空気からの二酸化炭素除去
本発明は、空気からCO2を除去するための方法であって、吸着剤で被覆された表面を空気に暴露するステップを含む。本発明は、空気をCO2吸着剤に暴露するための装置も提供する。別の態様において、本発明は、吸着剤中で結合した二酸化炭素(CO2)を分離するための方法および装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気からの選択的ガス除去に関する。本発明は、空気からの二酸化炭素(CO2)の抽出について特定の有用性を有する。このような有用性と合わせて本発明を説明するが、他の有用性も意図される。
【背景技術】
【0002】
周囲空気から二酸化炭素(CO2)を抽出することにより、炭素系燃料を使用して、事後に関連の温室効果ガスの排出に対応することが可能となるであろう。CO2は量が百万分の幾つかでは有毒でも有害でもないが、大気中に蓄積するだけで環境問題を生じることから、空気からCO2を除去し、他所でしかも様々な時間での排出を補償することが望ましい。空気捕獲の全体的構想は周知である。
【0003】
CO2は、様々な産業上の応用、例えば、発電所での石炭による火力発電において、通常は、エンジン等の燃焼器で燃焼される燃料の主成分である炭化水素を使用する際に発生する。このような燃焼器から放出される排ガスはCO2ガスを含有するが、このCO2ガスはそのまま大気中に放出されてきた。ところが、温室効果ガスへの懸念が高まるにつれて、あらゆる源からのCO2排出を削減しなければならなくなる。移動発生源に関して、最良の選択肢は、車内または航空機内の移動燃焼器からではなく、CO2を空気から直接捕集することのようである。CO2を空気から除去する利点とは、移動機器上でCO2を貯蔵する必要が無いことである。
【0004】
空気からCO2を除去するための種々の方法および装置が開発されてきた。一例として、ラシヒリングと呼ばれるものを満たしたタンク内で、アルカリ溶液または吸着剤を用いた空気清浄が挙げられる。少量のCO2を排除するにはゲル吸収体も使用されてきた。これらの方法はCO2除去には効果的であるが、清浄工程中に比較的高い圧力損失が生じるため、空気から二酸化炭素を効果的に除去するには、吸着剤により空気をかなり高圧で圧縮しなければならない欠点がある。その上、圧力を増加させるために或る性質の圧縮手段が必要となるが、これらの手段は或る一定量のエネルギーを消耗する。空気を圧縮する際に使用されるこの付加的なエネルギーは、この工程の二酸化炭素の全体的バランスに関して特に不利な影響をもたらすことがある。すなわち、空気圧増加に必要エネルギーを創出するにもCO2の発生が伴う分、さらにCO2を捕獲して処分しなければならない。
【0005】
したがって、既知の方法では、これらの工程が空気を加熱または冷却するか、あるいは空気の圧力をかなり変化させるので、空気からCO2を捕獲することは非効率的である。すなわち、CO2の純減は取るに足りないものとなる。というのも、洗浄工程への電力供給用の発電の副生成物としてのCO2を、大気中へ放出するからである。
【0006】
さらに、空気からCO2を分離するための洗浄器の設計が既に存在するが、一般的にそれらの設計は、充填層型の実施に限定されており、その目標は通常、別のガスから不純物の全痕跡を除去することである。特許文献1に記載されているこのような一機器は吸収要素を含み、この吸収要素は、筐体内で相互から離間して組み立てられたポリ塩化ビニル(PVC)製または炭素発泡体製の多孔性焼結板を有する。多孔性板が筐体内で組み立てられる前に、該板内で水酸化カリウムが充満される。このような機器は、空気からCO2を分離するのに使用する吸着剤の材料を、機器の筐体を解体しないと補充できないという欠点を有する。
【0007】
空気からCO2を捕集する工程は通常、物理的または化学的のいずれかにより、空気からCO2を結合する溶剤に頼る。実際的なCO2溶剤類としては、例えば水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム等の強アルカリ性水酸化物溶液を含む。0.1モル濃度を超える水酸化物溶液であれば、空気からCO2を容易に除去することができ、CO2はそこで例えば炭酸塩として結合する。水酸化物濃度は高めであるのが望ましく、効果的な空気接触器となるものは、1モルを超える水酸化物溶液を使用する。水酸化ナトリウムは好都合な特別な選択肢であるが、その他の溶剤、例えば有機アミンを使用してもよい。吸着剤のさらに別の選択肢として、より弱いアルカリ性ブライン、例えば炭酸ナトリウムブラインまたは炭酸カリウムブラインを含む。
【0008】
また、特許文献2、および特許文献3も参照されたい。
【0009】
前述の先行技術の検討は、主として、本発明者らによる先の特許文献4に由来しており、そこでは、空気から二酸化炭素を除去するためのシステムであって、溶剤で被覆された表面を気流に暴露するステップを含み、空気流量は層流状に保たれるか、または層流領域に近いシステムが提案されている。二酸化炭素ガスは溶剤により吸収され、空気から除去される。好適な実施形態において、溶剤は、アルカリ性の吸着剤溶液、例えば強水酸化物溶液を含む。本発明者による先の特許文献5も参照されたい。そこでは、液体吸着剤を支持するための連続気泡発泡体を含む空気/液体交換体を記載している。
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,047,894号明細書
【特許文献2】PCT/US2005/015453
【特許文献3】PCT/US2005/015454
【特許文献4】PCT/US05/29979
【特許文献5】PCT/US06/03646
【特許文献6】米国特許出願第60/603,811号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述の先行技術に勝る改良を提供する。より詳細には、本発明は、空気から二酸化炭素または対象となるその他のガスを除去するための幾つかの工程およびシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は一実施形態において、CO2を捕獲または吸収するためのイオン交換材料を提供する。一態様において、本発明は、一次CO2捕獲マトリックスとして固体の陰イオン交換膜を用いる。イオン交換材料は、或るイオン交換材料から成る固体のマトリックス、または或るイオン交換材料が塗布された固体のマトリックスを含むことができる。別法として、この材料は、或るイオン交換材料が塗布されたセルロース・ベースのマトリックスを含むことができる。
【0013】
本発明のさらなる別の実施形態は、湿潤発泡体/空気の交換体を用いる。この交換体は、炭酸ナトリウム水溶液または炭酸カリウム水溶液、あるいはその他の弱い二酸化炭素吸着剤を使用して空気から二酸化炭素を吸収し、重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウムを生成する。その後、結果として生じた重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウムが処理されて、炭酸塩の吸着剤が一新される。この炭酸塩の吸着剤は、再循環する間に回復し処分することができる。
【0014】
本発明のさらに別の実施形態において、二酸化炭素はイオン交換材料により空気から除去され、このイオン交換材料は液体のアミン溶液により再生され、このアミン溶液はその後、電気透析セル内へ通すことにより回復される。
【0015】
本発明のさらに別の態様において、二酸化炭素は、海水のアルカリ度を変更することにより空気から除去され、これにより、大気から水中への二酸化炭素の流動が増加する。
【0016】
添付の図面と合わせて検討すれば、本発明のさらなる特徴および利点が、以下の詳細な説明からわかるであろう。図面では、同様の番号は同様の部分を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は全体として、特に空気からの二酸化炭素(CO2)の抽出、低減、捕獲、処分、隔離、または貯蔵に関連しており、環境からCO2を削減または排除する新規の工程および装置に関連している。本発明は、CO2の抽出も隔離も網羅している。
【0018】
本発明者による先の特許文献6において、吸着剤で塗布された表面に空気を接触させるための戦略を概説した。CO2を吸収する水酸化物溶液または炭酸塩溶液に特有の低速反応速度論に関して、層流用に直線的流路を提供し、捕集構造の全域での圧力低下における所与のエネルギー投資用にCO2の取込みを最大にすべきであることを示した。液側の反応速度を改良できるとすれば、流路を複雑にすることで空気側の制限が低減されるであろうが、反応速度が低いので、表面が平滑な直線的流路が最も効果的であると思われる。
【0019】
本発明は一態様において、吸着剤が弱く取込み速度が低くても効果的に進行できる、空気流から二酸化炭素を吸収するための手法を提供する。直線的流路が発泡体を、この発泡体を切り抜けて進むその内部表面が弱い吸着剤で完全にまたは部分的に被覆されるように湿潤することにより、低速のガス流量に暴露される吸着剤表面の面積を大きくすることができる。流路およびバルク発泡体を通るガス流量を調整して、多層発泡体の全域での所与の圧力低下に対して、希薄な二酸化炭素の取込みが最適化されるようにすることができる。この技術は、低濃度ガス混合物を或るガス流へと抽出するのに、吸収速度の速い強い吸着剤の必要性がない。結論として、空気からCO2を捕獲するために、水酸化ナトリウムのような強い吸着剤に頼る必要はなく、炭酸ナトリウムのような弱い吸着剤を活用することができる。二酸化炭素と弱い吸着剤との結合エネルギーは低めであるので、後続の吸着剤回復ステップが大いに簡素化される。本開示は、関連する原則を説明し、湿性発泡体表面を創出するとともにCO2を含んだ吸着剤を発泡体から抽出するための方法および装置を概説する。これらの方法は、適用可能な任意の吸着剤回復方法と共に使用することができる。これらの方法は、空気からの二酸化炭素の捕獲に限定されるものではなく、任意のガス流からの微量ガス混合物の捕獲まで容易に拡張することができよう。以下で概説するように、実施の詳細は、微量ガスの濃度、吸着反応または吸収反応の速度、および関連する流速によって決まることになる。工程の目標が、混合体からその微量ガス全てを捕獲してガスを浄化することであるのか、あるいは、目標が、搬送ガスからほとんど全ての痕跡を排除しようとせずに、混合体から有益な微量ガス流を捕集することであるのかも重要である。
【0020】
空気から二酸化炭素を捕集する際、2つの相異なる移行ステップにより、可能性として速度制限を設定することができよう。1番目は、二酸化炭素を吸着剤へ取込むステップであり、2番目は、二酸化炭素を、空気側境界層を通して吸着剤の表面へ運搬するステップである。第1の事例では、捕獲システムは吸着剤側で制限され、第2の事例では空気側で制限される。先に刊行された特許文献5では、希薄な流れからCO2捕獲器を最適化する1手法を概説した。本明細書では、全く異なる原則を活用する別の手法を概説する。両方の手法とも、洗浄機器の全域で必要となる圧力低下を最小にして、或る一定の分率のCO2を空気流量から除去することを目指している。空気中のCO2が非常に希薄であることから、空気洗浄システムに空気を押し通すためのエネルギー損失を最小にすることが重要である。圧力低下が弱まって、空気と吸着剤材料との間で接触させるためのエネルギーを提供するのに自然風の流量の部分的停滞で充分となることが理想である。
【0021】
前述した以前の発明は、CO2運搬が少なくとも部分的に空気側で制限されるのを確実にすることにより、固定した流速での圧力低下を最小にする方法を提供している。アルカリ溶液のような弱い吸着剤に関して、このことは、空気側の質量運搬係数と吸着剤側の移行係数とがおよそ等しくなるように、層流が、充分に厚い境界層を発生させることを意味する。対照的に、本発明は、空気流量を高速流と低速流とに分割し、低速で流れる流れに洗浄器を挿入することに関連している。
【0022】
特別な設計として、許容境界層の厚さと比較して、最も近隣の吸収表面間の距離が小さいフィルタ機器を検討する。その場合、表面上のCO2濃度はさほど低減されず、それ故に、システムは吸着剤側で制限されていると見なすことができる。このようなシステムでは、二酸化炭素の分別損失と比較して運動量の分別損失が大きい。空気流の速度を低下させると、システムは吸着剤側で制限され続け、運動量の分別損失はやはり高いまま留まるが、利用可能な運動量は迅速に低下する。故に、フィルタシステムの所与の厚さに関して、運動量の全損が低減される。フィルタ内の空気の滞留時間が長くなることで、空気のCO2含有量が一層低減するので、圧力低下をさらに低減することができる。CO2分別抽出を一定に保持する場合、フィルタはより薄くすることができ、したがって、必要となる圧力低下がさらに低減される。
【0023】
一方、捕集器を通る総流量を一定のままにすべき場合、フィルタ内の流量を減速するには、別の流れの加速を伴わねばならない。このことは、空気流を2つの流れに分割することにより遂行することができる。両方の流れが同時にフィルタを通過する。システムは、フィルタの厚さと空気の流速とにより支配される圧力低下を受ける。ある区間において、1つの流れがまず拡張される一方で、他方の部分が合流されるように流量パターンが認識された。結果として、拡大区間の空気は減速し、狭窄区間の空気は加速する。最大断面の地点では、低速の流量内にフィルタが据付けられる。この地点の下流では、拡張された空気流量が再度合流され、他方の空気流は、第1流量がより上流で有したのと同じ拡張断面になるまで展開する。この地点で、第2流れ内の空気は洗浄されてそのCO2が全部または一部落とされる。最終区間が後に続き、そこでは両方の流れがそれらの最初の断面に再調整されている。同じフィルタ信用を達成するために、この新規の設計におけるフィルタは実質、より薄くすることができる。システムが吸着剤側で制限される場合、フィルタの容量は変更する必要がないが、断面が増加することから、フィルタの厚さを相応に低減することができる。流速が遅くなり、フィルタの抵抗が低減するので、圧力低下が低減される。
【0024】
上記の例は、物理的な基本原則を説明するのに役立つ。このような挙動と、フィルタ材料のような単純な発泡体ブロックとを接近させる具体的な方法を以下で概説する。発泡体ブロックは、以下の多くの利点を有する。つまり、任意の形状に形作ることができる;或る液体を保持することができ、容易に湿潤される;連続気泡発泡体が大きな内部表面積を呈するので、これを使用して、発泡体を流れる空気からCO2を吸収することができる。
【0025】
NaOHまたはNa2CO3のような液体吸着剤で湿潤された大きな発泡体ブロックが、空気からCO2を吸収することになる。通常の孔の寸法が約1mmであり、具体的な面積が約4000m−1であると仮定すると、吸着剤表面が約2μmolm−2s−1である通常の取込み速度は、1立方メートルの発泡体ブロックで8mmols−1の取込み能力を提供することになる。空気流から5mmol/m3を抽出することを意図する場合、流速3m/秒での装置の厚さは約2mとなろう。一方、固体の発泡体ブロックの圧力低下ははるかに大きすぎて、このような高い流速を維持できないであろう。しかし、発泡体を通る流路を拡大して、空気の90%が発泡体層を迂回し、その後、空気が再度混合され、90%が迂回して別の層を通過する場合、発泡体の有効流速は10倍小さくなり、圧力低下が10分の1になり、取込み速度が事実上不変となる。というのも、この取込み速度は、これらの薄片を流通する空気の速度により制限されるのではなく、これらの発泡体薄片内部の表面がCO2を吸収できる速度により制限されるからである。
【0026】
発泡体層を通る小さい直線的流路を形成することにより、発泡体を通る通路が広がり、これによって、大部分の空気が、発泡体を経由するのを避ける経路ができるであろう。穴の総断面および穴の直径を調整することにより、圧力低下と流速の関係、および実際に穴を経由する流量の割合を制御することが可能である。
【0027】
固定流量において穴の直径が小さいほど、圧力低下が強まることになる。あるいは別法として、固定した圧力低下にすれば、流量は高まることになる。実際のシステムは、穴の直径および穴の数の調整によって流量に対する全体的な抵抗が変化する、したがって圧力低下および流速が変化するという2つの制限間で動作する。
【0028】
穴の数を増加すれば、流量が増加し、故に発泡体ブロックの全域の圧力低下が低減されることになる。発泡体ブロックの全域の圧力低下は、発泡体の内部実質を通る流速を制御する。従って、このシステムのパラメータは、発泡体ブロックの全域のその圧力低下と、迂回流量の寸法とが別々に制御されるという点で、特定の装置を最適化するように調整することが可能である。
【0029】
最終的に、これらの概念を一般化すると、これらの概念は、空気からCO2を抽出することに制限されるものではなく、任意のガス流から任意の微量ガスを抽出することに容易に一般化することができる。最後に、上記の検討のほとんどにおいて、吸収体が、発泡体により吸収される液体であると仮定したが、当然ながら、繊維のマットまたはその他の構造を含む、システムを通過しながらCO2を吸収できる固体の材料のような発泡体を検討することも可能である。
【0030】
液体を容易に保持する非常に親水性のフェノール発泡体であり、したがって完全に液体を満たした孔を有するAQUAFOAM(R)で実施される実験とは対照的に、ポリウレタン発泡体では基本的に、浸漬の時点で含有していた液体容量の80〜90%が取り除かれた。フェノール発泡体(AQUAFOAM(R))での実験とは対照的に、ポリウレタン発泡体に関する実験では、取込み継続時間は、数日〜数週間から数十分へと大いに低減された。その代わり、半モルの炭酸ナトリウム溶液のような弱い吸着剤について、取込み速度は大いに増進した。2つの実験の決定的な違いとは、前者の実験では発泡体に流体が満たされているのに対して、後者の実験では発泡体の容量は大多数がガスを満たしていることである。孔容積を液体で満たす実験の間、ポリウレタン発泡体ブロックを間欠的に浸漬すると、CO2取込みが即座に低減された。CO2取込みは、発泡体に含まれる液体レベルが適切に低減された後にやっと回復した。
【0031】
炭酸塩溶液のCO2取込みが大いに増進する一方、水の蒸発の速度は基本的に不変である。水の蒸発は吸着剤側では制限されず、故に、発泡体ブロックを通るガス流は即座に水飽和し、したがって、追加の水の吸収を停止する。しかし、ほとんどの設計において、この効果を活用することは不可能であろう。というのも、CO2取込みを最大にするシステムが全ての空気に接触し、したがって、全ての空気を水蒸気で飽和させるからである。
【0032】
親水性表面と疎水性表面と混合表面の役割が、この時点で完全には理解されていない。各々は利点と欠点とを有する。疎水性は、発泡体で保持される液体量と、この液体をどの程度簡単に等しく塗布できるかの簡便性とを制御する。したがって、孔の寸法が通常よりも僅かに大きい親水性フェノール発泡体は、優れた湿潤特性と、適切で低い水保持レベルとを組み合わせることができるということが考えられる。最も商業用に利用可能なフェノール発泡体は水を保持するように設計されており、したがって、この用途にはさほど良好に適合しない。
【0033】
種々の発泡体が商業用に入手および利用可能である。これらの発泡体は、重大な圧縮を受けると潰れて機械的に破壊されることになる硬質発泡体と、「圧搾」できる柔軟な弾性発泡体とを含む。硬質発泡体は流体で迸出することしかできない。適切な飽和レベルを維持するには、このような発泡体は排出させることが必要である。他方で、空気のようなガスを圧力下で発泡体マトリックス内へ追いやることにより、発泡体から液体を押し出すことが可能である。
【0034】
流量パターンの不均一性、排出速度および乾燥速度により、これらの発泡体を使用することは試みる価値がある。柔軟な弾性発泡体の場合、発泡体マトリックスを圧縮することにより、液体を発泡体の内外へ移動させることが可能である。硬質発泡体の場合、発泡体の全容量にわたって流体を均一に分配する際に、発泡体を旋回させることが役立つであろう。
【0035】
したがって、この第1実施形態の第2態様は、液体を塗布し、柔軟な弾性発泡体構造から、並びに、発泡体構造を損傷しなくては圧縮できない発泡体から、液体を抽出することに関連している。
【0036】
発泡体を湿潤する最も単純な手法は、頂部に液体を塗布し、これを重力により排出させることであろう。この手法には、排出の容易な特に大細胞型の発泡体、または網状発泡体が適している。発泡体の湿潤が、流体を流すことと、重力に基づいて排水することとにより遂行される場合、発泡体を低速で回転させると、発泡体の内部で均一な流体範囲を得るのに役立つ。回転により発泡体と重力方向との整合が変化する際、発泡体の内部の流れ方向が変化しないように、回転軸の方向は水平方向に或る成分を有さなければならない。回転速度は発泡体特性および流体流量特性に適合しているので、回転時間中、流体の大部分は(ただし全てではない)、発泡体容量の底部まで流れることができる。発泡体を適切に形作ることにより、発泡体片を回転する工程において流体を移行することさえ可能である。一例として、発泡体は、図1(a)に示すような閉じた螺旋形状200にして形成し、その縁または周縁部202を、液体吸着剤の流体206を収容するパンまたは水溜め204に浸して、軸の周りで低速で回転させることができる。流路208は、発泡体を通るように形成して空気が通過可能にすることができる。別法として、発泡体は、図1(b)に示すように、開いた螺旋形状210にして形成し、その周縁部を、液体吸着剤の流体を収容するパンまたは水溜め214に浸して低速で回転させることができる。また、所望する場合、発泡体螺旋物の中心軸端を、発泡体螺旋物と共に回転する吸着剤捕集トレー216内に装着することができる。この場合、回転により、流体はこの形状の縁からその中心へ次第に移動することになり、中心では、発泡体から流体を抽出することができる。
