説明

空気調和機

【課題】
配管に、銅管だけでなくアルミニウム管を用いる熱交換器を空気調和機に適用する場合でも、アルミニウム管を配設する部分を考慮することによって、熱交換性能の向上を可能とする空気調和機を提供すること。
【解決手段】
冷媒配管が、銅管と、アルミニウム管と、からなる熱交換器を備えた空気調和機において、室外側の前記熱交換器内で冷媒の流路が分岐して、流路数が最も多い部分の冷媒配管に前記アルミニウム管を有する空気調和機とすること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝熱管として銅管とアルミニウム管を使用した熱交換器を用いた空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、世界経済の伸長に伴い、各国での生活基盤の整備が進み、基幹材料として銅の需要が増大している。
【0003】
また、銅原材料の価格の上昇が進行し、空気調和機の熱交換器に使用されている銅管の価格も上昇している。
【0004】
一方、アルミニウムは銅の数十倍の埋蔵量があり、銅の代替え材料として種々の検討がなされており、銅管のアルミニウム管への代替え技術の確立が一層求められるようになっている。
【0005】
上述のように、空気調和機にアルミニウム管を採用する取り組みは少しずつ提案されてきている。しかし、単純に使用する材料を変更すれば済むことはほとんど無く、材料の変更に付随して以下のような種々の問題が発生し、代替えが進んでいるとは言えない状況にある。
【0006】
アルミニウム管は銅管に比べて材料の強度が低く、銅管と同程度の強度を確保するためには、その肉厚を厚くしなければならない。
【0007】
更に、全ての伝熱管を一気に銅からアルミニウムに変更しようとすると強度以外にも性能,生産技術,開発力、必要となる経費等の問題が障害となっているため、部分的な代替えにとどまっている。
【0008】
代替えに関する従来技術として、特許文献1から3が知られている。
【0009】
特許文献1は、自動車用熱交換器に関する発明である。高温の内部流体が流れる第1熱交換器を形成する材質を銅材あるいは銅系材とし、それより低温になった内部流体が流れる第2熱交換器を形成する材質をアルミニウム材あるいはアルミニウム系材とすることで、コスト増加を抑えつつ、耐熱性向上を可能とする熱交換器について述べている。
【0010】
特許文献2は、ガスバーナを含んだ熱交換装置に関する発明である。主熱交換器において、通水管及び吸熱フィンが熱伝導率の高い銅系金属からなり、副熱交換器において、通水管及び吸熱フィンが耐食性に富むアルミニウム系金属からなる。内部流体の上流側部分に副熱交換部を設け、下流側部分に主熱交換部を設けている。これに、高温の外部流体を主熱交換部、副熱交換部の順に流し、主熱交換部で顕熱を吸収し、副熱交換部で顕熱及び潜熱を吸収する。これにより、装置全体をコンパクトにでき、燃焼排気から生じるドレンによる腐蝕を防止できる熱交換装置について述べている。
【0011】
特許文献3は、冷媒に可燃性冷媒を用いた冷蔵庫に関する発明である。冷凍サイクルを構成する銅パイプおよび、蒸発器外部において銅パイプと接合されたアルミニウム配管を有する蒸発器の各接合部に至るまで防食処理を施すことで、蒸発器の耐蝕信頼性を向上させることができ、冷媒のリークが抑制されることで、より安全になる冷蔵庫について述べている。
【0012】
【特許文献1】特開2004−092921号公報
【特許文献2】特開平07−167586号公報
【特許文献3】特開2005−172305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
また、アルミニウム管は銅管に比べて熱伝導率も低いので、熱抵抗が増え、上記の肉厚の増加も影響して熱交換性能が悪化する。
【0014】
熱交換性能が悪化すると、熱交換器,送風機,圧縮機などの能力を大きくして性能の悪化を補わなければならず、空気調和機の寸法が大型化するなど、悪影響が生じてくる。
【0015】
特許文献1では、熱交換器に流入する空気が240℃にも達するため、アルミニウムよりも温度に対する特性に優れる銅を適用して、耐熱性を向上させることを目的としている。
【0016】
特許文献2では、耐蝕性に富むアルミニウム管を用いることで、燃焼排気から生じるドレンによる腐蝕を防止し、耐蝕性を向上させることを目的としている。
【0017】
特許文献3では、可燃性冷媒を用いる冷蔵庫において、防食処理を行うことで耐蝕性を向上させることを目的としている。
【0018】
すなわち、これら特許文献1から3では、空気調和機のように、冷媒流路が二方向に切り換わる冷凍サイクルを有する場合の、熱交換器における熱交換性能を向上させる工夫については特に開示されていない。
【0019】
以上のように、配管の一部に銅管(材質に銅を含む管)、一部にアルミニウム管(材質にアルミニウムを含む管)を用いる熱交換器を空気調和機に適用するにあたっては、まず熱交換性能を低下させない工夫が必要となる。
【0020】
そこで、本発明の目的は、熱交換器において配管にアルミニウム管を配設する部分を考慮し、熱交換性能の向上を可能とする空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の目的は、
冷媒配管が、
銅管と、
アルミニウム管と、
からなる熱交換器を備えた空気調和機において、
室外側の前記熱交換器内で冷媒の流路が分岐して、流路数が最も多い部分の冷媒配管に前記アルミニウム管を有する空気調和機
によって達成される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、熱交換性能が向上する空気調和機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施例について図を用いて説明する。
【実施例1】
【0024】
図における同一符号は同一物または相当物を示す。
【0025】
まず、空気調和機の全体構成を、図1〜図3を用いて説明する。図1は空気調和機の構成図である。図2は室内機の側断面図である。図3は室外機の側断面図である。
【0026】
空気調和機は、室内機2と室外機6とを接続配管8で繋ぎ、室内を空気調和する。
【0027】
室内機2は、筐体ベース21の中央部に室内熱交換器33を置き、室内熱交換器33の下に送風ファン311を配置し、露受皿35等を取り付け、これらを化粧枠23で覆い、化粧枠23の前面に前面パネル25を取り付けている。
【0028】
この化粧枠23には、室内空気を吸い込む空気吸込み口27と、温湿度が調和された空気を吹出す空気吹出し口29とが上下に設けられている。
【0029】
送風ファン311からの吹出し気流を送風ファン311の長さに略等しい幅を持つ吹出し風路290に流し、吹出し風路290途中に配した左右風向板295で気流の左右方向を偏向する。
【0030】
更に、吹出し口29に配した上下風向板291で気流の上下方向を偏向して室内に吹出すことができるようになっている。
【0031】
筐体ベース21には、送風ファン311,フィルター231,室内熱交換器33,露受皿35,上下風向板291,左右風向板295等の基本的な内部構造体が取り付けられる。
【0032】
そして、これらの基本的な内部構造体は、筐体ベース21,化粧枠23,前面パネル25からなる筐体20に内包され室内機2を構成する。
【0033】
また、前面パネル25の下部一側には、運転状況を表示する表示部397と、別体のリモコン5からの赤外線の操作信号を受ける受光部396とが配置されている。
【0034】
化粧枠23の下面に形成される空気吹出し口29は、前面パネル25との分割部に隣接して配置され、奥の吹出し風路290に連通している。
【0035】
2枚の上下風向板291は、閉鎖状態で、吹出し風路290をほぼ隠蔽して室内機2の底面に連続する大きな曲面を有するように構成されている。
【0036】
これらの上下風向板291は、両端部に設けた回動軸を支点にして、リモコン5からの指示に応じて、駆動モータにより空気調和機の運転時に所要の角度回動して空気吹出し口29を図2に二点鎖線で示すように開き、その状態に保持される。
【0037】
空気調和機の運転停止時には、これらの上下風向板291は空気吹出し口29を閉じるように制御される。
【0038】
左右風向板295は、下端部に設けた回動軸を支点にして駆動モータにより回動され、リモコン5からの指示の応じて回動されてその状態に保持される。これによって、吹出し空気が左右の所望の方向に吹出される。
【0039】
なお、リモコン5から指示することにより、空気調和機の運転中に上下風向板291,左右風向板295を周期的に揺動させ、室内の広範囲に周期的に吹出し空気を送ることもできる。
【0040】
可動パネル251は、下部に設けた回動軸を支点として駆動モータにより回動され、空気調和機の運転時に前側空気吸込部230′を図2の二点鎖線の如く開くように構成されている。
【0041】
これにより、運転時には上側空気吸込み部230に加えて、前側空気吸込部230′からも室内機2内に室内空気が吸引される。空気調和機の停止時には、前側空気吸込部230′は閉じるように制御される。
【0042】
露受皿35は、室内熱交換器33の前後両側の下端部下方に配置され、冷房運転時や除湿運転時に室内熱交換器33に発生する凝縮水を受けるために設けられている。受けて集められた凝縮水はドレン配管37を通して室外に排出される。
【0043】
室外機6は、ベース61に圧縮機、室外熱交換器73,室外ファン631を搭載し、外箱62で覆い、配管接続バルブに室内機2からの接続配管8を接続している。
【0044】
室外機6の外箱62は前面板621,天板622,側面板623等からなり、室外熱交換器73に対向する外面に室外空気の吸込み部が設けられ、室外ファン631に対向する前面板621に自在に空気の流通ができるファンカバー635が設けられている。
【0045】
室外ファン631は室外熱交換器73が上流側に、ファンカバー635が下流側になるように回転駆動され、上述のように室外空気を室外熱交換器73に流通させる。
【0046】
室内熱交換器33,室外熱交換器73は、アルミニウム製の複数枚のフィンと、これらフィンにあけられた穴に挿入された銅またはアルミニウム製の伝熱管により形成されている。
【0047】
フィンとフィンの間隔は微小隙間となっており、この間を室内の空気流が通風することで冷媒と空気との間で熱交換が行われる。
【0048】
この空気調和機を運転する時には、電源に接続してリモコン5を操作し、所望の冷房,除湿,暖房等の運転を行う。
【0049】
冷房等の運転の場合、リモコン5から運転操作の信号がなされると、マイコンは、リモコン5からの操作信号または自動運転が設定されていれば各種センサからの情報に基づいて冷房等の運転モードを決定する。
【0050】
次に、室外機6の制御部に決定した運転モードに応じた運転を指示すると共に、決定した運転モードに従って送風ファン311を駆動し、空気吸込部27から室内熱交換器33に室内空気を流通させる。
【0051】
室外機6の制御部は室内機2からの指示に従い、圧縮機,送風モータ,制御弁等を制御し、圧縮機からの冷媒を冷凍サイクルに循環させると共に、室外空気吸込み部から室外熱交換器73に室外空気を流通させる。
【0052】
斯くして、周知の冷房等の運転が行なわれる。
【0053】
次に、実施例の冷凍サイクルに付いて図4,図5を用いて説明する。図4(a)は冷房・除湿時の冷凍サイクル図、図4(b)は暖房時の冷凍サイクル図である。図5は冷房・除湿時の冷凍サイクルの構成図である。
【0054】
