説明

窒化ガリウム系化合物半導体発光素子

【課題】駆動電圧が低く、発光強度が高い窒化ガリウム系化合物半導体発光素子を提供する。
【解決手段】基板1上に窒化ガリウム系化合物半導体からなる、n型半導体層3、発光層4およびp型半導体層5をこの順序で有し、p型半導体層およびn型半導体層に正極10および負極20がそれぞれ設けられた発光素子において、正極が半導体層上に形成された透光性電極11および該透光性電極上に形成されたボンディングパッド電極13を有し、透光性電極が金属酸化物からなる透明導電材料を含み、ボンディングパッド電極が透光性電極側にPt、Rh、Ru、Ir、AlおよびAgの少なくとも1種を含む金属からなる反射層を有し、かつ透光性電極の中心に設けられていることを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体発光素子用正極に関し、特に窒化ガリウム系化合物半導体発光素子に適した、低い駆動電圧で強い発光を得ることができる半導体発光素子用透光性正極に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、短波長光発光素子用の半導体材料としてGaN系化合物半導体材料が注目を集めている。GaN系化合物半導体は、サファイア単結晶を始めとして、種々の酸化物やIII−V族化合物を基板として、その上に有機金属気相化学反応法(MOCVD法)や分子線エピタキシー法(MBE法)等によって形成される。
【0003】
GaN系化合物半導体材料の特性として、横方向への電流拡散が小さいことがある。原因は、エピタキシャル結晶中に多く存在する基板から表面へ貫通する転位の存在であることが考えられるが、詳しいことは判っていない。さらに、p型のGaN系化合物半導体においてはn型のGaN系化合物半導体の抵抗率に比べて抵抗率が高くその表面に金属を積層しただけではp型層内の横の電流の広がりはほとんど無く、pn接合を持ったLED構造とした場合正極の直下しか発光しない。
【0004】
このため、正極の直下で発生した発光を、正極を通して外部に取り出す、透光性の正極が用いられることが多い。特に市場で用いられている技術として、正極としてp型層上にNiとAuを各々数10nm程度積層させた後、酸素雰囲気下で加熱して合金化処理を行い、p型層の低抵抗化の促進および透光性とオーミック性を有した正極の形成を同時に行なうことが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
透光性の電極のための材料としては、導電性の金属酸化物や極薄く形成した金属などがある。これらの材料および構造は直接ボンディングすることが困難であるため、ある程度の厚みを持ったボンディング用のパッド電極を、透光性の電極に電気的に接続させるように配置することが一般的である。しかしながら、このパッド電極はある程度の厚みを持った金属材料であるため、透光性がなく、パッド電極直下で発生した発光は外部に取り出せないという欠点があった。
【0006】
また、パッド電極の密着性を向上させるため、透光性電極の一部に切り欠きを作り、この部分及び隣接する透光性電極上にまたがるパッド電極を形成する事により、直接GaN半導体層に接する部分でボンディング強度を得ると共に透光性電極上に接する部分で電流拡散を行う構造が公開されている。(特許文献2参照)
【0007】
また、パッド電極の直下で発生した発光が外部に取り出せないことから、電流を効率的に利用するために、これまではパッド電極直下には電流を注入せず、パッド電極直下では光を発生させないという方向の技術が考案されてきた。
【0008】
例えば、パッド電極の下に絶縁領域を作製し、パッド下に電流を注入しないことにより効率的に発光を得ることができるとする技術が公開されている(特許文献3、4参照)。また、パッド電極の最下面をp型層に対して接触比抵抗の高い金属で形成することにより、この領域に電流を注入しないようにする技術も公開されている(特許文献5参照)。
【0009】
しかし我々の検討によれば、これらの手法を用いると正極がp型層に対してオーミック接触する面積が減少するため、駆動電圧が上昇するという欠点がある。
【0010】
【特許文献1】特許第2803742号公報
【特許文献2】特開平7−94782号公報
【特許文献3】特開平8−250768号公報
【特許文献4】特開平8−250769号公報
