説明

空気静圧軸受スピンドル装置、これを用いた回転霧化装置および塗装装置

【課題】環境温度が低温になっても、スピンドルが回転不能に陥るのを防止できる空気静圧軸受スピンドル装置、これを用いた回転霧化装置および塗装装置を提供する。
【解決手段】軸部22およびフランジ部23を有するスピンドル21、軸受本体31、軸部22との間にラジアル隙間43を有するラジアル軸受部材41A,42A、および、フランジ部23との間にスラスト隙間45を有するスラスト軸受部材41B,42Bを備えた空気静圧軸受スピンドル装置20において、環境温度が20℃の状態においてスラスト隙間が40μm以下に形成され、環境温度が0℃の状態においてスラスト隙間が10μm以上確保されるように、軸受本体31およびスラスト軸受部材41B,42Bに用いる材料の線膨張係数が選択されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気静圧軸受スピンドル装置、これを用いた回転霧化装置および塗装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のボディなどを塗装する塗装装置として、回転霧化装置を用いた塗装装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
これは、有底筒状で内周面が開口縁に向かって拡径された回転霧化ヘッドと、この回転霧化ヘッドを先端に有するスピンドルと、このスピンドルを回転させる回転駆動機構と、回転霧化ヘッド内に塗料を供給する塗料供給装置とを備える。
このような構成において、回転駆動機構によりスピンドルを回転させた状態において、塗料供給装置から回転霧化ヘッド内に塗料を供給すると、回転霧化ヘッド内に供給された塗料は遠心力により回転霧化ヘッドの開口縁から飛散して霧化される。
【0003】
従来、このような回転霧化装置において、スピンドルを空気静圧軸受で高速回転可能に支持した空気静圧軸受スピンドル装置が知られている。
これは、軸部およびこの軸部よりも径大なフランジ部を有するスピンドルと、このスピンドルを収納する収納孔を有する軸受本体と、この軸受本体の収納孔内に固定され軸部の外周面との間に所定のラジアル隙間を有する内径およびラジアル隙間にエアーを噴出するエアー噴出孔を有するラジアル軸受部材と、軸受本体の収納孔内に固定されフランジ部の端面との間に所定のスラスト隙間およびスラスト隙間にエアーを噴出するエアー噴出孔を有するスラスト軸受部材と、ラジアル軸受部材およびスラスト軸受部材のエアー噴出孔にエアーを供給するエアー供給手段と、スピンドルを回転させる回転駆動機構とを備える構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−41893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、上述した構造の空気静圧軸受スピンドル装置では、冬期、環境温度が約7℃以下になると、スピンドルがロックされ、回転不能に陥る不具合が発生していた。
そこで、従来では、スピンドルがロックされた際、ドライヤなどの加熱手段でスピンドルや、これを支持する軸受本体を加熱することにより、スピンドルを正常回転に復旧させるようにしていたが、これでは、作業初期の準備作業に時間と手間がかかるため、作業効率が著しく低いという課題があった。
また、塗装装置の場合、塗装作業を行っていない夜間も常時圧縮空気を供給して、温度低下を避ける方法もとられているが、エネルギーが無駄に消費されるという課題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記課題を解消し、環境温度が低温になっても、手間と時間をかけず、かつ、無駄なエネルギー消費を抑えつつ、スピンドルが回転不能に陥るのを防止できる空気静圧軸受スピンドル装置、これを用いた回転霧化装置および塗装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、従来の空気静圧軸受スピンドル装置において、冬期になるとスピンドルがロックされ、回転不能に陥る不具合が発生する原因を調査したところ、温度低下によりスラスト隙間が減少したことが原因であることが判明した。
従来の空気静圧軸受スピンドル装置では、軸受本体が線膨張係数23.9×10−6/℃のアルミニウム、軸受部材が線膨張係数4.0×10−6/℃のカーボンであったため、図5に示すような変形が生じるものと考えられる。なお、スピンドルは線膨張係数:9.7×10−6/℃のステンレスである。
