説明

積層体

【課題】クリアケースやクリアボックス等の組立品に好適に用いることのできる、接着性(特に長期間後の接着性)、耐スクラッチ性および透明性等を兼備した積層体を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂基材に0.005〜0.3g/mの塗膜を積層した積層体であって、塗膜の構成成分としてバインダー樹脂(A)および酸化スズ系化合物(B)を含有し、(A)100質量部に対して、(B)100〜10000質量部であることを特徴とする積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱可塑性樹脂を基材とする積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート等のフィルムやシートは透明性が高いため、これらを組み立てて適宜接着することでクリアケースやクリアボックス等に好適に使用されている。これらのフィルムやシートは、そのままでは基材表面の疎水性が高く、接着性や印刷性に劣るため、通常、その表面をコロナ放電処理して親水化し、濡れ性を高めることで接着性や印刷性を向上させている。
【0003】
コロナ放電処理は、基材の性質を損なうことなく表面を改質できるため、非常に有効な表面処理方法であるが、時間の経過とともに処理の効果が徐々に消失して表面状態が変化し、印刷が困難になる等の問題が生じたり、その時々の表面状態に適した接着剤、印刷インキを選ばなければならないなどの注意も必要であった。また、コロナ放電処理のみでは帯電防止性能が不十分であり、塵やほこりが付着するという問題があった。
【0004】
フィルムやシートのコロナ放電処理における上記の問題を解決するために、密着性に優れた塗工剤をプライマーとして表面に積層する方法が検討されている。本出願人らは特許文献1、2に帯電防止塗工剤を熱可塑性樹脂フィルム表面にコートした積層体を開示している。
【0005】
【特許文献1】特開2002−265860号公報
【特許文献2】特開2003−268164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、2のように、塗工剤を塗布して得られた積層体は、上記した長期間の印刷性を解決するほか、塗工後の耐ブロッキング性も良好であるが、一方で、フィルムやシートのコロナ処理表面に比べて、透明性、接着性(特に長期間の性能)、耐スクラッチ性(表面に傷がつきにくい性質)に劣る等の問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、熱可塑性基材に特定組成かつ特定量の塗膜を設けることで、塗膜の耐スクラッチ性や接着剤による接着性が飛躍的に向上し、また透明性も改善するという予想もつかない効果を見出し、上記課題が全て一度に解決されることを見出した。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)熱可塑性樹脂基材に0.005〜0.3g/mの塗膜を積層した積層体であって、塗膜の構成成分としてバインダー樹脂(A)および酸化スズ系化合物(B)を含有し、(A)100質量部に対して、(B)100〜10000質量部であることを特徴とする積層体。
(2)さらに架橋剤成分(C)を含有し、(A)100質量部に対して(C)100質量部以下であることを特徴とする(1)記載の積層体。
(3)バインダー樹脂(A)が、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする(1)または(2)記載の積層体。
(4)架橋剤成分(C)がオキサゾリン基含有化合物であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の積層体。
(5)さらに、ワックス、シリコーン系化合物、脂肪酸アミド化合物、脂肪酸金属塩化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の積層体。
(6)熱可塑性樹脂基材が熱可塑性樹脂フィルムまたはシートであって積層体のヘイズが10%以下である(1)〜(5)のいずれかに記載の積層体。
(7)熱可塑性樹脂基材がポリオレフィン樹脂系フィルムまたはシートであって、かつ、バインダー樹脂(A)がポリオレフィン樹脂であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の積層体。
(8)熱可塑性樹脂基材がポリエステル樹脂系フィルムまたはシートであって、かつ、バインダー樹脂(A)がポリエステル樹脂であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の積層体。
(9)(1)〜(8)のいずれかに記載の積層体から形成される組立品。
(10)(1)〜(8)のいずれかに記載の積層体から形成されるクリアケースまたはクリアボックス。
【発明の効果】
【0008】
本発明の積層体は、接着性(特に長期間後の接着性)、耐スクラッチ性に優れており、しかも透明性も従来の積層体に比べて向上している。このため、接着してクリアケースやクリアボックス等の組立品に好適に用いることができ、キズが付き難いので美観の低下が小さく、商品価値を損なうことも少ない。
【0009】
また、塗膜の基材密着性、塗工面同士の耐ブロッキング性、滑り性、帯電防止性能が維持されているため、ロールで巻き取ったり積載して保存でき、塵やほこりの付着も抑えることができる。
【0010】
さらに、接着性と印刷性の特性はいずれも長期間持続するので、長期の保管後や船便での輸出後にも良好に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明においては、塗膜の塗工量は0.005〜0.3g/mとする必要があり、0.008〜0.2g/mが好ましく、0.008〜0.1g/mがより好ましく、0.01〜0.08g/mがさらに好ましく、0.015〜0.06g/mが特に好ましい。積層量が0.3g/mを超えると塗膜の耐スクラッチ性が悪化し、透明性、基材密着性、耐ブロッキング性が低下する。積層量が0.005g/m未満では均一に積層することが困難になり帯電防止性能が悪化する。帯電防止性能は表面固有抵抗値で評価することができ、塵やほこり等の付着を抑える点から、この値が1014Ω/□未満であれば実用上好ましい。
【0013】
本発明に使用するバインダー樹脂(A)としては、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂等が挙げられ、これらを混合して用いてもよい。バインダー樹脂は、後述する熱可塑性樹脂基材と同種類の樹脂を主成分とすることが密着性の点から好ましい。例えば、基材がポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂の場合にはバインダー樹脂としてポリオレフィン樹脂を用い、基材がポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂の場合にはバインダー樹脂としてポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
