説明

硬化性水性組成物

【課題】硬化性水性組成物を提供する。
【解決手段】熱硬化性結合剤として有用な硬化性組成物であって、本組成物は、ポリカルボキシポリマーまたはコポリマー、ポリオールおよび、場合によって、リン含有化合物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基体上で硬化したときにその基体に改善された柔軟性を付与する硬化性組成物、繊維性基体および複合材料に対する結合剤としてのそれらの使用方法、ならびにそれらの方法により製造される製品に関係する。より詳細には、本発明は、水性熱硬化性結合剤組成物であって、1種以上のカルボキシ(コ)ポリマー、ならびにアルコキシル化アルキルアミン、アルコキシル化エーテルアルキルアミンおよびアルコキシル化アルキルアミドからなる群から選択される、2つのヒドロキシル基を有する1種以上のポリオールを含む水性熱硬化性結合剤組成物、ならびに耐熱性繊維および不織物のための結合剤としてのそれらの使用に関係する。
【背景技術】
【0002】
繊維性基体、例えば耐熱性不織布などは、硬化された熱硬化性の樹脂性材料によって共に結合されたマット化された繊維を含み得る。ファイバーグラス断熱材の製造においては、例えば、ランダムな長さの延伸ガラス繊維がマットとしてランダムに堆積され、延伸してからまだ熱いうちに、水性結合剤が噴霧され、この水性結合剤が乾燥されて硬化される。その優れた費用/性能比のため、過去においては、一般に好まれる熱硬化性ファイバーグラス結合剤樹脂はフェノール/ホルムアルデヒド樹脂であった。
【0003】
フェノール/ホルムアルデヒド樹脂は、経済的に製造することができ、および、多くの用途において、結合剤として使用する前に尿素で延ばすことができる。しかし、過去数十年にわたり、ますます厳しくなる連邦政府の規制、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂によりもたらされる環境リスクについての高まる認識、例えば世界保健機構により為された「ホルムアルデヒドはヒト発癌性物質である」という宣言などが、ホルムアルデヒドの排出を最小化し、ホルムアルデヒド不含の結合剤系を研究するように本業界を導いてきた。
【0004】
現存する商業的なホルムアルデヒド不含の結合剤は、熱硬化されるときにエステル化して熱硬化性樹脂を形成する、カルボン酸ポリマーおよびポリオールを含んでいる。商業的な結合剤は、典型的には、硬化されたときに、結合剤が実質的に剛性を呈するように設計されてきた。例えば、ファイバーグラス断熱材の結合剤においては、硬化された結合剤は、断熱材が圧縮されることを許容しなければならないが、圧縮力が取り除かれると、その圧縮された断熱材が実質的にその元の形に復元することを可能にする剛性を有している。これは、例えば、巻かれて圧縮された状態で断熱材を出荷し、取り付ける前に巻きをほどいて圧縮を解放し、フワフワした状態の断熱性マットを取り付けることを可能にする。
【0005】
しかし、他の用途の場合には、上で説明されているタイプの剛性結合剤は望ましくない。例えば、屋根ふきにおいて使用するための薄いファイバーグラスまたはポリエステルマットの場合、マットは結合剤と共に保持され、その結合剤は、実質的に結合剤が硬化されたのちにマットを曲げることを可能にし、マットに更なる加工(例えば、マットを屋根ふき材に変換する加工)を施すことを可能にし、マットを含んだ最終製品を、使用に際して、充分に曲げることを可能にするものでなければならない。例えば、屋根ふき用マットの場合、最終的な屋根ふき用製品はアスファルト材料が含浸され、またはアスファルト材料で層状化されることがあり、結果として得られる屋根ふき用製品は、マットがもろすぎて柔軟性を欠いているためにマット自体が破損してしまうことなく、その製品を屋根の形状に適合化させることを可能にし(例えば、峰部および谷部に合わせて曲げることを可能にし)、および、温度の変動と共にその屋根ふき材が膨張および収縮することを可能にする柔軟性を保持していなければならない。
【0006】
硬化性でホルムアルデヒド不含の結合剤がこの関連において「柔軟性」である他の用途は、紙、セルロース系材料、ポリエステルおよびガラスベールを含む。そのような基体は様々な用途において使用されており、それらの用途は、例えば床用の下敷き、濾過媒体および建材を含む。
【0007】
商業的なホルムアルデヒド不含の結合剤は、例えば米国特許第6,299,936 B1号に記載されているように、エマルジョンポリマーとブレンドされてきた。この場合、硬化された架橋ポリ酸熱硬化性組成物に幾分かの柔軟性を付与することができるが、我々は、硬化された熱硬化性樹脂のエマルジョン成分はそのネットワーク内で完全には架橋されていないものと確信しており、このことは硬化された結合剤の強度を損ねる可能性がある。本発明は、エマルジョンを使用することなくポリ酸配合物に柔軟性を付与すべく、高分子量の軟質エトキシル化架橋剤を提供することにより、架橋されたネットワーク自体に柔軟性を構築する。従って、改善された柔軟性および強度を備えた耐熱性不織布を製造するための新規なホルムアルデヒド不含の結合剤に対するニーズが存在する。
【特許文献1】米国特許第6,299,936B1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、硬化後に柔軟性を保持する、ホルムアルデヒド不含の結合剤である。
【0009】
従って、本発明者らは、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂に匹敵し得るコストで、ホルムアルデヒドの環境危険をもたらすことなく、現行のテクノロジーによりもたらされる柔軟性よりも高いレベルの柔軟性を可能にする、繊維性基体および複合材料に対する水性熱硬化性結合剤を提供すべく努力を積み重ねてきた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は水性硬化性組成物を提供し、その組成物は:(a)少なくとも2つのカルボン酸基、酸無水物基またはそれらの塩を含む少なくとも1種のポリカルボキシポリマーまたはコポリマー;および(b)アルコキシル化アルキルアミン、アルコキシル化エーテルアルキルアミンまたはアルコキシル化アルキルアミドからなる群の1以上から選択される、2つのヒドロキシル基を有する少なくとも1種のポリオール:を含む。
【0011】
好適には、上述のアルコキシル化アルキルアミンは式Iの群から選択され、アルコキシル化エーテルアルキルアミンは式IIの群から選択され、およびアルコキシル化アルキルアミドは式IIIの群から選択される:
【化1】

[式中:
Rは、少なくとも6個の炭素原子を有するアルキルもしくはアルキレン基、またはアルキル基中に少なくとも6個の炭素原子を有するアルキルフェニル基であり;
R’は、各出現ごとに独立して、HまたはC1−4アルキルであり;および
m、nおよびoは、それぞれ互いに独立して、>1の数である]。
【0012】
また、本発明は、そのような組成物で基体を処理するための方法でもあり、その方法は、本発明の成分を水、または1以上の水性溶媒と混合することを含む、硬化性水性組成物を形成すること;前記基体を前記硬化性水性組成物と接触させること、またはその代わりに、前記硬化性水性組成物を前記基体に適用すること;および、前記硬化性水性組成物を100℃から400℃までの温度で加熱すること:を含む。また、本発明は、上述の如き基体を本組成物で処理するための方法により調製された、繊維性物品、不織物品または複合材料も提供する。
【0013】
