説明

移動端末装置、無線基地局装置及び無線通信方法

【課題】PHICHのリソースを十分に確保して、上りリンクのSU−MIMOの再送制御を効率的に実現することができる移動端末装置、無線基地局装置及び無線通信方法を提供すること。
【解決手段】本発明の無線通信方法は、無線基地局装置において、複数のコードワードの信号を受信し、全コードワードに誤りがあったときに1ビットの否定応答の物理HARQ指標チャネル信号を生成し、物理HARQ指標チャネル信号を送信し、移動端末装置において、物理HARQ指標チャネル信号を受信し、否定応答の物理HARQ指標チャネル信号に基づいて、全コードワードについて再送信号を無線基地局装置に送信することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LTE−A(Long Term Evolution-Advanced)システムにおいて上りリンクのSU−MIMO(Single User Multiple Input Multiple Output)の再送制御を効率的に実現する移動端末装置、無線基地局装置及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(3rd Generation Partnership Project)で規定されるLTE(Long Term Evolution)システムでは、上りリンクにおいて、同期型のハイブリッド自動再送制御(Synchronous Hybrid Automatic Repeat Request)を適用することが提案されている(非特許文献1)。図1に示すように、上りリンクのPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)信号が初回送信されると、PHICH(Physical Hybrid Automatic Repeat Request Indicator Channel)により送達確認情報(ACK/NACK)が送られる。移動端末装置がPHICHでNACKを受信すると、予め決められた間隔(RTD:Round Trip Delay(8msec))で上りリンクのPUSCH信号を再送する(Non-adaptive 再送)。この場合において、移動端末装置は、同じリソース(RB:Resource Block)でPUSCH信号を再送する。
【0003】
一方、LTEシステムでは、Non-adaptive 再送により同じRBでPUSCH信号を再送すると、他のUE信号(例えば、PRACH(Physical Random Access Channel)信号)と衝突する可能性があるので、図1に示すように、再送の際に異なるRBでPUSCH信号を再送する(adaptive 再送)ことも提案されている。この場合において、移動端末装置は、下り制御チャネル(PDCCH(Physical Downlink Control Channel)のUL grant)で再送に用いるRBの割り当て情報を受信する。
【0004】
また、LTEシステムでは、より高速な伝送を実現するために、無線基地局装置に複数の送受信アンテナを用いるMIMO伝送を採用している。さらに、LTEシステムよりもさらなる広帯域化及び高速化を目的としたLTE−Advanced(LTE−A)システムにおいては、下りリンクで最大8ストリームのMIMO多重伝送、上りリンクで最大4ストリームのMIMO多重伝送が行われる。MIMO多重伝送においては、ストリーム毎に異なるMCS(Modulation and Coding Scheme)制御やHARQ制御が可能なマルチコードワード送信が用いられる。なお、最大のコードワード数はアンテナ数によらず2である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】TS36.321 Sec5.4.2.1,5.4.2.2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上りリンクのMIMO多重伝送において、ストリーム毎に異なるHARQ制御を適用する場合、最も簡単な方法としては、2コードワード分のPHICHのリソースを準備することが考えられる。しかしながら、PHICHのリソースが2倍にすると、多くのユーザを収容する場合に、PHICHのリソースを十分に確保できるかどうかが問題となる。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、PHICHのリソースを十分に確保して、上りリンクのSU−MIMOの再送制御を効率的に実現することができる移動端末装置、無線基地局装置及び無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の移動端末装置は、物理HARQ指標チャネル信号を受信する受信手段と、前記物理HARQ指標チャネル信号が肯定応答(ACK)であるか否定応答(NACK)であるかを判定する判定手段と、前記物理HARQ指標チャネル信号が否定応答である場合に、全コードワードについて再送信号を無線基地局装置に送信する送信手段と、を具備することを特徴とする。
【0009】
本発明の無線基地局装置は、複数のコードワードの信号を受信する受信手段と、全コードワードに誤りがあったときに1ビットの否定応答の物理HARQ指標チャネル信号を生成する物理HARQ指標チャネル信号生成手段と、前記物理HARQ指標チャネル信号を送信する送信手段と、を具備することを特徴とする。
【0010】
本発明の無線通信方法は、無線基地局装置において、複数のコードワードの信号を受信する工程と、全コードワードに誤りがあったときに1ビットの否定応答の物理HARQ指標チャネル信号を生成する工程と、前記否定応答の物理HARQ指標チャネル信号を送信する工程と、前記移動端末装置において、前記否定応答の物理HARQ指標チャネル信号を受信する工程と、前記否定応答の物理HARQ指標チャネル信号に基づいて、全コードワードについて再送信号を前記無線基地局装置に送信する工程と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、無線基地局装置において、複数のコードワードの信号を受信し、全コードワードに誤りがあったときに1ビットの否定応答の物理HARQ指標チャネル信号を生成し、前記否定応答の物理HARQ指標チャネル信号を送信し、前記移動端末装置において、前記否定応答の物理HARQ指標チャネル信号を受信し、前記否定応答の物理HARQ指標チャネル信号に基づいて、全コードワードについて再送信号を前記無線基地局装置に送信するので、PHICHのリソースを十分に確保して、上りリンクのSU−MIMOの再送制御を効率的に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】HARQ制御を説明するための図である。