【0014】
バインダー樹脂(A)としてのポリオレフィン樹脂は、塗膜の耐水性や基材との密着性の点から不飽和カルボン酸成分(A1)を0.1〜25質量%含有していることが好ましく、0.5〜15質量%がより好ましく、1〜8質量%がさらに好ましく、1〜5質量%が特に好ましい。(A1)成分は、不飽和カルボン酸や、その無水物により導入され、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、特にアクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。また、不飽和カルボン酸成分(A1)は、ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
【0015】
ポリオレフィン樹脂のオレフィン成分(A2)としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜6のアルケンが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。この中で、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のアルケンがより好ましく、特にエチレンが好ましい。オレフィン成分の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。オレフィン成分の含有量が50質量%未満では、基材密着性や耐水性等のポリオレフィン樹脂由来の特性が失われてしまう。
【0016】
ポリオレフィン樹脂中には、基材、特にポリプロピレン等のポリオレフィン基材との密着性を向上させる点から、(メタ)アクリル酸エステル成分(A3)を含有していることが好ましい。(A3)成分の含有量は、0.5〜40質量%であることが好ましく、様々な熱可塑性樹脂フィルム基材との良好な接着性を持たせるために、この範囲は1〜35質量%であることがより好ましく、3〜30質量%であることがさらに好ましく、5〜25質量%であることが特に好ましく、10〜25質量%であることが最も好ましい。(A3)成分の比率が1質量%未満では、基材フィルムとの接着性が低下する恐れがある。一方、(A3)成分の含有量が40質量%を超えてもオレフィン由来の樹脂の性質が失われ、基材との密着性が低下する恐れがある。(メタ)アクリル酸エステル(A3)成分としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物が挙げられ、中でも入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物が好ましい。そのような化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの混合物を用いてもよい。この中で、基材フィルムとの接着性の点から、(メタ)アクリル酸メチル(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルがより好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルがより好ましく、アクリル酸エチルが特に好ましい。(なお、「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜またはメタクリル酸〜」を意味する。)
【0017】
また、上記成分以外に他の成分をポリオレフィン樹脂全体の10質量%以下程度、含有していてもよい。他の成分としては、1−オクテン、ノルボルネン類等の炭素数6を超えるアルケン類やジエン類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類ならびにビニルエステル類を塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、置換スチレン、一酸化炭素、二酸化硫黄などが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。
【0018】
ポリオレフィン樹脂の具体例としては、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−無水マレイン酸共重合体、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン、酸変性エチレン−プロピレン樹脂、酸変性エチレン−ブテン樹脂、酸変性プロピレン−ブテン樹脂、酸変性エチレン−プロピレン−ブテン樹脂、あるいはこれらの酸変性樹脂にさらにアクリル酸エステル等でアクリル変性したもの等が挙げられる。なお、酸変性とは、無水マレイン酸、マレイン酸、無水イタコン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸によって変性(具体的には、グラフト変性)されたものである。共重合体の形態はランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれでもよい。上記の中でも、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体が好ましい。
【0019】
本発明において、ポリオレフィン樹脂は、分子量の目安となる190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが、通常0.01〜5000g/10分、好ましくは0.1〜1000g/10分、より好ましくは1〜500g/10分、さらに好ましくは2〜300g/10分、特に好ましくは2〜200g/10分のものを用いることができる。ポリオレフィン樹脂(A)のメルトフローレートが0.01g/10分未満では、基材との密着性が低下する。一方、ポリオレフィン樹脂のメルトフローレートが5000g/10分を超えると、塗膜は硬くてもろくなり、耐水性や基材フィルムとの密着性が低下してしまう。
【0020】
ポリオレフィン樹脂の合成法は特に限定されず、一般的には、ポリオレフィン樹脂を構成するモノマーをラジカル発生剤の存在下、高圧ラジカル共重合して得られる。
【0021】
さらに、ポリオレフィン樹脂は5〜40質量%の範囲で塩素化されていてもよい。
【0022】
バインダー樹脂(A)としてのポリエステル樹脂は、酸成分とアルコール成分から構成されるものである。なお、重合法については特に限定されず、常法により適宜行えばよい。
【0023】
