説明

硬化性樹脂成形用樹脂型の再生樹脂

【課題】脂環式構造含有熱可塑性樹脂を含む樹脂材料から形成され、硬化性樹脂成形用に用いられた樹脂型の再生樹脂であって、該再生樹脂型から形成された樹脂型を硬化性樹脂成形用に再利用したとき、繰り返し使用が可能で、かつ、PIエラーの低い硬化性樹脂成形体を成形することができる再生樹脂を提供すること。
【解決手段】硬化性樹脂成形用樹脂型の再生樹脂であって、該樹脂型が脂環式構造含有熱可塑性樹脂を含む樹脂材料から形成されたものであり、かつ、該再生樹脂中に含まれる5μm以上の大きさの異物数が100個/g以下であることを特徴とする硬化性樹脂成形用樹脂型の再生樹脂。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性樹脂成形用樹脂型の再生樹脂に関し、さらに詳しくは、脂環式構造含有熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物から形成された樹脂型を硬化性樹脂成形用の樹脂型として使用した後、該樹脂型を再生してなる再生樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
脂環式構造含有熱可塑性樹脂からなる成形体は、耐熱変形性と耐吸湿変形性に優れており、しかも硬化性樹脂との離型性に優れているため、硬化性樹脂成形用の樹脂型として使用されている。該樹脂型は、硬化性樹脂に対して、高い面精度の凹凸形状の転写が可能である。そのため、該樹脂型は、例えば、光硬化性樹脂を用いた光ディスクの作製に用いる樹脂スタンパとして好適に使用することができる。
【0003】
例えば、特開2000−108137号公報(特許文献1)には、表面に凹凸形状を有する成形体の製造方法において、該成形体表面の凹凸形状を転写するためのキャビティ内面形状を有し、かつ、脂環式構造含有熱可塑性樹脂からなる樹脂型に、硬化性樹脂を充填して硬化させる、表面に凹凸形状を有する成形体の製造方法が開示されている。
【0004】
特開2004−39136号公報(特許文献2)には、非晶質ポリオレフィン系樹脂からなる光学多層記録媒体成形用透明スタンパと、該透明スタンパを用いた光学多層記録媒体の製造方法が開示されている。特許文献2に記載の製造方法は、基板上に、未硬化の光硬化性樹脂層と、非晶質ポリオレフィン系樹脂からなる透明スタンパをこの順で積層する工程;該透明スタンパを透過した光により、未硬化の光硬化性樹脂層を硬化する工程;及び該透明スタンパを除去する工程を含んでいる。特許文献2には、非晶質ポリオレフィン系樹脂として、シクロオレフィンポリマー(すなわち、脂環式構造含有熱可塑性樹脂の一種)が示されている。
【0005】
脂環式構造含有熱可塑性樹脂からなる樹脂型は、樹脂型として使用した後、粉砕して再生樹脂とすることができる。該再生樹脂は、樹脂成形体の原料として再利用することができる。しかし、該再生樹脂を成形して得られた樹脂型(再生樹脂型)は、その実用性能に問題があった。具体的には、この再生樹脂型を硬化性樹脂成形用の樹脂型として用いた場合、成形後における硬化性樹脂成形体と樹脂型との剥離の際に、該再生樹脂型に亀裂が発生し易い。
【0006】
特開2006−96032号公報(特許文献3)には、脂環式構造含有熱可塑性樹脂からなる樹脂成形体を粉砕して得られる樹脂材料を成形した再生樹脂成形体であって、該再生樹脂成形体中の長径30μm以上の異物数が100個/10g以下である再生樹脂成形体が開示されている。特許文献3には、再生樹脂成形体として再生樹脂スタンパが示されており、また、該再生樹脂スタンパの製造方法として、脂環式構造含有熱可塑性樹脂からなる樹脂スタンパを1回以上使用した後、空気清浄度の分類がクラス6以上の周辺環境下で粉砕し、得られた粉砕物を、金属材料を使用した内表面粗さRmaxが1.8μm以下の輸送管を通過させて、可塑化部に不活性ガスを注入した成形機に空搬した後、成形機内の粉砕物を成形する方法が開示されている。
【0007】
特許文献3に記載の再生樹脂成形体は、例えば、樹脂スタンパとして光硬化性樹脂成形体の成形に使用したとき、硬化後の光硬化性樹脂成形体から剥離する際に亀裂が発生することなく、3回以上繰り返し再使用することができる。しかし、脂環式構造含有熱可塑性樹脂から形成された樹脂スタンパは、硬化後の光硬化性樹脂に対する離型性に優れるものの、その表面に硬化後の光硬化性樹脂の一部が除去されずに残存する傾向にある。したがって、該再生樹脂成形体には、再生前の樹脂スタンパの表面に付着した光硬化性樹脂成分(硬化後の光硬化性樹脂)が含まれている。特許文献3に記載された方法では、再生樹脂中の光硬化性樹脂成分を除去することができない。そのため、該再生樹脂成形体を光記録媒体製造用の樹脂スタンパとして用いると、得られる光記録媒体は、PI(Parity of inner−code)エラーが高くなり、十分な実用性能を発揮することが困難であった。
【0008】
【特許文献1】特開2000−108137号公報
【特許文献2】特開2004−039136号公報
【特許文献3】特開2006−096032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、脂環式構造含有熱可塑性樹脂を含む樹脂材料から形成され、硬化性樹脂成形用に用いられた樹脂型の再生樹脂であって、該再生樹脂型から形成された樹脂型を硬化性樹脂成形用に再利用したとき、繰り返し使用が可能であり、かつ、PIエラーの低い硬化性樹脂成形体を成形することができる再生樹脂を提供することにある。
【0010】
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究した結果、脂環式構造含有熱可塑性樹脂を含む樹脂材料から形成された樹脂型を、硬化性樹脂成形体の成形に1回以上使用した後、再生するに際し、付着した硬化性樹脂成分を除去する工程を配置することにより、再生樹脂型の成形に適した再生樹脂の得られることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、硬化性樹脂成形用樹脂型の再生樹脂であって、該樹脂型が脂環式構造含有熱可塑性樹脂を含む樹脂材料から形成されたものであり、かつ、該再生樹脂中に含まれる5μm以上の大きさの異物数が100個/g以下であることを特徴とする硬化性樹脂成形用樹脂型の再生樹脂が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、脂環式構造含有熱可塑性樹脂を含む樹脂材料から形成され、硬化性樹脂成形用に用いられた樹脂型の再生樹脂であって、該再生樹脂から形成された樹脂型を硬化性樹脂成形用に再利用したとき、繰り返し使用が可能で、かつ、PIエラーの低い硬化性樹脂成形体を成形することができる再生樹脂を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の再利用に供する硬化性樹脂成形用の樹脂型は、樹脂成分として脂環式構造含有熱可塑性樹脂を含有する樹脂材料から形成されたものである。本発明で使用する脂環式構造含有熱可塑性樹脂は、脂環式構造を持つ繰り返し単位を含有する重合体である。該重合体は、主鎖及び/または側鎖に脂環式構造を有する重合体である。該樹脂材料は、脂環式構造含有熱可塑性樹脂のみでもよいが、酸化防止剤など各種添加剤を含有していてもよい。