【図2】LTEシステムにおけるHARQ制御を説明するための図である。
【図3】LTE−Aシステム対応のHARQ制御を説明するための図である。
【図4】本発明に係るHARQ制御を説明するための図である。
【図5】本発明に係るHARQ制御の態様を説明するための図である。
【図6】本発明に係るHARQ制御の態様を説明するための図である。
【図7】本発明に係るHARQ制御の態様を説明するための図である。
【図8】本発明に係るHARQ制御の態様を説明するための図である。
【図9】本発明に係るHARQ制御の態様を説明するための図である。
【図10】本発明に係るHARQ制御の態様を説明するための図である。
【図11】本発明の無線通信方法を行う無線通信システムを示す図である。
【図12】本発明の移動端末装置の概略構成を示す図である。
【図13】本発明の移動端末装置のベースバンド処理部を含む処理部を説明するためのブロック図である。
【図14】本発明の無線基地局装置の概略構成を示す図である。
【図15】本発明の無線基地局装置のベースバンド処理部を含む処理部を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
LTEシステムにおいては、上りリンクでMIMO多重伝送が規定されていない。このため、PUSCH信号は、図2に示すように、移動端末装置(UE:User Equipment)から無線基地局装置(eNB)に対して1コードワード(CW)で送信される。また、このとき、HARQ制御としては、物理HARQ指標チャネル(PHICH)で肯定応答(ACK)(RTD後はデータの送信を行わない)又は否定応答(NACK)(RTD後に同一のRBから同じデータを再送)が1ビットで送られると共に、PDCCHのアップリンクグラント(UL grant)でHARQパラメータが送られる。ここで、HARQパラメータとしては、新規送信データ指標(NDI:New Data Indicator )、Incremental Redundancy (IR)におけるRedundancy Version (RV)、MCSなどが挙げられる。なお、LTEシステムにおいては、RVはTBS(Transport Block Scheme)情報に含まれる。また、UL grantとPHICHが同時に送られている場合には、UL grantの情報を優先する。
【0014】
上述したように、LTE−Aシステムにおいては、上りリンクで最大4ストリームのMIMO多重伝送が行われ、ストリーム毎に異なるHARQ制御が可能なマルチコードワード送信が用いられる。このようなLTE−Aシステムにおいて、マルチコードワード(最大2コードワード)送信を適用する場合、最も簡単な方法は2コードワード分のPHICHリソース、HARQパラメータを準備する方法である。すなわち、図3に示すように、コードワード毎に個別にPHICHのリソース(2ビット)を準備して、コードワード毎のACK/NACKを送信し、PDCCHのUL grantにコードワード毎のHARQパラメータ(NDI,RV)を含める。PDCCHのUL grantにおいては、リソース割り当て情報、送信電力情報など、他の制御情報を併せて送信されるため、各コードワード毎のHARQパラメータ(NDI、RV)を含めることによる無線リソースの増大はごくわずかである。一方、PHICHのリソースはLTEシステムの場合の2倍となってしまうので、無線リソースを多く使ってしまうことになる。
【0015】
そこで、本発明者らは、上記の点を考慮して、LTEシステムよりもPHICHのリソースを増やすことなく、マルチコードワード伝送を行う上りリンクSU−MIMOの再送制御を効率的に実現する方法を提案する。すなわち、本発明の骨子は、無線基地局装置において、複数のコードワードの信号を受信し、全コードワードに誤りがあったときに1ビットの否定応答の物理HARQ指標チャネル信号を生成し、前記物理HARQ指標チャネル信号を送信し、前記移動端末装置において、前記物理HARQ指標チャネル信号を受信し、前記物理HARQ指標チャネル信号が肯定応答であるか否定応答であるかを判定し、前記物理HARQ指標チャネル信号が否定応答である場合に、全コードワードについて前回送信したリソースで再送信号を前記無線基地局装置に送信することにより、PHICHのリソースを十分に確保して、上りリンクのSU−MIMOの再送制御を効率的に実現することである。
【0016】
本発明に係る無線通信方法においては、図4に示すように、PHICH(ACK/NACKシグナリング)のリソースを1ビット(LTEシステムのリソースと同じ)とし、PDCCHのUL grantに2CW分のHARQパラメータを含めて、マルチコードワード伝送を行う上りリンクのSU−MIMOの再送制御を効率的に実現する。
【0017】
本発明において、PHICHのNACKは、RTD後に全CW(ここでは2CW)について、同一の(前回送信した)RBからそれぞれ同じデータを再送することを意味し、PHICHのACKは、RTD後は全CW共に送信を行わないことを意味する。すなわち、全CW分のPHICHを束ねている(bundling)。また、HARQパラメータについては、全CW(2CW)分のNDI(新規データ送信/再送を示す1ビット)、IRにおけるRV(LTEのUL grantにおいては、TBS(Transport Block Scheme)情報に含まれる)、初回送信/再送時のMCSで表現される。この場合においても、UL grantとPHICHが同時に送られているときは、UL grantの情報を優先する。
【0018】
