説明

移動体用レーダ及びレーダ用アンテナ

【課題】従来の車載用レーダでは、位相比較モノパルス方式の位相差特性に折り返しが発生し、必要な方位角検知範囲が得られないという問題点があった。
【解決手段】送信アレイアンテナ5、受信アレイアンテナ1、2は平面アンテナでそれぞれアンテナ素子5a〜5f、1a〜1c、2a〜2cから構成され、接地板6上に水平方向に並んで配置され、アンテナ素子1a、1b、1cの受信感度の重み付けは、最内の前記アンテナ素子もしくは素子列よりも最外のアンテナ素子もしくは素子列の方が小さい。例えば、内側から外側へ単調減少となっている。一方、受信アレイアンテナ2は、受信アレイアンテナ1、2の中間点を軸に受信アレイアンテナ1と対称になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の移動体に搭載され、標的の方位を検出する移動体用レーダ及びレーダ用アンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
車両等の移動体に搭載される移動体用レーダに関し、非特許文献1には複数の受信アンテナを用い、各々の受信信号間の位相差により標的の方位を検出する位相比較モノパルス方式が開示されている。
【0003】
特許文献1には、受信アンテナ両端のアンテナ列にスイッチを設け、交互にON/OFFすることで受信アンテナ間距離Dの小さい2つの受信アンテナを時分割で構成することが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ビーム方向の異なる送信アンテナをスイッチで切り替えて、各状態での受信信号レベルを比較検証することを方位角判定に追加し、折り返しがある場合でも標的が分離できることを開示している。
【0005】
さらに、特許文献3には、受信アンテナの複数のアンテナ素子の一部の出力を処理の単位とする第1の処理単位と、この第1の処理単位とは異なる前記複数のアンテナ素子の一部の出力を処理の単位とする第2の処理単位との出力に基づいたモノパルス処理を行うレーダ装置が開示されている。
【0006】
また、特許文献4には、アレーアンテナを2系統備え、この2系統のアレーアンテナにおいて直列給電線路にて形成されるアンテナ素子列の内、全列又は一部の列が略等間隔で交互に噛み合うように、各アレーアンテナを同一平面に配置した平面アレーアンテナが開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平09−159751号公報
【特許文献2】WO99/34234号公報
【特許文献3】特開2005−265779号公報
【特許文献4】特開平09−162626号公報
【非特許文献1】ArtechHouse社出版、Samuel M.Sherman著、“Monopulse Principles and Techniques”、第107頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ミリ波レーダは雨、霧、雪などの気象条件や、埃、騒音の影響を受け難い全天候型レーダであり、車間距離制御システム(daptive ruise ontrol:ACC)等に最適な車載レーダとして国内外メーカで開発されてきた。近年、各レーダメーカでは、ACCシステムや渋滞追従システム(Stop&Go)に適用する遠距離レーダに加え、近距離レーダの開発が活発に行われている。近距離レーダを応用した車載アプリケーションには、前記に加え、衝突を事前に検知して運転者を保護するためにブレーキとエアバッグを起動させるプリクラッシュシステム、駐車支援システム(Parking Aid)、後側方標的警報システム(Lane Change DecisionAid Systems:LCDAS)などがあり、今後、大きな市場が期待されている。このようなアプリケーションの多様化と共に車載レーダの高性能化、低コスト化、小型化の要求が高まってきており、特に、標的の方位角検知の高精度化、広域化は大きな課題の一つとなっている。
【0009】
非特許文献1に論じられている位相比較モノパルス方式は、複数の受信アンテナを用い、各々の受信信号間の位相差により標的の方位を検出するものであり、アンテナ面の法線方向に対してθの角度に存在する標的からの反射波を2つの受信アンテナで受信した時に、それぞれの受信信号間には位相差が生じる。位相比較モノパルス方式では、この位相差Δφを検出することで、標的の方位角θが得られる。
【0010】
図14に、標的の方位角θと位相差Δφの関係を示す。ここで、−θs≦θ≦+θsの方位角範囲において、標的からの反射波を受信信号として認識可能なレベルのSN比が取れているとする。レーダ搭載位置が車体前面であることからθs≦90[度]とおけるが、厳密には送信アンテナ、受信アンテナのそれぞれのビーム幅や、送信出力、受信機の利得、ノイズレベル、標的の散乱断面積等によって決まる。位相差Δφは±180度を超えると折り返しが生じるが、−θd≦θ≦+θdの範囲であれば一義的に標的の方位角θと対応し、標的の方位角を検知できる。この時、受信アンテナ間距離Dを小さくすることで折り返しの出始める方位角をθsに近づけることができ、方位角検知範囲を容易に広げられるので、広角検知が必要な近距離レーダに適している。なお、受信信号をミキサによって中間周波数信号に変換し、さらにAD変換して処理することでΔφは精度良く計算できるので、高精度な角度検知が可能である。また、広範囲に渡る複数標的も同時に検知できるので、システムの応答性に優れている。
【0011】
ところが、高利得かつ狭いビーム幅が要求される遠距離レーダの場合は、受信アンテナ面積増大に伴う受信アンテナ間距離D増加により、図15のように折り返しが発生し、1つの位相差の値Δφに対し複数の方位の値θが対応し、必要な方位角検知範囲が得られないという問題があった。