【0014】
脂環式構造含有熱可塑性樹脂は、微細構造を精度よく成形することが可能である。脂環式構造含有熱可塑性樹脂を含む樹脂材料から形成された樹脂型は、耐熱性、耐吸湿変形性、耐久性に優れ、繰り返し使用が可能である。該樹脂型は、硬化性樹脂(熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂など)の硬化性樹脂成形体との離型性も良好である。
【0015】
<脂環式構造含有熱可塑性樹脂>
脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を構成する炭素数に特に制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。脂環式構造を構成する炭素原子数がこの範囲にあると、耐熱性及び柔軟性に優れる。
【0016】
脂環式構造含有熱可塑性樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する繰り返し単位が過度に少ないと耐熱性が低下し好ましくない。なお、脂環式構造含有重合体樹脂における脂環式構造を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位は、使用目的に応じて適宜選択される。
【0017】
脂環式構造含有熱可塑性樹脂の具体例としては、(i)ノルボルネン系重合体、(ii)単環の環状オレフィン重合体、(iii)環状共役ジエン重合体、(iv)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物等が挙げられる。これらの中でも、透明性や成形性の観点から、ノルボルネン系重合体が好ましい。
【0018】
(i)ノルボルネン系重合体として具体的には、ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体、及びそれらの水素化物、ノルボルネン系単量体の付加重合体、ノルボルネン系単量体と共重合可能なその他の単量体との付加共重合体等が挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネン系単量体の開環(共)重合体水素化物が特に好ましい。
【0019】
本発明において、ノルボルネン系単量体とは、式(I)
【0020】
【化1】

【0021】
で表されるノルボルネン構造を有する化合物である。
【0022】
ノルボルネン系単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.1]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.1]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.1.110]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、及びこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)等を挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基等を挙げることができる。
【0023】
また、これらの置換基は、同一又は相異なって複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン系単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
ノルボルネン系単量体と開環共重合可能なその他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状共役ジエン及びその誘導体;等が挙げられる。
【0025】
ノルボルネン系単量体の開環重合体及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との開環共重合体は、単量体を開環重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。
開環重合触媒としては、通常使用される公知のものを使用できる。
【0026】
ノルボルネン系単量体の開環重合体及びノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体の水素化物は、公知の水素化触媒を添加し、炭素-炭素不飽和結合を好ましくは90%以上、さらに好ましくは99%以上水素化することによって得ることができる。
【0027】
ノルボルネン系単量体と付加共重合可能なその他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン等の炭素数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン等のシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエン等が挙げられる。これらの単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中では、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
【0028】
ノルボルネン系単量体の付加重合体及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能な他の単量体との付加共重合体は、単量体を付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。付加重合触媒としては、通常使用される公知のものを使用できる。
【0029】
(ii)単環の環状オレフィン重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の付加重合体を挙げることができる。
【0030】
また、環状共役ジエン重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン等の環状共役ジエン単量体を1,2−付加重合又は1,4−付加重合した重合体、及びこれらの水素化物を挙げることができる。
【0031】
(iii)ビニル脂環式炭化水素重合体は、ビニルシクロアルカン又はビニルシクロアルケン由来の繰り返し単位を有する重合体である。ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキサン等のビニルシクロアルカン、ビニルシクロヘキセン等のビニルシクロアルケン等のビニル脂環式炭化水素化合物の重合体及びその水素化物;スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族炭化水素化合物の重合体の芳香族部分の水素化物等が挙げられる。
【0032】
(iv)ビニル脂環式炭化水素重合体は、ビニル脂環式炭化水素化合物やビニル芳香族炭化水素化合物と、これらの単量体と共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体等の共重合体及びその水素化物であってもよい。ブロック共重合としては、ジブロック、トリブロック、又はそれ以上のマルチブロックや傾斜ブロック共重合等が挙げられるが、特に制限はない。
