碍子型避雷器の吸湿検出方法、碍子型避雷器の吸湿劣化検出方法、および碍子型避雷器の吸湿検出装置
【課題】碍子型避雷器の内部に液体が侵入したか否かを検出できる碍子型避雷器の吸湿検出方法、碍子型避雷器の吸湿劣化検出方法、および碍子型避雷器の吸湿検出装置を提供する。
【解決手段】酸化亜鉛を主成分とし残部が不可避的不純物からなる酸化亜鉛素子101と、酸化亜鉛素子101を内部に収容し碍子からなる碍子管102とを含む碍子型避雷器100の吸湿検出方法である。まず、碍子型避雷器100の外表面にテラヘルツ波を放射する放射工程を実施する。そして、酸化亜鉛素子101から反射されるテラヘルツ波を受信する受信工程を実施する。そして、テラヘルツ波受信工程で受信されたテラヘルツ波の波形を検出する検出工程を実施する。そして、検出工程で検出された波形と、正常状態の波形とを比較して分析することによって、内部の吸湿状態を検査する検査工程を実施する。
【解決手段】酸化亜鉛を主成分とし残部が不可避的不純物からなる酸化亜鉛素子101と、酸化亜鉛素子101を内部に収容し碍子からなる碍子管102とを含む碍子型避雷器100の吸湿検出方法である。まず、碍子型避雷器100の外表面にテラヘルツ波を放射する放射工程を実施する。そして、酸化亜鉛素子101から反射されるテラヘルツ波を受信する受信工程を実施する。そして、テラヘルツ波受信工程で受信されたテラヘルツ波の波形を検出する検出工程を実施する。そして、検出工程で検出された波形と、正常状態の波形とを比較して分析することによって、内部の吸湿状態を検査する検査工程を実施する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は碍子型避雷器の吸湿検出方法、碍子型避雷器の吸湿劣化検出方法、および碍子型避雷器の吸湿検出装置に関し、たとえばテラヘルツ波を利用した碍子型避雷器の吸湿検出方法、碍子型避雷器の吸湿劣化検出方法、および碍子型避雷器の吸湿検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所や変電所などに設置される碍子型避雷器は、落雷による雷サージ、開閉器、遮断機などの入り切りによる開閉サージに起因して異常電圧が発生した際に、その周辺設備をサージから保護するものである。
【0003】
碍子型避雷器は、サージ電圧に対しては低抵抗で、通常の対地電圧に対しては高抵抗を示す非直線性の電流電圧特性を有する酸化亜鉛を主成分とする複数の酸化亜鉛素子を積層し、その積層した酸化亜鉛素子の外周面に弾性を有するポリマー等の絶縁外被体を被着した構造を有する。
【0004】
このような碍子型避雷器の劣化を判断する方法として、従来、運転中の碍子型避雷器の漏れ電流を測定し、その波形から劣化(異常)の有無を推定する方法がある。漏れ電流の測定により劣化を判断する方法としては、たとえば特開昭63−228082号公報(特許文献1)には、避雷器の漏れ電流の抵抗成分を抽出して、正常時の値を比較することにより劣化を診断している酸化亜鉛形避雷器の劣化診断方法が開示されている。
【0005】
また、水分を測定する方法としては、たとえばマイクロ波を用いた物質の水分測定がある。このような方法として、たとえば特開2001−124707号公報(特許文献2)に開示の木材の水分測定方法が開示されている。
【特許文献1】特開昭63−228082号公報
【特許文献2】特開2001−124707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許部文献1に開示の酸化亜鉛形避雷器の劣化診断方法では、漏れ電流を観測することにより、避雷器の酸化亜鉛形素子に何らかの変化を生じていることは確認できるものの、その変化の原因を特定できない。また、上記特許文献2に開示の木材の水分測定方法では、水分の測定は可能であるが、碍子型避雷器のような金属を含む構造物には適用できない。
【0007】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、碍子型避雷器の内部に水分などの液体が侵入したか否かを検出できる碍子型避雷器の吸湿検出方法、碍子型避雷器の吸湿劣化検出方法、および碍子型避雷器の吸湿検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者が鋭意研究した結果、碍子型避雷器の内部に水分などの液体を検出する際にテラヘルツ波を用いることを発見した。すなわち、碍子管を比較的透過する一方、内部の酸化亜鉛素子表面で比較的反射するとともに、水分などの液体に対して敏感である性質を有するテラヘルツ波を利用して、碍子型避雷器の内分に侵入する水分などの液体を検出することを見出した。
【0009】
そこで、本発明の碍子型避雷器の吸湿検出方法は、酸化亜鉛を主成分とし残部が不可避的不純物からなる酸化亜鉛素子と、酸化亜鉛素子を内部に収容するとともに碍子からなる碍子管とを含む碍子型避雷器の吸湿検出方法であって、以下の工程を実施する。まず、碍子型避雷器の外表面にテラヘルツ波を放射する放射工程を実施する。そして、酸化亜鉛素子から反射されるテラヘルツ波を受信する受信工程を実施する。そして、テラヘルツ波受信工程で受信されたテラヘルツ波の波形を検出する検出工程を実施する。そして、波形と、正常状態の波形とを比較して分析することによって、内部の吸湿状態を検査する検査工程を実施する。
【0010】
また、本発明の碍子型避雷器の吸湿検出装置は、酸化亜鉛を主成分とし残部が不可避的不純物からなる酸化亜鉛素子と、酸化亜鉛素子を内部に収容するとともに碍子からなる碍子管とを含む碍子型避雷器の吸湿検出装置であって、放射装置と、検出装置と、分析装置とを備えている。放射装置は、碍子型避雷器の外表面にテラヘルツ波を放射する。検出装置は、酸化亜鉛素子から反射されるテラヘルツ波を受信して、テラヘルツ波の波形を検出する。分析装置は、波形と正常状態の波形とを比較して分析する。
【0011】
本発明の碍子型避雷器の吸湿検出方法および碍子型避雷器の吸湿検出装置によれば、碍子型避雷器の外部からテラヘルツ波を放射すると、碍子管を透過して、酸化亜鉛素子の表面で反射する。反射されるテラヘルツ波の波形と、内部に液体を含んでいない正常状態でのテラヘルツ波の波形とを比較することによって、碍子型避雷器の内部に液体が侵入しているか否かを検出することができる。
【0012】
上記碍子型避雷器の吸湿検出方法において好ましくは、放射工程では、0.1テラヘルツ以上0.7テラヘルツ以下のテラヘルツ波を放射することを特徴としている。
【0013】
上記碍子型避雷器の吸湿検出装置において好ましくは、放射装置は、0.1テラヘルツ以上0.7テラヘルツ以下のテラヘルツ波を放射することを特徴としている。
【0014】
この範囲のテラヘルツ波は、碍子管をより透過する。そのため、内部の吸湿状態の検出精度を向上できる。
【0015】
本発明の碍子型避雷器の吸湿劣化検出方法は、上記碍子型避雷器の吸湿検出方法を実施する工程と、検査工程により検査された吸湿状態に基づいて碍子型避雷器の劣化を判断する判断工程とを備えている。
【0016】
