説明

穿孔工具

本発明は軟岩や浮岩を穿孔する穿孔工具に関する。本発明で明らかにされた穿孔工具は、円形の横断面および滑らかな表面を有しドリルロッド(1)の中心軸に対して実質的に対称的に配された部分(4)を有し、その端部には洗浄剤用の導管が通過する収束部(4a)を有する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、軟岩や浮岩に孔を開ける穿孔工具に関するものである。
【0002】
現在、軟岩や浮岩に孔を開けるときには、一般的には溝付きの案内管または独立した保護管が使用され、これは孔の中に残されるか、もしくは穿孔後に孔から回収される。その意図は、最後の作業に際して孔からドリルビットを回収できるように、孔を囲む物質が崩れ落ちることを防ぐことにある。
【0003】
従来技術の欠点は、溝付きの案内管を使用する場合には管の溝付き部分によって孔壁が壊れる可能性があることであり、意図に反して孔を崩してしまうことである。さらに、独立した保護管を使用する場合には、保護管を設置および分解するために余分な装置が必要となることである。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、砕屑質のもしくは軟らかい物質を穿孔するときに、孔壁の崩落を従来よりも良好に防ぐ穿孔工具を提供することである。
【0005】
本発明の穿孔工具は、円形の横断面および滑らかな表面を有しドリルロッドの中心軸に対して実質的に対称的に配された部分を含み、これは、少なくとも削岩ドリルに向けることを企図した端部にはドリルロッドの軸に向かって収束する部分を有し、工具はさらに、前記収束部で終端する洗浄剤用の貫通導管を有することを特徴とする。
【0006】
本発明の本質的な着想は、穿孔工具は滑らかな外表面を有し、ドリルロッドの中央軸に対して対称的に配置され、ドリルロッドの回転中崩れやすい物質を貫通し同時にドリル孔の壁に対して物質を堅く押し付けて砕く方式による収束端部を含む。
【0007】
本発明の工具はさらに長手方向の貫通導管を有し、この導管を経由して洗浄剤をドリル孔から流出させることを特徴とする。
【0008】
本発明の利点は、軟らかいまたは砕屑質の物質を穿孔している間、工具は分離する物質をドリル孔の壁にきつく押し付けることによって、ドリル孔を開いた状態にしておけることにある。
【0009】
本発明のさらなる利点は、洗浄剤の流れは外表面上の溝に沿ってではなく穿孔工具を通り抜けるように配置され、洗浄剤の流れは物質を非常に容易にドリル孔の壁から侵食したり引き離したりはせず、したがって既成の孔の中で非常に容易に崩落を引き起こすことはない。
【0010】
本発明のまたさらなる利点は、何らかの理由によりドリル孔が崩壊しても、ドリル孔は穿孔工具によって非常に容易に開かれることにある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明を添付図面によってより詳細に説明する。すなわち、
【図1】ドリルロッドに取り付けられた穿孔工具の実施例を概略的に示す図である。
【図2】上側から見た穿孔工具の実施例を概略的に示す図である。
【図3】図2で示された穿孔工具を線A−Aに沿った長さ方向の断面により概略的に示す図である。
【図4】本発明で開示される工具の別の実施例を示す図である。
【図5】本発明で開示される工具のさらに別の実施例を示す図である。 これらの図では、発明のいくつかの実施例が明確化のために簡略化された方式で示されている。これらの図では、同様の部分は同じ参照番号によって示される。
【発明のいくつかの実施例の詳細な説明】
【0012】
図1は、ドリルロッドに取り付けられた本発明の穿孔工具を示す。同図は短いドリルロッド1を示し、ドリルロッド1の一端にはドリルビットを固定する雄ネジ2を有し、他端には第2のドリルロッドを固定する雌ネジ3を有する。穿孔工具4がドリルロッド1に締結される。本実施例では、穿孔工具4は、通常のドリルビットと通常の長さのドリルロッドの間に取り付けられることを目的として、ドリルロッドの独立した短い部分に取り付けられる。さらに、穿孔工具4のそれぞれの端部には収束部4aが設けられ、収束部4aはそれぞれの端部でドリルロッドと接続され、同様に、滑らかで均一の表面を形成した円形の穿孔工具の中間部と接続される。この目的は、穿孔工具4の形を形成し、崩落したドリル孔もしくは崩落しやすいドリル孔の壁に当て、ドリルロッドが回転しているときには、あたかも壁を一緒にしっかりと堅く押し込むかのように、その円筒状部分で、分離しそうなまたは分離した物質をドリル孔の壁に対して押し付けることにある。図1はさらに穿孔工具4の両端部にある収束部4aにて開口部5を示す。開口部5は図3に関連して後述する導管によって相互に連絡され、これによって洗浄剤が穿孔工具4の両端部の間を流れることを可能にして、洗浄剤が穿孔工具の外表面および孔の表面の間から流出してしまうこともない。一般的には、このような洗浄剤の流出は孔壁の崩落の原因となり得る。
【0013】
図2は端部から見た穿孔工具を概略的に示す図である。穿孔工具4の横断面は実質的に円筒形であり、滑らかな表面を有している。その直径はドリルビットの外径よりもわずかに小さい寸法である。この理由は、硬い可能性のある岩に開けられた孔の中でドリルビットによって作られた孔を工具が通り抜けられるようにするためである。また同図は、洗浄剤がドリル孔から流れ出るようにするために複数の導管5aがどのように穿孔工具4を貫通しているかを示している。図2はまた、ドリルロッド1の中央部に導管1aを示し、導管1aに沿って洗浄剤はドリルビットへ流れ、さらには穿孔かすをドリル孔の外部に運び出すためにその中の各導管を通ってドリル孔に流れる。