【0033】
これらの脂環式構造含有熱可塑性樹脂はそれぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
脂環式構造含有熱可塑性樹脂の分子量は、シクロヘキサン(ただし、樹脂が溶解しない場合はトルエンを用いる)を溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される標準ポリイソプレン換算(溶離液をトルエンにした場合は標準ポリスチレン換算)により測定される重量平均分子量(Mw)で、通常1,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜200,000の範囲である。脂環式構造含有熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)がこの範囲にあるときに、樹脂型の機械的強度と成形加工性のバランスが保たれ好適である。
【0035】
また、脂環式構造含有熱可塑性樹脂の分子量分布〔重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)〕は特に制限されないが、通常1.0〜10.0、好ましくは1.0〜6.0、より好ましくは1.1〜4.0の範囲である。このような範囲に分子量分布を調整することによって、樹脂型の機械的強度と成形加工性が良好にバランスする。
【0036】
脂環式構造含有熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、通常50〜400℃、好ましくは70〜350℃、より好ましくは90〜300℃の範囲である。樹脂のTgは高いほど、例えば重合性モノマーの硬化時の発熱による変形に耐えられ耐久性が高くなり好ましい。一方、樹脂のTgが高すぎると、微細形状の加工がしにくくなる場合がある。したがって、樹脂のTgは、前記範囲にある時に、樹脂型の耐久性と成形加工性が高度にバランスして好適である。
【0037】
脂環式構造含有熱可塑性樹脂の温度280℃、2.16kg荷重におけるJIS K7210により測定したメルトフローレイト(MFR)は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、通常1〜200g/10分、好ましくは2〜180g/10分、より好ましくは3〜150g/10分、最も好ましくは50〜100g/10分の範囲であるときに、微細な形状を有する樹脂型の成形性が最適となり好ましい。
【0038】
本発明の再利用に供する脂環式構造含有熱可塑性樹脂を含有してなる樹脂型は、脂環式構造含有熱可塑性樹脂、または前記樹脂に添加剤を配合した樹脂組成物を公知の成形方法により成形することで製造することができる。
【0039】
前記脂環式構造含有熱可塑性樹脂には、本発明の効果を実質的に阻害しない範囲で、所望により、水酸基含有脂肪酸エステル化合物等の滑剤、フェノール系やリン系等の老化防止剤、ベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系等の紫外線安定剤;アミン系等の帯電防止剤、ヒンダードアミン系の耐候安定剤等の各種添加剤が添加されてもよい。
【0040】
<樹脂型>
本発明の再利用に供する樹脂型は、硬化性樹脂の成形に用いたものであり、通常、硬化物樹脂成分が付着している。本発明の再利用に供する樹脂型としては、硬化性樹脂の成形に用いたものであれば特に限定されないが、例えば光記録媒体、光学レンズ、メガネレンズ、コンタクトレンズ、導光板、光拡散板などの製造用の樹脂型が挙げられる。ここでいう樹脂型とは、枠を設けたキャビティーを有するものであっても、単に凹凸面を有するような板であってよく、特に限定されない。
【0041】
例えば、光記録媒体の製造では、例えば多層光記録媒体を例に挙げると、まず、樹脂成形やエッチングにより形成された記録ピット形成用凸部を片面に有する基板の一部に第1相変化記録層を形成し基体層とする。次いで基体層の上に未硬化の硬化性樹脂をスピンコートなどの手段により塗布し硬化性樹脂層とし、未硬化状態の硬化性樹脂層に樹脂スタンパ(樹脂型に相当)を押し当てる。次いで硬化性樹脂層を紫外線や熱により硬化させ硬化性樹脂層とし、そののちに樹脂スタンパを引き剥がす。その後、第2相変化記録層を積層し、次いでカバー層を積層することにより多層光記録媒体を得ることができる。
【0042】
このように、光記録媒体の製造において、硬化性樹脂層に樹脂スタンパを押し当て、硬化性樹脂層を硬化させた後に樹脂スタンパを引き剥がす操作を行うため、樹脂スタンパには硬化物樹脂成分が通常付着している。
【0043】
<硬化性樹脂>
硬化性樹脂は特に限定されないが、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂などが挙げられる。中でも、活性エネルギー線硬化性樹脂が好ましく、紫外線硬化性樹脂がより好ましく用いられる。
【0044】
前記熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂に必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等を加えて使用することができる。
【0045】
活性エネルギー線硬化性樹脂は、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー及び/又はモノマーが、エネルギー線の照射により硬化してなる樹脂である。活性エネルギー線は、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合又は架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は紫外線又は電子線を用いる。
【0046】
前記分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマーとしては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類;ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート類、及びカチオン重合型エポキシ化合物などが挙げられる。
【0047】
前記分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有するモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置換の置換アミノアルコールエステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド類;エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクレリート等の多官能性アクリレート類;トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等の、分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール類;等が挙げられる。本発明においては、これら分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー及び/又はモノマーを一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0048】
