説明

移動体通信システム、移動体端末、情報提供装置及び情報送信方法

【課題】 歩行者の位置情報を送信する回数を削減して歩行者が保有する端末の消費電力を削減する。
【解決手段】 情報提供装置に、単位領域101ごとに、携帯端末によって位置情報を送信する必要がある情報送信必要領域101a(○)又は携帯端末によって位置情報を送信する必要がない情報送信不必要領域101b(×)であることを示す情報送信判断情報を付加した簡易地図データ100を記憶しておく。携帯端末が、自己の位置情報を情報提供装置に送信すると、情報提供装置は、携帯端末の端末位置領域101cを含む簡易地図データ102を切り出した簡易地図データ102を携帯端末に送信する。携帯端末が、簡易地図データ102と自己の位置情報とを照合し、端末位置領域101cが情報送信必要領域101aである場合には位置情報の送信を許可し、端末位置領域101cが情報送信不必要領域101bである場合には位置情報の送信を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体端末の位置情報に応じて当該移動体に情報を提供することによって当該移動体の動作を制御する移動体通信システム及び情報送信方法、当該移動体通信システムを構成する移動体端末、情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、歩行者が存在する情報を車両の運転者に通知するために、歩行者が保有する端末から位置情報を送信させて、情報提供サーバによって歩行者の地図上の位置を認識する技術が知られている。このような技術においては、歩行者が持っている移動体端末からGPSによって自己の位置情報を生成し、移動体端末から情報提供サーバに定期的に位置情報を送信している。
【特許文献1】特許3549850号(段落番号0043を参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の技術では、情報提供サーバから車両の運転者に、車両の周囲の歩行者の存在を通知するためには、歩行者の位置情報を定期的に情報提供サーバに送信する構成が必要となっていた。このために、上述した技術では、位置情報を定期的に送信するために移動体端末の消費電力が増大してしまうという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、歩行者の位置情報を送信する回数を削減して歩行者が保有する端末の消費電力を削減することができる移動体通信システム及び情報送信方法、当該移動体通信システムを構成する移動体端末、情報提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る移動体通信システムは、移動体端末と情報提供装置とによって構成される。この情報提供装置は、地図情報記憶手段に、所定面積の単位領域によって格子状に区分され、当該単位領域ごとに移動体端末によって位置情報を送信する必要がある情報送信必要領域又は移動体端末によって位置情報を送信する必要がない情報送信不必要領域であることを示す情報送信判断情報を付加した地図情報を記憶しておく。そして、移動体端末が、自己の位置情報を取得して、当該位置情報を情報提供装置に送信すると、情報提供装置は、移動体端末の位置情報に相当する単位領域を含む地図情報を切り出して、当該切り出した地図情報を移動体端末に送信する。
【0006】
この移動体通信システムにおいては、移動体端末が、位置情報を情報提供装置に送信するか否かを判定する。このとき、移動体端末は、地図情報に含まれる単位領域と自己の位置情報とを照合して、自己の位置情報が含まれる単位領域に情報送信必要領域であることを示す情報送信判断情報が付加されていた場合には、位置情報の送信を許可し、自己の位置情報が含まれる単位領域に情報送信不必要領域であることを示す情報送信判断情報が付加されていた場合には、位置情報の送信を禁止する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る移動体通信システムによれば、移動体端末が情報提供装置に自己の位置情報を送信する必要がある場合であっても、地図情報に付加された情報送信判断情報を参照して、位置情報の送信を許可又は禁止されていることを判断でき、位置情報を送信するために必要な消費電力を削減することができる。したがって、移動体端末が歩行者の位置情報を送信する回数を削減して歩行者が保有する端末の消費電力を削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0009】
本発明は、例えば図1に示すように構成された情報提供システムに適用される。この移動体通信システムは、道路上の歩行者や自転車に乗った者などの存在を車両の運転者に通知することによって、車両の運転者に歩行者等に対する注意を促すためのものである。このために、移動体通信システムにおいては、歩行者等が保有する携帯端末1から情報提供サーバ2に携帯端末1の位置情報を送信し、情報提供サーバ2から車載装置3に、車載装置3によって歩行者等の存在を運転者に提示する情報を送信する。この携帯端末1と情報提供サーバ2との間の情報の授受及び情報提供サーバ2と車載装置3との間の情報の授受は、移動体通信網や有線公衆通信網の汎用通信回線等を含む広域通信網Nを介して行われる。なお、図1においては、単一の携帯端末1及び車載装置3を示しているが、情報提供サーバ2は、複数の携帯端末1及び複数の車載装置3との間で通信を行うことは勿論である。
【0010】
情報提供サーバ2は、広域通信網Nを介して携帯端末1及び車載装置3との間で情報を送受信する通信部11と、携帯端末1の分布を管理する端末分布管理部12と、地図データを記憶する地図記憶部13と、情報提供サーバ2全体の動作を制御する制御部14とを備える。なお、この情報提供サーバ2は、CPU、ROM、RAMなどを備えたコンピュータによるハードウエアで構成されているが、図2においては便宜的に機能ブロック毎に分けて、説明を行うものとする。
【0011】
通信部11は、広域通信網Nとの間で無線信号を授受するアンテナ回路、広域通信網Nに無線信号を送信する送信回路及び広域通信網Nから受信した無線信号を処理する受信回路を備えている。通信部11は、受信した無線信号をディジタル情報に変換して制御部14に供給すると共に、広域通信網Nに送信するディジタル情報が制御部14から供給された場合には無線信号を生成する。
【0012】
具体的には、通信部11は、広域通信網Nを介して携帯端末1から送信された位置情報及び地図情報の地図送信要求を受信すると共に、制御部14から供給された簡易地図データを携帯端末1に送信する。また、通信部11は、広域通信網Nを介して車載装置3から送信された位置情報及び地図情報の提示情報送信要求を受信すると共に、携帯端末1の存在を車載装置3が搭載された車両の運転者に提示するための提示情報を送信する。このような通信部11の動作は、制御部14における通信制御部14aによって制御される。
【0013】