ポリエステル樹脂の酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、水添ダイマー酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、ダイマー酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸及びその無水物、テトラヒドロフタル酸及びその無水物等を例示できる。また、必要に応じて塗膜の耐水性を損なわない範囲で、少量の5‐ナトリウムスルホイソフタル酸や5‐ヒドロキシイソフタル酸等も酸成分として用いることができる。
【0024】
上記した酸成分の中でも、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等の芳香族多塩基酸が好ましく、この割合を全酸成分の50モル%以上とすることが好ましく、70モル%以上が特に好ましい。芳香族多塩基酸の割合を増すことにより、脂肪族や脂環式のエステル結合よりも加水分解され難い芳香族エステル結合が樹脂骨格に占める割合が増すため、塗膜の硬度、耐水性など向上する。
【0025】
さらに、樹脂塗膜の諸性能とバランスをとりながらその加工性、硬度、耐水性、耐溶剤性、耐候性等を向上させることができる点において、テレフタル酸とイソフタル酸が好ましく、テレフタル酸が特に好ましい。
【0026】
また、酸成分として、3官能以上の多塩基酸、例えばトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水べンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等が含まれていてもよい。このとき、樹脂塗膜の加工性を良好に保つ点において、ポリエステル樹脂の酸成分に占める3官能以上の多塩基酸の割合としては、10モル%以下が好ましく、8モル%以下がより好ましく、5モル%以下が特に好ましい。
【0027】
ポリエステル樹脂のアルコール成分としては、炭素数が好ましくは2〜10の脂肪族グリコール、炭素数が好ましくは6〜12の脂環式グリコール、エーテル結合含有グリコール等がある。そのような脂肪族グリコールの例としては、エチレングリコール、1,2‐プロパンジオール、1,3‐プロパンジオール、1,4‐ブタンジオール、2‐メチル−1,3‐プロパンジオール、1,5‐ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6‐ヘキサンジオール、3‐メチル‐1,5‐ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル‐2‐ブチルプロパンジオール等が挙げられ、脂環式グリコールの例としては、1,4−シクロヘキサンジメタノールが挙げられ、エーテル結合含有グリコールの例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。
【0028】
なお、エーテル構造が多くなるとポリエステル樹脂の耐水性、耐候性を低下させる場合があるので、エーテル結合含有グリコールの使用量としては、樹脂塗膜の耐水性や耐候性が損なわれない範囲にとどめることが好ましい。
【0029】
また、ビスフェノール類の2つのフェノール性水酸基にエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドをそれぞれ1〜数モル付加して得られるグリコール類(例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなど)、さらには、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等もアルコール成分として使用することができる。
【0030】
上記したアルコール成分の中でも、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、エチレングリコールの3種が特に好ましく使用できる。「1,2−プロパンジオールとエチレングリコール」、または「ネオペンチルグリコールとエチレングリコール」とを主成分として使用することが好ましい。また、3種を併用することもできる。エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオールは工業的に多量に生産されているので安価であり、しかも樹脂塗膜の諸性能にバランスがとれ、エチレングリコールは特に樹脂塗膜の耐薬品性を向上させ、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオールは特に樹脂塗膜の耐候性を向上させるという長所を有する。
【0031】
ポリエステル樹脂のアルコール成分に占める1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール及びエチレングリコールの合計の割合としては、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、70モル%以上が特に好ましい。この際、上記3種アルコール成分の合計量の10〜65モル%がエチレングリコールであることが好ましい。
【0032】
また、アルコール成分としては、3官能以上の多価アルコール、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が含まれていてもよい。このとき、樹脂塗膜の加工性を良好に保つ点において、ポリエステル樹脂のアルコール成分に占める3官能以上の多価アルコールの割合としては、10モル%以下が好ましく、8モル%以下がより好ましく、5モル%以下が特に好ましい。
【0033】
ポリエステル樹脂には、必要に応じて、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の脂肪酸やそのエステル形成性誘導体、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、4−ヒドロキシフェニルステアリン酸等の高沸点のモノカルボン酸、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール等の高沸点のモノアルコール、ε−カプロラクトン、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸が共重合されていてもよい。
【0034】
ポリエステル樹脂としては、酸化スズ系化合物との混合性を良好にする点から20〜700(当量/トン)の陰イオン性基を有していることが好ましく、さらに好ましくは70〜530(当量/トン)であり、特に好ましくは140〜350(当量/トン)である。陰イオン性基とは、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基等の塩基性化合物と塩を形成できる官能基であり、好ましくは、カルボキシル基、スルホン酸基であり、カルボキシル基が最も好ましい。
【0035】