活性エネルギー線硬化性樹脂は、通常、上記分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマーとともに重合開始剤を含む。
【0049】
<樹脂型の再利用>
本発明の再生樹脂を得る方法は特に限定されないが、例えば、(1)樹脂型に付着した硬化性樹脂成分(硬化した硬化性樹脂)を予め機械的に除去する方法(以下「機械的除去法」ということがある);樹脂スタンパなどの樹脂型を(2)溶液状態(以下「溶液法」ということがある)または(3)溶融状態(以下「溶融法」ということがある)にして流動化させ、それぞれ適当なフィルターを通過させる方法;などにより得ることができる。
【0050】
(1)機械的除去法
樹脂型に付着した硬化性樹脂成分を機械的に除去する方法は特に限定されないが、例えば、樹脂型が光学記録媒体製造に用いる樹脂スタンパである場合、光記録媒体の製造において基体層の上に硬化性樹脂を塗布する際は少なからず過剰とすることから、樹脂スタンパを硬化性樹脂層に押し付けた際には余分な硬化性樹脂は基体層の外周部分に集まりやすく、その結果として硬化性樹脂は樹脂スタンパの基体層と重なる位置の基体層外周相当部分に多く付着するため、樹脂スタンパの基体層と重なる位置の基体層外周相当部分を刃物等により切り取ることが挙げられる。樹脂スタンパの切り取り部分は、基体層と重なる位置の基体層外周相当位置において、基体層直径の、通常、3%以上、好ましくは5%以上、さらに好ましくは10%以上内側である。
【0051】
樹脂型に付着した硬化性樹脂成分を機械的に除去した後、必要に応じて溶融押出機から押し出してペレット状にして用いることができるが、以下に示す溶融法または溶液法と併用することが、さらに異物量を低減できるため好ましい。
【0052】
(2)溶液法
溶液法による硬化性樹脂成分の除去方法は、特に限定されないが、例えば、樹脂型を溶解させた脂環式構造含有熱可塑性樹脂含有溶液を、(i)孔径が通常50μm以下、好ましくは1μm以下、特に好ましくは0.3μm以下の機械的フィルターで濾過する方法、(ii)電荷的捕捉機能を有する濾過フィルターで濾過する方法などを挙げることができる。これらの方法の中でも、(ii)の電荷的捕捉機能を有する濾過フィルターを用いる方法が、微細な異物の除去能が高く、目開きによる機械的フィルターによる濾過では通過する微細な異物が取り除けられるので好適である。
【0053】
樹脂スタンパの場合、樹脂スタンパをそのまま、または適当な大きさに粉砕して良溶媒と混合し溶解し溶液とする。溶解のし易さから、その大きさ(粒子の最も短い辺の長さ)は、好ましくは50mm以下、さらに好ましくは20mm以下、特に好ましくは10mm以下に粉砕することが好ましい。良溶媒は、脂環式構造含有熱可塑性樹脂の種類、構造により変わり、取り扱いのし易さや乾燥のし易さから適当なものが選択される。具体的には、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;クロロホルム、トリクレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン、ジシクロペンタジエンの水素添加物等の脂環族炭化水素系溶剤;テトラヒドロフラン等の環状エーテル系溶剤などを挙げることができる。濾過の際の固形分の濃度は、通常1〜40重量%、好ましくは5〜35重量%、より好ましくは10〜30重量%である。溶液の濃度が過度に低いと大量の溶液を処理する必要があり、逆に、過度に溶液濃度が高いと濾過性が低下する。
【0054】
電荷的捕捉機能を有するフィルターは、電気的に荷電異物を捕捉除去するもので、通常は、濾材に電荷を付与したものが用いられる。一般的にはゼータ電位を制御したゼータ電位濾過フィルターが用いられる。ゼータ電位濾過フィルターとしては、一般的には、例えば、特表平4−504379号公報などに記載されているセルロース繊維/シリカ/陽電荷変性剤(ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、脂肪族ポリアミンなど)のような、濾材に陽電荷変性剤を付与したフィルターなどが用いられる。
【0055】
その他の濾材としては、例えば、ポリプロピレン製、ポリエチレン製、PTFE製などの繊維製またはメンブランフィルター、セルロース製の繊維製フィルター、ガラス繊維製フィルター、珪藻土などの無機物製フィルター、金属繊維製フィルターなどが挙げられる。その他の陽電荷変性剤としては、例えば、メラミンホルムアルデヒド陽イオンコロイド、無機陽イオンコロイドシリカ、などが挙げられる。市場では、陽電荷変性濾過フィルターが、キュノ社によって商標「ゼータプラス」で販売されている。
【0056】
電荷的捕捉機能を有する濾過フィルターでの濾過は、処理能力が必ずしも高くないので、通常は、機械的濾過フィルターと組み合わせて行われる。組み合わせる順番は、格別制限はないが、通常、機械的濾過フィルター、次いで電荷的捕捉機能フィルターの順で使用される。
【0057】
機械的濾過フィルターとしては、溶媒によって悪影響を受けないものであれば特に限定はされず、例えば、ポリプロピレン製、ポリエチレン製、PTFE製などの繊維製またはメンブランフィルター、セルロース製の繊維製フィルター、ガラス繊維製フィルター、珪藻土などの無機物製フィルター、金属繊維製フィルターなどが挙げられる。機械的濾過フィルターの孔径は、格別制限はないが、通常50μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.3μm以下である。これらの機械的濾過フィルターは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。電荷的捕捉機能を有するフィルターを用いない場合には、機械的濾過フィルターの孔径が0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下のものを用いて2回以上濾過操作を繰り返すことも好ましい。
【0058】
濾過後の溶液は、そのまま再利用することもできるが、例えば、外部環境から異物が混入しないように密閉系で、揮発成分の除去を行い、クリーンルーム内等のクリーン度の高い環境下、具体的にはISO14644−1に規定されるクリーン度を通常、クラス6以下、好ましくはクラス5以下に厳重に管理した環境でペレット化して用いることが好ましい。
【0059】
溶媒その他の揮発成分の除去方法としては、(i)凝固法や(ii)直接乾燥法など公知の方法を採用することができる。
【0060】
