積層ホログラム情報記憶媒体およびその記録装置/方法、再生装置/方法、並びに積層ホログラム情報記憶媒体設計方法
この発明の積層ホログラム情報記憶媒体である記憶媒体1は、少なくとも2つ以上のコア層2と、コア層2を挟むように配置した3つ以上のクラッド層3と、一部のコア層2とこれを挟むクラッド層3との境界あるいはコア層2内に設けられ情報データが記憶された1つ以上の回折格子層4と、他のコア層2とこれを挟むクラッド層3との境界あるいはコア層2内に、あるいはギャップ層を介して設けられ、情報データが形状あるいは屈折率分布として記録される1つ以上の記録層42とを有して構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録を可能とした積層ホログラム情報記憶媒体およびその記録装置/方法、再生装置/方法、並びに積層ホログラム情報記憶媒体設計方法に関する。
本願は、2003年12月10日に出願された特願2003−412396号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
本願は、2004年4月5日に出願された特願2004−110872号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
本願は、2004年4月16日に出願された特願2004−121721号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
本願は、2004年9月9日に出願された特願2004−262330号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
本願は、2004年10月5日に出願された特願2004−292429号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来の積層ホログラムROM(Read Only Memory)を用いた記憶媒体およびその再生装置を以下に説明する。
図43は、記憶媒体1’の側面(断面)を示す図であり、コア層2’とクラッド層3’とが交互に積層され、コア層2’とクラッド層3’との境界に回折格子層4’が設けられた構造を成す。回折格子層4’には情報データが例えば凹凸形状によって記憶あるいは蓄積されている。
【0003】
図44は記憶媒体1’のデータを再生する再生装置5’の側面を示す図であり、光ヘッド6’と、光検出器7’とから構成される。光ヘッド6’は記憶媒体1’の所望のコア層2’に入射光8’を入射させる機能を持つ。再生方法は以下である。光ヘッド6’により記憶媒体1’の所望のコア層2’に入射光8’を入射させると、光は回折格子層4’に記憶あるいは蓄積されている情報データ(ホログラムデータ)に依存して回折され、再生光9’が記憶媒体1’の上面に出射する。これを光検出器7’で検出すると記憶媒体1’に記憶あるいは蓄積された情報データを再生することができる。
【0004】
記憶媒体1’は小型大容量化でき、また再生装置5’は構成、構造が単純なため小型とできる。積層ホログラムROMは将来の小型大容量なコンテンツ配布用メモリとして期待されている。また、上記記憶媒体1’を認証シートとして用いることにより、認証シートを小型大容量化でき、また再生装置5’は構成、構造が単純なため小型化できる(特許文献2参照)。この技術は、メモリ、鍵、保障シール、梱包用シール、タグなどの固有の識別番号を記録させる認証シートへの適用が期待されている。
【0005】
ところで、近年、コンテンツの著作権を不正コピー、偽造行為などから守るため、ROM型記憶媒体に対して例えば固有情報(IDentification、以下、IDと略す)を付与する必要性が生じてきた。このためには、記憶媒体個々に対して情報データを記録できること、さらにできればこの情報データをROM用の再生装置で再生できることが要求される。
【0006】
しかしながら、上記従来技術においては、記憶媒体1’は例えば原版を用いたスタンピング技術により作製されるため、全く同一の情報データを有した記憶媒体を大量に生産することは得意とするものの、1枚1枚異なる情報データを有する媒体を作製することは生産性、コスト面で割が合わず苦手である。
また、記憶媒体1’はROM専用媒体であり媒体作製後には情報データを記録することができない。以上説明したように、従来技術では記憶媒体個々に情報データ記録ができないという問題があった。
【0007】
また、上述した認証シートとしての適用分野においては、個々の認証シートが各々固有の情報データを持つことにより、認証シート各々を個別に認証可能となるため利用の範囲、領域を拡大できる点で有利である。
しかしながら、上記従来技術の認証シートは、上述したROM記憶媒体と同様に、例えば原版を用いたスタンピング技術により作製されるため、全く同一の情報データを有した認証シートを大量に生産することは適している。
【0008】
一方、1枚1枚異なる情報データを有する認証シートを作製することは生産性、コスト面で割が合わず適していない。したがって、従来技術では認証シート個々に情報データを容易に記録することができないという問題があった。
本発明は上記の問題を改善するために提案されたもので、その目的は、媒体作成後であってもID等の情報データの記録ができ、また、ROM用記憶媒体の再生装置で当該IDを再生することが可能な積層ホログラム情報記憶媒体と設計方法、および、該記憶媒体に情報データを記録するための記録装置/記録方法並びに再生装置/再生方法を提供することにある。
【発明の開示】
【0009】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体は、少なくとも1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ、形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体は、前記再生光が前記記録層を透過することによって、前記記録層上での前記記録マークの有無および位置が、光の明暗の有無および位置として再生されるように、前記記録データ用回折格子層が形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体は、前記記録データ用回折格子層は、ホログラムとして機能することを特徴とする。
【0012】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体は、前記記録層を挟んで前記第1のコア層および前記記録データ用回折格子層の反対側に設けられ、前記記録層を透過した光を反射する反射層をさらに有することを特徴とする。
【0013】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、第1のコア層の上面あるいは下面あるいは第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層とを有し、前記記録データ用回折格子層は、情報データが、当該記録データ用回折格子層の形状あるいは屈折率変化あるいは消失による再生光の出射の有無よって情報を示す記録マークとして記録されるものであることを特徴とする。
【0014】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体は、前記第1のコア層の上側もしくは下側に配置される1つ以上の第2のコア層と、前記第1のコア層と前記第2のコア層との間に設けられるクラッド層と、前記第2のコア層の上面あるいは下面あるいは第2のコア層内に設けられ、形状または屈折率分布として情報データが記憶された1つ以上の回折格子層とを有することを特徴とする。
【0015】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体は、少なくとも、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体は、形状あるいは屈折率分布により形成され、前記記録層を透過した光を所定の位置に結像させる記録データ用回折格子層をさらに有することを特徴とする。
【0017】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体は、前記記録層に隣接して、あるいは前記記録層にギャップ層を介して設けられた1つ以上の第2のコア層と、前記第2のコア層の上面あるいは下面あるいは第2のコア層内に設けられ、形状または屈折率分布として情報データが記憶された1つ以上の回折格子層とを有することを特徴とする。
【0018】
本発明の再生装置は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する装置であって、少なくとも、前記第1のコア層に入射光を入射させる光ヘッドと、前記記録層を透過した光を検出する光検出器とを有することを特徴とする。
【0019】
本発明の再生装置は、前記記録層を透過した光を反射する反射部をさらに有し、前記光検出器は、前記記録層を透過した光を前記反射部を介して検出することを特徴とする。
【0020】
本発明の再生装置は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する装置であって、少なくとも、前記第1のコア層に入射光を入射させる光ヘッドと、前記記録データ用回折格子層から出射した再生光を検出する光検出器とを有することを特徴とする再生装置。
【0021】
本発明の再生装置は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層を挟むように配置した2つ以上のクラッド層と、前記第1のコア層とこれを挟む前記クラッド層との境界あるいは第1のコア層内に設けられ、情報データが記憶された1つ以上の回折格子層と、前記第1のコア層から離して設けられ、情報データが形状あるいは屈折率分布として記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する装置であって、少なくとも、前記記録層に光を照射する光源と、前記記録層を透過した光を検出する光検出器とを有することを特徴とする。
【0022】
本発明の再生装置は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層を挟むように配置した2つ以上のクラッド層と、前記第1のコア層とこれを挟む前記クラッド層との境界あるいは第1のコア層内に設けられ、情報データが記憶された1つ以上の回折格子層と、前記第1のコア層から離して設けられ、情報データが形状あるいは屈折率分布として記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する装置であって、少なくとも、前記記録層に光を照射する光源と、前記記録層が反射した光を再度反射し、結像させる結像光学系と、前記結像光学系光が結像させた光を検出する光検出器とを有することを特徴とする。
【0023】
本発明の再生方法は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する方法であって、前記第1のコア層に入射光を入射させ、前記記録データ用回折格子層から出射される再生光を前記記録層を介して検出することにより、前記記録層における前記記録マークの有無に対応した光の明暗パターンとして、前記記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする。
【0024】
本発明の再生方法は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する方法であって、前記第1のコア層に入射光を入射させ、前記記録データ用回折格子層から出射される再生光を検出することにより、前記記録データ用回折格子層における前記記録マークの有無に対応した光の明暗パターンとして、前記記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする。
【0025】
本発明の再生方法は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する方法であって、前記記録層に光を照射し、該照射した光を前記記録層を介して検出することにより、前記記録層における前記記録マークの有無に対応した光の明暗パターンとして、前記記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする。
【0026】
本発明の再生方法は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する方法であって、前記記録層に光を照射し、前記記録層が反射した光を検出することにより、前記記録層における前記記録マークの有無に対応した光の明暗パターンとして、前記記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする。
【0027】
本発明の記録装置は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に情報データを記録する記録装置であって、少なくとも前記積層ホログラム情報記憶媒体の記録層に光線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する機能を有する光線照射系、あるいは、記録層に電子線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する機能を有する電子線照射系から構成されることを特徴とする。
【0028】
本発明の記録方法は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に情報データを記録する方法であって、情報データを光あるいは熱あるいは電子により、光の透過、不透通性を持つ記録マークとして前記積層ホログラム情報記憶媒体の記録層に、光線あるいは電子線を用いて、描画あるいは一括投影することによって記録することを特徴とする。
【0029】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体の製造方法は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体の製造方法であって、前記記録層を露出した状態にて情報データを記録した後、別に形成した他の層を貼着して形成することを特徴とする。
【0030】
本発明の再生装置は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内であって所定の位置に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接してあるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して所定の位置に設けられ情報データが光の透過性、不透過性を持つ穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する装置であって、前記積層ホログラム情報記憶媒体の装着を検知したとき、あるいは、電源の投入を検知したとき、前記記録データ用回折格子層に隣接する前記第1のコア層へ入射光を入射する光ヘッドと、前記記録データ用回折格子層から出射した再生光を検出する光検出器とを有し、前記光検出器が検出した再生光から前記積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを得て、該情報データをデコードすることを特徴とする。
【0031】
本発明の再生装置は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する方法であって、前記積層ホログラム情報記憶媒体の装着を検知したとき、あるいは、電源の投入を検知したとき、前記記録データ用回折格子層に隣接する前記第1のコア層へ入射光を入射し、前記記録データ用回折格子層から出射した再生光を検出し、前記再生光から前記積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを得て、該情報データをデコードすることを特徴とする。
【0032】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体は、コア層に入射された入射光を、形状あるいは屈折率分布により形成された回折格子層を介して再生光として出射する積層ホログラム情報記憶媒体と、前記再生光の一部を遮ることで多重記録されている前記記憶情報を分離再生させる開口マスクを備え前記入射光を照射して前記再生光を検出する再生装置と、によって構成される積層ホログラム情報記憶システムにおける積層ホログラム情報記憶媒体であって、前記再生光を透過または不透過にする穴の有無、または前記再生光の透過率の大小により情報を表し、前記開口マスクの開口間隙に重ならない位置に設けられた記録マークを有する記録層と、前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように形成された記録データ用回折格子層と、を備える。
【0033】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体は、コア層に入射された入射光を、形状あるいは屈折率分布により形成された回折格子層を介して再生光として出射する積層ホログラム情報記憶媒体と、前記入射光を照射して前記再生光を検出する再生装置と、によって構成される積層ホログラム情報記憶システムにおける積層ホログラム情報記憶媒体であって、前記再生光を透過させない色彩を有する材料を一部に配置した吸収部とともに、前記吸収部以外の部分に前記再生光を透過または不透過にする穴の有無、または前記再生光の透過率の大小により情報を表す記録マークを配置した記録層と、前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように形成された記録データ用回折格子層と、を備える。
【0034】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体は、コア層に入射された入射光を、形状あるいは屈折率分布により形成された回折格子層を介して再生光として出射する積層ホログラム情報記憶媒体と、前記入射光を照射して前記再生光を検出する再生装置と、によって構成される積層ホログラム情報記憶システムにおける積層ホログラム情報記憶媒体であって、前記再生光を透過または不透過にする穴の有無、または前記再生光の透過率の大小により情報を表し、予め定められた前記再生装置上での前記再生光の明暗の有無及び位置に基づいて所定の規則により変換された位置に設けられた記録マークを有する記録層と、前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記予め定められた前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように形成された記録データ用回折格子層と、を備える。
【0035】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体において、前記所定の規則は、前記再生光の明暗の有無及び位置を上下あるいは左右反転、あるいは有無を反転、あるいは所定の距離だけ上下左右のいずれかにシフトさせた位置に前記記録マークを設ける規則であることを特徴とする。
【0036】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体において、前記所定の規則は、前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が前記再生光の明暗の有無及び位置に対して一対多あるいは多対多あるいは多対一に対応するようにする規則であることを特徴とする。
【0037】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体の設計方法は、コア層に入射された入射光を、形状あるいは屈折率分布により形成された回折格子層を介して再生光として出射し、前記再生光を透過または不透過にする穴の有無または前記再生光の透過率の大小により情報を表す記録マークを有する記録層を備えた積層ホログラム情報記憶媒体と、前記再生光の一部を遮ることで多重記録されている前記情報を分離再生させる開口マスクを備え前記入射光を照射して前記再生光を検出する再生装置と、によって構成される積層ホログラム情報記憶システムにおける積層ホログラム情報記憶媒体の設計方法であって、前記開口マスクの開口間隙に重ならない位置に前記記録マークを設ける工程と、前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように記録データ用回折格子層を形成する工程と、からなることを特徴とする。
【0038】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体の設計方法は、コア層に入射された入射光を、形状あるいは屈折率分布により形成された回折格子層を介して再生光として出射し、前記再生光を透過させない色彩を有する材料を一部に配置した吸収部とともに、前記吸収部以外の部分に前記再生光を透過または不透過にする穴の有無、または前記再生光の透過率の大小により情報を表す記録マークを配置した記録層を備えた積層ホログラム情報記憶媒体と、前記入射光を照射して前記再生光を検出する再生装置と、によって構成される積層ホログラム情報記憶システムにおける積層ホログラム情報記憶媒体であって、前記吸収部に重ならない位置に前記記録マークを設ける工程と、前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように記録データ用回折格子層を形成する工程と、からなることを特徴とする積層ホログラム情報記憶媒体の設計方法。
【0039】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体の設計方法は、コア層に入射された入射光を、形状あるいは屈折率分布により形成された回折格子層を介して再生光として出射し、前記再生光を透過または不透過にする穴の有無、または前記再生光の透過率の大小により情報を表す記録マークを有する記録層を備えた積層ホログラム情報記憶媒体と、前記入射光を照射して前記再生光を検出する再生装置と、によって構成される積層ホログラム情報記憶システムにおける積層ホログラム情報記憶媒体の設計方法であって、予め定められた前記再生装置上での前記再生光の明暗の有無及び位置に基づいて所定の規則により変換された位置に前記記録マークを設ける工程と、前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記予め定められた前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように記録データ用回折格子層を形成する工程と、からなることを特徴とする積層ホログラム情報記憶媒体の設計方法。
【0040】
本発明の認証シートは、少なくとも1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ、形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とから構成されることを特徴とする。
【0041】
本発明の認証シートは、前記再生光が前記記録層を透過することによって、前記記録層上での前記記録マークの有無および位置が、光の明暗の有無および位置として再生されるように、前記記録データ用回折格子層が形成されていることを特徴とする。
【0042】
本発明の再生装置は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層とを有する認証シートに記録された情報データを再生する装置であって、少なくとも、前記第1のコア層に入射光を入射させる光ヘッドと、前記記録層を透過した光を検出する光検出器とを有することを特徴とする。
【0043】
本発明の再生方法は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1コア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する認証シートに記録された情報データを再生する方法であって、前記第1のコア層に入射光を入射させ、前記記録データ用回折格子層から出射される再生光を前記記録層を介して検出することにより、前記記録層における前記記録マークの有無に対応した光の明暗パターンとして検出再生することにより、前記記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする。
【0044】
本発明の記録装置は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する認証シートに情報データを記録する装置であって、少なくとも、前記記録層に光線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する光線照射系、あるいは前記記録層に電子線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する電子線照射系のいずれかを有することを特徴とする。
【0045】
本発明の記録方法は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する認証シートに、少なくとも光線照射系あるいは電子線照射系のいずれかを有する記録装置を用いて情報データを記録する方法であって、情報データを光線照射系あるいは電子線照射系からの光線あるいは電子線により、光の透過、不透過性を持つ記録マークの有無に対応させて前記記録層に、描画あるいは一括投影することによって記録することを特徴とする。
【0046】
本発明によれば、積層ホログラム情報記憶媒体の作製後または作製途中において、容易に情報データを記録することができる。
【0047】
また、本発明によれば、この記録した情報データを再生装置及び再生方法により、容易に再生することができる。
【0048】
さらに、本発明によれば、記録層に識別番号等の積層ホログラム情報記憶媒体毎の固有の情報データを書き込んだ後に、上部にコンテンツの情報データが書き込まれた回折格子層からなる記録層を貼り付け等により形成するため、記録層に対する情報データの書き込みが容易に行え、記録層に用いる材料及び加工の自由度が向上する。
これにより、記憶媒体個々に固有の情報データを記録することができ、記憶媒体の個々を管理することが可能となり、記憶媒体に記憶あるいは蓄積されたコンテンツの著作権を、不正コピー、偽造行為などから守ることができる効果が得られる。
【0049】
また、本発明によれば、本発明に係る認証シートの作製時に、本発明に係る記録装置および記録方法を用いて、上記認証シートに情報データを容易に記録できる。また、この記録した情報データを本発明に係る再生装置および再生方法を用いて容易に再生することができる。
【0050】
これにより、認証シート個々に固有の情報データを記録しこれを再生することができ、認証シートおよびこれを貼り付けたものの個々を管理することが可能となり、後述する種々の応用分野へ適用することができる、という効果が得られる。
【0051】
さらに、この発明によれば、積層ホログラム情報記憶媒体において、記録層は、透過する再生光が再生装置に達するまでに遮られない位置に記録マークを設けた構成となっている。そのため、再生装置において再生光を正確に検出することができ、再生光から読み取れる情報を正確に認識することが可能となる。
【0052】
また、本発明によれば、積層ホログラム情報記憶媒体において、記録層は、再生装置の開口マスクの開口間隙に重ならない位置に設けられた記録マークを有する構成となっている。そのため、再生光は再生装置に達するまで開口間隙によって遮られることがなく再生装置は再生光を正確に検出することが可能となる。それによって、再生装置において再生光から読み取れる情報を正確に認識することが可能となる。
【0053】
また、本発明によれば、積層ホログラム情報記憶媒体において、記録層は、再生光を透過させない色彩を有する材料を一部に配置した吸収部とともに、吸収部以外の部分に再生光を透過または不透過にする穴の有無、または再生光の透過率の大小により情報を表す記録マークを配置することによって構成されている。そのため、再生光は再生装置に達するまで表示部によって遮られることがなく再生装置は再生光を正確に検出することが可能となる。それによって、例えば積層ホログラム情報記憶媒体にコンテンツ等を記憶させ、上記表示部に上記吸収部、即ちコンテンツのタイトル等のデザインを施す場合にも記録マークがデザインの妨げになることを防ぐことが可能となり、さらに、記録マークをデザインの一部として利用することも可能である。
【0054】
また、本発明によれば、積層ホログラム情報記憶媒体は、再生光を透過または不透過にする穴の有無等によって情報を表し、予め定められた再生装置上での再生光の明暗の有無及び位置に基づいて所定の規則により変換された位置に設けられた記録マークを有する記録層と、記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記予め定められた前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように形成された記録データ用回折格子層とを備えた構成となっている。
【0055】
そのため、所定の規則として、再生光の明暗の有無及び位置を上下あるいは左右反転、あるいは有無を反転、あるいは所定の距離だけ上下左右のいずれかにシフトさせた位置に記録マークを設ける規則を適用した場合には、目視によって記録マークに対応する情報を容易に認識できないようにすることができる。また、記録マークの有無及び位置が前記光の明暗の有無及び位置に対して一対多あるいは多対多あるいは多対一となるように変換することによっても同様に目視によって記録マークに対応する情報を容易に認識できないようにすることができる。それによって、積層ホログラム情報記憶媒体に記録されている情報のセキュリティを高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、この発明の第1の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の構成を示す側面図である。
【図2】図2は、この発明の第2の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の構成を示す側面図である。
【図3】図3は、この発明の実施形態による記憶媒体1およびその記録装置の構成を示す図である。
【図4】図4は、この発明の実施形態によるによる記憶媒体1およびその再生装置の構成を示す図である。
【図5】図5は、この発明の実施形態による記憶媒体1およびその記録装置52aを示す図である。
【図6】図6は、この発明の実施形態によるによる記憶媒体1およびその記録装置52bの構成を示す図である。
【図7】図7は、この発明の第3の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の構成を示す側面図である。
【図8】図8は、この発明の第4の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の構成を示す側面図である。
【図9】図9は、この発明の実施形態による記憶媒体1bおよびその再生装置5aの構成を示す図である。
【図10】図10は、この発明の実施形態による記憶媒体1およびその記録装置の構成を示す図である。
【図11】図11は、この発明の実施形態によるによる記憶媒体1およびその再生装置の構成を示す図である。
【図12】図12は、この発明の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の製造方法を説明するための図である。
【図13】図13は、この発明の実施形態による記憶媒体1およびその記録装置52aを示す図である。
【図14】図14は、この発明の実施形態によるによる記憶媒体1およびその記録装置52bの構成を示す図である。
【図15】図15は、この発明の他の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の構成を示す側面図である。
【図16】図16は、この発明の他の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の構成を示す側面図である。
【図17】図17は、この発明の実施形態による記憶媒体1bおよびその再生装置5aの構成を示す図である。
【図18】図18は、図9Aの再生光学系300における光検出器7に一次元センサとしてラインセンサを用いた場合の再生処理を説明する概念図である。
【図19】図19は、図9Aの再生光学系300における光検出器7に二次元センサとしてエリアセンサを用いた場合の再生処理を説明する概念図である。
【図20】図20は、本発明における記憶媒体からの再生光の検出を行う再生装置の動作を説明する概念図である。
【図21】図21は、本発明における記憶媒体からの再生光の検出を行う再生装置の動作を説明する概念図である。
【図22】図22は、この発明の一実施形態における記録層を表す図である。
【図23】図23は、この発明の一実施形態における光検出器を表す図である。
【図24】図24は、この発明の一実施形態における記憶媒体を表す図である。
【図25】図25は、この発明の第5の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の構成を示す側面図である。
【図26】図26は、この発明の第6の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の構成を示す側面図である。
【図27】図27は、この発明の第7の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の構成を示す側面図である。
【図28】図28は、この発明の第8、第9の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の構成および再生装置の構成を示す側面図である。
【図29】図29は、この発明の第10、第11の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の構成および再生装置の構成を示す側面図である。
【図30】図30は、この発明の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の製造方法を説明するための図である。
【図31】図31は、この発明の第12の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の構成およびその再生装置の構成を示す斜視図である。
【図32】図32は、本発明において記録層及びグレーティング層が記憶媒体の読み出し面の1部に形成された構成を示す側面(断面)図である。
【図33】図33は、本発明の認証シートの第1実施形態に係る構成を示す側面(断面)図である。
【図34】図34は、本発明の認証シートの第2実施形態に係る構成を示す側面(断面)図である。
【図35】図35は、本発明の認証シートの第3実施形態に係る構成を示す側面(断面)図である。
【図36】図36は、本発明の認証シートの第4実施形態に係る構成を示す側面(断面)図である。
【図37】図37は、本発明の実施形態に係る認証シートをカードに貼り付けて使用する場合の実施形態を示す図。
【図38】図38は、本発明の第1実施形態に係る記録装置の構成を示す図である。
【図39】図39は、本発明の第2実施形態に係る記録装置の構成を示す図である。
【図40】図40は、本発明の第1実施形態に係る再生装置の構成を示す図である。
【図41】図41は、本発明の第2実施形態に係る再生装置の構成を示す図である。
【図42】図42は、本発明の実施形態に係る認証シートを再生装置のカード差込口に挿入した状態を示す説明図である。
【図43】図43は、従来の積層ホログラム情報記憶媒体の構成を示す側面図である。
【図44】図44は、積層ホログラム情報記憶媒体およびその再生装置の構成を示す側面図である。
【図45】図45は、本発明の第13の実施形態による記憶媒体の構成を示す図である。
【図46】図46は、本発明の第13の実施形態における記憶媒体と再生装置の構成(その1)を示す図である。
【図47】図47は、本発明の第13の実施形態におけるIDデータ再生像(その1)を示した図である。
【図48】図48は、本発明の第13の実施形態における記憶媒体と再生装置の構成(その2)を示す図である。
【図49】図49は、本発明の第13の実施形態における記録マークと開口マスクを重ねた図である。
【図50】図50は、本発明の第13の実施形態におけるIDデータ再生像(その2)を示した図である。
【図51】図51は、本発明の第14の実施形態における記憶媒体と再生装置の構成を示す図である。
【図52】図52は、本発明の第14の実施形態における記録マークと開口マスクを重ねた図である。
【図53】図53は、本発明の第14の実施形態におけるIDデータ再生像を示した図である。
【図54】図54は、本発明の第15の実施形態における記録層を示した図(その1)である。
【図55】図55は、本発明の第15の実施形態における記録層を示した図(その2)である。
【図56】図56は、本発明の第15の実施形態におけるIDデータ再生像を示した図である。
【図57】図57は、本発明の第15の実施形態における記録層を示した図(その1)である。
【図58】図58は、本発明の第15の実施形態における記録層を示した図(その2)である。
【図59】図59は、本発明の第15の実施形態における記録層を示した図(その3)である。
【図60】図60は、本発明の第15の実施形態における記録層を示した図(その4)である。
【図61】図61は、本発明の第16の実施形態におけるIDデータ再生像を示した図である。
【図62】図62は、本発明の第16の実施形態における記録層を示した図(その1)である。
【図63】図63は、本発明の第16の実施形態における記録層を示した図(その2)である。
【図64】図64は従来の情報データの計算方法を示す図である。
【図65】図65は本発明の実施形態に関わる情報データの計算方法を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施例について説明する。ただし、本発明は以下の各実施例に限定されるものではなく、例えばこれら実施例の構成要素同士を適宜組み合わせてもよい。
【0058】
<記憶媒体の第1、第2実施形態>
この発明による記憶媒体は、少なくとも、2つ以上のコア層と、前記コア層を挟むように配置した3つ以上のクラッド層と、前記一部のコア層とこれを挟むクラッド層との境界あるいはコア層内に設けられ情報データが記憶された1つ以上の回折格子層と、前記他のコア層とこれを挟むクラッド層との境界あるいはコア層内に、あるいはギャップ層を介して設けられ、情報データが形状あるいは屈折率分布として記録される1つ以上の記録層とから構成されることを特徴とする。
【0059】
図1は本発明の第1の実施の形態による記憶媒体1の構成を示す側面(断面)図である。2つのコア層2と、前記コア層2を挟むように配置した3つのクラッド層3と、前記一方のコア層2とこれを挟むクラッド層3との境界あるいはコア層2内に設けた1つの回折格子層4と、前記他方のコア層2とこれをはさむクラッド層3との境界あるいはコア層2内に設けた1つの記録層42とから構成される。
【0060】
図2は本発明の第2の実施形態による記憶媒体1aの側面(断面)図である。3つ以上のコア層2と、前記コア層2を挟むように配置した複数のクラッド層3と、前記コア層2とクラッド層3との境界あるいはコア層2内に設けた複数の回折格子層4と、特定の1つのコア層2とこれを挟むクラッド層3との境界あるいはコア層2内に設けた1つの記録層42とから構成される。図2のものは図1のものと比較し、大容量化できる点で有利である。
【0061】
回折格子層4には情報データが例えば凹凸形状、あるいは屈折率分布として記憶されている。図2では記録層42が1つの場合を示したが、複数でも同様の効果を奏する。また回折格子層4、記録層42は、コア層2に直接隣接するだけでなく、ギャップ層を設けても配されても同様の効果を奏する。ギャップ層としてはクラッド層3と同様の特性を有する材料を用いることができる。コア層2の厚さは1um程度、クラッド層3の厚さは10um程度である。回折格子層4はコア層2の上下に2箇所あっても良く、回折格子層4の数が多いことは大容量化できる点で有利である(他の実施形態においても同様である)。
【0062】
記録層42は、感光性あるいは感熱性の材料からなり、光(赤外光、可視光、紫外光、レーザ光、X線、電子線を含む)あるいは熱が当たると形状あるいは屈折率が変化する特性を持つ。例えば、金属(アルミ、クロムなど)、合金、半導体(アンチモンなど)、相変化材料(Ge−Sb−Te系、Ag−In−Sn−Te系)、色素(フタロシアニン系、合金アゾ系、ジアニン系)、フォトリフラクティブ材料(LN,SBN)、フォトクロミック材料、サーモクロミック材料、フォトポリマ、酸化物(酸化クロム、酸化銀など)、樹脂(UV硬化樹脂、熱硬化樹脂などおよびこれら樹脂にフラーレン、色素などを添加したものなど)などが挙げられる。
【0063】
<記録装置、記録方法の第1の実施形態>
本発明の記録装置の第1の実施形態は、記憶媒体の第1の実施形態に情報データを記録する装置であって、少なくとも、記録すべき情報データを持った物体光を記録層に照射する機能を有する物体光照射系と、参照光を記録層に照射する機能を有する参照光照射系とから構成されることを特徴とする。
【0064】
また、本発明の記録方法の第1の実施形態は、記憶媒体の第1の実施形態(図1)に上記の記録装置を用いて情報データを記録する方法であって、記録層の位置で物体光と参照光を干渉させ、光線(レーザ)または電子線(電子ビーム)の照射による光あるいは熱あるいは電子により情報データをホログラムデータとして記録層に記録することを特徴とする。
【0065】
図3は本発明の実施形態による記録装置52の側面図である。記録装置52は、記録すべき情報データを持った物体光92を記録層42に照射する機能を有する物体光光学系100と、参照光82を記録層42に照射する機能を有する参照光光学系101とから構成される。記録層42では、物体光92と参照光82が交わり、熱あるいは光強度の濃度分布を持った干渉縞が形成される。その結果、記録層42には形状あるいは屈折率変化の干渉縞がホログラムデータとして記録される(熱ホログラム記録あるいは光ホログラム記録)。
【0066】
図3(a)では、参照光82をコア層2内に入射させることにより、図5(b)では記憶媒体1の上方から照射することにより、図5(c)では記憶媒体1の下方から照射することにより、各々記録層42に照射する。各々に対し、参照光82を通常光として、あるいは近接場光として照射する方法があり同様の効果を奏する。
【0067】
物体光光学系100は、例えば空間光変調器を用いて物体光92に記録すべき情報データを持たすことができ(記録すべき情報データを表示した空間光変調器に光を通過させる)、必要に応じてレンズ、コリメータなど各種光学部品などを構成部品として有してもよい。参照光光学系101も必要に応じてレンズ、コリメータなど各種光学部品を構成部品として有してもよい。また物体光光学系100と光学系物体光92は光源を有する必要がある。ここで物体光92と参照光82を干渉させホログラム記録させるためには、物体光92と参照光82は干渉性が高い必要があり、同一の光源からの光であることが望ましい。
【0068】
物体光光学系100、光学系物体光92、記憶媒体1は、必要に応じて相対的に角度、位置を変化させてもよく、このため一次元、二次元あるいは三次元駆動機構、機能を有してもよい。さらに記録装置52は、再生光を確認するため、光ヘッド6、光検出器7(図4参照)を有してもよく、必要に応じて遮光マスク、記憶媒体支持部など後述再生装置5(図4)が有する構成要素、機能を有してもよい。
【0069】
<再生装置、再生方法の第1の実施形態>
本発明の再生装置の第1の実施形態は、記憶媒体の第1の実施形態(図1)に記録された情報データを再生する装置であって、少なくとも、記憶媒体に入射光を入射させる機能を有する光ヘッドと、記憶媒体から出射した再生光を検出する機能を有する光検出器とから構成されることを特徴とする。
【0070】
また、本発明の再生方法の第1の実施形態は、記憶媒体の第1の実施形態に上記の再生装置を用いて再生する方法であって、記録層近隣のコア層に光ヘッドからの入射光を入射させ、記録層に記録されたホログラムデータにより入射光が情報データを持った再生光として回折され、この再生光を光検出器を用いて検出再生することにより、記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする。
【0071】
図4は本発明による再生装置の実施形態を示す側面図であり、記憶媒体1(図1)の記録層42に記録された情報データを再生する装置である。図4に示す再生装置5は、光ヘッド6と、光検出器7とから構成され、光ヘッド6は記憶媒体1の所望のコア層2に入射光8を入射する機能を持つ。光ヘッド6により記録層42の近隣のコア層2に入射光8を入射させると、光は記録層42に記録されたホログラムデータ(形状あるいは屈折率変化)に依存して回折され、再生光9が記憶媒体1の上面に出射する。これを光検出器7で検出すると記録層42に記録された情報データを再生することができる。なお、所望のコア層2に入射光8を入射させれば、各回折格子層4に記憶された情報データを読み出せることは従来技術と同様である。
【0072】
コア層2への入射光8の入射方法としては、記憶媒体1の端面から入射させる方法、各コア層2に光結合部を設け記憶媒体1の上面あるいは下面から入射させる方法、各コア層2にミラー面を設け記憶媒体1の上面あるいは下面から入射させる方法が挙げられ同様の効果を奏する。但し端面から入射させる方法は記憶媒体1に光結合部、ミラー面などを設ける必要がない点で有利である。
【0073】
光ヘッド6は、入射光8の発生源を有し、発生源としては例えば各種レーザ光源が使用できる。また光ヘッド6は、例えば、光を引き回すミラー、コリメータなど光学部品、入射光8をコア層2に集光させる機能をもつ集光レンズ、入射光8を所望のコア層2の位置、角度で入射させる機能(機構、サーボ機能など)を持つアクチュエータなどと組み合わさって構成される。本再生装置5は必要に応じてサーボ用光検出器を具備しても良い。
【0074】
光検出器7は、記憶媒体1から出射した再生光9を検出する機能を持つ。必要に応じて移動機構を有しても良い。なおこの際、光検出器7と記憶媒体1が相対的に移動すれば良く、記憶媒体1側が移動機構を有しても良い。CCD、CMOSなど二次元光検出器、ラインセンサなど一次元光検出器、フォトダイオードなどが例として挙げられる。再生光9は二次元データとして出射されるため一次元光検出器、さらに二次元光検出器ではこれをより短時間で検出できるという点で有利である。
【0075】
また、再生装置5は必要に応じて開口マスクを有してもよく、開口マスクは記憶媒体1から出射した再生光9が光検出器7に入射するまでの光路の途中に配置され、各々の回折格子層4に多重に情報データを記憶した場合、各回折格子層4から出射する複数の再生光9を分離再生する機能を持つ。開口マスクを用いると、1つの回折格子層4から、光検出器7の複数画面分の情報データを再生することができるため。光検出器7のピクセル数に制限されることなく、記憶媒体1の記憶容量を大きくすることが可能となる。即ち、多重データ記憶・再生が可能となるため大容量化が図れるという効果がある。開口マスクとしては、液晶素子から成り電気的に開口の位置を変化させるもの。開口の位置を固定したマスクを移動させるもの等が挙げられる。前者が機械的駆動を不要とし有利である。一度に開ける開口の数は1つあるいは複数でも構わない(他の実施形態でも同様である)。
【0076】
光学部品、機構部品など、上述した記録装置52、再生装置5の構成要素の数は1つあるいは複数でも良く同様の効果を奏する(他の実施形態でも同様である)。
なお、記録装置52、再生装置5の構成要素として、記憶媒体1を装填する入り口である記憶媒体装填口、記憶媒体1が装填されるスペースである記憶媒体装填スペース、記憶媒体1を固定しローディング、チャック、取出し機能を有する記憶媒体装填台を具備しても良い。これらは記憶媒体1を容易にかつ安定に装填する効果がある。記録装置52、再生装置5の他の構成要素としては、例えば論理/制御回路が挙げられる論理/制御回路は、データ信号の処理、および本明細書に記載のアクティプ素子を駆動制御する機能を持つ回路である。
【0077】
上述した記録装置52、再生装置5は、本発明の典型的な実施形態に過ぎず、各構成要素の配置が変わったもの、各実施形態を組合せ、あるいは組み替えたものも同様の効果を奏し、本発明の範疇とする。
【0078】
<記録装置、記録方法の第2、第3の実施形態>
本発明の記録装置の第2、第3の実施形態は、記憶媒体の第1の実施形態(図1)に情報データを記録する記録する装置であって、少なくとも、記録層に光線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する機能を有する光線照射系、あるいは記録層に電子線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する機能を有する電子線照射系から構成されることを特徴とする。
【0079】
