説明

破砕乾燥装置

【課題】 乾燥時間と大掛かりな乾燥設備と燃料費を削減できる破砕乾燥装置を提供する。
【解決手段】 被破砕物の供給路1aと、供給路1aに被破砕物を定量供給するフィーダ1と、供給路1aの途中位置に連通した熱風路2aと、熱風路2aに熱風を供給する熱風発生機2と、被破砕物を破砕する破砕機3と、破砕機3で破砕された破砕物を排出する排出路4と、破砕機3内の破砕物を負圧により排出路4に排出させる集塵機8とで構成する。破砕時は摩擦による破砕熱が発生し、その熱と熱風で破砕機3内の温度が高温に維持され、被破砕物はその熱で同時に殺菌乾燥される。したがって、この破砕熱を有効利用することで、熱風発生機2から供給される熱量が従来の乾燥機より大幅に削減されるとともに、破砕と乾燥が同時に行われ、乾燥時間と大掛かりな乾燥設備と燃料費を削減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物や材料を破砕乾燥する破砕乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の破砕装置が特許文献1に開示されている。この技術は、被破砕物の投入口を備えたドラム状のケーシング内に回転軸を横向きに軸支し、回転軸にチェーンを介して重量を有する破砕具を揺動可能に取り付け、回転軸の回転で破砕具を遠心力により放射状に展開させて旋回させ、投入した被破砕物にその破砕具とチェーンを衝突させて破砕するものである。
【0003】
ところで、被破砕物が例えば卵殻の場合は内面に薄膜が残っており、衛生上の問題から熱風等で乾燥して殺菌することが求められる。従来では重油を使用したボイラー式乾燥機で乾燥した後に破砕しており、破砕とは別に乾燥する時間と大掛かりな乾燥設備とその燃料費を必要とする問題があった。また、破砕機で破砕する際に摩擦による破砕熱が発生するが、その熱は有効利用されておらず、逆に破砕機の各部をその熱で傷めていた。
【特許文献1】特開2008−55350号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、乾燥時間と大掛かりな乾燥設備と燃料費を削減できる破砕乾燥装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 被破砕物を回転する破砕具で破砕する破砕機と、破砕機に被破砕物を供給する供給路と、供給路の途中位置に連通した熱風路と、熱風路に熱風を供給する熱風発生機と、破砕機で破砕した破砕物を排出する排出路と、破砕機内の破砕物を吸引して排出路へ排出させる吸引手段とで構成した、破砕乾燥装置
2) 吸引手段が、排出路に負圧を発生させて破砕物を吸引して除塵する集塵機であって、その排出路の途中位置に外気導入口を開口して外気の一部を取り込めるようにした、前記1)記載の破砕乾燥装置
3) 破砕機が、ケーシング内に回転軸を横向きに軸支し、回転軸を正逆いずれかに切り替えて回転させるモータを備え、回転軸にチェーンを介して破砕具を揺動可能に取り付け、回転軸に円状の回転板をケーシングの内壁との間に隙間が形成されるように取り付け、ケーシングの側壁に突条を供給側と排出側それぞれに取り付け、供給側の突条は略水平に配置し、排出側の突条は排出路の方向へ傾斜させた構造である、前記1)又は2)記載の破砕乾燥装置
にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、熱風路を通じて熱風を破砕機に供給し、供給路を通じて被破砕物を破砕機に供給し、破砕機で破砕する。このときに発生する摩擦による破砕熱と熱風で破砕機内の温度が高温に維持され、被破砕物はその熱で同時に殺菌乾燥される。破砕機内の温度は破砕機の各部を傷めない温度以下となるように熱風発生機を出力調整する。したがって、この破砕熱を有効利用することにより、熱風発生機から供給される熱量が従来の乾燥機より大幅に削減されるとともに、破砕と乾燥が同時に行われ、乾燥時間と大掛かりな乾燥設備と燃料費を削減できるようになる。
【0007】
