説明

積層体シート

【課題】消臭性、抗菌性、剛性に優れた積層体シートを提供する。
【解決手段】有臭物質の吸着作用物質を含む層と、該有臭物質を分解する光触媒を含む通気性シート層とが、積層一体化されていることを特徴とする積層体シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有臭物質の吸着層と分解層を積層一体化してなる積層体シートに関し、さらに詳しくは、吸着と分解が逐次的に行われる、消臭抗菌性に優れた積層体シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消臭フィルターに用いられる材料としては、光触媒と活性炭などの吸着剤を含有するフィルターが利用されており、例えば、空気清浄機用のフィルターとして、特許文献1〜3には、活性炭フィルターと、光触媒フィルターとをフィルター単位で組み合わせて配置するか、フィルター同士を積層したものが開示されている。このようなフィルターは、フィルター同士を組み合わせるか、積層したものであるため、嵩高なフィルターとなり、構造が全体的に大きくなるという問題がある。また、プリーツ加工などの成形加工性に劣り、プリーツ形状等への形態保持性が劣るなどの問題がある。
【0003】
特許文献4には、同一の繊維に、吸着剤と光触媒とを両方含有した消臭繊維が提案されている。この消臭繊維は、光照射の有無に係わらず消臭性能が得られるが、同一繊維に、吸着剤と光触媒とを両方含有されているので、用途に応じて、吸着剤と光触媒の混合割合を変更する場合など、両者の調合、処理方法が煩雑と成りやすく、また両者機能の発揮が充分ではなく、また、洗浄耐久性が低下しやすいなどの問題がある。
従って、吸着剤と光触媒の両者の機能を最大限に発揮できるフィルター、すなわち、1つのシートで両者の性能を効率的に発揮できるフィルターが要望されていた。
【特許文献1】特開昭63−315138号公報
【特許文献2】特開平10−85558号公報
【特許文献3】特開2003−53116号公報
【特許文献4】特許3215318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、上記従来の課題に対し、吸着能と分解能の両者の機能が充分に発揮でき、それらの相乗的な優れた効果を有し、しかも洗浄耐久性、消臭抗菌性能に優れた積層体シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記の従来技術の問題点に鑑み、吸着作用物質を含む層と、分解作用物質を含む層とが、積層一体化された積層体シートであって、この積層体シートでは吸着層と分解層を別の層として設け、全体として適度な通気性を有する積層体とすることにより、該シートを通過するガス中の消臭物質が一時的に吸着剤に吸着貯蔵されるという所謂ポケット的な作用と、有臭物質が吸着剤層で吸着されることにより、有臭成分の濃縮が行われ、その後、分解剤による急速な分解が効率的に行われ、それらの効果が合わさって、優れた消臭抗菌性能を有することを見出し、本発明に到達した。
【0006】
即ち、本発明は以下の通りである。
(1)有臭物質の吸着作用物質を含む層と、該有臭物質を分解する光触媒を含む通気性シート層とが、積層一体化されていることを特徴とする積層体シート。
(2)前記積層体の通気度が1〜350cc/cm2/secであることを特徴とする(1)に記載の積層体シート。
(3)前記吸着作用物質と光触媒との重量比が5〜300の範囲であることを特徴とする(1)に記載の積層体シート。
(4)前記吸着作用物質を含む層が、吸着剤とホットメルト樹脂からなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の積層体シート。
(5)前記通気性シートが熱可塑性合成繊維不織布層であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の積層体シート。
(6)光触媒を含む通気性シート層が、光触媒がバインダーにより担持された不織布シートであることを特徴とする(4)に記載の積層体シート。
(7)前記吸着作用物質を含む層と、前記光触媒を含む通気性シート層とが交互に多層配置されていることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の積層体シート。
(8)吸着作用物質及び/又は光触媒が、層単位毎で濃度勾配を有し、多層配置されていることを特徴とする(7)に記載の積層体シート。
(9)前記通気性シートに光触媒が0.1〜10g/m2の範囲で塗布されていることを特徴とする(1)記載の積層体シート。
(10)前記吸着剤と、ホットメルト樹脂との混合割合が0.3〜2であることを特徴とする(4)に記載の積層体シート。
(11)前記熱可塑性合成繊維不織布が、長繊維不織布または、ニードルパンチ加工した長繊維不織布であることを特徴とする(5)に記載の積層体シート。