【0037】
弾力的に圧縮できる発泡体では、発泡体を圧縮したり弛緩させたりすることで流体を移動させることにより、流体を確実に混合することができる。図2(a)〜図2(c)を参照すると、発泡体構造に液体を通すために、発泡体44の表面上でローラ42を動かすことにより、または平板間で発泡体ブロックを圧縮することにより、外部圧力を加えることができる。ローラ42は、発泡体の両側で転がる平滑な円筒形表面とすることができる。ローラは、発泡体の外面を相互に向けて押圧し、したがって、流体が容量全体を流れ混合させられる。別法として、単一のローラを片側に使用し、発泡体の裏面に、発泡体を適所で保持する剛性の表面を使用することができる。この配置は、比較的薄い発泡体では特に有用なものになるが、その場合、第2のローラの付加的費用、および付随する構造の複雑化は正当とは認められないことになる。
【0038】
ローラの表面は、平滑な表面を持たせる代わりに、圧縮度を局所的に変動させることにより、発泡体内の流体の運動を増加させるように構造化して形作ることができる。選択肢として、ローラ軸に続く稜をつけて単に溝彫りすることを含む。別法として、ローラの周りを周方向に走る稜、または窪みおよび突出部を備えた表面を検討することができる。これらの構造化表面のいずれかがあれば、対向するローラ上の表面(あるいは構造化壁の形状)を適合させて、流体流量パターンを最適化させることが有益となろう。発泡体の剪断歪を最小にしつつ、発泡体の容量変化を最大にすることに注意しなければならない。
【0039】
図2(a)〜図2(c)を参照すると、図説の目的でここで検討する特別な実施とは、矩形の形状の発泡体マトリックス44であり、この発泡体マトリックスは、幅および高さが大きく、厚さが比較的小さい。一例として、高さ2メートル、幅1メートル、厚さ0.3mの発泡体ブロック捕集器パッドを検討されたい。狭い管状流路が、ブロック厚0.3mのブロックを通って交差する。空気は発泡体を、その最小寸法の方向で発泡体を横切っている流路の方向に流れることになる。その両面または上部には液体を塗布することができ、ローラ112、114は、高さ2m・幅1メートルの矩形の面に渡されることになる。転がり作用により液体が適所で圧搾されることになる。高度に圧縮する下向きの行程を使用すれば、下向きに液体を圧搾し、これをブロックの底部から排出させることができよう。
【0040】
ローラ112、114は発泡体の両側を上下に移動することになるが、内または外へ移動して発泡体捕集器パッドへの圧縮力を変更することができよう。圧縮力のより少ない上向きの行程を使用して、ブロック全体への均一な流体充填を確立することができよう。
【0041】
液体を、ブロックの上部に塗布してローラにより押し下げることができる。一部の流体は下向きに押し下げられ、発泡体マトリックス内には、ローラ間の間隙に応じて或る一定量の流体が残る。発泡体の高さがさほど高くない場合は、流体を全て上部に塗布して底部まで押し下げることができよう。別法として、流体を、ローラより前に発泡体の両側へと噴霧することができる。圧縮が高く設定されている場合、ローラを使用して絞り出すことのできる液体は、ローラの両側から押出される際にローラの前面で直に捕獲されるか、ローラの速度が充分低速であれば流体が発泡体パッドの底部まで押圧され、そこで押し出され捕集されることになるかのいずれかである。したがって、付加的な搬送流体を噴射するか、液体を発泡体から単に圧搾するかのいずれかにより、液体をパッドから除去することが可能である。第2の応用例では、発泡体に塗布される新鮮な流体が、圧縮レベルを低めにして発泡体パッドの容量にわたり均一に塗布される。
【0042】
パッドをローラに通し、ローラを固定位置に据え付けることも可能である。
【0043】
図3(a)〜図3(b)を参照すると、ローラの代替案として、発泡体捕集器パッド110の区域全体を圧搾する平板118〜120があろう。この代替案は、空気流が垂直方向に整列され、流体が空気流方向と平行に発泡体の内外へ圧搾されるように発泡体の圧縮が使用される配置では、特に良好に働くであろう。この圧縮状態はふつう、発泡体パッドの最小寸法を表す。圧搾前に発泡体パッドを旋回させて、これを直立位置から水平位置へ移動させることも可能である。
【0044】
ローラではなく発泡体が移動する特別な実施として、ローラ上で発泡体がベルトのように連続的ループとして移動し、発泡体が無端ループとなって移動する間、ローラが発泡体を飽和させ圧搾する設計があろう。これらのループは種々のやり方で配置することができよう。特に、ループを上下に垂直に走らせること、あるいはループを水平に走らせることが可能である。
【0045】
図4(a)〜図4(c)に示す本発明のさらに別の態様において、捕集器は、複数の発泡体捕集器パッド50を含むことができ、各々は、支柱132から回転可能に懸下され、その支柱132は、それぞれ図4(a)〜図4(b)に示す動作位置および開放位置と、図4(c)に示す閉鎖位置との間で水平に移動可能である。閉鎖位置では、噴霧機から液体吸着剤を塗布し、過剰な吸着剤は端板48を介して圧搾することができる。存在させる液体の量の選択は、発泡体を通るガス流量がほとんど妨害されず、孔容量の大部分がガスで満たされ、ガスの満たされた孔空間が相互接続されて、拡散またはその他の手段により、CO2が吸収されるまで孔から孔へ次々にCO2を移送できるように、行われる。
【0046】
空気側で制限される流量については、流路が直線状であるのが理想であるが、流れ場の圧力を変動させることにより、ソルベートガスが発泡体構造へ移動する実効速度を増進することができる。
【0047】
上で説明した装置では、すなわち前述の本発明者による特許文献5の教示によれば、吸着剤として水酸化ナトリウム溶液を用いることができるが、本発明の1実施形態によれば、空気から二酸化炭素を吸収するために、炭酸ナトリウム水溶液または炭酸カリウム水溶液、あるいはその他の任意の弱いCO2吸着剤を使用して、以下の工程中に重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウムを形成する湿潤発泡体空気抽出器システムを用いることができる。すなわち、固体の吸着剤(好適な実施ではイオン交換樹脂である)上に重炭酸塩ブラインを浸透させることにより炭酸塩の吸着剤を一新する吸着剤回復ステップ;液体吸着剤(好適な実施では液体のアミン溶液である)による樹脂回復ステップ、および温度スイング、圧力スイング、あるいは電気透析のいずれかにより遂行されるCO2解放ステップである。
【0048】
したがって、装置を通る、空気からのCO2の理解は、以下のように説明することができる。空気は炭酸ナトリウムのような弱い吸着剤と接触する。この弱い吸着剤は、発泡体表面にわたり分布しているおかげで高い取込み速度を達成できるので、空気側の運搬がCO2取込みを制限し始める。水溶液は、いったん充分な量のCO2を取り込んでしまうと、固体の吸着剤、例えばアミンをベースとするイオン交換樹脂上で浸透し、これにより水溶液から重炭酸塩が除去される。したがってそのアルカリ度が復旧する。CO2は今度は樹脂に付着し、後続のステップにおいて、樹脂を別の液体吸着剤、好ましくはアミン溶液で清浄することにより樹脂からCO2が除去され、その後、最終ステップにおいてこのアミン溶液からCO2を回復することができる。ここで、選択肢は、温度スイング、圧力スイング、あるいは電気透析工程である。
【0049】
図5を参照すると、工程のステップは以下の通りである。ステップ250にて、炭酸塩で湿潤した発泡体上で空気から二酸化炭素を捕獲する。この工程において、湿潤発泡体構造は、システムを流れる周囲空気に、0.1m/秒〜100m/秒に及ぶ速度、好ましい範囲は0.5m/秒〜10m/秒、最適範囲は0.5〜4m/秒の速度で暴露される。上で説明したように、これらの発泡体構造は、そこを空気が流れて湿潤発泡体の表面と接触する通路を有するように形作られるか、または配置される。湿潤発泡体の表面は二酸化炭素を吸収する。そのような場合、CO2を含んだ吸着剤は、重炭酸イオンを含有する。工程の後続のステップは、非常に希薄な重炭酸塩流れから炭酸塩を回復しなければならず、場合によってはるかに大きいCO32−濃度で混合されることになる。
【0050】
炭酸塩と重炭酸塩との比率は、全体的な炭素濃度によって決まる。吸着剤の液体を発泡体の内外へ移動させるために、液体は、他所で説明した幾つかの方法のうちの1つにより、発泡体から迸出される。好適な方法は、液体単独の重力排水により消費済み吸着剤が除去されることになる設計、あるいは、水を迸出することにより消費済み吸着剤が可動化され、これが機器の底部にて捕集されることになる設計であろう。最適な捕獲設計が重力排水に適さない実施では、例えば上で説明したような、発泡体の運動または圧縮を活用するその他の方法が可能である。
【0051】
いずれにせよ、結果として生じる水溶液は、ナトリウム重炭酸塩の希薄な流れを含む。低濃度であると仮定すると、このブラインから吸着剤とCO2とを直接的に回復することはふつう最も有利な手法ではない。代わりに、アミンをベースとするイオン交換樹脂に水溶液を接触させることにより低濃度の重炭酸塩がまず濃縮される三段階手法を提供する。
【0052】
次のステップ252では、重炭酸塩溶液と接触するイオン交換樹脂が、ブラインから重炭酸イオンを吸収してこれを水酸化物イオンに置換し、第2重炭酸イオンと反応することによりこの水酸化物イオンが中和し、結果として炭酸イオンと水とが生成されることになる。樹脂は様々な種類のものとすることができるが、好適な幾つかの樹脂が商業的に利用可能である。アミン基で官能化された樹脂が好適である。重要な検討事項として、重炭酸塩(または炭酸塩)と樹脂との結合エネルギーがある。結合エネルギーは、液体から樹脂へCO2を移行するのに充分大きくなければならない。ただし、後続の処理ステップにおいて二酸化炭素を放棄するには充分弱くなければならない。通常の結合エネルギーは、20〜60kJ/モルに亘ることになるが、これよりも広い範囲が可能である。実用性にとっては有機樹脂が好適であるが、この転移を実施するその他の固体の吸着剤を等しく活用することもできよう。特に好適な或る材料として水酸化マグネシウムがあるが、炭酸塩化可能なその他の固体の材料も使用することができ、例えばケイ酸リチウムおよびジルコニウム酸リチウムが例として与えられる。このような材料はCO2を吸収することができ、本発明によれば固体の吸着剤として使用することができる。同様に、商業用に利用可能な種々のイオン交換樹脂が、炭酸塩ブラインを回復することができ、アルカリ度を出発材料のアルカリ度まで戻し上げることにより、本発明の実施において使用することができる。
【0053】
特別な実施として、CO2を含んだ吸着剤がそこを通って循環する樹脂層がある。この層を吸着剤が流れるので、樹脂は次第に二酸化炭素で飽和される。流量が比較的低速に保たれると、吸収フロントは、樹脂を通って次第に移動し、層の遠端で出現することになる。この段階で、廃水中の重炭酸塩の濃度の突然の増加が観察され、したがって、樹脂がいつ消費されたかがわかることになる。いったんこの時点に到達すると樹脂は一新される予定となる。
【0054】
空気中の二酸化炭素の分圧は非常に低く、約380マイクロバールである。結果として、ほとんどの樹脂で、このフロントの定義が多少広く、不明瞭であることになる。その場合、有利なのは、樹脂層を多数の層に分割し、ほぼ消費済みの層を使用して二酸化炭素の除去を開始し、これによって層の飽和を最大にし、単数または複数の瀑落層を使用してCO2の大部分を吸着剤から除去し、最終的には吸着剤流体を新鮮な最終層に通して浸透させ、抽出を最大にすることであろう。静止した層を共に配管して弁を付けることにより、一連の吸着剤一新ステップまたは樹脂回復ステップにおけるそれらの論理位置を循環させることが可能である。結果として、動作のステップは次第に環状のタンクを通って移動する。幾つかの樹脂について、様々な部位の結合エネルギーが変動し、その場合、樹脂をその限界まで押圧することは不利であろう。代わりに、このような場合、樹脂は結合エネルギーの範囲内で前後に揺動することになる。このことは容易に許容される。
【0055】
ステップ254では、樹脂は、異なるCO2吸着剤、例えばアミン溶液で樹脂を清浄することにより回復され、このアミン溶液は、二酸化炭素を充分強力に結合して樹脂から二酸化炭素を回復させる。これにより、重炭酸イオン、カルバミン酸イオン、または炭酸イオンが樹脂からアミン溶液へ移行することになる。この最終ステップの利点とは、アミン溶液が、樹脂自体よりもはるかに高い負荷率、すなわちアミン溶液とCO2との重量の比率を達成できることである。最初の炭酸塩ブラインと比較した場合、改良点はさらに大きい。したがって、吸着剤を加熱および冷却する際に、樹脂自体の上で加熱回復ステップが実施された場合、あるいは元の弱い吸着剤からの回復が試みられた場合よりも、消耗されるエネルギーは少ない。
【0056】
CO2を含んだアミン溶液は温度スイングで変換され、ステップ256においてアミンから二酸化炭素を解放する。その他の二酸化炭素吸収システムにおいて、アミン溶液が使用されることから、このステップに利用可能な幾つかの選択肢がある。1つの選択肢において、熱を工程に移行する際、水蒸気が使用される。好ましくは、水蒸気を形成するための熱は、カーボンニュートラルなエネルギー源、例えば太陽エネルギーからのものであり、あるいはこれらの源がない場合、炭素系燃料と純酸素との燃焼からのものであり、これによって、濃縮されたCO2の付加的な流れが生じる。このことはCO2再循環工程のエネルギー需要を反映している。当然ながら、地熱熱源、太陽エネルギー熱源、ならびに消耗熱エネルギー源を含むその他の熱源を使用することもできる。
【0057】
本発明は変更が可能である。例えば、液体吸着剤がこれを通って浸透する不活性発泡体を使用する代わりに、官能化された発泡体または樹脂を、炭酸塩の吸着剤を使用せずに使用することが可能である。そのような場合、空気から二酸化炭素を直接捕集するために、湿潤発泡体が使用されることになろう。そのような場合、発泡体は、完全に乾燥するのが許容されるべきでないが、幾つかの発泡体では、液体水を注入する必要がないことがある。というのも、空気中の最小量の湿気が、空気からの二酸化炭素とのアミン反応を有するのに充分なことがあるからである。発泡体がいったんCO2で飽和すると、樹脂を再生するのに、二次CO2吸着剤による迸出を使用することができる。この二次CO2吸着剤は、炭酸塩溶液(ただし、上で検討したシステム内よりも炭酸ナトリウム濃度の高いもの)とすることができよう。樹脂の清浄も、アミン清浄とすることができよう。その場合、工程は、上で検討した主工程を能率化した変形となる。
【0058】
別法として、発泡体において炭酸塩の吸着剤を使用する代わりに、発泡体内で直接アミン溶液を使用することができよう。そのことは、工程の第2および第3ステップを排除するであろう。その結果、工程が単一の捕獲工程ステップまで能率化され、その後は、単一の、吸着剤回復およびCO2解放工程ステップが続く。
【0059】
CO2回復の温度スイングを電気透析工程に置き換えることも可能である。電気透析は、例えば本発明者らによる先の特許文献5に開示されているような、幾つかの相異なる手法に付随させることができよう。電気透析を、第1ステップにおいて発生する重炭酸塩溶液に適用することができよう。あるいは別法として、最終ステップにおいて発生するアミン溶液に適用することができよう。
【0060】
本発明のさらに別の態様において、CO2およびその他の酸ガスを空気から直接捕獲するために、固相陰イオン交換材料(AEM)を活用する。空気からCO2を低く(ppm)吸収するその有用性に関して、本明細書で検討するようなAEMを適用する(ただしそのまま)ことは、例えばNOx吸収、およびSO4、ならびに濃縮CO2、あるいはその他のガス除去等、その他の低濃度ガスを捕獲するのに便利である。
【0061】
2つの代替案が可能である。
【0062】
1つの代替案とは、蒸気圧の少ないかまたはない固体として働く一方で、大容量の空気に暴露されて低濃度でCO2を捕集できる中間固体基板を使用することである。固体基板は、CO2がしばらく経って水溶液へと解放されるまで、CO2を化学的に貯蔵する或る種の網として働くものと想定することができる。さらに、固体基板は、新たに捕集されたCO2を、固体表面をも再生させる水溶液へ戻すことができる。捕獲されたCO2を含有する水溶液は、エネルギー的に実現可能なやり方で再生される。揮発性水溶液または高蒸気圧の水溶液を活用して、基板からCO2を捕集し、これを低いエネルギー損失で再生することができる。この中間ステップにより、基板を開放的環境に暴露せずに、大気汚染および大気損失を防止しつつ、基板に付着したCO2を開裂させることができる。
【0063】
上記の工程は、固体基板を往復して陰イオンを交換する。ここでは、イオン移行に参加する固体基板に固締された陰イオン交換の相手を活用している。この一例として、メチルアミンの、クロロメチル化を介したスチレン主鎖(脱イオン水システムにおいて使用される一般的なイオン交換樹脂)への反応がある。この種類のシステムでは、アミン等の窒素族が、共有結合を介してポリマー主鎖に付着する。この共有結合は、アンモニア型の分子を基板に固定する一方で、この分子が解離する(陽イオンおよび陰イオンを形成する)のを可能にする。窒素に付着できる可能な4つの共有結合が全て炭素基で満たされると、窒素は電子欠損状態を強いられて、永久的な正の電荷を獲得する。アンモニウムイオン上の永久電荷は窒素を陽イオンに変化させ、その後陽イオンは、隣接する陰イオンのイオン付着により満足されねばならない。これが、固体のポリマー基板に共有結合した塩である。
【0064】
強塩基水溶液のように働く固体表面を生じる能力は、以下に限定されない幾つかの特性および利点を提供する。
1.CO2の網は、アミン塩の陰イオン交換特性を活用する一方で、固体ポリマー主鎖のゼロ蒸気圧を利用する。基本的に、アミン塩は、その陰イオンを全て、OH−の表面を固体に付着させたまま濃度勾配を介して置換することにより、水酸化物(OH−)に押し込むことができる。付着したOH−はこれで、入来するCO2と反応させるのに容易に利用可能である。CO2を捕獲する技術のほとんどが、酸ガスと液体塩基表面またはOH−表面との反応を利用していることから、この方法は、高速の酸/塩基反応速度論を共にしている。
2.液膜中間体の排除により、現行の方法と比較して、表面積を大きく増加することができる。気液接触器において、極力多くの空気を接触させるように液体を拡張することが課題である。これは通常、ガスが適切に流れることができないような大きな圧力低下を誘発せずに、固体表面上で液体を伸ばし、その表面を増加することに関連する。OH−固体表面により、圧力低下を最低限にした最大表面積が可能となる。
3.反応を起こすには最低限の水が必要となるが、概して、基本的に水は消費されない。膜は空気から水を開裂させて捕獲を促進することができる。大容量の空気が関わると、このことは主な利益となる。
4.OH−がポリマー基板に付着するので、OH−を置換するのに利用可能な陰イオンがなければ、あるいはOH−と反応するのに酸が利用可能でなければ、OH−はもはや環境と反応することができない。これは、酸ガスのみと極めてよく反応する良性表面である。これにより、やはり捕獲を促進しつつ、環境との直接的接触から強酸化剤を完全に除去することができる。
5.大容量の開放空気を接触させることに関する別の問題として、捕集器自体の空気汚染がある。システム内での汚れや細菌の集積は不可避である。汚染物質から固体自体への陰イオンの移行がない限りは、処理前または再生前に表面を水で清浄し、汚染物質が残りの分離工程に入らないようにすることができる。
6.表面更新の間では、必要となる液体揚水はほとんどないか、またはない。これにより、表面上に流体を分配して接触区域を生じることによる揚水費用が著しく低減される。
7.陰イオン交換基をポリマーに付着させるための工程が比較的良好に理解されることから、陰イオン交換材料を適用できる材料の種類または形状に対する制限はない。
【0065】
1態様において、本発明は、大気のCO2の捕獲および後続の送出用の一次捕獲マトリックスとして、固体の陰イオン交換膜を用いる。膜は、1〜25mmの間隔で密集している。この間隔により、充分に低い圧力低下で周囲空気が通過できるので、空気を動かす機械を使用しなくてすむ。これは、マトリックス構成を検討した本発明者らによる前述の特許文献4に準拠している。
【0066】
マトリックス用の材料としてイオン交換膜を使用する利点は幾つかある。1つの利点として、膜をほぼ乾燥させるようなやり方で作用できること、したがって、環境を通して苛性材料をエアロゾルの形態で拡張するリスクを除去できることがある。基本的に乾燥モードで作用させる別の利点とは、蒸発に起因する水分損失がないことである。この水分損失は、蒸発で損なわれる水分量においてだけでなく、揚水、水送出システムの購入および配管の全ての付随費用においても重要である。別の利点とは、捕獲されたCO2を、膜が、同じ面積の水面で可能な濃度を上回る濃度で貯蔵できることである。増加した見かけの活性面積は、同等の含水面積を上回る。これにより、水溶液を使用することで可能な速度を超える速度での捕獲が可能になる。これに加えて、総合的な捕獲能力は、水溶液で可能な能力を上回る。