なお、後述するが、情報提供サーバ2と携帯端末1との間で通信接続状態の確立、切断などの通信制御処理は、通信制御部14aが通信部11を制御することによって実現される。また、車載装置3が起動した時において、車載装置3との間で情報提供サーバ2が通信接続状態を確立させる処理も、通信制御部14aが通信部11を制御することによって実現する。
【0014】
端末分布管理部12は、複数の携帯端末1から送信された位置情報(端末位置情報)と、複数の車載装置3から送信された位置情報(車両位置情報)とを記憶する。この端末位置情報、車両位置情報は、それぞれ、経度緯度情報で表されている。この端末分布管理部12は、通信部11との間で通信接続状態が確立している複数の携帯端末1の位置を表す端末位置情報を記憶し、通信部11との間で通信接続状態が確立している複数の車載装置3の位置を表す車両位置情報を記憶するといった管理を行う。この端末分布管理部12は、後述の地図記憶部13に記憶された地図情報上に端末位置情報、車両位置情報を分布させた分布データを作成する。
【0015】
提供情報作成部14bは、端末分布管理部12によって作成されている分布データのうちの一部を切り出す処理を行って、各車載装置3に送信する提示情報を作成する。情報提供サーバ2には、例えば車載装置3の起動時又は定期的に、当該車載装置3周辺の携帯端末1の存在を取得する提示情報送信要求が送信される。提供情報作成部14bは、車載装置3の位置情報を含む提示情報送信要求が供給されると、当該位置情報を中心とした携帯端末1の分布状況を表す提示情報を作成する。そして、この提示情報は、通信制御部14aが通信部11を制御することによって、提示情報送信要求を送信した車載装置3に送信される。これによって、情報提供サーバ2は、車両の運転者に、車載装置3を搭載した車両位置情報と携帯端末1の端末位置情報とを相対的に提示することができる。
【0016】
地図記憶部13は、道路や交差点を表すリンクデータやノードデータを含み地図に含まれる地点を経度緯度情報として登録している詳細地図データと、当該詳細地図データを所定面積の単位領域によって格子状に区分した簡易地図データとを記憶している。この簡易地図データは、単位領域ごとに、携帯端末1によって端末位置情報を送信する必要がある情報送信必要領域又は携帯端末1によって端末位置情報を送信する必要がない情報送信不必要領域であることを示す情報送信判断情報を付加している。
【0017】
具体的には、図3に示すように、簡易地図データ100は、例えば一辺が数メートルから数10メートル程度の四角形の単位領域101を格子状に配列して構成されている。なお、単位領域101の形状は、六角形などであっても良い。各単位領域101は、図中の「○」で示す携帯端末1によって端末位置情報の送信を許可する情報送信判断情報が付加された情報送信必要領域101aと、図中の「×」で示す携帯端末1によって端末位置情報の送信する禁止する情報送信判断情報が付加された情報送信不必要領域101bとに区分されている。情報送信必要領域101aは、当該領域内に携帯端末1が存在する場合に、携帯端末1から端末位置情報の送信を許可させる領域である。情報送信不必要領域101bは、当該領域内に携帯端末1が存在する場合に、携帯端末1から端末位置情報の送信を禁止させる領域である。
【0018】
この簡易地図データ100は、携帯端末1が密集している地域又は携帯端末1が存在する可能性が低い地域に相当する単位領域101を情報送信不必要領域101bとし、そうでない単位領域101を情報送信必要領域101aとしている。すなわち、携帯端末1が多数存在する駅前や繁華街、公園等といったような明らかに歩行者がたくさんいる場所においては、携帯端末1から情報提供サーバ2への端末位置情報の送信を禁止し、車載装置3の運転者に個々の歩行者情報の提供をしなくする。また、海や山中、湖などの歩行者事故が起こる可能性が極めて低く、車両の運転者にとって歩行者情報の必要のない場所では、車載装置3に対して歩行者情報の提供をしなくするので、携帯端末1から情報提供サーバ2への端末位置情報の送信を禁止する。
【0019】
また、情報提供サーバ2は、地図作成部14cによって、地図記憶部13に記憶されている詳細地図データに含まれている地域の属性情報に基づいて携帯端末1が密集している地域又は携帯端末1が存在する可能性が低い地域を検出して、当該検出した地域に相当する単位領域101を、情報送信不必要領域101bに設定しても良い。また、例えば、昼夜といった時間帯に応じて情報送信必要領域101aと情報送信不必要領域101bとを切り換えるように設定してもよく、詳細地図データが更新された時などに、地図作成部14cによって自動的に新たな簡易地図データ100を作成することもできる。
【0020】
このような簡易地図データ100は、制御部14が動作することによって実現される地図作成部14cによって加工される。地図作成部14cは、通信部11によって受信された端末位置情報に相当する単位領域を含む簡易地図データ100の一部を切り出して、当該切り出した簡易地図データ100を通信部11によって携帯端末1に送信させる。例えば、図3に示すように、端末位置情報を含む単位領域101である端末位置領域101cを中心とした単位領域101の9個×9個分の簡易地図データ100を切り出して、一度に携帯端末1に送信する簡易地図データ102とされる。この地図作成部14cによって作成された送信用の簡易地図データ102は、通信制御部14aによって通信部11が制御されて、通信部11によって広域通信網Nを介して携帯端末1に送信される。
【0021】
携帯端末1は、図4に示すように、広域通信網Nを介して情報提供サーバ2との間で情報を送受信する通信部21と、携帯端末1自身の位置を特定する位置特定部22と、携帯端末1の位置情報の履歴情報を記憶する位置履歴記憶部23と、情報提供サーバ2から送信された簡易地図データ100を記憶する簡易地図記憶部24と、時刻情報を生成する時刻計測部25と、携帯端末1全体の動作を制御する制御部26とを備える。なお、この携帯端末1は、CPU、ROM、RAMなどを備えたコンピュータによるハードウエアで構成されているが、図4においては便宜的に機能ブロック毎に分けて、説明を行うものとする。
【0022】
通信部21は、広域通信網Nとの間で無線信号を授受するアンテナ回路、広域通信網Nに無線信号を送信する送信回路及び広域通信網Nから受信した無線信号を処理する受信回路を備えている。通信部21は、受信した無線信号をディジタル情報に変換して制御部26に供給すると共に、広域通信網Nに送信するディジタル情報が制御部26から供給された場合には無線信号を生成する。
【0023】
具体的には、通信部21は、広域通信網Nを介して自己の端末位置情報を情報提供サーバ2に送信すると共に、情報提供サーバ2から送信された簡易地図データ100を受信する。このような通信部21の動作は、制御部26における通信制御部26aによって制御される。なお、後述するが、情報提供サーバ2との間で通信接続状態の確立、切断などの通信制御処理は、通信制御部26aが通信部21を制御することによって実現される。