好適には、水性硬化性組成物のポリカルボキシ(コ)ポリマー(a)は、(メタ)アクリル酸と、C−C12アルキル(メタ)アクリレート、C−C12ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、C−C12カルボン酸のビニルエステル、ブタジエン、ビニルアセテート、アルキルマレアートおよびアルキルフマレートからなる群から選択される1種以上のモノマーとの少なくとも1種の付加コポリマーを含む。
【0014】
一つの実施態様においては、水性硬化性組成物は、更に、一般式HO−(CR−CR−O)−H[式中、Rは、各出現ごとに独立して、HまたはC1−4アルキルであり、xは5から100,000の間である]の少なくとも1種のポリエーテル化合物を含む。
【0015】
別の実施態様においては、水性硬化性組成物は、更に、少なくとも1種のリン含有(phosphorous−containing)化合物を含む。
【0016】
別の実施態様においては、水性硬化性組成物は、更に、全配合固形分量に基づいて、1重量%から10重量%までの量で、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、グルコース、トリエタノールアミンおよびジエタノールアミンからなる群から選択される1種以上のポリオールを含む。
【0017】
本発明の別の実施態様においては、水性硬化性組成物は、更に、1000以下の分子量を有し、アスコルビン酸、アスパラギン酸、リンゴ酸、クロトン酸、イタコン酸、酒石酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、アジピン酸、t−ケイ皮酸およびそれらの混合物から成る群から選択される少なくとも1種の低分子量多塩基性カルボン酸を含む。
【0018】
更に別の実施態様においては、水性硬化性組成物のポリカルボキシ(コ)ポリマー(a)はポリアクリル酸である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
言及されているすべての範囲は、包括的であり、また、組み合わせ可能である。例えば、1.3μm以上、例えば1.5μm以上であって、4.5μm以下、または4.0μm以下でありうる平均粒子サイズは、1.3μm以上から4.5μm以下までの範囲、1.5μm以上から4.5μm以下までの範囲、1.5μm以上から4.3μm以下までの範囲、および1.3μm以上から4.3μm以下までの範囲を含むであろう。
【0020】
本明細書で使用する場合、「(メタ)アクリレート」という用語はアクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を意味し、本明細書で使用される「(メタ)アクリル」という用語はアクリル、メタアクリルおよびそれらの混合物を意味する。
【0021】
丸括弧を含むすべての語句は、括弧でくくられた事柄を含めた内容と含めない内容とのうちのいずれか一方または両方を表す。例えば、「(コ)ポリマー」という語句は、選択的に、ポリマー、コポリマーおよびそれらの混合物を含む。
【0022】
本明細書で使用する場合、別な具合に指示されていない限り、「コポリマー」という語句は、独立して、コポリマー、ターポリマー、ブロックコポリマー、セグメント化コポリマー、グラフトコポリマー、およびそれらの任意の混合物または組み合わせを含む。
【0023】
本明細書で使用する場合、別な具合に述べられていない限り、「ポリカルボキシ(コ)ポリマー」という用語は、少なくとも2つのカルボン酸官能基、酸無水物基またはそれらの塩を伴うオリゴマー、コオリゴマー、ポリマーまたはコポリマーである。
【0024】
本明細書で使用する場合、「付加ポリマー」という語句は、(共)重合単位としてエチレン性不飽和モノマーを含む任意の(コ)ポリマーを表し、例えばポリ(アクリル酸)(pAA)などを表す。
【0025】
本明細書で使用する場合、「水性」または「水性溶媒」という語句は、水、ならびに水と1以上の水混和性溶媒とを含む混合物を包含する。
【0026】
本明細書で使用する場合、「結合剤固形分の合計重量に基づいて」または「全結合剤固形分に基づいて」という語句は、ポリカルボキシ(コ)ポリマー(a)、アルコキシル化アルキルアミン、アルコキシル化エーテルアルキルアミンおよびアルコキシル化アルキルアミド(b)、ならびに他のポリオールの総量と比較した重量を表す。
【0027】
本明細書で使用する場合、「ホルムアルデヒド不含の組成物」という語句は、加えられたホルムアルデヒドを実質的に含んでおらず、並びに乾燥及び/又は硬化の結果として実質的なホルムアルデヒドを放出しない組成物を表す。
【0028】
本明細書で使用する場合、「漸次的添加」という語句は、モノマーが時間をかけて反応容器に供給される重合を表す。
【0029】
本明細書で使用する場合、「耐熱性繊維」という語句は、処理の間に125℃から400℃までの温度への暴露により実質的に影響を受けない繊維を意味する。
【0030】
本明細書で使用する場合、別な具合に指示されていない限り、「分子量」という語句は、ポリアクリル酸標準を対照としてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したときのポリマーの重量平均分子量を表す。
【0031】
本明細書で使用する場合、「多塩基性」という語句は、少なくとも2つの反応性酸官能基、またはそれらの塩もしくはそれらの無水物を有することを意味する(例えば、Hawley’s Condensed Chemical Dictionary、第14版、2002、John Wiley and Sons,Inc.を参照のこと)。
【0032】
本明細書で使用する場合、「ポリオール」および「ポリヒドロキシ」という語句は、2以上のヒドロキシ基を含有する有機化合物またはそれらの有機化合物の構造的部分を表す。そのようなものとして、「ポリオール」という用語は、水性硬化性組成物のアルコキシル化アルキルアミン、アルコキシル化エーテルアルキルアミンおよびアルコキシル化アルキルアミド(b)を含むことができる。
【0033】
本明細書で使用する場合、「重量%」という語句は重量パーセントを表す。
【0034】
本明細書で使用する場合、「オキシアルキレン」という用語は、構造:−(O−A)−[式中、O−Aは、アルキレンオキシドの重合反応生成物のモノマー残基を表す];を有する単位を表す。オキシアルキレンの例は:構造−(OCHCH)−を有するオキシエチレン;および構造−(OC)−を有するオキシプロピレン:を含む。
【0035】
ホルムアルデヒド不含の硬化性組成物は1種以上のポリカルボキシ(コ)ポリマー(a)を含有する。ポリカルボキシ(コ)ポリマーは、加熱および硬化操作の間、本組成物中のポリオールとの反応に実質的に利用可能な状態のままとどまるであろうように、充分に不揮発性でなければならない。ポリカルボキシ(コ)ポリマーは、1種以上の高分子ポリカルボキシ(コ)ポリマー、1種以上の低分子量ポリカルボキシ(コ)ポリマー、またはそれらの混合物であってよい。
【0036】
1種以上の高分子ポリカルボキシ(コ)ポリマーは、例えば、少なくとも2つのカルボン酸基を含有するポリエステル、少なくとも2つの共重合されたカルボン酸官能性モノマーを含有する付加(コ)ポリマーまたはオリゴマー、および多塩基性酸またはそれらの塩もしくは酸無水物のオリゴマーから選択されてよい。好適には、上述の1種以上の高分子ポリカルボキシ(コ)ポリマーは、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーから形成される付加(コ)ポリマーから選択され、もっとも好適には(メタ)アクリル酸のポリマーおよびコポリマーから選択される。それらの付加(コ)ポリマーは、水性媒質中における付加(コ)ポリマーの溶液の形態であってよい。