また、ポリエステル樹脂の重量平均分子量としては、4000以上が好ましく、6000以上がさらに好ましく、9000以上が特に好ましい。重量平均分子量が4000未満では、樹脂塗膜の耐水性や基材との密着性が不足する傾向がある。
【0036】
バインダー樹脂(A)としてのポリウレタン樹脂とは、主鎖中にウレタン結合を含有する高分子であり、例えばポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応で得られるものである。ポリウレタン樹脂の構造は特に限定されないが、酸化スズ系化合物との混合性を良好にする点から陰イオン性基を有していることが好ましい。陰イオン性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基などである。この中でもカルボキシル基を有していることが好ましい。
【0037】
ポリウレタン樹脂を構成するポリオール成分としては、特に限定されず、例えば、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの低分子量グリコール類、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの低分子量ポリオール類、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド単位を有するポリオール化合物、ポリエーテルジオール類、ポリエステルジオール類などの高分子量ジオール類、ビスフェノールAやビスフェノールFなどのビスフェノール類、ダイマー酸のカルボキシル基を水酸基に転化したダイマージオール等が挙げられる。
【0038】
また、ポリイソシアネート成分としては、芳香族、脂肪族および脂環族の公知ジイソシアネート類の1種または2種以上の混合物を用いることができる。ジイソシアネート類の具体例としては、トリレンジジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジメリールジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート、およびこれらのアダクト体、ビウレット体、イソシアヌレート体などが挙げられる。また、ジイソシアネート類にはトリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどの3官能以上のポリイソシアネート類を用いてもよい。
【0039】
また、ポリウレタン樹脂に陰イオン性基を導入するには、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基などを有するポリオール成分を用いればよく、カルボキシル基を有するポリオール化合物としては、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ジヒドロキシエチルグリシン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシル−プロピオンアミド等が挙げられる。
【0040】
アクリル樹脂、ビニル樹脂としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド、スチレン、置換スチレン、ジビニルベンゼン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル等のビニル化合物をラジカル重合して得られる樹脂が挙げられる。
【0041】
本発明における酸化スズ系化合物(B)の具体例としては、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化スズ、酸化スズドープインジウム、アルミニウムドープ酸化スズ、タングステンドープ酸化スズ、酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズの複合体、酸化チタン−酸化スズの複合体などが挙げられ、それらの溶媒和物や配位化合物も用いることができる。なかでも導電性などの性能に優れ、かつ前記性能とコストのバランスのとれた酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、酸化スズドープインジウムおよびそれらの溶媒和物や配位化合物が好ましく用いられる。
【0042】
上記の酸化スズ系化合物(B)の製造方法は特に限定されないが、例えば、金属スズやスズ化合物を加水分解または熱加水分解する方法、スズイオンを含む酸性溶液をアルカリ加水分解する方法、スズイオンを含む溶液をイオン交換膜やイオン交換樹脂によりイオン交換する方法など何れの方法も用いることができる。
【0043】
また、酸化スズ系化合物のゾルは市販のものを使用することもできる。例えば、酸化スズ水分散体としては、山中化学工業社製EPS−6、アンチモンドープ酸化スズ系水分散体としては、石原産業社製SN100D、酸化スズドープインジウムとしては、シーアイ化成社製ITOなどがある。
【0044】
酸化スズ系化合物(B)の量は、バインダー樹脂(A)100質量部に対して、100〜10000質量部である必要があり、200〜5000質量部が好ましく、400〜3000質量部がより好ましく、500〜2000質量部がさらに好ましい。(B)が100質量部未満では、耐ブロッキング性、塗膜の耐溶剤性、帯電防止性能等が低下する傾向にあり、10000質量部を超えると基材との密着性、接着剤の接着性が低下する傾向がある。
【0045】
塗膜の耐スクラッチ性、接着剤の接着性などの各種の塗膜性能をさらに向上させるために、架橋剤(C)を添加することが好ましい。その添加量は、バインダー樹脂(A)100質量部に対して100質量部以下であることが好ましく、その添加量は0.1〜80質量部がより好ましく、5〜80質量部がさらに好ましく、10〜70質量部が特に好ましい。架橋剤の添加量が100質量部を超える場合には、基材との密着性や接着剤による接着性が低下することがある。架橋剤としては、自己架橋性を有する架橋剤、カルボキシル基と反応する官能基を分子内に複数個有する化合物、多価の配位座を有する金属錯体等を用いることができ、このうちイソシアネート化合物、メラミン化合物、尿素化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、ジルコニウム塩化合物、シランカップリング剤等が好ましい。また、これらの架橋剤を組み合わせて使用しても良い。中でも、比較的、低温で塗膜性能を向上できる点から、イソシアネート化合物、オキサゾリン基含有化合物が好ましく、オキサゾリン基含有化合物がより好ましい。
【0046】
