説明

移動体の探索システム

【課題】 システム利用時における利用者の負担を軽減すると共に、付帯情報の管理も行うことができる迷子探索システム等を提供する。
【解決手段】 迷子探索システムSは、固有のID情報が付与された無線タグ10、検出ゲート21に取り付けられたリーダライタ20、該リーダライタ20とデータ通信可能に接続されたサーバ装置30、このサーバ装置30から位置情報の配信を受ける情報端末機としての情報提供端末機40及び携帯電話機50を備える。サーバ装置30は、子供等に保持される無線タグ10のID情報と、その保護者に対して割り当てられる一意の管理符号とを関連付けた管理情報を保有し、リーダライタ20の設置位置情報と、各リーダライタ20が検出した無線タグのID情報から子供等の位置情報を生成し、該位置情報を、情報提供端末機40又は携帯電話機50へ配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定領域内における各種移動体の位置情報を探索するシステムに関し、特に大規模ショッピングモールやテーマパーク等において迷子になった子供等を探索する場合に有用な移動体の探索システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
大規模ショッピングモールやテーマパーク等においては、構内が広く混雑も発生することから子供等の迷子が発生することが多々ある。このような場所で迷子等を探索するシステムとして、例えば特許文献1に開示されているように、無線タグ(ICタグ)を用いた探索システムが提案されている。このシステムは、先ず保護者が保有する携帯電話から所定のリーダライタに対してアクセスし、該リーダライタで前記携帯電話の電話番号を読み出し、この電話番号を子供等に保持させる無線タグに記録する登録処理を行う。そして、この無線タグに記録されている電話番号を所定の探索領域内の各所に配置されているリーダライタで読み出すことで、前記電話番号に関連づけられた子供等の位置情報を取得すると共に、読み出された電話番号の携帯電話へ前記位置情報等を発信するというものである。
【特許文献1】特開2004−48357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の探索システムでは、システム利用時に保護者自身がリーダライタに接続し、子供等に保持させる無線タグに電話番号を記録するという負担を課すことになる。また、管理情報が電話番号に限られることになるが、実際の運用においては保護者等に無線タグを貸し出す際の付帯情報の管理(貸し出し情報の管理)を別途行う必要が生じる。
【0004】
従って本発明は、システム利用時における利用者の負担を軽減すると共に、付帯情報の管理も行うことができる移動体の探索システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1にかかる移動体の探索システムは、所定の探索領域内において移動する移動体の位置情報を探索する移動体の探索システムであって、移動体に保持され、固有のID情報が付与された無線タグと、前記所定の探索領域内の各所に設置され、前記無線タグと無線通信を行うことで少なくとも前記固有のID情報を検出する複数のリーダライタと、所定の管理情報を保有すると共に、前記複数のリーダライタがそれぞれ検出する無線タグのID情報を取得するサーバ装置と、前記サーバ装置から移動体の位置情報の配信を受ける所定の情報端末機とを備え、前記サーバ装置は、特定の移動体に保持される無線タグのID情報と、特定の利用者に対して割り当てられる一意の管理符号とを関連付けた管理情報を保有すると共に、前記複数のリーダライタの設置位置情報と、各リーダライタが検出した無線タグのID情報とから特定の移動体の位置情報を生成し、該位置情報を、前記ID情報と関連付けられた管理符号が取得されている特定の情報端末機へ配信可能とされていることを特徴とする。
【0006】
この探索システムによれば、無線タグには電話番号とは無縁な固有のID情報が記録され、サーバ装置によりこの無線タグのID情報と、特定の利用者に対して割り当てられる一意の管理符号(例えば電話番号等)とを関連付けた管理情報が保有される。従って、システム利用時に管理者サイドでの利用登録が可能となり、また無線タグの貸し出し情報等の付帯情報も、前記電話番号等に関連付けてサーバ装置で一元的に管理できるようになる。そして、特定の情報端末機から前記管理符号に関連付けた検索情報が与えられた場合に、その情報端末機へ特定の移動体の位置情報が配信され、これにより利用者は移動体の位置情報を速やかに取得できるようになる。
【0007】
