研削ホイール、および、両頭研削加工方法
【課題】チップの摩耗が進展した場合でも、ウェーハの品質を維持可能な研削ホイールを提供する。
【解決手段】研削ホイール3は、略板状のホイールベース91と、ホイールベース91の一面から環状に突出するように設けられ、ウェーハに押し当てられる砥石32と、を備え、砥石32は、環状の外周方向に沿って設けられた複数のチップ322を有し、隣り合うチップ322の間隔寸法は、チップ322の先端側よりも基端側の方が大きくなるように設定されている。
【解決手段】研削ホイール3は、略板状のホイールベース91と、ホイールベース91の一面から環状に突出するように設けられ、ウェーハに押し当てられる砥石32と、を備え、砥石32は、環状の外周方向に沿って設けられた複数のチップ322を有し、隣り合うチップ322の間隔寸法は、チップ322の先端側よりも基端側の方が大きくなるように設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削ホイール、および、両頭研削加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被研削物を研削する研削ホイールとして、カップ型のものが用いられている。一般的に、カップ型の研削ホイールは、ホイールベースに設けられた環状の砥石を有している。砥石は、環状の外周方向に沿って所定間隔で設けられた、複数のチップを備える。
【0003】
上述のような研削ホイールとしては、特許文献1に記載のような構成が知られている。
この特許文献1には、セラミックスや石材を研削する研削ホイールが開示されている。この研削ホイールのチップ間スリット(互いに隣り合うチップの向かい合う側辺、当該隣り合うチップの基端同士を結ぶ線、および、先端同士を結ぶ線で規定される領域)には、平均粒径が100μm〜2000μmの超砥粒が単層固着されている。
【0004】
また、カップ型の研削ホイールを用いた研削方法としては、特許文献2に記載のようなウェーハを研削する方法が知られている。
この特許文献2には、研削ホイールの中心孔から研削液を供給するとともに、ウェーハの中心部を冷却液で冷却する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−291174号公報
【特許文献2】特許第3776624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1,2には、チップ間隔寸法(隣り合うチップの間隔寸法)が、チップの高さ方向(チップの突出方向)で一定に設定された研削ホイールが開示されている。しかしながら、このような研削ホイールを用い、研削ホイール内への研削液の供給量、ウェーハ1枚あたりの研削時間、研削ホイールの回転速度などの研削条件を一定にした状態で、複数のウェーハを順次研削すると、チップが摩耗するにしたがって、研削されたウェーハの反りが大きくなり、平坦度が悪くなるという問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、チップの摩耗が進展した場合でも、被研削物の品質を維持可能な研削ホイール、および、両頭研削加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、図1に示すような両頭研削加工装置1に、図2に示すような研削ホイール9を用いて実験を行い、鋭意研究を重ねた結果、次の知見を見出した。
【0009】
ここで、両頭研削加工装置1は、内部で被研削物としてのウェーハWを保持するキャリアリング2と、このキャリアリング2で保持されたウェーハWの両面に対向するようにそれぞれ配置された研削ホイール9と、研削ホイール9でウェーハWを研削するように駆動する図示しない研削機構とを備える。
【0010】
研削ホイール9は、例えばダイヤモンドホイールであるホイールベース91と、このホイールベース91の一面から突出する砥石92とを備える。
ホイールベース91は、円板状の円板部911と、この円板部911の外縁から円環状に突出する凸部912とを備える。円板部911の中央には、当該円板部911の両面を貫通する研削液供給孔913が設けられている。この研削液供給孔913を介して、研削ホイール9内(砥石92内)に、研削液が供給される。
砥石92は、砥粒をビトリファイドボンドで結合することにより形成されている。この砥石92は、円環状の砥石ベース921と、この砥石ベース921の外周方向に沿って設けられた複数のチップ922とを備える。チップ922は、図2に示すように、高さ寸法H91(チップ922の基端から先端までの寸法)が12mmであり、かつ、厚さ寸法が3mmの長方形板状に形成されている。また、隣り合うチップ922のチップ間隔寸法D91は、1mmに設定されている。このような構成により、砥石ベース921と、互いに隣り合うチップ922との間に、高さ位置に関係なく幅寸法がチップ間隔寸法D91と等しいチップ間スリットS9が形成される。
【0011】
研削機構は、図1に示すように、鉛直方向に立てられたウェーハWの両側において、研削ホイール9を回転させ、ウェーハWの中心よりも下方の位置に砥石92を押し当てる。そして、この押し当てと同時に、研削ホイール9内に研削液を供給するとともにウェーハWを回転させることで、ウェーハWを研削する。
【0012】
実験を行うに際して、チップ922の高さ寸法H91が3.5mm、9mm、12mmにそれぞれ設定された3種類の研削ホイール9を準備した。そして、所定流量の研削液を研削ホイール9内に供給して、5枚のウェーハWの研削を行った。
この際、研削液の供給流量を、4水準あるいは5水準に設定して研削を行った。また、研削液の供給流量以外の研削条件(ウェーハ1枚あたりの研削時間、研削ホイール9の回転速度など)を、全ての研削において同じにした。
そして、各高さ寸法H91における、研削液の供給流量(L/min)と、ウェーハWの品質との関係を調べた。その結果を、図3に示す。
【0013】
なお、ウェーハWの品質は、Bow−bfに基づいて評価した。Bow−bfが0μmの場合、ウェーハWの測定面(研削面)が平坦で、品質が良い状態を表す。
ここで、Bowとは、ウェーハ全体としての反りを表現する指標の1つであって、ウェーハの中心基準面からウェーハの中点における中心面までの変位により表すものであり、このときの中心基準面は中心面上の3点(Bow−3P)又はベストフィット(Bow−bf)基準により作られるものである。よって、Bow値にあってはプラス(+)で表されたものは凸型の反りを有するものとなり、マイナス(−)で表されたものは凹型の反りを有するものとなる。例えば、光学センサ式の平坦度測定器(LapmasterSFT社製Wafercom)等を使用して反り量を測定することができる。
【0014】
図3に示すように、各高さ寸法H91の研削ホイール9について、平均Bow−bf(5枚のウェーハWのBow−bfの平均値)の近似曲線を求めた。
この近似曲線から、ウェーハWの品質が良くなる(平均Bow−bfが0μmとなる)研削液の供給流量が、高さ寸法H91によって異なることが推定できる。この結果は、供給流量を含む全ての研削条件を、一定にした条件で研削を行うと、チップ922が摩耗するにしたがってウェーハWの反り量が大きくなるという、従来の問題点と一致する。
【0015】