次に、本発明に係る無線通信方法の態様について説明する。ここでは、コードワードが2である場合について説明する。本発明に係る無線通信方法においては、(1)無線基地局装置で両方のコードワードとも復調が誤り、再送を行う態様、(2)無線基地局装置で両方のコードワードが正しく復調された態様、(3)無線基地局装置で片方のコードワードのみ復調が誤り、再送を行う態様がある。
【0019】
(1)両方のコードワードとも復調が誤り、再送を行う態様
この態様におけるHARQ制御としては、(1−1)PHICHでNACKを通知する方法と、(1−2)PDCCHのUL grantで再送を要求する方法とがある。
【0020】
(1−1)の方法は、図5に示すように、無線基地局装置(eNB)で2CWのPUSCH信号に誤りがあったときに、無線基地局装置からPHICHでNACK(両方のCWが誤り(No))を通知する。移動端末装置(UE)はPUSCHで両方のCWを再送する。この方法は、前回送信したRBと同じRBで再送するNon-adaptive再送に適している。
【0021】
(1−2)の方法は、図6に示すように、無線基地局装置(eNB)で2CWのPUSCH信号に誤りがあったときに、無線基地局装置からPDCCHのUL grantで2CW分の再送用のHARQパラメータを送信する。移動端末装置(UE)はPUSCHで両方のCWを再送する。図6においては、HARQパラメータとして、第1CWのNDI=0、RV=1と、第2CWのNDI=0、RV=1とを送信する。ここで、NDI=1は新規データ送信を示し、NDI=0は再送を示す。したがって、図6では、2つのCWでいずれも再送を指示している。この方法は、再送の際に異なるRBで再送するAdaptive再送に適している。
【0022】
(2)両方のコードワードが正しく復調された態様
この態様におけるHARQ制御としては、(2−1)PDCCHのUL grantで新規データ送信を要求する方法と、(2−2)PHICHでACKを通知する方法とがある。
【0023】
(2−1)の方法は、図7に示すように、無線基地局装置(eNB)で2CWのPUSCH信号に誤りがなかった(正しかった)ときに、UE側で新規送信データがバッファリングされているならば、無線基地局装置からPDCCHのUL grantで2CW分の新規データ送信用のHARQパラメータを送信する。図7においては、HARQパラメータとして、第1CWのNDI=1、RV=0と、第2CWのNDI=1、RV=0とを送信する。ここで、NDI=1は新規データ送信を示し、NDI=0は再送を示す。したがって、図7では、2つのCWでいずれも新規データ送信を指示している。この方法は、再送の際に異なるRBで再送するAdaptive再送に適している。もし、2CWのPUSCH信号に誤りがなかった(正しかった)ときに、新規送信データがバッファリングされていないならば、(2−2)の方法を採用する。
【0024】
(2−2)の方法は、図8に示すように、無線基地局装置(eNB)で2CWのPUSCH信号に誤りがなかった(正しかった)ときに、無線基地局装置からPHICHでACK(両方のCWが正しい(Yes))を通知する。移動端末装置において、新規送信データがバッファリングされているならば、移動端末装置は、新規データ送信のHARQパラメータを含むUL grantを無線基地局装置から受けた後に、新規送信データを送信する。一方、移動端末装置において、新規送信データがバッファリングされていないならば、RTD後にUL grantにより通知しないことでデータ送信を行わない。この方法は、前回送信したRBと同じRBで再送するNon-adaptive再送に適している。
【0025】
(3)片方のコードワードのみ復調が誤り、再送を行う態様
この態様におけるHARQ制御としては、(3−1)PDCCHのUL grantで再送を要求する方法と、(3−2)PHICHでACKを通知する方法と、(3−3)PHICHでNACKを通知する方法とがある。
【0026】
(3−1)の方法は、図9に示すように、無線基地局装置(eNB)で1つのCW(第2CW)のPUSCH信号に誤りがあり、もう1つのCW(第1CW)のPUSCH信号に誤りがなかった(正しかった)ときに、新規送信データがバッファリングされているならば、無線基地局装置からPDCCHのUL grantで新規データ送信用のHARQパラメータと再送用のHARQパラメータを送信する。図9においては、HARQパラメータとして、第1CWのNDI=1、RV=0と、第2CWのNDI=0、RV=1とを送信する。ここで、NDI=1は新規データ送信を示し、NDI=0は再送を示す。したがって、図9では、第1CWについて新規データ送信を指示し、第2CWについて再送を指示している。この方法は、再送の際に異なるRBで再送するAdaptive再送に適している。
【0027】
また、(3−1)の方法は、図10に示すように、無線基地局装置(eNB)で1つのCW(第2CW)のPUSCH信号に誤りがあり、もう1つのCW(第1CW)のPUSCH信号に誤りがなかった(正しかった)ときに、新規送信データがバッファリングされていないならば、無線基地局装置からPDCCHのUL grantで送信停止(disable)用のHARQパラメータと再送用のHARQパラメータを送信する。図10においては、HARQパラメータとして、第1CWのNDI=0、RV=1(TBS=0)と、第2CWのNDI=0、RV=1とを送信する。ここで、NDI=1は新規データ送信を示し、NDI=0は再送を示す。また、TBS=0は送信停止を示す。したがって、図10では、第1CWについて送信停止を指示し、第2CWについて再送を指示している。この方法は、再送の際に異なるRBで再送するAdaptive再送に適している。
【0028】
(3−2)の方法は、無線基地局装置(eNB)で1つのCW(第2CW)のPUSCH信号に誤りがあり、もう1つのCW(第1CW)のPUSCH信号に誤りがなかった(正しかった)ときに、無線基地局装置からPHICHでACK(両方のCWが正しい(Yes))を通知する。このようにして、まず、2つのCWに対して再送をとめておく。その後、移動端末装置は、第2CWに対する再送のHARQパラメータを含むUL grantを無線基地局装置から受けた後に再送を行う。
【0029】
(3−3)の方法は、無線基地局装置(eNB)で1つのCW(第2CW)のPUSCH信号に誤りがあり、もう1つのCW(第1CW)のPUSCH信号に誤りがなかった(正しかった)ときに、PUSCH信号の誤りの有無にかかわらず、無線基地局装置からPHICHでNACK(両方のCWが誤り(No))を通知し、両CWの信号の再送を行う。