上記構成において、前記特定の移動体の位置情報が、前記所定の探索領域内における移動体の行動履歴情報として配信されるよう構成することができる(請求項2)。この構成によれば、所定の探索領域内において移動体がどのような移動ルートを辿っているかを直ちに把握できるようになる。
【0008】
また、前記サーバ装置は、前記所定の探索領域内の地図情報と前記特定の移動体の位置情報とを関連付けた画像情報を生成する画像情報生成部を具備することが望ましい(請求項3)。この構成によれば、移動体が所定の探索領域内のどのポイントに位置しているかを、地図を用いた画像情報として利用者に提供することが可能となる。
【0009】
上記請求項1〜3のいずれかにおいて、前記情報端末機が、前記所定の探索領域内に固定的に配置され、所定の画像表示部を具備する情報提供端末機である構成とすることができる(請求項4)。この構成によれば、利用者は情報提供端末機からサーバ装置にアクセスすることによって、移動体の移動情報を画像情報として取得できるようになる。
【0010】
また、上記請求項1〜3のいずれかにおいて、前記情報端末機が、前記利用者に保有されている携帯電話機であって、前記一意の管理符号が前記携帯電話機の電話番号である構成とすることができる(請求項5)。この構成によれば、利用者は情報提供端末機等が設置されている場所まで移動することなく、自身が保有する携帯電話機により、その電話番号を管理符号としてサーバ装置にアクセスすることによって、移動体の移動情報を取得できるようになる。
【0011】
上記請求項1〜5のいずれかの探索システムにおいて、前記所定の探索領域内に探索対象となる移動体が通過可能な検出ゲートを配置し、該検出ゲートに前記リーダライタを付設することが望ましい(請求項6)。この構成によれば、所定の探索領域内において移動体(人)が移動する場合に必ず通過するような箇所に検出ゲートを設置することで、確実に移動体を検出できるようになる。
【0012】
また、上記請求項1〜6のいずれかに記載の移動体の探索システムにおいて、前記特定の情報端末機が保護者により保持され、前記固有のID情報が付与された無線タグを保持する移動体が被保護者であって、迷子探索システムとして機能することは(請求項7)、本発明の最も好ましい適用例の一つである。
【0013】
この場合、前記無線タグが粘着性を有するシートに保持され、該シートが被保護者の体に被着されることで無線タグが被保護者に保持されることが望ましい(請求項8)。この構成によれば、子供の背中等に無線タグをゼッケンのような態様で貼付でき、無線タグが不用意に取り外されたり紛失したりすることを防止できるようになる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1にかかる移動体の探索システムによれば、各リーダライタが検出した無線タグのID情報から特定の移動体の位置情報が求められ、特定の情報端末機に対してその位置情報が配信されることから、利用者は自らが探索対象とする移動体の位置を的確に把握することができる。また、システム利用時に管理者サイドでの利用登録が可能となり、システムの利用開始時における利用者の負担を軽減できる。さらに、無線タグの貸し出し情報等の付帯情報も、前記電話番号等に関連付けてサーバ装置で一元的に管理できることから、管理負担を軽減できるようになる。
【0015】
請求項2にかかる移動体の探索システムによれば、所定の探索領域内において移動体がどのような移動ルートを辿っているかを直ちに把握できるので、移動体の今後の動きをある程度予測した上での探索が行えるようになる。
【0016】
請求項3にかかる移動体の探索システムによれば、移動体が所定の探索領域内のどのポイントに位置しているかを、地図を用いた画像情報として利用者に提供できるので、より探索し易い情報を利用者は取得可能となる。
【0017】
請求項4にかかる移動体の探索システムによれば、利用者は、所定の探索領域内に固定配置された情報提供端末機から、地図情報などを含む画像情報として移動体の位置情報を取得することができ、探索効率を上げることができる。
【0018】
請求項5にかかる移動体の探索システムによれば、利用者は、自身が保有する携帯電話機にて速やかに移動体の位置情報を取得することができる。
【0019】
請求項6にかかる移動体の探索システムによれば、リーダライタにて無線タグ情報をキャッチできる確率がアップするので、位置情報が取得出来ない状態(行方不明状態)の発生を回避できるようになる。
【0020】
請求項7にかかる移動体の探索システムによれば、大規模ショッピングモールやテーマパーク等において迷子になった子供等を、速やかに探索できる迷子探索システムを構築できるようになる。
