説明

硬質皮膜被覆部材

【課題】耐エロージョン性に優れる硬質皮膜被覆部材を提供する。
【解決手段】スチームタービンブレード、ジェットエンジンの圧縮機ブレード、気体または液体圧縮用のコンプレッサースクリュー、ターボ圧縮機のインペラー、燃料噴射用バルブからなる群より選択されるいずれかに使用される基体と、前記基体を被覆する硬質皮膜とを備えた硬質皮膜被覆部材であって、硬質皮膜は、ナノインデンターにより測定した硬さ(H)とヤング率(E)において、硬さ(H)が20GPa以上であり、硬さ(H)とヤング率(E)との比率(H/E)が0.06以上であり、硬質皮膜は、TiおよびCrのうちの少なくとも一種とAlとNとを含有し、皮膜中の非金属元素以外の元素の総量に占めるTiとCrの総量が原子比で0.1以上0.6以下であり、かつ、皮膜中の非金属元素以外の元素の総量に占めるAlの量が原子比で0.4以上0.7以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質皮膜が表面に被覆された硬質皮膜被覆部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、スチームタービンブレード、ジェットエンジンの圧縮機ブレード、気体、液体圧縮用のコンプレッサースクリュー、ターボ圧縮機のインペラー、燃料噴射用バルブ等の部品は、固体粒子や液体(流体)等によるエロージョンを受ける。また、粉体(すなわち固体粒子)あるいは粉体を含む流体を撹拌、輸送あるいは粉砕するための部品(機器)も、固体粒子や液体(流体)等によりアブレーシブ摩耗を生じることでエロージョンを受ける。エロージョンからこれらの部品を保護するために、部品表面には硬質皮膜が形成されることが一般的である。このような硬質皮膜に関しては、例えば、以下の文献が開示されている。
【0003】
特許文献1には、耐エロージョン性(耐浸食性)に優れる皮膜として、軟質で延性の組成物の層と、硬質で脆性の組成物の層とを交互に積層した多層膜が開示されている。そしてその例として、TiN/Tiの多層膜を挙げている。また、特許文献2には、窒素量の異なるTi1−x膜を積層した多層膜が開示されている。さらに特許文献3には、窒化チタンを主成分とし、Al,Cr,Zr,Hfの少なくとも一つの元素を含有する窒化物が開示されている。具体的には、化学組成がTi(100−x)Mex窒化物(但し、Me:Al,Cr,ZrおよびHfの中から少なくとも一つ選ばれる元素xが2%≦x≦30%(原子濃度(%)))が開示されている。
【0004】
また、特許文献4には、金属材料とセラミック材料との複数の層からなり、粒子による浸食や、水による浸食、および、これらの粒子や水による腐食から保護するための支持体表面上の多層耐摩耗性コーティングが開示されている。 また、前記金属材料が、チタン、ジルコニウム、ハフニウムおよびタンタルからなる群から選択された1以上の元素からなり、前記セラミック材料が前記選択された金属材料の窒化物であるコーティングが開示されている。さらに特許文献5〜7には、Ti,Cr,V,Al,Mo,Nb,W,Zr,Hfから選ばれる金属層と窒化物等のセラミック層とを積層した多層膜が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−163449号公報
【特許文献2】特許第3391981号公報
【特許文献3】特開2000−129420号公報
【特許文献4】特開平02−175859号公報
【特許文献5】加国特許第2327031号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2002/0102400号明細書
【特許文献7】米国特許第6617057号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような硬質皮膜では、以下に示す問題がある。
特許文献1、2に関しては、TiNあるいはTiは、共に耐エロージョン性が十分に高いとはいえず、多層膜形成時においてもその耐エロージョン性は十分に向上しない。
特許文献3に関しては、Alに相当するMeの組成は30原子%までのものが好適とされている。しかし、Alの量が30原子%以下では、耐エロージョン性が向上しない。また比較例としてAlが52原子%のものまでが開示されているが、皮膜は、蒸着とイオン注入とを組み合わせたダイナミックミキシング法で形成されている。しかしながら、ダイナミックミキシング法で皮膜を形成する場合には、Alの量が30原子%を超えた場合、耐エロージョン性が向上しない。特許文献4〜7に関しては、金属層とセラミック層との多層の場合には、金属層のエロージョン速度が速いために、全体としてのエロージョン速度が速くなるという問題がある。またセラミック層に関しては、組成を規定していないため、組成によっては、耐エロージョン性の向上は図れない。