(12)前記熱可塑性合成繊維不織布の少なくとも一方が、芯鞘構造の複合繊維からなることを特徴とする(5)または(11)に記載の積層体シート。
(13)(1)〜(12)のいずれかに記載の積層体シートを成形加工したことを特徴とする消臭抗菌成形体。
【発明の効果】
【0007】
本発明の積層体シートは、有臭物質の吸着作用物質を含む層(以下、単に吸着層と称することがある)と、有臭物質を分解する光触媒を含む通気性シート層(以下、単に分解層と称することがある)が各々独立して配置され、積層一体化されたものである。従って、例えば、消臭成分については、吸着層でまず吸着され、一時的に高濃度で貯蔵され、その後、分解層で急速に分解されるという、吸着と分解が2段階で各々並行して進行するため、両者の相乗効果が発揮され、優れた消臭効果が得られる。本発明では、吸着と分解が、同時的に進むため、吸着座が飽和状態となりにくく、一定の消臭が可能であり、半永続的な、連続的な消臭効果が期待できる。
また、有臭物質の吸着と分解の速度が相乗的に高められることから、高濃度の消臭成分も短時間で消臭分解でき、長寿命の消臭が期待できる。
【0008】
本発明においては、要求される用途、特性に合わせて、吸着剤量と分解剤量のバランスを変えることができるため、吸着と分解の速度バランスを考慮した、効率的な積層体シートを設計することができる。また、吸着層と分解層を多層化して配置することにより、消臭能力の向上、寿命の延長が期待される。さらに、吸着層及び/又は分解層の層単位で濃度勾配を持たせることにより、より効率的な作用効果が発揮される。また、不織布シートの組み合わせを変化させ、通気性の範囲を大きくコントロールすることができる。
また、本発明の積層シートは、抗菌効果を合わせて有する分解層を用いることにより、優れた抗菌性も合わせて発揮でき、更に、洗浄での性能低下も少なく、優れた洗浄耐久性をも有する。
従って、本発明の積層シートは、消臭や抗菌を必要とする各種の用途、例えば衛生資材、生活資材、インテリア内装、建屋資材、その他各種フィルター材等の用途に好適である。
【0009】
本発明の作用効果をまとめると以下のとおりである。
(1)有臭成分については、吸着層でまず吸着され、その後、分解層で分解されるという、吸着と分解が2段階で各々並行して進行するため、両者の相乗効果が発揮され、優れた消臭効果が得られる。
(2)本発明では、吸着と分解が、並行して進むため、吸着座が飽和状態となりにくく、一定の消臭が可能であり、半永続的な、連続的な消臭効果が期待できる。
(3) 吸着と分解の速度を高めることで、高濃度の消臭成分も短時間で消臭分解でき、長寿命の消臭が期待できる。
(4) 要求される用途特性に合わせて、吸着剤量と分解剤量の充填量を変えることができるため、吸着と分解の速度バランスを簡便に変更することができ、効率的な消臭、分解が期待できる。
(5) 吸着層と分解層を多層化して配置することが容易にでき、吸着層及び/又は分解層の層単位で濃度勾配を持たせることで、より効率的な消臭抗菌作用効果が発揮され、寿命が長くすることができる。
(6) 抗菌効果を合わせて有する分解層を用いることで、優れた抗菌性も合わせて発揮できる。更に、バインダーを用いた分解物質の担持方法を用いることで、洗浄での性能低下が少なく、優れた洗浄耐久性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明において、分解作用物質として光触媒含む通気性シート層としては、多孔質シートであればよいが、織物、編物、不織布などが好ましく、特に不織布は強度、通気性の観点から好ましい。
【0011】
本発明に用いる不織布としては、熱可塑性合成繊維不織布が好ましく、繊維径が1〜30μmの繊維を用いたスパンボンド法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法水柱交絡法などによる不織布が特に好ましい。
【0012】
該不織布の構成繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステルなどのポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66、共重合ポリアミド繊維などのポリアミド系繊維、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリエチレン、共重合ポリプロピレンなどのポリオレフイン系繊維などである。
【0013】
ポリエチレンテレフタレートにフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、アジピン酸、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオールの1種又は2種以上の化合物を共重合した芳香族ポリエステル共重合体、脂肪族ポリエステルなどのポリエステル系繊維等がある。
【0014】