【0021】
請求項8にかかる移動体の探索システムによれば、無線タグが不用意に取り外されたり紛失したりすることを防止できることから、位置情報が取得出来ない状態(行方不明状態)の発生を回避できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。
図1は、本発明にかかる移動体の探索システムの好適な適用例である迷子探索システムSの全体的な概略構成を示すブロック図である。この迷子探索システムSは、大規模ショッピングモールやテーマパーク内等(以下、単に「構内」という場合がある)において迷子になった子供等を、場内放送による探索や人海戦術による探索に依らず、速やかに探索して利用者に位置情報を提供することが可能なシステムに関するものである。このような迷子探索システムSにおいては、本発明でいう「移動体」が子供等(以下、被保護者という)であり、「利用者」がその子供等の保護者となる。
【0023】
当該迷子探索システムSは、固有のID情報が付与された無線タグ10、該無線タグ10と無線通信を行う複数のリーダライタ20、該リーダライタ20とデータ通信可能に接続されたサーバ装置30、このサーバ装置30から位置情報の配信を受ける情報端末機としての情報提供端末機40及び携帯電話機50、所定の管理情報をサーバ装置30へ登録する管理端末機60を備えて構成されている。
【0024】
無線タグ10(ICタグ)は、所定のICチップ等を備えており、前記リーダライタ20と無線によるデータ通信が可能であるものが用いられる。無線通信に用いられる周波数帯については特に限定はないが、比較的長距離(数m〜10m程度)の無線通信が可能な帯域を選定することが望ましく、例えばUHF帯、又は2.45GHz帯を使用する市販のICタグを用いることができる。なお、この無線タグ10としては、動作電源を必要としないパッシブ型の無線タグを用いることが望ましい。無線タグ10が備えるICチップには、固有のID情報が記憶され、このID情報に関する無線信号が無線タグ10から発生可能とされている。
【0025】
このような無線タグ10は、被保護者1人に付き1個ずつ、適宜な態様で保持される。図2は、前記無線タグ10を被保護者Hに保持させる態様の一例を示す図である。ここでは、図2(a)に示すように、被保護者Hの背中に無線タグ10を貼り付ける例を示している。この場合、図2(b)に示すように、無線タグ10を薄膜化し、これを弱粘着性の粘着剤層を備えたゼッケン状の粘着シート11の中央部に保持させ、前記粘着剤層の残部を利用して被保護者Hの背中に貼着する方法を採用することができる。このほか、無線タグ10が収納された紐付きカードホルダ等を被保護者Hの首部に掛けさせる方法、無線タグ10が組み込まれたブレスレット状の取り付け補助具を手首部に装着させる方法等であってもよい。
【0026】
リーダライタ20は、無線タグ10と無線通信を行い、無線タグ10から発信される無線情報を受信したり、或いは無線タグ10に無線情報を送信してデータの書き込みを行ったりするデータ通信装置である。ここでは、少なくとも無線タグ10から、各々の無線タグ10に与えられている固有のID情報を読み出し、これを読み出した時点の時刻情報に関連付けてサーバ装置30へ送信する。
【0027】
上記リーダライタ20は、探索領域となる構内において、検出単位となるメッシュ単位や、通過を確認したいポイント単位に設置される。本実施形態では、構内の要所に被保護者Hを含めて人が通過可能な検出ゲート21を設置し、該検出ゲート21にリーダライタ20を付設した例を示している。これらリーダライタ20は、ネットワーク回線Cによりサーバ装置30と通信可能に接続されている。
【0028】
図3は、検出ゲート21の設置状態の一例を示す斜視図である。検出ゲート21は、施設間を連絡するような往来の要所となる通路R(あるいは検出メッシュ単位の出入り口)を跨ぐように立設される。そして、このような検出ゲート21の頂部に、無線電波の送受信用アンテナ22を備えるリーダライタ20が取り付けられる。この送受信用アンテナ22は、無線タグ10に対して所定の読み出し情報や書き込み情報を含む無線電波を送信すると共に、無線タグ10から発生されるID情報を含む無線電波を受信するためのものである。
【0029】
かかる送受信用アンテナ22は、少なくとも通路Rの幅員をカバーするようその指向域が設定される。これにより、無線タグ10を保持する被保護者Hが検出ゲート21を通過した場合に、リーダライタ20は無線タグ10から固有のID情報を読み出すことができる。なお、それぞれ検出ゲート21毎にリーダライタ20を取り付けずに送受信用アンテナ22のみを配置し、複数の送受信用アンテナ22に対応するリーダライタ20を構内の所定の管理区画単位で配置するようにしてもよい。