【0007】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、耐エロージョン性に優れる硬質皮膜被覆部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明らは硬質皮膜の耐エロージョン性について検討を行った結果、皮膜の耐エロージョン性は、皮膜の硬さ(H)だけで決まるのではなく、ある一定以上の硬さ(H)を満たした上で、硬さ(H)をヤング率(E)で割った値、すなわち硬さ(H)とヤング率(E)との比率(H/E)(以下、適宜、比率(H/E)という)によって決まることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明に係る硬質皮膜被覆部材(以下、適宜、部材という)は、スチームタービンブレード、ジェットエンジンの圧縮機ブレード、気体または液体圧縮用のコンプレッサースクリュー、ターボ圧縮機のインペラー、燃料噴射用バルブからなる群より選択されるいずれかに使用される基体と、前記基体を被覆する硬質皮膜とを備えた硬質皮膜被覆部材であって、前記硬質皮膜は、ナノインデンターにより測定した硬さ(H)とヤング率(E)において、前記硬さ(H)が20GPa以上であり、前記硬さ(H)と前記ヤング率(E)との比率(H/E)が0.06以上であり、前記硬質皮膜は、TiおよびCrのうちの少なくとも一種とAlとNとを含有し、皮膜中の非金属元素以外の元素の総量に占めるTiとCrの総量が原子比で0.1以上0.6以下であり、かつ、皮膜中の非金属元素以外の元素の総量に占めるAlの量が原子比で0.4以上0.7以下であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る硬質皮膜被覆部材は、粉体あるいは粉体を含む流体を撹拌、輸送あるいは粉砕する機器に使用される基体と、前記基体の前記粉体と接触する摺動面を被覆する硬質皮膜とを備えた硬質皮膜被覆部材であって、前記硬質皮膜は、ナノインデンターにより測定した硬さ(H)とヤング率(E)において、前記硬さ(H)が20GPa以上であり、前記硬さ(H)と前記ヤング率(E)との比率(H/E)が0.06以上であり、前記硬質皮膜は、TiおよびCrのうちの少なくとも一種とAlとNとを含有し、皮膜中の非金属元素以外の元素の総量に占めるTiとCrの総量が原子比で0.1以上0.6以下であり、かつ、皮膜中の非金属元素以外の元素の総量に占めるAlの量が原子比で0.4以上0.7以下であることを特徴とする。
【0011】
これらのような構成によれば、部材は、皮膜の硬さ(H)を20GPa以上、かつ硬さ(H)とヤング率(E)との比率(H/E)を0.06以上とすることで、耐エロージョン性が向上する。また部材は、皮膜中のTiとCrの総量を原子比で0.1以上とすることで、皮膜の硬さ(H)が向上する。一方、部材は、皮膜中のTiとCrの総量を原子比で0.6以下とすることで、皮膜中の比率(H/E)が0.06以上となる。さらに部材は、皮膜中のAlの量を原子比で0.4以上とすることで、耐エロージョン性が向上する。また部材は、Nを含有することで、金属元素や半金属元素と結合して、皮膜の骨格をなす窒化物が形成される。
【0012】
また、本発明に係る硬質皮膜被覆部材は、前記硬質皮膜において、組成が(TiCrAlSi)(C)からなり、前記a、b、c、d、e、f、x、yが原子比であるときに、
0≦a≦0.6
0≦b≦0.6
0.4≦c≦0.7
0≦d≦0.15
0≦e≦0.1
0≦f≦0.05
0.1≦a+b≦0.6
a+b+c+d+e+f=1
0≦x≦0.5
0.5≦y≦1
x+y=1
を満足することが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、部材は、皮膜中に必要に応じてSiを所定量含有することで、皮膜が微細化し、硬さ(H)が上昇すると共にヤング率(E)が低下する。また部材は、皮膜中に必要に応じてB,Yを所定量含有することで、硬さ(H)が低下せずに、ヤング率(E)が低下する。よって部材は、皮膜中にSi,B,Yを所定量含有することで、比率(H/E)が高くなる。また部材は、皮膜中に必要に応じてCを所定量含有することで、皮膜が炭窒化物の形態となる。
【0014】
また、本発明に係る硬質皮膜被覆部材は、前記硬質皮膜において、組成が(TiCrAlSi)(C)からなり、前記a、b、c、d、x、yが原子比であるときに、
0≦a≦0.5
0≦b≦0.5
0.5≦c≦0.65
0≦d≦0.05
0.1≦a+b≦0.6
a+b+c+d=1
0≦x≦0.2
0.8≦y≦1
x+y=1
