説明

空冷式餅つき機

【課題】搗きこね時に空気を送り込む送風ユニットを付設しながら、餅つき機の大型化を防止する。
【解決手段】本体ケース11内に、搗きこね用の回転羽根13を備えたホッパー12を収容していると共に送風ファン21を備えた送風ユニット20の収容部30を備え、前記送風ユニット20は前記収容部30に収容された非作動姿勢と、前記ホッパー12の開口の側方上部に前記送風ファン21を位置させる作動姿勢とに変換可能とされ、かつ、前記送風ユニット20は前記送風ファン21の作動スイッチを備えると共に、該送風ユニット20を前記作動姿勢とすると前記作動スイッチをオンするスイッチ操作手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空冷式餅つき機に関し、詳しくは、ホッパー内にもち米を投入後に蒸し工程および搗きこね工程を行う餅つき機において、搗きこね工程でホッパー内へ空気を吹き込む送風機能を改良するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、蒸された餅米に空気を吹き込んで空冷しながら餅搗きを行うと、腰の強いおいしい餅が得られ、小餅や団子に小分けする際に餅の表面にしわやひび割れが生じにくいことが知られている。このため、餅つき機においては、餅搗き時にホッパー内の上方よりホッパー内に空気を送って餅を空冷する餅搗きが提供されている。
【0003】
例えば、実開昭54−182694号公報(特許文献1)で提供された餅つき機の冷却装置は、図9に示すように、餅つき機100の架台101に搭載した臼(ホッパー)102の傍に送風ダクト103を立設し、その側面に臼102に向う送風管105を突出し、該送風管105に架台101の内部に設けた送風ファン104から空気を送風管105に送給し、かつ、送風ダクト105の頂部に貯水タンク106を載置し、貯水タンク106の水を送風管内に導入する構成としている。該餅つき機の冷却装置は、水を含んだ空気を臼内に吹き込む所謂水冷式であることより、カビが発生しやすくなる問題があり、かつ、大きな貯水タンクを必要となり、臼101の側部に立設した送風ダクト103の上端に搭載しており、餅つき機が非常に大型になる問題がある。さらに、前記餅つき機では、送風ファン104は餅つき機の架台101内に設けられており、架台101内の空気は、餅を蒸した後のボイラーの余熱で温まっており、温まった空気が送風ファン104より送風管105に送られ、臼102に吹き込まれるため、冷却効果が低い問題がある。
【0004】
また、実公昭61−32601号公報(特許文献2)で提案されている空冷式餅つき機110は、図10に示す構成からなり、搗きこねホッパー111の上部開口に送風口113が位置する送風ユニット112を、餅つき機の機体に外部から着脱自在に取り付け、非使用時には機体から取り外しておける構成とされている。
前記餅つき機では、送風ユニットを機体内部に収容する機構を有しないため、取り外した際の送風ユニットの収容具を別に設ける必要がある。かつ、着脱作業に手数がかかるため、通常は、送風ユニットは常時取り付けられた状態となると想定される。その場合、ホッパーの側方に常時立設している送風ユニットが餅搗き作業時以外は邪魔になったり、外観的に見栄えが悪い等の問題がある。
【0005】
【特許文献1】実開昭54−182694号公報
【特許文献2】実公昭61−32601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、送風ユニットを備えた餅つき機において、餅搗きを行っていない時に送風ユニットが邪魔になることなく常設している餅つき機を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、本体ケース内に、搗きこね用の回転羽根を備えたホッパーを収容していると共に該ホッパーの側部に送風ファンを備えた送風ユニットの収容部を備え、
前記送風ユニットは前記収容部に収容された非作動姿勢と、前記ホッパーの開口の側方上部に前記送風ファンを位置させる作動姿勢とに変換可能とされ、かつ、
前記送風ユニットは前記送風ファンの作動スイッチを備えると共に、該送風ユニットを前記作動姿勢とすると前記作動スイッチをオンするスイッチ操作手段を備えていることを特徴とする空冷式餅つき機を提供している。