【0030】
サーバ装置30は、被保護者Hに保持される無線タグ10のID情報と、前記被保護者Hの保護者(特定の利用者)に対して割り当てられる一意の管理符号とを関連付けた管理情報を保有すると共に、前記検出ゲート21に取り付けられている複数のリーダライタ20の設置位置情報と、各リーダライタ20(送受信用アンテナ22)が検出した無線タグ10のID情報から被保護者Hの位置情報を生成し、該位置情報を、前記ID情報と関連付けられた管理符号が取得されている特定の情報端末機(情報提供端末機40又は保護者が保有する携帯電話機50)へ配信する。このサーバ装置30の機能構成については後記で詳述する。
【0031】
情報提供端末機40は、ネットワーク回線Cによりサーバ装置30と通信可能に接続され、サーバ装置30から被保護者Hについての位置情報の配信を受ける端末機であって、前記位置情報を表示させるための所定の画像表示部及び操作キー等を備えている。この情報提供端末機40は、構内の適所に固定的に配置され、被保護者Hが迷子になった場合に保護者が前記操作キーから一意の管理符号(保護者が保有する携帯電話機50の電話番号)を入力してサーバ装置30へアクセスすることにより、被保護者Hについての位置情報の配信を受けるためのものである。
【0032】
携帯電話機50は、インターネット回線等を通してサーバ装置30と情報通信を行うもので、前記情報提供端末機40と同様に、サーバ装置30から被保護者Hについての位置情報の配信を受ける端末機である。この携帯電話機50の電話番号と、構内に入場する際に被保護者Hに保持される無線タグ10のID情報とが関連付けられてサーバ装置30に登録される。すなわち、当該携帯電話機50の電話番号が、その保護者に対して割り当てられる一意の管理符号として扱われ、この携帯電話機50からサーバ装置30へアクセスすることにより、被保護者Hに保持される無線タグ10のID情報に基づく位置情報の配信をサーバ装置30から受領する。なお、携帯電話機50は、構内のネットワークから見れば外部からのアクセス者となることから、携帯電話機50との交信部には所定のファイアーウォール501が設置される。
【0033】
管理端末機60は、構内の管理センター等に配置され、被保護者Hと保護者とが構内へ入場する際に、被保護者Hに保持される(貸し出される)無線タグ10のID情報と、保護者が保有する携帯電話機50の電話番号(一意の管理符号)とを関連付けてサーバ装置30へ登録するための端末機である。この登録は、例えばサーバ装置30から携帯電話機50へ位置情報配信用のURLアドレス及び前記無線タグ10のID情報を含んだ電子メールを発信し、これに対して携帯電話機50からサーバ装置30へ返信の電子メール(空メール)を発信するという操作で行わせることができる。このほか、無線タグ10の貸し出しに際しての付帯情報(氏名等)も、必要に応じて登録される。
【0034】
図4は、サーバ装置30の機能構成を示す機能ブロック図である。このサーバ装置30は、管理情報生成部31、管理情報データベース32、リーダライタ管理部33、ID検出情報受信部34、位置情報生成部35、位置情報管理データベース36、提供情報生成部37、外部通信部38及び認証部39を備えて構成されている。
【0035】
管理情報生成部31は、管理端末機60からの入力信号に応じて、被保護者Hに保持される無線タグ10のID情報と、保護者が保有する携帯電話機50の電話番号(一意の管理符号)とを関連付けた管理情報及びその付帯情報を生成する。管理情報データベース32は、管理情報生成部31で生成された前記管理情報を集約して管理するデータベースである。すなわち、管理情報データベース32は、当該迷子探索システムSのサービスを受けることを希望する各入場者について、それぞれに貸与される無線タグ10のID情報と、そのID情報に対する照会者となる者に割り当てられる一意の管理符号とを関連付けた管理情報を保管する。
【0036】
リーダライタ管理部33は、構内に設置されている各リーダライタ20の動作を管理する機能部であって、各リーダライタ20に無線タグ10のID情報を読み出させる制御信号を送信したり、各リーダライタ20により検出された無線タグ10のID情報を含む検出情報を所定のタイミングでサーバ装置30へ取り入れて集約したりする。ID検出情報受信部34は、リーダライタ管理部33に取得された検出情報から、無線タグ10のID情報を抽出する。
【0037】