【0024】
位置特定部22は、GPS衛星から送信された電波を受信して、携帯端末1の位置を特定した位置情報を生成する。この端末位置情報は、制御部26に供給される。制御部26は、端末位置情報を位置履歴記憶部23に供給することによって、位置特定部22によって取得された端末位置情報を履歴として蓄積させる。
【0025】
位置履歴記憶部23は、位置特定部22によって取得されて、制御部26から出力された端末位置情報と時刻情報とを組にして時系列的に蓄積した位置履歴情報を記憶している。この位置履歴情報は、携帯端末1の移動方向、移動速度を算出するために、制御部26によって読み込まれる。
【0026】
簡易地図記憶部24は、情報提供サーバ2から送信されて制御部26から出力された簡易地図データ100を記憶する。この簡易地図データ100は、携帯端末1が端末位置情報を送信するに際して、制御部26によって参照される。
【0027】
時刻計測部25は、制御部26が処理を行うための時刻情報を生成する。この時刻情報は、制御部26によって読み込まれる。
【0028】
制御部26は、図示しないメモリに記憶したプログラムを実行することによって、要求判断部26b、位置送信判定部26c、GPS周期変更部26d、通信接続/切断判定部26eという機能的な構成を備える。
【0029】
要求判断部26bは、簡易地図記憶部24に記憶された簡易地図データ100を情報提供サーバ2に対して送信要求するか否かを判定する。このとき、要求判断部26bは、位置特定部22によって取得された現在の端末位置情報、位置履歴記憶部23に記憶された位置履歴情報を参照して、新たな簡易地図データ100が必要かを判断する。新たな簡易地図データ100が必要である場合には、通信制御部26aによって、簡易地図データ100を要求する地図情報送信要求を情報提供サーバ2に送信させる。
【0030】
位置送信判定部26cは、簡易地図記憶部24に記憶された簡易地図データ100と、位置特定部22によって取得された端末位置情報とを比較して、情報送信必要領域101aに存在する場合には当該端末位置情報を送信することを判定する。このように端末位置情報を送信することを判定した場合には、通信制御部26aによって、端末位置情報を情報提供サーバ2に送信させる。
【0031】
GPS周期変更部26dは、位置特定部22が端末位置情報を取得する周期を変更する。このとき、GPS周期変更部26dは、簡易地図記憶部24に記憶された簡易地図データ100、位置特定部22によって取得された現在の端末位置情報、位置履歴記憶部23に記憶された位置履歴情報を参照して、端末位置情報を取得する周期を演算する。端末位置情報を取得する周期を変更する場合には、位置特定部22にその旨の命令を出力して、位置特定部22の動作を制御する。
【0032】
通信接続/切断判定部26eは、通信部21が情報提供サーバ2と通信接続状態を確立させている状態(セッション状態)を制御するための通信接続/切断のタイミングを判定する。このとき、通信接続/切断判定部26eは、簡易地図記憶部24に記憶された簡易地図データ100、位置特定部22によって取得された現在の端末位置情報、位置履歴記憶部23に記憶された位置履歴情報を参照して、情報提供サーバ2との間の通信接続状態を確立又は切断する命令を通信制御部26aに与えて、通信制御部26aによって通信部21と情報提供サーバ2との通信接続状態を制御させる。
【0033】
車載装置3は、図5に示すように、広域通信網Nを介して情報提供サーバ2との間で情報を送受信する通信部31と、車載装置3自身の位置を特定する位置特定部32と、各種情報を提供する情報提供部33と、車載装置3全体の動作を制御する制御部34とを備える。なお、この車載装置3は、CPU、ROM、RAMなどを備えたコンピュータによるハードウエアで構成されているが、図5においては便宜的に機能ブロック毎に分けて、説明を行うものとする。
【0034】
通信部31は、広域通信網Nとの間で無線信号を授受するアンテナ回路、広域通信網Nに無線信号を送信する送信回路及び広域通信網Nから受信した無線信号を処理する受信回路を備えている。通信部31は、受信した無線信号をディジタル情報に変換して制御部34に供給すると共に、広域通信網Nに送信するディジタル情報が制御部34から供給された場合には無線信号を生成する。
【0035】
具体的には、通信部31は、広域通信網Nを介して自己の車両位置情報を情報提供サーバ2に送信すると共に、情報提供サーバ2から送信された提示情報を受信する。このような通信部31の動作は、制御部34によって制御される。なお、情報提供サーバ2との間で通信接続状態の確立、切断などの通信制御処理は、車両の起動時などにおいて、制御部34が通信部31を制御することによって実現される。
【0036】
位置特定部32は、GPS衛星から送信された電波を受信して、車両の位置を特定した車両位置情報を生成する。この車両位置情報は、制御部34に供給され、通信部31を介して情報提供サーバ2に供給される。
【0037】
制御部34は、図示しないメモリに記憶したプログラムを実行することによって、提供情報処理部34a、情報提供判定部34bという機能的な構成を備える。この制御部34は、提供情報処理部34aによって、位置特定部32によって取得した車両位置情報を通信部31によって情報提供サーバ2に送信させる。そして、提供情報処理部34aは、送信した車両位置を含み、地図情報上に端末位置情報を分布させた分布データを受信する。この分布データは、例えば車両位置を略中心位置とし、1キロメートル四方の地図サイズ程度である。
【0038】
情報提供部33は、運転者が視認可能なディスプレイ装置や、音声を運転者に提示する音響出力装置などからなる。また、情報提供部33は、運転者等の操作を検出する入力デバイスを含んでいても良い。
【0039】
制御部34は、情報提供部33によって分布データを表示させる命令を入力した場合には、情報提供判定部34bによって、情報提供部33のディスプレイ装置に分布データを表示させる。また、制御部34は、位置特定部32によって取得した車両位置情報と、分布データに含まれる端末位置情報とを比較して、車両位置から端末位置までの距離が所定距離内となった場合に、情報提供判定部34bによって分布データを表示させる判定しても良く、情報提供判定部34bによって歩行者が存在していること伝える音声を出力して、運転者に通知しても良い。
【0040】
このように、移動体通信システムは、携帯端末1によって端末位置情報を情報提供サーバ2に送信し、情報提供サーバ2によって端末位置情報の分布を表す分布データを作成しておく。これによって、移動体通信システムによれば、車載装置3から情報提供サーバ2に車両位置情報が送信された場合には、車載装置3に分布データを提供して、車両の運転者に携帯端末1を保有する歩行者の位置を提示することができる。
【0041】
つぎに、上述したように構成された移動体通信システムにおいて、歩行者の位置を表す端末位置情報を送信する回数を削減して歩行者が保有する携帯端末1の消費電力を削減するための処理手順について、図6を参照して説明する。なお、この図6に示す処理は、所定の演算周期ごとに実施されるものである。