また、本発明の記録方法の第2、第3の実施形態は、記憶媒体の第1の実施形態に上記の記録装置を用いて情報データを記録する方法であって、計算機ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram)によって得た情報データを、光線(レーザ)または電子線(電子ビーム)の照射による光あるいは熱あるいは電子によりホログラムデータとして記録層に、描画あるいは一括投影することによって記録することを特徴とする。
【0080】
図5は第2の実施形態による記録装置52aの側面図であり、記憶媒体の第1の実施形態(図1)に情報データを記録する装置である。図5に示す記録装置52aは、記録層42に光線93を照射し描画する機能を有する光線照射系102から構成される。図6は第3の実施形態による記録装置52bの側面図であり、記憶媒体の第1の実施形態に情報データを記録する装置である。図6に示す記録装置52bは、記録層42に電子線94を照射し描画する機能を有する電子線照射系103から構成される。
【0081】
加工スポットの形状の精度,位置の精度を高精度に出す機構,方法として,上記実施形態のように、サンプル(記憶媒体)の下から加工面を観察しながら加工することにより,スポット形状,スポット位置を高精度に制御することができる。
上記の各実施形態では、計算機ホログラムによって得たホログラムデータを、光線93または電子線94により記録層42に形状あるいは屈折率変化として描画し記録する。このホログラムデータは図3における熱ホログラム、光ホログラムで得られるホログラムデータと等価なものである。
【0082】
記録層42へのホログラムデータの別の記録方法としては、計算機ホログラムによって得たホログラムデータを空間光変調器、フォトマスクなどに表示し、これに光線93または電子線94を通過させ、光線93または電子線94にホログラム情報を持たせ、拡大縮小レンズ系などを介して記録層42にホログラムデータを一括投影(記録層42に形状あるいは屈折率変化として記録)記録する方法がある。一括投影では描画に比較し高速記録が可能という利点がある。
【0083】
光線としては、赤外光、可視光、紫外光、レーザ光、X線などが利用できる。光線照射系102、電子線照射系103は必要に応じてレンズ、コリメータなどを構成部品として有してもよい。また、光線照射系102、電子線照射系103、記憶媒体1は、必要に応じて相対的に角度、位置を変化させてもよく、このため一次元、二次元あるいは三次元駆動機構、機能を有してもよい。さらに記録装置52a、52bは、再生光を確認するため、光ヘッド6、光検出器7を有してもよく、必要に応じて遮光マスク、記憶媒体支持部など上述再生装置5が有する構成要素、機能を有してもよい。その他、追加可能な構成要素、機能などは図3の記録装置で記したものと同様である。
【0084】
記録層42に記録した情報データの再生装置、再生方法に関しては、図4の再生装置、再生方法と同様である。即ち、再生装置は、記憶媒体の第1の実施形態に記録された情報データを再生する装置であって、少なくとも、記憶媒体に入射光を入射させる機能を有する光ヘッドと、記憶媒体から出射した再生光を検出する機能を有する光検出器とから構成される。
【0085】
また、再生方法は、記録層近隣のコア層に光ヘッドからの入射光を入射させ、記録層に記録されたホログラムデータにより入射光が情報データを持った再生光として回折され、この再生光を光検出器を用いて検出再生することにより、記録層に記録された情報データを再生する。
【0086】
<記憶媒体の第3、第4の実施形態>
本発明の記憶媒体の第3、第4の実施形態は、少なくとも、2つ以上のコア層と、前記コア層を挟むように配置した3つ以上のクラッド層と、前記一部のコア層とこれを挟むクラッド層との境界あるいはコア層内に設けられ情報データが記憶された1つ以上の回折格子層と、前記他のコア層とこれを挟むクラッド層との境界あるいはコア層内に設けられ再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記他のコア層に隣接してあるいはギャップ層を介してあるいは前記他のコア層から離して設けられ、情報データが光の透過、不透通性を持つ記録マークの有無として記録される1つ以上の記録層とから構成されることを特徴とする。
【0087】
また、記録層上での記録マークの有無および位置が、光の明暗の有無および位置として再生されるように、記録データ用回折格子層が形成されていることを特徴とする。例えば、記録層上での記録マークの有無および位置が、光検出器上での光の明暗の有無および位置に対応するように、記録データ用回折格子層が形成されている。
【0088】
図7は本発明による記憶媒体の第3の実施形態を示す側面(断面)図である。この記憶媒体1bは、2つのコア層2と、前記コア層2を挟むように配置した3つのクラッド層3と、前記一方のコア層2とこれを挟むクラッド層3との境界あるいはコア層2内に設けた1つの回折格子層4と、前記他方のコア層2とこれをはさむクラッド層3との境界あるいはコア層2内に設けた1つの記録データ用回折格子層43と、前記他方のコア層2に隣接して配された1つの記録層42から構成される。
【0089】
図8は本発明における記憶媒体の第4の実施形態を示す側面(断面)図である。この記憶媒体1cは、3つ以上のコア層2と、前記コア層2を挟むように配置した複数のクラッド層3と、前記コア層2とクラッド層3との境界あるいはコア層2内に設けた複数の回折格子層4と、前記特定の1つのコア層2とこれを挟むクラッド層3との境界あるいはコア層2内に設けた1つの記録データ用回折格子層43と、前記他方のコア層2にギャップ層44を介して配された記録層42とから構成される。図8のものの方が情報データを記憶した回折格子層の数が多いため、大容量化できる点で有利である。
【0090】
回折格子層4には情報データが例えば凹凸形状、あるいは屈折率分布として(ホログラムデータとして)記憶されている。記録層42は1つだけでなく、複数でも同様の効果を奏する。
また回折格子層4、記録層42は、コア層2に直接隣接するだけでなく、ギャップ層44を設けて配されても同様の効果を奏する。各構成要素に関しては図1、図2に示すものと同様である。コア層2、クラッド層3の材料としては樹脂、ガラス、光学結晶などが使用でき、ギャップ層44としてはクラッド層3と同様の特性を有する材料(樹脂、ガラス、光学結晶など)を用いることができる。コア層2の厚さは1μm程度、クラッド層3の厚さは10μm程度である。回折格子層4はコア層2の上下に2箇所あっても良く、回折格子層4の数が多いことは大容量化できる点で有利である。
【0091】
記録層42は、図1及び図2に示すものと同様であるが、光(赤外光、可視光、紫外光、レーザ光、X線、電子線などを含む)あるいは熱が当たると形状あるいは屈折率などの光学特性が変化し、結果として光に対する透過/不透過性(透明/不透明変化、穴有り/無しなどを含む)が変化する機能を有する材料が利用できる。例えば、特定の光、熱が当たると不透明から透明に変わる(あるいはその逆)、あるいは形状変化/昇華により消失する(穴が開く)ような特性を有する材料が利用できる(記録層42上にこのようにして形成された跡を記録マーク45と呼ぶこととする)。透過部分を記録マークとしても、あるいは不透過部分を記録マークとしても良い。
【0092】
本明細書では透過部分を記録マークとした前提で記述していることが多いが、不透過部分が記録マークである場合にも同様の効果を奏する。この場合は例えば明暗ドットの明暗が逆になるなど本明細書の実施形態の記述が適宜変わるが、これらを含めて全て本実施形態の範疇とする(全実施形態で同様)。具体的な記録層42の材料としては、金属(アルミ、クロムなど)、酸化物(酸化クロム、酸化銀など)、半導体(アンチモンなど)、樹脂(UV硬化樹脂、熱硬化樹脂など、およびこれら樹脂にフラーレン、色素などを添加したものなど)、インク、塗料、紙などが使用できる。
【0093】
図7ではギャップ層44がない例、図8ではギャップ層44がある例を示したが、いずれも同様の効果を奏し、ギャップ層44はあってもなくてもよい。また記録層42は記録データ用回折格子層43に対し、再生光9が出射する側に(記憶媒体1に対して光検出器7が配される側に)配されればよく、記録層42と記録データ用回折格子層43との間にはギャップ層44以外の層、例えばコア層2、クラッド層3が配されても構わない。
【0094】
但し、通常は回折格子層4にはデータ情報が記憶されているため、これを再生するためには、回折格子層4は記録層42と記録データ用回折格子層43との間に位置しない方が有利である(記録層42、記録データ用回折格子層43が回折格子層4からの再生光9を遮蔽し回折格子層4の情報データが再生できなくなるためである。)。
【0095】
記録データ用回折格子層43は、回折格子層4と同様の特性を持つものであり、凹凸形状あるいは屈折率分布により隣接するコア層2に入射した入射光8を再生光9として出射するものである。再生光9の出射角としては例えば真上、光ヘッド6からの入射光8に対して前方、後方でもよく、また平行光でも種々の角度をもった光が混在していてもよい。
【0096】
但し、ほぼ真上に出射させ、かつ、平行光とすることが、記録装置52、再生装置5をコンパクトに実装でき、また記録データ用回折格子層43からの再生光9の平行性を維持できる点で有利である(後述するように、記録データ用回折格子層43からの再生光9は広がらない方が多くの情報を記録層42に記録し再生する点で有利であるため)。
【0097】
後述する、再生装置及び再生方法において示すように、記録層42上での記録マーク45の有無および位置は、光検出器7上での光の明暗の有無および位置に対応するように、記録データ用回折格子層43が形成されていてもよい。
記録層42上での記録マーク45の有無および位置は、光検出器7上での光の明暗の有無および位置と1対1に対応していてもいいし、また必ずしも1対1対応していなくても良い。
【0098】
即ち、1個の記録マーク45に対して光検出器7上の明暗ドット1個が対応してもいいし、あるいは1個の記録マーク45に対して複数の明暗ドット、あるいは複数の記録マーク45に対して1個の明暗ドット、あるいは複数の記録マーク45に対して複数の明暗ドットが対応するよう記録データ用回折格子層43を形成しても良い。
【0099】
記憶媒体1としては、記録層42を含む記憶媒体1を一体で作製し、その後、記録層42に記録するもの、記録層42を含む部分と記録層42を含まない部分の二体で作製し、記録層42を含む部分に対して、記録層42に記録を行った後、これと記録層42を含まない部分を貼り付け最終的に一体にするもの、まず記録層42を含む部分の記録層42に記録し、これに記録層42を含まない部分を追加作製するもの、が挙げられる。
記録層42に穴開けする場合には、記録層42は表面に露出している方が穴開けし易く、上記のように、二体で作製する方法が有利である。
【0100】
記憶媒体1としては、そのままの形態で使用する方法、パッケージ/カートリッジなどの容器に入れて使用する方法、そのままの形態で使用し片面(再生光が出射しない側)にラベルを貼付して使用する方法などが挙げられる。記録装置、再生装置の構成要素を、記憶媒体、パッケージ、カートリッジの構成要素として持たせてもよく(あるいはその逆など相互に構成要素を交換して構成しても)、同様の効果を奏する。
【0101】
なお、本発明による記憶媒体1の層の構成としては、適宜各層の間にギャップ層、クラッド層、保護層を挿入してもよく、また上下の最表面にはクラッド層あるいは保護層がある場合、ない場合が考えられ、いずれも同様の動作、効果が得られる。
【0102】
<記録装置、記録方法の第1の実施形態>
本発明の記憶媒体の第3及び第4の実施形態に対する記録装置の第1の実施形態としては、図5、図6に示す記録装置52a、52bを利用することができる。即ち、記録装置は、記憶媒体の第3、第4の実施形態に情報データを記録する装置であって、少なくとも、記録層42に光線を照射し、情報データを描画あるいは一括投影する機能を有する光線照射系、あるいは、記録層42に電子線を照射し、情報データを描画あるいは一括投影する機能を有する電子線照射系から構成される。
【0103】
また、本発明による記録方法は、記憶媒体の第3、第4の実施形態に上記の記録装置を用いて情報データを記録する装置であって、情報データを光線(レーザ)または電子線(電子ビーム)の照射による光あるいは熱あるいは電子により、光の透過、不透通性を持つ記録マークの有無に対応させて記録層に、情報データを描画あるいは一括投影、すなわち情報データを光線または電子線を用いて記録することを特徴とする。すなわち、光線照射系102(図5)、電子線照射系103(図6)を用いて、記録層42に光線、電子線を透過する(あるいは透過しない)箇所(記録マーク45:図9)を、描画、あるいは空間光変調器などを用いた一括投影により形成する。この記録マーク45の位置、形状(例えば、記録マーク45を穴として形成する)などにより、記録層42に情報データを記録することが可能となる。
【0104】
また、光線、電子線などを用いて記録層に記録する方法以外に、イオンビーム源により発生させたイオンビームを用いて記録層に記録することもできる。また、インクジェットプリント、レーザプリント、スクリーン印刷などの種々の印刷技術を用いて、インク、塗料などを所望のパターンで記憶媒体上に印刷することによっても記録することができる。
【0105】
また、紙、樹脂などのラベルを記憶媒体に貼り、これに記録パターンを記録する方法、あるいは予め記録パターンが記録された前述ラベルを記憶媒体に貼る方法を用いることもできる。
【0106】
上記各方法を組み合わせたものとしては、例えば、印刷技術によってインク、塗料を塗布し、これらに光線、電子線などを照射して記録する方法も挙げられる。加工スポットの形状の精度、位置の精度を高精度に出す機構、方法として、サンプル(記憶媒体)下から加工面を観察しながら加工することにより、スポット形状、スポット位置を高精度に制御可能とできる。例えば、光線(レーザビーム)を用いて加工記録する場合、レーザの反射をモニタして同様に加工面を観察し、スポット形状、スポット位置を高精度に制御する方法も挙げられる。但し、反射で観察する場合には、入射ビームと反射ビームを分離する光学系、例えば、ハーフミラー、ビームスプリッタが必要となるが、これらを用いると、入射ビームが減衰してしまい(通常、半分以下に減衰する)、入射ビームのパワーが落ち、加工能力が低下するという問題が生じる。これに対して、サンプルの下で観察(この場合、透過ビームを観察することになる)する方法では、原理的に入射ビームのパワーを低下させることなく、加工面を観察できるという利点がある。
【0107】
<記録装置、記録方法の第2の実施形態>
また、本発明の第2の実施形態に係る記録装置は、少なくとも記録層を有する記憶媒体に情報データを記録する装置であって、少なくとも、記録層に光線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する光線照射系、あるいは電子線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する電子線照射系のいずれかを有することを特徴とする。記憶媒体としては例えば、本発明の実施形態に係る記憶媒体が使用できる。
【0108】
本発明の第2実施形態に係る記録方法は、少なくとも記録層を有する記憶媒体に、少なくとも光線照射系あるいは電子線照射系を有する記録装置を用いて情報データを記録する方法であって、情報データを光線照射系あるいは電子線照射系からの光線あるいは電子線により、光の透過、不透過性を持つ記録マークの有無に対応させて記録層に、描画あるいは一括投影することによって記録することを特徴とする。記憶媒体としては例えば、本発明の実施形態に係る記憶媒体が使用できる。記録装置としては例えば、本発明の実施形態に係る記録装置が使用できる。
【0109】
図10、図11に本発明の実施形態に係る記録装置52の構成(側面図)を示す。図10では記録装置52は、記録層42に光線93を照射し描画する光線照射系102から構成され、図11では記録装置52は、記録層42に電子線94を照射し描画する電子線照射系103から構成される。図10は、記憶媒体1として記録層42を含む部分と記録層42を含まない部分が一体となって作製されたものを記録する例を示している。一方、図11は記録層42が表面に露出したものを記録する例を示したものであり、識別番号等の固有情報の情報データを記録層42に記録し、この記録層42を含む部分(識別情報記録部分)を生成した後、これと記録層42を含まない部分(通常の製造工程により、複数の回折格子層に、流通させるコンテンツの情報データを記憶したROM部分)を貼り付け最終的に、上記識別情報記録部分及びROM部分との二体を一体構造とした記憶媒体1が形成される。
【0110】
すなわち、上記識別情報記録部分及びROM部分とを別々に作成して、後に貼り付けることにより、ROM部分の形成は従来技術で行えることから高い生産性を維持し、識別情報記録部分の形成は各記憶媒体に固有な情報データを、記録層に対して簡易に記録できるため、結果として、容易に固有情報が記録された記憶媒体を製造することが可能となる。
【0111】
なお、上述のように、記録層42に穴開けする場合には、記録層42は表面に露出している方が穴開けし易い。すなわち、加工面が露出していることにより、レーザまたは電子ビーム等の光線93を照射して、直接に記録層42に情報データを示す記録マークを描画することが可能なため、加工精度を向上させることができる。
【0112】
さらに、上記識別情報記録部分及びROM部分とを一体とした後、記録層2に光線93を照射して穴開けを行う場合、記録層42の材料の変形、または記録層42の材料が昇華するスペースがないために体積変化が起こり、上部のクラッド層またはギャップ層を変形させて水ぶくれ状態とし、記憶媒体が変形する可能性がある。この記憶媒体の変形により、記憶媒体のサイズが再生装置に挿入可能なサイズを超えてしまい、挿入できなくなる。
また、記憶媒体が変形することにより記憶面が歪み、入射光が所定の位置に入射されず、入射されたとしても再生光が正しく出射されず、情報データが再生できなくなる弊害が生じる。
【0113】
一方、露出した状態において記録マークとしての透過率の変更及び穴開けを行うことにより、記録層42の材料の昇華が大気中に放出されて体積変化が起こらない、例えば、図11に示すように記録層42まで形成し、記録層42が露出した状態で記録マークの加工を行うことにより、上述した水ぶくれを発生させることを防止することができる。
【0114】
また、記録層42の材料が変形しても、識別情報記録部分及びROM部分の二体を貼り合わせる際に、接着材料の接着層によって、この変形が吸収され、上記入射光及び反射光の不具合による再生不良を回避することができる。
【0115】
ここで、情報データとしてコンテンツを記憶した複数の回折格子層,コア層及びクラッド層からなる、別に作成したROM層を貼り付ける場合、このROM層と記録層42とを接着する上記接着層(接着剤)の材料としては、クラッド層3(図9)あるいは記録層42の下部のコア層2(図7)またはギャップ層44(図8)の材料と同様の光特性を有するもの、すなわち、同様の光整合性を有する材料を用いる。この結果、光線93や電子線94を照射することによって発生する熱により、記録層42に記録マークとしての穴を開けるときに生じた、コア層2(図7)またはギャップ層44(図8))の表面に生じた欠陥を回復させることができる。さらに、記録層42を露出して記録処理を行い、穴開け時に記録層42が体積変化したとしても、ROM層との接着時に、上記接着剤による接着層により、ある程度の変形を吸収することができ、体積変化する材料も使用することが可能となる。
【0116】
また、上述したように、貼り付ける層と同様の光学特性を有する接着剤を用いることにより、記録マーク部分(穴部分)や記録層が形成されていない部分(後に説明する部分的に記録層を形成した場合)を、この接着剤で埋めて補完することができるため、接着面(二体の貼り合わせ面)を光学的に連続とすることができる。これにより、例えばレーザ光で記録層42に穴開け記録をした際、直下の層であるギャップ層44等にレーザ光による損傷を受けた場合(穴が生成された場合など)も、接着剤によりこの損傷としての穴を連続となるように埋めて補完することができ、二体を一体とする工程において、記録加工の損傷を回復させることができる。
【0117】
また、記録層42の透過率または屈折率を、光線93及び電子線94により変化させ、記録マーク45を形成する場合、透過率及び屈折率を変化させること自体は物理的に可能であるが、使用する加工光によって透過率が検出可能な程度に変化する材料を選択する必要があり、材料の選択が難しい面がある。
【0118】
すなわち、所定のエネルギを有する光の照射により、透過率または屈折率が変化する特性を有する新材料を見つける、または作成することは、この材料が同時に以下に示す(i)〜(iii)の各特性を満たす必要があるため、上記特性の材料を新規に見出すことは非常に困難性を伴う。
【0119】
(i)記録マークとして機能する(光を透過する)際に、コア層及びクラッド層の屈折率がほぼ同程度である必要がある(例えば、双方の屈折率は例えば1.5程度でコア層がほんの少し大きな値となる)。
(ii)記録時において、光の照射により屈折率または透過率が変化し、一方再生時には屈折率または透過率が光が当っても変化しないような条件(読み出しと書き込みとの照射する光の波長、すなわちエネルギを変化させること)が必要である。この条件に対しては、急峻な光波長選択性を持つ材料を見つけ出すか、またはこのような条件を満たすような化学処理法(不活性処理)を見出す必要がある。
(iii)記録層の新材料に対して、耐環境性(熱/化学安定性)、無毒無害性及び光のエネルギにより熱膨張しないか、またはコア層及びクラッド層と同じ熱膨張率を有する必要があり、記録(すなわち光照射による屈折率変化,透過率変化)の前後において体積変化しない。
【0120】
一方、記録マーク45として、穴の有無により情報データを示す場合、予め記録層42のみを単層として加工し、回折格子層や上記ROM層を貼り付けて構成することもでき、記録層42に使用可能な材料の自由度が向上し、より加工を安価に行えることとなる。
【0121】
すなわち、記録層における穴の有無を記録マークとすると、記録層の材料としては、例えば塗料などを用いることができ、レーザで穴開けを行い情報データの記録を行う場合、レーザ光を効果的に吸収し穴開けを効率的に行い、再生時には穴の内部分が回折格子層からの再生光を遮光するという条件を満たす(屈折率及び透過率を変更させる材料に比較して要求される条件が緩い)ことにより、材料の選択の自由度が多くなる。
【0122】
さらに、透過率の変化により記録マーク45を形成した場合、情報データの読み出し時に照射される入射光により、記録層42の材料が経時変化により透過率が徐々に変化して、長い期間利用した記録層42については情報データが正しく読み出せなくなることが考えられる。
【0123】
しかしながら、記録マーク45として、穴の有無により情報データを示す場合、記録マーク45のデータが変化することがなく、透過率によって記録層42に対する情報データの書き込みに比較して長期間の使用が可能となる。
【0124】
上述したように、記録層に穴を開けて情報データを記録させるのではなく、記録層の光学特性を変化させて情報データを記録させる場合、識別情報記録部分及びROM部分を一体化した後に、レーザ等を用いて情報データの記録を行うと、記録層42の体積変化が起こる場合、記憶媒体1が変形してしまい、すでに述べた記録層42に穴開けを行う場合と同様に、情報データを記録したものの、記録した情報データが正しく読み出せなくなる弊害が生じる。
【0125】
一方、識別情報記録部分及びROM部分を別々に二体で生成する場合、すなわち識別上納記録部分の記録層42を露出した状態で、レーザを照射して情報データを記録し、記録した後に別々に生成した二体を接着剤により貼り合わせることにより、貼り合わせの接着剤の接着層により、レーザの照射による記録層42の体積変化、すなわち記録層42の変形を吸収することができ、記憶媒体1全体の変形を防止することが可能となり、上述した情報データが正しく読み出せなくなる弊害を取り除くことができる。
【0126】
しかしながら、識別情報記録部分及びROM部分を二体それぞれ別々に生成して、識別情報記録部分の記録層42に情報データを記録した後に、これら二体を貼り合わせることにより、レーザ照射により情報を記録する記録層42の材料として、情報データを書き込んだ結果として体積変化する材料を使用することができ、利用できる材料の幅が広がり、記録層42新規材料の開発を容易とすることが可能となる。
【0127】
また、図10、図11の光線93と電子線94、光源照射系102と電子線照射系103が入れ替わったものも同様の効果を奏する。
以下、記録装置52の記録動作を説明する。記録に際しては光線照射系102、または電子線照射系103を用いて、記録層42に光(レーザ光)または、電子線に対する透過/不透通性を示す箇所(記録マーク45:透明/不透明、穴有り/無しなどを含む)を描画、あるいは空間光変調器などを用いた一括投影により形成する。
【0128】
この記録マーク45の有無(数、位置、形状など)により、記録層42に情報データを記録することが可能となる。記録層42の形状、屈折率変化、消失(穴開き)などが記録マーク45として機能する。
光線93としては、赤外光、可視光、紫外光、レーザ光、X線などが利用できる。光線照射系102、電子線照射系103は必要に応じてレンズ、コリメータなどの光学部品、電子線用部品を構成部品として有してもよい。
また、光線照射系102、電子線照射系103、記憶媒体1は、必要に応じて相対的に角度、位置を変化させてもよく、このため一次元、二次元あるいは三次元駆動する機構および機能を有してもよい。
【0129】
さらに、記録装置52は、再生光を確認するため、光ヘッド6、光検出器7などを有してもよく、必要に応じて開口マスク、再生光学系、記憶媒体支持部など本発明の再生装置5が有する構成要素、機能を有してもよい。
【0130】
なお、光線93、電子線94などを用いて記録層42に記録する方法以外に、インクジェットプリント、レーザプリント、スクリーン印刷など種々の印刷/プリント技術を用いて、インク、塗料などを所望のパターンで記憶媒体1上に印刷することによっても記録することができる。
【0131】
また、紙、インク、樹脂などのラベルを記憶媒体に貼り、これに記録パターンを記録する方法、あるいは予め記録パターンが記録された前述ラベルを記憶媒体1に貼る方法を用いることもできる。よってこれらも本発明の範疇とする。
また、光線93、光線照射系102、電子線94、電子線照射系103に加え、イオンビーム、イオンビーム源も有用であり、これらおよび、これら上記記載のものを各々組合せたもの、例えば、印刷技術によってインク、塗料を塗布し、これらに光線93、電子線94などを照射して記録する方法も挙げられ、これらも本発明の範疇とする。
【0132】
なお、記録装置、記録方法として、記録マーク45の加工スポット形状の精度、位置の精度を高精度に出す機構、方法として、サンプル(記憶媒体1)下から加工面を観察しながら加工する装置、方法とすることにより、スポット形状、スポット位置を高精度に制御可能とでき、有利である。
【0133】
また、図12に記録装置の他の構成例を示す。同図において、光線照射系(あるいは電子線照射系)102は例えば光線93を照射する機能を有し、また、上下方向(光線の光軸方向)に移動、記憶媒体1の面内に一次元あるいは、二次元で光線あるいは照射系自体が走査する機能を有する。
ステージ401は記憶媒体1を安定に設置する機能を有し、記憶媒体1の加工箇所周辺にあたるステージ部は穴が開いているか、あるいは透明体から成る窓部402が設けられている。
【0134】
フィルタミラー406は、光線(電子線)93を透過し、ライト403からのライト光404は反射する機能を有し、例えば光線93の光軸に対し、45度でステージ401の下部に設置される。
ライト403はライト光404を照射する機能を有し、ライト光404はフィルタミラー406で反射され、記憶媒体1の加工面で反射し、フィルタミラー406で再度反射した後、カメラ405に入射するよう設置される。カメラ405はライト403からのライト光404が入射する位置に設置され、ライト光404により記憶媒体1の加工面を観察する機能を有する。
【0135】
例えば、光線としてYAG(Ndドープ,YVO4)レーザ光を使用した場合、波長は1064ナノメートル程度であり、ライト光を可視光である波長100〜600ナノメートルとすれば、フィルタミラーとして、波長数百ナノメートル以上の光は透過し、これ以下の光は反射する特性とすることで、上記実施形態(図12)を実現することができる。
【0136】
この実施形態により、記憶媒体1の加工スポットを光軸上で観察でき、この観察結果を光線照射系102あるいはステージ401の制御機構へフィードバックすることで、スポット形状、スポット位置を高精度に制御可能となる。
従来、加工面を観察する方法としては、加工面近傍の斜め上にカメラを設置する方法があったが斜め上方からの観察であるためスポット形状、スポット位置を高精度に観察できないという欠点があった。
また別の従来法としては、光線の入射側で、ハーフミラーあるいは偏光ビームスプリッタなどを用いて、加工面からの反射光を光線の入射方向と逆方向にたどってカメラで観察する方法があった。この方法では光線の光軸上にカメラを配置できるため、スポット形状、位置を高精度で観察、制御できるものの、ハーフミラー、偏光ビームスプリッタを光線が記憶媒体に届く前の光路中に入れる必要があるため、ハーフミラー、偏光ビームスプリッタに光線が吸収、反射(通常、半分以下に減衰する)され、光線のパワーの一部しか記憶媒体の加工に使えないという欠点があった。
【0137】
これら従来法に比べ、本実施形態では、光線93の光軸上にカメラがあるため、スポット形状、位置を高精度で観察、制御でき、また光線照射系102と記憶媒体1との間に観察系(カメラ、ハーフミラー、偏光ビームスプリッタなど)が入らず、加工した後段に観察系が入るため、光線のパワーを損失させることもないという利点がある。
【0138】
なお、ここで記憶媒体1のコア層、クラッド層、ギャップ層などは透明であるため、光線93は記憶媒体1を透過する。またライト光404も記憶媒体1を透過し、加工面を観察することができる。
【0139】
<再生装置、再生方法の第2の実施形態>
本発明の再生装置の第2の実施形態は、記憶媒体の第3、第4の実施形態に記録された情報データを再生する装置であって、少なくとも、記憶媒体に入射光を入射させる機能を有する光ヘッドと、記憶媒体から出射した再生光を検出する機能を有する光検出器とから構成されることを特徴とする。
また、本発明の再生方法の第2の実施形態は、記憶媒体の第3、第4の実施形態に記録された情報データを上記の再生装置を用いて再生する方法であって、記録データ用回折格子層近隣のコア層に光ヘッドからの入射光を入射させ、記録データ用回折格子層から出射される再生光を、情報データを持った記録層における記録マークの有無に対応させて、光検出器の位置で光の明暗パターンとして検出再生することにより、記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする。
【0140】
図9は再生装置5aの構成を示す図である(記憶媒体の第3の実施形態に対応するもの)。基本的には図4に示す再生装置と同様である。記録データ用回折格子層43からの回折光(再生光9)が真上かつ平行光として出射する場合を例に説明する。記録データ用回折格子層43に隣接するコア層2に光ヘッド6から入射光8を入射させると、コア層2に入射した入射光8は記録データ用回折格子層43で回折され、再生光9として真上に平行光として出射する。記録層42には、前述の記録装置により記録マーク45が形成されており、記録層42のうち、例えば記録マーク45の有る箇所では再生光9は透過し、記録マーク45の無い箇所では再生光9は透過しない。
【0141】
よって、光検出器7には、記録層42上の記録マーク45の有り無しパターンに対応した明暗のパターンが検出され、例えば、記憶媒体1bの個別情報データを記録マーク45の有り無しに対応させて記録しておけば、光検出器7によりこれを検出再生することができる。
記録マーク45を透過した再生光9は一般に広がりを持ち、分解能は低下するため、本実施形態ではさほど大容量な記録再生はできないが、記憶媒体1bの固有情報量は当面高々数百ビットあれば十分であるため、本実施形態は有用と言える。
【0142】
なお、光検出器7が、記憶媒体1bに比較し小さい場合には、両者を相対的に移動させることにより、記録マーク45からの再生光スポットの全部を拾うことが可能となり、大容量化に有利となる。
【0143】
<再生装置、再生方法の第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態に係る再生装置は、少なくとも記録データ用回折格子層、コア層を有する記憶媒体に記録された情報データを再生する装置であって、少なくとも、記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはギャップ層を介して配されたコア層に入射光を入射させる光ヘッドと、データ用回折格子層から出射した再生光を検出する光検出器とを有することを特徴とする。
また、記憶媒体から出射した再生光が光検出器に入るまでの光路の途中に配置され、記憶媒体から出射した再生光を光検出器に結像させる再生光学系を有することを特徴とする。記憶媒体としては例えば、本発明の実施形態に係る記憶媒体が使用できる。
【0144】
本発明の実施形態に係る再生方法は、少なくとも記録データ用回折格子層、コア層、記録層、記録マークを有する記憶媒体に記録された情報データを、少なくとも光ヘッド、光検出器を有する再生装置を用いて再生する方法であって、記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはギャップ層を介して配されたコア層に光ヘッドからの入射光を入射させ、記録データ用回折格子層から出射される再生光を、情報データを持った記録層における記録マークの有無に対応させて、光検出器の位置で光の明暗パターンとして検出再生することにより、記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする。
【0145】
記憶媒体としては例えば、本発明の実施形態に係る記憶媒体が使用できる。再生装置としては例えば、本発明の実施形態に係る再生装置が使用できる。
図13は本発明の実施形態に係る再生装置の構成、及び本発明の実施形態に係る再生方法の内容を示す図である。同図において、再生装置5は光ヘッド6と、光検出器7とから構成され、光ヘッド6は記憶媒体1の所望のコア層2に入射光8を入射する機能を持つ。
【0146】
なお、所望のコア層2に入射光8を入射させれば、各回折格子層4に(ホログラムデータとして)記憶された情報データを読み出せることは従来技術と同様である。
コア層2への入射光8の入射方法としては、記憶媒体1の端面から入射させる方法、各コア層2に光結合部を設け記憶媒体1の上面あるいは下面から入射させる方法、各コア層2にミラー面を設け記憶媒体1の上面あるいは下面から入射させる方法等が挙げられ、これらの方法は、同様の効果を奏する。但し、記憶媒体1の端面から入射させる方法は記憶媒体1に光結合部、ミラー面などを設ける必要がない点で有利である。
光ヘッド6は、入射光8の発生源を有し、発生源としては例えば各種レーザ光源が使用できる。また、光ヘッド6は例えば、光を引き回すミラー、コリメータなど光学部品、入射光8をコア層2に集光させる機能をもつ集光レンズ、入射光8を所望のコア層2の位置、角度で入射させる機能(機構、サーボ機能など)を持つアクチュエータなどと組み合わさって構成される。
【0147】
また、本発明の実施形態に係る再生装置5は、必要に応じてサーボ用光検出器を具備しても良い。
光検出器7は、記憶媒体1から出射した再生光9を検出する機能を持つ。必要に応じて移動機構を有しても良い。なお、この際、光検出器7と記憶媒体1が相対的に移動すれば良く、記憶媒体1側を移動させる機構を有しても良い。例えば、CCD(Charge−Coupled Devices)、CMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)など二次元光検出器、ラインセンサなど一次元光検出器、フォトダイオードなどを利用することができる。
【0148】
再生光9は二次元データとして出射されるため一次元光検出器、さらに二次元光検出器ではこれをより短時間で検出できるという点で有利である。
再生装置5は、必要に応じて記憶媒体1から出射した再生光9が光検出器7に入るまでの光路の途中に配置された再生光学系300を構成要素として含んでも良い。図13では、再生光学系300を含んだ図を示している(再生光学系300がない実施形態も同様に効果を奏する)。
再生光学系300は、回折格子層4および記録データ用回折格子層43から出射した再生光9を光検出器7に結像させる機能を持ち、例えば開ロマスク302、レンズ301、プリズム、ハーフミラー、(偏光)ビームスプリッタ、ミラー、偏光子、液晶素子など各種光学部品およびこれらを組合せたものから構成することができる。
【0149】
ここで、開口マスクは記憶媒体1から出射した再生光9が光検出器7に入射するまでの光路の途中に配置され、各々の回折格子層4に多重に情報データを記憶した場合、各回折格子層4から出射する複数の再生光9を分離再生する機能を持つ。開口マスクを用いると、1つの回折格子層4から、光検出器7の複数画面分の情報データを再生することができるため、光検出器7のピクセル数に制限されることなく、記憶媒体1が有する記憶容量のポテンシャルを最大限に引き出すことが可能となる。即ち、情報データの多重記憶・再生が可能となるため大容量化が図れるという効果がある。
【0150】
開ロマスクとしては、液晶素子から成り電気的に開口の位置を変化させるもの、開口の位置を固定したマスクを移動させるもの等が挙げられる。前者が機械的駆動を不要とし有利である。一度に開ける開口の数は1つあるいは複数でも構わない。
以下、本実施形態に係る再生装置の再生動作について説明する。記録データ用回折格子層43に隣接するコア層2に光ヘッド6から入射光8を入射させると、コア層2に入射した入射光8は記録データ用回折格子層43で回折され、再生光9として(図13の場合)上方に出射する。記録層42には、本発明の実施形態に係る記録装置52、記録方法により記録マーク45が形成されており、記録層42のうち例えば、記録マーク(記録マーク)45が有る箇所では再生光9は透過し、記録マーク45が無い箇所では再生光9は透過しない。
よって、光検出器7には、記録層42上の記録マーク45の有り無しパターンに対応した明暗のパターンが検出され、例えば、記憶媒体1の個別情報データを記録マーク45の有り無し(数、位置、形状など)に対応させて記録しておけば、光検出器7によりこれを検出再生できる。
【0151】
再生光9として平行光を記録データ用回折格子層43から出射することにより、記録層42に形成した記録マーク45のパターンをそのまま(記録マークの有無、位置と、光検出器上の明暗、その位置が1:1に対応し、拡大縮小関係もほぼ1:1の比率となる)光検出器7で検出することができる。これは再生装置7の構成要素として再生光学系300がない場合に特に容易となる。
一方、記録マーク45を通過した再生光9が(再生光学系300がある場合には、これを再生光9が通過して)光検出器7に結像するように、記録データ用回折格子層43に予めホログラムデータとして情報データを形成しておけば、上記同様に記録層42に形成した記録マーク45のパターンを光検出器7で検出することができる。
【0152】
この場合再生光9は一般に平行光ではなく種々の角度(場合によっては位相、強度なども種々となる)を持った光となる。なおこの場合には、再生光学系300の有無、種類、特性などに依らず記録マーク45のパターンを光検出器7で検出することができるという利点がある。
上記の様子を図14、図15に説明する。図14に記録層42の実施形態、図15に光検出器7の実施形態を示す。記録層42には記録マーク45のパターンが二次元的に形成されており、これが情報データとして機能する。
光検出器7には記録層42の情報データに対応した明暗の二次元パターンが再生されている。記録データ用回折格子層43から出射した再生光9が平行光の場合には、情報データと明暗パターンは(ほぼ)同サイズとなり、また記録マークの有無、位置と、光検出器上の明暗、その位置が1対1に対応する。即ち、図14のA、B、C、…は、各々図15のA’、B’、C’、‥というように1対1に対応して再生される。
【0153】
一方、記録データ用回折格子層43が上述のようなホログラムデータとして形成されている場合には、同サイズ。あるいは拡大あるいは縮小したサイズで光検出器7に再生される。記録層42上での記録マーク45の有無および位置は、光検出器7上での光の明暗の有無および位置と1対1に対応していてもいいし、また必ずしも1対1に対応していなくても良い。
即ち、1個の記録マーク45に対して光検出器7上の明暗ドット1個が対応してもいいし、あるいは1個の記録マーク45に対して複数の明暗ドット、あるいは複数の記録マーク45に対して1個の明暗ドット、あるいは複数の記録マーク45に対して複数の明暗ドットが、それぞれ対応するよう記録データ用回折格子層43を形成しても良い。
【0154】
例えば、1個の記録マーク45に対して光検出器7上の明暗ドット1個を対応させる場合には、図14のAから出射した再生光は図15のA’に結像するよう、図14のBから出射した再生光は図15のB’に結像するよう(以下同様に)、記録データ用回折格子層43のホログラムデータを形成してやることにより、これを実現できる。
図16は、図13における再生装置5の再生光学系300がレンズ301、開ロマスク302から構成される場合の構成例を示している。この場合、開ロマスク302の開口および各開口間隙が再生光9を遮る恐れがあるが、開口をオープン状態とし、開口間隙を避けるよう記録層42上の記録マーク45を配置することにより問題なく再生光9を光検出器7に結像させることができる。
図16は記憶媒体1(記録層42)が光検出器7より面積が大きい例であり、再生光学系300により情報データを縮小して光検出器7で再生している。広い記録層42とすることで多くの情報データを記録することができる、小さな光検出器7を使うため再生装置を安価、小型にできるなどの利点がある。
また、必要に応じて、光検出器7、再生光学系300を記憶媒体1と相対的に移動させることで、記録面の面積が広い記憶媒体1から出射した再生光9(情報データ)を容易に効率よく光検出器7により再生でき、大容量化を図ることができる(全ての実施形態について同様である。)。
【0155】
図17は、図13における再生装置5の再生光学系300(ここでは例としてレンズ301、開ロマスク302から構成される)が光検出器7と一体化した場合の構成例を示している。再生動作は上述したのと同様である。なお開ロマスクの開口が少数の場合、例えば1個の場合には、光検出器7には図15に示すように全情報データを一度に再生することは不可能となることがある。
この場合には例えば、光検出器7の中央付近に記録マーク45の1個に対応した明暗のドットが1個再生され、光検出器7と再生光学系300の一体化部を記憶媒体1に対して相対的に(記憶媒体1面に沿って)二次元(あるいは一次元)移動させることで、全記録マーク45に対応した全部の明暗ドットを再生することが可能となる。
【0156】
ここでは開口、明暗ドットが1個の場合を示したが、複数個の場合も全情報データを一度に再生できない場合には、同様に二次元(あるいは一次元)移動させることで、全記録マーク45に対応した全部の明暗ドットを再生することが可能となる(全ての実施形態について同様である)。
例えば、再生に用いる光検出器7として、記憶媒体1の幅より長い一次元の光検出器(CCD:電荷結合素子によるラインセンサなど)を用いる場合、図17の再生装置5を上部から見た平面図である図18に示すように、記憶された情報データの再生に対して2通りの制御方法が考えられる。
図18(a)に示す再生の制御方法は、所定のコア層に対し、記憶媒体1の幅全体にわたって入射光8を入射させ、光検出器7の長尺方向(y方向)と入射光8の入射方向(x方向)とが垂直になるように、光検出器7を記憶媒体1に設定し、入射光8の入射方向に対して平行に、光検出器7をレンズ301及び開口マスク302の開閉位置とともに順次移動させ(図18(a)においては左から右方向、あるいは右から左方向へ移動、すなわちx方向)、開口マスク302の開閉を制御して、対応する位置の情報データの再生光を読み出していく。
【0157】
また、図18(b)に示す制御方法は、所定のコア層に対し、光検出器7の長尺方向(x方向)と平行に、この光検出器7が記憶媒体1から情報データの再生光を得られる幅で入射光8を入射させ、光検出器7の長尺方向(x方向)と入射光8の入射方向(x方向)とが平行になるように、光検出器7を記憶媒体1に設定し、入射光8の入射方向に対して垂直(y方向)に、光検出器7を入射光8(すなわち光ヘッド6),レンズ301及び開口マスク302の開閉位置とともに順次移動させ(図においては上から下方向(y方向)、あるいは下から上方向(y方向)へ移動)、開口マスク302の開閉を制御して、対応する位置の情報データの再生光を読み出していく。
次に、再生に用いる光検出器7として、記憶媒体1の表面積よりも小さい二次元の光検出器(CCD:電荷結合素子によるエリアセンサ,イメージセンサなど)を用いる場合、図17の再生装置5を上部から見た平面図である図19に示すように、記憶された情報データの再生に対して2通りの制御方法が考えられる。
【0158】
図19(a)に示す再生の制御方法は、所定のコア層に対し、記憶媒体1の幅全体にわたって光ヘッド6から入射光8を入射させ(x方向へ)、光検出器7を上下(y方向)及び左右(x方向)にレンズ301及び開口マスク302の開閉位置とともに順次移動させ、開口マスク302の開閉を制御して、対応する位置の情報データの再生光を読み出していく。
また、図19(b)に示す制御方法は、所定のコア層に対し、光検出器7の幅に対応する幅の入射光8を光検出器7に射出(x方向)させ、光検出器7を上下及び左右にレンズ301及び開口マスク302の開閉位置とともに順次移動させ、かつ光検出器7の上下方向(y方向)の移動に対応させて、入射光8の入射位置(すなわち光ヘッド6)を上下方向に移動させ、開口マスク302の開閉を制御して、対応する位置の情報データの再生光を読み出していく。
【0159】
上述したように、本発明の再生装置は、一次元または二次元の光検出器を用いて、記憶媒体1の情報データを読み出す面に対して、上記光検出器の位置を相対的に一軸(上下方向または左右方向のいずれか)あるいは二軸(上下及び左右方向)の方向に順次移動させ、記録層に記録された情報データを部分的に読み出し、読み出した部分的な情報データを合成することにより、記録層に書き込まれた情報データ(例えば識別番号の再生データ)の検出を行う。
また、上述した図18及び図19に示す一次元及び二次元の光検出器を組み合わせた構成としても良い。
さらに、上述した一次元及び二次元の光検出器でなく、フォトダイオードやCCD等の光センサ素子の1素子からなる1画素センサからなる光検出器を、二軸(上下及び左右方向)の方向に順次移動させ、記録層に記録された情報データを、光検出器により画素単位に読み出し、読み出した画素を合成することにより、記録層に書き込まれた情報データ(例えば識別番号の再生データ)の検出を行うようにしてもよい。
【0160】
次に、図20、及び、図20に光検出器7を記憶媒体1の読み出し面内において、一軸あるいは二軸駆動させて、記録層に記録されている情報データ(識別番号の再生データ)を読みとる実施形態(側面図)を示す。
例えば、図20においては、再生光学系として開口マスク302が使われ、この開口マスク302の開口部を全て開状態(オープン状態)とした例である。
光検出器7を図21において左右に移動させることにより、入射光8に対応して記憶媒体1から出射される再生された情報データ(ID再生データ)の再生光を順次拾うことが可能となる。
なお、図20に示すように、開口マスク302の開口部を必ずしもいつも全てオープン状態にしておく必要はなく、光検出器7の移動位置に対応した開口部をオープン状態とし、再生光が光検出器7により検出できるように制御されれば良く、光検出器7に位置に対応していないそれ以外の開口マスク302における開口部はこのタイミングでは閉じていても構わない。
また、図21においては、再生光学系として開口マスク302及びレンズを使用した例である。
【0161】
開口マスク302における開口部が1個の場合を示し、光検出器7,レンズ301及び開口マスク302が一体に形成された構成の再生装置を示している。これにより、再生光学系を安価に製造することが可能となる。
そして、この再生装置においては、光検出器7,レンズ301及び開口マスク302からなる再生光学系が図21の左右(x方向)に移動することにより、入射される入射光8に対応して、記憶媒体1から出射される再生された情報データ(ID再生データ)の再生光を順次拾うことが可能となる。
図14、図15は記録層42上の記録マーク45のパターンと、光検出器7上の明暗ドットのパターンが同一あるいは拡大縮小(相似形)となった例を示した。本発明では記録層42上での記録マーク45の有無および位置が、光検出器7上での光の明暗の有無および位置に対応していれば、これらが図6、図7に示すように1対1に対応していてもいいし、また1対1に対応していなくても良い。
