説明

移動体の無線伝送方法、無線伝送装置及び無線伝送システム

【課題】 無線回線を用いて移動体から信号を送信するシステムにおいて、ドップラーシフトを軽減させて伝送特性を改善するための無線伝送方法および無線伝送装置を提供する。
【解決手段】
本発明に係る無線伝送装置が含む送信装置は、送信データから変調信号を生成する変調部と、所定方向に指向性をもった複数のビームを形成するアンテナ部と、移動体の移動速度を検出する移動速度検出部と、複数のビームから送信される変調信号に移動速度とビーム方向に基づいて設定される周波数シフトを与える周波数シフト部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信の分野において、移動体が通信する際に生じるドップラーシフトを軽減させて、伝送特性を改善するための無線伝送装置およびこれを用いた無線伝送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動体通信において、静止した基地局と移動する端末間で通信する場合、周囲の建物などからの反射によりマルチパスが発生する。そして、走行車両の車載無線端末など、受信する無線端末が高速に移動する場合は、移動に伴って各々のパス(到来波)に発生するドップラーシフトが大きくなり、受信特性を劣化させる大きな要因となる。
図2は、走行する車載端末が受信する到来波のドップラーシフトを模式的に示した図である。走行車両201がアンテナ200で到来波を受信する様子を上から見たものである。ドップラーシフトfdは、(式1)で示されるように到来波の到来角度を進行方向に対してθとするとcosθに比例する。fdはθ=±90度で零、移動方向(θ=0度)で最大となり、最大ドップラー周波数Fdと呼ばれる。Fdは移動速度をv、搬送波の波長をλとすると、(式2)で表される。
【0003】
fd=Fd・cosθ (式1)
Fd=v/λ (式2)
このように、到来波に生じるドップラーシフトは、到来方向に応じてシフト量が異なるという特性がある。だだし、ここで示したドップラーシフトは、受信端末が移動することによって発生するもので、静止するとドップラーシフトは生じないとしている。
【0004】
ドップラーシフトは、非特許文献1に示される通信規格(IEEE802.11a)の無線LANや、非特許文献2に示される放送規格の地上波ディジタル放送(ISDB−T)などで用いられる直交周波数分割多重方式(以下、OFDM方式;Orthogonal Frequency Division Multiplexing方式)の場合においては、特に問題となる。OFDM方式において、ドップラーシフトのシフト量とその極性が異なって合成受信されると、サブキャリア間でキャリア間干渉が発生して受信特性が劣化するという問題がある。
【0005】
図3は、OFDM方式におけるキャリア間干渉を模式的に示した図である。
図3(a)は、到来波間にドップラーシフトが生じない場合のサブキャリアを示す模式図である。周波数軸上のサブキャリアが隣接キャリア間で互いに直交関係にあり、隣接キャリアの応答が零になるように配置される。これに対し、図3(b)は、到来波にドップラーシフトが生じて、2つの到来波間に周波数差がある場合のサブキャリアを示す。実線で示す到来波1に対して、点線で示す到来波2が到来波1に対して周波数差が生じている。このとき、例えば到来波1のサブキャリアAは、隣接キャリアであってデータが異なる到来波2のサブキャリアBから干渉を受ける。このような干渉が各キャリアで到来波間で相互に発生し、キャリア間干渉と呼ばれる。
【0006】
そして、基地局から車載移動局に向けて送信する路車間通信システムにおいて、特許文献1に示されるように、受信側でのドップラーシフトの極性を送信側の指向性アンテナで限定し、基地局側で各々のアンテナの送信信号に周波数シフトを与えて送信する方法がある。
図4は、特許文献1に記載された路車間通信システムの構成を示す概念図である。図4において、道路に沿って送受信局404が間隔を置いて設置され、路側のアンテナによりセルが形成されている。各送受信局は、それぞれ車載移動局405の走行方向に沿って前方向の指向性を有するアンテナ402と、後方向の指向性を有するアンテナ403とを有している。前方向の指向性を有するアンテナ402からは、正側にオフセットされた周波数の電波がセル内に放射され、後方向の指向性を有するアンテナ403からは、負側にオフセットされた周波数の電波がセル内に放射される。なお、アンテナから放射される電波の周波数は、オフセット分を除けば同一周波数となっている。送受信局404は、中央基地局401から光ファイバや同軸ケーブル等の有線伝送回線を介して送受信データを取得し、OFDM方式による変調を施して、無線電波としてセル内に送信するものである。
【0007】
