説明

移動玩具

【課題】発光素子による効果的な光演出を実現できる移動玩具の提供。
【解決手段】移動玩具10は、ボディ12と、ボディ12に搭載され、移動玩具10を移動させる原動機と、少なくとも1つの発光素子LEDb〜LEDdと、発光素子LEDb〜LEDdを駆動して発光を制御する発光素子駆動部を含む。ボディ12の少なくとも一部に対して、背景領域BRb〜BRdと背景領域BRb〜BRdとは光透過特性が異なる模様領域TRb〜TRdとを有する光演出領域LRb〜LRdが設定される。発光素子LEDb〜LEDdはボディ12の裏側から光演出領域LRb〜LRdに向けて光を照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動玩具等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のコースパーツを連結することで構成されるコース上を走行させて楽しむ車両玩具(移動玩具)が知られている。このような車両玩具の従来例としては例えば特許文献1、2がある。
【0003】
特許文献1には、コース状態に応じて、所定のプログラムに基づく自動操縦と、遠隔コントローラによる手動操縦とを切り替えることができる車両玩具走行装置が開示されている。この車両玩具走行装置では、自動操縦用プログラムは、外部端末において事前に設定されて、人形を模した記憶装置に書き込まれる。そして、この記憶装置を車両玩具に接続することで、自動操縦用プログラムを車両玩具に転送する。
【0004】
また特許文献2には、ゲーム装置でゲームプレイすることで得られた制御情報を車両玩具に転送し、この制御情報に基づいて車両玩具の走行を制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−269574号公報
【特許文献2】特開2000−210476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような車両玩具では、コース上で車両玩具を周回させるだけであるため、プレイが単調になりやすく、見た目の演出感に乏しかった。
【0007】
また、車両玩具の見た目の演出感を高めるために、車両玩具のボディにシールなどを貼って派手さを演出する手法も考えられるが、速い速度での走行中にはシールの形状等を認識するのは難しく、演出感の向上には限界があった。
【0008】
本発明に係る幾つかの態様によれば、発光素子による効果的な光演出を実現できる移動玩具等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、ボディと、前記ボディに搭載され、移動玩具を移動させる原動機と、少なくとも1つの発光素子と、前記発光素子を駆動して発光を制御する発光素子駆動部とを含み、前記ボディの少なくとも一部に対して、背景領域と前記背景領域とは光透過特性が異なる模様領域とを有する光演出領域が設定され、前記発光素子は、前記ボディの裏側から前記光演出領域に向けて光を照射する移動玩具に関係する。
【0010】
本発明の一態様によれば、移動玩具のボディの少なくとも一部に対して、背景領域と模様領域を有する光演出領域が設定される。ここで背景領域と模様領域はその光透過特性が互いに異なっている。そして発光素子駆動部によりその発光が制御される発光素子が、ボディの裏側から光演出領域に向けて光を照射する。このようにすれば、異なる光透過性を有する背景領域や模様領域を、例えば発光素子からの光により光らせることで、効果的な光演出を実現できるようになる。
【0011】
また本発明の一態様では、前記発光素子は、前記光演出領域の第1の端辺に沿った第1の端辺領域の裏側領域に配置され、前記第1の端辺領域に沿った方向を第1の方向とした場合に、前記第1の方向に交差する光照射方向の光で、前記光演出領域を裏側から照射してもよい。
【0012】
このようにすれば、第1の端辺領域の裏側領域に配置された発光素子からの光で、光演出領域を裏側から照射して、光演出領域での光演出を実現できる。
【0013】
また本発明の一態様では、複数の前記発光素子が、前記第1の端辺領域の裏側領域において前記第1の方向に沿って配置され、前記第1の方向に交差する光照射方向の光で、前記光演出領域を裏側から照射してもよい。
【0014】
このようにすれば、第1の端辺領域の裏側領域に配置された複数の発光素子からの光により、光演出領域の裏側を満遍なく照射できるようになるため、光演出の品質を向上できる。
【0015】
また本発明の一態様では、前記第1の端辺領域は、前記背景領域よりも光透過率が低い遮光特性を有していてもよい。
【0016】
このようにすれば、第1の端辺領域に覆われた方向に対して発光素子からの光が漏れるのを防止できるため、発光素子が外部から見えるのを防止したり、発光素子の光の指向性を向上させることなどが可能になる。
【0017】
また本発明の一態様では、前記発光素子は、前記ボディの前記光演出領域の面に沿った方向に対して45度以下の仰角をなす光照射方向の光で、前記光演出領域を裏側から照射してもよい。
【0018】
このようにすれば、第1の端辺領域に発光素子を配置した場合にも、光照射方向を45度以下の仰角とすることで、光演出領域の裏側を満遍なく照射できるようになるため、光演出の品質を向上できる。
【0019】
また本発明の一態様では、第1の端辺用の前記発光素子が、前記第1の端辺領域の裏側領域に配置され、前記第1の方向に交差する第1の光照射方向の光で、前記光演出領域を裏側から照射し、第2の端辺用の前記発光素子が、前記光演出領域の前記第1の端辺に対向する第2の端辺に沿った第2の端辺領域の裏側領域に配置され、前記第1の光照射方向とは逆向きの第2の光照射方向の光で、前記光演出領域を裏側から照射してもよい。
【0020】
このようにすれば、第1の端辺用の発光素子からの第1の光照射方向の光により、光演出領域を裏側から照射できると共に、第2の端辺用の発光素子からの第2の光照射方向の光により、光演出領域を裏側から照射できるようになる。これにより、光演出領域の裏側を更に満遍なく照射できるようになり、光演出の品質を向上できる。
【0021】
また本発明の一態様では、複数の第1の端辺領域用の前記発光素子が、前記第1の端辺領域の裏側領域において、前記第1の方向に沿って配置され、前記第1の光照射方向の光で、前記光演出領域を裏側から照射し、複数の第2の端辺領域用の前記発光素子が、前記第2の端辺領域の裏側領域において、前記第2の端辺領域に沿った第2の方向に沿って配置され、前記第2の方向に交差する前記第2の光照射方向の光で、前記光演出領域を裏側から照射してもよい。
【0022】
このようにすれば、第1の端辺領域に配置された複数の発光素子からの光により、光演出領域を裏側から照射できると共に、第2の端辺領域に配置された複数の発光素子からの光により、光演出領域を裏側から照射できるようになる。これにより、光演出領域の裏側を更に満遍なく照射できるようになり、光演出の品質を向上できる。
【0023】
また本発明の一態様では、前記発光素子からの光が前記原動機に照射されないように、少なくとも前記原動機を覆うカバー部材が設けられていてもよい。
【0024】
このようにすれば、発光素子からの光が原動機により反射して光演出の品質が悪化してしまうなどの事態を防止できる。
【0025】
また本発明の一態様では、前記カバー部材は、少なくとも前記原動機よりも高い光反射率を有する光反射部材により形成されてもよい。
【0026】
このようにすれば、発光素子からの光を、カバー部材を形成する光反射部材で反射させることで、意外性のある光演出等を実現できるようになる。
【0027】
また本発明の一態様では、前記模様領域は、前記光演出領域が設定される前記ボディの表面を所定の模様パターンで切削することで形成される領域であってもよい。
【0028】
このようにすれば、簡素な工程で模様領域の形成が可能になる。また、例えば模様パターンの切削により模様領域の面が粗くなった場合には、この面の粗さによる乱反射を利用した模様領域での光演出を実現できるようになる。
【0029】
また本発明の一態様では、前記模様領域は、前記光演出領域が設定される前記ボディの表面に対して、前記背景領域とは光透過特性が異なる模様部材を接着することで形成される領域であってもよい。
【0030】
このようにすれば、模様部材の接着という簡素な工程で模様領域の形成が可能になる。また模様部材の形状を変えることで模様領域の形状を変えることが可能になり、模様領域のカスタマイズ等を容易化できる。
【0031】
また本発明の一態様では、前記移動玩具は車を模した玩具であり、前記ボディのボンネット、天井及びドアの少なくとも1つに対して前記光演出領域が設定されていてもよい。
【0032】
なお、移動玩具は、車を模した玩具には限定されず、ボンネットや天井やドア以外の領域に光演出領域を設定することも可能である。
【0033】
また本発明の一態様では、前記少なくとも1つの発光素子として、複数の発光素子が設けられ、前記模様領域として、複数のライン又は複数のライン群が形成され、前記複数の発光素子の各発光素子が、前記複数のラインの各ライン又は前記複数のライン群の各ライン群に対応して設けられ、前記各発光素子からの光が、前記各ライン又は前記各ライン群を裏側から照射してもよい。
【0034】
このようにすれば、複数のラインの各ライン又は複数のライン群の各ライン群を、対応する発光素子により裏側から光で照らして、光らせることが可能になり、より綺麗に見える光演出を実現できる。
【0035】
また本発明の一態様では、前記複数のラインの少なくとも2つのライン、或いは前記複数のライン群の少なくとも2つのライン群は、互いに光透過特性が異なっていてもよい。
【0036】
このようにすれば、光透過特性が異なる2つのライン又は2つのライン群が異なった光り方をするようになり、多様な光演出を実現できる。
【0037】
また本発明の一態様では、前記発光素子駆動部は、前記移動玩具の移動状態情報に基づいて、前記発光素子の発光を制御してもよい。
【0038】
このようにすれば、移動玩具の移動状態情報に基づいて、発光素子の発光制御が変わり、光演出領域での光演出も変わるようになるため、移動玩具の移動状態情報を視覚的に把握することが可能になる。
【0039】
また本発明の一態様では、少なくとも1つの前記発光素子として、光の色が異なる複数の発光素子が設けられ、前記発光素子駆動部は、光の色が異なる前記複数の発光素子のうち、前記移動玩具の移動状態情報により選択された発光素子を駆動して発光させてもよい。
【0040】
このようにすれば、移動玩具の移動状態情報に応じて、異なる色の発光素子が発光するようになるため、演出効果の高い光演出を実現できる。
【0041】