図3に示す結果から、チップ922の摩耗が進展した場合でも、ウェーハWの品質を安定させるための方策として、高さ寸法H91によって研削ホイール9に供給する研削液の流量を調整することが考えられる。しかしながら、研削液の供給流量を調整するために、新たな設備を導入する必要があり、両頭研削加工装置1の構成や制御が複雑になるという、新たな問題点が生じる。
そこで、本発明者は、研削液の供給流量を調整することなく、品質を安定させることができる方策を検討し、チップの高さ寸法が低くなるにしたがって、スリット面積(チップ間スリットの面積)が小さくなるという点に着目した。
【0016】
研削ホイール9内への研削液の供給流量が一定の場合、スリット面積が小さくなるほど、研削液の推定流出流速(チップ間スリットS9から流出する研削液の推定流速)(mm/sec)が速くなる。このため、各高さ寸法H91の場合について、Bow−bfが0μmになると推定される供給流量と、研削ホイール9全体でのスリット面積の総和とから、ウェーハWの品質が安定して良くなるような(Bow−bfがほぼ0μmとなるような)推定流出流速を算出した。その推定流出流速の近似曲線を、図4に目標水準として示す。
【0017】
各高さ寸法H91における推定流出流速が、図4の目標水準で示す値となるように変化すれば、ウェーハWの品質が安定して良くなると考えられる。
しかし、研削液の供給流量を1.6L/minで一定にした場合における、各高さ寸法H91での推定流出流速を算出すると、図4に実験例として示すような近似曲線が得られた。
この結果から、高さ寸法H91が7mm以上12mm以下の場合には、推定流出流速が目標水準に近い値で推移する一方で、7mmよりも小さくなるにしたがって、推定流出流速が目標水準から離れていくと推定できる。
以上のことから、チップ922の摩耗が進展して高さ寸法H91が小さくなっていく場合でも、推定流出流速が目標水準に近い値で推移するように、スリット面積の大きさが変化すれば、研削液の供給流量を調整しなくても、ウェーハWの品質が安定して良くなると推定できる。
本発明は、このような知見に基づいて、完成されたものである。
【0018】
すなわち、本発明の研削ホイールは、研削液を用いた被研削物の研削に用いられる研削ホイールであって、略板状のホイールベースと、前記ホイールベースの一面から環状に突出するように設けられ、前記被研削物に押し当てられる砥石と、を備え、前記砥石は、前記環状の外周方向に沿って設けられた複数のチップを有し、隣り合うチップの間隔寸法は、チップの先端側よりも基端側の方が大きくなるように設定されていることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、研削ホイールの基端側のチップ間隔寸法を、先端側のチップ間隔寸法よりも大きくしている。
このため、チップの高さ位置に関係なくチップ間隔寸法を一定に設定した従来の構成と比べて、チップが基端側まで摩耗した段階でのスリット面積を大きくすることができる。したがって、研削液の供給流量を一定にした場合でも、チップの摩耗が基端側まで進展したときにおける推定流出流速が、従来よりも遅くなり、当該推定流出流速が上記目標水準に近づけることができる。よって、全ての研削条件を一定にして、複数の被研削物を順次研削した場合でも、チップ摩耗による被研削物の反りの悪化を抑制することができ、品質を安定させることができる。
【0020】
本発明の研削ホイールでは、チップの高さ寸法(チップの基端から先端までの寸法)を、H(mm)、チップ間スリット(互いに隣り合うチップの向かい合う側辺、当該隣り合うチップの基端同士を結ぶ線、および、先端同士を結ぶ線で規定される領域)の面積の総和を、A(H)(mm2)、被研削物の研削時に砥石内に供給する研削液の供給流量を、C(mm3/sec)、チップ間スリットから流出する研削液の流速を、F(H)(mm/sec)、とし、前記研削液の供給流量Cを一定とした場合に、前記隣り合うチップの間隔寸法は、研削処理に供することで摩耗するチップの高さ寸法Hの変化によって上昇する流速F(H)を、研削処理後の被研削物の反り量が目標範囲となる流速F(H)にまで低下させるのに必要な、チップ間スリットの面積の総和A(H)となるように設定されていることが好ましい。
【0021】
この発明によれば、隣り合うチップの間隔寸法を上述のように設定することで、被研削物の品質を安定させることができる。
【0022】
本発明の研削ホイールでは、前記隣り合うチップの間隔寸法は、チップの高さ寸法(チップの基端から先端までの寸法)を、H(mm)、チップの高さ寸法がH(mm)の場合における、チップ間スリット(互いに隣り合うチップの向かい合う側辺、当該隣り合うチップの基端同士を結ぶ線、および、先端同士を結ぶ線で規定される領域)の面積の総和を、A(H)(mm2)、被研削物の研削時に砥石内に供給する研削液の供給流量を、C(mm3/sec)、チップの高さ寸法がH(mm)の場合において、被研削物の反り量が0になるときの、チップ間スリットから流出する研削液の流速を、F(H)(mm/sec)、とした場合に、以下の式(1)を満たすように設定されていることが好ましい。
A(H)=C/F(H) … (1)
【0023】
なお、式(1)の関係を満たすように設定するとは、チップ間スリットの総面積A(H)が式(1)における値と概ね一致することを意味するものであり、完全に一致する場合にのみ限定されるものではない。
すなわち、供給流量Cを一定に制御するように設定した場合であっても、供給流量制御の機械的精度によって多少の流量変動は避けられず、許容されるA(H)の値も若干変化することになる。また、被研削物の反り量が0になるときのF(H)の値を採用しているが、実質的に0に近い値であれば同様の反り量抑制効果が得られることは言うまでもないことである。式(1)は研削ホイールの設計指針であって、これにほぼ類似するような範囲に設計することも含むものである。
例えば、装置における研削液の供給流量Cの公差を±0.1L/min設定とした場合には、その幅において発生する流速F(H)の差は約±10mm/secと試算され、A(H)は、このような差に対応する許容範囲を持つものである。
【0024】
ここで、F(H)は、チップ間スリットを有する研削ホイールを用いて、研削液の供給流量を細かく変化させた実験を行うことにより、実際に、反り量が0となったときの流速を測定して得られたものであってもよい。
また、F(H)は、反り量が0とならなかった場合の複数の流速に基づいて、反り量が0となるような流速を推定することで得られたものであってもよい。例えば、図3に示すように、研削液の供給流量を数水準で変化させたが、反り量が0となるような結果を得られなかった場合であっても、図4に示すように、目標水準となる推定流出流速の近似曲線を得ることができる。この近似曲線から、F(H)を求めてもよい。
なお、図4の近似曲線から求められるF(H)は、以下の数式(2)で表される。
F(H)=122.22×H-0.505 … (2)
【0025】
この発明によれば、上記の式(1)に基づきチップの形状を規定するだけの簡単な方法で、上述の効果が得られる研削ホイールを設計できる。
【0026】
本発明の両頭研削加工方法は、研削液を用いて板状の被研削物の両面を研削する両頭研削加工方法であって、上述の研削ホイールの砥石を、前記被研削物の両面にそれぞれ押し当てる工程と、前記研削ホイール内に研削液を供給しつつ、前記被研削物を研削する工程とを備えることを特徴とする。
【0027】