【0037】
適切な付加(コ)ポリマーは、1種以上のエチレン性不飽和カルボン酸、それらの酸無水物および塩、ならびに場合によっては1種以上のコモノマーの付加重合から形成される少なくとも2つのカルボン酸基、酸無水物基またはそれらの塩を含む。エチレン性不飽和カルボン酸または酸無水物は、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、2−メチルマレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、2−メチルイタコン酸、α−メチレングルタル酸、モノアルキルマレアートおよびモノアルキルフマレート、ならびにそれらの塩;エチレン性不飽和酸無水物、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水アクリル酸および無水メタクリル酸、ならびにそれらの塩など;を含んでよい。カルボン酸基、酸無水物基または塩を含み得る好適なモノマーは、(メタ)アクリル酸およびマレイン酸、ならびにそれらの塩および無水マレイン酸である。カルボン酸基、酸無水物基または塩を含むモノマーは、ポリマーの重量に基づいて、1重量%以上、または10重量%以上、または25重量%以上、好適には30重量%以上、より好適には75重量%以上、更に一層好適には85重量%以上から、100重量%まで、例えば99重量%まで、または90重量%までの量で使用される。適切なエチレン性不飽和コモノマーは、1種以上のアクリル酸エステルモノマー、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレートおよびイソデシルメタクリレートを包含する;ヒドロキシル基含有モノマー、例えばヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートおよびアリルオキシ官能性ヒドロキシル基含有モノマーなど;アクリルアミドまたは置換アクリルアミド類、例えばt−ブチルアクリルアミドなど;スチレンまたは置換スチレン類;ブタジエン;ビニルアセテートまたは他のビニルエステル類;アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル;などを含み得る。好適なコモノマーは、2g未満/25℃における水100gの溶解度を有する1種以上のエチレン性不飽和モノマー、1種以上のアリルオキシ官能性ヒドロキシル基含有モノマー;1種以上のリン含有コモノマー、例えばビニルホスホン酸、ホスホアルキル(メタ)アクリレート類もしくはそれらの塩など;または1種以上の強酸官能性モノマー、例えばビニルスルホン酸モノマーおよびそれらの塩など;またはそのようなコモノマーのいずれかの混合物を含む。
【0038】
2g未満/25℃における水100gの溶解度を有する1種以上の好適な付加コモノマーは、エチル(メタ)アクリレート、メチルメタクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、スチレン、モノアルキル(メタ)アクリルアミド、ジアルキル(メタ)アクリルアミドおよびt−アルキルネオペンチルアルキルアクリルアミドから選択されてよい。そのようなコモノマーは、付加コポリマーを製造するために使用されるモノマーの合計重量に基づいて、3重量%以上、または10重量%以上から、多くは25重量%以下まで、または20重量%以下まで、または15重量%以下までの量で付加モノマー混合物中に含められてよい。
【0039】
1種以上の好適なアリルオキシ官能性ヒドロキシル基含有モノマーは、式IV:
CH2=C(R1)CH(R2)OR3 (IV)
[式中、R1およびR2は、独立して、水素、メチルおよび−CH2OHから選択され;並びにR3は水素、−CH2CH(CH3)OH、−CH2CH2OH、C(CH2OH)2−C2H5および(C3−C12)ポリオール残基から選択される];または式V:
【化2】

[式中、RはCH3、Cl、BrおよびC6H5から選択され;並びにR1はH、OH、CH2OH、CH(CH3)OH、グリシジル、CH(OH)CH2OHおよび(C3−C12)ポリオール残基から選択される]のヒドロキシル基含有モノマーから選択されてよい。そのようなアリルオキシ官能性ヒドロキシル基含有モノマーは、モノマー混合物の合計重量に基づいて、99重量%まで、または70重量%まで、好適には30重量%までのレベルで付加モノマー混合物中に含められてよく、およびモノマー混合物の合計重量に基づいて、1重量%以上、または10重量%以上の量で使用することができる。式IVおよび式Vの最も好適なモノマーはアリルアルコールおよび3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールである。
【0040】
1種以上のポリカルボキシ付加(コ)ポリマーは、1000以上、または20,000以上、有利には50,000以上の重量平均分子量を有していてよく、その分子量は、高くは250,000までの範囲に及んでよく;最も好適には約75,000である。
【0041】
本発明の別の実施態様においては、ポリカルボキシ(コ)ポリマー付加(コ)ポリマーは、300から900までの間の数平均分子量を有する、フリーラジカル付加重合により製造された、エチレン性不飽和カルボン酸のオリゴマーまたはコオリゴマーであってよい。
【0042】
1種以上のポリカルボキシ(コ)ポリマー付加(コ)ポリマーは、好適には、当技術分野において広く知られているエチレン性不飽和モノマーを重合するための溶液重合技術により調製される。
【0043】
コポリマー成分を調製するための重合反応は、当技術分野において既知の様々な方法により開始させることができ、例えば、好適には、1種以上の開始剤の熱分解を用いることにより、例えば重合を果たすためのフリーラジカルを発生させるために酸化還元反応(「レドックス反応」)を用いることにより開始させることができる。好適な熱開始剤は、過酸、例えばペルスルファート類、ペルボレート類およびペルヨーダート類などを含み得る。レドックス開始剤系は、レドックス共開始剤[co−initiator]、例えば還元性イオウ化合物、例えばアルカリ金属およびアンモニウム化合物のビスルフィット、スルフィット、チオスルファート、ジチオニットまたはテトラチオアートなどとの組み合わせにおける少なくとも1種のペルオキシド含有化合物を含んでいてよい。従って、ペルオキソジスルファートとアルカリ金属水素スルフィットまたはアンモニウム水素スルフィットとの組み合わせ、例えばアンモニウムペルオキシジスルファートおよびアンモニウムジスルフィットを使用することが可能である。ペルオキシド含有化合物とレドックス共開始剤との比は、典型的には30:1から0.05:1までである。
【0044】
1以上の熱開始剤の効果的な選択においては、選択された開始剤の熱分解温度は、1以上の重合温度と対応すべきである。従って、もし反応混合物が、最初に、重合に適した温度範囲の下限において部分的に重合され、その後、もっと高い温度で重合され完了する場合には、それぞれの温度範囲内において利用可能な充分な濃度のフリーラジカルが存在するように、異なる温度で分解する少なくとも2種の異なる開始剤を使用することが得策である。
【0045】