【0008】
前記構成によれば、餅つき機の本体ケース内に送風ユニットの収容部を備えているので、餅つき機を使用していない時や餅米を蒸している時など、餅搗きを行っていない時には、本体より取り外すことなく、送風ユニットを収容部にコンパクトに収容することができ、送風ユニットが本体ケースより突出して、ホッパーへのもち米の投入時等に邪魔になるのを防ぐことができる。また、送風ユニットが本体ケースから突出しないため、外観上見栄えをよくすることができる。
【0009】
前記送風ユニットが収容部に収容された非作動姿勢からホッパーの側方に突出する作動姿勢への姿勢変換作業、および搗きこね終了後の作動姿勢から非作動姿勢への姿勢変換作業は、使用者が手動操作で行っても良いし、自動変換機構を設け、もち米の蒸し工程の終了後に自動的に、あるいは使用者が操作ボタンを押すと自動的に姿勢変換を行えるようにしてもよい。
【0010】
また、従来の特許文献1では餅つき機本体内に送風ファンを設けているため、餅つき機本体内の暖められた空気が送風装置のダクトを通ってホッパーの上部に送られているが、本発明では、送風ユニットを作動姿勢とすると、ホッパーの開口の側方上部に送風ファンが位置する。よって、本体ケース内の加熱された空気ではなく、外気を送風ファンによりホッパー内に吹き込むことができるため、冷却効果を高めて、腰の強い餅を搗くことができる。
【0011】
さらに、本発明では、送風ユニットを作動姿勢とするとすると、自動的に送風ファンがオンされるため、使用者が操作する操作スイッチを別途設ける必要がなく、かつ、搗きこね時に送風ファンの作動忘れを防止できる。
【0012】
前記スイッチ操作手段は、さらに、送風ユニットを収容部に収容する姿勢変換作動に連動して、送風ファンの作動スイッチをオフする構成としてもよい。
該構成とすると、送風ユニットを収容部に収容すると送風ファンが自動停止でき、送風ユニットが収容部に収容された状態で、送風ファンの作動スイッチがオン操作して送風ファンが作動するという誤動作を防ぐことができる。
【0013】
前記送風ユニットを回転手段あるいは移動手段を介して前記本体ケースに取り付け、該送風ユニットを前記非作動姿勢から作動姿勢時への姿勢変換時に前記作動スイッチがスイッチ操作手段でオンされる構成としていることが好ましい。
【0014】
前記のように、送風ユニットを本体ケースに対して外部から着脱自在に取り付けるのではなく、送風ユニットを収容部に収容した非作動姿勢と突出させた作動姿勢とに変換できる回転手段あるいは移動手段を介して本体ケースに取り付けることが好ましい。
前記構成とすると、送風ユニットを使用しない場合に、本体ケースから離脱させずに本体ケース内に収容でき、かつ、収容部に収容した非作動姿勢から作動姿勢へと前記回転手段あるいは移動手段で容易に姿勢変換でき、所定の作動位置に位置させることができる。
かつ、該回転手段あるいは移動手段を用いて送風ユニットを非作動姿勢から作動姿勢へと姿勢変換する作動工程で、自動的にスイッチ操作手段がオンされると、送風ユニットを作動姿勢とすると必ず送風ファンが駆動して、搗きこね時に確実に空気を送り込むことができる。
なお、送風ユニットは本体ケースに対して前記回転手段や移動手段を介して連結せず、非作動時に本体ケース内の収容部に送風ユニットを収容しておき、作動時に収容部から取り出して作動位置に配置すると、該作動位置に設置した作動スイッチがオンされる構成としてもよい。
【0015】
具体的には、例えば、前記回転手段として本体ケースに固定した回転軸を設け、該回転軸で前記送風ユニットを回転自在に支持し、かつ、該回転軸からスイッチ爪を前記スイッチ操作手段として突設し、
前記送風ユニットを回転させて作動姿勢への変換時に、該送風ユニットに設けたリミットスイッチからなる作動スイッチを前記スイッチ爪でオンする構成としている。
【0016】
前記リミットスイッチは、送風ユニットを作動姿勢に変換したときに、スイッチ爪によって押圧され、電気回路が閉じられ、送風ファンが作動する。
また、送風ユニットを作動姿勢から非作動姿勢に変換するときには、スイッチ爪による押圧が解除されてオフとなり、送風ファンが停止する構成としてもよい。
該構成とすると、送風ユニットの姿勢変換に応じて送風ファンの駆動と停止とを自動的に行うことができる。
【0017】