本発明の碍子型避雷器の吸湿劣化検出方法によれば、内部に液体が侵入しているか否かを確認できるので、碍子型避雷器の吸湿劣化を検出することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の碍子型避雷器の吸湿検出方法および碍子型避雷器の吸湿検出装置によれば、テラヘルツ波を利用することによって、碍子型避雷器の内部に水分などの液体が侵入したか否かを検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態における碍子型避雷器の吸湿検出装置を示す概略断面図である。図1を参照して、本発明の実施の形態における碍子型避雷器の吸湿検出装置を説明する。図1に示すように、実施の形態における碍子型避雷器100の吸湿検出装置10は、酸化亜鉛を主成分とし残部が不可避的不純物からなる酸化亜鉛素子101と、酸化亜鉛素子101を内部に収容するとともに碍子からなる碍子管102とを含む碍子型避雷器100の吸湿検出装置であって、放射装置11と、検出装置12と、分析装置13とを備えている。放射装置11は、碍子型避雷器100の外表面にテラヘルツ波を放射する。検出装置12は、酸化亜鉛素子101から反射されるテラヘルツ波を受信して、テラヘルツ波の波形を検出する。分析装置13は、波形と正常状態の波形とを比較して分析する。
【0020】
なお、本明細書において、テラヘルツ(THz)波とは、ミリ波(波長が10mm〜1mm、周波数が30GHz〜300GHzの電磁波)と遠赤外線(波長が4μm〜1000μm、周波数が3THz〜30THzの電磁波)との間にあり、周波数が0.1THz〜10THzの領域のものを意味する。また、テラヘルツ波は、碍子管102を透過し、酸化亜鉛素子101には反射するとともに、水分などの液体により敏感に波形を変化させる性質を有している。
【0021】
具体的には、放射装置11は、碍子型避雷器100の外表面にテラヘルツ波を放射できる装置であれば特に限定されないが、たとえばフェムト秒レーザからのフェムト秒パルス光をテラヘルツエミッタと呼ぶ放射素子に照射すると、テラヘルツ波が放射される。テラヘルツエミッタには、たとえば、低温成長GaAs基板上にストリップライン型やダイポール型光伝道アンテナを構成し、端子間に一定電圧を印加して用いる。
【0022】
また、放射装置11は、0.1テラヘルツ以上0.7テラヘルツ以下のテラヘルツ波を放射する装置であることが好ましい。この範囲の周波数のテラヘルツ波を放射する装置とすることによって、碍子管102の透過率がより高いテラヘルツ波を放射できる。
【0023】
検出装置12は、放射装置11から放射され、碍子管102を透過して、酸化亜鉛素子101から反射されるテラヘルツ波を受信する装置である。かつ、放射装置11は、受信したテラヘルツ波の波形(たとえば時間分解振幅波形)を検出する。検出装置12は、酸化亜鉛素子101から反射されるテラヘルツ波を受信して、テラヘルツ波の波形を検出できる装置であれば特に限定されないが、たとえばフェムト秒レーザからのフェムト秒パルス光を2つに分け、一方を放射素子に、もう一方を検出素子に照射する。検出素子には、たとえば、低温成長GaAs基板上にストリップライン型やダイポール型光伝道アンテナを構成し、端子間に一定電圧を印加して用いる。
【0024】
碍子型避雷器100の吸湿検出装置10は、検出装置12で検出された波形と正常状態の波形とを比較して分析する分析装置13をさらに備えていても良い。分析装置13は、検出装置12と兼用できる装置であっても良い。
【0025】
なお、正常波形とは、碍子型避雷器100の初期状態のときの碍子型避雷器100にテラヘルツ波を放射装置により放射して検出装置により検出された波形を意味する。
【0026】
分析装置13は、たとえば検出装置12により検出された波形と正常波形とを重ね合わせて、その波形の差がノイズよりも大きい場合に、碍子型避雷器100の内部が吸湿状態にあることを示す装置である。
【0027】
また、分析装置13で碍子型避雷器100の内部が吸湿状態であることが判明したときに、警報を発する制御装置をさらに備えていることが好ましい。
【0028】
なお、吸湿状態とは、後述する碍子型避雷器100の内部において酸化亜鉛素子101と碍子管102との間の空間105に水などの液体が含有されている状態を意味する。
【0029】
碍子型避雷器100は、酸化亜鉛素子101と、碍子管102とを含んでいる。また、碍子型避雷器100は、磁器碍子型避雷器やポリマー型避雷器など一般公知のものであり、酸化亜鉛素子101および碍子管102の他に、蓋部103や底部104などの公知の部材を備えていても良い。また、碍子型避雷器100は、金属材料からなる部材を含む構造物である。
【0030】
酸化亜鉛素子101は、酸化亜鉛を主成分とし残部が不可避的不純物からなる。具体的には、酸化亜鉛素子101は、酸化亜鉛の多結晶体の粉末を焼結させてなり、ほぼ100%の酸化亜鉛からなる。
【0031】
碍子管102は、酸化亜鉛素子101と、酸化亜鉛素子101を内部に収容し、碍子からなる。碍子とは、電柱やキュービクル(配電ボックス)などに取り付けられる電機絶縁用の陶磁器からなるものを意味する。
【0032】
碍子型避雷器100は、酸化亜鉛素子101と碍子管102との間に空間105が設けられている。空間105には、たとえば乾燥空気、窒素、または不活性ガスが充填されている。すなわち、正常状態の碍子型避雷器100の内部は、乾燥状態を保持している。
【0033】
次に、図1を参照して、本発明の実施の形態における碍子型避雷器100の吸湿検出方法について説明する。碍子型避雷器100の吸湿検出方法は、酸化亜鉛を主成分とし残部が不可避的不純物からなる酸化亜鉛素子101と、酸化亜鉛素子101を内部に収容するとともに碍子からなる碍子管102とを含む碍子型避雷器100の吸湿検出方法である。碍子型避雷器100の吸湿検出方法は、上述した碍子型避雷器100の吸湿検出装置10を用いて行なう。
【0034】
まず、碍子型避雷器100の外表面にテラヘルツ波を放射する放射工程を実施する。放射工程では、たとえば碍子型避雷器100の外部から外表面に向けてテラヘルツ波パルスを放射する。
【0035】
放射工程では、0.1テラヘルツ以上0.7テラヘルツ以下のテラヘルツ波を放射することが好ましい。この範囲のテラヘルツ波を放射することによって、碍子管102の透過率の高いテラヘルツ波を放射できる。
【0036】
放射工程により放射装置11から放射されたテラヘルツ波は、図1に示す矢印のように、碍子管102を透過して、酸化亜鉛素子101の表面で反射して、碍子管102を透過して碍子型避雷器100の外部の検出装置12に到達する。
【0037】
次に、酸化亜鉛素子101から反射されるテラヘルツ波を受信する受信工程を実施する。受信工程では、たとえば碍子型避雷器100の外部に配置された検出装置12でテラヘルツ波パルスを受信する。
【0038】
次に、受信工程で受信されたテラヘルツ波の波形を検出する検出工程を実施する。検出工程では、時間ごとに受信したテラヘルツ波の波形を検出して、時間に対する振幅(時間分解振幅波形)などの波形を検出することができる。
【0039】