本発明の両頭研削加工方法によれば、チップの摩耗が進展した場合でも、安定した品質の被研削物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実験例の研削ホイールが装着された両頭研削加工装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】前記実験例の研削ホイールのチップの側面図である。
【図3】前記実験例の研削液の供給流量とウェーハの品質との関係を示すグラフである。
【図4】前記実験例のチップの高さ寸法と研削液の推定流出流速との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の一実施形態(実施例)に係る研削ホイールが装着された両頭研削加工装置の概略構成を示す断面図である。
【図6】前記一実施形態(実施例)の研削ホイールのチップの側面図である。
【図7】本発明の変形例に係る研削ホイールのチップの側面図である。
【図8】本発明の他の変形例に係る研削ホイールのチップの側面図である。
【図9】本発明の実施例の研削ホイールおよび数式に基づく計算値におけるチップの高さ寸法とスリット面積の総和との関係を示すグラフである。
【図10】前記実施例および比較例(前記実験例)のチップの高さ寸法と研削液の推定流出流速との関係を示すグラフである。
【図11】前記実施例の研削液の供給流量とウェーハの品質との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
[研削ホイールの構成]
図5に示すように、両頭研削加工装置1に適用される研削ホイール3は、ホイールベース91と、砥粒をビトリファイドボンドで結合することにより形成された砥石32とを備える。砥石32は、図6にも示すように、砥石ベース921と同じ円環状の砥石ベース321と、この砥石ベース321の外周方向に沿って互いに離れて設けられた複数のチップ322とを備える。
なお、チップ322は、円環状の砥石を切削することで形成されたものであってもよいし、予め砥石ベース321とチップ322に対応する形状のプレス型を製造しておき,当該プレス型に材料を充填して、加圧、焼成することで形成されたものであってもよい。また、砥石32は、ビトリファイドボンドタイプ以外のものであってもよい。
【0030】
具体的に、チップ322は、略板状に形成されており、砥石ベース321から離れるにしたがって幅寸法が広がる台形板状のチップ台形部323と、このチップ台形部323の先端から長方形板状に延びるチップ長方形部324とから構成されている。また、チップ322は、隣接するチップ322との間隔寸法(チップ間隔寸法)が、先端側よりも基端側の方が大きくなるように形成されている。このような構成により、砥石ベース321と、互いに隣り合うチップ322との間に、チップ322の基端側の幅寸法が先端側よりも大きいチップ間スリットS1が形成される。このチップ間スリットS1は、高さ位置が高くなるにしたがって幅寸法が小さくなるスリット基端部S2と、高さ位置に関係なく幅寸法が一定のスリット先端部S3とを備える。
【0031】
なお、チップ322の形状は、チップの高さ寸法をH(mm)、チップ間スリットS1の面積の総和をA(H)(mm2)、ウェーハWの研削時に砥石内に供給する研削液の供給流量をC(mm3/sec)、チップ間スリットS1から流出する研削液の流速をF(H)(mm/sec)、とし、研削液の供給流量Cを一定とした場合に、隣り合うチップ322の間隔寸法が、研削処理に供することで摩耗するチップ322の高さ寸法Hの変化によって上昇する流速F(H)を、研削処理後のウェーハWの反り量が目標範囲となる流速F(H)にまで低下させるのに必要な、チップ間スリットS1の面積の総和A(H)となるように設定されている。
【0032】
具体的には、チップ322の形状は、以下の数式(1)および数式(2)をほぼ満たすように設定されている。
A(H)=C/F(H) … (1)
H:チップ322の高さ寸法(mm)
A(H):チップ322の高さ寸法がHの場合におけるチップ間スリットS1の
面積の総和(mm2)
C:ウェーハWの研削時に砥石内に供給する研削液の供給流量(mm3/sec)
F(H):チップ322の高さ寸法がHの場合において、ウェーハWの反り量が
0になるときのチップ間スリットS1から流出する研削液の流速
(mm/sec)
F(H)=122.22×H−0.505 … (2)
【0033】
[両頭研削加工方法]
次に、上述の研削ホイール3を用いた両頭研削加工方法について説明する。
図5に示すように、2個の研削ホイール3を両頭研削加工装置1に装着する。そして、研削ホイール3をウェーハWの両面にそれぞれ押し当てるとともに、研削ホイール3内に研削液を供給し、ウェーハWを回転させることで、ウェーハWを研削する。その後、当該研削したウェーハWを新しいウェーハWに交換して、次の研削を行う。
【0034】
[実施形態の作用効果]
上述したような本実施形態では、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)互いに隣り合うチップ322の間隔寸法が、チップ322の先端側よりも基端側の方が大きくなるように、研削ホイール3を形成している。このため、チップ322の間隔寸法を高さ位置によらず一定にした場合と比べて、チップ長方形部324の全体とチップ台形部323の一部とが摩耗したときのスリット面積を、大きくすることができる。したがって、このように摩耗した状態における推定流出流速を、従来よりも遅くすることができる。よって、チップ322の摩耗が進展した場合でも、ウェーハWの品質を安定させることができる。さらには、研削ホイール3の長寿命化を図ることもできる。
【0035】
(2)また、研削ホイール3を上述の数式(1)および数式(2)をほぼ満たすように形成しているため、上述の効果が得られる研削ホイール3を容易に設計できる。
【0036】
[他の実施形態]
なお、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しな
い範囲内において種々の改良および設計の変更などが可能である。
すなわち、研削ホイールのチップの形状としては、図7や図8に示すようにしてもよい。
【0037】
図7に示すように、研削ホイール3Aの砥石32Aを構成するチップ322Aは、基端側に設けられた台形状のチップ下台形部323Aと、このチップ下台形部323Aの先端に設けられた台形状のチップ上台形部324Aとから構成され、基端側の両隅部が切り欠かれた略長方形板状に形成されている。チップ322Aの高さ寸法H11、チップ下台形部323Aの高さ寸法H12、チップ上台形部324Aの高さ寸法H13は、それぞれ12mm、3mm、9mmに設定されている。また、隣り合うチップ下台形部323Aの基端側のチップ間隔寸法D11、チップ下台形部323Aの先端側のチップ間隔寸法D12、チップ上台形部324Aの先端側のチップ間隔寸法D13は、それぞれ3.5mm、0.7mm、0.5mmに設定されている。
このような構成により、砥石ベース321と、互いに隣り合うチップ322Aとの間に、高さ位置が高くになるにしたがって幅寸法が小さくなるチップ間スリットS11が形成される。
【0038】
一方、図8に示すように、研削ホイール3Bの砥石32Bを構成するチップ322Bは、基端から先端に向かうにしたがって幅寸法が大きくなる台形板状に形成されている。このチップ322Bの高さ寸法H21は、12mmに設定されている。また、隣り合うチップ322Bの基端側のチップ間隔寸法D21、先端側のチップ間隔寸法D22は、それぞれ3.5mm、0.5mmに設定されている。