図4に示す通信環境のように、通信相手として道路上を一方向に走行する車両を想定する限りにおいては、基地局(送信側)から見た車載移動局(受信側)の移動方向は一定方向となる。そして、上記特許文献1に記載された従来の送信方法は、移動局(受信側)の移動方向に応じて送信アンテナの指向性を限定し、車両の移動速度を予測し、移動予測値に基づいて基地局で予め送信信号に周波数シフトを与えて送信する。これにより、移動局でのドップラーシフトを軽減させて受信特性を改善する。
【0008】
また、OFDM方式で変調された信号を移動受信する方法に、従来、非特許文献3に示されるような、受信アンテナが所定方向に指向性をもった複数のビームを形成し、各到来方向に応じて到来波を分離して合成受信する方法がある。
図5は、非特許文献3に記載されるOFDM信号の受信方法を示す概念図である。図5において、移動体501に搭載された移動局は、アレーアンテナ500によって所定方向に指向性をもった複数のビームを形成する。このとき、移動に伴って生じるドップラーシフトは、進行方向に対して左右対称であるので、これに合わせてビームの指向性も、左右対称に同じ指向性パターンをもつビーム(1)(図中では数字を○で囲んで示しているが、明細書中では数字を()ではさんで示している。以下同じ。)からビーム(7)を形成する。ビーム(1)は前方向、ビーム(7)は後ろ方向、ビーム(2)からビーム(6)は左右対称に形成される。そして、これらの複数のビームを用いて、所定の方向ごとに到来波を分離し、最大比合成による復調を行う。
【0009】
図6は、非特許文献3に記載されるOFDM信号の復調処理を示すブロック図である。まず、アレーアンテナ500によって形成された複数のビームから得られる複数の受信信号(以下、これをビーム系統と呼ぶ。)を得る。次に、周波数オフセット補正部602により、各ビーム系統ごとに、方向に応じて異なるトップラーシフトを移動速度に基づいて補正する。補正後の受信データに対してDFT処理により周波数領域のサブキャリアデータを得る。そして、ビーム系統間でサブキャリアごとに最大比合成処理を行って受信データを得る。
【0010】
このように、上記非特許文献3に記載された従来の受信方法では、所定方向に指向性をもったビームを複数形成し、到来方向に応じて到来波を分離する。そして、移動速度に基づいて、分離した到来波のドップラーシフトを補正してから合成受信する。これにより、図3で述べたようなOFDM信号のキャリア間干渉を軽減させて受信特性を改善する。
【特許文献1】特許第33674764号
【非特許文献1】IEEE Std 802.11a−1999
【非特許文献2】ARIB STD−B31
【非特許文献3】Pubudu Sampath WIJESENA,“Beam−Spase Adptive Array Antenna for Suppressing the Doppler Spread in OFDM Mobile Reception”IEICE TRANS.COMMUN.,VOL.E87−B,NO.1JANUARY 2004,pages 20−28.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記2つの従来例は、送信局が静止している場合の通信環境で、移動体に搭載された無線端末(以下、移動局と呼ぶ)同士が通信する場合に適用すると、送信する移動局と受信する移動局との相対的な移動方向は通信する相手によって様々であるため、以下に述べるような問題が生じる。
図7は、移動局が送信する通信環境の模式図である。
【0012】
図7は、道路交差点付近を走行する車両が通信を行うことを想定し、移動局Aから移動局B、Cに送信する。このような通信環境では、通信相手との相対的な移動方向、移動速度が移動局B、Cでそれぞれ異なるため、移動局B、Cが受信する到来波のドップラーシフトもそれぞれ異なる。特に、相手局を特定せずに複数局に向けてブロードキャストで送信する場合は、相手局に関する移動方向、移動速度等を知ることはできない。
【0013】
図8は、移動局同士の相対関係を示す概念図である。図8(a)において、移動局Aと移動局Bがそれぞれ速度ベクトルVa、Vbで移動しており、移動局A、Bが正対する関係にある場合である。この場合、移動局Aから見た移動局Bの相対速度は、速度ベクトルVab=Vb−Vaで、移動局Bから見た移動局Aの相対速度は、速度ベクトルVba=Va−Vbで、相対速度を知るには通信相手局の移動速度を知る必要がある。そして、図8(b)に示すように、移動局A、Bが正対しない場合は、移動速度の他に、自局の移動方向に対する相手局の移動方向を知らなければ、相対速度が求まらない。連続的に送信される相手局からの信号を受信し、受信信号から相手局との相対速度を推定する方法も考えられるが、移動局が近接したときにのみ通信するバースト伝送の場合、瞬時的に相対的な移動方向を得ることは困難である。
【0014】