【0067】
添付の図6〜図8は、連続的周囲空気流と密閉容器(18.9L)の両方に暴露された陰イオン性膜のCO2捕獲能力を示しており、この密閉容器の内部では活性膜の小片(2×2cm)が懸下され、封入された瓶におけるCO2の減少が測定され記録される。
【0068】
別のデータ組が、大きめ(128L)の密閉容器内部で懸下された活性膜の小片を示しており、同じデータが測定され記録される。
【0069】
さらに別の態様において、本発明は、イオン交換媒体(IEM)用の基板としてセルロース・ベースのパッドを用いる。上で述べたように、IEMは、イオンが、IEM内で水溶液から同じ荷電イオンと交換できるようにすることにより作用する。この交換は、幾つかのルートを介して遂行することができる。
【0070】
或る工程において、高濃度の流体は、IEM上の同じ荷電イオンが樹脂のイオン受容部位から離れて水溶液中へと移動するよう誘導し、これらの部位を占める水溶液中の濃度イオンが高めになるようにする。このことは、濃度勾配を介して樹脂を圧倒するものと想定することができる。
【0071】
IEM上では、以下のメカニズムを介してCO2の吸収が起きる。
【化1】
【化2】
【化3】
【0072】
セルロース・ベースのIEMは、非常に効果的となった。アミノリシスのEDM方法を使用してセルロースをIEMに官能化することは、スチレンジビニルベンゼン・ベースの商業用に利用可能なIEMとほぼ同等の貯蔵特質を示した。このことは、セルロース活用のための路をもたらす。
【0073】
IEMは、空気から直接CO2を捕獲し、これを濃度勾配を介してアミン清浄水溶液中へと解放する能力を有することを本発明者らは発見した。このことには多くの意味がある。
【0074】
炭酸塩化されたアルカリ土類溶液の再生エネルギー要件が大きいことに起因して、アミンをベースとするアルカリ溶液を使用することは、著しいエネルギー利点を示した。一方、問題は、所要の望ましい性質、例えば高い運動速度および吸収能力を呈するアミン溶液のほとんどが、高分圧も呈することである。吸収を促進するために接触させねばならない空気が大量であること(200ppmの取込みとすると1トン当たり約2百万立方メートルのCO2)に起因して、低い蒸気圧の水溶液でも、損失速度が非常に高い。液体アミンと空気との間に中間体がなければ、ほとんどのアミン溶液は、空気からのCO2の直接捕獲に適用可能でないことになる。
【0075】
IEMはちょうどその中間体であるので、吸収剤水溶液と大容量の空気との接触時間を最小にして、液体のアミン溶液の再生費用の低さをさらに活用することができる。
【0076】
接触器の表面は吸着剤自体から生成されることから、表面を吸着剤の液体で絶えず湿潤して吸収を促進する必要はない。これが可能である理由は、IEMが相当量の水を保持するからである(質量が50%のものもある)。このことと内部濃度勾配とを組み合わせることにより、IEMは水溶液として働くことができる。CO2がIEM上へと吸収されるので濃度勾配が誘発され、この濃度勾配により、表面からより低い濃度へのHCO3−の移動、およびこれを置換するOH−の反対の移動が引き起こされる。これにより、IEMは、有効表面積を損なわず効果的にその構造の深部にHCO3−を貯蔵することができる。当然ながら、一定量の時間後にIEMがいったん飽和すると、アミン清浄水溶液を使用して媒体をそのOH−状態に再生し、工程中に喪失するアミンを極めて少なくすることができよう。本発明者らの実験は、8時間を超える吸収時間を示した。
【0077】
連続的に自由通過するイオン液体溶剤の使用を排除することにより、最終的に捕集器能力の減少だけでなく基板の寿命の減少ももたらすことになる、捕集器表面上での結晶の形成も排除される。IEMは、基板自体の内部にイオン積を貯蔵することにより、この問題を分子的に回避することになる。基板の表面上に存在し、そこでスケールを形成して付着物を生じ得る塩の代わりに、CO2吸収工程中に生成される陰イオンは、陰イオンが媒体の表面上に独自に存在できるようにする対イオンを持たない。CO2は、媒体の表面に吸収されると、樹脂のOH−陰イオン部分を効果的に中和して、このOH−陰イオン部分をHCO3−に置換し、このHCO3−は、板においてOH−陰イオン部分を効果的に貯蔵する。
【0078】
本発明のさらに別の実施形態として、CO2を捕獲する際に使用されるイオン交換樹脂を再生するための工程がある。図9は、一般的な工程の流れ図である。
【0079】
Na2CO3の分離および回復を達成するために、イオン交換媒体に液体を通す際、NaHCO3からCO2が除去され、CO2は解放されて、液体中に残っているNaHCO3との酸/塩基反応を受け、したがってNa2CO3が再生される。その後、Na2CO3水溶液はイオン交換カラムを出て上流工程に戻される。
【0080】
イオン交換媒体は、或る時間にわたってCO2により飽和することになるので再生されねばならない。これは、Na2CO3+NaHCO3の流れが除去された後に、層に液体のアミン溶液を通すことにより達成される。液体のアミン溶液は、イオン交換樹脂にOH−を解放することなり、このOH−は、イオン交換媒体を効果的に再生しつつ、CO2を解放する。その後、アミン‐CO2水溶液は除去され、工程が循環システムとして反復される。
【0081】
アミン‐CO2水溶液は、回復ステップも経由して、循環を完了しなければならない。アミン‐CO2回復は蒸留において遂行される。蒸留では、CO2が気相中で分離されて捕獲され、アミン‐OH水溶液が層に戻される。
【0082】
以下の非制限的な例は、本発明のこの態様をさらに表している。強塩基マクロ網状イオン交換樹脂を使用して、OH−イオンを水溶液中へ解放することにより、NaHCO3からイオン交換樹脂へとHCO3−を開裂させ、そこでNa2CO3を生成した。その後、樹脂を通過した水溶液を滴定して、イオン交換から生成されたNa2CO3の量を測定した。その後、樹脂は、樹脂中にNaHCO3またはNa2CO3が残らなくなるまで十分に清浄した。次に、清浄した樹脂を、容量の等しい2つの部分に分割し、各部分を液体のアミン溶液に接触させた。一方は1級アミンに、他方は3級アミンに接触させた。1級アミン(MEA)および3級アミン(MDEA)は各々、樹脂中に貯蔵されたCO2を除去するのに使用した。MEA水溶液は、樹脂から炭酸塩を開裂させる、より大きい能力を示したが、MDEA水溶液は、同様の、ただし僅かに低い吸収能力を表した。次に、各アミン‐CO2水溶液を滴定して、水溶液中のCO2の存在を確認した。
【0083】
図10に、本発明のさらに別の態様を表す。この態様は、イオン交換膜(IEM)502上で周囲空気からCO2を除去するための統合システムを提供する。IEMにより空気から除去されたCO2は、水酸化ナトリウム供給タンク504から送出された水酸化ナトリウムにより、IEMから清浄される。この水酸化ナトリウムは、炭酸ナトリウム(Na2CO3)水溶液を生成し、これが捕集タンク506内に捕集される。炭酸ナトリウム溶液は電解セル508内で電解され、そこで水酸化ナトリウムが回復しタンク504に戻される。また、炭酸ナトリウム溶液の一部はタンク510まで通過し、そこで炭酸ナトリウムは反応器512まで通過する。反応器では炭酸ナトリウムが酢酸と反応し、酢酸ナトリウムを生成する。この酢酸ナトリウムが電気透析スタック516まで通過し、この電気透析スタックは、酢酸ナトリウム塩供給原料から水酸化ナトリウムおよび酢酸を再生させる。酢酸はタンク514に戻し、そこで、後続の、タンク510からの炭酸ナトリウムとの混合/反応用に使用する一方で、水酸化ナトリウムはタンク504に戻す。出口518、520では酸素および水素が捕集または放出される一方で、出口522では例えば深井戸噴射またはその他の手段によりCO2が捕集され処分される。
【0084】
本発明のさらに別の態様は、CO2の捕集器として、海水、すなわち海洋を用いる。およそ上部が百メートルである海洋の混合層は、大気との遅延型化学平衡にあり、この層では空気中の二酸化炭素が溶存無機炭素と容易に交換される。溶存無機炭素は、空気中のCO2の分圧と平衡している。空気中の二酸化炭素の分圧が増加するか、あるいはその代わりに海洋水のアルカリ度が増加するかのいずれかの場合、二酸化炭素は水に入っていくことになる。空気からCO2を捕獲するメカニズムとして、海水へアルカリ度を投入する概念は、特許文献2に記載されている。本発明は、この概念に勝る改良点を提供する。
【0085】
海水のアルカリ度は、水に塩基を付加するか、または酸を除去するかのいずれかにより変更することができる。或る場合、海水のアルカリ度は、水から塩酸を抽出することにより増加することができる。別の場合、アルカリ度は、塩、ふつう海塩(ただし常にではない)を酸と塩基とに分解することで得られる塩基を投入することによって増加することができる。塩基は非常に希薄にして海水に付加される一方で、酸はふつう、より濃縮されて、さらなる処理のために保持され、および/または、工業用に回復される。
【0086】
大気との平衡を再確立するために、CO2取込みがアルカリ度の変化に定量的に適合してしまうまで、水は空気から二酸化炭素を吸収することになる。
【0087】
海洋水は、形成される1規定の酸1モルごとに、空気から約1モルの二酸化炭素を吸収することになる。溶存無機炭素が完全には重炭酸塩でなく、炭酸イオンとして存在するほんの少しの部分であることに起因して、僅かな不整合が起こる。したがって、海水中の炭酸の有効規定度は、そのモル濃度よりも僅かに高い。炭酸塩の平衡の再確立は1年よりも短い時間スケールで行われることになり、したがって、表面水が急速に下がっている場所以外では、人の介在なく起きることになる。したがって、海洋表面全体のほとんどが、この形のCO2管理に適している。本発明のこの態様の利点として、この態様が、空気から二酸化炭素を除去する空気交換装置の必要性を除いていることがある。二酸化炭素を捕獲する実際の動作は自然に遂行されるので、吸着剤または物理的な捕集器の据付けの必要がない。
【0088】
この工程の結果として、炭酸以外の酸、通常は炭酸よりもはるかに強い塩酸が残され、従って、ミネラル・ベースのアルカリ度により、より容易に中和することができる。したがって、ミネラル塩基と結合させるのが困難な、炭酸のような弱酸を処分しようとするのではなく、はるかに強い酸を生成し、これを、容易に利用可能で反応性レベルの低いミネラルにより、より容易に中和する。別法として、塩酸は工業用に捕集することができる。
【0089】
海洋水から塩酸を除去することによる、大気からの二酸化炭素の捕獲は、海岸に沿って、あるいは海洋の真ん中で船上で行うことができよう。重要なことは、混合表面層内にある海水上で酸の抽出が遂行されることであり、従って酸は処理された後、数週間または数ヶ月間、空気中で二酸化炭素に暴露されることになる。二酸化炭素が処分されるのではなく、海洋水から塩酸が除去される。この手法の重要な利点とは、アルカリ度を変更せずに二酸化炭素を付加すると、海水の炭酸塩の化学的性質が大いに変化するのに対して、この手法が、海洋の局所的区域のアルカリ度の微小な変更のみを必要とすることである。その上、過剰アルカリ度により捕獲されたCO2は安定しており、空気中へと戻されることはない。
【0090】
実行可能となるこのような隔離方法に関しては、この工程で生成されることになる大容量の塩酸を処分することが必要である。1つの可能性として、塩酸を、容易に利用可能なアルカリ性ミネラル、例えば玄武岩または蛇紋石で中和することにより処分することがある。代替案として、塩酸を、地下の、酸を中和できるアルカリ性流体貯蔵器内へと注入することができる。さらに別の可能性として、酸で変換できる採掘され粉砕されたミネラルを使用することがある。これらの工程は全て当技術分野で知られており、文献として刊行されている。本明細書では、それらの工程を、空気から二酸化炭素を捕獲するための特定の工程と組み合わせて、この問題に対する他の手法とは相異なる、二酸化炭素を管理する方法を開発する。
【0091】
塩化マグネシウムおよび塩化カルシウムが形成される場合、ミネラルは、無害であればこれらが容易に分解する海洋へと再注入することができる。別法として、結果として生じるブラインを地下に注入することができよう。
【0092】
本発明のさらに別の態様において、海水から塩酸を抽出するのに電気透析機器が使用される。その結果、濃塩酸が生じ、システムを通過する海洋水の水化学をほとんど変化させずにこの濃塩酸を捕集して工業的に使用することができる。このことは、より酸性に変わるセルに小さい材料の流れを走らせつつ、塩基を捕集するセルに大容量の海水を流すことにより遂行される。
【0093】
塩基性側での入力は海水であり、この海水は、アルカリ度の変化の非常に小さい海水に変換される。この変化が非常に小さく、局所的な水化学がこの変化によりさほど影響を受けないのが理想である。海水の全体的なアルカリ度は約2ミリモルであることから、それよりもずっと小さく変化を保つことができよう。実際には、もう少し大きく変化し、システムの出口にて海水流れの希釈を押し進めるのが有益なことがある。他方で、付着物を回避するために、変化をやはり極力小さく保つべきである。混合体内の溶解度積が、重大な要因により変化すると、付着物が容易に生じ得よう。
【0094】
酸性側への入力は海水とすることができ、あるいは純水、または、利用可能なその他の任意のブラインとすることもできよう。特に、塩酸の生成において多数の段階を設けることができ、したがって、少なくとも幾つかのセルの入力は、その出口でモル濃度が増加した塩酸溶液とすることができよう。図11は、このような機器の一例を示す。この設計は、電気透析スタックにふつう存在する陽イオン性膜の使用を排除する特別な手法に基づいている。
【0095】
実質的に異なる2つの手法がある。第1の手法は、陰イオン性膜および両極性膜により分離された或る数のセルを有する。陰イオン性膜および両極性膜が交互し、スタックは、陽極である一端と陰極である他端とで完了している。大きめのセルにある海水は、両極性膜から水酸化物イオンを受け、陰イオン性膜を通して塩化物イオンを失うことになる。両極性膜から陽子と、陰イオン性膜を通して塩化物イオンとを受ける相補的区画内では酸が形成する。ここでの流量が低いことから、海水化学の変化は小さく保たれるのに対して、酸濃度が著しく上昇することになる。
【0096】
図11は、海洋水から塩酸を抽出するための電気透析機器の反復区間の略図である。海洋区画は高流量を受けるので、水の化学変化は最小になる。対照的に、酸性セルの流量は非常に低速であるので、結果として生じる流量の酸の濃度が最大になる。1つのHClセルの出力を、次のセルへの流入として使用することが可能である。結果として、pHステップはあらゆる場所で最大になるわけではない。
【0097】
セルのアルカリ性側および酸性側の流量は、数桁異なってもよい。他方で、酸性流体を、波の推進力となる前に生成物流れとして複数回再使用することにより、同じ効果を達成することが可能である。いずれの設計においても、出力流れは、僅かに変更された海洋水および濃塩酸である。海洋水から除去される塩酸が1モルであれば、水は、1モルのCO2に相当する或る量の二酸化炭素を大気から吸収することになる。海水中の炭酸が、炭酸イオンからの小さい寄与で、主として重炭酸イオンおよび陽子に分離することから、回収された塩酸の量を補償するには、約1モルのCO2が必要となる。
【0098】
工程においてpHがほとんど変化せず、海洋水中の塩化物イオンの濃度は水酸化物イオンの濃度を常にはるかに超えることになるので、陽イオン性膜のない電気透析機器を構築することが可能である。結果として、両極性膜は2つの流体を分離し、いずれの側でも、優勢な陰イオンは塩化物イオンである。両極性膜と交互する陽イオン性膜で専ら構築される相補的機器は、良好には作動しないであろう。この場合、HClセルから陽イオン性膜を通してナトリウムイオンを移行することによりHClが形成されよう。いったんHClが形成を開始してしまうと、陽子は移行中のナトリウムで完了し、したがって非効率性が大きくなることになる。
【0099】
設計において3つの異なる膜が交互する従来の電気透析機器を設計することも可能である。その場合、塩がその陰イオンと陽イオンとに分割される。陽イオンは海洋水流量に付加され、陰イオンは酸の区画に行き着く。酸の区画におけるアルカリ度の低減が、決して中和されない高アルカリ性ブラインで開始する場合、陰イオン性膜を排除することが可能である。その場合、事実上、酸の中和と酸の生成とが組み合わされて単一のステップとなる。
【0100】
図12は、陽イオン性膜、陰イオン性膜、および両極性膜を交互させる電気透析機器の略図である。セルは、両極性膜の片側で海水のアルカリ度を上昇させ、両極性膜のもう片側でHClを生ずるように配置される。陽イオン性膜と陰イオン性膜との間のセルは食塩水を収容するが、この場合は、その濃度が希釈された海水を収容する。
【0101】
図12に示す設計により、海水を、僅かに希釈された海水流れと、より弱アルカリ性の流れと、分離された酸の流れとに分離することが可能になる。好適な実施は、塩を分割して得られた海水の、僅かに希釈された流れを使用して、この流れを、アルカリ度が増加したまま残る海水用の入力流れにすることができよう。陰イオンおよび陽イオンがそこから除去されるセル内で、異なる塩を使用することも可能である。特別な例として、弱酸のナトリウム塩を使用することがあろう。その場合、最終チャンバで生成される酸は、HClではなく異なる酸であり、再度すぐに処分されることになる。図13を参照されたい。
【0102】
図14は、陰イオンXを有する異なる塩を活用して、すぐに処分される別個の酸HXを生成しつつ、海水のアルカリ度を上昇させる電気透析セルスタックを表している。図説の目的で、塩はNaXであると仮定するが、塩ブラインにおいて、海洋水へ安全に注入できる任意の陽イオンを使用することができる。
【0103】
図12は、陰イオン性膜のない塩分割セルを表しており、このセルは、生成された酸を地質学的地下ブラインへと即座に注入する。図12に説明する実施形態は、陰イオン性膜の必要性を回避しつつ、電気透析と塩酸の処分とを組み合わせる。地質学的ブラインが海水よりもアルカリ性である場合、適切な膜を用いて、電気を入力せずにシステムを作動させることが可能である。というのも、このシステムが、海洋水とブラインとの間のpH差により駆動されるバッテリとして働くからである。熱力学は、2つの流体間のpH差を低減する方へ自然に移動することになる。高い酸性度ではセルが作動しないことから、標準の塩スプリッタで使用される陰イオン性膜を排除することが可能である。
【0104】
上記において、説明した本発明の精神および範囲から逸脱することなく種々の変更を行うことができる。例として、空気捕獲交換膜は、目の粗いマット(空気がそこを通って流れる)を形成する、通常0.1〜10mm幅、好ましくは1〜10mm幅の細長い糸の形にすることができる。空気捕獲交換膜は、管、ハニカム構造、あるいは発泡体構造の形にしてもよい。添付の図面に示すような、あるいは以下の請求項で規定されるような上記の記載に含まれる全ての主題は、制限する意味ではなく例証的なものとして解釈されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1a】空気洗浄器の部分断面における側面図である。
【図1b】本発明の別の実施形態により作製された空気洗浄器のさらなる代替の形態の斜視図である。
【図2a】場合によって本発明のさらに他の実施形態により作製された空気洗浄ユニットの、斜視図または側面図である。
【図2b】場合によって本発明のさらに他の実施形態により作製された空気洗浄ユニットの、斜視図または側面図である。
【図2c】場合によって本発明のさらに他の実施形態により作製された空気洗浄ユニットの、斜視図または側面図である。
【図3a】場合によって本発明のさらに他の実施形態により作製された空気洗浄ユニットの、斜視図または側面図である。
【図3b】場合によって本発明のさらに他の実施形態により作製された空気洗浄ユニットの、斜視図または側面図である。
【図4a】場合によって本発明のさらに他の実施形態により作製された空気洗浄ユニットの、斜視図または側面図である。
【図4b】場合によって本発明のさらに他の実施形態により作製された空気洗浄ユニットの、斜視図または側面図である。
【図4c】場合によって本発明のさらに他の実施形態により作製された空気洗浄ユニットの、斜視図または側面図である。
【図5】本発明の1実施形態による、空気からCO2を除去するための工程を表すブロック流れ図である。
【図6】或る時間にわたるCO2捕獲をグラフで表す。
【図7】或る時間にわたるCO2捕獲をグラフで表す。
【図8】或る時間にわたるCO2捕獲をグラフで表す。
【図9】本発明の1実施形態による工程流れ図である。
【図10】本発明の別の態様による、空気からのCO2除去のための統合システムを示す略流れ図である。
【図11】本発明の代替の態様による、海水を処理するためのセルの概略図である。
【図12】本発明の代替の態様による、海水を処理するためのセルの概略図である。
【図13】本発明の代替の態様による、海水を処理するためのセルの概略図である。