次に、検出工程で検出された波形と、正常状態の波形とを比較して分析することによって、内部の吸湿状態を検査する検査工程を実施する。検査工程では、たとえば、予め、内部に液体が含まれていない状態(正常状態)の碍子型避雷器100について、上述のように放射工程、受信工程、および検出工程を実施して、正常状態でのテラヘルツ波の波形を測定する。正常状態でのテラヘルツ波の波形は、正常状態で複数回測定したときの平均の波形とする。そして、正常状態の碍子型避雷器100のテラヘルツ波の波形を測定したときの放射工程、受信工程、および検出工程と同様の条件にして検出されたテラヘルツ波の波形と比較する。比較する方法は任意の方法を採用できるが、たとえば正常状態の波形と測定された波形とを重ね合わせることにより、容易に分析できる。
【0040】
検査工程では、たとえば正常状態の波形と、測定されたテラヘルツ波の波形とを比較して、振幅などの波形(時間分解振幅波形)の差が生じている場合には、碍子型避雷器100の内部に水分などの液体が侵入していることが判明する。これにより、碍子型避雷器100の内部が吸湿しているか否かの吸湿状態を検出することができる。
【0041】
また、実施の形態における検査工程では、碍子型避雷器100の内部の吸湿が大きいほど、正常状態の波形と測定されたテラヘルツ波の波形との振幅の差が大きい。また、時間分解振幅波形から、液体が存在する部位を推定できる。そのため、碍子型避雷器100の内部が吸湿しているか否かのみならず、液体が存在する量や場所などの吸湿状態を検出することもできる。
【0042】
次に、図1を参照して、実施の形態における碍子型避雷器100の吸湿劣化検出方法について説明する。碍子型避雷器100の吸湿劣化検出方法は、上述した碍子型避雷器の吸湿検出方法を実施する工程を実施した後に、検査工程により検査された吸湿状態に基づいて碍子型避雷器の劣化を判断する判断工程を実施する。
【0043】
判断工程では、たとえば、検査工程で検出された碍子型避雷器100の内部が吸湿していたときに、碍子型避雷器100の劣化があったと判断する。なお、判断工程は、適切な任意の吸湿状態に基づいて碍子型避雷器100の劣化があったと判断して良い。
【0044】
以上説明したように、実施の形態における碍子型避雷器100の吸湿検出方法によれば、酸化亜鉛を主成分とし残部が不可避的不純物からなる酸化亜鉛素子101と、酸化亜鉛素子101を内部に収容するとともに碍子からなる碍子管102とを含む碍子型避雷器100の吸湿検出方法であって、碍子型避雷器100の外表面にテラヘルツ波を放射する放射工程と、酸化亜鉛素子101から反射されるテラヘルツ波を受信する受信工程と、テラヘルツ波受信工程で受信されたテラヘルツ波の波形を検出する検出工程と、検出工程で検出された波形と、正常状態の波形とを比較して分析することによって、内部の吸湿状態を検査する検査工程とを備えている。本願発明者が鋭意研究した結果、碍子型避雷器100の内部に水分などの液体が侵入しているか否かを検出する際にテラヘルツ波を用いることを発見した。すなわち、碍子管102を比較的透過する一方、内部の酸化亜鉛素子101表面で比較的反射するとともに、水分などの液体に対して敏感である性質を有するテラヘルツ波を利用して、碍子型避雷器100の内部に侵入する水分などの液体を検出できることを見出した。そのため、放射工程により碍子型避雷器100の外表面にテラヘルツ波を放射すると、碍子管102を透過して、酸化亜鉛素子101の表面で反射する。検出工程により、反射されるテラヘルツ波の波形と、内部に液体を含んでいないときのテラヘルツ波の波形とを比較することによって、碍子型避雷器100の内部に液体が侵入しているか否かを検出することができる。すなわち、碍子型避雷器100の吸湿検出方法によれば、碍子型避雷器100の異常を診断できるだけでなく、碍子型避雷器100に異常をもたらす原因が内部への水分侵入であることを特定できる。
【0045】
上記碍子型避雷器の吸湿検出方法において好ましくは、放射工程では、0.1テラヘルツ以上0.7テラヘルツ以下のテラヘルツ波を放射することを特徴としている。この範囲のテラヘルツ波は、碍子管102をより透過する。そのため、碍子型避雷器100の内部の吸湿状態の検出精度を向上できる。
【0046】
本発明の実施の形態における碍子型避雷器100の吸湿劣化検出方法は、上記碍子型避雷器100の吸湿検出方法を実施する工程と、検査工程により検査された吸湿状態に基づいて碍子型避雷器100の劣化を判断する判断工程とを備えている。これにより、碍子型避雷器100の内部に液体が侵入しているか否かを確認できるので、碍子型避雷器100の吸湿劣化を検出することができる。
【0047】
本発明の実施の形態における碍子型避雷器100の吸湿検出装置10によれば、酸化亜鉛を主成分とし残部が不可避的不純物からなる酸化亜鉛素子101と、酸化亜鉛素子101を内部に収容するとともに碍子からなる碍子管102とを含む碍子型避雷器100の吸湿検出装置10であって、碍子型避雷器100の外表面にテラヘルツ波を放射する放射装置11と、酸化亜鉛素子101から反射されるテラヘルツ波を受信して、テラヘルツ波の波形を検出する検出装置12と、波形と正常状態の波形とを比較して分析する分析装置13とを備えている。放射装置11により碍子型避雷器100の外部からテラヘルツ波を放射すると、テラヘルツ波の性質上、碍子管102を透過して酸化亜鉛素子101の表面で反射する。検出装置12および分析装置13により、反射されるテラヘルツ波の波形と、内部に液体を含んでいないときのテラヘルツ波の波形とを比較することによって、碍子型避雷器100の内部に液体が侵入しているか否かを検出することができる。
【0048】
上記碍子型避雷器100の吸湿検出装置10において好ましくは、放射装置11は、0.1テラヘルツ以上0.7テラヘルツ以下のテラヘルツ波を放射することを特徴としている。この範囲のテラヘルツ波は、碍子管102をより透過する。そのため、碍子型避雷器100の内部の吸湿状態の検出精度を向上できる。
【0049】
[実施例1]
実施例1では、テラヘルツ波が碍子管を透過することについて確認した。具体的には、碍子管の2箇所について、1cm×1cm×2mmのサンプルを準備した。碍子管の表面側には、釉薬が塗布されていた。詳細には、試料Aが裏面側(釉薬なし)、試料Bは表面側(釉薬あり)、試料Cが裏面側(釉薬なし)、試料Dは表面側(釉薬あり)とした。
【0050】
そして、試料A〜Dについて、異なった周波数のテラヘルツ波を放射して、吸光係数を測定した。吸光係数の測定には、図2に示す装置を作製して、当該装置を用いて行なった。また、放射素子および検出素子は、図3に示すように、低温成長させたGaAs基板上に、ダイポール型アンテナを構成した素子を用いた。測定結果を図4に示す。なお、図2は、実施例1に用いた装置を示す概略図である。図3は、実施例1に用いた透過型の放射装置および検出装置を示す概略図である。図4は、種々の碍子管にテラヘルツ波を照射したときの吸光係数を示す図である。図4において、横軸は照射したテラヘルツ波の周波数(単位:THz)を示し、縦軸は吸光係数(単位:なし)を示す。
【0051】
図4に示すように、テラヘルツ波は、碍子管の釉薬の影響を受けずに、碍子管を透過することが確認できた。また、実施例1では、周波数が0.7THz以下のテラヘルツ波の碍子管への透過率が特に良いことが確認できた。