【特許文献5】特開平10−242516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上述の問題点を解決する為に、低い駆動電圧で強い発光を得ることのできるフェイスアップ型チップ用の透光性正極を提供することである。本発明において透光性とは、発光波長領域における光に対して透光性であることを意味する。窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の場合、通常、発光波長領域は300〜600nmの範囲内にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下の発明を提供する。
(1)基板上に窒化ガリウム系化合物半導体からなる、n型半導体層、発光層およびp型半導体層をこの順序で有し、p型半導体層およびn型半導体層に正極および負極がそれぞれ設けられた発光素子において、正極が半導体層上に形成された透光性電極および該透光性電極上に形成されたボンディングパッド電極を有し、透光性電極が金属酸化物からなる透明導電材料を含み、ボンディングパッド電極が透光性電極側にPt、Rh、Ru、Ir、AlおよびAgの少なくとも1種を含む金属からなる反射層を有し、かつ透光性電極の中心に設けられていることを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
(2)ボンディングパッド電極が透光性電極と反対側にAuからなる最上層を有することを特徴とする上記1項に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
(3)半導体層の基板と反対側から光を取り出すことを特徴とする上記1または2項に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
(4)基板上に窒化ガリウム系化合物半導体からなる、n型半導体層、発光層およびp型半導体層をこの順序で有し、p型半導体層およびn型半導体層の同一面側に正極および負極がそれぞれ設けられた発光素子において、正極が半導体層上に形成された透光性電極および該透光性電極上に形成されたボンディングパッド電極を有し、ボンディングパッド電極が透光性電極側にPt、Rh、Ru、Ir、AlおよびAgの少なくとも1種を含む金属からなる反射層を有し、かつ透光性電極の中心に設けられていることを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
(5)ボンディングパッド電極が透光性電極と反対側にAuからなる最上層を有することを特徴とする上記4項に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
(6)半導体層の基板と反対側から光を取り出すことを特徴とする上記4または5項に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
(7)基板上に窒化ガリウム系化合物半導体からなる、n型半導体層、発光層およびp型半導体層をこの順序で有し、p型半導体層およびn型半導体層に正極および負極がそれぞれ設けられた発光素子において、正極が半導体層上に形成された透光性電極および該透光性電極上に形成されたボンディングパッド電極を有し、透光性電極が金属酸化物からなる透明導電材料を含み、ボンディングパッド電極が透光性電極側に、反射率が60%以上の金属からなる反射層を有し、かつ透光性電極の中心に設けられていることを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
(8)ボンディングパッド電極が透光性電極と反対側にAuからなる最上層を有することを特徴とする上記7項に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
(9)半導体層の基板と反対側から光を取り出すことを特徴とする上記7または8項に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
(10)上記1〜9項のいずれか一項に記載の発光素子を用いてなるランプ。
【発明の効果】
【0013】
