説明

移動通信端末機の送信電力制御装置および制御方法

【課題】温度変化によって可変する送信信号の電力レベルを制御するために、電力増幅器の温度別の出力特性を検出し、前記移動通信端末機の温度補償値を算出することで、送信信号の誤差を減らし、前記移動通信端末機の構成回路が可変しても温度補償値を算出することが容易な温度別の電力増幅器の出力特性による移動通信端末機の温度補償方法を提供する。
【解決手段】電力増幅器の温度別の出力特性を検出し、前記電力増幅器の温度別の出力特性によって前記移動通信端末機の温度別の最大出力偏差を算出する過程と、前記移動通信端末機の温度別の最大出力偏差によって自動利得制御信号の偏差を算出して、温度補償値を算出する過程と、前記算出された温度補償値を適用して、補償された信号が前記移動通信端末機から送出されるようにする過程と、を含んでなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温度別の電力増幅器の出力特性による移動通信端末機の温度補償方法に関するもので、特に、電力増幅器の温度別の出力特性を検出して移動通信端末機の温度補償値を算出し、温度変化によって送信信号の電力レベルを可変して制御する送信電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に移動通信端末機は、該当サービス領域の基地局と無線通信方式によって接続して移動しながら通信状態を維持するようにし、何時何処でも相手と直ぐに通信ができるようにする。移動通信端末機は、運用の特性上、前記基地局と無線接続された状態を維持するが、これは前記移動通信端末機の移動方向を確認するためのもので、前記基地局との距離を確認するためのものであって、通信の感度を一定に維持するために、移動通信端末機の電力レベルは一定のレベルに維持されなければならない。
【0003】
従来技術に係る移動通信端末機は、基地局からの距離変化によって送信信号の電力レベルを制御する。このような移動通信端末機の送信電力の制御は、前記移動通信端末機の構成回路、温度変化、用いられる周波数の帯域によって非線形的な特性を現す。
【0004】
この際、前記移動通信端末機は、温度変化による補償値を算出して、補償された送信信号が特定の電力レベルで送出されるようにし、温度補償に対する値を保存して、送信電力の制御に用いられている。
【0005】
前記移動通信端末機は、上記のような送信信号の電力レベルを制御するために、RF送信補償、温度補償などを行う。
【0006】
前記移動通信端末機は、通信モジュールがRF受信信号のレベルを検出して、RF信号の送信レベルを算出する。その後、これに相応する送信用自動利得制御信号(AGG)を制御することで、RF信号の出力をアンテナに伝達する。これを端末機出力特性という。
【0007】
RF信号は通信モジュールから発生して、出力端のアンテナに伝達されるまで内部の回路特性によって変化する。これを補償するために、前記移動通信端末機は、出力自動利得制御信号(AGG)を補償する。これを端末機のRF送信補償といい、この際の値をRF送信補償値という。
【0008】
RF受信信号のレベルを検出して、RF信号の送信レベルを算出した後、これに相応する送信用の自動利得制御信号(AGG)を制御する。この際、温度変化による最大出力の差の分だけ温度別の補償値をRF送信最大出力および自動利得制御信号に一律的に加減して、RF送信をすることを温度補償とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来技術による温度補償方法は、所定のサンプル端末機に対して温度変化(通常、−30°ないし60°)による補償値を数回の試行錯誤を通じて一々探さなければならない。したがって、補償値を算出するのに多くの時間および努力が必要となるという問題点がある。
【0010】
また、前記温度別の補償値を平均した値を前記移動通信端末機の送信信号に対する補償値に一括適用する。そればかりでなく、温度による特性の変化が大きい電力増幅器の出力特性を考慮しないので、送信信号の出力誤差が大きいという問題点もある。
【0011】