【0030】
図11は、本発明の実施の形態に係る移動端末装置及び無線基地局装置を有する無線通信システムを示す図である。
【0031】
無線通信システムは、例えばE−UTRA(Evolved UTRA and UTRAN)が適用されるシステムである。無線通信システムは、無線基地局装置(eNB:eNodeB)2(2,2・・・2、lはl>0の整数)と、無線基地局装置2と通信する複数の移動端末装置(UE)1(1,1,1,・・・1、nはn>0の整数)とを備える。無線基地局装置2は、上位局、例えばアクセスゲートウェイ装置3と接続され、アクセスゲートウェイ装置3は、コアネットワーク4と接続される。移動端末装置1はセル5(5,5)において無線基地局装置2とE−UTRAにより通信を行っている。本実施の形態では、2個のセルについて示しているが、本発明は3個以上のセルについても同様に適用することができる。なお、各移動端末装置(1,1,1,・・・1)は、同一の構成、機能、状態を有するので、以下では特段の断りがない限り移動端末装置1として説明を進める。
【0032】
無線通信システムでは、無線アクセス方式として、下りリンクについてはOFDM(直交周波数分割多元接続)が適用され、上りリンクについてはSC−FDMA(シングルキャリア−周波数分割多元接続)が適用される。OFDMは、周波数帯域を複数の狭い周波数帯域(サブキャリア)に分割し、各サブキャリアにデータをマッピングして通信を行うマルチキャリア伝送方式である。SC−FDMAは、周波数帯域を端末毎に分割し、複数の移動端末装置が互いに異なる周波数帯域を用いることで、移動端末装置間の干渉を低減するシングルキャリア伝送方式である。
【0033】
ここで、E−UTRAにおける通信チャネルについて説明する。
下りリンクについては、各移動端末装置1で共有される物理下り共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)と、物理下り共有チャネルとが用いられる。物理下り共有チャネルは下りL1/L2制御チャネルとも呼ばれる。上記物理下り共有チャネルにより、ユーザデータ、すなわち、通常のデータ信号が伝送される。また、物理下り制御チャネルにより、下りスケジューリング情報(DL Scheduling Information)、送達確認情報(ACK/NACK)、アップリンクグラント(UL Grant)、TPCコマンド(Transmission Power Control Command)などが伝送される。下りスケジューリング情報には、例えば、物理下り共有チャネルを用いて通信を行うユーザのIDや、そのユーザデータのトランスポートフォーマットの情報、すなわち、データサイズ、変調方式、再送制御(HARQ)に関する情報や、下りリンクのリソースブロックの割り当て情報などが含まれる。
【0034】
また、上りスケジューリンググラントには、例えば、物理上り共有チャネルを用いて通信を行うユーザのIDや、そのユーザデータのトランスポートフォーマットの情報、すなわち、データサイズ、変調方式に関する情報や、上りリンクのリソースブロックの割り当て情報、上りリンクの共有チャネルの送信電力に関する情報などが含まれる。ここで、上りリンクのリソースブロックとは、周波数リソースに相当し、リソースユニットとも呼ばれる。
【0035】
また、送達確認情報(ACK/NACK)とは、上りリンクの共有チャネルに関する送達確認情報のことである。送達確認情報の内容は、送信信号が適切に受信されたことを示す肯定応答(ACK:Acknowledgement)又はそれが適切に受信されなかったことを示す否定応答(NACK:Negative Acknowledgement)の何れかで表現される。
【0036】
上りリンクについては、各移動端末装置1で共有して使用される物理上り共有チャネル(PUSCH)と、物理上り制御チャネル(PUCCH)とが用いられる。上記物理上り共有チャネルにより、ユーザデータ、すなわち、通常のデータ信号が伝送される。また、物理上り制御チャネルにより、下りリンクにおける共有物理チャネルのスケジューリング処理や適応変復調及び符号化処理(AMC:Adaptive Modulation and Coding scheme)に用いるための下りリンクのチャネル品質情報(CQI:Channel Quality Indicator)、及び物理下り共有チャネルの送達確認情報が伝送される。
【0037】
物理上り制御チャネルでは、CQIや送達確認情報に加えて、上りリンクの共有チャネルのリソース割り当てを要求するスケジューリング要求(Scheduling Request)や、パーシステントスケジューリング(Persistent Scheduling)におけるリリース要求(Release Request)などが送信されてもよい。ここで、上りリンクの共有チャネルのリソース割り当てとは、あるサブフレームの物理下り制御チャネルを用いて、後続のサブフレームにおいて上りリンクの共有チャネルを用いて通信を行ってよいことを無線基地局装置が移動端末装置に通知することを意味する。
【0038】
図12は、本発明の実施の形態に係る移動端末装置の概略構成を示すブロック図である。図12に示す移動端末装置1は、アンテナ11と、アンプ部12と、送受信部13と、ベースバンド信号処理部14と、呼処理部15と、アプリケーション部16とから主に構成されている。
【0039】
このような構成の移動端末装置1において、下りリンク信号については、アンテナ11で受信された無線周波数信号がアンプ部12で、AGC(Auto Gain Control)の下で受信電力が一定電力に補正されるように増幅される。増幅された無線周波数信号は、送受信部13においてベースバンド信号へ周波数変換される。このベースバンド信号は、ベースバンド信号処理部14で所定の処理(誤り訂正、復号など)がなされた後、呼処理部15及びアプリケーション部16に送られる。呼処理部15は、無線基地局装置2との通信の管理などを行い、アプリケーション部16は、物理レイヤやMACレイヤより上位のレイヤに関する処理などを行う。本発明の移動端末装置1においては、少なくとも下りCoMPに関わる複数の無線基地局装置から参照信号を含む下りリンク信号をそれぞれ受信する。
