積層コンデンサ及び積層コンデンサの製造方法
【課題】焼付層の応力によるクラックの発生と、めっき液の浸入による絶縁不良の発生とを防止できる積層コンデンサ及び積層コンデンサの製造方法を提供する。
【解決手段】積層コンデンサ1では、内部電極6A,6Bから積層体2の端面に引き出される引出導体12A,12Bの全部を覆うように焼付層17A,17Bが形成されている。これにより、めっき層18A,18Bの形成の際にめっき液が内部電極6A,6B側に浸入することが防止され、絶縁不良の発生を防止できる。また、焼付層17A,17Bがダミー電極13C,13F,13G,13Hの一部を覆っているので、焼付層17A,17Bの面積を抑えることができる。したがって、焼付層17A,17Bに過剰な応力が生じることを抑制でき、焼付層17A,17Bの応力によるクラックの発生を防止できる。
【解決手段】積層コンデンサ1では、内部電極6A,6Bから積層体2の端面に引き出される引出導体12A,12Bの全部を覆うように焼付層17A,17Bが形成されている。これにより、めっき層18A,18Bの形成の際にめっき液が内部電極6A,6B側に浸入することが防止され、絶縁不良の発生を防止できる。また、焼付層17A,17Bがダミー電極13C,13F,13G,13Hの一部を覆っているので、焼付層17A,17Bの面積を抑えることができる。したがって、焼付層17A,17Bに過剰な応力が生じることを抑制でき、焼付層17A,17Bの応力によるクラックの発生を防止できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層コンデンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の積層コンデンサとして、例えば特許文献1に記載の積層コンデンサがある。この積層コンデンサは、第1の内部電極と第2の内部電極とが誘電体層を挟んで交互に積層されてなる積層体を備えている。積層体の両端面には、第1の端子電極及び第2の端子電極がそれぞれ設けられており、第1の内部電極は第1の引出部を介して第1の端子電極に接続され、第2の内部電極は第2の引出部を介して第2の端子電極に接続されている。また、第1の引出部の位置は、第1の内部電極ごとに異なっている。これにより、各コンデンサ部の等価直列インダクタンスが互いに異なり、複数の共振周波数を有することとなるので、広帯域にわたって低インピータンスとなる積層コンデンサが実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−071811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような積層コンデンサでは、所定の内部電極パターンを形成したグリーンシートを積層及び焼成して積層体を得た後、積層体の端部を導電ペーストに浸漬し、これを焼き付けして端子電極を形成している。しかしながら、浸漬法によって端子電極を形成する場合、一般的にペースト層が積層体に対して厚く且つ大面積で付着する傾向にあり、焼付層に応力が発生することがある。この応力が過剰になると、積層体にクラックが生じやすくなることが問題となる。また、焼付層の上層にめっき層を更に形成する場合があるが、単に焼付層の厚さや面積を減らしてしまうと、めっき層を形成する際にめっき液が内部電極側に浸入して絶縁不良が生じることが考えられる。
【0005】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、焼付層の応力によるクラックの発生と、めっき液の浸入による絶縁不良の発生とを防止できる積層コンデンサ及び積層コンデンサの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決のため、本発明に係る積層コンデンサは、内部電極が形成された複数の誘電体層を積層してなる積層体と、積層体の表面に形成された端子電極と、内部電極から積層体の表面に引き出されて端子電極に接続される引出導体と、内部電極と離間して端子電極に接続されるダミー電極と、を備え、端子電極は、積層体表面に形成された焼付層及びめっき層を有し、焼付層は、引出導体の全部とダミー電極の一部とを覆っており、めっき層は、ダミー電極の残部と焼付層とを覆っていることを特徴としている。
【0007】
この積層コンデンサでは、内部電極から積層体の表面に引き出される引出導体の全部を覆うように焼付層が形成されている。これにより、めっき層の形成の際にめっき液が内部電極側に浸入することが防止され、絶縁不良の発生を防止できる。また、焼付層がダミー電極の一部を覆っているので、焼付層の面積を抑えることができる。したがって、焼付層に過剰な応力が生じることを抑制でき、焼付層の応力によるクラックの発生を防止できる。なお、焼付層がダミー電極の一部を覆っていることで、ダミー電極上に確実にめっき層が形成され、かつ焼付層上のめっき層と均一な厚さで形成できる。
【0008】
また、積層体の一面側が基板への実装面となっており、内部電極は、積層体内において実装面と反対側に偏在していることが好ましい。この場合、実装面と内部電極との間の距離を十分に確保できるので、仮に電歪応力によるマイクロクラックが生じたとしても、クラックが内部電極に到達することを抑制できる。これにより、静電容量の変動が生じることを抑えられる。
【0009】
内部電極は、実装面に対して略直交するように配置されていることが好ましい。この場合、内部電極の配置数が増加した場合であっても低ESL化が図られる。
【0010】
また、ダミー電極は、引出導体を挟んでその両側にそれぞれ設けられ、焼付層は、ダミー電極同士を繋ぐように設けられていることが好ましい。この場合、引出導体の幅が相対的に抑えられるので、焼付層を小さくでき、焼付層の応力を一層抑えられる。一方、ダミー電極同士を焼付層で繋ぐことで端子電極の幅を確保できるので、基板への実装が容易となる。また、端子電極間の間隔が小さくなり、低ESL化が図られる。
【0011】
また、ダミー電極は、各内部電極と同層にそれぞれ設けられていることが好ましい。これにより、端子電極の幅を一層確保できる。また、ダミー電極同士の間隔、及びダミー電極と引出導体との間隔が狭くなるので、これらの電極間をめっきで接続することによって確実にめっき層を形成できる。
【0012】
また、ダミー電極は、積層体の角部を除く領域に露出していることが好ましい。こうすると、誘電体層の層間剥がれを防止できる。
【0013】
また、本発明にかかる積層コンデンサの製造方法は、内部電極が形成された複数の誘電体層を積層してなる積層体と、積層体の表面に形成された端子電極と、内部電極から積層体の表面に引き出されて端子電極に接続される引出導体と、内部電極と離間して端子電極に接続されるダミー電極と、を備えた積層コンデンサの製造方法であって、引出導体の全部とダミー電極の一部とを覆うように塗布した導電性ペーストを焼き付けて積層体の表面に焼付層を形成する工程と、ダミー電極の残部と焼付層とを覆うように積層体の表面にめっき層を形成する工程と、を備えたことを特徴としている。
【0014】
この積層コンデンサの製造方法では、内部電極から積層体の表面に引き出される引出導体の全部を覆うように焼付層を形成する。これにより、めっき層の形成の際にめっき液が内部電極側に浸入することが防止され、絶縁不良の発生を防止できる。また、焼付層をダミー電極の一部を覆うように形成するので、焼付層の面積を抑えることができる。したがって、焼付層に過剰な応力が生じることを抑制でき、焼付層の応力によるクラックの発生を防止できる。また、十分な幅を有する端子電極を形成できる。なお、焼付層がダミー電極の一部を覆っていることで、ダミー電極上に確実にめっき層が形成され、かつ焼付層上のめっき層と均一な厚さで形成できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、焼付層の応力によるクラックの発生と、めっき液の浸入による絶縁不良の発生とを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。
【図2】図1に示した積層コンデンサの層構成を示す図である。
【図3】図1に示した積層コンデンサの内部電極のパターンを示す図である。
【図4】図1に示した積層コンデンサの端子電極の製造過程を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。
【図6】図5に示した積層コンデンサの層構成を示す図である。
【図7】図5に示した積層コンデンサの内部電極のパターンを示す図である。
【図8】図5に示した積層コンデンサの端子電極の製造過程を示す図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。
【図10】図9に示した積層コンデンサの層構成を示す図である。
【図11】図9に示した積層コンデンサの内部電極のパターンを示す図である。
【図12】図9に示した積層コンデンサの端子電極の製造過程を示す図である。
【図13】本発明の第4実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。
【図14】図13に示した積層コンデンサの層構成を示す図である。
【図15】図13に示した積層コンデンサの内部電極のパターンを示す図である。
【図16】図13に示した積層コンデンサの端子電極の製造過程を示す図である。
【図17】本発明の第5実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。
【図18】図17に示した積層コンデンサの層構成を示す図である。
【図19】図17に示した積層コンデンサの内部電極のパターンを示す図である。
【図20】図17に示した積層コンデンサの端子電極の製造過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る積層コンデンサ及び積層コンデンサの製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。また、図2は、図1に示した積層コンデンサの層構成を示す図である。同図に示すように、積層コンデンサ1は、略直方体形状の積層体2と、積層体2の端面に形成された第1の外部電極3A及び第2の外部電極3Bとを備えている。
【0019】
積層体2の内部には、図2に示すように、誘電体層5を介在させた状態で、電極パターンの異なる複数の内部電極6が積層されている。誘電体層5は、誘電体セラミックを含むセラミックグリーンシートの焼結体からなり、内部電極6は、導電性ペーストの焼結体からなる。実際の積層コンデンサ1では、誘電体層5,5間の境界が視認できない程度に一体化されている。また、図2に示す内部電極6の積層方向は、図1における積層体2の奥行き方向と一致しており、積層体2において内部電極6の積層方向に直交する端面(ここでは底面)が基板に実装する際の実装面となっている。
【0020】
内部電極6は、より具体的には、図3に示すように、パターンの異なる2種類の内部電極6A,6Bを有している。内部電極6Aは、図3(a)に示すように、中央部分に形成された矩形の主電極部11Aと、主電極部11Aにおける第1の端子電極3A寄りの位置から積層体2の高さ方向にそれぞれ引き出された引出導体12Aとを有している。引出導体12Aの端部は、積層体2の高さ方向の両端面にそれぞれ露出し、第1の端子電極3Aに接続されている。
【0021】