図22、図23にこれらが1対1に対応していない例を示す。例えば、図22のDと図23のD’は、Dが1個の△に対し、これに対応するD’が3個の○となる例である。また図22のEと図23のE’は、Eが2個の○と1個の△に対し、これに対応するE’が1個の○となる例である。
【0162】
この図のように記録マーク45のパターンと、光検出器7上の明暗ドットのパターンは、それらの数、形状(0、0、△など)、位置が必ずしも1対1に対応している必要はなく、光検出器7上の明暗ドットのパターンの数、形状、位置などを記録マーク45のパターンの数、形状、位置などにより制御できれば、このような状態であっても図14、図15の場合と同様の効果を奏する。
図24は本発明の第3実施形態に係る記憶媒体1の構成を示し、記録層42、記録データ用回折格子層43が複数ある場合の記憶媒体1の構成を示している。図12では省略してあるが、各記録層42、記録データ用回折格子層43などの間には1つあるいは複数の記録層42、記録データ用回折格子層43、コア層2、クラッド層3、回折格子層4、ギャップ層44、保護層などが配置されていても良い。
このように記録層42、記録データ用回折格子層43は複数層あっても同様の効果を奏する。例えば、図24の一番下の記録層42と下から2番目の記録層42のように記録マーク45の位置を少しずらして形成すると、両者の重なり部分のみを実動的に記録マーク45として機能させることができ、記録マーク45のサイズを記録装置52における光線照射系102、電子線照射系103などの記録精度、記録分解能に制限されることなく、正確かつ微細に形成できるという利点がある。
【0163】
なお、記録層42としては必要に応じて全部(図で上から2番目の記録層42)あるいは一部(図で一番上の記録層42)を透過性(あるいは不透過性)にすることもできる。
このように記録層42、記録データ用回折格子層43を複数有すると、ある記録層42に記録ミスをした場合にも別の記録層42を利用できるという記録過程における歩留まりを向上させる効果もある。
また、複数の再生光学系300(および再生装置5)に対応した複数の記録データ用回折格子層43を記憶媒体1(あるいはその一部)に準備しておくことで、複数の再生光学系300(および再生装置5)に対応した共通の記憶媒体1(あるいはその一部)とすることができ効率が良いという効果もある。
また、記録データ用回折格子層43が複数あると、記録マーク45のパターンと光検出器7上の明暗ドットパターンとの対応を複数準備することができ、情報データの記録、再生にバリエーションが増え、これを記憶媒体の固有情報データとして利用した場合、より情報データ数、種類が増える、よりセキュリティが高くなるなどの効果もある。
【0164】
なお、光学部品、機構部品など本明細書に記載の記録装置52、再生装置5の構成要素の数は1つあるいは複数でも良く同様の効果を奏する。
記録装置52、再生装置5の構成要素として、記憶媒体1を装填する入り口である記憶媒体装填口、記憶媒体1が装填されるスペースである記憶媒体装填スペース、記憶媒体1を固定しローディング、チャック、取出し機能を有する記憶媒体装填台などを具備しても良い。これらは記憶媒体1を容易にかつ安定に装填する効果がある。記録装置52、再生装置5の他の構成要素としては、例えば、論理/制御回路が挙げられる。
論理/制御回路は、データ信号の処理および本明細書に記載の光源、光線照射系、光検出器、液晶素子、各種駆動機構等のアクティブ素子を駆動制御する回路である。
本明細書で図示した記録装置52、再生装置5は、本発明の典型的な実施形態に過ぎず、各構成要素の配置が変わったもの、各実施形態を組合せ、あるいは組み替えたものも同様の効果を奏し、本発明の範疇とする。
また、再生装置5は、一体で構成されるだけでなく、光ヘッド6を含む部分と光検出器7を含む部分が分離し二体以上になって構成されても同様の効果を奏する。
【0165】
また、記録層42に記録した記録マーク45のパターンが同じであっても、記録データ用回折格子層43に形成するデータを異なるものとすることで、光検出器7には異なる情報データを再生することが可能である。
これにより、目視で確認した記録マーク42のパターンと再生される情報データとの対応を容易に取れなくすることができ、より高セキュリティとすることが可能となる。
また、記録層42に記録する記録マーク45のパターンおよび記録データ用回折格子層43に形成するデータの組合せで多数の情報を記録再生できるという利点がある。
以上、本発明によって積層ホログラムROMを用いた記憶媒体(積層ホログラム情報記憶媒体)に対しても、記憶媒体個々に情報データ記録が可能であり、またこの記録した情報データを積層ホログラムROM用の再生装置で再生できることが示された。
【0166】
<第5の実施の形態〜第12の実施の形態>
図25は記憶媒体の第5の実施形態を示す側面図である。この記憶媒体1dは、図7、図8に示す記憶媒体1b、1cと基本的には同様の構造、特性、機能を有し、同様の記録装置、再生装置、記録方法、再生方法が用いられる。
再生光9の出射側(光検出器7が位置する側)に近い位置から、コア層2、記録データ用回折格子層43、記録層42が隣接して配される。光、電子線などで記録層42に記録マーク45を形成することに関しては図7、図8と同様である。
但し、本実施形態では、記録層42に記録マーク45が形成されると共に、隣接する記録データ用回折格子層43も変化(形状、屈折率変化、消失など)をし、結果として記録マーク45が形成された近隣の記録データ用回折格子層43からは再生光9は出射しなくなる。
よって、再生時には記録マーク45の有無に対応して光検出器7には再生光9の明暗パターンが検出され、これによって記録層42に記録された情報データの検出再生が可能となる。
【0167】
図26は記憶媒体の第6の実施形態の側面図である。この記憶媒体1eは、図7、図8に示す記憶媒体1b、1cと基本的には同様の構造、特性、機能を有し、同様の記録装置、再生装置、記録方法、再生方法が用いられる。再生光9の出射側(光検出器7が位置する側)に近い位置から、コア層2、記録データ用回折格子層43が隣接して配され、記録データ用回折格子層43は記録層42を兼ねる。光、電子線などで記録データ用回折格子層43(記録層42)に記録マーク45を形成することに関しては図7、図8と同様である。記録データ用回折格子層43(記録層42)に記録マーク45(形状、屈折率変化、消失など)が形成され、記録マーク45が形成された記録データ用回折格子層43(記録層42)からは再生光9は出射しなくなる。
よって、再生時には記録マーク45の有無に対応して光検出器7には再生光9の明暗パターンが検出され、これによって記録データ用回折格子層43(記録層42)に記録された情報データの検出再生が可能となる。
図27は記憶媒体の第7の実施形態を示す側面図であり、この記憶媒体1fは、基本的には図7、図8と同様である。なお、図25、図26に示すものと同様の効果を奏する。
【0168】
本実施形態では、記録データ用回折格子層43には予め光検出器7に明暗のドットが結像するようにホログラムデータとして回折格子が作製されている。記録層42のうち記録マーク45のない箇所では、記録データ用回折格子層43からの再生光9は記録層42に遮られて光検出器7に届かない。
一方、記録マーク45が形成されると、再生光9は光検出器7まで届き、光検出器7により明暗のドットとして検出再生される。このように記録層42上の記録マーク45の有無と光検出器7上の明暗ドットとを対応付け、記録層42に記録した情報データを光検出器7により検出再生することができる。本実施形態では、光検出器7上での明暗が分解能の高い細かい明暗ドットとできるため、記録容量を大きくできるという利点がある。(透過/不透過は逆でもいい、他の実施形態でも同様である。)
【0169】
図28(a)は本発明の記憶媒体の第8の実施形態およびその再生装置の構成を示す側面図である。この記憶媒体1gは基本的には本明細書で記載した他の実施形態と同様である。この記憶媒体1gにおいては、記録層42に記録された記録マーク45が別途、再生装置に設けられた光源202からの光204を用いて、実像として光検出器7に結像され、検出再生される。
ここで記録データ用回折格子層43は、結像レンズ、凹面反射鏡などの結像光学系として機能する。この機能は記録データ用回折格子層43を例えばホログラム光学素子として設計することにより得ることができる。結像レンズとして機能する場合には、記録データ用回折格子層43は、記録層42と光検出器7との間に配され、凹面反射鏡として機能する場合には、記録データ用回折格子層43と光検出器7との間に記録層42が配される。
【0170】
図28(b)は記憶媒体の第9の実施形態およびその再生装置の構成を示す側面図である。この記憶媒体1hは、上記の記憶媒体1gと比較し記録データ用回折格子43が設けられていない点が異なっている。この記憶媒体1hは、図28(a)と同様の原理により記録層42に形成された記録マーク45を実像として光検出器7に結像させて検出再生するものであり、再生装置に別途設けられた結像光学系203(結像レンズなど)を利用して結像を実現するものである。この場合、結像光学系203は記憶媒体1hと光検出器7との間に配置される。
図28(c)は図28(b)の記憶媒体1hの再生装置の別の実施形態であり、本実施形態では、結像光学系203aとして例えば凹面反射鏡としての機能をするものを利用する。この場合、結像光学系203aと光検出器7との間に記憶媒体1hが配置される構成となる。本実施形態によっても、記録マーク45の実像を光検出器7によって検出再生することができる。
なお、結像光学系203aとしては、凹面反射鏡、結像レンズの他にも、結像反射レンズ、結像ピンホールなど光検出器に上記実像を結像する機能を有する光学部品が使用できる。
【0171】
図29(a)は本発明の記憶媒体の第10の実施形態およびその再生装置の構成を示す側面図である。この記憶媒体1iは、基本的には本明細書で記載した他のものと同様である。記録データ用回折格子層43には、再生光9が例えば図で真上(および真下)へかつ平行に出射するよう回折格子が形成されている。
記録マーク45が形成されると、真上と同時に真下にも再生光9は出射する。記録層42の下には反射層206が設けられており、真下に出射した再生光9は反射して真上に上がり最終的に光検出器7に入る。記録マーク45の存在する箇所からは真上に加え真下の再生光9が加算され、一方記録マーク45の無い箇所からは真上に出射した再生光9のみとなるため、記録マーク45の存在する箇所はより明るくなる。即ち記録マーク45の有無を再生光9の明暗により検出再生することができる。
【0172】
図29(b)は本発明の記憶媒体の第11の実施形態およびその再生装置を示す側面図である。この記憶媒体1jは、図29(a)における反射層206を記憶媒体1iから分離し、再生装置に反射部207として配したものである。原理については図29(a)と同様であり、同様の効果を奏する。
上述した各記憶媒体(第1〜第7の実施形態における記憶媒体)を作成する方法としては、(1)記録層42を含む記憶媒体を一体で作製し、その後、記録層42に記録する方法、(2)図30に示すように、記録層42を含まない部分1−1と、記録層42を含む部分1−2を二体で作製し、記録層42を含む部分1−2に対して記録を行った後、これと記録層42を含まない部分1−1を貼り付け、最終的に一体の記憶媒体1−3とする方法、(3)記録層42を含む部分1−2を作製し、記録層42に記録し、これに記録層42を含まない部分1−1を追加作製する方法、がある。記録層42に穴明けする場合には、記録層42は表面に露出している方が穴明けし易く、上記のように、二体で作製する方法が有利である。
すなわち、各記憶媒体の製造方法として、記録層を露出した状態として、この記録装置に対して情報データを記録した後、別に形成した他の層(コンテンツの情報等が記憶あるいは蓄積された)を貼着して形成する二体で形成する方法が、すでに述べたように、記録層42の材料選択及び加工方法の自由度が向上し、かつ形成後の記憶媒体の変形を防止し、記録したデータの読み取りエラーを低下させることが可能である。
【0173】
また、記憶媒体1としては、そのままの形態で使用する方法、パッケージ、カートリッジなどの容器に入れて使用する方法、そのままの形態で使用し、片面(再生光が出射しない側)にラベル200(図6)を貼付して使用する方法などが挙げられる。
また、図31は記憶媒体の第12の実施形態を示す斜視図である。この記憶媒体1kは片面にラベル200が貼付されている。ラベル200には例えば、文字や画像などの情報が印刷、印字、記載される。なお、図31に示すように、ラベル200中にラベル窓201が設置されていると、ここを通して記録層42に記録した記録マーク45のパターンが目視できる(場合によっては記録情報を肉眼で確認できる)。光源202からの光204(必ずしもレーザ光などの平行光でなくてよい)を記憶媒体1kの(図の配置では)下方から入射し、結像レンズなどの結像光学系203を介して受光素子205(点、一次元、二次元の光検出器)で受光し、記録層に記録された情報を簡易に読み取れる、などが可能となる。
図31のような記録情報の読み取り装置、読み取り方法では、記録再生装置がなくても簡易に記憶媒体固有の情報を読み取り、識別可能という利点、効果がある。図31では上下逆でも構わない。また、もちろん記憶媒体1kの記録情報は、上述した再生装置にて、読み取り、識別可能であることは言うまでもない。
【0174】
さらに、上述した他の再生装置及び再生方法は、通常の装置に対しては適用できないが、利用サービスによって、特殊な再生装置でないと再生できないという特徴も利点となることが考えられる。
例えば、記憶媒体1をユーザが中古品として、買い取りを行う販売店に持ち込んだ際、この販売店の店員が特殊な再生装置により、上記ユーザに知られないように識別番号の情報データを読み出し、盗品として登録されているか否か、または複写されたものか否か等のチェックを行うことにより、記憶媒体1によるコンテンツの流通におけるセキュリティを向上させることができる。
【0175】
なお、上述してきた本発明による各実施形態における記憶媒体の層の構成としては、適宜各層の間にギャップ層、クラッド層を挿入してもよく、また上下の最表面にはクラッド層がある場合、ない場合が考えられ、いずれも同様の動作、効果が得られる。また、記録装置、再生装置の構成要素を、記憶媒体、パッケージ、カートリッジの構成要素として持たせてもよく、あるいは、その逆など相互に構成要素を交換して構成しても同様の効果を奏する。
以上、本発明によって積層ホログラムROMを用いた記憶媒体に対しても情報データ記録ができ、この記録した情報データを積層ホログラムROM用の再生装置で再生できることが示された。
また、上述してきた各実施形態において、図32のように、例えば、記憶媒体1を平面視したとき、少なくとも記録マークが記録される記録層が形成される部分を含んで重なる領域にのみ、記録データ用回折格子層を設け、すなわち、記憶媒体1の読み出し面全面でなく、一部に記録層および記録データ用回折格子層を設けるようにしてもよい。
【0176】
ここで、記録データ用回折格子層が記憶媒体1の読み出しの面全体に形成されていると、入射光8がコア層内を伝播する際に、記録データ用回折格子層により光が漏れて伝搬する光の強度が減衰、すなわち再生光の強度が低下して、読み出しの際に十分な強度の再生光が得られない場合があるという問題がある。
しかしながら、上述したように、必要な部分として読み出し面の一部にのみ記録データ用回折格子層を配置することにより、コア層内を伝搬する入射光8の記録データ用回折格子層における入射光8の漏れを最小限に抑えることができる。
この結果、伝搬する入射光8の強度の減衰を、全面に記録データ回折格子層を設けた構成に比較して防止することができ、再生光の強度の低下が抑制されるため、読み出しの際に十分な強度の再生光が得られると言う利点が得られる。
【0177】
また、上述した光の減衰抑制の観点で言えば、光が漏れる記録データ用回折格子層の面積を削減することで、伝搬する入射光8の減衰量を低下させることが可能なため、記録層は記憶媒体の読み出し面全体に形成しても、情報データを記録する情報量が必要な面積分の一部にだけ形成するようにしても、光の減衰を低下させる効果は同様であるため、いずれを採用しても構わない。
しかしながら、以下に示すように、識別子(ID)の存在する記録マークの配置が目視できるため、セキュリティ低下の回避及び記憶媒体におけるレーベル面のデザイン制約の回避の観点において、記録層は記憶媒体の層全面に配置されるより、必要とされる一部だけに配置されていることが望ましい。
他の記憶媒体(CD(登録商標)、DVD、フラッシュメモリ等)と同様に、本発明の記憶媒体の片面(再生光が出射しない方の面、すなわちレーベル面)には、この記憶媒体に記憶あるいは蓄積されているコンテンツ情報がどんなものであるか等を示す内容表示が、高いデザイン性を持って記載されている。
これはレーベル面に、上記内容表示の画像データを直接印刷したり、または印刷されたシート(紙,プラスチックなど)を貼付したり、あるいは金属,プラスチックなどのパッケージやカートリッジに装填することにより実現されている。
【0178】
記録層が記憶媒体の読み出し面の全体に配置されていると、記憶媒体を表裏いずれの面から見た場合も、遮光性のある記録層の存在が目立ってしまい、光の透過する記録マーク(穴の存在する部分)が目視されることとなり、暗号をかけて簡単には解読はできないが、解読される危険性もあり、記憶媒体によるコンテンツの流通におけるセキュリティの低下につながる恐れがある。
また、本発明の記憶媒体の特徴としては、入射光及び再生光が殆ど減衰することなく透過する(透過させている)ことから明らかなように、光学的に透明であり、このことが新しいメモリとして、従来の記憶媒体に比較して、より未来的な印象を与えている。
しかしながら、上述したように、記録層が記憶媒体の読み出し面の全体に形成されていると、記録層により入射される光が遮光されて透明感が失われてしまい、より未来的な印象を与えるという効果が損なわれてしまう。
【0179】
特に、記憶媒体のレーベル面に対し、直接に内容表示の画像データを印刷した場合、レーベル面の表示が見難くなり、高いデザイン性を持たせて表示させることが難しくなり、デザイン上の制約が生じるという弊害も生じてしまう。
これに対し、上述したように、情報データを記録する必要最小限の面積で記録層を、記憶媒体の読み出し面の一部にのみ配置する(形成する)ことにより、形成場所によっては、殆ど記録層の存在をユーザに意識させることがなくなる。このとき、この記録層に対応させた位置に記録データ用回折格子層を形成することにより、入射光8の漏れを最小限に抑え、かつセキュリティ及びデザインを向上させることが可能となる。
【0180】
また、レーベル面の表示の中に、すなわちレーベル面における遮光性の高い場所に、記録層及び記録マーク(穴の存在する場所)を紛れ込ませることが可能となり、識別番号(ID)の記録される記録マークの配置が目視により認識し難くなり、セキュリティを向上させることが可能となる。
また、上述したように、記録層をレーベル面の表示デザインの中に紛れ込ませることにより、レーベル面のデザインの後に、記録層及び記録マーク(穴の存在する場所)の形成位置を決定することが可能となり、レーベル面のデザインへの制約を最小限に抑えることができる。
さらに、記録層の色に関しては、再生過程にて再生光を遮光することが可能であれば、何色を使用しても構わない。
【0181】
しかしながら、情報データの記録層に対する記録過程において、例えばレーザにより穴開け加工する場合を考慮すると、記録層の材料の選択に際して、レーザ光を容易に吸収し、加工性が高いことが条件となる。
上述したように、記録層として、種々の色の材料を使用できるということは、記憶媒体のレーベル面のデザインに反映でき、かつデザイン中に情報データが組み入れられることからセキュリティをより向上させる効果が得られる。
例えば、レーベル面の色配置に合わせて、記録層の色配置を設定することにより、記録層をレーベル面の表示デザインの中へ紛れ込ませる効果をよりいっそう強化させ、かつレーベル面に表示する画像データのデザイン性をより向上させることが可能となる。
【0182】
<認証シートの実施形態(第13の実施形態)>
本発明に係る認証シートは、少なくとも、1つ以上のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ情報データが光の透過性、不透過性を持つ記録マークの有無として記録される1つ以上の記録層とから構成されることを特徴とする。
また、記録層上での記録マークの有無および位置が、光の明暗の有無および位置として再生されるように、記録データ用回折格子層が形成されていることを特徴とする。また、コア層あるいは記録データ用回折格子層の片面あるいは両面にクラッド層を設けたことを特徴とする。
【0183】
図33〜図36は本発明の各実施形態に係る認証シート500の側面(断面)を示す図である。また、図7及び図8に示す構造の記憶媒体1も、所定のシートの形状に作成することにより、本実施形態における認証シートとして用いることが可能である。
図33は本発明の第1実施形態に係る認証シート500の構成を示しており、同図において、認証シート500は、1つのコア層2と、コア層2の下面コア層内に設けられた1つの記録データ用回折格子層43と、コア層2に隣接して設けられた1つの記録層42とから構成されている。
【0184】
図34は本発明の第2実施形態に係る認証シート500の構成を示しており、同図において、認証シート500は、1つのコア層2と、コア層2の下面コア層内に設けられた1つの記録データ用回折格子層43と、コア層2にギャップ層44を介して設けられた1つの記録層42とから構成されている。
図35は本発明の第3実施形態に係る認証シートの構成を示しており、図33に示した第1実施形態に係る認証シート500における記録データ用回折格子層43の下と記録層42の上にクラッド層3を設けた構成例である。
【0185】
図36は本発明の第4実施形態に係る認証シートの構成を示しており、図34に示した第2実施形態に係る認証シート500における記録データ用回折格子層43の下にクラッド層3を設けた構成例である。いずれも同様の効果を奏する。
また、図7に示す本発明の記憶媒体を用いた認証シートは、図35に示した第3実施形態に係る認証シート500におけるクラッド層3の上に、従来技術同様、回折格子層4、コア層2、クラッド層3を設けた構成例となる。
【0186】
同様に、図8に示す本発明の記憶媒体を用いた認証シートは、図36に示した第4実施形態に係る認証シート500における記録層42の上に、従来技術同様、クラッド層3、回折格子層4、コア層2、クラッド層3を設けた構成例である。
このように、適宜、認証シート500に、1つ以上のコア層2とコア層2を挟むように配置した2つ以上のクラッド層3と、コア層2とクラッド層3との境界あるいはコア層内に設けられた1つ以上の回折格子層4を積層させても同様の効果を奏する。
図33から図36における回折格子層4には、既に述べた各実施形態の記憶媒体と同様に、情報データが例えば凹凸形状、あるいは屈折率分布として(ホログラムデータとして)記憶されている。また、認証シート500の実施形態においても、既に述べた各実施形態の記憶媒体と同様に、記録層42は1つだけでなく、複数でも同様の効果を奏する。さらに、認証シート500の実施形態においても、既に述べた各実施形態の記憶媒体と同様に、回折格子層4、記録層42は、コア層2に直接隣接するだけでなく、ギャップ層44を設けても配されても同様の効果を奏する。
【0187】
また、コア層2、クラッド層3の材料としては樹脂、ガラス、光学結晶などが使用でき、ギャップ層44としてはクラッド層3と同様の特性を有する材料(樹脂、ガラス、光学結晶など)を用いることができる。コア層2の厚さは1μm程度、クラッド層3の厚さは10μm程度である。回折格子層4はコア層2の上下に2箇所あっても良い。コア2層の屈折率はクラッド層3の屈折率より大きいことが必要である。
記録層42は、記憶媒体の第3及び第4の実施形態で既に述べたように、情報データが光の透過性、不透過性を持つ記録マークの有無として記録されるものである。光(赤外光、可視光、紫外光、レーザ光、X線、電子線などを含む)あるいは熱が当たると形状あるいは屈折率などの光学特性が変化し、結果として光に対する透過/不透過性(透明/不透明変化、穴有り/無しなどを含む)機能を有する材料が利用できる。
例えば、特定の光、熱が当たると不透明から透明に変わる(あるいはその逆)、あるいは形状変化/昇華により消失する(穴が開く)ような特性を有する材料が利用できる(記録層42上にこのようにして形成された跡を記録マーク45と呼ぶこととする)。
【0188】
透過部分を記録マークとしても、あるいは不透過部分を記録マークとしても良い。本明細書では透過部分を記録マークとした前提で記述していることが多いが、不透過部分が記録マークである場合にも同様の効果を奏する。この場合は例えば明暗ドッドの明暗が逆になるなど本明細書の実施形態の記述が適宜変わるが、これらを含めて全て本実施形態の範疇とする(全実施形態で同様)。
具体的な記録層42の材料としても、記憶媒体の第3及び第4の実施形態と同様に、金属(アルミ、クロムなど)、酸化物(酸化クロム、酸化銀など)、半導体(アンチモンなど)、樹脂(UV硬化樹脂、熱硬化樹脂など、およびこれら樹脂にフラーレン、色素などを添加したものなど)、インク、塗料、紙などが使用できる。
図33ではギャップ層44がない認証シート500の構成例、図34ではギャップ層44がある認証シート500の構成例を示したが、いずれも同様の効果を奏する。
【0189】
また、記録層42は記録データ用回折格子層43に対し、再生光9が出射する側に(認証レシート1に対して光検出器7が配される側に)配されればよく、記録層42と記録データ用回折格子層43との間にはギャップ層44以外の層、例えばコア層2、クラッド層3、回折格子層4などが配されても構わない。
但し、通常は回折格子層4にはデータ情報が記憶されているため、これを再生するためには、回折格子層4は記録層42と記録データ用回折格子層43との間に位置しない方が有利である(記録層42、記録データ用回折格子層43が回折格子層4からの再生光9を遮蔽し回折格子層4の情報データが再生できなくなるため)。
【0190】
記録データ用回折格子層43は、形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射するものである。記録データ用回折格子層43は、回折格子層4と同様の特性を持つものであり、凹凸形状あるいは屈折率分布により隣接するコア層2に入射した入射光8を再生光9として出射するものである。再生光9の出射角としては例えば真上、光ヘッド6からの入射光8に対して前方、後方でもよく、また平行光でも種々の角度をもった光が混在していても良い。
後述する、本発明の実施形態に係る再生装置、再生方法で示すように、記録層42上での記録マーク45の有無および位置は、光検出器7上での光の明暗の有無および位置に対応するように、記録データ用回折格子層43が形成されていても良い。
また、記録層42上での記録マーク45の有無および位置は、光検出器7上での光の明暗の有無および位置と1対1に対応していても良いし、また必ずしも1対1に対応していなくても良い。
【0191】
すなわち、1個の記録マーク5に対して光検出器7上の明暗ドット1個が対応しても良いし、あるいは1個の記録マーク5に対して複数の明暗ドット、あるいは複数の記録マーク45に対して1個の明暗ドット、あるいは複数の記録マーク45に対して複数の明暗ドットが対応するよう記録データ用回折格子層43を形成しても良い。
認証シート500としては、記憶媒体の第3及び第4の実施形態と同様に2通りの製造方法があり、記録層42を含む認証シート500を一体で作製し、その後、記録層42に記録するもの、記録層42を含む部分と記録層42を含まない部分の二体で作製し、記録層42を含む部分に対して記録層42に記録を行った後、これと記録層42を含まない部分を貼り付け最終的に一体にするもの、及び、まず記録層42を含む部分の記録層42に記録し、これに記録層42を含まない部分を追加作製するもの、が挙げられる。
【0192】
また、認証シート500としては、そのままの形態で使用する方法、パッケージ/カートリッジなどの容器に入れて使用ずる方法、そのままの形態で使用し片面(再生光が出射しない側)にラベルを貼付して使用する方法などが挙げられる。
記録装置、再生装置の構成要素を、認証シート、パッケージ、カートリッジの構成要素として持たせてもよく(あるいはその逆など相互に構成要素を交換して構成しても)、同様の効果を奏する。
なお、本発明による認証シート500の層の構成としては、適宜各層の間にギャップ層、クラッド層、保護層を挿入してもよく、また上下の最表面にはクラッド層あるいは保護層がある場合、ない場合が考えられ、いずれも同様の動作、効果が得られる。
図37に本発明の認証シート500をカード11に貼り付けた実施形態を示す。認証シート500はカード11の上面、下面、内部の、各々全面あるいは一部に貼付されることができる。
【0193】
認証シート500は単独で機能しても良いし、また後述する〈本発明が適用される応用分野の例〉に示すカードあるいはシールなど別のもの(カード、シールのように薄いものに限らずブロック状のものも含む)に貼付されて機能しても良い。
また、本発明の実施形態では認証シート500のみを図示している場合が多いが、これらの実施形態においても、認証シート500が単独のものだけでなく図37に示すように別のものに認証シート500が貼付されたものも本発明の範疇に含むものとする。即ち、例えば本発明において記録装置、再生装置の中に入れる認証シート500は単独でも良いし、また図36に示すようにカード11など別のものに貼付されていても良い。
【0194】
<認証シートの実施形態(第13の実施形態における記録装置、記録方法)>
本発明の実施形態に係る記録装置は、少なくとも記録層を有する認証シートに情報データを記録する装置であって、少なくとも、前記記録層に光線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する機能を有する光線照射系、あるいは前記記録層に電子線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する機能を有する電子線照射系のいずれかを有することを特徴とする。認証シートとしては例えば、本発明の実施形態に係る認証シートが使用できる。
【0195】
本発明の記録方法は、少なくとも記録層を有する認証シートに、少なくとも光線照射系あるいは電子線照射系を有する記録装置を用いて情報データを記録する方法であって、情報データを光線照射系あるいは電子線照射系からの光線あるいは電子線により、光の透過、不透過性を持つ記録マークの有無に対応させて前記記録層に描画あるいは一括投影することによって記録することを特徴とする。
認証シートとしては例えば、本発明の実施形態に係る認証シートが使用できる。また、記録装置としては例えば、本発明の実施形態に係る記録装置が使用できる。
図38、図39に本発明の実施形態に係る記録装置52の構成(側面図)を示す。図38では記録装置52は、記録層42に光線93を照射し描画する機能を有する光線照射系102から構成され、図9Cでは記録装置52は、記録層42に電子線94を照射し描画する機能を有する電子線照射系103から構成される。
【0196】
なお、認証シート500における記録層42に穴開けする場合には、記録層42は表面に露出している方が穴開けし易い。図38は、認証シート500において、記録層42が露出した例、図39は認証シート500において、記録層42の上にクラッド層3が配された例を示している。
認証シート500として記録層42を含む部分と記録層42を含まない部分が一体となって作製されたものを記録しても良いし、また記録層42を含む部分に対して記録を行った後これと記録層42を含まない部分を貼り付け最終的に一体とされ認証シート500が作製されても良い。
図38、図39の光線93と電子線94、光線照射系102と電子線照射系103が入れ替わったものも同様の効果を奏する。
【0197】
以下、記録装置52の記録動作を説明する。記録に際しては光線照射系102、電子線照射系103を用いて、記録層42に光または、電子線に対する透過/不透過性を示す箇所(記録マーク45。透明/不透明、穴有り/無しなどを含む)を描画、あるいは空間光変調器などを用いた一括投影により形成する。この記録マーク45の有無(数、位置、形状など)により、記録層42に情報データを記録することが可能となる。記録層42の形状、屈折率変化、消失(穴開き)などが記録マーク45として機能する。
光線93としては、赤外光、可視光、紫外光、レーザ光、X線などが利用できる。光線照射系102、電子線照射系103は必要に応じてレンズ、コリメータなどの光学部品、電子線用部品を構成部品として有しても良い。
【0198】
また、光線照射系102、電子線照射系103、認証シート500は、必要に応じて相対的に角度、位置を変化させてもよく、このため一次元、二次元あるいは三次元駆動する機構および機能を有しても良い。
さらに、記録装置52は、再生光を確認するため、図40に示す再生装置における光ヘッド6、光検出器7などを有してもよく、必要に応じて開口マスク、再生光学系、認証シート支持部など本発明の再生装置5が有する構成要素、機能を有しても良い。
なお、光線93、電子線94などを用いて記録層42に記録する方法以外に、インクジェットプリント、レーザプリント、スクリーン印刷など種々の印刷/プリント技術を用いて、インク、塗料などを所望のパターンで認証シート500上に印刷することによっても記録することができる。
【0199】
また、紙、インク、樹脂などのラベルを認証シート500に貼り、これに記録パターンを記録する方法、あるいは予め記録パターンが記録された前述ラベルを認証シート500に貼る方法を用いることもできる。よってこれらも本発明の範疇とする。
また、光線93、光線照射系102、電子線94、電子線照射系103に加え、イオンビーム、イオンビーム源も有用であり、これらおよび、これら上記記載のものを各々組合せたもの、例えば、印刷技術によってインク、塗料を塗布し、これらに光線93、電子線94などを照射して記録する方法も挙げられ、これらも本発明の範疇とする。
なお、記録装置、記録方法として、記録マーク45の加工スポット形状の精度、位置の精度を高精度に出す機構、方法として、サンプル(認証シート500)下から加工面を観察しながら加工する装置、方法とすることにより、スポット形状、スポット位置を高精度に制御可能とでき、有利である。
【0200】
また、図12に示す記憶媒体の記録を行う記録装置を用いて、認証シート500に対する情報データの記録を行うこともできる。同図において、光線照射系(あるいは電子線照射系)102は例えば光線93を照射する機能を有し、また、上下方向(光線の光軸方向)に移動、認証シート500としての記憶媒体1の面内に一次元あるいは、二次元で光線あるいは照射系自体が走査し、既に説明した記憶媒体1の記録処理と同様に情報データの記録処理を行う。
【0201】
<認証シートの実施の形態(第13の実施形態における再生装置、再生方法)>
本発明の実施形態に係る再生装置は、少なくとも記録データ用回折格子層、コア層を有する認証シートに記録された情報データを再生する装置であって、少なくとも、前記記録データ用回折格子層に隣接してあるいはギャップ層を介入して配されたコア層に入射光を入射させる機能を有する光ヘッドと、前記記録データ用回折格子層から出射した再生光を検出する機能を有する光検出器とを有することを特徴とする。認証シートとしては例えば、本発明の実施形態に係る認証シートが使用できる。
本発明の実施形態に係る再生方法は、少なくとも記録データ用回折格子層、コア層、記録層、記録マークを有する認証シートに記録された情報データを、少なくとも光ヘッド及び光検出器を有する再生装置を用いて再生する方法であって、前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはギャップ層を介して配されたコア層に光ヘッドからの入射光を入射させ、前記記録データ用回折格子層から出射される再生光を、情報報データを持った前記記録層における前記記録マークの有無に対応させて、前記光検出器の位置で光の明暗パターンとして検出再生することにより、前記記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする。認証シートとしては例えば、本発明の実施形態に係る認証シートが使用できる。再生装置としては例えば、本発明の実施形態に係る再生装置が使用できる。
【0202】
図40は本発明の実施形態に係る再生装置の構成、及び本発明の実施形態に係る再生方法の内容を示す図である。同図において、再生装置5は光ヘッド6と、光検出器7とから構成され、光ヘッド6は認証シート500の所望のコア層2に入射光8を入射する機能を持つ。
なお、認証シート500が回折格子層4を持つ場合、回折格子層4に隣接したコア層2に入射光8を入射させれば、各回折格子層4に(ホログラムデータとして)記憶された情報データを読み出せることは従来技術と同様である。
コア層2への入射光8の入射方法としては、認証シート500の端面から入射させる方法、各コア層2に光結合部を設け認証シート500の上面あるいは下面から入射させる方法、各コア層2にミラー面を設け認証シート500の上面あるいは下面から入射させる方法が挙げられ、これらの方法は、同様の効果を奏する。但し、認証シート500の端面から入射させる方法は認証シート500に光結合部、ミラー面などを設ける必要がない点で有利である。
【0203】
光ヘッド6は、入射光8の発生源を有し、発生源としては例えば各種レーザ光源が使用できる。また光ヘッド6は例えば、光を引き回すミラー、コリメータなど光学部品、入射光8をコア層2に集光させる機能をもつ集光レンズ、入射光8を所望のコア層2の位置、角度で入射させる機能(機構、サーボ機能など)を持つアクチュエータなどと組み合わさって構成される。
本発明の実施形態に係る再生装置5は、必要に応じてサーボ用光検出器を具備しても良い。
光検出器7は認証シート500から出射した再生光9を検出する機能を持つ。必要に応じて移動機構を有しても良い。なお、この際、光検出器7と認証シート500が相対的に移動すれば良く、認証シート500側を移動させる機構を有しても良い。例えば、CCD、CMOSなど二次元光検出器、ラインセンサなど一次元光検出器、フォトダイオードなどを利用することができる。
【0204】
再生光9は二次元データとして出射されるため一次元光検出器、さらに二次元光検出器ではこれをより短時間で検出できるという点で有利である。
再生装置5は、必要に応じて認証シート500から出射した再生光9が光検出器7に入るまでの光路の途中に配置された再生光学系300を構成要素として含んでも良い。図41では、再生光学系300を含んだ構成を示している(再生光学系300がない実施形態も同様に効果を奏する)。
再生光学系300は、回折格子層4および記録データ用回折格子層43から出射した再生光9を光検出器7に結像させる機能を持ち、例えば開口マスク302、レンズ301、プリズム、ハーフミラー、(偏光)ビームスプリッタ、ミラー、偏光子、液晶素子など各種光学部品およびこれらを組合せたものから構成することができる。
ここで開口マスクは認証シート500から出射した再生光9が光検出器7に入射するまでの光路の途中に配置され、(回折格子層4を持った認証シート500において)各々の回折格子層4に多重に情報データ(コンテンツなど)を記憶した場合、各回折格子層4から出射する複数の再生光9を分離再生する機能を持つ。開口マスクを用いると、1つの回折格子層4から、光検出器7の複数画面分の情報データを再生することができるため、光検出器7のピクセル数に制限されることなく、認証シート500が有する記憶容量のポテンシャルを最大限に引き出すことが可能となる。即ち、情報データの多重記憶・再生が可能となるため大容量化が図れるという効果がある。
【0205】
また、開口マスクとしては、液晶素子から成り電気的に開口の位置を変化させるもの、開口の位置を固定したマスクを移動させるもの等が挙げられる。前者が機械的駆動を不要とし有利である。一度に開ける開口の数は1つあるいは複数でも構わない。
以下、本発明の実施形態に係る再生装置の再生動作について説明する。記録データ用回折格子層43に隣接するコア層2に光ヘッド6から入射光8を入射させると、コア層2に入射した入射光8は記録データ用回折格子層43で回折され、再生光9として(図40、図41の場合)上方に出射する。記録層42には、本発明の実施形態に係る記録装置52、記録方法により記録マーク45が形成されており、記録層42のうち例えば、記録マーク45が有る箇所では再生光9は透過し、記録マーク45が無い箇所では再生光9は透過しない。
よって、光検出器7には、記録層42上の記録マーク45の有り無しパターンに対応した明暗のパターンが検出され、例えば、認証シート500の個別情報データを記録マーク45の有り無し(数、位置、形状など)に対応させて記録しておけば、光検出器7によりこれを検出再生できる。
【0206】
再生光9として平行光を記録データ用回折格子層43から出射することにより、記録層42に形成した記録マーク45のパターンをそのまま(記録マークの有無、位置と、光検出器上の明暗、その位置が1:1に対応し、拡大縮小関係もほぼ1:1の比率となる)光検出器7で検出することができる。これは再生装置7の構成要素として再生光学系300がない場合に特に容易となる。
一方、記録マーク45を通過した再生光9が(再生光学系300がある場合には、これを再生光9が通過して)光検出器7に結像するように、記録データ用回折格子層43に予めホログラムデータとして情報データを形成しておけば、上記同様に記録層42に形成した記録マーク45のパターンを光検出器7で検出することができる。この場合、再生光9は一般に平行光ではなく種々の角度(場合によっては位相、強度なども種々となる)を持った光となる。なおこの場合には、再生光学系300の有無、種類、特性などに依らず記録マーク45のパターンを光検出器7で検出することができるという利点がある。
上記の様子を図14及び図15を用いて説明する。図14に記録層42の実施形態、図15に光検出器7の実施形態を示す。図14において、記録層42には記録マーク45パターンが二次元的に形成されておりこれが情報データとして機能する。
【0207】
図15に示すように、光検出器7には記録層42の情報データに対応した明暗の二次元パターンが再生されている。記録データ用回折格子層43から出射した再生光9が平行光の場合には、情報データと明暗パターンは(ほぼ)同サイズとなり、また記録マークの有無、位置と、光検出器上の明暗、その位置が1対1に対応する。即ち、図14のA,B,C,…は各々図15のA’,B’,C’,…というように1対1に対応して再生される。
一方、記録データ用回折格子層43が上述のようなホログラムデータとして形成されている場合には、同サイズ、あるいは拡大あるいは縮小したサイズで光検出器7に再生される。記録層42上での記録マーク45の有無および位置は、光検出器7上での光の明暗の有無および位置と1対1に対応していても良いし、また必ずしも1対1に対応していなくても良い。
すなわち、1個の記録マーク45に対して光検出器7上の明暗ドット1個が対応しても良いし、あるいは1個の記録マーク45に対して複数の明暗ドット、あるいは複数の記録マーク45に対して1個の明暗ドット、あるいは複数の記録マーク45に対して複数の明暗ドットが対応するよう記録データ用回折格子層43を形成しても良い。
【0208】
例えば、1個の記録マーク45に対して光検出器7上の明暗ドット1個を対応させる場合には、図12のAから出射した再生光は図7BのA’に結像するよう、図6BのBから出射した再生光は図7BのB’に結像するよう(以下同様に)、記録データ用回折格子層43のホログラムデータを形成してやることにより、これを実現できる。
記憶媒体1の再生装置である図16を認証シート500に対して適用することもでき、この図16は図41に示す再生装置5の再生光学系300がレンズ301、開口マスク302から構成される場合の構成例を示すことになる。この場合、開口マスク302の開口および各開口間隙が再生光9を遮る恐れがあるが、開口をオープン状態とし、開口間隙を避けるよう記録層42上の記録マーク45を配置することにより問題なく再生光9を光検出器7に結像させることができる。
図16は認証シート500(すなわち記憶媒体1の記録層42)が光検出器7より面積が大きい例であり、再生光学系300により情報データを縮小して光検出器7で再生している。広い記録層42とすることで多くの情報データを入れることができる、小さな光検出器7を使うため再生装置を安価、小型にできるなどの利点がある。
【0209】
また、必要に応じて、光検出器7、再生光学系300を認証シート500と相対的に移動させることで記録面の面積が広い認証シート500から出射した再生光9(情報データ)を容易に効率よく光検出器7により再生でき、大容量化を図ることができる(全ての実施形態について同様である)。
さらに、記憶媒体1の再生装置である図17を認証シート500に対して適用することもでき、この図17は図41に示した再生装置における再生光学系300(ここでは例としてレンズ301、開口マスク302から構成される)が光検出器7と一体化した場合の構成例を示している。再生動作は上述したのと同様である。
なお、開口マスクの開口が少数の場合、例えば1個の場合には、光検出器7には図15に示すように全情報データを一度に再生することは不可能となることがある。
この場合には例えば、光検出器7の中央付近に記録マーク45の1個に対応した明暗のドットが1個再生され、光検出器7および再生光学系300の一体化部を認証シート500に対して相対的に(認証シート500、すなわち記憶媒体1面に沿って)二次元(あるいは一次元)移動させることで、全記録マーク45に対応した全部の明暗ドットを再生することが可能となる。
【0210】
ここでは開口、明暗ドットが1個の場合を示したが、複数個の場合も全情報データを一度に再生できない場合には、同様に二次元(あるいは一次元)移動させることで、全記録マーク45に対応した全部の明暗ドットを再生することが可能となる(図18〜図21において、すでに説明したように、全ての実施形態について同様である)。
図14、図15では記録層42上の記録マーク45のパターンと、光検出器7上の明暗ドットのパターンが同一あるいは拡大縮小(相似形)となった例を示した。本発明では記録層42上での記録マーク45の有無および位置が、光検出器7上での光の明暗の有無および位置に対応していれば、これらが図14、図15に示すように1対1に対応していても良いし、また1対1に対応していなくても良い。
対応していない例として、すでに図22及び図23を用いて説明しているため、詳細な説明は省略する。
【0211】
図24に示す記憶媒体の構成を認証シート500の構成として用いることもでき、記録層42、記録データ用回折格子層43が複数ある場合の認証シート500の構成を示している。図24では省略してあるが、各記録層42、記録データ用回折格子層43などの間には1つあるいは複数の記録層42、記録データ用回折格子層43、コア層2、クラッド層3、回折格子層4、ギャップ層44、保護層などが配置されていても良い。
このように記録層42、記録データ用回折格子層43は複数層あっても同様の効果を奏する。例えば、図24の一番下の記録層42と下から2番目の記録層42のように記録マーク45の位置を少しずらして形成すると、両者の重なり部分のみを実効的に記録マーク45として機能させることができ、記録マーク45のサイズを記録装置52における光線照射系102、電子線照射系103などの記録精度、記録分解能に制限されることなく、正確かつ微細に形成できるという利点がある。
【0212】
なお、記録層42としては必要に応じて全部(図で上から2番目の記録層42)あるいは一部(図で一番上の記録層42)を透過性(あるいは不透過性)にすることもできる。
このように記録層42、記録データ用回折格子層43を複数有すると、ある記録層42に記録ミスをした場合にも別の記録層42を利用できるという記録過程における歩留まりを向上させる効果もある。
また、複数の再生光学系300(および再生装置5)に対応した複数の記録データ用回折格子層43を認証シート500(あるいはその一部)に準備しておくことで、複数の再生光学系300(および再生装置5)に対応した共通の認証シート500(あるいはその一部)とすることができ効率が良いという効果もある。
また、記録データ用回折格子層43が複数あると、記録マーク45のパターンと光検出器7上の明暗ドットパターンとの対応を複数準備することができ、情報データの記録、再生にバリエーションが増え、これを認証シートの固有情報データとして利用した場合、より情報データ数、種類が増える、よりセキュリティが高くなるなどの効果もある。
【0213】
なお、光学部品、機構部品など本明細書に記載の記録装置52、再生装置5の構成要素の数は1つあるいは複数でも良く同様の効果を奏する。
記録装置52、再生装置5の構成要素として、認証シート500を装填する入口である認証シート装填口、認証シート500が装填されるスペースである認証シート装填スペース、認証シート500を固定しローディング、チャック、取出し機能を有する認証シート装填台などを具備しても良い。これらは認証シート500を容易にかつ安定に装填する効果がある。記録装置52、再生装置5の他の構成要素としては、例えば論理/制御回路が挙げられる。
論理/制御回路は、データ信号の処理および本明細書に記載の光源、光線照射系、光検出器、液晶素子、各種駆動機構等のアクティブ素子を駆動制御する機能を持つ回路である。