複合繊維としては、芯鞘構造、サイドバイサイドなどの低融点成分を有する2成分からなる複合繊維、例えば、芯部が高融点であり、鞘部が低融点である複合繊維は、熱接着性の観点から好ましい。例えば、芯部がポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66、共重合ポリアミドなどの高融点繊維であり、鞘部が低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリエチレン、共重合ポリプロピレン、共重合ポリエステル(CO―PET)、脂肪族ポリエステルなどの低融点繊維である複合繊維を、単独又は、積層、混合して用いられる。特に、スパンボンド法のポリエステル長繊維不織布が、強度、剛性、プリーツ加工性などから好ましい。
【0015】
熱可塑性合成繊維不織布の少なくとも一方が、芯鞘構造の複合繊維不織布、高融点繊維と低融点繊維の積層不織布、高融点繊維と芯鞘構造の複合繊維不織布との、積層不織布などが好ましく用いられる。その理由は、積層体の製造時に加熱、加圧することで、低融点繊維とホットメルト樹脂の両面から軟化又は融解することにより接着に寄与でき、接着一体化が効果的に行うことができるからである。
【0016】
本発明の不織布の目付けは、15〜150g/m2が好ましく、より好ましくは、20〜100g/m2であり、目付けが15g/m2未満では、繊維間隙が大きくなり吸着剤などの粉漏れが生じやすくなり、強度が低下する。一方、150g/m2越えると、繊維間隙が小さくできるが、厚みが大きくなり、断熱性が大きくなるが、熱接着性、貼り合わせ加工性が低下する。
【0017】
本発明において、吸着作用物質と分解作用物質である光触媒の重量比は5〜300の範囲、好ましくは、10〜100の範囲である。重量比がこの範囲であると、吸着と分解の速度バランスが良好であり、吸着のポケット効果、濃縮効果、迅速な分解効果が得られる。
【0018】
本発明において、吸着作用物質を含む層が、吸着剤とホットメルト樹脂とからなることが好ましく、さらに吸着剤とホットメルト樹脂との混合物がより好ましく用いられる。各々の粒径範囲は、100〜1000μmが好ましく、ほぼ同一の粒径範囲を有するように、混合加工して用いることがより好ましい。
【0019】
積層体の一体化加工において、貼り合わせ性の観点から、吸着剤とホットメルト樹脂の粒径範囲、粒径を同程度にすることで、吸着剤が潰れることなく、樹脂による不織布層との接着性を維持したまま、吸着剤を中間層に比較的自由度の高い状態で保持でき、吸着剤の表面を被覆することなく、表面活性を有効に機能させることができる点で好ましい。
【0020】
更に、貼り合わせ加工性の点から、ホットメルト樹脂の融解性、量を選択することが好ましく、ホットメルト樹脂は、軟化し易いか、融解時の粘性(MI:メルトインデックス)が高いことが好ましい。
【0021】
本発明の吸着剤量は10〜300g/m2が好ましく、より好ましくは15〜200g/m2であり、特に好ましくは20〜100g/m2である。吸着剤がこの範囲にあると、接着性を損なうことなく、充分な吸着性を得ることができる。
【0022】
吸着剤とホットメルト樹脂との混合割合は、重量比で、0.3〜2が好ましく、より好ましくは、0.5〜1.6である。混合割合が、0.3未満では、吸着剤に対してホットメルト樹脂の量が多くなり、貼り合わせ加工性は良くなるが、ホットメルト樹脂が吸着剤を被覆するため、吸着性能が低下しやすい。吸着剤とホットメルト樹脂との混合割合が2を超えると、ホットメルト樹脂の割合がすくなく、貼り合わせ加工性が低下し易く、積層体が、剥離し易くなるなどの問題が生じやすい。
【0023】
本発明に用いられる吸着剤は、空気中の有臭物質に対し吸着機能を有するものであり、例えば多孔質粉体、または多孔質粉体に、化学吸着剤を固定化した粉体が好ましく用いられる。多孔質粉体として特に限定されないが、例えば、ヤシ殻、タール、樹脂等の焼成から得られる活性炭、塩基性、酸性、中性など化学処理した添着活性炭、ゼオライト、シリカゲル、活性白土、アルミナなどの物理的吸着・化学的吸着の機能を有する多孔質粉体又は粒状物の単体または混合物などの吸着剤から選ばれる。
【0024】
ホットメルト樹脂としては、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリエチレン共重合系、ポリプロイレン共重合系、エチレンー酢酸ビニル系、ポリエステル系、共重合ポリエステル系、ポリアミド系など、通常、接着芯地等の加工に使用される粒状又は粉末状ホットメルト樹脂が挙げられる。
【0025】
このホットメルト樹脂粉末の粒径は、40〜1000μmが好ましく、より好ましくは100〜1000μmとされる。溶融時の粘性を表すMI(メルトインデックス)値は、0.1〜30が好ましく、より好ましくは1〜20である。ホットメルト樹脂の粒径が、40μm未満ではホットメルト樹脂が空中に舞易くなり、吸湿剤への加工が困難となりやすい。また粒径が、1000μmを超えると、シート状物の2次加工性が低下する傾向という問題にある。
【0026】