図4において、75は圧縮機、72は冷媒流路切換弁、73は室外熱交換器、74は冷暖房絞り装置、331は副熱交換器、332は除湿加熱器であり、共に、室内側に設置され、暖房時,除湿時に加熱器となり、冷房時に冷却器となる。34は除湿絞り装置、333は室内側に設置され、暖房時に加熱器となり、冷房時、除湿時に冷却器となる除湿冷却器である。
【0055】
冷房運転時は図4(a)のように、冷媒流路切換弁72を冷房側にし、除湿絞り装置34を全開にし、冷暖房絞り装置74で冷媒回路の冷媒を制御する。圧縮機75を運転すると、冷媒は図4(a)の矢印の如く流れ、室内を冷房する。
【0056】
これを図5で少し詳しく説明すると、圧縮機75で圧縮された冷媒は冷媒流路切換弁72で室外熱交換器73側に切換えられた流路に流れ、室外熱交換器73への導入配管である冷媒配管4C 725に流入する。
【0057】
冷媒配管4C 725に流入した冷媒は途中の分岐部で分岐(実施例の場合、4流路に分岐)され室外熱交換器73の上側部分の空気流の下流側に導入される。
【0058】
このように、冷媒の流路が分岐されることにより個々の流路に流れる冷媒の流量が減り、室外熱交換器73における冷媒の抵抗損失を減らすことができる。
【0059】
室外熱交換器73に流入した冷媒は室外熱交換器73のフィン間を流れる室外空気により冷却され、液化し、密度が増加する。このため、室外熱交換器73の分岐された個々の流路に流れる冷媒の流速が減少し、冷媒を冷却する効率が低下する。
【0060】
これを多少でも回復させるため、室外熱交換器73への導入部で分岐させた冷媒回路を集約(実施例の場合は4回路を2回路に集約)し、管内の冷媒の流速を上げて、室外熱交換器73の下側部分に再導入する。
【0061】
これにより、管内流速が上がって、冷媒を冷却する効率が上がり、液化した冷媒をさらに冷却させることができる。
【0062】
このように、飽和温度以下に冷却された冷媒は室外熱交換器73からの導出配管である冷媒配管CX 745に流出し、冷暖房絞り装置74に流入する。
【0063】
冷暖房絞り装置74に流入した冷媒は、冷凍サイクルの状態に応じて適正に減圧されて、気液の混合状態となって冷暖房絞り装置74から流出する。
【0064】
冷暖房絞り装置74から流出した冷媒は高圧側の配管接続バルブ78に接続された接続配管8を通って室外機6を出て、室内機2に到達し、室内熱交換器33への導入配管である冷媒配管VE 785に流入する。
【0065】
冷媒配管VE 785に流入した冷媒は分岐されることなく室内熱交換器33の上側部分で、且つ、空気流の上流側(実施例の場合、能力を増加させるための副熱交換器331,331′)に導入される。
【0066】
このように、冷媒の流路が分岐されることなく室内熱交換器33に流入することにより、気液混合の密度の大きい状態の冷媒にもかかわらず、冷媒の管内流速を上げることができ、効率よく熱交換ができる。
【0067】
室内熱交換器33に流入した冷媒は室内熱交換器33のフィン間を流れる室内空気により加熱され、気化し、体積が増加し、室内空気は冷媒により冷却される。
【0068】
このため、室内熱交換器33の冷媒回路が分岐されないままであると、流路に流れる冷媒の流速が増加し、室内熱交換器33における冷媒の抵抗損失が増大する。
【0069】
冷媒の抵抗損失が増大すると、圧縮機75に戻る冷媒の圧力が低下し、圧縮機75で圧縮することのできる単位時間当たりの冷媒の量が減って冷房能力が減少する。
【0070】
これを多少でも回復させるため、室内熱交換器33への導入部では分岐させずに1回路であった冷媒回路を分岐(実施例の場合は1回路を2回路に分岐)し、管内の冷媒の流速を下げる。
【0071】
流速を下げた冷媒を室内熱交換器33の副熱交換器331,331′より下方の空気流の下流側(実施例の場合、冷房時に冷却器となる除湿加熱器332,332′)に再導入する。
【0072】
これにより、管内流速が下がって、室内熱交換器33における冷媒の抵抗損失を減らすことができ、冷房能力の減少を抑制できる。
【0073】
除湿加熱器332,332′と冷房時、除湿時に冷却器となる除湿冷却器333,333′との間に冷媒配管HX 345,冷媒配管XE 347を介して除湿絞り装置34が設けられている。
【0074】
冷房時は、除湿絞り装置34が全開になっているので、この間の冷媒圧力の低下は小さく、副熱交換器331,331′,除湿加熱器332,332′,除湿冷却器333,333′は全て冷却器として働き、室内を冷房する。
【0075】
このように、室内熱交換器33で気化した冷媒は導出配管である冷媒配管EV 787に流出し、接続配管8′を通って室内機2を出て、低圧側配管接続バルブ78′で室外機6に到達する。
【0076】
室外機6に到達した冷媒は冷媒流路切換弁72で圧縮機75の吸込み側に切換えられた流路に流れ、圧縮機75に戻る。
【0077】
除湿運転時には図4(a)のように、冷媒流路切換弁72は冷房時と同じく冷房側にし、冷暖房絞り装置74を全開にし、除湿絞り装置34で冷媒回路の冷媒を制御する。圧縮機75を運転すると、冷媒は図4(a)の矢印の如く流れ、室内を除湿する。
【0078】
このとき、副熱交換器331,331′,除湿加熱器332,332′は加熱器として働き、室内空気を加熱する。他方、除湿冷却器333,333′は冷却器として働き、室内空気を冷却し除湿する。
【0079】
これらが同時に行われ、各熱交換器で熱交換した室内空気が混合されて吹出すので、室内空気は除湿され、且つ、温度があまり変化せずに吹出され、いわゆる除湿運転が行われる。
【0080】
暖房運転時は図4(b)のように、冷媒流路切換弁72を暖房側にし、除湿絞り装置34を全開にし、冷暖房絞り装置74で冷媒回路の冷媒を制御する。圧縮機75を運転すると、冷媒は図4(b)の矢印の如く流れ、室内を暖房する。
【0081】
この場合、冷媒は圧縮機75,冷媒流路切換弁72,除湿冷却器333,333′,除湿加熱器332,332′,副熱交換器331,331′,冷暖房絞り装置74,室外熱交換器73,冷媒流路切換弁72の順に流れ圧縮機75に戻る。
【0082】
このとき、室内熱交換器33は全て加熱器として働き、室内を暖房する。室外熱交換器73は吸熱器として働き、室外空気から熱を奪う。
【0083】
暖房時には、室内熱交換器33と室外熱交換器73の吸熱、放熱の関係が逆転し、冷媒の流れも逆転するので、冷媒の流れる方向と冷媒回路の分岐と集約の関係は冷房時と丁度反対になる。
【0084】
また、冷媒回路の圧力損失と熱交換効率の増減の関係も同様になるので説明は省略する。
【0085】
次に、室外熱交換器73について図6,図7を用いて、更に、詳しく説明する。図6(a)は実施例の室外熱交換器の平面図であり、(b)は同正面図、(c)は同側面図であり、室外空気は図中の白抜き矢印の方向に流れる。
【0086】
図7(a)は実施例の室外熱交換器の伝熱管の接続部を側面から見た配管接続図、(b)は熱交換器内の冷媒流路図である。
【0087】
室外熱交換器73は伝熱管を通す孔が開いているアルミニウム製の外側熱交換器フィン730T,内側熱交換器フィン731Tにヘアピン状の伝熱管を挿通し、伝熱管を拡管して伝熱管とフィンを密着させ、管端を連結管でつないで冷媒回路を形成したクロスフィン型熱交換器である。
【0088】
実施例の室外熱交換器73は、図6に示すように室外機6の側面から背面にかけて略L字状に配設され、できるだけ大きい面積を確保し熱交換能力を高めている。
【0089】
この室外熱交換器73の一部、気流の上流になる外側熱交換器730の上部で冷媒回路が複数の流路に分岐している部分にアルミニウムまたはアルミニウム合金製の伝熱管を使用する。
【0090】
このようにすることにより、高価な銅管の使用量を削減し、供給の安定しているアルミニウム管を使用して、リサイクル性の向上と軽量化を図ることができる。
【0091】
以下、記述を簡潔にするため、銅または銅合金製の管を銅管と記し、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の管をアルミニウム管と記し、アルミニウムまたはアルミニウム合金製のフィンをアルミニウムフィンと記す。
【0092】
一般に、アルミニウムは銅より強度が弱く、同一径の管で比較した場合、銅管と同等の強度を持たせるためには、アルミニウム管の肉厚を厚くする必要がある。
【0093】
管の肉厚を厚くすると自ずと管の内径が小さくなり、冷媒が流れる管内流路の断面積が狭くなる。
【0094】
冷媒流路の断面積が狭くなると当然、同一の冷媒流量が流れる場合、管内の流速が速くなる。管内流速が速くなると、冷媒の圧力損失が増加すると共に冷媒の伝熱管への熱伝達が盛んになり、熱交換量が増加する。
【0095】
上記の伝熱管をアルミニウム管とした部分は室外熱交換器73が凝縮器となる冷房・除湿時には複数に分岐した流路の中で冷媒の流れの下流部になり、蒸発器となる暖房時には複数に分岐した流路の中で冷媒の流れの上流部になる。
【0096】
室外熱交換器73をこのような形状に加工するために、上部のアルミニウム管部と下部の銅管部のフィンを一体にした外側熱交換器フィン730Tでアルミニウム管部と銅管部を連結する。
【0097】
更に、上部のアルミニウム管部と下部の銅管部の熱交換器プレートを一体にした外側プレートR 730Rでアルミニウム管部と銅管部を連結する。
【0098】
また、内側熱交換器については銅管と内側熱交換器フィン731T,内側プレートR 731Rで熱交換器を構成する。
【0099】
このようなフィンとプレートを使用して、曲げの外側の熱交換器730用に所定量の外側熱交換器フィン730Tを積み上げ伝熱管を、内側の熱交換器731用に外側より少ない所定量の内側熱交換器フィン731Tを積み上げ、外側より短い伝熱管を挿入する。これらを拡管して伝熱管とフィンを密着させ別々の熱交換器をつくる。
【0100】
別々に作った熱交換器を、各々を所定の曲げ半径で曲げて組合せ、両熱交換器730,731を連結管,連結板,結合帯などにより一体にしている。
【0101】
実施例では伝熱管の管端側に外側プレートR 730R,内側プレートR 731Rを備え、両者をねじや係止爪と係止孔等の結合装置で連結し、伝熱管のヘアピン状の曲げ部側を結合帯738,738′で締結し両熱交換器を結合している。
【0102】
次に、この空気調和機を冷房運転する場合の室外熱交換器73の動作について説明する。
【0103】
この空気調和機を冷房運転する場合は、圧縮機75で圧縮され高温気体となった冷媒ガスは冷媒流路切換弁72で流路を室外熱交換器73側に切換えられ、室外熱交換器73の導入配管である冷媒配管4C 725に流入する。
【0104】
冷媒配管4C 725に流入した冷媒ガスは密度が小さいため流速が早く、このまま単一の流路で室外熱交換器73に入ると、圧力損失が大きくなり、冷媒の凝縮温度の低下を招き、熱交換量が減少する。
【0105】
これを防ぐため、冷媒配管4C 725に流入した冷媒ガスは4分流され、流速を下げて、室外空気の流れの下流になる内側熱交換器731の上部に設けられた配管口IA 731A〜配管口ID 731Dから内側熱交換器731に入る。
【0106】
内側熱交換器731の上部に入った冷媒は内側銅管731PC内を流れ、外部の室外空気の下流で冷却され、冷媒ガスの一部が凝縮し、気液混合状態となって配管口Ia 731a〜配管口Id 731dに達し、内側熱交換器731から流出する。
【0107】
このとき、管内を流れる冷媒の平均密度は室外空気との熱交換が進むにつれて液状の冷媒が増えるので、だんだんと大きくなり、冷媒の流速は減少してくる。これに伴い、冷媒の圧力損失の増加割合も減少し、流速を増加させる余裕が生まれてくる。
【0108】
内側熱交換器731から流出した気液混合冷媒は室外熱交換器73の内部配管である配管A 73A〜配管D 73Dに流入する。