本明細書で図示した記録装置52、再生装置5は、本発明の典型的な実施形態に過ぎず、各構成要素の配置が変わったもの、各実施形態を組み合せ、あるいは組み替えたものも同様の効果を奏し、本発明の範疇とする。
【0214】
ここで認証シートとは、認証シートのみであるいは他のものを貼り合せてカード状、シール状、板状としたものも含み(厚さを問わない)、また形状も四角形、円盤(ディスク)状など特に形状を問わず、これらのものを全て含むものとする。
なお、再生光9を目視できる場合には、光検出器7は必ずしも要らない場合もある。また電子的に再生光9の情報を取り扱わない場合、例えば光検出器7として、すりガラスなどを使用することもでき、再生光9をこれに映すことで情報データを得ることが可能である。
また、再生装置5は、一体で構成されるだけでなく、光ヘッド6を含む部分と光検出器7を含む部分が分離し二体以上になって構成されても同様の効果を奏する。
また、記録層42に記録した記録マーク45のパターンが同じであっても、記録データ用回折格子層43に形成するデータを異なるものとすることで、光検出器7には異なる情報データを再生することが可能である。
【0215】
これにより、目視で確認した記録マーク42のパターンと再生される情報データとの対応を容易に取れなくすることができ、より高セキュリティとすることが可能となる。また、記録層42に記録する記録マーク45のパターンおよび記録データ用回折格子層43に形成するデータの組合せで多数の情報を記録再生できるという利点がある。
【0216】
<認証シートの実施の形態(第13の実施形態が適用される応用分野の例)>
この技術は、認証シール単独で機能するか、あるいは別のものに貼付されて機能し、例えばメモリ(コンテンツ配布メモリ/メディアなど)、鍵(例:家/ルームキー、PCなどのアクセスキーなど)、保障シール、クレジットカード、パスポート、紙幣、免許証、保険証、会員証、梱包用シール、タグ、入場券、診察券、IDカード、パーソナルキー、ギフト券、ビジネスソフト、証明シール、パッケージシール、プリペイドカード、ゲームカード、トレーディングカード、アミューズメントソフト、記念切手、グリーティングカード、プロモーションツール、偽造防止シール、著作権保護シール、純正品認証シールなどの分野への適用が考えられる。
図42に認証シート500を図7に示すように上記応用分野におけるカード、シール(総称してカード11とする)に貼付し、再生装置5に挿入した様子の実施形態を示す。例えば、このカード11が鍵の場合、再生装置5は家/部屋の入口に設置するカードリーダ(あるいはカードリーダの一部)の役割をする他の応用分野においても同様に、認証シート500単独あるいは認証シート500を(総称の意味での)カードに貼付したものと、再生装置5をカードリーダあるいはその一部として使用する利用イメージとなる。再生装置5は必要に応じてカード差込口を持っても良い(全ての実施形態について同様である)。
【0217】
以上、本発明によって、容易に認証シート個々に情報データを記録および再生できることが示された。
なお、上述した記録装置及び再生装置それぞれの記録/再生の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録して、この記憶媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより記録/再生を行ってもよい。
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記録装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0218】
また、上記プログラムは、このプログラムを記録装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0219】
<第14の実施形態>
以下、第14の実施形態による積層ホログラム記憶媒体及び再生装置から構成される積層ホログラム情報記憶システムを、図面を参照して説明する。なお、以降に説明する部分については、第14の実施形態〜第17の実施形態において共通である。
図45は、積層ホログラム情報記憶媒体である記憶媒体1の一例を示す図である。記憶媒体1は、2つのコア層2と、この2つのコア層2を挟むように配置した3つのクラッド層3及びギャップ層44から構成されている。また、一方のコア層2とこれを挟むクラッド層3との境界あるいはコア層2内に設けられ、情報が例えば凹凸形状あるいは屈折率分布によって記録される回折格子層4と、他方のコア層2とこれを挟むクラッド層3との境界あるいはコア層2内に設けられた記録データ用回折格子層43とを備えている。
【0220】
さらに、また前記他方のコア層2にギャップ層44を介して設けられ、上述したIDデータに相当する情報が光の透過、不透過性を持つ記録マーク45の有無及び位置によって記録される記録層42を備えている。
この記録データ用回折格子層43は、前記他方のコア層2の上面に設けられていてもよい。
図46は、記憶媒体1に記録されている情報を読み出す再生装置5と記憶媒体1とから構成される上述した積層ホログラム情報記憶システムを示した図である。同図において、再生装置5は、光ヘッド6と、光検出器7と、開口マスク10と、再生光学系12とから構成されている。光ヘッド6は、例えば、各種レーザ光源が使用でき、記憶媒体1の所望のコア層2に入射光8を入射させる機能を有する。
【0221】
光検出器7は、例えば、CCD(Charge Coupled Devide)、CMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)などの二次元光検出器、ラインセンサなどの一次元光検出器、フォトダイオードであり、光ヘッド6から入射光が記憶媒体1に入射され、記憶媒体1から出射される再生光9を検出する機能を持つ。
開口マスク10は、記憶媒体1から出射した再生光9が光検出器7に入射するまでの光路の途中に配置され、各々の回折格子層4に多重に情報を記憶した場合、各回折格子層4から出射する複数の再生光9を分離再生する。
開口マスク10を用いると、1つの回折格子層4から、光検出器7の複数画面分の情報データを再生することができるため、光検出器7のピクセル数に制限されることなく記憶媒体1の記憶容量を大きくすることができる。このような開口マスク10として、例えば液晶装置により開口11の位置を変化させるものや、開口11の位置を固定して開口マスク10を駆動装置などによって平面移動させるものが存在する。
【0222】
再生光学系12は、記憶媒体1から出射した再生光9を光検出器7に結像させる機能を持ち、例えば、レンズ、プリズム、ハーフミラー、(偏光)ビームスプリッタ、ミラー、偏光子、液晶素子など各種光学部品およびこれらを組み合わせたものから構成することができる。
以下、再生過程について説明する。光ヘッド6により記憶媒体1の所望のコア層2に入射光8が入射されると、回折格子層4に記録されている情報に基づいて回折し、再生光9は、記憶媒体1の上面に出射され、開口マスク10及び再生光学系12を通過して、光検出器7によって検出される。これにより記憶媒体1に記録された情報を再生することができる。なお、図46では、開口マスク10の開口11のサイズは記録マーク45全ての領域よりも大きくなっているため、全ての再生光9が開口マスク10を通過することになる。
【0223】
記憶媒体1には上述したIDデータに相当する媒体個々の情報を持つ記録層42が設けられており、入射光8を記録データ用回折格子層43へ入射させることにより媒体個々のIDデータを読み出すことができる。
図47は、記録データ用回折格子層43からの再生光9に基づく光検出器7上の再生像を示した図である。光検出器7上の光の明暗1つ1つをセル49と呼び、媒体個々のIDデータを示すIDデータ再生像50は、セル49の集合として構成される。
図48は、開口マスク10に各開口11を区切るための開口間隙である開口間部分19を有する再生装置5aの側面図を示した図である。図48において、図46の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
光検出器7側から開口マスク10と記録層42を重ねて見た場合に、図49に示すような図となる。図49では、開口マスク10の開口11の間の開口間部分19により記録マーク45の一部が遮られている。
【0224】
そのため、再生した場合に再生光9が遮られることとなり、図50に示す再生光9の一部が遮られたIDデータ再生像50が光検出器7上に結像されてしまうという問題がある。この問題を解決するために、以下IDデータ再生像50が正しく結像されるように構成した記憶媒体1について説明する。
以降の図51〜図53に示す記憶媒体1については、第14の実施形態に関するものである。
図51は、第14の実施形態による記憶媒体1及び当該記憶媒体1に記録されている情報を読み出す再生装置5bを示す側面図である。
第14の実施形態による記憶媒体1は、記憶層上での記録マーク45の有無及び位置が、光検出器上で光の明暗の有無及び位置に一対一で対応し、記録マーク45が再生装置5bにおける開口マスクの開口間部分に重ならないように記録マーク45を設けることを特徴としている。
【0225】
図51において、図48の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。記憶媒体1において、記録マーク群46は、記録マーク45の集合を意味するものであり、記録マーク群46の記録マーク群サイズを開口11の開口サイズと同等またはそれ以下になるようし、記録マーク群46が開口間部分19の直下に配置されないように設計することで、再生光9は開口間部分19に遮蔽されず、また損失せずに光検出器7上に結像させることができる。
図52は、光検出器7側から見た記録層42及び開口マスク10の上面図である。同図において、開口マスク10は、4つの開口11を有する。そして、36個の記録マーク45が1つの記録マーク群46として1つの開口11の直下に位置するように記録層42上に設けられている。
ここで、記録マーク群46を構成する記録マーク数は、開口11のサイズ、記録マーク45のサイズによって異なるが、開口間部分19に重ならないように設計することで再生光9が開口間部分19に遮られないようにすることができる。また、開口11の数が1つで、その開口11を駆動装置などによって移動させるような場合においても予め開口間部分19のサイズが既知であれば再生光9が開口間部分19に遮られないようにすることができる。
【0226】
図53は、光検出器7上に結像されたIDデータ再生像50を示した図であり、開口間部分19に遮られることなく記録マーク45に一対一で対応した光の明暗が結像されている。
また、IDデータ再生像50は、4分割されているが、例えば、光検出器7上のIDデータ再生像50を画像処理技術などを用いて図47に示す1つの像に統合することにより1つのIDとして認識することが可能となる。
なお、1つの像に統合する際に、画像処理技術などを用いることなく、図47に示す1つの像に結像させるように記録データ用回折格子層43を形成することも可能であり、この場合、統合に要する時間、負荷を削減できる点で有利である。
【0227】
<第15の実施形態>
図54及び図55を参照して、本実施形態による記憶媒体1を説明する。本実施形態による記憶媒体1は、記録層42上での記録マーク45の有無及び位置が、記録層42に上述した吸収部に該当する部分にレーベル等のデザインを施す場合に、デザインが施された部分の妨げとならないよう記録層42上の目立たない箇所へ記録マークを任意に配置することを特徴とする。
図54は、記録マーク群46を目立たないよう記録層42の四隅に配置する場合を示した図である。
この場合、記録マークサイズを0.1mm角程度とし、100個の記録マークを1群の記録マーク群46とすると、記録層42には四隅に1mm角程度の記録マーク群46が存在することになる。このとき、記憶媒体1の大きさにも依存するが、ほとんどデザインの妨げとならず、記憶媒体1の中央にデザインを付与することが可能となる。
【0228】
なお、0.1mm角程度の記録マーク45、1mm角の記録マーク群46を記録層42上に形成することは技術的に容易である。
同図における再生光9を光検出器7上に結像させる場合に、記録データ用回折格子層43を設計することで図47に示すIDデータ再生像50を光検出器7に結像させることも可能である。そのとき、図54の記録マーク群A、B、Cはそれぞれ図47のA’、B’、C’に対応することとなる。
なお、記録マーク群46の分割数は1から全記録マーク数まで分割が可能であり、全記録マーク数がいくつあるようにしてもよい。さらに、記録マーク45を形成する前の記録層42の色は光吸収性があればどのような色であってもよい。また、記録層42上に記録マーク45を配置する際にデザインの一部として構成するようにしてもよい。
【0229】
図55は、記録層42上にデザインを入れるデザイン枠51に記録マーク45を配置する場合を示した図である。記録層42に利用する材料は、再生光を透過させず、かつ記録を行う際にレーザ光を吸収する色彩を有する材料であればいかなる色であってかまわないため、デザイン枠51部分の記録層42の色を任意の色に変えることによりデザインの一部として利用することも可能なためデザイン上の妨げとなることがない。
同図における再生光9を光検出器7上に結像させる場合に、記録データ用回折格子層43を設計することで図47に示すIDデータ再生像50を光検出器7に結像させることも可能である。そのとき、図55の記録マークA、B、Cがそれぞれ図47のA’、B’、C’に対応する。
なお、上述したように再生後に画像処理技術によって図47に示すIDデータ再生像50を合成することも可能である。
【0230】
<第16の実施形態>
図56から図60を参照して、本実施形態における記憶媒体1を説明する。本実施形態による記憶媒体1は、予め定められた再生光の明暗の有無及び位置から構成されるIDデータに対して所定の規則に基づいて変換を行う。
そして、変換されたIDデータに基づいて記録層42上に記録マーク45を設けることを特徴としている。所定の規則としては例えば、上下または左右に鏡面反転、あるいは記録マーク45の有無を反転、あるいは一定距離だけ上下にシフトする規則が存在する。
図56は、光検出器7上に結像されたIDデータ再生像50を示した図である。図56において、1’〜16’はIDデータ再生像50のセル番号である。
図57は、図56におけるIDデータ再生像50の光の明暗の有無及び位置に対してX方向の中心軸に基づいて上下に鏡面反転させた位置に記録マーク45を設けた場合の光検出器7側から見た記録層42の上面図である。同図における1〜16の記録マーク45が記録データ用回折格子層43によってそれぞれIDデータ再生像50の1’〜16’の位置に対応するように結像される。
【0231】
図58は、図56におけるIDデータ再生像50の光の明暗の有無及び位置に対してY方向の中心軸に基づいて左右に鏡面反転させた位置に記録マーク45を設けた場合の光検出器7側から見た記録層42の上面図である。同図における1〜16の記録マーク45が記録データ用回折格子層43によってそれぞれIDデータ再生像50の1’〜16’の対応する位置に結像する。
図59は、図56における光の明暗の有無を反転させて記録マーク45を配置した際の光検出器7側から見た記録層42上の図である。このとき、IDデータ再生像50のセル1番に対応する記録マークはマーク有り、セル2番に対応する記録マークはマーク無しとなる。
なお、記録層42において記録マーク45が1つも存在しない場合には、再生光9が透過しないため、光検出器7上で結像されるIDデータ再生像50は存在しなくなり、記録マーク45を反転させたIDデータ再生像50を得ることはできない。しかし、記録マーク45が1つも存在しないというIDデータについてのみ反転させることができないことがわかっているため、再生光9が透過しない場合のみを特別に処理することで矛盾なく検出を行うことができる。
【0232】
図60は、図56におけるIDデータ再生像50の光の明暗の有無及び位置を一定距離だけ上下にシフトした位置に記録マークを設ける場合を説明するための図である。図56上のセル番号Nが、図60の記録層42上の記録マークのN±n番に対応するように記録マークが設けられている。
ここで、シフトする規則としてNは1〜全記録マーク数、nは1〜N−1の値をとり、N+nが記録マーク番号の最大値Nmax(同図では16番)に達した場合にはN+n−Nmaxの値となる。例えば、n=14とするとIDデータ再生像のセル1番は記録マークの15番に対応し、セル10番は記録マークの8番に対応する。セルN−nが1に達した場合はNmax+N−nの値となる。なお、N及びnの値は上記の範囲内の値であればどのような値であっても上記の規則に従うこととなる。
【0233】
<第17の実施形態>
図61から図63を参照して、本実施形態による記憶媒体1を説明する。本実施形態による記憶媒体1は、記録層42上での記録マークの有無及び位置が、光検出器7上での光の明暗の有無及び位置に少なくとも一対多、あるいは多対一または多対多で対応する部分を有し、光検出器7上の光の明暗の有無及び位置及び数に記録層42上の記録マーク45の有無及び位置及び数が必ずしも一致しないように記録マーク45を設けることでIDデータの目視を困難にすることを特徴とする。
図61は、光検出器7上のIDデータ再生像50を示した図である。一方、図62は、記録層42上の記録マーク45の配置の一例を示した図である。図61と図62では、四角で囲われた四角部分については、光検出器7上での光の明暗の有無及び位置が、記録マーク45の有無及び位置に一対一で対応している。
【0234】
しかし、四角部分以外については、図62の記録マーク45の「X」が、図61における領域A、B、C,Dの全てのセルの明暗に一対多で対応しており、図62の記録マーク45を目視することにより図61のIDデータ再生像を読み取ることは非常に困難となっている。
図63は、本実施形態における記録層42上の記録マーク45の配置の別の一例を示した図である。同図において、四角で囲われた四角部分については、図61におけるIDデータ再生像50の光の明暗の有無及び位置に一対一で対応している。また、領域A’及び領域B’についても図61での領域A及び領域Bに一対一で対応している。
しかし、領域C’については図61の領域Cに多対多で対応し、領域D’については図61の領域Dに一対多で対応している。
本実施形態の具体的な例として、同図のIDデータ再生像50が例えば、既存の規格化された二次元コード(例えば、QRコード(登録商標)、MaxiCode、VeriCode(登録商標)、DataMatrixCode、AztecCode等)に対応する場合が考えられる。規格化された二次元コードには位置検出パターンなど各規格で定義されたセル部分が存在する。
【0235】
それらの定義されたセル部分は、コードの種類が同じであり、かつコードのセル数が同じ場合に、いかなる情報を有するコードであっても存在する必要がある。そのため、規格化された二次元コードをIDデータ再生像50として対応させるためには記録マークがいかなる配置であっても決められたセル部分に対応させるように記録データ用回折格子層43を設計する必要がある。
なお、上述した第14の実施形態から第17の実施形態においても記録マーク45の有無及び位置と光検出器7上での光の明暗の有無及び位置との対応関係を第16の実施形態のように一対多、多対一、多対多にすることが可能である。
【0236】
<第18の実施形態>
本実施の形態は、情報データ設計方法に関するものである。
<第18の実施形態に関する従来の情報データ設計方法>
従来の技術を用いて前述の図51に示す記憶媒体1の記録データ用回折格子層43の記録データを、再生光9が光検出器7に結像するように形成する従来の方法について以下に説明する。前記記録データ用回折格子層43上の凹凸形状、即ち情報データ(この場合ホログラムデータ)の計算方法例を図64に示す。
この図において、基画像データ54は再生させたい画像のデータであり、再生画像データ55は再生結果の画像データである。記録データ用回折格子層43に隣接するコア層2に入射光8が入射、導波し、記録データ用回折格子層43の凹凸形状によって回折、散乱する再生光9の記録データ用回折格子層43上での波面を表す関数をuh(θh)とする(このuhがホログラムデータに対応する)。
【0237】
uhは記録データ用回折格子層43上に二次元的に分布する関数であり、θhは波面関数の強度および位相を表すパラメータである。光検出器7上に結像する像の波面関数を同様にur(θr)とする。ここでurは光検出器上に二次元的に分布する関数であり、θrは強度および位相を表すパラメータである。
uhはurを基画像(再生させたい画像)データ54とするものであり、原理的には波動光学的解析により、即ちurと伝達関数gの積を光検出器7上で面積分すること、「uh=∫∫ur・g dxdy」で求めることができる。記録データ用回折格子層43上の凹凸形状はuhが解ればこれを基に凹凸形状による散乱光の記録データ用回折格子層43上での分布がuhとなるように形成すればよい。
また逆に情報データ(uh)から再生画像データ55(ur)を計算により求める場合は、上記の計算(変換)の逆計算(逆変換)を行えばよい。ここで、変換と逆変換について説明する。基画像データを変換して得られる記録データ用回折格子層43上の情報データ(uh)は、一般に記録データ用回折格子層43の面上に無限に広がった関数となる。よって、この無限に広がった情報データ(uh)を無限の領域で面積分し逆変換してやれば、再生画像データ(uh)は基画像データと等しいものとなる。しかし、光学的(現実的)には、記録データ用回折格子層43は無限には広がっておらず、従って、変換によって得られる記録データ領域は、記憶媒体、開口、記録マークなどの領域に制限されたものとなる。
【0238】
このように無限領域でなく、制限された有限領域で面積分し逆変換することによって、実際の現象と同様、再生画像データ(uh)は基画像データとは異なったものとして計算、再生されることになる。すなわち、逆変換時の面積分領域を、実際の系に合わせて有限とすることで、実際の光学的現象を忠実に再現、説明するよう、数学的に記述することができる。以下においては、逆変換(および変換も)とは、実際の系に合わせて有限領域で面積分することを意味するものである。
なお、uhが正しく変換されたか否かの確認は、上記逆変換後の再生画像データと基画像データを比較することにより可能である。
【0239】
<第18の実施形態に関する従来の情報データ設計方法の課題>
しかしながら、例えば図51における記憶媒体1の記録マーク45サイズが小さい場合や、各セル49が記録データ用回折格子層43からの複数の輝点同士が干渉を起こす場合には、再生画像データ55にノイズ等が加わってしまい、基画像データ54と一致せず、例えば再生画像データ55のデコードなどを行うことが困難なものとなる。
【0240】
<第18の実施形態における情報データ設計方法>
上述の問題点を解決する情報データ設計方法を以下に説明する。積層ホログラム情報記憶媒体における記録データ用回折格子層の情報データの設計方法は、再生画像データを基画像データとしてホログラム計算することにより得られるホログラムデータを情報データとする方法であり、図65に1つのセル白色部15に着目した処理の流れを示す。ノイズ等53は光の干渉等によるノイズである。
まず、再生画像データとする基画像データB1{uro}を情報データI1に変換する(図65のステップR01)。次にその情報データI1を再生画像データR1{ur(Θ1)}に逆変換する(図65のステップR02)。別の画像データO1は、再生画像データR1と別の画像データO1を合成することにより得られる再生画像データR1’{ur(Θ1)’}と基画像データB1との差分{G(Θ1)’}が、再生画像データR1と基画像データB1との差分{G(Θ1)}より小さくなるような画像データであり、この別の画像データO1と再生画像データR1との合成画像データ、即ちR1’{ur(Θ1)’}を新たな基画像データB2とする(図65のステップR03)。
【0241】
上記合成行程を再生画像データRNと基画像データB1との差分が十分に小さくなるよう、少なくとも1回以上繰り返す(図65のステップR04)。記録データ用回折格子層43に記録する情報データとしては、最終的に得られる再生画像データRN{ur(ΘN)}に逆変換する前の情報データINを用いることができる。ここで、Θmは再生画像データの波面関数urの強度および位相を表すパラメータであり、再生画像データ{ur(Θm)}と基画像データB1との差分G(Θm)および再生画像データ{ur(Θm)’}を求める式は次のものである。
G(Θm)=ur(Θm)−uro・・・(1)
ur(Θm)’=uro+α・[{ur(Θm)−uro}/Θm−Θ0]・・・(2)
なお(2)式のαはG(Θm)’<G(Θm−1)’を満たすように選ばれた関数であり、mは合成行程の繰り返し回数で任意の整数(1、2、3…)である。
他の情報データ設計方法の例は、再生画像データを基画像データとしてホログラム計算し情報データを得て、前記情報データのホログラム逆計算により得る再生画像データの階調反転(例えば画像データが256階調(0〜255)である場合、階調値nを255−nと変換)した画像データを基画像データとして再度ホログラム計算し情報データを得る行程を有する場合、あるいは再生画像データを構成する記録データ用回折格子層から出射する再生光、即ち光検出器における輝点の間隔を調節する行程を有する場合などがあり、いずれも同様の効果を奏する。
【0242】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、再生装置における情報データの再生手順に関しては、記憶媒体の規格化により、記録データ用回折格子層および記録層が記憶媒体中のどの位置に配されるかを予め決めておいても良い。例えば、光検出器から最も遠い位置(最下層)、光検出器から所定距離だけ離れた位置などとしても良い。また、図16などに示す再生装置5側も上記の位置を予め記憶しておく等により認識しても良い。
【0243】
また、図16などに示す再生装置5へ記憶媒体1を装着直後、あるいは再生装置の電源を入れた直後に、まず、記録データ用回折格子層43に隣接するコア層2へ入射光8が入射するよう光ヘッド6を駆動し、記録された情報データを再生し、得られた再生画像データを信号処理回路や信号処理ソフトなどを用いてデコードし、媒体個々に記録された情報を取得しても良い。得られた情報をメモリに格納し、必要に応じて本情報を利用する、あるいは記録データ用回折格子層43に隣接するコア層2へ再度入射光8を入射し、情報を取得しても良い。
なお、再生過程において再生画像データを撮像する際は、再生画像データに対して一括して撮像、あるいは部分的に撮像した後に画像を合成、あるいは1セルずつ撮像した後に画像を合成する。また光検出器7は再生画像データに対して、固定、あるいは面内で一軸駆動、あるいは面内で二軸駆動しても良い。開口マスク10の開口11は同時に全開、あるいは部分的に順次開閉しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0244】
本発明における積層ホログラム情報記憶媒体は、作製後または作製途中において容易に情報データを記録することができる。また、記録した情報データを再生装置及び再生方法により、容易に再生することができる。さらに、識別番号等の積層ホログラム情報記憶媒体毎の固有の情報データを書き込んだ後に、情報データが書き込まれた記録層を貼り付け等により形成するため、記録層に対する情報データの書き込みが容易に行え、記録層に用いる材料及び加工の自由度が向上する。これにより、記憶媒体個々に固有の情報データを記録することができ、記憶媒体の個々を管理することが可能となり、記憶媒体に記憶あるいは蓄積されたコンテンツの著作権を、不正コピー、偽造行為などから守ることができる効果が得られる。更に、本発明によれば、本発明に係る認証シートの作製時に、本発明に係る記録装置および記録方法を用いて、この認証シートに情報データを容易に記録できる。また、この記録した情報データを再生装置および再生方法を用いて容易に再生することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録を可能とした積層ホログラム情報記憶媒体およびその記録装置/方法、再生装置/方法、並びに積層ホログラム情報記憶媒体設計方法に関する。
本願は、2003年12月10日に出願された特願2003−412396号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
本願は、2004年4月5日に出願された特願2004−110872号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
本願は、2004年4月16日に出願された特願2004−121721号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
本願は、2004年9月9日に出願された特願2004−262330号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
本願は、2004年10月5日に出願された特願2004−292429号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来の積層ホログラムROM(Read Only Memory)を用いた記憶媒体およびその再生装置を以下に説明する。
図43は、記憶媒体1’の側面(断面)を示す図であり、コア層2’とクラッド層3’とが交互に積層され、コア層2’とクラッド層3’との境界に回折格子層4’が設けられた構造を成す。回折格子層4’には情報データが例えば凹凸形状によって記憶あるいは蓄積されている。
【0003】
図44は記憶媒体1’のデータを再生する再生装置5’の側面を示す図であり、光ヘッド6’と、光検出器7’とから構成される。光ヘッド6’は記憶媒体1’の所望のコア層2’に入射光8’を入射させる機能を持つ。再生方法は以下である。光ヘッド6’により記憶媒体1’の所望のコア層2’に入射光8’を入射させると、光は回折格子層4’に記憶あるいは蓄積されている情報データ(ホログラムデータ)に依存して回折され、再生光9’が記憶媒体1’の上面に出射する。これを光検出器7’で検出すると記憶媒体1’に記憶あるいは蓄積された情報データを再生することができる。
【0004】
記憶媒体1’は小型大容量化でき、また再生装置5’は構成、構造が単純なため小型とできる。積層ホログラムROMは将来の小型大容量なコンテンツ配布用メモリとして期待されている。また、上記記憶媒体1’を認証シートとして用いることにより、認証シートを小型大容量化でき、また再生装置5’は構成、構造が単純なため小型化できる(特許文献2参照)。この技術は、メモリ、鍵、保障シール、梱包用シール、タグなどの固有の識別番号を記録させる認証シートへの適用が期待されている。
【0005】
ところで、近年、コンテンツの著作権を不正コピー、偽造行為などから守るため、ROM型記憶媒体に対して例えば固有情報(IDentification、以下、IDと略す)を付与する必要性が生じてきた。このためには、記憶媒体個々に対して情報データを記録できること、さらにできればこの情報データをROM用の再生装置で再生できることが要求される。
【0006】
しかしながら、上記従来技術においては、記憶媒体1’は例えば原版を用いたスタンピング技術により作製されるため、全く同一の情報データを有した記憶媒体を大量に生産することは得意とするものの、1枚1枚異なる情報データを有する媒体を作製することは生産性、コスト面で割が合わず苦手である。
また、記憶媒体1’はROM専用媒体であり媒体作製後には情報データを記録することができない。以上説明したように、従来技術では記憶媒体個々に情報データ記録ができないという問題があった。
【0007】
また、上述した認証シートとしての適用分野においては、個々の認証シートが各々固有の情報データを持つことにより、認証シート各々を個別に認証可能となるため利用の範囲、領域を拡大できる点で有利である。
しかしながら、上記従来技術の認証シートは、上述したROM記憶媒体と同様に、例えば原版を用いたスタンピング技術により作製されるため、全く同一の情報データを有した認証シートを大量に生産することは適している。
【0008】
一方、1枚1枚異なる情報データを有する認証シートを作製することは生産性、コスト面で割が合わず適していない。したがって、従来技術では認証シート個々に情報データを容易に記録することができないという問題があった。
本発明は上記の問題を改善するために提案されたもので、その目的は、媒体作成後であってもID等の情報データの記録ができ、また、ROM用記憶媒体の再生装置で当該IDを再生することが可能な積層ホログラム情報記憶媒体と設計方法、および、該記憶媒体に情報データを記録するための記録装置/記録方法並びに再生装置/再生方法を提供することにある。
【発明の開示】
【0009】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体は、少なくとも1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ、形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体は、前記再生光が前記記録層を透過することによって、前記記録層上での前記記録マークの有無および位置が、光の明暗の有無および位置として再生されるように、前記記録データ用回折格子層が形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体は、前記記録データ用回折格子層は、ホログラムとして機能することを特徴とする。
【0012】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体は、前記記録層を挟んで前記第1のコア層および前記記録データ用回折格子層の反対側に設けられ、前記記録層を透過した光を反射する反射層をさらに有することを特徴とする。
【0013】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、第1のコア層の上面あるいは下面あるいは第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層とを有し、前記記録データ用回折格子層は、情報データが、当該記録データ用回折格子層の形状あるいは屈折率変化あるいは消失による再生光の出射の有無よって情報を示す記録マークとして記録されるものであることを特徴とする。
【0014】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体は、前記第1のコア層の上側もしくは下側に配置される1つ以上の第2のコア層と、前記第1のコア層と前記第2のコア層との間に設けられるクラッド層と、前記第2のコア層の上面あるいは下面あるいは第2のコア層内に設けられ、形状または屈折率分布として情報データが記憶された1つ以上の回折格子層とを有することを特徴とする。
【0015】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体は、少なくとも、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体は、形状あるいは屈折率分布により形成され、前記記録層を透過した光を所定の位置に結像させる記録データ用回折格子層をさらに有することを特徴とする。
【0017】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体は、前記記録層に隣接して、あるいは前記記録層にギャップ層を介して設けられた1つ以上の第2のコア層と、前記第2のコア層の上面あるいは下面あるいは第2のコア層内に設けられ、形状または屈折率分布として情報データが記憶された1つ以上の回折格子層とを有することを特徴とする。
【0018】
本発明の再生装置は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する装置であって、少なくとも、前記第1のコア層に入射光を入射させる光ヘッドと、前記記録層を透過した光を検出する光検出器とを有することを特徴とする。
【0019】
本発明の再生装置は、前記記録層を透過した光を反射する反射部をさらに有し、前記光検出器は、前記記録層を透過した光を前記反射部を介して検出することを特徴とする。
【0020】
本発明の再生装置は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する装置であって、少なくとも、前記第1のコア層に入射光を入射させる光ヘッドと、前記記録データ用回折格子層から出射した再生光を検出する光検出器とを有することを特徴とする再生装置。
【0021】
本発明の再生装置は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層を挟むように配置した2つ以上のクラッド層と、前記第1のコア層とこれを挟む前記クラッド層との境界あるいは第1のコア層内に設けられ、情報データが記憶された1つ以上の回折格子層と、前記第1のコア層から離して設けられ、情報データが形状あるいは屈折率分布として記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する装置であって、少なくとも、前記記録層に光を照射する光源と、前記記録層を透過した光を検出する光検出器とを有することを特徴とする。
【0022】
本発明の再生装置は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層を挟むように配置した2つ以上のクラッド層と、前記第1のコア層とこれを挟む前記クラッド層との境界あるいは第1のコア層内に設けられ、情報データが記憶された1つ以上の回折格子層と、前記第1のコア層から離して設けられ、情報データが形状あるいは屈折率分布として記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する装置であって、少なくとも、前記記録層に光を照射する光源と、前記記録層が反射した光を再度反射し、結像させる結像光学系と、前記結像光学系光が結像させた光を検出する光検出器とを有することを特徴とする。
【0023】
本発明の再生方法は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する方法であって、前記第1のコア層に入射光を入射させ、前記記録データ用回折格子層から出射される再生光を前記記録層を介して検出することにより、前記記録層における前記記録マークの有無に対応した光の明暗パターンとして、前記記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする。
【0024】
本発明の再生方法は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する方法であって、前記第1のコア層に入射光を入射させ、前記記録データ用回折格子層から出射される再生光を検出することにより、前記記録データ用回折格子層における前記記録マークの有無に対応した光の明暗パターンとして、前記記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする。
【0025】
本発明の再生方法は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する方法であって、前記記録層に光を照射し、該照射した光を前記記録層を介して検出することにより、前記記録層における前記記録マークの有無に対応した光の明暗パターンとして、前記記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする。
【0026】
本発明の再生方法は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する方法であって、前記記録層に光を照射し、前記記録層が反射した光を検出することにより、前記記録層における前記記録マークの有無に対応した光の明暗パターンとして、前記記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする。
【0027】
本発明の記録装置は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に情報データを記録する記録装置であって、少なくとも前記積層ホログラム情報記憶媒体の記録層に光線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する機能を有する光線照射系、あるいは、記録層に電子線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する機能を有する電子線照射系から構成されることを特徴とする。
【0028】
本発明の記録方法は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に情報データを記録する方法であって、情報データを光あるいは熱あるいは電子により、光の透過、不透通性を持つ記録マークとして前記積層ホログラム情報記憶媒体の記録層に、光線あるいは電子線を用いて、描画あるいは一括投影することによって記録することを特徴とする。
【0029】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体の製造方法は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体の製造方法であって、前記記録層を露出した状態にて情報データを記録した後、別に形成した他の層を貼着して形成することを特徴とする。
【0030】
本発明の再生装置は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内であって所定の位置に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接してあるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して所定の位置に設けられ情報データが光の透過性、不透過性を持つ穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する装置であって、前記積層ホログラム情報記憶媒体の装着を検知したとき、あるいは、電源の投入を検知したとき、前記記録データ用回折格子層に隣接する前記第1のコア層へ入射光を入射する光ヘッドと、前記記録データ用回折格子層から出射した再生光を検出する光検出器とを有し、前記光検出器が検出した再生光から前記積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを得て、該情報データをデコードすることを特徴とする。
【0031】
本発明の再生装置は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する方法であって、前記積層ホログラム情報記憶媒体の装着を検知したとき、あるいは、電源の投入を検知したとき、前記記録データ用回折格子層に隣接する前記第1のコア層へ入射光を入射し、前記記録データ用回折格子層から出射した再生光を検出し、前記再生光から前記積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを得て、該情報データをデコードすることを特徴とする。
【0032】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体は、コア層に入射された入射光を、形状あるいは屈折率分布により形成された回折格子層を介して再生光として出射する積層ホログラム情報記憶媒体と、前記再生光の一部を遮ることで多重記録されている前記記憶情報を分離再生させる開口マスクを備え前記入射光を照射して前記再生光を検出する再生装置と、によって構成される積層ホログラム情報記憶システムにおける積層ホログラム情報記憶媒体であって、前記再生光を透過または不透過にする穴の有無、または前記再生光の透過率の大小により情報を表し、前記開口マスクの開口間隙に重ならない位置に設けられた記録マークを有する記録層と、前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように形成された記録データ用回折格子層と、を備える。
【0033】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体は、コア層に入射された入射光を、形状あるいは屈折率分布により形成された回折格子層を介して再生光として出射する積層ホログラム情報記憶媒体と、前記入射光を照射して前記再生光を検出する再生装置と、によって構成される積層ホログラム情報記憶システムにおける積層ホログラム情報記憶媒体であって、前記再生光を透過させない色彩を有する材料を一部に配置した吸収部とともに、前記吸収部以外の部分に前記再生光を透過または不透過にする穴の有無、または前記再生光の透過率の大小により情報を表す記録マークを配置した記録層と、前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように形成された記録データ用回折格子層と、を備える。
【0034】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体は、コア層に入射された入射光を、形状あるいは屈折率分布により形成された回折格子層を介して再生光として出射する積層ホログラム情報記憶媒体と、前記入射光を照射して前記再生光を検出する再生装置と、によって構成される積層ホログラム情報記憶システムにおける積層ホログラム情報記憶媒体であって、前記再生光を透過または不透過にする穴の有無、または前記再生光の透過率の大小により情報を表し、予め定められた前記再生装置上での前記再生光の明暗の有無及び位置に基づいて所定の規則により変換された位置に設けられた記録マークを有する記録層と、前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記予め定められた前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように形成された記録データ用回折格子層と、を備える。
【0035】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体において、前記所定の規則は、前記再生光の明暗の有無及び位置を上下あるいは左右反転、あるいは有無を反転、あるいは所定の距離だけ上下左右のいずれかにシフトさせた位置に前記記録マークを設ける規則であることを特徴とする。
【0036】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体において、前記所定の規則は、前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が前記再生光の明暗の有無及び位置に対して一対多あるいは多対多あるいは多対一に対応するようにする規則であることを特徴とする。
【0037】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体の設計方法は、コア層に入射された入射光を、形状あるいは屈折率分布により形成された回折格子層を介して再生光として出射し、前記再生光を透過または不透過にする穴の有無または前記再生光の透過率の大小により情報を表す記録マークを有する記録層を備えた積層ホログラム情報記憶媒体と、前記再生光の一部を遮ることで多重記録されている前記情報を分離再生させる開口マスクを備え前記入射光を照射して前記再生光を検出する再生装置と、によって構成される積層ホログラム情報記憶システムにおける積層ホログラム情報記憶媒体の設計方法であって、前記開口マスクの開口間隙に重ならない位置に前記記録マークを設ける工程と、前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように記録データ用回折格子層を形成する工程と、からなることを特徴とする。
【0038】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体の設計方法は、コア層に入射された入射光を、形状あるいは屈折率分布により形成された回折格子層を介して再生光として出射し、前記再生光を透過させない色彩を有する材料を一部に配置した吸収部とともに、前記吸収部以外の部分に前記再生光を透過または不透過にする穴の有無、または前記再生光の透過率の大小により情報を表す記録マークを配置した記録層を備えた積層ホログラム情報記憶媒体と、前記入射光を照射して前記再生光を検出する再生装置と、によって構成される積層ホログラム情報記憶システムにおける積層ホログラム情報記憶媒体であって、前記吸収部に重ならない位置に前記記録マークを設ける工程と、前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように記録データ用回折格子層を形成する工程と、からなることを特徴とする積層ホログラム情報記憶媒体の設計方法。
【0039】