【0012】
これに対し、特許文献1に開示された受信アンテナ間距離Dの小さい2つの受信アンテナを時分割する構成や、特許文献2に開示されたビーム方向の異なる送信アンテナを高周波スイッチで切り替えて各状態での受信信号レベルを比較検証することを方位角判定に追加する構成は、共に、折り返しの問題を解決できる有効な手段ではあるが、高周波スイッチが必要になり、部品点数の増加やコストアップを招く。また、アンテナをスイッチにより時分割で切替える為、データ更新周期が増加し、システム応答性に課題を残す。特許文献2に記載の方式は、さらに、複数の送信アンテナが必要になるため、低コストでの実現が困難である。
【0013】
特許文献3に開示された第1の処理単位と第2の処理単位との出力に基づいたモノパルス処理を行う方式によれば、2つの処理単位の等価的な受信距離は短くなり、折り返しの問題を解決できる有効な手段である。しかし、各受信アンテナに受信回路を設ける必要があり、部品点数の増加やコストアップを招くと共に、信号処理時間の増大を招く。
【0014】
また、特許文献4に開示された、2系統のアレーアンテナを交互に噛み合うように同一平面に配置する構成も、受信アンテナ間距離を狭めることが出来る。しかし、受信アンテナ面積が増大するほか、2系統のアレーアンテナを交互に配置することに伴うサイドローブの劣化という問題もある。
【0015】
本発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、主たる解決課題は、部品点数を増やすことなく、狭角ビームを持ち正確な方位角検知を可能とする移動体用レーダ及びレーダ用アンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の代表的なものの一例を示せば以下の通りである。即ち、本発明の移動体用レーダは、少なくとも一つの送信アレイアンテナと複数の受信アレイアンテナを含む平面アンテナと送受信ユニットとを備えて成り、前記複数の受信アレイアンテナは、各々平面に配列されたアンテナ素子もしくは素子列を有して成り、少なくとも一対の前記受信アレイアンテナは、前記アンテナ素子もしくは素子列の前記配列方向における受信感度の重み付けが、最内の前記アンテナ素子もしくは素子列よりも最外のアンテナ素子もしくは素子列の方が小さく、前記送受信ユニットは、前記送信アレイアンテナから送信され標的に反射された電波を前記受信アレイアンテナで受信信号として受信し、前記受信信号の位相を比較し、前記標的の方位を特定する機能を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、狭角ビームを持ち正確な方位角検知を可能とする移動体用レーダ及びレーダ用アンテナを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の代表的な実施形態によれば、移動体用レーダは、少なくとも一つの送信アレイアンテナと2つの受信アレイアンテナを備え、前記送信アレイアンテナから送信された電波が標的に反射され前記受信アレイアンテナで受信信号として受信され、前記受信信号の位相を比較して標的の方位を特定するものであって、複数の受信アレイアンテナが各々平面に配列されたアンテナ素子もしくは素子列を有し、少なくとも一対の前記受信アレイアンテナは、アンテナ素子もしくは素子列の前記配列方向における受信感度の重み付けが、最内の前記アンテナ素子もしくは素子列よりも最外のアンテナ素子もしくは素子列の方が小さい。
【0019】
これにより、アンテナ面積(換言すると水平方向のアンテナ長)が増えても受信アンテナ間距離を小さく維持でき、受信信号の位相差の折り返しを低減できる。従って、狭角ビームを持ち正確な方位角検知を可能とする移動体用レーダ及びレーダ用アンテナを提供することができる。
【0020】
なお、移動体として自動車や電車を対象とした場合、車載用レーダ用途で求められる仰角方向の狭ビーム化や低サイドローブ化に対しては、天地方向にアレー化することが一般的である。一方、航空機を対象とした場合、レーダは垂直方向における仰角を特定するのにも用いられるため、アンテナ素子列は水平方向にアレー化される場合もありうる。アンテナ素子もしくはアンテナ素子列が水平、垂直その他いずれの方向に配列されている場合でも、対をなす受信アンテナ素子もしくはアンテナ素子列の受信感度を、角度を検知したい方向において、アンテナ面内の中央部よりも周辺部で低くなるように構成したことが、本発明の特徴の1つである。
【実施例1】
【0021】
本発明を車載用レーダに適用した受信装置の第1の実施形態を、図1〜図7を用いて説明する。
図1は、本発明の第1の実施例になる車載用レーダの全体的な構成を示す概念図である。車載用レーダは車両に搭載され、アンテナユニットと送受信ユニットを備えており、標的の方位、移動体との相対距離、相対速度等を検出する。
【0022】
車載レーダのアンテナユニットは、受信アレイアンテナ1、2及び送信アレイアンテナ5を含む平面アンテナであり、それぞれアンテナ素子列1a〜1c、2a〜2c、5a〜5fを有している。これらの受信アレイアンテナ1、2及び送信アレイアンテナ5は、単一の接地板6上に水平方向に並んで配置されている。図1の右上部に示すように、受信アレイアンテナ1のアンテナ素子1a、1b、1cの受信感度の重み付けは、角度を検知したい方向、この実施例では水平方向において、A1、A2、A3でA1>A2>A3と内側から外側へ単調減少となっており、受信アレイアンテナ1、2の中間点からの距離はd1、d2、d3となっている。一方、受信アレイアンテナ2の受信感度の重み付けと距離は、受信アレイアンテナ1、2の中間点を軸に受信アレイアンテナ1と対称の関係になっている。なお、θは方位角を表す。
