移動装置、システム、移動方法及び移動プログラム
【課題】 一度、GPSの電波が遮蔽される場所に置かれた物品が他の場所に移動される場合でも、その物品を置かれている位置を取得し、その位置まで移動することが容易な技術を提供する。
【解決手段】 可動のトレイには、マーク及びRFIDが付与されている。搬送ロボットは、カメラと、リーダと、センサ等とを有する。搬送ロボットは、カメラにより撮影された画像における、マーク情報と一致する領域の位置からトレイの位置を検出する。さらに、搬送ロボットは、リーダが、RFIDの保持するIDと一致する情報を読み取った時の電波強度から、トレイの位置を検出する。搬送ロボットは、目的地とするトレイを、カメラ及びリーダにより検出しながら移動する。
【解決手段】 可動のトレイには、マーク及びRFIDが付与されている。搬送ロボットは、カメラと、リーダと、センサ等とを有する。搬送ロボットは、カメラにより撮影された画像における、マーク情報と一致する領域の位置からトレイの位置を検出する。さらに、搬送ロボットは、リーダが、RFIDの保持するIDと一致する情報を読み取った時の電波強度から、トレイの位置を検出する。搬送ロボットは、目的地とするトレイを、カメラ及びリーダにより検出しながら移動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物品管理でRFID(Radio Frequency Identification)技術の適用が考えられている。例えば、在庫管理では、物品等の各々にRFIDタグ(以下、タグ)を付与し、そのタグ内のIDを読み取ることにより、物品の種別や数量を取得することが可能となる。これを出庫及び入庫等の度に行なうことにより、在庫管理が容易となる。
【0003】
また、倉庫等に保管されているタグの付与された物品の位置を検索する技術が特許文献1に記載されている。特許文献1には、ロボットがRFIDタグの位置を取得する技術が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−320074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的なRFID技術を用いた物品管理技術では、一度、棚等に置かれた物品が他の場所に移動されることが考慮されていない。従って、ある場所に置いた物品が他の場所に移動された後にその物品を用いる場合、人手等により探す必要がある。
【0006】
また、特許文献1に記載の技術は、ロボットの位置推定をGPS(Global Positioning System)で行っている。従って、GPSの電波が遮蔽される屋内などではロボット本体の位置推定が困難であるため、作業領域全体における物品の位置を求めることは困難である。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、一度、GPSの電波が遮蔽される場所に置かれた物品が他の場所に移動される場合でも、その物品を置かれている位置を取得し、その位置まで移動することが容易な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の目的を達成するためになされたもので、可動の目的物まで移動する移動装置であって、前記目的物を検出する目的物検出手段と、前記移動装置を移動させる駆動装置と、前記目的物の位置情報と、地図情報とを含む環境地図情報を記憶する記憶装置と、前記地図情報から前記移動装置の現在位置を取得する現在位置取得手段と、前記地図情報と、前記移動装置の現在位置と、前記目的物の位置とから、前記移動装置の現在位置から前記目的物の位置までの経路を探索する探索手段と、前記駆動装置を制御して、前記探索された経路に沿って移動させる駆動制御手段と、を有し、前記探索手段は、前記移動装置の現在位置から前記環境地図情報に含まれる前記目的物の位置情報の位置までの経路を探索し、該探索された経路に沿って移動している間に、前記目的物検出手段により目的物が検出された場合、そのときの前記移動装置の現在位置から該検出された目的物の位置までの経路を新たに探索し、前記駆動制御手段は、前記新たに探索された経路に沿って移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の技術によれば、移動の目的位置が変わる場合でも、その位置を検出することが可能となる。これにより、例えば荷おろし位置が可動である場合でも、変更した荷降ろし位置への荷物の搬送が可能なとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
まず、第1の実施形態を説明する。
【0011】
図1を参照し、第1の実施形態の構成例について説明する。
【0012】
本実施形態のシステムは、搬送ロボット100と、複数のトレイ170と、基地局180等とから成る。搬送ロボット100と基地局180とは、通信ネットワーク190を介して接続されている。
【0013】
トレイ170の各々は、固定されているものではなく、移動可能なものである。トレイ170の各々には、マークと、短距離通信用のRFIDタグと、長距離通信用のRFIDタグ等とが付与されている。これらのトレイ170の詳細については後述する。
【0014】
搬送ロボット100は、基地局180から送信された環境地図情報143、及び、自身の取得した情報から、指定されたトレイ170の位置を取得し、その位置まで移動する。環境地図情報143の詳細については後述する。ここで、搬送ロボット100は、目的のトレイ170まで移動した後に、自身の運んだ搬送物をそのトレイ170上に置いてもよい。また、搬送ロボット100は、トレイ170上の物を他の場所まで搬送してもよい。以下では、搬送ロボット100の運んだ搬送物をそのトレイ170上に置く場合の例を説明する。
【0015】
基地局180は、例えばサーバ等の通信機能を有する情報処理装置である。基地局180は、記憶装置(図示略)を有する。この記憶装置は環境地図情報143を有する。基地局180は、搬送ロボット100からの要求に応じて、この記憶装置から読み出した環境地図情報143を送信する。このような装置は従来技術と同じであるので詳細な説明は省略する。
【0016】
通信ネットワーク190は、例えば、無線LAN(Local Area Network)等の任意のネットワークである。
【0017】
ここで、図1を参照し、搬送ロボット100の構成例を説明する。
【0018】
搬送ロボット100は、ハンドリング装置101、駆動装置102、雲台103、演算装置104、記憶装置105、メインメモリ106、入力装置107、出力装置108、通信装置109、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111、ステレオカメラ112、センサ113、温度センサ114、湿度センサ115、電波検出器116、集音器117、照度センサ118、ライトプローブ用カメラ119、風センサ120、臭センサ122等を有する。これらは、接続線151により接続される。また、搬送ロボット100は、鏡面球121を有する。
【0019】
ハンドリング装置101は、搬送ロボット100の移動の間、搬送物を保持し、トレイ170上に置くためのものである。ハンドリング装置101の形状や機構は任意であり、例えば、マニピュレータとハンドからなる機構、ベルトコンベア、クレーン機構等である。駆動装置102は、搬送ロボット100を移動させるためのものである。駆動装置102の形状や機構は任意であり、例えば、車両型、船舶型、脚型等でもよい。雲台103は、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111、ステレオカメラ112、センサ113、温度センサ114、湿度センサ115、電波検出器116、集音器117、照度センサ118、ライトプローブ用カメラ119、風センサ120、鏡面球121、臭センサ122等の高さや角度、仰角等を変更するためのものである。
【0020】
短距離通信タグリーダ110は、トレイ170の各々に付与されている短距離通信用RFIDタグのタグIDを読み取る。長距離通信タグリーダ111は、トレイ170の各々に付与されている長距離通信用RFIDタグのタグIDを読み取る。ステレオカメラ112は、搬送ロボット100の周囲を撮影する。センサ113は、対象物の位置が計測できるものであれば良く、例えば、レーザセンサ、赤外線センサ、超音波センサ等である。なお、センサ113の走査範囲は任意である。ここでは、センサ113は、水平方向を走査可能なレーザセンサであるものとする。温度センサ114は、例えばサーミスタ等であり、温度を取得する。湿度センサ115は、例えば高分子膜湿度センサ等であり、湿度を取得する。電波検出器116は、例えばアンテナ等であり、任意の周波数帯域の電波を検出する。集音器117は、例えばマイクロフォン等であり、音量を取得する。照度センサ118は、例えばフォトトランジスタやフォトダイオードを用いたものであり、照度を取得する。なお、照度センサ118は、輝度を測定してもよい。ライトプローブ用カメラ119は、鏡面球121を撮影する。風センサ120は、風速、風量、風向き等のうち少なくとも1つを測定する。風速、風量、風向き等を測定する技術は特に限定するものではないが、例えば、所定時間内の風杯の回転数、矢羽根の向き、温度変化等から測定してもよい。また、搬送ロボット100の移動速度及び移動方向等に応じて、風センサ120により取得された風速、風量、風向き等を補正するとよい。鏡面球121は、表面が鏡面状の球である。鏡面球121は、搬送ロボット100の周囲の状況を映すためのものである。ライトプローブ用カメラ119が鏡面球121を撮影した画像から、ライトプローブイメージ(Light Probe Image)が生成可能である。臭センサ122は、特定の物質の臭いの有無や、臭いの強さ等を取得する。この臭センサ122は、例えば、1つ以上のにおいセンサ素子(例えば高感度酸化物半導体等)や、ガスクロマトグラフ等である。
【0021】
記憶装置105は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やシリコンディスク等、書き込み及び読出しの可能なものである。記憶装置105は、OS(Operating System)141、プログラム142、環境地図情報143等を記憶する。プログラム142は、後述する機能を実現する。環境地図情報143は、トレイ170の位置情報、地図情報等を含む。
【0022】
演算装置104は、例えばCPU(Central Processing Unit)等である。演算装置104は、メインメモリ106にロードしたプログラム142を実行することにより、搬送先取得部121、環境地図取得部122、環境情報取得部123、自己位置取得部124、マーク検出部125、タグ検出部126、トレイ位置推定部127、環境情報更新部128、経路探索部129、移動制御部130、荷おろし判定部131、ハンドリング制御部132、環境情報送信部133、結果出力部134等を実現する。搬送先取得部121は、搬送先となるトレイ170に関する情報の入力を受け付ける。環境地図取得部122は、環境地図情報143を取得する。環境情報取得部123は、雲台103等を制御して、ステレオカメラ112、センサ113、温度センサ114、湿度センサ115、電波検出器116、集音器117、照度センサ118、ライトプローブ用カメラ119、風センサ120、臭センサ122の各々から計測値及び画像を取得する。自己位置取得部124は、環境情報取得部123により取得された測定値と、環境地図情報143に含まれる地図情報とから、搬送ロボット100の現在位置を取得する。マーク検出部125は、ステレオカメラ112により得られた画像データから、トレイ170に付与されているマークを検出する。タグ検出部126は、短距離通信タグリーダ110及び長距離通信タグリーダ111の受信した電波から、トレイ170に付与されているタグIDを検出する。トレイ位置推定部127は、トレイ170の位置を推定する。環境情報更新部128は、ステレオカメラ112、センサ113、温度センサ114、湿度センサ115、電波検出器116、集音器117、照度センサ118、ライトプローブ用カメラ119、風センサ120、臭センサ122等により取得した情報を、新たな環境地図情報143内の情報として更新する。以下、ステレオカメラ112、センサ113、温度センサ114、湿度センサ115、電波検出器116、集音器117、照度センサ118、ライトプローブ用カメラ119、風センサ120、臭センサ122等により取得した情報を総称して環境情報という。経路探索部129は、移動先のトレイ170までの経路を探索する。移動制御部130は、探索された経路に従って移動するように駆動装置102を制御する。荷おろし判定部131は、目的地であるトレイ170に搬送物の荷おろしが可能か否か判定する。ハンドリング制御部132は、ハンドリング装置101を制御して、搬送物を目的地であるトレイ170に降ろす。環境情報送信部133は、更新した環境地図情報143を基地局180等に出力する。結果出力部134は、結果を出力装置108、通信装置109等に出力する。
【0023】
入力装置107は、例えば、キーボード、マウス、マイク、タッチパネル等である。出力装置108は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、プリンタ等である。通信装置109は、通信ネットワーク190と接続するためのものであり、例えば、無線LAN装置等である。
【0024】
なお、上述の機能は、LSI(Large Scale Integration)等のハードウェアにより実現してもよい。また、これらの機能がハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組み合わせにより実現してもよい。また、上記機能を実現するためのプログラムやセンサの計測値などのデータは、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の記憶媒体から取得してもよく、また、ネットワーク経由で他の装置から取得してもよい。
【0025】
また、上述のハードウェアやソフトウェアは、実施形態に応じて、取捨選択することができる。
【0026】
また、搬送ロボット100において、上述の装置及び機能は、1つの装置に全て含まれていなくても良い。
【0027】
また、搬送ロボット100の有するステレオカメラ112、センサ113、温度センサ114、湿度センサ115、電波検出器116、集音器117、照度センサ118、ライトプローブ用カメラ119、風センサ120、鏡面球121、臭センサ122の各々の数は任意でよい。例えば、走査範囲が狭いセンサ113を複数取り付けることで走査範囲を増やしたセンサシステムを用いてもよい。
【0028】
次に、図2を参照し、トレイ170の構成例を説明する。
【0029】
図2において、トレイ170は、領域201、複数のマーク202等を有する。
【0030】
領域201は、物が置かれる部位である。
【0031】
マーク202は、例えば、領域201、トレイ170の各側面等、トレイ170の向きや高さ等が判明可能な位置に付与されている。本実施形態では、各トレイ170には、領域201、及び、全ての側面の各々、合計5つのマーク202が付与されているものとして説明する。
【0032】
各マーク202は、RFIDタグ211、RFIDタグ212、識別領域221等を有する。RFIDタグ211は、トレイ170近傍等の狭い範囲のみで通信が可能なものである。RFIDタグ212は、RFIDタグ211よりも広い範囲で通信可能なものである。RFIDタグ211、RFIDタグ212の各々は、一意な情報を保持している。以下、この情報をタグIDという。識別領域221は、ステレオカメラ112によるトレイID、位置、姿勢等の推定に用いるためのものである。この識別領域221は、例えば、バーコードや2次元バーコード等であり、ステレオカメラ112によるトレイID、位置、姿勢等が推定可能なものであれば形状及び色を問わない。識別領域221の各々の色や形のうち一方又は組合せは、トレイ170の面により異なる。これにより、そのマーク202の付与されているトレイ170の面が特定可能となる。これにより、例えば、搬送物をトレイ170に置くこと、及び、領域201の物を取ることが、そのトレイ170の特定方面からのみ可能である場合にも対応可能となる。
【0033】
なお、本実施形態では、トレイ170のトレイID、位置、姿勢等は、識別領域221により判定するものとするが、これに限られるわけではない。マーク202及び識別領域221の組合せにより、トレイ170のトレイID、位置、姿勢等を判定可能なものとしてもよい。また、異なるトレイ170の各々に付与されているマーク202及び識別領域221は、異なっていてもよく、同じであってもよい。
【0034】
また、識別領域221及びマーク202は、トレイに直接塗装等されていてもよく、また、印刷等されたシールを貼り付けてもよい。また、LED(Light Emitting Diode)や有機EL(electroluminescence)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置等、形状や色のパターンを提示できるもので、トレイID、位置、姿勢等を判定可能なものとしてもよい。また、トレイそのものの形状及び色により、トレイのトレイID、位置、姿勢等を判定可能なものにしてもよい。また、これらの組合せでもよい。
【0035】
また、実施形態では、搬送ロボット100が、トレイ170に物を置く場合や、トレイ170に置かれている物を持っていく場合、トレイのある面からのみ、物を置くこと、物を持っていくことが可能であるものとする。この、物を置くこと、物を持っていくことが可能な面の数は任意でよいが、ここでは、1つの面からのみ可能であるものとする。
【0036】
また、トレイ170の形状、大きさ等は任意である。トレイ170は、搬送ロボット100の移動の目的地となる可動の物であればよい。トレイ170が移動する技術は任意であり、例えば、人や他装置等(図示略)により移動してもよく、また、自身の移動装置(図示略)で自律的に移動しても良い。
【0037】
また、RFIDタグ211、RFIDタグ212の各々の種類は特に限定するものではなく、例えば、電池を内蔵する必要のないパッシブタグでもよく、また、電池を内蔵しているアクティブタグでもよい。
【0038】
次に、図3、図4を参照し、環境地図情報143の一例を説明する。
【0039】
本実施形態では、環境地図情報143は、2つのテーブルを有するものとする。以下、これらのテーブルを区別して説明する場合、「環境地図情報143a」、「環境地図情報143b」等とする。
【0040】
また、本実施形態では、搬送ロボット100が移動可能な領域を、縦、横、高さ方向の各々で複数に分割し、この分割した領域毎の環境情報が、環境地図情報143に格納されている。即ち、環境地図情報143には、3次元地図における環境情報が格納されている。以下、この分割した領域をグリッドという。
【0041】
まず、図3に一例を示す環境地図情報143aについて説明する。環境地図情報143aは、主に、搬送ロボット100の移動可能な領域の地図に関する情報が格納されている。
【0042】
図3において、環境地図情報143aは、グリッド毎に、位置301、障害物存在確率302、トレイID303、画像情報304、センサデータ305、温度情報306、湿度情報307、電波情報308、音情報309、照度情報310、鏡面画像情報311、風情報312、臭情報313等を有する。これらの情報は、これらの情報の取得時間毎に格納されている。図3の例では、同じ列の位置301、障害物存在確率302、トレイID303、画像情報304、センサデータ305、温度情報306、湿度情報307、電波情報308、音情報309、照度情報310、鏡面画像情報311、風情報312、臭情報313等は、同じ時間に取得した各グリッドおける情報である。
【0043】
ここで、上述の各グリッドにおける情報は、全く同一の日時に取得したものを同じ時間に取得したものとしてもよく、また、例えば10分間等の任意時間内に取得したものを同じ時間に取得したものとしてもよい。具体的には、図3の「時刻1」は、例えば「2006.12.01 12:00:00」を意味してもよく、また、例えば「2006.12.01 12:00:00〜2006.12.01 12:10:00」を意味しても良い。なお、任意時間内に取得した環境情報を同じ時間に取得したものとする場合、この任意時間は特に限定するものではなく、例えば、1回の荷物の搬送等に要した時間でもよく、また、定められた時間帯でもよい。
【0044】
位置301は、グリッドの位置情報である。本実施形態では、グリッドの位置を、地図上の任意の点を原点とするXYZ座標で示す。以下、この座標系を環境座標系という。
【0045】
障害物存在確率302は、位置301のグリッドに障害物の存在する確率である。この存在確率は任意であるが、例えば、搬送ロボット100が、位置301のグリッド近傍を移動した回数に対する、障害物の検出された回数である。
【0046】
トレイID303は、位置301のグリッドに位置するトレイ170の識別情報である。
【0047】
