説明

移動物体上のシンボル認識システム

【課題】 移動物体上のバーコードや2次元バーコードのみでなく、文字や記号等も認識可能な移動物体上のシンボル認識システムを提供する。
【解決手段】 CCDカメラ(1)により移動物体上に付与されたシンボルを認識するシンボル認識システムであって、
前記移動物体の位置を検知する位置検知センサー(4)の出力をコンピュータ(5)に取込み、該コンピュータにより前記移動物体上のシンボルに前記CCDカメラのフォーカスを制御するオートフォーカス手段(3)と、前記移動物体の検知(6)に応じて、前記CCDカメラの撮影したシンボル画像を前記コンピュータに取り込む撮影画像取込み手段(2)と、前記前記コンピュータにより前記撮影画像に対する文字認識を実行する文字認識処理手段(5)とを備える移動物体上のシンボル認識システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場等においてコンベア上を移動する移動物体に貼られた、製品の種類を示すバーコードラベルを、CCDカメラを用いて読取り、識別するバーコード認識装置に関し、バーコード読取り用のCCDカメラを用いて当該移動物体に記載された文字や記号等のシンボルをも認識可能な移動物体上のシンボル認識システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場等においてコンベア上を高速で移動する製品に貼られたバーコードをCCDカメラで読み取るものが知られている。(特許文献1参照)
該特許文献1には、以下の記載がなされている。
工場等においてコンベア上を高速で移動する形状、大きさの異なる製品に貼られたバーコードを非接触で読み取り識別することを目的とし、高速で移動するものをCCDカメラで読み取るため、比較的離れた所から、形状が小さい品質が低下した画像としてのバーコードを読み取る必要がある。
そのため、レーザスキャナでバーコードを識別する場合のようにラインで読み取るのではなく、ある程度幅を持たせて切り出したバーコードを投影し、積分効果を持たせることにより識別を容易にしている。
【0003】
しかし、上記の識別方法においては、バーコードがCCDカメラの画素並びに対して水平あるいは垂直な場合は問題ないが、斜めになった場合は識別の精度が著しく落ちることが知られている。以下、特許文献1に記載の従来例の説明する。
【0004】
図4は、特許文献1に記載の従来のバーコード認識装置における目標としたバーコードの撮影環境を示した図であり、コンベア1上には製品6が載せられ、製品6にはバーコード3が貼られている。
製品6のバーコード3は上方のCCDカメラ2により読み取られる構成である。
このような構成で、コンベア1の移動速度υを15〜20m/分の高速に設定し、そのためバーコード1とカメラ2の距離Lは2m必要となっている。
【0005】
図5は、特許文献1に記載のバーコード認識装置におけるCCDカメラを用いたバーコード認識装置の構成を示す図である。
図5において、まず、コンベア上を移動する対象物の表面全体をNO.1CCDカメラ2−1で撮像する。
次に上記撮像で得られた画像に対し画像処理部4とホストコンピュータ5とで画像処理を行い、バーコードラベルの位置を検出する。
画像処理部4は主に二値化等の画像処理及び認識を行い、ホストコンピュータ5はシステム全体のタイミングの制御、モニタ、デバック等を行う。
【0006】
この結果をホストコンピュータ5によりNO.2のCCDカメラ2−2に送信し、NO.2CCDカメラ2−2では撮影対象をバーコードに絞り、このバーコードの部分を入力画像として画像処理部4へ取り込む。
NO.2のCCDカメラ2−2により得られた画像は、画像処理部4とホストコンピュータ5により以下に説明するように画像分割の処理を行うことにより、バーコードの形状を抽出し、識別が行われる。
【0007】
また、バーコードとして、2次元バーコードも知られている。(特許文献2参照)
上記特許文献2には以下のことが記載されている。
2次元バーコードの一種として、米国のインタクタ・ラブズ・リミテッド社によって開発されたインタクタコード(INTACTA CODE)が知られている。このインタクタコードは、2次元の白黒のドットパターンから成るものであり、1次元バーコードに比して飛躍的に高密度の情報記録が可能である。そこで、このインタクタコードが印刷等された紙片を一種の情報記録媒体として利用し、音楽データ、画像データ、文字データなどのマルチメディア情報を暗号化して記録することが可能になった。インタクタコードの情報量は、ドットパターンの密度によって変化し、ドット(画素ともいう)が細かい程、多くの情報量を記録することができる。
【0008】