本発明の積層ホログラム情報記憶媒体の設計方法は、コア層に入射された入射光を、形状あるいは屈折率分布により形成された回折格子層を介して再生光として出射し、前記再生光を透過または不透過にする穴の有無、または前記再生光の透過率の大小により情報を表す記録マークを有する記録層を備えた積層ホログラム情報記憶媒体と、前記入射光を照射して前記再生光を検出する再生装置と、によって構成される積層ホログラム情報記憶システムにおける積層ホログラム情報記憶媒体の設計方法であって、予め定められた前記再生装置上での前記再生光の明暗の有無及び位置に基づいて所定の規則により変換された位置に前記記録マークを設ける工程と、前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記予め定められた前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように記録データ用回折格子層を形成する工程と、からなることを特徴とする積層ホログラム情報記憶媒体の設計方法。
【0040】
本発明の認証シートは、少なくとも1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ、形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とから構成されることを特徴とする。
【0041】
本発明の認証シートは、前記再生光が前記記録層を透過することによって、前記記録層上での前記記録マークの有無および位置が、光の明暗の有無および位置として再生されるように、前記記録データ用回折格子層が形成されていることを特徴とする。
【0042】
本発明の再生装置は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層とを有する認証シートに記録された情報データを再生する装置であって、少なくとも、前記第1のコア層に入射光を入射させる光ヘッドと、前記記録層を透過した光を検出する光検出器とを有することを特徴とする。
【0043】
本発明の再生方法は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1コア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する認証シートに記録された情報データを再生する方法であって、前記第1のコア層に入射光を入射させ、前記記録データ用回折格子層から出射される再生光を前記記録層を介して検出することにより、前記記録層における前記記録マークの有無に対応した光の明暗パターンとして検出再生することにより、前記記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする。
【0044】
本発明の記録装置は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する認証シートに情報データを記録する装置であって、少なくとも、前記記録層に光線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する光線照射系、あるいは前記記録層に電子線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する電子線照射系のいずれかを有することを特徴とする。
【0045】
本発明の記録方法は、少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、該第1のコア層の上面あるいは下面あるいは該第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する認証シートに、少なくとも光線照射系あるいは電子線照射系のいずれかを有する記録装置を用いて情報データを記録する方法であって、情報データを光線照射系あるいは電子線照射系からの光線あるいは電子線により、光の透過、不透過性を持つ記録マークの有無に対応させて前記記録層に、描画あるいは一括投影することによって記録することを特徴とする。
【0046】
本発明によれば、積層ホログラム情報記憶媒体の作製後または作製途中において、容易に情報データを記録することができる。
【0047】
また、本発明によれば、この記録した情報データを再生装置及び再生方法により、容易に再生することができる。
【0048】
さらに、本発明によれば、記録層に識別番号等の積層ホログラム情報記憶媒体毎の固有の情報データを書き込んだ後に、上部にコンテンツの情報データが書き込まれた回折格子層からなる記録層を貼り付け等により形成するため、記録層に対する情報データの書き込みが容易に行え、記録層に用いる材料及び加工の自由度が向上する。
これにより、記憶媒体個々に固有の情報データを記録することができ、記憶媒体の個々を管理することが可能となり、記憶媒体に記憶あるいは蓄積されたコンテンツの著作権を、不正コピー、偽造行為などから守ることができる効果が得られる。
【0049】
また、本発明によれば、本発明に係る認証シートの作製時に、本発明に係る記録装置および記録方法を用いて、上記認証シートに情報データを容易に記録できる。また、この記録した情報データを本発明に係る再生装置および再生方法を用いて容易に再生することができる。
【0050】
これにより、認証シート個々に固有の情報データを記録しこれを再生することができ、認証シートおよびこれを貼り付けたものの個々を管理することが可能となり、後述する種々の応用分野へ適用することができる、という効果が得られる。
【0051】
さらに、この発明によれば、積層ホログラム情報記憶媒体において、記録層は、透過する再生光が再生装置に達するまでに遮られない位置に記録マークを設けた構成となっている。そのため、再生装置において再生光を正確に検出することができ、再生光から読み取れる情報を正確に認識することが可能となる。
【0052】
また、本発明によれば、積層ホログラム情報記憶媒体において、記録層は、再生装置の開口マスクの開口間隙に重ならない位置に設けられた記録マークを有する構成となっている。そのため、再生光は再生装置に達するまで開口間隙によって遮られることがなく再生装置は再生光を正確に検出することが可能となる。それによって、再生装置において再生光から読み取れる情報を正確に認識することが可能となる。
【0053】
また、本発明によれば、積層ホログラム情報記憶媒体において、記録層は、再生光を透過させない色彩を有する材料を一部に配置した吸収部とともに、吸収部以外の部分に再生光を透過または不透過にする穴の有無、または再生光の透過率の大小により情報を表す記録マークを配置することによって構成されている。そのため、再生光は再生装置に達するまで表示部によって遮られることがなく再生装置は再生光を正確に検出することが可能となる。それによって、例えば積層ホログラム情報記憶媒体にコンテンツ等を記憶させ、上記表示部に上記吸収部、即ちコンテンツのタイトル等のデザインを施す場合にも記録マークがデザインの妨げになることを防ぐことが可能となり、さらに、記録マークをデザインの一部として利用することも可能である。
【0054】
また、本発明によれば、積層ホログラム情報記憶媒体は、再生光を透過または不透過にする穴の有無等によって情報を表し、予め定められた再生装置上での再生光の明暗の有無及び位置に基づいて所定の規則により変換された位置に設けられた記録マークを有する記録層と、記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記予め定められた前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように形成された記録データ用回折格子層とを備えた構成となっている。
【0055】
そのため、所定の規則として、再生光の明暗の有無及び位置を上下あるいは左右反転、あるいは有無を反転、あるいは所定の距離だけ上下左右のいずれかにシフトさせた位置に記録マークを設ける規則を適用した場合には、目視によって記録マークに対応する情報を容易に認識できないようにすることができる。また、記録マークの有無及び位置が前記光の明暗の有無及び位置に対して一対多あるいは多対多あるいは多対一となるように変換することによっても同様に目視によって記録マークに対応する情報を容易に認識できないようにすることができる。それによって、積層ホログラム情報記憶媒体に記録されている情報のセキュリティを高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1は、この発明の第1の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の構成を示す側面図である。
【図2】図2は、この発明の第2の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の構成を示す側面図である。
【図3】図3は、この発明の実施形態による記憶媒体1およびその記録装置の構成を示す図である。
【図4】図4は、この発明の実施形態によるによる記憶媒体1およびその再生装置の構成を示す図である。
【図5】図5は、この発明の実施形態による記憶媒体1およびその記録装置52aを示す図である。
【図6】図6は、この発明の実施形態によるによる記憶媒体1およびその記録装置52bの構成を示す図である。
【図7】図7は、この発明の第3の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の構成を示す側面図である。
【図8】図8は、この発明の第4の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の構成を示す側面図である。
【図9】図9は、この発明の実施形態による記憶媒体1bおよびその再生装置5aの構成を示す図である。
【図10】図10は、この発明の実施形態による記憶媒体1およびその記録装置の構成を示す図である。
【図11】図11は、この発明の実施形態によるによる記憶媒体1およびその再生装置の構成を示す図である。
【図12】図12は、この発明の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の製造方法を説明するための図である。
【図13】図13は、この発明の実施形態による記憶媒体1およびその記録装置52aを示す図である。
【図14】図14は、この発明の実施形態によるによる記憶媒体1およびその記録装置52bの構成を示す図である。
【図15】図15は、この発明の他の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の構成を示す側面図である。
【図16】図16は、この発明の他の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の構成を示す側面図である。
【図17】図17は、この発明の実施形態による記憶媒体1bおよびその再生装置5aの構成を示す図である。
【図18】図18は、図9Aの再生光学系300における光検出器7に一次元センサとしてラインセンサを用いた場合の再生処理を説明する概念図である。
【図19】図19は、図9Aの再生光学系300における光検出器7に二次元センサとしてエリアセンサを用いた場合の再生処理を説明する概念図である。
【図20】図20は、本発明における記憶媒体からの再生光の検出を行う再生装置の動作を説明する概念図である。
【図21】図21は、本発明における記憶媒体からの再生光の検出を行う再生装置の動作を説明する概念図である。
【図22】図22は、この発明の一実施形態における記録層を表す図である。
【図23】図23は、この発明の一実施形態における光検出器を表す図である。
【図24】図24は、この発明の一実施形態における記憶媒体を表す図である。
【図25】図25は、この発明の第5の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の構成を示す側面図である。
【図26】図26は、この発明の第6の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の構成を示す側面図である。
【図27】図27は、この発明の第7の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の構成を示す側面図である。
【図28】図28は、この発明の第8、第9の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の構成および再生装置の構成を示す側面図である。
【図29】図29は、この発明の第10、第11の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の構成および再生装置の構成を示す側面図である。
【図30】図30は、この発明の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の製造方法を説明するための図である。
【図31】図31は、この発明の第12の実施形態による積層ホログラム情報記憶媒体の構成およびその再生装置の構成を示す斜視図である。
【図32】図32は、本発明において記録層及びグレーティング層が記憶媒体の読み出し面の1部に形成された構成を示す側面(断面)図である。
【図33】図33は、本発明の認証シートの第1実施形態に係る構成を示す側面(断面)図である。
【図34】図34は、本発明の認証シートの第2実施形態に係る構成を示す側面(断面)図である。
【図35】図35は、本発明の認証シートの第3実施形態に係る構成を示す側面(断面)図である。
【図36】図36は、本発明の認証シートの第4実施形態に係る構成を示す側面(断面)図である。
【図37】図37は、本発明の実施形態に係る認証シートをカードに貼り付けて使用する場合の実施形態を示す図。
【図38】図38は、本発明の第1実施形態に係る記録装置の構成を示す図である。
【図39】図39は、本発明の第2実施形態に係る記録装置の構成を示す図である。
【図40】図40は、本発明の第1実施形態に係る再生装置の構成を示す図である。
【図41】図41は、本発明の第2実施形態に係る再生装置の構成を示す図である。
【図42】図42は、本発明の実施形態に係る認証シートを再生装置のカード差込口に挿入した状態を示す説明図である。
【図43】図43は、従来の積層ホログラム情報記憶媒体の構成を示す側面図である。
【図44】図44は、積層ホログラム情報記憶媒体およびその再生装置の構成を示す側面図である。
【図45】図45は、本発明の第13の実施形態による記憶媒体の構成を示す図である。
【図46】図46は、本発明の第13の実施形態における記憶媒体と再生装置の構成(その1)を示す図である。
【図47】図47は、本発明の第13の実施形態におけるIDデータ再生像(その1)を示した図である。
【図48】図48は、本発明の第13の実施形態における記憶媒体と再生装置の構成(その2)を示す図である。
【図49】図49は、本発明の第13の実施形態における記録マークと開口マスクを重ねた図である。
【図50】図50は、本発明の第13の実施形態におけるIDデータ再生像(その2)を示した図である。
【図51】図51は、本発明の第14の実施形態における記憶媒体と再生装置の構成を示す図である。
【図52】図52は、本発明の第14の実施形態における記録マークと開口マスクを重ねた図である。
【図53】図53は、本発明の第14の実施形態におけるIDデータ再生像を示した図である。
【図54】図54は、本発明の第15の実施形態における記録層を示した図(その1)である。
【図55】図55は、本発明の第15の実施形態における記録層を示した図(その2)である。
【図56】図56は、本発明の第15の実施形態におけるIDデータ再生像を示した図である。
【図57】図57は、本発明の第15の実施形態における記録層を示した図(その1)である。
【図58】図58は、本発明の第15の実施形態における記録層を示した図(その2)である。
【図59】図59は、本発明の第15の実施形態における記録層を示した図(その3)である。
【図60】図60は、本発明の第15の実施形態における記録層を示した図(その4)である。
【図61】図61は、本発明の第16の実施形態におけるIDデータ再生像を示した図である。
【図62】図62は、本発明の第16の実施形態における記録層を示した図(その1)である。
【図63】図63は、本発明の第16の実施形態における記録層を示した図(その2)である。
【図64】図64は従来の情報データの計算方法を示す図である。
【図65】図65は本発明の実施形態に関わる情報データの計算方法を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施例について説明する。ただし、本発明は以下の各実施例に限定されるものではなく、例えばこれら実施例の構成要素同士を適宜組み合わせてもよい。
【0058】
<記憶媒体の第1、第2実施形態>
この発明による記憶媒体は、少なくとも、2つ以上のコア層と、前記コア層を挟むように配置した3つ以上のクラッド層と、前記一部のコア層とこれを挟むクラッド層との境界あるいはコア層内に設けられ情報データが記憶された1つ以上の回折格子層と、前記他のコア層とこれを挟むクラッド層との境界あるいはコア層内に、あるいはギャップ層を介して設けられ、情報データが形状あるいは屈折率分布として記録される1つ以上の記録層とから構成されることを特徴とする。
【0059】
図1は本発明の第1の実施の形態による記憶媒体1の構成を示す側面(断面)図である。2つのコア層2と、前記コア層2を挟むように配置した3つのクラッド層3と、前記一方のコア層2とこれを挟むクラッド層3との境界あるいはコア層2内に設けた1つの回折格子層4と、前記他方のコア層2とこれをはさむクラッド層3との境界あるいはコア層2内に設けた1つの記録層42とから構成される。
【0060】
図2は本発明の第2の実施形態による記憶媒体1aの側面(断面)図である。3つ以上のコア層2と、前記コア層2を挟むように配置した複数のクラッド層3と、前記コア層2とクラッド層3との境界あるいはコア層2内に設けた複数の回折格子層4と、特定の1つのコア層2とこれを挟むクラッド層3との境界あるいはコア層2内に設けた1つの記録層42とから構成される。図2のものは図1のものと比較し、大容量化できる点で有利である。
【0061】
回折格子層4には情報データが例えば凹凸形状、あるいは屈折率分布として記憶されている。図2では記録層42が1つの場合を示したが、複数でも同様の効果を奏する。また回折格子層4、記録層42は、コア層2に直接隣接するだけでなく、ギャップ層を設けても配されても同様の効果を奏する。ギャップ層としてはクラッド層3と同様の特性を有する材料を用いることができる。コア層2の厚さは1um程度、クラッド層3の厚さは10um程度である。回折格子層4はコア層2の上下に2箇所あっても良く、回折格子層4の数が多いことは大容量化できる点で有利である(他の実施形態においても同様である)。
【0062】
記録層42は、感光性あるいは感熱性の材料からなり、光(赤外光、可視光、紫外光、レーザ光、X線、電子線を含む)あるいは熱が当たると形状あるいは屈折率が変化する特性を持つ。例えば、金属(アルミ、クロムなど)、合金、半導体(アンチモンなど)、相変化材料(Ge−Sb−Te系、Ag−In−Sn−Te系)、色素(フタロシアニン系、合金アゾ系、ジアニン系)、フォトリフラクティブ材料(LN,SBN)、フォトクロミック材料、サーモクロミック材料、フォトポリマ、酸化物(酸化クロム、酸化銀など)、樹脂(UV硬化樹脂、熱硬化樹脂などおよびこれら樹脂にフラーレン、色素などを添加したものなど)などが挙げられる。
【0063】
<記録装置、記録方法の第1の実施形態>
本発明の記録装置の第1の実施形態は、記憶媒体の第1の実施形態に情報データを記録する装置であって、少なくとも、記録すべき情報データを持った物体光を記録層に照射する機能を有する物体光照射系と、参照光を記録層に照射する機能を有する参照光照射系とから構成されることを特徴とする。
【0064】
また、本発明の記録方法の第1の実施形態は、記憶媒体の第1の実施形態(図1)に上記の記録装置を用いて情報データを記録する方法であって、記録層の位置で物体光と参照光を干渉させ、光線(レーザ)または電子線(電子ビーム)の照射による光あるいは熱あるいは電子により情報データをホログラムデータとして記録層に記録することを特徴とする。
【0065】
図3は本発明の実施形態による記録装置52の側面図である。記録装置52は、記録すべき情報データを持った物体光92を記録層42に照射する機能を有する物体光光学系100と、参照光82を記録層42に照射する機能を有する参照光光学系101とから構成される。記録層42では、物体光92と参照光82が交わり、熱あるいは光強度の濃度分布を持った干渉縞が形成される。その結果、記録層42には形状あるいは屈折率変化の干渉縞がホログラムデータとして記録される(熱ホログラム記録あるいは光ホログラム記録)。
【0066】
図3(a)では、参照光82をコア層2内に入射させることにより、図5(b)では記憶媒体1の上方から照射することにより、図5(c)では記憶媒体1の下方から照射することにより、各々記録層42に照射する。各々に対し、参照光82を通常光として、あるいは近接場光として照射する方法があり同様の効果を奏する。
【0067】
物体光光学系100は、例えば空間光変調器を用いて物体光92に記録すべき情報データを持たすことができ(記録すべき情報データを表示した空間光変調器に光を通過させる)、必要に応じてレンズ、コリメータなど各種光学部品などを構成部品として有してもよい。参照光光学系101も必要に応じてレンズ、コリメータなど各種光学部品を構成部品として有してもよい。また物体光光学系100と光学系物体光92は光源を有する必要がある。ここで物体光92と参照光82を干渉させホログラム記録させるためには、物体光92と参照光82は干渉性が高い必要があり、同一の光源からの光であることが望ましい。
【0068】
物体光光学系100、光学系物体光92、記憶媒体1は、必要に応じて相対的に角度、位置を変化させてもよく、このため一次元、二次元あるいは三次元駆動機構、機能を有してもよい。さらに記録装置52は、再生光を確認するため、光ヘッド6、光検出器7(図4参照)を有してもよく、必要に応じて遮光マスク、記憶媒体支持部など後述再生装置5(図4)が有する構成要素、機能を有してもよい。
【0069】
<再生装置、再生方法の第1の実施形態>
本発明の再生装置の第1の実施形態は、記憶媒体の第1の実施形態(図1)に記録された情報データを再生する装置であって、少なくとも、記憶媒体に入射光を入射させる機能を有する光ヘッドと、記憶媒体から出射した再生光を検出する機能を有する光検出器とから構成されることを特徴とする。
【0070】
また、本発明の再生方法の第1の実施形態は、記憶媒体の第1の実施形態に上記の再生装置を用いて再生する方法であって、記録層近隣のコア層に光ヘッドからの入射光を入射させ、記録層に記録されたホログラムデータにより入射光が情報データを持った再生光として回折され、この再生光を光検出器を用いて検出再生することにより、記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする。
【0071】
図4は本発明による再生装置の実施形態を示す側面図であり、記憶媒体1(図1)の記録層42に記録された情報データを再生する装置である。図4に示す再生装置5は、光ヘッド6と、光検出器7とから構成され、光ヘッド6は記憶媒体1の所望のコア層2に入射光8を入射する機能を持つ。光ヘッド6により記録層42の近隣のコア層2に入射光8を入射させると、光は記録層42に記録されたホログラムデータ(形状あるいは屈折率変化)に依存して回折され、再生光9が記憶媒体1の上面に出射する。これを光検出器7で検出すると記録層42に記録された情報データを再生することができる。なお、所望のコア層2に入射光8を入射させれば、各回折格子層4に記憶された情報データを読み出せることは従来技術と同様である。
【0072】
コア層2への入射光8の入射方法としては、記憶媒体1の端面から入射させる方法、各コア層2に光結合部を設け記憶媒体1の上面あるいは下面から入射させる方法、各コア層2にミラー面を設け記憶媒体1の上面あるいは下面から入射させる方法が挙げられ同様の効果を奏する。但し端面から入射させる方法は記憶媒体1に光結合部、ミラー面などを設ける必要がない点で有利である。
【0073】
光ヘッド6は、入射光8の発生源を有し、発生源としては例えば各種レーザ光源が使用できる。また光ヘッド6は、例えば、光を引き回すミラー、コリメータなど光学部品、入射光8をコア層2に集光させる機能をもつ集光レンズ、入射光8を所望のコア層2の位置、角度で入射させる機能(機構、サーボ機能など)を持つアクチュエータなどと組み合わさって構成される。本再生装置5は必要に応じてサーボ用光検出器を具備しても良い。
【0074】
光検出器7は、記憶媒体1から出射した再生光9を検出する機能を持つ。必要に応じて移動機構を有しても良い。なおこの際、光検出器7と記憶媒体1が相対的に移動すれば良く、記憶媒体1側が移動機構を有しても良い。CCD、CMOSなど二次元光検出器、ラインセンサなど一次元光検出器、フォトダイオードなどが例として挙げられる。再生光9は二次元データとして出射されるため一次元光検出器、さらに二次元光検出器ではこれをより短時間で検出できるという点で有利である。
【0075】
また、再生装置5は必要に応じて開口マスクを有してもよく、開口マスクは記憶媒体1から出射した再生光9が光検出器7に入射するまでの光路の途中に配置され、各々の回折格子層4に多重に情報データを記憶した場合、各回折格子層4から出射する複数の再生光9を分離再生する機能を持つ。開口マスクを用いると、1つの回折格子層4から、光検出器7の複数画面分の情報データを再生することができるため。光検出器7のピクセル数に制限されることなく、記憶媒体1の記憶容量を大きくすることが可能となる。即ち、多重データ記憶・再生が可能となるため大容量化が図れるという効果がある。開口マスクとしては、液晶素子から成り電気的に開口の位置を変化させるもの。開口の位置を固定したマスクを移動させるもの等が挙げられる。前者が機械的駆動を不要とし有利である。一度に開ける開口の数は1つあるいは複数でも構わない(他の実施形態でも同様である)。
【0076】
光学部品、機構部品など、上述した記録装置52、再生装置5の構成要素の数は1つあるいは複数でも良く同様の効果を奏する(他の実施形態でも同様である)。
なお、記録装置52、再生装置5の構成要素として、記憶媒体1を装填する入り口である記憶媒体装填口、記憶媒体1が装填されるスペースである記憶媒体装填スペース、記憶媒体1を固定しローディング、チャック、取出し機能を有する記憶媒体装填台を具備しても良い。これらは記憶媒体1を容易にかつ安定に装填する効果がある。記録装置52、再生装置5の他の構成要素としては、例えば論理/制御回路が挙げられる論理/制御回路は、データ信号の処理、および本明細書に記載のアクティプ素子を駆動制御する機能を持つ回路である。
【0077】
上述した記録装置52、再生装置5は、本発明の典型的な実施形態に過ぎず、各構成要素の配置が変わったもの、各実施形態を組合せ、あるいは組み替えたものも同様の効果を奏し、本発明の範疇とする。
【0078】
<記録装置、記録方法の第2、第3の実施形態>
本発明の記録装置の第2、第3の実施形態は、記憶媒体の第1の実施形態(図1)に情報データを記録する記録する装置であって、少なくとも、記録層に光線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する機能を有する光線照射系、あるいは記録層に電子線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する機能を有する電子線照射系から構成されることを特徴とする。
【0079】
また、本発明の記録方法の第2、第3の実施形態は、記憶媒体の第1の実施形態に上記の記録装置を用いて情報データを記録する方法であって、計算機ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram)によって得た情報データを、光線(レーザ)または電子線(電子ビーム)の照射による光あるいは熱あるいは電子によりホログラムデータとして記録層に、描画あるいは一括投影することによって記録することを特徴とする。
【0080】
図5は第2の実施形態による記録装置52aの側面図であり、記憶媒体の第1の実施形態(図1)に情報データを記録する装置である。図5に示す記録装置52aは、記録層42に光線93を照射し描画する機能を有する光線照射系102から構成される。図6は第3の実施形態による記録装置52bの側面図であり、記憶媒体の第1の実施形態に情報データを記録する装置である。図6に示す記録装置52bは、記録層42に電子線94を照射し描画する機能を有する電子線照射系103から構成される。
【0081】
加工スポットの形状の精度,位置の精度を高精度に出す機構,方法として,上記実施形態のように、サンプル(記憶媒体)の下から加工面を観察しながら加工することにより,スポット形状,スポット位置を高精度に制御することができる。
上記の各実施形態では、計算機ホログラムによって得たホログラムデータを、光線93または電子線94により記録層42に形状あるいは屈折率変化として描画し記録する。このホログラムデータは図3における熱ホログラム、光ホログラムで得られるホログラムデータと等価なものである。
【0082】
記録層42へのホログラムデータの別の記録方法としては、計算機ホログラムによって得たホログラムデータを空間光変調器、フォトマスクなどに表示し、これに光線93または電子線94を通過させ、光線93または電子線94にホログラム情報を持たせ、拡大縮小レンズ系などを介して記録層42にホログラムデータを一括投影(記録層42に形状あるいは屈折率変化として記録)記録する方法がある。一括投影では描画に比較し高速記録が可能という利点がある。
【0083】
光線としては、赤外光、可視光、紫外光、レーザ光、X線などが利用できる。光線照射系102、電子線照射系103は必要に応じてレンズ、コリメータなどを構成部品として有してもよい。また、光線照射系102、電子線照射系103、記憶媒体1は、必要に応じて相対的に角度、位置を変化させてもよく、このため一次元、二次元あるいは三次元駆動機構、機能を有してもよい。さらに記録装置52a、52bは、再生光を確認するため、光ヘッド6、光検出器7を有してもよく、必要に応じて遮光マスク、記憶媒体支持部など上述再生装置5が有する構成要素、機能を有してもよい。その他、追加可能な構成要素、機能などは図3の記録装置で記したものと同様である。
【0084】
記録層42に記録した情報データの再生装置、再生方法に関しては、図4の再生装置、再生方法と同様である。即ち、再生装置は、記憶媒体の第1の実施形態に記録された情報データを再生する装置であって、少なくとも、記憶媒体に入射光を入射させる機能を有する光ヘッドと、記憶媒体から出射した再生光を検出する機能を有する光検出器とから構成される。
【0085】
また、再生方法は、記録層近隣のコア層に光ヘッドからの入射光を入射させ、記録層に記録されたホログラムデータにより入射光が情報データを持った再生光として回折され、この再生光を光検出器を用いて検出再生することにより、記録層に記録された情報データを再生する。
【0086】
<記憶媒体の第3、第4の実施形態>
本発明の記憶媒体の第3、第4の実施形態は、少なくとも、2つ以上のコア層と、前記コア層を挟むように配置した3つ以上のクラッド層と、前記一部のコア層とこれを挟むクラッド層との境界あるいはコア層内に設けられ情報データが記憶された1つ以上の回折格子層と、前記他のコア層とこれを挟むクラッド層との境界あるいはコア層内に設けられ再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記他のコア層に隣接してあるいはギャップ層を介してあるいは前記他のコア層から離して設けられ、情報データが光の透過、不透通性を持つ記録マークの有無として記録される1つ以上の記録層とから構成されることを特徴とする。
【0087】
また、記録層上での記録マークの有無および位置が、光の明暗の有無および位置として再生されるように、記録データ用回折格子層が形成されていることを特徴とする。例えば、記録層上での記録マークの有無および位置が、光検出器上での光の明暗の有無および位置に対応するように、記録データ用回折格子層が形成されている。
【0088】
図7は本発明による記憶媒体の第3の実施形態を示す側面(断面)図である。この記憶媒体1bは、2つのコア層2と、前記コア層2を挟むように配置した3つのクラッド層3と、前記一方のコア層2とこれを挟むクラッド層3との境界あるいはコア層2内に設けた1つの回折格子層4と、前記他方のコア層2とこれをはさむクラッド層3との境界あるいはコア層2内に設けた1つの記録データ用回折格子層43と、前記他方のコア層2に隣接して配された1つの記録層42から構成される。
【0089】
図8は本発明における記憶媒体の第4の実施形態を示す側面(断面)図である。この記憶媒体1cは、3つ以上のコア層2と、前記コア層2を挟むように配置した複数のクラッド層3と、前記コア層2とクラッド層3との境界あるいはコア層2内に設けた複数の回折格子層4と、前記特定の1つのコア層2とこれを挟むクラッド層3との境界あるいはコア層2内に設けた1つの記録データ用回折格子層43と、前記他方のコア層2にギャップ層44を介して配された記録層42とから構成される。図8のものの方が情報データを記憶した回折格子層の数が多いため、大容量化できる点で有利である。
【0090】
回折格子層4には情報データが例えば凹凸形状、あるいは屈折率分布として(ホログラムデータとして)記憶されている。記録層42は1つだけでなく、複数でも同様の効果を奏する。
また回折格子層4、記録層42は、コア層2に直接隣接するだけでなく、ギャップ層44を設けて配されても同様の効果を奏する。各構成要素に関しては図1、図2に示すものと同様である。コア層2、クラッド層3の材料としては樹脂、ガラス、光学結晶などが使用でき、ギャップ層44としてはクラッド層3と同様の特性を有する材料(樹脂、ガラス、光学結晶など)を用いることができる。コア層2の厚さは1μm程度、クラッド層3の厚さは10μm程度である。回折格子層4はコア層2の上下に2箇所あっても良く、回折格子層4の数が多いことは大容量化できる点で有利である。
【0091】
記録層42は、図1及び図2に示すものと同様であるが、光(赤外光、可視光、紫外光、レーザ光、X線、電子線などを含む)あるいは熱が当たると形状あるいは屈折率などの光学特性が変化し、結果として光に対する透過/不透過性(透明/不透明変化、穴有り/無しなどを含む)が変化する機能を有する材料が利用できる。例えば、特定の光、熱が当たると不透明から透明に変わる(あるいはその逆)、あるいは形状変化/昇華により消失する(穴が開く)ような特性を有する材料が利用できる(記録層42上にこのようにして形成された跡を記録マーク45と呼ぶこととする)。透過部分を記録マークとしても、あるいは不透過部分を記録マークとしても良い。
【0092】
本明細書では透過部分を記録マークとした前提で記述していることが多いが、不透過部分が記録マークである場合にも同様の効果を奏する。この場合は例えば明暗ドットの明暗が逆になるなど本明細書の実施形態の記述が適宜変わるが、これらを含めて全て本実施形態の範疇とする(全実施形態で同様)。具体的な記録層42の材料としては、金属(アルミ、クロムなど)、酸化物(酸化クロム、酸化銀など)、半導体(アンチモンなど)、樹脂(UV硬化樹脂、熱硬化樹脂など、およびこれら樹脂にフラーレン、色素などを添加したものなど)、インク、塗料、紙などが使用できる。
【0093】
図7ではギャップ層44がない例、図8ではギャップ層44がある例を示したが、いずれも同様の効果を奏し、ギャップ層44はあってもなくてもよい。また記録層42は記録データ用回折格子層43に対し、再生光9が出射する側に(記憶媒体1に対して光検出器7が配される側に)配されればよく、記録層42と記録データ用回折格子層43との間にはギャップ層44以外の層、例えばコア層2、クラッド層3が配されても構わない。
【0094】
但し、通常は回折格子層4にはデータ情報が記憶されているため、これを再生するためには、回折格子層4は記録層42と記録データ用回折格子層43との間に位置しない方が有利である(記録層42、記録データ用回折格子層43が回折格子層4からの再生光9を遮蔽し回折格子層4の情報データが再生できなくなるためである。)。
【0095】
記録データ用回折格子層43は、回折格子層4と同様の特性を持つものであり、凹凸形状あるいは屈折率分布により隣接するコア層2に入射した入射光8を再生光9として出射するものである。再生光9の出射角としては例えば真上、光ヘッド6からの入射光8に対して前方、後方でもよく、また平行光でも種々の角度をもった光が混在していてもよい。
【0096】
但し、ほぼ真上に出射させ、かつ、平行光とすることが、記録装置52、再生装置5をコンパクトに実装でき、また記録データ用回折格子層43からの再生光9の平行性を維持できる点で有利である(後述するように、記録データ用回折格子層43からの再生光9は広がらない方が多くの情報を記録層42に記録し再生する点で有利であるため)。
【0097】
後述する、再生装置及び再生方法において示すように、記録層42上での記録マーク45の有無および位置は、光検出器7上での光の明暗の有無および位置に対応するように、記録データ用回折格子層43が形成されていてもよい。
記録層42上での記録マーク45の有無および位置は、光検出器7上での光の明暗の有無および位置と1対1に対応していてもいいし、また必ずしも1対1対応していなくても良い。
【0098】
即ち、1個の記録マーク45に対して光検出器7上の明暗ドット1個が対応してもいいし、あるいは1個の記録マーク45に対して複数の明暗ドット、あるいは複数の記録マーク45に対して1個の明暗ドット、あるいは複数の記録マーク45に対して複数の明暗ドットが対応するよう記録データ用回折格子層43を形成しても良い。
【0099】
記憶媒体1としては、記録層42を含む記憶媒体1を一体で作製し、その後、記録層42に記録するもの、記録層42を含む部分と記録層42を含まない部分の二体で作製し、記録層42を含む部分に対して、記録層42に記録を行った後、これと記録層42を含まない部分を貼り付け最終的に一体にするもの、まず記録層42を含む部分の記録層42に記録し、これに記録層42を含まない部分を追加作製するもの、が挙げられる。
記録層42に穴開けする場合には、記録層42は表面に露出している方が穴開けし易く、上記のように、二体で作製する方法が有利である。
【0100】
記憶媒体1としては、そのままの形態で使用する方法、パッケージ/カートリッジなどの容器に入れて使用する方法、そのままの形態で使用し片面(再生光が出射しない側)にラベルを貼付して使用する方法などが挙げられる。記録装置、再生装置の構成要素を、記憶媒体、パッケージ、カートリッジの構成要素として持たせてもよく(あるいはその逆など相互に構成要素を交換して構成しても)、同様の効果を奏する。
【0101】
なお、本発明による記憶媒体1の層の構成としては、適宜各層の間にギャップ層、クラッド層、保護層を挿入してもよく、また上下の最表面にはクラッド層あるいは保護層がある場合、ない場合が考えられ、いずれも同様の動作、効果が得られる。
【0102】
<記録装置、記録方法の第1の実施形態>
本発明の記憶媒体の第3及び第4の実施形態に対する記録装置の第1の実施形態としては、図5、図6に示す記録装置52a、52bを利用することができる。即ち、記録装置は、記憶媒体の第3、第4の実施形態に情報データを記録する装置であって、少なくとも、記録層42に光線を照射し、情報データを描画あるいは一括投影する機能を有する光線照射系、あるいは、記録層42に電子線を照射し、情報データを描画あるいは一括投影する機能を有する電子線照射系から構成される。
【0103】
また、本発明による記録方法は、記憶媒体の第3、第4の実施形態に上記の記録装置を用いて情報データを記録する装置であって、情報データを光線(レーザ)または電子線(電子ビーム)の照射による光あるいは熱あるいは電子により、光の透過、不透通性を持つ記録マークの有無に対応させて記録層に、情報データを描画あるいは一括投影、すなわち情報データを光線または電子線を用いて記録することを特徴とする。すなわち、光線照射系102(図5)、電子線照射系103(図6)を用いて、記録層42に光線、電子線を透過する(あるいは透過しない)箇所(記録マーク45:図9)を、描画、あるいは空間光変調器などを用いた一括投影により形成する。この記録マーク45の位置、形状(例えば、記録マーク45を穴として形成する)などにより、記録層42に情報データを記録することが可能となる。
【0104】
また、光線、電子線などを用いて記録層に記録する方法以外に、イオンビーム源により発生させたイオンビームを用いて記録層に記録することもできる。また、インクジェットプリント、レーザプリント、スクリーン印刷などの種々の印刷技術を用いて、インク、塗料などを所望のパターンで記憶媒体上に印刷することによっても記録することができる。
【0105】
また、紙、樹脂などのラベルを記憶媒体に貼り、これに記録パターンを記録する方法、あるいは予め記録パターンが記録された前述ラベルを記憶媒体に貼る方法を用いることもできる。
【0106】
上記各方法を組み合わせたものとしては、例えば、印刷技術によってインク、塗料を塗布し、これらに光線、電子線などを照射して記録する方法も挙げられる。加工スポットの形状の精度、位置の精度を高精度に出す機構、方法として、サンプル(記憶媒体)下から加工面を観察しながら加工することにより、スポット形状、スポット位置を高精度に制御可能とできる。例えば、光線(レーザビーム)を用いて加工記録する場合、レーザの反射をモニタして同様に加工面を観察し、スポット形状、スポット位置を高精度に制御する方法も挙げられる。但し、反射で観察する場合には、入射ビームと反射ビームを分離する光学系、例えば、ハーフミラー、ビームスプリッタが必要となるが、これらを用いると、入射ビームが減衰してしまい(通常、半分以下に減衰する)、入射ビームのパワーが落ち、加工能力が低下するという問題が生じる。これに対して、サンプルの下で観察(この場合、透過ビームを観察することになる)する方法では、原理的に入射ビームのパワーを低下させることなく、加工面を観察できるという利点がある。
【0107】
<記録装置、記録方法の第2の実施形態>
また、本発明の第2の実施形態に係る記録装置は、少なくとも記録層を有する記憶媒体に情報データを記録する装置であって、少なくとも、記録層に光線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する光線照射系、あるいは電子線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する電子線照射系のいずれかを有することを特徴とする。記憶媒体としては例えば、本発明の実施形態に係る記憶媒体が使用できる。
【0108】
本発明の第2実施形態に係る記録方法は、少なくとも記録層を有する記憶媒体に、少なくとも光線照射系あるいは電子線照射系を有する記録装置を用いて情報データを記録する方法であって、情報データを光線照射系あるいは電子線照射系からの光線あるいは電子線により、光の透過、不透過性を持つ記録マークの有無に対応させて記録層に、描画あるいは一括投影することによって記録することを特徴とする。記憶媒体としては例えば、本発明の実施形態に係る記憶媒体が使用できる。記録装置としては例えば、本発明の実施形態に係る記録装置が使用できる。
【0109】
図10、図11に本発明の実施形態に係る記録装置52の構成(側面図)を示す。図10では記録装置52は、記録層42に光線93を照射し描画する光線照射系102から構成され、図11では記録装置52は、記録層42に電子線94を照射し描画する電子線照射系103から構成される。図10は、記憶媒体1として記録層42を含む部分と記録層42を含まない部分が一体となって作製されたものを記録する例を示している。一方、図11は記録層42が表面に露出したものを記録する例を示したものであり、識別番号等の固有情報の情報データを記録層42に記録し、この記録層42を含む部分(識別情報記録部分)を生成した後、これと記録層42を含まない部分(通常の製造工程により、複数の回折格子層に、流通させるコンテンツの情報データを記憶したROM部分)を貼り付け最終的に、上記識別情報記録部分及びROM部分との二体を一体構造とした記憶媒体1が形成される。
【0110】
すなわち、上記識別情報記録部分及びROM部分とを別々に作成して、後に貼り付けることにより、ROM部分の形成は従来技術で行えることから高い生産性を維持し、識別情報記録部分の形成は各記憶媒体に固有な情報データを、記録層に対して簡易に記録できるため、結果として、容易に固有情報が記録された記憶媒体を製造することが可能となる。
【0111】
なお、上述のように、記録層42に穴開けする場合には、記録層42は表面に露出している方が穴開けし易い。すなわち、加工面が露出していることにより、レーザまたは電子ビーム等の光線93を照射して、直接に記録層42に情報データを示す記録マークを描画することが可能なため、加工精度を向上させることができる。
【0112】
さらに、上記識別情報記録部分及びROM部分とを一体とした後、記録層2に光線93を照射して穴開けを行う場合、記録層42の材料の変形、または記録層42の材料が昇華するスペースがないために体積変化が起こり、上部のクラッド層またはギャップ層を変形させて水ぶくれ状態とし、記憶媒体が変形する可能性がある。この記憶媒体の変形により、記憶媒体のサイズが再生装置に挿入可能なサイズを超えてしまい、挿入できなくなる。
また、記憶媒体が変形することにより記憶面が歪み、入射光が所定の位置に入射されず、入射されたとしても再生光が正しく出射されず、情報データが再生できなくなる弊害が生じる。
【0113】
一方、露出した状態において記録マークとしての透過率の変更及び穴開けを行うことにより、記録層42の材料の昇華が大気中に放出されて体積変化が起こらない、例えば、図11に示すように記録層42まで形成し、記録層42が露出した状態で記録マークの加工を行うことにより、上述した水ぶくれを発生させることを防止することができる。
【0114】
また、記録層42の材料が変形しても、識別情報記録部分及びROM部分の二体を貼り合わせる際に、接着材料の接着層によって、この変形が吸収され、上記入射光及び反射光の不具合による再生不良を回避することができる。
【0115】
ここで、情報データとしてコンテンツを記憶した複数の回折格子層,コア層及びクラッド層からなる、別に作成したROM層を貼り付ける場合、このROM層と記録層42とを接着する上記接着層(接着剤)の材料としては、クラッド層3(図9)あるいは記録層42の下部のコア層2(図7)またはギャップ層44(図8)の材料と同様の光特性を有するもの、すなわち、同様の光整合性を有する材料を用いる。この結果、光線93や電子線94を照射することによって発生する熱により、記録層42に記録マークとしての穴を開けるときに生じた、コア層2(図7)またはギャップ層44(図8))の表面に生じた欠陥を回復させることができる。さらに、記録層42を露出して記録処理を行い、穴開け時に記録層42が体積変化したとしても、ROM層との接着時に、上記接着剤による接着層により、ある程度の変形を吸収することができ、体積変化する材料も使用することが可能となる。
【0116】
また、上述したように、貼り付ける層と同様の光学特性を有する接着剤を用いることにより、記録マーク部分(穴部分)や記録層が形成されていない部分(後に説明する部分的に記録層を形成した場合)を、この接着剤で埋めて補完することができるため、接着面(二体の貼り合わせ面)を光学的に連続とすることができる。これにより、例えばレーザ光で記録層42に穴開け記録をした際、直下の層であるギャップ層44等にレーザ光による損傷を受けた場合(穴が生成された場合など)も、接着剤によりこの損傷としての穴を連続となるように埋めて補完することができ、二体を一体とする工程において、記録加工の損傷を回復させることができる。
【0117】
また、記録層42の透過率または屈折率を、光線93及び電子線94により変化させ、記録マーク45を形成する場合、透過率及び屈折率を変化させること自体は物理的に可能であるが、使用する加工光によって透過率が検出可能な程度に変化する材料を選択する必要があり、材料の選択が難しい面がある。
【0118】
すなわち、所定のエネルギを有する光の照射により、透過率または屈折率が変化する特性を有する新材料を見つける、または作成することは、この材料が同時に以下に示す(i)〜(iii)の各特性を満たす必要があるため、上記特性の材料を新規に見出すことは非常に困難性を伴う。
【0119】
(i)記録マークとして機能する(光を透過する)際に、コア層及びクラッド層の屈折率がほぼ同程度である必要がある(例えば、双方の屈折率は例えば1.5程度でコア層がほんの少し大きな値となる)。
(ii)記録時において、光の照射により屈折率または透過率が変化し、一方再生時には屈折率または透過率が光が当っても変化しないような条件(読み出しと書き込みとの照射する光の波長、すなわちエネルギを変化させること)が必要である。この条件に対しては、急峻な光波長選択性を持つ材料を見つけ出すか、またはこのような条件を満たすような化学処理法(不活性処理)を見出す必要がある。
(iii)記録層の新材料に対して、耐環境性(熱/化学安定性)、無毒無害性及び光のエネルギにより熱膨張しないか、またはコア層及びクラッド層と同じ熱膨張率を有する必要があり、記録(すなわち光照射による屈折率変化,透過率変化)の前後において体積変化しない。
【0120】