本発明の積層体シートの目付けは、目的とする強度、通気性から50〜400g/m2、好ましくは、60〜350g/m2である。目付けが50g/m2未満では、剛性、強度が低下し、十分な加工性が得られないし、400g/m2越えると、剛性、強度が大きくなるが、通気性が低下する。
【0027】
本発明の積層体シートの通気性は、1〜350 cc/cm2/secが好ましく、より好ましくは1〜200 cc/cm2/sec、さらに好ましくは30〜150 cc/cm2/secである。このような通気範囲であると、有臭成分のシート内の移行が充分に行われ、吸着層での有臭成分の吸着が充分に行われ、消臭成分の貯蔵濃縮が充分に行われる。また、分解層での分解も、迅速に行われる。
【0028】
通気性が1cc/cm2/sec未満では、シート内への空気の流通が少なくなり、吸着速度が低下し、消臭効果が低下する。一方、通気性が350cc/cm2/secを超えると、空気の流通は十分であるが、有臭成分が通り抜けて、素通りしてしまい、吸着剤との接触機会が少なくなり、消臭成分の吸着層への貯蔵濃縮が不充分となり、消臭効果が低下する。
【0029】
本発明の積層体シートの剛軟度は、フィルター材に用いる場合、表面積を拡大させる目的で、プリーツ形状、筒形状などに成形加工され、フィルターユニットとなり、空気、水などの流速による形状保持が必要となるため、適切な剛性が要求される。剛軟度は、カンチレバー測定で、50mm以上が好ましく、より好ましくは70〜200mm、さらに好ましくは100〜200mmである。剛軟度が50mm未満では、剛性が不足しやすく、形状保持性が低下しやすい。
【0030】
本発明の積層体シートの少なくとも片面に、さらにプレフィルターを用いることにより、表面の汚れ状態が明らかになり、フィルター寿命をさらに長くすることができる。プレフィルターとしては、繊維径10〜30μm、繊維長30〜70mmのポリプロピレン短繊維、ポリエステル短繊維のニードルパンチ方式、サーマルボンド方式の不織布が好ましく用いられる。短繊維不織布の目付けは、50〜150gな/m2が好ましく、平均みかけ密度が0.01〜0.15g/cm3が好ましい。
【0031】
本発明の積層体シートは、吸着作用物質を含む層(A層)と、分解作用物質(光触媒)を含む層(B層)とが交互に多層配置されていることが好ましい。全体として層は、3層、5層、7層などが好ましく、表層が分解作用物質を含む層であることが好ましい。3層構造体では、中間に吸着作用物質を含む層が配置され、B1/A/B2の構成(1、2はそれぞれ1枚目、2枚目を意味する)となる。5層構造体では、B1/A1/B2/A2/B3、の配置が好ましく、7層構造体では、B1/A1/B2/A2/B3/A3/B4の配置が好ましい。
【0032】
このような配置において、吸着作用物質層及び/又は分解作用物質層が、層単位毎で濃度勾配を有した、多層配置されていることが好ましい。例えば、積層体の中心部分に高濃度領域を設定することもできるし、積層体の表層部分に高濃度領域を設定することもできる。
【0033】
これら各層の濃度又は重量設定は、用途分野の要求特性に応じて適宜設計される。
具体的な構成としては、例えば、B1(30g/m2)/A(80g/m2)/B2(30g/m2)の構成であれば、140g/m2の積層体となる。5層では、B1(20g)/A1(40g)/B2(15g)/A2(80g)/B3(20g)の場合、全体として175g/m2の積層体と成る。7層では、B1(20g)/A1(30g)/B2(10g)/A2(40g)/B3(10)/A3(60g)/B4(20g)では、全体として190g/m2の積層体となる。
【0034】
本発明において、有臭物質を分解する機能を有する光触媒を含む通気性シートは、該シートに、紫外線などの光線の照射により活性酸素を生成させ、多くの有臭物質を酸化分解する機能と、抗菌・殺菌作用を有する加工剤を塗布することによって得られる。
【0035】
具体的な加工剤として、例えば、硫化銅、硫化亜鉛などの硫化物、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タンク゛ステンなどの酸化物、金属カルコケ゛イナイトなどの単独又は2種以上組み合わせて使用される。光触媒剤としては、ゾルやゲル状で使用でき、また粉粒状で使用してもよい。光触媒の加工方法としては、ハロゲン化チタン、硫化チタンなどの金属イオンを含有する水溶液から水不溶性沈殿物を生成させる方法、金属アルコキシチタンから調製する方法、高温で酸化させる気相法などがあげられる。特に、繊維などの分解を抑制させる目的で、シリカ、アルミナーシリカ、ジルコニアまたはアパタイトなどの無機物質、多孔質物質に担持させるか、有機質のポリマー基材かバインダー樹脂で処理、又は被覆して、繊維の劣化を防止するため、直接接触しないようにして用いられる。
【0036】