このように、移動体に搭載された無線端末が移動しながら送信する場合、非特許文献3に示される受信方法で受信するだけでは、瞬時的に送信側との相対速度を知りながら受信することができないため、ドップラーシフトを補正するには限界がある。また、特許文献1で想定するシステムは、静止する基地局が移動局に対して送信するシステムであり、基地局が移動局の移動速度を予測して送信する。また、基地局と移動局との相対的な移動速度を正確に求めるためには移動局の移動速度だけでなく、基地局とセル内での移動局の位置情報が必要となるので、ドップラーシフトを補正するには限界がある。
【0015】
それ故に、本発明は移動局が通信する通信システムにおける課題を解決するもので、ドップラーシフトを軽減して、伝送特性を改善する無線伝送方法および無線伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題を解決するために、本発明の無線伝送装置が含む送信装置は、送信データから変調信号を生成する変調部と、所定方向に指向性をもった複数のビームを形成するアンテナ部と、移動局を搭載する移動体の移動速度を検出する移動速度検出部と、複数のビームから送信される変調信号に移動速度とビーム方向に基づいて設定される周波数シフトを与える周波数シフト部とを備え、無線伝送装置が含む受信装置は、所定方向に指向性をもった複数のビームを形成するアンテナ部と、移動局を搭載する移動体の移動速度を検出する移動速度検出部と、複数のビームで受信される受信信号に移動速度とビーム方向に基づいて周波数シフトを与える周波数シフト部と、受信信号から受信データを復調する復調部とを備える。
【0017】
本構成の無線伝送装置を有した移動局は、移動局の移動速度と送信するビーム方向に応じた周波数シフトを与えて送信するので、移動局が仮想的に地面に対して静止した状態で送信することができる。したがって、受信する移動局は、送信側の移動速度、移動方向などの情報を知らなくとも、ドップラーシフトが軽減された信号を受信して伝送特性を改善することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の無線伝送方法および無線伝送装置によれば、通信する相手局の速度情報を知らなくとも、ドップラーシフトを軽減して伝送特性を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明に係る無線伝送装置が自動車などの移動体に搭載されて移動局として機能し、変調方式に一例としてOFDM方式を用いて説明する。
(実施の形態1)
はじめに、本発明の実施の形態1における無線伝送装置の送信装置を説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態1における送信装置のブロック図である。
図1において、送信装置は送信データ121から変調信号122を生成する変調部101と、移動体の移動速度を検出する移動速度検出部102と、移動速度123を基に周波数シフト量を算出し、変調信号122に周波数シフトを与える周波数シフト部103、104、105、106と、ディジタル信号をアナログ信号に変換するD/A変換器107と、局部発振器109と、ベースバンド帯の変調信号をRF(Radio Frequency)帯のRF変調信号に変換するRF部と、RF変調信号を所定方向に指向性をもった複数のビームを形成して送信するアンテナ110とを備える。ここで、アンテナ110は、進行方向に対し、前方と後方、さらに左右対称の2方向の指向性を複数有する別々のビーム系統131、132、133、134、135を構成するものである。
【0021】
図9は、OFDM方式の変調部の詳細なブロック図である。図9において、変調部101は、符号化部901とインタリーブ部902と多値変調マッピング部903と時間領域変換部904とガードインターバル付加部905とプリアンブル付加部906とを備える。符号化部901は、送信データ121に対して誤り訂正のための符号化を行う。符号化には、例えば畳み込み符号が用いられる。次に、インタリーブ部902でインタリーブ処理が行われ、多値変調マッピング部903で、PSKやQAMなどのディジタル変調方式によるシンボルマッピングを行って、周波数領域信号を生成する。次に、時間領域変換部904で、周波数領域信号から時間領域信号へ変換してOFDM信号を生成する。ガードインターバル付加部905でシンボルごとにガードインターバルを付加し、最後にプリアンブル付加部906で受信側の同期処理に用いるプリアンブルを付加し、ベースバンドの変調信号122を出力する。このようなOFDM変調を施す処理は公知なので詳細な動作説明は省略する。
【0022】
図10は、周波数シフト部の詳細なブロック図である。図10において周波数シフト部は、シフト量設定部と乗算器と加算器とを備え、各ビーム系統ごとのシフト量の算出し、式(3)に示す複素乗算処理によって周波数シフトを与える。シフト量の算出は、各周波数シフト部103、104、105、106ごとに、移動速度123に基づいて(式1)、(式2)により算出する。ここで、cosθは各ビーム系統131、132、133、134、135の送信方向に応じた固定値のcosθm(m∈1、2、3、4、5)である。そして、直交軸成分、同相軸成分をそれぞれSI(t)、SQ(t)とすると、入力の変調信号122(SI(t)+j・SQ(t))に周波数(2πfd)だけの周波数シフトを与える。なお、周波数シフト後の変調信号124をS’(t)とする。