前記回転羽根の駆動モータと前記送風ファンの駆動モータとを1つの開閉スイッチを介して電源と接続し、前記開閉スイッチのオン操作で前記回転羽根を回転駆動すると共に前記送風ユニットの作動スイッチのオン時に送風ファンを駆動し、かつ、前記開閉スイッチのオフ操作で回転羽根及び送風ファンの駆動を停止する構成としていることが好ましい。
【0018】
前記構成によれば、回転羽根の駆動モータは開閉スイッチにより駆動または停止する一方、送風ファンの駆動モータは開閉スイッチに加えて送風ユニットの作動スイッチによって駆動または停止する。
即ち、送風ファンは、開閉スイッチと作動スイッチの両方がオンになったときのみ駆動し、開閉スイッチがオンであっても作動スイッチがオフの場合には停止し、また、開閉スイッチがオフであれば作動スイッチのオンオフによらず停止する。
このため、回転羽根の駆動モータを駆動させて餅を搗いている状態で、かつ、送風ユニットを作動姿勢にした場合に送風ファンは作動する。また、餅を搗いている状態で送風ユニットを非作動姿勢にした場合、及び送風ユニットが作動姿勢であっても回転羽根の駆動モータを停止させて餅搗きを停止した場合には、送風ファンは停止する。
【0019】
前記作動姿勢とした前記送風ユニットを係止するストッパーを備えていることが好ましい。
該ストッパーにより、送風ユニットは作動姿勢に保持されて送風ファンをホッパーの上部に位置させることができる。このため、送風ファンの作動スイッチはオンし続け、送風ファンはホッパーに新鮮な空気を送り続けることができる。
【発明の効果】
【0020】
前述したように、本発明の空冷式餅つき機によれば、餅つき機の本体ケース内に送風ユニットの収容部を備えているので、餅つき機を使用していない時や餅米を蒸している時など、餅搗きを行っていない時には、送風ユニットを収容部にコンパクトに収容することができ、送風ユニットが本体ケースより突出して餅つき機の操作や収納の邪魔になるのを防ぐことができる。また、送風ユニットが本体ケースから突出しないため、外観上見栄えをよくすることができる。
【0021】
さらに、送風ユニットの使用時には、送風ユニットを作動姿勢とする操作に連動して、自動的にスイッチ操作手段により作動スイッチがオンされ送風ファンが作動する構成としているため、搗きこね時に確実に送風を送ることができ、送風忘れを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図6は本発明の第1実施形態を示す。
本発明の空冷式餅つき機10は、本体ケース11内に、ホッパー12、ホッパー12の下部にボイラー17、ボイラー17の側部にモータ14、ホッパー12の側部で且つモータ14の上部に送風ユニット20を収容する収容部30を備えている。前記ホッパー12の上面開口は内蓋12cで着脱自在に開閉し、かつ、本体ケース11の上面は全面開口となり、不使用時には、ケース蓋53を着脱自在に取り付けて閉鎖している。該ケース蓋53で本体ケース11を閉鎖した状態で、送風ユニット20は収容部30に収容して本体ケース11内に収容している。
【0023】
前記餅つき機10では、ホッパー12内にもち米を所要量投入した後、ボイラー17をを駆動してもち米を蒸し、その後、ホッパー12の底部12aより突設した搗きこね用の回転羽根13をモータ14で回転駆動して、蒸された餅米を搗きこねしている。この搗きこね工程時に、収容部30内に収容して非作動姿勢としていた送風ユニット20を、ホッパー12の上面開口の側面に立設する作動姿勢へと使用者が姿勢変換を行い、該姿勢変換時に送風ユニット20に付設した送風ファン21を駆動し、外気を吸引してホッパー12内に外気を吹き込んで冷却を行うようにしている。
【0024】
以下に、前記空冷式餅つき機10の各部の構成を詳述する。
前記送風ユニット20は図2に示すように略直方体形状であり、図2(A)で示す収容部30に収容する非作動姿勢は倒させた横長形状とし、図2(B)に示す作動姿勢は縦長形状としている。
前記送風ユニット20は、図2(A)に示す非作動姿勢で図中右端側を、ケース本体11に固定して収容部30に軸架した回転軸40により回転自在に支持しており、該回転軸40にはスイッチ爪41を突設している。また、反対側の左端側には収容部30の上端縁に被せる把持部29cを設けている。該把持部29cを把持し、前記回転軸40を支点として半時計方向に回転させて、図2(B)に示す縦長形状の作動姿勢に姿勢変換して、ホッパー12の側部に送風ユニット20を立設している。この作動姿勢の状態で、前記送風ファン21を送風ユニット20の上部に位置させている。