【0042】
先ず、ステップS1においては、携帯端末1の位置特定部22によって、GPS電波を受信して、携帯端末1の緯度経度情報である端末位置情報を生成すると共に時刻計測部25によって現在の時刻情報を生成する。
【0043】
次のステップS2においては、携帯端末1の通信制御部26aによって、情報提供サーバ2との間で通信接続状態が確立されているか否かを判定する。情報提供サーバ2との間で通信接続状態が確立している場合には、ステップS6に処理を進め、情報提供サーバ2との間で通信接続状態が確立していない場合には、ステップS3に処理を進める。
【0044】
ステップS3においては、携帯端末1の通信接続/切断判定部26eによって、情報提供サーバ2との間で通信接続状態が確立させるか否かの判定処理を行う。このとき、通信接続/切断判定部26eは、簡易地図記憶部24に記憶されている簡易地図データ100における情報送信必要領域101a、情報送信不必要領域101bと、現在の端末位置情報とから、情報提供サーバ2との間で通信接続状態を確立させるか否かを判定する。
【0045】
なお、携帯端末1に電源を投入した時、又は、端末位置情報を情報提供サーバ2に送信して車両の運転者に提示するアプリケーションを起動した時以外において、情報提供サーバ2との間で通信接続状態が確立されていない場合とは、後述するように、携帯端末1の消費電力の低減を図るために、一時的に、情報提供サーバ2との間での通信接続を切断した場合である。したがって、この場合においては、後述のステップS3において用いる簡易地図データ102は簡易地図記憶部24に記憶している。
【0046】
また、この情報提供サーバ2との間で通信接続状態を確立するか否かを判定する処理は、携帯端末1に電源を投入した時、又は、端末位置情報を情報提供サーバ2に送信して車両の運転者に提示するアプリケーションを起動した時においては、自動的にステップS5へと処理を進めることになる。
【0047】
例えば、図7に示すように、情報提供サーバ2から送信された簡易地図データ102のうちの自己が存在する端末位置領域101cから最も距離が短い情報送信必要領域101aを検索する。ここで、携帯端末1が情報提供サーバ2に通信接続状態の確立要求を送信して、実際に通信接続状態が確立するために必要な最大限の時間は20秒程度であり、歩行者の歩行速度を4km/hour程度とし、単位領域101の一辺が10メートル程度であるとすると、通信接続状態が確立するまでに歩行者が移動する単位領域101の最大値は、2個分となる。したがって、通信接続/切断判定部26eは、図7に示すように、端末位置領域101cから上下方向及び左右方向に3個分の単位領域101を検索領域103に設定し、当該検索領域103内に情報送信必要領域101aが存在するか否かを判定する。
【0048】
そして、次のステップS4においては、通信接続/切断判定部26eによって検索領域103に情報送信必要領域101aが存在すると判定した場合には、情報提供サーバ2との間で通信接続状態を確立すると判定して、ステップS5に処理を進める。一方、端末位置領域101cから最も距離が短い情報送信必要領域101aまでの距離が単位領域101の4個分以上である場合のように、検索領域103内に情報送信必要領域101aが存在しないと判定した場合には処理を終了する。
【0049】
また、このステップS3においては、図8中の矢印で示すような携帯端末1の移動方向に基づいて、通信接続/切断判定部26eによって、端末位置領域101cから最も距離が短い情報送信必要領域101aまでの距離を算出しても良い。この場合、通信接続/切断判定部26eは、位置履歴記憶部23に記憶された端末位置情報の変化から携帯端末1の移動方向を求め、現在の端末位置領域101cから移動方向への3個分の単位領域101を検索領域103とする。最も距離が短い情報送信必要領域101aの位置を求める。そして、通信接続/切断判定部26eによって検索領域103内に情報送信必要領域101aが存在すると判定した場合には、ステップS4からステップS5に処理を進め、検索領域103内に情報送信必要領域101aが存在しないと判定した場合には処理を終了する。
【0050】
このように、携帯端末1の移動方向を求める処理は、過去の端末位置情報の履歴からの差分を取って算出するが、この参照する過去履歴としては、移動方向を求める直前に取得された端末位置情報と最新の端末位置情報のみであっても良く、更に多くの端末位置情報を用いても良い。また、通信接続/切断判定部26eによって算出された移動方向と実際の端末位置の移動方向が異なる可能性もあるので、通信接続/切断判定部26eによって算出された移動方向を中心として、±約30度の角度範囲を移動範囲としても良い。そして、この移動範囲に情報送信必要領域101aが含まれている場合には、情報提供サーバ2との間で通信接続状態を確立すると判定する。
【0051】
次のステップS5においては、通信制御部14aによって、携帯端末1が情報提供サーバ2に通信接続状態を確立させるためのID情報等を含む通信接続要求を通信部11から送信させて、情報提供サーバ2との間で認証処理等を行って通信接続状態を確立させる。
【0052】
次のステップS6においては、制御部26によって、簡易地図記憶部24に、現在の端末位置情報を含む簡易地図データ102が記憶されているか否かを判定する。このとき、制御部26は、簡易地図記憶部24に簡易地図データ102が記憶されており、当該簡易地図データ102に自己の端末位置情報が含まれている場合には、ステップS8に処理を進め、そうではない場合にはステップS7に処理を進める。このように、携帯端末1は、情報提供サーバ2から送信された簡易地図データ102に含まれる単位領域101に自己の端末位置情報が含まれている場合には、当該簡易地図データ102を用いて、後述するような自己の端末位置情報の送信を許可又は禁止して、新たな簡易地図データ102を要求しない。
【0053】
ステップS7においては、位置特定部22によって取得した現在の端末位置情報を送信して、処理を終了する。このように端末位置情報を情報提供サーバ2に送信することによって、携帯端末1は、ステップS8において、送信した端末位置情報を端末位置領域101cとして含む簡易地図データ102を受信して、簡易地図記憶部24に記憶させることができる。
【0054】
このとき、情報提供サーバ2は、通信部11によって端末位置情報を受信したことに応じて、地図作成部14cによって、地図記憶部13に記憶させている簡易地図データ100から当該端末位置情報を端末位置領域101cとして含む簡易地図データ102を作成して、携帯端末1に送信する。
【0055】
ステップS9において、制御部26の要求判断部26bによって、新たな簡易地図データ102の要求をするか否かを判定する。このとき、要求判断部26bは、位置特定部22によって特定された端末位置情報と、簡易地図記憶部24に記憶している簡易地図データ102の端部との距離が所定距離N1以内であって、端末位置領域101cが簡易地図データ102の端部付近であると判定できる場合に、新たな簡易地図データ102を要求することを判定する。