さらに塗膜構成成分として、ワックス、シリコーン系化合物、脂肪酸アミド化合物、脂肪酸金属塩化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。これらを含有することで塗膜の滑り性が向上し、耐スクラッチ性などの性能が向上する。ワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろうなどの植物ワックス、セラックワックス、ラノリンワックスなどの動物ワックス、モンタンワックス、オゾケライトなどの鉱物ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等を例示することができる。シリコーン系化合物としては、分子内にケイ素−酸素結合(シロキサン結合)を有し、ケイ素原子の側鎖に有機基が結合した化合物であり、例えばアルキルメトキシシラン化合物、アルキルエトキシシラン化合物等が挙げられる。脂肪酸アミド化合物としては、ステアリン酸アミド、ビスステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等が挙げられ、脂肪酸金属塩化合物としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
【0047】
また塗膜の耐水性や基材との密着性の点から、塗膜中の界面活性剤(カチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、あるいは両性乳化剤)や保護コロイド化合物などの不揮発性化合物の含有量はバインダー樹脂100質量部あたり5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下がより好ましく、1質量部以下がさらに好ましく、添加しないことが最も好ましい。このような化合物は乾燥後も塗膜中に残存し、経時的に塗膜性能を低下させてしまう恐れがあるからである。
【0048】
本発明に用いる基材としては、熱可塑性樹脂からなる基材であれば特に限定されることはなく、例えば、熱可塑性樹脂からなる成形体、フィルム、シート、合成紙などが挙げられる。塗膜性能を十分に発揮させる点から、基材のヘイズは10%以下、より好ましくは5%以下の熱可塑性樹脂フィルムまたはシート(以下、フィルム等)を用いることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(以下、PET)、A−PET、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂またはそれらの混合物が挙げられる。フィルム等として前記樹脂からなるフィルム等単体またはフィルム等の積層体が挙げられる。これらの中で、クリアケース用に好適なものは、ポリオレフィン樹脂またはポリエステル樹脂である。基材フィルム等の厚みは特に限定されず、通常、1〜10000μmの範囲であればよく、10〜1000μmであればさらによい。さらに上記可塑性樹脂フィルム等はコロナ放電処理やプラズマ処理等の表面処理を施されていてもよく、後述する塗工液の塗工性が良好になる点から上記表面処理が施されていることが好ましい。
【0049】
また、本発明の塗膜は、上記熱可塑性樹脂フィルム等の少なくとも片面に積層されていればよい。
【0050】
塗膜を基材上に形成して積層体とする方法としては、例えば、塗膜構成成分を液状媒体に溶解または分散した塗工液を基材に塗布、乾燥する方法が挙げられる。中でも、揮発性有機化合物(VOC)を低減させる点(環境面)や塗工液の安定性の点から、液状媒体は、水性媒体が好ましい。水性媒体とは、水または水と水溶性の有機溶剤との混合溶媒であり、後述する塩基性化合物を含有していてもよい。塗工液としては、塗膜構成成分を水性媒体に分散または溶解した、いわゆる水性分散体を使用することが最も好ましい。こうした塗工液は、バインダー樹脂(A)の水性分散体および酸化スズ系化合物(B)のゾルを所定の割合で混合することで得ることができる。架橋剤成分(C)を用いる場合には、さらに架橋剤またはその水性分散体を混合する。
【0051】
水性分散体中におけるバインダー樹脂(A)の数平均粒子径は200nm以下が好ましく、より好ましくは150nm以下、さらに好ましくは100nm以下のものが好ましい。体積平均粒子径は500nm以下であるものが好ましく、300nm以下であるものがより好ましく、200nm以下であるものがさらに好ましい。バインダー樹脂(A)の数平均粒子径が200nmを超えたり、体積平均粒子径が500nmを超えると、薄い塗膜を均一に形成することが困難になるばかりでなく、塗膜の透明性が低下や基材との密着性が低下することがある。
【0052】
酸化スズ系化合物の数平均粒子径は、50nm以下が好ましく、より好ましくは30nm以下、さらに好ましくは20nm以下のものが好ましい。体積平均粒子径は200nm以下であるものが好ましく、50nm以下であるものがより好ましく、20nm以下であるものがさらに好ましい。酸化スズ系化合物の数平均粒子径が50nmを超えたり、体積平均粒子径が200nmを超えると、薄い塗膜を均一に形成することが困難になるばかりでなく、塗膜の透明性が低下や基材との密着性が低下することがある。
【0053】
上記した、バインダー樹脂(A)や酸化スズ系化合物(B)の数平均粒子径および体積平均粒子径は、動的光散乱法によって測定される。
【0054】
水性媒体の成分として用いられる水溶性の有機溶剤は、20℃における水に対する溶解性が50g/L以上のものが好ましく、その具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられ、液の安定性や低温乾燥性の点からメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールが特に好ましい。
【0055】
水性媒体の成分として用いられる塩基性化合物としては、塗膜形成時に揮発するアンモニアまたは有機アミン化合物が塗膜の耐水性の面から好ましく、中でも沸点が30〜250℃の有機アミン化合物が好ましく、さらに好ましくは50〜200℃の有機アミン化合物である。沸点が30℃未満の場合は、取り扱いが困難になる。沸点が250℃を超えると樹脂塗膜から乾燥によって有機アミン化合物を飛散させることが困難になり、塗膜の耐水性が悪化する場合がある。前述したバインダー樹脂の陰イオン性基は、これらの塩基性化合物で中和されていることが好ましい。
【0056】
有機アミン化合物の具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等を挙げることができる。塩基性化合物の添加量は樹脂中の陰イオン性基に対して0.5〜3.0倍当量であることが好ましく、0.8〜2.5倍当量がより好ましく、1.01〜2.0倍当量が特に好ましい。0.5倍当量未満では、塩基性化合物の添加効果が認められず、3.0倍当量を超えると塗膜形成時の乾燥時間が長くなる。
【0057】
本発明に用いる塗工液の固形分濃度は積層する塗膜量によって適宜決めればよく、通常0.01〜20質量%であり、透明で均一な塗膜を形成させる点から、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