(i)凝固法は溶液を、脂環式構造含有重合体樹脂の貧溶媒と混合することにより、樹脂成分を析出させる方法であり、貧溶媒の種類は脂環式構造含有重合体樹脂の種類により変化するが、例えば、エチルアルコール、n−プロピルアルコール若しくはi−プロピルアルコール等のアルコール類、アセトン若しくはMEK等のケトン類、酢酸エチル若しくは酢酸ブチル等のエステル類などの極性溶剤を挙げることができる。凝固して得られた粉末状の樹脂を含む成分は、例えば真空中または窒素中若しくは空気中で加熱して乾燥し、さらに必要に応じて溶融押出機から押し出してペレット状にして用いることができる。
【0061】
(ii)直接乾燥法は、例えば特開平4−170425号公報等に開示されている方法であり、溶液を減圧下加熱して溶媒を除去する方法である。この方法には遠心薄膜連続蒸発乾燥機、掻面熱交換型連続反応器型乾燥機、高粘度リアクタ装置等公知の装置を用いて行うことができる。真空度や温度はその装置によって適宜選択され、限定されない。さらに必要に応じて溶融押出機から押し出してペレット状にして用いることができる。
【0062】
(3)溶融法
溶融法は、樹脂型をそのままの大きさで、または適当な大きさに粉砕したものを加熱溶融し、加圧して、通常、孔径0.5〜50μmの金属製フィルターを備えたポリマーフィルターと呼ばれるフィルターで濾過することにより行われる。樹脂型が塊状である場合には、溶融のし易さから、大きさ(粒子の最も長い辺の長さ)は、好ましくは20mm以下、さらに好ましくは10mm以下、特に好ましくは8mm以下に粉砕することが好ましい。
【0063】
加熱溶融は、単軸押出機若しくは2軸押出機などまたはこれらとギヤポンプの組み合わせなど、溶融状態で樹脂を加熱する機構を持った溶融押出機で行われる。加熱溶融する温度は、特に限定されないが好ましくは200℃〜320℃、より好ましくは220℃〜300℃、特に好ましくは240℃〜280℃の範囲である。この範囲にある時に、得られる濾過後の溶融樹脂の熱劣化が無く、また濾過効率が高く好ましい。加圧する圧力は、特に限定されないが好ましくは5〜100kg/cm、より好ましくは10〜90kg/cm、特に好ましくは15〜80kg/cmの範囲である。この範囲にある時に、得られる濾過後の溶融樹脂の熱劣化が無く、また濾過効率が高く好ましい。
【0064】
上記の溶融押出機の出口にポリマーフィルターを取り付けて溶融状態の樹脂成分を通過させることによって、異物を取り除くことができる。ポリマーフィルターは例えば細かいメッシュ状のフィルターを多段に、接触面積が大きくなるように重ねた構造のものであり、富士フィルター社、ニチダイ社などから入手することが可能であり、本発明においては、通常、孔径50μm以下、好ましくは10μm以下、特に好ましくは5μm以下のものを用いる。
【0065】
濾過のための溶融時には、樹脂滞留時間が好ましくは60分以内、より好ましくは40分以内、特に好ましくは20分以内であることが好ましい。溶融成形時には、脂環式構造含有熱可塑性樹脂はできるだけ、空気(または酸素)に触れない、または酸素濃度の低い状態で溶融することが好ましい。該樹脂の溶融する部分(例えば溶融成形機にスクリュー部)での酸素濃度は好ましくは10容積%以下、より好ましくは5容積%以下、特に好ましくは2容積%以下である。そのためには、具体的には溶融押出機の樹脂成分投入部(ホッパーと呼ぶことが多い)に、窒素等の不活性ガスを流したり、ホッパー部を密閉構造として真空に引いたりすることによって上記の好ましい酸素濃度を実現することができる。
【0066】
溶融状態でフィルターを通過させて濾過した後は、通常、棒状の形に引き取り、ストランドカッターで切断してペレット状の成形材料とする。その際には、外部環境から異物が混入しないように、クリーンルーム内等のクリーン度の高い環境下、具体的にはISO14644−1に規定されるクリーン度を、通常、クラス6以下、好ましくはクラス5以下で行うことが好ましい。
【0067】
<吸着処理>
本発明では、樹脂型に付着した硬化性樹脂成分を除去する工程の前及び/又は後、好ましくは前に、吸着処理を行うことが好ましい。この処理は、通常、脂環式構造含有熱可塑性樹脂を溶液状態にして行う。吸着処理を行うことにより、硬化性樹脂成分中の未硬化成分なども取り除くことができる。
【0068】
吸着剤は、特に限定されないが、合成ゼオライト、天然ゼオライト、活性アルミナ、活性白土、珪藻土などのSiO 、Al、またはこれらを担体としたNi、Pdなどの金属が担持された水素化反応に用いる公知の不均一系触媒などが挙げられる。水素化反応に用いる不均一系触媒を吸着剤として用いる場合には、予めまたは吸着処理中に水素化反応に用いる不均一系触媒を還元することができる。
【0069】
吸着剤の比表面積が、通常、50m/g以上、好ましくは100m/g以上、より好ましくは200m/g以上、細孔容積が、通常、0.5cm/g以上、好ましくは0.6cm/g以上、より好ましくは0.7cm/g以上のものである。比表面積や細孔容積が小さいと吸着能力が劣る。これら吸着剤粒子の大きさは、通常、0.2μm以上、好ましく10μm〜3cm、より好ましくは100μm〜1cmのものである。小さすぎると処理速度が遅くなったり、大きすぎるとカラムの充填率が悪くなり処理時間が長くなるおそれがある。
【0070】
吸着処理を行う温度としては、用いる吸着剤によって適宜選択されるが、通常、0〜200℃、好ましくは20〜150℃、さらに好ましくは30〜100℃である。
【0071】
また、吸着処理としては、前述のように、(i)吸着剤充填カラムに溶液を通す方法、(ii)吸着剤を添加し、攪拌し、濾過等により吸着剤を除去する方法などが挙げられる。
【0072】
(i)吸着剤充填カラムに樹脂型を溶解した溶液を通す方法では、充填率をρ(g/m)、比表面積をS(m/g)、滞留時間をt(sec)とした時にρSt(秒/m)が10以上になるように処理すればよい。通常、Sは100〜1000m/g程度で、ρは4〜8×10g/m程度であるので滞留時間を30秒以上にすればよい。
【0073】
(ii)樹脂型を溶解した溶液に吸着剤を添加する方法では、比表面積をS(m/g)、吸着剤添加量をm(g)、攪拌時間をt(秒)、処理する溶液量をV(g)、溶液濃度をcとした時にSmt/Vc(秒/m)が10以上、好ましくは10以上、より好ましくは10以上であり、Sm/Vcが1以上、好ましくは5以上、より好ましくは10以上であり、t(秒)が100以上、好ましくは200以上、より好ましくは300以上になるように処理すればよい。
【0074】
吸着剤処理後に濾過を行い、吸着剤と、脂環式構造含有熱可塑性樹脂中に入っていた硬化性樹脂成分などの異物を濾過して除く。
【0075】
<再生樹脂>
本発明の再生樹脂には、使用する目的に応じて、他の合成樹脂、各種配合剤(以下「配合剤等」ということがある)を混合して使用することができる。
【0076】
他の合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などのポリオレフィン;ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン/ブタジエン/スチレンのブロック共重合体(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレンのブロック共重合体(SIS)、SBSの水素添加物(SEBS)、SISの水素添加物(SEPS)などのゴム;ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイドなどの樹脂;などを挙げることができる。また、これらの他の合成樹脂はそれぞれ単独で、あるいは2種以上混合して用いたものであっても良い。また、その割合は、使用の目的に応じて適宜選択される。