開始剤と組み合わせて、更に、遷移金属触媒、例えば鉄、コバルト、ニッケル、銅、バナジウムおよびマンガンの塩などを使用することができる。適切な塩は、例えば鉄(II)スルファート、コバルト(II)クロリド、ニッケル(II)スルファートおよび銅(I)クロリドを含む。この還元性遷移金属塩は、硬化性組成物中におけるモノマーに基づいて、0.1ppmから1,000ppmまでの濃度で使用されてよい。
【0046】
好適には、付加(コ)ポリマーは、低平均分子量の(コ)ポリマーを調製すべく、1種以上の連鎖移動剤の存在下において重合されてよい。通常の調節剤が使用されてよく、例えばSH基を含有する有機化合物、例えば2−メルカプトエタノール、2−メルカプトプロパノール、メルカプト酢酸またはそれのエステル、メルカプトプロピオン酸またはそれのエステル、tert−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンおよびtert−ドデシルメルカプタンなど;C−Cアルデヒド、例えばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなど;ヒドロキシルアンモニウム塩、例えばヒドロキシルアンモニウムスルファートなど;ギ酸;ナトリウムビスルフィットまたはイソプロパノールを使用することができる。付加(コ)ポリマーは、場合によるリン含有種をポリカルボキシ(コ)ポリマー分子に組み入れるため、リン含有調節剤の存在下において形成されてよく、例えば次亜リン酸およびその塩などの存在下、例えば米国特許第5,294,686号に開示されている如く次亜燐酸ナトリウムの存在下において形成されてよい。これらの調節剤は、一般的に、硬化性組成物中におけるモノマーの重量に基づいて、0から40重量パーセントまで、好適には0から15重量パーセントまでの量で使用される。
【0047】
付加(コ)ポリマーは、水中または溶媒/水混合物中、例えばi−プロパノール/水中、テトラヒドロフラン/水中およびジオキサン/水中などにおいて調製することができる。
【0048】
好適な重合方法は、水中における漸次的添加溶液重合による方法である。この方法においては、エチレン性不飽和(コ)モノマーまたはモノマー混合物の一部もしくはすべてを計量して反応器に入れることができる。(コ)モノマーを反応容器または反応槽に供給し得る仕方は様々であってよい。重合方法を問わず、好適な総供給時間、即ち、すべての反応混合物を反応容器内へ供給するのに必要な時間は、2時間またはそれ以下、より好適には1時間またはそれ以下の範囲であってよい。
【0049】
重合方法の1つの実施態様においては、モノマー供給物の組成は、重合プロセスを通じ、実質的に同じままである。代替的に、いずれかの付加(共)重合生成物のゲル含量を制限するため、コモノマー供給物組成は、原料の供給期間中に調整されてよい。重合方法の更に別の実施態様においては、(コ)モノマーまたはそれらの混合物は半連続的な供給方式により供給されてよい。付加(コ)ポリマーの好適な重合方法においては、反応容器は、使用される連鎖移動剤の総量のうちの10重量%以上を含む反応混合物の初期充填を含み、残りの連鎖移動剤の単一の一定供給がモノマー槽から反応容器内へ連続的に供給される。
【0050】
水性媒体中における溶解度を改善するため、1種以上の付加(コ)ポリマーのカルボン酸基、酸無水物基またはそれらの塩が1種以上の不揮発性または揮発性塩基で中和されてよい。好適には、付加(コ)ポリマーのカルボン酸基、酸無水物基または塩が揮発性塩基で中和されてよい。「揮発性塩基」とは、本明細書においては、硬化性組成物による基体の処理の条件下において実質的に揮発性である1種以上の塩基を意味する。「不揮発性」塩基とは、本明細書においては、硬化性組成物による基体の処理の条件下において実質的に不揮発性である塩基を意味する。
【0051】
揮発性塩基を使用することにより、そのような硬化が可能な場合に、強酸触媒を用いることなく結合剤組成物を硬化させることができる。適切な揮発性塩基は、例えばアンモニアまたは揮発性低級アルキルアミンを含む。適切な不揮発性塩基は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよびt−ブチルアンモニウムヒドロキシドを含む。この不揮発性塩基は、加熱および硬化操作の間に硬化性組成物中に実質的に残るであろうような、充分に不揮発性である。揮発性塩基を不揮発性塩基に加えて使用することができる。不揮発性多価塩基、例えば炭酸カルシウムなどは、コポリマー成分が水性分散物の形態で使用される場合、その水性分散物を不安定化する傾向を有し得るが、それらは少量で使用されうる。
【0052】
使用される1種以上の塩基の量は、付加(コ)ポリマーのカルボン酸基、酸無水物基またはそれらの塩が、当量基準で計算して、35%未満、20%未満または5%未満の範囲で中和されるような量であってよい。何ら中和塩基を使用しないことが好適である。
【0053】
硬化性水性組成物は、アルコキシル化アルキルアミン、アルコキシル化エーテルアルキルアミンおよびアルコキシル化アルキルアミド(b)から成る群から選択される少なくとも1種のポリオールを含む。好適なそのようなポリオールは、それぞれ、上で与えられている式I、IIおよびIIIで表わされる。特に好適なアルコキシル化アルキルアミンは、エトキシル化脂肪アルキルアミン、Chemeen(商標) C10(PCC Chemax,Inc.、Piedmont、SC、USA)、および関連する一連の化合物として商業的に入手することができる。このジヒドロキシ化合物についての「C10」という呼称は、アミン窒素に結合されているエトキシル化の平均的な程度と関係しており、このケースにおいては、この分子のアミン窒素に結合されているエトキシル化の2つの鎖のそれぞれが、平均で、10のオキシエチレン単位を含んでいることを意味している。即ち、図Iにおけるmおよびnが10に等しいことを意味している。アルコキシル化の様々な程度[即ち、図Iによるmおよびnの値が様々である]を有する他の関連化合物を利用することができる。図I、IIおよびIIIの「R」基は、一般的に、および好適には、アミンポリオールを形成するための前駆体として使用される脂肪酸のアルキル基に関係するアルキル基である。この理由により、「R」基は、場合によって、不飽和部位を含んでいてよく、従って、「R」はアルキルまたはアルキレン基であってよい。「R」基が大きければ大きいほど、ポリオールの柔軟性が高くなり、従って、本発明の組成物からもたらされる、硬化された熱硬化性樹脂の柔軟性がより高くなる。
【0054】
ポリオール(b)は、加熱および硬化操作の間に、本組成物中のポリカルボキシ(コ)ポリマーとの反応に実質的に利用できる状態のままとどまるであろうように、充分に不揮発性でなければならない。
【0055】
硬化性組成物、即ち、1種以上のポリカルボキシ(コ)ポリマー(a)中におけるカルボキシ、酸無水物またはそれらの塩の当量数の、ポリオール(b)中におけるヒドロキシルの合計当量数に対する比は、約1/0.001から約1/2.5まで、好適には1/0.005から1/2までである。過剰な揮発性有機化合物(VOC’s)を回避し、且つ、良好な硬化ネットワークの形成を確実化するため、硬化性組成物中におけるヒドロキシルの当量に対して過剰な当量のカルボキシ、酸無水物またはそれらの塩が好適である。従って、カルボキシ、酸無水物またはそれらの塩の当量数の、ポリオール中のヒドロキシルの当量に対する比は1/0.01またはそれ以下であってよいが、最も好適には、約1/0.01から約1/1.5までである。
【0056】