また、内部電極6Aと同層には、ダミー電極13A,13B,13Cが形成されている。ダミー電極13Aは、積層体2の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に延在し、第1の端子電極3Aに接続されている。ダミー電極13Bは、積層体2の高さ方向の両端面において、引出導体12Aを挟んでダミー電極13Aの反対側にそれぞれ延在し、第1の端子電極3Aに接続されている。ダミー電極13Cは、積層体2の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に延在し、第2の端子電極3Bに接続されている。
【0022】
内部電極6Bは、図3(b)に示すように、中央部分に形成された矩形の主電極部11Bと、主電極部11Bにおける第2の端子電極寄りの位置から積層体2の高さ方向にそれぞれ引き出された引出導体12Bとを有している。引出導体12Bの端部は、積層体2の高さ方向の両端面にそれぞれ露出し、第2の端子電極3Bに接続されている。
【0023】
また、内部電極6Bと同層には、ダミー電極13D,13E,13Fが形成されている。ダミー電極13Dは、積層体2の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に延在し、第2の端子電極3Bに接続されている。ダミー電極13Eは、積層体2の高さ方向の両端面において、引出導体12Bを挟んでダミー電極13Dの反対側に延在し、第2の端子電極3Bに接続されている。ダミー電極13Fは、積層体2の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に延在し、第1の端子電極3Aに接続されている。
【0024】
このような積層体2では、積層方向から見て内部電極6Aの主電極部11Aと内部電極6Bの主電極部11Bとが互いに重なり合うことによって容量形成領域が形成されている。本実施形態では、主電極部11Aの全面が主電極部11Bの略全面と重なり合っており、容量形成領域が十分に確保されている。
【0025】
なお、積層体2における積層方向の表層部分には、保護層6Cが適宜積層されている。保護層6Cは、図3(c)に示すように、ダミー電極13G,13Hが形成されている。ダミー電極13Gは、積層体2の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に延在し、第1の端子電極3Aに接続されている。ダミー電極13Hは、積層体2の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に延在し、第2の端子電極3Bに接続されている。
【0026】
第1の端子電極3A及び第2の端子電極3Bは、積層コンデンサ1を実装基板に実装する際に、所定の極性に接続される電極である。第1の端子電極3Aは、積層体2の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に延在している。また、第2の端子電極3Bは、積層体2の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に延在している。
【0027】
この第1の端子電極3A及び第2の端子電極3Bは、図1に示すように、Cuなどの導電性金属粉末及びガラスフリットを含む導電ペーストを焼き付けて形成される焼付層17と、Cu単層或いはNi/Sn層などからなるめっき層18とによって構成されている。
【0028】
より具体的には、第1の端子電極3Aを構成する焼付層17Aは、引出導体12Aと、引出導体12Aの両側に位置するダミー電極13A,13Bの縁同士とを繋ぎ、かつダミー電極13F,13Gの一部を覆うように、積層体2の高さ方向の両端面にそれぞれ矩形に形成されている。めっき層18Aは、焼付層17Aに覆われていないダミー電極13A,13B,13F,13Gの残部と、焼付層17Aとを覆うように、積層体2の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に形成されている。
【0029】
また、第2の端子電極3Bを構成する焼付層17Bは、引出導体12Bと、引出導体12Bの両側に位置するダミー電極13D,13Eの縁同士とを繋ぎ、かつダミー電極13C,13Hの一部を覆うように、積層体2の高さ方向の両端面にそれぞれ矩形に形成されている。めっき層18Bは、焼付層17Bに覆われていないダミー電極13C,13D,13E,13Hの残部と、焼付層17Bとを覆うように、積層体2の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に形成されている。
【0030】
図4は、端子電極3A,3Bの製造過程を示す図である。まず、スクリーン印刷等によって上記電極パターンを形成したグリーンシートを積層し、プレス工程、切断工程、焼成工程等を経て、図4(a)に示すように、積層体2を得る。
【0031】
次に、図4(b)に示すように、引出導体12Aと、引出導体12Aの両側に位置するダミー電極13A,13Bの縁と、ダミー電極13F,13Gの一部とを覆うように、例えば浸漬法を用いて積層体2の高さ方向の両端面に導電ペーストを塗布する。また、引出導体12Bと、引出導体12Bの両側に位置するダミー電極13D,13Eの縁と、ダミー電極13C,13Hの一部とを覆うように、積層体2の高さ方向の両端面に導電ペーストを塗布する。そして、導電ペーストを所定の温度で焼き付けて焼付層17A,17Bを形成する。
【0032】
最後に、図4(c)に示すように、焼付層17Aに覆われていないダミー電極13A,13B,13F,13Gの残部と、焼付層17Aとを覆うように、積層体2の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたってめっき層18Aを形成する。また、焼付層17Bに覆われていないダミー電極13C,13D,13E,13Hの残部と、焼付層17Bとを覆うように、積層体2の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたってめっき層18Bを形成する。これにより、端子電極3A,3Bが形成され、積層コンデンサ1が得られる。めっき層18A,18Bの形成には、例えば電解めっき法を用いることができる。
【0033】
以上のような積層コンデンサ1では、内部電極6A,6Bから積層体2の端面に引き出される引出導体12A,12Bの全部を覆うように焼付層17A,17Bが形成されている。これにより、めっき層18A,18Bの形成の際にめっき液が内部電極6A,6B側に浸入することが防止され、絶縁不良の発生を防止できる。また、焼付層17A,17Bがダミー電極13C,13F,13G,13Hの一部を覆っているので、ダミー電極13C,13F,13G,13Hの全体を覆う場合に比べて焼付層17A,17Bの面積を抑えることができる。したがって、焼付層17A,17Bに過剰な応力が生じることを抑制でき、焼付層17A,17Bの応力によるクラックの発生を防止できる。
【0034】
なお、焼付層17A,17Bがダミー電極13C,13F,13G,13Hの一部を覆っていることで、ダミー電極13C,13F,13G,13Hの残部をめっき層18A,18Bで覆う際、焼付層17A,17Bに含まれる導電粒子を介してめっき層18A,18Bに電流が流れ易くなるので、めっき層18A,18Bを確実に形成することができる。
【0035】
また、積層コンデンサ1では、内部電極6A,6Bが実装面に対して略直交するように配置されている。このため、内部電極6A,6Bの積層数が増加した場合であっても低ESL化が図られる。
【0036】
さらに、積層コンデンサ1では、ダミー電極13A,13Bが引出導体12Aを挟んでその両側にそれぞれ設けられ、焼付層17Aがダミー電極13A,13B同士を繋ぐように設けられている。また、ダミー電極13D,13Eが引出導体12Bを挟んでその両側にそれぞれ設けられ、焼付層17Bがダミー電極13D,13E同士を繋ぐように設けられている。これにより、積層体2の端面における引出導体12A,12Bの幅が相対的に抑えられるので、焼付層17A,17Bを小さくでき、焼付層17A,17Bの応力を一層抑えられる。一方、ダミー電極13A,13B同士及びダミー電極13D,13E同士を焼付層17A,17Bで繋ぐことで端子電極3A,3Bの幅を確保できるので、基板への実装が容易となる。また、端子電極3A,3B間の間隔が小さくなり、低ESL化が図られる。
【0037】
また、積層コンデンサ1では、ダミー電極13A〜13C,13D〜13Fが各内部電極6A,6Bと同層にそれぞれ設けられている。これにより、端子電極3A,3Bの幅を一層確保できる。また、ダミー電極13A〜13F同士の間隔、及びダミー電極13A〜13Fと引出導体12A,12Bとの間隔が狭くなるので、これらの電極間をめっきで接続することによって確実にめっき層18A,18Bを形成できる。なお、ダミー電極13A〜13Fが複数層にわたって設けられていたとしても、焼付層17A,17Bが先に形成されることでめっき液が内部電極6A,6B側に浸入することはなく、絶縁不良の発生を回避できる。
[第2実施形態]
【0038】
図5は、本発明の第2実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。また、図6は、図5に示した積層コンデンサの層構成を示す図である。同図に示すように、積層コンデンサ21は、内部電極26A,26Bの電極パターンと、これに伴う端子電極23A,23Bの構成とが第1実施形態と異なっている。
【0039】
内部電極26は、より具体的には、図7に示すように、パターンの異なる2種類の内部電極26A,26Bを有している。内部電極26Aは、図7(a)に示すように、中央部分に形成された矩形の主電極部31Aと、主電極部31Aから積層体22の長手方向に引き出された引出導体32Aとを有している。引出導体32Aの端部は、積層体22の長手方向の一端面に露出し、第1の端子電極23Aに接続されている。
【0040】
また、内部電極26Aと同層には、ダミー電極33A,33Bが形成されている。ダミー電極33Aは、引出導体32Aを挟むように、積層体22の高さ方向の両端面において長手方向の一端面の端部にそれぞれ延在し、第1の端子電極23Aに接続されている。ダミー電極33Bは、積層体22の高さ方向の両端面において長手方向の他端面の端部にそれぞれ延在し、第2の端子電極23Bに接続されている。
【0041】
内部電極26Bは、図7(b)に示すように、中央部分に形成された矩形の主電極部31Bと、主電極部31Bから積層体22の長手方向に引き出された引出導体32Bとを有している。引出導体32Bの端部は、積層体22の長手方向の他端面に露出し、第2の端子電極23Bに接続されている。
【0042】
また、内部電極26Bと同層には、ダミー電極33C,33Dが形成されている。ダミー電極33Cは、引出導体32Bを挟むように、積層体22の高さ方向の両端面において長手方向の他端面の端部にそれぞれ延在し、第2の端子電極23Bに接続されている。ダミー電極33Dは、積層体22の高さ方向の両端面において長手方向の一端面の端部にそれぞれ延在し、第1の端子電極23Aに接続されている。
【0043】