画像情報304は、位置301のグリッドで、ステレオカメラ112により取得されるべき画像データである。センサデータ305は、位置301のグリッドでセンサ113により取得されるべきセンサデータである。これらの情報は、予め、基準となる初期状態で、搬送ロボット100が、位置301において、ステレオカメラ112、センサ113の各々により取得されたデータである。この画像情報304及びセンサデータ305と、ステレオカメラ112、センサ113の各々が実際に取得したデータとに差異がある場合、その差異のある位置に障害物があると判定する。
【0048】
温度情報306、湿度情報307の各々は、位置301のグリッドで、温度センサ114、湿度センサ115の各々により取得される温度及び湿度である。電波情報308は、位置301で、電波検出器116により取得される値である。この値は任意でよく、例えば、電波強度や、任意の周波数帯域の電波を検出したか否か等である。音情報309は、位置301で、集音器117により取得される音量である。照度情報310は、位置301で、照度センサ118により取得される照度である。鏡面画像情報311は、位置301で、ライトプローブ用カメラ119が鏡面球121を撮影することにより得られる画像データである。風情報312は、位置301で、風センサ120により取得される風速、風量及び風向のうち少なくとも一つである。臭情報313は、位置301で、臭センサ122により取得される、特定の物質の臭いの有無や、臭いの強さ等のうち少なくとも1つである。
【0049】
なお、XY座標が同じであり、Z座標のみが異なるグリッドの環境情報については、同じXY座標の位置において、搬送ロボット100の環境情報取得部123が、雲台103の高さ及び角度を制御する等して、異なるZ座標の各々における環境情報を取得するとよい。
【0050】
上述のように、Z座標における環境情報を有することで、例えば、多段の棚等、同じXY座標において、トレイ170がZ方向に複数置かれる可能性がある場合でも対応することが可能となる。
【0051】
次に、図4に一例を示す環境地図情報143bについて説明する。環境地図情報143bは、主に、トレイ170に関する情報が格納されている。
【0052】
図4において、環境地図情報143bは、複数のレコードを有する。このレコードの各々は、各トレイ170に関する情報を示す。各レコードは、トレイID401、マーク情報402、短距離通信タグID403、長距離通信タグID404等を含む。各レコードのトレイID401、マーク情報402、短距離通信タグID403、長距離通信タグID404等は互いに対応付けられている。
【0053】
トレイID401は、トレイ170の識別情報である。
【0054】
マーク情報402は、対応するトレイID401のトレイ170に付与されている識別領域221の各々の特徴を示す情報である。即ち、マーク情報402は、識別領域221の各々の色や形状等のうち一方又は組合せに関する情報である。本実施形態では、上述のように、トレイ170の各面にマーク202が付与されているので、1つのレコードには5つのマーク情報が含まれている。なお、上述のように、トレイ170は、1つの面からのみ、物を置くこと、物を持っていくことが可能である。ここでは、各マーク情報402のうち最初(図4の左端)に格納されているものが、物を置くこと、物を持っていくことが可能な面に付与されている識別領域221に関する情報であるものとする。
【0055】
短距離通信タグID403は、対応するトレイID401のトレイ170に付与されているRFIDタグ211の保持するタグIDである。長距離通信タグID404は、対応するトレイID401のトレイ170に付与されているRFIDタグ212の保持するタグIDである。
【0056】
なお、上述のように、本実施形態では、1つのトレイ170に5つのマーク202が装置され、各マーク202にRFIDタグ211及びRFIDタグ212が付与されている。短距離通信タグID403、長距離通信タグID404の各々には、5つのタグIDが含まれている。
【0057】
次に、搬送ロボット100の動作例を説明する。
【0058】
まず、図5を参照し、搬送ロボット100が起動され、荷おろしを終了するまでの動作例を説明する。
【0059】
搬送ロボット100が起動され、搬送する物がハンドリング装置101に設置等されると、搬送先取得部121は、ハンドリング装置101に設置等された物の搬送先を取得する(S501)。そのために、搬送先取得部121は、出力装置108のディスプレイ等に、搬送先のトレイ170のトレイIDを受け付けるための搬送先設定画面を表示する。ユーザは、入力装置107を用いて、搬送先設定画面上で荷物の搬送先となるトレイ170を指定する。なお、この搬送先の受付は任意であり、搬送ロボット100の入力装置107が直接操作され入力されるだけでなく、通信装置109を介して入力されてもよい。また、予め、搬送ロボット100の記憶装置105等に記憶されていても良い。
【0060】
なお、以下では搬送先のトレイ170を搬送先トレイと言う。
【0061】
次に、環境地図取得部122は、環境地図情報143を取得する(S502)。そのために、環境地図取得部122は、基地局180にデータ要求を送信する。基地局180は、このデータ要求に応じて、自身の記憶装置(図示略)から読み出した環境地図情報143を搬送ロボット100に送信する。
【0062】
次に、環境情報取得部123は、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111、ステレオカメラ112、センサ113、温度センサ114、湿度センサ115、電波検出器116、集音器117、照度センサ118、ライトプローブ用カメラ119、風センサ120、臭センサ122の各々からの情報を取得する(S503)。そのために、環境情報取得部123は、例えば、雲台103を制御することにより、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111の各々の高さ及び角度等を制御する。そして、環境情報取得部123は、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111の各々の座標系におけるタグID及びその電波強度を取得する。また、環境情報取得部123は、例えば、雲台103を制御することによりステレオカメラ112の高さ及び角度等を制御し、このステレオカメラ112の撮影する画像データを取得する。さらに、環境情報取得部123は、例えば、雲台103を制御することによりセンサ113の高さ及び角度等を制御し、センサ座標系における対象物の位置を取得する。なお、センサ座標系とは、センサ113(搬送ロボット100)を原点とする座標系である。環境情報取得部123は、例えば、雲台103を制御することにより温度センサ114、湿度センサ115の高さ及び角度等を制御し、温度及び湿度を取得する。環境情報取得部123は、例えば、雲台103を制御することにより電波検出器116の高さ及び角度等を制御し、電波強度や電波を検出したか否か等を取得する。環境情報取得部123は、例えば、雲台103を制御することにより集音器117の高さ及び角度等を制御し、音量を取得する。環境情報取得部123は、例えば、雲台103を制御することにより照度センサ118の高さ及び角度等を制御し、照度を取得する。環境情報取得部123は、例えば、雲台103を制御することによりライトプローブ用カメラ119及び鏡面球121各々の高さ及び角度等を制御し、鏡面球121を撮影した画像データを取得する。環境情報取得部123は、例えば、雲台103を制御することにより風センサ120の高さ及び角度等を制御し、風速、風量及び風向のうち少なくとも一つを取得する。環境情報取得部123は、例えば、雲台103を制御することにより臭センサ122の高さ及び角度等を制御し、特定の物質の臭いの有無や、臭いの強さ等を取得する。
【0063】
なお、上述のように、XY座標が同じであり、Z座標のみが異なるグリッドの環境情報については、同じXY座標の位置において、搬送ロボット100の環境情報取得部123が、雲台103の高さ及び角度を制御する等して、異なるZ座標の各々における環境情報を取得するとよい。
【0064】
ここで、図6を参照し、長距離通信タグリーダ111の電波の範囲、及び、センサ113により取得される対象物の位置の情報の例を説明する。
【0065】
長距離通信タグリーダ111の電波の範囲は、範囲601である。なお、短距離通信タグリーダ110の電波の範囲も長距離通信タグリーダ111と同じでもよく、異なってもよいが、ここでは、説明の簡略化のために、長距離通信タグリーダ111の電波範囲は、短距離通信タグリーダ110の電波範囲を含むものとして説明する。
【0066】
また、センサ113は、搬送ロボット100の進行方向に対して例えば±90度の範囲をレーザーで走査することにより、対象物の位置を取得するものとする。ここでは、センサ113は、「XsYs」で表されるセンサ座標系611における対象物の位置を、例えば、対象物621(太線部)のように得る。なお、センサ113の走査範囲はこれに限定するものではなく、走査範囲の角度も任意である。
【0067】
図5において、自己位置取得部124は、搬送ロボット100の位置及び姿勢を取得する(S504)。そのために、自己位置取得部124は、上述のS503の処理で取得した環境情報と、環境地図情報143aのセンサデータ305とを照合する。ここでは、自己位置取得部124は、上述のS503の処理で、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111、ステレオカメラ112のうち少なくとも1つにより、少なくとも1つのトレイ170が取得された場合、環境地図情報143から、このトレイ170の位置を含む所定領域内のセンサデータ305を抽出し、抽出したセンサデータ305とセンサ113の取得したセンサデータとから、搬送ロボット100の現在位置及び姿勢を取得するものとする。
【0068】
具体的な処理として、例えば、タグ検出部126は、上述のS503の処理で、短距離通信タグリーダ110及び長距離通信タグリーダ111のうち少なくとも一方により、タグIDが取得されたか否か判定する。この判定の結果、タグIDが取得されている場合、自己位置取得部124は、環境地図情報143bの各レコードの短距離通信タグID403又は長距離通信タグID404の各々を参照し、取得したタグIDと一致するものを検索する。次に、自己位置取得部124は、検索された短距離通信タグID403又は長距離通信タグID404を含むレコードのトレイID401を抽出する。次に、自己位置取得部124は、環境地図情報143aから、最新時刻の列のうち、抽出したトレイID401と一致するトレイID303を検索し、検索したトレイID303の位置301を抽出する。上述のS503の処理で複数のタグIDを取得している場合、自己位置取得部124は、各タグIDに対しこの処理を行なう。
【0069】
一方、マーク検出部125は、環境地図情報143bの各レコードのマーク情報402等を1つ抽出する。次に、マーク検出部125は、ステレオカメラ112により撮影された画像データに、抽出したマーク情報402と一致する領域が含まれているか否か判定する。ここで、上述のように、各マーク情報402は、複数の識別領域の特徴を示す情報を有する。マーク検出部125は、ステレオカメラ112により撮影された画像データに、少なくとも1つの識別領域の特徴と示す情報と一致する領域が含まれているか否か判定する。一致する領域が含まれている場合、自己位置取得部124は、環境地図情報143bから、抽出したマーク情報402の含まれるレコードのトレイID401を抽出する。次に、自己位置取得部124は、環境地図情報143aから、最新時刻の列のうち、抽出したトレイID401と一致するトレイID303を検索し、検索したトレイID303の位置301を抽出する。マーク検出部125は、この処理を、環境地図情報143bの各レコードのマーク情報402の各々に対し行なう。
【0070】
なお、この画像データの一致判定は従来技術と同じであり、特に限定するものではない。例えば、識別領域221が形状等によりトレイ170の各面を示している場合、マーク情報402の各々をリファレンスとするパターンマッチング等により判定するとよい。
【0071】
自己位置取得部124は、上述の処理で抽出した位置301から、そのタグIDを取得可能な領域を取得する。この領域は任意であるが、例えば、抽出した位置301を中心とする半径「R」の領域でもよい。この半径「R」は任意であるが、例えば、各トレイ170に付与されているRFIDタグ212の電波範囲や、ステレオカメラ112の望遠機能等の撮影性能により定まる値でもよい。自己位置取得部124は、環境地図情報143aから、取得した領域内の各位置301の障害物存在確率302のうち最新のものを抽出する。自己位置取得部124は、抽出した各位置301における障害物存在確率302と、上述のS503の処理で取得されたセンサ113のセンサ座標系におけるセンサデータとを比較して、搬送ロボット100の環境座標系における現在位置及び姿勢を取得する。ここで、障害物存在確率302と、センサ113のセンサ座標系におけるセンサデータとから搬送ロボット100の位置及び姿勢を取得する技術は、特に限定するものではない。例えば、所定の値(例えばゼロ)より大きい値である障害物存在確率302に位置301に対象物が存在するものとし、この対象物とセンサデータとによるパターンマッチング等により実現する。なお、搬送ロボット100の姿勢とは、環境座標系における搬送ロボット100の回転角度である。
【0072】
なお、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111、ステレオカメラ112の各々で取得した情報からトレイ170の位置を取得した場合、いずれか1つで取得した位置から、上述の搬送ロボット100のおよその位置取得を行なってもよく、また、複数を組み合わせてもよい。
【0073】
また、例えば、上述のS503の処理で、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111、ステレオカメラ112の全てでトレイ170を検出していない場合、自己位置取得部124は、前回取得した現在位置及び姿勢を記憶装置105等から抽出し、環境地図情報143aから、前回取得した現在位置を含む所定範囲内の位置301を検索し、検索した位置301の障害物存在確率302のうち最新のものを抽出する。次に、自己位置取得部124は、抽出した各位置301における障害物存在確率302と、上述のS503の処理で取得されたセンサ113のセンサ座標系におけるセンサデータとを比較して、搬送ロボット100の環境座標系における現在位置及び姿勢を取得する。この現在位置及び姿勢を取得する技術は上述と同じである。
【0074】
ここで、図7を参照し、搬送ロボット100が現在位置を取得する具体例を説明する。
【0075】
図7において、地図700は、環境地図情報143aにおいて、所定の値(例えばゼロ)より大きい値である障害物存在確率302の位置301に対象物が存在するとした場合の地図の例である。搬送ロボット100は、地図700で示される領域内の何れかに位置する。地図700には、トレイ170の位置情報が含まれている。図7の例では、複数のトレイ170を区別して説明する場合に、例えば「トレイ170a」等というように符号を付与して説明する。
【0076】
ここで、上述のS503の処理で、搬送ロボット100のセンサ113は、上述の図6に一例を示すデータを取得したものとする。また、搬送ロボット100の長距離通信タグリーダ111は、RFIDタグ212の保持するタグIDを取得したものとする。
【0077】
この場合、自己位置取得部124は、環境地図情報143bの各レコードの長距離通信タグID404の各々を参照し、取得したタグIDと一致するものを検索する。自己位置取得部124は、検索された長距離通信タグID404を含むレコードのトレイID401を抽出する。次に、自己位置取得部124は、環境地図情報143aの最新のトレイID303のうち、抽出したトレイID401と一致するものを検索し、該当するトレイID303の位置301を抽出する。図7の例では、抽出された位置301は、トレイ170aの位置に該当するものとする。自己位置取得部124は、抽出した位置301から、そのタグIDを取得可能な領域を取得する。図7の例では、領域701が、トレイ170aに付与されているRFIDタグ212の保持するタグIDを取得可能な領域であるものとする。この場合、自己位置取得部124は、環境地図情報143aから、領域701内の位置301の障害物存在確率302のうち最新のものを抽出する。自己位置取得部124は、図6に一例を示す対象物621の幾何形状と、抽出した障害物存在確率302及びその位置301により示される対象物との差分を取得し、この差分が最小となる環境座標系におけるセンサ座標系の原点位置及び姿勢を取得し、この原点位置及び姿勢により、搬送ロボット100の現在位置及び姿勢を取得する。具体的には、例えば、図7の例において、自己位置取得部124は、センサ座標系の原点位置及び姿勢が位置711、又は、位置712であると仮定した場合の例を説明する。この場合、自己位置取得部124は、センサ座標系の原点位置及び姿勢が位置711と仮定した場合の対象物621の幾何形状(図7の形状721)と、地図700(障害物存在確率302及びその位置301により示される対象物)との差分を取得する。また、自己位置取得部124は、センサ座標系の原点位置及び姿勢が位置712であると仮定した場合の対象物621の幾何形状(図7の形状722)と、地図700との差分を取得する。自己位置取得部124は、取得した差分の最も小さいもののセンサ座標系の原点位置及び姿勢を選択する。この場合、センサ座標系の原点位置及び姿勢が位置711であると仮定した場合の差分が最も小さいので、自己位置取得部124は、搬送ロボット100の位置及び姿勢が、センサ座標系の原点位置及び姿勢が位置711から定まる位置731であると判定する。
【0078】
なお、図7の場合、搬送ロボット100は、トレイ170に付与されているRFIDタグ212の保持するタグIDが取得可能であるが、ここにトレイ170が無い場合、上述のように、自己位置取得部124は、前回取得した現在位置及び姿勢から取得される範囲内で探索を行なう。この処理は、センサ座標系の原点位置及び姿勢の範囲が、上述では検出されたトレイ170を基準とする所定範囲であったのに対し、前回取得した現在位置を基準とする範囲とする点のみが異なり、他の処理は上述と同じであるので、詳細は省略する。
【0079】
このように、取得したタグIDから、搬送ロボット100の存在する確率の高い領域を検索するため、自己位置推定の高速化が可能となる。また、タグIDが取得できない場合でも、前回取得した現在位置近傍の領域を検索するため、自己位置推定の高速化が可能となる。
【0080】
なお、トレイ170が移動等され、トレイ170の実際の位置と、環境地図情報143上のトレイ170の位置情報とが一致しない場合もある。このような場合、上述のS503の処理で、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111、ステレオカメラ112のうち少なくとも1つによりトレイ170が検出されていても、トレイ170を検出可能な領域から、搬送ロボット100のおよその位置を取得することが不可となる。このような場合に対応するために、自己位置取得部124は、例えば、上述の処理で抽出した複数の位置301の各々の距離が、例えば長距離通信タグの電波範囲以上の距離や、ステレオカメラ112の撮影性能以上の距離等、所定距離以上離れる場合、トレイ170の実際の位置と環境地図情報143上のトレイ170の位置情報とが一致しないと判定する。また、自己位置取得部124は、例えば、上述の処理で抽出した障害物存在確率302及びその位置301により示される対象物と、上述のS503の処理で取得されたセンサ113のデータとのマッチング率が所定値以下等となり、搬送ロボット100の環境座標系における現在位置及び姿勢が取得不可の場合、自己位置取得部124は、トレイ170の実際の位置と環境地図情報143上のトレイ170の位置情報とが一致しないと判定する。トレイ170の実際の位置と環境地図情報143上のトレイ170の位置情報とが一致しないと判定した場合、自己位置取得部124は、上述と同じ処理により、前回の現在位置近傍の位置301の障害物存在確率302のうち最新のものを抽出し、抽出した障害物存在確率302及びその障害物存在確率302に位置301により示される対象物と、上述のS503の処理で取得されたセンサ113のデータとを比較して、搬送ロボット100の環境座標系における現在位置及び姿勢を取得するとよい。
【0081】
図5において、経路探索部129は、上述のS501で取得した搬送先トレイと、上述のS504で取得した搬送ロボット100の現在位置及び姿勢とから、搬送ロボット100の経路を探索する(S505)。経路探索部129が経路を探索する技術は特に限定するものではないが、例えば、最短経路探索法等により取得するとよい。このとき、経路探索部129は、環境地図情報143aの各位置301における障害物存在確率311のうち最新のものを参照して、障害物存在確率311の値が所定値以下である領域を抽出し、抽出した領域内において、現在位置から搬送先トレイまでの移動距離が最短となる経路を求めるとよい。
【0082】
次に、移動制御部130は、上述のS505の処理で探索した経路に沿って移動するように駆動装置102を制御する(S506)。この駆動装置102の制御技術は特に限定するものではなく、従来技術と同じであるので省略する。
【0083】