また本発明の一態様では、前記移動状態情報は、前記移動玩具の速度情報、加速情報及び減速情報の少なくとも1つであってもよい。
【0042】
また本発明の一態様では、前記移動玩具がデータを読み取るために前記移動玩具が走行するコースに設けられる複数のデータマーカを検知するデータ用センサと、前記データをサンプリングするためのクロックを読み取るために前記コースに設けられる複数のクロックマーカを検知するクロック用センサと、前記クロック用センサの検知信号から抽出された前記クロックにより、前記データ用センサの検知信号をサンプリングすることで前記データを抽出する制御部とを含んでもよい。
【0043】
このようにすれば、移動玩具が走行する際に、クロック用センサでクロックマーカを読み取りながら、クロック用センサの検出信号から抽出されたクロックにより、データ用センサの検知信号をサンプリングしてデータを抽出できるようになる。このため、データ用センサで、例えばコースデータや発光制御データなどのデータを適正に読み取ることが可能になる。
【0044】
また本発明の一態様では、前記データ用センサ及び前記クロック用センサは、前記ボディの前記コースに対する接地面側に、前記移動玩具の移動方向に対して垂直方向となる方向に沿って並列して設けられていてもよい。
【0045】
このようにすれば、データ用センサと並列配置されているクロック用センサによりクロックを抽出して、そのクロックを基準にデータを適正に取得できる。
【0046】
また本発明の一態様では、前記発光素子駆動部は、前記データ用センサを用いて抽出された前記データに基づいて、前記発光素子の駆動制御を行ってもよい。
【0047】
このようにすれば、データ用センサを用いて抽出されたコースデータや発光制御データなどのデータを用いて、発光素子の駆動制御を行って、光演出領域での光演出を実現できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1(A)、図1(B)は車両玩具が走行するコースの説明図。
【図2】本実施形態が適用される車両玩具の外観斜視図。
【図3】本実施形態が適用される車両玩具の内部構成を示す平面図。
【図4】本実施形態が適用される車両玩具の機能ブロック図。
【図5】発光素子の配置や光演出領域の設定についての説明図。
【図6】発光素子の配置や光演出領域の設定についての説明図。
【図7】図7(A)、図7(B)は端辺領域への発光素子の配置や発光素子の光照射方向の設定についての説明図。
【図8】図8(A)、図8(B)は端辺領域への発光素子の配置や発光素子の光照射方向の設定についての説明図。
【図9】図9(A)、図9(B)は発光素子の光照射方向の設定についての説明図。
【図10】カバー部材についての説明図。
【図11】図11(A)、図11(B)は模様領域の形成手法についての説明図。
【図12】図12(A)、図12(B)はライン毎又はライン群毎に発光素子を配置する手法についての説明図。
【図13】図13(A)、図13(B)は移動状態情報に基づく発光素子の制御手法についての説明図。
【図14】図14(A)、図14(B)はコースパーツやマーカの変形例。
【図15】車両玩具の変形例。
【図16】車両玩具の機能ブロック図の変形例。
【図17】他の電子機器への適用例。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0050】
1.コース
図1(A)に、本実施形態の移動玩具の一例である車両玩具を走行させるコースの例を斜視図で示す。なお以下では移動玩具として、車の形状を模した車両玩具を例にとり説明するが、本実施形態の移動玩具はこれに限定されない。また移動玩具はコース上を移動するタイプの玩具でなくてもよい。
【0051】
車両玩具10(広義には移動玩具)が走行するコース60は、図1(A)に示すように、直線形状、カーブ形状、スロープ形状等の各種形状の複数のコースパーツCP1〜CP16を連結することで構成される。具体的には、コース60は、第1の周回コース61と、この第1の周回コース61に後続するように配置される第2の周回コース62により構成される。第1の周回コース61は、コースパーツCP1〜CP8により構成される。第2の周回コース62は、コースパーツCP9〜CP16により構成される。
【0052】
第1の周回コース61は、直線コースパーツCP1、カーブコースパーツCP2、スロープコースパーツCP3、カーブコースパーツCP4、スロープコースパーツCP5、カーブコースパーツCP6、直線コースパーツCP7、カーブコースパーツCP8を順に連結することで構成される。コースパーツCP9〜CP16で構成される第2の周回コース62も第1の周回コース61とほぼ同様の構成・形状になっている。
【0053】
図1(B)に、図1(A)のA−Aに示す部分の断面図を示す。図1(B)に示すように、コース60の各部では、第1の周回コース61と第2の周回コース62が並列され、各周回コース61、62に対し両サイドに、それぞれ側壁63L、63R、64L、64Rが設けられている。そして、各周回コース61、62の略中央には、黒色のセンターラインCL1、CL2が設けられている。
【0054】
また本実施形態では、図1(A)に示すように、各コースパーツCP1〜CP16の連結部付近に、白色のマーカMC1〜MC16が設けられており、そのうち、直線コースブロックCP1の一端に設けられるマーカMC1がスタートライン(スタートエリア)となる。そして、マーカMC1をスタートラインとして走行開始した車両玩具10は、ゲーム装置(外部端末)から転送される走行制御データによって走行が制御されて、コース60上を反時計回りで走行する。そして、本実施形態では、これらのマーカMC1〜MC16でコース60を区切ることによって、コース区間CS1〜CS16が設定されている。即ち、コースパーツCP1〜CP16に対応して、コース区間CS1〜CS16が設定される。なお、本実施形態のコースは、図1(A)、図1(B)の形状に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【0055】
2.車両玩具
図2に、本実施形態の移動玩具の一例である車両玩具10の外観斜視図を示す。本実施形態では、図2に示すように、車両玩具10のボディ12は、スポーツカー等の外形を模した外装部14と、前輪18と後輪20(接地部)が一対ずつ設けられるシャシ16とを含む。これらの前輪18および後輪20は、シャシ16に搭載されたモータ等の原動機によって駆動されて、車両玩具10を移動させる。
【0056】
なお、本実施形態では、車両玩具10は、ボディ12(外装部14)がスポーツカーを模した形状になっているが、車両玩具10は、これに限らず様々な形態の自動車(例えば、トラック等)、或いは二輪車(例えば、バイク等)の外形を有していてもよい。また、本実施形態の移動玩具は、車両玩具に限定されず、例えば、競馬の競走馬等の動物や漫画等の各キャラクタを模した人形等をコースに沿って移動させるものにも適用可能である。
【0057】
図2に示すように、ボディ12の四隅には、ガイドローラ(プレート)21、22、23、24(24について図3参照)がそれぞれ設けられている。これらのガイドローラ21〜24は、コース60を走行中に図1(B)に示す側壁63L、63R、64L、64Rにヒットすることで、車両玩具10のコース60上での進行を円滑にすると共に、車両玩具10の走行の安定性を担保するための部材である。
【0058】
そして本実施形態の車両玩具10(移動玩具)は、後述するように、発光素子や、この発光素子を駆動してその発光を制御する発光素子駆動部を含む。またボディ12(外装部、ボディ表面)の少なくとも一部に対して、光演出領域(光装飾領域、光射出領域)が設定されている。図2を例にとれば、ボディ12は、ボンネットや天井やドアを有する。そして図2では、ボンネットに対しては光演出領域LRbが設定され、天井に対しては光演出領域LRcが設定され、ドアに対しては光演出領域LRdが設定されている。なお、ボンネットや天井やドア以外のボディ部分(例えばトランク、ウィング等)に対して光演出領域を設定してもよい。
【0059】
各光演出領域(LRb、LRc、LRd)は背景領域(BRb、BRc、BRd)と模様領域(TRb、TRc、TRd)を有する。例えばボンネットの光演出領域LRbは背景領域BRbと模様領域TRbを有し、天井の光演出領域LRcは背景領域BRcと模様領域TRcを有し、ドアの光演出領域LRdは背景領域BRdと模様領域TRdを有する。そして図示しないLED等の発光素子は、ボディ12の裏側(内側)から光演出領域に向けて光を照射する。
【0060】
ここで、背景領域(BRb〜BRd)は、模様領域(TRb〜TRd)以外の領域であって、模様の背景(バックグランド)となる領域である。この背景領域は例えば光演出を行うための模様パターンが形成されていない領域である。
【0061】
一方、模様領域(TRb〜TRd)は、光演出を行うための模様パターンが形成されている領域である。この模様領域は、光演出領域が設定されるボディ12の表面を所定の模様パターンで切削(凹部形成や、ヤスリ等による研磨)することで形成できる。或いは光演出領域が設定されるボディ12の表面に対して、シール等の模様部材を接着することで形成してもよい。
【0062】
そして本実施形態では、背景領域(BRb〜BRd)と模様領域(TRb〜TRd)は、その光透過特性が異なっている。具体的には、背景領域と模様領域は、発光素子の発光色の波長における光透過特性(光透過率、光吸収率、光反射率)が異なっている。
【0063】
例えば車両玩具10のボディ12(一部又は全部)は、アクリル(アクリル樹脂、アクリルガラス)やPET樹脂などの光透過性(発光色の波長に対する光透過性)を有する光透過部材(プラスチック、合成樹脂)などにより形成される。そして背景領域での光透過部材の色は、例えば発光素子の発光色と同色系の色になっている。例えば発光素子の発光色が青である場合には、背景領域でのプラスチックの色は青の同色系の色になっている。従って、ボディ12の裏側から照射された発光素子からの光の一部が背景領域で吸収され、光の一部が透過することで、プレーヤ(ユーザ)の目には、背景領域が青っぽい色で光って見えるようになる。
【0064】
一方、模様領域は、ボディ12のプラスチック等の光透過部材をキリやヤスリ等により削ることで形成される。従って、ボディ12の裏側から照射された発光素子からの光は、模様領域において乱反射され、プレーヤの目には模様領域は白っぽい色で光って見えるようになる。即ち、プレーヤの目からは、背景領域と模様領域は異なった色に光って見える。従って、ボディ12の表面が、模様領域の模様パターンで異なった色で光って見える光演出を実現でき、これまでの車両玩具では実現できなかった光演出効果を実現できる。