一方、記録マーク45として、穴の有無により情報データを示す場合、予め記録層42のみを単層として加工し、回折格子層や上記ROM層を貼り付けて構成することもでき、記録層42に使用可能な材料の自由度が向上し、より加工を安価に行えることとなる。
【0121】
すなわち、記録層における穴の有無を記録マークとすると、記録層の材料としては、例えば塗料などを用いることができ、レーザで穴開けを行い情報データの記録を行う場合、レーザ光を効果的に吸収し穴開けを効率的に行い、再生時には穴の内部分が回折格子層からの再生光を遮光するという条件を満たす(屈折率及び透過率を変更させる材料に比較して要求される条件が緩い)ことにより、材料の選択の自由度が多くなる。
【0122】
さらに、透過率の変化により記録マーク45を形成した場合、情報データの読み出し時に照射される入射光により、記録層42の材料が経時変化により透過率が徐々に変化して、長い期間利用した記録層42については情報データが正しく読み出せなくなることが考えられる。
【0123】
しかしながら、記録マーク45として、穴の有無により情報データを示す場合、記録マーク45のデータが変化することがなく、透過率によって記録層42に対する情報データの書き込みに比較して長期間の使用が可能となる。
【0124】
上述したように、記録層に穴を開けて情報データを記録させるのではなく、記録層の光学特性を変化させて情報データを記録させる場合、識別情報記録部分及びROM部分を一体化した後に、レーザ等を用いて情報データの記録を行うと、記録層42の体積変化が起こる場合、記憶媒体1が変形してしまい、すでに述べた記録層42に穴開けを行う場合と同様に、情報データを記録したものの、記録した情報データが正しく読み出せなくなる弊害が生じる。
【0125】
一方、識別情報記録部分及びROM部分を別々に二体で生成する場合、すなわち識別上納記録部分の記録層42を露出した状態で、レーザを照射して情報データを記録し、記録した後に別々に生成した二体を接着剤により貼り合わせることにより、貼り合わせの接着剤の接着層により、レーザの照射による記録層42の体積変化、すなわち記録層42の変形を吸収することができ、記憶媒体1全体の変形を防止することが可能となり、上述した情報データが正しく読み出せなくなる弊害を取り除くことができる。
【0126】
しかしながら、識別情報記録部分及びROM部分を二体それぞれ別々に生成して、識別情報記録部分の記録層42に情報データを記録した後に、これら二体を貼り合わせることにより、レーザ照射により情報を記録する記録層42の材料として、情報データを書き込んだ結果として体積変化する材料を使用することができ、利用できる材料の幅が広がり、記録層42新規材料の開発を容易とすることが可能となる。
【0127】
また、図10、図11の光線93と電子線94、光源照射系102と電子線照射系103が入れ替わったものも同様の効果を奏する。
以下、記録装置52の記録動作を説明する。記録に際しては光線照射系102、または電子線照射系103を用いて、記録層42に光(レーザ光)または、電子線に対する透過/不透通性を示す箇所(記録マーク45:透明/不透明、穴有り/無しなどを含む)を描画、あるいは空間光変調器などを用いた一括投影により形成する。
【0128】
この記録マーク45の有無(数、位置、形状など)により、記録層42に情報データを記録することが可能となる。記録層42の形状、屈折率変化、消失(穴開き)などが記録マーク45として機能する。
光線93としては、赤外光、可視光、紫外光、レーザ光、X線などが利用できる。光線照射系102、電子線照射系103は必要に応じてレンズ、コリメータなどの光学部品、電子線用部品を構成部品として有してもよい。
また、光線照射系102、電子線照射系103、記憶媒体1は、必要に応じて相対的に角度、位置を変化させてもよく、このため一次元、二次元あるいは三次元駆動する機構および機能を有してもよい。
【0129】
さらに、記録装置52は、再生光を確認するため、光ヘッド6、光検出器7などを有してもよく、必要に応じて開口マスク、再生光学系、記憶媒体支持部など本発明の再生装置5が有する構成要素、機能を有してもよい。
【0130】
なお、光線93、電子線94などを用いて記録層42に記録する方法以外に、インクジェットプリント、レーザプリント、スクリーン印刷など種々の印刷/プリント技術を用いて、インク、塗料などを所望のパターンで記憶媒体1上に印刷することによっても記録することができる。
【0131】
また、紙、インク、樹脂などのラベルを記憶媒体に貼り、これに記録パターンを記録する方法、あるいは予め記録パターンが記録された前述ラベルを記憶媒体1に貼る方法を用いることもできる。よってこれらも本発明の範疇とする。
また、光線93、光線照射系102、電子線94、電子線照射系103に加え、イオンビーム、イオンビーム源も有用であり、これらおよび、これら上記記載のものを各々組合せたもの、例えば、印刷技術によってインク、塗料を塗布し、これらに光線93、電子線94などを照射して記録する方法も挙げられ、これらも本発明の範疇とする。
【0132】
なお、記録装置、記録方法として、記録マーク45の加工スポット形状の精度、位置の精度を高精度に出す機構、方法として、サンプル(記憶媒体1)下から加工面を観察しながら加工する装置、方法とすることにより、スポット形状、スポット位置を高精度に制御可能とでき、有利である。
【0133】
また、図12に記録装置の他の構成例を示す。同図において、光線照射系(あるいは電子線照射系)102は例えば光線93を照射する機能を有し、また、上下方向(光線の光軸方向)に移動、記憶媒体1の面内に一次元あるいは、二次元で光線あるいは照射系自体が走査する機能を有する。
ステージ401は記憶媒体1を安定に設置する機能を有し、記憶媒体1の加工箇所周辺にあたるステージ部は穴が開いているか、あるいは透明体から成る窓部402が設けられている。
【0134】
フィルタミラー406は、光線(電子線)93を透過し、ライト403からのライト光404は反射する機能を有し、例えば光線93の光軸に対し、45度でステージ401の下部に設置される。
ライト403はライト光404を照射する機能を有し、ライト光404はフィルタミラー406で反射され、記憶媒体1の加工面で反射し、フィルタミラー406で再度反射した後、カメラ405に入射するよう設置される。カメラ405はライト403からのライト光404が入射する位置に設置され、ライト光404により記憶媒体1の加工面を観察する機能を有する。
【0135】
例えば、光線としてYAG(Ndドープ,YVO4)レーザ光を使用した場合、波長は1064ナノメートル程度であり、ライト光を可視光である波長100〜600ナノメートルとすれば、フィルタミラーとして、波長数百ナノメートル以上の光は透過し、これ以下の光は反射する特性とすることで、上記実施形態(図12)を実現することができる。
【0136】
この実施形態により、記憶媒体1の加工スポットを光軸上で観察でき、この観察結果を光線照射系102あるいはステージ401の制御機構へフィードバックすることで、スポット形状、スポット位置を高精度に制御可能となる。
従来、加工面を観察する方法としては、加工面近傍の斜め上にカメラを設置する方法があったが斜め上方からの観察であるためスポット形状、スポット位置を高精度に観察できないという欠点があった。
また別の従来法としては、光線の入射側で、ハーフミラーあるいは偏光ビームスプリッタなどを用いて、加工面からの反射光を光線の入射方向と逆方向にたどってカメラで観察する方法があった。この方法では光線の光軸上にカメラを配置できるため、スポット形状、位置を高精度で観察、制御できるものの、ハーフミラー、偏光ビームスプリッタを光線が記憶媒体に届く前の光路中に入れる必要があるため、ハーフミラー、偏光ビームスプリッタに光線が吸収、反射(通常、半分以下に減衰する)され、光線のパワーの一部しか記憶媒体の加工に使えないという欠点があった。
【0137】
これら従来法に比べ、本実施形態では、光線93の光軸上にカメラがあるため、スポット形状、位置を高精度で観察、制御でき、また光線照射系102と記憶媒体1との間に観察系(カメラ、ハーフミラー、偏光ビームスプリッタなど)が入らず、加工した後段に観察系が入るため、光線のパワーを損失させることもないという利点がある。
【0138】
なお、ここで記憶媒体1のコア層、クラッド層、ギャップ層などは透明であるため、光線93は記憶媒体1を透過する。またライト光404も記憶媒体1を透過し、加工面を観察することができる。
【0139】
<再生装置、再生方法の第2の実施形態>
本発明の再生装置の第2の実施形態は、記憶媒体の第3、第4の実施形態に記録された情報データを再生する装置であって、少なくとも、記憶媒体に入射光を入射させる機能を有する光ヘッドと、記憶媒体から出射した再生光を検出する機能を有する光検出器とから構成されることを特徴とする。
また、本発明の再生方法の第2の実施形態は、記憶媒体の第3、第4の実施形態に記録された情報データを上記の再生装置を用いて再生する方法であって、記録データ用回折格子層近隣のコア層に光ヘッドからの入射光を入射させ、記録データ用回折格子層から出射される再生光を、情報データを持った記録層における記録マークの有無に対応させて、光検出器の位置で光の明暗パターンとして検出再生することにより、記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする。
【0140】
図9は再生装置5aの構成を示す図である(記憶媒体の第3の実施形態に対応するもの)。基本的には図4に示す再生装置と同様である。記録データ用回折格子層43からの回折光(再生光9)が真上かつ平行光として出射する場合を例に説明する。記録データ用回折格子層43に隣接するコア層2に光ヘッド6から入射光8を入射させると、コア層2に入射した入射光8は記録データ用回折格子層43で回折され、再生光9として真上に平行光として出射する。記録層42には、前述の記録装置により記録マーク45が形成されており、記録層42のうち、例えば記録マーク45の有る箇所では再生光9は透過し、記録マーク45の無い箇所では再生光9は透過しない。
【0141】
よって、光検出器7には、記録層42上の記録マーク45の有り無しパターンに対応した明暗のパターンが検出され、例えば、記憶媒体1bの個別情報データを記録マーク45の有り無しに対応させて記録しておけば、光検出器7によりこれを検出再生することができる。
記録マーク45を透過した再生光9は一般に広がりを持ち、分解能は低下するため、本実施形態ではさほど大容量な記録再生はできないが、記憶媒体1bの固有情報量は当面高々数百ビットあれば十分であるため、本実施形態は有用と言える。
【0142】
なお、光検出器7が、記憶媒体1bに比較し小さい場合には、両者を相対的に移動させることにより、記録マーク45からの再生光スポットの全部を拾うことが可能となり、大容量化に有利となる。
【0143】
<再生装置、再生方法の第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態に係る再生装置は、少なくとも記録データ用回折格子層、コア層を有する記憶媒体に記録された情報データを再生する装置であって、少なくとも、記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはギャップ層を介して配されたコア層に入射光を入射させる光ヘッドと、データ用回折格子層から出射した再生光を検出する光検出器とを有することを特徴とする。
また、記憶媒体から出射した再生光が光検出器に入るまでの光路の途中に配置され、記憶媒体から出射した再生光を光検出器に結像させる再生光学系を有することを特徴とする。記憶媒体としては例えば、本発明の実施形態に係る記憶媒体が使用できる。
【0144】
本発明の実施形態に係る再生方法は、少なくとも記録データ用回折格子層、コア層、記録層、記録マークを有する記憶媒体に記録された情報データを、少なくとも光ヘッド、光検出器を有する再生装置を用いて再生する方法であって、記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはギャップ層を介して配されたコア層に光ヘッドからの入射光を入射させ、記録データ用回折格子層から出射される再生光を、情報データを持った記録層における記録マークの有無に対応させて、光検出器の位置で光の明暗パターンとして検出再生することにより、記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする。
【0145】
記憶媒体としては例えば、本発明の実施形態に係る記憶媒体が使用できる。再生装置としては例えば、本発明の実施形態に係る再生装置が使用できる。
図13は本発明の実施形態に係る再生装置の構成、及び本発明の実施形態に係る再生方法の内容を示す図である。同図において、再生装置5は光ヘッド6と、光検出器7とから構成され、光ヘッド6は記憶媒体1の所望のコア層2に入射光8を入射する機能を持つ。
【0146】
なお、所望のコア層2に入射光8を入射させれば、各回折格子層4に(ホログラムデータとして)記憶された情報データを読み出せることは従来技術と同様である。
コア層2への入射光8の入射方法としては、記憶媒体1の端面から入射させる方法、各コア層2に光結合部を設け記憶媒体1の上面あるいは下面から入射させる方法、各コア層2にミラー面を設け記憶媒体1の上面あるいは下面から入射させる方法等が挙げられ、これらの方法は、同様の効果を奏する。但し、記憶媒体1の端面から入射させる方法は記憶媒体1に光結合部、ミラー面などを設ける必要がない点で有利である。
光ヘッド6は、入射光8の発生源を有し、発生源としては例えば各種レーザ光源が使用できる。また、光ヘッド6は例えば、光を引き回すミラー、コリメータなど光学部品、入射光8をコア層2に集光させる機能をもつ集光レンズ、入射光8を所望のコア層2の位置、角度で入射させる機能(機構、サーボ機能など)を持つアクチュエータなどと組み合わさって構成される。
【0147】
また、本発明の実施形態に係る再生装置5は、必要に応じてサーボ用光検出器を具備しても良い。
光検出器7は、記憶媒体1から出射した再生光9を検出する機能を持つ。必要に応じて移動機構を有しても良い。なお、この際、光検出器7と記憶媒体1が相対的に移動すれば良く、記憶媒体1側を移動させる機構を有しても良い。例えば、CCD(Charge−Coupled Devices)、CMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)など二次元光検出器、ラインセンサなど一次元光検出器、フォトダイオードなどを利用することができる。
【0148】
再生光9は二次元データとして出射されるため一次元光検出器、さらに二次元光検出器ではこれをより短時間で検出できるという点で有利である。
再生装置5は、必要に応じて記憶媒体1から出射した再生光9が光検出器7に入るまでの光路の途中に配置された再生光学系300を構成要素として含んでも良い。図13では、再生光学系300を含んだ図を示している(再生光学系300がない実施形態も同様に効果を奏する)。
再生光学系300は、回折格子層4および記録データ用回折格子層43から出射した再生光9を光検出器7に結像させる機能を持ち、例えば開ロマスク302、レンズ301、プリズム、ハーフミラー、(偏光)ビームスプリッタ、ミラー、偏光子、液晶素子など各種光学部品およびこれらを組合せたものから構成することができる。
【0149】
ここで、開口マスクは記憶媒体1から出射した再生光9が光検出器7に入射するまでの光路の途中に配置され、各々の回折格子層4に多重に情報データを記憶した場合、各回折格子層4から出射する複数の再生光9を分離再生する機能を持つ。開口マスクを用いると、1つの回折格子層4から、光検出器7の複数画面分の情報データを再生することができるため、光検出器7のピクセル数に制限されることなく、記憶媒体1が有する記憶容量のポテンシャルを最大限に引き出すことが可能となる。即ち、情報データの多重記憶・再生が可能となるため大容量化が図れるという効果がある。
【0150】
開ロマスクとしては、液晶素子から成り電気的に開口の位置を変化させるもの、開口の位置を固定したマスクを移動させるもの等が挙げられる。前者が機械的駆動を不要とし有利である。一度に開ける開口の数は1つあるいは複数でも構わない。
以下、本実施形態に係る再生装置の再生動作について説明する。記録データ用回折格子層43に隣接するコア層2に光ヘッド6から入射光8を入射させると、コア層2に入射した入射光8は記録データ用回折格子層43で回折され、再生光9として(図13の場合)上方に出射する。記録層42には、本発明の実施形態に係る記録装置52、記録方法により記録マーク45が形成されており、記録層42のうち例えば、記録マーク(記録マーク)45が有る箇所では再生光9は透過し、記録マーク45が無い箇所では再生光9は透過しない。
よって、光検出器7には、記録層42上の記録マーク45の有り無しパターンに対応した明暗のパターンが検出され、例えば、記憶媒体1の個別情報データを記録マーク45の有り無し(数、位置、形状など)に対応させて記録しておけば、光検出器7によりこれを検出再生できる。
【0151】
再生光9として平行光を記録データ用回折格子層43から出射することにより、記録層42に形成した記録マーク45のパターンをそのまま(記録マークの有無、位置と、光検出器上の明暗、その位置が1:1に対応し、拡大縮小関係もほぼ1:1の比率となる)光検出器7で検出することができる。これは再生装置7の構成要素として再生光学系300がない場合に特に容易となる。
一方、記録マーク45を通過した再生光9が(再生光学系300がある場合には、これを再生光9が通過して)光検出器7に結像するように、記録データ用回折格子層43に予めホログラムデータとして情報データを形成しておけば、上記同様に記録層42に形成した記録マーク45のパターンを光検出器7で検出することができる。
【0152】
この場合再生光9は一般に平行光ではなく種々の角度(場合によっては位相、強度なども種々となる)を持った光となる。なおこの場合には、再生光学系300の有無、種類、特性などに依らず記録マーク45のパターンを光検出器7で検出することができるという利点がある。
上記の様子を図14、図15に説明する。図14に記録層42の実施形態、図15に光検出器7の実施形態を示す。記録層42には記録マーク45のパターンが二次元的に形成されており、これが情報データとして機能する。
光検出器7には記録層42の情報データに対応した明暗の二次元パターンが再生されている。記録データ用回折格子層43から出射した再生光9が平行光の場合には、情報データと明暗パターンは(ほぼ)同サイズとなり、また記録マークの有無、位置と、光検出器上の明暗、その位置が1対1に対応する。即ち、図14のA、B、C、…は、各々図15のA’、B’、C’、‥というように1対1に対応して再生される。
【0153】
一方、記録データ用回折格子層43が上述のようなホログラムデータとして形成されている場合には、同サイズ。あるいは拡大あるいは縮小したサイズで光検出器7に再生される。記録層42上での記録マーク45の有無および位置は、光検出器7上での光の明暗の有無および位置と1対1に対応していてもいいし、また必ずしも1対1に対応していなくても良い。
即ち、1個の記録マーク45に対して光検出器7上の明暗ドット1個が対応してもいいし、あるいは1個の記録マーク45に対して複数の明暗ドット、あるいは複数の記録マーク45に対して1個の明暗ドット、あるいは複数の記録マーク45に対して複数の明暗ドットが、それぞれ対応するよう記録データ用回折格子層43を形成しても良い。
【0154】
例えば、1個の記録マーク45に対して光検出器7上の明暗ドット1個を対応させる場合には、図14のAから出射した再生光は図15のA’に結像するよう、図14のBから出射した再生光は図15のB’に結像するよう(以下同様に)、記録データ用回折格子層43のホログラムデータを形成してやることにより、これを実現できる。
図16は、図13における再生装置5の再生光学系300がレンズ301、開ロマスク302から構成される場合の構成例を示している。この場合、開ロマスク302の開口および各開口間隙が再生光9を遮る恐れがあるが、開口をオープン状態とし、開口間隙を避けるよう記録層42上の記録マーク45を配置することにより問題なく再生光9を光検出器7に結像させることができる。
図16は記憶媒体1(記録層42)が光検出器7より面積が大きい例であり、再生光学系300により情報データを縮小して光検出器7で再生している。広い記録層42とすることで多くの情報データを記録することができる、小さな光検出器7を使うため再生装置を安価、小型にできるなどの利点がある。
また、必要に応じて、光検出器7、再生光学系300を記憶媒体1と相対的に移動させることで、記録面の面積が広い記憶媒体1から出射した再生光9(情報データ)を容易に効率よく光検出器7により再生でき、大容量化を図ることができる(全ての実施形態について同様である。)。
【0155】
図17は、図13における再生装置5の再生光学系300(ここでは例としてレンズ301、開ロマスク302から構成される)が光検出器7と一体化した場合の構成例を示している。再生動作は上述したのと同様である。なお開ロマスクの開口が少数の場合、例えば1個の場合には、光検出器7には図15に示すように全情報データを一度に再生することは不可能となることがある。
この場合には例えば、光検出器7の中央付近に記録マーク45の1個に対応した明暗のドットが1個再生され、光検出器7と再生光学系300の一体化部を記憶媒体1に対して相対的に(記憶媒体1面に沿って)二次元(あるいは一次元)移動させることで、全記録マーク45に対応した全部の明暗ドットを再生することが可能となる。
【0156】
ここでは開口、明暗ドットが1個の場合を示したが、複数個の場合も全情報データを一度に再生できない場合には、同様に二次元(あるいは一次元)移動させることで、全記録マーク45に対応した全部の明暗ドットを再生することが可能となる(全ての実施形態について同様である)。
例えば、再生に用いる光検出器7として、記憶媒体1の幅より長い一次元の光検出器(CCD:電荷結合素子によるラインセンサなど)を用いる場合、図17の再生装置5を上部から見た平面図である図18に示すように、記憶された情報データの再生に対して2通りの制御方法が考えられる。
図18(a)に示す再生の制御方法は、所定のコア層に対し、記憶媒体1の幅全体にわたって入射光8を入射させ、光検出器7の長尺方向(y方向)と入射光8の入射方向(x方向)とが垂直になるように、光検出器7を記憶媒体1に設定し、入射光8の入射方向に対して平行に、光検出器7をレンズ301及び開口マスク302の開閉位置とともに順次移動させ(図18(a)においては左から右方向、あるいは右から左方向へ移動、すなわちx方向)、開口マスク302の開閉を制御して、対応する位置の情報データの再生光を読み出していく。
【0157】
また、図18(b)に示す制御方法は、所定のコア層に対し、光検出器7の長尺方向(x方向)と平行に、この光検出器7が記憶媒体1から情報データの再生光を得られる幅で入射光8を入射させ、光検出器7の長尺方向(x方向)と入射光8の入射方向(x方向)とが平行になるように、光検出器7を記憶媒体1に設定し、入射光8の入射方向に対して垂直(y方向)に、光検出器7を入射光8(すなわち光ヘッド6),レンズ301及び開口マスク302の開閉位置とともに順次移動させ(図においては上から下方向(y方向)、あるいは下から上方向(y方向)へ移動)、開口マスク302の開閉を制御して、対応する位置の情報データの再生光を読み出していく。
次に、再生に用いる光検出器7として、記憶媒体1の表面積よりも小さい二次元の光検出器(CCD:電荷結合素子によるエリアセンサ,イメージセンサなど)を用いる場合、図17の再生装置5を上部から見た平面図である図19に示すように、記憶された情報データの再生に対して2通りの制御方法が考えられる。
【0158】
図19(a)に示す再生の制御方法は、所定のコア層に対し、記憶媒体1の幅全体にわたって光ヘッド6から入射光8を入射させ(x方向へ)、光検出器7を上下(y方向)及び左右(x方向)にレンズ301及び開口マスク302の開閉位置とともに順次移動させ、開口マスク302の開閉を制御して、対応する位置の情報データの再生光を読み出していく。
また、図19(b)に示す制御方法は、所定のコア層に対し、光検出器7の幅に対応する幅の入射光8を光検出器7に射出(x方向)させ、光検出器7を上下及び左右にレンズ301及び開口マスク302の開閉位置とともに順次移動させ、かつ光検出器7の上下方向(y方向)の移動に対応させて、入射光8の入射位置(すなわち光ヘッド6)を上下方向に移動させ、開口マスク302の開閉を制御して、対応する位置の情報データの再生光を読み出していく。
【0159】
上述したように、本発明の再生装置は、一次元または二次元の光検出器を用いて、記憶媒体1の情報データを読み出す面に対して、上記光検出器の位置を相対的に一軸(上下方向または左右方向のいずれか)あるいは二軸(上下及び左右方向)の方向に順次移動させ、記録層に記録された情報データを部分的に読み出し、読み出した部分的な情報データを合成することにより、記録層に書き込まれた情報データ(例えば識別番号の再生データ)の検出を行う。
また、上述した図18及び図19に示す一次元及び二次元の光検出器を組み合わせた構成としても良い。
さらに、上述した一次元及び二次元の光検出器でなく、フォトダイオードやCCD等の光センサ素子の1素子からなる1画素センサからなる光検出器を、二軸(上下及び左右方向)の方向に順次移動させ、記録層に記録された情報データを、光検出器により画素単位に読み出し、読み出した画素を合成することにより、記録層に書き込まれた情報データ(例えば識別番号の再生データ)の検出を行うようにしてもよい。
【0160】
次に、図20、及び、図20に光検出器7を記憶媒体1の読み出し面内において、一軸あるいは二軸駆動させて、記録層に記録されている情報データ(識別番号の再生データ)を読みとる実施形態(側面図)を示す。
例えば、図20においては、再生光学系として開口マスク302が使われ、この開口マスク302の開口部を全て開状態(オープン状態)とした例である。
光検出器7を図21において左右に移動させることにより、入射光8に対応して記憶媒体1から出射される再生された情報データ(ID再生データ)の再生光を順次拾うことが可能となる。
なお、図20に示すように、開口マスク302の開口部を必ずしもいつも全てオープン状態にしておく必要はなく、光検出器7の移動位置に対応した開口部をオープン状態とし、再生光が光検出器7により検出できるように制御されれば良く、光検出器7に位置に対応していないそれ以外の開口マスク302における開口部はこのタイミングでは閉じていても構わない。
また、図21においては、再生光学系として開口マスク302及びレンズを使用した例である。
【0161】
開口マスク302における開口部が1個の場合を示し、光検出器7,レンズ301及び開口マスク302が一体に形成された構成の再生装置を示している。これにより、再生光学系を安価に製造することが可能となる。
そして、この再生装置においては、光検出器7,レンズ301及び開口マスク302からなる再生光学系が図21の左右(x方向)に移動することにより、入射される入射光8に対応して、記憶媒体1から出射される再生された情報データ(ID再生データ)の再生光を順次拾うことが可能となる。
図14、図15は記録層42上の記録マーク45のパターンと、光検出器7上の明暗ドットのパターンが同一あるいは拡大縮小(相似形)となった例を示した。本発明では記録層42上での記録マーク45の有無および位置が、光検出器7上での光の明暗の有無および位置に対応していれば、これらが図6、図7に示すように1対1に対応していてもいいし、また1対1に対応していなくても良い。
図22、図23にこれらが1対1に対応していない例を示す。例えば、図22のDと図23のD’は、Dが1個の△に対し、これに対応するD’が3個の○となる例である。また図22のEと図23のE’は、Eが2個の○と1個の△に対し、これに対応するE’が1個の○となる例である。
【0162】
この図のように記録マーク45のパターンと、光検出器7上の明暗ドットのパターンは、それらの数、形状(0、0、△など)、位置が必ずしも1対1に対応している必要はなく、光検出器7上の明暗ドットのパターンの数、形状、位置などを記録マーク45のパターンの数、形状、位置などにより制御できれば、このような状態であっても図14、図15の場合と同様の効果を奏する。
図24は本発明の第3実施形態に係る記憶媒体1の構成を示し、記録層42、記録データ用回折格子層43が複数ある場合の記憶媒体1の構成を示している。図12では省略してあるが、各記録層42、記録データ用回折格子層43などの間には1つあるいは複数の記録層42、記録データ用回折格子層43、コア層2、クラッド層3、回折格子層4、ギャップ層44、保護層などが配置されていても良い。
このように記録層42、記録データ用回折格子層43は複数層あっても同様の効果を奏する。例えば、図24の一番下の記録層42と下から2番目の記録層42のように記録マーク45の位置を少しずらして形成すると、両者の重なり部分のみを実動的に記録マーク45として機能させることができ、記録マーク45のサイズを記録装置52における光線照射系102、電子線照射系103などの記録精度、記録分解能に制限されることなく、正確かつ微細に形成できるという利点がある。
【0163】
なお、記録層42としては必要に応じて全部(図で上から2番目の記録層42)あるいは一部(図で一番上の記録層42)を透過性(あるいは不透過性)にすることもできる。
このように記録層42、記録データ用回折格子層43を複数有すると、ある記録層42に記録ミスをした場合にも別の記録層42を利用できるという記録過程における歩留まりを向上させる効果もある。
また、複数の再生光学系300(および再生装置5)に対応した複数の記録データ用回折格子層43を記憶媒体1(あるいはその一部)に準備しておくことで、複数の再生光学系300(および再生装置5)に対応した共通の記憶媒体1(あるいはその一部)とすることができ効率が良いという効果もある。
また、記録データ用回折格子層43が複数あると、記録マーク45のパターンと光検出器7上の明暗ドットパターンとの対応を複数準備することができ、情報データの記録、再生にバリエーションが増え、これを記憶媒体の固有情報データとして利用した場合、より情報データ数、種類が増える、よりセキュリティが高くなるなどの効果もある。
【0164】
なお、光学部品、機構部品など本明細書に記載の記録装置52、再生装置5の構成要素の数は1つあるいは複数でも良く同様の効果を奏する。
記録装置52、再生装置5の構成要素として、記憶媒体1を装填する入り口である記憶媒体装填口、記憶媒体1が装填されるスペースである記憶媒体装填スペース、記憶媒体1を固定しローディング、チャック、取出し機能を有する記憶媒体装填台などを具備しても良い。これらは記憶媒体1を容易にかつ安定に装填する効果がある。記録装置52、再生装置5の他の構成要素としては、例えば、論理/制御回路が挙げられる。
論理/制御回路は、データ信号の処理および本明細書に記載の光源、光線照射系、光検出器、液晶素子、各種駆動機構等のアクティブ素子を駆動制御する回路である。
本明細書で図示した記録装置52、再生装置5は、本発明の典型的な実施形態に過ぎず、各構成要素の配置が変わったもの、各実施形態を組合せ、あるいは組み替えたものも同様の効果を奏し、本発明の範疇とする。
また、再生装置5は、一体で構成されるだけでなく、光ヘッド6を含む部分と光検出器7を含む部分が分離し二体以上になって構成されても同様の効果を奏する。
【0165】
また、記録層42に記録した記録マーク45のパターンが同じであっても、記録データ用回折格子層43に形成するデータを異なるものとすることで、光検出器7には異なる情報データを再生することが可能である。
これにより、目視で確認した記録マーク42のパターンと再生される情報データとの対応を容易に取れなくすることができ、より高セキュリティとすることが可能となる。
また、記録層42に記録する記録マーク45のパターンおよび記録データ用回折格子層43に形成するデータの組合せで多数の情報を記録再生できるという利点がある。
以上、本発明によって積層ホログラムROMを用いた記憶媒体(積層ホログラム情報記憶媒体)に対しても、記憶媒体個々に情報データ記録が可能であり、またこの記録した情報データを積層ホログラムROM用の再生装置で再生できることが示された。
【0166】
<第5の実施の形態〜第12の実施の形態>
図25は記憶媒体の第5の実施形態を示す側面図である。この記憶媒体1dは、図7、図8に示す記憶媒体1b、1cと基本的には同様の構造、特性、機能を有し、同様の記録装置、再生装置、記録方法、再生方法が用いられる。
再生光9の出射側(光検出器7が位置する側)に近い位置から、コア層2、記録データ用回折格子層43、記録層42が隣接して配される。光、電子線などで記録層42に記録マーク45を形成することに関しては図7、図8と同様である。
但し、本実施形態では、記録層42に記録マーク45が形成されると共に、隣接する記録データ用回折格子層43も変化(形状、屈折率変化、消失など)をし、結果として記録マーク45が形成された近隣の記録データ用回折格子層43からは再生光9は出射しなくなる。
よって、再生時には記録マーク45の有無に対応して光検出器7には再生光9の明暗パターンが検出され、これによって記録層42に記録された情報データの検出再生が可能となる。
【0167】
図26は記憶媒体の第6の実施形態の側面図である。この記憶媒体1eは、図7、図8に示す記憶媒体1b、1cと基本的には同様の構造、特性、機能を有し、同様の記録装置、再生装置、記録方法、再生方法が用いられる。再生光9の出射側(光検出器7が位置する側)に近い位置から、コア層2、記録データ用回折格子層43が隣接して配され、記録データ用回折格子層43は記録層42を兼ねる。光、電子線などで記録データ用回折格子層43(記録層42)に記録マーク45を形成することに関しては図7、図8と同様である。記録データ用回折格子層43(記録層42)に記録マーク45(形状、屈折率変化、消失など)が形成され、記録マーク45が形成された記録データ用回折格子層43(記録層42)からは再生光9は出射しなくなる。
よって、再生時には記録マーク45の有無に対応して光検出器7には再生光9の明暗パターンが検出され、これによって記録データ用回折格子層43(記録層42)に記録された情報データの検出再生が可能となる。
図27は記憶媒体の第7の実施形態を示す側面図であり、この記憶媒体1fは、基本的には図7、図8と同様である。なお、図25、図26に示すものと同様の効果を奏する。
【0168】
本実施形態では、記録データ用回折格子層43には予め光検出器7に明暗のドットが結像するようにホログラムデータとして回折格子が作製されている。記録層42のうち記録マーク45のない箇所では、記録データ用回折格子層43からの再生光9は記録層42に遮られて光検出器7に届かない。
一方、記録マーク45が形成されると、再生光9は光検出器7まで届き、光検出器7により明暗のドットとして検出再生される。このように記録層42上の記録マーク45の有無と光検出器7上の明暗ドットとを対応付け、記録層42に記録した情報データを光検出器7により検出再生することができる。本実施形態では、光検出器7上での明暗が分解能の高い細かい明暗ドットとできるため、記録容量を大きくできるという利点がある。(透過/不透過は逆でもいい、他の実施形態でも同様である。)
【0169】
図28(a)は本発明の記憶媒体の第8の実施形態およびその再生装置の構成を示す側面図である。この記憶媒体1gは基本的には本明細書で記載した他の実施形態と同様である。この記憶媒体1gにおいては、記録層42に記録された記録マーク45が別途、再生装置に設けられた光源202からの光204を用いて、実像として光検出器7に結像され、検出再生される。
ここで記録データ用回折格子層43は、結像レンズ、凹面反射鏡などの結像光学系として機能する。この機能は記録データ用回折格子層43を例えばホログラム光学素子として設計することにより得ることができる。結像レンズとして機能する場合には、記録データ用回折格子層43は、記録層42と光検出器7との間に配され、凹面反射鏡として機能する場合には、記録データ用回折格子層43と光検出器7との間に記録層42が配される。
【0170】
図28(b)は記憶媒体の第9の実施形態およびその再生装置の構成を示す側面図である。この記憶媒体1hは、上記の記憶媒体1gと比較し記録データ用回折格子43が設けられていない点が異なっている。この記憶媒体1hは、図28(a)と同様の原理により記録層42に形成された記録マーク45を実像として光検出器7に結像させて検出再生するものであり、再生装置に別途設けられた結像光学系203(結像レンズなど)を利用して結像を実現するものである。この場合、結像光学系203は記憶媒体1hと光検出器7との間に配置される。
図28(c)は図28(b)の記憶媒体1hの再生装置の別の実施形態であり、本実施形態では、結像光学系203aとして例えば凹面反射鏡としての機能をするものを利用する。この場合、結像光学系203aと光検出器7との間に記憶媒体1hが配置される構成となる。本実施形態によっても、記録マーク45の実像を光検出器7によって検出再生することができる。
なお、結像光学系203aとしては、凹面反射鏡、結像レンズの他にも、結像反射レンズ、結像ピンホールなど光検出器に上記実像を結像する機能を有する光学部品が使用できる。
【0171】
図29(a)は本発明の記憶媒体の第10の実施形態およびその再生装置の構成を示す側面図である。この記憶媒体1iは、基本的には本明細書で記載した他のものと同様である。記録データ用回折格子層43には、再生光9が例えば図で真上(および真下)へかつ平行に出射するよう回折格子が形成されている。
記録マーク45が形成されると、真上と同時に真下にも再生光9は出射する。記録層42の下には反射層206が設けられており、真下に出射した再生光9は反射して真上に上がり最終的に光検出器7に入る。記録マーク45の存在する箇所からは真上に加え真下の再生光9が加算され、一方記録マーク45の無い箇所からは真上に出射した再生光9のみとなるため、記録マーク45の存在する箇所はより明るくなる。即ち記録マーク45の有無を再生光9の明暗により検出再生することができる。
【0172】
図29(b)は本発明の記憶媒体の第11の実施形態およびその再生装置を示す側面図である。この記憶媒体1jは、図29(a)における反射層206を記憶媒体1iから分離し、再生装置に反射部207として配したものである。原理については図29(a)と同様であり、同様の効果を奏する。
上述した各記憶媒体(第1〜第7の実施形態における記憶媒体)を作成する方法としては、(1)記録層42を含む記憶媒体を一体で作製し、その後、記録層42に記録する方法、(2)図30に示すように、記録層42を含まない部分1−1と、記録層42を含む部分1−2を二体で作製し、記録層42を含む部分1−2に対して記録を行った後、これと記録層42を含まない部分1−1を貼り付け、最終的に一体の記憶媒体1−3とする方法、(3)記録層42を含む部分1−2を作製し、記録層42に記録し、これに記録層42を含まない部分1−1を追加作製する方法、がある。記録層42に穴明けする場合には、記録層42は表面に露出している方が穴明けし易く、上記のように、二体で作製する方法が有利である。
すなわち、各記憶媒体の製造方法として、記録層を露出した状態として、この記録装置に対して情報データを記録した後、別に形成した他の層(コンテンツの情報等が記憶あるいは蓄積された)を貼着して形成する二体で形成する方法が、すでに述べたように、記録層42の材料選択及び加工方法の自由度が向上し、かつ形成後の記憶媒体の変形を防止し、記録したデータの読み取りエラーを低下させることが可能である。
【0173】
また、記憶媒体1としては、そのままの形態で使用する方法、パッケージ、カートリッジなどの容器に入れて使用する方法、そのままの形態で使用し、片面(再生光が出射しない側)にラベル200(図6)を貼付して使用する方法などが挙げられる。
また、図31は記憶媒体の第12の実施形態を示す斜視図である。この記憶媒体1kは片面にラベル200が貼付されている。ラベル200には例えば、文字や画像などの情報が印刷、印字、記載される。なお、図31に示すように、ラベル200中にラベル窓201が設置されていると、ここを通して記録層42に記録した記録マーク45のパターンが目視できる(場合によっては記録情報を肉眼で確認できる)。光源202からの光204(必ずしもレーザ光などの平行光でなくてよい)を記憶媒体1kの(図の配置では)下方から入射し、結像レンズなどの結像光学系203を介して受光素子205(点、一次元、二次元の光検出器)で受光し、記録層に記録された情報を簡易に読み取れる、などが可能となる。
図31のような記録情報の読み取り装置、読み取り方法では、記録再生装置がなくても簡易に記憶媒体固有の情報を読み取り、識別可能という利点、効果がある。図31では上下逆でも構わない。また、もちろん記憶媒体1kの記録情報は、上述した再生装置にて、読み取り、識別可能であることは言うまでもない。
【0174】
さらに、上述した他の再生装置及び再生方法は、通常の装置に対しては適用できないが、利用サービスによって、特殊な再生装置でないと再生できないという特徴も利点となることが考えられる。
例えば、記憶媒体1をユーザが中古品として、買い取りを行う販売店に持ち込んだ際、この販売店の店員が特殊な再生装置により、上記ユーザに知られないように識別番号の情報データを読み出し、盗品として登録されているか否か、または複写されたものか否か等のチェックを行うことにより、記憶媒体1によるコンテンツの流通におけるセキュリティを向上させることができる。
【0175】
なお、上述してきた本発明による各実施形態における記憶媒体の層の構成としては、適宜各層の間にギャップ層、クラッド層を挿入してもよく、また上下の最表面にはクラッド層がある場合、ない場合が考えられ、いずれも同様の動作、効果が得られる。また、記録装置、再生装置の構成要素を、記憶媒体、パッケージ、カートリッジの構成要素として持たせてもよく、あるいは、その逆など相互に構成要素を交換して構成しても同様の効果を奏する。
以上、本発明によって積層ホログラムROMを用いた記憶媒体に対しても情報データ記録ができ、この記録した情報データを積層ホログラムROM用の再生装置で再生できることが示された。
また、上述してきた各実施形態において、図32のように、例えば、記憶媒体1を平面視したとき、少なくとも記録マークが記録される記録層が形成される部分を含んで重なる領域にのみ、記録データ用回折格子層を設け、すなわち、記憶媒体1の読み出し面全面でなく、一部に記録層および記録データ用回折格子層を設けるようにしてもよい。
【0176】
ここで、記録データ用回折格子層が記憶媒体1の読み出しの面全体に形成されていると、入射光8がコア層内を伝播する際に、記録データ用回折格子層により光が漏れて伝搬する光の強度が減衰、すなわち再生光の強度が低下して、読み出しの際に十分な強度の再生光が得られない場合があるという問題がある。
しかしながら、上述したように、必要な部分として読み出し面の一部にのみ記録データ用回折格子層を配置することにより、コア層内を伝搬する入射光8の記録データ用回折格子層における入射光8の漏れを最小限に抑えることができる。
この結果、伝搬する入射光8の強度の減衰を、全面に記録データ回折格子層を設けた構成に比較して防止することができ、再生光の強度の低下が抑制されるため、読み出しの際に十分な強度の再生光が得られると言う利点が得られる。
【0177】
また、上述した光の減衰抑制の観点で言えば、光が漏れる記録データ用回折格子層の面積を削減することで、伝搬する入射光8の減衰量を低下させることが可能なため、記録層は記憶媒体の読み出し面全体に形成しても、情報データを記録する情報量が必要な面積分の一部にだけ形成するようにしても、光の減衰を低下させる効果は同様であるため、いずれを採用しても構わない。
しかしながら、以下に示すように、識別子(ID)の存在する記録マークの配置が目視できるため、セキュリティ低下の回避及び記憶媒体におけるレーベル面のデザイン制約の回避の観点において、記録層は記憶媒体の層全面に配置されるより、必要とされる一部だけに配置されていることが望ましい。
他の記憶媒体(CD(登録商標)、DVD、フラッシュメモリ等)と同様に、本発明の記憶媒体の片面(再生光が出射しない方の面、すなわちレーベル面)には、この記憶媒体に記憶あるいは蓄積されているコンテンツ情報がどんなものであるか等を示す内容表示が、高いデザイン性を持って記載されている。
これはレーベル面に、上記内容表示の画像データを直接印刷したり、または印刷されたシート(紙,プラスチックなど)を貼付したり、あるいは金属,プラスチックなどのパッケージやカートリッジに装填することにより実現されている。
【0178】
記録層が記憶媒体の読み出し面の全体に配置されていると、記憶媒体を表裏いずれの面から見た場合も、遮光性のある記録層の存在が目立ってしまい、光の透過する記録マーク(穴の存在する部分)が目視されることとなり、暗号をかけて簡単には解読はできないが、解読される危険性もあり、記憶媒体によるコンテンツの流通におけるセキュリティの低下につながる恐れがある。
また、本発明の記憶媒体の特徴としては、入射光及び再生光が殆ど減衰することなく透過する(透過させている)ことから明らかなように、光学的に透明であり、このことが新しいメモリとして、従来の記憶媒体に比較して、より未来的な印象を与えている。
しかしながら、上述したように、記録層が記憶媒体の読み出し面の全体に形成されていると、記録層により入射される光が遮光されて透明感が失われてしまい、より未来的な印象を与えるという効果が損なわれてしまう。
【0179】
特に、記憶媒体のレーベル面に対し、直接に内容表示の画像データを印刷した場合、レーベル面の表示が見難くなり、高いデザイン性を持たせて表示させることが難しくなり、デザイン上の制約が生じるという弊害も生じてしまう。
これに対し、上述したように、情報データを記録する必要最小限の面積で記録層を、記憶媒体の読み出し面の一部にのみ配置する(形成する)ことにより、形成場所によっては、殆ど記録層の存在をユーザに意識させることがなくなる。このとき、この記録層に対応させた位置に記録データ用回折格子層を形成することにより、入射光8の漏れを最小限に抑え、かつセキュリティ及びデザインを向上させることが可能となる。
【0180】
また、レーベル面の表示の中に、すなわちレーベル面における遮光性の高い場所に、記録層及び記録マーク(穴の存在する場所)を紛れ込ませることが可能となり、識別番号(ID)の記録される記録マークの配置が目視により認識し難くなり、セキュリティを向上させることが可能となる。
また、上述したように、記録層をレーベル面の表示デザインの中に紛れ込ませることにより、レーベル面のデザインの後に、記録層及び記録マーク(穴の存在する場所)の形成位置を決定することが可能となり、レーベル面のデザインへの制約を最小限に抑えることができる。
さらに、記録層の色に関しては、再生過程にて再生光を遮光することが可能であれば、何色を使用しても構わない。
【0181】
しかしながら、情報データの記録層に対する記録過程において、例えばレーザにより穴開け加工する場合を考慮すると、記録層の材料の選択に際して、レーザ光を容易に吸収し、加工性が高いことが条件となる。
上述したように、記録層として、種々の色の材料を使用できるということは、記憶媒体のレーベル面のデザインに反映でき、かつデザイン中に情報データが組み入れられることからセキュリティをより向上させる効果が得られる。
例えば、レーベル面の色配置に合わせて、記録層の色配置を設定することにより、記録層をレーベル面の表示デザインの中へ紛れ込ませる効果をよりいっそう強化させ、かつレーベル面に表示する画像データのデザイン性をより向上させることが可能となる。
【0182】
<認証シートの実施形態(第13の実施形態)>
本発明に係る認証シートは、少なくとも、1つ以上のコア層と、コア層の上面あるいは下面あるいはコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、コア層あるいは記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはコア層あるいは記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ情報データが光の透過性、不透過性を持つ記録マークの有無として記録される1つ以上の記録層とから構成されることを特徴とする。
また、記録層上での記録マークの有無および位置が、光の明暗の有無および位置として再生されるように、記録データ用回折格子層が形成されていることを特徴とする。また、コア層あるいは記録データ用回折格子層の片面あるいは両面にクラッド層を設けたことを特徴とする。
【0183】
図33〜図36は本発明の各実施形態に係る認証シート500の側面(断面)を示す図である。また、図7及び図8に示す構造の記憶媒体1も、所定のシートの形状に作成することにより、本実施形態における認証シートとして用いることが可能である。
図33は本発明の第1実施形態に係る認証シート500の構成を示しており、同図において、認証シート500は、1つのコア層2と、コア層2の下面コア層内に設けられた1つの記録データ用回折格子層43と、コア層2に隣接して設けられた1つの記録層42とから構成されている。
【0184】
図34は本発明の第2実施形態に係る認証シート500の構成を示しており、同図において、認証シート500は、1つのコア層2と、コア層2の下面コア層内に設けられた1つの記録データ用回折格子層43と、コア層2にギャップ層44を介して設けられた1つの記録層42とから構成されている。