【0056】
例えば、図9に示すように、簡易地図データ102における端部から1個分の単位領域101だけ内側が端末位置領域101cであり、所定距離N1を2個分の単位領域101としていた場合には、簡易地図データ102の外に端末位置情報が移動してしまい、端末位置情報を送信するかの判定や、後述の端末位置情報を演算する周期を変更する判定ができなくなってしまう恐れがある。そこで、携帯端末1は、端末位置情報が簡易地図データ102よりも外側となる前に、新たな簡易地図データ102を取得するために、自己の端末位置情報を含む地図情報送信要求を情報提供サーバ2に送信する。
【0057】
例えば、歩行者の移動速度を4km/hour程度とし、携帯端末1における図6の演算処理周期(すなわち端末位置情報を送信するかを判定する周期)をT秒とすると、1演算処理周期に1.1×Tメートルだけ端末位置情報が移動する可能性がある。そして、単位領域101の1辺の長さをLとすると、
(1.1×T)÷L>N−1
という演算式において、簡易地図データ102の端部から端末位置領域101cまでの間にN(上記式を満たす最大の単位領域101数)個以下の単位領域101しかない場合には、新たな簡易地図データ102を要求する。一方、簡易地図データ102の端部から端末位置領域101cまでにN個よりも大きい数の単位領域101がある場合には、新たな簡易地図データ102を要求しない。
【0058】
次のステップS10において、要求判断部26bによって、ステップS9において新たな簡易地図データ102を要求すると判定した場合には、ステップS7において、端末位置情報の送信を行って処理を終了する。一方、要求判断部26bによって新たな簡易地図データ102を要求しないと判定した場合にはステップS11に処理を進める。
【0059】
ステップS11においては、位置送信判定部26cによって、位置特定部22が取得した端末位置情報と、簡易地図記憶部24に記憶された簡易地図データ102とを照合し、自己の端末位置情報における情報送信判断情報を参照して、現在の端末位置領域101cが情報送信必要領域101aか情報送信不必要領域101bかを判定する。現在の端末位置領域101cが情報送信必要領域101aである場合にはステップS12に処理を進め、現在の端末位置領域101cが情報送信不必要領域101bである場合にはステップS14に処理を進める。
【0060】
ステップS12においては、位置送信判定部26cによって、携帯端末1が存在する端末位置領域101cが情報送信必要領域101aではあるものの、自己の端末位置情報を情報提供サーバ2に送信するか否かを判定する。通常、情報送信必要領域101aに存在する時には、端末位置情報を情報提供サーバ2へ送信するが、所定の場合に限り、端末位置情報を送信しないこととする。
【0061】
位置送信判定部26cは、例えば、図10に示すような移動方向に端末位置情報が変化している場合において、当該移動方向において端末位置領域101cを除いて最も距離が短い情報送信必要領域101aまでの距離を算出する。そして、情報送信必要領域101aまでの距離が所定の距離N2以上である場合には、現状の移動方向に端末位置情報が変化しても、情報送信不必要領域101bに進入することとなるので、端末位置情報を送信する処理を禁止する。なお、端末位置情報の移動方向の算出処理又は移動方向の推定範囲は、上述した処理と同様となる。
【0062】
次のステップS13においては、位置送信判定部26cによって、ステップS12の判定処理によって、端末位置情報を送信すると判定した場合にはステップS7において端末位置情報を送信し、ステップS12の判定処理において端末位置情報を送信しないと判定した場合にはステップS14に処理を進める。
【0063】
ステップS14においては、GPS周期変更部26dによって、簡易地図記憶部24に記憶された簡易地図データ102を構成する単位領域101の情報送信判断情報に基づいて、位置履歴記憶部23が自己の端末位置情報を取得する周期を変更するかを判定する。
【0064】
このとき、GPS周期変更部26dは、自己の端末位置情報が情報送信不必要領域101bである場合に、自己の端末位置情報から最も距離が短い情報送信必要領域101aに到達するまでの時間に基づいて、位置特定部22が自己の端末位置情報を取得する周期を長くする。例えば図11に示すように、端末位置領域101cが含まれる簡易地図データ102において、端末位置領域101cから最も距離が短い情報送信必要領域101aを検索し、当該情報送信必要領域101aまでの距離と歩行者の歩行速度とに基づいて、次に端末位置情報を取得するまでの周期を決定する。図11に示す例においては、単位領域101の一辺の長さが10メートル、最も近い情報送信必要領域101aまでの単位領域101の数が5個分であるとした場合には、最も近い情報送信必要領域101aまでの距離が50メートルとなる。そして、歩行者の歩行速度が4km/hourとすると、最も近い情報送信必要領域101aまで歩行者が到達するまでの時間は45秒となる。したがってGPS周期変更部26dは、次回に端末位置情報を演算するまでの周期を45秒に延長することができる。
【0065】
また、GPS周期変更部26dは、自己の端末位置情報が情報送信不必要領域101bである場合に、現在の移動方向を考慮して、自己の端末位置情報から最も距離が短い情報送信必要領域101aに到達するまでの時間に基づいて、自己の端末位置情報を取得する周期を長くしても良い。GPS周期変更部26dは、位置履歴記憶部23に記憶された端末位置情報を用いて、例えば図12に示すような移動方向を算出し、当該移動方向において最も近い情報送信必要領域101aまでの距離104を算出する。そして、最も近い情報送信必要領域101aまでの距離104、歩行者の歩行速度、単位領域101の一辺の長さから、端末位置情報が情報送信必要領域101aに到達するまでの時間を求めて、次回に端末位置情報を演算するまでの周期を延長することができる。
【0066】
更に、GPS周期変更部26dは、ステップS13において自己の端末位置情報が情報送信必要領域101aであっても、現在の移動方向からの移動先に連続して情報送信不必要領域101bがあるために、端末位置情報を送信しなかった場合においても、当該情報送信不必要領域101bを移動する時間を求めて、自己の端末位置情報を取得する周期に設定することによって、端末位置情報を演算する周期を延長することになる。
【0067】
なお、このステップS14において端末位置情報の演算周期を変更する処理は、情報送信不必要領域101bが連続している場合とする。したがって、端末位置領域101cの周囲に情報送信必要領域101aが多く、情報送信不必要領域101bが点在しているような場合には、基本的には端末位置情報が必要な場合が多いために、端末位置情報を演算する周期を変更せずに、簡易地図データ102に付加された情報送信判断情報に従って端末位置情報を演算送信することが望ましい。
