説明

積層印刷製品およびその製造方法

【課題】例えば紙シート、厚紙シート、またはプラスチック箔シートなどの少なくとも1つのシート状の基体と、少なくとも1つの図柄皮膜と、前記基体の片面に大面積で貼り合わせられる、またはラミネートされる閉じた箔層とからなる印刷製品の製造方法および印刷製品において、印刷製品を迅速に製造できるようにすること。
【解決手段】シートである基体を枚葉輪転機に供給し、枚葉印刷機において、印刷ユニットにおける印刷工程と同様に、枚葉印刷機を通過する間にラミネート工程をインラインで行い、ウェブ材料であるラミネート材料を、ラミネート工程の前または後に、裁断装置により基体のフォーマットのサイズとする。枚葉印刷機の排紙部には、完成した複合材料が排紙される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1および請求項12の前段部分に記載される、積層印刷製品またはラミネート印刷製品、およびそのような印刷製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、印刷機において導入される冷間箔転写方法が開示されている。そこには、給紙部と排紙部とを有しており、これらの両ユニットの間に複数の印刷ユニットおよびコーティングユニットが配置されている、枚葉紙処理印刷機が示されている。これらの印刷ユニットの内の少なくとも1つでは、平版印刷法を利用して糊パターンが印刷されるようになっている。この糊パターンは、冷間印刷法により印刷された、所定の図柄を与える題材を有している。この印刷ユニットに続く、1つの圧胴と1つのプレスローラとを有するコーティングユニットには、箔ガイドが備えられている。これは、箔供給ロールから箔ストリップないしは転写箔を、圧胴とプレスローラの間の印刷間隙に通して案内するように構想されている。印刷ユニットに通して枚葉紙を搬送する際に、それぞれの枚葉紙に糊パターンが備えられる。その後で枚葉紙はコーティングユニットに通して案内されるが、そこでは圧胴の上に載置された枚葉紙が、プレスローラを利用して箔材料と接合されるようになっている。その際には、下向きになっている、多くの場合は金属皮膜が、糊付けされたそれぞれの領域と密着した状態となる。枚葉紙がさらに搬送された後には、転写された皮膜が、糊付けされたパターンの領域だけに付着している。すなわち転写箔からは、糊パターンの領域にある転写皮膜だけが剥ぎ取られるようになっている。このようにして費消された転写箔は、再び巻き取られる。このようなコーティングユニットを、例えば印刷機の印刷ユニットに導入することが知られている。他にもプレスローラとして、例えば印刷ユニットのゴム胴または版胴を導入することが知られている。
【0003】
そのような冷間箔転写システムにより被印刷物に写し取ることができるのは、厚さが数マイクロメートルまでの比較的薄い皮膜だけに限られている。この皮膜は、被印刷物に付着した糊により転写箔から剥がされて、枚葉紙に写し取られるようになっている。この写し取りまたは転写は区分的に行われるために、転写された皮膜は、完全には閉じていない状態で、枚葉紙に載置されることになる。他にもこの皮膜は、視覚的な印象を阻害することはないが、枚葉紙に転写された薄膜を中断する微小亀裂を有していることもある。また、先行する印刷ユニットにより塗布された糊に、例えば紙の粒子による、ダマの形成とも呼ばれる不良箇所がある場合にも、転写された薄膜は中断してしまう。この冷間箔転写方法により写し取られる薄膜の薄い膜厚および上記の不良箇所や中断は、例えば水蒸気不透過性または湿気遮断性などの障壁特性が要求される用途のためには、そのような薄膜の素質は許容されない。紙の表面から遊離した非常に小さい繊維であっても、まるで灯芯のように作用して、被印刷物の材料内部に湿気またはその他の液状物質を吸い込んでしまう。
【0004】
同様に、枚葉紙ラミネート機において、印刷済みの枚葉紙をプラスチック材料の閉じたフィルムにより被覆することが知られている。そこでは通例、1つのロールから1枚の連続フィルムがばらの枚葉紙の流れにラミネートされて、ラミネート後に再度、何らかの分離技術により、枚葉紙が再び1枚ずつに分けられるようになっている。この分離は、枚葉紙同士が突き合わされる地点のところのフィルムの弱め加工部により、フィルムを引き裂くことによって行うことができる。しかし、フィルムを切断するようにした解決策も知られている。