を満足することが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、部材において、皮膜中のTi,Cr,Al,Si,C,Nの含有量をさらに所定量とすることで、耐エロージョン性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る硬質皮膜形成部材は、耐エロージョン性に優れたものとなる。そのため、固体粒子あるいは流体によるエロージョンを生じる可能性がある部品の部材として好適に用いることができ、それらの部品の耐エロージョン性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る硬質皮膜形成部材の硬質皮膜を形成するための成膜装置の一例を示す概略図である。
【図2】実施例における、硬さ(H)とヤング率(E)との比率(H/E)と、エロージョン速度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る硬質皮膜被覆部材について詳細に説明する。
本発明に係る硬質皮膜被覆部材は、基体と、基体を被覆する硬質皮膜とを備えたものである。なお、「基体を被覆する」とは、基体の全体を被覆する場合の他、基体の一部を被覆する場合も含む。例えば、後記する第2の実施形態においては、粉体と接触する基体の摺動面に被覆されていればよい。以下、具体的に説明する。
【0019】
(基体)
基体は、第1の実施形態として、スチームタービンブレード、ジェットエンジンの圧縮機ブレード、気体または液体圧縮用のコンプレッサースクリュー、ターボ圧縮機のインペラー、燃料噴射用バルブからなる群より選択されるいずれかに使用されるものである。すなわち本発明の部材における皮膜は、例えば、飛行機のエンジンの圧縮機に使用されるブレードや、圧縮機等のインペラーやブレード等、固体粒子あるいは流体によるエロージョンを生じる可能性がある部位(部品)への保護皮膜として利用される。本発明の硬質皮膜被覆部材は耐エロージョン性に優れているため、このようなエロージョンを受けるスチームタービンブレード等の用途に適している。これらの材質としては、一例として、チタン合金、アルミ合金、ステンレス、インコネル等が挙げられる。
【0020】
また基体は、第2の実施形態として、粉体あるいは粉体を含む流体を撹拌、輸送あるいは粉砕する機器に使用されるものである。粉体あるいは粉体を含む流体を撹拌、輸送あるいは粉砕する機器とは、例えばセラミックスの粉末を粉砕製造する時に使用される粉砕器の部品やスラリーポンプのシリンダーや撹拌用インペラーあるいはそれらを納めるケーシング等が挙げられる。これらの部材は移動する粉末あるいは粉末を高濃度で含む流体と直接接触しており、部材表面上を移動する粉末や流体によりアブレーシブ摩耗を生じることから、本発明で規定された硬質皮膜を形成することにより耐摩耗性を著しく向上させることが出来る。上記に述べた用途で、特に水分を含む環境下で使用される場合には、本発明で規定される硬質皮膜と基体間に1層以上の中間層を設け、環境遮断性を向上させることが望ましい。中間層は例えばCrNが推奨され、膜厚は1μm、より好ましくは3μm以上である。
このように硬質皮膜被覆部材は、第1の実施形態、第2の実施形態ともに、基体と硬質皮膜とからのみで構成されていてもよいし、中間層のような他の層が設けられていてもよい。
【0021】
(硬質皮膜)
皮膜は、ナノインデンターにより測定した硬さ(H)とヤング率(E)において、硬さ(H)が20GPa以上、硬さ(H)とヤング率(E)との比率(H/E)を0.06以上とする。
【0022】
耐エロージョン性を著しく向上させるためには、硬さ(H)が20GPa以上を満たした上で、比率(H/E)を0.06以上とすることが必要である。よって、硬さ(H)は20GPa以上とする。好ましくは25GPa以上、より好ましくは30GPa以上である。また、比率(H/E)は0.06以上とする。好ましくは0.07以上である。一方、硬さ(H)は55GPa以下が好ましく、比率(H/E)は0.13以下が好ましい。
【0023】
皮膜の硬さ(H)および比率(H/E)は、皮膜の成分と、成膜方法および成膜条件とにより制御する。なお、同じ組成の皮膜によっても成膜方法および成膜条件により比率(H/E)の値は変化することから、耐エロージョン性を向上させるためには、適切な成膜方法および条件を設定することが必要である。ここでは、後記するように、アークイオンプレーティング(AIP(Arc Ion Plaiting))法、スパッタリング法、あるいは、HCD(Hollow Cathode Discharge)法によって成膜する。なお、成膜において重要なのは、成膜時に基体に負荷するバイアス電圧である。これまでの検討ではバイアスが高い方(負の大きな値)が、耐エロージョン性は高くなるが、応力が大きくなり皮膜が剥離しやすくなる。また、厚膜を付けようとする場合にはバイアスを下げた方が有利である。従って、バイアスの制御範囲としては−20〜−100Vが適切である。他の条件(温度、圧力)はほぼ固定である。
【0024】