【0058】
バインダー樹脂(A)の水性分散体を得る方法は特に限定されず、市販されているものを使用してもよく、樹脂を入手してそれを分散する方法やモノマーを水性媒体中で重合して得ることができる。
【0059】
塗工方法としては、例えば、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等により各種基材フィルム等の表面に均一にコーティングし、必要に応じて室温付近でセッティングした後、乾燥処理に供することにより、均一な樹脂塗膜を各種基材フィルム等の表面に密着させて形成することができる。このときの加熱装置としては、通常の熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーター等を使用すればよい。また、加熱温度や加熱時間としては、被コーティング物である基材フィルム等の特性により適宜選択されるものであるが、経済性を考慮した場合、加熱温度としては、10℃〜フィルム等の樹脂の融点までが好ましく、20℃〜フィルム等の樹脂の融点までがより好ましく、30℃〜フィルム等の樹脂が特に好ましく、加熱時間としては、1秒〜20分が好ましく、5秒〜15分がより好ましく、10秒〜10分が特に好ましい。
【0060】
こうして得られた積層体は、例えば、クリアケース、クリアボックス等の組立品;包装材料;磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録材料;電子材料;グラフィックフィルム;製版フィルム;OHPフィルム等の用途に使用することができ、特に、クリアケースやクリアボックス等の組立品には好適である。組立品を形成する方法としては、例えば、フィルムやシートの形状の積層体を箱型になるように折り目をつけ、シアノアクリレート系やホットメルト系の接着剤を用いて箱型に形成する。本発明の積層体は透明性が高いため、箱の中の商品を入れ、陳列させて使用する(中が見えるので商品を確認することができる)こともできる。また、積層体の一部に印刷を施してもよい。
【実施例】
【0061】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、基材フィルムとしては、A−PETフィルム(三菱化学社製、厚み200μm)(以下、AP)またはPPフィルム(厚み300μm、出光ユニテック社製スーパーピュアレイ)(以下、SP)を用いた。なお、各種評価は塗工フィルムを温度23℃、湿度65%雰囲気下で1日放置後に実施した。
【0062】
(1)塗膜量(塗工量)
あらかじめ面積と質量を計測した基材に本発明の塗工液を所定量、塗工し、60℃で2分間、乾燥した。得られた積層体の質量を測定し、塗工前の基材の質量を差し引くことで塗膜量を求めた。塗工量と塗工面積から単位面積当りの塗膜量(g/m)を計算した。
【0063】
(2)ヘイズ
JIS−K7361−1に基づいて、濁度計(日本電色工業株式会社製、NDH2000)を用いて、塗工フィルム(積層体)のヘイズ測定を行った。ただし、この評価値は、各実施例で用いた基材フィルムの濁度(AP:0.72%、SP:3.1%)を含んでいる。
【0064】
(3)耐溶剤性
塗工フィルムの塗膜面をn−ヘプタンを染込ませた布で10回擦り、塗膜表面の状態を以下のように評価した。
○:変化なし
△:やや白化
×:白化
【0065】
(4)帯電防止特性
JIS−K6911に基づいて、株式会社アドバンテスト製デジタル超高抵抗/微少電流計、R8340を用いて、塗工フィルム(積層体)の塗膜の表面固有抵抗値を次の3つの条件下で測定して、それぞれについて評価した。
【0066】
(4−a)標準特性評価
温度23℃、湿度65%雰囲気下で測定した。
【0067】
(4−b)耐流水性評価
塗工フィルムを流水中に60秒間さらした後、3−aと同一条件で測定した。
【0068】
(4−c)耐温水性評価
塗工フィルムを40℃の温水中に24時間浸した後、3−aと同一条件で測定した。
【0069】
(5)密着性
基材フィルムと塗膜との密着性をJIS K5400記載のクロスカット法によるテープ剥離(碁盤目試験)により評価した。クロスカットにより、塗布層を100区間にカットし、テープ剥離後残留した塗布層の区間数で、以下の基準により評価した。
○:100区間残留
△:90〜100区間残留
×:0〜90区間残留
【0070】
(6)耐スクラッチ性
JIS K5400記載の鉛筆硬度測定法に準じて、Bの鉛筆(三菱ユニ社製)を用いて塗膜を5回引っかき、以下のように評価した。
○:傷付きは0回(傷付きなし)
△:傷付きは1回
×:傷付きは2回以上
【0071】
(7)耐ブロッキング性
塗工フィルムの塗膜面同士を重ね合わせた状態で、200g/cmの負荷をかけ、40℃ 雰囲気下で24時間放置後、剥離させ、その際の剥離の程度および塗膜面の状態(一方の塗膜面に他方の塗工面の剥離跡が残るか否か)とから、以下の基準により判定した。
○:フィルムに軽く触れる程度で剥離する。剥離跡は残らない。
△:フィルムを引っ張ると剥離する。剥離跡は残らない。
×:フィルムは剥離するが、剥離跡が残る。
【0072】
(8)滑り性
塗工フィルムの塗膜面同士を重ね合わせた状態でフィルムを上下に動かし、その滑り具合を以下のように評価した。
○:抵抗なし
△:やや抵抗有り
×:滑らない
【0073】
(9)接着剤の接着性
接着剤はシアノアクリレート系接着剤(商品名「アロンアルファ」プラスチック用、コニシ社製)を用いた。塗工フィルムの塗膜表面をプライマーを染込ませた綿棒で軽く塗った。10分後、接着剤を塗布、塗膜面同士を接着し、温度23℃、湿度65%雰囲気下で24時間後、手で剥離した。
○:基材フィルムが材料破壊した。
×:基材フィルムが材料破壊しなかった。
【0074】
(10)印刷性(インキの濡れ性)
紫外線硬化型インキ(T&K TOKA社製、UV STP)を粘度が50〜60mPa・S(25℃)になるように希釈し、これを塗工フィルムにグラビア印刷した際のインキの濡れ性(はじきの程度)を評価した。
○:インキのはじき無し
×:インキのはじき有り
【0075】
(11)長期保存後の物性
塗工フィルムを40℃で1ヶ月間、放置後、(8)と(9)の試験を行った。
【0076】
(12)粒子径
バインダー樹脂(A)および酸化スズ系化合物(B)の数平均粒子径、体積平均粒子径はそれぞれ日機装社製マイクロトラック粒度分布計UPA150(Model No.9340)を用いて、動的光散乱法によって測定した。
【0077】
《バインダー樹脂(A)の水性分散体の調製》
【0078】