【0052】
[実施例2]
実施例2では、テラヘルツ波が酸化亜鉛素子を比較的反射するとともに、比較的透過しにくい性質であることについて確認した。
【0053】
そして、図2に示す装置を作製して、当該装置を用いて透過率の測定を行なった。また、図5に示す装置を作製して、当該装置を用いて反射率の測定を行なった。また、放射素子および検出素子は、図3に示すように、低温成長させたGaAs基板上に、ダイポール型アンテナを構成した素子を用いた。測定結果を図6に示す。なお、図5は、実施例2に用いた反射型の放射装置および検出装置を示す概略図である。また、図6は、酸化亜鉛素子にテラヘルツ波を照射したときの透過率および反射率を示す図である。図6において、横軸は照射したテラヘルツ波の周波数(単位:THz)を示し、縦軸は透過率および反射率(単位:なし)を示す。
【0054】
図6に示すように、テラヘルツ波は、酸化亜鉛素子をほとんど透過しないことが確認できた。また、テラヘルツ波の酸化亜鉛素子に対する反射率は高いことがわかった。実施例2では、周波数が0.7THz以下のテラヘルツ波の反射率は、0.45を超え、特に良いことが確認できた。
【0055】
[実施例3]
実施例3では、本発明の碍子型避雷器の吸湿検出方法により碍子型避雷器の吸湿状態を検出できることについて確認した。なお、図7は、実施例3で用いた測定装置を示す概略断面図である。図8は、実施例3で用いた碍子を示す上面図である。図9は、酸化亜鉛素子に結露径が1mmとなるように水を結露させたサンプルを測定装置にセットしたときの上面図である。図10は、酸化亜鉛素子に結露径が0.5mmとなるように水を結露させたサンプルを測定装置にセットしたときの上面図である。
【0056】
具体的には、図7に示す測定装置200により測定した。測定装置200は、20mm×20mm×1mmの第1のアクリル板201上に20mm×20mm×2mmのサンプルの酸化亜鉛素子101を配置し、その酸化亜鉛素子101の1組の対辺に厚さ1mmの第2のアクリル板202を配置し、第2のアクリル板202上に15mm×15mm×2mmの碍子203を配置した。なお、碍子203は、図8に示す碍子管を構成する碍子を用いた。測定装置200において、それぞれの部材は両面テープで接続した。
【0057】
また、サンプルの酸化亜鉛素子101は、図9に示すように酸化亜鉛素子の表面に霧吹きで結露径が1mmとなるように水を結露させたサンプルと、図10に示すように酸化亜鉛素子の表面に霧吹きで結露径が0.5mmとなるように水を結露させたサンプルと、酸化亜鉛素子の表面に水滴が存在しない正常状態のサンプルとをそれぞれ測定装置200に配置した。
【0058】
そして、それぞれのサンプルについて、テラヘルツ波を放射して、反射したテラヘルツ波を受信し、波形を検出し、検査をした。なお、放射装置および検出装置は、実施例1と同様のものを用いた。その結果を図11および図12に示す。図11は、照射した時間に対するテラヘルツ波の振幅を示す図である。図11において、横軸は時間(単位:ps)を示し、縦軸は振幅(単位:なし)を示す。図12は、図11における領域Rを拡大した図である。図12において、横軸は時間(単位:ps)を示し、縦軸は振幅(単位:なし)を示す。
【0059】
図11および図12に示すように、酸化亜鉛素子の表面側にのみ水滴が結露したサンプルは、正常状態の波形と比較して、表面において波形が変化していた。一方、水滴が結露していない酸化亜鉛素子の裏面側での波形は、正常状態の波形とほぼ同じであった。この結果から、テラヘルツ波を放射することによって、碍子型避雷器の内部に水滴などの液体が存在しているか否かを検出できることが確認できた。
【0060】
また、結露径が1mmのサンプルは、結露径が0.5mmのサンプルよりも正常状態の波形からのずれが大きかった。この結果から、碍子型避雷器の内部に存在する水滴などの液体の量を検出できることが確認できた。
【0061】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の碍子型避雷器の吸湿検出方法および碍子型避雷器の吸湿検出方法によれば、碍子型避雷器の内部の吸湿状態を検出できるので、発電所や変電所などに設置されている碍子型避雷器の吸湿劣化による事故を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態における碍子型避雷器の吸湿検出装置を示す概略断面図である。
【図2】実施例1に用いた装置を示す概略図である。
【図3】実施例1に用いた透過型の放射装置および検出装置を示す概略図である。
【図4】種々の碍子管にテラヘルツ波を照射したときの吸光係数を示す図である。
【図5】実施例2に用いた反射型の放射装置および検出装置を示す概略図である。
【図6】酸化亜鉛素子にテラヘルツ波を照射したときの透過率および反射率を示す図である。
【図7】実施例3で用いた測定装置を示す概略断面図である。
【図8】実施例3で用いた碍子を示す上面図である。
【図9】酸化亜鉛素子に結露径が1mmとなるように水を結露させたサンプルを測定装置にセットしたときの上面図である。
【図10】酸化亜鉛素子に結露径が0.5mmとなるように水を結露させたサンプルを測定装置にセットしたときの上面図である。
【図11】照射した時間に対するテラヘルツ波の振幅を示す図である。
【図12】図11における領域Rを拡大した図である。
【符号の説明】
【0064】
10 吸湿検出装置、11 放射装置、12 検出装置、13 分析装置、100 碍子型避雷器、101 酸化亜鉛素子、102 碍子管、103 蓋部、104 底部、105 空間、200 測定装置、201 第1のアクリル板、202 第2のアクリル板、203 碍子。
【技術分野】
【0001】
本発明は碍子型避雷器の吸湿検出方法、碍子型避雷器の吸湿劣化検出方法、および碍子型避雷器の吸湿検出装置に関し、たとえばテラヘルツ波を利用した碍子型避雷器の吸湿検出方法、碍子型避雷器の吸湿劣化検出方法、および碍子型避雷器の吸湿検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所や変電所などに設置される碍子型避雷器は、落雷による雷サージ、開閉器、遮断機などの入り切りによる開閉サージに起因して異常電圧が発生した際に、その周辺設備をサージから保護するものである。
【0003】
碍子型避雷器は、サージ電圧に対しては低抵抗で、通常の対地電圧に対しては高抵抗を示す非直線性の電流電圧特性を有する酸化亜鉛を主成分とする複数の酸化亜鉛素子を積層し、その積層した酸化亜鉛素子の外周面に弾性を有するポリマー等の絶縁外被体を被着した構造を有する。
【0004】
このような碍子型避雷器の劣化を判断する方法として、従来、運転中の碍子型避雷器の漏れ電流を測定し、その波形から劣化(異常)の有無を推定する方法がある。漏れ電流の測定により劣化を判断する方法としては、たとえば特開昭63−228082号公報(特許文献1)には、避雷器の漏れ電流の抵抗成分を抽出して、正常時の値を比較することにより劣化を診断している酸化亜鉛形避雷器の劣化診断方法が開示されている。
【0005】