【0023】
車載レーダの送受信ユニット13は、電力増幅器7、発振器8、ミキサ9a,9b、低雑音増幅器10a,10b、AD変換器11a及び11b及び信号処理回路12を含んでいる。発振器8で生成されたミリ波信号は電力増幅器7を経て送信アレイアンテナ5に加えられる。送信アレイアンテナ5から電磁波として放射された送信信号は、車やガードレールなどの標的で反射され、受信アレイアンテナ1及び受信アレイアンテナ2で受信される。受信信号S1、S2はそれぞれミキサ9a及び9bに加えられ、発振器8の出力信号と混合され、中間周波信号に変換される。中間周波信号は、低雑音増幅器10a及び10bで増幅され、AD変換器11a及び11bを介して信号処理回路(DTM)12に入力される。
【0024】
本実施例では、位相比較モノパルス方式により、各々の受信信号間の位相差により標的の方位を検出する。信号処理回路12は、受信信号S1、S2の周波数変換された信号を用いて対象物の方位角を検出する。なお、信号処理回路12は、方位角の検出と同時に、例えば2周波CW方式により、2つの周波数の位相差から対象物のレーダ搭載車との相対的な速度、距離などを検出する機能も有する。これらの検出結果は必要に応じて適宜出力信号に変換され、上位の車両制御装置などに出力される。
【0025】
図2に示すように、アンテナ面の法線方向に対してθの角度に存在する標的からの反射波を2つの受信アンテナで受信した時に、それぞれの受信信号S1、S2間には下式(1)で表される位相差Δφが生じる。
【0026】
【数1】

ここで、Dは受信アンテナ間距離、λは自由空間波長を表す。位相比較モノパルス方式では、この位相差Δφを検出することで、標的の方位角θが得られる。
【0027】
本実施例では、隣り合った一対の受信アレイアンテナ1、2の水平方向における受信感度の重み付けは、最内のアンテナ素子1a、2aよりも、最外のアンテナ素子1c、2cの方が小さい。
【0028】
これにより、アンテナ素子数が増えても等価的な受信アンテナ間距離を小さく維持でき、受信信号の位相差の折り返しを低減できる。また、最内のアンテナ素子1aもしくは2aと、それ以外のアンテナ素子1b、1cもしくは2b、2cの位相特性が反転することから、さらに位相差の折り返しを抑制できる。
【0029】
以下、これらの点に関して、詳細に説明する。
まず、位相差Δφは、図1に示すパラメータ(θ、d1、d2、d3、A1、A2、A3)を用いて計算すると、式(2)のようになる。
【0030】
【数2】

なお、アンテナ素子間の相互結合は無視しており、各アンテナ素子は同位相とする。
【0031】
図3は、上式(2)を用いた位相差特性の計算結果を示すものであり、受信感度の重み付けの異なる位相差曲線14、15、16を併せて示す。位相差曲線14は、単調減少の場合(A1=1.0、A2=0.6、A3=0.2、d1=0.33/λ、d2=1.0/λ、d3=1.66/λ)、位相差曲線15は、3素子が全て同感度の場合(A1=A2=A3=1.0、d1=0.33/λ、d2=1.0/λ、d3=1.66/λ)、位相差曲線16は、1素子のみの場合(A1=1.0、A2=A3=0、d1=0.25/λ)を示す。
【0032】
位相差曲線15は折り返しが発生し、1つの位相差の値Δφに対し複数の方位の値θが対応し、必要な方位角検知範囲が得られない。また、位相差曲線16は−90度〜+90度の範囲内で折り返しが無く理想的に見えるが、曲線の傾きが小さい為、高い方位分解能が得られない。これらに対し、本実施例に対応する位相差曲線14は、−25度〜+25度の範囲で方位角検知が可能であり、さらに曲線の傾きが大きい為、高い方位分解能が得られる。
【0033】
ここで、本発明の特徴である折り返し低減の原理について説明する。図3においてθa<θ<90[度]の範囲で折り返しが無い為にはΔφ≒−180[度]である必要があり、これを式(2)に代入し、展開すると以下の式(3)が得られる。
【0034】
【数3】

つまり、θa<θ<90[度]の範囲でfT(θ)→0となるようにA1〜A3、d1〜d3を選べば、折り返しは低減できることになる。
【0035】
図4は、図3中の位相差曲線14の場合における各アンテナ素子のfT(θ)への影響を示している。特性曲線18、19、20はそれぞれ式(3)の第1項、第2項、第3項の関数であり、即ち、アンテナ素子1a、1b、1cに相当する。θa<θ<90[度]の範囲で、特性曲線18と20の和と、特性曲線19が反転する様に働いており、その結果、fT(θ)を表す特性曲線17がゼロに漸近していることが分かる。このようにして、θa<θ<90[度]の範囲で折り返しは低減される。
【0036】
通常、モノパルスレーダは標的の方位検知の前段として、まず、標的からの反射波を受信信号として認識しなければならない。その為には所望の方位角検知範囲で十分なSN比がとれるアンテナ放射パターンであることが必要である。このアンテナ放射パターンは、受信アレイアンテナの受信信号S1、S2の合成波を使うことで、受信面積が2倍になることからアンテナゲインが2倍になることと、アレイアンテナ中央の受信感度が大きく、端が小さいことにより効果的にサイドローブが低減できる。
【0037】
なお、送信アレイアンテナ5のアンテナ素子5a〜5fは、受信アレイアンテナ1、2のアンテナ素子1c、1b、1a、2a、2b、2cと同じパラメータにすることで水平方向のサイドローブを低減したアンテナ放射パターンを得ることができる。もちろん、所望の方位角検知範囲で十分なSN比がとれるアンテナ放射パターンにできる範囲内でパラメータは可変であるし、アンテナ素子数を増減させることも問題ない。
【0038】
上述した3つの位相差曲線14、15、16の例についてのアンテナ放射パターンの計算結果を、図5に示す。受信感度の重み付けが単調減少の場合(位相差曲線14に対応)のθ=0のアンテナゲインを0dBとして規格化している。なお、計算には下式(4)を用いている。