S’(t)=(SI(t)+j・SQ(t))×exp(j・2πfd・t)
={SI(t)+j・SQ(t)}×
{cos(2πfd・t)+j・sin(2πfd・t)}
={SI(t)・cos(2πfd・t)−SQ(t)・sin(2πfd・t)}
+j・{SQ(t)・cos(2πfd・t)+SI(t)・sin(2πfd・t)}
・・・(式3)
以下、送信装置の動作を説明する。はじめ、送信データ121から変調部101によりベースバンドの変調信号122を生成する。ここでは、図9で示した変調部101を用いて、ディジタル処理でOFDM方式の変調信号を生成する。そして、移動速度検出部102により、移動体の移動速度を検出し、周波数シフト部103、104、105、106でベースバンドの変調信号122に移動速度123をパラメータとする(式1)、(式2)に基づいてドップラーシフトを補正するように周波数シフトを与える。ここで、アンテナ110が形成する複数のビーム系統131、132、134、135ごとに周波数シフト部が設けられ、ビーム方向に応じた周波数シフトが与えられる。なお、90度と270度方向のビーム系統133には周波数シフトを与えない。そして、D/A変換器107でディジタル信号からアナログ信号に変換し、RF部でRF帯の変調信号に変換されてから所定方向に指向性をもったビームで送信する。なお、RF部における搬送波周波数は局部発信器109を基に制御されている。このように、本発明の実施の形態1における無線伝送装置の送信装置は、所定方向に指向性を持った複数のビーム系統を有し、移動体の移動速度に基づいて各ビームの送信方向ごとに送信信号に周波数シフトを与えることにより、予めドップラーシフトを補正して送信することを特徴とする。
【0023】
次に、本発明の実施の形態1における無線伝送装置の受信装置を説明する。
図11は、本発明の実施の形態1における受信装置のブロック図である。図11において、受信装置は所定方向に指向性をもった複数のビームを形成し、複数の受信ビーム系統1131、1132、1133、1134、1135を出力するアンテナ1101とRF帯の受信信号をベースバンド帯に変換するRF部と、局部発信器109と、移動速度検出部102と、移動速度123を基に各ビーム系統の受信信号に周波数シフトを与える周波数シフト部1104、1105、1106、1107と、移動速度123を基に補正された各ビーム系統の受信信号を合成する合成部1108と、各ビーム系統の合成信号1139を復調する復調部1109と、復調部1109で検出される周波数誤差をもとに局部発信器109を制御して受信周波数の誤差を補正するAFC(Automatic Frequency Control)部1110とを備える。なお、複数のビームを形成するアンテナと周波数シフト部と移動速度検出部については、送信装置と同じものを利用できる。
【0024】
図12は、OFDM方式の復調部の詳細なブロック図である。図12において復調部1109は、同期回路部1201と、ガードインターバル除去部1203と、周波数領域変換部1204と、多値変調デマッピング部1205と、デインタリーブ部1206と誤り訂正部1207と周波数ずれ推定部1202とを備える。同期回路部1201は、OFDMシンボルに対するシンボル同期信号1211を生成する。これを各ブロックへ出力して、各ブロックの内部処理用のタイミングに用いる。ガードインターバル除去部1203は、受信信号1139から各OFDMシンボルに含まれるガード区間を除去する。周波数領域変換部1204は、FFTアルゴリズムなどによって時間領域信号を周波数領域信号に変換する。多値変調デマッピング部1205は、周波数領域信号からコンスタレーション上のデマッピング処理を行って判定データを得る。デインタリーブ部1206でデインタリーブ処理を施した後、誤り訂正部1207で誤り訂正処理が行われる。誤り訂正処理には、訂正符号に畳み込み符号が用いられている場合は、ビタビ復号処理が行われて、受信データ1140を得る。周波数ずれ推定部1202は復調部1109への時間領域の入力信号1139および周波数領域信号1212に基づいて受信信号の周波数のずれを検出して周波数補正値1141を出力する。このようなOFDM信号の復調処理は公知なので詳細な動作説明は省略する。
【0025】