【0109】
配管A 73A〜配管D 73Dは圧縮機75〜内側熱交換器731までの銅管配管と外側熱交換器730の上部のアルミニウム配管を接続するための配管である。
【0110】
これらの銅管とアルミニウム管を接続する技術は、特開2000−55251,特開2001−165362,特開2005−262248などで提案されている銅管とアルミニウム管をフラッシュバット溶接したものや、共晶接合したものや、ステンレス管を介在させて接続したものなどが用いられる。
【0111】
いずれの技術を用いても接合部には水分がかからないように熱収縮性樹脂チューブなどで水密な被覆をかぶせている。
【0112】
これらの接続技術については、本明細書で明らかにしようとしている発明の意図とは別の内容であるので説明は省略する。
【0113】
配管A 73A〜配管D 73Dはいずれの接続技術を用いるにしても、銅管とアルミニウム管の接合部であるCu−Al接続部A 73AJ〜Cu−Al接続部D 73DJを境にして銅管部を下側にし、アルミニウム管部を上側に配置している。
【0114】
このように配置することにより、雨天時の運転で雨水が配管A 73A〜配管D 73Dに掛かっても雨水はアルミニウム管部から銅管部に流れ、銅管部の結露中に溶け出した銅イオンがアルミニウム管部に流れることがなく、腐蝕の助長を防止することができる。
【0115】
また、空気調和機をヒートポンプサイクルで運転し暖房を行う時に、蒸発器となる室外熱交換器73の配管A 73A〜配管D 73Dに室外空気中の水分が凝縮する。
【0116】
しかし、室外空気中の水分が凝縮してもアルミニウム管部から銅管部に凝縮した露が流れ、銅管部の結露中に溶け出した銅イオンがアルミニウム管部に流れることがなく、腐蝕の助長を防止することができる。
【0117】
かくして、配管A 73A〜配管D 73Dに流入した気液混合冷媒は銅管部からアルミニウム管部に入り、室外空気の上流になる外側熱交換器730の上部に設けられた配管口OA 730A〜配管口OD 730Dから外側熱交換器730に流入する。
【0118】
このように、アルミニウム管部を銅管部より室外空気の気流の上流で上部の部分に配置するので雨天時の運転で雨水が室外熱交換器73に掛かっても、雨水は気流と重力により、気流の上流から下流方向、上部から下方に流れる。
【0119】
このため、雨水はアルミニウム管部から銅管部に流れることになり、銅管部からアルミニウム管部へ流れることは無く、腐蝕の助長を防止することができる。
【0120】
また、外側熱交換器730の上部の伝熱管はアルミニウム管でできているので、銅管と同等の強度を確保するため肉厚を厚くしている。このため、管内の冷媒流路面積が減少し、冷媒の流速が増加する。
【0121】
しかし、前述のように、内側熱交換器731の配管口Ia 731a〜配管口Id 731dに達した冷媒は平均密度が大きくなっているので、流速が減少し流速を増加させる余裕が生まれている。
【0122】
このため、外側熱交換器730の上部の伝熱管を銅管と同等の強度を確保するため肉厚を厚くしたアルミニウム管にし、冷媒の流速が多少増加しても、冷媒の圧力損失の増加はさほど大きくならない。
【0123】
他方、流速の増加により冷媒から伝熱管への熱伝達率が向上して熱交換量が増加する。
【0124】
更に、外側熱交換器730に流入した気液混合冷媒は図6で斜線で示した外側アルミニウム管730PA内を流れ、外部の室外空気の上流で冷却され、冷媒ガスの凝縮が進み、ほぼ液状態となって配管口Oa 730a〜配管口Od 730dに達する。
【0125】
このため、冷媒の平均密度は更に大きくなり、冷媒の流速はますます小さくなり、冷媒の圧力損失の増加割合も小さくなって、流速の増加による熱交換量の増加の効果が大きくなる。
【0126】
このとき、管内の冷媒は、ほぼ液状態となっているので、その流速は随分と遅く、このまま4分岐された流路で室外熱交換器73の下部に入ると、圧力損失の割合は小さいが、流速の遅い分、冷媒から伝熱管への熱伝達率も小さくなり、熱交換量が減少する。
【0127】
これを防ぐため、配管口Oa 730a〜配管口Od 730dに達した4流路の冷媒を2流路になるように合流させる。
【0128】
具体的には、配管口Oa 730a,配管口Ob 730bからの冷媒は合流して室外熱交換器73の内部配管である配管E 73Eに、また、配管口Oc 730c,配管口Od 730dからの冷媒は合流して室外熱交換器73の内部配管である配管F 73Fに流入する。
【0129】
このとき、管内の冷媒の流速が速くなって、冷媒の圧力損失の割合が増えるが、この部は前述のように冷媒がほぼ液状態で流速が遅くなっている部分であり、且つ、液状態での圧力損失は冷媒制御装置の機能を一部代替えしているとも見做せ、この部の圧力損失が熱交換量の悪化をもたらすことは無い。
【0130】
配管E 73E,配管F 73Fは外側熱交換器730の上部のアルミニウム配管と内側熱交換器731の下部の銅配管を接続するための配管である。
【0131】
配管E 73E,配管F 73Fは前述と同様に、銅管とアルミニウム管の接合部であるCu−Al接続部E 73EJ,Cu−Al接続部F 73FJを境にしてアルミニウム管部を上側にし、銅管部を下側に配置している。
【0132】
このように配置することにより、前述と同様に雨天時の雨水や暖房時の結露による腐蝕の助長を防止することができる。
【0133】
かくして、配管E 73E,配管F 73Fに流入した冷媒は、流速を上げて、室外空気の流れの下流になる内側熱交換器731の下部に設けられた配管口IE 731E,配管口IF 731Fから内側熱交換器731の下部に入る。
【0134】
ここで、外側熱交換器730,内側熱交換器731の下部の伝熱管は銅管でできているので、前述のアルミニウム管より肉厚が薄く、管内の断面積が若干広くなるが、冷媒流路が4流路から2流路に減少しているので、冷媒の流速が増加する。
【0135】
しかし、前述のように、この部では冷媒がほぼ液状態になっているので、この部の圧力損失の増加は熱交換量に影響しない。他方、冷媒の流速の増加による冷媒から伝熱管への熱伝達率が向上するため熱交換量は増加する。
【0136】
このように、冷媒の凝縮が進むにつれ、管内の冷媒流速は遅くなる。これに応じて、冷媒の流路を4流路の銅管,4流路のアルミニウム管,2流路の銅管のように変える。
【0137】
冷媒の流路を上述のように変え、冷媒流路の断面積を順次、小さくして行くと良い結果が得られる。
【0138】
ほぼ液状で内側熱交換器731の下部に入った冷媒は、内側銅管731PC,外側銅管730PC内を流れ、ここで室外空気によって更に冷却されて冷媒の飽和温度以下に冷却されて配管口Oe 730e,配管口Of 730fに達し、室外熱交換器73から流出し、合流して冷媒配管CX 745に流入する。
【0139】
室外熱交換器73から出て冷媒配管CX 745に流入した液冷媒は冷暖房絞り装置74で減圧され、低温で乾き度の小さい気液混合状態となり、液側配管接続バルブ78から室外機6を出る。
【0140】
室外機6を出た気液混合冷媒は液側接続配管8を通って室内機2に到達し、室内熱交換器33の導入配管である冷媒配管VE 785を通って室内熱交換器33に流入する。
【0141】
このように、実施例の室外熱交換器は一つの熱交換器の中に、銅管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部と、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部が混在する。
【0142】
これにより、アルミニウム管とアルミニウム製フィンで形成した熱交換部はリサイクルのときに、これを分離する必要がなくなる。
【0143】
また、銅管からアルミニウム管に替えることによる性能のダウンが少ない部分、性能がアップする部分等を選択的にアルミニウム管に替えることができる。
【0144】
このように、部分的にアルミニウム管に替えることができるので、熱交換器の大きさや生産方法を大幅に変える必要がなくなる。
【0145】
このため、性能,大きさ,生産方法を大幅に変えること無しに、リサイクル性が向上し、銅管の使用量を減らし、軽量化した熱交換器を提供することができる。
【0146】
また、実施例の室外熱交換器は、管内を流れる流体の流路数の多い部分にアルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部を形成する。
【0147】
一般に、熱交換器の入口と出口で、熱交換する流体の密度が大きく変化する場合、熱交換器の途中で熱交換する流体の流路数を変更することが行われている。
【0148】
これは、流体の流路数を変更することで流路面積を変え、流速を変えて、熱交換器での流体の圧力損失を抑制したり、熱伝達率を上げたりするためである。
【0149】
特に、冷凍サイクルに用いる熱交換器では管内の流体が熱交換中に凝縮,蒸発するため、管内流体の密度変化が大きく、上記のように、熱交換器の途中で流路数を変えることが積極的に行われている。
【0150】
また、伝熱管に銅管とアルミニウム管を使用する場合、耐圧強度の面からアルミニウム管の方の肉厚を厚くする必要がある。
【0151】
このため、外径を同じにした場合、ひとつの熱交換器の中で、管内の断面積が、銅管のところでは広く、アルミニウム管のところでは狭くなる。
【0152】
実施例の室外熱交換器は、流路数の多い部分にアルミニウム管を使用する。
【0153】
このように、一本あたりの管内断面積が銅管の管内断面積より狭くなるアルミニウム管を使用する部分の流路数を多くする。
【0154】
これにより、一本あたりの管内断面積が狭くなっても流路数の多いところにアルミニウム管を使用するので、流路数の少ない部分と比べて流路断面が増え、管内流体の流速は遅くなり、圧力損失が抑制される。
【0155】
また、流路数が同じである部分同士で比べると、アルミニウム管を使用する部分は、銅管の管内断面積より狭くなる。
【0156】
これにより、管内の流速が上がり、銅管を使用した場合に比べて、熱交換性能が向上し、全体的には、圧力損失の増加と性能の低下が共に抑制される。
【0157】
このため、管内の圧力損失の増加が抑えられ、性能低下が少ない熱交換器を提供することができる。
【0158】
また、実施例の空気調和機は、上述の熱交換器を備える。
【0159】
これにより、熱交換器の大きさ,生産方法を大幅に変えること無しに、性能の低下がさほど無く、材料の供給が逼迫している銅管に替えてアルミニウム管を使用した熱交換器を採用することができる。
【0160】
また、アルミニウム管を使用したことにより、熱交換器を軽量化することができる。
【0161】
このため、銅管を使用した空気調和機と同等の大きさで、同等の性能を発揮できる銅管とアルミニウム管を生産性良く混合使用し、軽量化し、リサイクル性が向上した空気調和機を提供することができる。
【0162】
また、実施例の空気調和機は、前記熱交換器が凝縮器となるときの管内流体の、銅管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部より下流側の同一流路内に、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部を形成している。
【0163】
一般に、熱交換器が凝縮器となる場合、熱交換器に入った冷媒は、最初は管内を高温の気体で流れ、管外の気流に放熱し、冷媒自身は凝縮して液化する。
【0164】
このとき、冷媒は密度の小さい気体から密度の大きい液体に変わるため、管内の流路の断面積が変わらないときには、熱交換器入口での高速の気体の状態から、熱交換器出口での低速の液体状態にまで連続的に変化して行く。