皮膜の硬さ(H)およびヤング率(E)は、ナノインデンターにより測定する。ナノインデンターによる測定の一例としては、装置として「株式会社 エリオニクス製 ENT−1100」を用い、インデンターにはベルコビッチ型の三角錐圧子を使用する。まず、荷重2、5、7、10および20mNの5荷重で各々5点の荷重負荷曲線を測定する。そして、SAWAらにより提案された、装置のコンプライアンスと圧子先端形状を補正する方法(J. Mater. Res. Vol.16 No.11 (2001) 3084)によりデータの補正を行い、皮膜の硬さ(H)とヤング率を(E)求める。その際に、ダイヤモンド圧子のヤング率として1000GPa、ポワソン比として0.22を使用することができる。
【0025】
また皮膜は、TiおよびCrのうちの少なくとも一種とAlとNとを含有し、皮膜中の非金属元素以外の元素の総量に占めるTiとCrの総量を原子比で0.1以上0.6以下とし、かつ、皮膜中の非金属元素以外の元素の総量に占めるAlの量を原子比で0.4以上0.7以下とする。前記のとおり、成膜方法および成膜条件を適切にすると共に、これらの元素を規定することで、皮膜の硬さ(H)および比率(H/E)が本発明の範囲となる。なお、金属元素として、Ti,Cr,Al以外の元素を含む場合もあり、さらに半金属元素を含む場合もある。よって、「非金属元素以外の元素の総量」とは、具体的には「皮膜中の金属元素の総量」あるいは「皮膜中の金属元素および半金属元素の総量」をいう。
【0026】
[TiとCrの総量:原子比で0.1以上0.6以下]
TiおよびCrは、皮膜の硬さ(H)を向上させるため、皮膜中の非金属元素以外の元素に占める総量で、原子比で0.1以上添加する必要がある。一方、0.6を超えると比率(H/E)が小さくなることから、上限を0.6とする。好ましくは0.5以下である。TiおよびCrに関しては、0.6以下の範囲で単独で添加するか、あるいは複合添加する。
【0027】
[Alの量:原子比で0.4以上0.7以下]
Alは、耐エロージョンを向上させるため、皮膜中の非金属元素以外の元素に占める総量で、原子比で0.4以上添加する必要がある。皮膜の組成に関しては、硬さ(H)および比率(H/E)を満足すれば、耐エロージョン性はある程度高くなる。しかし、窒化物や炭窒化物において皮膜中にAlが含有されている場合には、特に比率(H/E)が大きくなり、結果として耐エロージョン性がより高くなる。よって、本発明においては皮膜中にAlを添加することを必須とする。ただし、その効果を得るためには、原子比で0.4以上添加する必要がある。なお、皮膜の組成によっては、0.4未満では硬さ(H)や、比率(H/E)が低下する場合がある。したがって、Alの含有量は、原子比で0.4以上とする。好ましくは0.45以上、より好ましくは0.5以上である。一方、Alを過度に添加すると硬さ(H)が低下して比率(H/E)が低下することから、上限を0.7とする。より好ましくは0.65以下である。
【0028】
その他、Nを必須で添加する必要がある。添加量は0を超えていればよいが、好ましくは皮膜中の全元素に占める比率が0.5以上、より好ましくは金属(あるいは半金属を含有した)窒化物の量論組成である金属と窒素の比率で1付近である0.8以上が好ましい。
【0029】
皮膜の組成は、一例として、EDX(Energy DispersiveX-ray spectrometer:エネルギー分散形X線分析装置)によるEDX分析により測定することができる。
【0030】
以上により、硬質皮膜は、以下のように記すことができる。
皮膜は、組成が(TiCrAl)Nからなり、前記a、b、c、yが原子比であるときに、
0≦a≦0.6
0≦b≦0.6
0.4≦c≦0.7
0.1≦a+b≦0.6
a+b+c=1
y=1
を満足する。
【0031】
皮膜は、金属元素であるTi,Cr,Al以外に、金属元素または半金属元素として、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Re、Fe、Ca、S、Cu、Ni、Si、B、Yから選ばれる1種以上を含んでいてもよい。また、非金属元素としては窒素が必須であるが、必要に応じて炭素を含有させることもできる。窒素および炭素の総量に対する窒素の含有量は、原子比で0.5以上であることが好ましい。
よって、皮膜としては、組成が(TiCrAl)(C)からなり、前記MがZr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Re、Fe、Ca、S、Cu、Ni、Si、B、Yから選ばれる1種以上の元素であり、前記a、b、c、d、x、yが原子比であるときに、
0≦a≦0.6
0≦b≦0.6
0.4≦c≦0.7
0≦d≦0.5
0.1≦a+b≦0.6
a+b+c+d=1
0≦x≦0.5
0.5≦y≦1
x+y=1
を満足するものとすることができる。