S506の処理を開始してから所定時間経過した後、又は、所定距離移動した後等に、環境地図取得部122は、環境地図情報143を取得する(S507)。この処理は、上述のS502と同じである。
【0084】
次に、環境情報取得部123は、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111、ステレオカメラ112、センサ113、温度センサ114、湿度センサ115、電波検出器116、集音器117、照度センサ118、ライトプローブ用カメラ119、風センサ120、臭センサ122の各々からの情報を取得する(S508)。この処理は上述のS503と同じである。
【0085】
次に、自己位置取得部124は、搬送ロボット100の位置及び姿勢を取得する(S509)。この処理は上述のS504と同じである。
【0086】
次に、環境情報更新部128は、環境地図情報143を更新する(S510)。そのために、環境情報更新部128は、例えば、環境情報や、障害物の有無、トレイ170の位置等を更新し、更新した環境地図情報143を基地局180に送信する。
【0087】
環境情報を更新するために、環境情報更新部128は、例えば、上述のS508の処理で、温度センサ114、湿度センサ115、電波検出器116、集音器117、照度センサ118、ライトプローブ用カメラ119、風センサ120、臭センサ122の各々の取得した情報を、図3に一例を示す環境地図情報143aの、上述のS508の処理で取得した位置と一致する位置301の、最新時刻の温度情報306、湿度情報307、電波情報308、音情報309、照度情報310、鏡面画像情報311、風情報312、臭情報313等として格納する。
【0088】
また、障害物の有無を更新するために、環境情報更新部128は、例えば、上述のS508の処理でセンサ113の取得したデータと、環境地図情報143aの最新時刻のセンサデータ305との差分を取得して、この差分が所定値以上である場合に、その差分が存在する場所に障害物があると判定し、図3に一例を示す環境地図情報143aの、上述のS508の処理で取得した位置と一致する位置301の、最新時刻の障害物存在確率302を更新する。この具体的な動作例を、図8を参照して説明する。
【0089】
図8において、搬送ロボット100は、地図800で示される領域の何れかに位置する。対象物801(太線部)は、上述のS508の処理でセンサ113の取得したデータである。上述のS509の処理で、搬送ロボット100が、位置811の位置及び姿勢であると判定されたものとする。
【0090】
環境情報更新部128は、対象物801と、地図800との差分を取得する。この場合、環境情報更新部128は、差分821を取得する。環境情報更新部128は、この差分821を障害物と判定し、差分821の位置を取得する。環境情報更新部128は、環境地図情報143aの、取得した位置と一致する位置301の障害物存在確率302のうち最新のものを更新する。
【0091】
ここで、領域831は、位置811の位置及び姿勢の搬送ロボット100のセンサ113に対し、差分821の裏側にあたり、障害物の存在の有無が確認できない。そこで、環境情報更新部128は、障害物の存在の有無が確認できないことを環境地図情報143aに含めていても良い。この場合、環境情報更新部128は、障害物の存在の有無が確認できない領域を特定する。この領域を特定するために、環境情報更新部128は、例えば、図8の例の場合、現在の位置及び姿勢におけるセンサ座標系と、差分821のエッジとを通過する線分841、842(破線)を作成する。環境情報更新部128は、差分821、線分841、842、及び、環境地図情報143aのセンサデータ305から、領域を特定する。環境情報更新部128は、環境地図情報143aの、特定した領域のグリッドの各々と一致する位置301に、障害物の存在の有無が確認できない情報を追加等する。ここで、この情報は任意でよく、例えば、障害物の存在の有無が確認できないことを示すフラグを付与してもよく、また、この位置の障害物存在確率302を更新してもよい。
【0092】
また、トレイ170の位置を更新するために、まず、S508の処理で取得した環境情報から、マーク検出部125、タグ検出部126の各々は、少なくとも1つのトレイ170を検出したか否か判定する。この判定処理は、上述のS504で説明した処理と同じである。この処理により、少なくとも1つのトレイ170が検出されたか否か、及び、検出されたトレイ170のトレイIDが取得される。少なくとも1つのトレイ170を検出している場合、トレイ位置推定部127が、検出されたトレイ170の位置を取得する。次に、環境情報更新部128が、トレイ位置推定部127の取得した結果から、環境地図情報134aのトレイ位置を更新する。
【0093】
まず、トレイ位置推定部127が、トレイ170の位置を取得する動作例を説明する。トレイ位置推定部127は、例えば、短距離通信タグリーダ110の取得したRFIDタグ211の電波強度から、検出されたトレイ170の位置を取得する。即ち、トレイ位置推定部127は、RFIDタグ211の電波強度の最も強い地点に、トレイ170が存在すると判定する。また、トレイ位置推定部127は、例えば、長距離通信タグリーダ111の取得したRFIDタグ212の電波強度から、検出されたトレイ170の位置を取得する。即ち、トレイ位置推定部127は、RFIDタグ212の電波強度の最も強い地点に、トレイ170が存在すると判定する。そのために、例えば、トレイ位置推定部127は、短距離通信タグリーダ110の取得したRFIDタグ211の電波強度、長距離通信タグリーダ111の取得したRFIDタグ212の電波強度の各々の最も強くなる方向を、トレイ170の存在する方向「D1」とする。また、トレイ位置推定部127は、RFIDタグ211、RFIDタグ212の電波強度から、現在位置からトレイ170までの距離「R1」を取得する。トレイ位置推定部127は、搬送先トレイの存在する方向「D1」の線分上であり、かつ、現在位置から距離「R1」乖離した点を、トレイ170の位置とする。
【0094】
また、トレイ位置推定部127は、ステレオカメラ112の取得した画像データにのどの位置に、マーク情報402が含まれるかにより、検出されたトレイ170の位置を取得する。
【0095】
ここで、図9(a)を参照し、画像データから搬送先トレイの位置を特定する動作例を説明する。
【0096】
図9(a)において、画像900は、搬送ロボット100が図8に一例を示す位置811の位置及び姿勢である場合に、ステレオカメラ112の取得する画像データである。このとき、マーク検出部125は、画像900における位置901に、識別領域221を検出したものとする。画像900における領域902に、識別領域221が含まれているので、トレイ位置推定部127は、図示しないテーブル等を参照し、この領域に対応する位置を取得する。この図示しないテーブルには、例えば、環境座標系における位置と、その位置でステレオカメラ112の撮影した画像データを分割した領域と、その領域の各々が環境座標系のどの位置に該当するものかという情報が含まれている。仮に、例えば、画像900の領域903に識別領域221が検出された場合、トレイ位置推定部127は、図8に一例を示す地図800の、差分821近傍が、その識別領域221の付与されているトレイ170の位置であると判定する。
【0097】
なお、ここで、複数のトレイ170間の距離が近く、複数のトレイ170のRFIDタグ212を同時に取得し、トレイ170各々のRFIDタグ212の電波強度を識別できない場合も考えられる。この場合、例えば、複数のトレイ170の各々に近寄り、トレイ170のRFIDタグ211を読み取って、どのトレイ170であるかを検出するとよい。この具体例を、図9(b)を参照して説明する。
【0098】
なお、図9(b)の例では、複数のトレイ170、及び、各トレイ170の各々に付与されているタグIDを区別して説明する場合、例えば「トレイ170a」というように符号を付与して説明する。また、図2を参照して説明したように、トレイ170には、マーク202毎にRFIDタグ211、RFIDタグ212の各々が付与されている。図9(b)の例では、説明の簡略化のために、トレイ170a、トレイ170bの各々には、RFIDタグ211、RFIDタグ212の各々が1つずつ付与されている図を示している。
【0099】
図9(b)において、トレイ170aには、RFIDタグ211a、RFIDタグ212aの各々が付与されている。RFIDタグ211aの電波範囲は、円形の領域911aである。RFIDタグ212aの電波範囲は、円形の領域912aである。
【0100】
一方、トレイ170bには、RFIDタグ211b、RFIDタグ212bの各々が付与されている。RFIDタグ211bの電波範囲は、円形の領域911bである。RFIDタグ212bの電波範囲は、円形の領域912bである。
【0101】
図9(b)の例では、領域912aと領域912bとが重複する。この重複する領域を領域921という。ここで、搬送ロボット100が領域921に位置する場合、RFIDタグ212aの保持する長距離通信用タグIDと、RFIDタグ212bの保持する長距離通信用タグIDとの両方を読み取り、RFIDタグ212aと、RFIDタグ212bとを電波強度により区別することが困難となる場合がある。この場合、搬送ロボット100のトレイ位置推定部127は、RFIDタグ212aと、RFIDタグ212bとを区別することなく、電波強度の強い方向を取得する。この電波強度の強い方向にトレイ170が存在する。次に、移動制御部130は、駆動装置102を制御して、何れか一方のトレイ170のRFIDタグ211と通信可能な領域に移動する。移動した後に、短距離通信タグリーダ110は、RFIDタグ211と通信してタグIDを取得し、取得したタグIDから、上述のS504で説明した処理と同じ処理により、このトレイ170のトレイIDを取得する。また、トレイ位置推定部127は、他方のトレイ170のRFIDタグ211と通信可能な領域に移動して、上述と同じ処理を行なう。
【0102】
なお、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111、ステレオカメラ112の各々で取得した情報からトレイ170の位置を取得した場合、いずれか1つで取得した位置を環境地図情報143に更新してもよく、また、複数を組み合わせてもよい。
【0103】
次に、環境情報更新部128が、トレイ位置推定部127の取得した結果から、環境地図情報134aのトレイ位置を更新する動作例を説明する。例えば、環境情報更新部128は、環境地図情報143aの各トレイID303のうち最新時刻のものを参照し、上述の処理で検出したトレイ170のトレイIDと一致するものを検索し、このトレイID303の位置301を抽出する。次に、環境情報更新部128は、抽出した位置301が、上述の処理で取得されたトレイ170の位置と一致するか否か判定する。この位置一致の判定は、完全一致の場合に一致すると判定してもよく、また、所定範囲内に含まれる場合に一致すると判定してもよい。この判定の結果、一致する場合、環境情報更新部128は、トレイ170の位置更新を行なわない。また、この判定の結果、一致しない場合、環境情報更新部128は、環境地図情報143aの、上述の処理で抽出された位置301のトレイID303の最新時刻のもののうち、検出されたトレイ170のトレイIDと一致する値を削除する。さらに、環境情報更新部128は、環境地図情報143aの位置301のうち、上述の処理で取得された位置と一致するものを検索する。次に、環境情報更新部128は、検索した位置301の最新時刻のトレイID303の値として、上述の処理で検出したトレイ170のトレイIDを追加する。
【0104】
環境情報送信部133は、上述の処理で更新した環境地図情報143を、基地局180に送信する。基地局180は、受信した環境地図情報143を記憶装置(図示略)記憶する。
【0105】
図5において、マーク検出部125は、ステレオカメラ112で搬送先トレイが検出されているか否か判定する(S511)。そのために、マーク検出部125は、例えば、上述のS510の処理で、ステレオカメラ112により撮影された画像データから、少なくとも1つのトレイ170を検出しているか否か判定する。この判定の結果、少なくとも1つのトレイ170を検出している場合、マーク検出部125は、このトレイ170のトレイIDが、上述のS501の処理で受け付けた搬送先トレイのトレイIDと一致するか否か判定する。
【0106】
S511の判定の結果、ステレオカメラ112により搬送先トレイが検出されていない場合、タグ検出部126は、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111のうち少なくとも一方で、搬送先トレイが検出されているか否か判定する(S512)。そのために、タグ検出部126は、例えば、上述のS510の処理で、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111のうち少なくとも一方で、少なくとも1つのトレイ170を検出しているか否か判定する。この判定の結果、少なくとも1つのトレイ170を検出している場合、タグ検出部126は、このトレイ170のトレイIDが、上述のS501の処理で受け付けた搬送先トレイのトレイIDと一致するか否か判定する。
【0107】
上述のS512の判定の結果、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111の両方で搬送先トレイを検出していない場合、自己位置取得部124は、上述のS509の処理で取得した現在位置が目的地と一致するか否か判定する(S513)。この位置の一致判定は、完全一致のみ一致と判定してもよく、また、所定距離以内であれば一致すると判定してもよい。
【0108】
S513の判定の結果、現在位置が目的地と一致していない場合、上述のS506の処理に移行する。
【0109】
S513の判定の結果、現在位置が目的地と一致している場合、経路探索部129は、搬送先トレイを検索するための経路を探索する(S514)。この経路探索は特に限定するものではないが、例えば、過去の搬送先トレイの位置を優先して検索するとよい。そのために、例えば、経路探索部129は、環境地図情報143aを参照し、搬送先トレイのトレイIDと一致するトレイID303の位置301のうち、2番目に新しい時刻の位置301を抽出し、現在位置から抽出した位置301までの経路を探索する。また、例えば、経路探索部129は、所定時間内の各時刻において、搬送先トレイのトレイIDと一致するトレイID303の位置301を抽出し、位置301が同一なものの個数をカウントし、現在位置から、このカウント値が最も大きい位置301までの経路を探索してもよい。また、例えば、経路探索部129は、所定時間内の各時刻において、搬送先トレイのトレイIDと一致するトレイID303の位置301を抽出し、位置301が同一なものの個数をカウントし、現在位置から、このカウント値が大きい順の位置301の各々を経由する経路を探索してもよい。
【0110】
一方、上述のS512の判定の結果、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111のうち少なくとも一方で搬送先トレイを検出している場合、経路探索部129は、ステレオカメラ112で搬送先トレイが検出可能となる経路を探索する(S515)。即ち、この場合、搬送先トレイと搬送ロボット100との間に、何らかの障害物が存在すると考えられるので、この障害物を避けて搬送先トレイに近づくための経路を探索する。この処理は特に限定するものではないが、例えば、経路探索部129は、搬送先トレイの位置を中心とする所定範囲内の位置の各々に移動するための経路を探索する。この範囲は任意でよいが、例えば、長距離通信タグ又は短距離通信タグの電波範囲により定まるものである。このS515の処理の後、上述のS506の処理に移行する。上述の処理を再度行なうことにより、ステレオカメラ112で搬送先トレイが検出可能か否か再度判定するので、ステレオカメラ112で搬送先トレイが検出可能となるまで、新たな経路を探索することとなる。
【0111】
一方、S511の判定の結果、ステレオカメラ112により搬送先トレイが検出されている場合、タグ検出部126は、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111の両方で、搬送先トレイが検出されているか否か判定する(S516)。そのために、タグ検出部126は、例えば、上述のS510の処理で、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111の両方で、同一のトレイ170を少なくとも1つ検出しているか否か判定する。この判定の結果、トレイ170を検出している場合、タグ検出部126は、このトレイ170のトレイIDが、上述のS501の処理で受け付けた搬送先トレイのトレイIDと一致するか否か判定する。
【0112】
S516の判定の結果、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111の両方で搬送先トレイが検出されていない場合、経路探索部129は、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111の両方で搬送先トレイが検出可能となる経路を探索する(S517)。この処理は特に限定するものではないが、例えば、経路探索部129は、搬送先トレイに付与されているRFIDタグ211、RFIDタグ212の各々による電波強度が強くなる位置を取得し、現在位置から取得した位置までの経路を探索する。このS517の処理の後、上述のS506の処理に移行する。上述の処理を再度行なうことにより、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111の両方で搬送先トレイが検出可能か否か再度判定するので、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111の両方で搬送先トレイが検出可能となるまで、新たな経路を探索することとなる。
【0113】
このように、短距離通信用タグをトレイに装置することにより、トレイの位置をより正確に特定できる。また、搬送先として指定されたトレイが置かれているはずの場所に搬送先とは異なるトレイが置かれていた場合でも、短距離通信用タグの保持するタグIDを確認することで、本来の搬送先と異なるトレイに搬送することを防ぐことが可能となる。
【0114】
図5に戻り、S516の判定の結果、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111の両方で搬送先トレイが検出されている場合、ハンドリング装置101の保持している荷物を搬送先トレイに降ろす処理を行なう(S518)。
【0115】
まず、荷おろし判定部131は、現在の位置において、搬送先トレイに荷おろしが可能か否か判定する。そのために、荷おろし判定部131は、ステレオカメラ112により撮影された画像データに含まれる識別領域221が、荷おろし可能な面のものであるか否かを判定する。上述のように、本実施形態では、荷おろし可能な面に付与されているものは、図4に一例を示す環境地図情報143bのマーク情報402の左端に格納されているものである。そこで、荷おろし判定部131は、環境地図情報143bから、搬送先トレイのトレイIDと一致するトレイID401を含むレコードを検索し、このレコードに含まれるマーク情報402のうち、左端に格納されているものを抽出する。荷おろし判定部131は、ステレオカメラ112の撮影した画像データの所定領域内に、抽出したマーク情報402と一致するものが含まれているか否かにより、荷おろしが可能か否か判定する。この判定の結果、荷おろし可能な面が含まれている場合、荷おろし判定部131は、搬送先トレイに荷おろしが可能と判定する。この判定の結果、搬送先トレイに荷おろしが不可である場合、荷おろし判定部131は、荷おろし可能と推定される位置を取得する。ここで、荷おろし可能と推定される位置を取得するための処理は任意でよいが、荷おろし判定部131は、例えば、搬送先トレイの位置を中心とする所定範囲内の位置の各々に移動し、この位置の各々で、上述の荷おろし可能か否かの判定を行ない、荷おろし可能と判定されるまで繰り返すとよい。この所定範囲は特に限定するものではないが、例えば、ハンドリング装置101のアームの長さ等の性能等により定まる範囲でもよい。
【0116】
上述の判定により、荷おろし可能と判定された場合、ハンドリング制御部132は、ハンドリング装置101を制御して荷おろしを行なう。この荷おろし処理は特に限定するものではなく、ハンドリング装置101の機構によるものである。荷おろし処理は従来技術と同じである。
【0117】
次に、結果出力部134は、結果を、出力装置108、又は、他装置(図示略)に出力する(S519)。具体的には、結果出力部134は、上述の処理により更新された環境地図情報143における障害物やトレイ位置、搬送ロボット100の現在位置、移動経路等の情報を出力する。
【0118】
ここで、図10を参照し、結果出力部134が、出力装置108等のディスプレイに結果を表示する例を説明する。
【0119】
図10において、画像1001は、搬送ロボット100の移動する領域の地図画像を含む。図10に一例を示すように、結果出力部134は、地図画像に、今回の移動で検出されたトレイ170、障害物、搬送ロボット100の経路、搬送ロボット100の現在の位置等を位置付けたデータを作成し、出力装置108等のディスプレイに出力する。