このような構成により、砥石ベース321と、互いに隣り合うチップ322Bとの間に、高さ位置が高くなるにしたがって幅寸法が小さくなるチップ間スリットS21が形成される。
【0039】
以上のことから、図7に示す研削ホイール3Aおよび図8に示す研削ホイール3Bにおいても、チップ322Aの間隔寸法、チップ322Bの間隔寸法が、先端側よりも基端側の方が大きくなるように形成されているため、前記実施形態と同様に、チップ322の摩耗が進展しても、ウェーハWの品質を安定させることができる。
【0040】
また、砥石の平面形状としては、円環状に限らず、三角や四角などの多角形の環状としてもよい。さらに、ウェーハWの両面を同時に研削する両頭研削加工を例示したが、ウェーハWの片面のみの研削加工において研削ホイール3を用いてもよい。また、被研削物としては、セラミックスや石材など、ウェーハW以外のものを対象としてもよい。
【実施例】
【0041】
次に、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの
例によってなんら限定されるものではない。
【0042】
まず、上記実施形態に用いた両頭研削加工装置1と同様の構成を有する両頭研削加工装置(光洋機械工業株式会社製、DXSG320)を準備した。
一方で、実施例の研削ホイールとして、図6に示すような研削ホイール3を準備した。また、比較例の研削ホイールとして、図2に示す実験例の研削ホイール9を準備した。実施例および比較例の研削ホイールの特性を、以下の表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
ここで、実施例の研削ホイールは、研削液の供給流量Cを1.6L/min(=1.6×1003/60(mm3/sec))として、上記数式(1)および数式(2)から導かれる、以下の数式(3)を満たすように形成した。
A(H)=(1.6×1003/60)/(122.22×H−0.505) … (3)
【0045】
その結果、チップ322の高さ寸法H1は12mm、チップ台形部323の高さ寸法H2は2mm、チップ長方形部324の高さ寸法H3は10mm、隣り合うチップ台形部323の基端間のチップ間隔寸法D1は3mm、隣り合うチップ長方形部324間のチップ間隔寸法D2は0.5mmとなった。図9に示すように、このようにチップ322の形状を設定することで、実施例の研削ホイールにおけるスリット面積の総和と、数式(3)に基づき計算されたスリット面積の総和とがほぼ一致することが分かる。
【0046】
そして、実施例および比較例の研削ホイールについて、研削液の供給流量を1.6L/minで一定にした場合における、高さ寸法H1と研削液の推定流出流速との関係を計算により推測した。その結果を図10に示す。
図10に示すように、実施例の研削ホイールでは、高さ寸法H1が7mm以上12mm以下の場合に加えて、7mm未満となった場合においても、目標水準に近い値で推移する近似曲線が得られた。このことから、実施例の研削ホイールでは、研削液の供給流量を含む全ての研削条件を一定にして、複数のウェーハWを順次研削すると、チップ322の高さ寸法H1が7mm以上の場合に加えて、7mm未満となった場合でも、ウェーハWの品質が安定する(Bow−bfがほぼ0μmとなる)と考えられる。
【0047】
そして、シリコン単結晶インゴットからワイヤーソーによってスライス加工された直径300mmのシリコンウェーハを準備し、実施例および比較例の各チップ高さの研削ホイールを用い、所定流量の研削液(純水)を研削ホイール内に供給して、シリコンウェーハ表裏面それぞれ20μmづつ除去するように研削処理を行った。この際、研削液の供給流量を、4水準あるいは5水準に設定して研削を行った。各実施例および比較例ともウェーハの研削処理枚数は5枚ずつであり、研削後のシリコンウェーハの平均Bow−bfを求めた。
実施例における結果を図11に示す。なお、比較例における結果は、図3に実験例として示した通りである。
【0048】
比較例の場合、図3に示すように、高さ寸法H91が3.5mm〜12.0mmの範囲では、供給流量が1.6L/minにおける平均Bow−bfが、約−7μm〜約16μmであった。
これに対し、図11に示すように、実施例の場合、高さ寸法H1が3.0mm〜12.0mmの範囲では、供給流量が1.6L/minにおける平均Bow−bfが、約1μm〜約5μmであった。
以上のことから、高さ寸法がほぼ同じ範囲では、実施例におけるウェーハの品質が、比較例よりも安定して良くなることが確認できた。特に、摩耗が進展した段階に対応する、高さ寸法が約3.0mmの場合においても、実施例では、高品質のウェーハを提供できることが確認できた。
【符号の説明】
【0049】
3,3A,3B…研削ホイール
32,32A,32B…砥石
322,322A,322B…チップ
91…ホイールベース
W…ウェーハ(被研削物)
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削ホイール、および、両頭研削加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被研削物を研削する研削ホイールとして、カップ型のものが用いられている。一般的に、カップ型の研削ホイールは、ホイールベースに設けられた環状の砥石を有している。砥石は、環状の外周方向に沿って所定間隔で設けられた、複数のチップを備える。
【0003】
上述のような研削ホイールとしては、特許文献1に記載のような構成が知られている。
この特許文献1には、セラミックスや石材を研削する研削ホイールが開示されている。この研削ホイールのチップ間スリット(互いに隣り合うチップの向かい合う側辺、当該隣り合うチップの基端同士を結ぶ線、および、先端同士を結ぶ線で規定される領域)には、平均粒径が100μm〜2000μmの超砥粒が単層固着されている。
【0004】
また、カップ型の研削ホイールを用いた研削方法としては、特許文献2に記載のようなウェーハを研削する方法が知られている。
この特許文献2には、研削ホイールの中心孔から研削液を供給するとともに、ウェーハの中心部を冷却液で冷却する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−291174号公報
【特許文献2】特許第3776624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1,2には、チップ間隔寸法(隣り合うチップの間隔寸法)が、チップの高さ方向(チップの突出方向)で一定に設定された研削ホイールが開示されている。しかしながら、このような研削ホイールを用い、研削ホイール内への研削液の供給量、ウェーハ1枚あたりの研削時間、研削ホイールの回転速度などの研削条件を一定にした状態で、複数のウェーハを順次研削すると、チップが摩耗するにしたがって、研削されたウェーハの反りが大きくなり、平坦度が悪くなるという問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、チップの摩耗が進展した場合でも、被研削物の品質を維持可能な研削ホイール、および、両頭研削加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、図1に示すような両頭研削加工装置1に、図2に示すような研削ホイール9を用いて実験を行い、鋭意研究を重ねた結果、次の知見を見出した。
【0009】
