説明

穀粒選別機の小米取出装置

【課題】大米、中米、小米、及び屑米、糠等の取出位置が多くなると、各々袋詰処理作業を行うためのスペースが確保し難くなる。特に、中米や、小米等には屑米や、糠等を含むことが多く、これらを各別に選別すると、屑米や糠類粒の取出位置が二ケ所になって煩雑化されることになる。
【解決手段】昇穀螺旋1の外周に目合の異なる中米選別筒2と小米選別筒3を上下に連設し、各選別筒2,3の外周部には中米排出室4、小米排出室5を形成した穀粒選別機において、前記中米排出室4から排出される中米を受けて流下させながら小米、及び糠を漏下させる選別棚6を設け、この選別棚6の下側に漏下する小米、及び糠を前記下側の小米排出室5へ流入させる小米シュータ7を設けたことを特徴とする小米取出装置の構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、目合の異なる中米選別筒と小米選別筒を上下に連設して選別する穀粒選別機の小米取出装置に関し、コンパクトな構成とするものである。
【背景技術】
【0002】
昇穀螺旋に沿って上側の中米選別筒と下側の小米選別筒を連設して、玄米等の穀粒を大粒径の大米と、中穀径の中米、小穀径の小米、乃至屑米、糠等に選別する技術や、このうち中米選別筒で選別された中米を受けて取出す中米シュータに、除糠網を設ける技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【特許文献1】特開2002−126647号公報(図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
中米選別筒と小米選別筒を上下に連設する縦形選別機では、設置床面積を小さくして、外周域を広くすることができるが、この作業方向は一部に限定されることが多い。大米、中米、小米、及び屑米、糠等の取出位置が多くなると、各々袋詰処理作業を行うためのスペースが確保し難くなる。特に、中米や、小米等には屑米や、糠等を含むことが多く、これらを各別に選別すると、屑米や糠類の取出位置が二ケ所になって煩雑化されることになる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、昇穀螺旋1の外周に目合の異なる中米選別筒2と小米選別筒3を上下に連設し、各選別筒2,3の外周部には中米排出室4、小米排出室5を形成した穀粒選別機において、前記中米排出室4から排出される中米を受けて流下させながら小米、及び糠を漏下させる選別棚6を設け、この選別棚6の下側に漏下する小米、及び糠を前記下側の小米排出室5へ流入させる小米シュータ7を設けたことを特徴とする小米取出装置の構成とする。昇穀螺旋1の回転によって選別筒2,3内を昇穀される玄米は、下段の小米選別筒3では、小米、及び屑米、糠等が、この外周の小米排出室5へ選別排出され、上段の中米選別筒2では、中米等が外周の中米排出室4へ選別排出される。又、この中米選別筒2の上端部から大米が排出される。このうち中米排出室4の中米は、選別棚6を流下して小米や糠類を漏下選別して機外へ排出され、この選別棚6を漏下した小米や糠類等は、小米シュータ7を流下して小米排出室5へ供給されて、この小米選別筒3から漏下選別された小米と合流して排出される。この小米排出室5から排出される小米は、別途除糠網等によって屑米や糠等と選別して排出される。
【0005】
請求項2に記載の発明は、前記下側の小米選別筒3の長さを、上側の中米選別筒2よりも適宜長く形成したことを特徴とする小米取出装置とする。前記昇穀螺旋1の回転によって昇穀される玄米は、下段の小米選別筒3を上昇中に小米を外側の小米排出室5へ選別し、残りの中米、大米を上部の中米選別筒2内を上昇させながら中米を中米排出室4へ選別する。玄米は各選別筒2,3内を上昇されながら小米、中米等を漏下選別され、玄米量を減少しながら上端部には大米のみ残して選別排出されるため、玄米量の多い小米選別筒3における小米や屑米等の選別排出を高めて、上段の中米選別筒2における中米と大米の選別を速やかに、正確に行わせる。