【0165】
また、アルミニウム管は強度上、銅管より肉厚の厚い管を使用するので、外径を同じにした場合は内径が細くなり、銅管部の流路断面積より、アルミニウム管部の流路断面積が狭くなる。
【0166】
実施例の空気調和機は、凝縮器となる熱交換器の伝熱管に同一流路内の上流側には銅管を使用し、その下流側にはアルミニウム管を使用する。
【0167】
これにより、この部に銅管を使用した場合に比べて、管内流体の速度が増し、管内の熱伝達率が上がり、熱交換性能が向上し、熱交換量が多くなる。
【0168】
このとき、管内の速度が増すことで、銅管を使用した場合に比べて圧力損失が増加する。しかし、凝縮器の場合、極端に伝熱管の内径が細くなる場合を除き、この圧力損失の増加は小さい。
【0169】
このように、圧力損失の増加が小さく、凝縮温度の低下が抑制されるので、銅管を、アルミニウム管に替えても、内径の変化が性能に及ぼす影響は小さい。
【0170】
このため、凝縮器にアルミニウム管を使用しても、管内流体の速度増加による圧力損失の影響が小さく、熱交換性能が向上する空気調和機を提供することができる。
【0171】
また、実施例の空気調和機は、前記熱交換器が銅管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部より上の部分に、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部を形成している。
【0172】
これにより、熱交換器に結露や雨水等による水分が付着しても、付着した水分が流下し、アルミニウム管部は下部の銅管部より早く乾燥状態になる。
【0173】
下部の銅管部は上部から流下する水滴のため、乾燥状態になるまでの時間が上部のアルミニウム管部より長くかかる。
【0174】
しかし、銅のイオン化傾向がアルミニウムのイオン化傾向より低いので、特別な腐蝕性の条件のある場所以外では銅管の腐蝕が促進されることはない。
【0175】
また、銅管部が上部にあり、アルミニウム管部が下部にある場合は、上部の銅管部に付いた水滴が下部のアルミニウム管部に流下する。
【0176】
このアルミニウム管部に流下した水滴には微量の銅イオンが溶け出しているため、アルミニウム管の腐蝕を助長する。
【0177】
本発明のように、アルミニウム管部を銅管部より上部に置くと、このような腐蝕も避けることができる。
【0178】
このため、アルミニウム管の腐蝕が進み難い空気調和機を提供することができる。
【0179】
また、実施例の空気調和機は、前記熱交換器が前記フィン間を通る気流の、銅管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部より上流側に、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部を形成している。
【0180】
一般に、熱交換器を凝縮器として使用する場合、冷媒の温度は熱交換器の入口で高く、出口で低くなるので、冷媒の流れと空気流とが対向流をなす如くに、冷媒を風下側から熱交換器に流入させ、風上側から流出させる。
【0181】
また、熱交換器を蒸発器として使用する場合、冷媒の温度は熱交換器の入口で低く、出口では熱交換器内の圧力損失のため更に低くなるので、冷媒の流れと空気流とが並行流をなす如くに、冷媒を風上側から熱交換器に流入させ、風下側から流出させる。
【0182】
実施例の空気調和機は、気流の上流側に、アルミニウム管を使用し、下流側に銅管を使用する。
【0183】
これにより、冷媒がほぼ液状で流れ、密度が大きいため、流速が遅くなる凝縮器の冷媒出口側(気流の風上側)に、アルミニウム管を使用する。
【0184】
また、冷媒の乾き度が小さい気液混合の状態で密度が大きく、流速が遅くなる蒸発器の冷媒入口側(気流の風上側)に、アルミニウム管を使用する。
【0185】
このように、アルミニウム管を使用することにより、内径を細くして流速を速くし、熱伝達率を向上させることができる。
【0186】
このように、冷凍サイクルを構成した場合、冷媒流路切換弁の切換だけで上記の流路が冷房時も暖房時も形成されるので、流路の切換に他の部品を使用する必要が無く、冷凍サイクルの構成も簡単になる。
【0187】
また、熱交換器に結露や雨水などの水分が付着しても、付着した水分は気流に押されて上流のアルミニウム管部から下流の銅管部に流れるのでアルミニウム管部の腐蝕が促進されることが無い。
【0188】
このため、熱交換器での圧力損失の増加が少なく、能力が増加し、性能の低下が少なく、アルミニウム管を使用できリサイクル性が向上する空気調和機を提供することができる。
【0189】
次に、室内熱交換器33について図8〜図10を用いて、更に、詳しく説明する。図8(a)は実施例の室内熱交換器の左側面図であり、図8(b)は同正面図である。図9は実施例の室内熱交換器の右側面図である。図10は実施例の室内熱交換器の冷媒流路図である。
【0190】
室内熱交換器33も室外熱交換器73と同様に伝熱管を通す孔が開いているアルミニウム製のフィンにヘアピン状の伝熱管を挿通し、伝熱管を拡管して伝熱管とフィンを密着させ、管端を連結管でつないで冷媒回路を形成したクロスフィン型熱交換器である。
【0191】
室内熱交換器33は副熱交換器331,除湿加熱器332,除湿冷却器333で構成され、図2に示すように室内機2の空気吸込み部230,230′と送風ファン311との間に配設される。
【0192】
これらは送風ファン311を取り囲むように、室内機2の形状に合わせて、できるだけ大きい面積を確保して熱交換能力を高めるように配設される。
【0193】
これらの熱交換器は空気調和機の能力や機能、室内機2の形状,室内送風ファン311の方式などに応じて、副熱交換器331を省略したり、更に分割して前後に配置したり、上下に配置したりあるいは統合して個数を減らしたりされる。
【0194】
本実施例では副熱交換器を前側副熱交換器331と後側副熱交換器331′に分けて伝熱管にアルミニウム管を使用し、室内熱交換器33の上部、気流の上流になる位置に配置する。
【0195】
このようにすることにより、高価な銅管の使用量を削減し、供給の安定しているアルミニウム管を使用して、リサイクル性の向上と軽量化を図ることができる。
【0196】
また、除湿加熱器を前側除湿加熱器332と後側除湿加熱器332′に、除湿冷却器を上側除湿冷却器333と下側除湿冷却器333′に分けて伝熱管に銅管を使用する。
【0197】
上記の伝熱管をアルミニウム管とした部分は室内熱交換器33が蒸発器となる冷房時には室内熱交換器33の中で冷媒の流れの最上流部になり、凝縮器となる暖房時には室内熱交換器33の中で冷媒の流れの最下流部になる。
【0198】
この伝熱管にアルミニウム管を使用した副熱交換器331,331′は伝熱管に銅管を使用した前後の除湿加熱器332,332′の左右の除湿加熱器プレートL,L′ 332L,L′,除湿加熱器プレートR,R′ 332R,R′にねじと接続ピース337Aで連結されている。
【0199】
また、除湿加熱器332,332′と除湿冷却器333,333′は各々の熱交換器プレート同士を接続ピースL 338L,接続ピースR 338Rで連結されている。
【0200】
このように、伝熱管にアルミニウム管を使用した副熱交換器331,331′の部分は室内熱交換器33から簡単に分離できる。
【0201】
更に、伝熱管とフィンが同材質なので、室内熱交換器33をリサイクルする時に、副熱交換器331,331′は伝熱管とフィンを分解せずに処理でき、リサイクルの負担が軽減される。
【0202】
なお、副熱交換器331,331′と除湿加熱器332,332′の連結は上記以外にも、両者の熱交プレートを一体で構成した連結板や、両者をつなぐ冷媒管で構成した連結管や、両者を樹脂性バンドで結んだ結合帯や、両者の形状に倣った樹脂性ブロックで両者の位置関係を保持する結合ピースなどにより一体にしても良い。
【0203】
34は除湿絞り装置であり、空気調和機を除湿運転する時に、前述の冷暖房絞り装置74に代わって冷媒を制御する。
【0204】
これにより、冷媒回路の上流側の副熱交換器331,331′,除湿加熱器332,332′を加熱器として機能させ、下流側の除湿冷却器333,333′を冷却器として機能させる。
【0205】
次に、この空気調和機を冷房運転する場合の室内熱交換器33の動作を、前述の室外熱交換器の73の動作に引き続いて説明する。
【0206】
冷媒配管VE 785からの気液混合冷媒は、先ず、室内空気の流れの上流になり、上部に配置された前側副熱交換器331に流入するべく、配管G 33Gに入る。
【0207】
配管G 33Gは室外熱交換器73の下部で銅管に戻った冷媒配管の材質を再びアルミニウム管に変更し、前側副熱交換器331に接続するための配管である。
【0208】
配管G 33Gは途中にCu−Al接続部G 33GJを備え、少なくともCu−Al接続部G 33GJでは水平または前側副熱交換器331の配管口SA 33SAに向かう冷媒の流れ方向に先上がりにする。
【0209】
また、配管G 33Gの銅管部分は前記の伝熱管にアルミニウム管を使用した前側副熱交換器331より下方に配置するのが良い。
【0210】
これらにより、前述のように、銅管部に付いた露がアルミニウム管部に落下,流下することが無くなり、アルミニウム管の腐蝕を抑制できる。
【0211】
Cu−Al接続部G 33GJでアルミニウム管部に入った冷媒は前側副熱交換器331の配管口SA 33SAから前側副熱交換器331に流入する。
【0212】
実施例では副熱交換器331,331′の配管接続管端は伝熱管に銅管を使用する除湿加熱器332,332′、除湿冷却器333,333′の銅管曲げ部810B側(図8(b)参照)に設けている。
【0213】
このようにすることにより、接続技術上、直線部分を必要とするCu−Al接続部を無理なく配置できる。しかし熱交換器のフィン部の幅が大きく、配管G 33GをUターンさせた方が合理的な場合もある。
【0214】
このような場合は、勿論、伝熱管にアルミニウム管を使用する熱交換器と銅管を使用する熱交換器の配管接続管端を同じ側に配置しても良い。
【0215】
前側副熱交換器331に流入した冷媒は乾き度の小さい気液混合状態なので、冷媒の平均密度は比較的大きく、冷媒の流路数が少なくても、冷媒の流速はあまり大きくならないので、冷媒の圧力損失の増加割合は小さい。
【0216】
前側副熱交換器331に流入した冷媒は室内空気と熱交換し、配管口Sa 33Saから前側副熱交換器331を出て配管H 33Hに入る。
【0217】
配管H 33Hに入った冷媒は後側副熱交換器331′の配管口SB 33SBから後側副熱交換器331′に入り、室内空気と熱交換し、配管口Sb 33Sbから後側副熱交換器331′を出て配管J 33Jに入る。
【0218】
前側副熱交換器331,後側副熱交換器331′を通る時に冷媒は室内空気から吸熱して、冷媒が気化し、冷媒の乾き度がだんだんと大きくなり、また、圧力損失のため冷媒の蒸発温度が若干低下する。
【0219】
蒸発温度が若干低下して配管J 33Jに入った冷媒は気化が進んで冷媒の乾き度が大きくなり、冷媒の流速が上がっているので、配管J 33J途中で2分岐し、冷媒の流速を下げて圧力損失の増加割合を小さくしている。
【0220】
配管J 33Jは副熱交換器331′で使用しているアルミニウム配管を再び銅配管に変更し、除湿加熱器332′に接続するための配管である。
【0221】
配管J 33Jは途中にCu−Al接続部J 33JJを備え、少なくともCu−Al接続部J 33JJでは水平または除湿加熱器332′の配管口HA 33HA,配管口HB 33HBに向かう冷媒の流れ方向に先下がりにする。