次いで、通気性シートへの光触媒の担持においては、水などによる洗浄等の耐久性を向上させるために、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、メラミン系樹脂、フッソ樹脂などのバインダー樹脂が好ましく用いられる。具体的な加工方法としては、通気性シートである不織布の繊維表面において、親和性を付与させるため、バインダー樹脂処理を行ってから、光触媒の塗布加工を行うか、バインダー樹脂と光触媒の混合液を同浴で加工することもできる。塗布方法は、加工剤に浸漬、2本ロール間などの脱水、乾燥処理、含浸加工方式及び、グラビアロール方式、キスロール方式、スプレー方式などで行われる。
【0037】
光触媒の塗布量は、0.1〜10g/m2が好ましく、より好ましくは0.2〜5g/m2、特に好ましくは、0.3〜3g/m2である。塗布量が0.1g/m2未満では、少量の塗布であり、分解性が少なく、消臭・抗菌性が低下することもある。
【0038】
さらに、通気性シートである不織布の繊維表面を、バインダー樹脂膜で被覆することで、繊維表面が親和性となり、光触媒剤の担持性が向上できる。バインダー樹脂量は、繊維重量に対して、0.1wt%〜20wt%、好ましくは、0.5〜15wt%である。バインダー樹脂量が0.1wt%未満では、親和性が不足する。一方、20wt%を超えると、繊維同士の固定化が生じ、物性低下などの問題を生じやすい。
【0039】
特に、光触媒とバインダー樹脂の混合液を塗布する場合は、光触媒の特性を充分発揮させるために、バインダー樹脂の光触媒に対しての重量比が、0.01〜3.0が好ましく、より好ましくは、0.05〜2.5である。バインダー樹脂量が光触媒に対して3倍を超えると、光触媒が樹脂膜で被覆されやすく、光触媒の機能が極端に低下しやすい。
【0040】
本発明の積層体シートの製造方法の一例を説明する。
前記光触媒の塗布加工を施した熱可塑性合成繊維不織布の上に、ホモミキサー、回転型混合機など粉体混合機を用いて混合した吸着剤とホットメルト樹脂の混合粉体を、回転ブラシ及び振動などからなる粉体振り落とし装置で、粉体量10〜1000g/m2に調節して塗布させる。その上に、前記熱可塑性合成繊維不織布を重ねてから、ロール状またはベルト状の加熱装置で加熱、加圧させて貼り合わせられる。
【0041】
具体的には、金属ロール、金属製、ゴム製、織物製、不織布製などベルト状の加熱装置を用い、ホットメルト樹脂を軟化または融解させる条件を設定し、例えば、温度100〜220℃、圧力1〜100N/cm、時間1〜60秒で、吸着剤と通気性シートを積層体一体化される。
【0042】
本発明の積層体シートの消臭・抗菌作用について説明する。図1は、初期アンモニア200ppmという比較的高濃度のアンモニア条件において、後述の実施例に基づいて、放置時間に対するアンモニアの消臭効果をグラフ化したものである。吸着剤のみを用いた場合(A)では、30分後に45%のアンモニア残留率となるが、その後アンモニア吸着は飽和状態になり、その後のアンモニア消臭効果は見られない。光触媒層のみを用いた場合(B)においては、光触媒による消臭効果によりアンモニア濃度は低下するが、120分後でも約10%のアンモニア残留があり、充分な消臭効果とはいえない。本発明の実施態様である分解層(光触媒層)と吸着層を並存させた場合(C)、アンモニア消臭効果は顕著であり、アンモニア残留率は10分経過後で約10%、30分経過後で検出限界以下となる。
このように、本発明では優れたアンモニア消臭効果を有しており、吸着と分解が並行して進行し、吸着と分解の相乗効果が発揮され、優れた消臭効果を奏するものといえる。
【実施例】
【0043】
本発明を実施例に基づいて説明する。
測定方法は以下のとおりである。
(1)目付(g/m2):縦20cm×横25cmの試料を3カ所切り取り、重量を測定し、その平均値を単位当たりの質量に換算して求める。(JIS-L-1096)
(2)平均繊維径(μm):顕微鏡で500倍の拡大写真を取り、10本の平均値で求める。
(3)通気性:JIS-L-1096フラジュール法に準拠。
(4)剛軟度:JIS-L-1096カンチレバー法に準拠
(5)剥離性:加工後に剥離するか官能検査によって判定する。
○:手で剥離が困難なレベル ×:手で容易に剥離できる。
(6)消臭性:表中のNDは、検出限界(検知管の最低目盛未満)であったことを表す。
〈アンモニア〉NDは10ppm以下である。
試料5cm×10cm角を内容量1Lのテトラバック袋内に入れた後、200ppmになるよう
アンモニアガスを注入し、この袋を25℃に保ったインキュベーター内にて、間隔
40cmにて所定時間、紫外線ランプに照射してアンモニア濃度を測定して消臭性能を 測定した。
但し、紫外線ランプは、上記インキュベーター内に東芝ライテック社製FL10SBLBを 4本設置した。
測定結果は、初期のアンモニアガス濃度に対する残留アンモニアガス濃度の割合
(%)で表した。
(試料を入れない袋内アンモニア濃度の1時間後の残留濃度は190ppmであり、2時 間後の残留アンモニア濃度160ppmであった。)
〈アセトアルデヒド〉NDは1ppm以下。