また、水分を測定する方法としては、たとえばマイクロ波を用いた物質の水分測定がある。このような方法として、たとえば特開2001−124707号公報(特許文献2)に開示の木材の水分測定方法が開示されている。
【特許文献1】特開昭63−228082号公報
【特許文献2】特開2001−124707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許部文献1に開示の酸化亜鉛形避雷器の劣化診断方法では、漏れ電流を観測することにより、避雷器の酸化亜鉛形素子に何らかの変化を生じていることは確認できるものの、その変化の原因を特定できない。また、上記特許文献2に開示の木材の水分測定方法では、水分の測定は可能であるが、碍子型避雷器のような金属を含む構造物には適用できない。
【0007】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、碍子型避雷器の内部に水分などの液体が侵入したか否かを検出できる碍子型避雷器の吸湿検出方法、碍子型避雷器の吸湿劣化検出方法、および碍子型避雷器の吸湿検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者が鋭意研究した結果、碍子型避雷器の内部に水分などの液体を検出する際にテラヘルツ波を用いることを発見した。すなわち、碍子管を比較的透過する一方、内部の酸化亜鉛素子表面で比較的反射するとともに、水分などの液体に対して敏感である性質を有するテラヘルツ波を利用して、碍子型避雷器の内分に侵入する水分などの液体を検出することを見出した。
【0009】
そこで、本発明の碍子型避雷器の吸湿検出方法は、酸化亜鉛を主成分とし残部が不可避的不純物からなる酸化亜鉛素子と、酸化亜鉛素子を内部に収容するとともに碍子からなる碍子管とを含む碍子型避雷器の吸湿検出方法であって、以下の工程を実施する。まず、碍子型避雷器の外表面にテラヘルツ波を放射する放射工程を実施する。そして、酸化亜鉛素子から反射されるテラヘルツ波を受信する受信工程を実施する。そして、テラヘルツ波受信工程で受信されたテラヘルツ波の波形を検出する検出工程を実施する。そして、波形と、正常状態の波形とを比較して分析することによって、内部の吸湿状態を検査する検査工程を実施する。
【0010】
また、本発明の碍子型避雷器の吸湿検出装置は、酸化亜鉛を主成分とし残部が不可避的不純物からなる酸化亜鉛素子と、酸化亜鉛素子を内部に収容するとともに碍子からなる碍子管とを含む碍子型避雷器の吸湿検出装置であって、放射装置と、検出装置と、分析装置とを備えている。放射装置は、碍子型避雷器の外表面にテラヘルツ波を放射する。検出装置は、酸化亜鉛素子から反射されるテラヘルツ波を受信して、テラヘルツ波の波形を検出する。分析装置は、波形と正常状態の波形とを比較して分析する。
【0011】
本発明の碍子型避雷器の吸湿検出方法および碍子型避雷器の吸湿検出装置によれば、碍子型避雷器の外部からテラヘルツ波を放射すると、碍子管を透過して、酸化亜鉛素子の表面で反射する。反射されるテラヘルツ波の波形と、内部に液体を含んでいない正常状態でのテラヘルツ波の波形とを比較することによって、碍子型避雷器の内部に液体が侵入しているか否かを検出することができる。
【0012】
上記碍子型避雷器の吸湿検出方法において好ましくは、放射工程では、0.1テラヘルツ以上0.7テラヘルツ以下のテラヘルツ波を放射することを特徴としている。
【0013】
上記碍子型避雷器の吸湿検出装置において好ましくは、放射装置は、0.1テラヘルツ以上0.7テラヘルツ以下のテラヘルツ波を放射することを特徴としている。
【0014】
この範囲のテラヘルツ波は、碍子管をより透過する。そのため、内部の吸湿状態の検出精度を向上できる。
【0015】
本発明の碍子型避雷器の吸湿劣化検出方法は、上記碍子型避雷器の吸湿検出方法を実施する工程と、検査工程により検査された吸湿状態に基づいて碍子型避雷器の劣化を判断する判断工程とを備えている。
【0016】
本発明の碍子型避雷器の吸湿劣化検出方法によれば、内部に液体が侵入しているか否かを確認できるので、碍子型避雷器の吸湿劣化を検出することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の碍子型避雷器の吸湿検出方法および碍子型避雷器の吸湿検出装置によれば、テラヘルツ波を利用することによって、碍子型避雷器の内部に水分などの液体が侵入したか否かを検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態における碍子型避雷器の吸湿検出装置を示す概略断面図である。図1を参照して、本発明の実施の形態における碍子型避雷器の吸湿検出装置を説明する。図1に示すように、実施の形態における碍子型避雷器100の吸湿検出装置10は、酸化亜鉛を主成分とし残部が不可避的不純物からなる酸化亜鉛素子101と、酸化亜鉛素子101を内部に収容するとともに碍子からなる碍子管102とを含む碍子型避雷器100の吸湿検出装置であって、放射装置11と、検出装置12と、分析装置13とを備えている。放射装置11は、碍子型避雷器100の外表面にテラヘルツ波を放射する。検出装置12は、酸化亜鉛素子101から反射されるテラヘルツ波を受信して、テラヘルツ波の波形を検出する。分析装置13は、波形と正常状態の波形とを比較して分析する。
【0020】
なお、本明細書において、テラヘルツ(THz)波とは、ミリ波(波長が10mm〜1mm、周波数が30GHz〜300GHzの電磁波)と遠赤外線(波長が4μm〜1000μm、周波数が3THz〜30THzの電磁波)との間にあり、周波数が0.1THz〜10THzの領域のものを意味する。また、テラヘルツ波は、碍子管102を透過し、酸化亜鉛素子101には反射するとともに、水分などの液体により敏感に波形を変化させる性質を有している。
【0021】
具体的には、放射装置11は、碍子型避雷器100の外表面にテラヘルツ波を放射できる装置であれば特に限定されないが、たとえばフェムト秒レーザからのフェムト秒パルス光をテラヘルツエミッタと呼ぶ放射素子に照射すると、テラヘルツ波が放射される。テラヘルツエミッタには、たとえば、低温成長GaAs基板上にストリップライン型やダイポール型光伝道アンテナを構成し、端子間に一定電圧を印加して用いる。
【0022】
また、放射装置11は、0.1テラヘルツ以上0.7テラヘルツ以下のテラヘルツ波を放射する装置であることが好ましい。この範囲の周波数のテラヘルツ波を放射する装置とすることによって、碍子管102の透過率がより高いテラヘルツ波を放射できる。
【0023】
検出装置12は、放射装置11から放射され、碍子管102を透過して、酸化亜鉛素子101から反射されるテラヘルツ波を受信する装置である。かつ、放射装置11は、受信したテラヘルツ波の波形(たとえば時間分解振幅波形)を検出する。検出装置12は、酸化亜鉛素子101から反射されるテラヘルツ波を受信して、テラヘルツ波の波形を検出できる装置であれば特に限定されないが、たとえばフェムト秒レーザからのフェムト秒パルス光を2つに分け、一方を放射素子に、もう一方を検出素子に照射する。検出素子には、たとえば、低温成長GaAs基板上にストリップライン型やダイポール型光伝道アンテナを構成し、端子間に一定電圧を印加して用いる。