【0222】
配管J 33Jに流入した冷媒は、これまでのアルミニウム管部を出て銅管部に入り、2分岐して、後側除湿加熱器332′の配管口HA 33HA,配管口HB 33HBから後側除湿加熱器332′に流入する。
【0223】
除湿加熱器332,332′は副熱交換器331,331′より下方で、且つ、室内空気の流れの中の副熱交換器331,331′より下流の位置に配置されている。
【0224】
また、除湿冷却器333,333′は副熱交換器331,331′より下方で、且つ、室内空気の流れの中で副熱交換器331,331′と並行な流れの中に配置されている。
【0225】
これにより、伝熱管に銅管を使用した除湿加熱器332,332′、除湿冷却器333,333′に結露した露が上方で室内空気の上流に位置する伝熱管にアルミニウム管を使用した副熱交換器331,331′に接触することはない。
【0226】
後側除湿加熱器332′に流入した冷媒は室内空気と熱交換し、配管口Ha 33Ha,配管口Hb 33Hbから後側除湿加熱器332′を出て配管K 33K,配管L 33Lに入る。
【0227】
配管K 33K,配管L 33Lに入った冷媒は前側除湿加熱器332の配管口HC 33HC,配管口HD 33HDから前側除湿加熱器332に入る。
【0228】
前側除湿加熱器332に入った冷媒は室内空気と熱交換し、配管口Hc 33Hc,配管口Hd 33Hdから前側除湿加熱器332を出て冷媒配管HX 345入る。
【0229】
除湿加熱器332に流入した冷媒は室内空気の下流から吸熱し、更に気化が進み、平均密度が小さくなって流速が速くなるが、冷媒の流路が2分岐されているので、圧力損失の増加は大きくない。
【0230】
冷媒配管HX 345入った冷媒は冷房時には全開状態の除湿絞り装置34に入り、同じ状態で冷媒配管XE 347に流れ出す。
【0231】
冷媒配管XE 347に流れ出した冷媒は再び2分岐されて上側除湿冷却器333の配管口EE 33EE,配管口EF 33EFから上側除湿冷却器333に流入する。
【0232】
上側除湿冷却器333に流入した冷媒は副熱交換器331,331′と並行して流れる室内空気から吸熱し、更に、気化が進む。
【0233】
上側除湿冷却器333に流入した冷媒は室内空気と熱交換し、配管口EF 33EF側の流路の冷媒は配管口Ef 33Efから上側除湿冷却器333を流出する。
【0234】
配管口Ef 33Efから上側除湿冷却器333を流出した冷媒は下側除湿冷却器333′の配管口EG 33EGから下側除湿冷却器333′に流入する。
【0235】
下側除湿冷却器333′に流入した冷媒は室内空気と熱交換し、配管口Eg 33Egから下側除湿冷却器333′を出て、冷媒配管EV 787に流入する。
【0236】
また、配管口EE 33EE側の流路の冷媒は配管口Ee 33Eeから上側除湿冷却器333を流出し、冷媒配管EV 787に流入する。
【0237】
配管口Eg 33Egから流出した冷媒と配管口Ee 33Eeから流出した冷媒は冷媒配管EV 787で合流しガス側接続配管8′を通ってガス側配管接続バルブ78′で室外機6に達する。
【0238】
ガス側配管接続バルブ78′で室外機6に到達した冷媒は冷媒流路切換弁72で圧縮機75の吸込み側に切換えられた流路を通って圧縮機75に吸込まれる。
【0239】
このように、実施例の空気調和機は、前記室内熱交換器が蒸発器となるときの管内流体の、最上流の熱交換部に、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンを使用し、その下流の熱交換部に銅管およびアルミニウム製フィンを使用する。
【0240】
これにより、蒸発器の中で冷媒の密度が最も大きく、流速が最も遅くなる冷媒の最上流部にアルミニウム管を使用する。
【0241】
このように、アルミニウム管を使用することにより、内径を細くして流速を速くし、熱伝達率を向上させることができる。
【0242】
このとき、前述のように、極端に伝熱管の内径が細くなる場合を除き、この圧力損失の増加は小さく、圧縮機に戻る冷媒の密度の減少が抑制されるので、アルミニウム管に替えても、内径の変化が性能に及ぼす影響は小さい。
【0243】
このため、蒸発器の冷媒入口部の管内速度が上がり、熱交換性能が向上する空気調和機を提供することができる。
【0244】
また、実施例の熱交換器には、一つの熱交換器の中に、銅管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部と、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部が混在する。
【0245】
このため、性能,大きさ,生産方法を大幅に変えること無しに、リサイクル性が向上し、銅管の使用量を減らし、軽量化した熱交換器を得ることができる。
【0246】
また、実施例の熱交換器を備えることにより、銅管を使用した空気調和機と同等の大きさで、同等の性能を発揮できる銅管とアルミニウム管を生産性良く混合使用し、軽量化し、リサイクル性が向上した空気調和機を提供することができる。
【0247】
また、実施例の熱交換器は、熱交換器が銅管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部より上の部分に、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部を形成している。
【0248】
このため、アルミニウム管の腐蝕が進み難い空気調和機を提供することができる。
【0249】
更に、実施例の熱交換器は、前記フィン間を通る気流の、銅管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部より上流側に、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部を形成している。
【0250】
このため、熱交換器での圧力損失の増加が少なく、能力が増加し、性能の低下が少なく、アルミニウム管を使用できリサイクル性が向上する空気調和機を提供することができる。
【0251】
次に、この空気調和機をヒートポンプサイクルで暖房運転する場合の室内熱交換器33の動作について説明する。
【0252】
この空気調和機を暖房運転する場合は、圧縮機75で圧縮され高温気体となった冷媒ガスは冷媒流路切換弁72で流路を室内熱交換器33側に切換えられ、ガス側配管接続バルブ78′に流れる。
【0253】
ガス側配管接続バルブ78′に流れた冷媒は室外機6を出て、ガス側接続配管8′を通って室内機2に到達し、室内機2の導入配管である冷媒配管EV 787に流入する。
【0254】
冷媒配管EV 787に流入した冷媒ガスは密度が小さいため流速が早く、このまま単一の流路で室内熱交換器33に入ると、圧力損失が大きくなり、冷媒の凝縮温度の低下を招き、熱交換量が減少する。
【0255】
これを防ぐため、冷媒配管EV 787に流入した冷媒ガスは2分流され、流速を下げて、除湿冷却器333,333′の内側に設けられた室内空気の流れの下流になる配管口Ee 33Ee,配管口Eg 33Egから除湿冷却器333,333′に入る。
【0256】
除湿冷却器333,333′に入った冷媒は除湿冷却器333,333′内を内側の伝熱管から外側の伝熱管の順に流れ、外部の室内空気で冷却される。
【0257】
室内空気で冷却された冷媒ガスの一部は凝縮し、気液混合状態となって配管口EE 33EE,配管口EF 33EFに達し、除湿冷却器333から流出し、冷媒配管XE 347に流入する。
【0258】
このとき、管内を流れる冷媒の平均密度は室内空気との熱交換が進むにつれて液状の冷媒が増えるので、だんだんと大きくなり、冷媒の流速は減少してくる。これに伴い、冷媒の圧力損失の増加割合も減少し、流速を増加させる余裕が生まれてくる。
【0259】
冷媒配管XE 347に流入した気液混合冷媒は合流し、暖房時は全開している除湿絞り装置34に入り、そのままの状態で出て、冷媒配管HX 345を通って再び2分流される。
【0260】
再び2分流された冷媒は除湿加熱器332の内側に設けられた室内空気の流れの下流になる配管口Hc 33Hc,配管口Hd 33Hdから除湿加熱器332に流入する。
【0261】
除湿加熱器332に流入した冷媒は除湿加熱器332,332′内を内側の伝熱管から外側の伝熱管の順に流れ、外部の室内空気で冷却される。
【0262】
室内空気で更に冷却された冷媒は、そのほとんど全てが凝縮し、ほぼ液状態となって配管口HA 33HA,配管口HB 33HBに達し、除湿加熱器332′から流出し、配管J 33Jに流入して合流し単一の流路となる。
【0263】
配管J 33Jは銅管配管とアルミニウム配管を接続するための配管で、Cu−Al接続部J 33JJを水平または、副熱交換器331′の配管口Sb 33Sbに向かう冷媒の流れ方向に先上がりに形成している。
【0264】
かくして、配管J 33Jに流入したほぼ液状の冷媒は銅管部からアルミニウム管部に入り、室内空気の上流になる副熱交換器331′に設けられた配管口Sb 33Sbから副熱交換器331′に流入する。
【0265】
副熱交換器331,331′の伝熱管はアルミニウム管でできているので、管内の冷媒流路面積が減少したことと、単一の流路にしたことにより冷媒の流速が増加する。
【0266】
しかし、前述のように、この部の圧力損失が熱交換量の悪化をもたらすことは無い。他方、流速の増加により冷媒から伝熱管への熱伝達率が向上して熱交換量が増加する。
【0267】
副熱交換器331,331′に流入したほぼ液状の冷媒は外部の室内空気の上流で更に冷却され、冷媒の飽和温度以下に冷却されて配管口SA 33SAに達し、室内熱交換器33から流出し、配管G 33Gに流入する。
【0268】
配管G 33Gはアルミニウム配管と銅配管を接続するための配管で、前述と同様に、銅管とアルミニウム管の接合部であるCu−Al接続部G 33GJを水平または、副熱交換器331の配管口SA 33SAからの冷媒の流れ方向に先下がりに形成している。
【0269】
かくして、配管G 33Gに流入した飽和温度以下に冷却された冷媒はアルミニウム管部から銅管部に入り、室内機2からの導出配管である冷媒配管VE 785に流入し、室内機2を出て、液側接続配管8を通って室外機6の液側配管接続バルブ78に達する。
【0270】
このように、実施例の空気調和機は、室内熱交換器が凝縮器となるときの管内流体のサブクール領域部に、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部を形成している。
【0271】
これにより、この部に銅管を使用した場合に比べて、同じ外径にした場合、管内流体の速度が増し、管内の熱伝達率が上がり、熱交換性能が向上し、熱交換量が多くなる。
【0272】
このとき、管内の速度が増すことで、銅管を使用した場合に比べて圧力損失が増加する。しかし、この圧力損失の増加は、この部がサブクール領域であることから管内流体の温度低下を招くことは無い。
【0273】
このように、管内流体の温度低下を招くことは無いので、サブクール領域での管外の気流に対する放熱に影響を与えることは無い。
【0274】
このことは、管内流体が次に受ける変化が、凝縮器を出て次の冷媒制御装置による減圧であることから、この減圧の過程の最初の部分(体積変化を伴わない減圧)がサブクール領域で開始していると考えても良い。
【0275】
このため、サブクール領域部の管内流速が上がり、熱交換性能がアップする空気調和機を提供することができる。
【0276】