例えば、1次元バーコードは各種の商品に付されることにより、商品の在庫管理や販売管理に利用されている。しかし、記録可能な情報量が少ないために、例えば商品の検索コードしか記録できない。このため、この検索コードに基づいてデータベースをアクセスし、データベース内に蓄積された大量の商品情報を得ていた。
【0009】
これに対して、インタクタコードの有する情報量は1cm2の中に、例えば400バイトから500バイトであることから、一枚の紙片に大量の商品情報を記録することが可能になり、外部のデータベースを設ける必要がなくなる等の利点がある。
【0010】
また、上記2次元バーコードをコンベア上の物品に貼付してシンボル情報を読み取るものも知られている。(特許文献3参照)
上記特許文献3には、以下のことが記載されている。
バーとスペースとからなり任意の情報をパターンとして表すバーコードを2次元像として撮像する撮像手段と、前記撮像手段により順次得られた2次元像を一時的に記憶する記憶手段と、前記撮像手段から前記記憶手段に2次元像を転送する転送手段と、前記記憶手段に記憶された2次元像を順次読出し、撮像範囲内でのバーコードシンボルの有無を認識する認識手段と、前記認識手段により認識されたバーコードの前記撮像範囲内での存在位置及び傾きを検出し、バーコードのスキャン方向を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段により検出されたスキャン方向によりバーコードの2次元像から該バーコードの情報を順次読み取る読取手段と、前記読取手段からのバーコードの情報から、前記任意の情報に復号する復号手段と、を具備することを特徴とするシンボル情報読取装置。
【特許文献1】特開2001−167225号公報 (0011)〜(0015)
【特許文献2】特開2003−168071号公報 (0002)〜(0004)
【特許文献3】特開平08−329185号公報 (請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述の如く、工場等においてコンベア上を移動する移動物体に貼られた、製品の種類を示すバーコード及び2次元バーコードを、CCDカメラを用いて読取ることによって、移動物体を識別して、仕分けや配送システムに利用することは行われていたが、移動物体にはバーコードや2次元バーコードが存在せずに、文字や記号のみが表示されているものもあり、その際には、人手による読取りを実行し、読取った文字や記号を人手によってキー入力する必要があった。
【0012】
本発明の課題(目的)は、移動物体上のバーコードや2次元バーコードのみでなく、文字や記号等も認識可能な移動物体上のシンボル認識システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、CCDカメラにより移動物体上に付与されたシンボルを認識するシンボル認識システムであって、
前記移動物体の位置を検知する位置検知センサーの出力をコンピュータに取込み、該コンピュータにより前記移動物体上のシンボルに前記CCDカメラのフォーカスを制御するオートフォーカス手段と、前記移動物体の検知に応じて、前記CCDカメラの撮影したシンボル画像を前記コンピュータに取り込む撮影画像取込み手段と、前記前記コンピュータにより前記撮影画像に対する文字認識を実行する文字認識処理手段とを備えることを特徴とする。(請求項1)
【0014】
また、前記文字認識処理手段には、撮影画像のシンボルに対する位置補正及び角度補正手段を含むと共に、バーコード認識処理及び2次元バーコード認識処理をも実行することを特徴とする。(請求項2)
また、前記コンピュータにより認識された認識出力は、データ出力タイミングセンサー若しくは、アプリケーションソフトウエアによって決定されるタイミングで出力されることを特徴とする。(請求項3)
【発明の効果】
【0015】
請求項1〜3に記載の発明は、移動物体の位置を検知する位置検知センサーの出力をコンピュータに取込み、該コンピュータにより前記移動物体上のシンボルに前記CCDカメラのフォーカスを制御するオートフォーカス手段と、前記移動物体の検知に応じて、前記CCDカメラの撮影したシンボル画像を前記コンピュータに取り込む撮影画像取込み手段と、前記前記コンピュータにより前記撮影画像に対する文字認識を実行する文字認識処理手段とを備えることにより、移動物体上のバーコードや2次元バーコードのみでなく、文字や記号等も認識が可能なシステムを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の構成及び作用を図1を用いて説明する。
図1は、本発明の構成を示すブロック図であって、1はCCDカメラであって、コンベア上の移動物体(ワーク)の画像を撮影する。
2は、PC(コンピュータ)内に装着されるフレームグラバー基板であって、前記CCDカメラによって撮影された画像を指定された期間に取り込む。
3は、前記CCDカメラのフォーカッシングのためのオートフォーカス基板であって、前記フレームグラバー基板と同様にPC内に装着される。