このような補償方法は前記移動通信端末機の構成回路またはPCBが変更される場合、最初から全ての値を再算出して適用しなければならないので、多くの時間および努力が必要となるという問題がある。
【0012】
本発明は上記のような問題点を解決するために案出されたもので、温度変化によって可変する送信信号の電力レベルを制御するために、電力増幅器の温度別の出力特性を検出し、前記移動通信端末機の温度補償値を算出することで、送信信号の誤差を減らし、前記移動通信端末機の構成回路が可変しても温度補償値を算出することが容易な温度別の電力増幅器の出力特性による移動通信端末機の温度補償方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための本発明に係る温度別の電力増幅器の出力特性による移動通信端末機の温度補償方法は、電力増幅器の温度別の出力特性を検出し、前記電力増幅器の温度別の出力特性によって前記移動通信端末機の温度別の最大出力偏差を算出する過程と、前記移動通信端末機の温度別の最大出力偏差によって自動利得制御信号の偏差を算出して、温度補償値を算出する過程と、前記算出された温度補償値を適用して、補償された信号が前記移動通信端末機から送出されるようにする過程と、を含んでなることを特徴とする。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明は、例えば、以下の手段を提供する。
(項目1)
算出された送信レベルに相応する利得特性で無線信号を増幅する電力増幅器と、
前記電力増幅器の利得を制御するための自動利得制御信号を生成する自動利得制御部と、
前記電力増幅器の温度変化による移動通信端末機の最大出力偏差と、自動利得制御信号の偏差とを算出し、それによる温度別の補償値を用いて前記自動利得制御信号を補償する温度補償部と、
前記電力増幅器の温度変化を感知し、温度変化による前記電力増幅器の出力特性を検出して、前記自動利得制御部および温度補償部を制御する制御部と、
を含んでなる移動通信端末機の送信電力制御装置。
(項目2)
前記電力増幅器の温度別の出力特性、および温度別の移動通信端末機の最大出力偏差の情報を保存しているメモリがさらに構成されたことを特徴とする項目1に記載の移動通信端末機の送信電力制御装置。
(項目3)
温度変化による電力増幅器の出力特性と、温度別の最大出力の誤差値を反映して、出力自動利得制御信号を補償することを特徴とする移動通信端末機の送信電力制御方法。
(項目4)
−30°ないし60°の温度範囲を8段階に区分して、それぞれの温度段階別に温度補償値を算出することを特徴とする項目3に記載の移動通信端末機の送信電力制御方法。
(項目5)
電力増幅器の温度別の出力特性(Ft(1〜8))を検出する第1過程と、
前記検出結果によって移動通信端末機の温度別の最大出力偏差(Pdt(1〜8))を算出する第2過程と、
移動通信端末機の温度別の最大出力偏差による自動利得制御信号の偏差(Adt(1〜8))を求める第3過程と、
前記自動利得制御信号の偏差による温度補償値(A(1〜8))を算出する第4過程と、
温度補償値(A(1〜8))が適用された自動利得制御信号によって前記電力増幅器を制御して、無線信号を増幅して送出する第5過程と、
を含んでなることを特徴とする項目4に記載の移動通信端末機の送信電力制御方法。
(項目6)
移動通信端末機の構成回路および/またはPCBが変更される場合、前記第3過程に帰還することを特徴とする項目5に記載の移動通信端末機の送信電力制御方法。
(項目7)
前記第1過程は各温度で自動利得制御信号と出力との関係を測定して算出することを特徴とする項目5に記載の移動通信端末機の送信電力制御方法。
(項目8)
前記第2過程は、
常温での出力値(Ptm)を算出する第1段階と、
温度別の移動通信端末機の出力値(Pt(1〜8))を検出する第2段階と、
前記常温での出力値(Ptm)から温度別の移動通信端末機の出力値(Pt(1〜8))を減算して、温度変化による移動通信端末機の最大出力偏差(Pdt)を算出する第3段階と、
を含んでなることを特徴とする項目5に記載の移動通信端末機の送信電力制御方法。
(項目9)