積層体22における積層方向の表層部分には、保護層26Cが適宜積層されている。保護層26Cは、図7(c)に示すように、ダミー電極33E,33Fが形成されている。ダミー電極33Eは、積層体22の高さ方向の両端面において長手方向の一端面の端部にそれぞれ延在し、第1の端子電極23Aに接続されている。ダミー電極33Fは、積層体22の高さ方向の両端面において長手方向の他端面の端部にそれぞれ延在し、第2の端子電極23Bに接続されている。
【0044】
第1の端子電極23Aは、積層体2の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に延在している。また、第2の端子電極23Bは、積層体2の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に延在している。
【0045】
この第1の端子電極23A及び第2の端子電極23Bは、図5に示すように、Cuなどの導電性金属粉末及びガラスフリットを含む導電ペーストを焼き付けて形成される焼付層37と、Cu単層或いはNi/Sn層などからなるめっき層38とによって構成されている。
【0046】
より具体的には、第1の端子電極23Aを構成する焼付層37Aは、引出導体32Aと、引出導体32Aの両側に位置するダミー電極33A,33Aの縁同士とを繋ぎ、かつダミー電極33D,33Eの縁を覆うように、積層体22の長手方向の一端面に矩形に形成されている。めっき層38Aは、焼付層37Aに覆われていないダミー電極33A,33D,33Eの残部と、焼付層37Aとを覆うように、積層体22の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に形成されている。
【0047】
また、第2の端子電極23Bを構成する焼付層37Bは、引出導体32Bと、引出導体32Bの両側に位置するダミー電極33C,33Cの縁同士とを繋ぎ、かつダミー電極33B,33Fの縁を覆うように、積層体22の長手方向の他端面にそれぞれ矩形に形成されている。めっき層38Bは、焼付層37Bに覆われていないダミー電極33B,33C,33Fの残部と、焼付層37Bとを覆うように、積層体22の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に形成されている。
【0048】
図8は、端子電極23A,23Bの製造過程を示す図である。まず、スクリーン印刷等によって上記電極パターンを形成したグリーンシートを積層し、プレス工程、切断工程、焼成工程等を経て、図8(a)に示すように、積層体22を得る。
【0049】
次に、図8(b)に示すように、引出導体32Aと、引出導体32Aの両側に位置するダミー電極33A,33Aの縁と、ダミー電極33D,33Eの一部とを覆うように、例えば浸漬法を用いて積層体22の長手方向の一端面に導電ペーストを塗布する。また、引出導体32Bと、引出導体32Bの両側に位置するダミー電極33C,33Cの縁と、ダミー電極33B,33Fの一部とを覆うように、積層体22の長手方向の他端面に導電ペーストを塗布する。そして、導電ペーストを所定の温度で焼き付けて焼付層37A,37Bを形成する。
【0050】
最後に、図8(c)に示すように、焼付層37Aに覆われていないダミー電極33A,33D,33Eの残部と、焼付層37Aとを覆うように、積層体22の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたってめっき層38Aを形成する。また、焼付層37Bに覆われていないダミー電極33B,33C,33Fの残部と、焼付層37Bとを覆うように、積層体22の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたってめっき層38Bを形成する。これにより、端子電極23A,23Bが形成され、積層コンデンサ21が得られる。めっき層38A,38Bの形成には、例えば電解めっき法を用いることができる。
【0051】
以上のような積層コンデンサ21によっても、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
[第3実施形態]
【0052】
図9は、本発明の第3実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。また、図10は、図9に示した積層コンデンサの層構成を示す図である。同図に示すように、積層コンデンサ41は、ダミー電極53A〜53Fの電極パターンと、これに伴う端子電極43A,43Bの構成とが第2実施形態と異なっている。
【0053】
すなわち、本実施形態では、図11に示すように、内部電極46Aと同層のダミー電極53A,53B、内部電極46Bと同層のダミー電極53C,53D、及び保護層46Cのダミー電極53E,53Fのいずれもが、積層体42の長手方向の端面までは延在しておらず、積層体42の角部を除く領域にのみ露出するようになっている。保護層46Cの表層には、ダミー電極が形成されない保護層46Dが更に積層されている。
【0054】
このような電極パターンに対し、第1の端子電極43Aを構成する焼付層57Aは、引出導体52Aと、引出導体52Aの両側に位置するダミー電極53A,53Aの縁同士とを繋ぎ、かつダミー電極53D,53Eの縁を覆うように、積層体42の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する端面の縁とにわたって断面コの字状に形成されている。めっき層58Aは、焼付層57Aに覆われていないダミー電極53A,53D,53Eの残部と、焼付層57Aとを覆うように、積層体42の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する端面とにわたって断面コの字状に形成されている。
【0055】
また、第2の端子電極43Bを構成する焼付層57Bは、引出導体52Bと、引出導体52Bの両側に位置するダミー電極53C,53Cの縁同士とを繋ぎ、かつダミー電極53B,53Fの縁を覆うように、積層体42の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する端面の縁とにわたって断面コの字状に形成されている。めっき層58Bは、焼付層57Bに覆われていないダミー電極53B,53C,53Fの残部と、焼付層57Bとを覆うように、積層体42の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する端面とにわたって断面コの字状に形成されている。
【0056】
図12は、端子電極43A,43Bの製造過程を示す図である。まず、スクリーン印刷等によって上記電極パターンを形成したグリーンシートを積層し、プレス工程、切断工程、焼成工程等を経て、図12(a)に示すように、積層体42を得る。
【0057】
次に、図12(b)に示すように、引出導体52Aと、引出導体52Aの両側に位置するダミー電極53A,53Aの縁と、ダミー電極53D,53Eの一部とを覆うように、例えば浸漬法を用いて積層体42の長手方向の一端面とこれに隣接する端面の縁とに導電ペーストを塗布する。また、引出導体52Bと、引出導体52Bの両側に位置するダミー電極53C,53Cの縁と、ダミー電極53B,53Fの一部とを覆うように、積層体42の長手方向の他端面とこれに隣接する端面の縁とに導電ペーストを塗布する。そして、導電ペーストを所定の温度で焼き付けて焼付層57A,57Bを形成する。
【0058】
最後に、図12(c)に示すように、焼付層57Aに覆われていないダミー電極53A,53D,53Eの残部と、焼付層57Aとを覆うように、積層体42の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する端面とにわたってめっき層58Aを形成する。また、焼付層57Bに覆われていないダミー電極53B,53C,53Fの残部と、焼付層57Bとを覆うように、積層体42の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する端面とにわたってめっき層58Bを形成する。これにより、端子電極43A,43Bが形成され、積層コンデンサ41が得られる。めっき層58A,58Bの形成には、例えば電解めっき法を用いることができる。
【0059】
以上のような積層コンデンサ41によっても、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。また、本実施形態では、ダミー電極53A〜53Fが、積層体42の角部を除く領域に露出しているので、ダミー電極を起点とした誘電体層5の層間剥がれを防止できる。
[第4実施形態]
【0060】
図13は、本発明の第4実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。また、図14は、図13に示した積層コンデンサの層構成を示す図である。同図に示すように、積層コンデンサ61は、内部電極66A,66Bの電極パターンと、これに伴う端子電極63A,63Bの構成とが第1実施形態と更に異なっている。
【0061】
内部電極66Aは、図15(a)に示すように、中央部分に形成された矩形の主電極部71Aと、主電極部71Aから積層体62の長手方向に引き出された引出導体72Aとを有している。主電極部71Aは、積層体62の高さ方向において実装面と反対側の端面寄りに配置されている。引出導体72Aの端部は、積層体62の長手方向の一端面に露出し、第1の端子電極63Aに接続されている。
【0062】
また、内部電極66Aと同層には、ダミー電極73A,73Bが形成されている。ダミー電極73Aは、積層体22の長手方向の一端面における実装面の端部と、これに隣接する実装面とにおいて断面L字状に延在し、第1の端子電極63Aに接続されている。ダミー電極73Bは、積層体62の長手方向の他端面における実装面の端部と、これに隣接する実装面とにおいて断面L字状に延在し、第2の端子電極63Bに接続されている。
【0063】
内部電極66Bは、図15(b)に示すように、中央部分に形成された矩形の主電極部71Bと、主電極部71Bから積層体62の長手方向に引き出された引出導体72Bとを有している。主電極部71Bは、主電極部71Aと同様に、積層体62の高さ方向において実装面と反対側の端面寄りに配置されている。引出導体72Bの端部は、積層体62の長手方向の他端面に露出し、第2の端子電極63Bに接続されている。
【0064】
また、内部電極66Bと同層には、ダミー電極73C,73Dが形成されている。ダミー電極73Cは、積層体62の長手方向の一端面における実装面の端部と、これに隣接する実装面とにおいて断面L字状に延在し、第1の端子電極63Aに接続されている。ダミー電極73Dは、積層体62の長手方向の他端面における実装面の端部と、これに隣接する実装面とにおいて断面L字状に延在し、第2の端子電極63Bに接続されている。
【0065】
積層体62における積層方向の表層部分には、保護層66Cが適宜積層されている。保護層66Cは、図15(c)に示すように、ダミー電極73E,73Fが形成されている。ダミー電極73Eは、積層体62の長手方向の一端面における実装面の端部と、これに隣接する実装面とにおいて断面L字状に延在し、第1の端子電極63Aに接続されている。ダミー電極73Fは、積層体62の長手方向の他端面における実装面の端部と、これに隣接する実装面とにおいて断面L字状に延在し、第2の端子電極63Bに接続されている。
【0066】