【0025】
前記本体ケース11内に設ける収容部30は、直方体形状の送風ユニット20を横長として収容できる横長形状とし、本体ケース11の上壁を凹状に窪ませて形成している。
該収容部30に収容される送風ユニット20は、図2、図3に示すように、左右方向に分割された左右のユニットケース29a、29b内に、駆動モータ23と一体とした送風ファン21と、該送風ファン21を作動させる作動スイッチであるリミットスイッチ22とを設けている。
【0026】
送風ファン21は、前記回転軸40による支持部とは反対側に、ユニットケース29aに支持台28を介してネジ止め固定している。
なお、図2(B)に示すような送風ユニット20を回転軸40を中心に回転させて作動姿勢とした状態で、送風ファン21が斜め下方向に位置するホッパー12の開口に効率的に空気を送るために、複数の支持台28に送風ファン21を固定し、上部と下部の支持台28の突出長さを異ならせて、送風ファン21を左ユニットケース29aの左側壁29eに対して斜め下向きとなるようにしてもよい。
【0027】
前記送風ファンの駆動を制御するリミットスイッチ22は、回転軸40に近接する位置に設けた支持台28にネジ止め固定し、送風ユニット20を収容部30から回転させて作動姿勢へと変換する過程で、前記スイッチ爪41で押圧され、オンされるように設定している。
【0028】
また、作動姿勢とした送風ユニット20を支持するストッパー24を設けている。該ストッパー24は、前記ユニットケース29に設けたストッパー収容室29jにコイルスプリング24aを介してストッパー部材24bを収容係止している。該ストッパー24は、送風ユニット20が収容部30に収容された状態で、ストッパー部材24bの先端が収容部30の側壁に当接し、送風ユニット20が作動姿勢とされると、ストッパー部材24bがコイルスプリング24aにより突出して収容部30の周縁の上面に係止される構成としている。
【0029】
さらに、図2(A)に示すように、送風ユニット20が収容部30に収容されている非作動姿勢において、ユニットケース29の上面は収容部30の開口30hよりも若干突出させ、収容部30のテーパ面30gが設けられた短尺の側壁30bと対向するユニットケース29の側壁29dの上端部に、餅つき機10の使用者が送風ユニット20を作動姿勢に変換する際に送風ユニット20を把持する前記係止部29cを設けている。
また、係止部29cを設けたユニットケース29の側壁29dは、上端部から下端部にかけて湾曲させ、ユニットケース29を収容部30から回転して取り出す際に、ユニットケース29の下端部が収容部30の側壁30bに当たることを防止している。
さらに、収容部30の側壁30cと対向するユニットケース29の側壁29lの上部の角部には段差29mを設け、ユニットケース29を収容部30から回転して取り出す際に、ユニットケース29の角部が収容部30の側壁30cに当たることを防止している。
【0030】
また、図4に示すように、送風ファン21と対向する左右のユニットケース29の側面にはスリット29fを設け、右ユニットケース29bのスリット29fから外気を取り込むと共に、送風ファン21から左ユニットケース29aのスリット29fを通過してホッパー12に向けて空気を送る構成としている。
【0031】
前記ホッパー12は、図1に示すように、ケース本体11に着脱自在に取り付けられる構成としており、ホッパー12の底部12aの中央部に軸穴12bを設け、該軸穴12bにケース本体11に設けている回転羽根用軸16を貫通させている。該回転羽根用軸16をホッパー12内に突出させた後に、前記搗きこね用の回転羽根13を着脱自在に取り付けている。回転羽根13は、円筒部13aとその下部に円錐状のスカート部13bと、円筒部13aの周壁面から放射方向に突出させた突起状の羽根部13cとを備えている。
【0032】