【0039】
【数4】

ここで、e(θ)は素子指向性で、計算には標準的なマイクロストリップパッチアンテナを用いている。アンテナ素子間の相互結合は無視しており、各アンテナ素子は同位相とする。3素子が全て同感度の場合のゲイン曲線22(位相差曲線15に対応)は正面方向のアンテナゲインは最大となるが、サイドローブが高い。また、1素子のみの場合のゲイン曲線23(位相差曲線16に対応)はアンテナゲインが低く、ビーム幅が広い為、遠距離レーダに向かない。これらに対し、受信感度の重み付けが単調減少の場合のゲイン曲線21(位相差曲線14に対応)は、ゲイン曲線22よりもわずかにアンテナゲインが低いが、低サイドローブであり、遠距離レーダに適している。なお、この低サイドローブの特性は、方位角検知のみならず、2つの周波数の位相差から対象物のレーダ搭載車との相対的な速度、距離などを検出する機能においても、効果的である。
【0040】
以上のように、本実施例によれば、アンテナユニットのアンテナ面積(水平方向のアンテナ長)が増えても受信アンテナ間の距離を小さく維持でき、受信信号の位相差の折り返しを低減できる。また、受信アンテナの最内のアンテナ素子と、最外のアンテナ素子の位相特性が反転することから、さらに位相差の折り返しを抑制できる。結果、小型軽量かつ低コストで、部品点数、データ更新周期を増やさずに狭角ビームを持ち、正確な方位角検知が可能となる。
【0041】
第1の実施形態におけるアンテナユニットを実現した具体的な構成例を、図6〜図7を用いて説明する。
図6Aは、第1の実施形態におけるマイクロストリップパッチアンテナの平面図である。図6Bは、図6Aの受信アレイアンテナ1、2の一部の拡大縦断面を示す図である。
【0042】
受信アレイアンテナ1、2、送信アレイアンテナ5を含む平面アンテナは、誘電体基板29上に複数のパッチ素子24が天地方向に列を成して形成されたアンテナ素子列1a〜1c、2a〜2c、5a〜5fによって構成されている。各パッチ素子24は、これに接続されたマイクロストリップ線路25により同位相で直列給電されている。dは隣接するアンテナ素子間のギャップであり、相互に干渉を生じない程度の距離を有する。この例では、送受信ユニットは接地板6を挟んで反対側の裏面に設けられている。
【0043】
なお、送受信アンテナはアンテナ素子で構成されていても良いが、車載用レーダ用途で求められる仰角方向の狭ビーム化や低サイドローブ化に対しては、天地方向にアレー化することが一般的であるため、この例ではアンテナ素子列として説明する。給電点26a〜26cは回路素子側とのインターフェースである。誘電体基板29は数百ミクロンの薄い基板なので、接地板6で保持している。誘電体基板29の裏面には、接地導体30が積層されている。接地板6には、その裏面の送受信ユニットから各給電点26a〜26c及びマイクロストリップ線路25、27を経て各アンテナ素子へ直列給電するための同軸線路28が設けられている。
【0044】
平面アンテナの受信感度の重み付け、例えば、A1>A2>A3と内側から外側へ単調減少する重み付けは、水平方向に伸びているマイクロストリップ線路27から見たアンテナ素子列1a〜1cの入力インピーダンスの比率で決まるので、マイクロストリップ線路27の幅を適宜変えるだけで容易にこれを実現できる。
【0045】
図7は、受信感度の重み付けのために、マイクロストリップ線路27の幅を変えたパターンの一例を概念的に示す図である。図7において、Zi1、A1はアンテナ素子列1a〜1cとストリップ線路27を合成した入力インピーダンスと給電電力、Zai、Aaiはアンテナ素子列1aの入力インピーダンス及び給電電力、Zi2、Ai2はアンテナ素子列1b〜1cとストリップ線路27を合成した入力インピーダンスと給電電力、Zbi、Abiはアンテナ素子列1bの入力インピーダンス及び感度、Zi3、Ai3はアンテナ素子列1cとストリップ線路27を合成した入力インピーダンス及び感度、Zci、Aciはアンテナ素子列1cの入力インピーダンス及び感度を示す。各線路幅を変え、各インピーダンス間のマッチングをとることで、受信感度として例えば、A1=12、Aai=3、Ai2=6、Abi=2、Ai3=2、Aci=1のように、所定の重み付けが得られる。
【0046】
なお、平面アンテナの受信感度の重み付けを、アンテナ素子(パッチ素子24)自身の平面サイズを変えて実現してもよい。例えば、受信感度の重み付けが単調減少の場合、それに対応させて各アンテナ素子の平面パターンのサイズを順次減少させればよい。また、アンテナ素子として、円形など他のパターンの素子を用いても良いことは言うまでもない。
【0047】
上述したとおり、本実施例のマイクロストリップパッチアンテナはプリント基板の技術で加工でき、回路素子や信号処理部に関しても一般的な構成であるので、小型軽量かつ低コストで、部品点数やデータ更新周期を増やさずに狭角ビームを持つ正確な方位角検知が可能な車載用レーダを得ることができる。
【0048】
また、本実施例では受信アレイアンテナ1、2は3素子で説明したが、複数であれば同様の効果が得られ、素子数が多いほど、折り返し低減の効果は大きい。
【0049】
なお、受信アレイアンテナがn素子の場合の位相差Δφとアンテナ放射パターンf(θ)は下式(5)、(6)で表される。
【0050】
【数5】

【0051】
【数6】

また、振幅比較モノパルスの場合の折り返しはサイドローブに起因するので、本実施例を用いれば必然的にサイドローブが低減できることから、振幅比較モノパルスの場合にも適用できる。
【0052】