【図14】本発明の代替の態様による、海水を処理するためのセルの概略図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気からの選択的ガス除去に関する。本発明は、空気からの二酸化炭素(CO2)の抽出について特定の有用性を有する。このような有用性と合わせて本発明を説明するが、他の有用性も意図される。
【背景技術】
【0002】
周囲空気から二酸化炭素(CO2)を抽出することにより、炭素系燃料を使用して、事後に関連の温室効果ガスの排出に対応することが可能となるであろう。CO2は量が百万分の幾つかでは有毒でも有害でもないが、大気中に蓄積するだけで環境問題を生じることから、空気からCO2を除去し、他所でしかも様々な時間での排出を補償することが望ましい。空気捕獲の全体的構想は周知である。
【0003】
CO2は、様々な産業上の応用、例えば、発電所での石炭による火力発電において、通常は、エンジン等の燃焼器で燃焼される燃料の主成分である炭化水素を使用する際に発生する。このような燃焼器から放出される排ガスはCO2ガスを含有するが、このCO2ガスはそのまま大気中に放出されてきた。ところが、温室効果ガスへの懸念が高まるにつれて、あらゆる源からのCO2排出を削減しなければならなくなる。移動発生源に関して、最良の選択肢は、車内または航空機内の移動燃焼器からではなく、CO2を空気から直接捕集することのようである。CO2を空気から除去する利点とは、移動機器上でCO2を貯蔵する必要が無いことである。
【0004】
空気からCO2を除去するための種々の方法および装置が開発されてきた。一例として、ラシヒリングと呼ばれるものを満たしたタンク内で、アルカリ溶液または吸着剤を用いた空気清浄が挙げられる。少量のCO2を排除するにはゲル吸収体も使用されてきた。これらの方法はCO2除去には効果的であるが、清浄工程中に比較的高い圧力損失が生じるため、空気から二酸化炭素を効果的に除去するには、吸着剤により空気をかなり高圧で圧縮しなければならない欠点がある。その上、圧力を増加させるために或る性質の圧縮手段が必要となるが、これらの手段は或る一定量のエネルギーを消耗する。空気を圧縮する際に使用されるこの付加的なエネルギーは、この工程の二酸化炭素の全体的バランスに関して特に不利な影響をもたらすことがある。すなわち、空気圧増加に必要エネルギーを創出するにもCO2の発生が伴う分、さらにCO2を捕獲して処分しなければならない。
【0005】
したがって、既知の方法では、これらの工程が空気を加熱または冷却するか、あるいは空気の圧力をかなり変化させるので、空気からCO2を捕獲することは非効率的である。すなわち、CO2の純減は取るに足りないものとなる。というのも、洗浄工程への電力供給用の発電の副生成物としてのCO2を、大気中へ放出するからである。
【0006】
さらに、空気からCO2を分離するための洗浄器の設計が既に存在するが、一般的にそれらの設計は、充填層型の実施に限定されており、その目標は通常、別のガスから不純物の全痕跡を除去することである。特許文献1に記載されているこのような一機器は吸収要素を含み、この吸収要素は、筐体内で相互から離間して組み立てられたポリ塩化ビニル(PVC)製または炭素発泡体製の多孔性焼結板を有する。多孔性板が筐体内で組み立てられる前に、該板内で水酸化カリウムが充満される。このような機器は、空気からCO2を分離するのに使用する吸着剤の材料を、機器の筐体を解体しないと補充できないという欠点を有する。
【0007】
空気からCO2を捕集する工程は通常、物理的または化学的のいずれかにより、空気からCO2を結合する溶剤に頼る。実際的なCO2溶剤類としては、例えば水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム等の強アルカリ性水酸化物溶液を含む。0.1モル濃度を超える水酸化物溶液であれば、空気からCO2を容易に除去することができ、CO2はそこで例えば炭酸塩として結合する。水酸化物濃度は高めであるのが望ましく、効果的な空気接触器となるものは、1モルを超える水酸化物溶液を使用する。水酸化ナトリウムは好都合な特別な選択肢であるが、その他の溶剤、例えば有機アミンを使用してもよい。吸着剤のさらに別の選択肢として、より弱いアルカリ性ブライン、例えば炭酸ナトリウムブラインまたは炭酸カリウムブラインを含む。
【0008】
また、特許文献2、および特許文献3も参照されたい。
【0009】
前述の先行技術の検討は、主として、本発明者らによる先の特許文献4に由来しており、そこでは、空気から二酸化炭素を除去するためのシステムであって、溶剤で被覆された表面を気流に暴露するステップを含み、空気流量は層流状に保たれるか、または層流領域に近いシステムが提案されている。二酸化炭素ガスは溶剤により吸収され、空気から除去される。好適な実施形態において、溶剤は、アルカリ性の吸着剤溶液、例えば強水酸化物溶液を含む。本発明者による先の特許文献5も参照されたい。そこでは、液体吸着剤を支持するための連続気泡発泡体を含む空気/液体交換体を記載している。
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,047,894号明細書
【特許文献2】PCT/US2005/015453
【特許文献3】PCT/US2005/015454
【特許文献4】PCT/US05/29979
【特許文献5】PCT/US06/03646
【特許文献6】米国特許出願第60/603,811号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述の先行技術に勝る改良を提供する。より詳細には、本発明は、空気から二酸化炭素または対象となるその他のガスを除去するための幾つかの工程およびシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は一実施形態において、CO2を捕獲または吸収するためのイオン交換材料を提供する。一態様において、本発明は、一次CO2捕獲マトリックスとして固体の陰イオン交換膜を用いる。イオン交換材料は、或るイオン交換材料から成る固体のマトリックス、または或るイオン交換材料が塗布された固体のマトリックスを含むことができる。別法として、この材料は、或るイオン交換材料が塗布されたセルロース・ベースのマトリックスを含むことができる。
【0013】
本発明のさらなる別の実施形態は、湿潤発泡体/空気の交換体を用いる。この交換体は、炭酸ナトリウム水溶液または炭酸カリウム水溶液、あるいはその他の弱い二酸化炭素吸着剤を使用して空気から二酸化炭素を吸収し、重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウムを生成する。その後、結果として生じた重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウムが処理されて、炭酸塩の吸着剤が一新される。この炭酸塩の吸着剤は、再循環する間に回復し処分することができる。
【0014】
本発明のさらに別の実施形態において、二酸化炭素はイオン交換材料により空気から除去され、このイオン交換材料は液体のアミン溶液により再生され、このアミン溶液はその後、電気透析セル内へ通すことにより回復される。
【0015】
本発明のさらに別の態様において、二酸化炭素は、海水のアルカリ度を変更することにより空気から除去され、これにより、大気から水中への二酸化炭素の流動が増加する。
【0016】
添付の図面と合わせて検討すれば、本発明のさらなる特徴および利点が、以下の詳細な説明からわかるであろう。図面では、同様の番号は同様の部分を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は全体として、特に空気からの二酸化炭素(CO2)の抽出、低減、捕獲、処分、隔離、または貯蔵に関連しており、環境からCO2を削減または排除する新規の工程および装置に関連している。本発明は、CO2の抽出も隔離も網羅している。
【0018】
本発明者による先の特許文献6において、吸着剤で塗布された表面に空気を接触させるための戦略を概説した。CO2を吸収する水酸化物溶液または炭酸塩溶液に特有の低速反応速度論に関して、層流用に直線的流路を提供し、捕集構造の全域での圧力低下における所与のエネルギー投資用にCO2の取込みを最大にすべきであることを示した。液側の反応速度を改良できるとすれば、流路を複雑にすることで空気側の制限が低減されるであろうが、反応速度が低いので、表面が平滑な直線的流路が最も効果的であると思われる。
【0019】
本発明は一態様において、吸着剤が弱く取込み速度が低くても効果的に進行できる、空気流から二酸化炭素を吸収するための手法を提供する。直線的流路が発泡体を、この発泡体を切り抜けて進むその内部表面が弱い吸着剤で完全にまたは部分的に被覆されるように湿潤することにより、低速のガス流量に暴露される吸着剤表面の面積を大きくすることができる。流路およびバルク発泡体を通るガス流量を調整して、多層発泡体の全域での所与の圧力低下に対して、希薄な二酸化炭素の取込みが最適化されるようにすることができる。この技術は、低濃度ガス混合物を或るガス流へと抽出するのに、吸収速度の速い強い吸着剤の必要性がない。結論として、空気からCO2を捕獲するために、水酸化ナトリウムのような強い吸着剤に頼る必要はなく、炭酸ナトリウムのような弱い吸着剤を活用することができる。二酸化炭素と弱い吸着剤との結合エネルギーは低めであるので、後続の吸着剤回復ステップが大いに簡素化される。本開示は、関連する原則を説明し、湿性発泡体表面を創出するとともにCO2を含んだ吸着剤を発泡体から抽出するための方法および装置を概説する。これらの方法は、適用可能な任意の吸着剤回復方法と共に使用することができる。これらの方法は、空気からの二酸化炭素の捕獲に限定されるものではなく、任意のガス流からの微量ガス混合物の捕獲まで容易に拡張することができよう。以下で概説するように、実施の詳細は、微量ガスの濃度、吸着反応または吸収反応の速度、および関連する流速によって決まることになる。工程の目標が、混合体からその微量ガス全てを捕獲してガスを浄化することであるのか、あるいは、目標が、搬送ガスからほとんど全ての痕跡を排除しようとせずに、混合体から有益な微量ガス流を捕集することであるのかも重要である。
【0020】
空気から二酸化炭素を捕集する際、2つの相異なる移行ステップにより、可能性として速度制限を設定することができよう。1番目は、二酸化炭素を吸着剤へ取込むステップであり、2番目は、二酸化炭素を、空気側境界層を通して吸着剤の表面へ運搬するステップである。第1の事例では、捕獲システムは吸着剤側で制限され、第2の事例では空気側で制限される。先に刊行された特許文献5では、希薄な流れからCO2捕獲器を最適化する1手法を概説した。本明細書では、全く異なる原則を活用する別の手法を概説する。両方の手法とも、洗浄機器の全域で必要となる圧力低下を最小にして、或る一定の分率のCO2を空気流量から除去することを目指している。空気中のCO2が非常に希薄であることから、空気洗浄システムに空気を押し通すためのエネルギー損失を最小にすることが重要である。圧力低下が弱まって、空気と吸着剤材料との間で接触させるためのエネルギーを提供するのに自然風の流量の部分的停滞で充分となることが理想である。
【0021】
前述した以前の発明は、CO2運搬が少なくとも部分的に空気側で制限されるのを確実にすることにより、固定した流速での圧力低下を最小にする方法を提供している。アルカリ溶液のような弱い吸着剤に関して、このことは、空気側の質量運搬係数と吸着剤側の移行係数とがおよそ等しくなるように、層流が、充分に厚い境界層を発生させることを意味する。対照的に、本発明は、空気流量を高速流と低速流とに分割し、低速で流れる流れに洗浄器を挿入することに関連している。
【0022】
特別な設計として、許容境界層の厚さと比較して、最も近隣の吸収表面間の距離が小さいフィルタ機器を検討する。その場合、表面上のCO2濃度はさほど低減されず、それ故に、システムは吸着剤側で制限されていると見なすことができる。このようなシステムでは、二酸化炭素の分別損失と比較して運動量の分別損失が大きい。空気流の速度を低下させると、システムは吸着剤側で制限され続け、運動量の分別損失はやはり高いまま留まるが、利用可能な運動量は迅速に低下する。故に、フィルタシステムの所与の厚さに関して、運動量の全損が低減される。フィルタ内の空気の滞留時間が長くなることで、空気のCO2含有量が一層低減するので、圧力低下をさらに低減することができる。CO2分別抽出を一定に保持する場合、フィルタはより薄くすることができ、したがって、必要となる圧力低下がさらに低減される。
【0023】
一方、捕集器を通る総流量を一定のままにすべき場合、フィルタ内の流量を減速するには、別の流れの加速を伴わねばならない。このことは、空気流を2つの流れに分割することにより遂行することができる。両方の流れが同時にフィルタを通過する。システムは、フィルタの厚さと空気の流速とにより支配される圧力低下を受ける。ある区間において、1つの流れがまず拡張される一方で、他方の部分が合流されるように流量パターンが認識された。結果として、拡大区間の空気は減速し、狭窄区間の空気は加速する。最大断面の地点では、低速の流量内にフィルタが据付けられる。この地点の下流では、拡張された空気流量が再度合流され、他方の空気流は、第1流量がより上流で有したのと同じ拡張断面になるまで展開する。この地点で、第2流れ内の空気は洗浄されてそのCO2が全部または一部落とされる。最終区間が後に続き、そこでは両方の流れがそれらの最初の断面に再調整されている。同じフィルタ信用を達成するために、この新規の設計におけるフィルタは実質、より薄くすることができる。システムが吸着剤側で制限される場合、フィルタの容量は変更する必要がないが、断面が増加することから、フィルタの厚さを相応に低減することができる。流速が遅くなり、フィルタの抵抗が低減するので、圧力低下が低減される。
【0024】
上記の例は、物理的な基本原則を説明するのに役立つ。このような挙動と、フィルタ材料のような単純な発泡体ブロックとを接近させる具体的な方法を以下で概説する。発泡体ブロックは、以下の多くの利点を有する。つまり、任意の形状に形作ることができる;或る液体を保持することができ、容易に湿潤される;連続気泡発泡体が大きな内部表面積を呈するので、これを使用して、発泡体を流れる空気からCO2を吸収することができる。
【0025】
NaOHまたはNa2CO3のような液体吸着剤で湿潤された大きな発泡体ブロックが、空気からCO2を吸収することになる。通常の孔の寸法が約1mmであり、具体的な面積が約4000m−1であると仮定すると、吸着剤表面が約2μmolm−2s−1である通常の取込み速度は、1立方メートルの発泡体ブロックで8mmols−1の取込み能力を提供することになる。空気流から5mmol/m3を抽出することを意図する場合、流速3m/秒での装置の厚さは約2mとなろう。一方、固体の発泡体ブロックの圧力低下ははるかに大きすぎて、このような高い流速を維持できないであろう。しかし、発泡体を通る流路を拡大して、空気の90%が発泡体層を迂回し、その後、空気が再度混合され、90%が迂回して別の層を通過する場合、発泡体の有効流速は10倍小さくなり、圧力低下が10分の1になり、取込み速度が事実上不変となる。というのも、この取込み速度は、これらの薄片を流通する空気の速度により制限されるのではなく、これらの発泡体薄片内部の表面がCO2を吸収できる速度により制限されるからである。
【0026】
発泡体層を通る小さい直線的流路を形成することにより、発泡体を通る通路が広がり、これによって、大部分の空気が、発泡体を経由するのを避ける経路ができるであろう。穴の総断面および穴の直径を調整することにより、圧力低下と流速の関係、および実際に穴を経由する流量の割合を制御することが可能である。
【0027】
固定流量において穴の直径が小さいほど、圧力低下が強まることになる。あるいは別法として、固定した圧力低下にすれば、流量は高まることになる。実際のシステムは、穴の直径および穴の数の調整によって流量に対する全体的な抵抗が変化する、したがって圧力低下および流速が変化するという2つの制限間で動作する。
【0028】
穴の数を増加すれば、流量が増加し、故に発泡体ブロックの全域の圧力低下が低減されることになる。発泡体ブロックの全域の圧力低下は、発泡体の内部実質を通る流速を制御する。従って、このシステムのパラメータは、発泡体ブロックの全域のその圧力低下と、迂回流量の寸法とが別々に制御されるという点で、特定の装置を最適化するように調整することが可能である。
【0029】
最終的に、これらの概念を一般化すると、これらの概念は、空気からCO2を抽出することに制限されるものではなく、任意のガス流から任意の微量ガスを抽出することに容易に一般化することができる。最後に、上記の検討のほとんどにおいて、吸収体が、発泡体により吸収される液体であると仮定したが、当然ながら、繊維のマットまたはその他の構造を含む、システムを通過しながらCO2を吸収できる固体の材料のような発泡体を検討することも可能である。
【0030】
液体を容易に保持する非常に親水性のフェノール発泡体であり、したがって完全に液体を満たした孔を有するAQUAFOAM(R)で実施される実験とは対照的に、ポリウレタン発泡体では基本的に、浸漬の時点で含有していた液体容量の80〜90%が取り除かれた。フェノール発泡体(AQUAFOAM(R))での実験とは対照的に、ポリウレタン発泡体に関する実験では、取込み継続時間は、数日〜数週間から数十分へと大いに低減された。その代わり、半モルの炭酸ナトリウム溶液のような弱い吸着剤について、取込み速度は大いに増進した。2つの実験の決定的な違いとは、前者の実験では発泡体に流体が満たされているのに対して、後者の実験では発泡体の容量は大多数がガスを満たしていることである。孔容積を液体で満たす実験の間、ポリウレタン発泡体ブロックを間欠的に浸漬すると、CO2取込みが即座に低減された。CO2取込みは、発泡体に含まれる液体レベルが適切に低減された後にやっと回復した。
【0031】
炭酸塩溶液のCO2取込みが大いに増進する一方、水の蒸発の速度は基本的に不変である。水の蒸発は吸着剤側では制限されず、故に、発泡体ブロックを通るガス流は即座に水飽和し、したがって、追加の水の吸収を停止する。しかし、ほとんどの設計において、この効果を活用することは不可能であろう。というのも、CO2取込みを最大にするシステムが全ての空気に接触し、したがって、全ての空気を水蒸気で飽和させるからである。
【0032】
親水性表面と疎水性表面と混合表面の役割が、この時点で完全には理解されていない。各々は利点と欠点とを有する。疎水性は、発泡体で保持される液体量と、この液体をどの程度簡単に等しく塗布できるかの簡便性とを制御する。したがって、孔の寸法が通常よりも僅かに大きい親水性フェノール発泡体は、優れた湿潤特性と、適切で低い水保持レベルとを組み合わせることができるということが考えられる。最も商業用に利用可能なフェノール発泡体は水を保持するように設計されており、したがって、この用途にはさほど良好に適合しない。
【0033】
種々の発泡体が商業用に入手および利用可能である。これらの発泡体は、重大な圧縮を受けると潰れて機械的に破壊されることになる硬質発泡体と、「圧搾」できる柔軟な弾性発泡体とを含む。硬質発泡体は流体で迸出することしかできない。適切な飽和レベルを維持するには、このような発泡体は排出させることが必要である。他方で、空気のようなガスを圧力下で発泡体マトリックス内へ追いやることにより、発泡体から液体を押し出すことが可能である。
【0034】
流量パターンの不均一性、排出速度および乾燥速度により、これらの発泡体を使用することは試みる価値がある。柔軟な弾性発泡体の場合、発泡体マトリックスを圧縮することにより、液体を発泡体の内外へ移動させることが可能である。硬質発泡体の場合、発泡体の全容量にわたって流体を均一に分配する際に、発泡体を旋回させることが役立つであろう。
【0035】
したがって、この第1実施形態の第2態様は、液体を塗布し、柔軟な弾性発泡体構造から、並びに、発泡体構造を損傷しなくては圧縮できない発泡体から、液体を抽出することに関連している。
【0036】
発泡体を湿潤する最も単純な手法は、頂部に液体を塗布し、これを重力により排出させることであろう。この手法には、排出の容易な特に大細胞型の発泡体、または網状発泡体が適している。発泡体の湿潤が、流体を流すことと、重力に基づいて排水することとにより遂行される場合、発泡体を低速で回転させると、発泡体の内部で均一な流体範囲を得るのに役立つ。回転により発泡体と重力方向との整合が変化する際、発泡体の内部の流れ方向が変化しないように、回転軸の方向は水平方向に或る成分を有さなければならない。回転速度は発泡体特性および流体流量特性に適合しているので、回転時間中、流体の大部分は(ただし全てではない)、発泡体容量の底部まで流れることができる。発泡体を適切に形作ることにより、発泡体片を回転する工程において流体を移行することさえ可能である。一例として、発泡体は、図1(a)に示すような閉じた螺旋形状200にして形成し、その縁または周縁部202を、液体吸着剤の流体206を収容するパンまたは水溜め204に浸して、軸の周りで低速で回転させることができる。流路208は、発泡体を通るように形成して空気が通過可能にすることができる。別法として、発泡体は、図1(b)に示すように、開いた螺旋形状210にして形成し、その周縁部を、液体吸着剤の流体を収容するパンまたは水溜め214に浸して低速で回転させることができる。また、所望する場合、発泡体螺旋物の中心軸端を、発泡体螺旋物と共に回転する吸着剤捕集トレー216内に装着することができる。この場合、回転により、流体はこの形状の縁からその中心へ次第に移動することになり、中心では、発泡体から流体を抽出することができる。