【0120】
上述の技術によれば、搬送先トレイが予め記憶されている環境地図情報とは異なる位置にある場合でも、トレイ170の各々の識別領域(マーク)及びタグの検出により、検出することが可能となる。また、トレイ170の各々の識別領域(マーク)及びタグを検出することで、搬送先トレイの位置及び姿勢を取得することが可能となり、搬送ロボット100が荷降ろしをするための位置及び姿勢を取得して、自動的に荷降ろしを行うことが可能となる。
【0121】
上述の技術の適用は任意であるが、例えば、工場などでの資材の搬送、オフィスなどでの郵便物の配達などが考えられる。
【0122】
例えば、工場であれば、各工程で使用する部品等を搭載したラック、又は、ラックの棚の各々に、上述のマーク202を付与しておく。この場合、搬送ロボット100が、目的地となるラックに到着すると、それまで保持していた部品をそのラック、又は、そのラックの棚上に置いてもよい。ここで、部品が通い箱等の容器に入れられている場合、搬送ロボット100は、目的地であるラックから目的の容器を下ろした後に、自身の搬送した容器をラックに置き、さらに、降ろした容器を所定の位置に搬送してもよい。
【0123】
また、例えば、オフィス等であれば、各個人の郵便物を受けるトレイに上述のようなマーク202を付与しておく。この場合、搬送ロボット100が、目的地となるトレイに到着すると、それまで保持していた郵便物をそのトレイに置いても良い。
【0124】
また、搬送ロボット100は、移動しながら、温度、湿度、電波検出の有無や電波強度、音量、照度、鏡面球を撮影した画像データ、風量や風向き、特定の物質の臭いの有無や、臭いの強さ等を取得することが可能となる。取得した温度、湿度、風量や風向き等は、例えば、冷暖房器や除湿機、加湿器等の最適な設置位置を取得するためのデータとして用いることが可能である。これにより、冷暖房や除湿、加湿等の効率を向上させることが可能となる。また、取得した電波検出の有無や電波強度は、例えば、無線LANの中継器等の最適な設置位置を取得するためのデータとして用いることが可能となる。また、取得した音量は、例えば、スピーカ装置やマイクロフォン等の最適な設置位置を取得するためのデータとして用いることが可能となる。取得した照度は、例えば、照明の最適な設置位置を取得するためのデータとして用いることが可能となる。取得した鏡面球を撮影した画像データから、例えば、ライトプローブイメージを生成することが可能となる。このライトプローブイメージから、合成映像を生成することが可能となる。取得した特定の物質の臭いの有無や、臭いの強さ等は、空気清浄機や冷暖房器等の最適な設置位置を取得するためのデータとして用いることが可能である。また、取得した特定の物質の臭いの有無や、臭いの強さ等により、ガス漏れ等の異常を検出することが可能となる。
【0125】
また、搬送ロボット100の取得した環境地図情報143を、搬送ロボット100の出力装置108、又は、通信ネットワーク190等に接続されている情報端末(図示略)等に出力しても良い。これにより、ユーザが、トレイ170の位置、地図上の任意の点の画像データやセンサデータ、温度、湿度、電波検出の有無や電波強度、音量、照度、鏡面球を撮影した画像データ、風量や風向き、特定の物質の臭いの有無や、臭いの強さ等を参照できるようにしてもよい。ユーザは、環境情報を参照することで、例えば、障害物存在率の高い地点や異常が検出された地点の状況を画像データにより確認する、トレイの置かれている温度や湿度等の環境を確認する等、地図上の任意の点の状況を判断することが可能となる。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態を説明する。
【0126】
上述の第1の実施形態は、1つの搬送ロボット100が物を搬送等するものであった。以下で説明する第2の実施形態は、複数の搬送ロボット100の各々の物を搬送等し、各搬送ロボット100が互いに環境地図情報143を共有するものである。
【0127】
なお、以下で説明する第2の実施形態では、上述の第1の実施形態と同じものに対しては同じ符号を付与して説明を省略する。
【0128】
まず、図11を参照し、第2の実施形態の構成例を説明する。
【0129】
図11において、複数の搬送ロボット100の各々が、通信ネットワーク190を介して基地局180と接続されている。
【0130】
基地局180は、記憶装置1101を有する。この記憶装置1101は、例えば、HDD、シリコンディスク等の任意の記憶媒体である。記憶装置130は、環境地図情報143を有する。
【0131】
搬送ロボット100の各々の動作例は、上述の第1の実施形態と同じである。即ち、搬送ロボット100は、搬送先トレイを受け付けると、基地局180から環境地図情報143を取得し、取得した環境地図情報143を参照して、搬送先トレイまで移動する。搬送物の荷おろし処理を行なった後に、自身の更新した環境地図情報143を基地局180に送信する。基地局180は、受信した環境地図情報143を記憶装置1101内に上書き等する。
【0132】
この後、上述と同じS507の処理で、他の搬送ロボット100が基地局180から環境地図情報143を取得する場合、この処理で更新されたものを取得する。ここで、基地局180から新たな環境地図情報143を取得した搬送ロボット100は、それ以前の処理で取得した搬送先トレイの位置と、新たな環境地図情報143に含まれる搬送先トレイの位置とが異なる場合、現在位置から、新たな環境地図情報143に含まれる搬送先トレイの位置までの経路を探索し、新たに探索した経路に従い移動するとよい。
【0133】
その場合、上述のS507の処理の後、経路探索部129は、新たな環境地図情報143aの最新時刻のトレイID303のうち、搬送先トレイのトレイIDと一致するものを検索し、該当するトレイID303の位置301を抽出する。次に、経路探索部129は、現在移動している経路の目的地と、抽出した位置301とが一致するか否か判定する。この判定は、完全一致のみ一致と判定してもよく、また、所定範囲内であれば一致と判定してもよい。この判定の結果、一致する場合、上述と同じ処理を行なう。また、この判定の結果、一致しない場合、即ち、搬送先トレイの位置が変わったと判定される場合には、経路探索部129は、上述のS510の処理を行なった後等に、現在位置から上記処理で抽出した位置301までの経路を探索し、上述のS506の処理に移行するとよい。
【0134】
このように、各搬送ロボット100は、他の搬送ロボット100が更新した最新の環境地図情報143における障害物の位置情報とトレイの位置情報を用いて、自身の移動経路の計画が行えるようになる。これにより、効率的な搬送が可能となる。
【0135】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0136】
例えば、上述の実施形態では、トレイ170の1面からのみ、物を置くこと、物を持っていくことが可能であるものとしたが、これに限られるわけではない。複数の面のいずれからでも、物を置くこと、物を持っていくことが可能としてもよい。
【0137】
また、上述の実施形態では、トレイ170のマーク202の各々に短距離通信タグ及び長距離通信タグを装置するものとしたが、これに限られるわけではない。トレイ170に付与される短距離通信タグ及び長距離通信タグの数は任意である。
【0138】
また、上述の実施形態では、搬送ロボット100は、基地局180から環境地図情報143を取得するものとしたが、これに限られるわけではない。例えば、他の搬送ロボット100から環境地図情報143を取得しても良い。即ち、ある搬送ロボット100は、他の搬送ロボット100のうち少なくとも一部に、上述の処理で更新した環境地図情報143を送信する。この環境地図情報143を受信した搬送ロボット100は、自身の環境地図情報143を、受信した環境地図情報143に置き代え等する。この場合の動作例は上述と同じである。
【0139】
また、上述の実施形態では、トレイ170の識別情報と、トレイ170に付与されているRFIDの保持するタグIDとが異なる場合の例を説明したが、このトレイ170の識別情報と、タグIDとが同じであってもよい。このような場合において、異なるトレイ170に付与されている識別領域221(マーク)が同じである場合、ステレオカメラ112のみによる、トレイ170の識別はできない。従って、この場合、環境地図情報143の更新は、トレイID303を空欄等のままにしておくとよい。
【0140】
また、上述の実施形態では、短距離通信タグIDと長距離通信タグIDとの両方を検出した場合に、搬送先トレイを検出したと判定しているが、これに限られるわけではない。カメラにより撮影された画像に搬送先トレイの識別領域221(マーク)が含まれている場合に、搬送先トレイを検出したと判定してもよい。即ち、搬送先トレイを検出したと判定する条件は、短距離通信タグID、長距離通信タグID、識別領域221(マーク)のうち少なくとも1つを検出していればよく、特に限定するものではない。
【0141】
また、上述の実施形態では、搬送ロボットの現在位置を、対象物の位置であるセンサデータと、地図データとを比較することにより取得するものとしたが、現在位置を取得する技術は任意でよい。例えば、搬送ロボットの移動する通路が定まっているのであれば、例えば速度センサや角速度センサ等により取得する搬送ロボットの移動距離及び移動方向と、地図情報等とから、マップマッチ等により搬送ロボットの現在位置を取得しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】第1の実施形態における構成例を示す図である。
【図2】同実施形態において、トレイの構成例を示す図である。
【図3】同実施形態において、環境地図情報の一例を示す図である。
【図4】同実施形態において、環境地図情報の一例を示す図である。
【図5】同実施形態において、搬送ロボットのフロー図である。
【図6】同実施形態において、長距離通信タグリーダの電波範囲、及び、センサの取得するセンサデータを説明する図である。
【図7】同実施形態において、搬送ロボットが現在位置及び姿勢を取得する動作例を説明するための図である。
【図8】同実施形態において、障害物を検出する動作例を説明するための図である。
【図9】同実施形態において、現在位置を取得する動作例を説明するための図である。
【図10】同実施形態において、結果を出力する画面例を示す図である。
【図11】第2の実施形態における構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0143】
100:搬送ロボット、110:短距離通信タグリーダ、111:長距離通信タグリーダ、112:ステレオカメラ、113:センサ、114:温度センサ、115:湿度センサ、116:電波検出器、117:集音器、118:照度センサ、119:ライトプローブ用カメラ、120:風センサ、121:鏡面球、122:臭センサ、101:ハンドリング装置、102:駆動装置、103:雲台、104:演算装置、121:搬送先取得部、122:環境地図取得部、123:環境情報取得部、124:自己位置取得部、125:マーク検出部、126:タグ検出部、127:トレイ位置推定部、128:環境情報更新部、129:経路探索部、130:移動制御部、131:荷おろし判定部、132:ハンドリング制御部、133:環境情報送信部、134:結果出力部、105:記憶装置、141:OS、142:プログラム、143:環境地図情報、106:メインメモリ、107:入力装置、108:出力装置、109:通信装置、180:基地局、1101:記憶装置、170:トレイ、190:通信ネットワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物品管理でRFID(Radio Frequency Identification)技術の適用が考えられている。例えば、在庫管理では、物品等の各々にRFIDタグ(以下、タグ)を付与し、そのタグ内のIDを読み取ることにより、物品の種別や数量を取得することが可能となる。これを出庫及び入庫等の度に行なうことにより、在庫管理が容易となる。
【0003】
また、倉庫等に保管されているタグの付与された物品の位置を検索する技術が特許文献1に記載されている。特許文献1には、ロボットがRFIDタグの位置を取得する技術が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−320074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的なRFID技術を用いた物品管理技術では、一度、棚等に置かれた物品が他の場所に移動されることが考慮されていない。従って、ある場所に置いた物品が他の場所に移動された後にその物品を用いる場合、人手等により探す必要がある。
【0006】
また、特許文献1に記載の技術は、ロボットの位置推定をGPS(Global Positioning System)で行っている。従って、GPSの電波が遮蔽される屋内などではロボット本体の位置推定が困難であるため、作業領域全体における物品の位置を求めることは困難である。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、一度、GPSの電波が遮蔽される場所に置かれた物品が他の場所に移動される場合でも、その物品を置かれている位置を取得し、その位置まで移動することが容易な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の目的を達成するためになされたもので、可動の目的物まで移動する移動装置であって、前記目的物を検出する目的物検出手段と、前記移動装置を移動させる駆動装置と、前記目的物の位置情報と、地図情報とを含む環境地図情報を記憶する記憶装置と、前記地図情報から前記移動装置の現在位置を取得する現在位置取得手段と、前記地図情報と、前記移動装置の現在位置と、前記目的物の位置とから、前記移動装置の現在位置から前記目的物の位置までの経路を探索する探索手段と、前記駆動装置を制御して、前記探索された経路に沿って移動させる駆動制御手段と、を有し、前記探索手段は、前記移動装置の現在位置から前記環境地図情報に含まれる前記目的物の位置情報の位置までの経路を探索し、該探索された経路に沿って移動している間に、前記目的物検出手段により目的物が検出された場合、そのときの前記移動装置の現在位置から該検出された目的物の位置までの経路を新たに探索し、前記駆動制御手段は、前記新たに探索された経路に沿って移動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の技術によれば、移動の目的位置が変わる場合でも、その位置を検出することが可能となる。これにより、例えば荷おろし位置が可動である場合でも、変更した荷降ろし位置への荷物の搬送が可能なとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
まず、第1の実施形態を説明する。
【0011】
図1を参照し、第1の実施形態の構成例について説明する。
【0012】
本実施形態のシステムは、搬送ロボット100と、複数のトレイ170と、基地局180等とから成る。搬送ロボット100と基地局180とは、通信ネットワーク190を介して接続されている。
【0013】
トレイ170の各々は、固定されているものではなく、移動可能なものである。トレイ170の各々には、マークと、短距離通信用のRFIDタグと、長距離通信用のRFIDタグ等とが付与されている。これらのトレイ170の詳細については後述する。
【0014】
搬送ロボット100は、基地局180から送信された環境地図情報143、及び、自身の取得した情報から、指定されたトレイ170の位置を取得し、その位置まで移動する。環境地図情報143の詳細については後述する。ここで、搬送ロボット100は、目的のトレイ170まで移動した後に、自身の運んだ搬送物をそのトレイ170上に置いてもよい。また、搬送ロボット100は、トレイ170上の物を他の場所まで搬送してもよい。以下では、搬送ロボット100の運んだ搬送物をそのトレイ170上に置く場合の例を説明する。
【0015】
基地局180は、例えばサーバ等の通信機能を有する情報処理装置である。基地局180は、記憶装置(図示略)を有する。この記憶装置は環境地図情報143を有する。基地局180は、搬送ロボット100からの要求に応じて、この記憶装置から読み出した環境地図情報143を送信する。このような装置は従来技術と同じであるので詳細な説明は省略する。
【0016】
通信ネットワーク190は、例えば、無線LAN(Local Area Network)等の任意のネットワークである。
【0017】
ここで、図1を参照し、搬送ロボット100の構成例を説明する。
【0018】
搬送ロボット100は、ハンドリング装置101、駆動装置102、雲台103、演算装置104、記憶装置105、メインメモリ106、入力装置107、出力装置108、通信装置109、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111、ステレオカメラ112、センサ113、温度センサ114、湿度センサ115、電波検出器116、集音器117、照度センサ118、ライトプローブ用カメラ119、風センサ120、臭センサ122等を有する。これらは、接続線151により接続される。また、搬送ロボット100は、鏡面球121を有する。
【0019】
ハンドリング装置101は、搬送ロボット100の移動の間、搬送物を保持し、トレイ170上に置くためのものである。ハンドリング装置101の形状や機構は任意であり、例えば、マニピュレータとハンドからなる機構、ベルトコンベア、クレーン機構等である。駆動装置102は、搬送ロボット100を移動させるためのものである。駆動装置102の形状や機構は任意であり、例えば、車両型、船舶型、脚型等でもよい。雲台103は、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111、ステレオカメラ112、センサ113、温度センサ114、湿度センサ115、電波検出器116、集音器117、照度センサ118、ライトプローブ用カメラ119、風センサ120、鏡面球121、臭センサ122等の高さや角度、仰角等を変更するためのものである。
【0020】
短距離通信タグリーダ110は、トレイ170の各々に付与されている短距離通信用RFIDタグのタグIDを読み取る。長距離通信タグリーダ111は、トレイ170の各々に付与されている長距離通信用RFIDタグのタグIDを読み取る。ステレオカメラ112は、搬送ロボット100の周囲を撮影する。センサ113は、対象物の位置が計測できるものであれば良く、例えば、レーザセンサ、赤外線センサ、超音波センサ等である。なお、センサ113の走査範囲は任意である。ここでは、センサ113は、水平方向を走査可能なレーザセンサであるものとする。温度センサ114は、例えばサーミスタ等であり、温度を取得する。湿度センサ115は、例えば高分子膜湿度センサ等であり、湿度を取得する。電波検出器116は、例えばアンテナ等であり、任意の周波数帯域の電波を検出する。集音器117は、例えばマイクロフォン等であり、音量を取得する。照度センサ118は、例えばフォトトランジスタやフォトダイオードを用いたものであり、照度を取得する。なお、照度センサ118は、輝度を測定してもよい。ライトプローブ用カメラ119は、鏡面球121を撮影する。風センサ120は、風速、風量、風向き等のうち少なくとも1つを測定する。風速、風量、風向き等を測定する技術は特に限定するものではないが、例えば、所定時間内の風杯の回転数、矢羽根の向き、温度変化等から測定してもよい。また、搬送ロボット100の移動速度及び移動方向等に応じて、風センサ120により取得された風速、風量、風向き等を補正するとよい。鏡面球121は、表面が鏡面状の球である。鏡面球121は、搬送ロボット100の周囲の状況を映すためのものである。ライトプローブ用カメラ119が鏡面球121を撮影した画像から、ライトプローブイメージ(Light Probe Image)が生成可能である。臭センサ122は、特定の物質の臭いの有無や、臭いの強さ等を取得する。この臭センサ122は、例えば、1つ以上のにおいセンサ素子(例えば高感度酸化物半導体等)や、ガスクロマトグラフ等である。
【0021】
記憶装置105は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やシリコンディスク等、書き込み及び読出しの可能なものである。記憶装置105は、OS(Operating System)141、プログラム142、環境地図情報143等を記憶する。プログラム142は、後述する機能を実現する。環境地図情報143は、トレイ170の位置情報、地図情報等を含む。
【0022】