また、実施例の空気調和機は、室内熱交換器が凝縮器となるときの管内流体の、最下流の熱交換部に、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンを使用し、その上流の熱交換部に銅管およびアルミニウム製フィンを使用する。
【0277】
これにより、凝縮器の中で冷媒の密度が最も大きく、流速が最も遅くなる冷媒の最下流部にアルミニウム管を使用する。
【0278】
このように、アルミニウム管を使用することにより、内径を細くして流速を速くし、熱伝達率を向上させることができる。
【0279】
このとき、前述のように、極端に伝熱管の内径が細くなる場合を除き、この圧力損失の増加は小さく、アルミニウム管に替えても、内径の変化が性能に及ぼす影響は小さい。
【0280】
このため、凝縮器の冷媒出口部の管内速度が上がり、熱交換性能が向上する空気調和機を提供することができる。
【0281】
次に、この空気調和機をヒートポンプサイクルで暖房運転する場合の室外熱交換器73の動作について図6,図7を用いて説明する。
【0282】
この空気調和機を暖房運転したときに、室内機2で飽和温度以下に冷却されて室外機6の液側配管接続バルブ78に到達した冷媒は冷暖房絞り装置74で減圧される。
【0283】
冷暖房絞り装置74で減圧された冷媒は、低温で乾き度の小さい気液混合状態となり、室外熱交換器73の導入配管である冷媒配管CX 745を通って、2分岐される。
【0284】
2分岐された冷媒は室外熱交換器73の下部に設けられた配管口Oe 730e,配管口Of 730fから室外熱交換器73に流入する。
【0285】
室外熱交換器73に流入した冷媒は乾き度の小さい気液混合状態なので、冷媒の平均密度は比較的大きく、冷媒の流路数が少なくても、冷媒の流速はあまり大きくならないので、冷媒の圧力損失の増加割合は小さい。
【0286】
室外熱交換器73の下部に流入した冷媒は室外空気から吸熱して、冷媒が気化し、冷媒の乾き度がだんだんと大きくなり、また、圧力損失のため冷媒の蒸発温度が若干低下する。
【0287】
蒸発温度が若干低下した冷媒は、配管口IE 731E,配管口IF 731Fに達し、室外熱交換器73の内部配管である配管E 73E,配管F 73Fに流入する。
【0288】
配管E 73E,配管F 73Fに流入した冷媒は気化が進んで冷媒の乾き度が大きくなり、冷媒の流速が上がっているので、配管E 73E,配管F 73Fの途中から各々2分岐し、合わせて4分岐として、冷媒の流速を下げて圧力損失の増加割合を小さくしている。
【0289】
このように、配管E 73E,配管F 73Fに流入した冷媒は銅管部からアルミニウム管部に入り、4分岐され、室外空気の上流側に位置する外側熱交換器730の上部に設けられた配管口Oa 730a〜配管口Od 730dから外側熱交換器730に流入する。
【0290】
外側熱交換器730の上部に流入した気液混合冷媒は図6に斜線で示した外側アルミニウム管730PA内を流れ、外部の室外空気の上流から吸熱し、更に気化が進み、平均密度が小さくなって流速が速くなり、また、圧力損失のため冷媒の蒸発温度が更に低下する。
【0291】
蒸発温度が更に低下した冷媒は、配管口OA 730A〜配管口OD 730Dに達し、外側熱交換器730から流出する。
【0292】
外側熱交換器730から流出した冷媒は、配管A 73A〜配管D 73Dに入り、これまでのアルミニウム管部を出て銅管部に入り、室外空気の下流部に位置する内側熱交換器731の配管口Ia 731a〜配管口Id 731dから内側熱交換器731に流入する。
【0293】
内側熱交換器731に流入した冷媒は下流の室外空気から吸熱し、更に気化が進み、乾き度が1に近いガス状の冷媒となって、配管口IA 731A〜配管口ID 731Dに達し、内側熱交換器731から流出する。
【0294】
このとき、冷媒の密度は小さくなり流速も速くなるが、この部は銅管を伝熱管として使用しているので管の肉厚をアルミニウム管に比べて薄くでき、管内の断面積が広がり、冷媒の流速の増加を抑制できる。
【0295】
内側熱交換器731から流出した冷媒は冷媒流路切換弁72を介して圧縮機75に吸込まれる。
【0296】
このように、実施例の空気調和機は、熱交換器が蒸発器となるときの管内流体の、銅管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部より上流側の同一流路内に、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部を形成している。
【0297】
一般に、熱交換器が蒸発器となる場合、熱交換器に入った冷媒は、最初は管内を低温の気液混合状態で流れ、管外の気流から吸熱し、冷媒自身は蒸発して気化する。
【0298】
このとき、冷媒は密度の大きい気液混合状態から密度の小さい気体に変わるため、管内の流路の断面積が変わらないときには、熱交換器入口での低速の気液混合状態から、熱交換器出口での高速の気体状態にまで連続的に変化して行く。
【0299】
また、前述のように、外径を同じにした場合は、銅管部の流路断面積より、アルミニウム管部の流路断面積が狭くなる。
【0300】
実施例の空気調和機は、蒸発器の伝熱管に同一流路内の下流側には銅管を使用し、その上流側にはアルミニウム管を使用する。
【0301】
これにより、この部に銅管を使用した場合に比べて、管内流体の速度が増し、管内の熱伝達率が上がり、熱交換性能が向上し、熱交換量が多くなる。
【0302】
このとき、管内の速度が増すことで、銅管を使用した場合に比べて圧力損失が増加する。しかし、この部は蒸発器の上流部になるので管内を流れる冷媒の密度は大きい。
【0303】
このように、冷媒の密度が大きので、極端に伝熱管の内径が変わる場合を除き、冷媒の速度は小さく、圧力損失の増加も小さくなり、圧縮機に戻る冷媒の密度の減少が抑制されるので、性能への大きな影響はない。
【0304】
このため、蒸発器にアルミニウム管を使用しても、管内流体の速度増加による圧力損失の影響が小さく、熱交換性能の低下も少ない空気調和機を提供することができる。
【実施例2】
【0305】
次に、実施例2の空気調和機について図を用いて説明する。実施例2の空気調和機は実施例1の空気調和機の能力を変更し、それに応じて室外熱交換器73と室内熱交換器33の大きさを変え、アルミニウム管の採用部を変えたものである。
【0306】
先ず、実施例2の室外熱交換器について図11〜図12を用いて説明する。図11(a)は実施例2の室外熱交換器の平面図であり、(b)は同正面図、(c)は同側面図であり、室外空気は図中の白抜き矢印の方向に流れる。
【0307】
図12(a)は同熱交換器の伝熱管の接続部を側面から見た配管接続図、(b)は同熱交換器内の冷媒流路図である。
【0308】
室外熱交換器73は実施例1では流路数を増やした部分である外側熱交換器730の上側部分のみ採用していたアルミニウム管を流路数を増やした部分の内側熱交換器731の上側部分にも採用する。
【0309】
このように、室外熱交換器73の上部で冷媒回路が複数の流路に分岐している部分にアルミニウム製の伝熱管を使用する。
【0310】
このようにすることにより、高価な銅管の使用量を更に削減し、供給の安定しているアルミニウム管を使用して、リサイクル性の向上と軽量化を図ることができる。
【0311】
室外熱交換器73をこのような形状に加工するために、上部のアルミニウム管部と下部の銅管部のフィンを一体にした曲げの外側熱交換器フィン730Tと曲げの内側熱交換器フィン731Tを用意する。
【0312】
次に、曲げの外側熱交換器730用に所定量の外側熱交換器フィン730Tを積み上げ、長い伝熱管を、内側熱交換器731用に外側よりも少ない所定量の内側熱交換器フィン731Tを積み上げ、短い伝熱管を挿入し、アルミニウム管部と銅管部を連結する。
【0313】
この伝熱管にフィンを積み上げたブロックを伝熱管の管端を揃えて共通の室外プレートR 73Rをはめ込み、外側熱交換器730と内側熱交換器731を連結し、伝熱管を拡管して伝熱管と外側熱交換器フィン730T,内側熱交換器731Tを密着させる。
【0314】
この直線状の熱交換器を、所定の曲げ半径で曲げて、伝熱管のベンド部は結合帯738,738′などにより結合し、内外の熱交換器を一体にしている。このとき、伝熱管の管端側は前述のように室外プレートR 73Rにより連結されている。
【0315】
次に、この空気調和機を冷房運転する場合の室外熱交換器73の動作について説明する。
【0316】
この空気調和機を冷房運転する場合は、圧縮機75で圧縮された冷媒が冷媒配管4C 725に流入するまでは実施例1と同じである。
【0317】
冷媒配管4C 725に流入した冷媒ガスは配管材をそれまでの銅管からアルミニウム管に切換えるための配管M 73Mに入り、配管材をそれまでの銅管からアルミニウム管に切換えられる。
【0318】
配管M 73Mは、銅管とアルミニウム管の接合部であるCu−Al接続部M 73MJを境にして銅管部を下側にし、アルミニウム管部を上側に配置している。
【0319】
配管M 73Mに入った冷媒は密度が小さいため流速が早く、このまま単一の流路で室外熱交換器73に入ると、圧力損失が大きくなり、冷媒の凝縮温度の低下を招き、熱交換量が減少する。
【0320】
これを防ぐため、冷媒配管4C 725に流入した冷媒ガスは4分流され、流速を下げて、室外空気の流れの下流になる内側熱交換器731の上部に設けられた配管口IA 731A〜配管口ID 731Dから内側熱交換器731に入る。
【0321】
内側熱交換器731の上部に入った冷媒は内側アルミニウム管731PA,外側アルミニウム管730PA内を流れ、外部の室外空気で冷却され、冷媒ガスが凝縮し、ほぼ液状態となって配管口Oa 730a〜配管口Od 730dに達し、上部のアルミニウム管熱交換器部から流出する。
【0322】
上部のアルミニウム管熱交換器部から流出した冷媒は実施例1と同様に下部の銅管熱交換器部に流入し、熱交換して室外熱交換器73から流出し、冷暖房絞り装置74で減圧され、室外機6を出て、室内機2に到達し冷媒配管VE 785に入る。
【0323】
このように、実施例の熱交換器には、一つの熱交換器の中に、銅管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部と、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部が混在する。
【0324】
このため、性能,大きさ,生産方法を大幅に変えること無しに、リサイクル性が向上し、銅管の使用量を減らし、軽量化した熱交換器を得ることできる。
【0325】
また、実施例の熱交換器は、管内を流れる流体の流路数の多い部分にアルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部を形成する。
【0326】
このため、管内の圧力損失の増加が抑えられ、性能低下が少ない熱交換器となる。
【0327】
また、実施例の熱交換器を備えることにより、銅管を使用した空気調和機と同等の大きさで、同等の性能を発揮できる銅管とアルミニウム管を生産性良く混合使用し、軽量化し、リサイクル性が向上した空気調和機を提供することができる。
【0328】
更に、実施例の熱交換器は、銅管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部より上の部分に、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部を形成している。
【0329】
このため、アルミニウム管の腐蝕が進み難い空気調和機を提供することができる。
【0330】