【0024】
碍子型避雷器100の吸湿検出装置10は、検出装置12で検出された波形と正常状態の波形とを比較して分析する分析装置13をさらに備えていても良い。分析装置13は、検出装置12と兼用できる装置であっても良い。
【0025】
なお、正常波形とは、碍子型避雷器100の初期状態のときの碍子型避雷器100にテラヘルツ波を放射装置により放射して検出装置により検出された波形を意味する。
【0026】
分析装置13は、たとえば検出装置12により検出された波形と正常波形とを重ね合わせて、その波形の差がノイズよりも大きい場合に、碍子型避雷器100の内部が吸湿状態にあることを示す装置である。
【0027】
また、分析装置13で碍子型避雷器100の内部が吸湿状態であることが判明したときに、警報を発する制御装置をさらに備えていることが好ましい。
【0028】
なお、吸湿状態とは、後述する碍子型避雷器100の内部において酸化亜鉛素子101と碍子管102との間の空間105に水などの液体が含有されている状態を意味する。
【0029】
碍子型避雷器100は、酸化亜鉛素子101と、碍子管102とを含んでいる。また、碍子型避雷器100は、磁器碍子型避雷器やポリマー型避雷器など一般公知のものであり、酸化亜鉛素子101および碍子管102の他に、蓋部103や底部104などの公知の部材を備えていても良い。また、碍子型避雷器100は、金属材料からなる部材を含む構造物である。
【0030】
酸化亜鉛素子101は、酸化亜鉛を主成分とし残部が不可避的不純物からなる。具体的には、酸化亜鉛素子101は、酸化亜鉛の多結晶体の粉末を焼結させてなり、ほぼ100%の酸化亜鉛からなる。
【0031】
碍子管102は、酸化亜鉛素子101と、酸化亜鉛素子101を内部に収容し、碍子からなる。碍子とは、電柱やキュービクル(配電ボックス)などに取り付けられる電機絶縁用の陶磁器からなるものを意味する。
【0032】
碍子型避雷器100は、酸化亜鉛素子101と碍子管102との間に空間105が設けられている。空間105には、たとえば乾燥空気、窒素、または不活性ガスが充填されている。すなわち、正常状態の碍子型避雷器100の内部は、乾燥状態を保持している。
【0033】
次に、図1を参照して、本発明の実施の形態における碍子型避雷器100の吸湿検出方法について説明する。碍子型避雷器100の吸湿検出方法は、酸化亜鉛を主成分とし残部が不可避的不純物からなる酸化亜鉛素子101と、酸化亜鉛素子101を内部に収容するとともに碍子からなる碍子管102とを含む碍子型避雷器100の吸湿検出方法である。碍子型避雷器100の吸湿検出方法は、上述した碍子型避雷器100の吸湿検出装置10を用いて行なう。
【0034】
まず、碍子型避雷器100の外表面にテラヘルツ波を放射する放射工程を実施する。放射工程では、たとえば碍子型避雷器100の外部から外表面に向けてテラヘルツ波パルスを放射する。
【0035】
放射工程では、0.1テラヘルツ以上0.7テラヘルツ以下のテラヘルツ波を放射することが好ましい。この範囲のテラヘルツ波を放射することによって、碍子管102の透過率の高いテラヘルツ波を放射できる。
【0036】
放射工程により放射装置11から放射されたテラヘルツ波は、図1に示す矢印のように、碍子管102を透過して、酸化亜鉛素子101の表面で反射して、碍子管102を透過して碍子型避雷器100の外部の検出装置12に到達する。
【0037】
次に、酸化亜鉛素子101から反射されるテラヘルツ波を受信する受信工程を実施する。受信工程では、たとえば碍子型避雷器100の外部に配置された検出装置12でテラヘルツ波パルスを受信する。
【0038】
次に、受信工程で受信されたテラヘルツ波の波形を検出する検出工程を実施する。検出工程では、時間ごとに受信したテラヘルツ波の波形を検出して、時間に対する振幅(時間分解振幅波形)などの波形を検出することができる。
【0039】
次に、検出工程で検出された波形と、正常状態の波形とを比較して分析することによって、内部の吸湿状態を検査する検査工程を実施する。検査工程では、たとえば、予め、内部に液体が含まれていない状態(正常状態)の碍子型避雷器100について、上述のように放射工程、受信工程、および検出工程を実施して、正常状態でのテラヘルツ波の波形を測定する。正常状態でのテラヘルツ波の波形は、正常状態で複数回測定したときの平均の波形とする。そして、正常状態の碍子型避雷器100のテラヘルツ波の波形を測定したときの放射工程、受信工程、および検出工程と同様の条件にして検出されたテラヘルツ波の波形と比較する。比較する方法は任意の方法を採用できるが、たとえば正常状態の波形と測定された波形とを重ね合わせることにより、容易に分析できる。
【0040】
検査工程では、たとえば正常状態の波形と、測定されたテラヘルツ波の波形とを比較して、振幅などの波形(時間分解振幅波形)の差が生じている場合には、碍子型避雷器100の内部に水分などの液体が侵入していることが判明する。これにより、碍子型避雷器100の内部が吸湿しているか否かの吸湿状態を検出することができる。
【0041】
また、実施の形態における検査工程では、碍子型避雷器100の内部の吸湿が大きいほど、正常状態の波形と測定されたテラヘルツ波の波形との振幅の差が大きい。また、時間分解振幅波形から、液体が存在する部位を推定できる。そのため、碍子型避雷器100の内部が吸湿しているか否かのみならず、液体が存在する量や場所などの吸湿状態を検出することもできる。
【0042】
次に、図1を参照して、実施の形態における碍子型避雷器100の吸湿劣化検出方法について説明する。碍子型避雷器100の吸湿劣化検出方法は、上述した碍子型避雷器の吸湿検出方法を実施する工程を実施した後に、検査工程により検査された吸湿状態に基づいて碍子型避雷器の劣化を判断する判断工程を実施する。
【0043】
判断工程では、たとえば、検査工程で検出された碍子型避雷器100の内部が吸湿していたときに、碍子型避雷器100の劣化があったと判断する。なお、判断工程は、適切な任意の吸湿状態に基づいて碍子型避雷器100の劣化があったと判断して良い。
【0044】
以上説明したように、実施の形態における碍子型避雷器100の吸湿検出方法によれば、酸化亜鉛を主成分とし残部が不可避的不純物からなる酸化亜鉛素子101と、酸化亜鉛素子101を内部に収容するとともに碍子からなる碍子管102とを含む碍子型避雷器100の吸湿検出方法であって、碍子型避雷器100の外表面にテラヘルツ波を放射する放射工程と、酸化亜鉛素子101から反射されるテラヘルツ波を受信する受信工程と、テラヘルツ波受信工程で受信されたテラヘルツ波の波形を検出する検出工程と、検出工程で検出された波形と、正常状態の波形とを比較して分析することによって、内部の吸湿状態を検査する検査工程とを備えている。本願発明者が鋭意研究した結果、碍子型避雷器100の内部に水分などの液体が侵入しているか否かを検出する際にテラヘルツ波を用いることを発見した。すなわち、碍子管102を比較的透過する一方、内部の酸化亜鉛素子101表面で比較的反射するとともに、水分などの液体に対して敏感である性質を有するテラヘルツ波を利用して、碍子型避雷器100の内部に侵入する水分などの液体を検出できることを見出した。そのため、放射工程により碍子型避雷器100の外表面にテラヘルツ波を放射すると、碍子管102を透過して、酸化亜鉛素子101の表面で反射する。検出工程により、反射されるテラヘルツ波の波形と、内部に液体を含んでいないときのテラヘルツ波の波形とを比較することによって、碍子型避雷器100の内部に液体が侵入しているか否かを検出することができる。すなわち、碍子型避雷器100の吸湿検出方法によれば、碍子型避雷器100の異常を診断できるだけでなく、碍子型避雷器100に異常をもたらす原因が内部への水分侵入であることを特定できる。