ホッパー12の下部には前記したようにボイラー17を固定しており、ボイラー17に入れた水をボイラー17の底部の下面に設けたヒーター18により加熱して蒸気としている。ホッパー12の底部12aの下面に、ボイラー17の蒸気がボイラー蓋部17aからホッパー12の底部12aの軸穴12bと回転羽根用軸16との間の隙間、回転羽根13のスカート部13bとホッパー12底部12aとの間の隙間を通ってホッパー12内に入り、ホッパー12内の餅米を蒸し上げている。また、ボイラー17の外周壁にはボイラー17の温度を検知するサーモスタット19が取り付けられている。
【0033】
ホッパー12の軸穴12bに貫通させた回転羽根用軸16はボイラー17の下部へ突出し、下端にはプーリー51を取り付け、ベルト53を介してモータ14の回転力を回転羽根用軸16が伝達している。
【0034】
また、本体ケース11の正面の外側面にスイッチ部54を設けている。該スイッチ部54には、図5に示すように、「切る」「むす」「つく」のボタン55a、55b、55cと、餅つき機10が餅米を蒸している場合に点灯するランプ56を設けている。さらに、本体ケース11内のスイッチ部54周辺に、餅米が蒸しあがったことを報知するためのブザー57を設けている。
【0035】
以下に、本発明の餅つき機の作動について説明する。
餅つき機10は餅米を蒸した後に、蒸された餅米を空冷しながら搗きこねしている。
まず、所定量の吸水した餅米をホッパー12に入れ、内蓋12cを被せる。スイッチ部54の「蒸す」のボタン55bを押すと、ヒーター18に通電され、ボイラー17の水が沸騰して蒸気が発生し、ホッパー12の底部12aの前記隙間を通ってホッパー12内に入り、餅米を蒸す。ボイラー17の水が無くなるとボイラー17の温度が上昇し、設定温度に達するとサーモスタット19が検知してヒーター18への通電を停止すると共に、ブザー57により報知される。
【0036】
次に、内蓋12cを取り外し、スイッチ部54の「つく」ボタン55cを押し、モータ14を回転駆動させ、回転羽根13を回転させて蒸された餅米を搗きこねする。
スイッチ部54の「つく」ボタン55cを押す前、あるいは、押した後に、送風ユニット20を収容部30から回転させて取り出し、作動姿勢とする。この姿勢変換作動時に、送風ユニット20のリミットスイッチ22がオンされ、送風ファン21が作動し、ホッパー12開口の側方上部からホッパー内の餅米に空気が送られる。よって、回転羽根13による搗きこね作動時に、ホッパー12の上方から空気が送り込まれ、適度に冷却しながら搗きこね動作がなされる。
【0037】
詳細には、図2(A)に示すように、収容部30に収容されている送風ユニット20を、図2(B)に示すように、回転軸40を中心に略90度上方に回転させる。この姿勢変換作動時に、リミットスイッチ22がスイッチ爪41により押圧され、リミットスイッチ22がオンされて送風ファン21が作動し、ホッパー12に空気が送られる。さらに、ストッパー24のストッパー部材24bがコイルスプリング24aによりストッパー収容室29jから突出して収容部30の周縁の上面に係止し、送風ユニット20が収容部30に戻ることを防いでいる。
【0038】
搗きこねる作動が終了すると、前記スイッチ部24の「切る」を押して、回転羽根13の作動を停止すると共に、送風ユニット20の送風ファン21の駆動を停止する。
送風ユニット20を図2(B)に示す作動状態から図2(A)に示す非作動状態に戻す。其の際、ストッパー24のストッパー部材24bを押し込み、送風ユニット20を逆方向に回転させて収容部30に収容する。
【0039】
次に、前記餅つき機10の電気回路60の構成を詳述する。
図6に示すように、餅つき機10の電気回路60は、送風ファン21の駆動モータ23とリミットスイッチ22を直列に接続した送風ユニット回路61と、回転羽根用の駆動モータ14、温度ヒューズ66を直列に接続した餅つき用回路62と、ヒーター18、温度ヒューズ66と温度を検知するサーモスタット19を直列に接続し、かつ、該サーモスタット19にブザー57を並列に接続した蒸し用回路63と、ランプ56と外部抵抗67を直列接続したランプ回路64、1つの開閉スイッチ68を備えている。
【0040】
開閉スイッチ68は、第1〜第4接点68a〜68dを備え、第1接点68aはAC100V50/50Hzの電源69と接続している。第2接点68bは前記スイッチ部54の「切る」のボタンが押された場合に第1接点68aと接続される接点であり、どの回路とも接続されていない。第3接点68cは、スイッチ部54の「つく」ボタンが押された場合に第1接点68aと接続される接点である。また、第4接点68dは、スイッチ部54の「むす」が押された場合に第1接点68aと接続される接点である。