【0065】
なお、模様領域に接着したシール等の模様部材により、背景領域と模様領域の光透過特性(発光色の波長における光透過特性)を異ならせてもよい。例えばシール等の模様部材により発光素子の光を遮光したり、模様部材の光透過特性を利用して、発光素子の発光色とは異なる色で模様領域を光らせてもよい。
【0066】
図3は、本実施形態の車両玩具10の内部構成を示す平面図であり、ボディ12の外装部14を取り外した状態を示す。本実施形態では、車両玩具10は、前輪18(18L、18R)及び後輪20(20L、20R)をそれぞれ左右に一対ずつ有する。そして、これら前輪18、後輪20を軸支する前輪用車軸(シャフト)26、後輪用車軸28に、シャシ16の後方側に搭載されるモータ30(広義には原動機)の駆動が伝達され、前輪18及び後輪20が回転駆動される。例えば後輪20の回転駆動は、後輪駆動用ギア32を介して行われる。一方、前輪18の回転駆動は、後輪側クラウンギア34、後輪側駆動伝達ギア38、駆動伝達軸36、前輪側駆動伝達ギア42、前輪側クラウンギア40を介して行われる。
【0067】
なお、所与の動力を供給して車両玩具10を走行移動させるための機械的エネルギーに変換する原動機は、モータ30に限定されず、例えば小型エンジン等の他の原動機であってもよい。
【0068】
また、前輪用車軸26は、シャシ16に対し軸部44を介して軸支される前輪軸支持部46に回転自在に支持されている。このため、前輪18は、前輪用車軸26を介して水平軸周りに回転可能とすることによって車両玩具10を走行させ、かつ軸部44で軸支される前輪軸支持部46を介して垂直軸周りに揺動可能とすることによって、車両玩具10の走行方向を変化させる。
【0069】
またシャシ16の略中央には、モータ30に対して動力となる電力を供給する電源として乾電池48(動力源)が設置されている。なお、本実施形態では、電力供給源として乾電池48を設置する車両玩具10としているが、電力供給を充電式によるものとすることも可能である。
【0070】
更に、車両玩具10がコース60上に走行中にコース60と対向するボディ12の接地面側、即ちシャシ16の裏面側の前方には、当該接地面側のコース60への対向を検知するセンサ50が設けられている。このセンサ50は、コース60に設けられた複数のマーカMC1〜MC16の各マーカを検知する。具体的には本実施形態では、センサ50は、検知対象の輝度(輝度情報)を検知する。そしてセンサ50からの検知結果(検知信号)に基づいて、シャシ16の裏面側となる接地面側が、コース60に対向しているか否かを検知する。
【0071】
具体的には、センサ50は、図1(B)に示すコース60の黒色のセンターラインCL1、CL2と対向するように配置され、検知対象(センターライン、マーカ等)の輝度(画像)を検知する。この場合に、コースの輝度であるセンターラインCL1、CL2の輝度は、所与の基準輝度未満であり、白色マーカMC1〜MC16の輝度は、基準輝度以上になるように設定される。そして、車両玩具10が走行してコース60上に設けられているMC1〜MC16の各マーカを通過すると、センサ50の検知対象の輝度が基準輝度未満から基準輝度以上になったと判断されて、各マーカが検出される。一方、センサ50の検出対象の輝度が、所定判定時間以上、基準輝度未満であると判断されると、車両玩具10のジャンプ等により、シャシ16の裏面側、すなわち接地面側がコース60に対向しなくなったと判定される。
【0072】
なお、センサ50としては、例えば反射型のフォトセンサ(赤外線センサ)を用いることができる。この反射型のフォトセンサは、LED等の発光素子を有し、当該発光素子で発光した光を、検知対象で反射させて、その反射光を検知するセンサである。但しセンサ50は、反射型のフォトセンサには限定されず、距離センサ、バーコード読み取りセンサ、或いはCCD等の各種センサを用いることができる。
【0073】
車両玩具10のボディ12(シャシ16)の後端側には、ブレーキランプ等として機能する発光素子52L、52Rが設けられており、車両玩具10の速度変化時(例えば減速時又は加速時等)に点灯する。これにより、減速時のブレーキランプの点灯等を擬似的に表現できる。
【0074】
図4に、本実施形態の車両玩具(移動玩具)10の機能ブロック図の例を示す。車両玩具10のボディ12内には、車両玩具10の各構成要素を制御するための回路部品が実装された回路基板(システム基板)300が設けられている。この回路基板300は、図4に示すように、制御部310、記憶部330、発光素子駆動部340、駆動部350、センサコントローラ360、外部インターフェース(I/F)部370を含む。
【0075】
制御部310は、車両玩具10(移動玩具)の制御を行う。具体的には、記憶部330から読み出されたデータやプログラムなどに基づいて、車両玩具10全体の制御や、回路基板300の各構成要素(駆動部等)の制御を行う。本実施形態では、制御部310は、例えばセンサ50からの検知情報や、記憶部330に記憶されるデータ(走行制御データ、動力設定データ、電力設定データ)に基づいて、モータ(広義には原動機)30を駆動するための制御を行う。この制御部310の機能は、各種プロセッサ(CPU等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。
【0076】
記憶部330は、各種プログラムやデータを記憶するものであり、その機能はRAMやROMなどにより実現できる。例えば制御部310は、記憶部330から読み出されたプログラムにより動作し、記憶部330をワーク領域として各種処理を行う。また外部のゲーム装置400(外部端末)から受信した走行制御データなどの各種データは、記憶部330に保存される。なお、メモリーカードなどの携帯型情報記憶装置の装着が可能な移動玩具の場合には、当該携帯型情報記憶装置によって、記憶部330の一部の機能を実現してもよい。
【0077】
発光素子駆動部340は、LED等の発光素子52を駆動する。例えば本実施形態では、制御部310は、車両玩具10の減速制御時(ブレーキング時)に、発光素子52を発光させる制御を行う。具体的には、車両玩具10の減速時に、制御部310からの指示信号に基づいて、発光素子駆動部340が発光素子52を駆動して発光させる。なお減速制御時におけるモータ反転による発電を利用して発光素子52を発光させて点灯させてもよい。
【0078】
また発光素子駆動部340は、光演出領域に光を照射する光演出用の発光素子52を駆動して光を発光させる制御も行う。この場合に発光素子駆動部340は、車両玩具10(移動玩具)の移動状態情報に基づいて発光素子52の発光を制御してもよい。例えば車両玩具10の移動状態情報に基づいて、発光素子52の発光のオン・オフ、発光の点灯・点滅、発光の強さ(発光量)、或いは発光時間等の制御を行う。ここで移動状態情報(走行情報)は、車両玩具10の速度情報、加速情報及び減速情報の少なくとも1つである。
【0079】
また、発光素子52として光の色が異なる複数の発光素子が設けられたとする。この場合には、発光素子駆動部340は、光の色が異なる複数の発光素子のうち、車両玩具の移動状態情報により選択された発光素子を駆動して発光させる。例えば加速時には第1の発光色の発光素子を発光させ、減速時(ブレーキング時)には第2の発光色の発光素子を発光させる。或いは車両玩具の速度が高速である場合と低速である場合とで、異なる発光色の発光素子を駆動してもよい。
【0080】
駆動部350(モータ駆動部)は、制御部310の制御の下でモータ30を駆動する。例えばモータ30(原動機)は、車両玩具10(移動玩具)のボディ12に搭載され、所与の動力(電力)が供給されて車両玩具10を走行(移動)させる。駆動部350はこのモータ30を駆動する。
【0081】
例えば車両玩具10を走行させる場合には、駆動部350はモータ30をPWM駆動する。この場合のPWM駆動のデューティは、記憶部330から読み出された走行制御データ(動力設定データ、電力設定データ)により設定される。そして、車両玩具10の走行速度は、PWM駆動のデューティにより制御できる。また車両玩具10の加速制御を行う場合には、例えば高いデューティ(例えば100パーセント)に対応する電圧をモータ30に印加する。一方、減速制御を行う場合には、例えば通常走行時とは逆極性の電圧をモータ30に印加する。
【0082】
また本実施形態では、センサ50からの検知結果に基づいて、ボディ12の接地面側がコース60に所定の判定時間以上対向していないと判断された場合に、モータ30への電力(動力)の供給をオンからオフに切り替えて、モータ30を停止させてもよい。即ちPWM駆動を停止して、モータ30の回転動作を停止させる。この場合に、モータ30の慣性による回転動作を、逆極性の電圧印加により十分に減速した後に、電力供給を停止してもよい。
【0083】
センサコントローラ360は、センサ50の制御等を行うコントローラである。具体的には、センサ50からの検知信号を受けて、検知信号に対応するデータを制御部310に出力する。例えばセンサ50が反射型のフォトセンサである場合には、センサ50は、LED等のセンサ用発光素子により実現される投光部と、検知対象からの反射光を受光する受光部を有する。この場合にセンサコントローラ360は、センサ用発光素子を発光させたり、受光部からの検知信号を検出する処理などを行う。
【0084】
外部インターフェース(I/F)部370は、外部機器とのインターフェース処理を行うものである。具体的には、外部機器であるゲーム装置400から走行制御データなどのデータを受信したり、ゲーム装置400に対して実走行結果データなどのデータを送信する。
【0085】
この場合の外部I/F部370によるインターフェースは、RS232CやUSBなどの有線のインターフェースにより実現してもよいし、赤外線などの無線のインターフェースにより実現してもよい。例えば赤外線通信(IRDA)により、外部I/F部370のインターフェースを実現する場合には、車両玩具10の例えば裏面側に赤外線の受光センサを設ける。そしてゲーム装置400側(ゲーム装置本体やゲーム装置に装着されるICカード)の発光素子からの赤外線を、この受光センサで検知することで、ゲーム装置400からの走行制御データ(動作制御データ)等のデータを、車両玩具10にダウンロードする。また車両玩具10の例えば裏面側に赤外線の発光素子を設ける。そして、この発光素子からの赤外線を、ゲーム装置400側の受光センサにより検知することで、車両玩具10の走行結果データ(動作結果データ)等のデータを、ゲーム装置400にアップロードする。
【0086】