以上述べたように、本実施例によれば、アンテナユニットのアンテナ面積(水平方向のアンテナ長)が増えても受信アンテナ間距離を小さく維持でき、受信信号の位相差の折り返しを低減できる。また、最内の天地方向に列を成すアンテナ素子列と、最外の天地方向に列を成すアンテナ素子列の位相特性が反転することから、さらに位相差の折り返しを抑制できる。結果、小型軽量かつ低コストで、部品点数、データ更新周期を増やさずに狭角ビームを持ち、正確な方位角検知を可能とする移動体用レーダ及びレーダ用アンテナを提供することができる。また、プリント基板の技術で加工できるので、移動体用レーダ及びレーダ用アンテナを低コスト化できる。
【0053】
なお、受信アレイアンテナの受信感度の重み付けを、アンテナユニットではなく送受信ユニット13内で与えることも可能ではある。この場合、受信信号S1、S2に対して、例えば、低雑音増幅器10a,10b、もしくはAD変換器11a、11bにより、前記した受信アレイアンテナの受信感度の重み付けに相当する増幅度の重み付け、例えば、A1>A2>A3と内側から外側へ単調減少する重み付けを与えるように構成すれば良い。この場合、信号処理回路(DTM)12に入力される信号に関しては、アンテナユニットで受信感度の重み付けを与えたのと同じものとなるものの、信号処理のための部品点数が増える可能性はある。
【実施例2】
【0054】
本発明の第1の実施例として直列給電の例を説明したが、並列給電でも同様に、マイクロストリップ線路の幅を変えて受信感度の重み付けができる。図8に、本発明の第2の実施例として並列給電に適用した実施例の概念図を示す。図8Aは、第2の実施例におけるアンテナの平面図、図8Bは、図8Aの受信アレイアンテナの一部の拡大縦断面を示す図である。
【0055】
アンテナユニットの平面アンテナは、上記第1実施例と同様、マトリクス状に複数のパッチを含むアンテナ素子24が配置された上層誘電体基板29、下層誘電体基板32、及び給電端子26b、26cから全てのアンテナ素子24までの線路長が等しくなるように設定された並列給電線路33が積層して設けられている。各アンテナ素子24には同一位置に給電点が設定されこれらの給電点と並列給電線路33とは、夫々、両誘電体基板を貫通するビアホール34で接続されている。そして、上、下層の誘電体基板間には、アンテナ素子24と並列給電線路33及び接地導体30との間でマイクロストリップ線路が形成されている。このマイクロストリップ線路の幅を変えることで、受信アレイアンテナの受信感度の重み付けを行う。すなわち、一対の受信アレイアンテナ1、2の水平方向の受信感度の重み付けは、最内のアンテナ素子1a、2aよりも、最外のアンテナ素子1c、2cの方が小さい。
【0056】
本実施例によれば、アンテナユニットのアンテナ面積(水平方向のアンテナ長)が増えても受信アンテナ間距離を小さく維持でき、受信信号の位相差の折り返しを低減できる。そのため、部品点数を増やすことなく、狭角ビームを持ち正確な方位角検知を可能とする移動体用レーダ及びレーダ用アンテナを提供することができる。
【0057】
なお、以上述べた各実施例は、単層誘電体基板のマイクロストリップパッチアンテナを例に挙げたが、放射素子と給電線路が別層に構成される多層マイクロストリップパッチアンテナやトリプレートアンテナのような平面アンテナでも、同様の効果が得られる。
【実施例3】
【0058】
本発明において、受信感度の重み付けは必ずしも単調減少でなくても良い。図9、図10に、受信感度の重み付けが単調減少ではない場合の実施例を示す。
【0059】
図9の右上部に示すように、受信アレイアンテナ1のアンテナ素子1a、1b、1cの受信感度の重み付けは、A1、A2、A3でA2>A1>A3となっている。受信アレイアンテナ1、2の中間点から距離はd1、d2、d3となっている。この例では、内側から外側へ単調減少とはなっていない。A2≧A1>A3でも良い。この実施例で大事な事は、最内側と最外側のアンテナ素子1a、1cが、A1>A3の関係にあることである。一方、受信アレイアンテナ2の受信感度の重み付けと距離は、受信アレイアンテナ1、2の中間点を軸に受信アレイアンテナ1と対称の関係になっている。
【0060】
図10は、実施例3における、上式(2)に基づく位相差特性を示すものである。この例では、受信感度の重み付けが単調減少でないため、図4の場合とは異なり式(3)の第1項、第2項、第3項の関数が、θa<θ<90[度]の範囲で、特性曲線18と20の和と、特性曲線19が反転する様に働きfT(θ)を表す特性曲線17がゼロに漸近しているものの、折り返しの低減は十分ではない。そのため、受信アレイアンテナの受信信号S1、S2のデータ取得の対象を折り返しの無い位相差Δφbcの範囲内に制限する、あるいは−θdc≦θ≦+θdbの範囲内に制限する。これにより、例えば−20度〜+20度の範囲で正確な方位角検知が可能であり、かつこの範囲では曲線の傾きも大きい為、高い方位分解能が得られる。この実施例によれば、実施例1よりも角度範囲は狭くなるが、実施例1に準じた効果が得られる。
【実施例4】
【0061】
本発明の実施例として、アンテナに素子数の少ない平面アンテナを用いる場合は、誘電体レンズやレドームと平面アンテナを組み合わせて使用するのが望ましい。図11に、実施形態4としてアンテナに天地方向の素子数が1つの場合の具体的な構成例を示す。
【0062】
図11Aは、本実施例の車載レーダの構成概念を示す縦断図であり、図11Bは、その平面アンテナの構成概念を示す平面図である。車載レーダは、発振器や混合器等の送受信ユニット(能動回路)と平面アンテナとが同一の接地板37の同じ側に一体形成されてMMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)チップに構成されている。各アンテナには同一平面内の能動回路の素子からマイクロストリップ線路等の電力分配器を通じて給電する。そして、このMMICチップを樹脂パッケージ35で封止すると共に、受信アンテナの上方に誘電体レンズ36を装着し、レンズと樹脂パッケージとを一体形成する。受信感度の重み付けはマイクロストリップ線路等の電力分配器で行なう。特に、このアンテナをMMIC上に構成する場合などは、MMICの面積がコストに比例するため、素子数の少ないアンテナを利用するのがコスト面では有利である。