次に、実施例2の室内熱交換器33について図14〜図18を用いて、詳しく説明する。図14は実施例2の室内熱交換器、図15は実施例2の室内熱交換器の側面図、図16は実施例2の室内熱交換器の冷媒流路図である。図17は実施例2の室内熱交換器のフィン形状図である。図18は実施例2の室内熱交換器のプレート形状図である。
【0331】
実施例2の室内熱交換器33は実施例1で使用していた副熱交換器331,331′を使用せず、室内空気の流れの上流に当る除湿加熱器332,332′の上部にアルミニウム管を使用している。
【0332】
上記の伝熱管をアルミニウム管とした部分は室内熱交換器33が蒸発器となる冷房時には室内熱交換器33の中で冷媒の流れの最上流部になり、凝縮器となる暖房時には室内熱交換器33の中で冷媒の流れの最下流部になる。
【0333】
室内熱交換器33をこのような形状に加工するため、上部のアルミニウム管部と下部の銅管部のフィンを一体にした除湿加熱器フィン332T,332T′でアルミニウム管部と銅管部を連結する。
【0334】
更に、上部のアルミニウム管部と下部の銅管部の熱交換器プレートを一体にした除湿加熱器プレートL,L′ 332L,L′,除湿加熱器プレートR,R′ 332R,R′でアルミニウム管部と銅管部を連結する。
【0335】
この、図17に示すようなフィンと図18に示すようなプレートの所定位置にアルミニウム管と銅管の伝熱管を挿通し、伝熱管を拡管してフィンと伝熱管を密着させる。
【0336】
こうしてできた直線状の熱交換器を図17,図18の二点鎖線で示すように折り曲げ,所要の形状をした室内熱交換器33を得る。
【0337】
なお、アルミニウム管と銅管の連結は上記以外にも、両者を連結する接続ピースや、両者をつなぐ冷媒管で構成した連結管で一体に連結する方法もある。
【0338】
また、両者を樹脂性バンドで結んだ結合帯や、両者の形状に倣った樹脂性ブロックで両者の位置関係を保持する結合ピースなどにより一体にしても良い。
【0339】
34の除湿絞り装置の働きは実施例1と同様である。
【0340】
次に、この空気調和機を冷房運転する場合の室内熱交換器33の動作を、前述の室外熱交換器の73の動作に引き続いて説明する。
【0341】
冷媒配管VE 785からの気液混合冷媒は、先ず、室内空気の流れの上流になる前側除湿加熱器332の上部に流入するべく、配管G 33Gに入る。
【0342】
配管G 33Gは銅管とアルミニウム管を接続するための配管である。
【0343】
実施例2では除湿加熱器332,332′のアルミニウム伝熱管管端は銅伝熱管管端と同じ側に設けている。
【0344】
前側除湿加熱器332に流入した冷媒は室内空気と熱交換し、配管口Ha 33Haから前側除湿加熱器332を出て配管K 33Kに入る。
【0345】
配管K 33Kに入った冷媒は後側除湿加熱器332′の配管口HB 33HBから後側除湿加熱器332′に入り、室内空気と熱交換し、配管口Hb 33Hbから後側除湿加熱器332′を出て配管J 33Jに入る。
【0346】
配管J 33Jは除湿加熱器332の上部に設けたアルミニウム配管を再び銅管に変更し、除湿加熱器332の下部の銅配管に接続するための配管である。
【0347】
配管J 33Jに入った冷媒は、実施例1と同様に、更に室内空気と熱交換し、室内機2を出て、室外機6に戻り、圧縮機75に吸込まれる。
【0348】
次に、この空気調和機をヒートポンプサイクルで暖房運転する場合の室内熱交換器33の動作について説明する。
【0349】
この空気調和機を暖房運転する場合、圧縮機75で圧縮された冷媒は実施例1と同様にして室内熱交換器33のアルミニウム管部に流入する。
【0350】
除湿加熱器332′の上部の配管口Hbからアルミニウム管部に流入したほぼ液状の冷媒は外部の室内空気の上流で更に冷却され、冷媒の飽和温度以下に冷却されて配管口HA 33HAに達し、室内熱交換器33から流出し、配管G 33Gに流入する。
【0351】
配管G 33Gに流入した冷媒は実施例1と同様に、室内機2を出て室外機6の液側配管接続バルブ78に達する。
【0352】
このように、実施例の熱交換器には、一つの熱交換器の中に、銅管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部と、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部が混在する。
【0353】
このため、性能,大きさ,生産方法を大幅に変えること無しに、リサイクル性が向上し、銅管の使用量を減らし、軽量化した熱交換器を得ることができる。
【0354】
また、実施例の熱交換器を備えることにより、銅管を使用した空気調和機と同等の大きさで、同等の性能を発揮できる銅管とアルミニウム管を生産性良く混合使用し、軽量化し、リサイクル性が向上した空気調和機を提供することができる。
【0355】
また、実施例の熱交換器は、熱交換器が銅管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部より上の部分に、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部を形成している。
【0356】
このため、アルミニウム管の腐蝕が進み難い空気調和機を提供することができる。
【0357】
また、実施例の熱交換器は、熱交換器が前記フィン間を通る気流の、銅管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部より上流側に、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部を形成している。
【0358】
このため、熱交換器での圧力損失の増加が少なく、能力が増加し、性能の低下が少なく、アルミニウム管を使用できリサイクル性が向上する空気調和機を提供することができる。
【0359】
また、実施例の熱交換器は、室内熱交換器が凝縮器となるときの管内流体のサブクール領域部に、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部を形成している。
【0360】
このため、サブクール領域部の管内流速が上がり、熱交換性能がアップする空気調和機を提供することができる。
【0361】
次に、この空気調和機をヒートポンプサイクルで暖房運転する場合の室外熱交換器73の動作について図11〜図13を用いて説明する。図13は室外熱交換器の暖房時温度特性図である。
【0362】
この空気調和機を暖房運転したときに、室内機2で飽和温度以下に冷却されて室外機6の液側配管接続バルブ78に到達した冷媒は実施例1と同様に、冷暖房絞り装置74で減圧され、室外熱交換器73に流入し、室外熱交換器73の下部で室外空気と熱交換し、4分岐されて上部の配管口Oa 730a〜配管口Od 730dからアルミニウム管部に入る。
【0363】
外側熱交換器730の上部に流入した気液混合冷媒は図11に斜線で示した外側アルミニウム管730PA,内側アルミニウム管731PA内を順に流れ、外部の室外空気から吸熱する。
【0364】
外側熱交換器730,内側熱交換器731の上部の伝熱管はアルミニウム管でできているので、銅管と同等の強度を確保するため肉厚を厚くしている。このため、外径を同じにした場合、銅管と較べると管内の冷媒流路面積が減少し、冷媒の流速が増加する。
【0365】
一般に、管内の圧力損失は、およそ管内を流れる流体の速度の二乗に比例する。このため、流体が流れる回路の流路数を倍にすると流体の速度が半分になるので、圧力損失はおよそ1/4になる。
【0366】
実施例2の場合、伝熱管として、拡管後の外径8.5mm,肉厚0.28mmの銅管と拡管後の外径8.5mm,肉厚0.61mmのアルミニウム管を使用する。
【0367】
この場合、アルミニウム管部分は銅管部に較べて断面積が15%減り、流速が18%増えて、圧力損失が40%増える。このため、単純に銅管をアルミニウム管に代えると圧力損失が増えすぎて性能が劣化する。
【0368】
実施例2の場合、これらの銅管とアルミニウム管を使い分けて、2流路部分に銅管を、4流路部分にアルミニウム管を使用して室外熱交換器73を構成する。
【0369】
この4流路のアルミニウム管部分と2流路の銅管部分を単純に比較すると、アルミニウム管部分は銅管部に較べて断面積が1.7倍になり、流速は0.6になり、圧力損失は0.35倍になる。
【0370】
このため、流路の少ないところをアルミニウム管に変更するよりも、流路の多い所をアルミニウム管に変更するほうが圧力損失の増加割合が小さくて済み、空気調和機全体に与える影響が少ない。
【0371】
比較のため、全部の流路に銅管を使用した従来の熱交換器と全部の流路にアルミニウム管を使用した熱交換器を作成し、その圧力損失を比較した。
【0372】
その結果を図13に示す。ヒートポンプ運転時、室外熱交換器73下部の冷媒流入口を温度測定位置Aとし、室外熱交換器73下部の2流路部の出口を温度測定位置Dとしている。
【0373】
更に進んで、室外熱交換器73上部の4流路部の出口を温度測定位置Hとし、そのヘアピン状の伝熱管の1ターン前の伝熱管の管端部を温度測定位置G,2ターン前の伝熱管の管端部を温度測定位置Fとしている。
【0374】
つまり、図中の温度測定位置Aの熱交換器温度は図12の配管口Oe 730e,配管口Of 730fの温度の平均値を示し、温度測定位置Dの熱交換器温度は図12の配管口IE 731E,配管口IF 731Fの温度の平均値を示す。
【0375】
また、温度測定位置Hの熱交換器温度は図12の配管口IA 731A〜配管口ID 731Dの温度の平均値を示す。
【0376】
図13で温度測定位置の表示が飛んでいるが、その間に表示されていないヘアピン状の伝熱管が存在していて、全体的に見れば、温度測定位置の表示は冷媒の流れに沿った伝熱管の室外熱交換器73入口からの距離に大略比例している。
【0377】
図13に示すように、2流路の銅管部分の圧力降下に伴う蒸発温度の低下は0.71Kであり、4流路のアルミニウム管部分の圧力降下に伴う蒸発温度の低下は0.40Kであった。
【0378】
これを2流路部の長さに換算すると、4流路のアルミニウム管部分の圧力降下に伴う蒸発温度の低下は0.30Kとなり、2流路の銅管部分の圧力降下に伴う蒸発温度の低下である0.71Kの0.42倍となっている。
【0379】
これは蒸発温度の変化の数値であり、厳密には圧力降下を表しているわけではないが、上記のような狭い範囲での蒸発温度の変化と蒸発圧力の変化はほぼ比例するので、圧力降下の割合も温度降下にほぼ比例し、圧力降下もほぼ0.42倍となると考えて良い。
【0380】
このように、上述の理論値通りにはならないが、流路の少ないところをアルミニウム管に変更するよりも、流路の多い所をアルミニウム管に変更するほうが圧力損失の増加割合が小さい傾向が示されている。
【0381】
外部の室外空気から吸熱した冷媒は、更に気化が進み、乾き度が1に近いガス状の冷媒となって、配管口IA 731A〜配管口ID 731Dに達し、室外熱交換器73から流出する。
【0382】
室外熱交換器73から流出した冷媒は冷媒流路切換弁72を介して圧縮機75に吸込まれる。
【実施例3】
【0383】
次に、実施例3の空気調和機について図19〜図20を用いて説明する。図19(a)は実施例3の室外熱交換器の平面図であり、(b)は同正面図、(c)は同側面図であり、室外空気は図中の白抜き矢印の方向に流れる。
【0384】
図20(a)は同熱交換器の伝熱管の接続部を側面から見た配管接続図、(b)は同熱交換器内の冷媒流路図である。
【0385】
実施例3の室外熱交換器73は、図19に示すように室外機6の背面に略直線状に配設されている。
【0386】
実施例3の空気調和機は実施例2の空気調和機の能力を変更し、それに応じて室外熱交換器73の大きさを変えたものである。