透光性電極に電流を流すためのボンディングパッド電極の少なくとも透光性電極と接する面に反射層を設けることにより、ボンディングパッド電極と透光性電極と接する面での光の吸収による光の減衰の程度を下げることができ、発光した光の取り出しの効率を上げ、発光強度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の正極を有する発光素子の一例の断面を示した模式図である。10が本発明の正極であり、透光性電極(11)およびボンディングパッド電極(13)から構成される。透光性電極(11)は、例えばコンタクト層(111)および電流拡散層(112)から構成されている。ボンディングパッド電極(13)は、例えば反射層(131)、バリア層(132)および最上層(133)の3層構造からなる。1は基板である。2はGaN系化合物半導体層であり、n型半導体層3、発光層4およびp型半導体層5から構成される。6はバッファ層であり、20は負極である。
【0015】
透光性正極を備えたフェイスアップ型チップでは、発光層(4)で発光した光の内、ボンディングパッド電極が存在しない透光性電極部に向かった光およびチップの側面に向かった光のみが外部に取り出される。
【0016】
本発明の正極を用いると、ボンディングパッド電極(13)に向かった光は、ボンディングパッド電極最下面(透光性電極と接する面)の反射層(131)で反射され、一部は散乱されて横方向あるいは斜め方向に進み、一部はボンディングパッド電極の直下に進む。散乱されて横方向や斜め方向に進んだ光は、チップの側面から外部に取り出される。一方、ボンディングパッド電極の直下の方向に進んだ光は、チップの下面でさらに散乱や反射されて、側面や透光性電極(上にボンディングパッド電極が存在しない部分)を通じて外部へ取り出される。
【0017】
このように、ボンディングパッド電極最下面に反射層を設けることで、ボンディングパッド電極直下で発生した発光を外部へ取り出すことができ、高い発光強度を保つことができる。ボンディングパッド電極最下面で光の吸収がある場合、パッド電極直下で発生した発光はそのほとんどがパッド電極の最下面で吸収されてしまい、外部に取り出すことができない。
【0018】
反射層は、透光性電極に直接密着していることが、本発明の効果を顕現するための要件である。このため、ボンディングパッドが充分な強度を得るためには、反射層が透光性電極に対して強固に接着されていることが必要である。最低限、一般的な方法でボンディングパッドに金線を接続する工程で剥離してはならず、そのためには、剥離強度で490mN(50gf)程度の強度を持つことが望ましい。さらに望ましくは、784mN(80gf)以上であり、980mN(100gf)以上であれば尚更望ましい。
【0019】
反射層と透光性電極の密着強度を増強させるためには、透光性電極の表面の前処理を工夫する、反射層の形成後に熱処理を施す、などの方法がある。
【0020】
反射層の反射率は、反射層を構成する材料によって大きく変わるが、60%以上であることが望ましい。更には、80%以上であることが望ましく、90%以上であればなお良い。
【0021】
反射率は、分光光度計と呼ばれる装置などで比較的容易に測定することが可能である。しかし、ボンディングパッド電極そのものは面積が小さいために反射率を測定することは難しい。そこで、透明な例えばガラス製の、面積の大きい「ダミー基板」をボンディングパッド電極形成時にチャンバに入れて、同時にダミー基板上に同じボンディングパッド電極を作成して測定するなどの方法を用いて測定することができる。
【0022】
ボンディングパッド電極の反射層は、反射率の高い金属で構成することが好ましく、Pt、Rh、Ru、Ir等の白金族金属、Al、Ag、およびこれらの金属の少なくも一種を含む合金で構成することがより好ましい。なかでも、Al、Ag、Ptおよびこれらの金属の少なくも一種を含む合金は、電極用の材料として一般的であり、入手のし易さ、取り扱いの容易さなどの点から、優れている。
【0023】
ボンディングパッド電極は、透光性電極に切り欠き部、あるいは窓部を形成せずに、透光性電極上に直接形成する。透光性電極上に形成されていることにより、オーミック接触する面積を下げることがなく、またボンディングパッド電極の直下であっても電極の接触抵抗が上がることがないので、駆動電圧の上昇を防ぐことができる。また、透光性電極を透過した光がボンディングパッド電極最下面の反射層で反射されるので光の無駄な吸収を抑えることが可能である。
【0024】