【実施例5】
【0063】
本発明の受信アンテナは、左右各々複数対のアレイアンテナで構成されていても良い。図12は本発明による車載用レーダの第5の実施形態を表す構成図である。発振器8で生成されたミリ波信号は電力増幅器7を経て送信アレイアンテナ5に加えられる。送信アレイアンテナ5から放射された送信信号は、標的で反射され、受信アレイアンテナ1〜4で受信される。受信信号S1〜S4はそれぞれミキサ9a〜9dに加えられ発振器8の出力信号と混合され、中間周波信号に変換され、低雑音増幅器10a〜10dで増幅され、AD変換器11a〜11dを介して信号処理回路12に入力される。
【0064】
送信アレイアンテナ5、受信アレイアンテナ1〜4は平面アンテナでそれぞれアンテナ素子5a〜5f、1a〜1c、2a〜2c、3a〜3c、4a〜4cから構成され、接地板6上に水平方向に並んで配置される。受信アレイアンテナ1のアンテナ素子1a、1b、1c及び受信アレイアンテナ3のアンテナ素子3a、3b、3cの受信感度の重み付けはA1、A2、A3、A4、A5、A6でA1≧A2≧A3≧A4≧A5≧A6(但し、A1>A6)と内側から外側へ単調減少となっており、受信アレイアンテナ1、2の中間点から距離はd1、d2、d3、d4、d5、d6となっている。一方、受信アレイアンテナ2及び4の受信感度の重み付けと距離は、受信アレイアンテナ1、2の中間点を軸に受信アレイアンテナ1及び3と対称の関係になっている。なお、受信アレイアンテナ内の素子間の重み付けは実施例1と同様に入力インピーダンスの比率により行うが、受信アレイアンテナ間、例えば受信アレイアンテナ1と受信アレイアンテナ3間の受信感度の重み付けは信号処理回路内でデジタル的に行ってもよい。
【0065】
上記のようなデジタル制御は、受信アレイアンテナ間の干渉除去や、周囲環境からの不要波除去の為のキャリブレーション手段としても用いることができる。
【0066】
従って、等価的な受信アンテナ間距離を小さく維持できることと、アンテナ素子間の位相の打ち消しにより、受信アレイアンテナ1と受信アレイアンテナ2、受信アレイアンテナ1と3の合成と受信アレイアンテナ2と4の合成によって得られる位相差特性の折り返しを低減できる。また、これらの位相差特性の連立方程式を解くことにより、方位角精度を向上させることができる。受信アレイアンテナ1と受信アレイアンテナ3による位相差特性は折り返しが生ずるので個々の連立方程式は誤差を含むが、上記連立方程式の個数を増やすことで精度が高まり、方位角精度向上に貢献できる。
【0067】
また、本実施例では受信アレイアンテナ1〜4は3素子で説明したが、複数であれば同様の効果が得られ、素子数が多いほど、折り返し低減の効果は大きい。また、受信アレイアンテナ1、2と受信アレイアンテナ3、4の素子数を異ならせることで多様な位相差特性が得られる。例えば、受信アレイアンテナ3、4よりも受信アレイアンテナ1、2の素子数を減らせば、受信アレイアンテナ1と2で広範囲の方位角検知、受信アレイアンテナ1と3の合成と受信アレイアンテナ2と4の合成により高精度の方位角検知が可能になる。
【0068】
なお、アンテナ素子群のアンテナの受信感度の重み付けは必ずしも内側から外側へ、A1≧A2≧A3≧A4≧A5≧A6と単調減少になっている必要は無い。実施例3と同様、少なくとも最内側と最外側のアンテナ素子がA1>A6の関係にあり、式(3)によるfT(θ)を表す特性曲線が全体としてゼロもしくはゼロ付近に漸近するものであれば、アンテナ素子群の一部に、受信感度の重み付けが上記と逆の関係にあるものが存在しも差し支えない。
【0069】
複数の受信アレイアンテナを備えた本実施例によれば、一対の受信アレイアンテナで広い方位角検知範囲が得られ、前記以外の一対の受信アレイアンテナでより高精度な方位検出が可能となる。
【実施例6】
【0070】
本発明は、受信信号の振幅差を比較して標的の方位を特定する振幅比較モノパルス方式や、位相比較モノパルス方式と振幅比較モノパルス方式の両者を組み合わせた方式にも適用できる。
【0071】
図13は、本発明による車載用レーダの第6の実施形態を表す構成図である。発振器8で生成されたミリ波信号は電力増幅器7を経て送信アレイアンテナ5に加えられる。送信アレイアンテナ5から放射された送信信号は、標的で反射され、受信アレイアンテナ1及び受信アレイアンテナ2で受信される。受信信号S1、S2はハイブリッド回路40にて受信信号S1とS2の和である和信号Σと受信信号S1とS2の差である差信号Δに変換され、それぞれミキサ9a及び9bに加えられ発振器8の出力信号と混合され、中間周波信号に変換され、低雑音増幅器10a及び10bで増幅され、AD変換器11a及び11bを介して信号処理回路12に入力される。
【0072】
送信アレイアンテナ5、受信アレイアンテナ1、2は平面アンテナでそれぞれアンテナ素子5a〜5f、1a〜1c、2a〜2cから構成され、接地板6上に水平方向に並んで配置される。受信アレイアンテナ1のアンテナ素子1a、1b、1cの受信感度の重み付けは、例えばA1、A2、A3でA1>A2>A3と内側から外側へ単調減少となっており、受信アレイアンテナ1、2の中間点から距離はd1、d2、d3となっている。一方、受信アレイアンテナ2の受信感度の重み付けと距離は、受信アレイアンテナ1、2の中間点を軸に受信アレイアンテナ1と対称の関係になっている。なお、これらの受信感度の重み付けは、最内側と最外側のアンテナ素子がA1>A3の関係にあれば、途中は他のパターンでも良いことはいうまでも無い。