以下、受信装置の動作を説明する。はじめに、所定方向に指向性をもった複数のビームにより、到来波を所定方向の指向性ごとに分離して受信し、ビームごとに複数の受信系統1131、1132、1133、1134、1135を得る。RF部でRF帯の受信信号をベースバンド帯に変換し、A/D変換器でアナログ信号からディジタル信号に変換する。次に移動速度検出部102で移動体の移動速度を検出し、周波数シフト部1104、1105、1106、1107でベースバンドの受信信号に周波数シフトを与える。ここで、周波数シフト部はビーム系統ごとに設けられ、ビーム方向に応じた周波数シフトが与えられ、移動局が受信する際に発生するドップラーシフトが補正される。ただし、90度と270度方向のビーム系統1133には周波数シフトを与えない。なお、周波数シフト部の構成、動作は、送信装置の周波数シフト部103、104、105、106と同じである。次に、合成部1108で複数のビーム系統の受信信号を加算合成したあと、復調部1109で復調処理が行われて受信データ1140を得られる。そして、復調部1109の周波数ずれ推定部1202が検出する周波数誤差を、AFC部1110で局部発信器109の発振周波数を制御して受信周波数の誤差を補正する。
【0026】
このように、本発明の実施の形態1における無線伝送装置の受信装置は、所定方向に指向性を持った複数のビーム系統を有し、各ビームの受信方向と移動速度に基づいて受信信号に周波数シフトを与えることで、受信する移動体の移動に伴って生じるドップラーシフトを補正して復調することを特徴とする。
次に、本発明に係る無線伝送装置のビームパターンについて説明する。
【0027】
本発明において、送受それぞれで所定方向に指向性をもった複数のビームを形成し、各ビーム系統ごとに周波数シフトを与えるが、幅を狭くしつつビーム数を増やすほど補正できる周波数分解能が高くなるので、ドップラーシフトの改善効果が高くなる。しかし、コストを考慮するとビーム数は少ない方が良く、それに応じて周波数シフト部の数も減らせる。
【0028】
図13は、アンテナが形成するビームの指向性パターンの一例を示す。アンテナ110によって、パターン(1)からパターン(5)の5つのパターンの指向性を形成する場合を示す。ドップラーシフトは、送信方向に応じて進行方向に対して左右対称に変化するので、一つのビームを左右対称に形成すれば、左右対称に送信する信号に対して一つの周波数シフト部で補正することができる。なお、パターン(3)は進行方向に対して直角方向であり、これで送受信される信号はドップラーシフトを伴わないので、周波数シフトを与えない。
【0029】
図14は、5つのパターンで形成する場合のビーム幅を示す模式図である。図14において、横軸は送信方向(零から2π)、縦軸はドップラーシフトを示す。ドップラーシフトは、送信方向に応じてコサイン関数で変化する。そこで、通信相手の所在方向を把握せずとも通信を行うにあたり、送信方向や到来方向は把握できないことから、図14に示すように、各ビームが設定する周波数シフトと発生するドップラーシフトとの誤差が、各ビームで均一になるようにすることが望ましい。したがって、ビーム幅について0度と180度方向のビームを広くし、90度または270度に近づくにつれて狭くなるように形成すれば、角度方向に隣接するビーム系統間で、周波数シフト量と発生するドップラーシフトとの誤差を均等にすることができる。そこで、各ビームは均一に±Fd/5の誤差をもつように、パターン(1)のビームにおける隣接との境界a、hについて、cosθ=3/5となる角度に設定する。同様にパターン(2)の隣接との境界a、b、g、hについて、境界b、gはcosθ=1/5となる角度に設定する。境界c、d、e、fの角度についても、同様に設定される。
【0030】
図15は、5つのパターンで形成する場合の各ビームの中心方向と周波数シフトを示す。
図15(a)に示す表は、各パターンの隣接との境界角度、中心方向、設定する周波数シフトを示し、図15(b)は各ビームの境界と中心方向を示す模式図である。ここで、設定する周波数シフト量は、例えば、パターン(1)のビーム系統では、周波数シフト部103、1104のシフト量設定部1000で+Fd・4/5に設定する。同様にパターン(2)は+Fd・2/5、パターン(4)は−Fd・2/5、パターン(4)は−Fd・4/5に設定する。このように、各ビーム系統ごとにcosθは固定値で、Fdが移動速度に応じて(式2)に基づいて算出する。
【0031】
各ビームについて、ビーム幅と周波数シフト量をこのように決めることによって、送受信信号のドップラーシフトの補正誤差が、各ビームで均一になる。なお、所定方向に指向性をもつ複数のビームは、指向性アンテナを複数配置することで形成できるが、非特許文献3で示されるように直線状のアレーアンテナを用いてビームスペース型の処理によって形成しても良い。本発明の主眼はドップラーシフトを軽減する方法にあるので、上記ビームの形成方法および構成についての詳細は省略する。
【0032】
次に、本発明の実施の形態1における無線伝送装置を用いることで、移動局同士で通信する際にドップラーシフトを軽減する原理を説明する。以下において、移動局は上記無線伝送装置を搭載し、送信局または受信局として機能し、アンテナが形成する個々のビームに番号を付して(図16に従う)説明する。