ここで、両頭研削加工装置1は、内部で被研削物としてのウェーハWを保持するキャリアリング2と、このキャリアリング2で保持されたウェーハWの両面に対向するようにそれぞれ配置された研削ホイール9と、研削ホイール9でウェーハWを研削するように駆動する図示しない研削機構とを備える。
【0010】
研削ホイール9は、例えばダイヤモンドホイールであるホイールベース91と、このホイールベース91の一面から突出する砥石92とを備える。
ホイールベース91は、円板状の円板部911と、この円板部911の外縁から円環状に突出する凸部912とを備える。円板部911の中央には、当該円板部911の両面を貫通する研削液供給孔913が設けられている。この研削液供給孔913を介して、研削ホイール9内(砥石92内)に、研削液が供給される。
砥石92は、砥粒をビトリファイドボンドで結合することにより形成されている。この砥石92は、円環状の砥石ベース921と、この砥石ベース921の外周方向に沿って設けられた複数のチップ922とを備える。チップ922は、図2に示すように、高さ寸法H91(チップ922の基端から先端までの寸法)が12mmであり、かつ、厚さ寸法が3mmの長方形板状に形成されている。また、隣り合うチップ922のチップ間隔寸法D91は、1mmに設定されている。このような構成により、砥石ベース921と、互いに隣り合うチップ922との間に、高さ位置に関係なく幅寸法がチップ間隔寸法D91と等しいチップ間スリットS9が形成される。
【0011】
研削機構は、図1に示すように、鉛直方向に立てられたウェーハWの両側において、研削ホイール9を回転させ、ウェーハWの中心よりも下方の位置に砥石92を押し当てる。そして、この押し当てと同時に、研削ホイール9内に研削液を供給するとともにウェーハWを回転させることで、ウェーハWを研削する。
【0012】
実験を行うに際して、チップ922の高さ寸法H91が3.5mm、9mm、12mmにそれぞれ設定された3種類の研削ホイール9を準備した。そして、所定流量の研削液を研削ホイール9内に供給して、5枚のウェーハWの研削を行った。
この際、研削液の供給流量を、4水準あるいは5水準に設定して研削を行った。また、研削液の供給流量以外の研削条件(ウェーハ1枚あたりの研削時間、研削ホイール9の回転速度など)を、全ての研削において同じにした。
そして、各高さ寸法H91における、研削液の供給流量(L/min)と、ウェーハWの品質との関係を調べた。その結果を、図3に示す。
【0013】
なお、ウェーハWの品質は、Bow−bfに基づいて評価した。Bow−bfが0μmの場合、ウェーハWの測定面(研削面)が平坦で、品質が良い状態を表す。
ここで、Bowとは、ウェーハ全体としての反りを表現する指標の1つであって、ウェーハの中心基準面からウェーハの中点における中心面までの変位により表すものであり、このときの中心基準面は中心面上の3点(Bow−3P)又はベストフィット(Bow−bf)基準により作られるものである。よって、Bow値にあってはプラス(+)で表されたものは凸型の反りを有するものとなり、マイナス(−)で表されたものは凹型の反りを有するものとなる。例えば、光学センサ式の平坦度測定器(LapmasterSFT社製Wafercom)等を使用して反り量を測定することができる。
【0014】
図3に示すように、各高さ寸法H91の研削ホイール9について、平均Bow−bf(5枚のウェーハWのBow−bfの平均値)の近似曲線を求めた。
この近似曲線から、ウェーハWの品質が良くなる(平均Bow−bfが0μmとなる)研削液の供給流量が、高さ寸法H91によって異なることが推定できる。この結果は、供給流量を含む全ての研削条件を、一定にした条件で研削を行うと、チップ922が摩耗するにしたがってウェーハWの反り量が大きくなるという、従来の問題点と一致する。
【0015】
図3に示す結果から、チップ922の摩耗が進展した場合でも、ウェーハWの品質を安定させるための方策として、高さ寸法H91によって研削ホイール9に供給する研削液の流量を調整することが考えられる。しかしながら、研削液の供給流量を調整するために、新たな設備を導入する必要があり、両頭研削加工装置1の構成や制御が複雑になるという、新たな問題点が生じる。
そこで、本発明者は、研削液の供給流量を調整することなく、品質を安定させることができる方策を検討し、チップの高さ寸法が低くなるにしたがって、スリット面積(チップ間スリットの面積)が小さくなるという点に着目した。
【0016】
研削ホイール9内への研削液の供給流量が一定の場合、スリット面積が小さくなるほど、研削液の推定流出流速(チップ間スリットS9から流出する研削液の推定流速)(mm/sec)が速くなる。このため、各高さ寸法H91の場合について、Bow−bfが0μmになると推定される供給流量と、研削ホイール9全体でのスリット面積の総和とから、ウェーハWの品質が安定して良くなるような(Bow−bfがほぼ0μmとなるような)推定流出流速を算出した。その推定流出流速の近似曲線を、図4に目標水準として示す。
【0017】
各高さ寸法H91における推定流出流速が、図4の目標水準で示す値となるように変化すれば、ウェーハWの品質が安定して良くなると考えられる。
しかし、研削液の供給流量を1.6L/minで一定にした場合における、各高さ寸法H91での推定流出流速を算出すると、図4に実験例として示すような近似曲線が得られた。
この結果から、高さ寸法H91が7mm以上12mm以下の場合には、推定流出流速が目標水準に近い値で推移する一方で、7mmよりも小さくなるにしたがって、推定流出流速が目標水準から離れていくと推定できる。
以上のことから、チップ922の摩耗が進展して高さ寸法H91が小さくなっていく場合でも、推定流出流速が目標水準に近い値で推移するように、スリット面積の大きさが変化すれば、研削液の供給流量を調整しなくても、ウェーハWの品質が安定して良くなると推定できる。
本発明は、このような知見に基づいて、完成されたものである。
【0018】
すなわち、本発明の研削ホイールは、研削液を用いた被研削物の研削に用いられる研削ホイールであって、略板状のホイールベースと、前記ホイールベースの一面から環状に突出するように設けられ、前記被研削物に押し当てられる砥石と、を備え、前記砥石は、前記環状の外周方向に沿って設けられた複数のチップを有し、隣り合うチップの間隔寸法は、チップの先端側よりも基端側の方が大きくなるように設定されていることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、研削ホイールの基端側のチップ間隔寸法を、先端側のチップ間隔寸法よりも大きくしている。
このため、チップの高さ位置に関係なくチップ間隔寸法を一定に設定した従来の構成と比べて、チップが基端側まで摩耗した段階でのスリット面積を大きくすることができる。したがって、研削液の供給流量を一定にした場合でも、チップの摩耗が基端側まで進展したときにおける推定流出流速が、従来よりも遅くなり、当該推定流出流速が上記目標水準に近づけることができる。よって、全ての研削条件を一定にして、複数の被研削物を順次研削した場合でも、チップ摩耗による被研削物の反りの悪化を抑制することができ、品質を安定させることができる。
【0020】