【0073】
前述した位相比較モノパルス方式とは異なり、信号処理回路12では受信信号間の位相差ではなく差信号Δ/和信号Σの演算が成され、この振幅成分により標的の方位角を決定する。しかし、本構成の和信号Σ、差信号Δは受信信号S1、S2の位相も含めて合成されており、位相差が差信号Δ/和信号Σの振幅成分に変換されているので、振幅検知ではあるが、完全な振幅比較モノパルスではなく、位相比較モノパルスに近い特性を持つ。従って、実施例1で説明した図3の標的の方位角θと位相差Δφの関係は、位相差Δφが差信号Δ/和信号Σの振幅成分に変わるだけで、ほぼ同じ曲線が描かれる。
【0074】
これにより、アンテナ素子数が増えても等価的な受信アンテナ間距離を小さく維持でき、受信信号の位相差の折り返しを低減できる。また、最内のアンテナ素子1aもしくは2aと、それ以外のアンテナ素子1b、1cもしくは2b、2cの位相特性が反転することから、さらに位相差の折り返しを抑制できる。
【0075】
本実施例では、ハイブリッド回路40はミキサ9a及び9bの前に設けたが、アンテナが配置される誘電体基板上に設けてもよいし、信号処理回路内で和信号Σ、差信号Δを生成してもよい。
【0076】
このように、本発明は、受信信号の振幅差を比較して標的の方位を特定する振幅比較モノパルス方式や両者を組み合わせた方式に採用した場合でも、受信信号の位相差を比較して標的の方位を特定する前期位相比較モノパルス方式と同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明による車載用レーダの、第1の実施形態の全体構成を表す概念図。
【図2】第1の実施形態の動作説明図。
【図3】第1の実施形態における位相差特性に対する効果を表すグラフ。
【図4】第1の実施形態における位相差特性の折り返し低減を示すグラフ。
【図5】第1の実施形態のアンテナ放射パターンに対する効果を表すグラフ。
【図6A】第1の実施形態におけるマイクロストリップパッチアンテナの平面図。
【図6B】図6Aの受信アレイアンテナの一部の拡大縦断面を示す図。
【図7】第1の実施形態におけるマイクロストリップ線路のパターンの一例を示す図。
【図8A】本発明の第2の実施形態になる受信アレイアンテナの並列給電方式の概念を示す平面図。
【図8B】図8Aの受信アレイアンテナの一部の拡大縦断面を示す図。
【図9】本発明の第3の実施形態になる車載用レーダの全体構成を表す概念図。
【図10】第3の実施形態の動作説明図。
【図11A】本発明の第4の実施形態になる車載用レーダの構成を表す概念図。
【図11B】第4の実施形態の平面アンテナの構成例を示す平面図。
【図12】本発明による車載用レーダの、第5の実施形態の全体構成を表す概念図。
【図13】本発明による車載用レーダの、第6の実施形態の全体構成を表す概念図。
【図14】位相比較モノパルス方式の位相差と方位角の関係のグラフ。
【図15】従来例における受信アンテナ間距離増加に伴う折り返しの説明図。
【符号の説明】
【0078】
1…受信アレイアンテナ、1a〜1c…アンテナ素子、2…受信アレイアンテナ、2a〜2c…アンテナ素子、3…受信アレイアンテナ、3a〜3c…アンテナ素子、4…受信アレイアンテナ、4a〜4c…アンテナ素子、5…送信アレイアンテナ、5a〜5f…アンテナ素子、6…接地板、7…電力増幅器、8…発振器、9a,9b…ミキサ、10a,10b…低雑音増幅器、11a,11b…AD変換器、12…信号処理回路、13…送受信ユニット、24…パッチ素子、25…マイクロストリップ線路、26a〜26c…給電点、27…水平方向に伸びているマイクロストリップ線路、28…同軸線路、29…誘電体基板、30…接地導体、36…誘電体レンズ、37…接地板、40…ハイブリッド回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの送信アレイアンテナと複数の受信アレイアンテナを含む平面アンテナと送受信ユニットとを備えて成り、
前記各受信アレイアンテナは、平面に配列されたアンテナ素子もしくは素子列を有して成り、少なくとも一対の前記受信アレイアンテナは、前記アンテナ素子もしくは素子列の前記配列方向における受信感度の重み付けが、最内の前記アンテナ素子もしくは素子列よりも最外のアンテナ素子もしくは素子列の方が小さく、
前記送受信ユニットは、前記送信アレイアンテナから送信され標的に反射された電波を前記受信アレイアンテナで受信信号として受信し、前記受信信号の位相を比較し、前記標的の方位を特定する機能を有する
ことを特徴とする移動体用レーダ。
【請求項2】
請求項1において、
前記受信感度の重み付けが単調減少である
ことを特徴とする移動体用レーダ。
【請求項3】
請求項1において、
前記複数の受信アレイアンテナは前記平面に水平方向に並んで配置され、隣り合った一対の受信アレイアンテナの水平方向の受信感度の重み付けが、前記最内のアンテナ素子もしくは天地方向に列を成すアンテナ素子列よりも前記最外のアンテナ素子もしくは天地方向に列を成すアンテナ素子列の方が小さい受信アレイアンテナを少なくとも一対持つ
ことを特徴とする移動体用レーダ。
【請求項4】
請求項1において、
前記受信アレイアンテナの受信感度の重み付けを、該受信アレイアンテナと同一の誘電体基板上に形成された伝送線路で構成された電力分配器で行う
ことを特徴とする移動体用レーダ。
【請求項5】
請求項1において、
前記アンテナ素子は、誘電体基板上に形成された複数のパッチ素子と、前記各パッチ素子に接続された給電用のマイクロストリップ線路とを備えて成り、
前記受信アレイアンテナの受信感度の重み付けを、前記各パッチ素子に対応する前記マイクロストリップ線路の幅の差によって行う