【0037】
弾力的に圧縮できる発泡体では、発泡体を圧縮したり弛緩させたりすることで流体を移動させることにより、流体を確実に混合することができる。図2(a)〜図2(c)を参照すると、発泡体構造に液体を通すために、発泡体44の表面上でローラ42を動かすことにより、または平板間で発泡体ブロックを圧縮することにより、外部圧力を加えることができる。ローラ42は、発泡体の両側で転がる平滑な円筒形表面とすることができる。ローラは、発泡体の外面を相互に向けて押圧し、したがって、流体が容量全体を流れ混合させられる。別法として、単一のローラを片側に使用し、発泡体の裏面に、発泡体を適所で保持する剛性の表面を使用することができる。この配置は、比較的薄い発泡体では特に有用なものになるが、その場合、第2のローラの付加的費用、および付随する構造の複雑化は正当とは認められないことになる。
【0038】
ローラの表面は、平滑な表面を持たせる代わりに、圧縮度を局所的に変動させることにより、発泡体内の流体の運動を増加させるように構造化して形作ることができる。選択肢として、ローラ軸に続く稜をつけて単に溝彫りすることを含む。別法として、ローラの周りを周方向に走る稜、または窪みおよび突出部を備えた表面を検討することができる。これらの構造化表面のいずれかがあれば、対向するローラ上の表面(あるいは構造化壁の形状)を適合させて、流体流量パターンを最適化させることが有益となろう。発泡体の剪断歪を最小にしつつ、発泡体の容量変化を最大にすることに注意しなければならない。
【0039】
図2(a)〜図2(c)を参照すると、図説の目的でここで検討する特別な実施とは、矩形の形状の発泡体マトリックス44であり、この発泡体マトリックスは、幅および高さが大きく、厚さが比較的小さい。一例として、高さ2メートル、幅1メートル、厚さ0.3mの発泡体ブロック捕集器パッドを検討されたい。狭い管状流路が、ブロック厚0.3mのブロックを通って交差する。空気は発泡体を、その最小寸法の方向で発泡体を横切っている流路の方向に流れることになる。その両面または上部には液体を塗布することができ、ローラ112、114は、高さ2m・幅1メートルの矩形の面に渡されることになる。転がり作用により液体が適所で圧搾されることになる。高度に圧縮する下向きの行程を使用すれば、下向きに液体を圧搾し、これをブロックの底部から排出させることができよう。
【0040】
ローラ112、114は発泡体の両側を上下に移動することになるが、内または外へ移動して発泡体捕集器パッドへの圧縮力を変更することができよう。圧縮力のより少ない上向きの行程を使用して、ブロック全体への均一な流体充填を確立することができよう。
【0041】
液体を、ブロックの上部に塗布してローラにより押し下げることができる。一部の流体は下向きに押し下げられ、発泡体マトリックス内には、ローラ間の間隙に応じて或る一定量の流体が残る。発泡体の高さがさほど高くない場合は、流体を全て上部に塗布して底部まで押し下げることができよう。別法として、流体を、ローラより前に発泡体の両側へと噴霧することができる。圧縮が高く設定されている場合、ローラを使用して絞り出すことのできる液体は、ローラの両側から押出される際にローラの前面で直に捕獲されるか、ローラの速度が充分低速であれば流体が発泡体パッドの底部まで押圧され、そこで押し出され捕集されることになるかのいずれかである。したがって、付加的な搬送流体を噴射するか、液体を発泡体から単に圧搾するかのいずれかにより、液体をパッドから除去することが可能である。第2の応用例では、発泡体に塗布される新鮮な流体が、圧縮レベルを低めにして発泡体パッドの容量にわたり均一に塗布される。
【0042】
パッドをローラに通し、ローラを固定位置に据え付けることも可能である。
【0043】
図3(a)〜図3(b)を参照すると、ローラの代替案として、発泡体捕集器パッド110の区域全体を圧搾する平板118〜120があろう。この代替案は、空気流が垂直方向に整列され、流体が空気流方向と平行に発泡体の内外へ圧搾されるように発泡体の圧縮が使用される配置では、特に良好に働くであろう。この圧縮状態はふつう、発泡体パッドの最小寸法を表す。圧搾前に発泡体パッドを旋回させて、これを直立位置から水平位置へ移動させることも可能である。
【0044】
ローラではなく発泡体が移動する特別な実施として、ローラ上で発泡体がベルトのように連続的ループとして移動し、発泡体が無端ループとなって移動する間、ローラが発泡体を飽和させ圧搾する設計があろう。これらのループは種々のやり方で配置することができよう。特に、ループを上下に垂直に走らせること、あるいはループを水平に走らせることが可能である。
【0045】
図4(a)〜図4(c)に示す本発明のさらに別の態様において、捕集器は、複数の発泡体捕集器パッド50を含むことができ、各々は、支柱132から回転可能に懸下され、その支柱132は、それぞれ図4(a)〜図4(b)に示す動作位置および開放位置と、図4(c)に示す閉鎖位置との間で水平に移動可能である。閉鎖位置では、噴霧機から液体吸着剤を塗布し、過剰な吸着剤は端板48を介して圧搾することができる。存在させる液体の量の選択は、発泡体を通るガス流量がほとんど妨害されず、孔容量の大部分がガスで満たされ、ガスの満たされた孔空間が相互接続されて、拡散またはその他の手段により、CO2が吸収されるまで孔から孔へ次々にCO2を移送できるように、行われる。
【0046】
空気側で制限される流量については、流路が直線状であるのが理想であるが、流れ場の圧力を変動させることにより、ソルベートガスが発泡体構造へ移動する実効速度を増進することができる。
【0047】
上で説明した装置では、すなわち前述の本発明者による特許文献5の教示によれば、吸着剤として水酸化ナトリウム溶液を用いることができるが、本発明の1実施形態によれば、空気から二酸化炭素を吸収するために、炭酸ナトリウム水溶液または炭酸カリウム水溶液、あるいはその他の任意の弱いCO2吸着剤を使用して、以下の工程中に重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウムを形成する湿潤発泡体空気抽出器システムを用いることができる。すなわち、固体の吸着剤(好適な実施ではイオン交換樹脂である)上に重炭酸塩ブラインを浸透させることにより炭酸塩の吸着剤を一新する吸着剤回復ステップ;液体吸着剤(好適な実施では液体のアミン溶液である)による樹脂回復ステップ、および温度スイング、圧力スイング、あるいは電気透析のいずれかにより遂行されるCO2解放ステップである。
【0048】
したがって、装置を通る、空気からのCO2の理解は、以下のように説明することができる。空気は炭酸ナトリウムのような弱い吸着剤と接触する。この弱い吸着剤は、発泡体表面にわたり分布しているおかげで高い取込み速度を達成できるので、空気側の運搬がCO2取込みを制限し始める。水溶液は、いったん充分な量のCO2を取り込んでしまうと、固体の吸着剤、例えばアミンをベースとするイオン交換樹脂上で浸透し、これにより水溶液から重炭酸塩が除去される。したがってそのアルカリ度が復旧する。CO2は今度は樹脂に付着し、後続のステップにおいて、樹脂を別の液体吸着剤、好ましくはアミン溶液で清浄することにより樹脂からCO2が除去され、その後、最終ステップにおいてこのアミン溶液からCO2を回復することができる。ここで、選択肢は、温度スイング、圧力スイング、あるいは電気透析工程である。
【0049】
図5を参照すると、工程のステップは以下の通りである。ステップ250にて、炭酸塩で湿潤した発泡体上で空気から二酸化炭素を捕獲する。この工程において、湿潤発泡体構造は、システムを流れる周囲空気に、0.1m/秒〜100m/秒に及ぶ速度、好ましい範囲は0.5m/秒〜10m/秒、最適範囲は0.5〜4m/秒の速度で暴露される。上で説明したように、これらの発泡体構造は、そこを空気が流れて湿潤発泡体の表面と接触する通路を有するように形作られるか、または配置される。湿潤発泡体の表面は二酸化炭素を吸収する。そのような場合、CO2を含んだ吸着剤は、重炭酸イオンを含有する。工程の後続のステップは、非常に希薄な重炭酸塩流れから炭酸塩を回復しなければならず、場合によってはるかに大きいCO32−濃度で混合されることになる。
【0050】
炭酸塩と重炭酸塩との比率は、全体的な炭素濃度によって決まる。吸着剤の液体を発泡体の内外へ移動させるために、液体は、他所で説明した幾つかの方法のうちの1つにより、発泡体から迸出される。好適な方法は、液体単独の重力排水により消費済み吸着剤が除去されることになる設計、あるいは、水を迸出することにより消費済み吸着剤が可動化され、これが機器の底部にて捕集されることになる設計であろう。最適な捕獲設計が重力排水に適さない実施では、例えば上で説明したような、発泡体の運動または圧縮を活用するその他の方法が可能である。
【0051】
いずれにせよ、結果として生じる水溶液は、ナトリウム重炭酸塩の希薄な流れを含む。低濃度であると仮定すると、このブラインから吸着剤とCO2とを直接的に回復することはふつう最も有利な手法ではない。代わりに、アミンをベースとするイオン交換樹脂に水溶液を接触させることにより低濃度の重炭酸塩がまず濃縮される三段階手法を提供する。
【0052】
次のステップ252では、重炭酸塩溶液と接触するイオン交換樹脂が、ブラインから重炭酸イオンを吸収してこれを水酸化物イオンに置換し、第2重炭酸イオンと反応することによりこの水酸化物イオンが中和し、結果として炭酸イオンと水とが生成されることになる。樹脂は様々な種類のものとすることができるが、好適な幾つかの樹脂が商業的に利用可能である。アミン基で官能化された樹脂が好適である。重要な検討事項として、重炭酸塩(または炭酸塩)と樹脂との結合エネルギーがある。結合エネルギーは、液体から樹脂へCO2を移行するのに充分大きくなければならない。ただし、後続の処理ステップにおいて二酸化炭素を放棄するには充分弱くなければならない。通常の結合エネルギーは、20〜60kJ/モルに亘ることになるが、これよりも広い範囲が可能である。実用性にとっては有機樹脂が好適であるが、この転移を実施するその他の固体の吸着剤を等しく活用することもできよう。特に好適な或る材料として水酸化マグネシウムがあるが、炭酸塩化可能なその他の固体の材料も使用することができ、例えばケイ酸リチウムおよびジルコニウム酸リチウムが例として与えられる。このような材料はCO2を吸収することができ、本発明によれば固体の吸着剤として使用することができる。同様に、商業用に利用可能な種々のイオン交換樹脂が、炭酸塩ブラインを回復することができ、アルカリ度を出発材料のアルカリ度まで戻し上げることにより、本発明の実施において使用することができる。
【0053】
特別な実施として、CO2を含んだ吸着剤がそこを通って循環する樹脂層がある。この層を吸着剤が流れるので、樹脂は次第に二酸化炭素で飽和される。流量が比較的低速に保たれると、吸収フロントは、樹脂を通って次第に移動し、層の遠端で出現することになる。この段階で、廃水中の重炭酸塩の濃度の突然の増加が観察され、したがって、樹脂がいつ消費されたかがわかることになる。いったんこの時点に到達すると樹脂は一新される予定となる。
【0054】
空気中の二酸化炭素の分圧は非常に低く、約380マイクロバールである。結果として、ほとんどの樹脂で、このフロントの定義が多少広く、不明瞭であることになる。その場合、有利なのは、樹脂層を多数の層に分割し、ほぼ消費済みの層を使用して二酸化炭素の除去を開始し、これによって層の飽和を最大にし、単数または複数の瀑落層を使用してCO2の大部分を吸着剤から除去し、最終的には吸着剤流体を新鮮な最終層に通して浸透させ、抽出を最大にすることであろう。静止した層を共に配管して弁を付けることにより、一連の吸着剤一新ステップまたは樹脂回復ステップにおけるそれらの論理位置を循環させることが可能である。結果として、動作のステップは次第に環状のタンクを通って移動する。幾つかの樹脂について、様々な部位の結合エネルギーが変動し、その場合、樹脂をその限界まで押圧することは不利であろう。代わりに、このような場合、樹脂は結合エネルギーの範囲内で前後に揺動することになる。このことは容易に許容される。
【0055】
ステップ254では、樹脂は、異なるCO2吸着剤、例えばアミン溶液で樹脂を清浄することにより回復され、このアミン溶液は、二酸化炭素を充分強力に結合して樹脂から二酸化炭素を回復させる。これにより、重炭酸イオン、カルバミン酸イオン、または炭酸イオンが樹脂からアミン溶液へ移行することになる。この最終ステップの利点とは、アミン溶液が、樹脂自体よりもはるかに高い負荷率、すなわちアミン溶液とCO2との重量の比率を達成できることである。最初の炭酸塩ブラインと比較した場合、改良点はさらに大きい。したがって、吸着剤を加熱および冷却する際に、樹脂自体の上で加熱回復ステップが実施された場合、あるいは元の弱い吸着剤からの回復が試みられた場合よりも、消耗されるエネルギーは少ない。
【0056】
CO2を含んだアミン溶液は温度スイングで変換され、ステップ256においてアミンから二酸化炭素を解放する。その他の二酸化炭素吸収システムにおいて、アミン溶液が使用されることから、このステップに利用可能な幾つかの選択肢がある。1つの選択肢において、熱を工程に移行する際、水蒸気が使用される。好ましくは、水蒸気を形成するための熱は、カーボンニュートラルなエネルギー源、例えば太陽エネルギーからのものであり、あるいはこれらの源がない場合、炭素系燃料と純酸素との燃焼からのものであり、これによって、濃縮されたCO2の付加的な流れが生じる。このことはCO2再循環工程のエネルギー需要を反映している。当然ながら、地熱熱源、太陽エネルギー熱源、ならびに消耗熱エネルギー源を含むその他の熱源を使用することもできる。
【0057】
本発明は変更が可能である。例えば、液体吸着剤がこれを通って浸透する不活性発泡体を使用する代わりに、官能化された発泡体または樹脂を、炭酸塩の吸着剤を使用せずに使用することが可能である。そのような場合、空気から二酸化炭素を直接捕集するために、湿潤発泡体が使用されることになろう。そのような場合、発泡体は、完全に乾燥するのが許容されるべきでないが、幾つかの発泡体では、液体水を注入する必要がないことがある。というのも、空気中の最小量の湿気が、空気からの二酸化炭素とのアミン反応を有するのに充分なことがあるからである。発泡体がいったんCO2で飽和すると、樹脂を再生するのに、二次CO2吸着剤による迸出を使用することができる。この二次CO2吸着剤は、炭酸塩溶液(ただし、上で検討したシステム内よりも炭酸ナトリウム濃度の高いもの)とすることができよう。樹脂の清浄も、アミン清浄とすることができよう。その場合、工程は、上で検討した主工程を能率化した変形となる。
【0058】
別法として、発泡体において炭酸塩の吸着剤を使用する代わりに、発泡体内で直接アミン溶液を使用することができよう。そのことは、工程の第2および第3ステップを排除するであろう。その結果、工程が単一の捕獲工程ステップまで能率化され、その後は、単一の、吸着剤回復およびCO2解放工程ステップが続く。
【0059】
CO2回復の温度スイングを電気透析工程に置き換えることも可能である。電気透析は、例えば本発明者らによる先の特許文献5に開示されているような、幾つかの相異なる手法に付随させることができよう。電気透析を、第1ステップにおいて発生する重炭酸塩溶液に適用することができよう。あるいは別法として、最終ステップにおいて発生するアミン溶液に適用することができよう。
【0060】
本発明のさらに別の態様において、CO2およびその他の酸ガスを空気から直接捕獲するために、固相陰イオン交換材料(AEM)を活用する。空気からCO2を低く(ppm)吸収するその有用性に関して、本明細書で検討するようなAEMを適用する(ただしそのまま)ことは、例えばNOx吸収、およびSO4、ならびに濃縮CO2、あるいはその他のガス除去等、その他の低濃度ガスを捕獲するのに便利である。
【0061】
2つの代替案が可能である。
【0062】
1つの代替案とは、蒸気圧の少ないかまたはない固体として働く一方で、大容量の空気に暴露されて低濃度でCO2を捕集できる中間固体基板を使用することである。固体基板は、CO2がしばらく経って水溶液へと解放されるまで、CO2を化学的に貯蔵する或る種の網として働くものと想定することができる。さらに、固体基板は、新たに捕集されたCO2を、固体表面をも再生させる水溶液へ戻すことができる。捕獲されたCO2を含有する水溶液は、エネルギー的に実現可能なやり方で再生される。揮発性水溶液または高蒸気圧の水溶液を活用して、基板からCO2を捕集し、これを低いエネルギー損失で再生することができる。この中間ステップにより、基板を開放的環境に暴露せずに、大気汚染および大気損失を防止しつつ、基板に付着したCO2を開裂させることができる。
【0063】
上記の工程は、固体基板を往復して陰イオンを交換する。ここでは、イオン移行に参加する固体基板に固締された陰イオン交換の相手を活用している。この一例として、メチルアミンの、クロロメチル化を介したスチレン主鎖(脱イオン水システムにおいて使用される一般的なイオン交換樹脂)への反応がある。この種類のシステムでは、アミン等の窒素族が、共有結合を介してポリマー主鎖に付着する。この共有結合は、アンモニア型の分子を基板に固定する一方で、この分子が解離する(陽イオンおよび陰イオンを形成する)のを可能にする。窒素に付着できる可能な4つの共有結合が全て炭素基で満たされると、窒素は電子欠損状態を強いられて、永久的な正の電荷を獲得する。アンモニウムイオン上の永久電荷は窒素を陽イオンに変化させ、その後陽イオンは、隣接する陰イオンのイオン付着により満足されねばならない。これが、固体のポリマー基板に共有結合した塩である。
【0064】
強塩基水溶液のように働く固体表面を生じる能力は、以下に限定されない幾つかの特性および利点を提供する。
1.CO2の網は、アミン塩の陰イオン交換特性を活用する一方で、固体ポリマー主鎖のゼロ蒸気圧を利用する。基本的に、アミン塩は、その陰イオンを全て、OH−の表面を固体に付着させたまま濃度勾配を介して置換することにより、水酸化物(OH−)に押し込むことができる。付着したOH−はこれで、入来するCO2と反応させるのに容易に利用可能である。CO2を捕獲する技術のほとんどが、酸ガスと液体塩基表面またはOH−表面との反応を利用していることから、この方法は、高速の酸/塩基反応速度論を共にしている。
2.液膜中間体の排除により、現行の方法と比較して、表面積を大きく増加することができる。気液接触器において、極力多くの空気を接触させるように液体を拡張することが課題である。これは通常、ガスが適切に流れることができないような大きな圧力低下を誘発せずに、固体表面上で液体を伸ばし、その表面を増加することに関連する。OH−固体表面により、圧力低下を最低限にした最大表面積が可能となる。
3.反応を起こすには最低限の水が必要となるが、概して、基本的に水は消費されない。膜は空気から水を開裂させて捕獲を促進することができる。大容量の空気が関わると、このことは主な利益となる。
4.OH−がポリマー基板に付着するので、OH−を置換するのに利用可能な陰イオンがなければ、あるいはOH−と反応するのに酸が利用可能でなければ、OH−はもはや環境と反応することができない。これは、酸ガスのみと極めてよく反応する良性表面である。これにより、やはり捕獲を促進しつつ、環境との直接的接触から強酸化剤を完全に除去することができる。
5.大容量の開放空気を接触させることに関する別の問題として、捕集器自体の空気汚染がある。システム内での汚れや細菌の集積は不可避である。汚染物質から固体自体への陰イオンの移行がない限りは、処理前または再生前に表面を水で清浄し、汚染物質が残りの分離工程に入らないようにすることができる。
6.表面更新の間では、必要となる液体揚水はほとんどないか、またはない。これにより、表面上に流体を分配して接触区域を生じることによる揚水費用が著しく低減される。
7.陰イオン交換基をポリマーに付着させるための工程が比較的良好に理解されることから、陰イオン交換材料を適用できる材料の種類または形状に対する制限はない。
【0065】
1態様において、本発明は、大気のCO2の捕獲および後続の送出用の一次捕獲マトリックスとして、固体の陰イオン交換膜を用いる。膜は、1〜25mmの間隔で密集している。この間隔により、充分に低い圧力低下で周囲空気が通過できるので、空気を動かす機械を使用しなくてすむ。これは、マトリックス構成を検討した本発明者らによる前述の特許文献4に準拠している。
【0066】
マトリックス用の材料としてイオン交換膜を使用する利点は幾つかある。1つの利点として、膜をほぼ乾燥させるようなやり方で作用できること、したがって、環境を通して苛性材料をエアロゾルの形態で拡張するリスクを除去できることがある。基本的に乾燥モードで作用させる別の利点とは、蒸発に起因する水分損失がないことである。この水分損失は、蒸発で損なわれる水分量においてだけでなく、揚水、水送出システムの購入および配管の全ての付随費用においても重要である。別の利点とは、捕獲されたCO2を、膜が、同じ面積の水面で可能な濃度を上回る濃度で貯蔵できることである。増加した見かけの活性面積は、同等の含水面積を上回る。これにより、水溶液を使用することで可能な速度を超える速度での捕獲が可能になる。これに加えて、総合的な捕獲能力は、水溶液で可能な能力を上回る。
【0067】
添付の図6〜図8は、連続的周囲空気流と密閉容器(18.9L)の両方に暴露された陰イオン性膜のCO2捕獲能力を示しており、この密閉容器の内部では活性膜の小片(2×2cm)が懸下され、封入された瓶におけるCO2の減少が測定され記録される。