【0032】
ここで、MであるZr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Re、Fe、Ca、S、Cu、Ni、Si,B,Yは、単独で添加してもよいし、2種以上を複合添加してもよい。Mとする元素の総量は、原子比で0.5以下とすることが好ましい。0.5以下であれば、耐エロージョン性が向上しやすくなる。なお、後記するように、MとしてSi,B,Yを用いる場合は、Siは原子比で0.15以下、Bは原子比で0.1以下、Yは原子比で0.05以下とすることが好ましい。なお、各元素の説明については後記する。
次に、前記の組成のうち、好ましい組成の一例として、2通りの組成を以下に説明する。
【0033】
<皮膜の好ましい組成(1)>
皮膜は、組成が(TiCrAlSi)(C)からなり、前記a、b、c、d、e、f、x、yが原子比であるときに、
0≦a≦0.6
0≦b≦0.6
0.4≦c≦0.7
0≦d≦0.15
0≦e≦0.1
0≦f≦0.05
0.1≦a+b≦0.6
a+b+c+d+e+f=1
0≦x≦0.5
0.5≦y≦1
x+y=1
を満足する。
【0034】
以下、各元素について説明する。なお、前記のとおり、所定元素Mとして、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、W、Re、Fe、Ca、S、Cu、Ni、Si、B、Yから選ばれる1種以上の元素を添加してもよいが、後記する理由により、これらのうちでも、Si,B,Yを選択することが好ましい。
【0035】
[Ti:a(0≦a≦0.6,0.1≦a+b≦0.6,a+b+c+d+e+f=1)]
[Cr:b(0≦b≦0.6,0.1≦a+b≦0.6,a+b+c+d+e+f=1)]
(a)は、Tiの原子比、(b)は、Crの原子比である。前記のとおり、TiおよびCrは皮膜の硬さ(H)を向上させるため、皮膜中に占める総量で、0.1以上添加する必要がある。一方、TiとCrの総量で0.6を超えると比率(H/E)が小さくなることから、上限を0.6とする。なお、これによりTiとCrの各々の上限は、0.6とする。好ましくは、総量で0.5以下、各々0.5以下である。
【0036】
[Al:c(0.4≦c≦0.7,a+b+c+d+e+f=1)]
(c)は、Alの原子比である。前記のとおり、Alは耐エロージョンを向上させるため、皮膜中に占める総量で、0.4以上添加する必要がある。好ましくは0.45以上、より好ましくは0.5以上である。一方、Alを過度に添加すると硬さ(H)が低下して比率(H/E)が低下することから、上限を0.7とする。より好ましくは0.65以下である。
【0037】
[Si:d(0≦d≦0.15,a+b+c+d+e+f=1)]
(d)は、Siの原子比である。Siを添加することで皮膜が微細化し、硬さ(H)が上昇すると共にヤング率(E)が低下する。そのため、結果として大きな値の比率(H/E)とすることができる。Siは任意成分であり、添加しなくてもよいが、0.02以上でその効果が認められることから、0.02以上添加することが好ましい。一方、添加量を0.15以下とすることで皮膜の硬質化が促進されることから、上限を0.15とすることが好ましい。より好ましくは0.1以下、さらに好ましくは0.05以下である。
【0038】
[B:e(0≦e≦0.1,a+b+c+d+e+f=1)]
[Y:f(0≦f≦0.05,a+b+c+d+e+f=1)]
(e)は、Bの原子比、(f)は、Yの原子比である。B、Yは任意成分であり、添加しなくてもよいが、各々0.1あるいは0.05以下の添加により硬さ(H)の値を低下させることなく、ヤング率(E)を低下させることが可能である。よって、上限を各々0.1あるいは0.05とすることが好ましい。
【0039】
[C:x(0≦x≦0.5,x+y=1)]
(x)は、Cの原子比である。本発明の化合物は窒化物としての形態だけではなく、成膜時にCを含むガスを導入し、炭窒化物とすることも可能である。後記するように、NおよびCの総量に対して、Nは0.5以上添加することが好ましいことから、Cの上限は0.5とすることが好ましい。より好ましくは0.2以下である。
【0040】
[N:y(0.5≦y≦1,x+y=1)]
(y)は、Nの原子比である。Nは、金属元素や半金属元素と結合して、本発明における皮膜の骨格をなす窒化物を形成する役割を果たすことから0を超えて添加することが必要である。また、NおよびCの総量に対して、添加量が0.5以上であれば、窒化物をより形成しやすくなるため、0.5以上添加することが好ましい。より好ましくは0.8以上である。
【0041】
<皮膜の好ましい組成(2)>
皮膜は、組成が(TiCrAlSi)(C)からなり、前記a、b、c、d、x、yが原子比であるときに、
0≦a≦0.5
0≦b≦0.5
0.5≦c≦0.65