好適には、硬化性水性組成物は1種以上のリン含有促進剤も含み、その促進剤は、米国特許第6,136,916号で開示されているような化合物であってよい。好適には、促進剤は、次亜燐酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウムまたはそれらの混合物からなる群から選択される。また、リン含有促進剤は、硬化性組成物に加えられる、リン含有基を有する1種以上の(コ)オリゴマーであってもよく、例えば付加重合により次亜燐酸ナトリウムの存在下において形成されるアクリル酸の(コ)オリゴマーであってよい。更に、1種以上のリン含有促進剤は、リン含有基を有するオリゴマーまたは(コ)ポリマーとして、ポリカルボキシ(コ)ポリマー(a)の一部を含んでいてよい[例えば、次亜燐酸ナトリウムの存在下において形成された、アクリル酸及び/又はマレイン酸ならびに、場合によって、エチレン性不飽和コモノマー、例えば2g未満/25℃における水100gの溶解度を有するエチレン性不飽和コモノマー、またはそれらの組み合わせの付加(コ)ポリマー;リン含有モノマー残基、例えば共重合されたホスホエチルメタクリレートおよび同様なホスホン酸エステルならびにそれらの塩などを含む高分子ポリカルボキシ(コ)ポリマー付加コポリマー]。1種以上のリン含有促進剤は、ポリカルボキシ(コ)ポリマーおよびポリオールを合わせた重量に基づいて、0重量%から40重量%までの量で使用されてよい。リン含有促進剤は、結合剤固形分の合計重量に基づいて、0.1重量%以上、および25重量%まで、または20重量%まで、好適には15重量%まで、より好適には12重量%までの量で使用されてよい。リン含有促進剤が付加(コ)ポリマーの一部を含んでいるときには、リン含有促進剤の重量%は、全バッチ固形分の割合として、反応器に添加されたハイポホスフィット、ホスフィナートまたはホスホナートの重量%に基づいており/その重量%により決定される。
【0057】
従って、特に有利な実施態様は、約75,000の重量平均分子量を有するアクリル酸およびエチルアクリレート(70:30の比)のポリカルボキシコポリマーを、アルコキシル化アルキルアミン、例えばChemeen(商標)C10と組み合わせて利用し、場合によってはカルボキシ基の−OH基に対する比が約1.0/0.07であるように1種以上の他のポリオールと共に、およびリン含有触媒として5%のSHPを使用する、硬化可能な熱硬化性組成物を提供する。
【0058】
硬化性組成物は、通常の混合技術を用いて、1種以上のポリカルボキシ(コ)ポリマー、1種以上のポリオール、ならびに、望ましい場合には、1種以上のリン含有促進剤および任意の追加的な成分を混合することにより調製されてよい。
【0059】
本発明の一つの実施態様においては、硬化性組成物は、更に、1000以下の分子量、好適には500以下、最も好適には200以下の分子量を有する少なくとも1種の低分子量多塩基性カルボン酸、酸無水物またはそれらの塩を含む。従って、場合によっては、1種以上の低分子量多塩基性カルボン酸、酸無水物またはそれらの塩が、1種以上のポリカルボキシ(コ)ポリマー(a)と混合する前に、反応性条件下において、1種以上のポリオール(b)と混合されてよい。適切な低分子量多塩基性カルボン酸および酸無水物の例は、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、無水コハク酸、セバシン酸、アゼライン酸、アジピン酸、クエン酸、グルタル酸、酒石酸、イタコン酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、トリメシン酸、トリカルバリル酸「tricarballytic acid」、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、カルボン酸のオリゴマーなどを含む。上で検討されているように、特定の実施態様においては、(コ)ポリマー組成物は促進剤を含むことができる。促進剤は、その場反応であってよいこの反応の間に存在していてよく、または、代替的に、促進剤は、このその場反応の完了後、かつポリカルボキシ(コ)ポリマーと混合する前に、組成物に加えられてもよい。
【0060】
別の実施態様においては、水性硬化性組成物は、更に、カプリルアルコール、カプリンアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、リノレイルアルコール、オレイルアルコール、ミリスチルアルコール、モンタニルアルコールおよびミリシルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種の脂肪アルコール単官能性ヒドロキシル化合物を含む。
【0061】
別の実施態様においては、水性硬化性組成物は、更に、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびエチレングリコールn−ブチルエーテルからなる群から選択される少なくとも1種のグリコールエーテル単官能性ヒドロキシル化合物を含む。
【0062】
別の実施態様においては、水性硬化性組成物は、更に、少なくとも1種の強酸、例えば硫酸、硝酸またはスルホン酸など、例えばp−トルエンスルホン酸などを含む。
【0063】
別の実施態様においては、水性硬化性組成物は、更に、デンプン、セルロース、ガム類、アルギナート類、ペクチン、ジェランおよびそれらの修飾物または誘導体からなる群から選択される少なくとも1種のポリサッカライドを含み、前述の修飾物または誘導体は、エーテル化、エステル化、酸加水分解、デキストリン化、酸化または酵素処理によりもたらされる。
【0064】
別の実施態様においては、水性硬化性組成物は、更に、尿素を含む。
【0065】
別の実施態様においては、水性硬化性組成物は、更に、ナトリウムリグノスルホナート、低分子量マルトデキストリンおよびダイズタンパク質からなる群から選択される少なくとも1種の水溶性リグニンを含む。
【0066】
水は、場合によって、出荷重量を最小化するため、使用前にではなく、使用時に、組成物の残りと混ぜ合わされてよい。本発明の硬化性組成物の全固形分は、本組成物の合計重量に基づいて、無水でかつ溶媒不含の結合剤組成物もしくは乾燥結合剤組成物の場合のように100重量%まで、または溶液もしくは分散物の場合のように70重量%まで、または60重量%まで、または50重量%までの範囲であってよく;そのような全固形分は、低くは、0.5重量%以上、または1重量%以上、または3重量%以上、または5重量%以上であってよい。硬化性組成物の全固形分は、基体を処理する様々な手段にとって適切な粘度を有する組成物をもたらすべく選択されてよい。例えば、噴霧可能な硬化性組成物は、5重量%の全固形分を有していてよい。しかし、基体は、10重量%以上の全固形分を有する硬化性組成物中に浸漬されてよく、またはそれらの基体自体をそのような硬化性組成物と接触させてもよい。本明細書で使用する場合、「全固形分」という用語は、結合剤固形分の総量プラス充填剤または増量剤の総和を表す。
【0067】