【0040】
上りリンク信号については、アプリケーション部16からベースバンド信号処理部14に入力される。ベースバンド信号処理部14では、再送制御の処理、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化などがなされて送受信部13に転送される。送受信部13では、ベースバンド信号処理部14から出力されたベースバンド信号を無線周波数信号へ周波数変換する。周波数変換された信号は、その後、アンプ部12で増幅されてアンテナ11から送信される。本発明の移動端末装置1においては、チャネル品質の測定結果を含むフィードバック情報を複数の無線基地局装置にそれぞれ送信する。
【0041】
図13は、図12に示す移動端末装置におけるベースバンド信号処理部を含む処理部の構成を示すブロック図である。図13に示す移動端末装置は、送信部と、受信部とを備えている。送信部は、データ符号化部1301,1302と、データ変調部1303,1304と、DFT部1305,1306と、サブキャリアマッピング部1307,1308と、コードワード・レイヤマッピング部1309と、プリコーディングウエイト乗算部1310と、多重部1311と、IFFT部1312a,1312bと、CP(Cyclic Prefix)付与部1313a,1313bとを備えている。
【0042】
受信部は、OFDM復調部1314と、下りPDCCH信号復号部1315と、下りPHICH信号復号部1316と、下りPDSCH信号復号部1317とを備えている。また、移動端末装置は、新規データ送信/再送判定部1318と、再送データを格納する再送データバッファ1319と、新規送信データを格納する新規送信データバッファ1320とを備えている。ここでは、ランク数2、送信アンテナ数2の場合について説明する。
【0043】
受信部においては、PDCCH信号、PHICH信号及びPDSCH信号を含む下りリンク信号を受信する。OFDM復調部1314は、受信信号に対して所定のOFDM復調処理を施す。OFDM復調部1314は、復調後の信号を下りPDCCH信号復号部1315、下りPHICH信号復号部1316及び下りPDSCH信号復号部1317に出力する。
【0044】
下りPDCCH信号復号部1315は、復調後の下りPDCCH信号(下りL1/L2制御信号)を復号する。また、下りPDCCH信号復号部1315は、復調後の下りPDCCH信号をデータ符号化部1301,1302、データ変調部1303,1304、サブキャリアマッピング部1307,1308、コードワード・レイヤマッピング部1309、プリコーディングウエイト乗算部1310及び新規データ送信/再送判定部1318に出力する。
【0045】
すなわち、RI(ランク数情報)はコードワード・レイヤマッピング部1309に出力され、MCS情報はデータ符号化部1301,1302及びデータ変調部1303,1304に出力され、スケジューリング情報(リソース割り当て情報)はサブキャリアマッピング部1307,1308に出力され、プリコーディング情報(PMI)はプリコーディングウエイト乗算部1310に出力される。また、UL grantに含まれるHARQパラメータは新規データ送信/再送判定部1318に出力される。
【0046】
下りPHICH信号復号部1316は、復調後の下りPHICH信号を復号する。これにより、PHICH信号(ACK又はNACK)が得られる。また、下りPHICH信号復号部1316は、復調後の下りPHICH信号を新規データ送信/再送判定部1318に出力する。下りPDSCH信号復号部1317は、復調後の下りデータ信号を復号する。
【0047】
新規データ送信/再送判定部1318は、PHICH信号がACKであるかNACKであるかを判定する。また、新規データ送信/再送判定部1318は、PHICH信号がNACKである場合には、全CWについて(ここでは、2つのCWに対して)再送する指示(再送信号を無線基地局装置に送信する指示)を行う。これにより、移動端末装置は、再送バッファ1319に格納された両方のCWの再送信号をPUSCHで再送する。この制御は、両方のコードワードとも復調が誤り、再送を行う態様(1−1)や、片方のコードワードのみ復調が誤り、再送を行う態様(3−3)で行われる。
【0048】
また、新規データ送信/再送判定部1318は、PHICH信号がACKである場合には、新規送信データバッファ1320に新規送信データがバッファリングされているならば、新規データ送信のHARQパラメータを含むUL grantを無線基地局装置から受けた後に、新規送信データを送信する指示を行う。一方、新規送信データバッファ1320に新規送信データがバッファリングされていないならば、RTD後にデータ送信を行わない。この制御は、両方のコードワードが正しく復調された態様(2−2)や、片方のコードワードのみ復調が誤り、再送を行う態様(3−2)で行われる。
【0049】
また、新規データ送信/再送判定部1318は、PDCCHのUL grantの情報に基づいて、新規データ送信及び/又は再送の指示を行う。下りPDCCH信号に一つのCWに対して再送する旨のUL grantが含まれている場合には、一つのCWの再送の指示(再送信号を無線基地局装置に送信する指示)を行う。この制御は、両方のコードワードとも復調が誤り、再送を行う態様(1−2)、両方のコードワードが正しく復調された態様(2−1)、片方のコードワードのみ復調が誤り、再送を行う態様(3−1)で行われる。
【0050】
データ符号化部1301,1302は、MCS情報に対応するチャネル符号化率を用いて、データ信号を誤り訂正符号化する。データ符号化部1301,1302は、誤り訂正符号化されたデータ信号をデータ変調部1303,1304に出力する。
【0051】
データ変調部1303,1304は、MCS情報に対応するデータ変調方式で、データ符号化されたデータ信号をデータ変調する。データ変調部1303,1304は、データ変調後のデータ信号をDFT(Discrete Fourier Transform)部1305,1306に出力する。DFT部1305,1306は、時間領域のデータ信号を周波数領域の信号に変換する。DFT部1305,1306は、DFT後のデータ信号をサブキャリアマッピング部1307,1308に出力する。
