスホロジエステル、ホスホロチオエートまたはN3’−P5’ホスホロアミデートヌクレオシド間連結であり得る。
【0105】
通常、本発明の化合物の個々の鎖は、鎖中のヌクレオチドの総数を基準として、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、または少なくとも約20%のLNAモノマーを含む。ある実施態様において、本発明の化合物は、鎖中のヌクレオチドのの総数を基準として、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%を含む。
【0106】
LNAモノマーに関する限り、反応式2および3中に示すLNAモノマーのいずれかが本発明の目的において有用であると理解する。しかしながら、LNAモノマーはベータ−D型であり、このものは化合物3A、3Cおよび3Dとして示すLNAモノマーに相当することが現在好ましい。現在最も好ましいLNAモノマーは、上記の反応式3および4に化合物3Aとして示すモノマーであり、すなわち、現在最も好ましいLNAモノマーはオキシ−LNAのベータ−D型である。
【0107】
本発明の更なる実施態様において、本発明の化合物は1個以上のリガンドと連結して、接合体を生成する。該リガンドは、非接合化合物と比べて接合体の細胞取り込みを増大する役割を果たしている。この接合は、末端5’−OHおよび/または3’−OH位で起こり得るが、該接合はまた糖類および/または核酸塩基でも起こり得る。特に、アンチセンスオリゴヌクレオチドが接合し得る増殖因子は、トランスフェリンまたは葉酸を含み得る。トランスフェリン−ポリリシン−オリゴヌクレオチド複合体または葉酸−ポリリシン−オリゴヌクレオチド複合体は、高レベルのトランスフェリンまたは葉酸受容体を発現する細胞による取り込みにおいて製造され得る。接合体/リガンドの他の例はコレステロール分子、二重鎖挿入物(例えば、アクリジン、ポリ−L−リシン、1個以上のヌクレアーゼ耐性連結基(例えば、ホスホロモノチオエート)を有する「エンド−キャッピング」などである。
【0108】
細胞中へのオリゴヌクレオチド取り込みの担体としてのトランスフェリン複合体の製造は、Wagnerらによる, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87, 3410-3414 (1990)によって記載されている。葉酸受容体エンドサイトーシスによる葉酸−高分子接合体の細胞運搬(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドの運搬を含む)は、Lowらによる, US 5,108,921およびLeamonらによる, Proc. Natl. Acad. Sci. 88, 5572 (1991)によって記載されている。
【0109】
本発明の化合物または接合体もまた接合し、あるいは更に活性な薬物物質(例えば、アスピリン、イブプロフェン、サルファ剤、抗糖尿病剤、抗菌剤、化学療法剤または抗生物質)と接合し得る。
【0110】
天然のRNA核酸塩基は、A、C、GおよびUである。LNAモノマーにおけるこれらの使用は、最小の改変を構築する。しかしながら、塩基MeC(5’メチルシトシン)およびチミン(T)は、LNAモノマーとして容易に使用され、そしてこのものはまた本明細書中に示す(図16を参照)siRNA二重鎖中で使用することもできる。siLNAの末端において使用される塩基の性質は、それらが該分子中の塩基対形成位置を占有する場合には、相補的な塩基とハイブリダイズする能力を保持する限り、siRNA分子の官能性に有意に影響を及ぼさないと予想される。しかしながら、LNA改変が二重鎖の内部位置に位置する場合(例えば、10位(5’末端から数えて))には、核酸塩基の性質は重要であると予想しなければいけない。従って、天然の塩基であるCおよびUは、塩基の改変物、TおよびMeCよりもより小さい程度にまで二重鎖を乱すであろう。このことにより、わずかなデザインの可能性を供する。例えば、切断部位(例えば、10番目の位置)で該センス鎖を「ブロック」したい場合には、TまたはMeCを使用しなければならないが(相補的である場合)、しかし、切断部位(例えば、10位)で該アンチセンス鎖を改変するのが必要である場合には、UまたはCを使用すべきである(相補的である場合)。従って、本発明の1実施態様は、改変された核酸塩基を含むことである。該核酸塩基の妨害は、メチルよりもバルキーな基(例えば、エチル、プロピル、フェニル、またはビオチンなどのレポーター基)を用いることによって得ることができる。従って、RISC複合体または他の酵素による核酸塩基の区別された認識は、LNA改変siRNAの設計機会の余分なレベルを供する。従って、本発明の関心ある実施態様において、10位(5’末端から数えて)はTまたはMeCを含む。
【0111】
環境の変化および他の変化に対する速い応答を可能とするために、生物学的なシステムは典型的に、動力学的なシステム(すなわち、平衡状態をアクチベーターおよびデアクチベーター(deactivator)の両方の作用によって保つシステム)として構築する。従って、該RISC複合体に関心ある場合には、活性化された複合体(すなわち、標的の破壊を触媒する無傷のオリゴヌクレオチドを含有するタンパク質複合体)は、失活活性(例えば、例えば、該オリゴヌクレオチドの全てまたはその一部を除去し、その結果、活性化RISC複合体の機能を無能にする、ヌクレアーゼ活性)を受けることが予想され得る。あるいは、RISC複合体の失活は、RISC複合体からのオリゴヌクレオチドのオフ速度(これは、解離後に、再結合(reassociate)することができないかもしれない)によって簡単に測定することができる。
【0112】
従って、1つの関心ある態様において、本発明は、活性RISC複合体の寿命を増大し、その結果、その作用時間を増大するために、本明細書中に開示する化合物の使用に関する。本発明の1実施態様において、このことは、推定RNAse活性による分解に対するRISC複合体のRNA成分の耐性を増大することによるか、LNAおよび/または他の核酸アナログの取り込みによるか、あるいは化学的な改変によって、達成される。本発明の別の実施態様において、活性RISC複合体の寿命の所望する増大は、LNAおよび/または他の核酸アナログの導入によるRISC複合体からRNAオリゴヌクレオチドのオフ速度を低下させることによって、および/またはRISC複合体中の結合パートナーに対するオリゴヌクレオチドのアフィニティーを増大する化学的な改変によって、達成される。
【0113】
インヒビターとして設計する場合には、本発明のsiLNAは標的核酸と結合し、そしてその同族タンパク質の発現を調整する。該調整により、正常な発現レベルと比較して、少なくとも10%または少なくとも20%(少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%がより好ましい)の発現の阻害を与えることが好ましい。
【0114】
(製造)
本発明の化合物は、核酸化学の重合技術(これは、有機化学の分野における当業者にとってよく知られる)を用いて製造することができる。通常、ホスホロアミダイト方法の標準的な重合サイクル(S. L. BeaucageおよびR. P. Iyerによる, Tetrahedron, 1993, 49, 6123;並びに、S. L. BeaucageおよびR. P. Iyerによる, Tetrahedron, 1992, 48, 2223)を使用できるが、しかし、他の化学(例えば、H−ホスホネート化学またはホスホロトリエステル化学)をまた使用することができる。
【0115】
いくつかのモノマーについて、より長いカップリング時間、および/または新しい試薬との繰り返しカップリング、および/またはより濃縮したカップリング試薬の使用が、必要であり得る。しかしながら、我々の思いのままに、使用するホスホロアミダイトを十分な>97%の工程毎のカップリング収率でカップリングする。該ホスフェートのチオール化は、通常の酸化(すなわち、ヨウ素/ピリジン/H2O酸化)をビューケイジ(Beaucage)試薬(商業的に入手可能)を用いる酸化プロセスで交換することによって実施することができる。当業者にとって明らかである通り、他の硫黄化(sulphurisation)試薬を使用することができる。
【0116】
個々の鎖の精製は、廃棄可能な逆相精製カートリッジおよび/または逆相HPLCおよび/またはエタノールもしくはブタノールからの沈降を用いて行なうことができる。ゲル電気泳動、逆相HPLC、MALDI−MS、およびESI−MSを用いて、合成したLNA含有オリゴヌクレオチドの純度を確認することができる。その上、固定化された核酸塩基保護で且つ5’−OH保護のLNAを有する固体の支持物質は特に、LNA含有オリゴヌクレオチド(ここで、LNAモノマーは3’末端で含まれる)の合成に特に関心が持たれる。この目的のために、該固体の支持物質は、CPGまたはポリスチレン(3’−官能化され、場合により核酸塩基で保護され、そして場合により5’−OH保護されたLNAモノマーが連結される)であることが好ましい。該LNAモノマーは、ある固体の支持物質についての供給者によって述べられている条件を用いて、該固体の支持体と結合することができる。
【0117】
本発明の1態様は、本発明の化合物の製造のための新規な方法に関するものであって、このものは、個々のモノマー、例えばLNAモノマーおよびRNAモノマーを、1H−テトラゾールまたは5−エチルチオ−1H−テトラゾールを用いてカップリングすることを特徴とする。本態様の更なる実施態様は、該方法が200〜1200秒の範囲にある(例えば、400から1200秒の範囲にあり、600〜900秒の範囲にあることが好ましい)カップリング時間を含むものである、ことである。
【0118】
本発明に従って改変する標的は、多数の塩基性の生物学的な機序(例えば、赤血球の増殖、細胞増殖、イオン代謝、グルコースおよびエネルギー代謝、pH調節、およびマトリックス代謝を含む)に関与する標的であり得る。本明細書中に記載する本発明は、該処置が必要なヒトに治療学的に有効な量の標的調整siRNA化合物を含有する、癌を予防しまたは治療する方法を包含する。
【0119】
(治療および医薬組成物)
最初に説明した通り、本発明の化合物は、改善された性質を有する適当な薬物を構築する。強力で且つ安全なRNAi薬物の設計は、多様なパラメータ(例えば、アフィニティー/特異性、生物学的な液体中での安定性、細胞による取り込み、作用様式、薬物動態学的な性質、および毒性)の微調整(fine-tuning)を必要とする。
【0120】
従って、更なる態様において、本発明は、本発明の化合物および医薬的に許容し得る希釈物、担体またはアジュバントを含有する医薬組成物に関する。
【0121】
更に別の態様において、本発明は、薬物としての使用のための本発明の化合物に関する。
【0122】
投薬は処置する疾患状態の激しさおよび応答性、並びに処置の期間(数日間から数ヶ月にまで続くか、あるいは治癒が有効となるまでかまたは該疾患状態の軽減が達成されるまで)に依存することは理解されるであろう。最適な投薬スケジュールは、患者の身体中での薬物の蓄積の測定から算出することができる。最適な用量は、個々のsiLNAの相対的な効力に依存して変えることができる。通常、そのものは、インビトロおよびインビボでの動物モデルにおいて有効であることが分かる、EC50に基づいて見積もることができる。通常、用量は、体重kg当たり0.01μg〜1gであり、そしてこのものは、毎日、毎週、毎月、もしくは毎年1回以上、または2〜10年毎に1回、あるいは数時間から数ヶ月の間での連続的な注入によって与えることができる。投薬の反復速度は、身体の液体または組織中での該薬物の測定される存在(residence)時間および濃度に基づいて見積もることができる。成功処置後に、該疾患状態の再発を防止するために、該患者が維持療法を受けることが望まれ得る。
【0123】
(医薬組成物)
本発明はまた医薬組成物に関するものであって、このものは、活性成分として少なくとも1個の本発明の化合物を含む。本発明の医薬組成物は場合により医薬的な担体を含み、そして該医薬組成物は場合により更なる化合物(例えば、化学療法化合物、抗炎症化合物、抗ウイルス化合物および/または免疫調整化合物)を含む、と理解されるべきである。
【0124】
本発明に含まれるオリゴマー化合物は、様々な医薬的に許容し得る塩で使用することができる。本明細書中で使用する該用語は、塩(このものは、本明細書中で同定される化合物の所望する生物学的な活性を保持し、そして最小の所望しない毒物学的な効果を示す)を意味する。該塩の非限定的な例は、有機アミノ酸および塩基の付加塩;金属カチオン(例えば、亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウム、ナトリウム、カリウムなど)と形成する塩;または、アンモニア、N,N−ジベンジルエチレン−ジアミン、D−グルコサミン、テトラエチルアンモニウム、もしくはエチレンジアミンから生成するカチオンと形成する塩を含む。
【0125】
本発明の1実施態様においては、オリゴマー化合物は、プロドラッグの形態であり得る。オリゴヌクレオチドは、負に荷電したイオンによる。細胞膜の親油性の性質のために、オリゴヌクレオチドの細胞取り込みは、中性または親油性の等価物と比較して低下する。この極性「障害」は、プロドラッグ方法(例えば、Crooke, R. M. (1998) in Crooke, S. T. Antisense research and Application. Springer-Verlag, Berlin, Germany, 131巻, 頁103-140を参照)を用いることによって避けることができる。この方法において、該オリゴヌクレオチドは保護様式で製造し、その結果、該オリゴは投与の際に中性である。これらの保護基は、オリゴが細胞によって摂取されると除去され得るような様式で設計する。該保護基としては例えば、S−アセチルチオエチル(SATE)またはS−ピバロイルチオエチル(t−ブチル−SATE)である。これらの保護基はヌクレアーゼ耐性であり、そして細胞内で選択的に除去される。
【0126】
医薬的に許容し得る結合剤およびアジュバントは、製剤化された薬物の部を含み得る。カプセル剤、錠剤および丸剤などは、例えば以下の化合物を含み得る:結合剤としての微結晶性セルロース、ガムまたはゼラチン;賦形剤としてのデンプンおよびラクトース;滑沢剤としてのステアリン酸;様々な甘味剤または芳香剤。カプセル剤の場合には、投薬単位は液体担体(脂肪油など)を含み得る。糖類または腸溶剤の同様なコーティングは、該投薬単位の一部であり得る。該オリゴヌクレオチド製剤はまた、活性医薬成分およびミセル乳液を形成する脂質との乳剤であり得る。本発明の化合物は、所望する作用を損なわないいずれかの物質または所望する作用を補足する物質と一緒に混合することができる。これらは、例えば他のヌクレオチド化合物を含有する他の薬物を含む。非経口、皮下、皮内、または局所の投与の場合に、該製剤としては、減菌希釈剤、緩衝剤、張性の調節因子、および抗菌薬を含み得る。該活性化合物は、分解または身体からの速い排除を防止する担体(例えば、徐放性を有するインプラントまたはマイクロカプセルを含む)と一緒に製造することができる。静脈内投与の場合には、好ましい担体は、生理学的な生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水である。