【0387】
実施例3では、室外熱交換器73の流路数を増減せずに室外熱交換器73と熱交換する室外空気の上流側にアルミニウム管を採用する。
【0388】
また、室外熱交換器73が凝縮器となる場合の冷媒の流れの下流、蒸発器となる場合の冷媒の流れの上流の部分にアルミニウム管を採用する。
【0389】
実施例3では室外空気の上流のアルミニウム管部と、下流の銅管部を一体にした放熱フィン73T,室外プレートR 73R,室外プレートL 73Lを備え、これらに伝熱管であるアルミニウム管と銅管を挿通し、伝熱管を拡管することにより、一体の熱交換器としている。
【0390】
この空気調和機を冷房運転する場合、圧縮機75で圧縮された冷媒は実施例1同様にして、室外熱交換器73の4流路部を出る。
【0391】
配管口Oa 730a〜配管口Od 730dに達した冷媒は、室外熱交換器73から流出し、銅管とアルミニウム管の接続配管である配管N 73Nに流入し、合流して冷媒配管CX 745に流入する。
【0392】
配管N 73Nは、銅管とアルミニウム管の接合部であるCu−Al接続部N 73NJを境にして銅管部を下側にし、アルミニウム管部を上側に配置している。
【0393】
室外熱交換器73から出た冷媒は、実施例2と同様にして、室内機2に入り、室内を冷房し、室外機6に戻り、圧縮機75に吸込まれる。
【0394】
このように、実施例の熱交換器には、一つの熱交換器の中に、銅管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部と、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部が混在する。
【0395】
このため、性能,大きさ,生産方法を大幅に変えること無しに、リサイクル性が向上し、銅管の使用量を減らし、軽量化した熱交換器を得ることできる。
【0396】
また、実施例の熱交換器を備えることにより、銅管を使用した空気調和機と同等の大きさで、同等の性能を発揮できる銅管とアルミニウム管を生産性良く混合使用し、軽量化し、リサイクル性が向上した空気調和機を提供することができる。
【0397】
また、実施例の熱交換器は、熱交換器が凝縮器となるときの管内流体の、銅管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部より下流側の同一流路内に、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部を形成している。
【0398】
このため、凝縮器にアルミニウム管を使用しても、管内流体の速度増加による圧力損失の影響が小さく、熱交換性能が向上する空気調和機を提供することができる。
【0399】
また、実施例の熱交換器は、フィン間を通る気流の、銅管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部より上流側に、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部を形成している。
【0400】
このため、熱交換器での圧力損失の増加が少なく、能力が増加し、性能の低下が少なく、アルミニウム管を使用できリサイクル性が向上する空気調和機を提供することができる。
【0401】
この空気調和機を暖房運転したときに、圧縮機75からの冷媒は、実施例2と同様にして、室内機2に入って、室内を暖房し、室外機6に戻り、冷暖房絞り装置74で減圧され、冷媒配管CX 745に入る。
【0402】
室外熱交換器73の導入配管である冷媒配管CX 745に入った冷媒は、配管N 73Nで銅管からアルミニウム管に切換えられ、4分岐される。
【0403】
4分岐された冷媒は実施例1と同様にして、室外空気と熱交換し、圧縮機75に吸込まれる。
【0404】
このように、実施例の熱交換器は、熱交換器が蒸発器となるときの管内流体の、銅管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部より上流側の同一流路内に、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部を形成している。
【0405】
このため、蒸発器にアルミニウム管を使用しても、管内流体の速度増加による圧力損失の影響が小さく、熱交換性能の低下も少ない空気調和機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0406】
【図1】空気調和機の構成図。
【図2】室内機の側断面図。
【図3】室外機の側断面図。
【図4】冷凍サイクル図。
【図5】冷房・除湿時の冷凍サイクルの構成図。
【図6】実施例1の室外熱交換器。
【図7】実施例1の室外熱交換器の冷媒流路図。
【図8】実施例1の室内熱交換器。
【図9】実施例1の室内熱交換器の側面図。
【図10】実施例1の室内熱交換器の冷媒流路図。
【図11】実施例2の室外熱交換器。
【図12】実施例2の室外熱交換器の冷媒流路図。
【図13】実施例2の室外熱交換器の暖房時温度特性図。
【図14】実施例2の室内熱交換器。
【図15】実施例2の室内熱交換器の側面図。
【図16】実施例2の室内熱交換器の冷媒流路図。
【図17】実施例2の室内熱交換器のフィン形状図。
【図18】実施例2の室内熱交換器のプレート形状図。
【図19】実施例3の室外熱交換器。
【図20】実施例3の室外熱交換器の冷媒流路図。
【符号の説明】
【0407】
1 空気調和機
2 室内機
5 リモコン
6 室外機
8 接続配管
20 筐体
21 筐体ベース
23 化粧枠
25 前面パネル
27 空気吸込み口
29 空気吹出し口
33 室内熱交換器
33EE 配管口EE
33Ee 配管口Ee
33EF 配管口EF
33Ef 配管口Ef
33EG 配管口EG
33Eg 配管口Eg
33G 配管G
33GJ Cu−Al接続部G
33H 配管H
33HA 配管口HA
33Ha 配管口Ha
33HB 配管口HB
33Hb 配管口Hb
33HC 配管口HC
33Hc 配管口Hc
33HD 配管口HD
33Hd 配管口Hd
33J 配管J
33JJ Cu−Al接続部J
33K 配管K
33L 配管L
33P 配管P
33SA 配管口SA
33Sa 配管口Sa
33SB 配管口SB
33Sb 配管口Sb
33T 室内熱交換器フィン
34 除湿絞り装置
35 露受皿
37 ドレン配管
61 ベース
62 外箱
72 冷媒流路切換弁
73 室外熱交換器
73A 配管A
73AJ Cu−Al接続部A
73B 配管B
73BJ Cu−Al接続部B
73C 配管C
73CJ Cu−Al接続部C
73D 配管D
73DJ Cu−Al接続部D
73E 配管E
73EJ Cu−Al接続部E
73F 配管F
73FJ Cu−Al接続部F
73L 室外プレートL
73M 配管M
73MJ Cu−Al接続部M
73N 配管N
73NJ Cu−Al接続部N
73PA アルミニウム管
73PC 銅管
73R 室外プレートR
73T 室外熱交換器フィン
74 冷暖房絞り装置
75 圧縮機
78,78′ 配管接続バルブ
230,230′ 空気吸込み部
231 フィルター
251 可動パネル
290 吹出し風路
291 上下風向板
295 左右風向板
311 送風ファン
331,331′ 副熱交換器
331L,L′ 副プレートL,L′
331R,R′ 副プレートR,R′
332,332′ 除湿加熱器
332L,L′ 除湿加熱器プレートL,L′
332R,R′ 除湿加熱器プレートR,R′
332T,332T′ 除湿加熱器フィン
333,333′ 除湿冷却器
333L,R 除湿冷却器プレートL,R
333T,333T′ 除湿冷却器フィン
337 接続ピースA
338L 接続ピースL
338R 接続ピースR
345 冷媒配管HX
347 冷媒配管XE
396 受光部
397 表示部
621 前面板
622 天板
623 側板
631 室外ファン
635 ファンカバー
725 冷媒配管4C
730 外側熱交換器
730A 配管口OA
730a 配管口Oa
730B 配管口OB
730b 配管口Ob
730C 配管口OC
730c 配管口Oc
730D 配管口OD
730d 配管口Od
730e 配管口Oe
730f 配管口Of
730PA 外側アルミニウム管
730PC 外側銅管
730R 外側プレートR
730T 外側熱交換器フィン
731 内側熱交換器
731A 配管口IA
731a 配管口Ia
731B 配管口IB
731b 配管口Ib
731C 配管口IC
731c 配管口Ic
731D 配管口ID
731d 配管口Id
731E 配管口IE
731F 配管口IF
731PC 内側銅管
731R 内側プレートR
731T 内側熱交換器フィン
733PA 上側アルミニウム管
734PC 下側銅管
738,738′ 結合帯
745 冷媒配管CX
785 冷媒配管VE
787 冷媒配管EV
810B 銅管ベンド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒配管が、
銅管と、
アルミニウム管と、
からなる熱交換器を備えた空気調和機において、
室外側の前記熱交換器内で冷媒の流路が分岐して、流路数が最も多い部分の冷媒配管に前記アルミニウム管を有する空気調和機。
【請求項2】
請求項1の空気調和機において、
室内側の前記熱交換器が凝縮器となるときの管内流体のサブクール領域部に、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部を形成していることを特徴とする空気調和機。
【請求項3】
請求項1の空気調和機において、
前記熱交換器が凝縮器となるときの管内流体の、銅管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部より下流側の同一流路内に、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部を形成していることを特徴とする空気調和機。
【請求項4】
請求項1の空気調和機において、
前記熱交換器が蒸発器となるときの管内流体の、銅管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部より上流側の同一流路内に、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部を形成していることを特徴とする空気調和機。
【請求項5】
請求項1の空気調和機において、
前記熱交換器が銅管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部より上の部分に、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部を形成していることを特徴とする空気調和機。
【請求項6】
請求項1の空気調和機において、
前記熱交換器が前記フィン間を通る気流の、銅管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部より上流側に、アルミニウム管およびアルミニウム製フィンからなるクロスフィン型熱交換部を形成していることを特徴とする空気調和機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−92274(P2009−92274A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261498(P2007−261498)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】