本発明の研削ホイールでは、チップの高さ寸法(チップの基端から先端までの寸法)を、H(mm)、チップ間スリット(互いに隣り合うチップの向かい合う側辺、当該隣り合うチップの基端同士を結ぶ線、および、先端同士を結ぶ線で規定される領域)の面積の総和を、A(H)(mm2)、被研削物の研削時に砥石内に供給する研削液の供給流量を、C(mm3/sec)、チップ間スリットから流出する研削液の流速を、F(H)(mm/sec)、とし、前記研削液の供給流量Cを一定とした場合に、前記隣り合うチップの間隔寸法は、研削処理に供することで摩耗するチップの高さ寸法Hの変化によって上昇する流速F(H)を、研削処理後の被研削物の反り量が目標範囲となる流速F(H)にまで低下させるのに必要な、チップ間スリットの面積の総和A(H)となるように設定されていることが好ましい。
【0021】
この発明によれば、隣り合うチップの間隔寸法を上述のように設定することで、被研削物の品質を安定させることができる。
【0022】
本発明の研削ホイールでは、前記隣り合うチップの間隔寸法は、チップの高さ寸法(チップの基端から先端までの寸法)を、H(mm)、チップの高さ寸法がH(mm)の場合における、チップ間スリット(互いに隣り合うチップの向かい合う側辺、当該隣り合うチップの基端同士を結ぶ線、および、先端同士を結ぶ線で規定される領域)の面積の総和を、A(H)(mm2)、被研削物の研削時に砥石内に供給する研削液の供給流量を、C(mm3/sec)、チップの高さ寸法がH(mm)の場合において、被研削物の反り量が0になるときの、チップ間スリットから流出する研削液の流速を、F(H)(mm/sec)、とした場合に、以下の式(1)を満たすように設定されていることが好ましい。
A(H)=C/F(H) … (1)
【0023】
なお、式(1)の関係を満たすように設定するとは、チップ間スリットの総面積A(H)が式(1)における値と概ね一致することを意味するものであり、完全に一致する場合にのみ限定されるものではない。
すなわち、供給流量Cを一定に制御するように設定した場合であっても、供給流量制御の機械的精度によって多少の流量変動は避けられず、許容されるA(H)の値も若干変化することになる。また、被研削物の反り量が0になるときのF(H)の値を採用しているが、実質的に0に近い値であれば同様の反り量抑制効果が得られることは言うまでもないことである。式(1)は研削ホイールの設計指針であって、これにほぼ類似するような範囲に設計することも含むものである。
例えば、装置における研削液の供給流量Cの公差を±0.1L/min設定とした場合には、その幅において発生する流速F(H)の差は約±10mm/secと試算され、A(H)は、このような差に対応する許容範囲を持つものである。
【0024】
ここで、F(H)は、チップ間スリットを有する研削ホイールを用いて、研削液の供給流量を細かく変化させた実験を行うことにより、実際に、反り量が0となったときの流速を測定して得られたものであってもよい。
また、F(H)は、反り量が0とならなかった場合の複数の流速に基づいて、反り量が0となるような流速を推定することで得られたものであってもよい。例えば、図3に示すように、研削液の供給流量を数水準で変化させたが、反り量が0となるような結果を得られなかった場合であっても、図4に示すように、目標水準となる推定流出流速の近似曲線を得ることができる。この近似曲線から、F(H)を求めてもよい。
なお、図4の近似曲線から求められるF(H)は、以下の数式(2)で表される。
F(H)=122.22×H-0.505 … (2)
【0025】
この発明によれば、上記の式(1)に基づきチップの形状を規定するだけの簡単な方法で、上述の効果が得られる研削ホイールを設計できる。
【0026】
本発明の両頭研削加工方法は、研削液を用いて板状の被研削物の両面を研削する両頭研削加工方法であって、上述の研削ホイールの砥石を、前記被研削物の両面にそれぞれ押し当てる工程と、前記研削ホイール内に研削液を供給しつつ、前記被研削物を研削する工程とを備えることを特徴とする。
【0027】
本発明の両頭研削加工方法によれば、チップの摩耗が進展した場合でも、安定した品質の被研削物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実験例の研削ホイールが装着された両頭研削加工装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】前記実験例の研削ホイールのチップの側面図である。
【図3】前記実験例の研削液の供給流量とウェーハの品質との関係を示すグラフである。
【図4】前記実験例のチップの高さ寸法と研削液の推定流出流速との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の一実施形態(実施例)に係る研削ホイールが装着された両頭研削加工装置の概略構成を示す断面図である。
【図6】前記一実施形態(実施例)の研削ホイールのチップの側面図である。
【図7】本発明の変形例に係る研削ホイールのチップの側面図である。
【図8】本発明の他の変形例に係る研削ホイールのチップの側面図である。
【図9】本発明の実施例の研削ホイールおよび数式に基づく計算値におけるチップの高さ寸法とスリット面積の総和との関係を示すグラフである。
【図10】前記実施例および比較例(前記実験例)のチップの高さ寸法と研削液の推定流出流速との関係を示すグラフである。
【図11】前記実施例の研削液の供給流量とウェーハの品質との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
[研削ホイールの構成]
図5に示すように、両頭研削加工装置1に適用される研削ホイール3は、ホイールベース91と、砥粒をビトリファイドボンドで結合することにより形成された砥石32とを備える。砥石32は、図6にも示すように、砥石ベース921と同じ円環状の砥石ベース321と、この砥石ベース321の外周方向に沿って互いに離れて設けられた複数のチップ322とを備える。
なお、チップ322は、円環状の砥石を切削することで形成されたものであってもよいし、予め砥石ベース321とチップ322に対応する形状のプレス型を製造しておき,当該プレス型に材料を充填して、加圧、焼成することで形成されたものであってもよい。また、砥石32は、ビトリファイドボンドタイプ以外のものであってもよい。
【0030】
具体的に、チップ322は、略板状に形成されており、砥石ベース321から離れるにしたがって幅寸法が広がる台形板状のチップ台形部323と、このチップ台形部323の先端から長方形板状に延びるチップ長方形部324とから構成されている。また、チップ322は、隣接するチップ322との間隔寸法(チップ間隔寸法)が、先端側よりも基端側の方が大きくなるように形成されている。このような構成により、砥石ベース321と、互いに隣り合うチップ322との間に、チップ322の基端側の幅寸法が先端側よりも大きいチップ間スリットS1が形成される。このチップ間スリットS1は、高さ位置が高くなるにしたがって幅寸法が小さくなるスリット基端部S2と、高さ位置に関係なく幅寸法が一定のスリット先端部S3とを備える。
【0031】
なお、チップ322の形状は、チップの高さ寸法をH(mm)、チップ間スリットS1の面積の総和をA(H)(mm2)、ウェーハWの研削時に砥石内に供給する研削液の供給流量をC(mm3/sec)、チップ間スリットS1から流出する研削液の流速をF(H)(mm/sec)、とし、研削液の供給流量Cを一定とした場合に、隣り合うチップ322の間隔寸法が、研削処理に供することで摩耗するチップ322の高さ寸法Hの変化によって上昇する流速F(H)を、研削処理後のウェーハWの反り量が目標範囲となる流速F(H)にまで低下させるのに必要な、チップ間スリットS1の面積の総和A(H)となるように設定されている。