試料5cm×10cm角を内容量1Lのテトラバック袋内に入れた後、20ppmになるようにア セトアルデヒドガスを注入し、この袋を25℃に保ったインキュベーター内にて、間 隔40cmで紫外線ランプに照射してアセトアルデヒド濃度を測定して消臭性能を測定 した。
測定結果は、初期のアセトアルデヒドガス濃度に対する残留アンモニアガス濃度の 割合で表した。
(試料を入れない袋内アセトアルデヒド濃度の1時間後の残留濃度は18ppmであっ た。)
(7)抗菌性:試料5cm×5cm角を用い、JIS-L-1902定量試験(菌液吸収法)に準拠する。
試験菌株:黄色ぶどう状球菌生菌数の測定法:混釈平板培養法
培養時間:18時間(培養中 紫外線強度0.1mV/cm2のUV照射を行った。)
結果は、静菌活性値で表した。静菌活性値2.2以上で抗菌効果ありと判 断される。
(8)洗浄後の消臭、抗菌性
洗浄条件として、浸漬法を採用した。試料5cm×10cm、200ccの容器に蒸留水100cc を入れ、試料を浸漬、乾燥し、この操作を5回繰り返した後 洗浄後の消臭性、抗 菌性を測定した。
【0044】
[実施例1]
通気性シートとして、スパンボンド法で、紡糸口金を用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET、融点263℃)を溶融紡糸して、平均繊径15μmのPETウエブを捕集ネット上に集積し、目付29g/m2の繊維ウエブとした後、圧着面積率が11%エンボスロールで熱圧着して一体化して熱可塑性合成繊維不織布を得た(不織布の通気度は、260cc/cm2/sec)。
得られた不織布に対し、酸化チタン系光触媒剤付与の加工を行った。光触媒剤としては、ライオン社製、商品名ライオナイトPC-541S 15%の水溶液を調合して浸漬、脱水、乾燥工程を経て、光触媒の担持シートB1層、B2層を得た(それぞれ、光触媒剤塗布量は1.0g/m2である )。
【0045】
次に、粒度75μm〜200μmに分留されたヤシ殻活性炭粉体の吸着剤と、粒度75μm〜200μmポリエチレン系ホットメルト剤(旭化成ケミカルズ社製、商品名サンフアインPAK融点80~35℃、MI値2.5)を、吸着剤量30g/m2とホットメルト接着剤量50g/m2(吸着剤量/接着剤量=0.6)となるように、回転型粉体混合機で混合した混合粉体を、粉体供給装置を用いて塗布量80g/m2になるように調節し、中間層A1とした。
【0046】
次いで、貼り合わせ加工においては、耐熱性のベルト状の加熱、加圧装置を用いて、担持シートB1の上に、混合粉体を塗布してから担持シートB2を重ねて、温度170℃の雰囲気中を通過させて接着一体化して、目付け140g/m2の積層体シートを得た。
【0047】
得られた積層体シートの消臭性、抗菌性の結果を表1に記載した。表1の結果から、本発明の積層体シートは、厚みが0.55mmでソフトであり、充分な通気性を有し、消臭性、抗菌性に優れ、不織布と不織布との剥離が起こらず、充分な積層一体化がなされていることが分った。
【0048】
[実施例2]
通気性シートとして、スパンボンド法で、紡糸口金を用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET、融点263℃)を溶融紡糸して、平均繊径12μmのPETウエブを捕集ネット上に集積した。 全体として、目付19g/m2の積層繊維ウエブとした後、圧着面積率が23%エンボスロールで熱圧着して一体化して熱可塑性合成繊維不織布を得た。(不織布の通気度は、280cc/cm2/sec)
得られた不織布に光触媒酸化チタンを加工した。光触媒剤付与加工としては、ライオン社製、商品名ライオナイトPC-541S 30%の水溶液を調合して浸漬、脱水、乾燥工程を経て、光触媒の担持シートB1層、B3層を得た。(光触媒剤塗布量1.3g/m2
次いで、中間部に複合不織布B2を用いた。複合不織布B2は、スパンボンド法で、2成分紡糸口金を用いて、鞘成分に低密度ポリエチレン(LDPE、融点115℃)、芯成分にポリエチレンテレフタレート(PET、融点263℃)を溶融紡糸して、平均繊径16μmの鞘芯型複合繊維ウエブ得てから、圧着面積率が12%エンボスロールで熱圧着して一体化して熱可塑性合成繊維不織布を得た。(目付け20g/m2、通気性 310cc/cm2/sec)
次に、粒度75μm〜200μmに分留されたヤシ殻活性炭粉体の吸着剤と、粒度75μm〜200μmポリエチレン系ホットメルト剤(旭化成ケミカルズ社製、商品名サンフアインPAK融点80~35℃、MI値2.5)を、吸着剤量10g/m2と接着剤量30g/m2(吸着剤量/接着剤量=0.3)となるように、回転型粉体混合機で混合した混合粉体を、粉体供給装置を用いて塗布量40g/m2になるように調節し、中間層A1とした。更に、中間層A2は、吸着剤量60g/m2と接着剤量50g/m2(吸着剤量/接着剤量=1.2)の混合粉体とし、塗布量110g/m2とした。
【0049】