記憶部330は、コース60での移動玩具(狭義には車両玩具10)の走行を制御するためのデータである走行制御データを記憶する。この走行制御データは、移動玩具の各コース区間での速度等を設定するためのデータである。
【0087】
またセンサ50は、コース60に設けられた複数のマーカMC1〜MC16の各マーカを検知する。例えば移動玩具が各マーカの設置位置を通過した時に、その通過を検知し、移動玩具が、どのコース区間に位置するのかを検出する。
【0088】
そして記憶部330は、走行制御データとして、コース60の各コース区間において原動機(狭義にはモータ30)に供給される動力の大きさを設定する走行制御データ(動力設定データ)を、コース60の各コース区間に対応づけて記憶する。この走行制御データは、例えばモータ30に供給される電力(実効電圧)を設定するためのデータであり、具体的にはモータ30をPWM駆動する際のデューティを設定するためのデータである。
【0089】
制御部310は、センサ50からの検知情報に基づいて、コース60の第iのコース区間(iは自然数)から第i+1のコース区間に移動玩具が移動したと判断した場合に、第i+1のコース区間に対応づけられた第i+1の走行制御データ(第i+1の電力設定データ)と、第iのコース区間に対応づけられた第iの走行制御データ(第iの電力設定データ)との差分情報(差分値)に基づいて、移動玩具の減速制御及び加速制御の少なくとも一方を行う。この場合、例えば減速制御(急減速)のみを行ってもよいし、加速制御(急加速)のみを行ってもよい。或いは、減速制御及び加速制御の両方を行ってもよい。
【0090】
3.本実施形態の手法
3.1 光演出領域による演出
さて、本実施形態ではプレーヤは、図2に示すような車両玩具10を図1(A)に示すようなコース60上で周回させ、ラップタイム等を競い合ってプレイを楽しむ。
【0091】
ところが、この場合に、車両玩具10はコース60上を単純に周回するだけであるため、プレイが単調になりやすく、見た目の演出効果に乏しいという課題がある。
【0092】
このような課題を解決するために本実施形態では、図2で説明したように車両玩具10のボディ12の少なくとも一部に、光演出領域(LRb〜LRd)を設ける。そして、ボディ12の内部に設けられた発光素子を利用して、光演出領域の背景領域(BRb〜BRd)と模様領域(TRb〜TRd)を異なる色で光らせることで、見た目の演出効果を高めている。
【0093】
即ち本実施形態によれば、走行中に車両玩具10のボディ12の少なくとも一部が光る。そして、その光のパターンは、模様領域(光パターン領域)の模様形状に応じたパターンになるため、高い演出効果を期待できる。特に周囲が暗い環境のコースで車両玩具10を走行させた場合には、いわゆる未来カーのような車両玩具10が光を放ちながら走行すると共に光の残像も残るため、これまでにないタイプの車両玩具10の演出効果を実現できる。
【0094】
また、プレーヤは模様領域の模様パターンをカスタマイズすることで、各プレーヤに独自の光パターンを放つ車両玩具10を実現でき、車両玩具10に対するユーザの思い入れも増すことが可能になる。
【0095】
3.2 発光素子の配置、光演出領域の設定
次に発光素子の配置や光演出領域の設定の具体例について説明する。
【0096】
図5は、車両玩具10を横方向から見た図である。図5においてボンネット用の発光素子LEDbは、ボンネットの先端側(前側)のボディ内部に配置されている。そして発光素子LEDbの上方には、遮光領域となる第1の端辺領域SRbが設けられており、発光素子LEDbからの光が上方に漏れるのを防止している。また、このような遮光特性を有する端辺領域SRbを設ければ、ボディ12を光透過特性(発光素子の発光波長での光透過特性)を有する部材で形成した場合に、発光素子LEDbが外部から見えないようにすることが可能になる。なお端辺領域SRbは光演出領域LRbの第1の端辺に沿った領域である。
【0097】
発光素子LEDbからの光は、ボンネットに設定された光演出領域LRbの面の方向(例えば水平方向)に対して、例えば45度以下の仰角の光照射方向DLbで、ボディ12の裏側から光演出領域LRbを照射する。これによりボンネットの光演出領域LRbの模様領域TRbと背景領域BRbが、発光素子LEDbの光により裏側から照らされることで、異なった色で光って見えるようになり、高い光演出効果を実現できる。また発光素子LEDbの上方を、遮光特性を有する端辺領域SRbで覆うことで、発光素子LEDbの光照射方向DLbに指向性を持たせて、広い範囲の光演出領域LRbを裏側から照らすことが可能になる。
【0098】
なお端辺領域SRbの遮光特性は、端辺領域SRbを遮光色(例えば黒又は黒に近い色)で塗ったり、遮光色のテープ等の遮光部材を端辺領域SRbに接着することなどにより実現できる。
【0099】
また図5では、天井用の発光素子LEDcが、天井の先端側の裏側に配置されている。そして発光素子LEDcの上方には、遮光領域となる端辺領域SRcが設けられており、発光素子LEDcからの光が上方に漏れるのを防止したり、LEDcが外部から見えないようにしている。
【0100】
発光素子LEDcからの光は、天井に設定された光演出領域LRcの面の方向に対して、例えば45度以下の仰角の光照射方向DLcで、天井の裏側から光演出領域LRcを照射し、光演出領域LRcの模様領域TRcや背景領域BRcを異なった色で光らせる。
【0101】
また図5では、ドア用の発光素子LEDdが、ドアの前側部分の裏側に配置されている。そして発光素子LEDdを覆うように、遮光領域となる端辺領域SRdが設けられており、発光素子LEDdからの光が漏れるのを防止したり、LEDdが外部から見えないようにしている。
【0102】
発光素子LEDdからの光は、ドアに設定された光演出領域LRdの面の方向に対して、例えば45度以下の仰角の光照射方向DLdで、ドアの裏側から光演出領域LRdを照射し、光演出領域LRdの模様領域TRdや背景領域BRdを異なった色で光らせる。
【0103】
図6は車両玩具10を前方向から見た図である。図6では、ボンネット用の複数の発光素子LEDb1〜LEDb6が、ボンネットの先端部の裏側において、左右方向(紙面に向かって左から右に向かう方向)に沿って並んで配置されている。そして発光素子LEDb1〜LEDb6からの光は、この左右方向に交差(直交)する前後方向(紙面に向かって前側から後ろ側に向かう方向)に沿った光照射方向DLbで、ボンネットの光演出領域LRbを裏側から照らしている。
【0104】
このように複数の発光素子LEDb1〜LEDb6を所定方向に沿って並べて配置し、その所定方向に交差(直交)する光照射方向DLbに沿って複数の発光素子LEDb1〜LEDb6の光を照射すれば、広い範囲の光演出領域LRbに対して光を照射できるようになる。また光の照明のされ方も均一になるため、光演出領域LRbでの光演出の品質を向上できる。
【0105】
次に発光素子の配置等について更に詳細に説明する。
【0106】
図7(A)において、光演出領域LRの第1の端辺SD1(第1の辺)に沿って第1の端辺領域SR1(第1の領域)が設定されている。この端辺領域SR1は、例えば端辺SD1を含む領域であり、図7(A)では紙面に向かって光演出領域LRの左端側の領域になっている。なお、以下では説明を簡便にするために光演出領域LRが矩形領域である場合を例にとり説明するが、本実施形態はこれに限定されず、光演出領域LRは矩形以外の多角形であってもよい。
【0107】
図7(A)に示すように発光素子LEDAは、端辺領域SR1の裏側領域に配置される。即ち紙面に向かって端辺領域SR1の奥側に配置される。そして端辺領域SR1に沿った方向(端辺SD1に沿った方向)を第1の方向DR1とした場合に、発光素子LEDAは、方向DR1に交差(例えば直交)する光照射方向DLAの光で、光演出領域LRを裏側から照射する。
【0108】
そしてこの場合に、光演出領域LRの模様領域TRと背景領域BRは、少なくとも発光素子LEDAの発光波長において異なった光透過特性(光透過率、光吸収率又は光反射率)を有する。従って模様領域TRと背景領域BRを発光素子LEDAにより裏側から光を照射した時に、表側から見える模様領域TRと背景領域BRの色や光り具合が、異なって見えるようになる。従って、車両玩具のボディへの模様領域TRの形成と発光素子LEDAの配置という簡素な工程の追加で、高い光演出効果を実現できる。
【0109】
また図7(A)では、端辺領域SR1は遮光特性を有している。例えば背景領域BRよりも光透過率が低い遮光特性を有する。具体的には発光素子LEDAの発光周波数における端辺領域SR1の光透過率は、背景領域BRの光透過率よりも低くなっている。これにより発光素子LEDAの光が、紙面に向かって上方向に漏れなくなり、光照射方向DLAへの光の指向性も向上できる。このような端辺領域SR1の遮光特性は、端辺領域SR1を遮光色で塗ったり、遮光部材を端辺領域SR1に設けることなどで実現できる。
【0110】
図7(B)では、複数の発光素子LEDA1、LEDA2、LEDA3が設けられている。具体的には複数の発光素子LEDA1〜LEDA3が、端辺領域SR1の裏側領域においてDR1方向に沿って並んで配置される。そして、これらの複数の発光素子LEDA1〜LEDA3は、方向DR1に交差する光照射方向DLAの光で、光演出領域LRを裏側から照射する。
【0111】
これにより、光演出領域LRの裏側を、あたかも平行光源で照らしたかのようにすることができ、光演出領域LRでの光演出の品質を高めることができる。また光演出領域LRが広い面積を有している場合にも、光演出領域LRの裏側を満遍なく照らして、模様領域TRや背景領域BRを表側から見て満遍なく光らせることが可能になる。
【0112】
なお図7(B)のように複数の発光素子LEDA1〜LEDA3を配置した場合に、これらの発光素子LEDA1〜LEDA3の光照射方向DLAは必ずしも同じ方向に揃っていなくてもよく、少なくともDR1方向に交差(例えば45度以上の角度での交差)する方向であれば、異なった方向であってもよい。
【0113】
図8(A)では、第1の端辺SD1用の発光素子LEDAと、第1の端辺SD1に対向する第2の端辺SD2用の発光素子LEDBが設けられている。
【0114】
具体的には、SD1用の発光素子LEDAは、第1の端辺領域SR1の裏側領域に配置される。そしてDR1方向に交差する第1の光照射方向DLAの光で、光演出領域LRを裏側から照射する。
【0115】
一方、SD1用の発光素子LEDBは、第2の端辺領域SR2の裏側領域に配置される。そして第1の光照射方向DLAとは逆向きの第2の光照射方向DLBの光で、光演出領域LRを裏側から照射する。
【0116】