【0068】
別のデータ組が、大きめ(128L)の密閉容器内部で懸下された活性膜の小片を示しており、同じデータが測定され記録される。
【0069】
さらに別の態様において、本発明は、イオン交換媒体(IEM)用の基板としてセルロース・ベースのパッドを用いる。上で述べたように、IEMは、イオンが、IEM内で水溶液から同じ荷電イオンと交換できるようにすることにより作用する。この交換は、幾つかのルートを介して遂行することができる。
【0070】
或る工程において、高濃度の流体は、IEM上の同じ荷電イオンが樹脂のイオン受容部位から離れて水溶液中へと移動するよう誘導し、これらの部位を占める水溶液中の濃度イオンが高めになるようにする。このことは、濃度勾配を介して樹脂を圧倒するものと想定することができる。
【0071】
IEM上では、以下のメカニズムを介してCO2の吸収が起きる。
【化1】
【化2】
【化3】
【0072】
セルロース・ベースのIEMは、非常に効果的となった。アミノリシスのEDM方法を使用してセルロースをIEMに官能化することは、スチレンジビニルベンゼン・ベースの商業用に利用可能なIEMとほぼ同等の貯蔵特質を示した。このことは、セルロース活用のための路をもたらす。
【0073】
IEMは、空気から直接CO2を捕獲し、これを濃度勾配を介してアミン清浄水溶液中へと解放する能力を有することを本発明者らは発見した。このことには多くの意味がある。
【0074】
炭酸塩化されたアルカリ土類溶液の再生エネルギー要件が大きいことに起因して、アミンをベースとするアルカリ溶液を使用することは、著しいエネルギー利点を示した。一方、問題は、所要の望ましい性質、例えば高い運動速度および吸収能力を呈するアミン溶液のほとんどが、高分圧も呈することである。吸収を促進するために接触させねばならない空気が大量であること(200ppmの取込みとすると1トン当たり約2百万立方メートルのCO2)に起因して、低い蒸気圧の水溶液でも、損失速度が非常に高い。液体アミンと空気との間に中間体がなければ、ほとんどのアミン溶液は、空気からのCO2の直接捕獲に適用可能でないことになる。
【0075】
IEMはちょうどその中間体であるので、吸収剤水溶液と大容量の空気との接触時間を最小にして、液体のアミン溶液の再生費用の低さをさらに活用することができる。
【0076】
接触器の表面は吸着剤自体から生成されることから、表面を吸着剤の液体で絶えず湿潤して吸収を促進する必要はない。これが可能である理由は、IEMが相当量の水を保持するからである(質量が50%のものもある)。このことと内部濃度勾配とを組み合わせることにより、IEMは水溶液として働くことができる。CO2がIEM上へと吸収されるので濃度勾配が誘発され、この濃度勾配により、表面からより低い濃度へのHCO3−の移動、およびこれを置換するOH−の反対の移動が引き起こされる。これにより、IEMは、有効表面積を損なわず効果的にその構造の深部にHCO3−を貯蔵することができる。当然ながら、一定量の時間後にIEMがいったん飽和すると、アミン清浄水溶液を使用して媒体をそのOH−状態に再生し、工程中に喪失するアミンを極めて少なくすることができよう。本発明者らの実験は、8時間を超える吸収時間を示した。
【0077】
連続的に自由通過するイオン液体溶剤の使用を排除することにより、最終的に捕集器能力の減少だけでなく基板の寿命の減少ももたらすことになる、捕集器表面上での結晶の形成も排除される。IEMは、基板自体の内部にイオン積を貯蔵することにより、この問題を分子的に回避することになる。基板の表面上に存在し、そこでスケールを形成して付着物を生じ得る塩の代わりに、CO2吸収工程中に生成される陰イオンは、陰イオンが媒体の表面上に独自に存在できるようにする対イオンを持たない。CO2は、媒体の表面に吸収されると、樹脂のOH−陰イオン部分を効果的に中和して、このOH−陰イオン部分をHCO3−に置換し、このHCO3−は、板においてOH−陰イオン部分を効果的に貯蔵する。
【0078】
本発明のさらに別の実施形態として、CO2を捕獲する際に使用されるイオン交換樹脂を再生するための工程がある。図9は、一般的な工程の流れ図である。
【0079】
Na2CO3の分離および回復を達成するために、イオン交換媒体に液体を通す際、NaHCO3からCO2が除去され、CO2は解放されて、液体中に残っているNaHCO3との酸/塩基反応を受け、したがってNa2CO3が再生される。その後、Na2CO3水溶液はイオン交換カラムを出て上流工程に戻される。
【0080】
イオン交換媒体は、或る時間にわたってCO2により飽和することになるので再生されねばならない。これは、Na2CO3+NaHCO3の流れが除去された後に、層に液体のアミン溶液を通すことにより達成される。液体のアミン溶液は、イオン交換樹脂にOH−を解放することなり、このOH−は、イオン交換媒体を効果的に再生しつつ、CO2を解放する。その後、アミン‐CO2水溶液は除去され、工程が循環システムとして反復される。
【0081】
アミン‐CO2水溶液は、回復ステップも経由して、循環を完了しなければならない。アミン‐CO2回復は蒸留において遂行される。蒸留では、CO2が気相中で分離されて捕獲され、アミン‐OH水溶液が層に戻される。
【0082】
以下の非制限的な例は、本発明のこの態様をさらに表している。強塩基マクロ網状イオン交換樹脂を使用して、OH−イオンを水溶液中へ解放することにより、NaHCO3からイオン交換樹脂へとHCO3−を開裂させ、そこでNa2CO3を生成した。その後、樹脂を通過した水溶液を滴定して、イオン交換から生成されたNa2CO3の量を測定した。その後、樹脂は、樹脂中にNaHCO3またはNa2CO3が残らなくなるまで十分に清浄した。次に、清浄した樹脂を、容量の等しい2つの部分に分割し、各部分を液体のアミン溶液に接触させた。一方は1級アミンに、他方は3級アミンに接触させた。1級アミン(MEA)および3級アミン(MDEA)は各々、樹脂中に貯蔵されたCO2を除去するのに使用した。MEA水溶液は、樹脂から炭酸塩を開裂させる、より大きい能力を示したが、MDEA水溶液は、同様の、ただし僅かに低い吸収能力を表した。次に、各アミン‐CO2水溶液を滴定して、水溶液中のCO2の存在を確認した。
【0083】
図10に、本発明のさらに別の態様を表す。この態様は、イオン交換膜(IEM)502上で周囲空気からCO2を除去するための統合システムを提供する。IEMにより空気から除去されたCO2は、水酸化ナトリウム供給タンク504から送出された水酸化ナトリウムにより、IEMから清浄される。この水酸化ナトリウムは、炭酸ナトリウム(Na2CO3)水溶液を生成し、これが捕集タンク506内に捕集される。炭酸ナトリウム溶液は電解セル508内で電解され、そこで水酸化ナトリウムが回復しタンク504に戻される。また、炭酸ナトリウム溶液の一部はタンク510まで通過し、そこで炭酸ナトリウムは反応器512まで通過する。反応器では炭酸ナトリウムが酢酸と反応し、酢酸ナトリウムを生成する。この酢酸ナトリウムが電気透析スタック516まで通過し、この電気透析スタックは、酢酸ナトリウム塩供給原料から水酸化ナトリウムおよび酢酸を再生させる。酢酸はタンク514に戻し、そこで、後続の、タンク510からの炭酸ナトリウムとの混合/反応用に使用する一方で、水酸化ナトリウムはタンク504に戻す。出口518、520では酸素および水素が捕集または放出される一方で、出口522では例えば深井戸噴射またはその他の手段によりCO2が捕集され処分される。
【0084】
本発明のさらに別の態様は、CO2の捕集器として、海水、すなわち海洋を用いる。およそ上部が百メートルである海洋の混合層は、大気との遅延型化学平衡にあり、この層では空気中の二酸化炭素が溶存無機炭素と容易に交換される。溶存無機炭素は、空気中のCO2の分圧と平衡している。空気中の二酸化炭素の分圧が増加するか、あるいはその代わりに海洋水のアルカリ度が増加するかのいずれかの場合、二酸化炭素は水に入っていくことになる。空気からCO2を捕獲するメカニズムとして、海水へアルカリ度を投入する概念は、特許文献2に記載されている。本発明は、この概念に勝る改良点を提供する。
【0085】
海水のアルカリ度は、水に塩基を付加するか、または酸を除去するかのいずれかにより変更することができる。或る場合、海水のアルカリ度は、水から塩酸を抽出することにより増加することができる。別の場合、アルカリ度は、塩、ふつう海塩(ただし常にではない)を酸と塩基とに分解することで得られる塩基を投入することによって増加することができる。塩基は非常に希薄にして海水に付加される一方で、酸はふつう、より濃縮されて、さらなる処理のために保持され、および/または、工業用に回復される。
【0086】
大気との平衡を再確立するために、CO2取込みがアルカリ度の変化に定量的に適合してしまうまで、水は空気から二酸化炭素を吸収することになる。
【0087】
海洋水は、形成される1規定の酸1モルごとに、空気から約1モルの二酸化炭素を吸収することになる。溶存無機炭素が完全には重炭酸塩でなく、炭酸イオンとして存在するほんの少しの部分であることに起因して、僅かな不整合が起こる。したがって、海水中の炭酸の有効規定度は、そのモル濃度よりも僅かに高い。炭酸塩の平衡の再確立は1年よりも短い時間スケールで行われることになり、したがって、表面水が急速に下がっている場所以外では、人の介在なく起きることになる。したがって、海洋表面全体のほとんどが、この形のCO2管理に適している。本発明のこの態様の利点として、この態様が、空気から二酸化炭素を除去する空気交換装置の必要性を除いていることがある。二酸化炭素を捕獲する実際の動作は自然に遂行されるので、吸着剤または物理的な捕集器の据付けの必要がない。
【0088】
この工程の結果として、炭酸以外の酸、通常は炭酸よりもはるかに強い塩酸が残され、従って、ミネラル・ベースのアルカリ度により、より容易に中和することができる。したがって、ミネラル塩基と結合させるのが困難な、炭酸のような弱酸を処分しようとするのではなく、はるかに強い酸を生成し、これを、容易に利用可能で反応性レベルの低いミネラルにより、より容易に中和する。別法として、塩酸は工業用に捕集することができる。
【0089】
海洋水から塩酸を除去することによる、大気からの二酸化炭素の捕獲は、海岸に沿って、あるいは海洋の真ん中で船上で行うことができよう。重要なことは、混合表面層内にある海水上で酸の抽出が遂行されることであり、従って酸は処理された後、数週間または数ヶ月間、空気中で二酸化炭素に暴露されることになる。二酸化炭素が処分されるのではなく、海洋水から塩酸が除去される。この手法の重要な利点とは、アルカリ度を変更せずに二酸化炭素を付加すると、海水の炭酸塩の化学的性質が大いに変化するのに対して、この手法が、海洋の局所的区域のアルカリ度の微小な変更のみを必要とすることである。その上、過剰アルカリ度により捕獲されたCO2は安定しており、空気中へと戻されることはない。
【0090】
実行可能となるこのような隔離方法に関しては、この工程で生成されることになる大容量の塩酸を処分することが必要である。1つの可能性として、塩酸を、容易に利用可能なアルカリ性ミネラル、例えば玄武岩または蛇紋石で中和することにより処分することがある。代替案として、塩酸を、地下の、酸を中和できるアルカリ性流体貯蔵器内へと注入することができる。さらに別の可能性として、酸で変換できる採掘され粉砕されたミネラルを使用することがある。これらの工程は全て当技術分野で知られており、文献として刊行されている。本明細書では、それらの工程を、空気から二酸化炭素を捕獲するための特定の工程と組み合わせて、この問題に対する他の手法とは相異なる、二酸化炭素を管理する方法を開発する。
【0091】
塩化マグネシウムおよび塩化カルシウムが形成される場合、ミネラルは、無害であればこれらが容易に分解する海洋へと再注入することができる。別法として、結果として生じるブラインを地下に注入することができよう。
【0092】
本発明のさらに別の態様において、海水から塩酸を抽出するのに電気透析機器が使用される。その結果、濃塩酸が生じ、システムを通過する海洋水の水化学をほとんど変化させずにこの濃塩酸を捕集して工業的に使用することができる。このことは、より酸性に変わるセルに小さい材料の流れを走らせつつ、塩基を捕集するセルに大容量の海水を流すことにより遂行される。
【0093】
塩基性側での入力は海水であり、この海水は、アルカリ度の変化の非常に小さい海水に変換される。この変化が非常に小さく、局所的な水化学がこの変化によりさほど影響を受けないのが理想である。海水の全体的なアルカリ度は約2ミリモルであることから、それよりもずっと小さく変化を保つことができよう。実際には、もう少し大きく変化し、システムの出口にて海水流れの希釈を押し進めるのが有益なことがある。他方で、付着物を回避するために、変化をやはり極力小さく保つべきである。混合体内の溶解度積が、重大な要因により変化すると、付着物が容易に生じ得よう。
【0094】
酸性側への入力は海水とすることができ、あるいは純水、または、利用可能なその他の任意のブラインとすることもできよう。特に、塩酸の生成において多数の段階を設けることができ、したがって、少なくとも幾つかのセルの入力は、その出口でモル濃度が増加した塩酸溶液とすることができよう。図11は、このような機器の一例を示す。この設計は、電気透析スタックにふつう存在する陽イオン性膜の使用を排除する特別な手法に基づいている。
【0095】
実質的に異なる2つの手法がある。第1の手法は、陰イオン性膜および両極性膜により分離された或る数のセルを有する。陰イオン性膜および両極性膜が交互し、スタックは、陽極である一端と陰極である他端とで完了している。大きめのセルにある海水は、両極性膜から水酸化物イオンを受け、陰イオン性膜を通して塩化物イオンを失うことになる。両極性膜から陽子と、陰イオン性膜を通して塩化物イオンとを受ける相補的区画内では酸が形成する。ここでの流量が低いことから、海水化学の変化は小さく保たれるのに対して、酸濃度が著しく上昇することになる。
【0096】
図11は、海洋水から塩酸を抽出するための電気透析機器の反復区間の略図である。海洋区画は高流量を受けるので、水の化学変化は最小になる。対照的に、酸性セルの流量は非常に低速であるので、結果として生じる流量の酸の濃度が最大になる。1つのHClセルの出力を、次のセルへの流入として使用することが可能である。結果として、pHステップはあらゆる場所で最大になるわけではない。
【0097】
セルのアルカリ性側および酸性側の流量は、数桁異なってもよい。他方で、酸性流体を、波の推進力となる前に生成物流れとして複数回再使用することにより、同じ効果を達成することが可能である。いずれの設計においても、出力流れは、僅かに変更された海洋水および濃塩酸である。海洋水から除去される塩酸が1モルであれば、水は、1モルのCO2に相当する或る量の二酸化炭素を大気から吸収することになる。海水中の炭酸が、炭酸イオンからの小さい寄与で、主として重炭酸イオンおよび陽子に分離することから、回収された塩酸の量を補償するには、約1モルのCO2が必要となる。
【0098】
工程においてpHがほとんど変化せず、海洋水中の塩化物イオンの濃度は水酸化物イオンの濃度を常にはるかに超えることになるので、陽イオン性膜のない電気透析機器を構築することが可能である。結果として、両極性膜は2つの流体を分離し、いずれの側でも、優勢な陰イオンは塩化物イオンである。両極性膜と交互する陽イオン性膜で専ら構築される相補的機器は、良好には作動しないであろう。この場合、HClセルから陽イオン性膜を通してナトリウムイオンを移行することによりHClが形成されよう。いったんHClが形成を開始してしまうと、陽子は移行中のナトリウムで完了し、したがって非効率性が大きくなることになる。
【0099】
設計において3つの異なる膜が交互する従来の電気透析機器を設計することも可能である。その場合、塩がその陰イオンと陽イオンとに分割される。陽イオンは海洋水流量に付加され、陰イオンは酸の区画に行き着く。酸の区画におけるアルカリ度の低減が、決して中和されない高アルカリ性ブラインで開始する場合、陰イオン性膜を排除することが可能である。その場合、事実上、酸の中和と酸の生成とが組み合わされて単一のステップとなる。
【0100】
図12は、陽イオン性膜、陰イオン性膜、および両極性膜を交互させる電気透析機器の略図である。セルは、両極性膜の片側で海水のアルカリ度を上昇させ、両極性膜のもう片側でHClを生ずるように配置される。陽イオン性膜と陰イオン性膜との間のセルは食塩水を収容するが、この場合は、その濃度が希釈された海水を収容する。
【0101】
図12に示す設計により、海水を、僅かに希釈された海水流れと、より弱アルカリ性の流れと、分離された酸の流れとに分離することが可能になる。好適な実施は、塩を分割して得られた海水の、僅かに希釈された流れを使用して、この流れを、アルカリ度が増加したまま残る海水用の入力流れにすることができよう。陰イオンおよび陽イオンがそこから除去されるセル内で、異なる塩を使用することも可能である。特別な例として、弱酸のナトリウム塩を使用することがあろう。その場合、最終チャンバで生成される酸は、HClではなく異なる酸であり、再度すぐに処分されることになる。図13を参照されたい。
【0102】
図14は、陰イオンXを有する異なる塩を活用して、すぐに処分される別個の酸HXを生成しつつ、海水のアルカリ度を上昇させる電気透析セルスタックを表している。図説の目的で、塩はNaXであると仮定するが、塩ブラインにおいて、海洋水へ安全に注入できる任意の陽イオンを使用することができる。
【0103】
図12は、陰イオン性膜のない塩分割セルを表しており、このセルは、生成された酸を地質学的地下ブラインへと即座に注入する。図12に説明する実施形態は、陰イオン性膜の必要性を回避しつつ、電気透析と塩酸の処分とを組み合わせる。地質学的ブラインが海水よりもアルカリ性である場合、適切な膜を用いて、電気を入力せずにシステムを作動させることが可能である。というのも、このシステムが、海洋水とブラインとの間のpH差により駆動されるバッテリとして働くからである。熱力学は、2つの流体間のpH差を低減する方へ自然に移動することになる。高い酸性度ではセルが作動しないことから、標準の塩スプリッタで使用される陰イオン性膜を排除することが可能である。
【0104】
上記において、説明した本発明の精神および範囲から逸脱することなく種々の変更を行うことができる。例として、空気捕獲交換膜は、目の粗いマット(空気がそこを通って流れる)を形成する、通常0.1〜10mm幅、好ましくは1〜10mm幅の細長い糸の形にすることができる。空気捕獲交換膜は、管、ハニカム構造、あるいは発泡体構造の形にしてもよい。添付の図面に示すような、あるいは以下の請求項で規定されるような上記の記載に含まれる全ての主題は、制限する意味ではなく例証的なものとして解釈されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1a】空気洗浄器の部分断面における側面図である。
【図1b】本発明の別の実施形態により作製された空気洗浄器のさらなる代替の形態の斜視図である。
【図2a】場合によって本発明のさらに他の実施形態により作製された空気洗浄ユニットの、斜視図または側面図である。
【図2b】場合によって本発明のさらに他の実施形態により作製された空気洗浄ユニットの、斜視図または側面図である。
【図2c】場合によって本発明のさらに他の実施形態により作製された空気洗浄ユニットの、斜視図または側面図である。
【図3a】場合によって本発明のさらに他の実施形態により作製された空気洗浄ユニットの、斜視図または側面図である。
【図3b】場合によって本発明のさらに他の実施形態により作製された空気洗浄ユニットの、斜視図または側面図である。
【図4a】場合によって本発明のさらに他の実施形態により作製された空気洗浄ユニットの、斜視図または側面図である。
【図4b】場合によって本発明のさらに他の実施形態により作製された空気洗浄ユニットの、斜視図または側面図である。
【図4c】場合によって本発明のさらに他の実施形態により作製された空気洗浄ユニットの、斜視図または側面図である。
【図5】本発明の1実施形態による、空気からCO2を除去するための工程を表すブロック流れ図である。
【図6】或る時間にわたるCO2捕獲をグラフで表す。
【図7】或る時間にわたるCO2捕獲をグラフで表す。
【図8】或る時間にわたるCO2捕獲をグラフで表す。
【図9】本発明の1実施形態による工程流れ図である。
【図10】本発明の別の態様による、空気からのCO2除去のための統合システムを示す略流れ図である。
【図11】本発明の代替の態様による、海水を処理するためのセルの概略図である。
【図12】本発明の代替の態様による、海水を処理するためのセルの概略図である。
【図13】本発明の代替の態様による、海水を処理するためのセルの概略図である。
【図14】本発明の代替の態様による、海水を処理するためのセルの概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気からCO2を除去するための工程であって、
(a)空気を第1CO2吸着剤に接触するように通して、空気からCO2を吸収するステップ;
(b)ステップ(a)からの前記CO2吸着剤をイオン交換樹脂に接触するように通して、前記第1CO2吸着剤からCO2を吸収するステップ;
(c)ステップ(b)からの前記イオン交換樹脂を第2CO2吸着剤に接触させて、前記イオン交換樹脂からCO2を吸収するステップ;および