0≦d≦0.05
0.1≦a+b≦0.6
a+b+c+d=1
0≦x≦0.2
0.8≦y≦1
x+y=1
を満足する。
【0042】
この皮膜は、前記した好ましい組成(1)のうち、TiおよびCrの含有量を各々0.5以下、Alの含有量を0.5以上0.65以下、Siの含有量を0.05以下、Cの含有量を0.2以下、Nの含有量を0.8以上、B,Yを無添加としたものである。すなわち、Ti,Cr,Al,Si,C,Nの元素について、特に好ましい範囲としたものである。なお、ここでは、比率(H/E)を十分に大きくすることができることからB,Yを無添加としたが、好ましい組成(1)のように、B,Yを所定量添加してもよい。その他については、前記した好ましい組成(1)と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0043】
前記のとおり、Ti,Cr,Al,Nは必須の成分であり、Si,B,Y,Cは任意の成分であることから、皮膜の組成に関する組み合わせは、(TiCrAl)N、(TiCrAlSi)N、(TiCrAlB)N、(TiCrAlY)N、(TiCrAlBY)N、(TiCrAlSiB)N、(TiCrAlSiY)N、(TiCrAlSiBY)N、(TiCrAl)(CN)、(TiCrAlSi)(CN)、(TiCrAlB)(CN)、(TiCrAlY)(CN)、(TiCrAlBY)(CN)、(TiCrAlSiB)(CN)、(TiCrAlSiY)(CN)、(TiCrAlSiBY)(CN)等が挙げられる。より具体的には、例えば、「(Ti0.4Al0.6)N」、「(Ti0.2Cr0.2Al0.55Si0.05)N」等である。
【0044】
本発明の部材においては、基体上にこれらの皮膜を単層で形成してもよいし、複数層として形成してもよい。具体的には、本発明の規定を満たしつつ、組成が相互に異なる皮膜を積層しても良い。あるいは、本発明の規定から外れる皮膜中に本発明の規定を満たす皮膜が部分的に含まれても良い。なお、十分な耐エロージョン性を得るために、本発明の規定を満たす皮膜のトータルの厚みが5μm超であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。
【0045】
前記した部材において、皮膜の形成は、アークイオンプレーティング法、スパッタリング法、あるいは、HCD法によって成膜する必要がある。なお、真空蒸着法は前記の各方法に比較して、成膜粒子あるいは成膜時に使用するガスのイオン化率が低く、緻密な被膜を形成する事ができない。よって、真空蒸着法は不適である。
次に、成膜方法の一例として、AIP法を用いた成膜について説明する。AIP法を行なうには、例えば、以下のような成膜装置を用いることができる。
【0046】
図1に示すように、成膜装置10は、真空排気する排気口と、成膜ガスおよび希ガスを供給するガス供給口15とを有するチャンバー11と、アーク式蒸発源12に接続されたアーク電源13と、被処理体(基体2)を支持する基板ステージ16上の支持台17と、この支持台17と前記チャンバー11との間で支持台17を通して被処理体に負のバイアス電圧を印加するバイアス電源14とを備えている。また、ヒータ18、放電用直流電源19、フィラメント加熱用交流電源20、フィラメント21等を備えている。本発明の部材を得るための成膜に際しては、ガス供給口15からチャンバー11内へ供給するガスは、成膜成分(皮膜の組成)に合わせて窒素(N)、メタン(CH)等の成膜ガスと、これらとアルゴン等の希ガスとの混合ガスを使用する。
【0047】
そして、成膜方法の一例としては、まず、基体2を成膜装置10に導入し、1×10−3Pa以下に排気した後、400℃まで基体2を加熱する。その後、Arイオンを用いたスパッタクリーニングを実施し、窒素を4Paまでチャンバー11内に導入して、各種ターゲットを用いて150Aの電流値でアーク放電を実施して基体2上に窒化物を形成する。なお、Cを皮膜中に含有させる場合には、0.1〜0.5Paの範囲でメタンガスも導入する。また、成膜時のバイアス電圧は接地電位に対して−20〜−100Vの範囲とする。
【実施例】
【0048】
本発明の実施例および比較例を以下に説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0049】
皮膜の耐エロージョン性を評価するために、アークイオンプレーティング法にて、SUS630基板(鏡面研磨、H900熱処理)上に表1に示す各種の皮膜を約10μm形成した。成膜には、図1に示すようなアーク蒸発源を有するAIP装置(AIP―SS002、神戸製鋼所)を用いた。具体的には以下のとおりである。