【0005】
この技術分野におけるそのような枚葉紙ラミネートシステムの代表的な例は、何よりも特に特許文献2、特許文献3、特許文献4、および特許文献5に記載されている。
【0006】
そのような連続ラミネートにより、高い光沢度はもちろんのこと、他にも障壁特性を達成することができる。この場合は、プラスチックフィルムにより被覆された印刷済みの厚紙を、例えば屋外広告として利用することができる。
【0007】
他にもそのような種類のコーティングは、冷凍梱包部門において湿気遮断膜として適用するためにも、また侵食性を持つ油脂の梱包材として、例えば脂肪分を含む飼料の梱包のために必要な油脂遮断膜として適用するためにも、しばしば要求されている。
【0008】
この種のラミネート膜は、例えばメタリックコートまたは効果およびセキュリティコート(例えばホログラムを備えた箔)として、意匠目的を満足することもできる。他にもラミネート膜は、例えば梱包材の引裂き強さを増大するために、補強材として基体に付け加えることもできる。
【特許文献1】欧州特許発明第0569520(B1)号明細書
【特許文献2】独国特許第19817835(C2)号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第4412091(A1)号明細書
【特許文献4】独国未公開特許第4336835(C1)号明細書
【特許文献5】独国特許第1194562号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、特殊な特性プロフィールを持つ積層印刷製品を提示すること、およびそのような印刷製品の製造方法を説明することにある。同様に、何よりも特に印刷製品は、印刷機を通過する際に1回の作業工程内で製造されることが所望される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題の解決策は、方法においては請求項1の各特徴により、印刷製品においては請求項12の各特徴により具現化される。
【0011】
有利な構成例は、それぞれの従属請求項により明らかにされる。
【0012】
本発明に従った印刷製品は、少なくとも3つの層、すなわち1つの基体層、例えば紙シート、厚紙シート、または箔シートと、例えばオフセット印刷法および/またはフレキソ印刷法により別の層の内の1つの表面に印刷される、図柄に従って構成される意匠性印刷インキ皮膜と、第2の、例えばプラスチック箔、金属箔、またはさらにもう1つの紙層からなるとよい、ラミネートされる層とからなっている。
【0013】
箔は、箔を供給ロールから巻き出し、続いてプレスローラと圧胴との間の加圧部の隙間内で、圧胴の上に載置された枚葉紙の表面にこれをアイロンがけすることによって、閉じた薄膜として枚葉紙の表面にコーティングされる。箔の部分が必要な長さに達すると、箔は引き裂かれるか、または切り取られるようになっている。
【0014】
本発明に従った方法では、この薄膜全体が被印刷物の上にとどまって、その状態で枚葉紙と一緒に次に搬送されるようになっている。冷間箔転写法においては再び巻き取られなければならないような、余り物として残るキャリア箔は皆無である。
【0015】
本製造方法は、基体、ラミネート層、および印刷図柄の3つの層が、枚葉輪転機を1回通過する間に作成されて互いに接合されるように構成される。その際には基体が印刷機の給紙部から供給される。ラミネートされる層は、印刷機の内部で、定着剤層を使用して、または使用せずに、加圧下で基体と接合される。ラミネートされる層を作成するための箔または紙ウェブが、1つのロールから巻き出されて、印刷機の内部の加圧部の隙間に供給される。そこで、ラミネートされる層および基体、および場合によっては印刷インキ皮膜が、圧力の作用下で互いに接合される。その際には、ラミネートされる層を形成するために利用されるラミネート箔のウェブまたは紙ウェブが、基体シートの端部に達した後に、フォーマットのサイズに裁断されることによって、ラミネート箔または紙ウェブを有するロールから1枚のシートが、加圧部の隙間に通して案内される基体シートと接合されるようにするとよい。あるいはその代わりに、ラミネート箔または紙ウェブを最初にフォーマットのサイズに裁断して、その後で基体シートと接合するようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下では本発明を図面に基づき例を挙げて説明する。