【0077】
配合剤としては、熱可塑性樹脂材料で通常用いられているものであれば格別な制限はなく、使用する目的に応じて適宜選択され、例えば、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、染料や顔料などの着色剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤などの配合剤が挙げられる。
【0078】
老化防止剤としては、前述の、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤やイオウ系酸化防止剤などが挙げられるが、これらの中でも、フェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。
【0079】
これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。酸化防止剤の配合量は、再利用の目的により適宜選択されるが、ポリマー成分100重量部に対して通常0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部の範囲である。
【0080】
配合剤等を混合する方法は特に限定されない。溶融法で異物を除去した場合は、異物除去に引き続いて、または異物除去後のペレットを再度溶融して、混練して必要な配合剤等を添加することができるし、溶液にして添加してから必要に応じて溶媒を乾燥しても良い。
【0081】
溶液法で異物を除去した場合は、その溶液に必要な配合剤等を添加し混合してから必要に応じて溶媒を乾燥しても良いし、溶液から溶媒を乾燥して除去してから溶融混練して添加しても良い。
【0082】
溶融混練する方法としては、例えば、ミキサー、二軸混練機などで樹脂を溶融状態で混練する方法などがあり、均質な材料を得ることができることから、溶融混練法が好ましい。
【0083】
溶融混練する場合には、樹脂温度が(該樹脂のガラス転移温度より70℃以上高い温度)から330℃以下、より好ましくは300℃以下、特に好ましくは280℃以下の温度とすることが適当であり、十分にシェアをかけることにより好ましい均一な混合状態とすることができる。スクリュー形状等、混練の条件は混練機の種類、形状等によりそれぞれ適宜選択される。溶融混練後は、通常、溶融状態で棒状に押し出し、ストランドカッターで適当な長さに切り、ペレットとする。
【0084】
<成形方法>
本発明の再生樹脂を成形する方法は特に限定されず、目的に応じて適宜選択され、例えば、射出成形、プレス成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、多層ブロー成形、コネクションブロー成形、二重壁ブロー成形、延伸ブロー成形、真空成形、回転成形などが挙げられる。本発明の再生樹脂を光記録媒体製造用の樹脂スタンパーに成形する場合には、射出成形法及びプレス成形法が、凹凸形状の面内のバラツキを小さくでき好適である。プレス成形法としては、溶融押出法により作製したシート又はフィルム等を成形しようとする凹凸状の金型内で加温・加圧する方法が挙げられる。
【0085】
成形条件は適宜設定されるが、樹脂温度は、通常100〜400℃、好ましくは200〜380℃、より好ましくは200〜370℃である。また、射出圧力は、通常0.1〜100MPa、好ましくは0.5〜50MPaである。
【0086】
樹脂スタンパとして再利用する場合の樹脂スタンパの形状は、製造する積層体の形状により適宜選択されるが、硬化性樹脂に接する表面に、凸部を有し、該凸部の高さが10nm〜200nm、凸部のピッチが0.2μm〜2.0μmであると好ましい。
【0087】
樹脂スタンパの厚みは特に限定されないが、0.3〜2mmの範囲にあると好ましく、0.3〜1.5mmの範囲にあるとより好ましく、0.5〜1.0mmの範囲にあると特に好ましい。
【0088】
樹脂スタンパの厚さがこの範囲にあると、樹脂スタンパが適度な柔軟性を有するために樹脂スタンパを硬化性樹脂層から引き剥がす際に、樹脂スタンパを変形させながら引き剥がすことができるので、引き剥がしが容易でかつ、積層体の表面を傷つけづらいので好ましい。
【0089】
<再生樹脂の特性>
本発明の再生樹脂は、硬化性樹脂成分などの異物が少ないので、透明性、剥離性、転写性に優れる。
【0090】
本発明の再生樹脂の1重量%テトラリン溶液をパーティクルカウンタ(HACH ULTRA ANALYTICS社製、HIAC ROYCO 8000A)で測定した5μm以上の異物数は、100個/g以下、好ましくは50個/g以下、さらに好ましくは30個/g以下、特に好ましくは10個/g以下である。
【0091】
本発明の再生樹脂が透明性に優れることは、例えば、該再生樹脂を10重量%の濃度のシクロヘキサン溶液とし、波長365nm、光路長10mmで測定した光線透過率を測定することによって確認することができ、通常、85%以上、好ましくは87%以上、さらに好ましくは90%以上である。この範囲にあると、該再生樹脂を光記録媒体製造用の樹脂スタンパとして用いた際に、活性エネルギー線が樹脂スタンパを良く透過するので硬化性樹脂の硬化時間が短く、かつ十分に硬化することができる。
【0092】
本発明の再生樹脂が剥離性に優れることは、例えば、該再生樹脂を光記録媒体用の樹脂スタンパとし、該樹脂スタンパを硬化性樹脂層から剥離させる際にかかる荷重を剥離試験装置(STP、オリジン電気社製)を使用して測定することにより確認でき、通常、15N以下、好ましくは13N以下、さらに好ましくは10N以下である。この範囲にあると樹脂スタンパを硬化性樹脂層から容易に剥がすことができ、樹脂スタンパの微細な凹凸面への硬化性樹脂の付着や凹凸面の変形が生じ難いため、樹脂スタンパを繰り返し使用することができる。
【0093】
本発明の再生樹脂が転写性に優れることは、例えば、該再生樹脂を光記録媒体用の樹脂スタンパを用いて作成したDVD+Rを市販の記録ドライブにて記録を行い、Audio Development社製 SA−300によりPIエラーを測定することにより確認することができ、PIエラーは、通常280以下、好ましくは200以下、より好ましくは150以下、さらに好ましくは120以下、特に好ましくは100以下である。
【実施例】
【0094】
以下に実施例を挙げて本発明を説明する。
実施例、比較例における各物性の測定、評価は以下の方法で行った。
【0095】
(1)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)
重量平均分子量(Mw)、及び数平均分子量(Mn)は、シクロヘキサンを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリイソプレン換算値として測定した。
【0096】
(2)水素添加率
水素添加率は、重クロロホルムを溶媒としたH−NMRにより測定した。
【0097】
(3)ガラス転移温度(Tg)