【0127】
オリゴマー化合物は単位製剤のものを含むことが好ましく、例えばこのものは処置する患者において重大な副作用を引き起こすことなく、治療学的に有効な量を患者に運搬するのに十分な量での医薬的に許容し得る担体または希釈物中のものが挙げられる。
【0128】
本発明の医薬組成物は、局所または全身のどちらの処置が所望されるかにおよび処置する領域に応じた多数の方法で投与することができる。投与は、(a)経口(b)肺(例えば、散剤もしくはエアロゾル剤(例えば、ネブライザーを含む)の吸入もしくはガス注入による);気管内、鼻腔内;(c)局所(例えば、上皮、経皮、眼を含む)および粘膜(例えば、膣および直腸の運搬を含む);または、(d)非経口(例えば、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内もしくは筋肉内の注射もしくは注入);頭蓋内(例えば、くも膜下腔内もしくは脳室内の投与を含む)であり得る。1実施態様において、医薬組成物は、IV投与、IP投与、経口投与、局所投与するか、ボーラス注射として投与するか、または標的器官に直接投与する。局所投与のための医薬組成物および医薬製剤としては、経皮パッチ剤、軟膏、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、点滴剤、スプレー剤、坐剤、液剤および散剤を含み得る。通常の医薬的な担体、水性基剤、粉末基剤または油性基剤、増粘剤などが、必要でありまたは所望し得る。コーティングされたコンドーム、グローブなどもまた、有用であり得る。好ましい局所用製剤としては、本発明の化合物が局所用運搬剤(例えば、脂質、リポソーム、脂肪酸、脂肪酸エステル、ステロイド、キレート剤および界面活性剤など)と混合されているものを含む。経口投与用の組成物および製剤としては、例えば散剤または顆粒剤、マイクロ粒子、ナノ粒子、水もしくは非水性媒質中の懸濁剤もしくは溶液剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、分包(sachet)、錠剤またはミニ錠剤などを含むが、これらに限定されない。非経口投与、髄腔内投与または脳室内投与用の組成物および製剤としては滅菌水溶液剤を含み得るが、このものはまた緩衝剤、希釈剤および他の適当な添加剤(例えば、浸透促進剤、担体化合物および他の医薬的に許容できる担体または賦形剤などであるが、これらに限定されない)を含み得る。
【0129】
本発明の医薬組成物としては、例えば液剤、乳剤、およびリボーソーム含有製剤を含むが、これらに限定されない。これらの組成物は、様々な成分(例えば、既製の液体、自己乳化性固体および自己乳化性半固体を含むが、これらに限定されない)から製造することができる。腫瘍組織への薬物の運搬は、担体媒介性運搬(例えば、カチオンリポソーム、シクロデキストリン、ポルフィリン誘導体、分岐鎖デンドリマー、ポリエチレンイミンポリマー、ナノ粒子およびミクロスフェアを含むが、これらに限定されない)によって増大し得る(Dass C. R.による, J Pharm Pharmacol 2002;54(1): 3-27)。本発明の医薬製剤(このものは、単位投薬形態で便利に供し得る)は、製薬産業においてよく知られる通常の技術に従って製造することができる。該技術としては、活性化成分を医薬的な担体または賦形剤と組み合わせる工程を含む。一般に製剤は、活性成分を液体担体もしくは微細に分けた固形担体またはその両方と均一かつ十分に混合した後、必要であれば製品を成型することによって製造する。本発明の組成物は、多数のあり得る投薬形態のいずれか(例えば、錠剤、カプセル剤、ゲルカプセル剤、液状シロップ剤、ソフトゲル剤および坐剤などを含むが、これらに限定されない)に製剤化し得る。本発明の組成物はまた、水性、非水性媒質、または混合媒質中での懸濁剤としても製剤化し得る。水性懸濁剤は更に、懸濁剤の粘性を増大する物質(例えば、カルボキシメチルセルロース、ソルビトールおよび/またはデキストランを含む)を含み得る。該懸濁液剤はまた、安定化剤を含み得る。本発明の化合物はまた、活性薬物物質(例えば、アスピリン、イブプロフェン、サルファ剤、抗糖尿病剤、抗菌剤または抗生物質)とも接合し得る。
【0130】
別の実施態様において、本発明の組成物は、1個以上のsiLNA化合物(このものは、第1の核酸を標的化する)および1個以上の別のsILNA化合物(このものは、第2の核酸標的を標的化する)を含み得る。2個以上の組み合わせ化合物は、一緒にまたは連続的に使用することができる。
【0131】
本明細書中に開示する化合物は、上記の多数の治療学的な利用法に有用である。通常、本発明の治療学的な方法としては例えば、治療学的に有効な量のsiLNAを哺乳動物(特に、ヒト)に投与することを含む。ある実施態様において、本発明は、(a)1個以上の本発明の化合物、および(b)1個以上の化学療法剤、を含有する医薬組成物を提供する。本発明の化合物と一緒に使用する場合には、該化学療法剤は、個別に、連続して、または1個以上の他の該化学療法剤もしくは放射線療法と組み合わせて使用することができる。当該分野における当業者にとって知られる全ての化学療法剤は、本発明載の化合物との組み合わせ処置として本明細書中に包含する。他の活性剤(例えば、抗炎症性薬)(このものは例えば、非ステロイド性抗炎症性薬およびコルチコステロイド、抗ウイルス薬、および免疫調整薬を含むが、これらに限定されない)はまた、本発明の組成物中で組み合わせることができる。2個以上の組み合わせ化合物は、一緒にまたは連続して使用することができる。
【0132】
(癌)
更になお別の態様において、本発明は、癌の処置のための医薬の製造における本発明の化合物の使用に関する。別の態様において、本発明は、癌の治療または予防のための方法に関し、該方法は、本発明の化合物または本発明の医薬組成物を処置が必要な患者に投与することを含む。
【0133】
該癌としては例えば、リンパ網内性新生物(lymphoreticular neoplasia)、リンパ芽球性白血病(lymphoblastic leukemia)、脳腫瘍、胃癌、プラズマ細胞腫(plasmacytomas)、多発性骨髄腫、白血病、結合組織腫瘍、リンパ腫、および固形腫瘍を含む。
【0134】
癌の処置のための医薬の製造における本発明の化合物の使用において、該癌は、固形腫瘍の形態であることが適当であり得る。同様に、本明細書中に開示する癌の処置方法において、該癌は固形腫瘍の形態であることが適当であり得る。
【0135】
その上、該癌はまた好適には、癌腫である。該癌腫は典型的に、悪性黒色腫、基底細胞癌、卵巣癌、乳癌、非小細胞肺癌、腎細胞癌、膀胱癌、再発性表在性膀胱癌、胃癌、前立腺癌、膵癌、肺癌、子宮頸癌、子宮頚部形成異常、咽頭乳頭腫症、結腸癌、および腎細胞癌からなる群から選ばれる。より典型的には、該癌腫は、悪性黒色腫、非小細胞肺癌、乳癌、結腸癌および腎細胞癌からなる群から選ばれる。悪性黒色腫は典型的には、表在拡大型黒色腫、結節型黒色腫、悪性黒子型黒色腫、先端黒色腫、メラニン欠乏症黒色腫および線維硬化性黒色腫からなる群から選ばれる。
【0136】
癌は好適には肉腫であり得る。肉腫は、典型的には骨肉腫、ユーイング肉腫、軟骨肉腫、悪性線維性組織球腫、線維肉腫およびカポジ肉腫からなる群より選ばれる形態をとる。
【0137】
あるいは、癌は好適には神経膠腫であり得る。
【0138】
更なる実施態様は、癌の処置のための医薬の製造における本発明に記載する化合物の使用に関し、ここで、該医薬は更に、副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン、デキサメタゾンまたはデカドロン);アルトレタミン(へキサレン、ヘキサメチルメラミン(HMM));アミフォスチン(エチロール);アミノグルテチミド(シタドレン);アムサクリン(M−AMSA);アナストロゾール(アリミデックス);アンドロゲン(例えば、テストステロン):アスパラギナーゼ(エルスパル);バシラスカルメッテ−グリン;ビカルタミド(カソデックス);ブレオマイシン(ブレオキサン);ブスルファン(ミレラン);カルボプラチン(パラプラチン);カルムスチン(BCNU、BiCNU);クロラムブシル(ルークラン);クロロデオキシアデノシン(2−CDA、クラドリビン、ロイスタチン);シスプラチン(プラチノール);シトシンアラビノシド(シタラビン);ダカルバジン(DTIC);ダクチノマイシン(アクチノマイシン−D、コスメゲン);ダウノルビシン(セルビジン);ドセタキセル(タキソテール);ドキソルビシン(アドリアマイシン);エピルビシン;エストラムスチン(emcyt);エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール(DES));エトポシド(VP−16、ベプシド、エトホホス);フルダラビン(フルダラ);フルタミド(ユーレクシン);5−FUDR(フロキシウリジン);5−フルオロウラシル(5−FU);ゲムシタビン(ジェムザール);ゴセレリン(ゾダレックス);ハーセプチン(トラスツズマブ);ヒドロキシ尿素(ハイドレア);イダルビシン(イダマイシン);イホスファミド;IL−2(プロリュウキン、アルデスリュウキン);インターフェロンアルファ(イントロンA、ロフェロンA);イリノテカン(カンプトスター);ロイプロリド(ループロン);レバミソール(エルガミソール);ロムスチン(CCNU);メクロラタミン(ムスタルゲン、ナイトロジェンマスタード);メルファラン(アルケラン);メルカプトプリン(ピュリネソール、6−MP);メトトレキセート(メキセート);マイトマイシン−C(ムタムシン);ミトキサントロン(ノバントロン);オクトレオチド(サンドスタチン);ペントスタチン(2−デオキシコホルマイシン、ニペント);プリカマイシン(ミトラマイシン、ミタラシン);プロロカルバジン(マツラン);ストレプトゾシン;タモキシフェン(ノルバデックス);タキソール(パクリタキセル);テニポシド(ブモン、VM−26);チオテパ;トポテカン(ハイカムチン);トレチノイン(ベサノイド、オールトランスレチノイン酸);ビンブラスチン(バルバン);ビンクリスチン(オンコビン);および、ビノレルビン(ナベルビン)からなる群から選ばれる化学療法剤を含む。該更なる化学療法剤は、タキソール、パクリタキセル、またはドセタキセルなどのタキサンから選ばれることが好ましい。
【0139】
同様に、本発明は更に、癌の処置のための医薬の製造における本発明に記載の化合物の使用に関し、ここで、該処置は更に、副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン、デキサメタゾンまたはデカドロン);アルトレタミン(へキサレン、ヘキサメチルメラミン(HMM));アミフォスチン(エチロール);アミノグルテチミド(シタドレン);アムサクリン(M−AMSA);アナストロゾール(アリミデックス);アンドロゲン(例えば、テストステロン):アスパラギナーゼ(エルスパル);バシラスカルメッテ−グリン;ビカルタミド(カソデックス);ブレオマイシン(ブレオキサン);ブスルファン(ミレラン);カルボプラチン(パラプラチン);カルムスチン(BCNU、BiCNU);クロラムブシル(ルークラン);クロロデオキシアデノシン(2−CDA、クラドリビン、ロイスタチン);シスプラチン(プラチノール);シトシンアラビノシド(シタラビン);ダカルバジン(DTIC);ダクチノマイシン(アクチノマイシン−D、コスメゲン);ダウノルビシン(セルビジン);ドセタキセル(タキソテール);ドキソルビシン(アドリアマイシン);エピルビシン;エストラムスチン(emcyt);エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール(DES));エトポシド(VP−16、ベプシド、エトホホス);フルダラビン(フルダラ);フルタミド(ユーレクシン);5−FUDR(フロキシウリジン);5−フルオロウラシル(5−FU);ゲムシタビン(ジェムザール);ゴセレリン(ゾダレックス);ハーセプチン(トラスツズマブ);ヒドロキシ尿素(ハイドレア);イダルビシン(イダマイシン);イホスファミド;IL−2(プロリュウキン、アルデスリュウキン);インターフェロンアルファ(イントロンA、ロフェロンA);イリノテカン(カンプトスター);ロイプロリド(ループロン);レバミソール(エルガミソール);ロムスチン(CCNU);メクロラタミン(ムスタルゲン、ナイトロジェンマスタード);メルファラン(アルケラン);メルカプトプリン(ピュリネソール、6−MP);メトトレキセート(メキセート);マイトマイシン−C(ムタムシン);ミトキサントロン(ノバントロン);オクトレオチド(サンドスタチン);ペントスタチン(2−デオキシコホルマイシン、ニペント);プリカマイシン(ミトラマイシン、ミタラシン);プロロカルバジン(マツラン);ストレプトゾシン;タモキシフェン(ノルバデックス);タキソール(パクリタキセル);テニポシド(ブモン、VM−26);チオテパ;トポテカン(ハイカムチン);トレチノイン(ベサノイド、オールトランスレチノイン酸);ビンブラスチン(バルバン);ビンクリスチン(オンコビン);および、ビノレルビン(ナベルビン)からなる群から選ばれる更なる化学療法剤の投与を含む。好適には、該処置は更に、例えばタキソール、パクリタキセル、またはドセタキセルなどのタキサンから選ばれる更なる化学療法剤の投与を含む。
【0140】
別に述べると、本発明は更に癌の処置方法に関し、ここで、該方法は本発明の化合物または本発明の医薬組成物を処置が必要な患者に投与することを含み、そして更に更なる化学療法剤の投与を含む。該更なる投与は、該更なる化学療法剤が本発明の化合物と接合し、医薬組成物中に存在し、または別個の製剤として投与されるようにすることもできる。
【0141】
(感染性疾患)