つまり、実際に測定した結果や有限要素法で計算した結果によると、図5に示すように、線膨張係数が大きい軸受本体31の内部に線膨張係数が小さい軸受部材41,42が嵌合された構造では、温度低下に伴って、スピンドルを収納する収納孔32の開口端が外側に反るように拡径変形し、それに伴って、スピンドルのフランジ部を収納するスラスト軸受のスラスト隙間45が減少することが原因であることが判明した。
【0008】
そこで、本発明の空気静圧軸受スピンドル装置は、冬季においても、スピンドルの回転がロックされないスラスト隙間が確保されるように、軸受本体およびスラスト軸受部材に用いる材料の線膨張係数を選択したことを特徴とする。
【0009】
具体的には、軸部およびこの軸部よりも径大なフランジ部を有するスピンドルと、このスピンドルを収納する収納孔を有する軸受本体と、この軸受本体の収納孔内に固定され前記軸部の外周面との間に所定のラジアル隙間を有する内径および前記ラジアル隙間にエアーを噴出するエアー噴出孔を有するラジアル軸受部材と、前記軸受本体の収納孔内に固定され前記フランジ部の端面との間に所定のスラスト隙間および前記スラスト隙間にエアーを噴出するエアー噴出孔を有するスラスト軸受部材と、前記ラジアル軸受部材およびスラスト軸受部材のエアー噴出孔にエアーを供給するエアー供給手段と、前記スピンドルを回転させる回転駆動機構とを備えた空気静圧軸受スピンドル装置において、環境温度が20℃の状態において前記スラスト隙間が40μm以下に形成され、環境温度が0℃の状態において前記スラスト隙間が10μm以上確保されるように、前記軸受本体および前記スラスト軸受部材に用いる材料の線膨張係数が選択されている、ことを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、環境温度が0℃の状態において、スラスト隙間が10μm以上確保されるように、軸受本体およびスラスト軸受部材に用いる材料の線膨張係数が選択されているから、少なくとも0℃の環境温度においては、スピンドルが回転不能に陥ることを防止できる。
いま、軸受本体を線膨張係数23.9×10−6/℃の材質、軸受部材を線膨張係数15×10−6/℃の材質を用いて、環境温度低下に伴ってスラスト隙間の変化を調べると、図4に示すようなる。
【0011】
環境温度が21℃の状態では、スラスト隙間(フランジ部の両側の隙間)が36μm確保されている。環境温度が低下(10℃→5℃→0℃)するに従って、スラスト隙間(フランジ部の両側の隙間)が30μm→22μm→14μmと変化したが、スピンドル21は回転状態が維持されている。
しかし、環境温度が−1.2℃に低下すると、スピンドルは回転しない。このときのスラスト隙間を測定すると、8μmであったことから、環境温度が0℃の状態において、スラスト隙間が10μm確保されていれば、少なくとも0℃の環境温度においては、スピンドル21が回転不能に陥ることを防止できることが判る。
従って、環境温度が低温になっても、手間と時間をかけず、かつ、無駄なエネルギー消費を抑えつつ、スピンドルが回転不能に陥るのを防止できる。
【0012】
また、環境温度が20℃の状態において、スラスト隙間が40μm以下に形成されているから、空気静圧軸受の剛性を高めることができる。
従って、スピンドルに負荷が掛かっても、スピンドルの安定した回転を維持できるから、スピンドルの先端に工具などを取り付けて加工する工作機械にも適用しても、高精度な加工が期待できる。
【0013】
本発明の空気静圧軸受スピンドル装置において、前記軸受本体は、アルミニウムによって構成され、前記スラスト軸受部材は、前記アルミニウムの線膨張係数に対して1/2以上の線膨張係数を有する材料によって構成されている、ことが好ましい。
このような構成によれば、軸受本体とスラスト軸受部材との線膨張係数が近いから、環境温度低下に伴う変形を極力少なくできるうえ、軸受本体が軽量なアルミニウムによって構成されているから、例えば、塗装装置などの回転霧化装置に適用しても、姿勢を安定して制御することができる。
【0014】
本発明の空気静圧軸受スピンドル装置において、前記回転駆動機構は、前記スピンドルに固定されたエアータービンと、前記エアー供給手段からのエアーを前記エアータービンに供給するエアー供給路とを含んで構成されている、ことが好ましい。