まず、基体を成膜装置に導入し、1×10−3Pa以下に排気した後、400℃まで基体を加熱した。その後、Arイオンを用いたスパッタクリーニングを実施し、窒素を4Paまでチャンバー内に導入して、各種ターゲットを用いて150Aの電流値でアーク放電を実施して基体上に表1に示す窒化物を形成した。なお、Cを皮膜中に含有させる場合には、0.1〜0.5Paの範囲でメタンガスも導入した。また、成膜時のバイアス電圧は接地電位に対して−20〜−100Vとした。
【0050】
成膜終了後、皮膜中の金属成分組成の分析、皮膜の硬さおよびヤング率の測定を行うと共に、皮膜の耐エロージョン性について評価を行った。これらについて以下に説明すると共に、結果を表1に示す。なお、表中、本発明の構成を満たさないもの、および、合格基準を満たさないものには、数値等に下線を引いて示す。
【0051】
<皮膜組成>
成膜後の組成については、超硬合金基板における皮膜中の金属元素の成分組成を、EDX分析により測定した。
【0052】
<硬さ、および、ヤング率>
皮膜の硬さ(H)、および、ヤング率(E)は、ナノインデンターにより測定した。ナノインデンターによる測定は、装置として「株式会社 エリオニクス製 ENT−1100」を用い、インデンターにはベルコビッチ型の三角錐圧子を使用した。まず、荷重2、5、7、10および20mNの5荷重で各々5点の荷重負荷曲線を測定した。そして、SAWAらにより提案された装置のコンプライアンスと圧子先端形状を補正する方法(J. Mater. Res. Vol.16 No.11 (2001) 3084)によりデータの補正を行い、皮膜の硬さ(H)とヤング率(E)を求めた。その際に、ダイヤモンド圧子のヤング率として1000GPa、ポワソン比として0.22を使用した。
【0053】
<耐エロージョン性>
耐エロージョン性は、エロージョン試験により評価した。エロージョン試験は、特許第3356415号および「マイクロスラリージェットエロージョン(MSE)試験によるDLC膜の摩耗特性評価」(日本機械学会論文集(C編)75巻749号(2009−1)P171―177)に記載の方法にて行った。すなわち、アルミナ粒子を含むジェット水流を試験片に一定時間噴射し、そのエロージョン深さを測定して、耐エロージョン性を評価する方法を用いた。
【0054】
使用した粒子はアルミナ(#320、平均粒径は48μm)であり、粒子の濃度は水に対する質量比で1%とした。ジェット水流を試験片の法線方向(水平面から90°)から試験片に向けて、約10mmの位置から噴射し、試験後の試験片にエロージョンにより出来たクレーターの深さを表面粗さ計により測定し、試験時間(サンプルのエロージョン速度により200〜5000秒程度の範囲で調整した。エロージョンレートの高いサンプルでは2000〜5000秒の試験を行いクレーター深さの測定誤差を小さくして、信頼性の高いデータとした。)とエロージョン深さの関係からエロージョン速度(μm/分)を算出した。そして、エロージョン速度が0.1μm/分以下のものを合格、0.1μm/分を超えるものを不合格とした。
表1に各供試材の評価結果を示す。また、図2に比率(H/E)と、エロージョン速度との関係を示す。
【0055】
【表1】

【0056】
表1に示すように、No.8〜10、12、14〜17、19〜30、32、33は、本発明の要件を満たすため、耐エロージョン性に優れていた。
一方、No.1〜7、11、13、18、31、34は、以下に述べるとおり、本発明の要件を満たさないため、耐エロージョン性に劣っていた。
【0057】
No.1は、Alを含有せず、Tiが多いことから本発明で規定するTiとCrの総量が上限値を超えるため、比率(H/E)が下限値未満となった。また、窒素を含有しないため、硬さ(H)が下限値未満となった。そのため、耐エロージョン性に劣った。No.2は、Alを含有せず、Tiが多いことから本発明で規定するTiとCrの総量が上限値を超えるため、比率(H/E)が下限値未満となった。そのため、耐エロージョン性に劣った。
【0058】
No.3は、Alを含有せず、Tiが多いことから本発明で規定するTiとCrの総量が上限値を超えるため、比率(H/E)が下限値未満となった。また、Alを含有しないため、硬さ(H)が下限値未満となった。そのため、耐エロージョン性に劣った。なお、Nの含有量が好ましい範囲よりも低いため、硬さ(H)が低下しやすくなった。No.4は、Alを含有せず、Crが多いことから本発明で規定するTiとCrの総量が上限値を超えるため、比率(H/E)が下限値未満となった。また、Alを含有しないため、硬さ(H)が下限値未満となった。そのため、耐エロージョン性に劣った。なお、Cr単体では硬さが低いため、Alの添加が必要となる。
【0059】
No.5は、Alを含有せず、TiとCrの総量が上限値を超えるため、比率(H/E)が下限値未満となり、耐エロージョン性に劣った。No.6は、Tiが多いことから本発明で規定するTiとCrの総量が上限値を超え、またAl量が下限値未満のため、比率(H/E)が下限値未満となり、耐エロージョン性に劣った。