本発明の特に関心ある実施態様において、本発明のsiLNA化合物は、重症急性呼吸器症候群(SARS)(このものは、2002年11月に中国において最初に出現した)を標的とするために使用する。WHOによれば、8,000人を超える人々が世界中で感染し、その結果、900人以上が死亡した。これまでに未知のコロナウイルスが、SARS伝染病の原因物質として同定された(Drosten Cらによる, N. Engl. J. Med. 2003, 348, 1967-76;および、Fouchier R.A.らによる, Nature 2003, 423, 240)。SARS−CoVの同定は、多数の単離物のウイルスゲノムの速やかな配列決定による(Ruanらによる, Lancet 2003, 361, 1779-85;Rota P. A.らによる, Science 2003, 300, 1394-9;および、Marra M. A.らによる, Science 2003, 300, 399-404)。この配列情報は、核酸ベースのノックダウン技術によるSARS抗ウイルス剤(例えば、siRNA)の開発を直ぐに可能とした。SARS−CoV RNA依存性RNAポリメラーゼをコードするヌクレオチド配列(Pol)は、コロナウイルスファミリー全般にわたって高く保存される。該Pol遺伝子産物は、ポリタンパク質の一部としてゲノムRNAから翻訳され、そしてマイナス鎖RNAおよびその後にサブゲノムmRNAを合成する鋳型として、ゲノムRNAを使用する。従って、該Polタンパク質は、ウイルスのライフサイクルにおいて早期に発現し、そしてウイルス複製にとって重要である(図10を参照)。
【0142】
従って、更なる別の態様において、本発明は、重症急性呼吸器症候群(SARS)の処置のための医薬の製造における本発明の化合物の使用、並びに重症急性呼吸器症候群(SARS)の処置方法に関し、ここで、該方法は、本発明の化合物または本発明の医薬組成物を処置が必要な患者に投与することを含む。
【0143】
本発明の化合物は、広範囲な感染性疾患(例えば、ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、B型肝炎、インフルエンザ菌(hemophilus influenza)、はしか、おたふく風邪、および風疹)に広く利用可能である。
【0144】
従って、更に別の態様において、本発明は、感染性疾患の処置のための医薬の製造における本発明の化合物の使用、並びに感染性疾患の処置方法に関し、ここで、該方法は、本発明の化合物または本発明の医薬組成物を処置が必要な患者に投与することを含む。
【0145】
(炎症性疾患)
炎症性応答は、感染性物質の攻撃に対する生物の本質的な防御機序であって、そしてそのものはまた、多数の急性および慢性の疾患(例えば、自己免疫疾患を含む)の病因にも関係する。病原と闘うのに必要とされるのにもかかわらず、炎症性バースト(inflammatory burst)の効果は壊滅的となり得る。従って、抗炎症薬の使用により炎症の総体症状を制限するのが必要なことも多い。炎症は、組織損傷(このものは、多数の群の(a large array)酵素の活性化、血管透過性の増大、および血液の血管外遊出を含む)によって通常トリガーされる複雑なプロセスである。
【0146】
更に別の態様において、本発明は、炎症性疾患の処置のための医薬の製造における本発明の化合物の使用、並びに炎症性疾患の処置方法に関し、ここで、該方法は、本発明の化合物または本発明の医薬組成物を処置が必要な患者に投与することを含む。
【0147】
本発明の好ましい実施態様において、炎症性疾患は、リウマチ疾患および/または結合組織疾患であり、例えば関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)もしくはループス、強皮症、多発性筋炎、炎症性腸疾患、皮膚筋炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、血管炎、乾癬性関節炎、剥脱性乾癬性皮膚炎(exfoliative psoriatic dermatitis)、尋常性天疱瘡およびシェーグレン症候群(Sjorgren's syndrome)(特に、炎症性腸疾患およびクローン病)である。
【0148】
あるいは、炎症性疾患は、非リウマチ性炎症(例えば、滑液包炎、滑膜炎、被膜炎、腱炎、および/または外傷性および/または突然変異性(sportive)起源の他の炎症性病変など)であり得る。
【0149】
(他の用途)
本発明のsiRNA化合物は、診断薬、治療薬および予防薬のための研究試薬として使用することができる。研究では、細胞および実験動物における標的遺伝子の合成を特異的に阻害し、その結果、標的の機能解析または治療的挿入物の標的としてのその有用性の評価を容易にするために、siRNAを使用することができる。診断薬の場合は、ノーザンブロット法、インサイチューハイブリダイゼーションまたは同様の技術によって、細胞および組織における標的発現を検出しおよび定量化するために、siRNAオリゴヌクレオチドを使用することができる。治療薬の場合は、標的の発現を調整することによって処置することができる疾患または障害を持つと予想される動物またはヒトを、本発明に従ってsiRNA化合物を投与することによって処置する。さらに、標的の発現に関係する疾患または病状を有するかまたはそのような疾患または病状を患い易いと予想される動物(特に、マウスおよびラットならびにヒト)を、治療学的な有効量または予防学的な有効量の1個以上の本発明のsiRNA化合物または本発明の組成物を投与することによって、処置する方法をも提供する。
【0150】
本発明は更に、以下の実施例によって非限定的な様式で例示する。
(実施例)
【数1】
【0151】
(実施例1:モノマー合成)
LNAモノマーの製造は、引用文献:Koshkinらによる, J. Org. Chem., 2001, 66, 8504-8512、およびPedersenらによる, Synthesis, 2002, 6, 802-809、並びにそれらの中に記載されている刊行物中で非常に詳しく記載されている。ZおよびZ*保護基がオキシ−N,N−ジイソプロピル−O−(2−シアノエチル)ホスホロアミダイトおよびジメトキシトリチルオキシである場合には、該化合物は、WO 03/095467;Pedersenらによる, Synthesis 6, 802-808, 2002;Sorensenらによる, J. Am. Chem. Soc., 124, 2164-2176, 2002;Singhらによる, J. Org. Chem. 63, 6078-6079, 1998;および、Rosenbohmらによる, Org. Biomol. Chem. 1, 655-663, 2003に記載されている通り製造した。全てのシトシン含有モノマーは、全カップリングについて5−メチル−シトシンモノマーで置き換えた。使用した全てのLNAモノマーは、ベータ−D−オキシLNA(化合物3A)であった。
【0152】
(実施例2:オリゴヌクレオチド合成)
全ての合成は、MOSS Expedite instrument platform上で1μmolスケールで行なった。該合成方法は、装置マニュアル中に実質的に記載されている通り行なった。
【0153】
(LNAスクシニルヘミエステルの製造)
5'−O−DMT−3''−ヒドロキシ−LNAモノマー(500mg)、無水コハク酸(1.2当量)およびDMAP(1.2当量)をDCM(35mL)に溶解した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。NaH2PO4,0.1M,pH5.5(2回)および食塩水(1回)で抽出した後、該有機層を更に無水Na2SO4で乾燥し、ろ過し、そして蒸発した。該ヘミエステル誘導体を95%収率で得て、そしてこれをさらに精製することなく使用した。
【0154】
(LNA−CPG(微細孔性ガラス)の製造)
上で製造したヘミエステル誘導体(90μmol)を最少量のDMFに溶解した。DIEAおよびpyBOP(90μmol)を加え、そして一緒に1分間混合した。このプレ活性化混合物を手動合成装置中でLCAA−Cpg(500Å、80〜120メッシュサイズ、300mg)と混合し、そして撹拌した。室温で1.5時間撹拌後に、支持体をろ過して除き、DMF、DCMおよびMeOHで洗浄した。乾燥後に、ロード量は57μmol/gと測定した(Tom Brown, Dorcas J. S. Brownによる, Modern machine-aided methods of oligodeoxyribonucleotide synthesis. In;F. Eckstein編, Oligonucleotides and Analogues A Practical Approach. Oxford: IRL Press, 1991: 13-14を参照)。
【0155】
(ホスホロチオエートサイクル)
CPGと結合した5'−O−DMT(A(bz)、C(bz)、G(ibu)、またはT)を、ジクロロメタン中の3%(容量比)のトリクロロ酢酸溶液を用いて脱保護した。該CPGは、アセトニトリルを用いて洗浄した。ホスホロアミダイト(A(bz)、G(ibu)、5−メチル−C(bz))またはT−β−シアノエチルホスホロアミダイト)のカップリング反応は、5’−O−DMT−保護アミダイトのアセトニトリル溶液(0.08M)を使用することによって実施し、そして活性化はアセトニトリル中のDCI(4,5−ジシアノイミダゾール)(0.25M)を用いることによって行なった。該カップリング反応は、2分間行なった。チオール化は、ビューケイジ試薬(0.05Mのアセトニトリル溶液)を用いることによって行ない、そしてこのものを3分間反応させた。該支持体をアセトニトリルを用いて洗浄し、そしてその後のキャップ化(capping)は、標準溶液(CAP A)および(CAP B)を用いることによって行なって、未反応の5’−ヒドロキシル基をキャップする。次いで、該キャップ化工程は、アセトニトリル洗浄によって停止した。
【0156】
(LNA単位サイクル)
CPGと結合した5’−O−DMT(A(bz)、G(ibu)、またはT)を、上記と同じ方法を用いることによって脱保護した。カップリング反応は、5’−O−DMT−A(bz)、C(bz)、G(ibu)、またはT−β−シアノエチルホスホロアミダイト(0.1Mのアセトニトリル溶液)を用いることによって実施し、そして活性化はDCI(0.25Mのアセトニトリル溶液)によって行なった。該カップリング反応を、7分間行なった。キャップ化は、標準溶液(CAP A)および(CAP B)を30秒間用いることによって行なった。該ホスファイトトリエステルを、I2およびピリジンのTHF標準溶液を30秒間用いることによって、より安定なホスフェートトリエステルに酸化した。該支持体をアセトニトリルを用いて洗浄し、そしてキャップ化工程を繰り返した。該サイクルは、アセトニトリル洗浄によって停止した。
【0157】
(切断および脱保護)
該オリゴヌクレオチドを該支持体から切断し、そして該支持体を35%NH4OHを用いて室温で1時間処理することによって、β−シアノエチル保護基を除去した。該支持体をろ過して除き、そして温度を65℃まで4時間かけて昇温することによって、該塩基保護基を除去した。次いで、アンモニアを蒸発によって除去した。
【0158】
(精製)
該オリゴを、逆相−HPLC(RP−HPLC)またはアニオン交換クロマトグラフィー(AIE)のいずれかによって精製した。
【表1】
【表2】
【0159】
(Tm測定)
融解曲線は、PTP−6ペルチェ(peltier)システムと連結したパーキンエルマーUV/VIS分光光度計ラムダ40を用いて記録した。オリゴヌクレオチドを、濃度が1.5μMで経路長1cmのセルを用いて、塩緩衝液(10mM リン酸緩衝液、100mM NaCl、0.1mM EDTA、pH 7.0)中に溶解した。試料を95℃で3分間変性し、そしてこのものを測定前に20℃までゆっくりと冷却した。融解曲線は、加熱速度を1℃/分で、スリットが2nmおよび応答が0.2秒で用いて、260nmで記録した。Tm値は、該融解曲線の第1微分(derivative)の最大値から得た。
【0160】
(実施例3:LNA/RNAオリゴヌクレオチドの製造)
(製造)
LNA/RNAオリゴヌクレオチドは、自動核酸合成装置(MOSS Expedite 8909)を用いておよび標準試薬を用いて、1.0μmolスケールでDMT−オフ(off)合成した。1H−テトラゾールまたは5−エチルチオ−1H−テトラゾールを、アクチベーターとして使用した。該LNA ABz、GiBuおよびTホスホラミダイト濃度は、無水アセトニトリル中で0.1Mとした。該MeCBzを、15%のTHF/アセトニトリル中に溶解した。全モノマーのカップリングについてのカップリング時間は、600秒とした。該RNAホスホラミダイト(Glen Research, Sterling, Virginia)は、N−アセチルおよび2’−O−トリイソプロピルシリルオキシメチル(TOM)で保護した。該モノマー濃度は0.1M(無水アセトニトリル)とし、そしてカップリング時間は900秒とした。該酸化時間は、50秒にセットした。該固体の支持体は、DMT−LNA−CPG(1000Å、30〜40μmol/g)であった。
【0161】
(ワークアップおよび精製)
樹脂からの切断および核酸塩基/ホスフェート脱保護は、メチルアミン溶液(33%メチルアミン/エタノール:40%メチルアミン/水の1:1)(1.5mL)を用いて35℃で6時間または終夜放置することで処理することによって減菌管中で行なった。該管を遠心分離し、そして該メチルアミン溶液を第2の減菌管に移した。該メチルアミン溶液を、真空遠心分離機中で蒸発させた。2’−O−保護基を除去するために、該残渣を1.0M TBAF/THF(1.0mL)中に溶解し、そしてこのものを55℃にまで15分間加熱し、そして35℃で終夜放置した。該THFを真空遠心分離機中で蒸発させることにより、明黄色ガムが残り、このものをRNaseなしの1.0Mトリス緩衝液(pH7)(600μL(試料の総容量:1.0mL))を用いて中和した。該混合物を振り混ぜることによって均一とし、そして65℃まで3分間加熱した。該オリゴヌクレオチドの脱塩は、NAP−10カラム(Amersham Biosciences社製、以下を参照)を用いて行なった。工程4(以下を参照)からのろ液を集め、そしてこのものをMALDI−TOFおよびゲル電気泳動(16%シークエンシングのアクリルアミドゲル(1mm)、0.9%TBE[トリス:89mM、ホウ酸:89mM、EDTA:2mM、pH8.3]緩衝液)によって分析し、制限パラメータとして20Wで2時間操作した。該ゲルを、サイバーゴールド(CyberGold)(Molecular Probes社製、0.9×TBE中に1:10000)中で30分間染色し、続いてBio−Rad FX画像処理装置中でスキャンした。該オリゴヌクレオチドの濃度は、UV分光光度計によって260nmで測定した。
【表3】
【0162】
当業者によって認められるであろうが、標準的な方法と比較してLNA/RNAオリゴの合成における最も重要な問題は、以下の通りである:i)良好なカップリング効率を達成するのに、長時間のカップリング時間が必要であること;および、ii)欠失断片の生成を最少とするために、酸化時間を延長しなければいけないこと。その上、2’−O−TOM保護ホスホラミダイトのカップリングは、2’−O−TBDMSよりも優れていた。このことを考慮すると、粗オリゴヌクレオチドは、更なる精製を回避することができるような質とした。MS分析は、TOM基を除去した後に行なうべきである。