【0017】
本発明の特徴として、作成される印刷製品の3つの層はすべて、ここでは枚葉輪転機であることが好ましい印刷機を1回通過する際に作成されて、互いに接合されるようになっている。
【0018】
この工程の流れは、次のように構成される。
1.そこでは、基体2が印刷機の枚葉紙給紙部から供給され、印刷機の内部でラミネートされる層1が、定着膜を使用して、または使用せずに、加圧下で基体2と接合される。
2.そのために、ラミネートされる層1を作成するために、箔または紙ウェブがロールから巻き出されて、印刷機の内部の加圧部の隙間に供給され、そこでラミネートされた層1および基体2、および場合によっては印刷インキ皮膜3が、圧力の作用下で互いに接合される。
3.その際には、ラミネート箔または紙ウェブを有するロールから、ウェブが加圧部の隙間に通して案内される基体シート2に接合されるとよいが、この場合はラミネートされる層1を形成するために利用される、ラミネート箔を有するウェブ、または供給される紙ウェブが、シート端部に達すると、フォーマットのサイズに裁断される。
4.あるいはその代わりに、ラミネート箔または紙ウェブを、最初にフォーマットのサイズに裁断し、その後で基体シートに接合するようにしてもよい。
【0019】
ラミネート膜1は、プラスチック箔、金属箔、または紙層であるとよい。プラスチック箔としては、光沢箔、艶消し箔、またはその他の形式で表面仕上げ加工された、または構造化された、例えばセルロース水和物、セルロースアセテート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはその他の適切なプラスチック材料からなる箔が導入される。他にもプラスチック箔は、2種類のプラスチック材料からなる複合材料、または1つのプラスチック皮膜と1つの金属皮膜とからなる複合材料であってもよい。これらのプラスチック箔は、1つの金属皮膜が、蒸着またはその他の適切な方法により施されたものであるとよい。プラスチック箔は、着色されたものでも、カラーコートで被覆されたものでもよいし、または何らかの特殊効果を持つラッカーコート、例えば艶消しラッカーコートを担持したものでもよい。プラスチック箔は、エンボス加工されたものでもよいし、または視覚的に作用する干渉皮膜を有していてもよい。その場合はプラスチック箔が、印刷製品の特性を改善する様々な機能特性を有していることが好ましい。機能特性とは、例えば高い耐油度、水蒸気または湿気遮断性、印刷インキ成分の移染防止性などの障壁特性であるとよい。しかしラミネート箔により、他にも例えば高光沢、艶消し、ホログラムまたは3D効果、またはその他の虫眼鏡効果などの視覚効果が生じるようにしてもよい。他にもラミネート箔には、モチーフ、構造体、またはそれ以外の種類のパターンが印刷されていてもよい。
【0020】
純金属箔のラミネート箔として第1に検討されるのは、薄いアルミニウム箔であるが、これは、純アルミニウム箔であるときには銀色に輝いて見えるが、他にもカラーコーティングにより、別の金属効果、例えば金色の金属箔も実現することができる。しかし原則的にはベース材料として、その他の金属も考えられる。金属箔には、好ましくは金属の酸化を防止するコーティングが施されるとよい。同様に金属箔は、これにモチーフが印刷されたもの、または構造化されたものであってもよい。金属箔は、機械的なエンボス加工により、例えば金属効果を醸し出すために、その表面特性が変化されたものであるとよい。
【0021】
箔、複合箔、効果箔、および金属のラミネート箔の厚さは、50μm未満が好ましいが、30μm未満であると非常に好ましい。
【0022】
ラミネート層は、好ましくは片面だけにコーティングが施された紙層であってもよい。紙層を貼り合わせることにより、基体の表面特性を改善することができる。それにより無コート厚紙、または低品質のコート厚紙を、このように紙層をラミネートすることによって、高価値の厚紙に仕上げることができる。
【0023】
以下では様々な実施例について説明する。
【実施例1】
【0024】
(図1を参照)
印刷機に給紙部からシート状の印刷下地、例えば紙シート、厚紙シート、または箔シートが供給され、続いてこの枚葉輪転機において、少なくとも1つの印刷ユニットにより、この被印刷シートにモチーフが印刷され、引き続いて被印刷シートの表面に、定着剤を使用して、および/または圧力により、ロールから巻き出されるラミネート層が施されるが、その際にこのラミネート用のウェブは、基体シートに転写される前または後に、裁断装置により少なくとも概ねシートフォーマットのサイズに裁断されるようになっている。