(d)温度スイングまたは圧力スイングを介して、あるいは電解で前記第2CO2吸着剤を回復するステップ
を含む工程。
【請求項2】
前記第1CO2吸着剤が炭酸塩ブラインを含む、請求項1記載の工程。
【請求項3】
前記炭酸塩ブラインが炭酸ナトリウムブラインまたは重炭酸カリウムブラインを含む、請求項2記載の工程。
【請求項4】
前記第1CO2吸着剤が水酸化物を含有する、請求項1ないし3のいずれかに記載の工程。
【請求項5】
前記第1CO2吸着剤および/または前記第2CO2吸着剤が、前記吸着剤の物理的特性を調整するための化学物質を含有する、請求項1ないし4のいずれかに記載の工程。
【請求項6】
前記第2CO2吸着剤が、前記第1CO2吸着剤とは異なる、請求項1ないし5のいずれかに記載の工程。
【請求項7】
前記第2CO2吸着剤が、アミンをベースとするイオン交換樹脂を含む、請求項6に記載の工程。
【請求項8】
前記イオン交換樹脂が、固体の陰イオン交換膜を含む、請求項1ないし7のいずれかに記載の工程。
【請求項9】
前記イオン交換樹脂が、ポリマー基板上に被覆される、請求項1ないし7のいずれかに記載の工程。
【請求項10】
前記ポリマー基板がポリマー発泡体を含む、請求項8又は9に記載の工程。
【請求項11】
前記ポリマー基板がセルロースを含む、請求項8又は9に記載の工程。
【請求項12】
前記第1CO2吸着剤および/または前記第2CO2吸着剤が、水の保持および/または粘性を最適化するための化学物質を含有する、請求項5に記載の工程。
【請求項13】
空気からCO2を回復するための装置であって、
(a)空気が第1CO2吸着剤に接触し、その結果として空気からCO2が吸収される機器と、
(b)前記第1CO2吸着剤がイオン交換樹脂に接触し、その結果として前記第1CO2吸着剤からCO2が吸収される機器と、
(c)前記イオン交換樹脂が第2CO2吸着剤に接触し、前記イオン交換樹脂からCO2が吸収される機器と、
(d)温度スイングまたは圧力スイングを介して、あるいは電解で前記第2CO2吸着剤を回復する機器と
を組み合わせて含む装置。
【請求項14】
前記イオン交換樹脂が、固体の陰イオン交換膜を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ポリマー基板がポリマー発泡体を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記ポリマー基板がセルロースを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第2CO2吸着剤がアミンを含む、請求項13ないし16のいずれかに記載の装置
【請求項18】
大気から海水への二酸化炭素の流動を増進する方法であって、OH−、HCO3−、およびCO32−以外の陰イオンを前記海水から除去することにより、前記海水のアルカリ度を上昇させるステップを含む方法。
【請求項19】
除去された前記陰イオンが塩化物イオンを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
1リットル当たり1ミリモル未満だけアルカリ度が変化する、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記海水から酸を抽出することによりアルカリ度が上昇する、請求項18ないし20に記載の方法。
【請求項22】
酸を抽出するのに電解機器が使用される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記電解機器が交互する両極性膜と陽イオン性膜とを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
大気から海水への二酸化炭素の流動を増進する方法であって、塩を電解で分割して酸/塩基対にし、結果として生じる陽イオンを前記海水に付加することにより、海水のアルカリ度を上昇させるステップを含む方法。
【請求項25】
前記塩がナトリウム塩を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記塩が塩化ナトリウムを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
間に区画を形成する交互する陽イオン性膜および両極性膜を含む装置であって、前記海水が両極性膜からOH−イオンを受け、アルカリ性ブラインからの陽イオンが、前記両極性膜から陽子を受ける区画を通過する、請求項18記載の工程を実施するための装置。
【請求項28】
前記アルカリ性ブラインを地下の地質学的貯蔵器から抽出する装置であって、前記ブラインを地下に再注入するステップを含む、請求項27記載の装置。
【請求項29】
前記アルカリ性ブラインが、海水のpHよりも高いpHを有する、請求項27又は28記載の装置。
【請求項30】
前記アルカリ性ブラインが、海水のナトリウム濃度よりも高いナトリウム濃度を有する、請求項27ないし29に記載の装置。
【請求項31】
濃度勾配により少なくとも部分的に動かされた前記海水のアルカリ度が増加するように、陽子および/または陽イオンの自然な流れを可能にする選択性を前記膜が有する、請求項27ないし30に記載の装置。
【請求項32】
そこから塩化物イオンが除去される、海水を通過させるための高流量セルと、塩酸の豊富な酸性ブラインを収容するための低流量セルとを組み合わせて含む、請求項27ないし31に記載の装置。
【請求項33】
低流量セルと交互する高流量セルの組み合わせを含む、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
ブラインが前記電解機器を何度も通過して、酸の濃度が段階的に上昇し、これによってセル間の平均電圧ステップが最小になる、請求項23に記載の方法。
【請求項35】
前記酸を電解機器に何度も通すステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項36】
前記電解機器が交互する両極性膜と陽イオン性膜とを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
選択された区画への純水または海水のための供給原料を含む、請求項27に記載の装置。
【請求項38】
前記酸が塩酸を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記塩が塩化ナトリウムブラインを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項40】
前記塩化ナトリウムブラインが海水以外の源から抽出される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
選択された区画への海水の供給原料を含む、請求項27に記載の装置。
【請求項42】
イオンが除去された海水が、前記電解分割用の供給原料として使用される、請求項24に記載の方法。
【請求項43】
前記電解分割用の供給原料として、海水から得られた濃縮ブラインを使用するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項44】
前記抽出された酸を濃縮するステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項45】
前記抽出された酸がアルカリ性ミネラルにより中和される、請求項21に記載の方法。
【請求項46】
前記抽出された酸が中和され噴射により地下のアルカリ岩を形成して処分される、請求項21に記載の方法。
【請求項47】
前記抽出された酸がアルカリ性ミネラル基材との反応により中和される、請求項21に記載の方法。
【請求項48】
前記アルカリ性ミネラル基材が蛇紋石、橄欖石、かんらん岩、粘土から成る群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記アルカリ性ミネラル基材が鉱山尾鉱、廃棄アスベスト、廃棄コンクリート、製鋼スラグ、および、高アルカリ度であるその他の廃材から成る群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
過剰分解したブライン、または中和されたブラインを、水循環へ戻し、最終的に海へ戻すステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項51】
海水、塩ブライン、および酸ブラインの区画が、両極性膜、陽イオン性膜、陰イオン性膜、および両極性膜の間で挟まれており、そのパターンが反復される、請求項18に記載の方法。
【請求項52】
空気流量に暴露された陰イオン性膜を含む、大気からCO2を捕獲するための装置。
【請求項53】
空気流を前記膜の表面と平行にして、一連の平板内に配置された複数の陰イオン性膜を含む、請求項52に記載の装置。
【請求項54】
膜の間隔が1〜25mmで相互に離間する、周囲空気流に暴露された複数の陰イオン性膜を含む、請求項53に記載の装置。
【請求項55】
相互に離間する複数の陰イオン性膜を含み、前記膜の全表面にわたり空気を移動させるための、電力供給された送風機をさらに含む、請求項53に記載の装置。
【請求項56】
前記膜が波形に配置され、前記波形により形成された流路を通る空気流を許容する、請求項52に記載の装置。
【請求項57】
前記膜に沿った流路が、空気流速により決定された長さを有する結果、空気からCO2が過剰には消耗されない、請求項52ないし56に記載の装置。
【請求項58】
層状に積層し、軸上で回転する輪になるように組み立てられた「パイ状の」区間を形成する複数の膜を含む、請求項52に記載の装置。
【請求項59】
捕獲されたCO2を前記膜の表面から清浄するための苛性水溶液洗浄液をさらに含む、請求項52ないし58に記載の装置。
【請求項60】
前記洗浄液がアミンまたは炭酸塩溶液を含む、請求項59に記載の装置。
【請求項61】
前記膜が、螺旋状パターンで移動する連続シートを含む結果、前記膜がまず空気流に暴露され、苛性溶液、アミン溶液、または炭酸塩溶液に浸され、その後、反復して空気に暴露される、請求項52に記載の装置。
【請求項62】
陰イオン性膜を空気流量に暴露するステップを含む、空気からCO2を捕獲するための方法。
【請求項63】
前記膜が、一連の平板内に配置された複数の陰イオン性膜を含み、前記膜の表面と実質平行に空気が流される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記膜が、膜の間隔が1〜25mmで相互に離間する複数の陰イオン性膜を含み、空気が補助的な支援なしに前記膜を越えて流される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
相互に離間する複数の陰イオン性膜を含み、送風機が前記膜の全表面にわたる空気の移動を促進する、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
空気からCO2が過剰に消耗されないように、空気流および膜表面が適合する、請求項62ないし65のいずれかに記載の方法。
【請求項67】
前記膜が、層状に積層し、輪になるように組み立てられた「パイ状の」区間を形成する複数の膜を含む方法であって、CO2吸着剤を通って前記輪の周縁部を回転させるステップを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項68】
空気への暴露後に前記膜を清浄水溶液で清浄し、前記膜がCO2吸収体として反復して働くことができるように、捕獲されたCO2を前記膜の表面から清浄するステップを含む、請求項62ないし67のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
前記清浄水溶液がアミン溶液を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記清浄水溶液が炭酸塩または重炭酸塩溶液を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記膜が連続シートを含む方法であって、前記膜がまず空気流に暴露され、清浄水溶液に浸され、その後、反復して空気に暴露されるように前記膜を螺旋状パターンで移動させるステップを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項72】
前記清浄水溶液がアミン溶液を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記清浄水溶液が炭酸塩または重炭酸塩溶液を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
ガス流中の微量ガスと、液体または固体の吸着剤との間の接触を増進するための方法であって、開いたセル発泡体内および/または網状セル発泡体内に、吸着剤が被覆された表面が流路を備えて生成され、該流路は、前記発泡体の孔寸法に関して大きく、大部分のガス流量を、低抵抗の通路に沿って前記発泡体の層を通して案内しており、前記連続気泡発泡体が大部分はガスで満たされており、前記発泡体内部のガス容量が相互接続して、前記流路内の前記ガス流量に連結されており、該流路は、前記発泡体を通過して、前記流路を通る前記ガス流量と、前記発泡体のバルク容積を通って移動するガス流量とを、連続的にまたは間欠的に混合する方法。
【請求項75】
前記吸着剤が、前記発泡体の前記孔内で捕捉される液体であり、前記発泡体構造を塗布するか、または、前記発泡体構造の内部で捕捉される液滴を形成する、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記吸着剤が、前記発泡体材料であるか、または前記発泡体材料に永久に固定されている、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記吸着剤が、固体の吸着剤粒子の懸濁液として導入され、前記液体が、前記固体の粒子と共に前記発泡体内に留まる、請求項74又は75に記載の方法。
【請求項78】
前記吸着剤が、固体の吸着剤粒子の懸濁液として導入され、前記吸着剤材料を使用する前に、前記液体が前記発泡体から蒸発される、請求項74又は75に記載の方法。
【請求項79】
前記発泡体を、種々の断面形状を有することのできる直線的流路が横切る、請求項74ないし78のいずれかに記載の方法。
【請求項80】
前記断面が円筒形である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記発泡体が、発泡体の複数の分離層を含む、請求項74ないし80のいずれかに記載の方法。
【請求項82】
前記発泡体が疎水性である、請求項74ないし81のいずれかに記載の方法。
【請求項83】
前記発泡体が親水性である、請求項74ないし81のいずれかに記載の方法。
【請求項84】
前記発泡体が、親水性成分および疎水性成分の両方から成る、請求項74ないし81のいずれかに記載の方法。
【請求項85】
前記吸着剤粒子が前記発泡体構造に付着される、請求項78又は79に記載の方法。
【請求項86】
前記吸着剤粒子が、前記発泡体のかご構造により固定化される、請求項78又は79に記載の方法。
【請求項87】
前記発泡体構造の様々な表面上で、バルク発泡体とは反対の水湿潤性の粒子を捕獲するステップを含む、請求項83に記載の方法。
【請求項88】
前記成分が懸濁液として前記発泡体内へと清浄される、請求項84に記載の方法。
【請求項89】
発泡工程において前記成分が捕獲される、請求項84に記載の方法。
【請求項90】
前記発泡体の孔寸法が、0.1mmより大きく1mm未満である、請求項79ないし86のいずれかに記載の方法。
【請求項91】
前記発泡体の孔寸法は、過剰な吸着剤液体が、孔の間の孔空間から重力下に排出されるような孔寸法である、請求項79ないし86のいずれかに記載の方法。
【請求項92】
液体吸着剤の供給部に接触する前記発泡体構造の周縁部を低速で回転させることにより、吸着剤液体が、前記発泡体上および前記発泡体内で分配され、その結果として過剰な液体吸着剤が重力により前記発泡体から排出される、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
流路が、前記回転軸と平行に前記発泡体を横切る、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記液体吸着剤がアルカリ性ブラインを含む、請求項91又は93に記載の方法。
【請求項95】
前記液体吸着剤の供給部が、前記ソルベートガスへの暴露後に前記発泡体から戻される流体と混合され、外部流体処理により、前記浸漬貯蔵器内で前記流体が新鮮な状態に維持される、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記発泡体構造が、新鮮な吸着剤タンクと消費済み吸着剤タンクとの間で移動する、請求項92ないし94のいずれかに記載の方法。
【請求項97】
弾性発泡体が使用される方法であって、前記発泡体を圧縮することにより、吸着剤液体を混合して前記発泡体マトリックスにするステップを含む、請求項74ないし90のいずれかに記載の方法。
【請求項98】
前記発泡体が表面を押し付ける単数または複数のローラにより圧縮される、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記ローラが構造化表面を有する、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記ローラが、前記ローラ軸と平行な稜を有する、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記ローラが、円周方向に走る稜を有する、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
前記ローラが、異なる形状の欠刻および突出部を有する、請求項99に記載の方法。
【請求項103】
ローラの対が、局部圧縮を最大にするように適合された表面パターンを有する、請求項97ないし102のいずれかに記載の方法。
【請求項104】
前記ローラが固定的に保持されており、発泡体パッドが前記ローラの間で前後に移動する、請求項97ないし103のいずれかに記載の方法。
【請求項105】
前記ローラが発泡体パッドの側面に沿って移動する、請求項97ないし103のいずれかに記載の方法。
【請求項106】
前記ローラが前記発泡体の前記表面に沿って移動する際、または前記発泡体が前記ローラを通って移動する際のいずれかに、前記ローラが前記発泡体を通して流体を押し流し、前記ローラ間の間隔、または前記ローラと前記壁との間の間隔が調整されて、前記発泡体内で保持される流体量が制御される、請求項97ないし103のいずれかに記載の方法。
【請求項107】
前記発泡体が選択的に、前記ローラから比較的高い圧縮行程を受けて該ローラから消費済み吸着剤を抽出するとともに、比較的低い圧縮行程を受けて新鮮な吸着剤を分配する、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記ローラが、前記発泡体の頂部にあるか、または前記高い圧縮行程と前記低い圧縮行程との間での前記移動ローラの前側にある場合、新鮮な吸着剤が塗布される、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記高い圧縮行程が、前記ローラの下向きの運動、または前記発泡体の上向きの運動で実施され、前記低い圧縮行程が、前記ローラの上向きの運動、または前記発泡体の下向きの運動で実施される、請求項107に記載の方法。
【請求項110】
前記転がり圧縮行程が、前記ローラの下向きの運動で実施され、前記発泡体を実質的に圧縮せずに前記ローラが上部位置に戻される、請求項107に記載の方法。
【請求項111】
発泡体の連続的ループが、対向する2つのローラにわたって伸長し、前記ループの一端が液体吸着剤浴内に浸漬され、前記ローラが、前記液体吸着剤浴に前記発泡体ループを通すように動かされる、請求項97ないし110のいずれかに記載の方法。
【請求項112】
前記吸着剤流体に界面活性剤が付加される、請求項74ないし111のいずれかに記載の方法。
【請求項113】
前記ガス流が空気を含み、前記微量ガスがCO2を含む、請求項74ないし112のいずれかに記載の方法。
【請求項114】
前記空気捕獲交換膜が糸または管状の目の粗いマットを含む、請求項14又は52に記載の装置。
【請求項115】
前記空気捕獲交換膜がハニカム構造または発泡体構造の目の粗いマットを含む、請求項14又は52に記載の装置。
【請求項1】
空気からCO2を除去するための工程であって、
(a)空気を第1CO2吸着剤に接触するように通して、空気からCO2を吸収するステップ;
(b)ステップ(a)からの前記CO2吸着剤をイオン交換樹脂に接触するように通して、前記第1CO2吸着剤からCO2を吸収するステップ;
(c)ステップ(b)からの前記イオン交換樹脂を第2CO2吸着剤に接触させて、前記イオン交換樹脂からCO2を吸収するステップ;および
(d)温度スイングまたは圧力スイングを介して、あるいは電解で前記第2CO2吸着剤を回復するステップ
を含む工程。
【請求項2】
前記第1CO2吸着剤が炭酸塩ブラインを含む、請求項1記載の工程。
【請求項3】
前記炭酸塩ブラインが炭酸ナトリウムブラインまたは重炭酸カリウムブラインを含む、請求項2記載の工程。
【請求項4】
前記第1CO2吸着剤が水酸化物を含有する、請求項1ないし3のいずれかに記載の工程。