ボンディングパッド電極は、透光性電極の上であれば、どこへでも形成することができる。例えば負極から最も遠い位置に形成してもよいし、チップの中心などに形成してもよい。しかし、あまりにも負極に近接した位置に形成すると、ボンディングした際にワイヤ間、ボール間のショートを生じてしまうため好ましくない。
【0025】
また、ボンディングパッド電極面積としては、できるだけ大きいほうがボンディング作業はしやすいものの、発光の取り出しの妨げになる。例えば、チップ面の面積の半分を超えるような面積を覆っては、発光の取り出しの妨げとなり、出力が著しく低下する。逆に小さすぎるとボンディング作業がしにくくなり、製品の収率を低下させる。具体的には、ボンディングボールの直径よりもわずかに大きい程度が好ましく、直径100μmの円形程度であることが一般的である。
【0026】
ボンディングパッド電極の反射層は、高い反射率を有する金属で形成した場合、厚さが20〜3000nmであることが望ましい。反射層が薄すぎると充分な反射の効果が得らない。厚すぎると特に利点は生じず、工程時間の長時間化と材料の無駄を生じるのみである。更に望ましくは、50〜1000nmであり、最も望ましいのは100〜500nmである。
【0027】
ボンディングパッド電極は上述した反射率の高い金属のみで構成することもできる。即ち、ボンディングパッド電極は反射層のみから構成されていてもよい。しかし、ボンディングパッド電極として各種の材料を用いた各種の構造のものが知られており、これら公知のものの半導体層側(透光性電極側)に上述の反射層を新たに設けてもよいし、また、これら公知のものの半導体層側の最下層を上述の反射層に置き換えてもよい。
【0028】
このような積層構造の場合、反射層より上の積層構造部については、特に制限されることなく、どのような構造でも用いることが出来る。例えば、ボンディングパッド電極の反射層の上に形成される層には、ボンディングパッド電極全体の強度を強化する役割がある。このため、比較的強固な金属材料を使用するか、充分に膜厚を厚くする必要がある。材料として望ましいのは、Ti、CrまたはAlである。中でも、Tiは材料の強度の点で望ましい。このような機能を付与した場合、この層をバリア層と呼ぶ。
【0029】
バリア層は反射層が兼ねても良い。良好な反射率を持ち、機械的にも強固な金属材料を厚く形成した場合には、敢えてバリア層を形成する必要はない。例えば、Alを反射層として使用した場合には、バリア層を形成する必要はない。
【0030】
バリア層の厚さは20〜3000nmであることが望ましい。バリア層が薄すぎると充分な強度強化の効果が得られず、厚すぎても特に利点は生ぜず、コスト増大を招くのみである。更に望ましくは、50〜1000nmであり、最も望ましいのは100〜500nmである。
【0031】
ボンディングパッド電極の最上層(反射層と反対側)はボンディングボールとの密着性の良い材料とすることが望ましい。ボンディングボールには金を使用することが多く、金ボールとの密着性の良い金属としてはAuとAlが知られている。中でも、特に望ましいのは金である。この最上層の厚さは50〜1000nmが望ましく、更に望ましくは100〜500nmである。薄すぎるとボンディングボールとの密着性が悪くなり、厚すぎても特に利点は生ぜず、コスト増大を招くのみである。
【0032】
半導体層(p型層)上に形成される透光性電極に要求される好ましい性能としては、p型層との接触抵抗が小さいこと、発光層からの光を電極面側より取り出すフェイスアップマウント型の発光素子にあっては優れた光透過性、およびp型層全面に亙って均一に電流を分散させるために優れた導電性が挙げられる。
【0033】
透光性電極として各種の材料を用いた各種の構造のものが知られており、本発明においてもこれら公知の透光性電極を何ら制限なく使用できる。しかし、上述の要求性能を満足するためには、p型層と接するコンタクト層および該コンタクト層上にあって電流拡散を補助する電流拡散層の少なくとも2層構造の透光性電極が好ましい。もちろん、上述の要求性能を満足しさえすれば、コンタクト層と電流拡散層の機能を兼ね備えた一層としても良く、一層構造とした場合には工程の煩雑さがないという利点がある。
【0034】