位置情報生成部35は、前記ID情報及びその検出時刻に関する時刻情報と、リーダライタ20の構内における設置位置情報とに対応付けることで、特定の被保護者Hに保持されている無線タグ10のID情報が、構内のどの位置に配置されているリーダライタ20で検出されたかを特定する位置情報を、所定の時刻毎に生成する。この位置情報生成部35と前記管理情報データベース32とはリンクされており、前記位置情報に含まれるID情報と保護者が保有する携帯電話機50の電話番号(一意の管理符号)とが関連付けられた検出データが生成される。
【0038】
位置情報管理データベース36は、前記位置情報生成部35で生成された前記位置情報を集約して管理するデータベースである。図5は、位置情報管理データベース36で管理される位置情報350のデータ構成を模式的に示す図である。この位置情報350は、各々の無線タグ10が具備しているID情報であるID情報フィールド351と、時刻情報フィールド352と、イベント情報フィールド353と、場所情報フィールド354とを備えている。時刻情報フィールド352には、ID情報フィールド351に当てはめられているID情報について、何らかのイベントが発生した時刻(多くは、いずれかのリーダライタ20でそのID情報検出された時刻)が記録される。イベント情報フィールド353には、前記イベントの種別が記録される。場所情報フィールド354には、そのID情報が検出された検出ゲート21の場所が記録される。このような位置情報350が、無線タグ10のID情報種別毎に順次作成され、行動履歴情報として位置情報管理データベース36にて管理される。
【0039】
提供情報生成部37は、情報提供端末機40又は保護者が保有する携帯電話機50から一意の管理符号に対応付けられた被保護者Hにつき位置情報照会があった場合に、位置情報管理データベース36を検索してその被保護者Hに関する位置情報を作成し、かかる位置情報を情報提供端末機40又は携帯電話機50へ配信する。この提供情報生成部37は、位置情報検索部371、配信データ生成部372、画像情報生成部373及び地図情報記憶部374を備えている。
【0040】
位置情報検索部371は、保護者からの情報提供端末機40又は携帯電話機50からの位置情報の検索リクエストを受け付け、その保護者に割り当てられている管理符号を検索キーとして位置情報管理データベース36を検索し、被保護者Hに関する位置情報(行動履歴情報)を抽出する。
【0041】
配信データ生成部372は、位置情報検索部371により抽出された行動履歴情報を所定の配信フォーマットに変換し、情報提供端末機40又は携帯電話機50へ配信するための文字情報データを生成する。画像情報生成部373は、地図情報記憶部374に格納されている構内の地図情報と、前記行動履歴情報とを合成して、情報提供端末機40又は携帯電話機50へ配信するための所定の画像情報データを生成する。
【0042】
図6は、前記画像情報生成部373により生成された画像情報データの配信を受けた場合に、情報提供端末機40の画像表示部に表示される位置情報画像41の一例を示す平面図である。この位置情報画像41は、店舗などの区画を示すブロック符号(図中のG−1などの符合)を含む地図画像42に、被保護者Hに保持されている無線タグ10のID情報がリーダライタ20により検出された時刻を示す時刻標識キャラクタ43が重畳表示されてなる。すなわち、この時刻標識キャラクタ43は、「13:15」といった時刻情報を示すと共に、その検出ポイントを地図画像42上で指すキャラクタであって、保護者はこのような画像を確認することで迷子になった被保護者Hの行動履歴を簡単に把握することができ、その探索が容易に行えるようになる。
【0043】
図7は、前記配信データ生成部372により生成された文字情報データの配信を受けた場合に、携帯電話機50の表示部に表示される位置情報画像51の一例を示す平面図である。この位置情報画像51は、被保護者Hに保持されている無線タグ10のID情報がいずれかのリーダライタ20により検出された時刻情報52と、そのリーダライタ20の場所情報53とを含んでいる。携帯電話機50は表示画面が小さく、また地図情報を含む画像情報は一般にデータ量が大きくなることから、図7に示す位置情報画像51のように文字情報を主とした位置情報を配信することが望ましい。このような位置情報画像51よっても、保護者は被保護者Hの行動履歴を簡単に把握することができ、その探索が容易に行えるようになる。
【0044】