(ポリオレフィン樹脂水性分散体の調製)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、75.0gのポリオレフィン樹脂〔ボンダインHX−8290、アルケマ株式会社製、エチレン−アクリル酸エステル(17〜18質量%)−無水マレイン酸共重合体(2〜3質量%)、メルトフローレート65g/10分)〕、60.0gのイソプロパノール、5.1gのトリエチルアミンおよび159.9gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140〜145℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体O−1を得た。数平均粒子径、体積平均粒子径はそれぞれ70nm、91nmであった。
【0079】
(ポリエステル樹脂水性分散体の調製)
テレフタル酸25.10kg、イソフタル酸10.76kg、エチレングリコール9.38kg、ネオペンチルグリコール13.48kgからなる混合物をオートクレーブ中で、260℃で4時間加熱してエステル化反応を行った。次いで触媒として三酸化アンチモンを1質量%含有するエチレングリコール溶液を1.57kg添加し、系の温度を280℃に昇温し、系の圧力を徐々に減じて1.5時間後に13Paとした。この条件下でさらに重縮合反応を続け、2時間後に系を窒素ガスで常圧にし、系の温度を下げ、270℃になったところでトリメリット酸817gを添加し、250℃で1時間撹拌して、解重合反応を行った。その後、窒素ガスで加圧状態にしておいてシート状に樹脂を払い出した。そしてこれを室温まで十分に冷却した後、クラッシャーで粉砕し、篩を用いて目開き1〜6mmの分画を採取し、粒状のポリエステル樹脂として得た。得られたポリエステル樹脂のカルボキシル基量は251当量/トンであり、重量平均分子量は31000であった。このポリエステル樹脂の組成をH−NMRで分析した結果、テレフタル酸/イソフタル酸/トリメリット酸(モル比)が70.7/29.3/2、エチレングリコール/ネオペンチルグリコール(モル比)が45/55であった。
【0080】
ジャケット付きの密閉できる2リットル容ガラス容器を備えた撹拌機(特殊機化工業株式会社製、T.K.ロボミックス)を用いて、300gの前記ポリエステル樹脂、180gのイソプロパノール、9.2gのトリエチルアミン及び510.8gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼(ホモディスパー)の回転速度を7,000rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、完全浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にジャケットに熱水を通して加熱した。そして系内温度を73〜75℃に保ってさらに30分間撹拌した。その後、ジャケット内に冷水を流し、回転速度を4000rpmに下げて攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却して、乳白色の均一なポリエステル樹脂水性分散体P−1を得た。数平均粒子径、体積平均粒子径はそれぞれ60nm、95nmであった。
【0081】
(ポリウレタン樹脂水性分散体)
ポリウレタン樹脂水性分散体は市販の分散体(旭電化工業社製、アデカボンタイターHUX−232)(以下、U−1)を使用した。数平均粒子径、体積平均粒子径共に100nm以下であった。
【0082】
《酸化スズ系化合物(B)の調製》
【0083】
(酸化スズゾルの調製)
塩化第二スズ五水和物28g(0.1モル)を200mlの水に溶解して0.5Mの水溶液とし、撹拌しながら28%のアンモニア水を添加することでpH1.5の白色酸化スズ超微粒子含有スラリーを得た。得られた酸化スズ超微粒子含有スラリーを70℃まで加熱した後、50℃前後まで自然冷却したうえで純水を加え1Lの酸化スズ超微粒子含有スラリーとし、遠心分離器を用いて固液分離を行った。この含水固形分に800mlの純水を加えて、ホモジナイザーにより撹拌・分散を行った後、遠心分離器を用いて固液分離を行うことで洗浄を行った。洗浄後の含水固形分に純水を75ml加えて酸化スズ超微粒子含有スラリーを調製した。
【0084】
得られた酸化スズ超微粒子含有スラリーにトリエチルアミン3.0mlを加え撹拌し、透明感が出てきたところで70℃まで昇温した後、加温をやめ自然冷却することで固形分濃度10.5質量%の有機アミンを分散安定剤とする酸化スズゾルZ−1を得た。数平均粒子径、体積平均粒子径はそれぞれ8.5nm、9.8nmであった。
【0085】
《塗工液の調製》
【0086】
(塗工液A−1の調製)
酸化スズゾルZ−1に、ポリオレフィン樹脂水性分散体O−1を、ポリオレフィン樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ超微粒子が800質量部となるように混合した後、水/イソプロパノールが30/70(質量比)の混合溶媒で10倍に希釈して塗工液A−1を得た。
【0087】
(塗工液A−2の調製)
酸化スズゾルZ−1、ポリオレフィン樹脂水性分散体O−1、オキサゾリン基含有化合物(日本触媒社製、エポクロスK−2030E)(以下、EP)とを、固形分換算でポリオレフィン樹脂100質量部に対して酸化スズ超微粒子800質量部、EP40質量部となるように混合した後、水/イソプロパノールが30/70(質量比)の混合溶媒で10倍に希釈して塗工液A−2を得た。
【0088】
(塗工液A−3の調製)
酸化スズゾルZ−1、ポリオレフィン樹脂水性分散体O−1、EPとを、固形分換算でポリオレフィン樹脂100質量部に対して酸化スズ超微粒子5000質量部、EP20質量部となるように混合した後、水/イソプロパノールが30/70(質量比)の混合溶媒で10倍に希釈して塗工液A−3を得た。
【0089】
(塗工液A−4の調製)
ポリオレフィン樹脂水性分散体(O−1)とポリウレタン樹脂水性分散体(U−1)とを、O−1とU−1とを固形分質量比が80/20となるように混合した。次いで、前記水性分散体の混合物に、酸化スズゾルZ−1およびEPを、固形分換算でバインダー樹脂100質量部に対して酸化スズ超微粒子800質量部、EP40質量部となるように混合した後、水/イソプロパノールが30/70(質量比)の混合溶媒で10倍に希釈して塗工液A−4を得た。
【0090】
(塗工液A−5の調製)
酸化スズゾルZ−1、ポリオレフィン樹脂水性分散体O−1、EPおよび脂肪酸アミド化合物の水性分散体(中京油脂社製、ハイミクロンL−271、ステアリン酸アミド)(以下、HM)を、固形分換算でポリオレフィン樹脂100質量部に対して酸化スズ超微粒子800質量部、EP40質量部、HM5質量部となるように混合した後、水/イソプロパノールが30/70(質量比)の混合溶媒で10倍に希釈して塗工液A−5を得た。
【0091】
(塗工液B−1〜B−5の調製)
上記塗工液(A−1)〜(A−5)のそれぞれにおいて、ポリオレフィン樹脂水性分散体O−1に変えてポリエステル樹脂水性分散体P−1を用いた以外は同様の操作で塗工液(B−1)〜(B−5)を得た。
【0092】
実施例1