【0025】
そこでは、転写されるラミネート箔が、その下に位置する印刷図柄を識別することができるように、高透明であるか、または少なくとも部分的に透明であることが好ましい。この製造手順により、高価値に仕立てられた印刷製品を製造することができる。高光沢箔により、表面不良のせいでニス引きによってはほとんど達成できない光沢度がもたらされることになる。艶消し箔をラミネートすることによって非常に優れた艶消し効果を、また視覚的なレンズ効果を持つ箔をラミネートすることによって、例えば3D効果を達成することができる。ラミネートされた箔は、ニス引きとは対照的に、印刷製品が閉じた薄膜により機械的負荷および環境負荷に対して格段に良好に保護されるという長所を有している。
【0026】
ラミネートされた層は、ラミネート材料の障壁特性が適切である場合は、枚葉印刷機の排紙パイルの中で、パイルで下側にある印刷済みシートの表面から、パイルで上側にある印刷済みシートの裏面へと、印刷インキ成分が写し取られることを特徴とする、裏移りを防止する。裏移りが回避されることにより、裏移りにより梱包材の内側に達する有害な印刷インキ成分が皆無となるために、梱包材の食品安全性を大幅に向上することができる。
【0027】
上に位置する層がラミネートされることによって、特殊な状況下においてもエネルギの大幅な節減を達成することができる。その例として、分散ニス引きを引き合いに出すことにする。分散ニス中に存在する、多くは水である溶媒は、通常は大きなエネルギコストをかけてニス皮膜から除去されなければならない。そのために枚葉輪転機の給紙部に、通常は赤外線乾燥機および/または熱風乾燥機が導入されることになるが、箔ラミネート工程の場合は、これを不要とすることができる。また枚葉輪転機の内部の長い乾燥路も不要とすることができるために、印刷機製造コストも低減することができる。
【0028】
印刷インキ皮膜のこのシーリングのさらにもう1つの長所は、ラミネートされた薄膜が接触にそれほど敏感ではなく、また乾燥しているために、古典的な印刷において通常生じるような、印刷インキ皮膜もしくはニス皮膜の色移りの怖れが皆無となることによりもたらされる。それにより、コスト高なシートの案内対策を減らすことができる。
【実施例2】
【0029】
(図3および4を参照)
印刷機に給紙部からシート状の印刷下地、例えば紙シート、厚紙シート、または箔シートが供給され、続いてこの枚葉輪転機の内部で、この被印刷シートに箔層がラミネートされ、引き続いて少なくとも1つの印刷ユニットにおいてモチーフが印刷されるが、そこでは、基体とラミネート層と印刷皮膜とからなる複合体に、場合によっては引き続いてニス引きにより、または第2のラミネート層により、表面仕上げ加工が施されるようになっている。
【0030】
この製造手順により、例えば視覚的に作用する皮膜、例えば金属被覆が施された箔を、被印刷シートに貼り合わせて、引き続いて印刷を行うことによって、傑出した効果を実現することができる。閉じた薄膜により、非常に高い光沢度が達成される。
【0031】
さらにもう1つの長所は、ラミネートされた層によって、障壁特性が適切である場合には、印刷インキ皮膜への被印刷物による印刷インキ成分の移染が防止されることによりもたらされる。それにより、包装材料による、印刷インキ皮膜から出る物質の食品内への移染に対して、梱包食品の安全性が永久的に向上される。また梱包材も、外部の影響要因に対して効果的に保護されるようになる。
【実施例3】
【0032】
(図2)
内側の保護も重要な適用例の1つであり、この場合は梱包材が内側からラミネートされた層により保護される一方で、基体シートのその反対側は印刷され、場合により表面仕上げ加工が施されるようになっている。これは、基体シートとラミネート材料とからなる複合体を印刷の前に裏返すことにより、行われるとよい。あるいはその代わりに、ラミネート用のウェブを下側から供給するようにしてもよい。
【0033】
この適用例は、梱包物が極めて良好に保護されるという長所を有している。雰囲気または梱包材料からの湿気が、充填物に移るのは不可能である。障壁特性が適切である場合は、印刷インキ成分または包装材料の成分の充填物への移染が実質的に排除される。