【請求項5】
前記第1CO2吸着剤および/または前記第2CO2吸着剤が、前記吸着剤の物理的特性を調整するための化学物質を含有する、請求項1ないし4のいずれかに記載の工程。
【請求項6】
前記第2CO2吸着剤が、前記第1CO2吸着剤とは異なる、請求項1ないし5のいずれかに記載の工程。
【請求項7】
前記第2CO2吸着剤が、アミンをベースとするイオン交換樹脂を含む、請求項6に記載の工程。
【請求項8】
前記イオン交換樹脂が、固体の陰イオン交換膜を含む、請求項1ないし7のいずれかに記載の工程。
【請求項9】
前記イオン交換樹脂が、ポリマー基板上に被覆される、請求項1ないし7のいずれかに記載の工程。
【請求項10】
前記ポリマー基板がポリマー発泡体を含む、請求項8又は9に記載の工程。
【請求項11】
前記ポリマー基板がセルロースを含む、請求項8又は9に記載の工程。
【請求項12】
前記第1CO2吸着剤および/または前記第2CO2吸着剤が、水の保持および/または粘性を最適化するための化学物質を含有する、請求項5に記載の工程。
【請求項13】
空気からCO2を回復するための装置であって、
(a)空気が第1CO2吸着剤に接触し、その結果として空気からCO2が吸収される機器と、
(b)前記第1CO2吸着剤がイオン交換樹脂に接触し、その結果として前記第1CO2吸着剤からCO2が吸収される機器と、
(c)前記イオン交換樹脂が第2CO2吸着剤に接触し、前記イオン交換樹脂からCO2が吸収される機器と、
(d)温度スイングまたは圧力スイングを介して、あるいは電解で前記第2CO2吸着剤を回復する機器と
を組み合わせて含む装置。
【請求項14】
前記イオン交換樹脂が、固体の陰イオン交換膜を含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ポリマー基板がポリマー発泡体を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記ポリマー基板がセルロースを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第2CO2吸着剤がアミンを含む、請求項13ないし16のいずれかに記載の装置
【請求項18】
大気から海水への二酸化炭素の流動を増進する方法であって、OH−、HCO3−、およびCO32−以外の陰イオンを前記海水から除去することにより、前記海水のアルカリ度を上昇させるステップを含む方法。
【請求項19】
除去された前記陰イオンが塩化物イオンを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
1リットル当たり1ミリモル未満だけアルカリ度が変化する、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記海水から酸を抽出することによりアルカリ度が上昇する、請求項18ないし20に記載の方法。
【請求項22】
酸を抽出するのに電解機器が使用される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記電解機器が交互する両極性膜と陽イオン性膜とを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
大気から海水への二酸化炭素の流動を増進する方法であって、塩を電解で分割して酸/塩基対にし、結果として生じる陽イオンを前記海水に付加することにより、海水のアルカリ度を上昇させるステップを含む方法。
【請求項25】
前記塩がナトリウム塩を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記塩が塩化ナトリウムを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
間に区画を形成する交互する陽イオン性膜および両極性膜を含む装置であって、前記海水が両極性膜からOH−イオンを受け、アルカリ性ブラインからの陽イオンが、前記両極性膜から陽子を受ける区画を通過する、請求項18記載の工程を実施するための装置。
【請求項28】
前記アルカリ性ブラインを地下の地質学的貯蔵器から抽出する装置であって、前記ブラインを地下に再注入するステップを含む、請求項27記載の装置。
【請求項29】
前記アルカリ性ブラインが、海水のpHよりも高いpHを有する、請求項27又は28記載の装置。
【請求項30】
前記アルカリ性ブラインが、海水のナトリウム濃度よりも高いナトリウム濃度を有する、請求項27ないし29に記載の装置。
【請求項31】
濃度勾配により少なくとも部分的に動かされた前記海水のアルカリ度が増加するように、陽子および/または陽イオンの自然な流れを可能にする選択性を前記膜が有する、請求項27ないし30に記載の装置。
【請求項32】
そこから塩化物イオンが除去される、海水を通過させるための高流量セルと、塩酸の豊富な酸性ブラインを収容するための低流量セルとを組み合わせて含む、請求項27ないし31に記載の装置。
【請求項33】
低流量セルと交互する高流量セルの組み合わせを含む、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
ブラインが前記電解機器を何度も通過して、酸の濃度が段階的に上昇し、これによってセル間の平均電圧ステップが最小になる、請求項23に記載の方法。
【請求項35】
前記酸を電解機器に何度も通すステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項36】
前記電解機器が交互する両極性膜と陽イオン性膜とを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
選択された区画への純水または海水のための供給原料を含む、請求項27に記載の装置。
【請求項38】
前記酸が塩酸を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記塩が塩化ナトリウムブラインを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項40】
前記塩化ナトリウムブラインが海水以外の源から抽出される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
選択された区画への海水の供給原料を含む、請求項27に記載の装置。
【請求項42】
イオンが除去された海水が、前記電解分割用の供給原料として使用される、請求項24に記載の方法。
【請求項43】
前記電解分割用の供給原料として、海水から得られた濃縮ブラインを使用するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項44】
前記抽出された酸を濃縮するステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項45】
前記抽出された酸がアルカリ性ミネラルにより中和される、請求項21に記載の方法。
【請求項46】
前記抽出された酸が中和され噴射により地下のアルカリ岩を形成して処分される、請求項21に記載の方法。
【請求項47】
前記抽出された酸がアルカリ性ミネラル基材との反応により中和される、請求項21に記載の方法。
【請求項48】
前記アルカリ性ミネラル基材が蛇紋石、橄欖石、かんらん岩、粘土から成る群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記アルカリ性ミネラル基材が鉱山尾鉱、廃棄アスベスト、廃棄コンクリート、製鋼スラグ、および、高アルカリ度であるその他の廃材から成る群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
過剰分解したブライン、または中和されたブラインを、水循環へ戻し、最終的に海へ戻すステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項51】
海水、塩ブライン、および酸ブラインの区画が、両極性膜、陽イオン性膜、陰イオン性膜、および両極性膜の間で挟まれており、そのパターンが反復される、請求項18に記載の方法。
【請求項52】
空気流量に暴露された陰イオン性膜を含む、大気からCO2を捕獲するための装置。
【請求項53】
空気流を前記膜の表面と平行にして、一連の平板内に配置された複数の陰イオン性膜を含む、請求項52に記載の装置。
【請求項54】
膜の間隔が1〜25mmで相互に離間する、周囲空気流に暴露された複数の陰イオン性膜を含む、請求項53に記載の装置。
【請求項55】
相互に離間する複数の陰イオン性膜を含み、前記膜の全表面にわたり空気を移動させるための、電力供給された送風機をさらに含む、請求項53に記載の装置。
【請求項56】
前記膜が波形に配置され、前記波形により形成された流路を通る空気流を許容する、請求項52に記載の装置。
【請求項57】
前記膜に沿った流路が、空気流速により決定された長さを有する結果、空気からCO2が過剰には消耗されない、請求項52ないし56に記載の装置。
【請求項58】
層状に積層し、軸上で回転する輪になるように組み立てられた「パイ状の」区間を形成する複数の膜を含む、請求項52に記載の装置。
【請求項59】
捕獲されたCO2を前記膜の表面から清浄するための苛性水溶液洗浄液をさらに含む、請求項52ないし58に記載の装置。
【請求項60】
前記洗浄液がアミンまたは炭酸塩溶液を含む、請求項59に記載の装置。
【請求項61】
前記膜が、螺旋状パターンで移動する連続シートを含む結果、前記膜がまず空気流に暴露され、苛性溶液、アミン溶液、または炭酸塩溶液に浸され、その後、反復して空気に暴露される、請求項52に記載の装置。
【請求項62】
陰イオン性膜を空気流量に暴露するステップを含む、空気からCO2を捕獲するための方法。
【請求項63】
前記膜が、一連の平板内に配置された複数の陰イオン性膜を含み、前記膜の表面と実質平行に空気が流される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記膜が、膜の間隔が1〜25mmで相互に離間する複数の陰イオン性膜を含み、空気が補助的な支援なしに前記膜を越えて流される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
相互に離間する複数の陰イオン性膜を含み、送風機が前記膜の全表面にわたる空気の移動を促進する、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
空気からCO2が過剰に消耗されないように、空気流および膜表面が適合する、請求項62ないし65のいずれかに記載の方法。
【請求項67】
前記膜が、層状に積層し、輪になるように組み立てられた「パイ状の」区間を形成する複数の膜を含む方法であって、CO2吸着剤を通って前記輪の周縁部を回転させるステップを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項68】
空気への暴露後に前記膜を清浄水溶液で清浄し、前記膜がCO2吸収体として反復して働くことができるように、捕獲されたCO2を前記膜の表面から清浄するステップを含む、請求項62ないし67のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
前記清浄水溶液がアミン溶液を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記清浄水溶液が炭酸塩または重炭酸塩溶液を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記膜が連続シートを含む方法であって、前記膜がまず空気流に暴露され、清浄水溶液に浸され、その後、反復して空気に暴露されるように前記膜を螺旋状パターンで移動させるステップを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項72】
前記清浄水溶液がアミン溶液を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記清浄水溶液が炭酸塩または重炭酸塩溶液を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
ガス流中の微量ガスと、液体または固体の吸着剤との間の接触を増進するための方法であって、開いたセル発泡体内および/または網状セル発泡体内に、吸着剤が被覆された表面が流路を備えて生成され、該流路は、前記発泡体の孔寸法に関して大きく、大部分のガス流量を、低抵抗の通路に沿って前記発泡体の層を通して案内しており、前記連続気泡発泡体が大部分はガスで満たされており、前記発泡体内部のガス容量が相互接続して、前記流路内の前記ガス流量に連結されており、該流路は、前記発泡体を通過して、前記流路を通る前記ガス流量と、前記発泡体のバルク容積を通って移動するガス流量とを、連続的にまたは間欠的に混合する方法。
【請求項75】
前記吸着剤が、前記発泡体の前記孔内で捕捉される液体であり、前記発泡体構造を塗布するか、または、前記発泡体構造の内部で捕捉される液滴を形成する、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記吸着剤が、前記発泡体材料であるか、または前記発泡体材料に永久に固定されている、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記吸着剤が、固体の吸着剤粒子の懸濁液として導入され、前記液体が、前記固体の粒子と共に前記発泡体内に留まる、請求項74又は75に記載の方法。
【請求項78】
前記吸着剤が、固体の吸着剤粒子の懸濁液として導入され、前記吸着剤材料を使用する前に、前記液体が前記発泡体から蒸発される、請求項74又は75に記載の方法。
【請求項79】
前記発泡体を、種々の断面形状を有することのできる直線的流路が横切る、請求項74ないし78のいずれかに記載の方法。
【請求項80】
前記断面が円筒形である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記発泡体が、発泡体の複数の分離層を含む、請求項74ないし80のいずれかに記載の方法。
【請求項82】
前記発泡体が疎水性である、請求項74ないし81のいずれかに記載の方法。
【請求項83】
前記発泡体が親水性である、請求項74ないし81のいずれかに記載の方法。
【請求項84】
前記発泡体が、親水性成分および疎水性成分の両方から成る、請求項74ないし81のいずれかに記載の方法。
【請求項85】
前記吸着剤粒子が前記発泡体構造に付着される、請求項78又は79に記載の方法。
【請求項86】
前記吸着剤粒子が、前記発泡体のかご構造により固定化される、請求項78又は79に記載の方法。
【請求項87】
前記発泡体構造の様々な表面上で、バルク発泡体とは反対の水湿潤性の粒子を捕獲するステップを含む、請求項83に記載の方法。
【請求項88】
前記成分が懸濁液として前記発泡体内へと清浄される、請求項84に記載の方法。
【請求項89】
発泡工程において前記成分が捕獲される、請求項84に記載の方法。
【請求項90】
前記発泡体の孔寸法が、0.1mmより大きく1mm未満である、請求項79ないし86のいずれかに記載の方法。
【請求項91】
前記発泡体の孔寸法は、過剰な吸着剤液体が、孔の間の孔空間から重力下に排出されるような孔寸法である、請求項79ないし86のいずれかに記載の方法。
【請求項92】
液体吸着剤の供給部に接触する前記発泡体構造の周縁部を低速で回転させることにより、吸着剤液体が、前記発泡体上および前記発泡体内で分配され、その結果として過剰な液体吸着剤が重力により前記発泡体から排出される、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
流路が、前記回転軸と平行に前記発泡体を横切る、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記液体吸着剤がアルカリ性ブラインを含む、請求項91又は93に記載の方法。
【請求項95】
前記液体吸着剤の供給部が、前記ソルベートガスへの暴露後に前記発泡体から戻される流体と混合され、外部流体処理により、前記浸漬貯蔵器内で前記流体が新鮮な状態に維持される、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記発泡体構造が、新鮮な吸着剤タンクと消費済み吸着剤タンクとの間で移動する、請求項92ないし94のいずれかに記載の方法。
【請求項97】
弾性発泡体が使用される方法であって、前記発泡体を圧縮することにより、吸着剤液体を混合して前記発泡体マトリックスにするステップを含む、請求項74ないし90のいずれかに記載の方法。
【請求項98】
前記発泡体が表面を押し付ける単数または複数のローラにより圧縮される、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記ローラが構造化表面を有する、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記ローラが、前記ローラ軸と平行な稜を有する、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記ローラが、円周方向に走る稜を有する、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
前記ローラが、異なる形状の欠刻および突出部を有する、請求項99に記載の方法。
【請求項103】
ローラの対が、局部圧縮を最大にするように適合された表面パターンを有する、請求項97ないし102のいずれかに記載の方法。
【請求項104】
前記ローラが固定的に保持されており、発泡体パッドが前記ローラの間で前後に移動する、請求項97ないし103のいずれかに記載の方法。
【請求項105】
前記ローラが発泡体パッドの側面に沿って移動する、請求項97ないし103のいずれかに記載の方法。
【請求項106】
前記ローラが前記発泡体の前記表面に沿って移動する際、または前記発泡体が前記ローラを通って移動する際のいずれかに、前記ローラが前記発泡体を通して流体を押し流し、前記ローラ間の間隔、または前記ローラと前記壁との間の間隔が調整されて、前記発泡体内で保持される流体量が制御される、請求項97ないし103のいずれかに記載の方法。
【請求項107】
前記発泡体が選択的に、前記ローラから比較的高い圧縮行程を受けて該ローラから消費済み吸着剤を抽出するとともに、比較的低い圧縮行程を受けて新鮮な吸着剤を分配する、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記ローラが、前記発泡体の頂部にあるか、または前記高い圧縮行程と前記低い圧縮行程との間での前記移動ローラの前側にある場合、新鮮な吸着剤が塗布される、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記高い圧縮行程が、前記ローラの下向きの運動、または前記発泡体の上向きの運動で実施され、前記低い圧縮行程が、前記ローラの上向きの運動、または前記発泡体の下向きの運動で実施される、請求項107に記載の方法。
【請求項110】
前記転がり圧縮行程が、前記ローラの下向きの運動で実施され、前記発泡体を実質的に圧縮せずに前記ローラが上部位置に戻される、請求項107に記載の方法。
【請求項111】
発泡体の連続的ループが、対向する2つのローラにわたって伸長し、前記ループの一端が液体吸着剤浴内に浸漬され、前記ローラが、前記液体吸着剤浴に前記発泡体ループを通すように動かされる、請求項97ないし110のいずれかに記載の方法。
【請求項112】
前記吸着剤流体に界面活性剤が付加される、請求項74ないし111のいずれかに記載の方法。
【請求項113】
前記ガス流が空気を含み、前記微量ガスがCO2を含む、請求項74ないし112のいずれかに記載の方法。
【請求項114】
前記空気捕獲交換膜が糸または管状の目の粗いマットを含む、請求項14又は52に記載の装置。
【請求項115】
前記空気捕獲交換膜がハニカム構造または発泡体構造の目の粗いマットを含む、請求項14又は52に記載の装置。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2009−502483(P2009−502483A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524154(P2008−524154)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/029238
【国際公開番号】WO2007/016271
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(507055040)グローバル リサーチ テクノロジーズ,エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/029238
【国際公開番号】WO2007/016271
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(507055040)グローバル リサーチ テクノロジーズ,エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】
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