【0041】
送風ユニット回路61と餅つき用回路62は並列接続し、開閉スイッチ68の「つく」である第3接点68cと接続している。また、餅つき用回路62と送風ユニット回路61の並列接続回路はランプ回路64と直列に接続し、該並列回路とランプ回路64の直列接続回路は蒸し用回路63と並列に接続しており、ランプ回路64と蒸し用回路63は開閉スイッチ68の「むす」である第4接点68dと接続している。
【0042】
スイッチ部54の「つく」ボタン55cが押されると、開閉スイッチ68の第1接点68aと第3接点68cが接続し、餅つき用回路62へ通電がなされ、回転羽根13の駆動モータ14が回転駆動する。このとき、送風ユニット20のリミットスイッチ22がオンされると、送風ユニット回路61にも通電がなされ、送風ファン21が駆動する。
また、リミットスイッチ22がオフされると、送風ファン21が停止する。
さらに、リミットスイッチ22がオンの状態で、スイッチ部54の「切る」ボタン55aが押されると開閉スイッチ68の第1接点68aと「切る」の第2接点68bが接続し、送風ユニット回路61及び餅つき用回路62への通電が停止して送風ファン21及び回転羽根13の駆動モータ14が停止する。
【0043】
スイッチ部54の「むす」スイッチ55bが押されると、開閉スイッチ68の第1接点68aと第4接点68dが接続し、蒸し用回路63に通電がなされ、ヒーター18が温度上昇を始める。また、ランプ回路64と餅つき用回路62にも通電がなされ、ランプ回路64のランプ56が点灯する。なお、「むす」場合には餅つき用回路62及びランプ回路64に流れる電流は小さいため、餅つき用回路62の駆動モータ14は動作しない。温度が所定温度以上になると、サーモスタット19が動作して、ブザー57によりブザー音が発生する。
【0044】
前記構成からなる空冷式餅つき機10によれば、餅つき機10の本体ケース11内に送風ユニット20の収容部30を備えているので、餅つき機10を使用していない時や餅米を蒸している時など、餅搗きを行っていない時には、送風ユニット20を収容部30にコンパクトに収容することができ、送風ユニット20が本体ケース11より突出して餅つき機10の操作や収納の邪魔になるのを防ぐことができる。
また、送風ユニット20の使用時には、送風ユニット20を作動姿勢とする操作に連動して、自動的にスイッチ操作手段により作動スイッチがオンされ送風ファン21が作動する。このため、餅つき機10の使用者は送風ユニット20を収容部30から取り出して作動姿勢にするだけ送風ファン21を作動させることができる。
【0045】
図7及び図8に本発明の第2実施形態を示す。
送風ユニット20の収容部30の形状及び送風ユニット20の作動姿勢と非作動姿勢の姿勢変換の手段が第1実施形態と異なっている。
【0046】
送風ユニット20図7に示すように縦長直方体形状であり、図7(A)に示す非作動姿勢で、右のユニットケース29a、29bの図中右端側の側壁にスライド溝29kを設けており、ケース本体11に固定して収容部30に軸架したスライド軸42により上下に移動自在に支持している。
【0047】
送風ユニット20を収容する収容部30は、図8に示すように、収容部30の開口30hでの短尺の両側壁30b、30c間の長さは底壁30aでの長さより若干長くなっており、収容部30の開口を底壁30aよりも広くして送風ユニット20を収容部30から取り出して作動姿勢に変換しやすくしている。
該収容部30に収容される送風ユニット20は、送風ユニット20が収容部30に収容されている非作動姿勢において、ユニットケース29の上部が収容部30の開口30hとほぼ連続している。
【0048】
図7(A)に示すように、収容部30に収容された送風ユニット20を、図7(B)に示すように上方向に移動させる。この姿勢変換作動時に、リミットスイッチ22がスイッチ爪41と当接して押圧され、リミットスイッチ22がオンして送風ファン21が作動し、ホッパー12に空気が送られる。
【0049】