演算装置104は、例えばCPU(Central Processing Unit)等である。演算装置104は、メインメモリ106にロードしたプログラム142を実行することにより、搬送先取得部121、環境地図取得部122、環境情報取得部123、自己位置取得部124、マーク検出部125、タグ検出部126、トレイ位置推定部127、環境情報更新部128、経路探索部129、移動制御部130、荷おろし判定部131、ハンドリング制御部132、環境情報送信部133、結果出力部134等を実現する。搬送先取得部121は、搬送先となるトレイ170に関する情報の入力を受け付ける。環境地図取得部122は、環境地図情報143を取得する。環境情報取得部123は、雲台103等を制御して、ステレオカメラ112、センサ113、温度センサ114、湿度センサ115、電波検出器116、集音器117、照度センサ118、ライトプローブ用カメラ119、風センサ120、臭センサ122の各々から計測値及び画像を取得する。自己位置取得部124は、環境情報取得部123により取得された測定値と、環境地図情報143に含まれる地図情報とから、搬送ロボット100の現在位置を取得する。マーク検出部125は、ステレオカメラ112により得られた画像データから、トレイ170に付与されているマークを検出する。タグ検出部126は、短距離通信タグリーダ110及び長距離通信タグリーダ111の受信した電波から、トレイ170に付与されているタグIDを検出する。トレイ位置推定部127は、トレイ170の位置を推定する。環境情報更新部128は、ステレオカメラ112、センサ113、温度センサ114、湿度センサ115、電波検出器116、集音器117、照度センサ118、ライトプローブ用カメラ119、風センサ120、臭センサ122等により取得した情報を、新たな環境地図情報143内の情報として更新する。以下、ステレオカメラ112、センサ113、温度センサ114、湿度センサ115、電波検出器116、集音器117、照度センサ118、ライトプローブ用カメラ119、風センサ120、臭センサ122等により取得した情報を総称して環境情報という。経路探索部129は、移動先のトレイ170までの経路を探索する。移動制御部130は、探索された経路に従って移動するように駆動装置102を制御する。荷おろし判定部131は、目的地であるトレイ170に搬送物の荷おろしが可能か否か判定する。ハンドリング制御部132は、ハンドリング装置101を制御して、搬送物を目的地であるトレイ170に降ろす。環境情報送信部133は、更新した環境地図情報143を基地局180等に出力する。結果出力部134は、結果を出力装置108、通信装置109等に出力する。
【0023】
入力装置107は、例えば、キーボード、マウス、マイク、タッチパネル等である。出力装置108は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、プリンタ等である。通信装置109は、通信ネットワーク190と接続するためのものであり、例えば、無線LAN装置等である。
【0024】
なお、上述の機能は、LSI(Large Scale Integration)等のハードウェアにより実現してもよい。また、これらの機能がハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組み合わせにより実現してもよい。また、上記機能を実現するためのプログラムやセンサの計測値などのデータは、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)等の記憶媒体から取得してもよく、また、ネットワーク経由で他の装置から取得してもよい。
【0025】
また、上述のハードウェアやソフトウェアは、実施形態に応じて、取捨選択することができる。
【0026】
また、搬送ロボット100において、上述の装置及び機能は、1つの装置に全て含まれていなくても良い。
【0027】
また、搬送ロボット100の有するステレオカメラ112、センサ113、温度センサ114、湿度センサ115、電波検出器116、集音器117、照度センサ118、ライトプローブ用カメラ119、風センサ120、鏡面球121、臭センサ122の各々の数は任意でよい。例えば、走査範囲が狭いセンサ113を複数取り付けることで走査範囲を増やしたセンサシステムを用いてもよい。
【0028】
次に、図2を参照し、トレイ170の構成例を説明する。
【0029】
図2において、トレイ170は、領域201、複数のマーク202等を有する。
【0030】
領域201は、物が置かれる部位である。
【0031】
マーク202は、例えば、領域201、トレイ170の各側面等、トレイ170の向きや高さ等が判明可能な位置に付与されている。本実施形態では、各トレイ170には、領域201、及び、全ての側面の各々、合計5つのマーク202が付与されているものとして説明する。
【0032】
各マーク202は、RFIDタグ211、RFIDタグ212、識別領域221等を有する。RFIDタグ211は、トレイ170近傍等の狭い範囲のみで通信が可能なものである。RFIDタグ212は、RFIDタグ211よりも広い範囲で通信可能なものである。RFIDタグ211、RFIDタグ212の各々は、一意な情報を保持している。以下、この情報をタグIDという。識別領域221は、ステレオカメラ112によるトレイID、位置、姿勢等の推定に用いるためのものである。この識別領域221は、例えば、バーコードや2次元バーコード等であり、ステレオカメラ112によるトレイID、位置、姿勢等が推定可能なものであれば形状及び色を問わない。識別領域221の各々の色や形のうち一方又は組合せは、トレイ170の面により異なる。これにより、そのマーク202の付与されているトレイ170の面が特定可能となる。これにより、例えば、搬送物をトレイ170に置くこと、及び、領域201の物を取ることが、そのトレイ170の特定方面からのみ可能である場合にも対応可能となる。
【0033】
なお、本実施形態では、トレイ170のトレイID、位置、姿勢等は、識別領域221により判定するものとするが、これに限られるわけではない。マーク202及び識別領域221の組合せにより、トレイ170のトレイID、位置、姿勢等を判定可能なものとしてもよい。また、異なるトレイ170の各々に付与されているマーク202及び識別領域221は、異なっていてもよく、同じであってもよい。
【0034】
また、識別領域221及びマーク202は、トレイに直接塗装等されていてもよく、また、印刷等されたシールを貼り付けてもよい。また、LED(Light Emitting Diode)や有機EL(electroluminescence)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置等、形状や色のパターンを提示できるもので、トレイID、位置、姿勢等を判定可能なものとしてもよい。また、トレイそのものの形状及び色により、トレイのトレイID、位置、姿勢等を判定可能なものにしてもよい。また、これらの組合せでもよい。
【0035】
また、実施形態では、搬送ロボット100が、トレイ170に物を置く場合や、トレイ170に置かれている物を持っていく場合、トレイのある面からのみ、物を置くこと、物を持っていくことが可能であるものとする。この、物を置くこと、物を持っていくことが可能な面の数は任意でよいが、ここでは、1つの面からのみ可能であるものとする。
【0036】
また、トレイ170の形状、大きさ等は任意である。トレイ170は、搬送ロボット100の移動の目的地となる可動の物であればよい。トレイ170が移動する技術は任意であり、例えば、人や他装置等(図示略)により移動してもよく、また、自身の移動装置(図示略)で自律的に移動しても良い。
【0037】
また、RFIDタグ211、RFIDタグ212の各々の種類は特に限定するものではなく、例えば、電池を内蔵する必要のないパッシブタグでもよく、また、電池を内蔵しているアクティブタグでもよい。
【0038】
次に、図3、図4を参照し、環境地図情報143の一例を説明する。
【0039】
本実施形態では、環境地図情報143は、2つのテーブルを有するものとする。以下、これらのテーブルを区別して説明する場合、「環境地図情報143a」、「環境地図情報143b」等とする。
【0040】
また、本実施形態では、搬送ロボット100が移動可能な領域を、縦、横、高さ方向の各々で複数に分割し、この分割した領域毎の環境情報が、環境地図情報143に格納されている。即ち、環境地図情報143には、3次元地図における環境情報が格納されている。以下、この分割した領域をグリッドという。
【0041】
まず、図3に一例を示す環境地図情報143aについて説明する。環境地図情報143aは、主に、搬送ロボット100の移動可能な領域の地図に関する情報が格納されている。
【0042】
図3において、環境地図情報143aは、グリッド毎に、位置301、障害物存在確率302、トレイID303、画像情報304、センサデータ305、温度情報306、湿度情報307、電波情報308、音情報309、照度情報310、鏡面画像情報311、風情報312、臭情報313等を有する。これらの情報は、これらの情報の取得時間毎に格納されている。図3の例では、同じ列の位置301、障害物存在確率302、トレイID303、画像情報304、センサデータ305、温度情報306、湿度情報307、電波情報308、音情報309、照度情報310、鏡面画像情報311、風情報312、臭情報313等は、同じ時間に取得した各グリッドおける情報である。
【0043】
ここで、上述の各グリッドにおける情報は、全く同一の日時に取得したものを同じ時間に取得したものとしてもよく、また、例えば10分間等の任意時間内に取得したものを同じ時間に取得したものとしてもよい。具体的には、図3の「時刻1」は、例えば「2006.12.01 12:00:00」を意味してもよく、また、例えば「2006.12.01 12:00:00〜2006.12.01 12:10:00」を意味しても良い。なお、任意時間内に取得した環境情報を同じ時間に取得したものとする場合、この任意時間は特に限定するものではなく、例えば、1回の荷物の搬送等に要した時間でもよく、また、定められた時間帯でもよい。
【0044】
位置301は、グリッドの位置情報である。本実施形態では、グリッドの位置を、地図上の任意の点を原点とするXYZ座標で示す。以下、この座標系を環境座標系という。
【0045】
障害物存在確率302は、位置301のグリッドに障害物の存在する確率である。この存在確率は任意であるが、例えば、搬送ロボット100が、位置301のグリッド近傍を移動した回数に対する、障害物の検出された回数である。
【0046】
トレイID303は、位置301のグリッドに位置するトレイ170の識別情報である。
【0047】
画像情報304は、位置301のグリッドで、ステレオカメラ112により取得されるべき画像データである。センサデータ305は、位置301のグリッドでセンサ113により取得されるべきセンサデータである。これらの情報は、予め、基準となる初期状態で、搬送ロボット100が、位置301において、ステレオカメラ112、センサ113の各々により取得されたデータである。この画像情報304及びセンサデータ305と、ステレオカメラ112、センサ113の各々が実際に取得したデータとに差異がある場合、その差異のある位置に障害物があると判定する。
【0048】
温度情報306、湿度情報307の各々は、位置301のグリッドで、温度センサ114、湿度センサ115の各々により取得される温度及び湿度である。電波情報308は、位置301で、電波検出器116により取得される値である。この値は任意でよく、例えば、電波強度や、任意の周波数帯域の電波を検出したか否か等である。音情報309は、位置301で、集音器117により取得される音量である。照度情報310は、位置301で、照度センサ118により取得される照度である。鏡面画像情報311は、位置301で、ライトプローブ用カメラ119が鏡面球121を撮影することにより得られる画像データである。風情報312は、位置301で、風センサ120により取得される風速、風量及び風向のうち少なくとも一つである。臭情報313は、位置301で、臭センサ122により取得される、特定の物質の臭いの有無や、臭いの強さ等のうち少なくとも1つである。
【0049】
なお、XY座標が同じであり、Z座標のみが異なるグリッドの環境情報については、同じXY座標の位置において、搬送ロボット100の環境情報取得部123が、雲台103の高さ及び角度を制御する等して、異なるZ座標の各々における環境情報を取得するとよい。
【0050】
上述のように、Z座標における環境情報を有することで、例えば、多段の棚等、同じXY座標において、トレイ170がZ方向に複数置かれる可能性がある場合でも対応することが可能となる。
【0051】
次に、図4に一例を示す環境地図情報143bについて説明する。環境地図情報143bは、主に、トレイ170に関する情報が格納されている。
【0052】
図4において、環境地図情報143bは、複数のレコードを有する。このレコードの各々は、各トレイ170に関する情報を示す。各レコードは、トレイID401、マーク情報402、短距離通信タグID403、長距離通信タグID404等を含む。各レコードのトレイID401、マーク情報402、短距離通信タグID403、長距離通信タグID404等は互いに対応付けられている。
【0053】
トレイID401は、トレイ170の識別情報である。
【0054】
マーク情報402は、対応するトレイID401のトレイ170に付与されている識別領域221の各々の特徴を示す情報である。即ち、マーク情報402は、識別領域221の各々の色や形状等のうち一方又は組合せに関する情報である。本実施形態では、上述のように、トレイ170の各面にマーク202が付与されているので、1つのレコードには5つのマーク情報が含まれている。なお、上述のように、トレイ170は、1つの面からのみ、物を置くこと、物を持っていくことが可能である。ここでは、各マーク情報402のうち最初(図4の左端)に格納されているものが、物を置くこと、物を持っていくことが可能な面に付与されている識別領域221に関する情報であるものとする。
【0055】
短距離通信タグID403は、対応するトレイID401のトレイ170に付与されているRFIDタグ211の保持するタグIDである。長距離通信タグID404は、対応するトレイID401のトレイ170に付与されているRFIDタグ212の保持するタグIDである。
【0056】
なお、上述のように、本実施形態では、1つのトレイ170に5つのマーク202が装置され、各マーク202にRFIDタグ211及びRFIDタグ212が付与されている。短距離通信タグID403、長距離通信タグID404の各々には、5つのタグIDが含まれている。
【0057】
次に、搬送ロボット100の動作例を説明する。
【0058】
まず、図5を参照し、搬送ロボット100が起動され、荷おろしを終了するまでの動作例を説明する。
【0059】
搬送ロボット100が起動され、搬送する物がハンドリング装置101に設置等されると、搬送先取得部121は、ハンドリング装置101に設置等された物の搬送先を取得する(S501)。そのために、搬送先取得部121は、出力装置108のディスプレイ等に、搬送先のトレイ170のトレイIDを受け付けるための搬送先設定画面を表示する。ユーザは、入力装置107を用いて、搬送先設定画面上で荷物の搬送先となるトレイ170を指定する。なお、この搬送先の受付は任意であり、搬送ロボット100の入力装置107が直接操作され入力されるだけでなく、通信装置109を介して入力されてもよい。また、予め、搬送ロボット100の記憶装置105等に記憶されていても良い。
【0060】
なお、以下では搬送先のトレイ170を搬送先トレイと言う。
【0061】
次に、環境地図取得部122は、環境地図情報143を取得する(S502)。そのために、環境地図取得部122は、基地局180にデータ要求を送信する。基地局180は、このデータ要求に応じて、自身の記憶装置(図示略)から読み出した環境地図情報143を搬送ロボット100に送信する。
【0062】
次に、環境情報取得部123は、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111、ステレオカメラ112、センサ113、温度センサ114、湿度センサ115、電波検出器116、集音器117、照度センサ118、ライトプローブ用カメラ119、風センサ120、臭センサ122の各々からの情報を取得する(S503)。そのために、環境情報取得部123は、例えば、雲台103を制御することにより、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111の各々の高さ及び角度等を制御する。そして、環境情報取得部123は、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111の各々の座標系におけるタグID及びその電波強度を取得する。また、環境情報取得部123は、例えば、雲台103を制御することによりステレオカメラ112の高さ及び角度等を制御し、このステレオカメラ112の撮影する画像データを取得する。さらに、環境情報取得部123は、例えば、雲台103を制御することによりセンサ113の高さ及び角度等を制御し、センサ座標系における対象物の位置を取得する。なお、センサ座標系とは、センサ113(搬送ロボット100)を原点とする座標系である。環境情報取得部123は、例えば、雲台103を制御することにより温度センサ114、湿度センサ115の高さ及び角度等を制御し、温度及び湿度を取得する。環境情報取得部123は、例えば、雲台103を制御することにより電波検出器116の高さ及び角度等を制御し、電波強度や電波を検出したか否か等を取得する。環境情報取得部123は、例えば、雲台103を制御することにより集音器117の高さ及び角度等を制御し、音量を取得する。環境情報取得部123は、例えば、雲台103を制御することにより照度センサ118の高さ及び角度等を制御し、照度を取得する。環境情報取得部123は、例えば、雲台103を制御することによりライトプローブ用カメラ119及び鏡面球121各々の高さ及び角度等を制御し、鏡面球121を撮影した画像データを取得する。環境情報取得部123は、例えば、雲台103を制御することにより風センサ120の高さ及び角度等を制御し、風速、風量及び風向のうち少なくとも一つを取得する。環境情報取得部123は、例えば、雲台103を制御することにより臭センサ122の高さ及び角度等を制御し、特定の物質の臭いの有無や、臭いの強さ等を取得する。
【0063】
なお、上述のように、XY座標が同じであり、Z座標のみが異なるグリッドの環境情報については、同じXY座標の位置において、搬送ロボット100の環境情報取得部123が、雲台103の高さ及び角度を制御する等して、異なるZ座標の各々における環境情報を取得するとよい。
【0064】
ここで、図6を参照し、長距離通信タグリーダ111の電波の範囲、及び、センサ113により取得される対象物の位置の情報の例を説明する。
【0065】
長距離通信タグリーダ111の電波の範囲は、範囲601である。なお、短距離通信タグリーダ110の電波の範囲も長距離通信タグリーダ111と同じでもよく、異なってもよいが、ここでは、説明の簡略化のために、長距離通信タグリーダ111の電波範囲は、短距離通信タグリーダ110の電波範囲を含むものとして説明する。
【0066】
また、センサ113は、搬送ロボット100の進行方向に対して例えば±90度の範囲をレーザーで走査することにより、対象物の位置を取得するものとする。ここでは、センサ113は、「XsYs」で表されるセンサ座標系611における対象物の位置を、例えば、対象物621(太線部)のように得る。なお、センサ113の走査範囲はこれに限定するものではなく、走査範囲の角度も任意である。
【0067】
図5において、自己位置取得部124は、搬送ロボット100の位置及び姿勢を取得する(S504)。そのために、自己位置取得部124は、上述のS503の処理で取得した環境情報と、環境地図情報143aのセンサデータ305とを照合する。ここでは、自己位置取得部124は、上述のS503の処理で、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111、ステレオカメラ112のうち少なくとも1つにより、少なくとも1つのトレイ170が取得された場合、環境地図情報143から、このトレイ170の位置を含む所定領域内のセンサデータ305を抽出し、抽出したセンサデータ305とセンサ113の取得したセンサデータとから、搬送ロボット100の現在位置及び姿勢を取得するものとする。
【0068】
具体的な処理として、例えば、タグ検出部126は、上述のS503の処理で、短距離通信タグリーダ110及び長距離通信タグリーダ111のうち少なくとも一方により、タグIDが取得されたか否か判定する。この判定の結果、タグIDが取得されている場合、自己位置取得部124は、環境地図情報143bの各レコードの短距離通信タグID403又は長距離通信タグID404の各々を参照し、取得したタグIDと一致するものを検索する。次に、自己位置取得部124は、検索された短距離通信タグID403又は長距離通信タグID404を含むレコードのトレイID401を抽出する。次に、自己位置取得部124は、環境地図情報143aから、最新時刻の列のうち、抽出したトレイID401と一致するトレイID303を検索し、検索したトレイID303の位置301を抽出する。上述のS503の処理で複数のタグIDを取得している場合、自己位置取得部124は、各タグIDに対しこの処理を行なう。
【0069】