図35は本発明の第3実施形態に係る認証シートの構成を示しており、図33に示した第1実施形態に係る認証シート500における記録データ用回折格子層43の下と記録層42の上にクラッド層3を設けた構成例である。
【0185】
図36は本発明の第4実施形態に係る認証シートの構成を示しており、図34に示した第2実施形態に係る認証シート500における記録データ用回折格子層43の下にクラッド層3を設けた構成例である。いずれも同様の効果を奏する。
また、図7に示す本発明の記憶媒体を用いた認証シートは、図35に示した第3実施形態に係る認証シート500におけるクラッド層3の上に、従来技術同様、回折格子層4、コア層2、クラッド層3を設けた構成例となる。
【0186】
同様に、図8に示す本発明の記憶媒体を用いた認証シートは、図36に示した第4実施形態に係る認証シート500における記録層42の上に、従来技術同様、クラッド層3、回折格子層4、コア層2、クラッド層3を設けた構成例である。
このように、適宜、認証シート500に、1つ以上のコア層2とコア層2を挟むように配置した2つ以上のクラッド層3と、コア層2とクラッド層3との境界あるいはコア層内に設けられた1つ以上の回折格子層4を積層させても同様の効果を奏する。
図33から図36における回折格子層4には、既に述べた各実施形態の記憶媒体と同様に、情報データが例えば凹凸形状、あるいは屈折率分布として(ホログラムデータとして)記憶されている。また、認証シート500の実施形態においても、既に述べた各実施形態の記憶媒体と同様に、記録層42は1つだけでなく、複数でも同様の効果を奏する。さらに、認証シート500の実施形態においても、既に述べた各実施形態の記憶媒体と同様に、回折格子層4、記録層42は、コア層2に直接隣接するだけでなく、ギャップ層44を設けても配されても同様の効果を奏する。
【0187】
また、コア層2、クラッド層3の材料としては樹脂、ガラス、光学結晶などが使用でき、ギャップ層44としてはクラッド層3と同様の特性を有する材料(樹脂、ガラス、光学結晶など)を用いることができる。コア層2の厚さは1μm程度、クラッド層3の厚さは10μm程度である。回折格子層4はコア層2の上下に2箇所あっても良い。コア2層の屈折率はクラッド層3の屈折率より大きいことが必要である。
記録層42は、記憶媒体の第3及び第4の実施形態で既に述べたように、情報データが光の透過性、不透過性を持つ記録マークの有無として記録されるものである。光(赤外光、可視光、紫外光、レーザ光、X線、電子線などを含む)あるいは熱が当たると形状あるいは屈折率などの光学特性が変化し、結果として光に対する透過/不透過性(透明/不透明変化、穴有り/無しなどを含む)機能を有する材料が利用できる。
例えば、特定の光、熱が当たると不透明から透明に変わる(あるいはその逆)、あるいは形状変化/昇華により消失する(穴が開く)ような特性を有する材料が利用できる(記録層42上にこのようにして形成された跡を記録マーク45と呼ぶこととする)。
【0188】
透過部分を記録マークとしても、あるいは不透過部分を記録マークとしても良い。本明細書では透過部分を記録マークとした前提で記述していることが多いが、不透過部分が記録マークである場合にも同様の効果を奏する。この場合は例えば明暗ドッドの明暗が逆になるなど本明細書の実施形態の記述が適宜変わるが、これらを含めて全て本実施形態の範疇とする(全実施形態で同様)。
具体的な記録層42の材料としても、記憶媒体の第3及び第4の実施形態と同様に、金属(アルミ、クロムなど)、酸化物(酸化クロム、酸化銀など)、半導体(アンチモンなど)、樹脂(UV硬化樹脂、熱硬化樹脂など、およびこれら樹脂にフラーレン、色素などを添加したものなど)、インク、塗料、紙などが使用できる。
図33ではギャップ層44がない認証シート500の構成例、図34ではギャップ層44がある認証シート500の構成例を示したが、いずれも同様の効果を奏する。
【0189】
また、記録層42は記録データ用回折格子層43に対し、再生光9が出射する側に(認証レシート1に対して光検出器7が配される側に)配されればよく、記録層42と記録データ用回折格子層43との間にはギャップ層44以外の層、例えばコア層2、クラッド層3、回折格子層4などが配されても構わない。
但し、通常は回折格子層4にはデータ情報が記憶されているため、これを再生するためには、回折格子層4は記録層42と記録データ用回折格子層43との間に位置しない方が有利である(記録層42、記録データ用回折格子層43が回折格子層4からの再生光9を遮蔽し回折格子層4の情報データが再生できなくなるため)。
【0190】
記録データ用回折格子層43は、形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射するものである。記録データ用回折格子層43は、回折格子層4と同様の特性を持つものであり、凹凸形状あるいは屈折率分布により隣接するコア層2に入射した入射光8を再生光9として出射するものである。再生光9の出射角としては例えば真上、光ヘッド6からの入射光8に対して前方、後方でもよく、また平行光でも種々の角度をもった光が混在していても良い。
後述する、本発明の実施形態に係る再生装置、再生方法で示すように、記録層42上での記録マーク45の有無および位置は、光検出器7上での光の明暗の有無および位置に対応するように、記録データ用回折格子層43が形成されていても良い。
また、記録層42上での記録マーク45の有無および位置は、光検出器7上での光の明暗の有無および位置と1対1に対応していても良いし、また必ずしも1対1に対応していなくても良い。
【0191】
すなわち、1個の記録マーク5に対して光検出器7上の明暗ドット1個が対応しても良いし、あるいは1個の記録マーク5に対して複数の明暗ドット、あるいは複数の記録マーク45に対して1個の明暗ドット、あるいは複数の記録マーク45に対して複数の明暗ドットが対応するよう記録データ用回折格子層43を形成しても良い。
認証シート500としては、記憶媒体の第3及び第4の実施形態と同様に2通りの製造方法があり、記録層42を含む認証シート500を一体で作製し、その後、記録層42に記録するもの、記録層42を含む部分と記録層42を含まない部分の二体で作製し、記録層42を含む部分に対して記録層42に記録を行った後、これと記録層42を含まない部分を貼り付け最終的に一体にするもの、及び、まず記録層42を含む部分の記録層42に記録し、これに記録層42を含まない部分を追加作製するもの、が挙げられる。
【0192】
また、認証シート500としては、そのままの形態で使用する方法、パッケージ/カートリッジなどの容器に入れて使用ずる方法、そのままの形態で使用し片面(再生光が出射しない側)にラベルを貼付して使用する方法などが挙げられる。
記録装置、再生装置の構成要素を、認証シート、パッケージ、カートリッジの構成要素として持たせてもよく(あるいはその逆など相互に構成要素を交換して構成しても)、同様の効果を奏する。
なお、本発明による認証シート500の層の構成としては、適宜各層の間にギャップ層、クラッド層、保護層を挿入してもよく、また上下の最表面にはクラッド層あるいは保護層がある場合、ない場合が考えられ、いずれも同様の動作、効果が得られる。
図37に本発明の認証シート500をカード11に貼り付けた実施形態を示す。認証シート500はカード11の上面、下面、内部の、各々全面あるいは一部に貼付されることができる。
【0193】
認証シート500は単独で機能しても良いし、また後述する〈本発明が適用される応用分野の例〉に示すカードあるいはシールなど別のもの(カード、シールのように薄いものに限らずブロック状のものも含む)に貼付されて機能しても良い。
また、本発明の実施形態では認証シート500のみを図示している場合が多いが、これらの実施形態においても、認証シート500が単独のものだけでなく図37に示すように別のものに認証シート500が貼付されたものも本発明の範疇に含むものとする。即ち、例えば本発明において記録装置、再生装置の中に入れる認証シート500は単独でも良いし、また図36に示すようにカード11など別のものに貼付されていても良い。
【0194】
<認証シートの実施形態(第13の実施形態における記録装置、記録方法)>
本発明の実施形態に係る記録装置は、少なくとも記録層を有する認証シートに情報データを記録する装置であって、少なくとも、前記記録層に光線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する機能を有する光線照射系、あるいは前記記録層に電子線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する機能を有する電子線照射系のいずれかを有することを特徴とする。認証シートとしては例えば、本発明の実施形態に係る認証シートが使用できる。
【0195】
本発明の記録方法は、少なくとも記録層を有する認証シートに、少なくとも光線照射系あるいは電子線照射系を有する記録装置を用いて情報データを記録する方法であって、情報データを光線照射系あるいは電子線照射系からの光線あるいは電子線により、光の透過、不透過性を持つ記録マークの有無に対応させて前記記録層に描画あるいは一括投影することによって記録することを特徴とする。
認証シートとしては例えば、本発明の実施形態に係る認証シートが使用できる。また、記録装置としては例えば、本発明の実施形態に係る記録装置が使用できる。
図38、図39に本発明の実施形態に係る記録装置52の構成(側面図)を示す。図38では記録装置52は、記録層42に光線93を照射し描画する機能を有する光線照射系102から構成され、図9Cでは記録装置52は、記録層42に電子線94を照射し描画する機能を有する電子線照射系103から構成される。
【0196】
なお、認証シート500における記録層42に穴開けする場合には、記録層42は表面に露出している方が穴開けし易い。図38は、認証シート500において、記録層42が露出した例、図39は認証シート500において、記録層42の上にクラッド層3が配された例を示している。
認証シート500として記録層42を含む部分と記録層42を含まない部分が一体となって作製されたものを記録しても良いし、また記録層42を含む部分に対して記録を行った後これと記録層42を含まない部分を貼り付け最終的に一体とされ認証シート500が作製されても良い。
図38、図39の光線93と電子線94、光線照射系102と電子線照射系103が入れ替わったものも同様の効果を奏する。
【0197】
以下、記録装置52の記録動作を説明する。記録に際しては光線照射系102、電子線照射系103を用いて、記録層42に光または、電子線に対する透過/不透過性を示す箇所(記録マーク45。透明/不透明、穴有り/無しなどを含む)を描画、あるいは空間光変調器などを用いた一括投影により形成する。この記録マーク45の有無(数、位置、形状など)により、記録層42に情報データを記録することが可能となる。記録層42の形状、屈折率変化、消失(穴開き)などが記録マーク45として機能する。
光線93としては、赤外光、可視光、紫外光、レーザ光、X線などが利用できる。光線照射系102、電子線照射系103は必要に応じてレンズ、コリメータなどの光学部品、電子線用部品を構成部品として有しても良い。
【0198】
また、光線照射系102、電子線照射系103、認証シート500は、必要に応じて相対的に角度、位置を変化させてもよく、このため一次元、二次元あるいは三次元駆動する機構および機能を有しても良い。
さらに、記録装置52は、再生光を確認するため、図40に示す再生装置における光ヘッド6、光検出器7などを有してもよく、必要に応じて開口マスク、再生光学系、認証シート支持部など本発明の再生装置5が有する構成要素、機能を有しても良い。
なお、光線93、電子線94などを用いて記録層42に記録する方法以外に、インクジェットプリント、レーザプリント、スクリーン印刷など種々の印刷/プリント技術を用いて、インク、塗料などを所望のパターンで認証シート500上に印刷することによっても記録することができる。
【0199】
また、紙、インク、樹脂などのラベルを認証シート500に貼り、これに記録パターンを記録する方法、あるいは予め記録パターンが記録された前述ラベルを認証シート500に貼る方法を用いることもできる。よってこれらも本発明の範疇とする。
また、光線93、光線照射系102、電子線94、電子線照射系103に加え、イオンビーム、イオンビーム源も有用であり、これらおよび、これら上記記載のものを各々組合せたもの、例えば、印刷技術によってインク、塗料を塗布し、これらに光線93、電子線94などを照射して記録する方法も挙げられ、これらも本発明の範疇とする。
なお、記録装置、記録方法として、記録マーク45の加工スポット形状の精度、位置の精度を高精度に出す機構、方法として、サンプル(認証シート500)下から加工面を観察しながら加工する装置、方法とすることにより、スポット形状、スポット位置を高精度に制御可能とでき、有利である。
【0200】
また、図12に示す記憶媒体の記録を行う記録装置を用いて、認証シート500に対する情報データの記録を行うこともできる。同図において、光線照射系(あるいは電子線照射系)102は例えば光線93を照射する機能を有し、また、上下方向(光線の光軸方向)に移動、認証シート500としての記憶媒体1の面内に一次元あるいは、二次元で光線あるいは照射系自体が走査し、既に説明した記憶媒体1の記録処理と同様に情報データの記録処理を行う。
【0201】
<認証シートの実施の形態(第13の実施形態における再生装置、再生方法)>
本発明の実施形態に係る再生装置は、少なくとも記録データ用回折格子層、コア層を有する認証シートに記録された情報データを再生する装置であって、少なくとも、前記記録データ用回折格子層に隣接してあるいはギャップ層を介入して配されたコア層に入射光を入射させる機能を有する光ヘッドと、前記記録データ用回折格子層から出射した再生光を検出する機能を有する光検出器とを有することを特徴とする。認証シートとしては例えば、本発明の実施形態に係る認証シートが使用できる。
本発明の実施形態に係る再生方法は、少なくとも記録データ用回折格子層、コア層、記録層、記録マークを有する認証シートに記録された情報データを、少なくとも光ヘッド及び光検出器を有する再生装置を用いて再生する方法であって、前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいはギャップ層を介して配されたコア層に光ヘッドからの入射光を入射させ、前記記録データ用回折格子層から出射される再生光を、情報報データを持った前記記録層における前記記録マークの有無に対応させて、前記光検出器の位置で光の明暗パターンとして検出再生することにより、前記記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする。認証シートとしては例えば、本発明の実施形態に係る認証シートが使用できる。再生装置としては例えば、本発明の実施形態に係る再生装置が使用できる。
【0202】
図40は本発明の実施形態に係る再生装置の構成、及び本発明の実施形態に係る再生方法の内容を示す図である。同図において、再生装置5は光ヘッド6と、光検出器7とから構成され、光ヘッド6は認証シート500の所望のコア層2に入射光8を入射する機能を持つ。
なお、認証シート500が回折格子層4を持つ場合、回折格子層4に隣接したコア層2に入射光8を入射させれば、各回折格子層4に(ホログラムデータとして)記憶された情報データを読み出せることは従来技術と同様である。
コア層2への入射光8の入射方法としては、認証シート500の端面から入射させる方法、各コア層2に光結合部を設け認証シート500の上面あるいは下面から入射させる方法、各コア層2にミラー面を設け認証シート500の上面あるいは下面から入射させる方法が挙げられ、これらの方法は、同様の効果を奏する。但し、認証シート500の端面から入射させる方法は認証シート500に光結合部、ミラー面などを設ける必要がない点で有利である。
【0203】
光ヘッド6は、入射光8の発生源を有し、発生源としては例えば各種レーザ光源が使用できる。また光ヘッド6は例えば、光を引き回すミラー、コリメータなど光学部品、入射光8をコア層2に集光させる機能をもつ集光レンズ、入射光8を所望のコア層2の位置、角度で入射させる機能(機構、サーボ機能など)を持つアクチュエータなどと組み合わさって構成される。
本発明の実施形態に係る再生装置5は、必要に応じてサーボ用光検出器を具備しても良い。
光検出器7は認証シート500から出射した再生光9を検出する機能を持つ。必要に応じて移動機構を有しても良い。なお、この際、光検出器7と認証シート500が相対的に移動すれば良く、認証シート500側を移動させる機構を有しても良い。例えば、CCD、CMOSなど二次元光検出器、ラインセンサなど一次元光検出器、フォトダイオードなどを利用することができる。
【0204】
再生光9は二次元データとして出射されるため一次元光検出器、さらに二次元光検出器ではこれをより短時間で検出できるという点で有利である。
再生装置5は、必要に応じて認証シート500から出射した再生光9が光検出器7に入るまでの光路の途中に配置された再生光学系300を構成要素として含んでも良い。図41では、再生光学系300を含んだ構成を示している(再生光学系300がない実施形態も同様に効果を奏する)。
再生光学系300は、回折格子層4および記録データ用回折格子層43から出射した再生光9を光検出器7に結像させる機能を持ち、例えば開口マスク302、レンズ301、プリズム、ハーフミラー、(偏光)ビームスプリッタ、ミラー、偏光子、液晶素子など各種光学部品およびこれらを組合せたものから構成することができる。
ここで開口マスクは認証シート500から出射した再生光9が光検出器7に入射するまでの光路の途中に配置され、(回折格子層4を持った認証シート500において)各々の回折格子層4に多重に情報データ(コンテンツなど)を記憶した場合、各回折格子層4から出射する複数の再生光9を分離再生する機能を持つ。開口マスクを用いると、1つの回折格子層4から、光検出器7の複数画面分の情報データを再生することができるため、光検出器7のピクセル数に制限されることなく、認証シート500が有する記憶容量のポテンシャルを最大限に引き出すことが可能となる。即ち、情報データの多重記憶・再生が可能となるため大容量化が図れるという効果がある。
【0205】
また、開口マスクとしては、液晶素子から成り電気的に開口の位置を変化させるもの、開口の位置を固定したマスクを移動させるもの等が挙げられる。前者が機械的駆動を不要とし有利である。一度に開ける開口の数は1つあるいは複数でも構わない。
以下、本発明の実施形態に係る再生装置の再生動作について説明する。記録データ用回折格子層43に隣接するコア層2に光ヘッド6から入射光8を入射させると、コア層2に入射した入射光8は記録データ用回折格子層43で回折され、再生光9として(図40、図41の場合)上方に出射する。記録層42には、本発明の実施形態に係る記録装置52、記録方法により記録マーク45が形成されており、記録層42のうち例えば、記録マーク45が有る箇所では再生光9は透過し、記録マーク45が無い箇所では再生光9は透過しない。
よって、光検出器7には、記録層42上の記録マーク45の有り無しパターンに対応した明暗のパターンが検出され、例えば、認証シート500の個別情報データを記録マーク45の有り無し(数、位置、形状など)に対応させて記録しておけば、光検出器7によりこれを検出再生できる。
【0206】
再生光9として平行光を記録データ用回折格子層43から出射することにより、記録層42に形成した記録マーク45のパターンをそのまま(記録マークの有無、位置と、光検出器上の明暗、その位置が1:1に対応し、拡大縮小関係もほぼ1:1の比率となる)光検出器7で検出することができる。これは再生装置7の構成要素として再生光学系300がない場合に特に容易となる。
一方、記録マーク45を通過した再生光9が(再生光学系300がある場合には、これを再生光9が通過して)光検出器7に結像するように、記録データ用回折格子層43に予めホログラムデータとして情報データを形成しておけば、上記同様に記録層42に形成した記録マーク45のパターンを光検出器7で検出することができる。この場合、再生光9は一般に平行光ではなく種々の角度(場合によっては位相、強度なども種々となる)を持った光となる。なおこの場合には、再生光学系300の有無、種類、特性などに依らず記録マーク45のパターンを光検出器7で検出することができるという利点がある。
上記の様子を図14及び図15を用いて説明する。図14に記録層42の実施形態、図15に光検出器7の実施形態を示す。図14において、記録層42には記録マーク45パターンが二次元的に形成されておりこれが情報データとして機能する。
【0207】
図15に示すように、光検出器7には記録層42の情報データに対応した明暗の二次元パターンが再生されている。記録データ用回折格子層43から出射した再生光9が平行光の場合には、情報データと明暗パターンは(ほぼ)同サイズとなり、また記録マークの有無、位置と、光検出器上の明暗、その位置が1対1に対応する。即ち、図14のA,B,C,…は各々図15のA’,B’,C’,…というように1対1に対応して再生される。
一方、記録データ用回折格子層43が上述のようなホログラムデータとして形成されている場合には、同サイズ、あるいは拡大あるいは縮小したサイズで光検出器7に再生される。記録層42上での記録マーク45の有無および位置は、光検出器7上での光の明暗の有無および位置と1対1に対応していても良いし、また必ずしも1対1に対応していなくても良い。
すなわち、1個の記録マーク45に対して光検出器7上の明暗ドット1個が対応しても良いし、あるいは1個の記録マーク45に対して複数の明暗ドット、あるいは複数の記録マーク45に対して1個の明暗ドット、あるいは複数の記録マーク45に対して複数の明暗ドットが対応するよう記録データ用回折格子層43を形成しても良い。
【0208】
例えば、1個の記録マーク45に対して光検出器7上の明暗ドット1個を対応させる場合には、図12のAから出射した再生光は図7BのA’に結像するよう、図6BのBから出射した再生光は図7BのB’に結像するよう(以下同様に)、記録データ用回折格子層43のホログラムデータを形成してやることにより、これを実現できる。
記憶媒体1の再生装置である図16を認証シート500に対して適用することもでき、この図16は図41に示す再生装置5の再生光学系300がレンズ301、開口マスク302から構成される場合の構成例を示すことになる。この場合、開口マスク302の開口および各開口間隙が再生光9を遮る恐れがあるが、開口をオープン状態とし、開口間隙を避けるよう記録層42上の記録マーク45を配置することにより問題なく再生光9を光検出器7に結像させることができる。
図16は認証シート500(すなわち記憶媒体1の記録層42)が光検出器7より面積が大きい例であり、再生光学系300により情報データを縮小して光検出器7で再生している。広い記録層42とすることで多くの情報データを入れることができる、小さな光検出器7を使うため再生装置を安価、小型にできるなどの利点がある。
【0209】
また、必要に応じて、光検出器7、再生光学系300を認証シート500と相対的に移動させることで記録面の面積が広い認証シート500から出射した再生光9(情報データ)を容易に効率よく光検出器7により再生でき、大容量化を図ることができる(全ての実施形態について同様である)。
さらに、記憶媒体1の再生装置である図17を認証シート500に対して適用することもでき、この図17は図41に示した再生装置における再生光学系300(ここでは例としてレンズ301、開口マスク302から構成される)が光検出器7と一体化した場合の構成例を示している。再生動作は上述したのと同様である。
なお、開口マスクの開口が少数の場合、例えば1個の場合には、光検出器7には図15に示すように全情報データを一度に再生することは不可能となることがある。
この場合には例えば、光検出器7の中央付近に記録マーク45の1個に対応した明暗のドットが1個再生され、光検出器7および再生光学系300の一体化部を認証シート500に対して相対的に(認証シート500、すなわち記憶媒体1面に沿って)二次元(あるいは一次元)移動させることで、全記録マーク45に対応した全部の明暗ドットを再生することが可能となる。
【0210】
ここでは開口、明暗ドットが1個の場合を示したが、複数個の場合も全情報データを一度に再生できない場合には、同様に二次元(あるいは一次元)移動させることで、全記録マーク45に対応した全部の明暗ドットを再生することが可能となる(図18〜図21において、すでに説明したように、全ての実施形態について同様である)。
図14、図15では記録層42上の記録マーク45のパターンと、光検出器7上の明暗ドットのパターンが同一あるいは拡大縮小(相似形)となった例を示した。本発明では記録層42上での記録マーク45の有無および位置が、光検出器7上での光の明暗の有無および位置に対応していれば、これらが図14、図15に示すように1対1に対応していても良いし、また1対1に対応していなくても良い。
対応していない例として、すでに図22及び図23を用いて説明しているため、詳細な説明は省略する。
【0211】
図24に示す記憶媒体の構成を認証シート500の構成として用いることもでき、記録層42、記録データ用回折格子層43が複数ある場合の認証シート500の構成を示している。図24では省略してあるが、各記録層42、記録データ用回折格子層43などの間には1つあるいは複数の記録層42、記録データ用回折格子層43、コア層2、クラッド層3、回折格子層4、ギャップ層44、保護層などが配置されていても良い。
このように記録層42、記録データ用回折格子層43は複数層あっても同様の効果を奏する。例えば、図24の一番下の記録層42と下から2番目の記録層42のように記録マーク45の位置を少しずらして形成すると、両者の重なり部分のみを実効的に記録マーク45として機能させることができ、記録マーク45のサイズを記録装置52における光線照射系102、電子線照射系103などの記録精度、記録分解能に制限されることなく、正確かつ微細に形成できるという利点がある。
【0212】
なお、記録層42としては必要に応じて全部(図で上から2番目の記録層42)あるいは一部(図で一番上の記録層42)を透過性(あるいは不透過性)にすることもできる。
このように記録層42、記録データ用回折格子層43を複数有すると、ある記録層42に記録ミスをした場合にも別の記録層42を利用できるという記録過程における歩留まりを向上させる効果もある。
また、複数の再生光学系300(および再生装置5)に対応した複数の記録データ用回折格子層43を認証シート500(あるいはその一部)に準備しておくことで、複数の再生光学系300(および再生装置5)に対応した共通の認証シート500(あるいはその一部)とすることができ効率が良いという効果もある。
また、記録データ用回折格子層43が複数あると、記録マーク45のパターンと光検出器7上の明暗ドットパターンとの対応を複数準備することができ、情報データの記録、再生にバリエーションが増え、これを認証シートの固有情報データとして利用した場合、より情報データ数、種類が増える、よりセキュリティが高くなるなどの効果もある。
【0213】
なお、光学部品、機構部品など本明細書に記載の記録装置52、再生装置5の構成要素の数は1つあるいは複数でも良く同様の効果を奏する。
記録装置52、再生装置5の構成要素として、認証シート500を装填する入口である認証シート装填口、認証シート500が装填されるスペースである認証シート装填スペース、認証シート500を固定しローディング、チャック、取出し機能を有する認証シート装填台などを具備しても良い。これらは認証シート500を容易にかつ安定に装填する効果がある。記録装置52、再生装置5の他の構成要素としては、例えば論理/制御回路が挙げられる。
論理/制御回路は、データ信号の処理および本明細書に記載の光源、光線照射系、光検出器、液晶素子、各種駆動機構等のアクティブ素子を駆動制御する機能を持つ回路である。
本明細書で図示した記録装置52、再生装置5は、本発明の典型的な実施形態に過ぎず、各構成要素の配置が変わったもの、各実施形態を組み合せ、あるいは組み替えたものも同様の効果を奏し、本発明の範疇とする。
【0214】
ここで認証シートとは、認証シートのみであるいは他のものを貼り合せてカード状、シール状、板状としたものも含み(厚さを問わない)、また形状も四角形、円盤(ディスク)状など特に形状を問わず、これらのものを全て含むものとする。
なお、再生光9を目視できる場合には、光検出器7は必ずしも要らない場合もある。また電子的に再生光9の情報を取り扱わない場合、例えば光検出器7として、すりガラスなどを使用することもでき、再生光9をこれに映すことで情報データを得ることが可能である。
また、再生装置5は、一体で構成されるだけでなく、光ヘッド6を含む部分と光検出器7を含む部分が分離し二体以上になって構成されても同様の効果を奏する。
また、記録層42に記録した記録マーク45のパターンが同じであっても、記録データ用回折格子層43に形成するデータを異なるものとすることで、光検出器7には異なる情報データを再生することが可能である。
【0215】
これにより、目視で確認した記録マーク42のパターンと再生される情報データとの対応を容易に取れなくすることができ、より高セキュリティとすることが可能となる。また、記録層42に記録する記録マーク45のパターンおよび記録データ用回折格子層43に形成するデータの組合せで多数の情報を記録再生できるという利点がある。
【0216】
<認証シートの実施の形態(第13の実施形態が適用される応用分野の例)>
この技術は、認証シール単独で機能するか、あるいは別のものに貼付されて機能し、例えばメモリ(コンテンツ配布メモリ/メディアなど)、鍵(例:家/ルームキー、PCなどのアクセスキーなど)、保障シール、クレジットカード、パスポート、紙幣、免許証、保険証、会員証、梱包用シール、タグ、入場券、診察券、IDカード、パーソナルキー、ギフト券、ビジネスソフト、証明シール、パッケージシール、プリペイドカード、ゲームカード、トレーディングカード、アミューズメントソフト、記念切手、グリーティングカード、プロモーションツール、偽造防止シール、著作権保護シール、純正品認証シールなどの分野への適用が考えられる。
図42に認証シート500を図7に示すように上記応用分野におけるカード、シール(総称してカード11とする)に貼付し、再生装置5に挿入した様子の実施形態を示す。例えば、このカード11が鍵の場合、再生装置5は家/部屋の入口に設置するカードリーダ(あるいはカードリーダの一部)の役割をする他の応用分野においても同様に、認証シート500単独あるいは認証シート500を(総称の意味での)カードに貼付したものと、再生装置5をカードリーダあるいはその一部として使用する利用イメージとなる。再生装置5は必要に応じてカード差込口を持っても良い(全ての実施形態について同様である)。
【0217】
以上、本発明によって、容易に認証シート個々に情報データを記録および再生できることが示された。
なお、上述した記録装置及び再生装置それぞれの記録/再生の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記録して、この記憶媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより記録/再生を行ってもよい。
なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記録装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0218】
また、上記プログラムは、このプログラムを記録装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0219】
<第14の実施形態>
以下、第14の実施形態による積層ホログラム記憶媒体及び再生装置から構成される積層ホログラム情報記憶システムを、図面を参照して説明する。なお、以降に説明する部分については、第14の実施形態〜第17の実施形態において共通である。
図45は、積層ホログラム情報記憶媒体である記憶媒体1の一例を示す図である。記憶媒体1は、2つのコア層2と、この2つのコア層2を挟むように配置した3つのクラッド層3及びギャップ層44から構成されている。また、一方のコア層2とこれを挟むクラッド層3との境界あるいはコア層2内に設けられ、情報が例えば凹凸形状あるいは屈折率分布によって記録される回折格子層4と、他方のコア層2とこれを挟むクラッド層3との境界あるいはコア層2内に設けられた記録データ用回折格子層43とを備えている。
【0220】
さらに、また前記他方のコア層2にギャップ層44を介して設けられ、上述したIDデータに相当する情報が光の透過、不透過性を持つ記録マーク45の有無及び位置によって記録される記録層42を備えている。
この記録データ用回折格子層43は、前記他方のコア層2の上面に設けられていてもよい。
図46は、記憶媒体1に記録されている情報を読み出す再生装置5と記憶媒体1とから構成される上述した積層ホログラム情報記憶システムを示した図である。同図において、再生装置5は、光ヘッド6と、光検出器7と、開口マスク10と、再生光学系12とから構成されている。光ヘッド6は、例えば、各種レーザ光源が使用でき、記憶媒体1の所望のコア層2に入射光8を入射させる機能を有する。
【0221】
光検出器7は、例えば、CCD(Charge Coupled Devide)、CMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)などの二次元光検出器、ラインセンサなどの一次元光検出器、フォトダイオードであり、光ヘッド6から入射光が記憶媒体1に入射され、記憶媒体1から出射される再生光9を検出する機能を持つ。
開口マスク10は、記憶媒体1から出射した再生光9が光検出器7に入射するまでの光路の途中に配置され、各々の回折格子層4に多重に情報を記憶した場合、各回折格子層4から出射する複数の再生光9を分離再生する。
開口マスク10を用いると、1つの回折格子層4から、光検出器7の複数画面分の情報データを再生することができるため、光検出器7のピクセル数に制限されることなく記憶媒体1の記憶容量を大きくすることができる。このような開口マスク10として、例えば液晶装置により開口11の位置を変化させるものや、開口11の位置を固定して開口マスク10を駆動装置などによって平面移動させるものが存在する。
【0222】
再生光学系12は、記憶媒体1から出射した再生光9を光検出器7に結像させる機能を持ち、例えば、レンズ、プリズム、ハーフミラー、(偏光)ビームスプリッタ、ミラー、偏光子、液晶素子など各種光学部品およびこれらを組み合わせたものから構成することができる。
以下、再生過程について説明する。光ヘッド6により記憶媒体1の所望のコア層2に入射光8が入射されると、回折格子層4に記録されている情報に基づいて回折し、再生光9は、記憶媒体1の上面に出射され、開口マスク10及び再生光学系12を通過して、光検出器7によって検出される。これにより記憶媒体1に記録された情報を再生することができる。なお、図46では、開口マスク10の開口11のサイズは記録マーク45全ての領域よりも大きくなっているため、全ての再生光9が開口マスク10を通過することになる。
【0223】
記憶媒体1には上述したIDデータに相当する媒体個々の情報を持つ記録層42が設けられており、入射光8を記録データ用回折格子層43へ入射させることにより媒体個々のIDデータを読み出すことができる。
図47は、記録データ用回折格子層43からの再生光9に基づく光検出器7上の再生像を示した図である。光検出器7上の光の明暗1つ1つをセル49と呼び、媒体個々のIDデータを示すIDデータ再生像50は、セル49の集合として構成される。
図48は、開口マスク10に各開口11を区切るための開口間隙である開口間部分19を有する再生装置5aの側面図を示した図である。図48において、図46の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
光検出器7側から開口マスク10と記録層42を重ねて見た場合に、図49に示すような図となる。図49では、開口マスク10の開口11の間の開口間部分19により記録マーク45の一部が遮られている。
【0224】
そのため、再生した場合に再生光9が遮られることとなり、図50に示す再生光9の一部が遮られたIDデータ再生像50が光検出器7上に結像されてしまうという問題がある。この問題を解決するために、以下IDデータ再生像50が正しく結像されるように構成した記憶媒体1について説明する。
以降の図51〜図53に示す記憶媒体1については、第14の実施形態に関するものである。
図51は、第14の実施形態による記憶媒体1及び当該記憶媒体1に記録されている情報を読み出す再生装置5bを示す側面図である。
第14の実施形態による記憶媒体1は、記憶層上での記録マーク45の有無及び位置が、光検出器上で光の明暗の有無及び位置に一対一で対応し、記録マーク45が再生装置5bにおける開口マスクの開口間部分に重ならないように記録マーク45を設けることを特徴としている。
【0225】
図51において、図48の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。記憶媒体1において、記録マーク群46は、記録マーク45の集合を意味するものであり、記録マーク群46の記録マーク群サイズを開口11の開口サイズと同等またはそれ以下になるようし、記録マーク群46が開口間部分19の直下に配置されないように設計することで、再生光9は開口間部分19に遮蔽されず、また損失せずに光検出器7上に結像させることができる。
図52は、光検出器7側から見た記録層42及び開口マスク10の上面図である。同図において、開口マスク10は、4つの開口11を有する。そして、36個の記録マーク45が1つの記録マーク群46として1つの開口11の直下に位置するように記録層42上に設けられている。
ここで、記録マーク群46を構成する記録マーク数は、開口11のサイズ、記録マーク45のサイズによって異なるが、開口間部分19に重ならないように設計することで再生光9が開口間部分19に遮られないようにすることができる。また、開口11の数が1つで、その開口11を駆動装置などによって移動させるような場合においても予め開口間部分19のサイズが既知であれば再生光9が開口間部分19に遮られないようにすることができる。
【0226】
図53は、光検出器7上に結像されたIDデータ再生像50を示した図であり、開口間部分19に遮られることなく記録マーク45に一対一で対応した光の明暗が結像されている。
また、IDデータ再生像50は、4分割されているが、例えば、光検出器7上のIDデータ再生像50を画像処理技術などを用いて図47に示す1つの像に統合することにより1つのIDとして認識することが可能となる。
なお、1つの像に統合する際に、画像処理技術などを用いることなく、図47に示す1つの像に結像させるように記録データ用回折格子層43を形成することも可能であり、この場合、統合に要する時間、負荷を削減できる点で有利である。
【0227】
<第15の実施形態>
図54及び図55を参照して、本実施形態による記憶媒体1を説明する。本実施形態による記憶媒体1は、記録層42上での記録マーク45の有無及び位置が、記録層42に上述した吸収部に該当する部分にレーベル等のデザインを施す場合に、デザインが施された部分の妨げとならないよう記録層42上の目立たない箇所へ記録マークを任意に配置することを特徴とする。
図54は、記録マーク群46を目立たないよう記録層42の四隅に配置する場合を示した図である。
この場合、記録マークサイズを0.1mm角程度とし、100個の記録マークを1群の記録マーク群46とすると、記録層42には四隅に1mm角程度の記録マーク群46が存在することになる。このとき、記憶媒体1の大きさにも依存するが、ほとんどデザインの妨げとならず、記憶媒体1の中央にデザインを付与することが可能となる。
【0228】
なお、0.1mm角程度の記録マーク45、1mm角の記録マーク群46を記録層42上に形成することは技術的に容易である。
同図における再生光9を光検出器7上に結像させる場合に、記録データ用回折格子層43を設計することで図47に示すIDデータ再生像50を光検出器7に結像させることも可能である。そのとき、図54の記録マーク群A、B、Cはそれぞれ図47のA’、B’、C’に対応することとなる。
なお、記録マーク群46の分割数は1から全記録マーク数まで分割が可能であり、全記録マーク数がいくつあるようにしてもよい。さらに、記録マーク45を形成する前の記録層42の色は光吸収性があればどのような色であってもよい。また、記録層42上に記録マーク45を配置する際にデザインの一部として構成するようにしてもよい。
【0229】
図55は、記録層42上にデザインを入れるデザイン枠51に記録マーク45を配置する場合を示した図である。記録層42に利用する材料は、再生光を透過させず、かつ記録を行う際にレーザ光を吸収する色彩を有する材料であればいかなる色であってかまわないため、デザイン枠51部分の記録層42の色を任意の色に変えることによりデザインの一部として利用することも可能なためデザイン上の妨げとなることがない。
同図における再生光9を光検出器7上に結像させる場合に、記録データ用回折格子層43を設計することで図47に示すIDデータ再生像50を光検出器7に結像させることも可能である。そのとき、図55の記録マークA、B、Cがそれぞれ図47のA’、B’、C’に対応する。
なお、上述したように再生後に画像処理技術によって図47に示すIDデータ再生像50を合成することも可能である。
【0230】
<第16の実施形態>
図56から図60を参照して、本実施形態における記憶媒体1を説明する。本実施形態による記憶媒体1は、予め定められた再生光の明暗の有無及び位置から構成されるIDデータに対して所定の規則に基づいて変換を行う。
そして、変換されたIDデータに基づいて記録層42上に記録マーク45を設けることを特徴としている。所定の規則としては例えば、上下または左右に鏡面反転、あるいは記録マーク45の有無を反転、あるいは一定距離だけ上下にシフトする規則が存在する。
図56は、光検出器7上に結像されたIDデータ再生像50を示した図である。図56において、1’〜16’はIDデータ再生像50のセル番号である。
図57は、図56におけるIDデータ再生像50の光の明暗の有無及び位置に対してX方向の中心軸に基づいて上下に鏡面反転させた位置に記録マーク45を設けた場合の光検出器7側から見た記録層42の上面図である。同図における1〜16の記録マーク45が記録データ用回折格子層43によってそれぞれIDデータ再生像50の1’〜16’の位置に対応するように結像される。
【0231】
図58は、図56におけるIDデータ再生像50の光の明暗の有無及び位置に対してY方向の中心軸に基づいて左右に鏡面反転させた位置に記録マーク45を設けた場合の光検出器7側から見た記録層42の上面図である。同図における1〜16の記録マーク45が記録データ用回折格子層43によってそれぞれIDデータ再生像50の1’〜16’の対応する位置に結像する。
図59は、図56における光の明暗の有無を反転させて記録マーク45を配置した際の光検出器7側から見た記録層42上の図である。このとき、IDデータ再生像50のセル1番に対応する記録マークはマーク有り、セル2番に対応する記録マークはマーク無しとなる。
なお、記録層42において記録マーク45が1つも存在しない場合には、再生光9が透過しないため、光検出器7上で結像されるIDデータ再生像50は存在しなくなり、記録マーク45を反転させたIDデータ再生像50を得ることはできない。しかし、記録マーク45が1つも存在しないというIDデータについてのみ反転させることができないことがわかっているため、再生光9が透過しない場合のみを特別に処理することで矛盾なく検出を行うことができる。
【0232】
図60は、図56におけるIDデータ再生像50の光の明暗の有無及び位置を一定距離だけ上下にシフトした位置に記録マークを設ける場合を説明するための図である。図56上のセル番号Nが、図60の記録層42上の記録マークのN±n番に対応するように記録マークが設けられている。
ここで、シフトする規則としてNは1〜全記録マーク数、nは1〜N−1の値をとり、N+nが記録マーク番号の最大値Nmax(同図では16番)に達した場合にはN+n−Nmaxの値となる。例えば、n=14とするとIDデータ再生像のセル1番は記録マークの15番に対応し、セル10番は記録マークの8番に対応する。セルN−nが1に達した場合はNmax+N−nの値となる。なお、N及びnの値は上記の範囲内の値であればどのような値であっても上記の規則に従うこととなる。
【0233】
<第17の実施形態>
図61から図63を参照して、本実施形態による記憶媒体1を説明する。本実施形態による記憶媒体1は、記録層42上での記録マークの有無及び位置が、光検出器7上での光の明暗の有無及び位置に少なくとも一対多、あるいは多対一または多対多で対応する部分を有し、光検出器7上の光の明暗の有無及び位置及び数に記録層42上の記録マーク45の有無及び位置及び数が必ずしも一致しないように記録マーク45を設けることでIDデータの目視を困難にすることを特徴とする。
図61は、光検出器7上のIDデータ再生像50を示した図である。一方、図62は、記録層42上の記録マーク45の配置の一例を示した図である。図61と図62では、四角で囲われた四角部分については、光検出器7上での光の明暗の有無及び位置が、記録マーク45の有無及び位置に一対一で対応している。
【0234】
しかし、四角部分以外については、図62の記録マーク45の「X」が、図61における領域A、B、C,Dの全てのセルの明暗に一対多で対応しており、図62の記録マーク45を目視することにより図61のIDデータ再生像を読み取ることは非常に困難となっている。
図63は、本実施形態における記録層42上の記録マーク45の配置の別の一例を示した図である。同図において、四角で囲われた四角部分については、図61におけるIDデータ再生像50の光の明暗の有無及び位置に一対一で対応している。また、領域A’及び領域B’についても図61での領域A及び領域Bに一対一で対応している。
しかし、領域C’については図61の領域Cに多対多で対応し、領域D’については図61の領域Dに一対多で対応している。
本実施形態の具体的な例として、同図のIDデータ再生像50が例えば、既存の規格化された二次元コード(例えば、QRコード(登録商標)、MaxiCode、VeriCode(登録商標)、DataMatrixCode、AztecCode等)に対応する場合が考えられる。規格化された二次元コードには位置検出パターンなど各規格で定義されたセル部分が存在する。
【0235】
それらの定義されたセル部分は、コードの種類が同じであり、かつコードのセル数が同じ場合に、いかなる情報を有するコードであっても存在する必要がある。そのため、規格化された二次元コードをIDデータ再生像50として対応させるためには記録マークがいかなる配置であっても決められたセル部分に対応させるように記録データ用回折格子層43を設計する必要がある。
なお、上述した第14の実施形態から第17の実施形態においても記録マーク45の有無及び位置と光検出器7上での光の明暗の有無及び位置との対応関係を第16の実施形態のように一対多、多対一、多対多にすることが可能である。
【0236】
<第18の実施形態>
本実施の形態は、情報データ設計方法に関するものである。
<第18の実施形態に関する従来の情報データ設計方法>
従来の技術を用いて前述の図51に示す記憶媒体1の記録データ用回折格子層43の記録データを、再生光9が光検出器7に結像するように形成する従来の方法について以下に説明する。前記記録データ用回折格子層43上の凹凸形状、即ち情報データ(この場合ホログラムデータ)の計算方法例を図64に示す。
この図において、基画像データ54は再生させたい画像のデータであり、再生画像データ55は再生結果の画像データである。記録データ用回折格子層43に隣接するコア層2に入射光8が入射、導波し、記録データ用回折格子層43の凹凸形状によって回折、散乱する再生光9の記録データ用回折格子層43上での波面を表す関数をuh(θh)とする(このuhがホログラムデータに対応する)。
【0237】
uhは記録データ用回折格子層43上に二次元的に分布する関数であり、θhは波面関数の強度および位相を表すパラメータである。光検出器7上に結像する像の波面関数を同様にur(θr)とする。ここでurは光検出器上に二次元的に分布する関数であり、θrは強度および位相を表すパラメータである。
uhはurを基画像(再生させたい画像)データ54とするものであり、原理的には波動光学的解析により、即ちurと伝達関数gの積を光検出器7上で面積分すること、「uh=∫∫ur・g dxdy」で求めることができる。記録データ用回折格子層43上の凹凸形状はuhが解ればこれを基に凹凸形状による散乱光の記録データ用回折格子層43上での分布がuhとなるように形成すればよい。
また逆に情報データ(uh)から再生画像データ55(ur)を計算により求める場合は、上記の計算(変換)の逆計算(逆変換)を行えばよい。ここで、変換と逆変換について説明する。基画像データを変換して得られる記録データ用回折格子層43上の情報データ(uh)は、一般に記録データ用回折格子層43の面上に無限に広がった関数となる。よって、この無限に広がった情報データ(uh)を無限の領域で面積分し逆変換してやれば、再生画像データ(uh)は基画像データと等しいものとなる。しかし、光学的(現実的)には、記録データ用回折格子層43は無限には広がっておらず、従って、変換によって得られる記録データ領域は、記憶媒体、開口、記録マークなどの領域に制限されたものとなる。