【実施例4】
【0034】
コーティングされる材料が固形物であることによって、古典的な印刷法においてはごく限定的にしか実現することができなかった様々な補足的な効果を、枚葉印刷機において、エンボス加工により傑出したかたちで達成することができる。例えばエンボス加工により、それぞれの光沢領域間の際立った差別化が行われる、艶消し/光沢効果を達成することができる。ホログラム構造やその他の回折構造をエンボス加工により設けることで、特殊な視覚効果はもちろんのこと、他にもセキュリティ要素を製造することが可能となる。エンボス加工は、例えば枚葉輪転機のニス引きユニットにおいて行われるとよい。そのようなエンボス加工は、−視覚に作用する効果とならび−、インラインコンビネーションによりその模造がほとんど不可能であるために、高水準のセキュリティ対策となる。エンボス加工は、特殊な器具を使用しない限り識別が不可能であるほど小さなもの、例えばナノ構造体であってもよい。
【実施例5】
【0035】
ラミネートされる層自体が、図柄に従って構造化されると有利である。これは、ラミネート箔の製造時に、または基体にコーティングする前に別のユニットにおいて行われるとよい。図柄に従った構造化は、構造体、例えばナノテキストの印刷により、または、ラミネート箔の機械的な処理または改質により、例えばエンボス加工により、行われるとよい。箔に、ホログラム構造体またはその他の光を回折する構造体を担持させてもよい。これらの造形的な構造体は、ラミネート箔の、ラミネート工程後に基体の表面に対して向けられる側の面に施されると有利である。
【0036】
そのような表面改質により、梱包材用の偽造がほとんど不可能なセキュリティ特徴を具現化することができる。
【0037】
層同士は、拡散型接着剤、塗布する直前に混合される2成分型接着剤、活性型接着剤、例えば水または水蒸気により活性化するモイストラバーフィルム、または、冷間箔転写法における、熱硬化性、および/またはラジカルまたはカチオン硬化性を示す100%接着剤系に類似した、印刷ユニットにより塗布される定着剤により、固着式に接合されるとよい。その際に定着剤は、ラミネート工程の前に、ラミネートフォイルおよび/または基体シートに塗布されるとよい。ラミネートフォイルへの塗布は、キスロールコーティングユニット、スプレ装置、または定着剤の塗布に適したその他の装置により行われるとよい。基体シートへの塗布は、印刷ユニット、例えばオフセット印刷ユニット、ニス引きユニット、キスロールコーティングユニット、スプレユニット、またはその他の適切な装置により行われるとよい。
【0038】
特殊な製造方法においては、基体シート2の表面に、2成分型接着系の第1の成分が、ラミネート箔1に2成分系の他方の成分が塗布されるようになっている。その後で、加圧部の隙間内で、両成分の接触と混合が行われ、それにより接着剤が硬化して、基体シート2とラミネート箔1の付着がもたらされる。
【0039】
本発明に従った方法には、次に示すさらに別の工程を含ませることができる。
a)ラミネート材料には、基体シートへの転写の前または後に、インクジェット法、トナー印刷法、またはレーザ印刷または印字装置により、静的および/または可変データおよび情報が印字されるとよい。
b)枚葉輪転機を通り印刷が進行する間に、まず基体シートにラミネート材料が貼り合わされる、ないしはラミネートされるとよい。その後に初めて、ラミネーションへの刷り込みが行われ、場合によってはさらに別の表面仕上げ加工工程により、処理が施されるとよい。
c)他にも枚葉輪転機を通り印刷が進行する間に、最初に基体シートが印刷され、引き続いてラミネート材料が貼り合わされる、ないしはラミネートされるようにしてもよい。この場合も、場合によってはさらに別の表面仕上げ加工工程が実行されるとよい。
d)他にも枚葉輪転機を通り印刷が進行する間に、まず基体シートの裏側にラミネート材料を貼り合わせ、引き続いて表側に刷り込みが行われるようにしてもよい。そのためには、これらの2つの処理工程の間に、シートの反転が必要となる。ここでも場合によってはこれにさらに別の表面仕上げ加工工程が続くとよい。
e)ちなみに、印刷製品を製造する際の、表側または裏側の印刷工程、貼り合わせ、ないしはラミネート工程、および表面仕上げ加工工程の各処理工程は、任意の順序で、これらを任意に組み合わせて行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の製造方法に従って製造された印刷製品を示す図である。