【0045】
上記碍子型避雷器の吸湿検出方法において好ましくは、放射工程では、0.1テラヘルツ以上0.7テラヘルツ以下のテラヘルツ波を放射することを特徴としている。この範囲のテラヘルツ波は、碍子管102をより透過する。そのため、碍子型避雷器100の内部の吸湿状態の検出精度を向上できる。
【0046】
本発明の実施の形態における碍子型避雷器100の吸湿劣化検出方法は、上記碍子型避雷器100の吸湿検出方法を実施する工程と、検査工程により検査された吸湿状態に基づいて碍子型避雷器100の劣化を判断する判断工程とを備えている。これにより、碍子型避雷器100の内部に液体が侵入しているか否かを確認できるので、碍子型避雷器100の吸湿劣化を検出することができる。
【0047】
本発明の実施の形態における碍子型避雷器100の吸湿検出装置10によれば、酸化亜鉛を主成分とし残部が不可避的不純物からなる酸化亜鉛素子101と、酸化亜鉛素子101を内部に収容するとともに碍子からなる碍子管102とを含む碍子型避雷器100の吸湿検出装置10であって、碍子型避雷器100の外表面にテラヘルツ波を放射する放射装置11と、酸化亜鉛素子101から反射されるテラヘルツ波を受信して、テラヘルツ波の波形を検出する検出装置12と、波形と正常状態の波形とを比較して分析する分析装置13とを備えている。放射装置11により碍子型避雷器100の外部からテラヘルツ波を放射すると、テラヘルツ波の性質上、碍子管102を透過して酸化亜鉛素子101の表面で反射する。検出装置12および分析装置13により、反射されるテラヘルツ波の波形と、内部に液体を含んでいないときのテラヘルツ波の波形とを比較することによって、碍子型避雷器100の内部に液体が侵入しているか否かを検出することができる。
【0048】
上記碍子型避雷器100の吸湿検出装置10において好ましくは、放射装置11は、0.1テラヘルツ以上0.7テラヘルツ以下のテラヘルツ波を放射することを特徴としている。この範囲のテラヘルツ波は、碍子管102をより透過する。そのため、碍子型避雷器100の内部の吸湿状態の検出精度を向上できる。
【0049】
[実施例1]
実施例1では、テラヘルツ波が碍子管を透過することについて確認した。具体的には、碍子管の2箇所について、1cm×1cm×2mmのサンプルを準備した。碍子管の表面側には、釉薬が塗布されていた。詳細には、試料Aが裏面側(釉薬なし)、試料Bは表面側(釉薬あり)、試料Cが裏面側(釉薬なし)、試料Dは表面側(釉薬あり)とした。
【0050】
そして、試料A〜Dについて、異なった周波数のテラヘルツ波を放射して、吸光係数を測定した。吸光係数の測定には、図2に示す装置を作製して、当該装置を用いて行なった。また、放射素子および検出素子は、図3に示すように、低温成長させたGaAs基板上に、ダイポール型アンテナを構成した素子を用いた。測定結果を図4に示す。なお、図2は、実施例1に用いた装置を示す概略図である。図3は、実施例1に用いた透過型の放射装置および検出装置を示す概略図である。図4は、種々の碍子管にテラヘルツ波を照射したときの吸光係数を示す図である。図4において、横軸は照射したテラヘルツ波の周波数(単位:THz)を示し、縦軸は吸光係数(単位:なし)を示す。
【0051】
図4に示すように、テラヘルツ波は、碍子管の釉薬の影響を受けずに、碍子管を透過することが確認できた。また、実施例1では、周波数が0.7THz以下のテラヘルツ波の碍子管への透過率が特に良いことが確認できた。
【0052】
[実施例2]
実施例2では、テラヘルツ波が酸化亜鉛素子を比較的反射するとともに、比較的透過しにくい性質であることについて確認した。
【0053】
そして、図2に示す装置を作製して、当該装置を用いて透過率の測定を行なった。また、図5に示す装置を作製して、当該装置を用いて反射率の測定を行なった。また、放射素子および検出素子は、図3に示すように、低温成長させたGaAs基板上に、ダイポール型アンテナを構成した素子を用いた。測定結果を図6に示す。なお、図5は、実施例2に用いた反射型の放射装置および検出装置を示す概略図である。また、図6は、酸化亜鉛素子にテラヘルツ波を照射したときの透過率および反射率を示す図である。図6において、横軸は照射したテラヘルツ波の周波数(単位:THz)を示し、縦軸は透過率および反射率(単位:なし)を示す。
【0054】
図6に示すように、テラヘルツ波は、酸化亜鉛素子をほとんど透過しないことが確認できた。また、テラヘルツ波の酸化亜鉛素子に対する反射率は高いことがわかった。実施例2では、周波数が0.7THz以下のテラヘルツ波の反射率は、0.45を超え、特に良いことが確認できた。
【0055】
[実施例3]
実施例3では、本発明の碍子型避雷器の吸湿検出方法により碍子型避雷器の吸湿状態を検出できることについて確認した。なお、図7は、実施例3で用いた測定装置を示す概略断面図である。図8は、実施例3で用いた碍子を示す上面図である。図9は、酸化亜鉛素子に結露径が1mmとなるように水を結露させたサンプルを測定装置にセットしたときの上面図である。図10は、酸化亜鉛素子に結露径が0.5mmとなるように水を結露させたサンプルを測定装置にセットしたときの上面図である。
【0056】
具体的には、図7に示す測定装置200により測定した。測定装置200は、20mm×20mm×1mmの第1のアクリル板201上に20mm×20mm×2mmのサンプルの酸化亜鉛素子101を配置し、その酸化亜鉛素子101の1組の対辺に厚さ1mmの第2のアクリル板202を配置し、第2のアクリル板202上に15mm×15mm×2mmの碍子203を配置した。なお、碍子203は、図8に示す碍子管を構成する碍子を用いた。測定装置200において、それぞれの部材は両面テープで接続した。
【0057】
また、サンプルの酸化亜鉛素子101は、図9に示すように酸化亜鉛素子の表面に霧吹きで結露径が1mmとなるように水を結露させたサンプルと、図10に示すように酸化亜鉛素子の表面に霧吹きで結露径が0.5mmとなるように水を結露させたサンプルと、酸化亜鉛素子の表面に水滴が存在しない正常状態のサンプルとをそれぞれ測定装置200に配置した。
【0058】
そして、それぞれのサンプルについて、テラヘルツ波を放射して、反射したテラヘルツ波を受信し、波形を検出し、検査をした。なお、放射装置および検出装置は、実施例1と同様のものを用いた。その結果を図11および図12に示す。図11は、照射した時間に対するテラヘルツ波の振幅を示す図である。図11において、横軸は時間(単位:ps)を示し、縦軸は振幅(単位:なし)を示す。図12は、図11における領域Rを拡大した図である。図12において、横軸は時間(単位:ps)を示し、縦軸は振幅(単位:なし)を示す。