第1の端子電極63Aは、積層体2の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する実装面とにわたって断面L字状に延在している。また、第2の端子電極63Bは、積層体2の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する実装面とにわたって断面L字状に延在している。
【0067】
第1の端子電極63Aを構成する焼付層77Aは、引出導体72Aと、ダミー電極73A,73C,73Eの縁とを覆うように、積層体62の長手方向の一端面とこれに隣接する端面の縁とに形成されている。めっき層78Aは、焼付層77Aに覆われていないダミー電極73A,73C,73Eの残部と、焼付層77Aとを覆うように、積層体62の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する端面とにわたって断面L字状に形成されている。
【0068】
また、第2の端子電極63Bを構成する焼付層77Bは、引出導体72Bと、ダミー電極73B,73D,73Fの縁とを覆うように、積層体62の長手方向の他端面とこれに隣接する端面の縁とに形成されている。めっき層78Bは、焼付層77Bに覆われていないダミー電極73B,73D,73Fの残部と、焼付層77Bとを覆うように、積層体62の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する端面とにわたって断面L字状に形成されている。
【0069】
図16は、端子電極63A,63Bの製造過程を示す図である。まず、スクリーン印刷等によって上記電極パターンを形成したグリーンシートを積層し、プレス工程、切断工程、焼成工程等を経て、図16(a)に示すように、積層体62を得る。
【0070】
次に、図16(b)に示すように、引出導体72Aと、ダミー電極73A,73C,73Eの縁とを覆うように、例えば浸漬法を用いて積層体62の長手方向の一端面とこれに隣接する端面の縁とに導電ペーストを塗布する。また、引出導体72Bと、ダミー電極73B,73D,73Fの縁とを覆うように、積層体62の長手方向の他端面とこれに隣接する端面の縁とに導電ペーストを塗布する。そして、導電ペーストを所定の温度で焼き付けて焼付層77A,77Bを形成する。
【0071】
最後に、図16(c)に示すように、焼付層77Aに覆われていないダミー電極73A,73C,73Eの残部と、焼付層77Aとを覆うように、積層体62の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する端面とにわたってめっき層78Aを形成する。また、焼付層77Bに覆われていないダミー電極73B,73D,73Fの残部と、焼付層77Bとを覆うように、積層体62の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する端面とにわたってめっき層78Bを形成する。これにより、端子電極63A,63Bが形成され、積層コンデンサ61が得られる。めっき層78A,78Bの形成には、例えば電解めっき法を用いることができる。
【0072】
以上のような積層コンデンサ61によっても、内部電極66A,66Bから積層体62の端面に引き出される引出導体72A,72Bの全部を覆うように焼付層77A,77Bが形成されている。これにより、めっき層78A,78Bの形成の際にめっき液が内部電極66A,66B側に浸入することが防止され、絶縁不良の発生を防止できる。また、焼付層77A,77Bがダミー電極73A〜73Fの一部を覆っているので、ダミー電極73A〜73Fの全体を覆う場合に比べて焼付層77A,77Bの面積を抑えることができる。したがって、焼付層77A,77Bに過剰な応力が生じることを抑制でき、焼付層77A,77Bの応力によるクラックの発生を防止できる。
【0073】
なお、焼付層77A,77Bがダミー電極73A〜73Fの一部を覆っていることで、ダミー電極73A〜73Fの残部をめっき層78A,78Bで覆う際、焼付層77A,77Bに含まれる導電粒子を介してめっき層78A,78Bに電流が流れ易くなる。したがって、ダミー電極73A〜73F上に確実にめっき層78A,78Bが形成され、かつ積層体62の表面のめっき層78A,78Bと焼付層77A,77B上のめっき層78A,78Bとを均一な厚さで形成できる。
【0074】
また、積層コンデンサ61では、内部電極66A,66Bが実装面に対して略直交するように配置されている。このため、内部電極66A,66Bの配置数が増加した場合であっても低ESL化が図られる。
【0075】
さらに、積層コンデンサ61では、積層体62の一面側が基板への実装面となっており、内部電極66A,66Bは、積層体62内において実装面と反対側に偏在している。これにより、実装面と内部電極66A,66Bとの間の距離を十分に確保できるので、仮に電歪応力によるマイクロクラックが生じたとしても、クラックが内部電極66A,66Bに到達することを抑制できる。これにより、静電容量の変動が生じることを抑えられる。
【0076】
また、積層コンデンサ61では、ダミー電極73A〜75Fが各内部電極66A,66Bと同層にそれぞれ設けられている。これにより、端子電極63A,63Bの幅を一層確保できる。なお、ダミー電極63A〜63Fが複数層にわたって設けられていたとしても、焼付層77A,77Bが先に形成されることでめっき液が内部電極66A,66B側に浸入することはなく、絶縁不良の発生を回避できる。
[第5実施形態]
【0077】
図17は、本発明の第5実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。また、図18は、図17に示した積層コンデンサの層構成を示す図である。同図に示すように、積層コンデンサ81は、ダミー電極93A〜93Fの電極パターンが第4実施形態と異なっている。
【0078】
すなわち、積層コンデンサ81では、図19に示すように、内部電極86Aと同層のダミー電極93A,93B、内部電極86Bと同層のダミー電極93C,93D、及び保護層86Cのダミー電極93E,93Fのいずれもが、積層体82の長手方向の端面までは延在しておらず、積層体62の角部を除いて実装面にのみ露出するようになっている。
【0079】
このような電極パターンに対し、端子電極83Aを構成する焼付層97Aは、引出導体92Aと、ダミー電極93A,93C,93Eの縁とを覆うように、積層体82の長手方向の一端面とこれに隣接する端面の縁とに形成されている。めっき層98Aは、焼付層97Aに覆われていないダミー電極93A,93C,93Eの残部と、焼付層97Aとを覆うように、積層体82の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する端面とにわたって断面L字状に形成されている。
【0080】
また、第2の端子電極83Bを構成する焼付層97Bは、引出導体92Bと、ダミー電極93B,93D,93Fの縁とを覆うように、積層82の長手方向の他端面とこれに隣接する端面の縁とに形成されている。めっき層98Bは、焼付層97Bに覆われていないダミー電極93B,93D,93Fの残部と、焼付層97Bとを覆うように、積層体92の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する端面とにわたって断面L字状に形成されている。
【0081】
図20は、端子電極83A,83Bの製造過程を示す図である。まず、スクリーン印刷等によって上記電極パターンを形成したグリーンシートを積層し、プレス工程、切断工程、焼成工程等を経て、図20(a)に示すように、積層体82を得る。
【0082】
次に、図20(b)に示すように、引出導体92Aと、ダミー電極93A,93C,93Eの縁とを覆うように、例えば浸漬法を用いて積層体82の長手方向の一端面とこれに隣接する端面の縁とに導電ペーストを塗布する。また、引出導体92Bと、ダミー電極93B,93D,93Fの縁とを覆うように、積層体82の長手方向の他端面とこれに隣接する端面の縁とに導電ペーストを塗布する。そして、導電ペーストを所定の温度で焼き付けて焼付層97A,97Bを形成する。
【0083】
最後に、図20(c)に示すように、焼付層97Aに覆われていないダミー電極93A,93C,93Eの残部と、焼付層97Aとを覆うように、積層体82の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する端面とにわたってめっき層98Aを形成する。また、焼付層97Bに覆われていないダミー電極93B,93D,93Fの残部と、焼付層97Bとを覆うように、積層体82の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する端面とにわたってめっき層98Bを形成する。これにより、端子電極83A,83Bが形成され、積層コンデンサ81が得られる。めっき層98A,98Bの形成には、例えば電解めっき法を用いることができる。
【0084】
以上のような積層コンデンサ81によっても、第4実施形態と同様の作用効果が奏される。また、本実施形態では、ダミー電極93A〜93Fが、積層体82の角部を除く領域に露出しているので、ダミー電極を起点とした誘電体層5の層間剥がれを防止できる。
【符号の説明】
【0085】
1,21,41,61,81…積層コンデンサ、2,22,42,62,82…積層体、3,23,43,63,83…端子電極、5…誘電体層、6,26,46,66,86…内部電極、12,32,52,72,92…引出導体、13,33,53,73,93…ダミー電極、17,37,57,77,97…焼付層、18,38,58,78,98…めっき層。
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層コンデンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の積層コンデンサとして、例えば特許文献1に記載の積層コンデンサがある。この積層コンデンサは、第1の内部電極と第2の内部電極とが誘電体層を挟んで交互に積層されてなる積層体を備えている。積層体の両端面には、第1の端子電極及び第2の端子電極がそれぞれ設けられており、第1の内部電極は第1の引出部を介して第1の端子電極に接続され、第2の内部電極は第2の引出部を介して第2の端子電極に接続されている。また、第1の引出部の位置は、第1の内部電極ごとに異なっている。これにより、各コンデンサ部の等価直列インダクタンスが互いに異なり、複数の共振周波数を有することとなるので、広帯域にわたって低インピータンスとなる積層コンデンサが実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−071811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したような積層コンデンサでは、所定の内部電極パターンを形成したグリーンシートを積層及び焼成して積層体を得た後、積層体の端部を導電ペーストに浸漬し、これを焼き付けして端子電極を形成している。しかしながら、浸漬法によって端子電極を形成する場合、一般的にペースト層が積層体に対して厚く且つ大面積で付着する傾向にあり、焼付層に応力が発生することがある。この応力が過剰になると、積層体にクラックが生じやすくなることが問題となる。また、焼付層の上層にめっき層を更に形成する場合があるが、単に焼付層の厚さや面積を減らしてしまうと、めっき層を形成する際にめっき液が内部電極側に浸入して絶縁不良が生じることが考えられる。