例えば図8(A)では、発光素子LEDAの光の光照射方向DLAは、紙面に向かって左から右に向かう方向であり、発光素子LEDBの光の光照射方向DLBは、紙面に向かって右から左に向かう方向になっている。なお光照射方向DLAと光照射方向DLBは完全に逆向きである必要はなく、これらの方向のなす角度は180度からずれたものであってもよい。
【0117】
図8(A)に示すように、発光素子LEDA、LEDBにより、光演出領域LRの両方向から光を照射すれば、図7(A)に比べて更に満遍なく光演出領域LRの裏側を照らすことが可能になる。即ち図7(A)のように左側に設けられた発光素子LEDAだけで照らした場合には、光演出領域LRの右側の領域での光の照射度合いが不十分になるおそれがある。この点、図8(A)のように両方向から光を照射すれば、光演出領域LRの裏側を更に満遍なく照らして、模様領域TRや背景領域BRを表側から見て更に満遍なく均一に光らせることが可能になる。
【0118】
また図8(A)では、端辺領域SR2は端辺領域SR1と同様に遮光特性を有している。例えば背景領域BRよりも光透過率が低い遮光特性を有する。これにより発光素子LEDBの光が、紙面に向かって手前側に漏れなくなり、光照射方向DLBへの光の指向性も向上できる。
【0119】
図8(B)では、複数の第1の端辺領域SR1用の発光素子LEDA1〜LEDA3が、第1の端辺領域SR1の裏側領域に配置されると共に、複数の第2の端辺領域SR2用の発光素子LEDB1〜LEDB3が第2の端辺領域SR2の裏側領域に配置される。
【0120】
具体的にはSR1用の複数の発光素子LEDA1〜LEDA3が、端辺領域SR1の裏側領域において方向DR1に沿って配置される。そして方向DR1に交差する第1の光照射方向DLAの光で、光演出領域LRを裏側から照射する。一方、SR2用の複数の発光素子LEDB1〜LEDB3が、端辺領域SR2の裏側領域において、SR2に沿った第2の方向DR2に沿って配置される。そしてDR2方向に交差する第2の光照射方向DLBの光で、光演出領域LRを裏側から照射する。
【0121】
図8(B)に示すように複数の発光素子LEDA1〜LEDA3、LEDB1〜LEDB3により、光演出領域LRの両方向から光を照射するようにすれば、図8(A)に比べて更に満遍なく光演出領域LRの裏側を照らすことが可能になる。そして模様領域TRや背景領域BRを表側から見て更に満遍なく均一に光らせることが可能になる。
【0122】
なお各端辺領域の裏側に配置する発光素子の個数は図8(B)のように3個には限定されず、その個数は任意である。また図8(B)では、対向する端辺SD1、SD2の領域SR1、SR2の裏側に発光素子を設ける場合について示しているが、他の端辺の領域の裏側に1又は複数の発光素子を設けてもよい。
【0123】
次に発光素子に光照射方向の設定について更に詳細に説明する。
【0124】
図9(A)は、図7(A)の光演出領域LRを横方向(図7(A)の紙面に向かって下から上に向かう方向)から見た図である。図9(A)に示すように、発光素子LEDAは、端辺領域SR1の裏側(下側)の領域に配置されている。
【0125】
そして発光素子LEDAからの光は、光演出領域LRの裏側を、水平方向に対して見上げる角度の光照射方向DLAで照らしている。具体的には発光素子LEDAは、光演出領域LRのボディ面に沿った方向に対して45度以下の仰角θAをなす光照射方向DLAの光で、光演出領域LRの裏側を照らしている。ここで仰角θAは、光演出領域LRの面に沿った方向を水平方向とした場合に、水平方向に対して見上げる側での角度である。
【0126】
図9(B)は、図8(A)の光演出領域LRを横方向から見た図である。図9(B)では、発光素子LEDAが端辺領域SR1の裏側の領域に配置されると共に、発光素子LEDBが端辺領域SR2の裏側の領域に配置される。
【0127】
そして、左側の発光素子LEDAが、45度以下の仰角θAの光照射方向DLAの光で、光演出領域LRの裏側を照らすと共に、右側の発光素子LEDBが、45度以下の仰角θBの光照射方向DLBの光で、光演出領域LRの裏側を照らしている。このようにすることで、光演出領域LRの裏側の全領域を満遍なく照らすことが可能になる。
【0128】
即ち本実施形態では、ボディ12の裏側に設けられた発光素子からの光により、背景領域や模様領域を光らせるために、ボディ12を例えば光透過性(発光素子の光を透過する特性)の部材(材質)で形成している。
【0129】
ところが、このようにボディ12を光透過部材で形成すると、発光素子が外部から透けて見えてしまう問題が生じる。このため本実施形態では、発光素子を覆う端辺領域(SR1、SR2)に遮光特性を持たせて、発光素子が、光透過部材のボディ12を介して透けて見えないようにしている。
【0130】
この場合に、ボディ12において、遮光特性を有する端辺領域の占める面積が大きくなると、その分だけ光演出が行われる領域が狭くなってしまい、望ましくない。
【0131】
そこで本実施形態では、遮光領域となる端辺領域を光演出領域の両端の領域に設けると共に、端辺領域の面積をなるべく小さくしている。そして、このような狭い面積の端辺領域の裏側に1又は複数の発光素子をまとめて配置している。
【0132】
一方、光演出効果を高めるためには、発光素子の光りにより光演出領域の裏側を満遍なく照らすことが望ましい。ところが、上述のように狭い面積の端辺領域の裏側に発光素子をまとめて配置すると、光演出領域の裏側を満遍なく照らすことが難しくなる。
【0133】
この点、本実施形態では図9(A)、図9(B)に示すように、45度以下の仰角の光照射方向の光で、光演出領域の裏側を照らしている。従って、狭い面積の端辺領域の裏側に発光素子をまとめて配置した場合にも、光演出領域の裏側を満遍なく照らすことが可能になる。即ち、端辺領域の裏側への発光素子の集中配置により、遮光性を有する端辺領域の面積を小さくしながら、45度以下の仰角の光照射方向の光で照らすことで、光演出領域での光演出の品質の向上に成功している。
【0134】
なお、発光素子は、前方向への配光の拡がりが、より広い配光特性(光源の各方向への光度分布の特性)を有するものであることが望ましい。このように発光素子の配光の拡がりが広いと、より広範囲に亘って光演出領域の裏側を照らすことができ、光演出領域を綺麗に光らせることが可能になる。
【0135】
3.3 カバー部材
図3に示すように本実施形態の車両玩具10の内部には、モータ30や車軸機構などの種々のパーツが配置されている。従って、上述のようにボディ12を光透過部材で形成すると、これらのモータ30等のパーツが、光透過性のボディ12を介して外部から見えるようになってしまう。
【0136】
そこで本実施形態では、発光素子からの光がモータ30(原動機)に照射されないように、少なくともモータ30を覆うカバー部材を設けている。例えば図10では、モータ30を覆うようにカバー部材CVを設けている。また、このカバー部材CVは、車軸やギアなどの車軸機構や電池(動力源)等も覆っている。これにより、ボディ12の内部に設けられた発光素子LEDb、LEDcが発光した場合に、光透過性のボディ12を介してモータ30等が外部から見えてしまう事態を防止できる。
【0137】
この場合にカバー部材CVは、発光素子LEDb、LEDc等からの光を吸収する光吸収性部材により形成できる。例えば黒や黒に近い色の部材等により形成できる。
【0138】
或いはカバー部材CVを、高い光反射率を有する光反射部材により形成してもよい。例えば、少なくともモータ30(原動機)よりも高い光反射率(発光素子からの光の反射率)を有する光反射部材により形成する。具体的には例えば銀色等のアルミ板やアルミ紙(アルミホイル)などによりカバー部材CVを形成する。
【0139】
このような光反射部材によりカバー部材CVを形成すれば、発光素子LEDb、LEDcからの光がカバー部材CVにより反射されて、外部に照射されるようになるため、光演出効果を逆に向上させることを期待できる。即ちモータ30等を見えないようにするカバー部材CVを、光演出効果の向上に有効活用する。これにより発光素子LEDb、LEDcからの光がカバー部材CVにより反射され、その反射光が光透過性のボディ12を介して外部に見えるようになり、意外性のある光演出効果の実現を期待できる。
【0140】
なおカバー部材CVの配置形態は図10に限定されず、種々の変形実施が可能である。例えばモータ30だけをカバー部材CVにより覆ってもよいし、逆にモータ30をカバー部材CVにより覆わずに、他のパーツをカバー部材CVにより覆ってもよい。或いはモータ30だけをカバー部材CVで覆うだけではなく、シャシ全体をカバー部材CVで覆うようにしてもよい。
【0141】
またカバー部材CVを光反射部材で形成する場合に、複数のパーツの各パーツ毎に異なる色(反射色)の光反射部材で形成されるカバー部材で覆ってもよい。こうすることで、更に意外性のある光演出効果を期待できるようになる。
【0142】
3.4 模様領域の形成
模様領域の形成手法としては種々の手法を想定できる。例えば図11(A)では、光演出領域LRが設定されるボディの表面を、所定の模様パターンで切削することで、模様領域TRを形成している。例えばアクリル等の光透過部材で形成された車両玩具のボディを、キリやヤスリ等の切削手段で切削することで模様領域TRを形成する。
【0143】
このような切削工程により模様領域TRのボディ部分を切削すると、図11(A)に示すように、切削した模様領域TRの表面が、背景領域BRなどの他の領域に比べて粗い表面になる。従って、発光素子からの光が模様領域TRの粗い表面で乱反射されて、外部から見た場合に模様領域TRが白っぽく光って見えるようになる。
【0144】
一方、模様領域TRに比べて表面が滑らかな背景領域BRでは、発光素子からの光の一部が通過し、例えば発光素子の発光色が青である場合には、背景領域BRは青っぽく光って見えるようになる。これにより、模様領域TRは白っぽく光って見える一方で、背景領域BRは青っぽく光って見えるようになる。従って、ボディ表面を所定模様パターンで切削するだけという簡素な工程作業で、高い光演出効果を実現できるという利点がある。
【0145】
なお、模様領域TRに対して梨地処理などの表面加工処理を行ったり、サンドブラストを用いた切削工程により模様領域TR(模様パターン)を形成してもよい。このようにすることで、模様領域TRを綺麗に彫ることが可能になり、模様領域TRを綺麗に光らせることが可能になる。
【0146】