【0059】
図11および図12に示すように、酸化亜鉛素子の表面側にのみ水滴が結露したサンプルは、正常状態の波形と比較して、表面において波形が変化していた。一方、水滴が結露していない酸化亜鉛素子の裏面側での波形は、正常状態の波形とほぼ同じであった。この結果から、テラヘルツ波を放射することによって、碍子型避雷器の内部に水滴などの液体が存在しているか否かを検出できることが確認できた。
【0060】
また、結露径が1mmのサンプルは、結露径が0.5mmのサンプルよりも正常状態の波形からのずれが大きかった。この結果から、碍子型避雷器の内部に存在する水滴などの液体の量を検出できることが確認できた。
【0061】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の碍子型避雷器の吸湿検出方法および碍子型避雷器の吸湿検出方法によれば、碍子型避雷器の内部の吸湿状態を検出できるので、発電所や変電所などに設置されている碍子型避雷器の吸湿劣化による事故を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態における碍子型避雷器の吸湿検出装置を示す概略断面図である。
【図2】実施例1に用いた装置を示す概略図である。
【図3】実施例1に用いた透過型の放射装置および検出装置を示す概略図である。
【図4】種々の碍子管にテラヘルツ波を照射したときの吸光係数を示す図である。
【図5】実施例2に用いた反射型の放射装置および検出装置を示す概略図である。
【図6】酸化亜鉛素子にテラヘルツ波を照射したときの透過率および反射率を示す図である。
【図7】実施例3で用いた測定装置を示す概略断面図である。
【図8】実施例3で用いた碍子を示す上面図である。
【図9】酸化亜鉛素子に結露径が1mmとなるように水を結露させたサンプルを測定装置にセットしたときの上面図である。
【図10】酸化亜鉛素子に結露径が0.5mmとなるように水を結露させたサンプルを測定装置にセットしたときの上面図である。
【図11】照射した時間に対するテラヘルツ波の振幅を示す図である。
【図12】図11における領域Rを拡大した図である。
【符号の説明】
【0064】
10 吸湿検出装置、11 放射装置、12 検出装置、13 分析装置、100 碍子型避雷器、101 酸化亜鉛素子、102 碍子管、103 蓋部、104 底部、105 空間、200 測定装置、201 第1のアクリル板、202 第2のアクリル板、203 碍子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化亜鉛を主成分とし残部が不可避的不純物からなる酸化亜鉛素子と、前記酸化亜鉛素子を内部に収容するとともに碍子からなる碍子管とを含む碍子型避雷器の吸湿検出方法であって、
前記碍子型避雷器の外表面にテラヘルツ波を放射する放射工程と、
前記酸化亜鉛素子から反射される前記テラヘルツ波を受信する受信工程と、
前記受信工程で受信された前記テラヘルツ波の波形を検出する検出工程と、
前記波形と、正常状態の波形とを比較して分析することによって、内部の吸湿状態を検査する検査工程とを備える、碍子型避雷器の吸湿検出方法。
【請求項2】
前記放射工程では、0.1テラヘルツ以上0.7テラヘルツ以下の前記テラヘルツ波を放射することを特徴とする、請求項1に記載の碍子型避雷器の吸湿検出方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の碍子型避雷器の吸湿検出方法を実施する工程と、
前記検査工程により検査された前記吸湿状態に基づいて前記碍子型避雷器の劣化を判断する判断工程とを備える、碍子型避雷器の吸湿劣化検出方法。
【請求項4】
酸化亜鉛を主成分とし残部が不可避的不純物からなる酸化亜鉛素子と、前記酸化亜鉛素子を内部に収容するとともに碍子からなる碍子管とを含む碍子型避雷器の吸湿検出装置であって、
前記碍子型避雷器の外表面にテラヘルツ波を放射する放射装置と、
前記酸化亜鉛素子から反射される前記テラヘルツ波を受信して、前記テラヘルツ波の波形を検出する検出装置と、
前記波形と正常状態の波形とを比較して分析する分析装置とを備える、碍子型避雷器の吸湿検出装置。
【請求項5】
前記放射装置は、0.1テラヘルツ以上0.7テラヘルツ以下の前記テラヘルツ波を放射することを特徴とする、請求項4に記載の碍子型避雷器の吸湿検出装置。
【請求項1】
酸化亜鉛を主成分とし残部が不可避的不純物からなる酸化亜鉛素子と、前記酸化亜鉛素子を内部に収容するとともに碍子からなる碍子管とを含む碍子型避雷器の吸湿検出方法であって、
前記碍子型避雷器の外表面にテラヘルツ波を放射する放射工程と、
前記酸化亜鉛素子から反射される前記テラヘルツ波を受信する受信工程と、
前記受信工程で受信された前記テラヘルツ波の波形を検出する検出工程と、
前記波形と、正常状態の波形とを比較して分析することによって、内部の吸湿状態を検査する検査工程とを備える、碍子型避雷器の吸湿検出方法。
【請求項2】
前記放射工程では、0.1テラヘルツ以上0.7テラヘルツ以下の前記テラヘルツ波を放射することを特徴とする、請求項1に記載の碍子型避雷器の吸湿検出方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の碍子型避雷器の吸湿検出方法を実施する工程と、
前記検査工程により検査された前記吸湿状態に基づいて前記碍子型避雷器の劣化を判断する判断工程とを備える、碍子型避雷器の吸湿劣化検出方法。
【請求項4】
酸化亜鉛を主成分とし残部が不可避的不純物からなる酸化亜鉛素子と、前記酸化亜鉛素子を内部に収容するとともに碍子からなる碍子管とを含む碍子型避雷器の吸湿検出装置であって、
前記碍子型避雷器の外表面にテラヘルツ波を放射する放射装置と、
前記酸化亜鉛素子から反射される前記テラヘルツ波を受信して、前記テラヘルツ波の波形を検出する検出装置と、
前記波形と正常状態の波形とを比較して分析する分析装置とを備える、碍子型避雷器の吸湿検出装置。
【請求項5】
前記放射装置は、0.1テラヘルツ以上0.7テラヘルツ以下の前記テラヘルツ波を放射することを特徴とする、請求項4に記載の碍子型避雷器の吸湿検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11】
【図12】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11】
【図12】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2008−249525(P2008−249525A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−92024(P2007−92024)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】
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