【0005】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、焼付層の応力によるクラックの発生と、めっき液の浸入による絶縁不良の発生とを防止できる積層コンデンサ及び積層コンデンサの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決のため、本発明に係る積層コンデンサは、内部電極が形成された複数の誘電体層を積層してなる積層体と、積層体の表面に形成された端子電極と、内部電極から積層体の表面に引き出されて端子電極に接続される引出導体と、内部電極と離間して端子電極に接続されるダミー電極と、を備え、端子電極は、積層体表面に形成された焼付層及びめっき層を有し、焼付層は、引出導体の全部とダミー電極の一部とを覆っており、めっき層は、ダミー電極の残部と焼付層とを覆っていることを特徴としている。
【0007】
この積層コンデンサでは、内部電極から積層体の表面に引き出される引出導体の全部を覆うように焼付層が形成されている。これにより、めっき層の形成の際にめっき液が内部電極側に浸入することが防止され、絶縁不良の発生を防止できる。また、焼付層がダミー電極の一部を覆っているので、焼付層の面積を抑えることができる。したがって、焼付層に過剰な応力が生じることを抑制でき、焼付層の応力によるクラックの発生を防止できる。なお、焼付層がダミー電極の一部を覆っていることで、ダミー電極上に確実にめっき層が形成され、かつ焼付層上のめっき層と均一な厚さで形成できる。
【0008】
また、積層体の一面側が基板への実装面となっており、内部電極は、積層体内において実装面と反対側に偏在していることが好ましい。この場合、実装面と内部電極との間の距離を十分に確保できるので、仮に電歪応力によるマイクロクラックが生じたとしても、クラックが内部電極に到達することを抑制できる。これにより、静電容量の変動が生じることを抑えられる。
【0009】
内部電極は、実装面に対して略直交するように配置されていることが好ましい。この場合、内部電極の配置数が増加した場合であっても低ESL化が図られる。
【0010】
また、ダミー電極は、引出導体を挟んでその両側にそれぞれ設けられ、焼付層は、ダミー電極同士を繋ぐように設けられていることが好ましい。この場合、引出導体の幅が相対的に抑えられるので、焼付層を小さくでき、焼付層の応力を一層抑えられる。一方、ダミー電極同士を焼付層で繋ぐことで端子電極の幅を確保できるので、基板への実装が容易となる。また、端子電極間の間隔が小さくなり、低ESL化が図られる。
【0011】
また、ダミー電極は、各内部電極と同層にそれぞれ設けられていることが好ましい。これにより、端子電極の幅を一層確保できる。また、ダミー電極同士の間隔、及びダミー電極と引出導体との間隔が狭くなるので、これらの電極間をめっきで接続することによって確実にめっき層を形成できる。
【0012】
また、ダミー電極は、積層体の角部を除く領域に露出していることが好ましい。こうすると、誘電体層の層間剥がれを防止できる。
【0013】
また、本発明にかかる積層コンデンサの製造方法は、内部電極が形成された複数の誘電体層を積層してなる積層体と、積層体の表面に形成された端子電極と、内部電極から積層体の表面に引き出されて端子電極に接続される引出導体と、内部電極と離間して端子電極に接続されるダミー電極と、を備えた積層コンデンサの製造方法であって、引出導体の全部とダミー電極の一部とを覆うように塗布した導電性ペーストを焼き付けて積層体の表面に焼付層を形成する工程と、ダミー電極の残部と焼付層とを覆うように積層体の表面にめっき層を形成する工程と、を備えたことを特徴としている。
【0014】
この積層コンデンサの製造方法では、内部電極から積層体の表面に引き出される引出導体の全部を覆うように焼付層を形成する。これにより、めっき層の形成の際にめっき液が内部電極側に浸入することが防止され、絶縁不良の発生を防止できる。また、焼付層をダミー電極の一部を覆うように形成するので、焼付層の面積を抑えることができる。したがって、焼付層に過剰な応力が生じることを抑制でき、焼付層の応力によるクラックの発生を防止できる。また、十分な幅を有する端子電極を形成できる。なお、焼付層がダミー電極の一部を覆っていることで、ダミー電極上に確実にめっき層が形成され、かつ焼付層上のめっき層と均一な厚さで形成できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、焼付層の応力によるクラックの発生と、めっき液の浸入による絶縁不良の発生とを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。
【図2】図1に示した積層コンデンサの層構成を示す図である。
【図3】図1に示した積層コンデンサの内部電極のパターンを示す図である。
【図4】図1に示した積層コンデンサの端子電極の製造過程を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。
【図6】図5に示した積層コンデンサの層構成を示す図である。
【図7】図5に示した積層コンデンサの内部電極のパターンを示す図である。
【図8】図5に示した積層コンデンサの端子電極の製造過程を示す図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。
【図10】図9に示した積層コンデンサの層構成を示す図である。
【図11】図9に示した積層コンデンサの内部電極のパターンを示す図である。
【図12】図9に示した積層コンデンサの端子電極の製造過程を示す図である。
【図13】本発明の第4実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。
【図14】図13に示した積層コンデンサの層構成を示す図である。
【図15】図13に示した積層コンデンサの内部電極のパターンを示す図である。
【図16】図13に示した積層コンデンサの端子電極の製造過程を示す図である。
【図17】本発明の第5実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。
【図18】図17に示した積層コンデンサの層構成を示す図である。
【図19】図17に示した積層コンデンサの内部電極のパターンを示す図である。
【図20】図17に示した積層コンデンサの端子電極の製造過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る積層コンデンサ及び積層コンデンサの製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。また、図2は、図1に示した積層コンデンサの層構成を示す図である。同図に示すように、積層コンデンサ1は、略直方体形状の積層体2と、積層体2の端面に形成された第1の外部電極3A及び第2の外部電極3Bとを備えている。
【0019】
積層体2の内部には、図2に示すように、誘電体層5を介在させた状態で、電極パターンの異なる複数の内部電極6が積層されている。誘電体層5は、誘電体セラミックを含むセラミックグリーンシートの焼結体からなり、内部電極6は、導電性ペーストの焼結体からなる。実際の積層コンデンサ1では、誘電体層5,5間の境界が視認できない程度に一体化されている。また、図2に示す内部電極6の積層方向は、図1における積層体2の奥行き方向と一致しており、積層体2において内部電極6の積層方向に直交する端面(ここでは底面)が基板に実装する際の実装面となっている。
【0020】
内部電極6は、より具体的には、図3に示すように、パターンの異なる2種類の内部電極6A,6Bを有している。内部電極6Aは、図3(a)に示すように、中央部分に形成された矩形の主電極部11Aと、主電極部11Aにおける第1の端子電極3A寄りの位置から積層体2の高さ方向にそれぞれ引き出された引出導体12Aとを有している。引出導体12Aの端部は、積層体2の高さ方向の両端面にそれぞれ露出し、第1の端子電極3Aに接続されている。
【0021】
また、内部電極6Aと同層には、ダミー電極13A,13B,13Cが形成されている。ダミー電極13Aは、積層体2の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に延在し、第1の端子電極3Aに接続されている。ダミー電極13Bは、積層体2の高さ方向の両端面において、引出導体12Aを挟んでダミー電極13Aの反対側にそれぞれ延在し、第1の端子電極3Aに接続されている。ダミー電極13Cは、積層体2の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に延在し、第2の端子電極3Bに接続されている。
【0022】
内部電極6Bは、図3(b)に示すように、中央部分に形成された矩形の主電極部11Bと、主電極部11Bにおける第2の端子電極寄りの位置から積層体2の高さ方向にそれぞれ引き出された引出導体12Bとを有している。引出導体12Bの端部は、積層体2の高さ方向の両端面にそれぞれ露出し、第2の端子電極3Bに接続されている。
【0023】
また、内部電極6Bと同層には、ダミー電極13D,13E,13Fが形成されている。ダミー電極13Dは、積層体2の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に延在し、第2の端子電極3Bに接続されている。ダミー電極13Eは、積層体2の高さ方向の両端面において、引出導体12Bを挟んでダミー電極13Dの反対側に延在し、第2の端子電極3Bに接続されている。ダミー電極13Fは、積層体2の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に延在し、第1の端子電極3Aに接続されている。
【0024】
このような積層体2では、積層方向から見て内部電極6Aの主電極部11Aと内部電極6Bの主電極部11Bとが互いに重なり合うことによって容量形成領域が形成されている。本実施形態では、主電極部11Aの全面が主電極部11Bの略全面と重なり合っており、容量形成領域が十分に確保されている。
【0025】
なお、積層体2における積層方向の表層部分には、保護層6Cが適宜積層されている。保護層6Cは、図3(c)に示すように、ダミー電極13G,13Hが形成されている。ダミー電極13Gは、積層体2の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に延在し、第1の端子電極3Aに接続されている。ダミー電極13Hは、積層体2の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に延在し、第2の端子電極3Bに接続されている。
【0026】
第1の端子電極3A及び第2の端子電極3Bは、積層コンデンサ1を実装基板に実装する際に、所定の極性に接続される電極である。第1の端子電極3Aは、積層体2の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に延在している。また、第2の端子電極3Bは、積層体2の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に延在している。
【0027】