【図2】本発明の第2の製造方法に従って製造された、内側が保護されている印刷製品を示す図である。
【図3】本発明の第3の製造方法に従って製造された、表面仕上げ加工が施されている印刷製品を示す図である。
【図4】本発明の第3の製造方法に従って製造された、さらにもう1つの印刷製品を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 ラミネートされた層/皮膜
2 基体シート
3 印刷インキ皮膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙シート、厚紙シート、またはプラスチック箔シートなどの少なくとも1つのシート状の基体と、図柄に従って構造化された少なくとも1つの印刷皮膜と、前記基体の少なくとも片面に大面積で貼り合わせられる、またはラミネートされる、プラスチック箔、金属箔、または複合箔からなる1つの閉じた箔層とからなる印刷製品の製造方法において、
前記基体を枚葉輪転機の給紙部から供給して、前記枚葉印刷機を通過する間に、前記枚葉印刷機において1回ないしは複数回のラミネート工程を、また前記輪転機の複数の印刷ユニットにおいて1回ないしは複数回の印刷工程をインラインで実行すること、またその際には、
ウェブ材料であるラミネート材料を、前記枚葉印刷機に供給して、前記ラミネート工程の前または後に、1つの裁断装置により概ね前記基体のシートフォーマットのサイズとして、前記ラミネート材料のそれぞれ裁断された部分を、完全に、または概ね完全に基体と固着式に接合し、排紙部または前記枚葉印刷機のいずれか別の排紙装置のところに、前記基体と、少なくとも1つの印刷皮膜と、少なくとも1つのラミネートされた箔層とからなる複合材料を排紙すること、またその際には、
前記ラミネート材料を、選択により定着剤を利用して、さらに別の層と接合すること
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記定着剤を、印刷ユニット、ニス引きユニット、ノズル装置、またはロールコーティングユニットなどのコーティング装置により、前記基体および/または前記ラミネート材料の表面に、基体とラミネート材料とを1つに合わせる前に、塗布することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ラミネート材料を、加圧部の隙間内でのラミネート工程の前または間に活性化が行われるようになっている活性型定着剤により、被覆することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記活性型定着剤が湿度により活性化可能であり、湿気を液体のかたちで、または気相で塗布することにより、前記活性化を行うことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記定着剤が2成分系であること、および
両成分の混合を、前記基体シートおよび/または前記ラミネート材料に塗布する直前に行うこと、
前記接着剤系の一方の成分を前記ラミネート材料に、前記接着剤系の他方の成分を前記基体シートに塗布し、前記2成分型接着剤系の前記両成分を前記加圧部の隙間内で互いに接触させて混合すること
を特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記各層を接合するための前記接着剤系が、ほぼ無溶媒の100%接着剤系であること、および
前記100%接着剤系が、ラジカルまたはカチオン硬化型の接着剤系、または、ラジカルまたはカチオン硬化性および熱硬化性を同時に示す二重硫化系であること、および
前記定着剤の重合を、少なくとも部分的にUV光線または電子ビームの作用により行い、前記定着剤の照射を、前記ラミネート箔を透過して行うこと、または
入熱をIR光線および/または1つまたは複数の加熱したプレスローラにより行うこと
を特徴とする請求項1から5に記載の方法。
【請求項7】
前記ラミネート材料が熱可塑性材料であり、これを熱の作用下で前記基体の表面に定着剤を使用せずにラミネートすること、またその際には、
前記ラミネート材料を、前記基体にコーティングする前に、適切な装置により直接(接触式)または間接的に(非接触式)加熱すること