本発明の組成物は、これらに加え、通常の処理成分、例えば乳化剤、顔料、充填剤または増量剤、抗移行「anti−migration」助剤、硬化剤、造膜助剤、界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤、展着剤、鉱油ダスト抑制剤、殺生物剤、可塑剤、オルガノシラン、泡止め剤、例えばジメチコン、シリコーン油およびエトキシル化非イオン界面活性剤など、腐食防止剤、特にpH<4で効果的な腐食防止剤、例えばチオ尿素類、オキサレート類およびクロマート類など、着色剤、帯電防止剤、潤滑剤、ワックス、酸化防止剤、カップリング剤、例えばシラン類、特にSilquest(商標)A−187「製造元GE Silicones−OSi Specialties、所在地Wilton、CT、USA」、GEから販売されているWetlink Silanes「例えばWetlink 78」、およびDegussaから販売されているDynasylan(商標)シラン、特にエポキシシラン類、例えば、これらに限定するものではないが、Dynasylan(商標)GLYMOおよびGLYEOなど、ならびにオリゴマーのシラン類、例えばHYDROSIL(商標)など、を含むことができる。また、本発明のものでないポリマー、ならびに防水剤、例えばシリコーンおよびエマルジョンポリマー、特に、共重合単位として、エマルジョンポリマー固形分の重量に基づいて、30重量%より多くの、C5以上のアルキル基を含有するエチレン性不飽和アクリルモノマーを包含する疎水性エマルジョンポリマーなども含むことができる。
【0068】
本発明の組成物は、好適には、ホルムアルデヒド不含である。「ホルムアルデヒド不含」は、組成物が実質的にホルムアルデヒドを含んでおらず、乾燥及び/又は硬化の結果として実質的なホルムアルデヒドの放出もしないことを意味する。(コ)ポリマー組成物のホルムアルデヒド含有量を最小化するため、本発明のポリマーを調製するときに、重合添加剤、例えば、それら自体はホルムアルデヒドを含んでおらず、重合プロセスの間にホルムアルデヒドを発生せず、および、基体の処理中にホルムアルデヒドを発生または放出しない、開始剤、還元剤、連鎖移動剤、殺生物剤、界面活性剤などを使用することが好適である。同じく、あらゆる配合添加剤は同様にホルムアルデヒド不含であることが好適である。「実質的にホルムアルデヒドを含んでいない」とは、水性組成物において低レベルのホルムアルデヒドが許容可能であるとき、またはホルムアルデヒドを発生もしくは放出する添加剤を使用することに対するやむを得ない理由が存在するときに、実質的にホルムアルデヒド不含の水性組成物を使用できることを意味する。
【0069】
本発明の組成物は種々の基体を処理するために使用することができる。そのような処理は、一般的に、例えばコーティング、サイジング、含浸、ボンディング、それらの組み合わせなどを挙げることができる。典型的な基体は、木材、例えば無垢材、木材粒子、木材繊維、木材チップ、木材粉末、パルプおよび木材薄片を含めた木材;金属;プラスチック;繊維、例えばポリエステル、ガラス繊維など;織物および不織布、など、ならびにそれらの複合繊維を含む。(コ)ポリマー組成物は通常の技術により基体に適用することができ、例えばエアーまたはエアーレススプレー、パディング、飽和、ロールコーティング、泡コーティング、カーテンコーティング、ビーター堆積、凝固などにより基体に適用することができる。
【0070】
本発明の一つの実施態様においては、本組成物は、耐熱性不織布用の結合剤として使用することができ、例えば耐熱性繊維[例えばアラミド繊維、セラミック繊維、金属繊維、炭素繊維、ポリイミド繊維、特定のポリエステル繊維、レーヨン繊維、ロックウールおよびガラス繊維など]を含む不織布などに対する結合剤として使用することができる。「耐熱性繊維」とは、125℃を超える温度への暴露によって実質的に影響を受けない繊維を意味する。適切な不織布基体は、純粋に機械的な手段、例えばニードルパンチング、エアーレイドプロセスまたはウェットレイドプロセスによりもたらされる絡み合いなどによって統合された繊維、化学的な手段、例えば高分子結合剤での処理などによって統合された繊維、または不織布の形成前、形成中もしくは形成後に機械的な手段および化学的な手段の組み合わせによって統合された繊維、を含み得る。耐熱性不織布は、それらがその基体の性能に物質的に悪影響を及ぼさない限り、それら自体は耐熱性でない繊維、例えば特定のポリエステル繊維、レーヨン繊維、ナイロン繊維および超吸収繊維なども含むことができる。
【0071】
(コ)ポリマー組成物を組み入れた不織布は、硬化された水性組成物により与えられる特性、例えば引っ張り強さなどを実質的に保持すべきであり、および、本質的な不織布の特性を実質的に損なうべきではない。更に、硬化された組成物は、過度に剛性もしくは脆性であるべきではなく、または処理条件下において粘着性になるべきではない。
【0072】
本硬化性水性(コ)ポリマー組成物は、基体に適用された後、乾燥および硬化を果たすべく加熱される。加熱の時間および温度は、乾燥の速度、処理可能性、取り扱いのしやすさ、および処理された基体の特性発現に影響を及ぼすであろう。120℃から400℃までの温度における3秒間から15分間までの時間での加熱処理を実施することができる、175℃から225℃までの温度における処理が好適である。「硬化」とは、例えば化学的な共有結合反応、イオン性相互作用またはクラスタリング、基体に対する改善された接着力、相変態または転相、水素結合などによる、(コ)ポリマーの特性を変えるのに充分な化学的または形態学的な変化を意味する。乾燥および硬化作用は、望ましい場合には、2つまたはそれ以上の別個の工程で行われることができる。例えば、本組成物は、初めに、本組成物を実質的に乾燥させるのには充分であるが、実質的に硬化はさせないある温度において、ある時間の間加熱し、その後、硬化を果たすべく、もっと高い温度において及び/又はもっと長い時間の間、第2の加熱をすることができる。「B−ステージング」と呼ぶそのような手順は、結合剤処理不織物、例えばロールの形態、を提供するために使用することができ、結合剤処理不織物は、後の段階で、硬化プロセスと同時に特定の形態に形成または成形する操作を伴って、またはそのような操作を伴わずに、硬化させることができる。
【0073】
これらの耐熱性不織物は、様々な用途で使用することができ、例えばオーブンおよび建築構造において使用するための断熱バットもしくはロールにおいて、屋根葺きもしくは床張り用途での補強マットとして、ロービングとして、プリント回路基板用の微小ガラスベース基体として、バッテリーセパレーターとして、フィルターストック、例えばエアーダクトフィルター用のフィルターストックとして、テープストックとして、石造建築用のセメントもしくは非セメントコーティングにおける補強スクリムとして、または研磨材として;例えばブレーキシューおよびパッド、クラッチプレートなどの研磨材およびそれらのストックもしくはプリプレグとして使用するための織物、不織物および複合材料として、または天井タイルの場合の如きシートもしくはパネルとして;ならびに、例えばシングル屋根板またはロール状屋根材料を製造するために150℃から250℃までの温度で加熱アスファルト組成物が含浸された、鉱物またはガラス繊維含有耐熱性不織布などで使用することができる。
【0074】
また、本発明の非黄化性柔軟性結合剤は、木材チップ、研磨マット、装飾用積層紙のボンディング、積層接着剤、濾紙、または自動車の遮音用コットンラグのボンディングにも有用である。
【0075】
ポリカルボキシ(コ)ポリマーは、特定のタイプの処理装置、特に軟鋼でできた処理装置に対して腐食性であり得るため、そのようなポリカルボキシ(コ)ポリマーを含有した溶液を取り扱うときには、好適には、特定のタイプの腐食コントロールが行われうる。これらの実行は、例えばpH調節、強酸の使用の低減または排除、リン含有促進剤およびそれらを含有するポリマーの使用の低減、ならびに、腐食性の高い材料の代わりに、処理装置自体にステンレス鋼などの材料を使用することを含むことができる。
【0076】
以下の非制限的な実施例は、本硬化性水性組成物、および耐熱性不織物に対する結合剤としてのその使用を例証するものである。