SPのコロナ面に、塗工液A−1を乾燥後の塗膜量(塗工量)が0.05g/mになるように塗工後、60℃で2分間乾燥して積層体(塗工フィルム)を得た。
【0093】
実施例2、3
塗膜量(塗工量)を0.15g/m(実施例2)、0.01g/m(実施例3)に変えた以外は実施例1と同様の操作で積層体(塗工フィルム)を得た。
【0094】
実施例4〜7
塗工液A−1に変えて、A−2(実施例4)、A−3(実施例5)、A−4(実施例6)またはA−5(実施例7)を用いた以外は実施例1と同様の操作で積層体(塗工フィルム)を得た。
【0095】
比較例1
塗工液A−1を調製する際に希釈しない液A−1を用い、塗膜量(塗工量)が0.5g/mになるようした以外は実施例1と同様の操作で積層体(塗工フィルム)を得た。
【0096】
比較例2
塗工液を塗工しないSPを用いた。
【0097】
比較例3
塗工液A−2の調製において、酸化スズ系化合物の添加量を50質量部とした以外はA−2と同様の操作で塗工液H−3を調製した。H−3を用いた以外は実施例1と同様の操作で積層体(塗工フィルム)を得た。
【0098】
比較例4
塗工液A−2の調製において、酸化スズ系化合物の添加量を15000質量部とした以外はA−2と同様の操作で塗工液H−4を調製した。H−4を用いた以外は実施例1と同様の操作で積層体(塗工フィルム)を得た。
【0099】
実施例1〜7、比較例1〜4の結果をまとめて表1に示す。
【0100】
【表1】

【0101】
実施例8
基材をAPとし、塗工液A−1に変えてB−1を用いた以外は実施例1と同様の操作で積層体(塗工フィルム)を得た。
【0102】
実施例9、10
塗膜量(塗工量)を0.15g/m(実施例9)、0.01g/m(実施例10)に変えた以外は実施例8と同様の操作で積層体(塗工フィルム)を得た。
【0103】
実施例11〜14
塗工液B−1に変えてB−2(実施例11)、B−3(実施例12)、B−4(実施例13)、B−5(実施例14)を用いた以外は実施例8と同様の操作で積層体(塗工フィルム)を得た。
【0104】
比較例5
塗工液B−1を調製する際に希釈しない液B−1を用い、塗膜量(塗工量)が0.5g/mになるようした以外は実施例8と同様の操作で積層体(塗工フィルム)を得た。
【0105】
比較例6
塗工液を塗工しないAPを用いた。
【0106】
比較例7
塗工液B−2の調製において、酸化スズ系化合物の添加量を50質量部とした以外はB−2と同様の操作で塗工液H−7を調製した。H−7を用いた以外は実施例8と同様の操作で積層体(塗工フィルム)を得た。
【0107】
比較例8
塗工液B−2の調製において、酸化スズ系化合物の添加量を15000質量部とした以外はB−2と同様の操作で塗工液H−8を調製した。H−8を用いた以外は実施例8と同様の操作で積層体(塗工フィルム)を得た。
【0108】
実施例8〜14、比較例5〜8の結果をまとめて表2に示す。
【0109】
【表2】

【0110】
実施例1〜7に示すように、本発明の塗膜をPPフィルムに特定量、積層することで透明性、耐溶剤性、帯電防止性、密着性、耐スクラッチ性、耐ブロッキング性、滑り性、接着剤の接着性、印刷性に優れていた。さらに、印刷性および接着剤の接着性は長期間保存後も維持されていた。塗膜量が増すと耐スクラッチ性が悪化し、帯電防止性は向上することが認められた(実施例1〜3)。架橋剤を添加することで耐スクラッチ性は向上した(実施例4〜7)。また、脂肪酸アミド化合物を添加することで滑り性が向上した(実施例7)。一方、塗膜量が本発明の範囲を超えると、透明性や接着剤の接着性が悪化した(比較例1)。本発明の塗膜を積層しない場合、長期間保存後にコロナ処理の効果が低下し印刷性が悪化した(比較例2)。バインダー樹脂と酸化スズ系化合物との割合が本発明の範囲外の場合、密着性や耐スクラッチ性、接着剤の接着性が悪化した(比較例3、4)。
【0111】
また実施例8〜14に示すように、本発明の塗膜をA−PETフィルムに特定量、積層することで透明性、耐溶剤性、帯電防止性、密着性、耐スクラッチ性、耐ブロッキング性、滑り性、接着剤の接着性、印刷性に優れていた。一方、塗膜量が本発明の範囲を超えると、透明性や接着剤の接着性が悪化した(比較例5)。本発明の塗膜を積層しない場合、長期間保存後にコロナ処理の効果が低下し印刷性が悪化した(比較例6)。バインダー樹脂と酸化スズ系化合物との割合が本発明の範囲外の場合、密着性や耐スクラッチ性、接着剤の接着性が悪化した(比較例7、8)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂基材に0.005〜0.3g/mの塗膜を積層した積層体であって、塗膜の構成成分としてバインダー樹脂(A)および酸化スズ系化合物(B)を含有し、(A)100質量部に対して、(B)100〜10000質量部であることを特徴とする積層体。
【請求項2】
さらに架橋剤成分(C)を含有し、(A)100質量部に対して(C)100質量部以下であることを特徴とする請求項1記載の積層体。
【請求項3】
バインダー樹脂(A)が、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2記載の積層体。
【請求項4】
架橋剤成分(C)がオキサゾリン基含有化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
【請求項5】
さらに、ワックス、シリコーン系化合物、脂肪酸アミド化合物、脂肪酸金属塩化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
【請求項6】
熱可塑性樹脂基材が熱可塑性樹脂フィルムまたはシートであって、積層体のヘイズが10%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
【請求項7】
熱可塑性樹脂基材がポリオレフィン樹脂系フィルムまたはシートであって、かつ、バインダー樹脂(A)がポリオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
【請求項8】
熱可塑性樹脂基材がポリエステル樹脂系フィルムまたはシートであって、かつ、バインダー樹脂(A)がポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の積層体から形成される組立品。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載の積層体から形成されるクリアケースまたはクリアボックス。



【公開番号】特開2006−198938(P2006−198938A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−14187(P2005−14187)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】