一方、マーク検出部125は、環境地図情報143bの各レコードのマーク情報402等を1つ抽出する。次に、マーク検出部125は、ステレオカメラ112により撮影された画像データに、抽出したマーク情報402と一致する領域が含まれているか否か判定する。ここで、上述のように、各マーク情報402は、複数の識別領域の特徴を示す情報を有する。マーク検出部125は、ステレオカメラ112により撮影された画像データに、少なくとも1つの識別領域の特徴と示す情報と一致する領域が含まれているか否か判定する。一致する領域が含まれている場合、自己位置取得部124は、環境地図情報143bから、抽出したマーク情報402の含まれるレコードのトレイID401を抽出する。次に、自己位置取得部124は、環境地図情報143aから、最新時刻の列のうち、抽出したトレイID401と一致するトレイID303を検索し、検索したトレイID303の位置301を抽出する。マーク検出部125は、この処理を、環境地図情報143bの各レコードのマーク情報402の各々に対し行なう。
【0070】
なお、この画像データの一致判定は従来技術と同じであり、特に限定するものではない。例えば、識別領域221が形状等によりトレイ170の各面を示している場合、マーク情報402の各々をリファレンスとするパターンマッチング等により判定するとよい。
【0071】
自己位置取得部124は、上述の処理で抽出した位置301から、そのタグIDを取得可能な領域を取得する。この領域は任意であるが、例えば、抽出した位置301を中心とする半径「R」の領域でもよい。この半径「R」は任意であるが、例えば、各トレイ170に付与されているRFIDタグ212の電波範囲や、ステレオカメラ112の望遠機能等の撮影性能により定まる値でもよい。自己位置取得部124は、環境地図情報143aから、取得した領域内の各位置301の障害物存在確率302のうち最新のものを抽出する。自己位置取得部124は、抽出した各位置301における障害物存在確率302と、上述のS503の処理で取得されたセンサ113のセンサ座標系におけるセンサデータとを比較して、搬送ロボット100の環境座標系における現在位置及び姿勢を取得する。ここで、障害物存在確率302と、センサ113のセンサ座標系におけるセンサデータとから搬送ロボット100の位置及び姿勢を取得する技術は、特に限定するものではない。例えば、所定の値(例えばゼロ)より大きい値である障害物存在確率302に位置301に対象物が存在するものとし、この対象物とセンサデータとによるパターンマッチング等により実現する。なお、搬送ロボット100の姿勢とは、環境座標系における搬送ロボット100の回転角度である。
【0072】
なお、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111、ステレオカメラ112の各々で取得した情報からトレイ170の位置を取得した場合、いずれか1つで取得した位置から、上述の搬送ロボット100のおよその位置取得を行なってもよく、また、複数を組み合わせてもよい。
【0073】
また、例えば、上述のS503の処理で、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111、ステレオカメラ112の全てでトレイ170を検出していない場合、自己位置取得部124は、前回取得した現在位置及び姿勢を記憶装置105等から抽出し、環境地図情報143aから、前回取得した現在位置を含む所定範囲内の位置301を検索し、検索した位置301の障害物存在確率302のうち最新のものを抽出する。次に、自己位置取得部124は、抽出した各位置301における障害物存在確率302と、上述のS503の処理で取得されたセンサ113のセンサ座標系におけるセンサデータとを比較して、搬送ロボット100の環境座標系における現在位置及び姿勢を取得する。この現在位置及び姿勢を取得する技術は上述と同じである。
【0074】
ここで、図7を参照し、搬送ロボット100が現在位置を取得する具体例を説明する。
【0075】
図7において、地図700は、環境地図情報143aにおいて、所定の値(例えばゼロ)より大きい値である障害物存在確率302の位置301に対象物が存在するとした場合の地図の例である。搬送ロボット100は、地図700で示される領域内の何れかに位置する。地図700には、トレイ170の位置情報が含まれている。図7の例では、複数のトレイ170を区別して説明する場合に、例えば「トレイ170a」等というように符号を付与して説明する。
【0076】
ここで、上述のS503の処理で、搬送ロボット100のセンサ113は、上述の図6に一例を示すデータを取得したものとする。また、搬送ロボット100の長距離通信タグリーダ111は、RFIDタグ212の保持するタグIDを取得したものとする。
【0077】
この場合、自己位置取得部124は、環境地図情報143bの各レコードの長距離通信タグID404の各々を参照し、取得したタグIDと一致するものを検索する。自己位置取得部124は、検索された長距離通信タグID404を含むレコードのトレイID401を抽出する。次に、自己位置取得部124は、環境地図情報143aの最新のトレイID303のうち、抽出したトレイID401と一致するものを検索し、該当するトレイID303の位置301を抽出する。図7の例では、抽出された位置301は、トレイ170aの位置に該当するものとする。自己位置取得部124は、抽出した位置301から、そのタグIDを取得可能な領域を取得する。図7の例では、領域701が、トレイ170aに付与されているRFIDタグ212の保持するタグIDを取得可能な領域であるものとする。この場合、自己位置取得部124は、環境地図情報143aから、領域701内の位置301の障害物存在確率302のうち最新のものを抽出する。自己位置取得部124は、図6に一例を示す対象物621の幾何形状と、抽出した障害物存在確率302及びその位置301により示される対象物との差分を取得し、この差分が最小となる環境座標系におけるセンサ座標系の原点位置及び姿勢を取得し、この原点位置及び姿勢により、搬送ロボット100の現在位置及び姿勢を取得する。具体的には、例えば、図7の例において、自己位置取得部124は、センサ座標系の原点位置及び姿勢が位置711、又は、位置712であると仮定した場合の例を説明する。この場合、自己位置取得部124は、センサ座標系の原点位置及び姿勢が位置711と仮定した場合の対象物621の幾何形状(図7の形状721)と、地図700(障害物存在確率302及びその位置301により示される対象物)との差分を取得する。また、自己位置取得部124は、センサ座標系の原点位置及び姿勢が位置712であると仮定した場合の対象物621の幾何形状(図7の形状722)と、地図700との差分を取得する。自己位置取得部124は、取得した差分の最も小さいもののセンサ座標系の原点位置及び姿勢を選択する。この場合、センサ座標系の原点位置及び姿勢が位置711であると仮定した場合の差分が最も小さいので、自己位置取得部124は、搬送ロボット100の位置及び姿勢が、センサ座標系の原点位置及び姿勢が位置711から定まる位置731であると判定する。
【0078】
なお、図7の場合、搬送ロボット100は、トレイ170に付与されているRFIDタグ212の保持するタグIDが取得可能であるが、ここにトレイ170が無い場合、上述のように、自己位置取得部124は、前回取得した現在位置及び姿勢から取得される範囲内で探索を行なう。この処理は、センサ座標系の原点位置及び姿勢の範囲が、上述では検出されたトレイ170を基準とする所定範囲であったのに対し、前回取得した現在位置を基準とする範囲とする点のみが異なり、他の処理は上述と同じであるので、詳細は省略する。
【0079】
このように、取得したタグIDから、搬送ロボット100の存在する確率の高い領域を検索するため、自己位置推定の高速化が可能となる。また、タグIDが取得できない場合でも、前回取得した現在位置近傍の領域を検索するため、自己位置推定の高速化が可能となる。
【0080】
なお、トレイ170が移動等され、トレイ170の実際の位置と、環境地図情報143上のトレイ170の位置情報とが一致しない場合もある。このような場合、上述のS503の処理で、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111、ステレオカメラ112のうち少なくとも1つによりトレイ170が検出されていても、トレイ170を検出可能な領域から、搬送ロボット100のおよその位置を取得することが不可となる。このような場合に対応するために、自己位置取得部124は、例えば、上述の処理で抽出した複数の位置301の各々の距離が、例えば長距離通信タグの電波範囲以上の距離や、ステレオカメラ112の撮影性能以上の距離等、所定距離以上離れる場合、トレイ170の実際の位置と環境地図情報143上のトレイ170の位置情報とが一致しないと判定する。また、自己位置取得部124は、例えば、上述の処理で抽出した障害物存在確率302及びその位置301により示される対象物と、上述のS503の処理で取得されたセンサ113のデータとのマッチング率が所定値以下等となり、搬送ロボット100の環境座標系における現在位置及び姿勢が取得不可の場合、自己位置取得部124は、トレイ170の実際の位置と環境地図情報143上のトレイ170の位置情報とが一致しないと判定する。トレイ170の実際の位置と環境地図情報143上のトレイ170の位置情報とが一致しないと判定した場合、自己位置取得部124は、上述と同じ処理により、前回の現在位置近傍の位置301の障害物存在確率302のうち最新のものを抽出し、抽出した障害物存在確率302及びその障害物存在確率302に位置301により示される対象物と、上述のS503の処理で取得されたセンサ113のデータとを比較して、搬送ロボット100の環境座標系における現在位置及び姿勢を取得するとよい。
【0081】
図5において、経路探索部129は、上述のS501で取得した搬送先トレイと、上述のS504で取得した搬送ロボット100の現在位置及び姿勢とから、搬送ロボット100の経路を探索する(S505)。経路探索部129が経路を探索する技術は特に限定するものではないが、例えば、最短経路探索法等により取得するとよい。このとき、経路探索部129は、環境地図情報143aの各位置301における障害物存在確率311のうち最新のものを参照して、障害物存在確率311の値が所定値以下である領域を抽出し、抽出した領域内において、現在位置から搬送先トレイまでの移動距離が最短となる経路を求めるとよい。
【0082】
次に、移動制御部130は、上述のS505の処理で探索した経路に沿って移動するように駆動装置102を制御する(S506)。この駆動装置102の制御技術は特に限定するものではなく、従来技術と同じであるので省略する。
【0083】
S506の処理を開始してから所定時間経過した後、又は、所定距離移動した後等に、環境地図取得部122は、環境地図情報143を取得する(S507)。この処理は、上述のS502と同じである。
【0084】
次に、環境情報取得部123は、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111、ステレオカメラ112、センサ113、温度センサ114、湿度センサ115、電波検出器116、集音器117、照度センサ118、ライトプローブ用カメラ119、風センサ120、臭センサ122の各々からの情報を取得する(S508)。この処理は上述のS503と同じである。
【0085】
次に、自己位置取得部124は、搬送ロボット100の位置及び姿勢を取得する(S509)。この処理は上述のS504と同じである。
【0086】
次に、環境情報更新部128は、環境地図情報143を更新する(S510)。そのために、環境情報更新部128は、例えば、環境情報や、障害物の有無、トレイ170の位置等を更新し、更新した環境地図情報143を基地局180に送信する。
【0087】
環境情報を更新するために、環境情報更新部128は、例えば、上述のS508の処理で、温度センサ114、湿度センサ115、電波検出器116、集音器117、照度センサ118、ライトプローブ用カメラ119、風センサ120、臭センサ122の各々の取得した情報を、図3に一例を示す環境地図情報143aの、上述のS508の処理で取得した位置と一致する位置301の、最新時刻の温度情報306、湿度情報307、電波情報308、音情報309、照度情報310、鏡面画像情報311、風情報312、臭情報313等として格納する。
【0088】
また、障害物の有無を更新するために、環境情報更新部128は、例えば、上述のS508の処理でセンサ113の取得したデータと、環境地図情報143aの最新時刻のセンサデータ305との差分を取得して、この差分が所定値以上である場合に、その差分が存在する場所に障害物があると判定し、図3に一例を示す環境地図情報143aの、上述のS508の処理で取得した位置と一致する位置301の、最新時刻の障害物存在確率302を更新する。この具体的な動作例を、図8を参照して説明する。
【0089】
図8において、搬送ロボット100は、地図800で示される領域の何れかに位置する。対象物801(太線部)は、上述のS508の処理でセンサ113の取得したデータである。上述のS509の処理で、搬送ロボット100が、位置811の位置及び姿勢であると判定されたものとする。
【0090】
環境情報更新部128は、対象物801と、地図800との差分を取得する。この場合、環境情報更新部128は、差分821を取得する。環境情報更新部128は、この差分821を障害物と判定し、差分821の位置を取得する。環境情報更新部128は、環境地図情報143aの、取得した位置と一致する位置301の障害物存在確率302のうち最新のものを更新する。
【0091】
ここで、領域831は、位置811の位置及び姿勢の搬送ロボット100のセンサ113に対し、差分821の裏側にあたり、障害物の存在の有無が確認できない。そこで、環境情報更新部128は、障害物の存在の有無が確認できないことを環境地図情報143aに含めていても良い。この場合、環境情報更新部128は、障害物の存在の有無が確認できない領域を特定する。この領域を特定するために、環境情報更新部128は、例えば、図8の例の場合、現在の位置及び姿勢におけるセンサ座標系と、差分821のエッジとを通過する線分841、842(破線)を作成する。環境情報更新部128は、差分821、線分841、842、及び、環境地図情報143aのセンサデータ305から、領域を特定する。環境情報更新部128は、環境地図情報143aの、特定した領域のグリッドの各々と一致する位置301に、障害物の存在の有無が確認できない情報を追加等する。ここで、この情報は任意でよく、例えば、障害物の存在の有無が確認できないことを示すフラグを付与してもよく、また、この位置の障害物存在確率302を更新してもよい。
【0092】
また、トレイ170の位置を更新するために、まず、S508の処理で取得した環境情報から、マーク検出部125、タグ検出部126の各々は、少なくとも1つのトレイ170を検出したか否か判定する。この判定処理は、上述のS504で説明した処理と同じである。この処理により、少なくとも1つのトレイ170が検出されたか否か、及び、検出されたトレイ170のトレイIDが取得される。少なくとも1つのトレイ170を検出している場合、トレイ位置推定部127が、検出されたトレイ170の位置を取得する。次に、環境情報更新部128が、トレイ位置推定部127の取得した結果から、環境地図情報134aのトレイ位置を更新する。
【0093】
まず、トレイ位置推定部127が、トレイ170の位置を取得する動作例を説明する。トレイ位置推定部127は、例えば、短距離通信タグリーダ110の取得したRFIDタグ211の電波強度から、検出されたトレイ170の位置を取得する。即ち、トレイ位置推定部127は、RFIDタグ211の電波強度の最も強い地点に、トレイ170が存在すると判定する。また、トレイ位置推定部127は、例えば、長距離通信タグリーダ111の取得したRFIDタグ212の電波強度から、検出されたトレイ170の位置を取得する。即ち、トレイ位置推定部127は、RFIDタグ212の電波強度の最も強い地点に、トレイ170が存在すると判定する。そのために、例えば、トレイ位置推定部127は、短距離通信タグリーダ110の取得したRFIDタグ211の電波強度、長距離通信タグリーダ111の取得したRFIDタグ212の電波強度の各々の最も強くなる方向を、トレイ170の存在する方向「D1」とする。また、トレイ位置推定部127は、RFIDタグ211、RFIDタグ212の電波強度から、現在位置からトレイ170までの距離「R1」を取得する。トレイ位置推定部127は、搬送先トレイの存在する方向「D1」の線分上であり、かつ、現在位置から距離「R1」乖離した点を、トレイ170の位置とする。
【0094】
また、トレイ位置推定部127は、ステレオカメラ112の取得した画像データにのどの位置に、マーク情報402が含まれるかにより、検出されたトレイ170の位置を取得する。
【0095】
ここで、図9(a)を参照し、画像データから搬送先トレイの位置を特定する動作例を説明する。
【0096】
図9(a)において、画像900は、搬送ロボット100が図8に一例を示す位置811の位置及び姿勢である場合に、ステレオカメラ112の取得する画像データである。このとき、マーク検出部125は、画像900における位置901に、識別領域221を検出したものとする。画像900における領域902に、識別領域221が含まれているので、トレイ位置推定部127は、図示しないテーブル等を参照し、この領域に対応する位置を取得する。この図示しないテーブルには、例えば、環境座標系における位置と、その位置でステレオカメラ112の撮影した画像データを分割した領域と、その領域の各々が環境座標系のどの位置に該当するものかという情報が含まれている。仮に、例えば、画像900の領域903に識別領域221が検出された場合、トレイ位置推定部127は、図8に一例を示す地図800の、差分821近傍が、その識別領域221の付与されているトレイ170の位置であると判定する。
【0097】
なお、ここで、複数のトレイ170間の距離が近く、複数のトレイ170のRFIDタグ212を同時に取得し、トレイ170各々のRFIDタグ212の電波強度を識別できない場合も考えられる。この場合、例えば、複数のトレイ170の各々に近寄り、トレイ170のRFIDタグ211を読み取って、どのトレイ170であるかを検出するとよい。この具体例を、図9(b)を参照して説明する。
【0098】
なお、図9(b)の例では、複数のトレイ170、及び、各トレイ170の各々に付与されているタグIDを区別して説明する場合、例えば「トレイ170a」というように符号を付与して説明する。また、図2を参照して説明したように、トレイ170には、マーク202毎にRFIDタグ211、RFIDタグ212の各々が付与されている。図9(b)の例では、説明の簡略化のために、トレイ170a、トレイ170bの各々には、RFIDタグ211、RFIDタグ212の各々が1つずつ付与されている図を示している。
【0099】
図9(b)において、トレイ170aには、RFIDタグ211a、RFIDタグ212aの各々が付与されている。RFIDタグ211aの電波範囲は、円形の領域911aである。RFIDタグ212aの電波範囲は、円形の領域912aである。
【0100】
一方、トレイ170bには、RFIDタグ211b、RFIDタグ212bの各々が付与されている。RFIDタグ211bの電波範囲は、円形の領域911bである。RFIDタグ212bの電波範囲は、円形の領域912bである。
【0101】
図9(b)の例では、領域912aと領域912bとが重複する。この重複する領域を領域921という。ここで、搬送ロボット100が領域921に位置する場合、RFIDタグ212aの保持する長距離通信用タグIDと、RFIDタグ212bの保持する長距離通信用タグIDとの両方を読み取り、RFIDタグ212aと、RFIDタグ212bとを電波強度により区別することが困難となる場合がある。この場合、搬送ロボット100のトレイ位置推定部127は、RFIDタグ212aと、RFIDタグ212bとを区別することなく、電波強度の強い方向を取得する。この電波強度の強い方向にトレイ170が存在する。次に、移動制御部130は、駆動装置102を制御して、何れか一方のトレイ170のRFIDタグ211と通信可能な領域に移動する。移動した後に、短距離通信タグリーダ110は、RFIDタグ211と通信してタグIDを取得し、取得したタグIDから、上述のS504で説明した処理と同じ処理により、このトレイ170のトレイIDを取得する。また、トレイ位置推定部127は、他方のトレイ170のRFIDタグ211と通信可能な領域に移動して、上述と同じ処理を行なう。
【0102】
なお、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111、ステレオカメラ112の各々で取得した情報からトレイ170の位置を取得した場合、いずれか1つで取得した位置を環境地図情報143に更新してもよく、また、複数を組み合わせてもよい。
【0103】