【0068】
次のステップS15においては、通信接続/切断判定部26eによって、ステップS14において決定した端末位置情報を演算する周期に基づいて、情報提供サーバ2と携帯端末1との通信接続状態を切断するか否かを判定する。すなわち、通信接続/切断判定部26eは、自己の端末位置情報が情報送信不必要領域101bである場合に、自己の端末位置情報から最も距離が短い情報送信必要領域101aに到達するまでの時間だけ、通信接続状態を切断する。又は、通信接続/切断判定部26eは、自己の端末位置情報が情報送信不必要領域101bである場合に、現在の移動方向において自己の端末位置情報から最も距離が短い情報送信必要領域101aに到達するまでの時間だけ通信接続状態を切断する。更に、通信接続/切断判定部26eは、自己の端末位置情報が前記情報送信必要領域101aである場合に、現在の移動方向からの移動先に連続して情報送信不必要領域101bがある場合には、当該情報送信不必要領域101bを移動する時間だけ通信接続状態を切断する。
【0069】
そして、次のステップS16においては、通信接続/切断判定部26eによって、ステップS15において通信接続状態を切断すると判定した時間だけ、通信接続状態を切断すると判定し、ステップS17において、通信制御部26aによって情報提供サーバ2との間の通信接続状態を切断するように通信部11を制御する。
【0070】
このように携帯端末1と情報提供サーバ2との通信接続状態を切断した場合、次のステップS2における判定が否定判定となり、ステップS3において、通信接続/切断判定部26eによって、自己の端末位置情報が情報送信必要領域101aに近づいたと判定した場合に、情報提供サーバ2との通信接続状態を確立することとなる。
【0071】
以上詳細に説明したように、本発明を適用した移動体通信システムによれば、端末位置情報を携帯端末1から情報提供サーバ2に送信させて、情報提供サーバ2から送信された簡易地図データ102を携帯端末1によって受信した場合に、当該受信した簡易地図データ102に含まれる単位領域101と端末位置領域101cとを照合して、端末位置領域101cが情報送信必要領域101aである場合には、端末位置情報の送信を許可し、端末位置領域101cが情報送信不必要領域101bである場合には、端末位置情報の送信を禁止するので、車両側によって周囲の歩行者の存在を認識させるために、常に携帯端末1から端末位置情報を送信する必要がない。したがって、この移動体通信システムによれば、携帯端末1が端末位置情報を送信する頻度を低くすることができ、携帯端末1を抑制することができる。また、携帯端末1の通信データ量も低減できる。
【0072】
また、この移動体通信システムによれば、携帯端末1から情報提供サーバ2に送信する端末位置情報が少なくなり、情報提供サーバ2における端末位置情報の処理データ量、情報提供サーバ2が携帯端末1の分布を管理する処理量を低減することができる。
【0073】
更に、この移動体通信システムによれば、携帯端末1内に情報送信必要領域101aと情報送信不必要領域101bとを区別する地図情報を記憶しておく必要がないので、携帯端末1に大きなメモリを設ける必要がない。
【0074】
更にまた、この移動体通信システムによれば、情報提供サーバ2から送信された簡易地図データ102に自己の端末位置情報が含まれている場合には、当該簡易地図データ102を使用し続けるので、携帯端末1が新たな簡易地図データ102を受信する頻度を低減でき、簡易地図データ102を受信することによる消費電力を抑制することができ、更には、携帯端末1の通信データ量を抑制できる。
【0075】
更にまた、この移動体通信システムによれば、情報提供サーバ2から送信された簡易地図データ102における端部付近に自己の端末位置情報が含まれている場合に、地図情報送信要求を携帯端末1から情報提供サーバ2に送信するので、仮に端末位置情報が簡易地図データ102の範囲外になった場合であっても、続けて携帯端末1によって簡易地図データ102を受信して端末位置情報を送信するかの判断を行うことができ、総合的に携帯端末1の消費電力を低減することができる。また、通信データ容量を低減できる。
【0076】
更にまた、この移動体通信システムによれば、簡易地図データ100として、携帯端末1が密集している地域又は携帯端末1が存在する可能性が低い地域に相当する単位領域101を情報送信不必要領域101bとしたので、駅前や繁華街といった明らかに人が密集している場所で運転者に歩行者情報を提供することを回避して、歩行者情報が頻繁に通知されるといった煩わしさを低減することができる。また、海や山など歩行者事故が起こる可能性が極めて低く、歩行者情報を提示する必要のない場所で歩行者情報の提示を停止することによってシステムの信頼性を向上させることができる。
【0077】
更にまた、この移動体通信システムによれば、詳細な地図情報に含まれている繁華街や駅前地帯といった地域の属性情報に基づいて携帯端末1が密集している地域又は携帯端末1が存在する可能性が低い地域を検出して情報送信不必要領域101bを設定することができるので、簡易地図データ102を情報提供サーバ2によって一括して管理することにより、地図情報の変更による情報送信必要領域101aと情報送信不必要領域101bとの変更を一元管理することが可能になる。
【0078】
更にまた、この移動体通信システムによれば、端末位置領域101c周辺が情報送信不必要領域101bであるか、情報送信必要領域101aかであるかによって自己の端末位置情報を取得する周期を変更することができるので、更に携帯端末1の消費電力を低減することができる。
【0079】
更にまた、この移動体通信システムによれば、端末位置領域101cが情報送信不必要領域101bである場合に、自己の端末位置情報から最も距離が短い情報送信必要領域101aに到達するまでの時間に基づいて、自己の端末位置情報を取得する周期を長くするので、位置特定部22によってGPS電波を受信して演算する周期を長くして、携帯端末1の消費電力を低減でき、更には、GPS電波を受信するために要する通信データ容量を低減できる。更にまた、この移動体通信システムによれば、端末位置情報を演算する周期を長くすると共に、情報提供サーバ2との通信接続状態を切断することができるので、更に携帯端末1の消費電力を低減することができる。
【0080】
更にまた、この移動体通信システムによれば、端末位置領域101cが情報送信不必要領域101bである場合に、現在の移動方向において端末位置領域101cから最も距離が短い情報送信必要領域101aに到達するまでの時間に基づいて、自己の端末位置情報を取得する周期を長くすることができるので、位置特定部22によってGPS電波を受信して演算する周期を更に長くして、携帯端末1の消費電力を低減でき、更には、GPS電波を受信するために要する通信データ容量を低減できる。更にまた、この移動体通信システムによれば、端末位置情報を演算する周期を長くすると共に、情報提供サーバ2との通信接続状態を切断することができるので、更に携帯端末1の消費電力を低減することができる。