【0163】
(実施例4:siRNAと比較したsiLNAの安定性の改善)
siRNAと比較したsiLNAの改善された安定性を、図2に示す。両方のわずかにおよびより高度に改変したsiRNAは、安定性の改善を示した。安定性は、生理学的な食塩水溶液中に希釈した10%胎仔ウシ血清中で評価した。該siRNAおよびsiLNAを、該血清中で37℃でインキュベートした。標本を異なる時間で取り出し、そしてこのものを15%ポリアクリルアミドTBEゲルを用いて分析し、そしてSYBR−ゴールド(gold)(Molecular probes社製)を用いて染色した。バンドを定量化し、そしてこのものをグラフにプロットした。未改変siRNA化合物については、中間体のバンドの蓄積を見ることができ(dsRNAおよびssRNAの間に)、二重鎖19マー、すなわち分解された3’オーバーハングを有するsiRNAであることが同定された。このことは、対応するsiLNAの場合には観察されなかった。
【0164】
(実施例5:哺乳動物レポーターシステムにおけるsiLNAの設計の試験)
異なるsiRNAデザインおよび組み合わせの効力は、哺乳動物細胞培養物中のルシフェラーゼレポーター(reported)システム中で最初に評価した。使用するオリゴヌクレオチドを、表1に示す。センスおよび対応アンチセンスのオリゴヌクレオチドをハイブリダイズして、二重鎖(すなわち、siRNAまたはsiLNA)を得た。
【0165】
使用する細胞は、ヒト胎児由来腎臓(HEK)293セルラインであった。HEK293細胞を、DMEM(Invitorogen社製, Paisely, UK)(このものは、10%胎仔ウシ血清、ペニシリン、ストレプトマイシンおよびグルタミンを用いて補足する)中で保った。該プラスミドは、SV40プロモーターおよびエンハンサーのコントロール下でホタルルシフェラーゼをコードするpGL3−コントロールとし、そしてHSV−TKプロモーターのコントロール下でウミシイタケルシフェラーゼをコードするpRL−TKとした。
【0166】
(トランスフェクション)
トランスフェクションの1日前に、細胞を24ウェルプレート中、500μLの培地中に播種し、接着させ、そしてトランスフェクション時点で集密を70〜90%にまで到達させた。細胞を抗体のない培地中に播種し、そしてトランスフェクションミックスを細胞に加える直前に、Opti−MEM I(500μL)に変えた。標準的な同時トランスフェクション混合物は、pGL3−コントロール(510ng)、pRL−TK(51ng)およびsiRNA(340ng)をOpti−MEM I(インビトロゲン社(Invitrogen)製)(150μL)に、およびリポフェクタミン(LipofectAMINE)2000(インビトロゲン社製)(3μL)を別のOpti−MEM I(150μL)に別々に加えることによって、3組のウェルとして調製した。該2個の溶液を混合し、そしてこのものを室温で20〜30分間インキュベートし、その後にこのものを該細胞に加えた。該トランスフェクションミックス(100μL)を、該3個のウェルの各々に加えた。該媒地+トランスフェクションミックスの最終的な容量は、600μLであった。該siLNAまたはsiRNAの濃度は、約13nMに相当した。細胞を該トランスフェクションミックスと一緒に4時間インキュベートし、次いで該培地を十分に補足したDMEMに変えた。
【0167】
(デュアル−ルシフェラーゼレポーターアッセイ(プロメガ(Promega)社製))
細胞を受動溶解緩衝液(passive lysis buffer)中で収集し、そしてこのものを、基質ディスペンサー(substrate dispenser)(BMG Labtechnologies社製, Offenburg, 独国)を有するNovoSTAR 96ウェルフォーマット・ルミノメーターを用いて、プロトコール(プロメガ社製)に従ってアッセイした。試料(10μL)を96ウェルプレートの各ウェル中に適用し、そしてルシフェラーゼアッセイ試薬II(ホタルルシフェラーゼについての基質)(50μL)をルミノメーターによってウェルに加え、そして測定した。次いで、ストップ・アンド・フロー(Stop and Glow)(ホタルルシフェラーゼの場合のストップ溶液およびウミシイタケルシフェラーゼの場合の基質)(50μL)を加え、そして測定した。10秒間測定したルシフェラーゼ活性の平均値を用いて、ホタルルシフェラーゼとウミシイタケルシフェラーゼとの間の比率またはその逆を計算した。
【0168】
(実施例6:インビトロモデル:内因的な標的に及ぼす効力の評価)
使用する細胞は、ラットの副腎褐色細胞腫、PC12セルラインである。PC12を、DMEM(このものは、10%ウマ血清、5%胎仔ウシ血清、ペニシリン、ストレプトマイシン(streptomycine)およびグルタミンを用いて補足する)中に保った。内因性遺伝子(PC12細胞中のNPYなど)についての該siLNAまたはsiRNAトランスフェクションプロトコールは上記の同じ方法に従うが、ルシフェラーゼプラスミドなしで且つNPYを標的とするsiRNAを加えるのみとする(その理由は、NPY遺伝子はPC12細胞中で内因的に発現するからである)。最終的なsiLNAまたはsiRNAの濃度は、1〜100nMの範囲内である。細胞を通常、トランスフェクトの24〜48時間後に収集し、そしてmRNAを抽出した。mRNAレベルをリアルタイムPCRを用いて測定した。PC12中での該NPY標的の下方調節を、図3に示す。
【0169】
(実施例7:インビトロモデル:標的の阻害の分析)
(リアルタイムPCRによる発現)
標的のsiLNAまたはsiRNAの遺伝子サイレンシングは、当該分野において知られる様々な方法でアッセイすることができる。例えば、標的mRNAレベルは、例えばノーザンブロット分析、競争的ポリメラーゼ連鎖反応(competitive polymetargete chain reaction)(PCR)またはリアルタイムPCRによって定量した。リアルタイム定量PCRが、現在好ましい。RNA分析は、全細胞RNAまたはmRNAについて行なうことができる。RNA単離およびRNA分析の方法(例えば、ノーザンブロット分析)は当該分野においてルーチンであり、そしてこのものは例えば、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons中で教示されている。
【0170】
細胞を収集し、そしてmRNAを抽出した。標準的なリアルタイムPCRプロトコールを用いて、遺伝子特異的なプライマー、および内部コントロールとしてのハウスキーピング遺伝子に対するプライマー対(例えば、サイクロフィリン)と一緒に、mRNAから増幅した。下方調節を、コントロールmRNAの量に対する標的mRNAの量の比率として表現した。リアルタイム定量(PCR)を、商業的に入手可能なiQマルチカラーリアルタイム(Multi-Color Real Time)PCR検出システム(BioRAD社製)を用いて容易に達成することができる。
【0171】
(実施例8:インビトロ分析:siLNAオリゴヌクレオチドによるレポーター標的発現のSiRNA阻害)
LNAモノマーを用いて、siRNAと比較した効果を維持しながら(未処理の試料と比較してホタルルシフェラーゼ発現を>90%阻害)、siRNA中のセンス鎖の両末端を改変することができる。該アンチセンス鎖はまた、効果の低下なしで3’末端で改変することができ、一方でアンチセンス鎖の5’末端での改変は該効果を25〜50%の阻害まで低下した。該センス鎖中の全てのウラシル含有残基をLNAチミンに交換することによって、該効果を80%阻害まで低下させた。該アンチセンス鎖の同様な改変は、該効果を消滅させた(図4)。siLNAアンチセンス鎖の5’末端のリン酸化は、該低下を改善しなかった(20〜30%の低下、データは示さない)。ウミシイタケルシフェラーゼを標的とする同様な実験は、センス鎖の両末端をLNAモノマーで改変することができ、一方でアンチセンス鎖は3’末端LNAモノマー改変を許容するが(全ての場合で95%阻害)、しかし3’末端および5’末端でのLNA改変の両方について阻害の低下を示した。75%までの阻害が観察された(図5)。LNA/RNAの安定性は、100%ラット血清中での全てのRNAウラシルからLNAチミジンのオリゴ(2189)について測定し、ここで、該安定性は裸DNAオリゴと同様であった。非改変RNA一本鎖(GL−3)および非改変二重鎖(GL3+/−)は、0時で既に分解した(図6)。
【0172】
(実施例9:SiLNAによる内因的な(Endogenious)標的のsiRNAの阻害)
(細胞毒性の阻害)
細胞を、siRNAもしくはsiLNAのそれぞれ(85nM)(SARS1〜4、図7を参照)、ホタルルシフェラーゼ遺伝子(Luc)もしくはラット神経ペプチドY(NPY)遺伝子を標的とするコントロールsiRNAを用いてトランスフェクトした。モックのトランスフェクト細胞をリポフェクタミン2000だけを用いて処理し、そしてこのものを正コントロールとして使用した。非感染性細胞を、負コントロールとして含む。トランスフェクト細胞を、SARS−CoVの60,000、6,000または600のTCID50のいずれかを用いて感染させた。感染の50時間後に、該CPEおよび細胞毒性を測定した。モックのトランスフェクト細胞と比較して最も有効なsiRNA、SARS 1を用いて処理した細胞間でのCPEには、著しい差違が存在した(図8)。該細胞毒性を、モックのトランスフェクトコントロール細胞と比較した、処理細胞からのLDH放出パーセントとして測定した。細胞毒性の阻害パーセントは、siRNA処理試料における細胞毒性パーセントを100として算出した。4個のPol特異的なsiRNAおよびsiLNAは、細胞毒性における様々な効果を有した(図9)。最も有効なsiRNAおよびsiLNAはSARS 1部位を標的とするものであり、このものは細胞毒性を600 TCID50で65%にまで低下した。該SARS 3部位は、全て3つのウイルス用量でsiRNAを用いた場合に中位に有効であった。しかしながら、SARS 3はまた、全ての3つのウイルス用量でsiLNAを用いることによって、SARS 1と同じく有効な部位であった。該SARS 2部位およびSAR 4部位は、いずれかのウイルス用量でsiRNAまたはsiLNAによるいずれかの効果をも示さなかった。該データは、4組の内の3個の独立した実験によって決定される平均値および標準偏差を示す。
【0173】
(ウイルスおよび細胞)
ベロ細胞を、全ての細胞実験について使用した。細胞を、5%FCSおよび1%PESTを含有するフェノールレッドなしのイーグルMEM中、37℃且つ5%CO2で培養した。フランクフルト(Frankfurt)1単離物(ジーンバンク寄託番号AY291315、このものはDr. H. W. Doerrによって好意で提供された)を、ベロ細胞中で高力価にまで増殖した。2個のT225細胞培養フラスコからの上清液を貯蔵し、そしてこのものを1mLのバイアル中、−80℃で冷蔵し、そしてこのものはウイルスストックを構成した。該ストックウイルスは、BNIoutS2およびBNIoutAs11プライマー、並びにCor−p−F2およびCor−p−R1プライマー2を用いる、診断用逆転写PCRによってSARS−CoVと同定した。該ウイルスストックを10倍希釈物でまたは一定の希釈物で使用して、96ウェル細胞培養プレート中でベロ細胞を感染した。該ウイルスストックを600,000倍に希釈して(これは、Reed-Muench方法によって決定する)、96ウェル細胞培養プレート中でTCID50に達しさせた。
【0174】
該siRNAオリゴヌクレオチドを、上記の通り製造した。該配列を、図7に示す。
【0175】
(トランスフェクション)
リポフェクタミン2000(インビトロゲン社製)を用いて、該細胞をsiRNAおよびsiLNAでトランスフェクトした。トランスフェクト効果は高く、そしてほとんどの細胞はトランスフェクトされた。該トランスフェクション媒地を4時間後に、フェノールレッドなしのイーグルMEMに変えて、そして細胞を終夜増殖させて、集密単層を得た。
【0176】
(細胞変性および細胞毒性)
感染細胞における細胞変性効果(CPE)を、細胞の球体化(cell rounding)および細胞培養プレートからの脱離として検出した。該CPEを、光学顕微鏡中でスコアした。該細胞毒性を、細胞毒性検出キット(LDH)(ロシュ社(Roche)製、独国)を用いて測定した。リポフェクタミン2000だけを用いて処理したモックのトランスフェクト細胞を、各ウイルス希釈でのウイルス感染によって引き起こされる細胞毒性の100%としてセットした。非感染細胞を用いて、バックグラウンドの細胞毒性を決定した。細胞毒性パーセントは、[((Abs490試料−バックグラウンド)/(Abs490モックのトランスフェクトコントロール−バックグラウンド))×100]として測定した。細胞毒性の阻害は、[(1−(Abs490試料−バックグラウンド)/(Abs490モックのトランスフェクトコントロール−バックグラウンド))×100]として算出した。
【0177】
(実施例10:オフサイト(Off-Site)効果の低下)
ホタルルスフェラーゼの3’UTRにおけるSARSのセンス/アンチセンス標的の阻害は、プラスミド:pS3Xs(SARSセンス標的の場合のpGL3)、pS3Xas(SARSアンチセンス標的の場合のpGL3)、およびpGL3(SARS標的なしの場合)を用いて、1.6nMのsiRNA/siLNAで行なった。
【0178】
該SARS 3標的配列を、pGL3中のルシフェラーゼコード領域およびポリAの間のホタルルシフェラーゼ3’UTR中のセンス(SARS mRNAに相当する配列)およびアンチセンス方向(SARS mRNAに相補的な配列)中でクローニングした。pGL3を、XbaI(luc.停止コドンとおよびポリAの間)、およびXba Iオーバーハングを有するSARS S3標的配列DNAオリゴ二重鎖を用いて切断した。
(Xba Iオーバーハングを有する、SARS 3標的(SARSゲノム位置14593)DNAオリゴ二重鎖)
【数2】
【0179】
オリゴ二重鎖のライゲーションは、センスまたはアンチセンス標的のいずれかを有する2個のプラスミド生成物を与える(pS3Xs:センス方向における標的、pS3Xas:アンチセンス方向における標的)。該2個の異なるプラスミドを、実施例5に記載するプロトコールに従って、コントロールプラスミドpRL−TKおよびsiRNA標的SARS3またはsiLNA標的SARS3と一緒に別個のHEK293細胞培養物中でトランスフェクトした(最終濃度は1.6nMである)。細胞を24時間インキュベートし、細胞を収集し、そしてルシフェラーゼ活性を実施例5に記載する通り測定した。
【0180】
アンチセンス鎖の十分な効果を維持しながら、siRNAは望まないセンス鎖を失活することができる。siRNAは、両方の鎖の効果を示す。SARS 3標的配列を、siLNAおよびsiRNAを2個の異なるプラスミドに及ぼす阻害効果についてアッセイした後に、センスおよびアンチセンスの両方の方向でクローニングした。