図4に戻って、外部通信部38は、インターネット等の通信ネットワークを介してサーバ装置30と外部の通信装置(携帯電話機50)と情報通信を行う機能部である。この外部通信部38は、所定のURLアドレスを備え、かかるURLアドレスに対して携帯電話機50が具備しているブラウザでブラウジングすることで情報通信が可能とされる。認証部39は、このような携帯電話機50のサーバ装置30に対するアクセスを監視し、管理情報データベース32を参照して、サーバ装置30に対する登録処理が済まされた携帯電話機50のアクセスのみを許容する。
【0045】
以上の通り構成された迷子探索システムSの動作について説明する。図8は、本実施形態にかかる迷子探索システムSにおけるサーバ装置30の処理動作を示すフローチャートである。
【0046】
まず、リーダライタ20からのデータ読み出し実行タイミングになると(ステップS1でYES)、リーダライタ管理部33により、各リーダライタ20に対してデータの読み出し信号が発生され、各リーダライタ20において読み出し実行タイミング間において取得されている検出データが受信される(ステップS2)。そして、受信した検出データに無線タグ10のID情報が含まれているかが確認され(ステップS3)、もしID情報が含まれていない場合は(ステップS3でNO)、ステップS6へスキップする。
【0047】
一方、ID情報が含まれている場合は(ステップS3でYES)、ID検出情報受信部34によりそのID情報が抽出され、位置情報生成部35により前記ID情報と、該ID情報を検出したリーダライタ20の構内における設置位置情報とに対応付けた位置情報が、時刻情報を伴って作成される(ステップS4)。そして、かかる位置情報が位置情報管理データベース36へ記録される(ステップS5)。このとき、管理情報データベース32が参照され、検出されたID情報に対応する携帯電話の電話番号が照合された態様で、位置情報が蓄積される。
【0048】
次に、情報提供端末機40又は携帯電話機50から被保護者Hの位置情報に関する検索リクエストがあるかが確認される(ステップS6)。特に、検索リクエストがなかった場合は(ステップS6でNO)、ステップS1に戻って位置情報を蓄積するルーチンが繰り返される。検索リクエストがあった場合(ステップS6でYES)、その検索リクエストが情報提供端末機40(内部のネットワーク)からのアクセスか、携帯電話機50(外部のネットワーク)からのアクセスかが確認される(ステップS7)。例えば、情報提供端末機40からのアクセスは、位置情報検索の開始キーの入力操作であり、携帯電話機50からのアクセスは、サーバ装置30(外部通信部38)に対するブラウジングである。そして、携帯電話機50からのアクセスであった場合、認証部39による認証処理が実行される(ステップS8)。
【0049】
続いて、位置情報検索部371に所定の検索データが取得され、位置情報管理データベース36に対する検索動作が実行される(ステップS9)。情報提供端末機40の場合、操作キーからその保護者に割り当てられている管理符号が入力されることになる。携帯電話機50の場合は、前記認証処理の際に取得される電話番号情報から自動的に検索が開始されるように構成することができる。このような検索動作により、位置情報管理データベース36から被保護者Hに関する位置情報(行動履歴情報)が抽出される。
【0050】
そして、リクエストに応じて、配信データ生成部372又は画像情報生成部373により検索でヒットした位置情報についての所定の配信データが生成され(ステップS10)、その配信データが情報提供端末機40又は携帯電話機50へ向けて配信されるものである(ステップS11)。以下、ステップS1に戻って処理が繰り返される。
【0051】
以上、本発明にかかる移動体の探索システムにつき、迷子探索システムSとして説明したが、これ以外の各種の探索用途に適用可能である。例えば、マラソン競技においてゲート通過チェックを自動化する用途や、広大な事業所等における従業員の所在確認用途などにも適用することができる。さらに、人以外の各種移動体の探索用途にも適用可能であり、例えば家畜の探索、荷役類の探索、自動車の探索などにも適用可能である。
【0052】
また、上記迷子探索システムSの各構成を適宜変形して実施することも可能である。例えば、上記実施形態ではリーダライタ20を検出ゲート21に付設し、無線タグ10から発信される無線情報を読み出す構成としたが、このような検出ゲート21に代えて、無線タグ10と無線通信が可能なアンテナポストを探索領域となる構内に複数本立設するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態にかかる迷子探索システムSの全体的な概略構成を示すブロック図である。
【図2】無線タグを被保護者に保持させる態様の一例を示す説明図である。
【図3】検出ゲートの設置状態の一例を示す斜視図である。