本発明においても、餅つき機10の本体ケース11内に送風ユニット20の収容部30を備えているので、餅つき機10を使用していない時や餅米を蒸している時など、餅搗きを行っていない時には、送風ユニット20を収容部30にコンパクトに収容することができ、送風ユニット20が本体ケース11より突出して餅つき機10の操作や収納の邪魔になるのを防ぐことができる。
なお、他の構成および作用効果は第1実施形態と同様のため、同一の符号を付して説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明である空冷式餅つき機の第1実施形態を示す正面断面図である。
【図2】空冷式餅つき機の送風ユニットが収容された収容部の側面断面図であり、(A)は送風ユニットの非作動姿勢を示し、(B)は作動姿勢を示す。
【図3】空冷式餅つき機の送風ユニットが収容された収容部の上面断面図である。
【図4】空冷式餅つき機の側面断面図である。
【図5】スイッチ部の説明図である。
【図6】空冷式餅つき機の電気回路図である。
【図7】第2実施形態を示す空冷式餅つき機の送風ユニットが収容された収容部の側面断面図であり、(A)は送風ユニットの非作動姿勢を示し、(B)は作動姿勢を示す。
【図8】空冷式餅つき機の送風ユニットが収容された収容部の上面断面図である。
【図9】従来例を示す図である。
【図10】他の従来例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
10 空冷式餅つき機
11 本体ケース
12 ホッパー
13 搗きこね用の回転羽根
14 回転羽根の駆動モータ
20 送風ユニット
21 送風ファン
22 リミットスイッチ
23 送風ファンの駆動モータ
24 ストッパー
30 収容部
40 回転軸
41 スイッチ爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケース内に、搗きこね用の回転羽根を備えたホッパーを収容していると共に該ホッパーの側部に送風ファンを備えた送風ユニットの収容部を備え、
前記送風ユニットは前記収容部に収容された非作動姿勢と、前記ホッパーの開口の側方上部に前記送風ファンを位置させる作動姿勢とに変換可能とされ、かつ、
前記送風ユニットは前記送風ファンの作動スイッチを備えると共に、該送風ユニットを前記作動姿勢とすると前記作動スイッチをオンするスイッチ操作手段を備えていることを特徴とする空冷式餅つき機。
【請求項2】
前記送風ユニットを回転手段あるいは移動手段を介して前記本体ケースに取り付け、該送風ユニットを前記非作動姿勢から作動姿勢時への姿勢変換時に前記作動スイッチがスイッチ操作手段でオンされる構成としている請求項1に記載の空冷式餅つき機。
【請求項3】
前記回転手段として本体ケースに固定した回転軸を設け、該回転軸で前記送風ユニットを回転自在に支持し、かつ、該回転軸からスイッチ爪を前記スイッチ操作手段として突設し、
前記送風ユニットを回転させて作動姿勢への変換時に、該送風ユニットに設けたリミットスイッチからなる作動スイッチを前記スイッチ爪でオンする構成としている請求項2に記載の空冷式餅つき機。
【請求項4】
前記回転羽根の駆動モータと前記送風ファンの駆動モータとを1つの開閉スイッチを介して電源と接続し、前記開閉スイッチのオン作動で前記回転羽根を回転駆動すると共に前記送風ユニットの作動スイッチのオン時に送風ファンを駆動し、かつ、前記開閉スイッチのオフ作動で回転羽根及び送風ファンの駆動を停止する構成としている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の空冷式餅つき機。
【請求項5】
前記作動姿勢とした前記送風ユニットを係止するストッパーを備えている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の空冷式餅つき機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−11737(P2009−11737A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180116(P2007−180116)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(000100469)みのる産業株式会社 (158)
【Fターム(参考)】