この第1の端子電極3A及び第2の端子電極3Bは、図1に示すように、Cuなどの導電性金属粉末及びガラスフリットを含む導電ペーストを焼き付けて形成される焼付層17と、Cu単層或いはNi/Sn層などからなるめっき層18とによって構成されている。
【0028】
より具体的には、第1の端子電極3Aを構成する焼付層17Aは、引出導体12Aと、引出導体12Aの両側に位置するダミー電極13A,13Bの縁同士とを繋ぎ、かつダミー電極13F,13Gの一部を覆うように、積層体2の高さ方向の両端面にそれぞれ矩形に形成されている。めっき層18Aは、焼付層17Aに覆われていないダミー電極13A,13B,13F,13Gの残部と、焼付層17Aとを覆うように、積層体2の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に形成されている。
【0029】
また、第2の端子電極3Bを構成する焼付層17Bは、引出導体12Bと、引出導体12Bの両側に位置するダミー電極13D,13Eの縁同士とを繋ぎ、かつダミー電極13C,13Hの一部を覆うように、積層体2の高さ方向の両端面にそれぞれ矩形に形成されている。めっき層18Bは、焼付層17Bに覆われていないダミー電極13C,13D,13E,13Hの残部と、焼付層17Bとを覆うように、積層体2の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に形成されている。
【0030】
図4は、端子電極3A,3Bの製造過程を示す図である。まず、スクリーン印刷等によって上記電極パターンを形成したグリーンシートを積層し、プレス工程、切断工程、焼成工程等を経て、図4(a)に示すように、積層体2を得る。
【0031】
次に、図4(b)に示すように、引出導体12Aと、引出導体12Aの両側に位置するダミー電極13A,13Bの縁と、ダミー電極13F,13Gの一部とを覆うように、例えば浸漬法を用いて積層体2の高さ方向の両端面に導電ペーストを塗布する。また、引出導体12Bと、引出導体12Bの両側に位置するダミー電極13D,13Eの縁と、ダミー電極13C,13Hの一部とを覆うように、積層体2の高さ方向の両端面に導電ペーストを塗布する。そして、導電ペーストを所定の温度で焼き付けて焼付層17A,17Bを形成する。
【0032】
最後に、図4(c)に示すように、焼付層17Aに覆われていないダミー電極13A,13B,13F,13Gの残部と、焼付層17Aとを覆うように、積層体2の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたってめっき層18Aを形成する。また、焼付層17Bに覆われていないダミー電極13C,13D,13E,13Hの残部と、焼付層17Bとを覆うように、積層体2の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたってめっき層18Bを形成する。これにより、端子電極3A,3Bが形成され、積層コンデンサ1が得られる。めっき層18A,18Bの形成には、例えば電解めっき法を用いることができる。
【0033】
以上のような積層コンデンサ1では、内部電極6A,6Bから積層体2の端面に引き出される引出導体12A,12Bの全部を覆うように焼付層17A,17Bが形成されている。これにより、めっき層18A,18Bの形成の際にめっき液が内部電極6A,6B側に浸入することが防止され、絶縁不良の発生を防止できる。また、焼付層17A,17Bがダミー電極13C,13F,13G,13Hの一部を覆っているので、ダミー電極13C,13F,13G,13Hの全体を覆う場合に比べて焼付層17A,17Bの面積を抑えることができる。したがって、焼付層17A,17Bに過剰な応力が生じることを抑制でき、焼付層17A,17Bの応力によるクラックの発生を防止できる。
【0034】
なお、焼付層17A,17Bがダミー電極13C,13F,13G,13Hの一部を覆っていることで、ダミー電極13C,13F,13G,13Hの残部をめっき層18A,18Bで覆う際、焼付層17A,17Bに含まれる導電粒子を介してめっき層18A,18Bに電流が流れ易くなるので、めっき層18A,18Bを確実に形成することができる。
【0035】
また、積層コンデンサ1では、内部電極6A,6Bが実装面に対して略直交するように配置されている。このため、内部電極6A,6Bの積層数が増加した場合であっても低ESL化が図られる。
【0036】
さらに、積層コンデンサ1では、ダミー電極13A,13Bが引出導体12Aを挟んでその両側にそれぞれ設けられ、焼付層17Aがダミー電極13A,13B同士を繋ぐように設けられている。また、ダミー電極13D,13Eが引出導体12Bを挟んでその両側にそれぞれ設けられ、焼付層17Bがダミー電極13D,13E同士を繋ぐように設けられている。これにより、積層体2の端面における引出導体12A,12Bの幅が相対的に抑えられるので、焼付層17A,17Bを小さくでき、焼付層17A,17Bの応力を一層抑えられる。一方、ダミー電極13A,13B同士及びダミー電極13D,13E同士を焼付層17A,17Bで繋ぐことで端子電極3A,3Bの幅を確保できるので、基板への実装が容易となる。また、端子電極3A,3B間の間隔が小さくなり、低ESL化が図られる。
【0037】
また、積層コンデンサ1では、ダミー電極13A〜13C,13D〜13Fが各内部電極6A,6Bと同層にそれぞれ設けられている。これにより、端子電極3A,3Bの幅を一層確保できる。また、ダミー電極13A〜13F同士の間隔、及びダミー電極13A〜13Fと引出導体12A,12Bとの間隔が狭くなるので、これらの電極間をめっきで接続することによって確実にめっき層18A,18Bを形成できる。なお、ダミー電極13A〜13Fが複数層にわたって設けられていたとしても、焼付層17A,17Bが先に形成されることでめっき液が内部電極6A,6B側に浸入することはなく、絶縁不良の発生を回避できる。
[第2実施形態]
【0038】
図5は、本発明の第2実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。また、図6は、図5に示した積層コンデンサの層構成を示す図である。同図に示すように、積層コンデンサ21は、内部電極26A,26Bの電極パターンと、これに伴う端子電極23A,23Bの構成とが第1実施形態と異なっている。
【0039】
内部電極26は、より具体的には、図7に示すように、パターンの異なる2種類の内部電極26A,26Bを有している。内部電極26Aは、図7(a)に示すように、中央部分に形成された矩形の主電極部31Aと、主電極部31Aから積層体22の長手方向に引き出された引出導体32Aとを有している。引出導体32Aの端部は、積層体22の長手方向の一端面に露出し、第1の端子電極23Aに接続されている。
【0040】
また、内部電極26Aと同層には、ダミー電極33A,33Bが形成されている。ダミー電極33Aは、引出導体32Aを挟むように、積層体22の高さ方向の両端面において長手方向の一端面の端部にそれぞれ延在し、第1の端子電極23Aに接続されている。ダミー電極33Bは、積層体22の高さ方向の両端面において長手方向の他端面の端部にそれぞれ延在し、第2の端子電極23Bに接続されている。
【0041】
内部電極26Bは、図7(b)に示すように、中央部分に形成された矩形の主電極部31Bと、主電極部31Bから積層体22の長手方向に引き出された引出導体32Bとを有している。引出導体32Bの端部は、積層体22の長手方向の他端面に露出し、第2の端子電極23Bに接続されている。
【0042】
また、内部電極26Bと同層には、ダミー電極33C,33Dが形成されている。ダミー電極33Cは、引出導体32Bを挟むように、積層体22の高さ方向の両端面において長手方向の他端面の端部にそれぞれ延在し、第2の端子電極23Bに接続されている。ダミー電極33Dは、積層体22の高さ方向の両端面において長手方向の一端面の端部にそれぞれ延在し、第1の端子電極23Aに接続されている。
【0043】
積層体22における積層方向の表層部分には、保護層26Cが適宜積層されている。保護層26Cは、図7(c)に示すように、ダミー電極33E,33Fが形成されている。ダミー電極33Eは、積層体22の高さ方向の両端面において長手方向の一端面の端部にそれぞれ延在し、第1の端子電極23Aに接続されている。ダミー電極33Fは、積層体22の高さ方向の両端面において長手方向の他端面の端部にそれぞれ延在し、第2の端子電極23Bに接続されている。
【0044】
第1の端子電極23Aは、積層体2の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に延在している。また、第2の端子電極23Bは、積層体2の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に延在している。
【0045】
この第1の端子電極23A及び第2の端子電極23Bは、図5に示すように、Cuなどの導電性金属粉末及びガラスフリットを含む導電ペーストを焼き付けて形成される焼付層37と、Cu単層或いはNi/Sn層などからなるめっき層38とによって構成されている。
【0046】
より具体的には、第1の端子電極23Aを構成する焼付層37Aは、引出導体32Aと、引出導体32Aの両側に位置するダミー電極33A,33Aの縁同士とを繋ぎ、かつダミー電極33D,33Eの縁を覆うように、積層体22の長手方向の一端面に矩形に形成されている。めっき層38Aは、焼付層37Aに覆われていないダミー電極33A,33D,33Eの残部と、焼付層37Aとを覆うように、積層体22の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に形成されている。
【0047】
また、第2の端子電極23Bを構成する焼付層37Bは、引出導体32Bと、引出導体32Bの両側に位置するダミー電極33C,33Cの縁同士とを繋ぎ、かつダミー電極33B,33Fの縁を覆うように、積層体22の長手方向の他端面にそれぞれ矩形に形成されている。めっき層38Bは、焼付層37Bに覆われていないダミー電極33B,33C,33Fの残部と、焼付層37Bとを覆うように、積層体22の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたって断面コの字状に形成されている。
【0048】
図8は、端子電極23A,23Bの製造過程を示す図である。まず、スクリーン印刷等によって上記電極パターンを形成したグリーンシートを積層し、プレス工程、切断工程、焼成工程等を経て、図8(a)に示すように、積層体22を得る。
【0049】
次に、図8(b)に示すように、引出導体32Aと、引出導体32Aの両側に位置するダミー電極33A,33Aの縁と、ダミー電極33D,33Eの一部とを覆うように、例えば浸漬法を用いて積層体22の長手方向の一端面に導電ペーストを塗布する。また、引出導体32Bと、引出導体32Bの両側に位置するダミー電極33C,33Cの縁と、ダミー電極33B,33Fの一部とを覆うように、積層体22の長手方向の他端面に導電ペーストを塗布する。そして、導電ペーストを所定の温度で焼き付けて焼付層37A,37Bを形成する。
【0050】