【0181】
siRNAは、センス標的(SARS mRNA配列由来の一部、ルシフェラーゼ活性の〜90%を低下)、並びにアンチセンス標的(SARS mRNAに相補的な配列)の両方の下方調節を示す(〜50%低下)。従って、siRNA中のセンス鎖およびアンチセンス鎖の両方が、下方調節効果を有する。しかしながら、siLNA SARS 3はセンス標的を下方調節する等しく良好な効果を示し(〜90%低下)、一方でアンチセンス標的には全く活性を示さない(0%低下)。従って、siRNA中のアンチセンス鎖は十分な効果を維持する一方で、望まないセンス鎖の効果は消滅する。このことは、siRNAが、RNA干渉機構で失活させることによってセンス鎖によるオフ標的を最小とすることができることを意味する(図17)。
【0182】
(実施例11:siLNAのインビボ効力)
この研究の目的は、LNAモノマーの導入によって改変される2個の抗eGFP siRNAのインビボ効力を試験することである。使用する化合物は、3029/3031および3030/3031であった。
【0183】
要するに、雌性ヌードマウス(NMRI nu/nu, Charles River Netherlands社製, Maastricht, オランダ国)を、15PC3およびミアパカ(Miapaca)異種移植片を用いて注入した。該15PC3細胞およびミアパカ細胞は、Fluiterらによる(2002) Cancer Research 62, 2024-2028によって記載されている通り、eGFPを発現する。
【0184】
腫瘍増殖の2週間後に、マウスを浸透圧ミニポンプ(Alzet 1007D, ロット番号10052-02(7日ポンプ)(Durect Corporation, Cupertino, CA))を皮下にフィットさせた。これらのポンプを3029/3031または3030/3031のいずれかを用いて充填して、0.5mg/kg/日の用量を得た。該マウスを、5日間処理した。5日目に、該マウスを殺し、そして腫瘍蛍光を画像処理し、そしてLAS3000発光(luminesent)画像処理装置(富士フィルム社製)を用いて測定した。該蛍光を、AIDAソフトウェア(Raytest GmbH, Straubenhardt, 独国)を用いて定量化した。画像処理後に、腫瘍を採り出し、そしてこのものをタンパク質分析(ウェスタンブロット法)のために保存した。15PC3について得られる結果を、図18に示す。観察することができる通り、siRNA化合物は、腫瘍増殖において有意な効果を有した。同様な結果が、ミアパカ異種移植片モデルを用いた場合に得られた。
【0185】
siRNAを、MALDI−tof分析を用いてインプラント前および実験後(ポンプ内に残る(leftover))に調べた。該siRNAを、ヌクレーブジェノタイピングキット(Nucleave genotyping kit)(Waters, Milford, MA, 米国)からの精製プレートを用いるイオン交換によって精製し、そしてBiflex III MALDI(ブルカーインスツルメント社(Brucker instruments)製、Leipzig、独国)によるマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)を用いて分析した。データを、図20に示す。
【表4】
【表5】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【0186】
【図1】図1は、2個のフラノースのコンホメーション(S−タイプおよびN−タイプ)を示す図面である。
【図2】図2は、生物学的な液体中でのsiRNAを超えるsiLNAの改善された安定性を示す図面である。GL3+/−は速く分解するが、一方でわずかに改変されたsiLNA(2185/2186番)およびより高度に改変されたsiLNA(2703−01/2186番)は、著しく改善された安定性を示す。該安定性の研究は、生理学的な塩溶液中での10%胎仔ウシ血清中、37℃で行なった。
【図3】図3は、siLNAによるPC12細胞中での内因性NPY遺伝子の下方調節を示す図面である。被験化合物は、以下の通りである(左から右):第2目のバーは、非関連(unrelated)siLNA。3番目のバーは、NPY+/1。4番目のバーは、2796/NPY−。5番目のバーは、2795/NPY+。6番目のバーは、NPY+/2797。7番目のバーは、2796/2797。
【図4】図4は、ホタルルシフェラーゼの標的化および該発現の調整における、siRNAの効果を示す図面である。該左のラインはsiLNAのセンス鎖を、そして右のラインはアンチセンス鎖を示す。個々のライン上のマークは、LNAモノマーの位置を示す。右側の最後の2個のラインは、コントロールsiRNAを示す。1番目のバー(左側)は、十分な非調整性ルシフェラーゼレポーター発現を示し、全ての試料をこのものに対して正規化する。被験化合物は、以下の通りである(左から右);2番目のバーは、GL3+/−であり;3番目のバーは、GL3+/2186であり;4番目のバーは、GL3+/2187であり;5番目のバーは、2184/GL3−であり;6番目のバーは、2184/2186であり;7番目のバーは、2184/2187であり;8番目のバーは、2184/GL3−であり;9番目のバーは、2185/2186であり;10番目のバーは、2185/2187であり;11番目のバーは、2703−1/GL3−であり;12番目のバーは、2703−1/2186であり;13番目のバーは、GL3+/2189であり;14番目のバーは、非関連siRNAである。
【図5】図5は、ウミシイタケルシフェラーゼの標的化および該発現の調整における、siLNAの効果を示す図面である。左のラインはsiLNAのセンス鎖を示し、そして右のラインはアンチセンス鎖を示す。個々のライン上のマークは、LNAモノマーの位置を示す。1番目は、十分な非調整ルシフェラーゼレポーター発現を示し、全ての試料をこのものに対して正規化する。被験化合物は、以下の通りである(左から右);2番目のバーは、RL+/−であり;3番目のバーは、RL+/2699−1であり;4番目のバーは、2700−1/2699−1であり;5番目のバーは、2702−1/2699−1であり;6番目のバーは、RL+/2701−1であり;7番目のバーは、2700−1/2701−1であり;8番目のバーは、2702−1/2701−1である。
【図6】図6は、LNAモノマーおよびRNAモノマー、二重鎖(ds)RNA、並びに一本鎖(ss)RNAを含有する一本鎖オリゴのラット血清中での安定性を示す図面である。dsRNAおよびssRNAは直ぐに分解するが、しかし、LNAモノマーおよびRNAモノマーを含有する無傷の一本鎖オリゴは20〜40分後に検出することができる。被験オリゴは、2189、対応するssRNA(GL3−)およびdsRNA(GL3+/1)であった。
【図7】図7は、SARSを標的とするsiLNAおよびsiRNA化合物を示す図面である。大文字はベータ−D−オキシLNAモノマーであり、そして小文字はRNAモノマーである。
【図8】図8は、SARSで感染した場合でのベロ細胞中での細胞変性影響(CPE)、およびsiRNA処置後のCPEの低下を示す図面である。siRNA SARS 1を示す。モックは、トランスフェクション剤であるリポフェクタミン2000のみを用いて処理する。非感染細胞をも示す。
【図9】図9は、siRNAおよびsiLNAによる、SARS誘発性細胞毒性の阻害を示す図面である。被験化合物は、以下の通りである。SARS 1:2842−1/2843−1;SARS 2:2872−1/2845−1;SARS 3:2846−1/2847−1;SARS 4:2848−1/2849−1、並びに対応する非改変siRNAである。siLNAおよびsiRNAを用いて処置する際の差違は、最も有効な部位であるSARS 1について検出することができる。中位に有効な部位であるSARS 3はsiLNAによって改善されて、SARS 1部位と同じくらいに有効となった。全てのSARS 2およびSARS 4においてsiRNA効力を示さなかった2個の部位は、いずれのsiRNA処置によってもいずれの効果を示さなかった。該阻害効果は、高ウイルス用量で低下する(60,000 TCID50)。コントロールは、ルシフェラーゼ(Luc)、並びに神経ペプチドY(NPY)siRNAおよびsiLNAとした。有害な効果は、siLNAコントロールによっては観察されなかった。細胞毒性は、感染の50時間後での乳酸脱水素酵素(LDH)の放出として測定した。異なるグラフは、異なるウイルス用量(組織培養感染用量50、TCID50)を示す。
【図10】図10は、ヘリカーゼが最も弱い結合末端でsiRNA二重鎖をほどく、RISCロードの推定機序を示す図面である。
【図11】図11は、アンチセンス鎖の5’末端の反対側に導入される一本鎖塩基対ミスマッチの効果を示す図面である。ラインはRNAの取り込みを、円形はLNAモノマーの取り込みを、そして十字形はミスマッチの取り込みを示す。被験化合物は、以下の通りである(左から右)。ウミシイタケルシフェラーゼ:2番目のバーは、RL+/−であり;3番目のバーは、RL+/2701−1であり;4番目のバーは、RL+(pos.19A→C)/2701−1であり;5番目のバーは、RL+(pos.19A→C)/−である。ホタルルシフェラーゼ:2番目のバーは、GL3+/−であり;3番目のバーは、GL3+/2187であり;4番目のバーは、GL3+(pos.19A→C)/2187であり;5番目のバーは、GL3+(pos.19A→C)/−である。
【図12】図12は、アンチセンス鎖におけるLNAモノマーの位置の効果を示す図面である。ラインはRNAを、そして円形はLNAモノマーを示す。被験化合物は、以下の通りである(左から右):2番目のバーは、GL3+/−であり;3番目のバーは、GL3+/2187であり;4番目のバーは、GL3+/2789であり;5番目のバーは、GL3+/2790であり;6番目のバーは、GL3+/2792であり;7番目のバーは、GL3+/2793であり;8番目のバーは、GL3+/2794であり;9番目のバーは、GL3+/2864あり;10番目のバーは、GL3+/2865であり;11番目のバーは、GL3+/2866であり;12番目のバーは、GL3+/2867である。
【図13】図13は、中程度に有効な標的部位のsiLNAによる改善を示す図面である。モックは、非オリゴを示す。Ren1はsiRNAに対する最適な標的部位であり、Ren2およびRen3は力価が劣る部位である。ラインはRNAを、そして円形はLNAモノマーを示す。被験化合物は、以下の通りである:Ren1:RL+/−;Ren2:2863/対応する非改変アンチセンス鎖;Ren3:2826/対応する非改変アンチセンス鎖、並びに対応する非改変siRNA。
【図14】図14は、siLNAおよびsiRNAの濃度依存性遺伝子サイレンシング効果を示す図面である。
【図15】図15は、DNAモノマーおよびLNAモノマーの取り込みによる、改変siRNAのデザインの改善を示す図面である。
【図16】図16は、アンチセンス鎖における切断部位10でのバルキーな核酸塩基の代わりにLNAモノマーを(Uの代わりにT)用いることによる、siLNA効力の低下を示す図面である。被験化合物は、以下の通りである:siRNA:GL3+/−;siLNA10T:GL3+/2865;siLNA10U:GL3+/2865−U。
【図17】図17は、ホタルルシフェラーゼの3’−UTRにおけるSARSセンス/アンチセンス標的の阻害を示す図面である。
【図18】図18は、15PC3−EGFP異種移植片NMRIマウスに及ぼす、2個の抗−EGFP siLNA(3029/3031および3030/3031)のインビボ抗腫瘍効果を示す図面である。
【図19】図19は、Alzet 1007Dミニポンプを用いる、siLNAおよび生理食塩水で処置した15PC3−EGFP異種移植片NMRIマウスの腫瘍の大きさを示す図面である。該腫瘍を、0日目に実行(implement)した。該処置を7日目に開始し、そして12日目に終止した。観察することができる通り、該siLNA処置マウスは、コントロールマウスのものに相当する腫瘍の大きさを有した。
【図20】図20は、siLNA二重鎖がAlzet 1007Dミニポンプ中で7日後に無傷であることを示す図面である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センス鎖およびアンチセンス鎖を含有する二重鎖化合物であって、該各鎖は12〜35のヌクレオチドを含み、そして該化合物は少なくとも1個のロックト核酸(LNA)モノマーを含む、該二重鎖化合物。
【請求項2】
センス鎖は少なくとも1個のLNAモノマーを含む、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
センス鎖は1〜10個のLNAモノマーを含む、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
少なくとも1個のLNAモノマーはセンス鎖の5’末端に位置する、請求項2または3のいずれか記載の化合物。
【請求項5】
少なくとも2個のLNAモノマーはセンス鎖の5’末端に位置する、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
少なくとも1個のLNAモノマーはセンス鎖の3’末端に位置する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項7】
少なくとも2個のLNAモノマーはセンス鎖の3’末端に位置する、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
アンチセンス鎖は少なくとも1個のLNAモノマーを含む、請求項1〜7のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項9】
アンチセンス鎖は1〜10個のLNAモノマーを含む、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
少なくとも1個のLNAモノマーはアンチセンス鎖の3’末端に位置する、請求項8または9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
少なくとも2個のLNAモノマーはアンチセンス鎖の3’末端に位置する、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
少なくとも3個のLNAモノマーはアンチセンス鎖の3’末端に位置する、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