また、本発明では、熱風発生機と破砕機のモータ容量を選定することにより、小型装置による少量の処理から大型装置による大量処理まで柔軟に対応できる。また、破砕機の回転数と回転方向の調整により、破砕から粉砕まで可能である(粉砕の場合の方が破砕熱の発生が大である)。また、本発明の破砕乾燥装置は電気のみしか使用せず、従来のように重油を燃焼しないから、二酸化炭素を直接排出しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明では、吸引手段として集塵機を用いる場合、集塵機に備えているフィルターが湿気で目詰まりする可能性があるから、排出路の途中位置に外気導入口を開口し、その導入した乾いた外気で破砕物と熱風の湿度を低下させてフィルターの目詰まりを防止する。
【0009】
破砕機としては、回転軸にチェーンを介して破砕具を揺動可能に取り付けた構造が牽牛且つ低コストで実用的である。回転軸には円状の回転板をケーシングの内壁との間に隙間が形成されるように取り付けると、破砕物が隙間を通過できる粒度となるまで破砕が繰り返され、破砕物を一定の粒度にできる。また、ケーシングの側壁に突条を供給側と排出側それぞれに取り付け、供給側の突条は略水平に配置し、排出側の突条は排出路の方向へ傾斜させると、被破砕物が突条と破砕具の先端との間に挟まれて効率的に細かく破砕でき、しかも傾斜した突条で破砕物が排出路の方向へ誘導され、円滑に排出できる。
【0010】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0011】
図1〜4に示す実施例は、本発明の破砕乾燥装置を卵殻の破砕乾燥用に適用した例である。図1は実施例の破砕乾燥装置の側面図、図2は実施例の破砕機の平面図、図3は実施例の破砕機の縦断面図、図4は実施例のチェーンと破砕具を省略した破砕機の縦断面図である。
【0012】
図中、1はフィーダ、1aは供給路、2は熱風発生機、2aは熱風路、3は破砕機、3aはケーシング、3bは回転軸、3cはモータ、3dはチェーン、3eは破砕具、3fは回転板、3gは隙間、3hは蓋、3iは突条、4は排出路、5は外気導入口、6はホッパー、7はアジテータ、7aはモータ、8は集塵機、9はスクリューコンベヤ、10は袋詰め機、10aはロータリーバルブ、11は袋、12は投入コンベヤ、12aは投入路である。
【0013】
本実施例の破砕乾燥装置は、図1,2に示すように、被破砕物の供給路1aと、供給路1aに被破砕物を定量供給するフィーダ1と、供給路1aの途中位置に連通した熱風路2aと、熱風路2aに熱風を供給する熱風発生機2と、被破砕物を破砕する破砕機3と、破砕機3で破砕された破砕物を排出する排出路4と、排出路4の途中位置に開口した外気導入口5と、破砕物を貯溜するホッパー6と、破砕機3内の破砕物を負圧により排出路4から排出させて外気導入口5から導入した外気の一部とともにホッパー6へ吸引する集塵機8とで構成されている。
【0014】
破砕機3は、図3,4に示すように、ドラム状のケーシング3a内に回転軸3bを横向きに軸支し、回転軸3bにチェーン3dを介して破砕具3eを揺動可能に取り付け、円状の回転板3fをケーシング3aの内壁との間に隙間3gが形成されるように回転軸3dの中間部と排出側それぞれに取り付けている。中間部の隙間3gは排出側の隙間3gより大きく形成されている。ケーシング3aの側壁は開口して蓋3hを取り付け、その蓋3hの内面に突条3iを供給側と排出側それぞれに取り付け、供給側の突条3iは水平に配置し、排出側の突条3iは排出路4の方向へ傾斜させている。
【0015】
ホッパー6には貯溜される破砕物を解すアジテータ7を内部に備え、下部には貯溜した破砕物を移送するスクリューコンベヤ9を斜めに設けている。スクリューコンベヤ9の終端下方には移送した破砕物を袋詰めする袋詰め機10を設けている。熱風発生機2はヒータと送風ファンを備えた電気式である。
【0016】
本実施例では、フィーダ1と熱風発生機2と破砕機3と集塵機8を作動させると、熱風発生機2は115〜150℃の熱風を生成し、熱風路2aを通じて破砕機3のケーシング3a内へ供給する。破砕機3はモータ3cで回転軸3bを一定時間おきに正逆切り替えて回転させ、破砕具3eが遠心力で放射状に展開して旋回する。熱風は集塵機8の吸引力による負圧で破砕機3のケーシング3a内及びケーシング3aと回転板3fとの間の隙間3gを流通して排出路4へ排出する。