ことを特徴とする移動体用レーダ。
【請求項6】
請求項1において、
前記受信アレイアンテナの受信感度の重み付けを、前記アンテナ素子の平面サイズの差によって行う
ことを特徴とする移動体用レーダ。
【請求項7】
請求項1において、
前記送受信ユニットは、前記受信信号の振幅を比較して前記標的の方位を特定する
ことを特徴とする移動体用レーダ。
【請求項8】
請求項1において、
前記送受信ユニットは、前記受信信号の位相と振幅の両方を比較して前記標的の方位を特定する
ことを特徴とする移動体用レーダ。
【請求項9】
請求項1において、
少なくとも一つの送信アレイアンテナと3以上の複数の受信アレイアンテナを備え、
前記複数の受信アレイアンテナは前記平面に水平方向に並んで配置され、前記並んで配置された2つの受信アレイアンテナ間に境界線を想定して前記受信アレイアンテナを2つのグループに分けた時に、前記水平方向の受信感度の重み付けが前記最内のアンテナ素子もしくは天地方向に列を成すアンテナ素子列よりも、前記最外のアンテナ素子もしくは天地方向に列を成すアンテナ素子列の方が小さい
ことを特徴とする移動体用レーダ。
【請求項10】
請求項9において、
前記複数の受信アレイアンテナは水平方向に並んで配置され、前記アンテナ面においてある2つの受信アレイアンテナ間に境界線を想定して受信アレイアンテナを2つのグループに分けた時に、前記水平方向の受信感度の重み付けが前記最内のアンテナ素子もしくは天地方向に列を成すアンテナ素子列から、前記最外のアンテナ素子もしくは天地方向に列を成すアンテナ素子列まで単調減少となっている
ことを特徴とする移動体用レーダ。
【請求項11】
請求項10において、
前記受信アレイアンテナの受信感度の重み付けを、前記受信アレイアンテナと同一の誘電体基板上の伝送線路で構成された電力分配器で行う
ことを特徴とする移動体用レーダ。
【請求項12】
共通の接地板に設けられた平面アンテナと送受信ユニットとを備え、
前記平面アンテナは、少なくとも一つの送信アレイアンテナと複数の受信アレイアンテナを有して成り、
前記各受信アレイアンテナは、水平方向に配列された複数のアンテナ素子もしくは素子列を有して成り、少なくとも一対の前記受信アレイアンテナは、前記水平方向における受信感度の重み付けが、最内の前記アンテナ素子もしくは素子列よりも最外のアンテナ素子もしくは素子列の方が小さい、
ことを特徴とする移動体用レーダ。
【請求項13】
請求項12において、
前記接地板の一方の面に前記平面アンテナ、他方の面に前記送受信ユニットを設け、
前記受信アレイアンテナの受信感度の重み付けを、前記受信アレイアンテナと同一の誘電体基板上の伝送線路で構成された電力分配器で行う
ことを特徴とする移動体用レーダ。
【請求項14】
請求項12において、
前記接地板の同じ側の面において前記平面アンテナと前記送受信ユニットを同一の基板上に一体形成して、単一または複数のMMICチップに構成し、
前記受信感度の重み付けを、電力分配用のマイクロストリップ線路で行なう
ことを特徴とする移動体用レーダ。
【請求項15】
少なくとも一つの送信アレイアンテナと複数の受信アレイアンテナを備えた平面アレイアンテナであって、
前記各受信アレイアンテナは、平面に配列されたアンテナ素子もしくは素子列を有して成り、少なくとも一対の前記受信アレイアンテナは、前記アンテナ素子もしくは素子列の前記配列方向における受信感度の重み付けが、最内の前記アンテナ素子もしくは素子列よりも最外のアンテナ素子もしくは素子列の方が小さい
ことを特徴とする平面アレイアンテナ。
【請求項16】
請求項15において、
前記受信感度の重み付けが、前記最内のアンテナ素子もしくは素子列から前記最外のアンテナ素子もしくは素子列まで単調減少となっている
ことを特徴とする平面アレイアンテナ。
【請求項17】
請求項15において、
前記受信アレイアンテナは水平方向に2つ並んで配置され、
隣り合った前記受信アレイアンテナの水平方向の受信感度の重み付けは、前記最内のアンテナ素子もしくは天地方向に列を成すアンテナ素子列よりも、前記最外のアンテナ素子もしくは天地方向に列を成すアンテナ素子列の方が小さい
ことを特徴とする平面アレイアンテナ。
【請求項18】
請求項15において、
前記受信アレイアンテナの受信感度の重み付けを、前記受信アレイアンテナと同一の誘電体基板上の伝送線路で構成された電力分配器で行う
ことを特徴とする平面アレイアンテナ。
【請求項19】
請求項15において、
3以上の複数の前記受信アレイアンテナを備え、
前記複数の受信アレイアンテナは水平方向に並んで配置され、ある2つの受信アレイアンテナ間に境界線を想定して受信アレイアンテナを2つのグループに分けた時に、前記水平方向の受信感度の重み付けが前記最内のアンテナ素子もしくは天地方向に列を成すアンテナ素子列よりも、前記最外のアンテナ素子もしくは天地方向に列を成すアンテナ素子列の方が小さい
ことを特徴とする平面アレイアンテナ。
【請求項20】
請求項19において、
ある2つの受信アレイアンテナ間に境界線を想定して受信アレイアンテナを2つのグループに分けた時に、前記水平方向の受信感度の重み付けが前記最内のアンテナ素子もしくは天地方向に列を成すアンテナ素子列から、前記最外のアンテナ素子もしくは天地方向に列を成すアンテナ素子列まで単調減少となっている
ことを特徴とする平面アレイアンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−111750(P2008−111750A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−295605(P2006−295605)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】