LNAモノマーは全くアンチセンス鎖の5’末端に位置しない、請求項1〜12のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項14】
センス鎖は少なくとも1個のLNAを含み、そしてアンチセンス鎖は少なくとも1個のLNAモノマーを含む、請求項1〜13のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項15】
センス鎖は1〜10個のLNAモノマーを含み、そしてアンチセンス鎖は1〜10個のLNAモノマーを含む、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
センス鎖は5’末端に少なくとも1個のLNAモノマー、および3’末端に少なくとも1個のLNAモノマーを含み、ここで、アンチセンス鎖は3’末端に少なくとも1個のLNAモノマーを含む、請求項14または15のいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
センス鎖は5’末端に少なくとも1個のLNAモノマー、および3’末端に少なくとも1個のLNAモノマーを含み、ここで、アンチセンス鎖は3’末端に少なくとも2個のLNAモノマーを含む、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
センス鎖は5’末端に少なくとも2個のLNAモノマー、および3’末端に少なくとも2個のLNAモノマーを含み、ここで、アンチセンス鎖は3’末端に少なくとも2個のLNAモノマーを含む、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
センス鎖は5’末端に少なくとも2個のLNAモノマーおよび3’末端に少なくとも2個のLNAモノマーを含み、ここで、アンチセンス鎖は3’末端に少なくとも3個のLNAモノマーを含む、請求項18記載の化合物。
【請求項20】
LNAモノマーは全くアンチセンス鎖の5’末端に位置しない、請求項14〜19のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項21】
センス鎖は5’末端から数えて9〜13番目の位置の少なくとも1つに少なくとも1個のLNAモノマーを含む、請求項1〜20のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項22】
センス鎖は10位にLNAモノマーを含む、請求項21記載の化合物。
【請求項23】
センス鎖は11位にLNAモノマーを含む、請求項21または22のいずれかに記載の化合物。
【請求項24】
センス鎖は12位にLNAモノマーを含む、請求項21〜23のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項25】
各鎖は17〜25個のヌクレオチドを含む、請求項1〜24のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項26】
各鎖は20〜22個のヌクレオチドを含む、請求項25記載の化合物。
【請求項27】
鎖の少なくとも1個は3’オーバーハングを有する、請求項1〜26のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項28】
LNAモノマーは、オキシ−LNA、アミノ−LNAおよびチオ−LNAからなる群から選ばれる、請求項1〜27のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項29】
LNAモノマーはオキシ−LNAである、請求項28記載の化合物。
【請求項30】
LNAモノマーはベータ−D型である、請求項1〜29のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項31】
請求項1〜30のいずれか1つに記載の化合物、および医薬的に許容し得る希釈物、担体またはアジュバントを含有する、医薬組成物。
【請求項32】
組成物は更に少なくとも1個の活性剤を含む、請求項31記載の医薬組成物。
【請求項33】
活性剤は化学療法剤である、請求項32記載の医薬組成物。
【請求項34】
化学療法剤は、副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン、デキサメタゾンまたはデカドロン);アルトレタミン(へキサレン、ヘキサメチルメラミン(HMM));アミフォスチン(エチロール);アミノグルテチミド(シタドレン);アムサクリン(M−AMSA);アナストロゾール(アリミデックス);アンドロゲン(例えば、テストステロン):アスパラギナーゼ(エルスパル);バシラスカルメッテ−グリン;ビカルタミド(カソデックス);ブレオマイシン(ブレオキサン);ブスルファン(ミレラン);カルボプラチン(パラプラチン);カルムスチン(BCNU、BiCNU);クロラムブシル(ルークラン);クロロデオキシアデノシン(2−CDA、クラドリビン、ロイスタチン);シスプラチン(プラチノール);シトシンアラビノシド(シタラビン);ダカルバジン(DTIC);ダクチノマイシン(アクチノマイシン−D、コスメゲン);ダウノルビシン(セルビジン);ドセタキセル(タキソテール);ドキソルビシン(アドリアマイシン);エピルビシン;エストラムスチン(emcyt);エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール(DES));エトポシド(VP−16、ベプシド、エトホホス);フルダラビン(フルダラ);フルタミド(ユーレクシン);5−FUDR(フロキシウリジン);5−フルオロウラシル(5−FU);ゲムシタビン(ジェムザール);ゴセレリン(ゾダレックス);ハーセプチン(トラスツズマブ);ヒドロキシ尿素(ハイドレア);イダルビシン(イダマイシン);イホスファミド;IL−2(プロリュウキン、アルデスリュウキン);インターフェロンアルファ(イントロンA、ロフェロンA);イリノテカン(カンプトスター);ロイプロリド(ループロン);レバミソール(エルガミソール);ロムスチン(CCNU);メクロラタミン(ムスタルゲン、ナイトロジェンマスタード);メルファラン(アルケラン);メルカプトプリン(ピュリネソール、6−MP);メトトレキセート(メキセート);マイトマイシン−C(ムタムシン);ミトキサントロン(ノバントロン);オクトレオチド(サンドスタチン);ペントスタチン(2−デオキシコホルマイシン、ニペント);プリカマイシン(ミトラマイシン、ミタラシン);プロロカルバジン(マツラン);ストレプトゾシン;タモキシフェン(ノルバデックス);タキソール(パクリタキセル);テニポシド(ブモン、VM−26);チオテパ;トポテカン(ハイカムチン);トレチノイン(ベサノイド、オールトランスレチノイン酸);ビンブラスチン(バルバン);ビンクリスチン(オンコビン);および、ビノレルビン(ナベルビン)からなる群から選ばれる、請求項33記載の医薬組成物。
【請求項35】
医薬として使用するための、請求項1〜30のいずれか1つの記載の化合物。
【請求項36】
癌の処置のための医薬の製造における、請求項1〜30のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項37】
癌は固形腫瘍の形態である、請求項36記載の使用。
【請求項38】
癌は癌腫である、請求項36または37のいずれかに記載の使用。
【請求項39】
癌腫は、悪性黒色腫、基底細胞腫、卵巣癌、乳癌、非小細胞肺癌、腎細胞癌、膀胱癌、再発性表在性膀胱癌、胃癌、前立腺癌、膵臓癌、肺癌、子宮頸癌、子宮頚部異形成、喉頭乳頭腫症、大腸癌、結腸大腸癌、およびカルチノイド腫瘍からなる群から選ばれる、請求項38記載の使用。
【請求項40】
癌腫は、悪性黒色腫、非小細胞肺癌、乳癌、大腸癌、および腎細胞癌からなる群から選ばれる、請求項39記載の使用。
【請求項41】
悪性黒色腫は、表在拡大型メラノーマ、結節型メラノーマ、悪性黒子型メラノーマ、末端性メラノーマ、メラニン欠乏性黒色腫、および線維形成性黒色腫からなる群から選ばれる、請求項40記載の使用。
【請求項42】
癌は肉腫である、請求項36または37のいずれかに記載の使用。
【請求項43】
肉腫は、骨肉腫、ユーイング肉腫、軟骨肉腫、悪性線維性組織球腫、線維肉腫、およびカポジ肉腫からなる群から選ばれる、請求項42記載の使用。
【請求項44】
癌は神経膠腫である、請求項36または37のいずれか記載の使用。
【請求項45】
アテローム硬化症、乾癬、糖尿病性網膜症、関節リウマチ、喘息、いぼ、またはアレルギー皮膚炎の処置のための医薬の製造における、請求項1〜30のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項46】
癌の処置のための医薬の製造における、請求項1〜30のいずれか1つに記載の化合物の使用であって、該医薬は更に、副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン、デキサメタゾンまたはデカドロン);アルトレタミン(へキサレン、ヘキサメチルメラミン(HMM));アミフォスチン(エチロール);アミノグルテチミド(シタドレン);アムサクリン(M−AMSA);アナストロゾール(アリミデックス);アンドロゲン(例えば、テストステロン):アスパラギナーゼ(エルスパル);バシラスカルメッテ−グリン;ビカルタミド(カソデックス);ブレオマイシン(ブレオキサン);ブスルファン(ミレラン);カルボプラチン(パラプラチン);カルムスチン(BCNU、BiCNU);クロラムブシル(ルークラン);クロロデオキシアデノシン(2−CDA、クラドリビン、ロイスタチン);シスプラチン(プラチノール);シトシンアラビノシド(シタラビン);ダカルバジン(DTIC);ダクチノマイシン(アクチノマイシン−D、コスメゲン);ダウノルビシン(セルビジン);ドセタキセル(タキソテール);ドキソルビシン(アドリアマイシン);エピルビシン;エストラムスチン(emcyt);エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール(DES));エトポシド(VP−16、ベプシド、エトホホス);フルダラビン(フルダラ);フルタミド(ユーレクシン);5−FUDR(フロキシウリジン);5−フルオロウラシル(5−FU);ゲムシタビン(ジェムザール);ゴセレリン(ゾダレックス);ハーセプチン(トラスツズマブ);ヒドロキシ尿素(ハイドレア);イダルビシン(イダマイシン);イホスファミド;IL−2(プロリュウキン、アルデスリュウキン);インターフェロンアルファ(イントロンA、ロフェロンA);イリノテカン(カンプトスター);ロイプロリド(ループロン);レバミソール(エルガミソール);ロムスチン(CCNU);メクロラタミン(ムスタルゲン、ナイトロジェンマスタード);メルファラン(アルケラン);メルカプトプリン(ピュリネソール、6−MP);メトトレキセート(メキセート);マイトマイシン−C(ムタムシン);ミトキサントロン(ノバントロン);オクトレオチド(サンドスタチン);ペントスタチン(2−デオキシコホルマイシン、ニペント);プリカマイシン(ミトラマイシン、ミタラシン);プロロカルバジン(マツラン);ストレプトゾシン;タモキシフェン(ノルバデックス);タキソール(パクリタキセル);テニポシド(ブモン、VM−26);チオテパ;トポテカン(ハイカムチン);トレチノイン(ベサノイド、オールトランスレチノイン酸);ビンブラスチン(バルバン);ビンクリスチン(オンコビン);および、ビノレルビン(ナベルビン)からなる群から選ばれる化学療法剤を含む、該使用。
【請求項47】
化学療法剤はタキソール(パクリタキセル)である、請求項46記載の使用。
【請求項48】
癌の処置のための医薬の製造における、請求項1〜30のいずれか1つに記載の化合物の使用であって、該処置は更に、副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン、デキサメタゾンまたはデカドロン);アルトレタミン(へキサレン、ヘキサメチルメラミン(HMM));アミフォスチン(エチロール);アミノグルテチミド(シタドレン);アムサクリン(M−AMSA);アナストロゾール(アリミデックス);アンドロゲン(例えば、テストステロン):アスパラギナーゼ(エルスパル);バシラスカルメッテ−グリン;ビカルタミド(カソデックス);ブレオマイシン(ブレオキサン);ブスルファン(ミレラン);カルボプラチン(パラプラチン);カルムスチン(BCNU、BiCNU);クロラムブシル(ルークラン);クロロデオキシアデノシン(2−CDA、クラドリビン、ロイスタチン);シスプラチン(プラチノール);シトシンアラビノシド(シタラビン);ダカルバジン(DTIC);ダクチノマイシン(アクチノマイシン−D、コスメゲン);ダウノルビシン(セルビジン);ドセタキセル(タキソテール);ドキソルビシン(アドリアマイシン);エピルビシン;エストラムスチン(emcyt);エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール(DES));エトポシド(VP−16、ベプシド、エトホホス);フルダラビン(フルダラ);フルタミド(ユーレクシン);5−FUDR(フロキシウリジン);5−フルオロウラシル(5−FU);ゲムシタビン(ジェムザール);ゴセレリン(ゾダレックス);ハーセプチン(トラスツズマブ);ヒドロキシ尿素(ハイドレア);イダルビシン(イダマイシン);イホスファミド;IL−2(プロリュウキン、アルデスリュウキン);インターフェロンアルファ(イントロンA、ロフェロンA);イリノテカン(カンプトスター);ロイプロリド(ループロン);レバミソール(エルガミソール);ロムスチン(CCNU);メクロラタミン(ムスタルゲン、ナイトロジェンマスタード);メルファラン(アルケラン);メルカプトプリン(ピュリネソール、6−MP);メトトレキセート(メキセート);マイトマイシン−C(ムタムシン);ミトキサントロン(ノバントロン);オクトレオチド(サンドスタチン);ペントスタチン(2−デオキシコホルマイシン、ニペント);プリカマイシン(ミトラマイシン、ミタラシン);プロロカルバジン(マツラン);ストレプトゾシン;タモキシフェン(ノルバデックス);タキソール(パクリタキセル);テニポシド(ブモン、VM−26);チオテパ;トポテカン(ハイカムチン);トレチノイン(ベサノイド、オールトランスレチノイン酸);ビンブラスチン(バルバン);ビンクリスチン(オンコビン);および、ビノレルビン(ナベルビン)からなる群から選ばれる更なる化学療法剤を投与することを含む、該使用。
【請求項49】
化学療法剤はタキソール(パクリタキセル)である、請求項48記載の使用。
【請求項50】
癌の処置方法であって、請求項1〜30のいずれか1つに記載の化合物または請求項31〜34のいずれか1つに記載の医薬組成物を、処置が必要な患者に投与することを含む、該方法。
【請求項51】
癌は固形腫瘍の形態である、請求項50記載の方法。