【図4】サーバ装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図5】位置情報管理データベースで管理される位置情報のデータ構成を模式的に示す説明図である。
【図6】情報提供端末機の画像表示部に表示される位置情報画像の一例を示す平面図である。
【図7】携帯電話機の表示部に表示される位置情報画像の一例を示す平面図である。
【図8】本実施形態にかかる迷子探索システムSにおけるサーバ装置の処理動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
10 無線タグ
20 リーダライタ
21 検出ゲート
30 サーバ装置
31 管理情報生成部
32 管理情報データベース
33 リーダライタ管理部
34 ID検出情報受信部
35 位置情報生成部
36 位置情報管理データベース
37 提供情報生成部
371 位置情報検索部
372 配信データ生成部
373 画像情報生成部
374 地図情報記憶部
38 外部通信部
39 認証部
40 情報提供端末機(情報端末機)
50 携帯電話機(情報端末機)
60 管理端末機
S 迷子探索システム
H 被保護者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の探索領域内において移動する移動体の位置情報を探索する移動体の探索システムであって、
移動体に保持され、固有のID情報が付与された無線タグと、
前記所定の探索領域内の各所に設置され、前記無線タグと無線通信を行うことで少なくとも前記固有のID情報を検出する複数のリーダライタと、
所定の管理情報を保有すると共に、前記複数のリーダライタがそれぞれ検出する無線タグのID情報を取得するサーバ装置と、
前記サーバ装置から移動体の位置情報の配信を受ける所定の情報端末機とを備え、
前記サーバ装置は、特定の移動体に保持される無線タグのID情報と、特定の利用者に対して割り当てられる一意の管理符号とを関連付けた管理情報を保有すると共に、
前記複数のリーダライタの設置位置情報と、各リーダライタが検出した無線タグのID情報とから特定の移動体の位置情報を生成し、該位置情報を、前記ID情報と関連付けられた管理符号が取得されている特定の情報端末機へ配信可能とされていることを特徴とする移動体の探索システム。
【請求項2】
前記特定の移動体の位置情報が、前記所定の探索領域内における移動体の行動履歴情報として配信されることを特徴とする請求項1記載の移動体の探索システム。
【請求項3】
前記サーバ装置は、前記所定の探索領域内の地図情報と前記特定の移動体の位置情報とを関連付けた画像情報を生成する画像情報生成部を具備することを特徴とする請求項1記載の移動体の探索システム。
【請求項4】
前記情報端末機が、前記所定の探索領域内に固定的に配置され、所定の画像表示部を具備する情報提供端末機であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の移動体の探索システム。
【請求項5】
前記情報端末機が、前記利用者に保有されている携帯電話機であって、前記一意の管理符号が前記携帯電話機の電話番号であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の移動体の探索システム。
【請求項6】
前記所定の探索領域内に探索対象となる移動体が通過可能な検出ゲートを配置し、該検出ゲートに前記リーダライタを付設したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の移動体の探索システム。
【請求項7】
前記特定の情報端末機が保護者により保持され、前記固有のID情報が付与された無線タグを保持する移動体が被保護者であって、迷子探索システムとして機能することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の移動体の探索システム。
【請求項8】
前記無線タグが粘着性を有するシートに保持され、該シートが被保護者の体に被着されることで無線タグが被保護者に保持されることを特徴とする請求項7記載の移動体の探索システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−349383(P2006−349383A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−172826(P2005−172826)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】