まず、送信局が移動し、受信局が静止している場合を考える。
【0033】
図17は、移動する送信局と静止する受信局とのビームの関係を示す模式図である。図17において、送信局Aが移動しており、送信局Aから送信される信号を2つの受信局B、Cが受信する場合を想定する。ここでは、受信局は静止しているとし、送信局Aが、a1地点からa7地点を移動しながら送信する様子を示している。送信局Aがa1地点にあるとき、受信局Bには送信局Aのビーム1から送信された信号が受信され、受信局Cも同じビーム1から送信された信号が受信される。a2地点にあるときは、受信局Bには送信局Aのビーム2から送信された信号が受信され、受信局Cにはビーム1から送信された信号が受信される。a4地点にあるときは、受信局Bには送信局Aのビーム3から送信された信号が受信され、受信局Cにはビーム8から送信された信号が受信される。このように、受信局は、相対する送信局のビームが時々刻々と変化して受信する。そして、それぞれの受信局の受信信号(到来波)は、送信局の移動によって発生するドップラーシフトが送信側で予め補正されている。これは、受信局の位置によらず、常に補正されて受信される。
【0034】
次に、受信局も移動する場合を考える。
図18は、送信局と受信局がともに移動する場合のビーム関係を示す模式図である。図18において、送信局Aは図17と同様にa1地点からa7地点を移動しながら送信し、その間、受信局Bはb1地点からb5地点を移動する。送信局Aがa1地点にあるとき、受信局Bはb1地点にあり、送信局Aのビーム1から送信された信号が受信局Bのビーム2で受信される。次に、送信局Aがa3地点にあるとき、受信局Bはb2地点にあり、送信局Aのビーム2から送信された信号が受信局Bのビーム3で受信される。以下、同様に、送信局Aと受信局Bの相対するビーム関係は図19のようになる。図19は、送受信局の間で相対するビームの時間変化である。
【0035】
ここで、例えば、送信局Aがa5地点にあるとき、送信局Aの移動に伴ってビーム4から送信する信号に生じるドップラーシフトは、送信側の周波数シフト部105で移動速度vAに基づいて補正される。このとき受信局Bはb4地点にあり、相対する受信局Bのビーム5の受信信号について、受信局Bの移動に伴って生じるドップラーシフトが、受信側の周波数シフト部1107で移動速度vBに基づいて補正される。このように、移動するに従って相対するビームが時々刻々と変化し、送受それぞれで、移動速度に応じてドップラーシフトを補正するように周波数シフトを与える。この結果、受信局での受信信号に生じるドップラーシフトが補正されて、伝送誤りを軽減できる。
【0036】
さらに、受信局が反射波を伴って受信する場合について考える。
図20は、図18において受信局Bで反射波を伴って受信される場合の模式図である。図20において送信局A(a3地点)のビーム4から送信された信号が受信局B(b2地点)の周辺で反射してビーム1で受信される様子を示す。送信局Aのビーム4から送信された信号は、送信局Aの移動に伴って生じるドップラーシフトが補正されている。したがって、受信局Bが静止していればビーム5で受信する到来波はドップラーシフトが生じていない。また、受信局Bが移動していれば受信局B自身で、受信局Bの移動に伴って生じるドップラーシフトを補正して受信する。したがって、反射波について、受信局Bが移動していても、移動局Aが移動しながら送信する信号をドップラーシフトを軽減して受信することができる。
【0037】
このように、本発明の第1の実施例における無線伝送装置によれば、受信信号を構成する信号(到来信号)は、送受で相対するビームで通信される信号のみで構成され、構成する信号は送受それぞれで自身の移動速度に基づいて周波数シフトされる。したがって、相対的な移動速度を互いに知らなくとも、受信側の受信信号に生じるドップラーシフトが、直接波、反射波ともに補正されるので、伝送誤りを軽減できる。また、このドップラーシフトの軽減により、受信側のAFC部における周波数制御に対する要求が緩和される。具体的には、図14で示したような全方位を5つのパターンのビームで送受信する場合、一つのパターンで生じる補正誤差は±Fd/5なので、受信信号の補正誤差は±Fd・2/5となり、ドップラーシフトの影響をおよそ半分にすることができる。また、移動速度に応じた周波数シフト量を与えることを除いては、適応的な制御を含まない。したがって、特に伝送形態がパケットによるバースト通信である場合に、パケット受信の初期段階での周波数同期や残留位相誤差補正処理の追従性を軽減できるので効果を発揮する。
【0038】