【請求項52】
癌は癌腫である、請求項50または51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
癌腫は、悪性黒色腫、基底細胞腫、卵巣癌、乳癌、非小細胞肺癌、腎細胞癌、膀胱癌、再発性表在性膀胱癌、胃癌、前立腺癌、膵臓癌、肺癌、子宮頸癌、子宮頚部異形成、喉頭乳頭腫症、大腸癌、結腸大腸癌、およびカルチノイド腫瘍からなる群から選ばれる、請求項52記載の方法。
【請求項54】
癌腫は、悪性黒色腫、非小細胞肺癌、乳癌、大腸癌、および腎細胞癌からなる群から選ばれる、請求項53記載の方法。
【請求項55】
悪性黒色腫は、表在拡大型メラノーマ、結節型メラノーマ、悪性黒子型メラノーマ、末端性メラノーマ、メラニン欠乏性黒色腫、および線維形成性黒色腫からなる群から選ばれる、請求項54記載の方法。
【請求項56】
癌は肉腫である、請求項50または51のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
肉腫は、骨肉腫、ユーイング肉腫、軟骨肉腫、悪性線維性組織球腫、線維肉腫、およびカポジ肉腫からなる群から選ばれる、請求項56記載の方法。
【請求項58】
癌は神経膠腫である、請求項50または51のいずれか記載の方法。
【請求項59】
癌の処置方法であって、該方法は、請求項1〜30のいずれか1つに記載の化合物または請求項31〜34のいずれか1つに記載の医薬組成物を処置が必要な患者に投与することを含み、そして更に副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン、デキサメタゾンまたはデカドロン);アルトレタミン(へキサレン、ヘキサメチルメラミン(HMM));アミフォスチン(エチロール);アミノグルテチミド(シタドレン);アムサクリン(M−AMSA);アナストロゾール(アリミデックス);アンドロゲン(例えば、テストステロン):アスパラギナーゼ(エルスパル);バシラスカルメッテ−グリン;ビカルタミド(カソデックス);ブレオマイシン(ブレオキサン);ブスルファン(ミレラン);カルボプラチン(パラプラチン);カルムスチン(BCNU、BiCNU);クロラムブシル(ルークラン);クロロデオキシアデノシン(2−CDA、クラドリビン、ロイスタチン);シスプラチン(プラチノール);シトシンアラビノシド(シタラビン);ダカルバジン(DTIC);ダクチノマイシン(アクチノマイシン−D、コスメゲン);ダウノルビシン(セルビジン);ドセタキセル(タキソテール);ドキソルビシン(アドリアマイシン);エピルビシン;エストラムスチン(emcyt);エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール(DES));エトポシド(VP−16、ベプシド、エトホホス);フルダラビン(フルダラ);フルタミド(ユーレクシン);5−FUDR(フロキシウリジン);5−フルオロウラシル(5−FU);ゲムシタビン(ジェムザール);ゴセレリン(ゾダレックス);ハーセプチン(トラスツズマブ);ヒドロキシ尿素(ハイドレア);イダルビシン(イダマイシン);イホスファミド;IL−2(プロリュウキン、アルデスリュウキン);インターフェロンアルファ(イントロンA、ロフェロンA);イリノテカン(カンプトスター);ロイプロリド(ループロン);レバミソール(エルガミソール);ロムスチン(CCNU);メクロラタミン(ムスタルゲン、ナイトロジェンマスタード);メルファラン(アルケラン);メルカプトプリン(ピュリネソール、6−MP);メトトレキセート(メキセート);マイトマイシン−C(ムタムシン);ミトキサントロン(ノバントロン);オクトレオチド(サンドスタチン);ペントスタチン(2−デオキシコホルマイシン、ニペント);プリカマイシン(ミトラマイシン、ミタラシン);プロロカルバジン(マツラン);ストレプトゾシン;タモキシフェン(ノルバデックス);タキソール(パクリタキセル);テニポシド(ブモン、VM−26);チオテパ;トポテカン(ハイカムチン);トレチノイン(ベサノイド、オールトランスレチノイン酸);ビンブラスチン(バルバン);ビンクリスチン(オンコビン);および、ビノレルビン(ナベルビン)からなる群から選ばれる更なる化学療法剤を投与することを含む、該方法。
【請求項60】
化学療法剤はタキソール(パクリタキセル)である、請求項59記載の方法。
【請求項61】
重症急性呼吸器症候群(SARS)の処置のための医薬の製造における、請求項1〜30のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項62】
重症急性呼吸器症候群(SARS)の処置方法であって、請求項1〜30のいずれか1つに記載の化合物または請求項31〜34のいずれか1つに記載の医薬組成物を処置が必要な患者に投与することを含む、該方法。
【請求項63】
オリゴヌクレオチドの製造方法であって、個々のモノマーを1H−テトラゾールまたは5−エチルチオ−1H−テトラゾールを用いてカップリングする、該方法。
【請求項64】
オリゴヌクレオチドは、請求項1〜30のいずれか1つに記載のセンス鎖またはアンチセンス鎖の構造を有する、請求項63記載の方法。
【請求項65】
200〜1200秒の範囲のカップリング時間を使用する、請求項63または64のいずれか記載の方法。
【請求項66】
カップリング時間は400〜1200秒の範囲である、請求項66記載の方法。
【請求項67】
カップリング時間は600〜900秒の範囲である、請求項66記載の方法。
【請求項1】
センス鎖およびアンチセンス鎖を含有する二重鎖化合物であって、該各鎖は12〜35のヌクレオチドを含み、そして該化合物は少なくとも1個のロックト核酸(LNA)モノマーを含む、該二重鎖化合物。
【請求項2】
センス鎖は少なくとも1個のLNAモノマーを含む、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
センス鎖は1〜10個のLNAモノマーを含む、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
少なくとも1個のLNAモノマーはセンス鎖の5’末端に位置する、請求項2または3のいずれか記載の化合物。
【請求項5】
少なくとも2個のLNAモノマーはセンス鎖の5’末端に位置する、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
少なくとも1個のLNAモノマーはセンス鎖の3’末端に位置する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項7】
少なくとも2個のLNAモノマーはセンス鎖の3’末端に位置する、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
アンチセンス鎖は少なくとも1個のLNAモノマーを含む、請求項1〜7のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項9】
アンチセンス鎖は1〜10個のLNAモノマーを含む、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
少なくとも1個のLNAモノマーはアンチセンス鎖の3’末端に位置する、請求項8または9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
少なくとも2個のLNAモノマーはアンチセンス鎖の3’末端に位置する、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
少なくとも3個のLNAモノマーはアンチセンス鎖の3’末端に位置する、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
LNAモノマーは全くアンチセンス鎖の5’末端に位置しない、請求項1〜12のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項14】
センス鎖は少なくとも1個のLNAを含み、そしてアンチセンス鎖は少なくとも1個のLNAモノマーを含む、請求項1〜13のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項15】
センス鎖は1〜10個のLNAモノマーを含み、そしてアンチセンス鎖は1〜10個のLNAモノマーを含む、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
センス鎖は5’末端に少なくとも1個のLNAモノマー、および3’末端に少なくとも1個のLNAモノマーを含み、ここで、アンチセンス鎖は3’末端に少なくとも1個のLNAモノマーを含む、請求項14または15のいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
センス鎖は5’末端に少なくとも1個のLNAモノマー、および3’末端に少なくとも1個のLNAモノマーを含み、ここで、アンチセンス鎖は3’末端に少なくとも2個のLNAモノマーを含む、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
センス鎖は5’末端に少なくとも2個のLNAモノマー、および3’末端に少なくとも2個のLNAモノマーを含み、ここで、アンチセンス鎖は3’末端に少なくとも2個のLNAモノマーを含む、請求項17記載の化合物。
【請求項19】
センス鎖は5’末端に少なくとも2個のLNAモノマーおよび3’末端に少なくとも2個のLNAモノマーを含み、ここで、アンチセンス鎖は3’末端に少なくとも3個のLNAモノマーを含む、請求項18記載の化合物。
【請求項20】
LNAモノマーは全くアンチセンス鎖の5’末端に位置しない、請求項14〜19のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項21】
センス鎖は5’末端から数えて9〜13番目の位置の少なくとも1つに少なくとも1個のLNAモノマーを含む、請求項1〜20のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項22】
センス鎖は10位にLNAモノマーを含む、請求項21記載の化合物。
【請求項23】
センス鎖は11位にLNAモノマーを含む、請求項21または22のいずれかに記載の化合物。
【請求項24】
センス鎖は12位にLNAモノマーを含む、請求項21〜23のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項25】
各鎖は17〜25個のヌクレオチドを含む、請求項1〜24のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項26】
各鎖は20〜22個のヌクレオチドを含む、請求項25記載の化合物。
【請求項27】
鎖の少なくとも1個は3’オーバーハングを有する、請求項1〜26のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項28】
LNAモノマーは、オキシ−LNA、アミノ−LNAおよびチオ−LNAからなる群から選ばれる、請求項1〜27のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項29】
LNAモノマーはオキシ−LNAである、請求項28記載の化合物。
【請求項30】
LNAモノマーはベータ−D型である、請求項1〜29のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項31】
請求項1〜30のいずれか1つに記載の化合物、および医薬的に許容し得る希釈物、担体またはアジュバントを含有する、医薬組成物。
【請求項32】
組成物は更に少なくとも1個の活性剤を含む、請求項31記載の医薬組成物。
【請求項33】
活性剤は化学療法剤である、請求項32記載の医薬組成物。
【請求項34】
化学療法剤は、副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン、デキサメタゾンまたはデカドロン);アルトレタミン(へキサレン、ヘキサメチルメラミン(HMM));アミフォスチン(エチロール);アミノグルテチミド(シタドレン);アムサクリン(M−AMSA);アナストロゾール(アリミデックス);アンドロゲン(例えば、テストステロン):アスパラギナーゼ(エルスパル);バシラスカルメッテ−グリン;ビカルタミド(カソデックス);ブレオマイシン(ブレオキサン);ブスルファン(ミレラン);カルボプラチン(パラプラチン);カルムスチン(BCNU、BiCNU);クロラムブシル(ルークラン);クロロデオキシアデノシン(2−CDA、クラドリビン、ロイスタチン);シスプラチン(プラチノール);シトシンアラビノシド(シタラビン);ダカルバジン(DTIC);ダクチノマイシン(アクチノマイシン−D、コスメゲン);ダウノルビシン(セルビジン);ドセタキセル(タキソテール);ドキソルビシン(アドリアマイシン);エピルビシン;エストラムスチン(emcyt);エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール(DES));エトポシド(VP−16、ベプシド、エトホホス);フルダラビン(フルダラ);フルタミド(ユーレクシン);5−FUDR(フロキシウリジン);5−フルオロウラシル(5−FU);ゲムシタビン(ジェムザール);ゴセレリン(ゾダレックス);ハーセプチン(トラスツズマブ);ヒドロキシ尿素(ハイドレア);イダルビシン(イダマイシン);イホスファミド;IL−2(プロリュウキン、アルデスリュウキン);インターフェロンアルファ(イントロンA、ロフェロンA);イリノテカン(カンプトスター);ロイプロリド(ループロン);レバミソール(エルガミソール);ロムスチン(CCNU);メクロラタミン(ムスタルゲン、ナイトロジェンマスタード);メルファラン(アルケラン);メルカプトプリン(ピュリネソール、6−MP);メトトレキセート(メキセート);マイトマイシン−C(ムタムシン);ミトキサントロン(ノバントロン);オクトレオチド(サンドスタチン);ペントスタチン(2−デオキシコホルマイシン、ニペント);プリカマイシン(ミトラマイシン、ミタラシン);プロロカルバジン(マツラン);ストレプトゾシン;タモキシフェン(ノルバデックス);タキソール(パクリタキセル);テニポシド(ブモン、VM−26);チオテパ;トポテカン(ハイカムチン);トレチノイン(ベサノイド、オールトランスレチノイン酸);ビンブラスチン(バルバン);ビンクリスチン(オンコビン);および、ビノレルビン(ナベルビン)からなる群から選ばれる、請求項33記載の医薬組成物。
【請求項35】
医薬として使用するための、請求項1〜30のいずれか1つの記載の化合物。
【請求項36】
癌の処置のための医薬の製造における、請求項1〜30のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項37】