【0032】
具体的には、チップ322の形状は、以下の数式(1)および数式(2)をほぼ満たすように設定されている。
A(H)=C/F(H) … (1)
H:チップ322の高さ寸法(mm)
A(H):チップ322の高さ寸法がHの場合におけるチップ間スリットS1の
面積の総和(mm2)
C:ウェーハWの研削時に砥石内に供給する研削液の供給流量(mm3/sec)
F(H):チップ322の高さ寸法がHの場合において、ウェーハWの反り量が
0になるときのチップ間スリットS1から流出する研削液の流速
(mm/sec)
F(H)=122.22×H−0.505 … (2)
【0033】
[両頭研削加工方法]
次に、上述の研削ホイール3を用いた両頭研削加工方法について説明する。
図5に示すように、2個の研削ホイール3を両頭研削加工装置1に装着する。そして、研削ホイール3をウェーハWの両面にそれぞれ押し当てるとともに、研削ホイール3内に研削液を供給し、ウェーハWを回転させることで、ウェーハWを研削する。その後、当該研削したウェーハWを新しいウェーハWに交換して、次の研削を行う。
【0034】
[実施形態の作用効果]
上述したような本実施形態では、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)互いに隣り合うチップ322の間隔寸法が、チップ322の先端側よりも基端側の方が大きくなるように、研削ホイール3を形成している。このため、チップ322の間隔寸法を高さ位置によらず一定にした場合と比べて、チップ長方形部324の全体とチップ台形部323の一部とが摩耗したときのスリット面積を、大きくすることができる。したがって、このように摩耗した状態における推定流出流速を、従来よりも遅くすることができる。よって、チップ322の摩耗が進展した場合でも、ウェーハWの品質を安定させることができる。さらには、研削ホイール3の長寿命化を図ることもできる。
【0035】
(2)また、研削ホイール3を上述の数式(1)および数式(2)をほぼ満たすように形成しているため、上述の効果が得られる研削ホイール3を容易に設計できる。
【0036】
[他の実施形態]
なお、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しな
い範囲内において種々の改良および設計の変更などが可能である。
すなわち、研削ホイールのチップの形状としては、図7や図8に示すようにしてもよい。
【0037】
図7に示すように、研削ホイール3Aの砥石32Aを構成するチップ322Aは、基端側に設けられた台形状のチップ下台形部323Aと、このチップ下台形部323Aの先端に設けられた台形状のチップ上台形部324Aとから構成され、基端側の両隅部が切り欠かれた略長方形板状に形成されている。チップ322Aの高さ寸法H11、チップ下台形部323Aの高さ寸法H12、チップ上台形部324Aの高さ寸法H13は、それぞれ12mm、3mm、9mmに設定されている。また、隣り合うチップ下台形部323Aの基端側のチップ間隔寸法D11、チップ下台形部323Aの先端側のチップ間隔寸法D12、チップ上台形部324Aの先端側のチップ間隔寸法D13は、それぞれ3.5mm、0.7mm、0.5mmに設定されている。
このような構成により、砥石ベース321と、互いに隣り合うチップ322Aとの間に、高さ位置が高くになるにしたがって幅寸法が小さくなるチップ間スリットS11が形成される。
【0038】
一方、図8に示すように、研削ホイール3Bの砥石32Bを構成するチップ322Bは、基端から先端に向かうにしたがって幅寸法が大きくなる台形板状に形成されている。このチップ322Bの高さ寸法H21は、12mmに設定されている。また、隣り合うチップ322Bの基端側のチップ間隔寸法D21、先端側のチップ間隔寸法D22は、それぞれ3.5mm、0.5mmに設定されている。
このような構成により、砥石ベース321と、互いに隣り合うチップ322Bとの間に、高さ位置が高くなるにしたがって幅寸法が小さくなるチップ間スリットS21が形成される。
【0039】
以上のことから、図7に示す研削ホイール3Aおよび図8に示す研削ホイール3Bにおいても、チップ322Aの間隔寸法、チップ322Bの間隔寸法が、先端側よりも基端側の方が大きくなるように形成されているため、前記実施形態と同様に、チップ322の摩耗が進展しても、ウェーハWの品質を安定させることができる。
【0040】
また、砥石の平面形状としては、円環状に限らず、三角や四角などの多角形の環状としてもよい。さらに、ウェーハWの両面を同時に研削する両頭研削加工を例示したが、ウェーハWの片面のみの研削加工において研削ホイール3を用いてもよい。また、被研削物としては、セラミックスや石材など、ウェーハW以外のものを対象としてもよい。
【実施例】
【0041】
次に、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの
例によってなんら限定されるものではない。
【0042】
まず、上記実施形態に用いた両頭研削加工装置1と同様の構成を有する両頭研削加工装置(光洋機械工業株式会社製、DXSG320)を準備した。
一方で、実施例の研削ホイールとして、図6に示すような研削ホイール3を準備した。また、比較例の研削ホイールとして、図2に示す実験例の研削ホイール9を準備した。実施例および比較例の研削ホイールの特性を、以下の表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
ここで、実施例の研削ホイールは、研削液の供給流量Cを1.6L/min(=1.6×1003/60(mm3/sec))として、上記数式(1)および数式(2)から導かれる、以下の数式(3)を満たすように形成した。
A(H)=(1.6×1003/60)/(122.22×H−0.505) … (3)
【0045】
その結果、チップ322の高さ寸法H1は12mm、チップ台形部323の高さ寸法H2は2mm、チップ長方形部324の高さ寸法H3は10mm、隣り合うチップ台形部323の基端間のチップ間隔寸法D1は3mm、隣り合うチップ長方形部324間のチップ間隔寸法D2は0.5mmとなった。図9に示すように、このようにチップ322の形状を設定することで、実施例の研削ホイールにおけるスリット面積の総和と、数式(3)に基づき計算されたスリット面積の総和とがほぼ一致することが分かる。
【0046】
そして、実施例および比較例の研削ホイールについて、研削液の供給流量を1.6L/minで一定にした場合における、高さ寸法H1と研削液の推定流出流速との関係を計算により推測した。その結果を図10に示す。
図10に示すように、実施例の研削ホイールでは、高さ寸法H1が7mm以上12mm以下の場合に加えて、7mm未満となった場合においても、目標水準に近い値で推移する近似曲線が得られた。このことから、実施例の研削ホイールでは、研削液の供給流量を含む全ての研削条件を一定にして、複数のウェーハWを順次研削すると、チップ322の高さ寸法H1が7mm以上の場合に加えて、7mm未満となった場合でも、ウェーハWの品質が安定する(Bow−bfがほぼ0μmとなる)と考えられる。
【0047】
そして、シリコン単結晶インゴットからワイヤーソーによってスライス加工された直径300mmのシリコンウェーハを準備し、実施例および比較例の各チップ高さの研削ホイールを用い、所定流量の研削液(純水)を研削ホイール内に供給して、シリコンウェーハ表裏面それぞれ20μmづつ除去するように研削処理を行った。この際、研削液の供給流量を、4水準あるいは5水準に設定して研削を行った。各実施例および比較例ともウェーハの研削処理枚数は5枚ずつであり、研削後のシリコンウェーハの平均Bow−bfを求めた。