【0017】
4は、ワークの位置を検出する位置検出装置であって、ワーク上にCCDカメラの焦点を合わせるための位置測定データをPCに送出する。(なお、CCDで撮影する画像対象(バーコード、文字,記号等)がワークの上部にのみ存在することが明らかな場合には、この位置検出装置は、ワークの高さを検出する高さ検出装置になる。)
5は、PC本体であって、前記フレームグラバー基板、オートフォーカス基板の制御を実行すると共に、ハードディスクに格納されたアプリケーションソフトウエアによって、前記CCDカメラによって撮影され取り込まれたワーク上のシンボル(文字、記号、リニアバーコード、2次元バーコード等をシンボルと定義する)の認識を実行して、図示しないシステム制御装置へデコード出力データをシリアルインタフェース若しくはEthernet(登録商標)により出力する。
また、CCDカメラで撮影した取得画像を保存することも可能である。
【0018】
6は、ワークが載置されるコンベアに取付けられたワーク検知センサーであって、ワークを検知した時点でPCに信号を送出する。PCはこの信号を受信すると、フレームグラバー基板に対して画像の取り込みを指示する。(このように、ワークが検出された場合にのみ画像の取込みを実行することによって、PCの処理負担を軽くしている。)
7は、PCでデコードした出力データをシステムに対して出力するタイミングを決定するためのデータ出力タイミングセンサーであって、ワークを検出した時点でPCに信号を送信する。PCはこの信号を受信すると、システム制御装置にデコードされた出力データを送出する。(アプリケーションソフトウエアで出力タイミングを規定する場合には、このセンサーを省略できる。)
【0019】
図1では、ワークの位置を検出する位置検出装置として、高さ検出装置を使用して、ワーク上にCCDカメラの焦点を合わせる制御を実行しているが、CCDカメラの位置を広範囲に制御可能な構成とすることによって、ワークのどの位置にバーコード,2次元バーコード,文字・記号等のシンボルが付与されていても、位置検出装置からの検出信号に応じてCCDカメラを移動させることによって、シンボルの部分に正確にフォーカッシングさせることが可能である。
【0020】
次に、図1の本発明の移動物体上のシンボル認識システムの動作を説明する。
・コンベア上を移動物体であるワークが移動すると、CCDカメラ1よりも上流に配置された高さ検出装置4でワークの高さを測定して、その測定値をPC5に送信する。
・PC5では、受信した高さデータをアプリケーションソフトウエア内のフォーカッシングテーブルとの参照を行い、焦点を合わせるためのデータを決定する。
・決定されたデータは、オートフォーカス基板3を介してCCDカメラに送信され、CCDカメラはそのデータを基にして自動的にワーク上に焦点をあわせる。
・次に、コンベアに設置されたワーク検知センサー6が、ワークに感応(検知)したタイミングでCCDカメラ1からの画像をPC内のフレームグラバー基板がキャプチャーを指示し、指定された時間の間画像を取り込む。
・PC5では、取り込んだ画像をアプリケーションソフトウエアを介して画像に含まれるシンボル(文字・記号、リニアバーコード、2次元バーコード)の認識を実行する。
・PCは、認識したデータをワークの仕分け若しくは配送のシステムに出力する。(このタイミングは、アプリケーションソフトウエアで規定されるか、若しくは、データ出力タイミングセンサによって指示される。)
【0021】
次に、本発明の移動物体上の文字及び記号の認識に使用されるOCR(文字認識装置)について、説明する。
図2は、OCR読取装置における、フォント読取り位置が固定の場合(CCDカメラの撮影画像が傾きが無い場合)の読取り動作手順を示すフローチャートである。
・OCR用のアプリケーションソフトウエアを起動する。(ステップS1)
・パラメータを初期化する。(ステップS2)
・読取り動作を開始する。(ステップS3)
・取り込み開始信号があるか否かを判断する。(ステップS4)
・ステップS4の判断結果がYesの場合には、CCDカメラで撮影した画像データをPCに取り込み(ステップS5)、判断結果がNoの場合には、ステップS4に戻る。
・取り込んだ画像データのフォント領域内を2値化処理後、フォント読取りを実行する。(ステップS6)
・読み取ったフォントに基づいて文字認識処理を実行し、文字列をx軸ソートする。(ステップS7)
・文字認識処理した文字列を表示部(画面)に表示すると、共に、文字列(文字情報)をRC232C等のインタフェースを介して外部(システム制御装置)に出力する。(ステップS8)
【0022】
図3は、OCR読取装置において、フォント読取り位置を補正する場合(CCDカメラの撮影画像の位置及び傾きを補正する場合)の読取り動作手順を示すフローチャートである。