このような構成によれば、スピンドルを支持する空気静圧軸受のエアーを利用して、エアータービンを回転させ、これにより、スピンドルを回転させるようにしたので、スピンドルを回転させるための電動モータなどを付加しなくてもよい。従って、軽量かつ経済的に構成できる利点がある。
【0015】
本発明の回転霧化装置は、上述した空気静圧軸受スピンドル装置と、この空気静圧軸受スピンドル装置のスピンドルの先端に液体を供給する液体供給手段と、前記スピンドルの先端に設けられ前記スピンドルの先端に供給された液体を霧化する回転霧化ヘッドとを備えた、ことを特徴とする。
本発明の塗装装置は、上述した回転霧化装置を備え、前記液体供給手段は、塗料を前記スピンドルの先端に供給する、ことを特徴とする。
このような構成によれば、液体供給手段によって液体がスピンドルの先端に供給されると、供給された液体は回転霧化ヘッドの回転に伴う遠心力により、回転霧化ヘッドの開口端縁に飛散、霧化されるから、液体を効率的に霧化させることができる。
液体が塗料の場合、塗料を効率的に霧化させることができるから、効率的でかつ高品質な塗装が行える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る回転霧化式塗装装置を示す図。
【図2】前記実施形態の回転霧化装置を示す外観図。
【図3】前記実施形態の回転霧化装置を示す断面図。
【図4】前記実施形態の回転霧化装置において、環境温度変化によるスピンドルの挙動を説明するための図。
【図5】従来の空気静圧軸受スピンドル装置において、軸受本体と軸受部材との温度低下に伴う変形を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、回転霧化式塗装装置に適用した例である。
本回転霧化式塗装装置は、図1に示すように、ロボット1と、このロボット1の先端に取り付けられた回転霧化装置10とから構成されている。
【0018】
ロボット1は、ベースプレート2と、このベースプレート2の上に旋回ユニット3を介して垂直軸を中心に旋回可能に設けられたコラム4と、このコラム4に沿って上下方向へ移動可能に設けられたサドル5と、このサドル5に水平方向へ移動可能に設けられたアーム6と、このアーム6の先端に水平でかつアーム6に対して直交する軸7を中心に上下方向へ起伏可能に設けられた手首部8とから構成されている。手首部8に回転霧化装置10が取り付けられている。
【0019】
回転霧化装置10は、図2に示すように、回転霧化ヘッド11と、この回転霧化ヘッド11を高速で回転駆動させる空気静圧軸受スピンドル装置20と、回転霧化ヘッド11へ液体としての塗料を供給する液体供給手段としての塗料供給手段15とを備える。
回転霧化ヘッド11は、供給された塗料を霧化するもので、有底筒状で内周面が開口縁に向かって拡径された形状に形成されているとともに、中心に塗料噴出口12が形成されている。従って、回転霧化ヘッド11が回転されている状態において、塗料が回転霧化ヘッド11内に供給されると、塗料は遠心力により回転霧化ヘッド11の塗料噴出口12から開口縁に向かってから飛散して霧化される。
塗料供給手段15は、塗料を収容した塗料収容容器16と、この塗料収容容器16内の塗料を空気静圧軸受スピンドル装置20の内部(スピンドル21内)を通じて回転霧化ヘッド11内に供給するポンプ17とから構成されている。
【0020】
空気静圧軸受スピンドル装置20は、図3に示すように、先端に回転霧化ヘッド11を取り付けたスピンドル21と、このスピンドル21を収納する収納孔32を有する軸受本体31と、この軸受本体31の収納孔32内に固定されスピンドル21を空気層を介して回転可能に支持する軸受部材41,42と、この軸受部材41,42にエアーを供給するエアー供給手段51と、スピンドル21を回転させる回転駆動機構61とを備える。
【0021】
スピンドル21は、所定長さの軸部22と、この軸部22の途中に設けられ軸部22の径よりも径大なフランジ部23とを有し、内部軸方向に沿って塗料供給孔24が形成されている。また、スピンドル21の基端側には、エアータービン62が取り付けられている。
【0022】
軸受部材41,42は、軸部22の外周面との間に所定のラジアル隙間43を有する内径およびラジアル隙間43にエアーを噴出するエアー噴出孔44を有するラジアル軸受部材41A,42Aと、これらラジアル軸受部材41A,42Aと一体的に形成されフランジ部23の端面との間に所定のスラスト隙間45およびスラスト隙間45にエアーを噴出するエアー噴出孔46を有するスラスト軸受部材41B,42Bとから構成されている。