【0052】
サブキャリアマッピング部1307,1308は、DFT後のデータ信号を、スケジューリング情報に基づいてサブキャリアにマッピングする。サブキャリアマッピング部1307,1308は、サブキャリアマッピングされたデータ信号をコードワード・レイヤマッピング部1309に出力する。
【0053】
コードワード・レイヤマッピング部1309は、ランク数情報に基づいてコードワードをレイヤにマッピングする。コードワード・レイヤマッピング部1309は、マッピング後の信号をプリコーディングウエイト乗算部1310に出力する。プリコーディングウエイト乗算部1310は、プリコーディング情報に基づいてレイヤにマッピングされた信号にプリコーディングウエイトを乗算する。プリコーディングウエイト乗算部1310は、プリコーディング後の信号を多重部1311に出力する。
【0054】
多重部1311は、プリコーディング後のデータ信号に参照信号などの他の信号を多重する。多重部1311は、参照信号などを多重した後の信号をIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部1312a,1312bに出力する。IFFT部1312a,1312bは、多重後の信号をIFFTして時間領域の信号に変換する。IFFT部1312a,1312bは、IFFT後の信号をCP付与部1313a,1313bに出力する。CP付与部1313a,1313bは、IFFT後の信号にCPを付与する。
【0055】
図14は、本発明の実施の形態に係る無線基地局装置の概略構成を示すブロック図である。図14に示す無線基地局装置2は、アンテナ21と、アンプ部22と、送受信部23と、ベースバンド信号処理部24と、呼処理部25と、伝送路インターフェース26とから主に構成されている。
【0056】
このような構成の無線基地局装置2において、上りリンク信号については、アンテナ21で受信された無線周波数信号がアンプ部22で、AGCの下で受信電力が一定電力に補正されるように増幅される。増幅された無線周波数信号は、送受信部23においてベースバンド信号へ周波数変換される。このベースバンド信号は、ベースバンド信号処理部24で所定の処理(誤り訂正、復号など)がなされた後、伝送路インターフェース26を介してアクセスゲートウェイ装置に転送される。アクセスゲートウェイ装置3は、コアネットワーク4に接続されており、各移動端末装置を管理している。また、上りリンクに関しては、上りリンクのベースバンド信号に基づいて、無線基地局装置2nで受信された無線周波数信号の受信SINR及び干渉レベルが測定される。呼処理部25は、上位装置の無線制御局との間で呼処理制御信号を送受信し、無線基地局装置2nの状態管理やリソース割り当てをする。
【0057】
下りリンク信号については、上位装置から伝送路インターフェース26を介してベースバンド信号処理部24に入力される。ベースバンド信号処理部24では、再送制御の処理、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化などがなされて送受信部23に転送される。送受信部23では、ベースバンド信号処理部24から出力されたベースバンド信号を無線周波数信号へ周波数変換する。周波数変換された信号は、その後、アンプ部22で増幅されてアンテナ21から送信される。
【0058】
図15は、図14に示す無線基地局装置におけるベースバンド信号処理部を含む処理部の構成を示すブロック図である。図15に示す無線基地局装置は、送信部と、受信部とを備えている。送信部は、PHICH信号生成部1501、個別ユーザデータ生成部1502と、PDSCH信号生成部1503と、PDCCH信号生成部1504と、OFDM変調部1505とを備えている。送信部は、PHICH信号、PDSCH信号及びPDCCH信号を含む下りリンク信号を移動端末装置に送信する。
【0059】
受信部は、CP除去部1506,1508と、シンボル同期部1507,1509と、FFT(Fast Fourier Transform)部1510,1511と、サブキャリアデマッピング部1512,1513と、周波数領域等化部1514と、チャネル推定部1515と、IDFT(Inverse Discrete Fourier Transform)部1516,1517と、データ復調部1518,1519と、データ復号部1520,1521とを備えている。また、無線基地局装置は、再送情報チャネル選択部1522と、スケジューラ1523と、プリコーディングウエイト・ランク数選択部1524と、MCS選択部1525と、チャネル品質測定部1526とを備えている。受信部では、複数のCW(ここでは2つのCW)の信号を移動端末装置から受信する。
【0060】
PHICH信号生成部1501は、PHICH信号(ACK/NACK)を生成する。このPHICH信号は、PUSCH信号(再生されたCW#1の送信データ、再生されたCW#2の送信データ)に誤りがあるか否かにより決定される。PHICH信号生成部1501は、全CWに誤りがあったときに1ビットのPHICH(NACK)を生成する。また、PHICH信号生成部1501は、全CWに誤りがなかったときに1ビットのPHICH(ACK)を生成する。PHICH信号生成部1501は、PHICH信号をOFDM変調部1505に出力する。
【0061】
個別ユーザデータ生成部1502は、下り個別ユーザデータを生成し、PDSCH信号生成部1503に出力する。PDSCH信号生成部1503は、下り個別ユーザデータ及び高レイヤ制御信号(RRCシグナリング)をPDSCH信号として生成する。PDSCH信号生成部1503は、PDSCH信号をOFDM変調部1505に出力する。
【0062】
PDCCH信号生成部1504は、アップリンクグラント(UL grant)を含むPDCCH信号を生成する。UL grantには、リソース割り当て情報、PMI、RI(Rank Indicator)、MCS、HARQパラメータ(NDI、RV、MCS)が含まれる。PDCCH信号生成部1504は、一つのCWに誤りがあったときに、この一つのCWに対して再送する旨のUL grantを含むPDCCH信号を生成する。PDCCH信号生成部1504は、PDCCH信号をOFDM変調部1505に出力する。OFDM変調部1505は、PHICH信号、PDSCH信号及びPDCCH信号に対して所定のOFDM変調処理を施して、送信信号とする。