・OCR用のアプリケーションソフトウエアを起動する。(ステップS1)
・パラメータを初期化する。(ステップS2)
・読取り動作を開始する。(ステップS3)
・取り込み開始信号があるか否かを判断する。(ステップS4)
・ステップS4の判断結果がYesの場合には、CCDカメラで撮影した画像データをPCに取り込み(ステップS5)、判断結果がNoの場合には、ステップS4に戻る。
・取り込んだ画像データが所定のパターンであるか否かの判断をする。(ステップS6)
・ステップS6の判断がYes(所定のパターンが検出された場合)には、当該パターンのフォント領域についての位置補正及び角度補正を実行し(ステップS7)、No(パターン未検出の場合)には、読取り文字列を「ERROR」と設定する。(ステップS11)
・取り込んだ画像データのフォント領域内を2値化処理後、フォント読取りを実行する。(ステップS8)
・読み取ったフォントに基づいて文字認識処理を実行し、文字列をx軸ソートする。(ステップS9)
・文字認識処理した結果を表示部(画面)と表示する(ステップS11の場合には、「ERROR」と表示する)共に、文字列(文字情報)をRC232C等のインタフェースを介して外部(システム制御装置)に出力する。(ステップS10)
【0023】
図3の場合には、フォント領域についての位置補正及び角度補正を実行するの文字・記号等の印刷方向に左右されず、360°のどの方向に印刷されている場合でも、精度の高い文字認識が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
請求項1〜3に記載の発明は、単一のバーコード認識装置により、移動物体上のバーコードや2次元バーコードのみでなく、文字や記号等も認識が可能なシステムを実現できるので産業上の利用可能性は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の移動物体上のシンボル認識システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の移動物体上のシンボル認識システムのフォント読取り位置が固定の場合(CCDカメラの撮影画像が傾きが無い場合)の読取り動作手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の移動物体上のシンボル認識システムの(CCDカメラの撮影画像の位置及び傾きの補正をする場合)の読取り動作手順を示すフローチャートである。
【図4】従来のバーコード認識装置の構成を示す図である。
【図5】図4のバーコード認識装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0026】
1 CCDカメラ
2 フレームグラバー基板
3 オートフォーカス基板
4 高さ(位置)検出装置
5 PC(コンピュータ)
6 ワーク(移動物体)検知センサー
7 データ出力タイミングセンサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CCDカメラにより移動物体上に付与されたシンボルを認識するシンボル認識システムであって、
前記移動物体の位置を検知する位置検知センサーの出力をコンピュータに取込み、該コンピュータにより前記移動物体上のシンボルに前記CCDカメラのフォーカスを制御するオートフォーカス手段と、
前記移動物体の検知に応じて、前記CCDカメラの撮影したシンボル画像を前記コンピュータに取り込む撮影画像取込み手段と、
前記前記コンピュータにより前記撮影画像に対する文字認識を実行する文字認識処理手段と、
を備えることを特徴とする移動物体上のシンボル認識システム。
【請求項2】
前記文字認識処理手段には、撮影画像のシンボルに対する位置補正及び角度補正手段を含むと共に、バーコード認識処理及び2次元バーコード認識処理をも実行することを特徴とする請求項1に記載の移動物体上のシンボル認識システム。
【請求項3】
前記コンピュータにより認識された認識出力は、データ出力タイミングセンサー若しくは、アプリケーションソフトウエアによって決定されるタイミングで出力されることを特徴とする請求項1又は2に記載の移動物体上のシンボル認識システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−172267(P2006−172267A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−365743(P2004−365743)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(502380361)トーヨーカネツソリューションズ株式会社 (50)
【出願人】(504464298)株式会社サイレンスネット (1)
【Fターム(参考)】