【0017】
投入コンベヤ12から被破砕物(卵殻)をフィーダ1に投入すると、フィーダ1が被破砕物を供給路1aに定量供給する。被破砕物は供給路1aを通じて熱風とともに破砕機3のケーシング3a内に供給され、その被破砕物が旋回する破砕具3e及びチェーン3dと衝突するとともに、突条3iと破砕具3eの先端との間に挟まれて細かく破砕される。このときに出る破砕熱と熱風でケーシング3a内の温度は100〜110℃の高温に維持され、被破砕物はその熱で同時に殺菌乾燥される。
【0018】
破砕された破砕物は、ケーシング3aと回転板3fとの間の隙間3gを通過する。隙間3gを通過できない破砕物は通過できる粒度となるまで破砕が繰り返される。中間部の隙間3gを通過した破砕物は傾斜した突条3iで排出路4の方向へ誘導されながら排出側の隙間3gを通過し、排出路4へ円滑に移行する。このようにして、異なる間隔の隙間3gを通過して段階的に小さく破砕される。
【0019】
隙間3gを通過した破砕物は集塵機8の吸引力で排出路4に排出される。破砕物は外気導入口5から導入された外気の一部とともにホッパー6へ取り込まれ、スクリューコンベヤ9で送り出されて袋詰め機10で袋詰めされる。破砕物は導入した外気によって湿度がさらに低下し、集塵機8に有するフィルター(図示せず)の目詰まりが防止される。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の技術は、卵殻・石膏ボード・竹廃材等の処理に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例の破砕乾燥装置の側面図である。
【図2】実施例の破砕機の平面図である。
【図3】実施例の破砕機の縦断面図である。
【図4】実施例のチェーンと破砕具を省略した破砕機の縦断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 フィーダ
1a 供給路
2 熱風発生機
2a 熱風路
3 破砕機
3a ケーシング
3b 回転軸
3c モータ
3d チェーン
3e 破砕具
3f 回転板
3g 隙間
3h 蓋
3i 突条
4 排出路
5 外気導入口
6 ホッパー
7 アジテータ
7a モータ
8 集塵機
9 スクリューコンベヤ
10 袋詰め機
10a ロータリーバルブ
11 袋
12 投入コンベヤ
12a 投入路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被破砕物を回転する破砕具で破砕する破砕機と、破砕機に被破砕物を供給する供給路と、供給路の途中位置に連通した熱風路と、熱風路に熱風を供給する熱風発生機と、破砕機で破砕した破砕物を排出する排出路と、破砕機内の破砕物を吸引して排出路へ排出させる吸引手段とで構成した、破砕乾燥装置。
【請求項2】
吸引手段が、排出路に負圧を発生させて破砕物を吸引して除塵する集塵機であって、その排出路の途中位置に外気導入口を開口して外気の一部を取り込めるようにした、請求項1記載の破砕乾燥装置。
【請求項3】
破砕機が、ケーシング内に回転軸を横向きに軸支し、回転軸を正逆いずれかに切り替えて回転させるモータを備え、回転軸にチェーンを介して破砕具を揺動可能に取り付け、回転軸に円状の回転板をケーシングの内壁との間に隙間が形成されるように取り付け、ケーシングの側壁に突条を供給側と排出側それぞれに取り付け、供給側の突条は略水平に配置し、排出側の突条は排出路の方向へ傾斜させた構造である、請求項1又は2記載の破砕乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−110665(P2010−110665A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283245(P2008−283245)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(508329391)
【Fターム(参考)】