ガラス転移温度(Tg)は、昇温速度10℃/分の条件で示差走査熱量計(SIIナノテクノロジー製 DSC6220)を用いJIS−K7121に準じ測定した。
【0098】
(4)メルトフローレイト(MFR)
メルトフローレイト(MFR)は、JIS−K7210に基づいて、280℃、2.16kg荷重で測定した。
【0099】
(5)光線透過率
光線透過率は、ペレットをシクロヘキサン中に10重量%の濃度に溶解させ溶液にして、それを10mm光路の石英セルに入れて波長365nmの光線透過率(分光光度計:日本分光社製V−570)を測定した。
【0100】
(6)異物個数
異物個数は、ペレットを孔径0.2μmのカートリッジフィルターで濾過したテトラリン中に1重量%の濃度に溶解させた溶液をパーティクルカウンタ(HACH ULTRA ANALYTICS社製、HIAC ROYCO 8000A)を用いて測定した。
【0101】
(7)剥離強度
剥離強度は、樹脂スタンパを剥離させる際にかかる荷重を剥離試験装置STP〔(株)オリジン電気製〕を使用して評価した。
【0102】
(8)PIエラー
PIエラーは、作製した各DVD+Rに市販の記録ドライブにて記録を行い、PIエラーはAudio Development社製SA−300により測定した。
【0103】
[製造例1]
(樹脂の製造方法)
室温、窒素雰囲気の反応器に、脱水したシクロヘキサン250部を入れ、更に1−ヘキセン0.84部、ジブチルエーテル0.06部及びトリイソブチルアルミニウム0.11部を入れて混合した後、45℃に保ちながら、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(以下「DCP」と略すことがある)85部、8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(以下「ETD」と略すことがある)15部、及び六塩化タングステンの0.7%トルエン溶液15部を2時間かけて連続的に添加して重合した。重合転化率は100%であった。
【0104】
得られた重合反応液を耐圧性の水素化反応器に移送し、ケイソウ土担持ニッケル触媒(日産ガードラー社製;G−96D、ニッケル担持率58%)5部及びシクロヘキサン100部を加え、150℃、水素圧4.4MPaで8時間反応させた。この反応溶液を、ラジオライト#500を濾過床として、圧力0.25MPaで加圧濾過(フンダフィルター、石川島播磨重工社製)して水素化触媒を除去し、無色透明な溶液を得た。次いで前記水素添加物100部あたり0.5部の酸化防止剤:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](イルガノックス1010、チバガイギー社製)(以降「酸化防止剤(A)」と略すことがある)を、得られた溶液に添加して溶解させた。次いで、ゼータープラスフィルター30H(孔径0.5〜1μm、キュノーフィルター社製)にて順次濾過しさらに別の金属ファイバー製フィルター(孔径0.4μm、ニチダイ社製)にて濾過して微小な固形分を除去した。
【0105】
次いで、上記溶液を、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所製)を用いて、温度270℃、圧力1kPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を除去し、ISO14644−1に規定されるクリーンクラス6以下のクリーンブース内にて、濃縮機に直結したダイから溶融状態でストランド状に押出し、冷却後ペレット化して開環共重合樹脂水素化物のペレット(A)を得た。
【0106】
このペレット化された開環共重合樹脂水素化物の重量平均分子量(Mw)は30,000、数平均分子量(Mn)は、10,000、水素添加率は99.5%、ガラス転移点は105℃、MFRは、60.5g/10分であった。
【0107】
[製造例2]
(樹脂スタンパ成形)
製造例1により得られたペレット(A)を樹脂材料として、ISO14644−1に規定されるクリーンクラス6以下のクリーンブース内にて以下の条件において射出成形して、内径15mm、外径120mm、厚さ0.6mmの円板形状の樹脂スタンパ(A)を得た。
ペレットは成形直前まで、乾燥機中で100℃、4時間の加熱処理を行った。
【0108】
射出成形に使用する可塑化装置は、幅0.16μm、配列ピッチ0.32μm、深さ180nmの同心円状凹凸パターンを有するDVD+R用のNiスタンパを取り付けた、キャビティ深さ0.580mmの金型を装着した射出成形機(SD40ER、住友重機械工業社製)を用いた。
【0109】
ペレットの成形装置の樹脂供給部までの移送は、移送管内側の表面粗さのRmaxが1.8μmである移送管を使用した。
【0110】
成形条件としては、樹脂温度(バレル設定最高温度)は360℃、金型温度は金型固定側90℃、金型可動側88℃とした。金型の最大圧縮力は35トンとし、金型開き量制御にて金型の初期開き幅(初期型開量)を0.4mmに設定し、射出開始から0.12秒経過後に最大圧縮力にて金型を閉じた。
充填樹脂量は6.4gとし、最大射出速度は180mm/sとした。
【0111】
成形時には射出成形機の可塑化部へ純度99.99%の窒素ガスを10リットル/分の流量で導入した。
【0112】
[製造例3]
(ポリカーボネート製基板の作成)
ポリカーボネート(帝人化成(株)製パンライトAD5503)製基板は、上記の樹脂スタンパ(A)と同形状であり、射出成形機およびNiスタンパも同じものを使用した。ポリカーボネートのペレットは、成形直前まで乾燥機中で120℃、4時間加熱処理を行った。成形条件としては、樹脂温度(バレル設定最高温度)は385℃、金型温度は金型固定側、金型可動側ともに124℃とした。金型の最大圧縮力は38トンとし、金型開き量制御にて金型の初期開き幅(初期型開量)を0.6mmに設定し、射出開始から0.10秒経過後に最大圧縮力にて金型を閉じた。
充填樹脂量は6.4gとし、最大射出速度は180mm/sとした。
【0113】
[製造例4]
(使用済みスタンパの作成)
上記のようにして得られた樹脂スタンパ(A)及び、ポリカーボネート製基板それぞれの信号面側に紫外線硬化性樹脂(日本化薬(株)製DVD−595)を滴下した後、回転させて余分の紫外線硬化性樹脂を除去し、真空貼り合せ装置(芝浦メカトロニクス製 Cielo−RB)にて両者を貼り合せた。
【0114】
その後、樹脂スタンパ(A)を通して紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂を硬化させた後、樹脂スタンパを剥離し使用済み樹脂スタンパ(B)を得た。
【0115】
[実施例1]
(使用済みスタンパの再生)
製造例4により得られた使用済み樹脂スタンパ(B)100重量部をISO14644−1に規定されるクリーンクラス6以下のクリーンブース内で粉砕機にて約5mm角に粉砕した。
【0116】