また図11(B)では、光演出領域LRが設定されるボディの表面に対して、背景領域BRとは光透過特性が異なる模様部材BPを接着することで、模様領域TRを形成している。具体的には、ボディ表面に所望の模様形状のシールやテープを貼ることで、模様領域TRを形成する。このようにすれば図11(B)に示すように、ボディの裏側からの発光素子の光が、背景領域BRを通過する場合と、模様領域TRを通過する場合とで、光透過特性(光透過率、光吸収率、光反射率)が異なるようになる。これにより、外部から見た時の背景領域BRの色と模様領域TRの色が異なって見えるようになり、光演出領域LRでの光演出を実現できる。
【0147】
またシール等の模様部材BPを用いれば、車両玩具に施す模様のパターンを各プレーヤが容易にカスタマイズできるという利点がある。例えばプレーヤは、透明のボディの車両玩具を購入した後に、そのボディに貼る模様のシールとして、自身の好みの模様のシールを購入する。そして、購入したシールを、自身の好みのデザインで車両玩具のボディに貼ることで、そのユーザにオリジナルの光演出が可能な車両玩具を実現できるようになる。これにより、ユーザのカスタマイズの楽しみを増すことが可能になり、飽きの来にくい車両玩具の提供が可能になる。
【0148】
なお、模様部材BPとなるテープやシールとしては、例えば半透明テープや半透明シールを使用することができる。そして半透明テープ等は、より透明度が低いテープ等であることが望ましい。透明度が低いテープ等を使用することで、発光素子からの光の乱反射が強くなり、模様領域を、より綺麗に光らせることが可能になる。
【0149】
3.5 ライン又はライン群毎の発光素子の配置
図7(B)や図8(B)のように複数の発光素子を設ける場合には、これらの複数の発光素子の各発光素子を、模様領域の各ライン又は各ライン毎に配置することが望ましい。
【0150】
例えば図12(A)では、模様領域TR(模様パターン)として複数のライン(模様ライン)が形成されている。そして発光素子LEDA1、LEDA2、LEDA3の各々は、これらの複数のラインの各ラインに対応して設けられる。そして各発光素子LEDA1、LEDA2、LEDA3からの光が、各ラインを裏側から照射する。例えば発光素子LEDA1は第1のラインに対応して設けられ、光照射方向DLAの光で第1のラインを裏側から照らす。また発光素子LEDA2は第2のラインに対応して設けられ、光照射方向DLAの光で第2のラインを裏側から照らし、発光素子LEDA3は第3のラインに対応して設けられ、光照射方向DLAの光で第3のラインを裏側から照らす。
【0151】
このようにすれば複数のラインの各ラインを、対応する専用の発光素子により、個別的に裏側から照らすことができ、光演出領域LRの模様領域TRとなる各ラインを綺麗に光らせることが可能になる。
【0152】
また図12(B)では、模様領域TR(模様パターン)として複数のライン群(模様ライン群)が形成されている。そして発光素子LEDA1、LEDA2、LEDA3の各々は、これらの複数のライン群の各ライン群に対応して設けられる。そして各発光素子LEDA1、LEDA2、LEDA3からの光が、各ライン群を裏側から照射する。例えば発光素子LEDA1は、複数本のラインで構成される第1のライン群に対応して設けられ、光照射方向DLAの光で第1のライン群を裏側から照らす。また発光素子LEDA2は第2のライン群に対応して設けられ、光照射方向DLAの光で第2のライン群を裏側から照らし、発光素子LEDA3は第3のライン群に対応して設けられ、光照射方向DLAの光で第3のライン群を裏側から照らす。
【0153】
このようにすれば複数のライン群の各ライン群を、対応する専用の発光素子により、個別的に裏側から照らすことができ、光演出領域LRの模様領域TRとなる各ライン群を綺麗に光らせることが可能になる。
【0154】
なお、各ライン(各ライン群)の形状は図12(A)、図12(B)のような直線形状には限定されず、種々の変形実施が可能である。例えば図7(B)、図8(B)に示すような形状であってもよい。例えば図7(B)ではジグザグ形状や閉じた図形の各ライン(各ライン群)に対応して、発光素子LEDA1、LEDA2、LEDA3の各々が配置されている。
【0155】
また図12(A)、図12(B)において、複数のラインの少なくとも2つのライン、或いは複数のライン群の少なくとも2つのライン群は、互いに異なる光透過特性(光透過率、光吸収率又は光反射率)を有していてもよい。例えば第1〜第3のラインのうちの2つのライン又は全部のラインの光透過特性を互いに異ならせる。また第1〜第3のライン群のうちの2つのライン群又は全部のライン群の光透過特性を互いに異ならせる。なおライン群の中のライン間の光透過特性を互いに異ならせてもよい。
【0156】
このようにすれば、光透過特性が異なる2つのライン又は2つのライン群が異なった光り方をするようになり、多様な光演出を実現できる。
【0157】
なお、図11(A)に示すように切削工程で模様領域TRを形成する場合には、模様領域TRでの表面の粗さを異ならせることで、ライン間(ライン群間)の光透過特性を異ならせることができる。例えば第1のライン(第1のライン群)は表面を粗くし、第2のライン(第2のライン群)は表面を滑らかにする。これは表面加工処理や、ヤスリの目の粗さの調整などにより実現できる。
【0158】
また図11(B)に示すように、テープやシール等の模様部材BPを接着する場合には、テープやシールの透明度(半透明度)を異ならせることで、ライン間(ライン群間)の光透過特性を異ならせることができる。例えば第1のライン(第1のライン群)は透明度が高いテープやシールで形成し、第2のライン(第2のライン群)は透明度が低いテープやシールで形成する。こうすることで各ライン(各ライン群)が異なった光り方をするようになり、光演出を多様化できる。
【0159】
3.6 移動状態情報に基づく発光制御
本実施形態では、車両玩具(移動玩具)の移動状態情報に基づいて、発光素子の発光を制御してもよい。
【0160】
例えば本実施形態では、前述の図1(A)〜図4で説明したように、外部のゲーム装置から受信した走行制御データや、コースに設定されたマーカを、センサにより検知することで得られる検知情報に基づいて、車両玩具の走行を制御する。或いは後述する図14(A)〜図16で説明するように、コースに設定されたデータマーカに埋め込まれたコースデータに基づいて、車両玩具の走行を制御する。そしてこのようにして走行が制御される車両玩具の移動状態情報に基づいて、光演出領域に光を照射する発光素子の発光を制御する。
【0161】
即ち、外部から受信した走行制御データやコースに設定されたコースデータにより車両玩具の走行を制御する場合に、車両玩具の走行を見ているプレーヤは、これらの走行制御データやコースデータの内容自体を視覚的に直接に把握することはできない。
【0162】
この点、走行制御データやコースデータにより走行する車両玩具の移動状態情報(速度・加速・減速情報)に応じて、光演出領域を照らす発光素子の発光を制御すれば、プレーヤは、走行制御データやコースデータにより車両玩具の走行がどのように制御されているのかを、視覚的に把握できるようになる。
【0163】
具体的には図13(A)に示すように、例えば走行制御データやコースデータに基づいて車両玩具が加速制御された場合には、光演出用の発光素子を点滅させる。これにより、光演出領域の背景領域や模様領域からの光も点滅して見えるようになる。従って、プレーヤは、光演出領域での光の点滅を見ることで、走行制御データやコースデータにより車両玩具が加速制御されていることを視覚的に把握できるようになる。
【0164】
同様に図13(A)に示すように、走行制御データやコースデータに基づいて車両玩具が定速走行になった場合には、光演出用の発光素子を点灯させ、車両玩具が停止した場合には、光演出用の発光素子を消灯する。これにより、定速走行時には光演出領域での光が点灯し、停止時には消灯するようになる。従って、プレーヤは、光演出領域での光の点灯や消灯を見ることで、車両玩具の移動状態が定速走行状態なのか停止状態なのかを視覚的に把握できるようになる。
【0165】
なお、車両玩具がコースからジャンプしてしまい、マーカを所定時間読み取れなくなることで、車両玩具がコースアウトしたと判断された場合に、光演出用の発光素子を消灯するようにしてもよい。このようにすることで、コースアウト後に無駄な電力が消費されて電池が消耗してしまう事態を防止できる。
【0166】
また光演出用の発光素子として、光の色が異なる複数の発光素子が設け、これらの発光素子のうち、車両玩具の移動状態情報により選択された発光素子を発光させるようにしてもよい。
【0167】
具体的には図13(B)に示すように、例えば走行制御データやコースデータに基づいて車両玩具が加速制御された場合には、光演出用の青色の発光素子を発光させる。一方、走行制御データやコースデータに基づいて車両玩具が減速制御(ブレーキ制御)された場合には、光演出用の赤色の発光素子を発光させる。また車両玩具が定速走行状態になった場合には、光演出用の緑色の発光素子を発光させる。
【0168】
このようにすれば、例えば車両玩具が加速制御された場合には、光演出領域の背景領域等が青く光り、減速制御された場合には赤く光るようになる。また車両玩具の移動状態が定速走行状態である場合には、緑色に光るようになる。従って、プレーヤは、光演出領域での光の色を見ることで、走行制御データやコースデータにより車両玩具が加速制御されたり、減速制御されたり、定速走行していることを、視覚的に把握できるようになる。
【0169】
なお、光の色(発光色等)が異なる複数の発光素子を用いる場合には、例えば図7(B)や図8(B)のように複数の発光素子を配置する際に、光の色が互いに異なる発光素子を配置すればよい。図7(B)を例にとれば、例えばLEDA1、LEDA2、LEDA3として、各々、光の色が青、緑、赤の発光素子を配置する。また図8(B)を例にとれば、例えばLEDA1、LEDA2、LEDA3として、各々、光の色が青、緑、赤の発光素子を配置し、LEDB1、LEDB2、LEDB3として、各々、光の色が赤、緑、青の発光素子を配置すればよい。
【0170】
なお移動状態情報に基づく発光素子の発光制御手法は、図13(A)、図13(B)の手法に限定されない。例えば図13(A)の点滅・点灯・消灯の制御と、図13(B)の発光色の制御を組み合わせる手法を採用してもよい。例えば加速時には青色の発光素子を点滅させ、減速時には赤色の発光素子を点滅させ、定速走行時には緑色の発光素子を点灯させるなどの制御を行う。
【0171】
或いは、点滅・点灯・消灯の制御や発光色の制御のみならず、発光素子の発光量(発光の強さ)の制御を行うようにしてもよい。例えば加速や減速の度合いが高い場合には発光素子の発光量を大きくし、加速や減速の度合いが低い場合には発光量を小さくする。また定速走行時の速度が速い場合には、発光素子の発光量を大きくし、速度が低い場合には、発光量を小さくする。このように車両玩具の移動状態情報に基づく発光素子の発光制御手法としては種々の手法を採用できる。