【0023】
軸受本体31には、中心軸方向にスピンドル21を収納する収納孔32が形成されているとともに、外部に2つのエアー供給口33,34が形成されている。また、内部には、エアー供給口33から各軸受部材41,42のエアー噴出孔44,46に連通するエアー供給路47およびエアー供給口34からエアータービン62の外周に臨むエアー供給路としてのエアーノズル48が形成されている。
【0024】
エアー供給手段51は、エアー供給源としてのコンプレッサ52と、このコンプレッサ52とエアー供給口33との間に設けられた圧力レギュレータ54と、コンプレッサ52とエアー供給口34との間に設けられた圧力レギュレータ55とから構成されている。
【0025】
回転駆動機構61は、スピンドル21の基端側に固定されたエアータービン62と、軸受本体31に形成されたエアーノズル48とによって構成されている。これにより、エアー供給手段51からのエアーがエアーノズル48を通じてエアータービン62に供給されると、エアータービン62が回転され、これと一緒にスピンドル21が回転される。
【0026】
このような構成において、本実施形態では、スピンドル21、軸受本体31、軸受部材41,42の材質を次のような材質を採用している。
スピンドル:線膨張係数9.7×10−6/℃のステンレス(SUS)
軸受本体 :線膨張係数23.9×10−6/℃のアルミニウム、
軸受部材 :線膨張係数15×10−6/℃のカーボン
つまり、軸受部材41,42の線膨張係数(15×10−6/℃)が、従来の空気静圧軸受スピンドル装置の軸受部材線膨張係数(4.0×10−6/℃)に比べて、約4倍弱で、軸受本体31の線膨張係数(23.9×10−6/℃)に比べて約1/2以上になっている点で異なる。
【0027】
このような線膨張係数を有する材料を用いて構成した空気静圧軸受スピンドル装置20を運転させたところ、温度変化に伴って、図4に示すような挙動を示した。
環境温度が21℃の状態では、スラスト隙間45(フランジ部23の両側の隙間)が36μm確保されている。環境温度が低下(10℃→5℃→0℃)するに従って、スラスト隙間45(フランジ部23の両側の隙間)が30μm→22μm→14μmと変化したが、スピンドル21は回転状態が維持されている。
しかし、環境温度が−1.2℃に低下すると、スピンドル21は回転しない。このときのスラスト隙間45を測定すると、8μmであったことから、環境温度が0℃の状態において、スラスト隙間45が10μm確保されていれば、少なくとも0℃の環境温度においては、スピンドル21が回転不能に陥ることを防止できる。
従って、環境温度が低温になっても、手間と時間をかけず、かつ、無駄なエネルギー消費を抑えつつ、スピンドル21が回転不能に陥るのを防止できる
【0028】
<変形例>
なお、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
前記実施形態では、本実施形態では、軸受本体31を線膨張係数23.9×10−6/℃を有するアルミニウム、軸受部材41,42を線膨張係数15×10−6/℃を有するカーボンを用いたが、これに限られない。要は、環境温度が20℃の状態においてスラスト隙間45が40μm以下に形成され、環境温度が0℃の状態においてスラスト隙間45が10μm以上確保されるような、線膨張係数を有する材料であれば、軸受本体31およびスラスト軸受部材41B,42Bの材料は他の材料であってもよい。
【0029】
前記実施形態では、ラジアル軸受部材41Aとスラスト軸受部材41Bとを同じ材料で一体的に構成し、また、ラジアル軸受部材42Aとスラスト軸受部材42Bとを同じ材料で一体的に構成したが、これらは別部材で構成してもよい。つまり、ラジアル軸受部材41Aとスラスト軸受部材41Bとを別の材料で別体として構成し、また、ラジアル軸受部材42Aとスラスト軸受部材42Bとを別の材料で別体として構成するようにしてもよい。
【0030】
前記実施形態では、スピンドル21の回転駆動機構61として、エアータービン62を用いたが、これに限らず、例えば、電動モータなどであってもよい。
前記実施形態では、回転霧化装置10をロボット1で姿勢変更可能に支持したが、ロボット1の構成は、前記実施形態の構成でなくてよく、回転霧化装置10の向きを任意に変更できる構造であればよい。また、ロボット1を用いなくてもよい。
【0031】