実施例における結果を図11に示す。なお、比較例における結果は、図3に実験例として示した通りである。
【0048】
比較例の場合、図3に示すように、高さ寸法H91が3.5mm〜12.0mmの範囲では、供給流量が1.6L/minにおける平均Bow−bfが、約−7μm〜約16μmであった。
これに対し、図11に示すように、実施例の場合、高さ寸法H1が3.0mm〜12.0mmの範囲では、供給流量が1.6L/minにおける平均Bow−bfが、約1μm〜約5μmであった。
以上のことから、高さ寸法がほぼ同じ範囲では、実施例におけるウェーハの品質が、比較例よりも安定して良くなることが確認できた。特に、摩耗が進展した段階に対応する、高さ寸法が約3.0mmの場合においても、実施例では、高品質のウェーハを提供できることが確認できた。
【符号の説明】
【0049】
3,3A,3B…研削ホイール
32,32A,32B…砥石
322,322A,322B…チップ
91…ホイールベース
W…ウェーハ(被研削物)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研削液を用いた被研削物の研削に用いられる研削ホイールであって、
略板状のホイールベースと、
前記ホイールベースの一面から環状に突出するように設けられ、前記被研削物に押し当てられる砥石と、を備え、
前記砥石は、前記環状の外周方向に沿って設けられた複数のチップを有し、
隣り合うチップの間隔寸法は、チップの先端側よりも基端側の方が大きくなるように設定されていることを特徴とする研削ホイール。
【請求項2】
請求項1に記載の研削ホイールにおいて、
チップの高さ寸法(チップの基端から先端までの寸法)を、H(mm)、
チップ間スリット(互いに隣り合うチップの向かい合う側辺、当該隣り合うチップの基端同士を結ぶ線、および、先端同士を結ぶ線で規定される領域)の面積の総和を、A(H)(mm2)、
被研削物の研削時に砥石内に供給する研削液の供給流量を、C(mm3/sec)、
チップ間スリットから流出する研削液の流速を、F(H)(mm/sec)、とし、
前記研削液の供給流量Cを一定とした場合に、
前記隣り合うチップの間隔寸法は、
研削処理に供することで摩耗するチップの高さ寸法Hの変化によって上昇する流速F(H)を、研削処理後の被研削物の反り量が目標範囲となる流速F(H)にまで低下させるのに必要な、チップ間スリットの面積の総和A(H)となるように設定されていることを特徴とする研削ホイール。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の研削ホイールにおいて、
前記隣り合うチップの間隔寸法は、
チップの高さ寸法(チップの基端から先端までの寸法)を、H(mm)、
チップの高さ寸法がH(mm)の場合における、チップ間スリット(互いに隣り合うチップの向かい合う側辺、当該隣り合うチップの基端同士を結ぶ線、および、先端同士を結ぶ線で規定される領域)の面積の総和を、A(H)(mm2)、
被研削物の研削時に砥石内に供給する研削液の供給流量を、C(mm3/sec)、
チップの高さ寸法がH(mm)の場合において、被研削物の反り量が0になるときの、チップ間スリットから流出する研削液の流速を、F(H)(mm/sec)、
とした場合に、以下の式(1)を満たすように設定されていることを特徴とする研削ホイール。
A(H)=C/F(H) … (1)
【請求項4】
研削液を用いて板状の被研削物の両面を研削する両頭研削加工方法であって、
請求項1から請求項3のいずれかに記載された研削ホイールの砥石を、前記被研削物の両面にそれぞれ押し当てる工程と、
前記研削ホイール内に研削液を供給しつつ、前記被研削物を研削する工程とを備えることを特徴とする両頭研削加工方法。
【請求項1】
研削液を用いた被研削物の研削に用いられる研削ホイールであって、
略板状のホイールベースと、
前記ホイールベースの一面から環状に突出するように設けられ、前記被研削物に押し当てられる砥石と、を備え、
前記砥石は、前記環状の外周方向に沿って設けられた複数のチップを有し、
隣り合うチップの間隔寸法は、チップの先端側よりも基端側の方が大きくなるように設定されていることを特徴とする研削ホイール。
【請求項2】
請求項1に記載の研削ホイールにおいて、
チップの高さ寸法(チップの基端から先端までの寸法)を、H(mm)、
チップ間スリット(互いに隣り合うチップの向かい合う側辺、当該隣り合うチップの基端同士を結ぶ線、および、先端同士を結ぶ線で規定される領域)の面積の総和を、A(H)(mm2)、
被研削物の研削時に砥石内に供給する研削液の供給流量を、C(mm3/sec)、
チップ間スリットから流出する研削液の流速を、F(H)(mm/sec)、とし、
前記研削液の供給流量Cを一定とした場合に、
前記隣り合うチップの間隔寸法は、
研削処理に供することで摩耗するチップの高さ寸法Hの変化によって上昇する流速F(H)を、研削処理後の被研削物の反り量が目標範囲となる流速F(H)にまで低下させるのに必要な、チップ間スリットの面積の総和A(H)となるように設定されていることを特徴とする研削ホイール。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の研削ホイールにおいて、
前記隣り合うチップの間隔寸法は、
チップの高さ寸法(チップの基端から先端までの寸法)を、H(mm)、
チップの高さ寸法がH(mm)の場合における、チップ間スリット(互いに隣り合うチップの向かい合う側辺、当該隣り合うチップの基端同士を結ぶ線、および、先端同士を結ぶ線で規定される領域)の面積の総和を、A(H)(mm2)、
被研削物の研削時に砥石内に供給する研削液の供給流量を、C(mm3/sec)、
チップの高さ寸法がH(mm)の場合において、被研削物の反り量が0になるときの、チップ間スリットから流出する研削液の流速を、F(H)(mm/sec)、
とした場合に、以下の式(1)を満たすように設定されていることを特徴とする研削ホイール。
A(H)=C/F(H) … (1)
【請求項4】
研削液を用いて板状の被研削物の両面を研削する両頭研削加工方法であって、
請求項1から請求項3のいずれかに記載された研削ホイールの砥石を、前記被研削物の両面にそれぞれ押し当てる工程と、
前記研削ホイール内に研削液を供給しつつ、前記被研削物を研削する工程とを備えることを特徴とする両頭研削加工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−210685(P2012−210685A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77684(P2011−77684)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(302006854)株式会社SUMCO (1,197)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(302006854)株式会社SUMCO (1,197)
【Fターム(参考)】
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