次に、環境情報更新部128が、トレイ位置推定部127の取得した結果から、環境地図情報134aのトレイ位置を更新する動作例を説明する。例えば、環境情報更新部128は、環境地図情報143aの各トレイID303のうち最新時刻のものを参照し、上述の処理で検出したトレイ170のトレイIDと一致するものを検索し、このトレイID303の位置301を抽出する。次に、環境情報更新部128は、抽出した位置301が、上述の処理で取得されたトレイ170の位置と一致するか否か判定する。この位置一致の判定は、完全一致の場合に一致すると判定してもよく、また、所定範囲内に含まれる場合に一致すると判定してもよい。この判定の結果、一致する場合、環境情報更新部128は、トレイ170の位置更新を行なわない。また、この判定の結果、一致しない場合、環境情報更新部128は、環境地図情報143aの、上述の処理で抽出された位置301のトレイID303の最新時刻のもののうち、検出されたトレイ170のトレイIDと一致する値を削除する。さらに、環境情報更新部128は、環境地図情報143aの位置301のうち、上述の処理で取得された位置と一致するものを検索する。次に、環境情報更新部128は、検索した位置301の最新時刻のトレイID303の値として、上述の処理で検出したトレイ170のトレイIDを追加する。
【0104】
環境情報送信部133は、上述の処理で更新した環境地図情報143を、基地局180に送信する。基地局180は、受信した環境地図情報143を記憶装置(図示略)記憶する。
【0105】
図5において、マーク検出部125は、ステレオカメラ112で搬送先トレイが検出されているか否か判定する(S511)。そのために、マーク検出部125は、例えば、上述のS510の処理で、ステレオカメラ112により撮影された画像データから、少なくとも1つのトレイ170を検出しているか否か判定する。この判定の結果、少なくとも1つのトレイ170を検出している場合、マーク検出部125は、このトレイ170のトレイIDが、上述のS501の処理で受け付けた搬送先トレイのトレイIDと一致するか否か判定する。
【0106】
S511の判定の結果、ステレオカメラ112により搬送先トレイが検出されていない場合、タグ検出部126は、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111のうち少なくとも一方で、搬送先トレイが検出されているか否か判定する(S512)。そのために、タグ検出部126は、例えば、上述のS510の処理で、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111のうち少なくとも一方で、少なくとも1つのトレイ170を検出しているか否か判定する。この判定の結果、少なくとも1つのトレイ170を検出している場合、タグ検出部126は、このトレイ170のトレイIDが、上述のS501の処理で受け付けた搬送先トレイのトレイIDと一致するか否か判定する。
【0107】
上述のS512の判定の結果、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111の両方で搬送先トレイを検出していない場合、自己位置取得部124は、上述のS509の処理で取得した現在位置が目的地と一致するか否か判定する(S513)。この位置の一致判定は、完全一致のみ一致と判定してもよく、また、所定距離以内であれば一致すると判定してもよい。
【0108】
S513の判定の結果、現在位置が目的地と一致していない場合、上述のS506の処理に移行する。
【0109】
S513の判定の結果、現在位置が目的地と一致している場合、経路探索部129は、搬送先トレイを検索するための経路を探索する(S514)。この経路探索は特に限定するものではないが、例えば、過去の搬送先トレイの位置を優先して検索するとよい。そのために、例えば、経路探索部129は、環境地図情報143aを参照し、搬送先トレイのトレイIDと一致するトレイID303の位置301のうち、2番目に新しい時刻の位置301を抽出し、現在位置から抽出した位置301までの経路を探索する。また、例えば、経路探索部129は、所定時間内の各時刻において、搬送先トレイのトレイIDと一致するトレイID303の位置301を抽出し、位置301が同一なものの個数をカウントし、現在位置から、このカウント値が最も大きい位置301までの経路を探索してもよい。また、例えば、経路探索部129は、所定時間内の各時刻において、搬送先トレイのトレイIDと一致するトレイID303の位置301を抽出し、位置301が同一なものの個数をカウントし、現在位置から、このカウント値が大きい順の位置301の各々を経由する経路を探索してもよい。
【0110】
一方、上述のS512の判定の結果、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111のうち少なくとも一方で搬送先トレイを検出している場合、経路探索部129は、ステレオカメラ112で搬送先トレイが検出可能となる経路を探索する(S515)。即ち、この場合、搬送先トレイと搬送ロボット100との間に、何らかの障害物が存在すると考えられるので、この障害物を避けて搬送先トレイに近づくための経路を探索する。この処理は特に限定するものではないが、例えば、経路探索部129は、搬送先トレイの位置を中心とする所定範囲内の位置の各々に移動するための経路を探索する。この範囲は任意でよいが、例えば、長距離通信タグ又は短距離通信タグの電波範囲により定まるものである。このS515の処理の後、上述のS506の処理に移行する。上述の処理を再度行なうことにより、ステレオカメラ112で搬送先トレイが検出可能か否か再度判定するので、ステレオカメラ112で搬送先トレイが検出可能となるまで、新たな経路を探索することとなる。
【0111】
一方、S511の判定の結果、ステレオカメラ112により搬送先トレイが検出されている場合、タグ検出部126は、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111の両方で、搬送先トレイが検出されているか否か判定する(S516)。そのために、タグ検出部126は、例えば、上述のS510の処理で、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111の両方で、同一のトレイ170を少なくとも1つ検出しているか否か判定する。この判定の結果、トレイ170を検出している場合、タグ検出部126は、このトレイ170のトレイIDが、上述のS501の処理で受け付けた搬送先トレイのトレイIDと一致するか否か判定する。
【0112】
S516の判定の結果、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111の両方で搬送先トレイが検出されていない場合、経路探索部129は、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111の両方で搬送先トレイが検出可能となる経路を探索する(S517)。この処理は特に限定するものではないが、例えば、経路探索部129は、搬送先トレイに付与されているRFIDタグ211、RFIDタグ212の各々による電波強度が強くなる位置を取得し、現在位置から取得した位置までの経路を探索する。このS517の処理の後、上述のS506の処理に移行する。上述の処理を再度行なうことにより、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111の両方で搬送先トレイが検出可能か否か再度判定するので、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111の両方で搬送先トレイが検出可能となるまで、新たな経路を探索することとなる。
【0113】
このように、短距離通信用タグをトレイに装置することにより、トレイの位置をより正確に特定できる。また、搬送先として指定されたトレイが置かれているはずの場所に搬送先とは異なるトレイが置かれていた場合でも、短距離通信用タグの保持するタグIDを確認することで、本来の搬送先と異なるトレイに搬送することを防ぐことが可能となる。
【0114】
図5に戻り、S516の判定の結果、短距離通信タグリーダ110、長距離通信タグリーダ111の両方で搬送先トレイが検出されている場合、ハンドリング装置101の保持している荷物を搬送先トレイに降ろす処理を行なう(S518)。
【0115】
まず、荷おろし判定部131は、現在の位置において、搬送先トレイに荷おろしが可能か否か判定する。そのために、荷おろし判定部131は、ステレオカメラ112により撮影された画像データに含まれる識別領域221が、荷おろし可能な面のものであるか否かを判定する。上述のように、本実施形態では、荷おろし可能な面に付与されているものは、図4に一例を示す環境地図情報143bのマーク情報402の左端に格納されているものである。そこで、荷おろし判定部131は、環境地図情報143bから、搬送先トレイのトレイIDと一致するトレイID401を含むレコードを検索し、このレコードに含まれるマーク情報402のうち、左端に格納されているものを抽出する。荷おろし判定部131は、ステレオカメラ112の撮影した画像データの所定領域内に、抽出したマーク情報402と一致するものが含まれているか否かにより、荷おろしが可能か否か判定する。この判定の結果、荷おろし可能な面が含まれている場合、荷おろし判定部131は、搬送先トレイに荷おろしが可能と判定する。この判定の結果、搬送先トレイに荷おろしが不可である場合、荷おろし判定部131は、荷おろし可能と推定される位置を取得する。ここで、荷おろし可能と推定される位置を取得するための処理は任意でよいが、荷おろし判定部131は、例えば、搬送先トレイの位置を中心とする所定範囲内の位置の各々に移動し、この位置の各々で、上述の荷おろし可能か否かの判定を行ない、荷おろし可能と判定されるまで繰り返すとよい。この所定範囲は特に限定するものではないが、例えば、ハンドリング装置101のアームの長さ等の性能等により定まる範囲でもよい。
【0116】
上述の判定により、荷おろし可能と判定された場合、ハンドリング制御部132は、ハンドリング装置101を制御して荷おろしを行なう。この荷おろし処理は特に限定するものではなく、ハンドリング装置101の機構によるものである。荷おろし処理は従来技術と同じである。
【0117】
次に、結果出力部134は、結果を、出力装置108、又は、他装置(図示略)に出力する(S519)。具体的には、結果出力部134は、上述の処理により更新された環境地図情報143における障害物やトレイ位置、搬送ロボット100の現在位置、移動経路等の情報を出力する。
【0118】
ここで、図10を参照し、結果出力部134が、出力装置108等のディスプレイに結果を表示する例を説明する。
【0119】
図10において、画像1001は、搬送ロボット100の移動する領域の地図画像を含む。図10に一例を示すように、結果出力部134は、地図画像に、今回の移動で検出されたトレイ170、障害物、搬送ロボット100の経路、搬送ロボット100の現在の位置等を位置付けたデータを作成し、出力装置108等のディスプレイに出力する。
【0120】
上述の技術によれば、搬送先トレイが予め記憶されている環境地図情報とは異なる位置にある場合でも、トレイ170の各々の識別領域(マーク)及びタグの検出により、検出することが可能となる。また、トレイ170の各々の識別領域(マーク)及びタグを検出することで、搬送先トレイの位置及び姿勢を取得することが可能となり、搬送ロボット100が荷降ろしをするための位置及び姿勢を取得して、自動的に荷降ろしを行うことが可能となる。
【0121】
上述の技術の適用は任意であるが、例えば、工場などでの資材の搬送、オフィスなどでの郵便物の配達などが考えられる。
【0122】
例えば、工場であれば、各工程で使用する部品等を搭載したラック、又は、ラックの棚の各々に、上述のマーク202を付与しておく。この場合、搬送ロボット100が、目的地となるラックに到着すると、それまで保持していた部品をそのラック、又は、そのラックの棚上に置いてもよい。ここで、部品が通い箱等の容器に入れられている場合、搬送ロボット100は、目的地であるラックから目的の容器を下ろした後に、自身の搬送した容器をラックに置き、さらに、降ろした容器を所定の位置に搬送してもよい。
【0123】
また、例えば、オフィス等であれば、各個人の郵便物を受けるトレイに上述のようなマーク202を付与しておく。この場合、搬送ロボット100が、目的地となるトレイに到着すると、それまで保持していた郵便物をそのトレイに置いても良い。
【0124】
また、搬送ロボット100は、移動しながら、温度、湿度、電波検出の有無や電波強度、音量、照度、鏡面球を撮影した画像データ、風量や風向き、特定の物質の臭いの有無や、臭いの強さ等を取得することが可能となる。取得した温度、湿度、風量や風向き等は、例えば、冷暖房器や除湿機、加湿器等の最適な設置位置を取得するためのデータとして用いることが可能である。これにより、冷暖房や除湿、加湿等の効率を向上させることが可能となる。また、取得した電波検出の有無や電波強度は、例えば、無線LANの中継器等の最適な設置位置を取得するためのデータとして用いることが可能となる。また、取得した音量は、例えば、スピーカ装置やマイクロフォン等の最適な設置位置を取得するためのデータとして用いることが可能となる。取得した照度は、例えば、照明の最適な設置位置を取得するためのデータとして用いることが可能となる。取得した鏡面球を撮影した画像データから、例えば、ライトプローブイメージを生成することが可能となる。このライトプローブイメージから、合成映像を生成することが可能となる。取得した特定の物質の臭いの有無や、臭いの強さ等は、空気清浄機や冷暖房器等の最適な設置位置を取得するためのデータとして用いることが可能である。また、取得した特定の物質の臭いの有無や、臭いの強さ等により、ガス漏れ等の異常を検出することが可能となる。
【0125】
また、搬送ロボット100の取得した環境地図情報143を、搬送ロボット100の出力装置108、又は、通信ネットワーク190等に接続されている情報端末(図示略)等に出力しても良い。これにより、ユーザが、トレイ170の位置、地図上の任意の点の画像データやセンサデータ、温度、湿度、電波検出の有無や電波強度、音量、照度、鏡面球を撮影した画像データ、風量や風向き、特定の物質の臭いの有無や、臭いの強さ等を参照できるようにしてもよい。ユーザは、環境情報を参照することで、例えば、障害物存在率の高い地点や異常が検出された地点の状況を画像データにより確認する、トレイの置かれている温度や湿度等の環境を確認する等、地図上の任意の点の状況を判断することが可能となる。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態を説明する。
【0126】
上述の第1の実施形態は、1つの搬送ロボット100が物を搬送等するものであった。以下で説明する第2の実施形態は、複数の搬送ロボット100の各々の物を搬送等し、各搬送ロボット100が互いに環境地図情報143を共有するものである。
【0127】
なお、以下で説明する第2の実施形態では、上述の第1の実施形態と同じものに対しては同じ符号を付与して説明を省略する。
【0128】
まず、図11を参照し、第2の実施形態の構成例を説明する。
【0129】
図11において、複数の搬送ロボット100の各々が、通信ネットワーク190を介して基地局180と接続されている。
【0130】
基地局180は、記憶装置1101を有する。この記憶装置1101は、例えば、HDD、シリコンディスク等の任意の記憶媒体である。記憶装置130は、環境地図情報143を有する。
【0131】
搬送ロボット100の各々の動作例は、上述の第1の実施形態と同じである。即ち、搬送ロボット100は、搬送先トレイを受け付けると、基地局180から環境地図情報143を取得し、取得した環境地図情報143を参照して、搬送先トレイまで移動する。搬送物の荷おろし処理を行なった後に、自身の更新した環境地図情報143を基地局180に送信する。基地局180は、受信した環境地図情報143を記憶装置1101内に上書き等する。
【0132】
この後、上述と同じS507の処理で、他の搬送ロボット100が基地局180から環境地図情報143を取得する場合、この処理で更新されたものを取得する。ここで、基地局180から新たな環境地図情報143を取得した搬送ロボット100は、それ以前の処理で取得した搬送先トレイの位置と、新たな環境地図情報143に含まれる搬送先トレイの位置とが異なる場合、現在位置から、新たな環境地図情報143に含まれる搬送先トレイの位置までの経路を探索し、新たに探索した経路に従い移動するとよい。
【0133】
その場合、上述のS507の処理の後、経路探索部129は、新たな環境地図情報143aの最新時刻のトレイID303のうち、搬送先トレイのトレイIDと一致するものを検索し、該当するトレイID303の位置301を抽出する。次に、経路探索部129は、現在移動している経路の目的地と、抽出した位置301とが一致するか否か判定する。この判定は、完全一致のみ一致と判定してもよく、また、所定範囲内であれば一致と判定してもよい。この判定の結果、一致する場合、上述と同じ処理を行なう。また、この判定の結果、一致しない場合、即ち、搬送先トレイの位置が変わったと判定される場合には、経路探索部129は、上述のS510の処理を行なった後等に、現在位置から上記処理で抽出した位置301までの経路を探索し、上述のS506の処理に移行するとよい。
【0134】
このように、各搬送ロボット100は、他の搬送ロボット100が更新した最新の環境地図情報143における障害物の位置情報とトレイの位置情報を用いて、自身の移動経路の計画が行えるようになる。これにより、効率的な搬送が可能となる。
【0135】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0136】
例えば、上述の実施形態では、トレイ170の1面からのみ、物を置くこと、物を持っていくことが可能であるものとしたが、これに限られるわけではない。複数の面のいずれからでも、物を置くこと、物を持っていくことが可能としてもよい。
【0137】
また、上述の実施形態では、トレイ170のマーク202の各々に短距離通信タグ及び長距離通信タグを装置するものとしたが、これに限られるわけではない。トレイ170に付与される短距離通信タグ及び長距離通信タグの数は任意である。
【0138】
また、上述の実施形態では、搬送ロボット100は、基地局180から環境地図情報143を取得するものとしたが、これに限られるわけではない。例えば、他の搬送ロボット100から環境地図情報143を取得しても良い。即ち、ある搬送ロボット100は、他の搬送ロボット100のうち少なくとも一部に、上述の処理で更新した環境地図情報143を送信する。この環境地図情報143を受信した搬送ロボット100は、自身の環境地図情報143を、受信した環境地図情報143に置き代え等する。この場合の動作例は上述と同じである。
【0139】
また、上述の実施形態では、トレイ170の識別情報と、トレイ170に付与されているRFIDの保持するタグIDとが異なる場合の例を説明したが、このトレイ170の識別情報と、タグIDとが同じであってもよい。このような場合において、異なるトレイ170に付与されている識別領域221(マーク)が同じである場合、ステレオカメラ112のみによる、トレイ170の識別はできない。従って、この場合、環境地図情報143の更新は、トレイID303を空欄等のままにしておくとよい。
【0140】
また、上述の実施形態では、短距離通信タグIDと長距離通信タグIDとの両方を検出した場合に、搬送先トレイを検出したと判定しているが、これに限られるわけではない。カメラにより撮影された画像に搬送先トレイの識別領域221(マーク)が含まれている場合に、搬送先トレイを検出したと判定してもよい。即ち、搬送先トレイを検出したと判定する条件は、短距離通信タグID、長距離通信タグID、識別領域221(マーク)のうち少なくとも1つを検出していればよく、特に限定するものではない。
【0141】
また、上述の実施形態では、搬送ロボットの現在位置を、対象物の位置であるセンサデータと、地図データとを比較することにより取得するものとしたが、現在位置を取得する技術は任意でよい。例えば、搬送ロボットの移動する通路が定まっているのであれば、例えば速度センサや角速度センサ等により取得する搬送ロボットの移動距離及び移動方向と、地図情報等とから、マップマッチ等により搬送ロボットの現在位置を取得しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】第1の実施形態における構成例を示す図である。
【図2】同実施形態において、トレイの構成例を示す図である。
【図3】同実施形態において、環境地図情報の一例を示す図である。
【図4】同実施形態において、環境地図情報の一例を示す図である。
【図5】同実施形態において、搬送ロボットのフロー図である。
【図6】同実施形態において、長距離通信タグリーダの電波範囲、及び、センサの取得するセンサデータを説明する図である。
【図7】同実施形態において、搬送ロボットが現在位置及び姿勢を取得する動作例を説明するための図である。
【図8】同実施形態において、障害物を検出する動作例を説明するための図である。
【図9】同実施形態において、現在位置を取得する動作例を説明するための図である。
【図10】同実施形態において、結果を出力する画面例を示す図である。
【図11】第2の実施形態における構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0143】