【0238】
このように無限領域でなく、制限された有限領域で面積分し逆変換することによって、実際の現象と同様、再生画像データ(uh)は基画像データとは異なったものとして計算、再生されることになる。すなわち、逆変換時の面積分領域を、実際の系に合わせて有限とすることで、実際の光学的現象を忠実に再現、説明するよう、数学的に記述することができる。以下においては、逆変換(および変換も)とは、実際の系に合わせて有限領域で面積分することを意味するものである。
なお、uhが正しく変換されたか否かの確認は、上記逆変換後の再生画像データと基画像データを比較することにより可能である。
【0239】
<第18の実施形態に関する従来の情報データ設計方法の課題>
しかしながら、例えば図51における記憶媒体1の記録マーク45サイズが小さい場合や、各セル49が記録データ用回折格子層43からの複数の輝点同士が干渉を起こす場合には、再生画像データ55にノイズ等が加わってしまい、基画像データ54と一致せず、例えば再生画像データ55のデコードなどを行うことが困難なものとなる。
【0240】
<第18の実施形態における情報データ設計方法>
上述の問題点を解決する情報データ設計方法を以下に説明する。積層ホログラム情報記憶媒体における記録データ用回折格子層の情報データの設計方法は、再生画像データを基画像データとしてホログラム計算することにより得られるホログラムデータを情報データとする方法であり、図65に1つのセル白色部15に着目した処理の流れを示す。ノイズ等53は光の干渉等によるノイズである。
まず、再生画像データとする基画像データB1{uro}を情報データI1に変換する(図65のステップR01)。次にその情報データI1を再生画像データR1{ur(Θ1)}に逆変換する(図65のステップR02)。別の画像データO1は、再生画像データR1と別の画像データO1を合成することにより得られる再生画像データR1’{ur(Θ1)’}と基画像データB1との差分{G(Θ1)’}が、再生画像データR1と基画像データB1との差分{G(Θ1)}より小さくなるような画像データであり、この別の画像データO1と再生画像データR1との合成画像データ、即ちR1’{ur(Θ1)’}を新たな基画像データB2とする(図65のステップR03)。
【0241】
上記合成行程を再生画像データRNと基画像データB1との差分が十分に小さくなるよう、少なくとも1回以上繰り返す(図65のステップR04)。記録データ用回折格子層43に記録する情報データとしては、最終的に得られる再生画像データRN{ur(ΘN)}に逆変換する前の情報データINを用いることができる。ここで、Θmは再生画像データの波面関数urの強度および位相を表すパラメータであり、再生画像データ{ur(Θm)}と基画像データB1との差分G(Θm)および再生画像データ{ur(Θm)’}を求める式は次のものである。
G(Θm)=ur(Θm)−uro・・・(1)
ur(Θm)’=uro+α・[{ur(Θm)−uro}/Θm−Θ0]・・・(2)
なお(2)式のαはG(Θm)’<G(Θm−1)’を満たすように選ばれた関数であり、mは合成行程の繰り返し回数で任意の整数(1、2、3…)である。
他の情報データ設計方法の例は、再生画像データを基画像データとしてホログラム計算し情報データを得て、前記情報データのホログラム逆計算により得る再生画像データの階調反転(例えば画像データが256階調(0〜255)である場合、階調値nを255−nと変換)した画像データを基画像データとして再度ホログラム計算し情報データを得る行程を有する場合、あるいは再生画像データを構成する記録データ用回折格子層から出射する再生光、即ち光検出器における輝点の間隔を調節する行程を有する場合などがあり、いずれも同様の効果を奏する。
【0242】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、再生装置における情報データの再生手順に関しては、記憶媒体の規格化により、記録データ用回折格子層および記録層が記憶媒体中のどの位置に配されるかを予め決めておいても良い。例えば、光検出器から最も遠い位置(最下層)、光検出器から所定距離だけ離れた位置などとしても良い。また、図16などに示す再生装置5側も上記の位置を予め記憶しておく等により認識しても良い。
【0243】
また、図16などに示す再生装置5へ記憶媒体1を装着直後、あるいは再生装置の電源を入れた直後に、まず、記録データ用回折格子層43に隣接するコア層2へ入射光8が入射するよう光ヘッド6を駆動し、記録された情報データを再生し、得られた再生画像データを信号処理回路や信号処理ソフトなどを用いてデコードし、媒体個々に記録された情報を取得しても良い。得られた情報をメモリに格納し、必要に応じて本情報を利用する、あるいは記録データ用回折格子層43に隣接するコア層2へ再度入射光8を入射し、情報を取得しても良い。
なお、再生過程において再生画像データを撮像する際は、再生画像データに対して一括して撮像、あるいは部分的に撮像した後に画像を合成、あるいは1セルずつ撮像した後に画像を合成する。また光検出器7は再生画像データに対して、固定、あるいは面内で一軸駆動、あるいは面内で二軸駆動しても良い。開口マスク10の開口11は同時に全開、あるいは部分的に順次開閉しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0244】
本発明における積層ホログラム情報記憶媒体は、作製後または作製途中において容易に情報データを記録することができる。また、記録した情報データを再生装置及び再生方法により、容易に再生することができる。さらに、識別番号等の積層ホログラム情報記憶媒体毎の固有の情報データを書き込んだ後に、情報データが書き込まれた記録層を貼り付け等により形成するため、記録層に対する情報データの書き込みが容易に行え、記録層に用いる材料及び加工の自由度が向上する。これにより、記憶媒体個々に固有の情報データを記録することができ、記憶媒体の個々を管理することが可能となり、記憶媒体に記憶あるいは蓄積されたコンテンツの著作権を、不正コピー、偽造行為などから守ることができる効果が得られる。更に、本発明によれば、本発明に係る認証シートの作製時に、本発明に係る記録装置および記録方法を用いて、この認証シートに情報データを容易に記録できる。また、この記録した情報データを再生装置および再生方法を用いて容易に再生することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つ以上の第1のコア層と、
前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ、形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、
前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層と
を有することを特徴とする積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項2】
前記再生光が前記記録層を透過することによって、前記記録層上での前記記録マークの有無および位置が、光の明暗の有無および位置として再生されるように、前記記録データ用回折格子層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項3】
前記記録データ用回折格子層は、ホログラムとして機能することを特徴とする請求項1に記載の積層ホログラム情報記録媒体。
【請求項4】
前記記録層を挟んで前記第1のコア層および前記記録データ用回折格子層の反対側に設けられ、前記記録層を透過した光を反射する反射層をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項5】
少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、
前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層とを有し、
前記記録データ用回折格子層は、
情報データが、当該記録データ用回折格子層の形状あるいは屈折率変化あるいは消失による再生光の出射の有無よって情報を示す記録マークとして記録されるものである
ことを特徴とする積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項6】
前記第1のコア層の上側もしくは下側に配置される1つ以上の第2のコア層と、
前記第1のコア層と前記第2のコア層との間に設けられるクラッド層と、
前記第2のコア層の上面あるいは下面あるいは第2のコア層内に設けられ、形状または屈折率分布として情報データが記憶された1つ以上の回折格子層と
を有することを特徴とする請求項1または請求項5に記載の積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項7】
少なくとも、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層を有することを特徴とする積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項8】
形状あるいは屈折率分布により形成され、前記記録層を透過した光を所定の位置に結像させる記録データ用回折格子層をさらに有することを特徴とする請求項7に記載の積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項9】
前記記録層に隣接して、あるいは前記記録層にギャップ層を介して設けられた1つ以上の第2のコア層と、
前記第2のコア層の上面あるいは下面あるいは第2のコア層内に設けられ、形状または屈折率分布として情報データが記憶された1つ以上の回折格子層と
を有することを特徴とする請求項7に記載の積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項10】
少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する装置であって、
少なくとも、前記第1のコア層に入射光を入射させる光ヘッドと、
前記記録層を透過した光を検出する光検出器と
を有することを特徴とする再生装置。
【請求項11】
前記記録層を透過した光を反射する反射部をさらに有し、
前記光検出器は、前記記録層を透過した光を前記反射部を介して検出することを特徴とする請求項10に記載の再生装置。
【請求項12】
少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層とを有し、前記記録データ用回折格子層は情報データが、当該記録データ用回折格子層の形状あるいは屈折率変化あるいは消失による再生光の出射の有無よって情報を示す記録マークとして記録されるものである積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する装置であって、
少なくとも、前記第1のコア層に入射光を入射させる光ヘッドと、
前記記録データ用回折格子層から出射した再生光を検出する光検出器と
を有することを特徴とする再生装置。
【請求項13】
少なくとも、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層を有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する装置であって、
少なくとも、前記記録層に光を照射する光源と、
前記記録層を透過した光を検出する光検出器と
を有することを特徴とする再生装置。
【請求項14】
少なくとも、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層を有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する装置であって、
少なくとも、前記記録層に光を照射する光源と、
前記記録層が反射した光を再度反射し、結像させる結像光学系と、
前記結像光学系光が結像させた光を検出する光検出器と
を有することを特徴とする再生装置。
【請求項15】
少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する方法であって、
前記第1のコア層に入射光を入射させ、前記記録データ用回折格子層から出射される再生光を前記記録層を介して検出することにより、前記記録層における前記記録マークの有無に対応した光の明暗パターンとして、前記記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする再生方法。
【請求項16】
少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層とを有し、前記記録データ用回折格子層は情報データが、当該記録データ用回折格子層の形状あるいは屈折率変化あるいは消失による再生光の出射の有無よって情報を示す記録マークとして記録されるものである積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する方法であって、
前記第1のコア層に入射光を入射させ、前記記録データ用回折格子層から出射される再生光を検出することにより、前記記録データ用回折格子層における前記記録マークの有無に対応した光の明暗パターンとして、前記記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする再生方法。
【請求項17】
少なくとも、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層を有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する方法であって、
前記記録層に光を照射し、該照射した光を前記記録層を介して検出することにより、前記記録層における前記記録マークの有無に対応した光の明暗パターンとして、前記記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする再生方法。
【請求項18】
少なくとも、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層を有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する方法であって、
前記記録層に光を照射し、前記記録層が反射した光を検出することにより、前記記録層における前記記録マークの有無に対応した光の明暗パターンとして、前記記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする再生方法。
【請求項19】
少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に情報データを記録する記録装置であって、
少なくとも前記記録層に光線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する光線照射系、あるいは、記録層に電子線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する電子線照射系から構成されることを特徴とする記録装置。
【請求項20】
少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に情報データを記録する方法であって、
情報データを光の透過、不透通性を持つ記録マークとして前記記録層に、光線あるいは電子線を用いて、描画あるいは一括投影することによって記録することを特徴とする記録方法。
【請求項21】
少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体の製造方法であって、
前記記録層を露出した状態にて情報データを記録した後、別に形成した他の層を貼着して形成することを特徴とする積層ホログラム情報記憶媒体の製造方法。
【請求項22】
少なくとも、所定の位置に設けられた1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接してあるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ情報データが光の透過性、不透過性を持つ穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する装置であって、
前記第1のコア層が設けられた前記所定の位置を確認する手段と、
前記第1のコア層へ入射光を入射する光ヘッドと、
前記積層ホログラム情報記憶媒体の装着、あるいは、電源の投入を検知したとき、前記光ヘッドを前記所定の位置まで駆動する手段と、
前記記録層を透過した光を検出する光検出器とを有することを特徴とする再生装置。
【請求項23】
少なくとも、所定の位置に設けられた1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する方法であって、
前記第1のコア層が設けられた前記所定の位置を認識し、
前記積層ホログラム情報記憶媒体の装着、あるいは、電源の投入を検知したとき、前記第1のコア層へ入射光を入射させ、
前記記録データ用回折格子層から出射される再生光を前記記録層を介して検出することにより、前記記録層における前記記録マークの有無に対応した光の明暗パターンとして、前記記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする再生方法。
【請求項24】
コア層に入射された入射光を、形状あるいは屈折率分布により形成された回折格子層を介して再生光として出射する積層ホログラム情報記憶媒体と、前記再生光の一部を遮ることで多重記録されている前記記憶情報を分離再生させる開口マスクを備え前記入射光を照射して前記再生光を検出する再生装置と、によって構成される積層ホログラム情報記憶システムにおける積層ホログラム情報記憶媒体であって、
前記再生光を透過または不透過にする穴の有無、または前記再生光の透過率の大小により情報を表し、前記開口マスクの開口間隙に重ならない位置に設けられた記録マークを有する記録層と、
前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように形成された記録データ用回折格子層と、
を備えた積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項25】
コア層に入射された入射光を、形状あるいは屈折率分布により形成された回折格子層を介して再生光として出射する積層ホログラム情報記憶媒体と、前記入射光を照射して前記再生光を検出する再生装置と、によって構成される積層ホログラム情報記憶システムにおける積層ホログラム情報記憶媒体であって、
前記再生光を透過させない色彩を有する材料を一部に配置した吸収部とともに、前記吸収部以外の部分に前記再生光を透過または不透過にする穴の有無、または前記再生光の透過率の大小により情報を表す記録マークを配置した記録層と、
前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように形成された記録データ用回折格子層と、
を備えた積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項26】
コア層に入射された入射光を、形状あるいは屈折率分布により形成された回折格子層を介して再生光として出射する積層ホログラム情報記憶媒体と、前記入射光を照射して前記再生光を検出する再生装置と、によって構成される積層ホログラム情報記憶システムにおける積層ホログラム情報記憶媒体であって、
前記再生光を透過または不透過にする穴の有無、または前記再生光の透過率の大小により情報を表し、予め定められた前記再生装置上での前記再生光の明暗の有無及び位置に基づいて所定の規則により変換された位置に設けられた記録マークを有する記録層と、
前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記予め定められた前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように形成された記録データ用回折格子層と、
を備えた積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項27】
前記所定の規則は、
前記再生光の明暗の有無及び位置を上下あるいは左右反転、あるいは有無を反転、あるいは所定の距離だけ上下左右のいずれかにシフトさせた位置に前記記録マークを設ける規則であることを特徴とする請求項26に記載の積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項28】
前記所定の規則は、
前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が前記再生光の明暗の有無及び位置に対して一対多あるいは多対多あるいは多対一に対応するようにする規則であることを特徴とする請求項26に記載の積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項29】
コア層に入射された入射光を、形状あるいは屈折率分布により形成された回折格子層を介して再生光として出射し、前記再生光を透過または不透過にする穴の有無または前記再生光の透過率の大小により情報を表す記録マークを有する記録層を備えた積層ホログラム情報記憶媒体と、前記再生光の一部を遮ることで多重記録されている前記情報を分離再生させる開口マスクを備え前記入射光を照射して前記再生光を検出する再生装置と、によって構成される積層ホログラム情報記憶システムにおける積層ホログラム情報記憶媒体の設計方法であって、
前記開口マスクの開口間隙に重ならない位置に前記記録マークを設ける工程と、
前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように記録データ用回折格子層を形成する工程と、
からなることを特徴とする積層ホログラム情報記憶媒体の設計方法。
【請求項30】
コア層に入射された入射光を、形状あるいは屈折率分布により形成された回折格子層を介して再生光として出射し、前記再生光を透過させない色彩を有する材料を一部に配置した吸収部とともに、前記吸収部以外の部分に前記再生光を透過または不透過にする穴の有無、または前記再生光の透過率の大小により情報を表す記録マークを配置した記録層を備えた積層ホログラム情報記憶媒体と、前記入射光を照射して前記再生光を検出する再生装置と、によって構成される積層ホログラム情報記憶システムにおける積層ホログラム情報記憶媒体であって、
前記吸収部に重ならない位置に前記記録マークを設ける工程と、
前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように記録データ用回折格子層を形成する工程と、
からなることを特徴とする積層ホログラム情報記憶媒体の設計方法。
【請求項31】
コア層に入射された入射光を、形状あるいは屈折率分布により形成された回折格子層を介して再生光として出射し、前記再生光を透過または不透過にする穴の有無、または前記再生光の透過率の大小により情報を表す記録マークを有する記録層を備えた積層ホログラム情報記憶媒体と、前記入射光を照射して前記再生光を検出する再生装置と、によって構成される積層ホログラム情報記憶システムにおける積層ホログラム情報記憶媒体の設計方法であって、
予め定められた前記再生装置上での前記再生光の明暗の有無及び位置に基づいて所定の規則により変換された位置に前記記録マークを設ける工程と、
前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記予め定められた前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように記録データ用回折格子層を形成する工程と、
からなることを特徴とする積層ホログラム情報記憶媒体の設計方法。
【請求項32】
少なくとも1つ以上の第1のコア層と、
前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ、形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、
前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層と
から構成されることを特徴とする認証シート。
【請求項33】
前記再生光が前記記録層を透過することによって、前記記録層上での前記記録マークの有無および位置が、光の明暗の有無および位置として再生されるように、前記記録データ用回折格子層が形成されていることを特徴とする請求項32に記載の認証シート。
【請求項34】
少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する認証シートに記録された情報データを再生する装置であって、
少なくとも、前記第1のコア層に入射光を入射させる光ヘッドと、
前記記録層を透過した光を検出する光検出器と
を有することを特徴とする再生装置。
【請求項35】
少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する認証シートに記録された情報データを再生する方法であって、
前記第1のコア層に入射光を入射させ、前記記録データ用回折格子層から出射される再生光を前記記録層を介して検出することにより、前記記録層における前記記録マークの有無に対応した光の明暗パターンとして前記記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする再生方法。
【請求項36】
少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する認証シートに情報データを記録する装置であって、
少なくとも、前記記録層に光線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する光線照射系、あるいは前記記録層に電子線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する電子線照射系のいずれかを有することを特徴とする記録装置。
【請求項37】
少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する認証シートに情報データを記録する方法であって、
情報データを光の透過、不透過性を持つ記録マークとして前記記録層に、光線あるいは電子線を用いて描画あるいは一括投影することによって記録することを特徴とする記録方法。
【請求項1】
少なくとも1つ以上の第1のコア層と、
前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ、形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、
前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層と
を有することを特徴とする積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項2】
前記再生光が前記記録層を透過することによって、前記記録層上での前記記録マークの有無および位置が、光の明暗の有無および位置として再生されるように、前記記録データ用回折格子層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項3】
前記記録データ用回折格子層は、ホログラムとして機能することを特徴とする請求項1に記載の積層ホログラム情報記録媒体。
【請求項4】
前記記録層を挟んで前記第1のコア層および前記記録データ用回折格子層の反対側に設けられ、前記記録層を透過した光を反射する反射層をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項5】
少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、
前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層とを有し、
前記記録データ用回折格子層は、
情報データが、当該記録データ用回折格子層の形状あるいは屈折率変化あるいは消失による再生光の出射の有無よって情報を示す記録マークとして記録されるものである
ことを特徴とする積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項6】
前記第1のコア層の上側もしくは下側に配置される1つ以上の第2のコア層と、
前記第1のコア層と前記第2のコア層との間に設けられるクラッド層と、
前記第2のコア層の上面あるいは下面あるいは第2のコア層内に設けられ、形状または屈折率分布として情報データが記憶された1つ以上の回折格子層と
を有することを特徴とする請求項1または請求項5に記載の積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項7】
少なくとも、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層を有することを特徴とする積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項8】
形状あるいは屈折率分布により形成され、前記記録層を透過した光を所定の位置に結像させる記録データ用回折格子層をさらに有することを特徴とする請求項7に記載の積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項9】
前記記録層に隣接して、あるいは前記記録層にギャップ層を介して設けられた1つ以上の第2のコア層と、
前記第2のコア層の上面あるいは下面あるいは第2のコア層内に設けられ、形状または屈折率分布として情報データが記憶された1つ以上の回折格子層と
を有することを特徴とする請求項7に記載の積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項10】
少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する装置であって、
少なくとも、前記第1のコア層に入射光を入射させる光ヘッドと、
前記記録層を透過した光を検出する光検出器と
を有することを特徴とする再生装置。
【請求項11】
前記記録層を透過した光を反射する反射部をさらに有し、
前記光検出器は、前記記録層を透過した光を前記反射部を介して検出することを特徴とする請求項10に記載の再生装置。
【請求項12】
少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層とを有し、前記記録データ用回折格子層は情報データが、当該記録データ用回折格子層の形状あるいは屈折率変化あるいは消失による再生光の出射の有無よって情報を示す記録マークとして記録されるものである積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する装置であって、
少なくとも、前記第1のコア層に入射光を入射させる光ヘッドと、
前記記録データ用回折格子層から出射した再生光を検出する光検出器と
を有することを特徴とする再生装置。
【請求項13】
少なくとも、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層を有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する装置であって、
少なくとも、前記記録層に光を照射する光源と、
前記記録層を透過した光を検出する光検出器と
を有することを特徴とする再生装置。
【請求項14】
少なくとも、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層を有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する装置であって、
少なくとも、前記記録層に光を照射する光源と、
前記記録層が反射した光を再度反射し、結像させる結像光学系と、
前記結像光学系光が結像させた光を検出する光検出器と
を有することを特徴とする再生装置。
【請求項15】
少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する方法であって、
前記第1のコア層に入射光を入射させ、前記記録データ用回折格子層から出射される再生光を前記記録層を介して検出することにより、前記記録層における前記記録マークの有無に対応した光の明暗パターンとして、前記記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする再生方法。
【請求項16】
少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層とを有し、前記記録データ用回折格子層は情報データが、当該記録データ用回折格子層の形状あるいは屈折率変化あるいは消失による再生光の出射の有無よって情報を示す記録マークとして記録されるものである積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する方法であって、
前記第1のコア層に入射光を入射させ、前記記録データ用回折格子層から出射される再生光を検出することにより、前記記録データ用回折格子層における前記記録マークの有無に対応した光の明暗パターンとして、前記記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする再生方法。
【請求項17】
少なくとも、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層を有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する方法であって、
前記記録層に光を照射し、該照射した光を前記記録層を介して検出することにより、前記記録層における前記記録マークの有無に対応した光の明暗パターンとして、前記記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする再生方法。
【請求項18】
少なくとも、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層を有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する方法であって、
前記記録層に光を照射し、前記記録層が反射した光を検出することにより、前記記録層における前記記録マークの有無に対応した光の明暗パターンとして、前記記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする再生方法。
【請求項19】
少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に情報データを記録する記録装置であって、
少なくとも前記記録層に光線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する光線照射系、あるいは、記録層に電子線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する電子線照射系から構成されることを特徴とする記録装置。
【請求項20】
少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に情報データを記録する方法であって、
情報データを光の透過、不透通性を持つ記録マークとして前記記録層に、光線あるいは電子線を用いて、描画あるいは一括投影することによって記録することを特徴とする記録方法。
【請求項21】
少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体の製造方法であって、
前記記録層を露出した状態にて情報データを記録した後、別に形成した他の層を貼着して形成することを特徴とする積層ホログラム情報記憶媒体の製造方法。
【請求項22】
少なくとも、所定の位置に設けられた1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接してあるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ情報データが光の透過性、不透過性を持つ穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する装置であって、
前記第1のコア層が設けられた前記所定の位置を確認する手段と、
前記第1のコア層へ入射光を入射する光ヘッドと、
前記積層ホログラム情報記憶媒体の装着、あるいは、電源の投入を検知したとき、前記光ヘッドを前記所定の位置まで駆動する手段と、
前記記録層を透過した光を検出する光検出器とを有することを特徴とする再生装置。
【請求項23】
少なくとも、所定の位置に設けられた1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する積層ホログラム情報記憶媒体に記録された情報データを再生する方法であって、
前記第1のコア層が設けられた前記所定の位置を認識し、
前記積層ホログラム情報記憶媒体の装着、あるいは、電源の投入を検知したとき、前記第1のコア層へ入射光を入射させ、
前記記録データ用回折格子層から出射される再生光を前記記録層を介して検出することにより、前記記録層における前記記録マークの有無に対応した光の明暗パターンとして、前記記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする再生方法。
【請求項24】
コア層に入射された入射光を、形状あるいは屈折率分布により形成された回折格子層を介して再生光として出射する積層ホログラム情報記憶媒体と、前記再生光の一部を遮ることで多重記録されている前記記憶情報を分離再生させる開口マスクを備え前記入射光を照射して前記再生光を検出する再生装置と、によって構成される積層ホログラム情報記憶システムにおける積層ホログラム情報記憶媒体であって、
前記再生光を透過または不透過にする穴の有無、または前記再生光の透過率の大小により情報を表し、前記開口マスクの開口間隙に重ならない位置に設けられた記録マークを有する記録層と、
前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように形成された記録データ用回折格子層と、
を備えた積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項25】
コア層に入射された入射光を、形状あるいは屈折率分布により形成された回折格子層を介して再生光として出射する積層ホログラム情報記憶媒体と、前記入射光を照射して前記再生光を検出する再生装置と、によって構成される積層ホログラム情報記憶システムにおける積層ホログラム情報記憶媒体であって、
前記再生光を透過させない色彩を有する材料を一部に配置した吸収部とともに、前記吸収部以外の部分に前記再生光を透過または不透過にする穴の有無、または前記再生光の透過率の大小により情報を表す記録マークを配置した記録層と、
前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように形成された記録データ用回折格子層と、
を備えた積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項26】
コア層に入射された入射光を、形状あるいは屈折率分布により形成された回折格子層を介して再生光として出射する積層ホログラム情報記憶媒体と、前記入射光を照射して前記再生光を検出する再生装置と、によって構成される積層ホログラム情報記憶システムにおける積層ホログラム情報記憶媒体であって、
前記再生光を透過または不透過にする穴の有無、または前記再生光の透過率の大小により情報を表し、予め定められた前記再生装置上での前記再生光の明暗の有無及び位置に基づいて所定の規則により変換された位置に設けられた記録マークを有する記録層と、
前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記予め定められた前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように形成された記録データ用回折格子層と、
を備えた積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項27】
前記所定の規則は、
前記再生光の明暗の有無及び位置を上下あるいは左右反転、あるいは有無を反転、あるいは所定の距離だけ上下左右のいずれかにシフトさせた位置に前記記録マークを設ける規則であることを特徴とする請求項26に記載の積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項28】
前記所定の規則は、
前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が前記再生光の明暗の有無及び位置に対して一対多あるいは多対多あるいは多対一に対応するようにする規則であることを特徴とする請求項26に記載の積層ホログラム情報記憶媒体。
【請求項29】
コア層に入射された入射光を、形状あるいは屈折率分布により形成された回折格子層を介して再生光として出射し、前記再生光を透過または不透過にする穴の有無または前記再生光の透過率の大小により情報を表す記録マークを有する記録層を備えた積層ホログラム情報記憶媒体と、前記再生光の一部を遮ることで多重記録されている前記情報を分離再生させる開口マスクを備え前記入射光を照射して前記再生光を検出する再生装置と、によって構成される積層ホログラム情報記憶システムにおける積層ホログラム情報記憶媒体の設計方法であって、
前記開口マスクの開口間隙に重ならない位置に前記記録マークを設ける工程と、
前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように記録データ用回折格子層を形成する工程と、
からなることを特徴とする積層ホログラム情報記憶媒体の設計方法。
【請求項30】
コア層に入射された入射光を、形状あるいは屈折率分布により形成された回折格子層を介して再生光として出射し、前記再生光を透過させない色彩を有する材料を一部に配置した吸収部とともに、前記吸収部以外の部分に前記再生光を透過または不透過にする穴の有無、または前記再生光の透過率の大小により情報を表す記録マークを配置した記録層を備えた積層ホログラム情報記憶媒体と、前記入射光を照射して前記再生光を検出する再生装置と、によって構成される積層ホログラム情報記憶システムにおける積層ホログラム情報記憶媒体であって、
前記吸収部に重ならない位置に前記記録マークを設ける工程と、
前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように記録データ用回折格子層を形成する工程と、
からなることを特徴とする積層ホログラム情報記憶媒体の設計方法。
【請求項31】
コア層に入射された入射光を、形状あるいは屈折率分布により形成された回折格子層を介して再生光として出射し、前記再生光を透過または不透過にする穴の有無、または前記再生光の透過率の大小により情報を表す記録マークを有する記録層を備えた積層ホログラム情報記憶媒体と、前記入射光を照射して前記再生光を検出する再生装置と、によって構成される積層ホログラム情報記憶システムにおける積層ホログラム情報記憶媒体の設計方法であって、
予め定められた前記再生装置上での前記再生光の明暗の有無及び位置に基づいて所定の規則により変換された位置に前記記録マークを設ける工程と、
前記記録層上での前記記録マークの有無及び位置が、前記予め定められた前記再生光の明暗の有無及び位置として前記再生装置に再生されるように記録データ用回折格子層を形成する工程と、
からなることを特徴とする積層ホログラム情報記憶媒体の設計方法。
【請求項32】
少なくとも1つ以上の第1のコア層と、
前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ、形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、
前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層と
から構成されることを特徴とする認証シート。
【請求項33】
前記再生光が前記記録層を透過することによって、前記記録層上での前記記録マークの有無および位置が、光の明暗の有無および位置として再生されるように、前記記録データ用回折格子層が形成されていることを特徴とする請求項32に記載の認証シート。
【請求項34】
少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する認証シートに記録された情報データを再生する装置であって、
少なくとも、前記第1のコア層に入射光を入射させる光ヘッドと、
前記記録層を透過した光を検出する光検出器と
を有することを特徴とする再生装置。
【請求項35】
少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する認証シートに記録された情報データを再生する方法であって、
前記第1のコア層に入射光を入射させ、前記記録データ用回折格子層から出射される再生光を前記記録層を介して検出することにより、前記記録層における前記記録マークの有無に対応した光の明暗パターンとして前記記録層に記録された情報データを再生することを特徴とする再生方法。
【請求項36】
少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する認証シートに情報データを記録する装置であって、
少なくとも、前記記録層に光線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する光線照射系、あるいは前記記録層に電子線を照射し情報データを描画あるいは一括投影する電子線照射系のいずれかを有することを特徴とする記録装置。
【請求項37】
少なくとも、1つ以上の第1のコア層と、前記第1のコア層の上面あるいは下面あるいは前記第1のコア層内に設けられ形状あるいは屈折率分布により形成され再生光を出射する1つ以上の記録データ用回折格子層と、前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層に隣接して、あるいは前記第1のコア層あるいは前記記録データ用回折格子層にギャップ層を介して設けられ、情報データが光の透過性、不透過性を持つ、穴の有無または透過率の大小により情報を示す記録マークとして記録される1つ以上の記録層とを有する認証シートに情報データを記録する方法であって、
情報データを光の透過、不透過性を持つ記録マークとして前記記録層に、光線あるいは電子線を用いて描画あるいは一括投影することによって記録することを特徴とする記録方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
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【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
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【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
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【図37】
【図38】
【図39】
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【図42】
【図43】
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【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
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【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【国際公開番号】WO2005/057297
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【発行日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516173(P2005−516173)
【国際出願番号】PCT/JP2004/018400
【国際出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【発行日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【国際出願番号】PCT/JP2004/018400
【国際出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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