【0172】
3.7 変形例
次に本実施形態の種々の変形例について説明する。
【0173】
例えばコース60を構成する各コースパーツCP1〜CP16に設けるマーカコードMC1〜MC16の配列は、図1(A)に示す例に限定されない。即ち、図14(A)、図14(B)に示すように、コース60の走行面CPB1(〜CPB16)の車両玩具10の進行方向D1(第1の方向)に対して右半分側の領域CPBR1(広義には第1の領域)に、車両玩具10がデータを読み取るための複数のデータマーカDM1〜DMn(nは2以上の整数)からなるマーカコードMC1(〜MC16)を設けてもよい。
【0174】
本実施形態において、これらのマーカコードMC1(〜MC16)に含まれる複数のデータマーカDM1〜DMnによって読み取られるデータは、各コースパーツCP1〜CP16の形状を特定するためのコースパーツID等で示されるコースデータである。すなわち、各マーカコードMC1(〜MC16)は、コースパーツCP1〜CP16のうち、第iのコースパーツCPiと第jのコースパーツCPj(1≦i<j≦16)の形状が異なれば、複数のデータマーカDM1〜DMnの配列が異なっている。このため、コースパーツCP1〜CP16の形状の違いを、データマーカDM1〜DMnの配列の違いにより表すことが可能になる。なお、当該データは、コースデータに限られず、例えば、各コースパーツCP1〜CP16における走行の際の走行指示データ等であってもよい。
【0175】
一方、各コースパーツCP1〜CP16の走行面CPB1〜CPB16の車両玩具10の進行方向D1に対して左半分側の領域CPBL1(第2の領域)には、図14(A)、図14(B)に示すように、当該データをサンプリングするためのクロックを車両玩具10が読み取るための複数のクロックマーカCM1(〜CM16)が設けられている。なお、これらのデータマーカDM1〜DMnとクロックマーカCM1〜CM16の配列は、図14(A)、図14(B)に示す配列に限定せず、例えばD1方向に対して左右反対となる配列であってもよい。
【0176】
このように、データマーカDM1〜DMn及びクロックマーカCM1(〜CM16)をコース60上に設けることによって、コース60上を走行開始した車両玩具10は、各種端末装置等からなるゲーム装置からインストールされるプログラムによって走行動作が制御されながら、コース60上を反時計回り(図1(A)におけるD1方向)で走行する。本実施形態では、コース60上を走行した際に、車両玩具10に含まれるデータ用センサ50a(図15参照)が、マーカコードMC1〜MC16に含まれるデータマーカDM1〜DMnを読み取ることによって、各コースパーツCP1〜CP16の形状を特定するためのコースパーツID(コースデータ)を取得できる。
【0177】
なお、本実施形態では、データマーカDM1〜DMn及びクロックマーカCM1(〜CM16)は、白色のマーカであり、コース60の走行面CPB1(〜CPB16)は、黒色に着色されている。なお、これらのマーカDM1〜DMn、CM1〜CM16の色は、白色に限定されず、輝度が所与の基準輝度以上に設定され、コース60の走行面CPB1(〜CPB16)の輝度が当該基準輝度未満に設定されていればよい。また反対に、これらのマーカDM1〜DMn、CM1〜CM16の輝度が所与の輝度未満に設定され、コース60の走行面CPB1(〜CPB16)の輝度が当該基準輝度以上に設定するようにしてもよい。
【0178】
また、図14(A)、図14(B)に示すように、コース60上にデータマーカDM1〜DMnと、クロックマーカCM1〜CM16が設けられている場合、センサ50として、図15に示すように、データ用センサ50aと、クロック用センサ50bを、車両玩具10の接地面側に設ければよい。データ用センサ50aは、車両玩具10がデータを読み取るためにコース60に設けられる複数のデータマーカDM1〜DMnからなるマーカコードMC1〜MC16を検知する。クロック用センサ50bは、当該データをサンプリングするためのクロックを読み取るためにコース60に設けられる複数のクロックマーカCM1〜CM16を検知する。
【0179】
本実施形態では、データ用センサ50a及びクロック用センサ50bは、図15に示すように、ボディ12のコース60に対する接地面側に、車両玩具10の走行方向(移動方向)である第1の方向D1に対して垂直方向となる第2の方向D2に沿って並列して設けられている。このため、車両玩具10がコース60上を走行すると、クロック用センサ50bでクロックマーカCM1〜CM16を読み取りながら、データ用センサ50aでデータマーカDM1〜DMnを読み取れる。換言すると、データ用センサ50aと並列配置されているクロック用センサ50bによりクロックを抽出し、そのクロックを基準にデータを適正に取得できる。
【0180】
即ち、データ用センサ50aは、検知対象となるマーカコードMC1〜MC16に含まれるデータマーカDM1〜DMnの輝度(輝度情報)を検知し、クロック用センサ50bは、検知対象となるクロックマーカCM1〜CM16の輝度(輝度情報)を検知する。そして、クロック用センサ50bの検知信号から抽出されたクロックにより、データ用センサ50aの検知信号をサンプリングすることでコースパーツCP1〜CP16の形状を特定するためのコースデータを読み取ることができる。
【0181】
具体的には、データ用センサ50aは、コース60の各コースパーツの走行面の進行方向D1に対して右半分側の領域(第1の領域)に設けられたデータマーカDM1〜DMnと、対向するように配置される。そして、データ用センサ50aは、検知対象となるデータマーカDM1〜DMnの輝度を検知する。この場合に、コース60の走行面CPB1〜CPB16の輝度は、所与の基準輝度未満であり、データマーカDM1〜DMnの輝度は、基準輝度以上になるように設定される。そして、車両玩具10が走行してコース60上に設けられているマーカコードMC1〜MC16の各データマーカDM1〜DMnを通過すると、センサ50の検知対象の輝度が基準輝度を閾値として判断して、各マーカコードMC1〜MC16が検出される。そして、これらのマーカコードMC1(〜MC16)に含まれるデータマーカDM1〜DMnの検出によって、各コースパーツCP1〜CP16、CP201〜CP216、CP301〜CP316、CP401〜CP416の形状を特定するためのコースデータが読み取られる。なお、ここで言及する基準輝度とは、第1の輝度と第2の輝度の差異を明確に設定するための当該第1の輝度と第2の輝度の間の所与の輝度である。
【0182】
また、図15に示すようにセンサ50としてデータ用センサ50aとクロック用センサ50bを設ける場合には、図16の車両玩具10の機能ブロック図に示すように、制御部310に、クロック抽出処理部312とデータ判定処理部314とデータ送受信処理部318を含ませればよい。
【0183】
クロック抽出処理部312は、コース60上のクロックマーカCM1〜CM16を検知するクロック用センサ50bの検知信号に基づいて、クロックを抽出する。
【0184】
データ判定処理部314は、クロック用センサ50bの検知信号から抽出されたクロックに基づいてデータマーカDM1〜DMnを検知するデータ用センサ50aの検知信号をサンプリングすることで、データを抽出する。本実施形態では、データ判定処理部314は、抽出するデータとして、車両玩具10が走行したコース60を構成する各コースパーツCP1〜CP16の形状を特定するためのコースデータを抽出する。なお、当該データは、コースデータに限定されず、例えば、各コースパーツCP1〜CP16における走行の際の走行指示データ等を、データ判定処理部314で抽出してもよい。
【0185】
データ送受信処理部318は、外部I/F部370が外部機器とインターフェース処理を行う際に、当該外部機器とデータの送受信を行う制御を行う。具体的には、データ送受信処理部318は、外部I/F部370がゲーム装置400とインターフェース処理を行う際に、ゲーム装置400から送信される各種データを受信して記憶部330に記憶させたり、反対に実際に走行した車両玩具10に新たに記憶された各種データをゲーム装置400に送信する制御を行う。また、本実施形態では、データ送受信処理部318は、外部I/F部370を介してデータ判定処理部314により抽出されたコースデータをゲーム装置400に送信するデータ送信処理部としても機能する。
【0186】
また、この場合、記憶部330は、外部のゲーム装置(外部端末)から受信した走行制御データを記憶する走行制御データ記憶部332と、車両玩具10のセンサ50の検知情報、車両玩具10のジャンプ区間、滞空時間等の走行検知データをデータログとして記憶する走行検知データ記憶部334と、を含む。そして、走行制御データ記憶部332が記憶する走行制御データとして、その各走行制御データが、第1〜第16のコースパーツCP1〜CP16のうちの対応する各コースパーツに設けられた複数のデータマーカDM1〜DMnに対応づけられる、第1〜第16の走行制御データを記憶する。また、走行検知データ記憶部334が記憶する車両玩具10のセンサ50の検知情報には、データ用センサ50aで検知したコースパーツCP1〜CP16の形状を特定するためのコースパーツID(コースデータ)が含まれる。
【0187】
そして図16の発光素子駆動部340は、データ用センサ50aを用いて抽出されたデータに基づいて、光演出用の発光素子52の駆動制御を行う。即ちクロック用センサ50bの検知信号から抽出されたクロックにより、データ用センサ50aの検知信号をサンプリングすることで抽出されたデータに基づいて、光演出用の発光素子52の発光を制御する。
【0188】
例えばデータ用センサ50aを用いて抽出されたデータがコースデータである場合には、前述のようにこのコースデータに基づいて車両玩具10の走行を制御し、車両玩具10の移動状態情報に基づいて、光演出用の発光素子52の発光を制御すればよい。
【0189】
或いは、コース60のデータマーカDM1〜DMnに対して、発光制御データを直接に埋め込むようにしてもよい。この場合には、データ用センサ50aを用いて抽出された発光制御データに基づいて、光演出用の発光素子の発光を直接に制御する。これにより、例えば特定のコース区間において、光演出用の発光素子を点滅又は点灯させたり、走行するコース区間に応じて光演出領域の光の色を変えるなどの制御が可能になる。
【0190】
具体的には、車両玩具10が第1のコース区間を走行している時には、第1のコース区間のデータマーカに設定された発光制御データの指示に基づいて、光演出用の発光素子を点滅させる。一方、車両玩具10が第2のコース区間を走行している時には、第2のコース区間のデータマーカに設定された発光制御データの指示に基づいて、光演出用の発光素子を点灯させたり、消灯させる。