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の発明は、昇穀螺旋1周りに沿って配置の一連の小米選別筒3、中米選別筒2内を上昇する玄米を小米、中米、大米の三階級別に選別し、この小米排出室5から取出す小米から屑米や糠類等を選別分離することにより必要最小限の皿分別取出形態とすることができるが、中米排出室4から取出される中米を選別する選別棚6は、この小米排出室5の外周部に形成されるが、この選別棚6を漏下選別された屑米や糠類等は、機体内側下部の小米排出室5内へ流入させて、この小米排出室5に選別された小米と同流させて排出選別処理するため、選別機体の構成を小さく維持して、屑米や糠類等の取出位置を増設することなく最小限位置に設けてコンパクトな形態とすることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、選別機体の高さを増すことなく、下段小米選別筒3を長くし、上段中米選別筒2を短く形成して、玄米供給量の多い小米選別筒3における小米選別性能を高めて、中米選別筒2における中米と大米の正確な選別を行わせることができ、高能率の選別を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図例に基づいて、選別機は、機台8上に昇穀螺旋1軸9を上方向に向けて軸装し、この螺旋軸9の下端部をモータ10によりベルト11連動して回転駆動する。この昇穀螺旋1の外周部に沿った円筒状形成の小米選別筒3と、中米選別筒2を上下に接合して設け、これら小米選別筒3と中米選別筒2は、前記螺旋軸9下端部を軸受けする伝動ケース12内の伝動機構を介して、この昇穀螺旋1とは逆方向へ回転するように構成している。昇穀螺旋1は適宜径の円筒13の外周面に比較的緩い螺曲ピッチに形成し、この外周の選別筒2,3の内周面との間に玄米を受けて上方へ搬送することができる。各選別筒2,3は波形状凹凸状を形成した波形板を、この凹凸状の長さ方向に屈曲して円筒形状に形成したもので、この選別筒2,3の内周側凹状底面部に沿って回転凹状方向に沿って長くして選別孔を形成したもので、この選別孔の孔幅サイズによって選別粒径が決まる。下側の小米選別筒3の選別孔幅に対して、上側の中米選別筒2の選別孔幅を大きく形成して、各々所定粒径の小米、及び中米を選別することができるように構成している。
【0009】
前記各選別筒2,3の外周部には、この選別孔から漏下する小米、中米等を受ける小米排出室5、中米排出室4を形成し、外周部をカバー筒14で覆っている。この小米排出室5の背部側には、選別しようとする玄米等の穀粒を供給する供給ホッパー15を設け、正面側に上昇選別された大米の取出を受けて袋詰供給するための取出ホッパー16を設け、この下端の排出口17には開閉シャッター18を設ける。
【0010】
ここにおいて、この穀粒選別機の小米取出装置は、昇穀螺旋1の外周に目合の異なる中米選別筒2と小米選別筒3を上下に連設し、各選別筒2,3の外周部には中米排出室4、小米排出室5を形成した穀粒選別機において、前記中米排出室4から排出される中米を受けて流下させながら小米、及び糠を漏下させる選別棚6を設け、この選別棚6の下側に漏下する小米、及び糠を前記下側の小米排出室5へ流入させる小米シュータ7を設けたことを特徴とする小米取出装置の構成とする。昇穀螺旋1の回転によって選別筒2,3内を昇穀される玄米は、下段の小米選別筒3では、小米、及び屑米、糠等が、この外周の小米排出室5へ選別排出され、上段の中米選別筒2では、中米等が外周の中米排出室4へ選別排出される。又、この中米選別筒2の上端部から大米が排出される。このうち中米排出室4の中米は、選別棚6を流下して小米や糠類を漏下選別して機外へ排出され、この選別棚6を漏下した小米や糠類等は、小米シュータ7を流下して小米排出室5へ供給されて、この小米選別筒3から漏下選別された小米と合流して排出される。この小米排出室5から排出される小米は、別途除糠網等によって屑米や糠等と選別して排出される。
【0011】
又、前記下側の小米選別筒3の長さを、上側の中米選別筒2よりも適宜長く形成したことを特徴とする小米取出装置とする。前記昇穀螺旋1の回転によって昇穀される玄米は、下段の小米選別筒3を上昇中に小米を外側の小米排出室5へ選別し、残りの中米、大米を上部の中米選別筒2内を上昇させながら中米を中米排出室4へ選別する。玄米は各選別筒2,3内を上昇されながら小米、中米等を漏下選別され玄米量を減少しながら上端部には大米のみ残して選別排出されるため、玄米量の多い小米選別筒3における小米や屑米等の選別排出を高めて、上段の中米選別筒2における中米と大米の選別を速やかに、正確に行わせる。