【0060】
No.7は、Tiが多いことから本発明で規定するTiとCrの総量が上限値を超え、またAl量が下限値未満のため、比率(H/E)が下限値未満となり、耐エロージョン性に劣った。No.11は、Al量が上限値を超えるため、比率(H/E)が下限値未満となり、耐エロージョン性に劣った。
【0061】
No.13は、TiとCrの総量が上限値を超え、またAl量が下限値未満のため、比率(H/E)が下限値未満となり、耐エロージョン性に劣った。No.18は、Al量が上限値を超えるため、比率(H/E)が下限値未満となり、耐エロージョン性に劣った。No.31はCを過剰に含んでいることから、硬さが低くなり、結果として比率(H/E)が下限値未満となり、耐エロージョン性に劣った。No.34は、TiとCrの総量が下限値未満のため、硬さ(H)、および、比率(H/E)が下限値未満となり、耐エロージョン性に劣った。
また、図2に示すグラフから、比率(H/E)が高くなると、エロージョン速度が遅くなる傾向にあることがわかる。
【0062】
以上、本発明について、実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されることなく、その権利範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈しなければならない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて広く改変・変更等することができることはいうまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチームタービンブレード、ジェットエンジンの圧縮機ブレード、気体または液体圧縮用のコンプレッサースクリュー、ターボ圧縮機のインペラー、燃料噴射用バルブからなる群より選択されるいずれかに使用される基体と、前記基体を被覆する硬質皮膜とを備えた硬質皮膜被覆部材であって、
前記硬質皮膜は、ナノインデンターにより測定した硬さ(H)とヤング率(E)において、前記硬さ(H)が20GPa以上であり、前記硬さ(H)と前記ヤング率(E)との比率(H/E)が0.06以上であり、
前記硬質皮膜は、TiおよびCrのうちの少なくとも一種とAlとNとを含有し、皮膜中の非金属元素以外の元素の総量に占めるTiとCrの総量が原子比で0.1以上0.6以下であり、かつ、皮膜中の非金属元素以外の元素の総量に占めるAlの量が原子比で0.4以上0.7以下であることを特徴とする硬質皮膜被覆部材。
【請求項2】
粉体あるいは粉体を含む流体を撹拌、輸送あるいは粉砕する機器に使用される基体と、前記基体の前記粉体と接触する摺動面を被覆する硬質皮膜とを備えた硬質皮膜被覆部材であって、
前記硬質皮膜は、ナノインデンターにより測定した硬さ(H)とヤング率(E)において、前記硬さ(H)が20GPa以上であり、前記硬さ(H)と前記ヤング率(E)との比率(H/E)が0.06以上であり、
前記硬質皮膜は、TiおよびCrのうちの少なくとも一種とAlとNとを含有し、皮膜中の非金属元素以外の元素の総量に占めるTiとCrの総量が原子比で0.1以上0.6以下であり、かつ、皮膜中の非金属元素以外の元素の総量に占めるAlの量が原子比で0.4以上0.7以下であることを特徴とする硬質皮膜被覆部材。
【請求項3】
前記硬質皮膜は、組成が(TiCrAlSi)(C)からなり、前記a、b、c、d、e、f、x、yが原子比であるときに、
0≦a≦0.6
0≦b≦0.6
0.4≦c≦0.7
0≦d≦0.15
0≦e≦0.1
0≦f≦0.05
0.1≦a+b≦0.6
a+b+c+d+e+f=1
0≦x≦0.5
0.5≦y≦1
x+y=1
を満足することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の硬質皮膜被覆部材。
【請求項4】
前記硬質皮膜は、組成が(TiCrAlSi)(C)からなり、前記a、b、c、d、x、yが原子比であるときに、
0≦a≦0.5
0≦b≦0.5
0.5≦c≦0.65
0≦d≦0.05
0.1≦a+b≦0.6
a+b+c+d=1
0≦x≦0.2
0.8≦y≦1
x+y=1
を満足することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の硬質皮膜被覆部材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2013−19051(P2013−19051A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−136145(P2012−136145)
【出願日】平成24年6月15日(2012.6.15)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】