次いで、貼り合わせ加工は、実施例1と同様に行ったが、2回に分けて接着した、第一ステップとして、B1、B2の2枚の不織布と、混合粉体A1を用いて貼り合わせしてから、第二ステップとして、B3の不織布に混合粉体A2を塗布して、B2が中間部になるように重ねて、加熱、加圧して接着一体化した。吸着層(A1A2)、分解層(B1B2)が交互に配置された多層構造の積層体シート(210g/m2)を得た。得られた本発明の多層構造積層体シートの消臭性、抗菌性の結果を表1に記載した。
【0050】
表1の結果から、本発明の積層体シートは、消臭性、抗菌性に優れ、不織布と不織布との剥離が起こらず複合不織布の十分な一体化がなされ、また目的とする通気性、剛性が得られたことが分った。
実施例1に比較して、多層化することで、消臭効果の寿命が延長できた。
【0051】
[実施例3]
通気性シートの目付けにおいて、B1層は目付け22g/m2にバインダー加工して23.5g/m2とし、さらに光触媒加工して、全体目付け25g/m2(不織布22g/m2、光触媒1.5g/m2、バインダー1.5g/m2)とし、B2層は目付け44g/m2 にバインダー加工して47g/m2とし、さらに光触媒加工して、全体目付け50g/m2(不織布44g/m2、光触媒3g/m2、バインダー3g/m2)とした以外は実施例1と同様にして熱可塑性合成繊維不織布を用いた。
次に、光触媒剤の担持性、耐久性を向上させる目的で、得られた不織布にバインダー加工してから、光触媒剤を付与した。不織布のバインダー加工としては、水溶性の樹脂に不織布を浸漬、脱水、乾燥処理した(加工剤は、大日本インキ工業社製アクリルエマルジョン、商品名ボンコートR-3380A 15%水溶液、バインダー樹脂量7wt%)。
【0052】
不織布への光触媒として、酸化チタンを加工した。光触媒剤付与加工としては、ライオン社製、商品名ライオナイトPC-541S 30%の水溶液を調合して浸漬、脱水、乾燥工程を経て、光触媒の担持シートB1層、B3層を得た。
次に、粒度75μm〜200μmに分留されたヤシ殻活性炭粉体の吸着剤と、粒度75μm〜200μmポリエチレン系ホットメルト剤(旭化成ケミカルズ社製、商品名サンフアインPAK融点80~35℃、MI値2.5)を、吸着剤量30g/m2と接着剤量50g/m2(吸着剤量/接着剤量=0.6)となるように、回転型粉体混合機で混合した混合粉体を、粉体供給装置を用いて塗布量80g/m2になるように調節し、中間層A1とした。
次いで、貼り合わせ加工は、耐熱性のベルト状の加熱、加圧装置を用いて、担持シートB1の上に、混合粉体を塗布した後、担持シートB2を重ねて、温度170℃の雰囲気中を通過させて接着一体化して、本発明の積層体を得た。得られた本発明の積層体シートの消臭性、抗菌性の結果を表1に記載した。
【0053】
表1の結果から、本発明の積層体は、消臭性、抗菌性に優れ、また不織布と不織布との剥離が起こらず、複合不織布の十分な一体化がなされ、目的とする通気性、剛性が得られたことが分った。
更に、繰り返し5回の水への浸漬乾燥しても、消臭抗菌性能の低下が少なく、洗浄耐久性に優れている積層体シートであった。
【0054】
[実施例4]
通気性シートとして、B1、B2、B3の熱可塑性合成繊維不織布を用い、光触媒剤とバインダーとの混合液を用いて、浸漬、脱水、乾燥処理を行って光触媒担持シートを得た。光触媒剤としては、太平化学産業社製光触媒アパタイト、商品名PHOTOHAP PCAP-L20の30%濃度に、バインダーとしては、大日本インキ工業社製水溶性アクリル樹脂、商品名ボンコート R-3380A 5%濃度の混合液を加工剤とした。
上記通気性シートにおいて、B1層、B2層は、それぞれ不織布目付け23g/m2に混合液を加工して光触媒1.5g/m2、バインダー0.5g/m2、全体目付け25g/m2とし、B3層は、不織布目付け46g/m2に混合液を加工して、光触媒3g/m2、バインダー1g/m2、全体目付け50g/m2とした。
【0055】
次いで、吸着剤(ヤシ殻活性炭)と、接着剤(ポリエチレン系ホットメルト樹脂)とを混合した粉体を用いてA1層、A2層とした。A1層は、吸着剤10g/m2、接着剤量30g/m2、塗布量40g/m2であり、A2層は、吸着剤50g/m2、接着剤50g/m2である。
【0056】
次に貼り合わせ加工は実施例2と同様に2回に分けて多層構造の積層体シートを得た。
第一ステップとして、B1、B2の2枚の不織布と、混合粉体A1を用いて貼り合わせ加工した後、B2の不織布に、混合粉体A2を塗布させて、B2不織布が中間部になるように重ねて、加熱、加圧して貼り合わせ加工で本発明の多層構造の積層体シートを得た(但し、貼り合わせ加工装置、及び温度は、実施例1と同様に行った)。得られた積層体シートの消臭性、抗菌性の結果を表1に示した。
【0057】
表1の結果から、本発明の積層体シートは、消臭性、抗菌性に優れ、不織布と不織布との剥離が起こらず、複合不織布の十分な一体化がなされ、目的とする通気性、剛性が得られたことが分った。
更に、水に浸漬しても消臭抗菌性能の低下が少なく、洗浄耐久性、寿命延長に優れていた。
【0058】
[比較例1]