癌は固形腫瘍の形態である、請求項36記載の使用。
【請求項38】
癌は癌腫である、請求項36または37のいずれかに記載の使用。
【請求項39】
癌腫は、悪性黒色腫、基底細胞腫、卵巣癌、乳癌、非小細胞肺癌、腎細胞癌、膀胱癌、再発性表在性膀胱癌、胃癌、前立腺癌、膵臓癌、肺癌、子宮頸癌、子宮頚部異形成、喉頭乳頭腫症、大腸癌、結腸大腸癌、およびカルチノイド腫瘍からなる群から選ばれる、請求項38記載の使用。
【請求項40】
癌腫は、悪性黒色腫、非小細胞肺癌、乳癌、大腸癌、および腎細胞癌からなる群から選ばれる、請求項39記載の使用。
【請求項41】
悪性黒色腫は、表在拡大型メラノーマ、結節型メラノーマ、悪性黒子型メラノーマ、末端性メラノーマ、メラニン欠乏性黒色腫、および線維形成性黒色腫からなる群から選ばれる、請求項40記載の使用。
【請求項42】
癌は肉腫である、請求項36または37のいずれかに記載の使用。
【請求項43】
肉腫は、骨肉腫、ユーイング肉腫、軟骨肉腫、悪性線維性組織球腫、線維肉腫、およびカポジ肉腫からなる群から選ばれる、請求項42記載の使用。
【請求項44】
癌は神経膠腫である、請求項36または37のいずれか記載の使用。
【請求項45】
アテローム硬化症、乾癬、糖尿病性網膜症、関節リウマチ、喘息、いぼ、またはアレルギー皮膚炎の処置のための医薬の製造における、請求項1〜30のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項46】
癌の処置のための医薬の製造における、請求項1〜30のいずれか1つに記載の化合物の使用であって、該医薬は更に、副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン、デキサメタゾンまたはデカドロン);アルトレタミン(へキサレン、ヘキサメチルメラミン(HMM));アミフォスチン(エチロール);アミノグルテチミド(シタドレン);アムサクリン(M−AMSA);アナストロゾール(アリミデックス);アンドロゲン(例えば、テストステロン):アスパラギナーゼ(エルスパル);バシラスカルメッテ−グリン;ビカルタミド(カソデックス);ブレオマイシン(ブレオキサン);ブスルファン(ミレラン);カルボプラチン(パラプラチン);カルムスチン(BCNU、BiCNU);クロラムブシル(ルークラン);クロロデオキシアデノシン(2−CDA、クラドリビン、ロイスタチン);シスプラチン(プラチノール);シトシンアラビノシド(シタラビン);ダカルバジン(DTIC);ダクチノマイシン(アクチノマイシン−D、コスメゲン);ダウノルビシン(セルビジン);ドセタキセル(タキソテール);ドキソルビシン(アドリアマイシン);エピルビシン;エストラムスチン(emcyt);エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール(DES));エトポシド(VP−16、ベプシド、エトホホス);フルダラビン(フルダラ);フルタミド(ユーレクシン);5−FUDR(フロキシウリジン);5−フルオロウラシル(5−FU);ゲムシタビン(ジェムザール);ゴセレリン(ゾダレックス);ハーセプチン(トラスツズマブ);ヒドロキシ尿素(ハイドレア);イダルビシン(イダマイシン);イホスファミド;IL−2(プロリュウキン、アルデスリュウキン);インターフェロンアルファ(イントロンA、ロフェロンA);イリノテカン(カンプトスター);ロイプロリド(ループロン);レバミソール(エルガミソール);ロムスチン(CCNU);メクロラタミン(ムスタルゲン、ナイトロジェンマスタード);メルファラン(アルケラン);メルカプトプリン(ピュリネソール、6−MP);メトトレキセート(メキセート);マイトマイシン−C(ムタムシン);ミトキサントロン(ノバントロン);オクトレオチド(サンドスタチン);ペントスタチン(2−デオキシコホルマイシン、ニペント);プリカマイシン(ミトラマイシン、ミタラシン);プロロカルバジン(マツラン);ストレプトゾシン;タモキシフェン(ノルバデックス);タキソール(パクリタキセル);テニポシド(ブモン、VM−26);チオテパ;トポテカン(ハイカムチン);トレチノイン(ベサノイド、オールトランスレチノイン酸);ビンブラスチン(バルバン);ビンクリスチン(オンコビン);および、ビノレルビン(ナベルビン)からなる群から選ばれる化学療法剤を含む、該使用。
【請求項47】
化学療法剤はタキソール(パクリタキセル)である、請求項46記載の使用。
【請求項48】
癌の処置のための医薬の製造における、請求項1〜30のいずれか1つに記載の化合物の使用であって、該処置は更に、副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン、デキサメタゾンまたはデカドロン);アルトレタミン(へキサレン、ヘキサメチルメラミン(HMM));アミフォスチン(エチロール);アミノグルテチミド(シタドレン);アムサクリン(M−AMSA);アナストロゾール(アリミデックス);アンドロゲン(例えば、テストステロン):アスパラギナーゼ(エルスパル);バシラスカルメッテ−グリン;ビカルタミド(カソデックス);ブレオマイシン(ブレオキサン);ブスルファン(ミレラン);カルボプラチン(パラプラチン);カルムスチン(BCNU、BiCNU);クロラムブシル(ルークラン);クロロデオキシアデノシン(2−CDA、クラドリビン、ロイスタチン);シスプラチン(プラチノール);シトシンアラビノシド(シタラビン);ダカルバジン(DTIC);ダクチノマイシン(アクチノマイシン−D、コスメゲン);ダウノルビシン(セルビジン);ドセタキセル(タキソテール);ドキソルビシン(アドリアマイシン);エピルビシン;エストラムスチン(emcyt);エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール(DES));エトポシド(VP−16、ベプシド、エトホホス);フルダラビン(フルダラ);フルタミド(ユーレクシン);5−FUDR(フロキシウリジン);5−フルオロウラシル(5−FU);ゲムシタビン(ジェムザール);ゴセレリン(ゾダレックス);ハーセプチン(トラスツズマブ);ヒドロキシ尿素(ハイドレア);イダルビシン(イダマイシン);イホスファミド;IL−2(プロリュウキン、アルデスリュウキン);インターフェロンアルファ(イントロンA、ロフェロンA);イリノテカン(カンプトスター);ロイプロリド(ループロン);レバミソール(エルガミソール);ロムスチン(CCNU);メクロラタミン(ムスタルゲン、ナイトロジェンマスタード);メルファラン(アルケラン);メルカプトプリン(ピュリネソール、6−MP);メトトレキセート(メキセート);マイトマイシン−C(ムタムシン);ミトキサントロン(ノバントロン);オクトレオチド(サンドスタチン);ペントスタチン(2−デオキシコホルマイシン、ニペント);プリカマイシン(ミトラマイシン、ミタラシン);プロロカルバジン(マツラン);ストレプトゾシン;タモキシフェン(ノルバデックス);タキソール(パクリタキセル);テニポシド(ブモン、VM−26);チオテパ;トポテカン(ハイカムチン);トレチノイン(ベサノイド、オールトランスレチノイン酸);ビンブラスチン(バルバン);ビンクリスチン(オンコビン);および、ビノレルビン(ナベルビン)からなる群から選ばれる更なる化学療法剤を投与することを含む、該使用。
【請求項49】
化学療法剤はタキソール(パクリタキセル)である、請求項48記載の使用。
【請求項50】
癌の処置方法であって、請求項1〜30のいずれか1つに記載の化合物または請求項31〜34のいずれか1つに記載の医薬組成物を、処置が必要な患者に投与することを含む、該方法。
【請求項51】
癌は固形腫瘍の形態である、請求項50記載の方法。
【請求項52】
癌は癌腫である、請求項50または51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
癌腫は、悪性黒色腫、基底細胞腫、卵巣癌、乳癌、非小細胞肺癌、腎細胞癌、膀胱癌、再発性表在性膀胱癌、胃癌、前立腺癌、膵臓癌、肺癌、子宮頸癌、子宮頚部異形成、喉頭乳頭腫症、大腸癌、結腸大腸癌、およびカルチノイド腫瘍からなる群から選ばれる、請求項52記載の方法。
【請求項54】
癌腫は、悪性黒色腫、非小細胞肺癌、乳癌、大腸癌、および腎細胞癌からなる群から選ばれる、請求項53記載の方法。
【請求項55】
悪性黒色腫は、表在拡大型メラノーマ、結節型メラノーマ、悪性黒子型メラノーマ、末端性メラノーマ、メラニン欠乏性黒色腫、および線維形成性黒色腫からなる群から選ばれる、請求項54記載の方法。
【請求項56】
癌は肉腫である、請求項50または51のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
肉腫は、骨肉腫、ユーイング肉腫、軟骨肉腫、悪性線維性組織球腫、線維肉腫、およびカポジ肉腫からなる群から選ばれる、請求項56記載の方法。
【請求項58】
癌は神経膠腫である、請求項50または51のいずれか記載の方法。
【請求項59】
癌の処置方法であって、該方法は、請求項1〜30のいずれか1つに記載の化合物または請求項31〜34のいずれか1つに記載の医薬組成物を処置が必要な患者に投与することを含み、そして更に副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン、デキサメタゾンまたはデカドロン);アルトレタミン(へキサレン、ヘキサメチルメラミン(HMM));アミフォスチン(エチロール);アミノグルテチミド(シタドレン);アムサクリン(M−AMSA);アナストロゾール(アリミデックス);アンドロゲン(例えば、テストステロン):アスパラギナーゼ(エルスパル);バシラスカルメッテ−グリン;ビカルタミド(カソデックス);ブレオマイシン(ブレオキサン);ブスルファン(ミレラン);カルボプラチン(パラプラチン);カルムスチン(BCNU、BiCNU);クロラムブシル(ルークラン);クロロデオキシアデノシン(2−CDA、クラドリビン、ロイスタチン);シスプラチン(プラチノール);シトシンアラビノシド(シタラビン);ダカルバジン(DTIC);ダクチノマイシン(アクチノマイシン−D、コスメゲン);ダウノルビシン(セルビジン);ドセタキセル(タキソテール);ドキソルビシン(アドリアマイシン);エピルビシン;エストラムスチン(emcyt);エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール(DES));エトポシド(VP−16、ベプシド、エトホホス);フルダラビン(フルダラ);フルタミド(ユーレクシン);5−FUDR(フロキシウリジン);5−フルオロウラシル(5−FU);ゲムシタビン(ジェムザール);ゴセレリン(ゾダレックス);ハーセプチン(トラスツズマブ);ヒドロキシ尿素(ハイドレア);イダルビシン(イダマイシン);イホスファミド;IL−2(プロリュウキン、アルデスリュウキン);インターフェロンアルファ(イントロンA、ロフェロンA);イリノテカン(カンプトスター);ロイプロリド(ループロン);レバミソール(エルガミソール);ロムスチン(CCNU);メクロラタミン(ムスタルゲン、ナイトロジェンマスタード);メルファラン(アルケラン);メルカプトプリン(ピュリネソール、6−MP);メトトレキセート(メキセート);マイトマイシン−C(ムタムシン);ミトキサントロン(ノバントロン);オクトレオチド(サンドスタチン);ペントスタチン(2−デオキシコホルマイシン、ニペント);プリカマイシン(ミトラマイシン、ミタラシン);プロロカルバジン(マツラン);ストレプトゾシン;タモキシフェン(ノルバデックス);タキソール(パクリタキセル);テニポシド(ブモン、VM−26);チオテパ;トポテカン(ハイカムチン);トレチノイン(ベサノイド、オールトランスレチノイン酸);ビンブラスチン(バルバン);ビンクリスチン(オンコビン);および、ビノレルビン(ナベルビン)からなる群から選ばれる更なる化学療法剤を投与することを含む、該方法。
【請求項60】
化学療法剤はタキソール(パクリタキセル)である、請求項59記載の方法。
【請求項61】
重症急性呼吸器症候群(SARS)の処置のための医薬の製造における、請求項1〜30のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項62】
重症急性呼吸器症候群(SARS)の処置方法であって、請求項1〜30のいずれか1つに記載の化合物または請求項31〜34のいずれか1つに記載の医薬組成物を処置が必要な患者に投与することを含む、該方法。
【請求項63】
オリゴヌクレオチドの製造方法であって、個々のモノマーを1H−テトラゾールまたは5−エチルチオ−1H−テトラゾールを用いてカップリングする、該方法。
【請求項64】
オリゴヌクレオチドは、請求項1〜30のいずれか1つに記載のセンス鎖またはアンチセンス鎖の構造を有する、請求項63記載の方法。
【請求項65】
200〜1200秒の範囲のカップリング時間を使用する、請求項63または64のいずれか記載の方法。
【請求項66】
カップリング時間は400〜1200秒の範囲である、請求項66記載の方法。
【請求項67】
カップリング時間は600〜900秒の範囲である、請求項66記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【公表番号】特表2006−520760(P2006−520760A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504331(P2006−504331)
【出願日】平成16年3月22日(2004.3.22)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000192
【国際公開番号】WO2004/083430
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(504013269)サンタリス・ファルマ・アクティーゼルスカブ (29)
【氏名又は名称原語表記】SANTARIS PHARMA A/S
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年3月22日(2004.3.22)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000192
【国際公開番号】WO2004/083430
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(504013269)サンタリス・ファルマ・アクティーゼルスカブ (29)
【氏名又は名称原語表記】SANTARIS PHARMA A/S
【Fターム(参考)】
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