前記第1段階において、前記常温での出力値(Ptm)は、常温での最大出力自動利得制御信号値(Atm)を適用した状態での電力増幅器の出力特性(Ftm)を反映したことを特徴とする項目8に記載の移動通信端末機の送信電力制御方法。
(項目10)
前記第3過程は、
前記移動通信端末機の温度別の最大出力偏差(Pdt(1〜8))と、温度別の電力増幅器の出力特性(Ft(1〜8))を反映して、自動利得制御信号の偏差(Adt(1〜8))を算出することを特徴とする項目5に記載の移動通信端末機の送信電力制御方法。
(項目11)
前記第4過程は、前記温度別の自動利得制御信号の偏差(Adt(1〜8))と、常温の自動利得制御信号値(Atm)を加算して、温度別の自動利得制御信号の補償値(A1〜8)を算出することを特徴とする項目5に記載の移動通信端末機の送信電力制御方法。
(項目12)
前記第5過程は、温度別の温度補償値(A(1〜8))を自動利得制御信号に適用し、前記補償された自動利得制御信号によって電力増幅器が信号を増幅させることで、送信信号を補償することを特徴とする項目5に記載の移動通信端末機の送信電力制御方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る温度別の電力増幅器の出力特性による移動通信端末機の送信電力制御方法は、温度変化による送信信号の誤差を補償して、送信信号の電力レベルの制御が容易となる。これは、温度変化によって出力値が大きく可変する電力増幅器の温度別の出力特性を考慮して、自動利得制御信号の温度補償値を算出するからである。
【0016】
また、前記移動通信端末機の構成回路、またはPCBなどの素材の変更時に温度補償値の再算出が容易であり、温度補償値の算出時に必要な時間および努力、費用を節減できるという効果がある。
【0017】
以上、本発明に係る温度別の電力増幅器の出力特性による移動通信端末機の温度補償方法を例示した図面を参照して説明したが、本発明は明細書に記載された実施例と図面によって限定されるものではなく、技術思想が保護される範囲内で応用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
本発明による電力増幅器の出力特性によって温度補償値を算出する移動通信端末機は、図1に示したように、入力整合部1を経て供給される信号を利得特性で増幅する電力増幅器2と、前記電力増幅器2の利得を制御するための自動利得制御信号を生成する自動利得制御部20と、前記電力増幅器2の温度変化によって温度別の補償値を算出して、前記自動利得制御信号を補償する温度補償部30とを含んで構成されている。
【0020】
また、前記移動通信端末機は、外部に送出される信号を生成して前記入力整合部1に伝達し、前記電力増幅器2によって増幅された送信信号が出力整合部3を介して整合され、送受信によるデュープレックサ4を介してアンテナ5に送出されるようにし、前記自動利得制御部20および温度補償部30を制御するマイクロプロセッサ10を含んで構成されている。
【0021】
前記マイクロプロセッサ10は、温度センサー(図示せず)を介して前記電力増幅器2の温度変化を感知し、温度変化による前記電力増幅器2の出力特性を検出する。この際、前記マイクロプロセッサ10は、−30°ないし60°の温度範囲を8段階に区分して、それぞれの段階による出力特性を検出する。
【0022】
ここで、前記電力増幅器2は、図2に示したように、温度による出力特性が可変する。
この際、グラフaは、−30°の低温での前記電力増幅器2の入力電流による出力特性であり、グラフbは、25°の常温での前記電力増幅器2の入力電流による出力特性であり、グラフcは、85°の高温での前記電力増幅器2の出力特性を示すものである。
【0023】
例えば、前記電力増幅器2は、入力電流が100mAである場合、25°のグラフbと−30°のグラフa、85°のグラフcを比較すると、常温対比−30°で約1.5dBm、常温対比85°で約1dBmの出力差が現れる。
【0024】
この際、前記マイクロプロセッサ10は、前記図2のような前記電力増幅器2の各温度段階による温度別の出力特性を検出して、温度によって出力特性が可変することを補償できるように、前記温度補償部20へ伝達する。