【0012】
前記下側の小米選別筒3外周の小米排出室5は、底下部に沿って受樋19を形成して、この小米排出室5を落下する小米や、糠類等を受ける。又、この小米排出室5上部の中米排出室4の底部には受樋20を設けて、この中米排出室4を落下する中米等を受ける。これらの小米受樋19、及び中米受樋20には、前記小米選別筒3外周に設けた掻出羽根21、及び、中米選別筒2外周に設けた掻出羽根22を各々嵌合のぞませて、回転させることにより、これら各受樋19,20内の選別粒を機外へ掻出すことができる。各受樋19,20の一部には小米排出口30、中米排出口25が設けられていて、これら小米排出口30外側の小米排出シュータ23や、中米排出口25外側の選別棚6、及び中米排出シュータ24へ向けて、各掻出羽根21,22の回転によって掻出すように構成している。
【0013】
前記中米排出シュータ24と、中米排出室4の中米排出口25との間に構成する選別棚6は、選別フレーム26にピアノ線27を上下方向一定間隔に並べた縦線形態として、上下一定角度に傾斜させたもので、この上面に中米を流下することにより、この中米に若干混入する小米や、屑米、糠類等を選別棚6下に漏下させて、中米のみを中米排出シュータ24へ流下させて、この中米排出シュータ24下にのぞむ中米袋に収容させる。この選別棚6の下側には小米シュータ7を設けて、下端部を前記小米排出室5にのぞませて、選別棚6から漏下した小米や、屑米、糠類等を、この小米排出室5の受樋19上に流入させる。前記選別棚6は、中米排出シュータ24上の棚枠28に着脱可能に取付けている。又、この棚枠28と下方の小米シュータ7との間の左右両側は側板29で覆われて三角ケース形態構成している。
【0014】
前記小米排出室5受樋19の外周部に形成の小米排出口30から、前記掻出羽根21によって掻出される小米や、屑米、及び糠類等を受けて流下させながら、これら屑米や、糠等を漏下選別する除糠棚31を有した小米排出シュータ23を傾斜させて設ける。この除糠棚31の下側には糠シュータ32を設けている。前記上側の小米シュータ7は、この小米排出シュータ23の上端部に直接のぞませる形成とすることもできる。
【0015】
前記小米選別筒3の有効選別長さAは、中米選別筒2の有効選別長さBよりも長く形成して、各選別筒2,3の選別性を高く維持させるため、中米排出室4における小米や、糠類等の混入率は小さくなると共に、小さい選別棚6の構成であっても、効率的な選別作用を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】小米シュータ部の正面図と、その一部の平面図。
【図2】選別機の正面図。
【図3】選別機の断面図。
【図4】選別機の全体背面図。
【図5】選別機の全体側面図。
【符号の説明】
【0017】
1 昇穀螺旋
2 中米選別筒
3 小米選別筒
4 中米排出室
5 小米排出室
6 選別棚
7 小米シュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇穀螺旋(1)の外周に目合の異なる中米選別筒(2)と小米選別筒(3)を上下に連設し、各選別筒(2),(3)の外周部には中米排出室(4)、小米排出室(5)を形成した穀粒選別機において、前記中米排出室(4)から排出される中米を受けて流下させながら小米、及び糠を漏下させる選別棚(6)を設け、この選別棚(6)の下側に漏下する小米、及び糠を前記下側の小米排出室(5)へ流入させる小米シュータ(7)を設けたことを特徴とする小米取出装置。
【請求項2】
前記下側の小米選別筒(3)の長さを、上側の中米選別筒(2)よりも適宜長く形成したことを特徴とする請求項1に記載の穀粒選別機の小米取出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−233528(P2009−233528A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−80878(P2008−80878)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000144980)株式会社アテックス (111)
【Fターム(参考)】