【0014】
図3は、図2の穿孔工具を線A−Aに沿った長さ方向の断面として概略的に示す。同図で示すように、開口部5は穿孔工具の内部にある導管5aの端部である。適切な導管の数は、例えば6本もしくはその前後であり、穿孔工具の軸の周りに配置され得る。開口部の数および一般的な断面積は、洗浄剤およびそれとともに運ばれる物質の流出のために十分であることを要する。穿孔工具を貫通する導管の断面は、円形のみならず、別の形、例えば多角形、楕円形など他の形であってもよい。同様に、開口部の縁部は内側に向けて傾いていてもよく、これによって物質を突き進むときに物質を開口部から外側に押し出すことができる。
【0015】
図4は、穿孔工具の別の実施例を概略的に示す図であり、穿孔工具は従来型の長さのドリルロッド1の一端の、ドリルビットがドリルロッド1に締結されるときにドリルビットのほぼすぐ後ろに位置するよう雄ネジ2の近くに配置される。したがって、掘削装置の制御および操作は通常の穿孔のように行われ、もっぱら穿孔工具のみを使用する用途に供する独立の短い穿孔具を穿孔作業の開始にあたって必要とすることはなくなる。
【0016】
図5は、穿孔工具のさらに別の実施例を概略的に示す図である。ここでは、穿孔工具はドリルビット6と一体の物として構成されている。ここでは、洗浄剤と穿孔かすを取り除く導管は必然的にドリルビットおよび工具部分をまっすぐ通過する。
【0017】
上記の説明および図面では、本発明は、例示的に記載したにすぎず、それに全く制限されない。場合によっては、本出願で開示された各特徴事項はそれ自体で、他の特徴事項とは関わりなく利用してもよい。他方、所望するならば、本出願で開示された特徴事項を組み合わせて、さまざまな組合せを作ってもよい。穿孔工具はそれ自体知られた複数の方式でドリルロッドに取り付けてもよい。例えば、穿孔工具をドリルロッドに押し当て、それからその両端部をロッドと溶接して、続いて表面を適切な滑らかさに仕上げてもよい。あるいは、穿孔工具は、望ましくは短いドリルロッドのみを有し、例えば一体物として直接機械加工してもよい。他の製造および取り付け方法も使用できる。
【0018】
図面および関連記載は単に発明の着想を説明することを目的としている。発明の詳細は特許請求の範囲の範囲内で変化し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟岩や浮岩に孔を開ける穿孔工具において、該穿孔工具は、円形の断面および滑らかな表面を有しドリルロッド(1)の中心軸に対して実質的に対称的に配された部分(4)を含み、該部分は、少なくとも前記削岩ドリルに向けることを企図した端部には前記ドリルロッドの軸に向かって収束する部分(4a)を有し、該収束部で終端する洗浄剤用の貫通導管(5a)を含むことを特徴とする穿孔工具。
【請求項2】
請求項1に記載の穿孔工具において、該穿孔工具は前記ドリルビットとは独立した部分であり、該穿孔工具の両端部には前記ドリルロッド(1)の軸の方向へ収束している部分(4a)が設けられ、前記洗浄剤用の前記導管(5a)は前記収束部(4a)から反対側の収束部(4a)に通じていることを特徴とする穿孔工具。
【請求項3】
請求項2に記載の穿孔工具において、該穿孔工具(4)の中間部は実質的に円柱状であり、前記ドリルロッド(1)の一端には雄ネジ(2)が設けられ、他端には同様に雌ネジ(3)が設けられ、それらはそれぞれ前記ドリルビットおよび前記ドリルロッドと接続していることを特徴とする穿孔工具。
【請求項4】
請求項2または3に記載の穿孔工具において、該穿孔工具は、通常の長さの前記ドリルロッド(1)の前記雄ネジのある側の端部に設けられることを特徴とする穿孔工具。
【請求項5】
請求項1に記載の穿孔工具において、該穿孔工具は、前記ドリルビット(6)の一体化された部分であることを特徴とする穿孔工具。
【請求項6】
前記請求項のいずれかに記載の穿孔工具において、該穿孔工具の最大外径は該穿孔工具とともに使用される前記ドリルビットの外径よりも小さい寸法であることを特徴とする穿孔工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−518278(P2010−518278A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547720(P2009−547720)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【国際出願番号】PCT/FI2008/050028
【国際公開番号】WO2008/092994
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(506286478)サンドビク マイニング アンド コンストラクション オサケ ユキチュア (70)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK MINING AND CONSTRUCTION OY
【Fターム(参考)】