【0081】
更にまた、この移動体通信システムによれば、端末位置領域101cが情報送信必要領域101aであったとしても、現在の移動方向からの移動先に連続して情報送信不必要領域101bがある場合には、当該情報送信不必要領域101bを移動する時間に基づいて、自己の端末位置情報を取得する周期を長くすることができるので、位置特定部22によってGPS電波を受信して演算する周期を更に長くして、携帯端末1の消費電力を低減でき、更には、GPS電波を受信するために要する通信データ容量を低減できる。更にまた、この移動体通信システムによれば、端末位置情報を演算する周期を長くすると共に、情報提供サーバ2との通信接続状態を切断することができるので、更に携帯端末1の消費電力を低減することができる。
【0082】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明を適用した移動体通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した移動体通信システムにおいて情報提供サーバの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明を適用した移動体通信システムにおける簡易地図データを示す図である。
【図4】本発明を適用した移動体通信システムにおける携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明を適用した移動体通信システムにおける車載装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【図6】本発明を適用した移動体通信システムにおいて携帯端末が消費電力を低減するための処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明を適用した移動体通信システムにおいて、携帯端末の移動方向を考慮せずに、情報提供サーバとの通信接続状態を確立するかを判定するための簡易地図データを示す図である。
【図8】本発明を適用した移動体通信システムにおいて、携帯端末の移動方向を考慮して、情報提供サーバとの通信接続状態を確立するかを判定するための簡易地図データを示す図である。
【図9】本発明を適用した移動体通信システムにおいて、簡易地図データの端部において新たな簡易地図データを要求する処理を説明するために、簡易地図データを示す図である。
【図10】本発明を適用した移動体通信システムにおいて、端末位置領域が情報送信必要領域となっているものの自己の端末位置情報を送信しない処理を説明するために、簡易地図データを示す図である。
【図11】本発明を適用した移動体通信システムにおいて、携帯端末の移動方向を考慮せずに、端末位置情報の演算周期を算出する処理を説明するために、簡易地図データを示す図である。
【図12】本発明を適用した移動体通信システムにおいて、携帯端末の移動方向を考慮して、端末位置情報の演算周期を算出する処理を説明するために、簡易地図データを示す図である。
【符号の説明】
【0084】
1 携帯端末
2 情報提供サーバ
3 車載装置
11 通信部
12 端末分布管理部
13 地図記憶部
14 制御部
14a 通信制御部
14b 提供情報作成部
14c 地図作成部
21 通信部
22 位置特定部
23 位置履歴記憶部
24 簡易地図記憶部
25 時刻計測部
26 制御部
26a 通信制御部
26b 要求判断部
26c 位置送信判定部
26d GPS周期変更部
26e 通信接続/切断判定部
31 通信部
32 位置特定部
33 情報提供部
34 制御部
34a 提供情報処理部
34b 情報提供判定部
100 簡易地図データ
101 単位領域
101a 情報送信必要領域
101b 情報送信不必要領域
101c 端末位置領域
102 簡易地図データ
103 検索領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体端末と情報提供装置との間で情報を送受信する移動体通信システムにおいて、
前記情報提供装置は、
前記移動体端末との間で通信回線を介して情報の送受信を行う通信手段と、
所定面積の単位領域によって格子状に区分され、当該単位領域ごとに前記移動体端末によって位置情報を送信する必要がある情報送信必要領域又は前記移動体端末によって位置情報を送信する必要がない情報送信不必要領域であることを示す情報送信判断情報を付加した地図情報を記憶する地図情報記憶手段と
前記通信手段によって受信された前記移動体端末の位置情報に相当する単位領域を含む地図情報を切り出して、当該切り出した地図情報を前記通信手段によって前記移動体端末に送信させる送信制御手段とを備え、
前記移動体端末は、
自己の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段によって取得した位置情報を前記情報提供装置に送信すると共に、前記情報提供装置から送信された地図情報を受信する通信手段と、
前記位置情報取得手段によって取得した位置情報を前記情報提供装置に送信するか否かを判定する制御手段とを備え、
前記移動体端末の制御手段は、前記位置情報取得手段によって取得された位置情報を前記情報提供装置に送信させて、前記情報提供装置から送信された地図情報を受信した場合に、当該受信した地図情報に含まれる単位領域と前記位置情報取得手段によって取得された位置情報とを照合して、自己の位置情報が含まれる単位領域に情報送信必要領域であることを示す情報送信判断情報が付加されていた場合には、前記位置情報取得手段によって取得された位置情報の送信を許可し、自己の位置情報が含まれる単位領域に情報送信不必要領域であることを示す情報送信判断情報が付加されていた場合には、前記位置情報取得手段によって取得された位置情報の送信を禁止することを特徴とする移動体通信システム。
【請求項2】
前記移動体端末は、前記制御手段によって、前記情報提供装置から送信された地図情報に含まれる単位領域に前記自己の位置情報が含まれている場合には、当該地図情報を用いて、自己の位置情報の送信を許可又は禁止することを特徴とする請求項1に記載の移動体通信システム。
【請求項3】
前記移動体端末は、前記情報提供装置から送信された地図情報における端部付近に前記自己の位置情報が含まれている場合に、前記通信手段によって前記自己の位置情報を含む地図情報の送信要求を前記情報提供装置に送信し、
前記情報提供装置は、前記送信要求に含まれる前記移動体端末の位置情報に相当する単位領域を含む地図情報を切り出して、当該切り出した地図情報を前記移動体端末に送信させること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移動体通信システム。
【請求項4】