【0191】
或いは車両玩具10が第1のコース区間を走行している時には、第1のコース区間のデータマーカに設定された発光制御データの指示に基づいて、青色の光演出用の発光素子を点滅又は点灯させる。一方、車両玩具10が第2のコース区間を走行している時には、第2のコース区間のデータマーカに設定された発光制御データの指示に基づいて、赤色の光演出用の発光素子を点滅又は点灯させる。
【0192】
このようにすれば、コース上に設定されたデータマーカを利用して、従来の車両玩具では実現できなかったインテリジェントな制御により、光演出領域での光演出を実現できるようになる。
【0193】
なお、本実施形態の変形例として、本実施形態の手法を移動玩具以外の電子機器に適用することも可能である。このような電子機器としては、携帯電話機、携帯型音楽プレーヤ、携帯型ゲーム機、又は携帯情報端末などの種々の機器を想定できる。例えば図17は携帯電話機600への適用例である。この携帯電話機600は、LCDなどのディスプレイが設けられる第1の部分610と、ボタン等が設けられる第2の部分620と、第1、第2の部分を接続するヒンジ部630を有する。そして第1の部分610に設けられたディスプレイの例えば裏面側に、光演出領域LRが設定される。またこの光演出領域LRは、背景領域BRと、背景領域BRとは光透過特性が異なる模様領域TRを有する。また光演出領域LRが設定される面は、アクリル等の光透過部材で形成される。そして発光素子LED1〜LED5が、光演出領域LRの第1の端辺に沿った第1の端辺領域SRの裏側領域に配置されて、光演出領域LRを裏側から照射する。具体的には、第1の端辺領域に沿った方向を第1の方向とした場合に、第1の方向に交差する光照射方向の光で、光演出領域LRを裏側から照射する。そして携帯電話機を例にとれば、発光素子LED1〜LED5は、電話の着信時やメールの受信時等に点灯又は点滅する。これにより、電話の着信時やメールの受信時において、光演出領域LRの背景領域BRや模様領域TRが異なった色で光るようになり、これまでにないタイプの携帯電話機を提供できる。
【0194】
なお本発明は、上記実施形態で説明したものに限らず、種々の変形実施が可能である。例えば、明細書又は図面中の記載において広義や同義な用語(移動玩具、原動機等)として引用された用語(車両玩具、モータ等)は、明細書又は図面中の他の記載においても広義や同義な用語に置き換えることができる。また、光演出領域での光演出手法、発光素子の発光制御手法、移動玩具の制御手法等は、本実施形態で説明したものに限定されず、これらと均等な手法も本発明の範囲に含むことができる。
【符号の説明】
【0195】
LR(LRb〜LRd) 光演出領域、BR(BRb〜BRd) 背景領域、
TR(TRb〜TRd) 模様領域、DL(DLb〜DLd) 光照射方向、
LED(LEDb〜LEDd) 発光素子、SR(SRb〜SRd) 端辺領域、
10 車両玩具、12 ボディ、30 モータ、50 センサ、
50a データ用センサ、50b クロック用センサ、52 発光素子、
60 コース、61、62 第1、第2の周回コース、
300 回路基板、310 制御部、312 クロック抽出処理部、
314 データ判定処理部、318 データ送受信処理部、330 記憶部、
340 発光素子駆動部、350 駆動部、360 センサコントローラ、
370 外部インターフェース部、400 ゲーム装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディと、
前記ボディに搭載され、移動玩具を移動させる原動機と、
少なくとも1つの発光素子と、
前記発光素子を駆動して発光を制御する発光素子駆動部と、
を含み、
前記ボディの少なくとも一部に対して、背景領域と前記背景領域とは光透過特性が異なる模様領域とを有する光演出領域が設定され、
前記発光素子は、
前記ボディの裏側から前記光演出領域に向けて光を照射することを特徴とする移動玩具。
【請求項2】
請求項1において、
前記発光素子は、
前記光演出領域の第1の端辺に沿った第1の端辺領域の裏側領域に配置され、前記第1の端辺領域に沿った方向を第1の方向とした場合に、前記第1の方向に交差する光照射方向の光で、前記光演出領域を裏側から照射することを特徴とする移動玩具。
【請求項3】
請求項2において、
複数の前記発光素子が、前記第1の端辺領域の裏側領域において前記第1の方向に沿って配置され、前記第1の方向に交差する光照射方向の光で、前記光演出領域を裏側から照射することを特徴とする移動玩具。
【請求項4】
請求項2又は3において、
前記第1の端辺領域は、前記背景領域よりも光透過率が低い遮光特性を有することを特徴とする移動玩具。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれかにおいて、
前記発光素子は、
前記ボディの前記光演出領域の面に沿った方向に対して45度以下の仰角をなす光照射方向の光で、前記光演出領域を裏側から照射することを特徴とする移動玩具。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれかにおいて、
第1の端辺用の前記発光素子が、前記第1の端辺領域の裏側領域に配置され、前記第1の方向に交差する第1の光照射方向の光で、前記光演出領域を裏側から照射し、
第2の端辺用の前記発光素子が、前記光演出領域の前記第1の端辺に対向する第2の端辺に沿った第2の端辺領域の裏側領域に配置され、前記第1の光照射方向とは逆向きの第2の光照射方向の光で、前記光演出領域を裏側から照射することを特徴とする移動玩具。
【請求項7】
請求項6において、
複数の第1の端辺領域用の前記発光素子が、前記第1の端辺領域の裏側領域において、前記第1の方向に沿って配置され、前記第1の光照射方向の光で、前記光演出領域を裏側から照射し、
複数の第2の端辺領域用の前記発光素子が、前記第2の端辺領域の裏側領域において、前記第2の端辺領域に沿った第2の方向に沿って配置され、前記第2の方向に交差する前記第2の光照射方向の光で、前記光演出領域を裏側から照射することを特徴とする移動玩具。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記発光素子からの光が前記原動機に照射されないように、少なくとも前記原動機を覆うカバー部材が設けられることを特徴とする移動玩具。
【請求項9】
請求項8において、
前記カバー部材は、少なくとも前記原動機よりも高い光反射率を有する光反射部材により形成されることを特徴とする移動玩具。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかにおいて、
前記模様領域は、
前記光演出領域が設定される前記ボディの表面を所定の模様パターンで切削することで形成される領域であることを特徴とする移動玩具。
【請求項11】
請求項1乃至9のいずれかにおいて、
前記模様領域は、
前記光演出領域が設定される前記ボディの表面に対して、前記背景領域とは光透過特性が異なる模様部材を接着することで形成される領域であることを特徴とする移動玩具。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれかにおいて、
前記移動玩具は車を模した玩具であり、
前記ボディのボンネット、天井及びドアの少なくとも1つに対して前記光演出領域が設定されることを特徴とする移動玩具。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかにおいて、
前記少なくとも1つの発光素子として、複数の発光素子が設けられ、
前記模様領域として、複数のライン又は複数のライン群が形成され、
前記複数の発光素子の各発光素子が、前記複数のラインの各ライン又は前記複数のライン群の各ライン群に対応して設けられ、前記各発光素子からの光が、前記各ライン又は前記各ライン群を裏側から照射することを特徴とする移動玩具。
【請求項14】
請求項13において、
前記複数のラインの少なくとも2つのライン、或いは前記複数のライン群の少なくとも2つのライン群は、互いに光透過特性が異なることを特徴とする移動玩具。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれかにおいて、
前記発光素子駆動部は、
前記移動玩具の移動状態情報に基づいて、前記発光素子の発光を制御することを特徴とする移動玩具。
【請求項16】
請求項15において、
少なくとも1つの前記発光素子として、光の色が異なる複数の発光素子が設けられ、
前記発光素子駆動部は、
光の色が異なる前記複数の発光素子のうち、前記移動玩具の移動状態情報により選択された発光素子を駆動して発光させることを特徴とする移動玩具。
【請求項17】
請求項15又は16において、
前記移動状態情報は、前記移動玩具の速度情報、加速情報及び減速情報の少なくとも1つであることを特徴とする移動玩具。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれかにおいて、
前記移動玩具がデータを読み取るために前記移動玩具が走行するコースに設けられる複数のデータマーカを検知するデータ用センサと、
前記データをサンプリングするためのクロックを読み取るために前記コースに設けられる複数のクロックマーカを検知するクロック用センサと、
前記クロック用センサの検知信号から抽出された前記クロックにより、前記データ用センサの検知信号をサンプリングすることで前記データを抽出する制御部とを含むことを特徴とする移動玩具。
【請求項19】
請求項18において、
前記データ用センサ及び前記クロック用センサは、前記ボディの前記コースに対する接地面側に、前記移動玩具の移動方向に対して垂直方向となる方向に沿って並列して設けられていることを特徴とする移動玩具。
【請求項20】
請求項18又は19において、
前記発光素子駆動部は、
前記データ用センサを用いて抽出された前記データに基づいて、前記発光素子の駆動制御を行うことを特徴とする移動玩具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2010−264014(P2010−264014A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116876(P2009−116876)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【Fターム(参考)】