最後に、図8(c)に示すように、焼付層37Aに覆われていないダミー電極33A,33D,33Eの残部と、焼付層37Aとを覆うように、積層体22の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたってめっき層38Aを形成する。また、焼付層37Bに覆われていないダミー電極33B,33C,33Fの残部と、焼付層37Bとを覆うように、積層体22の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する高さ方向の両端面の縁とにわたってめっき層38Bを形成する。これにより、端子電極23A,23Bが形成され、積層コンデンサ21が得られる。めっき層38A,38Bの形成には、例えば電解めっき法を用いることができる。
【0051】
以上のような積層コンデンサ21によっても、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
[第3実施形態]
【0052】
図9は、本発明の第3実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。また、図10は、図9に示した積層コンデンサの層構成を示す図である。同図に示すように、積層コンデンサ41は、ダミー電極53A〜53Fの電極パターンと、これに伴う端子電極43A,43Bの構成とが第2実施形態と異なっている。
【0053】
すなわち、本実施形態では、図11に示すように、内部電極46Aと同層のダミー電極53A,53B、内部電極46Bと同層のダミー電極53C,53D、及び保護層46Cのダミー電極53E,53Fのいずれもが、積層体42の長手方向の端面までは延在しておらず、積層体42の角部を除く領域にのみ露出するようになっている。保護層46Cの表層には、ダミー電極が形成されない保護層46Dが更に積層されている。
【0054】
このような電極パターンに対し、第1の端子電極43Aを構成する焼付層57Aは、引出導体52Aと、引出導体52Aの両側に位置するダミー電極53A,53Aの縁同士とを繋ぎ、かつダミー電極53D,53Eの縁を覆うように、積層体42の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する端面の縁とにわたって断面コの字状に形成されている。めっき層58Aは、焼付層57Aに覆われていないダミー電極53A,53D,53Eの残部と、焼付層57Aとを覆うように、積層体42の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する端面とにわたって断面コの字状に形成されている。
【0055】
また、第2の端子電極43Bを構成する焼付層57Bは、引出導体52Bと、引出導体52Bの両側に位置するダミー電極53C,53Cの縁同士とを繋ぎ、かつダミー電極53B,53Fの縁を覆うように、積層体42の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する端面の縁とにわたって断面コの字状に形成されている。めっき層58Bは、焼付層57Bに覆われていないダミー電極53B,53C,53Fの残部と、焼付層57Bとを覆うように、積層体42の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する端面とにわたって断面コの字状に形成されている。
【0056】
図12は、端子電極43A,43Bの製造過程を示す図である。まず、スクリーン印刷等によって上記電極パターンを形成したグリーンシートを積層し、プレス工程、切断工程、焼成工程等を経て、図12(a)に示すように、積層体42を得る。
【0057】
次に、図12(b)に示すように、引出導体52Aと、引出導体52Aの両側に位置するダミー電極53A,53Aの縁と、ダミー電極53D,53Eの一部とを覆うように、例えば浸漬法を用いて積層体42の長手方向の一端面とこれに隣接する端面の縁とに導電ペーストを塗布する。また、引出導体52Bと、引出導体52Bの両側に位置するダミー電極53C,53Cの縁と、ダミー電極53B,53Fの一部とを覆うように、積層体42の長手方向の他端面とこれに隣接する端面の縁とに導電ペーストを塗布する。そして、導電ペーストを所定の温度で焼き付けて焼付層57A,57Bを形成する。
【0058】
最後に、図12(c)に示すように、焼付層57Aに覆われていないダミー電極53A,53D,53Eの残部と、焼付層57Aとを覆うように、積層体42の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する端面とにわたってめっき層58Aを形成する。また、焼付層57Bに覆われていないダミー電極53B,53C,53Fの残部と、焼付層57Bとを覆うように、積層体42の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する端面とにわたってめっき層58Bを形成する。これにより、端子電極43A,43Bが形成され、積層コンデンサ41が得られる。めっき層58A,58Bの形成には、例えば電解めっき法を用いることができる。
【0059】
以上のような積層コンデンサ41によっても、第1実施形態と同様の作用効果が奏される。また、本実施形態では、ダミー電極53A〜53Fが、積層体42の角部を除く領域に露出しているので、ダミー電極を起点とした誘電体層5の層間剥がれを防止できる。
[第4実施形態]
【0060】
図13は、本発明の第4実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。また、図14は、図13に示した積層コンデンサの層構成を示す図である。同図に示すように、積層コンデンサ61は、内部電極66A,66Bの電極パターンと、これに伴う端子電極63A,63Bの構成とが第1実施形態と更に異なっている。
【0061】
内部電極66Aは、図15(a)に示すように、中央部分に形成された矩形の主電極部71Aと、主電極部71Aから積層体62の長手方向に引き出された引出導体72Aとを有している。主電極部71Aは、積層体62の高さ方向において実装面と反対側の端面寄りに配置されている。引出導体72Aの端部は、積層体62の長手方向の一端面に露出し、第1の端子電極63Aに接続されている。
【0062】
また、内部電極66Aと同層には、ダミー電極73A,73Bが形成されている。ダミー電極73Aは、積層体22の長手方向の一端面における実装面の端部と、これに隣接する実装面とにおいて断面L字状に延在し、第1の端子電極63Aに接続されている。ダミー電極73Bは、積層体62の長手方向の他端面における実装面の端部と、これに隣接する実装面とにおいて断面L字状に延在し、第2の端子電極63Bに接続されている。
【0063】
内部電極66Bは、図15(b)に示すように、中央部分に形成された矩形の主電極部71Bと、主電極部71Bから積層体62の長手方向に引き出された引出導体72Bとを有している。主電極部71Bは、主電極部71Aと同様に、積層体62の高さ方向において実装面と反対側の端面寄りに配置されている。引出導体72Bの端部は、積層体62の長手方向の他端面に露出し、第2の端子電極63Bに接続されている。
【0064】
また、内部電極66Bと同層には、ダミー電極73C,73Dが形成されている。ダミー電極73Cは、積層体62の長手方向の一端面における実装面の端部と、これに隣接する実装面とにおいて断面L字状に延在し、第1の端子電極63Aに接続されている。ダミー電極73Dは、積層体62の長手方向の他端面における実装面の端部と、これに隣接する実装面とにおいて断面L字状に延在し、第2の端子電極63Bに接続されている。
【0065】
積層体62における積層方向の表層部分には、保護層66Cが適宜積層されている。保護層66Cは、図15(c)に示すように、ダミー電極73E,73Fが形成されている。ダミー電極73Eは、積層体62の長手方向の一端面における実装面の端部と、これに隣接する実装面とにおいて断面L字状に延在し、第1の端子電極63Aに接続されている。ダミー電極73Fは、積層体62の長手方向の他端面における実装面の端部と、これに隣接する実装面とにおいて断面L字状に延在し、第2の端子電極63Bに接続されている。
【0066】
第1の端子電極63Aは、積層体2の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する実装面とにわたって断面L字状に延在している。また、第2の端子電極63Bは、積層体2の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する実装面とにわたって断面L字状に延在している。
【0067】
第1の端子電極63Aを構成する焼付層77Aは、引出導体72Aと、ダミー電極73A,73C,73Eの縁とを覆うように、積層体62の長手方向の一端面とこれに隣接する端面の縁とに形成されている。めっき層78Aは、焼付層77Aに覆われていないダミー電極73A,73C,73Eの残部と、焼付層77Aとを覆うように、積層体62の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する端面とにわたって断面L字状に形成されている。
【0068】
また、第2の端子電極63Bを構成する焼付層77Bは、引出導体72Bと、ダミー電極73B,73D,73Fの縁とを覆うように、積層体62の長手方向の他端面とこれに隣接する端面の縁とに形成されている。めっき層78Bは、焼付層77Bに覆われていないダミー電極73B,73D,73Fの残部と、焼付層77Bとを覆うように、積層体62の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する端面とにわたって断面L字状に形成されている。
【0069】
図16は、端子電極63A,63Bの製造過程を示す図である。まず、スクリーン印刷等によって上記電極パターンを形成したグリーンシートを積層し、プレス工程、切断工程、焼成工程等を経て、図16(a)に示すように、積層体62を得る。
【0070】
次に、図16(b)に示すように、引出導体72Aと、ダミー電極73A,73C,73Eの縁とを覆うように、例えば浸漬法を用いて積層体62の長手方向の一端面とこれに隣接する端面の縁とに導電ペーストを塗布する。また、引出導体72Bと、ダミー電極73B,73D,73Fの縁とを覆うように、積層体62の長手方向の他端面とこれに隣接する端面の縁とに導電ペーストを塗布する。そして、導電ペーストを所定の温度で焼き付けて焼付層77A,77Bを形成する。
【0071】
最後に、図16(c)に示すように、焼付層77Aに覆われていないダミー電極73A,73C,73Eの残部と、焼付層77Aとを覆うように、積層体62の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する端面とにわたってめっき層78Aを形成する。また、焼付層77Bに覆われていないダミー電極73B,73D,73Fの残部と、焼付層77Bとを覆うように、積層体62の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する端面とにわたってめっき層78Bを形成する。これにより、端子電極63A,63Bが形成され、積層コンデンサ61が得られる。めっき層78A,78Bの形成には、例えば電解めっき法を用いることができる。
【0072】