【実施例】
【0077】
実施例1
ポリカルボキシ溶液(コ)ポリマーの合成
実施例1A:溶液合成ポリマー1A
すべての溶液サンプルが同じ手順で調製された。パドルスターラー、熱電対、窒素用インレットおよび還流凝縮器を備えた5リットルの丸底フラスコに1207グラムの脱イオン水の混合物を充填し、72〜74℃に加熱した。その温度で、20.6グラムの0.15%硫酸第一鉄溶液を加えた後、2分間保持した。表1に示されている配合に従ってモノマー混合物を調製した。保持後、その温度において、モノマー混合物および236グラムの脱イオン水中における16.08グラムの過硫酸ナトリウムの溶液を90分間にわたって徐々に加え、および、反応温度を72〜74℃に維持しながら、ナトリウムメタビスルフィットの溶液(214グラムの脱イオン水中において15.3グラム)を85分間にわたって徐々に加えた。この添加が完了した後、反応混合物を72℃で15分間保持した。3.06グラムの過硫酸ナトリウムのチェイス溶液を40グラムの脱イオン水中に溶解し、30分間にわたって徐々に加えた。その供給が完了した時、反応混合物を72〜74℃において20分間保持した。保持期間後、その反応混合物を室温にまで冷却した。45℃またはそれ以下において、スルフィットをゼロにまで低減すべく、1.0グラムの30%過酸化水素溶液をゆっくりと加えた。結果として得られた溶液ポリマーは、約47.1%の固形分含有量を有していた。
【0078】
【表1】

【0079】
実施例1B:溶液合成ポリマー1B
パドルスターラー、熱電対、窒素用インレットおよび還流凝縮器を備えた5リットルの丸底フラスコに535グラムの脱イオン水を充填し、92℃に加熱した。その温度で、35グラムの45%SHP溶液を加えた後、86℃にまで冷えるのを許容しながら15分間保持した。表2に示されている配合に従って、エチルアクリレートおよびアクリル酸のモノマー混合物を調製した。保持後、その温度において、温度が92℃の反応温度にまで上昇するのを許容しながら、モノマー混合物、ならびに93グラムの脱イオン水中における15グラムの過硫酸ナトリウムの溶液および33.4グラムの45%次亜燐酸ナトリウム溶液の別々の溶液を85分間にわたって徐々に加えた。この添加が完了した後、その反応混合物を92℃において20分間保持し、その後、75℃にまで冷却した。この反応混合物に0.15%硫酸第一鉄溶液の3.0グラムの溶液を加えた。10.0グラムの脱イオン水で希釈された1.3グラムの水性tert−ブチルヒドロペルオキシド(70%)の溶液および10.0グラムの脱イオン水中における0.45グラムのイソアスコルビン酸の溶液を、1分の増分におけるショットとして加え、20分間保持した。このステップを繰り返した。その温度で保持した後、その反応を室温にまで冷却し、脱イオン水のブラインド希釈物「blind dilution」を40℃未満で加えた。結果として得られた溶液状のポリマーは、約46.5%の固形分含有量を有していた。
【0080】
【表2】

【0081】
実施例1C:溶液合成ポリマー1C
パドルスターラー、熱電対、窒素用インレットおよび還流凝縮器を備えた5リットルの丸底フラスコに1070.6グラムの脱イオン水の混合物を充填し、72〜74℃に加熱した。その温度において、14.3グラムの脱イオン水中に溶解された1.23グラムのナトリウムメタビスルフィットおよび17.1グラムの0.15%硫酸第一鉄溶液をケトルに別々に加えた後、2分間保持した。表3に示されている配合に従ってモノマー混合物を調製した。保持後、その温度において、反応温度を72〜74℃に維持しながら、モノマー混合物を120分間にわたって徐々に加え、190グラムの脱イオン水中における31.65グラムの過硫酸ナトリウムの溶液を122分間にわたって徐々に加え、および、ナトリウムメタビスルフィットの溶液[214グラムの脱イオン水中において26.8グラム]を115分間にわたって徐々に加えた。この添加が完了した後、その反応混合物を72℃で15分間保持した。3.8グラムの過硫酸ナトリウムのチェイス溶液を20.1グラムの脱イオン水中に溶解し、30分間にわたって徐々に加えた。その供給が完了した時、反応混合物を72〜74℃において20分間保持した。保持期間後、その反応混合物を室温にまで冷却した。45℃以下において、スルフィット量をゼロにまで低減すべく、1.0グラムの30%過酸化水素溶液をゆっくりと加えた。結果として得られた溶液ポリマーは、約47.1%の固形分含有量を有していた。
【0082】
【表3】

【0083】
実施例2
水性で硬化性の熱硬化性組成物の調製
実施例1で調製された以下のポリカルボキシ(コ)ポリマーを用いて、水性で硬化性の熱硬化性組成物が調製された:
実施例1A 70AA/30EA//1.0%のSMBS[Mw:80,200;Mn:18,700]
実施例1B 70AA/30EA//1.0%のSHP[Mw:48,000;Mn:8,000]
実施例1C 100AA//1.2%のSMBS[Mw:59,000;Mn:11,000]
【0084】
これらの組成物は、表4において以下で示されている成分の、攪拌を伴う、単純な混ぜ合わせにより調製された。
【0085】
【表4】

【0086】
実施例3:
ポリエステルマットの処理および処理された基体の引張試験
試験方法−マットの調製:
商業的なスパンボンドニードルパンチポリエステルマット[150g/m;未処理]を38cm×30cmのシートに切断した。シートを10重量%の浴固形分におけるそれぞれの試験サンプル結合剤組成物中において浸漬コーティングし、その後、20%±1%の結合剤添加重量[基体重量のパーセンテージとしての乾燥結合剤重量]を得るべく、40psiのロール圧力を有するロールパッダーに通した。その後、コーティングされた基体は、通気されているか、または脱気装置を備えているMathis Oven内において、3分間、205℃で加熱することにより直ちに硬化された。
【0087】
引っ張り強さ、伸長および幅の保持
1kNのロードセルおよび−100°Fから400°Fまで[−73℃から204℃まで]の温度範囲能力を持ったジョーを収容するオーブンチャンバーを備えたInstron 4201引張試験機を用いて、室温での引っ張り強さ(RT TS)および伸長(RT伸長)、ならびに高温での引っ張り強さ(Hot TS)および幅の保持(高温幅)の両者を試験した。
【0088】
RT引っ張り強さおよびRT伸長については、硬化されたシートを4cm×25cmのストリップに切断した。ストリップは、それらのストリップを引張試験機のジョーに配置し、室温(〜23℃)において、15cmのギャップで8インチ/分(約20cm/分)のクロスヘッド速度で引き離すことにより試験された。引っ張り強さは、引き離している間に測定されたピーク力として記録された(表5)。最大伸長パーセントも記録した。報じられているデータは、試験された各結合剤組成物での4つの試験ストリップの平均値である。
【0089】
高温での引っ張り強さおよび幅の保持については、硬化されたシートを2.5cm×30cmのストリップに切断した。引張試験機のオーブンチャンバーは、試験の前に375°F(190℃)に予熱された。予熱後、それらのストリップをジョーに配置し、オーブンチャンバーを閉じ、375°Fに平衡化し直した。その後、それらのサンプルは、15cmのギャップで20cm/分のクロスヘッド速度で引き離された。高温での引っ張り強さは20%の伸長率で測定された。高温での幅の保持は、狭いポイントにおける試験ストリップの幅を測定し、その幅を初期の幅で割り算することにより算出され、百分率で表された。高温での幅の保持は、基体の熱的寸法安定性の尺度である。