上記粉砕された使用済み樹脂スタンパの粉砕物を密閉タンク内でシクロヘキサン400部に溶解した。活性アルミナ(日揮化学製、E1Q1)10部を添加し、40℃で4時間攪拌処理した。珪藻土(昭和化学社製、ラジオライト#500)を濾過助剤として、加圧濾過機(フンダフィルター、石川島播磨重工社製)で圧力2.5kg/cm で濾過してアルミナを除去した後、さらに金属性ファイバー製フィルター(口径5μm、ニチダイ社製)にて濾過した。次いで、溶液100重量部あたり0.1重量部の酸化防止剤(A)を添加した後、揮発成分であるシクロヘキサンを円筒型薄膜濃縮乾燥機(日立製作所製、コントロ)によって、運転条件を第1ステップ:温度270℃、圧力100Torr、第2ステップ:温度270℃、圧力5Torrとして除去した。溶融状態で、ISO14644−1に規定されるクリーンクラス6以下のクリーンブース内でダイからストランド状に溶融押出し、ペレタイザーでカッティングしてペレット(B)93重量部を得た。
【0117】
(再生樹脂スタンパの作成)
その後、製造例2において、製造例1で得たペレット(A)に替えてペレット(B)を用いた以外は製造例2と同様にして再生樹脂スタンパ(C)を得た。
【0118】
(光ディスクの作成)
ポリカーボネート樹脂〔帝人化成(株)製パンライトAD5503〕を射出成形にすることによって、記録トラック(グルーブ)と呼ばれるレーザー光をトラッキングするための案内溝を有する内径15mm、外径120mm、厚さ0.6mmの基板を作製した。次に含金属アゾ色素のテトラフルオロロペンタノール溶液(濃度2重量%)を調整した後、記録トラック側の表面にスピンコートにより色素記録層を形成した。更にその上に、銀合金をスパッタすることにより半透明光反射層を成膜し、第1記録層を作製した。
【0119】
次に作製した基板の半透明光反射層上に、紫外線硬化性樹脂〔日本化薬(株)製DVD−595〕を塗布し、樹脂スタンパ(C)と貼り合わせ、この貼り合わせたディスクの樹脂スタンパ側から紫外線を照射して、紫外線硬化性樹脂を硬化させた。その後、樹脂スタンパを剥離して、記録トラック(グルーブ)が転写された膜厚約40μmの硬化性樹脂層を形成した。続いて、この光ディスク基板の硬化性樹脂層の記録トラック(グルーブ)を有する側の表面に、含金属アゾ色素のテトラフルオロロペンタノール溶液(濃度2重量%)を調整した後、スピンコートにより色素記録層を形成した。更に、銀合金をスパッタすることにより光反射層(を成膜して、第2記録層を作製した。
【0120】
次に、ポリカーボネート樹脂〔帝人化成(株)製パンライトAD5503〕を射出成形することにより記録層を有しない内径15mm、外径120mm、厚さ0.6mmの基板を作製した。上記のようにして得られた2層の記録層を有する基板の光反射層の表面に、紫外線硬化性樹脂ダイキュアクリアSD−694〔大日本インキ化学工業(株)製〕を塗布し、貼り合わせ、この貼り合わせたディスクの基板の表面から紫外線を照射して、紫外線硬化型接着剤を硬化させ、接着層を形成し光ディスク(A)を作製した。
【0121】
[実施例2]
実施例1と同様にして得られた使用済み樹脂スタンパ(B)の粉砕物をISO14644−1に規定されるクリーンクラス6以下のクリーンブース内で、孔径5μmのステンレス製焼結フィルターを備えたポリマーフィルター(富士フィルター製)を連結した一軸押出機(田辺プラスチック機械社製、VS−40)により、シリンダー温度250℃、ポリマーフィルター温度250℃で、ホッパー部に窒素を500cc/minで供給しながら、粉砕物をダイからストランド状に溶融押出し、ペレタイザーでカッティングして再生ペレット(C)95部を得た。
【0122】
実施例1において、ペレット(B)に替えてペレット(C)を用いた以外は実施例1と同様にして、再生樹脂スタンパ(C)、光ディスク(B)を得た。
【0123】
[実施例3]
実施例1において、使用済み樹脂スタンパ(B)の直径が100mmになるように外周部を除去した以外は実施例1と同様にして再生樹脂スタンパ(D)、光ディスク(C)を得た。
【0124】
[比較例1]
実施例2において、樹脂スタンパ(B)をそのまま粉砕して粉砕物とし、かつポリマーフィルターを用いなかったこと以外は実施例2と同様にして、使用済みスタンパ(E)、光ディスク(D)を得た。
【0125】
上記実施例1〜3、比較例1で得られた再生ペレットに含まれる5μm以上の異物の異物個数、溶液の光線透過率、並びに、再生ペレットも用いて得られた樹脂スタンパの剥離強度、作成した光ディスクのPIエラーの測定結果を表1にまとめた。
【0126】
【表1】

【0127】
[考察]表1が示すように、5μm以上の異物個数が本発明の規定内にある再生ペレットを使用すると、硬化性樹脂層を十分に硬化するための高い光線透過率を有し、樹脂スタンパの硬化性樹脂層からの剥離強度は小さく、剥離後の樹脂スタンパの凹凸面に硬化性樹脂の付着は見られず、樹脂スタンパを繰り返し使用することができた。さらに得られた光ディスクはPIエラーも実用的な範囲内にあった(実施例1〜3)。
【0128】
一方、5μm以上の異物個数が本発明の規定外であると、光線透過率の低下がみられ、樹脂スタンパの硬化性樹脂層からの剥離強度が大きくなり剥離後の樹脂スタンパの凹凸面に硬化性樹脂の付着がみられ、樹脂スタンパを繰り返し使用することができなかった。得られた光ディスクはPIエラーが大きく、実用レベルには至らなかった。(比較例1)
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明の再生樹脂は、硬化性樹脂成分などの異物が少ないので、透明性、剥離性、転写性に優れる。本発明の再生樹脂の用途は、レンズ、プリズム、偏向フィルム、導光板、光拡散板、光ディスク基板、または光記録媒体製造用樹脂スタンパ等の光学用途の成形体;プレススルーパッケージ、ディスポーザブルシリンジ、薬液バイヤル、輸液バッグ等の医療用途の成形体;電線被覆、ウェハーシッパー、ハードディスク基板等の電気又は電子材料用途の成形体;カーポート、グレージング等の建材;ルームミラー、インナーレンズ、ランプリフレクタ等の自動車部品;ラップフィルム、ストレッチフィルム、シュリンクフィルム、ブリスターパック等の包装フィルム;ボールペン芯等の文具等を挙げることができる。
【0130】
これらの中でも光記録媒体製造用の樹脂スタンパは、剥離強度が小さいため樹脂スタンパの繰り返し使用が可能であり、かつ得られる光記録媒体はPIエラーが低いことから、好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性樹脂成形用樹脂型の再生樹脂であって、該樹脂型が脂環式構造含有熱可塑性樹脂を含む樹脂材料から形成されたものであり、かつ、該再生樹脂中に含まれる5μm以上の大きさの異物数が100個/g以下であることを特徴とする硬化性樹脂成形用樹脂型の再生樹脂。
【請求項2】
再生樹脂濃度10重量%のシクロヘキサン溶液の光路長10mmで測定した波長365nmにおける光線透過率が85%以上を示す請求項1記載の再生樹脂。
【請求項3】
請求項1または2に記載の再生樹脂を含む樹脂材料から形成された成形体。
【請求項4】
光記録媒体製造用樹脂スタンパである請求項3記載の成形体。

【公開番号】特開2008−143018(P2008−143018A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−332529(P2006−332529)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】