【0063】
CP除去部1506,1508は、アンテナ毎の受信信号からCPを除去して有効な信号部分を抽出する。CP除去部1506,1508は、CP除去後の受信信号をFFT部1510,1511にそれぞれ出力する。シンボル同期部1507,1509は、それぞれの受信信号のシンボル同期をとり、シンボル同期の情報をCP除去部1506,1508に出力する。CP除去部1506,1508は、シンボル同期の情報に基づいて受信信号からCPを除去する。
【0064】
FFT部1510,1511は、CP除去後の受信信号をFFTして、周波数領域の信号に変換する。FFT部1510,1511は、FFT後の信号をそれぞれサブキャリアデマッピング部1512,1513に出力する。サブキャリアデマッピング部1512,1513は、FFT後の信号に対してリソースマッピング情報を用いて周波数領域の信号からデータ信号を抽出する。サブキャリアデマッピング部1512,1513は、サブキャリアデマッピング後の信号をそれぞれチャネル推定部1515及び周波数領域等化部1514に出力する。
【0065】
チャネル推定部1515は、サブキャリアデマッピング後の信号(参照信号)を用いてチャネル推定する。チャネル推定部1515は、得られたチャネル推定値を周波数領域等化部1514に出力する。周波数領域等化部1514は、サブキャリアデマッピング後のデータ信号に対して、チャネル推定部1515で推定されたチャネル変動を補償する。周波数領域等化部1514は、等化されたデータ信号をそれぞれIDFT部1516,1517に出力する。IDFT部1516,1517は、周波数領域の信号を時間領域の信号に変換する。IDFT部1516,1517は、IDFT後の信号をそれぞれデータ復調部1518,1519に出力する。
【0066】
データ復調部1518,1519は、伝送フォーマット(符号化率・復調方式)に対応するデータ変調方式で、IDFT後の信号をデータ復調する。データ復調部1518,1519は、データ復調後の信号をそれぞれデータ復号部1520,1521に出力する。データ復号部1520,1521は、データ復調後のデータ信号をデータ復号して送信データ(再生されたCW#1の送信データ、再生されたCW#2の送信データ)として出力する。
【0067】
チャネル品質測定部1526は、移動端末装置から送信された参照信号を用いて品質情報を測定する。測定された品質情報は、スケジューラ1523、プリコーディングウエイト・ランク数選択部1524及びMCS選択部1525に出力される。
【0068】
スケジューラ1523においては、品質情報に基づいてスケジューリングが行われる。スケジューラ1523は、リソース割り当て情報を個別ユーザデータ生成部1502及びPDCCH信号生成部1504に出力する。プリコーディングウエイト・ランク数選択部1524は、品質情報に基づいてPMIの生成及びランク選択を行う。プリコーディングウエイト・ランク数選択部1524は、PMI及びRIをPDCCH信号生成部1504に出力する。MCS選択部1525は、品質情報に基づいてMCS選択を行う。MCS選択部1525は、MCSをPDCCH信号生成部1504に出力する。
【0069】
再送情報チャネル選択部1522は、各CWの送信データの誤り状態に応じて、PHICHで再送を通知するか、UL grantで再送を通知するかを選択する。再送情報チャネル選択部1522は、両方のコードワードとも復調が誤り、再送を行う態様(1−1)や、片方のコードワードのみ復調が誤り、再送を行う態様(3−3)の場合には、PHICH(NACK)で再送を通知するためにPHICHを選択する。
【0070】
また、再送情報チャネル選択部1522は、両方のコードワードが正しく復調された態様(2−2)や、片方のコードワードのみ復調が誤り、再送を行う態様(3−2)の場合には、PHICH(ACK)で再送を通知するためにPHICHを選択する。なお、この場合においては、移動端末装置の新規送信データバッファ1320に新規送信データがバッファリングされているならば、再送情報チャネル選択部1522は、新規データ送信のHARQパラメータを含むUL grantを送信するので、この再送情報を通知するようにPDCCHを選択する。
【0071】
また、再送情報チャネル選択部1522は、両方のコードワードとも復調が誤り、再送を行う態様(1−2)、両方のコードワードが正しく復調された態様(2−1)、片方のコードワードのみ復調が誤り、再送を行う態様(3−1)の場合には、PDCCHのUL grantで再送を通知するためにPDCCHを選択する。
【0072】
このような構成の無線通信システムにおいて、無線基地局装置で両方のCWとも復調が誤り、再送を行いたい場合には、無線基地局装置において、複数のCWの信号を受信し、1ビットのNACKのPHICH信号を生成し、このNACKのPHICH信号を移動端末装置に送信し、移動端末装置において、NACKのPHICHにしたがって全CWについて再送信号を無線基地局装置に送信する。
【0073】
また、この無線通信システムにおいて、無線基地局装置で両方のCWが正しく復調された場合には、無線基地局装置において、1ビットのACKのPHICH信号を生成し、このACKのPHICH信号を移動端末装置に送信し、移動端末装置において、ACKのPHICH信号に基づいて、新規送信データを無線基地局装置に送信する。
【0074】
また、この無線通信システムにおいて、無線基地局装置で片方のCWのみ復調が誤り、再送を行う場合には、無線基地局装置において、一つのCWに対して再送する旨のUL grantを含むPDCCH信号を生成し、このPDCCH信号を移動端末装置に送信し、移動端末装置において、UL grantに基づいて、一つのCWの再送信号を無線基地局装置に送信する。
【0075】