前記実施形態では、回転霧化装置10を有する塗装装置に利用した例について説明したが、これに限られない。
例えば、塗料を霧化して塗装する塗装装置に限らず、単に液体を霧化する回転霧化装置10として利用することもできる。
また、回転霧化装置10を構成する空気静圧軸受スピンドル装置20については、工作機械などの加工装置の主軸装置に利用することもできる。つまり、空気静圧軸受スピンドル装置20とワークを載置するテーブルとを移動可能(例えば、三次元方向へ移動可能)に構成するとともに、空気静圧軸受スピンドル装置20のスピンドル21の先端に加工工具を取り付けられるように構成すれば、工作機械などの加工装置に利用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、工作機械、霧化装置、塗装装置などの空気静圧軸受スピンドル装置として、利用することができる。
【符号の説明】
【0033】
10…回転霧化装置、
11…回転霧化ヘッド、
15…塗料供給手段(液体供給手段)、
20…空気静圧軸受スピンドル装置、
21…スピンドル、
22…軸部、
23…フランジ部、
31…軸受本体、
32…収納孔、
41,42…軸受部材、
41A,42A…ラジアル軸受部材、
41B,42B…スラスト軸受部材、
43…ラジアル隙間、
44…エアー噴出孔、
45…スラスト隙間、
46…エアー噴出孔、
48…エアーノズル(エアー供給路)、
51…エアー供給手段、
61…回転駆動機構、
62…エアータービン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部およびこの軸部よりも径大なフランジ部を有するスピンドルと、このスピンドルを収納する収納孔を有する軸受本体と、この軸受本体の収納孔内に固定され前記軸部の外周面との間に所定のラジアル隙間を有する内径および前記ラジアル隙間にエアーを噴出するエアー噴出孔を有するラジアル軸受部材と、前記軸受本体の収納孔内に固定され前記フランジ部の端面との間に所定のスラスト隙間および前記スラスト隙間にエアーを噴出するエアー噴出孔を有するスラスト軸受部材と、前記ラジアル軸受部材およびスラスト軸受部材のエアー噴出孔にエアーを供給するエアー供給手段と、前記スピンドルを回転させる回転駆動機構とを備えた空気静圧軸受スピンドル装置において、
環境温度が20℃の状態において前記スラスト隙間が40μm以下に形成され、環境温度が0℃の状態において前記スラスト隙間が10μm以上確保されるように、前記軸受本体および前記スラスト軸受部材に用いる材料の線膨張係数が選択されている、
ことを特徴とする空気静圧軸受スピンドル装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空気静圧軸受スピンドル装置において、
前記軸受本体は、アルミニウムによって構成され、
前記スラスト軸受部材は、前記アルミニウムの線膨張係数に対して1/2以上の線膨張係数を有する材料によって構成されている、
ことを特徴とする空気静圧軸受スピンドル装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の空気静圧軸受スピンドル装置において、
前記回転駆動機構は、前記スピンドルに固定されたエアータービンと、前記エアー供給手段からのエアーを前記エアータービンに供給するエアー供給路とを含んで構成されている、
ことを特徴とする空気静圧軸受スピンドル装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の空気静圧軸受スピンドル装置と、
この空気静圧軸受スピンドル装置のスピンドルの先端に液体を供給する液体供給手段と、
前記スピンドルの先端に設けられ前記スピンドルの先端に供給された液体を霧化する回転霧化ヘッドとを備えた、
ことを特徴とする回転霧化装置。
【請求項5】
請求項4に記載に回転霧化装置を備え、
前記液体供給手段は、塗料を前記スピンドルの先端に供給する、
ことを特徴とする塗装装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−7393(P2013−7393A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138266(P2011−138266)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000003458)東芝機械株式会社 (843)
【Fターム(参考)】