【0025】
また、前記マイクロプロセッサ10は、それぞれの前記電力増幅器2および移動通信端末機の常温での出力特性と、前記自動利得制御部20による常温での自動利得制御信号を検出する。前記自動利得制御部20は、前記移動通信端末機の位置、使用周波数の帯域、温度などによって送出する信号のレベルを算出し、それによって信号が増幅するように前記電力増幅器2へ自動利得制御信号を伝達する。
【0026】
前記温度補償部30は、前記マイクロプロセッサ10から伝達された出力特性値によってそれぞれの温度レベルによる温度補償値を算出する。
【0027】
ここで、前記温度補償部30は、前記マイクロプロセッサ10によってそれぞれの温度段階による特性値を分析し、それに基づき温度別の前記移動通信端末機の最大出力偏差、および自動利得制御信号の偏差を算出し、ここから各温度別の温度補償値を算出する。
【0028】
前記温度補償部30は、算出された温度補償値を前記自動利得制御部20へ伝達する。
【0029】
自動利得制御部20は、温度補償値を自動利得制御信号に適用して、補償された自動利得制御信号を前記電力増幅器2へ伝達する。したがって、補償された送信信号が前記アンテナ5を介して送出されるようにする。
【0030】
本発明に係る前記移動通信端末機は、電力増幅器2の温度変化によって出力特性が可変することを考慮して、温度補償値を算出する。したがって、アンテナを介して送出される信号の誤差を減少させることができる。また、移動通信端末機の構成回路が可変する場合のように温度補償値を再算出しなければならない場合、前記温度補償部30の偏差算出のみでも温度補償値を容易に算出することができる。
【0031】
上記のように構成された本発明の動作を以下で説明する。図3は、本発明に係る移動通信端末機の温度補償方法を示す順序図である。
【0032】
以下で用いられる記号の定義は次のとおりである。
【0033】
Atm:常温での最大出力自動利得制御信号値
Adt:温度別の出力差から発生する自動利得制御信号の偏差値
A(1〜8):温度別の出力自動利得制御信号の補償値
Ft(1〜8)():温度別の出力特性
Ftm():常温での出力特性
Pdt(1〜8):温度別の出力誤差値(dBm)
Pt(1〜8):温度別の出力値(dBm)
Ptm:常温での出力
電力増幅器の各温度段階による温度別の出力特性を検出し、前記電力増幅器の常温での出力特性を検出する。この際、同一の出力条件で温度のみを可変させ、前記電力増幅器の特性(Ft(1〜8))を検出する。
【0034】
この際、−30°ないし60°の温度範囲を8段階に区分して、各温度段階による温度別の前記電力増幅器の出力特性を検出し、検出された前記電力増幅器の温度別の出力特性はメモリに別途に記憶され、以後の温度補償値を再算出する場合に再び活用することができる。
【0035】
この際、前記電力増幅器の出力特性は、出力値による数学式P=F(A)を用いて検出することができる。ここで、Pは、端末機の出力、Fは、電力増幅器の出力特性、Aは、自動利得信号である。即ち、温度別の前記電力増幅器の出力特性、および常温の前記電力増幅器の出力特性は、測定された移動通信端末機の出力値と、前記移動通信端末機の自動利得制御信号値を測定して、それによって前記数学式を逆に用いて検出する(S1)。
【0036】
前記電力増幅器によって増幅され、アンテナを介して送出される送信信号に従って前記移動通信端末機の最大出力検出(P)、およびそれによる偏差(Pdt)を算出する。ここで、上記のように検出された前記電力増幅器の出力特性(Ft)によって前記移動通信端末機の温度別の最大出力偏差(Pdt(1〜8))を算出することができ、この時には補償されていない値(Atm)を用いて算出する。
【0037】
これを数学式で表すと次のとおりである。
【0038】
Pt(1〜8)=Ftm(Atm)
Ptm=Ftm(Atm)
Pdt(1〜8)=Ptm−Pt(1〜8)
前記移動通信端末機の温度別の最大出力は、前記電力増幅器の温度別の出力特性に自動利得制御信号を用いて検出することができる。電力増幅器の利得を制御する自動利得制御信号の常温での値を検出する。また、前記電力増幅器の常温での出力特性値と、前記自動利得制御信号の常温での値を用いて、前記移動通信端末機の常温での最大出力値を検出する。