なお、本発明の無線伝送装置における周波数シフト部は、ベースバンド信号に対して周波数シフトを与えたが、結果的に変復調される信号に対してビーム系統毎に周波数シフトが与えられればよいので、RF帯の信号に対して周波数シフトを与える構成であってもよい。また、受信装置の復調については、複数のビーム系統を単に加算合成した信号を復調する例を示したが、非特許文献3で示されるように受信のビーム系統ごとに周波数領域に変換して得たサブキャリアに対して、サブキャリアごとにビーム系統間で最大比合成する復調方法であっても良い。さらに、変調方式にOFDM方式を用いて説明したが、本発明にかかる移動体の伝送方法は、変調方式によらず様々な変調方式に適用可能である。
【0039】
実施の形態1においては、移動局同士が通信する環境での実施例を示したが、送信側のみが移動する通信環境でも、本発明における送信装置は有効である。以下、本発明の実施の形態2を示す。
(実施の形態2)
図21は、本発明の実施の形態2で想定する通信システムの模式図である。道路沿いに無線局(路側無線局2102)が設置され、道路上を走行する車両が、車両IDなどの情報を路側アンテナ2101に向けて送信する路車間通信システムである。路側無線局2102はネットワークでセンターに繋がれており、収集した車両IDが交通渋滞の分析や通行料の課金などに用いられる。このとき、送信局Aと路側アンテナとの相対的な位置関係の変化に応じて、路側無線局の受信信号に生じるドップラーシフトが変化する。これにより、車両の移動速度が高速になるにつれて、路側無線局での受信周波数が大きく変化するので、復調時のAFCの追従性が問題となる。
【0040】
そこで、送信局Aが本発明の実施の形態1で示した送信装置を用いて送信すれば、図21で示すように、路側アンテナ2101と相対する送信局の送信ビームが時々刻々と変化して、路側無線局は、送信局Aの位置を把握せずともドップラーシフトが送信側で予め補正された到来波を受信できる。この結果、路側無線局でのAFCの周波数の追従制御が緩和されるので、伝送特性を改善することができる。
【0041】
なお、本発明の実施の形態1では送信装置は進行方向に対して左右対称にビームを形成したが、図21で示すように、路側アンテナ2101が道路の片側にのみ設置される場合、送信ビームは進行方向に対して路側アンテナがある側のビームのみを形成すればよい。
なお、以上に述べた全ての実施形態の構成は、典型的には集積回路であるLSIとして実現されてもよい。これらは、個別に1チップ化されてもよいし、上述した実施形態の全ての構成または一部の構成を含むように1チップ化されてもよい。
【0042】
ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用しても良い。
【0043】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係る無線伝送方法および無線伝送装置は、送受信それぞれで発生するドップラーシフトを軽減して伝送特性の改善を図ることができる。したがって、高速移動する移動体が通信する際に有用で、自動車同士の車車間通信をはじめ、列車や浮上式鉄道、航空機などに搭載して通信する場合に有用である。さらに、変調方式がドップラーシフトの影響を受けやすい方式、たとえば、OFDM方式などのマルチキャリア方式を用いたシステムでの改善効果が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態1における送信装置のブロック図
【図2】走行する車載端末が受信する到来波のドップラーシフトを模式的に示した図
【図3】OFDM方式におけるキャリア間干渉を模式的に示した図
【図4】特許文献1に記載された路車間通信システムの構成を示す概念図
【図5】非特許文献3に記載されるOFDM信号の受信方法を示す概念図
【図6】非特許文献3に記載されるOFDM信号の復調処理を示すブロック図
【図7】移動局が送信する通信環境の模式図
【図8】移動局同士の相対関係を示す概念図
【図9】OFDM方式の変調部の詳細なブロック図
【図10】周波数シフト部の詳細なブロック図
【図11】本発明の実施の形態1における受信装置のブロック図
【図12】OFDM方式の復調部の詳細なブロック図
【図13】アンテナが形成するビームの指向性パターンの一例を示す図
【図14】5つのパターンで形成する場合のビーム幅を示す模式図
【図15】5つのパターンで形成する場合の各ビームの中心方向と周波数シフトを示す図
【図16】アンテナが形成する個々のビーム番号を示す模式図
【図17】移動する送信局と静止する受信局とのビームの関係を示す模式図
【図18】送信局と受信局がともに移動する場合のビーム関係を示す模式図
【図19】送受信局の間で相対するビームの時間変化
【図20】図18において受信局Bで反射波を伴って受信される場合の模式図
【図21】本発明の実施の形態2で想定する通信システムの模式図
【符号の説明】
【0046】
101 変調部
102 移動速度検出部
103、104、105、106 周波数シフト部
107 D/A変換器
108 RF部
109 局部発信器
110 アンテナ
121 送信データ
122 変調信号
123 移動速度
131、132、133、134、135 ビーム系統
200 アンテナ