を特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記入熱を、少なくとも1つのプレスローラを利用して行うこと、および
前記加圧部の隙間にある少なくとも1つのプレスローラを加熱すること
を特徴とする請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記ラミネート材料が、図柄に従った印刷部および/または構造化部を有すること、および/または
前記ラミネート材料が、エンボス加工部または表面構造体を有すること、またその際には、
前記ラミネート箔ウェブへのエンボス加工を、前記基体に写し取る前に、エンボス加工装置により、選択により熱の導入下で行うか、または、印字または構造化を1つまたは複数のレーザ装置により行うこと
を特徴とする請求項1から8に記載の方法。
【請求項10】
前記ラミネート材料を前記基体に写し取った後に、前記ラミネート材料の前記エンボス加工部または構造化部を、前記基体と対向する側に位置させることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記加圧部の隙間内での前記基体への前記ラミネート箔の転写後に、さらにもう1つの作業工程において、別の加圧部の隙間内で、またはエンボス加工ユニットにおいて、基体シートとラミネート箔とからなる複合体に、またはラミネート箔だけに、部分的に、または面状に、エンボス加工または表面構造化を施すことを特徴とする請求項9から10に記載の方法。
【請求項12】
例えば紙シート、厚紙シート、またはプラスチック箔シートなどの少なくとも1つのシート状の基体と、図柄に従って構造化された少なくとも1つの印刷皮膜と、前記基体の少なくとも片面に大面積で貼り合わされる、またはラミネートされる、例えばプラスチック箔、金属箔、または複合箔からなる1つの閉じた箔層とからなる印刷製品において、
前記基体がシート状であること、またその際には、前記基体が枚葉輪転機の給紙部から供給されること、
前記基体に、1つまたは複数の印刷皮膜が備えられること、またその際には、前記枚葉印刷機を1回通過する間に、前記枚葉輪転機において1回または複数回のラミネート工程が、また前記枚葉輪転機の複数の印刷ユニットにおいて1回または複数回の印刷工程がインラインで実行されること、
前記ラミネート材料が、ウェブ状の材料であること、またその際には、前記ラミネート材料が、前記枚葉印刷機に供給されて、前記ラミネート工程の前または後に、1つの裁断装置により、概ね基体のシートフォーマットのサイズとされて、完全に、または概ね完全に前記基体と固着式に接合されること、および
前記基体と、少なくとも1つの印刷皮膜と、少なくとも1つのラミネートされた箔層とが、複合材料を形成すること、またその際には、前記複合材料が、排紙部または前記枚葉輪転機のいずれか別の排紙装置のところで排紙可能であること
を特徴とする印刷製品。
【請求項13】
前記複合材料が、図柄に従った印刷部および/または構造化部を有すること、および/または、エンボス加工部および/または表面構造体を有することを特徴とする請求項12に記載の印刷製品。
【請求項14】
前記複合材料の前記ラミネート材料が、油脂、および/または水分、および/または水蒸気に対する、および/または印刷インキ成分の移染に対する障壁特性を有すること、および/または、前記複合材料の前記ラミネート材料が、熱可塑性により変形可能な材料であることを特徴とする請求項12から13に記載の印刷製品。
【請求項15】
請求項12から14に記載の印刷製品において、
前記複合材料が、インクジェット法、トナー印刷法、またはレーザ印刷または印字装置により作成される静的および/または可変データおよび情報を有すること、またその際には前記データおよび情報が、前記基体への転写の前または後に前記ラミネート材料に施されることを特徴とする印刷製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−12472(P2009−12472A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174940(P2008−174940)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(599011584)マンローラント・アーゲー (257)
【Fターム(参考)】