【0039】
検出された常温での前記移動通信端末機の最大出力から前記温度別の移動通信端末機の最大出力を減算して、前記移動通信端末機の温度別の最大出力偏差を算出する。この際、前記移動通信端末機の温度別の最大出力偏差は、それぞれ補償されない値を用いて算出する(S2)。
【0040】
算出された前記移動通信端末機の最大出力偏差(Pdt(1〜8))を逆に用いて、自動利得制御信号の温度別の偏差(Adt(1〜8))を算出する。
【0041】
これを数学式で表すと次のとおりである。
【0042】
Pdt(1〜8)=Ft(1〜8)(Adt(1〜8))である。したがって、
Adt(1〜8)=Ft(1〜8)−1(Pdt(1〜8))
即ち、前記電力増幅器の温度別の出力特性の逆関数と、前記移動通信端末機の最大出力の偏差を用いて、前記自動利得制御信号の温度別の偏差を算出する(S3)。
【0043】
前記温度別の自動利得制御信号の偏差値と、常温での前記自動利得制御信号を加算して、前記自動利得制御信号の温度補償値を算出する。上記のように算出された自動利得制御信号の温度補償値を自動利得制御信号に加算して、送信信号を補償する。即ち、A(1〜8)=Atm+Adt(1〜8)の式のように算出される(S4)。
【0044】
上記のように算出された温度別の補償値をそれぞれの温度による自動利得制御信号に適用して、送出される信号を制御することができる(S5)。
【0045】
一方、移動通信端末機の製造時に前記移動通信端末機の構成回路、または用いられる素子、またはPCBなどが可変する場合、それに基づき温度補償値を再算出する(S6)。
【0046】
前記移動通信端末機の回路構成、および材質可変などによる温度補償値の再算出は、それぞれの移動通信端末機による温度補償値を算出することではなく、既保存された前記電力増幅器の温度別の出力特性、および前記移動通信端末機の最大出力偏差を用いて、前記移動通信端末機の自動利得制御信号の偏差を再算出する。
【0047】
上記のように自動利得制御信号の偏差を算出し、それによる補償値を算出する一連の上記の過程を繰り返して行うことで、前記移動通信端末機の新たな温度補償値を算出することができる(S3ないしS5)。
【0048】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。
【0049】
温度変化によって可変する送信信号の電力レベルを制御するために、電力増幅器の温度別の出力特性を検出し、前記移動通信端末機の温度補償値を算出することで、送信信号の誤差を減らし、前記移動通信端末機の構成回路が可変しても温度補償値を算出することが容易な温度別の電力増幅器の出力特性による移動通信端末機の温度補償方法を提供する。
【0050】
電力増幅器の温度別の出力特性を検出し、前記電力増幅器の温度別の出力特性によって前記移動通信端末機の温度別の最大出力偏差を算出する過程と、前記移動通信端末機の温度別の最大出力偏差によって自動利得制御信号の偏差を算出して、温度補償値を算出する過程と、前記算出された温度補償値を適用して、補償された信号が前記移動通信端末機から送出されるようにする過程と、を含んでなることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明による移動通信端末機の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明による移動通信端末機の電力増幅器の出力特性を示すグラフである。
【図3】本発明による移動通信端末機の温度補償方法を示す順序図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
算出された送信レベルに相応する利得特性で無線信号を増幅する電力増幅器と、
前記電力増幅器の利得を制御するための自動利得制御信号を生成する自動利得制御部と、
前記電力増幅器の温度変化による移動通信端末機の最大出力偏差と、自動利得制御信号の偏差とを算出し、それによる温度別の補償値を用いて前記自動利得制御信号を補償する温度補償部と、