201 走行車両
401 中央基地局
402、403 アンテナ
404 送受信局
405 車載移動局
500 アレーアンテナ
501 移動局
601 ビームスペースアレーアンテナ
602 周波数オフセット補正部
603 S/P
604 DFT部
605 最大比合成部
606 P/S
610 受信データ
901 符号化部
902 インタリーブ部
903 多値変調マッピング部
904 時間領域変換部
905 ガードインターバル付加部
906 プリアンブル付加部
1000 シフト量設定部
1001、1002、1003、1004 乗算器
1005、1006 加算器
1010 周波数シフト信号
1101 アンテナ
1102 RF部
1103 A/D変換器
1104、1105、1106、1107 周波数シフト部
1108 合成部
1109 復調部
1110 AFC部
1140 受信データ
1141 周波数補正値
1131、1132、1133、1134、1135 ビーム系統
1201 同期回路部
1202 周波数ずれ推定部
1203 ガードインターバル除去部
1204 周波数領域変換部
1205 多値変調デマッピング部
1206 デインタリーブ部
1207 誤り訂正部
2101 路側アンテナ
2102 路側無線局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載された無線伝送装置であって、前記無線伝送装置が含む送信装置は、送信データから変調信号を生成する変調部と、所定方向に指向性をもった複数のビームを形成するアンテナ部と、移動体の移動速度を検出する移動速度検出部と、複数の前記ビームから送信される前記変調信号に前記移動速度と前記ビームの方向に基づいて設定される周波数シフトを与える周波数シフト部とを備え、移動に伴って送信信号に生じるドップラーシフトを前記ビームの送信方向に応じて補正して送信する、無線伝送装置。
【請求項2】
複数の前記ビームの指向性パターンが、移動体の進行方向に対して左右対称に形成される請求項1記載の無線伝送装置。
【請求項3】
前記ビームの幅および隣接するビームとの境界がコサイン関数に基づいて決定される、請求項1記載の無線伝送装置。
【請求項4】
前記周波数シフト部で設定される周波数シフトは、隣接する前記ビームの間で差分が同じになるようにコサイン関数に基づいて決定される、請求項1記載の無線伝送装置。
【請求項5】
前記変調部は、直交周波数分割多重方式で変調する、請求項1記載の無線伝送装置。
【請求項6】
前記無線伝送装置が含む受信装置は、所定方向に指向性をもった複数のビームを形成するアンテナ部と、移動体の移動速度を検出する移動速度検出部と、複数の前記ビームで受信される受信信号に前記移動速度とビーム方向に基づいて設定される周波数シフトを与える周波数シフト部と、前記周波数シフト部が出力する前記受信信号を復調して受信データを得る復調部とを備え、移動に伴って受信信号に生じるドップラーシフトを前記ビームの受信方向に応じて補正して受信する請求項1記載の無線伝送装置。
【請求項7】
走行する移動体に搭載された移動局と路側無線局とが通信する路車間通信システムに用いられる移動局の無線伝送装置であって、送信データから変調信号を生成する変調部と、所定方向に指向性をもった複数のビームを形成するアンテナ部と、移動体の移動速度を検出する移動速度検出部と、複数の前記ビームに前記移動速度とビーム方向に基づいて設定される周波数シフトを与える周波数シフト部とを備え、移動に伴って移動局からの送信信号に生じるドップラーシフトを前記ビームの送信方向に応じて補正して送信する無線伝送装置。
【請求項8】
移動局同士が無線通信を行う無線伝送方法であって、送信する移動局は、所定方向に指向性をもった複数のビームにより、移動に伴って送信信号に生じるドップラーシフトを移動速度に基づき前記ビームごとに補正して送信し、受信する移動局は、所定方向に指向性をもった複数のビームにより、移動に伴って受信信号に生じるドップラーシフトを移動速度に基づき前記ビームごとに補正して受信する無線伝送方法。
【請求項9】
移動局同士が無線通信を行う無線伝送システムであって、送信する移動局は、所定方向に指向性をもった複数のビームにより、移動に伴って送信信号に生じるドップラーシフトを移動速度に基づき前記ビームごとに補正して送信し、受信する移動局は、所定方向に指向性をもった複数のビームにより、移動に伴って受信信号に生じるドップラーシフトを移動速度に基づき前記ビームごとに補正して受信する無線伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−345427(P2006−345427A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−171382(P2005−171382)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】