以上のような積層コンデンサ61によっても、内部電極66A,66Bから積層体62の端面に引き出される引出導体72A,72Bの全部を覆うように焼付層77A,77Bが形成されている。これにより、めっき層78A,78Bの形成の際にめっき液が内部電極66A,66B側に浸入することが防止され、絶縁不良の発生を防止できる。また、焼付層77A,77Bがダミー電極73A〜73Fの一部を覆っているので、ダミー電極73A〜73Fの全体を覆う場合に比べて焼付層77A,77Bの面積を抑えることができる。したがって、焼付層77A,77Bに過剰な応力が生じることを抑制でき、焼付層77A,77Bの応力によるクラックの発生を防止できる。
【0073】
なお、焼付層77A,77Bがダミー電極73A〜73Fの一部を覆っていることで、ダミー電極73A〜73Fの残部をめっき層78A,78Bで覆う際、焼付層77A,77Bに含まれる導電粒子を介してめっき層78A,78Bに電流が流れ易くなる。したがって、ダミー電極73A〜73F上に確実にめっき層78A,78Bが形成され、かつ積層体62の表面のめっき層78A,78Bと焼付層77A,77B上のめっき層78A,78Bとを均一な厚さで形成できる。
【0074】
また、積層コンデンサ61では、内部電極66A,66Bが実装面に対して略直交するように配置されている。このため、内部電極66A,66Bの配置数が増加した場合であっても低ESL化が図られる。
【0075】
さらに、積層コンデンサ61では、積層体62の一面側が基板への実装面となっており、内部電極66A,66Bは、積層体62内において実装面と反対側に偏在している。これにより、実装面と内部電極66A,66Bとの間の距離を十分に確保できるので、仮に電歪応力によるマイクロクラックが生じたとしても、クラックが内部電極66A,66Bに到達することを抑制できる。これにより、静電容量の変動が生じることを抑えられる。
【0076】
また、積層コンデンサ61では、ダミー電極73A〜75Fが各内部電極66A,66Bと同層にそれぞれ設けられている。これにより、端子電極63A,63Bの幅を一層確保できる。なお、ダミー電極63A〜63Fが複数層にわたって設けられていたとしても、焼付層77A,77Bが先に形成されることでめっき液が内部電極66A,66B側に浸入することはなく、絶縁不良の発生を回避できる。
[第5実施形態]
【0077】
図17は、本発明の第5実施形態に係る積層コンデンサを示す斜視図である。また、図18は、図17に示した積層コンデンサの層構成を示す図である。同図に示すように、積層コンデンサ81は、ダミー電極93A〜93Fの電極パターンが第4実施形態と異なっている。
【0078】
すなわち、積層コンデンサ81では、図19に示すように、内部電極86Aと同層のダミー電極93A,93B、内部電極86Bと同層のダミー電極93C,93D、及び保護層86Cのダミー電極93E,93Fのいずれもが、積層体82の長手方向の端面までは延在しておらず、積層体62の角部を除いて実装面にのみ露出するようになっている。
【0079】
このような電極パターンに対し、端子電極83Aを構成する焼付層97Aは、引出導体92Aと、ダミー電極93A,93C,93Eの縁とを覆うように、積層体82の長手方向の一端面とこれに隣接する端面の縁とに形成されている。めっき層98Aは、焼付層97Aに覆われていないダミー電極93A,93C,93Eの残部と、焼付層97Aとを覆うように、積層体82の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する端面とにわたって断面L字状に形成されている。
【0080】
また、第2の端子電極83Bを構成する焼付層97Bは、引出導体92Bと、ダミー電極93B,93D,93Fの縁とを覆うように、積層82の長手方向の他端面とこれに隣接する端面の縁とに形成されている。めっき層98Bは、焼付層97Bに覆われていないダミー電極93B,93D,93Fの残部と、焼付層97Bとを覆うように、積層体92の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する端面とにわたって断面L字状に形成されている。
【0081】
図20は、端子電極83A,83Bの製造過程を示す図である。まず、スクリーン印刷等によって上記電極パターンを形成したグリーンシートを積層し、プレス工程、切断工程、焼成工程等を経て、図20(a)に示すように、積層体82を得る。
【0082】
次に、図20(b)に示すように、引出導体92Aと、ダミー電極93A,93C,93Eの縁とを覆うように、例えば浸漬法を用いて積層体82の長手方向の一端面とこれに隣接する端面の縁とに導電ペーストを塗布する。また、引出導体92Bと、ダミー電極93B,93D,93Fの縁とを覆うように、積層体82の長手方向の他端面とこれに隣接する端面の縁とに導電ペーストを塗布する。そして、導電ペーストを所定の温度で焼き付けて焼付層97A,97Bを形成する。
【0083】
最後に、図20(c)に示すように、焼付層97Aに覆われていないダミー電極93A,93C,93Eの残部と、焼付層97Aとを覆うように、積層体82の長手方向の一端面と、この一端面に隣接する端面とにわたってめっき層98Aを形成する。また、焼付層97Bに覆われていないダミー電極93B,93D,93Fの残部と、焼付層97Bとを覆うように、積層体82の長手方向の他端面と、この他端面に隣接する端面とにわたってめっき層98Bを形成する。これにより、端子電極83A,83Bが形成され、積層コンデンサ81が得られる。めっき層98A,98Bの形成には、例えば電解めっき法を用いることができる。
【0084】
以上のような積層コンデンサ81によっても、第4実施形態と同様の作用効果が奏される。また、本実施形態では、ダミー電極93A〜93Fが、積層体82の角部を除く領域に露出しているので、ダミー電極を起点とした誘電体層5の層間剥がれを防止できる。
【符号の説明】
【0085】
1,21,41,61,81…積層コンデンサ、2,22,42,62,82…積層体、3,23,43,63,83…端子電極、5…誘電体層、6,26,46,66,86…内部電極、12,32,52,72,92…引出導体、13,33,53,73,93…ダミー電極、17,37,57,77,97…焼付層、18,38,58,78,98…めっき層。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部電極が形成された複数の誘電体層を積層してなる積層体と、
前記積層体の表面に形成された端子電極と、
前記内部電極から前記積層体の表面に引き出されて前記端子電極に接続される引出導体と、
前記内部電極と離間して前記端子電極に接続されるダミー電極と、を備え、
前記端子電極は、前記積層体の表面に形成された焼付層及びめっき層を有し、
前記焼付層は、前記引出導体の全部と前記ダミー電極の一部とを覆っており、前記めっき層は、前記ダミー電極の残部と前記焼付層とを覆っていることを特徴とする積層コンデンサ。
【請求項2】
前記積層体の一面側が基板への実装面となっており、
前記内部電極は、前記積層体内において前記実装面と反対側に偏在していることを特徴とする請求項1記載の積層コンデンサ。
【請求項3】
前記内部電極は、前記実装面に対して略直交するように配置されていることを特徴とする請求項2記載の積層コンデンサ。
【請求項4】
前記ダミー電極は、前記引出導体を挟んでその両側にそれぞれ設けられ、
前記焼付層は、前記ダミー電極同士を繋ぐように設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の積層コンデンサ。
【請求項5】
前記ダミー電極は、前記各内部電極と同層にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の積層コンデンサ。
【請求項6】
前記ダミー電極は、前記積層体の角部を除く領域に露出していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の積層コンデンサ。
【請求項7】
内部電極が形成された複数の誘電体層を積層してなる積層体と、
前記積層体の表面に形成された端子電極と、
前記内部電極から前記積層体の表面に引き出されて前記端子電極に接続される引出導体と、
前記内部電極と離間して前記端子電極に接続されるダミー電極と、を備えた積層コンデンサの製造方法であって、
前記引出導体の全部と前記ダミー電極の一部とを覆うように塗布した導電性ペーストを焼き付けて前記積層体の表面に焼付層を形成する工程と、
前記ダミー電極の残部と前記焼付層とを覆うように前記積層体の表面にめっき層を形成する工程と、を備えたことを特徴とする積層コンデンサの製造方法。
【請求項1】
内部電極が形成された複数の誘電体層を積層してなる積層体と、
前記積層体の表面に形成された端子電極と、
前記内部電極から前記積層体の表面に引き出されて前記端子電極に接続される引出導体と、
前記内部電極と離間して前記端子電極に接続されるダミー電極と、を備え、
前記端子電極は、前記積層体の表面に形成された焼付層及びめっき層を有し、
前記焼付層は、前記引出導体の全部と前記ダミー電極の一部とを覆っており、前記めっき層は、前記ダミー電極の残部と前記焼付層とを覆っていることを特徴とする積層コンデンサ。
【請求項2】
前記積層体の一面側が基板への実装面となっており、
前記内部電極は、前記積層体内において前記実装面と反対側に偏在していることを特徴とする請求項1記載の積層コンデンサ。
【請求項3】
前記内部電極は、前記実装面に対して略直交するように配置されていることを特徴とする請求項2記載の積層コンデンサ。
【請求項4】
前記ダミー電極は、前記引出導体を挟んでその両側にそれぞれ設けられ、
前記焼付層は、前記ダミー電極同士を繋ぐように設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の積層コンデンサ。
【請求項5】
前記ダミー電極は、前記各内部電極と同層にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の積層コンデンサ。
【請求項6】
前記ダミー電極は、前記積層体の角部を除く領域に露出していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の積層コンデンサ。
【請求項7】
内部電極が形成された複数の誘電体層を積層してなる積層体と、
前記積層体の表面に形成された端子電極と、
前記内部電極から前記積層体の表面に引き出されて前記端子電極に接続される引出導体と、
前記内部電極と離間して前記端子電極に接続されるダミー電極と、を備えた積層コンデンサの製造方法であって、
前記引出導体の全部と前記ダミー電極の一部とを覆うように塗布した導電性ペーストを焼き付けて前記積層体の表面に焼付層を形成する工程と、
前記ダミー電極の残部と前記焼付層とを覆うように前記積層体の表面にめっき層を形成する工程と、を備えたことを特徴とする積層コンデンサの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−4569(P2013−4569A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131163(P2011−131163)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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