前記電力増幅器の温度変化を感知し、温度変化による前記電力増幅器の出力特性を検出して、前記自動利得制御部および温度補償部を制御する制御部と、
を含んでなる移動通信端末機の送信電力制御装置。
【請求項2】
前記電力増幅器の温度別の出力特性、および温度別の移動通信端末機の最大出力偏差の情報を保存しているメモリがさらに構成されたことを特徴とする請求項1に記載の移動通信端末機の送信電力制御装置。
【請求項3】
温度変化による電力増幅器の出力特性と、温度別の最大出力の誤差値を反映して、出力自動利得制御信号を補償することを特徴とする移動通信端末機の送信電力制御方法。
【請求項4】
−30°ないし60°の温度範囲を8段階に区分して、それぞれの温度段階別に温度補償値を算出することを特徴とする請求項3に記載の移動通信端末機の送信電力制御方法。
【請求項5】
電力増幅器の温度別の出力特性(Ft(1〜8))を検出する第1過程と、
前記検出結果によって移動通信端末機の温度別の最大出力偏差(Pdt(1〜8))を算出する第2過程と、
移動通信端末機の温度別の最大出力偏差による自動利得制御信号の偏差(Adt(1〜8))を求める第3過程と、
前記自動利得制御信号の偏差による温度補償値(A(1〜8))を算出する第4過程と、
温度補償値(A(1〜8))が適用された自動利得制御信号によって前記電力増幅器を制御して、無線信号を増幅して送出する第5過程と、
を含んでなることを特徴とする請求項4に記載の移動通信端末機の送信電力制御方法。
【請求項6】
移動通信端末機の構成回路および/またはPCBが変更される場合、前記第3過程に帰還することを特徴とする請求項5に記載の移動通信端末機の送信電力制御方法。
【請求項7】
前記第1過程は各温度で自動利得制御信号と出力との関係を測定して算出することを特徴とする請求項5に記載の移動通信端末機の送信電力制御方法。
【請求項8】
前記第2過程は、
常温での出力値(Ptm)を算出する第1段階と、
温度別の移動通信端末機の出力値(Pt(1〜8))を検出する第2段階と、
前記常温での出力値(Ptm)から温度別の移動通信端末機の出力値(Pt(1〜8))を減算して、温度変化による移動通信端末機の最大出力偏差(Pdt)を算出する第3段階と、
を含んでなることを特徴とする請求項5に記載の移動通信端末機の送信電力制御方法。
【請求項9】
前記第1段階において、前記常温での出力値(Ptm)は、常温での最大出力自動利得制御信号値(Atm)を適用した状態での電力増幅器の出力特性(Ftm)を反映したことを特徴とする請求項8に記載の移動通信端末機の送信電力制御方法。
【請求項10】
前記第3過程は、
前記移動通信端末機の温度別の最大出力偏差(Pdt(1〜8))と、温度別の電力増幅器の出力特性(Ft(1〜8))を反映して、自動利得制御信号の偏差(Adt(1〜8))を算出することを特徴とする請求項5に記載の移動通信端末機の送信電力制御方法。
【請求項11】
前記第4過程は、前記温度別の自動利得制御信号の偏差(Adt(1〜8))と、常温の自動利得制御信号値(Atm)を加算して、温度別の自動利得制御信号の補償値(A1〜8)を算出することを特徴とする請求項5に記載の移動通信端末機の送信電力制御方法。
【請求項12】
前記第5過程は、温度別の温度補償値(A(1〜8))を自動利得制御信号に適用し、前記補償された自動利得制御信号によって電力増幅器が信号を増幅させることで、送信信号を補償することを特徴とする請求項5に記載の移動通信端末機の送信電力制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−211657(P2006−211657A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10528(P2006−10528)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(502032105)エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド (2,269)
【Fターム(参考)】