前記情報提供装置の地図情報記憶手段に記憶されている地図情報は、前記移動体端末が密集している地域又は前記移動体端末が存在する可能性が低い地域に相当する単位領域に、前記情報送信不必要領域であることを示す情報送信判断情報を付加したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の移動体通信システム。
【請求項5】
前記情報提供装置は、前記地図情報記憶手段に記憶されている地図情報に含まれている地域の属性情報に基づいて前記移動体端末が密集している地域又は前記移動体端末が存在する可能性が低い地域を検出し、当該検出した地域に相当する単位領域に、前記情報送信不必要領域であることを示す情報送信判断情報を付加する地図作成手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の移動体通信システム。
【請求項6】
前記移動体端末は、自己の位置情報が含まれる単位領域の周辺の単位領域に付加された情報送信判断情報に基づいて、前記位置情報取得手段が自己の位置情報を取得する周期を変更することを特徴とする請求項1に記載の移動体通信システム。
【請求項7】
前記移動体端末は、自己の現在位置が前記情報送信不必要領域である場合に、自己の現在位置から最も距離が短い情報送信必要領域に到達するまでの時間に基づいて、前記位置情報取得手段が自己の位置情報を取得する周期を長くすることを特徴とする請求項6に記載の移動体通信システム。
【請求項8】
前記移動体端末は、自己の現在位置が前記情報送信不必要領域である場合に、自己の現在位置から最も距離が短い情報送信必要領域に到達するまでの時間に基づいて、前記情報提供装置との通信接続状態を切断し、自己の現在位置が前記情報送信必要領域に近づいた場合に前記情報提供装置との通信接続状態を確立することを特徴とする請求項7に記載の移動体通信システム。
【請求項9】
前記移動体端末は、自己の現在位置が前記情報送信不必要領域である場合に、現在の移動方向において自己の現在位置から最も距離が短い情報送信必要領域に到達するまでの時間に基づいて、前記位置情報取得手段が自己の位置情報を取得する周期を長くすることを特徴とする請求項6に記載の移動体通信システム。
【請求項10】
前記移動体端末は、自己の現在位置が前記情報送信不必要領域である場合に、現在の移動方向において自己の現在位置から最も距離が短い情報送信必要領域に到達するまでの時間に基づいて、前記情報提供装置との通信接続状態を切断し、自己の現在位置が前記情報送信必要領域に近づいた場合に前記情報提供装置との通信接続状態を確立することを特徴とする請求項9に記載の移動体通信システム。
【請求項11】
前記移動体端末は、自己の現在位置が前記情報送信必要領域である場合に、現在の移動方向からの移動先に連続して前記情報送信不必要領域がある場合には、当該情報送信不必要領域を移動する時間に基づいて、前記位置情報取得手段が自己の位置情報を取得する周期を長くすることを特徴とする請求項6に記載の移動体通信システム。
【請求項12】
前記移動体端末は、自己の現在位置が前記情報送信必要領域である場合に、現在の移動方向からの移動先に連続して前記情報送信不必要領域がある場合には、当該情報送信不必要領域を移動する時間に基づいて、前記情報提供装置との通信接続状態を切断し、自己の現在位置が前記情報送信必要領域に近づいた場合に前記情報提供装置との通信接続状態を確立することを特徴とする請求項11に記載の移動体通信システム。
【請求項13】
情報提供装置との間で情報を送受信する移動体端末において、
自己の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報取得手段によって取得した位置情報を前記情報提供装置に送信すると共に、前記情報提供装置から送信された地図情報を受信する通信手段と、
前記位置情報取得手段によって取得した位置情報を前記情報提供装置に送信するか否かを判定する制御手段とを備え、
前記地図情報は、所定面積の単位領域によって格子状に区分され、当該単位領域ごとに前記移動体端末によって位置情報を送信する必要がある情報送信必要領域又は前記移動体端末によって位置情報を送信する必要がない情報送信不必要領域であることを示す情報送信判断情報を付加した地図情報であり、
前記制御手段は、前記位置情報取得手段によって取得された位置情報を前記情報提供装置に送信させて、前記情報提供装置から送信された地図情報を受信した場合に、当該受信した地図情報に含まれる単位領域と前記位置情報取得手段によって取得された位置情報とを照合して、自己の位置情報が含まれる単位領域に情報送信必要領域であることを示す情報送信判断情報が付加されていた場合には、前記位置情報取得手段によって取得された位置情報の送信を許可し、自己の位置情報が含まれる単位領域に情報送信不必要領域であることを示す情報送信判断情報が付加されていた場合には、前記位置情報取得手段によって取得された位置情報の送信を禁止することを特徴とする移動体端末。
【請求項14】
移動体端末との間で情報を送受信する情報提供装置において、
前記移動体端末との間で通信回線を介して情報の送受信を行う通信手段と、
所定面積の単位領域によって格子状に区分され、当該単位領域ごとに前記移動体端末によって位置情報を送信する必要がある情報送信必要領域又は前記移動体端末によって位置情報を送信する必要がない情報送信不必要領域であることを示す情報送信判断情報を付加した地図情報を記憶する地図情報記憶手段と
前記通信手段によって受信された前記移動体端末の位置情報に相当する単位領域を含む地図情報を切り出して、当該切り出した地図情報を前記通信手段によって前記移動体端末に送信させる送信制御手段と
を備えることを特徴とする情報提供装置。
【請求項15】
移動体端末が情報提供装置に情報を送信する情報送信方法において、
自己の位置情報を取得するステップと、
前記取得した位置情報を前記情報提供装置に送信すると判定した時に、前記取得した位置情報を前記情報提供装置に送信するステップと、
所定面積の単位領域によって格子状に区分され、当該単位領域ごとに前記位置情報を送信する必要がある情報送信必要領域又は前記位置情報を送信する必要がない情報送信不必要領域であることを示す情報送信判断情報を付加した地図情報を前記情報提供装置から受信するステップとを有し、
前記位置情報を送信するステップは、前記地図情報に含まれる単位領域と前記位置情報とを照合して、自己の位置情報が含まれる単位領域に情報送信必要領域であることを示す情報送信判断情報が付加されていた場合には、前記位置情報の送信を許可し、自己の位置情報が含まれる単位領域に情報送信不必要領域であることを示す情報送信判断情報が付加されていた場合には、前記位置情報の送信を禁止することを特徴とする情報送信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−88775(P2009−88775A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−253452(P2007−253452)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】