【0090】
【表5】

【0091】
表5において、比較例1および比較例2と名付けられているサンプルは対照サンプルを表している。比較例2は、前世代型技術での最適な系を表しており、望ましくないメラミン−ホルムアルデヒド架橋系を使用している。比較例2は、非常に良好な引っ張り強さ特性(高温でのTSおよび室温でのTS)、ならびに良好な室温での伸長および許容可能な高温での幅の保持を有している。実際、この点について、当業界は、このテクノロジーを切り替えるのに苦労している。比較例1は、商業的な熱硬化性結合剤、Aquaset(商標) 600であって、トリエタノールアミンで架橋される。表5におけるデータは、この次世代型ホルムアルデヒド不含テクノロジーが柔軟性および室温での引っ張り強さに比較的欠けていることを示している。
【0092】
サンプル1および2も架橋ポリオールとしてトリエタノールアミンを使用しており、両サンプルとも、室温での低い伸長により示されている如く、同様に乏しい柔軟性を有している。
【0093】
同一のポリカルボキシポリマー(1A)を用いる、本発明によるサンプル3〜6は、Chemeen C10(アルコキシル化アルキルアミン)を架橋ポリオールとして使用したときに、室温での優れた伸長および良好な引っ張り強さを含め、種々の特性の良好なバランスを達成できることを示している。同様な比較および同様な結果がポリマー1B(サンプル7および8ではトリエタノールアミン架橋剤を使用し、サンプル9〜14においては本発明によるアルコキシル化アルキルアミン架橋剤を使用)で示されている。
【0094】
実施例4:
硬化された熱硬化性樹脂の機械的特性に及ぼすポリエチレングリコールの効果
硬化された熱硬化性樹脂の機械的特性に及ぼす様々なポリエチレングリコールの効果について調べるため、硬化可能な種々の熱硬化性組成物で追加的な実験を実施した。
【0095】
【表6】

【0096】
表6の硬化可能な熱硬化性組成物の機械的特性が、実施例3において上で説明されているように評価された。そのデータが以下の表7に示されている。
【0097】
【表7】

【0098】
表7において、比較例3と名付けられているサンプルは対照サンプルであって、前世代型技術での最適な系を表しており、望ましくないメラミン−ホルムアルデヒド架橋系を使用している。繰り返しになるが、比較例3は、非常に良好な引っ張り強さ特性、ならびに良好な室温での伸長および許容可能な高温での幅の保持を有している。サンプル22は、商業的な熱硬化性結合剤、Acumer(商標)9932であって、トリエタノールアミンで架橋される。表7におけるデータは、この次世代型ホルムアルデヒド不含テクノロジーが柔軟性および室温での引っ張り強さに比較的欠けていることを示している。
【0099】
サンプル21も、ポリマー1C用いること以外に、架橋ポリオールとしてトリエタノールアミンを使用している。このサンプルは、室温での低い伸長により示されている如く、同様に乏しい柔軟性を有している。
【0100】
同一のポリカルボキシポリマー(1C)を用いる、本発明によるサンプル15〜20は、Chemeen C10(アルコキシル化アルキルアミン)をポリエチレングリコールと併用して架橋性ポリオールとして使用したときに、室温での優れた伸長および良好な引っ張り強さを含め、種々の特性の良好なバランスを達成できることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性硬化性組成物であって、
(a)少なくとも2つのカルボン酸基、酸無水物基またはそれらの塩を含む少なくとも1種のポリカルボキシポリマーまたはコポリマー;および
(b)アルコキシル化アルキルアミン、アルコキシル化エーテルアルキルアミンまたはアルコキシル化アルキルアミドからなる群のうちの1以上から選択される、2つのヒドロキシル基を有する少なくとも1種のポリオール:
を含む、水性硬化性組成物。
【請求項2】
(a)が、C−C12アルキル(メタ)アクリレート、C−C12ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、C−C12カルボン酸のビニルエステル、ブタジエン、ビニルアセテート、アルキルマレアートおよびアルキルフマレートからなる群から選択される1種以上のモノマーと(メタ)アクリル酸との少なくとも1種の付加コポリマーを含む、請求項1記載の水性硬化性組成物。
【請求項3】
アルコキシル化アルキルアミンが式Iの群から選択され、アルコキシル化エーテルアルキルアミンが式IIの群から選択され、およびアルコキシル化アルキルアミドが式IIIの群から選択される請求項1記載の水性硬化性組成物:
【化1】

式中:
Rは、少なくとも6個の炭素原子を有するアルキルもしくはアルキレン基、またはアルキル基中に少なくとも6個の炭素原子を有するアルキルフェニル基であり;
R’は、各出現ごとに独立して、HまたはC1−4アルキルであり;および
m、nおよびoは、それぞれ互いに独立して、>1の数である。
【請求項4】
一般式HO−(CR−CR−O)−H [式中、Rは、各出現ごとに独立して、HまたはC1−4アルキルであり、xは5から100,000の間である]の少なくとも1種のポリエーテル化合物をさらに含む、請求項1記載の水性硬化性組成物。
【請求項5】
少なくとも1種のリン含有化合物をさらに含む、請求項1記載の水性硬化性組成物。
【請求項6】
アスコルビン酸、アスパラギン酸、リンゴ酸、クロトン酸、イタコン酸、酒石酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、アジピン酸およびt−ケイ皮酸からなる群から選択される、1000以下の分子量を有する少なくとも1種の低分子量多塩基性カルボン酸をさらに含む、請求項1記載の水性硬化性組成物。
【請求項7】
グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、グルコース、トリエタノールアミンおよびジエタノールアミンからなる群から選択される1種以上のポリオールを、全配合固形分に基づいて、1重量%から10重量%までの量でさらに含む、請求項1記載の水性硬化性組成物。
【請求項8】
ポリカルボキシポリマー(a)がポリアクリル酸である、請求項1記載の水性硬化性組成物。
【請求項9】
繊維性、不織、または複合材料基体を処理する方法であって、
水、または1以上の水性溶媒と、(a)少なくとも2つのカルボン酸基、酸無水物基またはそれらの塩を含む少なくとも1種のポリカルボキシポリマーもしくはコポリマー;および(b)アルコキシル化アルキルアミン、アルコキシル化エーテルアルキルアミンまたはアルコキシル化アルキルアミドからなる群から選択される、2つのヒドロキシル基を有する少なくとも1種のポリオール;とを混合することを含み、硬化性水性組成物を形成すること;
前記基体を前記硬化性水性組成物と接触させること、またはその代わりに、前記硬化性水性組成物を前記基体に適用すること;および
前記硬化性水性組成物を100℃から400℃までの温度で加熱すること:
を含む、基体を処理する方法。
【請求項10】
請求項9記載の方法により製造された繊維物品、不織物品または複合材料基体。

【公開番号】特開2008−156635(P2008−156635A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−320613(P2007−320613)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】