100:搬送ロボット、110:短距離通信タグリーダ、111:長距離通信タグリーダ、112:ステレオカメラ、113:センサ、114:温度センサ、115:湿度センサ、116:電波検出器、117:集音器、118:照度センサ、119:ライトプローブ用カメラ、120:風センサ、121:鏡面球、122:臭センサ、101:ハンドリング装置、102:駆動装置、103:雲台、104:演算装置、121:搬送先取得部、122:環境地図取得部、123:環境情報取得部、124:自己位置取得部、125:マーク検出部、126:タグ検出部、127:トレイ位置推定部、128:環境情報更新部、129:経路探索部、130:移動制御部、131:荷おろし判定部、132:ハンドリング制御部、133:環境情報送信部、134:結果出力部、105:記憶装置、141:OS、142:プログラム、143:環境地図情報、106:メインメモリ、107:入力装置、108:出力装置、109:通信装置、180:基地局、1101:記憶装置、170:トレイ、190:通信ネットワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動の目的物まで移動する移動装置であって、
前記目的物を検出する目的物検出手段と、
前記移動装置を移動させる駆動装置と、
前記目的物の位置情報と、地図情報とを含む環境地図情報を記憶する記憶装置と、
前記地図情報から前記移動装置の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
前記地図情報と、前記移動装置の現在位置と、前記目的物の位置とから、前記移動装置の現在位置から前記目的物の位置までの経路を探索する探索手段と、
前記駆動装置を制御して、前記探索された経路に沿って移動させる駆動制御手段と、を有し、
前記探索手段は、前記移動装置の現在位置から前記環境地図情報に含まれる前記目的物の位置情報の位置までの経路を探索し、該探索された経路に沿って移動している間に、前記目的物検出手段により目的物が検出された場合、そのときの前記移動装置の現在位置から該検出された目的物の位置までの経路を新たに探索し、
前記駆動制御手段は、前記新たに探索された経路に沿って移動させること
を特徴とする移動装置。
【請求項2】
請求項1記載の移動装置であって、
前記目的物に付与されているRFIDタグからの信号を読み取るリーダをさらに有し、
前記目的物検出手段は、前記リーダにより信号を読み取った時の電波強度から、前記目的物の位置を検出すること
を特徴とする移動装置。
【請求項3】
請求項1記載の移動装置であって、
前記目的物に付与されているマークを撮影するカメラをさらに有し、
前記目的物検出手段は、前記カメラにより撮影された画像における、前記マークと一致する領域の位置から、前記目的物の位置を検出すること
を特徴とする移動装置。
【請求項4】
請求項1記載の移動装置であって、
前記記憶装置には、前記目的物が過去に存在した位置の位置情報がさらに記憶され、
前記探索手段は、前記環境地図情報に含まれる前記目的物の位置情報の位置に該目的物が無い場合、前記記憶装置から、前記目的物が過去に存在した位置の位置情報を抽出し、前記移動装置の現在位置から該抽出した位置情報の位置までの経路を新たに探索し、
前記駆動制御手段は、前記新たに探索された経路に沿って移動させること
を特徴とする移動装置。
【請求項5】
請求項1記載の移動装置であって、
前記目的物検出手段により取得された前記目的物の位置を、該目的物の新たな位置情報として前記記憶装置に記憶させる更新手段、をさらに有すること
を特徴とする移動装置。
【請求項6】
請求項1記載の移動装置であって、
前記現在位置取得手段が、前記地図情報のうち、前記目的物検出手段により取得された前記目的物の位置を含む所定領域の地図情報を抽出し、前記移動装置の現在位置が前記抽出した地図情報の領域内であるか否か判定し、該判定の結果前記抽出した地図情報の領域内でない場合、他の領域の前記地図情報から、前記移動装置の現在位置を取得すること
を特徴とする移動装置。
【請求項7】
請求項1記載の移動装置であって、
前記目的物に保持している物を置くこと、及び、前記目的物に置いてある前記物を取ることのうち少なくとも一方の可能なハンドリング装置、をさらに有し、
現在位置が前記目的物の位置であると判定された場合、前記ハンドリング装置が、それまで保持していた物を前記目的物に置くこと、又は、前記目的物に置いてある物をとって保持すること
を特徴とする移動装置
【請求項8】
可動の複数の目的物のうち何れか1つ(以下対象目標物)まで移動する移動装置であって、
前記目的物の各々に付与されている、所定範囲内で通信可能な第1のRFIDタグからの信号を読み取る第1のリーダと、
前記目的物の各々に付与されている、前記第1のRFIDタグより広い範囲内で通信可能な第2のRFIDタグからの信号を読み取る第2のリーダと、
前記移動装置を移動させる駆動装置と、
前記目的物毎の、前記第1のRFIDタグの保持する第1のIDと、前記第2のRFIDタグの保持する第2のIDと、位置情報と、地図情報とを含む環境地図情報を記憶する記憶装置と、
前記移動装置の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
前記第1のリーダが前記目標物の前記第1のIDと一致する信号を読み取った時の電波強度、及び、前記第2のリーダが前記目標物の前記第2のIDと一致する信号を読み取った時の電波強度の各々から、前記目標物の位置を検出する目的物検出手段と、
前記取得された現在位置から前記対象目標物の位置までの経路を探索する探索手段と、
前記駆動装置を制御して、前記探索された経路に沿って移動させる駆動制御手段と、を有し、
前記探索手段は、前記移動装置の現在位置から前記環境地図情報に含まれる前記目的物の位置情報の位置までの経路を探索し、該探索された経路に沿って移動している間に、前記目的物検出手段により前記対象目標物の位置が検出された場合、該検出された位置へと移動する経路を探索し、
前記第2のリーダにより前記対象目標物の前記第2のIDを含む複数の前記第2のIDを読み取り、前記目的物検出手段が、該読み取った信号から、前記対象目標物を含む複数の前記目標物の位置を取得した場合、前記探索手段が、前記取得した位置のうち1つへの移動する経路を新たに探索し、前記駆動制御手段が、該新たな経路に従って移動し、
前記新たな経路に従って移動した先の位置で、前記第1のリーダにより読み取られた信号が前記対象目的物の第1のIDと一致しない場合、前記探索手段が、前記取得した位置のうち他の1つへの移動する経路を新たに探索し、前記駆動制御手段が、該新たに探索された経路に沿って移動し、
新たな経路に従って移動した先の位置で、前記第1のリーダにより読み取られた信号が前記対象目的物の第1のIDと一致するまで、経路の探索及び移動を繰り返すこと
を特徴とする移動装置。
【請求項9】
請求項3記載の移動装置であって、
前記目的物には、複数の異なるマークの各々が異なる位置に複数付与されており、
前記環境地図情報には、前記マークの各々の特徴を示す複数のマーク情報がさらに含まれており、
前記目的物検出手段が、前記カメラにより撮影された画像に、前記複数のマーク情報のうちどれと一致する領域が含まれているかにより、前記目的物の姿勢をさらに取得し、
前記探索手段が、前記目的物検出手段により前記目的物の位置及び姿勢が取得された場合、前記目的物に対し所定の向きとなる位置へ移動する経路を探索すること
を特徴とする移動装置。
【請求項10】
請求項5記載の移動装置であって、
周囲の状況を示す環境情報を取得する環境情報取得手段、をさらに有し、
前記記憶装置が、前記目的物の位置情報と、地図情報と、該地図上の各位置における環境情報とを含む環境地図情報を記憶し、
前記更新手段が、前記環境情報取得手段により取得された各位置における環境情報を、該位置の新たな環境情報として前記記憶装置にさらに記憶させること
を特徴とする移動装置。
【請求項11】
可動の目的物まで移動する複数の移動装置の各々が互いに接続されるシステムであって、
前記移動装置の各々は、
可動の目的物まで移動する移動装置であって、
前記目的物を検出する目的物検出手段と、
前記移動装置を移動させる駆動装置と、
前記目的物の位置情報と、地図情報とを含む環境地図情報を記憶する記憶装置と、
前記地図情報から前記移動装置の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
前記地図情報と、前記移動装置の現在位置と、前記目的物の位置とから、前記移動装置の現在位置から前記目的物の位置までの経路を探索する探索手段と、
前記駆動装置を制御して、前記探索された経路に沿って移動させる駆動制御手段と、
更新手段と、
環境地図情報取得手段と、
出力手段と、を有し、
前記探索手段は、前記移動装置の現在位置から前記環境地図情報に含まれる前記目的物の位置情報の位置までの経路を探索し、該探索された経路に沿って移動している間に、前記目的物検出手段により目的物が検出された場合、そのときの前記移動装置の現在位置から該検出された目的物の位置までの経路を新たに探索し、
前記駆動制御手段は、前記新たに探索された経路に沿って移動させ、
前記更新手段は、前記目的物検出手段により取得された前記目的物の位置を、新たな位置情報として前記記憶装置に記憶させ、
前記出力手段は、前記更新した位置情報を含む環境地図情報を他の前記移動装置に出力し、
前記環境地図情報取得手段は、他の前記移動装置から入力された環境地図情報を、新たな環境地図情報として前記記憶装置に記憶させること
を特徴とするシステム。
【請求項12】
可動の目的物まで移動装置を移動させる移動装置移動方法であって、
前記移動装置を移動させる駆動装置と、
前記目的物の位置情報と、地図情報とを含む環境地図情報を記憶する記憶装置と、
演算装置と、
を有する前記移動装置に、
前記演算装置が、
前記移動装置の現在位置から前記環境地図情報に含まれる前記目的物の位置情報の位置までの経路を探索するステップと、
前記駆動装置を制御して、前記探索された経路に沿って移動させるステップと、
前記探索された経路に沿って移動している間に、前記目的物を検出するステップと、
前記目的物が検出された場合に、そのときの前記移動装置の現在位置から該検出された目的物の位置までの経路を新たに探索するステップと、
前記駆動装置を制御して、前記新たに探索された経路に沿って移動させるステップと、を実行させること
を特徴とする移動方法。
【請求項13】
可動の目的物まで移動装置を移動させる移動装置移動プログラムであって、
前記移動装置を移動させる駆動装置と、
前記目的物の位置情報と、地図情報とを含む環境地図情報を記憶する記憶装置と、
演算装置と、
を有する前記移動装置に、
前記演算装置に、
前記移動装置の現在位置から前記環境地図情報に含まれる前記目的物の位置情報の位置までの経路を探索するステップと、
前記駆動装置を制御して、前記探索された経路に沿って移動させるステップと、
前記探索された経路に沿って移動している間に、前記目的物を検出するステップと、
前記目的物が検出された場合に、そのときの前記移動装置の現在位置から該検出された目的物の位置までの経路を新たに探索するステップと、
前記駆動装置を制御して、前記新たに探索された経路に沿って移動させるステップと、を実行させること
を特徴とする移動プログラム。
【請求項1】
可動の目的物まで移動する移動装置であって、
前記目的物を検出する目的物検出手段と、
前記移動装置を移動させる駆動装置と、
前記目的物の位置情報と、地図情報とを含む環境地図情報を記憶する記憶装置と、
前記地図情報から前記移動装置の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
前記地図情報と、前記移動装置の現在位置と、前記目的物の位置とから、前記移動装置の現在位置から前記目的物の位置までの経路を探索する探索手段と、
前記駆動装置を制御して、前記探索された経路に沿って移動させる駆動制御手段と、を有し、
前記探索手段は、前記移動装置の現在位置から前記環境地図情報に含まれる前記目的物の位置情報の位置までの経路を探索し、該探索された経路に沿って移動している間に、前記目的物検出手段により目的物が検出された場合、そのときの前記移動装置の現在位置から該検出された目的物の位置までの経路を新たに探索し、
前記駆動制御手段は、前記新たに探索された経路に沿って移動させること
を特徴とする移動装置。
【請求項2】
請求項1記載の移動装置であって、
前記目的物に付与されているRFIDタグからの信号を読み取るリーダをさらに有し、
前記目的物検出手段は、前記リーダにより信号を読み取った時の電波強度から、前記目的物の位置を検出すること
を特徴とする移動装置。
【請求項3】
請求項1記載の移動装置であって、
前記目的物に付与されているマークを撮影するカメラをさらに有し、
前記目的物検出手段は、前記カメラにより撮影された画像における、前記マークと一致する領域の位置から、前記目的物の位置を検出すること
を特徴とする移動装置。
【請求項4】
請求項1記載の移動装置であって、
前記記憶装置には、前記目的物が過去に存在した位置の位置情報がさらに記憶され、
前記探索手段は、前記環境地図情報に含まれる前記目的物の位置情報の位置に該目的物が無い場合、前記記憶装置から、前記目的物が過去に存在した位置の位置情報を抽出し、前記移動装置の現在位置から該抽出した位置情報の位置までの経路を新たに探索し、
前記駆動制御手段は、前記新たに探索された経路に沿って移動させること
を特徴とする移動装置。
【請求項5】
請求項1記載の移動装置であって、
前記目的物検出手段により取得された前記目的物の位置を、該目的物の新たな位置情報として前記記憶装置に記憶させる更新手段、をさらに有すること
を特徴とする移動装置。
【請求項6】
請求項1記載の移動装置であって、
前記現在位置取得手段が、前記地図情報のうち、前記目的物検出手段により取得された前記目的物の位置を含む所定領域の地図情報を抽出し、前記移動装置の現在位置が前記抽出した地図情報の領域内であるか否か判定し、該判定の結果前記抽出した地図情報の領域内でない場合、他の領域の前記地図情報から、前記移動装置の現在位置を取得すること
を特徴とする移動装置。
【請求項7】
請求項1記載の移動装置であって、
前記目的物に保持している物を置くこと、及び、前記目的物に置いてある前記物を取ることのうち少なくとも一方の可能なハンドリング装置、をさらに有し、
現在位置が前記目的物の位置であると判定された場合、前記ハンドリング装置が、それまで保持していた物を前記目的物に置くこと、又は、前記目的物に置いてある物をとって保持すること
を特徴とする移動装置
【請求項8】
可動の複数の目的物のうち何れか1つ(以下対象目標物)まで移動する移動装置であって、
前記目的物の各々に付与されている、所定範囲内で通信可能な第1のRFIDタグからの信号を読み取る第1のリーダと、
前記目的物の各々に付与されている、前記第1のRFIDタグより広い範囲内で通信可能な第2のRFIDタグからの信号を読み取る第2のリーダと、
前記移動装置を移動させる駆動装置と、
前記目的物毎の、前記第1のRFIDタグの保持する第1のIDと、前記第2のRFIDタグの保持する第2のIDと、位置情報と、地図情報とを含む環境地図情報を記憶する記憶装置と、
前記移動装置の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
前記第1のリーダが前記目標物の前記第1のIDと一致する信号を読み取った時の電波強度、及び、前記第2のリーダが前記目標物の前記第2のIDと一致する信号を読み取った時の電波強度の各々から、前記目標物の位置を検出する目的物検出手段と、
前記取得された現在位置から前記対象目標物の位置までの経路を探索する探索手段と、
前記駆動装置を制御して、前記探索された経路に沿って移動させる駆動制御手段と、を有し、
前記探索手段は、前記移動装置の現在位置から前記環境地図情報に含まれる前記目的物の位置情報の位置までの経路を探索し、該探索された経路に沿って移動している間に、前記目的物検出手段により前記対象目標物の位置が検出された場合、該検出された位置へと移動する経路を探索し、
前記第2のリーダにより前記対象目標物の前記第2のIDを含む複数の前記第2のIDを読み取り、前記目的物検出手段が、該読み取った信号から、前記対象目標物を含む複数の前記目標物の位置を取得した場合、前記探索手段が、前記取得した位置のうち1つへの移動する経路を新たに探索し、前記駆動制御手段が、該新たな経路に従って移動し、
前記新たな経路に従って移動した先の位置で、前記第1のリーダにより読み取られた信号が前記対象目的物の第1のIDと一致しない場合、前記探索手段が、前記取得した位置のうち他の1つへの移動する経路を新たに探索し、前記駆動制御手段が、該新たに探索された経路に沿って移動し、
新たな経路に従って移動した先の位置で、前記第1のリーダにより読み取られた信号が前記対象目的物の第1のIDと一致するまで、経路の探索及び移動を繰り返すこと
を特徴とする移動装置。
【請求項9】
請求項3記載の移動装置であって、
前記目的物には、複数の異なるマークの各々が異なる位置に複数付与されており、
前記環境地図情報には、前記マークの各々の特徴を示す複数のマーク情報がさらに含まれており、
前記目的物検出手段が、前記カメラにより撮影された画像に、前記複数のマーク情報のうちどれと一致する領域が含まれているかにより、前記目的物の姿勢をさらに取得し、
前記探索手段が、前記目的物検出手段により前記目的物の位置及び姿勢が取得された場合、前記目的物に対し所定の向きとなる位置へ移動する経路を探索すること
を特徴とする移動装置。
【請求項10】
請求項5記載の移動装置であって、
周囲の状況を示す環境情報を取得する環境情報取得手段、をさらに有し、
前記記憶装置が、前記目的物の位置情報と、地図情報と、該地図上の各位置における環境情報とを含む環境地図情報を記憶し、
前記更新手段が、前記環境情報取得手段により取得された各位置における環境情報を、該位置の新たな環境情報として前記記憶装置にさらに記憶させること
を特徴とする移動装置。
【請求項11】
可動の目的物まで移動する複数の移動装置の各々が互いに接続されるシステムであって、
前記移動装置の各々は、
可動の目的物まで移動する移動装置であって、
前記目的物を検出する目的物検出手段と、
前記移動装置を移動させる駆動装置と、
前記目的物の位置情報と、地図情報とを含む環境地図情報を記憶する記憶装置と、
前記地図情報から前記移動装置の現在位置を取得する現在位置取得手段と、
前記地図情報と、前記移動装置の現在位置と、前記目的物の位置とから、前記移動装置の現在位置から前記目的物の位置までの経路を探索する探索手段と、
前記駆動装置を制御して、前記探索された経路に沿って移動させる駆動制御手段と、
更新手段と、
環境地図情報取得手段と、
出力手段と、を有し、
前記探索手段は、前記移動装置の現在位置から前記環境地図情報に含まれる前記目的物の位置情報の位置までの経路を探索し、該探索された経路に沿って移動している間に、前記目的物検出手段により目的物が検出された場合、そのときの前記移動装置の現在位置から該検出された目的物の位置までの経路を新たに探索し、
前記駆動制御手段は、前記新たに探索された経路に沿って移動させ、
前記更新手段は、前記目的物検出手段により取得された前記目的物の位置を、新たな位置情報として前記記憶装置に記憶させ、
前記出力手段は、前記更新した位置情報を含む環境地図情報を他の前記移動装置に出力し、
前記環境地図情報取得手段は、他の前記移動装置から入力された環境地図情報を、新たな環境地図情報として前記記憶装置に記憶させること
を特徴とするシステム。
【請求項12】
可動の目的物まで移動装置を移動させる移動装置移動方法であって、
前記移動装置を移動させる駆動装置と、
前記目的物の位置情報と、地図情報とを含む環境地図情報を記憶する記憶装置と、
演算装置と、
を有する前記移動装置に、
前記演算装置が、
前記移動装置の現在位置から前記環境地図情報に含まれる前記目的物の位置情報の位置までの経路を探索するステップと、
前記駆動装置を制御して、前記探索された経路に沿って移動させるステップと、
前記探索された経路に沿って移動している間に、前記目的物を検出するステップと、
前記目的物が検出された場合に、そのときの前記移動装置の現在位置から該検出された目的物の位置までの経路を新たに探索するステップと、
前記駆動装置を制御して、前記新たに探索された経路に沿って移動させるステップと、を実行させること
を特徴とする移動方法。
【請求項13】
可動の目的物まで移動装置を移動させる移動装置移動プログラムであって、
前記移動装置を移動させる駆動装置と、
前記目的物の位置情報と、地図情報とを含む環境地図情報を記憶する記憶装置と、
演算装置と、
を有する前記移動装置に、
前記演算装置に、
前記移動装置の現在位置から前記環境地図情報に含まれる前記目的物の位置情報の位置までの経路を探索するステップと、
前記駆動装置を制御して、前記探索された経路に沿って移動させるステップと、
前記探索された経路に沿って移動している間に、前記目的物を検出するステップと、
前記目的物が検出された場合に、そのときの前記移動装置の現在位置から該検出された目的物の位置までの経路を新たに探索するステップと、
前記駆動装置を制御して、前記新たに探索された経路に沿って移動させるステップと、を実行させること
を特徴とする移動プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−12923(P2009−12923A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176259(P2007−176259)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]