実施例1の熱可塑性合成繊維不織布に光触媒加工を行わない以外は同様に行い複合シートを得た。複合シートの特性を表1に記載した。
表1の結果から、比較例1においては、複合シートのアンモニア消臭性が低く、120分経過後に約40%のアンモニアが残留し、アンモニアの消臭分解が不充分であり、また抗菌性も低いものとなった。
[比較例2]
実施例1で作成した光触媒加工の熱可塑性合成繊維不織布を用い、吸着剤の活性炭を使用しないで同様に貼り合わせ加工して複合シートとした。複合シートの特性を表1に記載した。
表1の結果から、得られたシートは抗菌性は得られたが、吸着剤がないため、消臭性の低いものであった。
【0059】
【表1】

【0060】
[実施例5]
実施例3の本発明の抗菌・消臭性シートを用いて空気清浄機用のフィルターユニットを作った。
厚み1.6mmの厚紙を用い、縦25cm×横35cmの外枠寸法で、山高さ25mm、ピッチ5mm、山の数70山のプリーツ加工した後、厚紙枠に取り付けた。外枠の折り返し10mm、両端及び上下の取り付けは接着剤を使用し、幅3cm、縦25cm、横35cmのフィルターユニットを作成した。
このフィルターユニットは、風速0.1〜2m/secで圧力損失を測定しても保形性に優れていた。圧力損失は、表2に示すように、風速が大きくなってもプリーツ形状が保持され、プリーツ先端部の接触による圧力損失の異常に高くなるなどの問題が生じなかった。また水洗いを行っても特性に優れた耐久性のあるフィルター材であった。
【0061】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の積層体シートは、吸着・分解機能による消臭性能に優れ、且つ、表面層が抗菌・殺菌性を有し、更に、洗浄での性能低下が少なく、優れた洗浄耐久性を有する。従って、生活資材用途、インテリア内装用途、建築資材用途、空気清浄機、除湿機などの各種フィルター材などの用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の積層体シートの消臭効果を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有臭物質の吸着作用物質を含む層と、該有臭物質を分解する光触媒を含む通気性シート層とが、積層一体化されていることを特徴とする積層体シート。
【請求項2】
前記積層体の通気度が1〜350cc/cm2/secであることを特徴とする請求項1に記載の積層体シート。
【請求項3】
前記吸着作用物質と光触媒との重量比が5〜300の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の積層体シート。
【請求項4】
前記吸着作用物質を含む層が、吸着剤とホットメルト樹脂からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体シート。
【請求項5】
前記通気性シートが熱可塑性合成繊維不織布層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層体シート。
【請求項6】
光触媒を含む通気性シート層が、光触媒がバインダーにより担持された不織布シートであることを特徴とする請求項4に記載の積層体シート。
【請求項7】
前記吸着作用物質を含む層と、前記光触媒を含む通気性シート層とが交互に多層配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層体シート。
【請求項8】
吸着作用物質及び/又は光触媒が、層単位毎で濃度勾配を有し、多層配置されていることを特徴とする請求項7に記載の積層体シート。
【請求項9】
前記通気性シートに光触媒が0.1〜10g/m2の範囲で塗布されていることを特徴とする請求項1記載の積層体シート。
【請求項10】
前記吸着剤と、ホットメルト樹脂との混合割合が0.3〜2であることを特徴とする請求項4に記載の積層体シート。
【請求項11】
前記熱可塑性合成繊維不織布が、長繊維不織布または、ニードルパンチ加工した長繊維不織布であることを特徴とする請求項5に記載の積層体シート。
【請求項12】
前記熱可塑性合成繊維不織布の少なくとも一方が、芯鞘構造の複合繊維からなることを特徴とする請求項5または11に記載の積層体シート。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の積層体シートを成形加工したことを特徴とする消臭抗菌成形体。

【図1】
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【公開番号】特開2008−104556(P2008−104556A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−288555(P2006−288555)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(303046303)旭化成せんい株式会社 (548)
【Fターム(参考)】