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、ランク数、送信アンテナ数は一例であり、これに限定されるものではない。また、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、上記説明における処理部の数、処理手順については適宜変更して実施することが可能である。また、図に示される要素の各々は機能を示しており、各機能ブロックがハードウエアで実現されても良く、ソフトウエアで実現されてもよい。その他、本発明の範囲を逸脱しないで適宜変更して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、LTE−Aシステムの移動端末装置、無線基地局装置及び無線通信方法に有用である。
【符号の説明】
【0077】
移動端末装置
無線基地局装置
3 アクセスゲートウェイ装置
4 コアネットワーク
セル
11,21 アンテナ
12,22 アンプ部
13,23 送受信部
14,24 ベースバンド信号処理部
15,25 呼処理部
16 アプリケーション部
26 伝送路インターフェース
1301,1302 データ符号化部
1303,1304 データ変調部
1305,1306 DFT部
1307,1308 サブキャリアマッピング部
1309 コードワード・レイヤマッピング部
1310 プリコーディングウエイト乗算部
1311 多重部
1312a,1312b IFFT部
1313a,1313b CP付与部
1314 OFDM復調部
1315 下りPDCCH信号復号部
1316 下りPHICH信号復号部
1317 下りPDSCH信号復号部
1318 新規データ送信/再送判定部
1319 再送データバッファ
1320 新規送信データバッファ
1501 PHICH信号生成部
1502 個別ユーザデータ生成部
1503 PDSCH信号生成部
1504 PDCCH信号生成部
1505 OFDM変調部
1506,1508 CP除去部
1507,1509 シンボル同期部
1510,1511 FFT部
1512,1513 サブキャリアデマッピング部
1514 周波数領域等化部
1515 チャネル推定部
1516,1517 IDFT部
1518,1519 データ復調部
1520,1521 データ復号部
1522 再送情報チャネル選択部
1523 スケジューラ
1524 プリコーディングウエイト・ランク数選択部
1525 MCS選択部
1526 チャネル品質測定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理HARQ指標チャネル信号を受信する受信手段と、前記物理HARQ指標チャネル信号が肯定応答であるか否定応答であるかを判定する判定手段と、前記物理HARQ指標チャネル信号が否定応答である場合に、全コードワードについて再送信号を無線基地局装置に送信する送信手段と、を具備することを特徴とする移動端末装置。
【請求項2】
前記物理HARQ指標チャネル信号が肯定応答である場合に、新規送信データ及び再送信号を無線基地局装置に送信しないことを特徴とする請求項1記載の移動端末装置。
【請求項3】
前記受信手段は下り制御チャネル信号を受信し、前記下り制御チャネル信号に一つのコードワードに対して再送する旨のアップリンクグラントが含まれている場合に、前記一つのコードワードの再送信号を無線基地局装置に送信することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の移動端末装置。
【請求項4】
複数のコードワードの信号を受信する受信手段と、全コードワードに誤りがあったときに1ビットの否定応答の物理HARQ指標チャネル信号を生成する物理HARQ指標チャネル信号生成手段と、前記物理HARQ指標チャネル信号を送信する送信手段と、を具備することを特徴とする無線基地局装置。
【請求項5】
前記物理HARQ指標チャネル信号生成手段は、全コードワードに誤りがなかったときに1ビットの肯定応答の物理HARQ指標チャネル信号を生成し、前記送信手段は、前記物理HARQ指標チャネル信号を移動端末装置に送信することを特徴とする請求項4記載の無線基地局装置。
【請求項6】
一つのコードワードに誤りがあったときに、前記一つのコードワードに対して再送する旨のアップリンクグラントを含む下り制御チャネル信号を生成する下り制御チャネル信号生成手段を具備し、前記送信手段は前記下り制御チャネル信号を移動端末装置に送信することを特徴とする請求項4又は請求項5記載の無線基地局装置。
【請求項7】
無線基地局装置において、複数のコードワードの信号を受信する工程と、全コードワードに誤りがあったときに1ビットの否定応答の物理HARQ指標チャネル信号を生成する工程と、前記否定応答の物理HARQ指標チャネル信号を送信する工程と、前記移動端末装置において、前記否定応答の物理HARQ指標チャネル信号を受信する工程と、前記否定応答の物理HARQ指標チャネル信号に基づいて、全コードワードについて再送信号を前記無線基地局装置に送信する工程と、を具備することを特徴とする無線通信方法。
【請求項8】
前記無線基地局装置において、全コードワードに誤りがなかったときに1ビットの肯定応答の物理HARQ指標チャネル信号を生成する工程と、前記肯定応答の物理HARQ指標チャネル信号を前記移動端末装置に送信する工程と、前記移動端末装置において、前記肯定応答の物理HARQ指標チャネル信号を受信する工程と、前記肯定応答の物理HARQ指標チャネル信号に基づいて、新規送信データ及び再送信号を前記無線基地局装置に送信しない工程と、を具備することを特徴とする請求項7記載の無線通信方法。
【請求項9】
前記無線基地局装置において、一つのコードワードに誤りがあったときに、前記一つのコードワードに対して再送する旨のアップリンクグラントを含む下り制御チャネル信号を生成する工程と、前記下り制御チャネル信号を前記移動端末装置に送信する工程と、前記移動端末装置において、前記下り制御チャネル信号を受信する工程と、前記アップリンクグラントに基づいて、前記一つのコードワードの再送信号を前記無線基地局装置に送信する工程と、を具備することを特徴とする請求項7又は請求項8記載の無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−172053(P2011−172053A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34551(P2010−34551)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】