コンタクト層に要求される性能としては、p型層との接触抵抗が小さいことが好ましく、この観点から、コンタクト層の材料は白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)等の白金族金属またはその合金が好ましい。これらの中でもPtまたはその合金は、仕事関数が高く、高温熱処理を施していない比較的高抵抗なp型GaN系化合物半導体層に対して非加熱で良好なオーミック接触を得ることが可能なので、特に好ましい。
【0035】
コンタクト層を白金族金属またはその合金で構成した場合、光透過性の観点から、その厚さを非常に薄くすることが必要である。コンタクト層の厚さは、0.1〜7.5nmの範囲が好ましい。0.1nm未満では安定した薄層が得られ難い。7.5nmを超えると透光性が低下し、5nm以下がさらに好ましい。また、その後の電流拡散層の積層による透光性の低下と成膜の安定性を考慮すると、0.5〜2.5nmの範囲が特に好ましい。
【0036】
しかし、コンタクト層の厚さを薄くすることでコンタクト層の面方向の電気抵抗が高くなり、かつ比較的高抵抗なp型層とあいまって電流注入部であるボンディングパッド電極の周辺部しか電流が拡がらず、結果として不均一な発光パターンとなり、発光出力が低下する。
【0037】
そこで、コンタクト層の電流拡散性を補う手段として高光透過率で高導電性の電流拡散層をコンタクト層上に配置することにより、白金族金属の低接触抵抗性や光透過率を大きく損なうことなく電流を均一に広げることが可能となり、結果として発光出力の高い発光素子を得ることが出来る。
【0038】
電流拡散層の材料は、導電率の高い金属、例えば金、銀および銅からなる群から選ばれた金属または少なくともそれらの一種を含む合金が好ましい。中でも金は、薄膜とした時の光透過率が高いことから最も好ましい。
【0039】
一方、電流拡散層の材料は、導電率の高い硫化亜鉛および金属酸化物、例えばITO、ZnO、酸化アルミニウム亜鉛、フッ素ドープ酸化錫、酸化チタン、酸化ビスマスおよび酸化マグネシウムなどの透明材料で形成することができる。このような透明材料は光透過率も高いので好ましい。中でもITO、ZnO、酸化アルミニウム亜鉛およびフッ素ドープ酸化錫は、導電性が高いことが知られており、最も好ましい。
【0040】
金属で電流拡散層を形成する場合、その厚さは、1〜20nmが好ましい。1nm未満では電流拡散効果が十分発揮されない。20nmを超えると、電流拡散層の光透過性の低下が著しく発光出力の低下が危惧される。10nm以下がさらに好ましい。さらに厚さを3〜6nmの範囲とすることで電流拡散層の光透過性と電流拡散の効果のバランスが最も良くなり、上記のコンタクト層と合わせることで正極上の全面で均一に発光し、かつ高出力な発光が得られる。
【0041】
透明材料で電流拡散層を形成する場合、その厚さは、10〜5000nmが好ましい。10nm未満では電流拡散効果が十分発揮されない。5000nmを超えると、電流拡散層の光透過性が低下し、発光出力の低下が危惧される。50〜2000nmがさらに好ましい。さらに厚さを100〜1000nmの範囲とすることで電流拡散層の光透過性と電流拡散の効果のバランスが最も良くなり、上記のコンタクト層と合わせることで正極上の全面で均一に発光し、かつ高出力な発光が得られる。
【0042】
透光性電極上にボンディングパッド電極を形成する場合、透光性電極の最上層は金属で覆われていてもよいし、金属酸化物で覆われていてもよい。
【0043】
透光性電極の最上層は、電流拡散層であっても構わないし、電流拡散層の上にボンディングパッド電極接合のための層を形成しても構わない。接合のための層を形成することで透光性が悪くなるので、最上層は電流拡散層であることが望ましい。
【0044】
透光性電極の最表面には光を取り出すために面に凹凸を付けても良い。凹凸の作製には、パターニングを用いる方法や湿式処理によって凹凸をつけるやり方を採用することができる。凹凸の形状は、ストライプ状や格子状、ドット状など、公知のものを何の制限なく使用できる。
【0045】
また、このような凹凸の形状を持った表面に対してボンディングパッドを形成することにより、パッドの密着強度を上げることができる。
【0046】
コンタクト層および電流拡散層ならびにボンディングパッド電極の成膜方法については、特に制限されることはなく公知の真空蒸着法やスパッタ法を用いることができる。
【0047】
本発明の正極は、図1に示したような、基板上にバッファ層を介して窒化ガリウム系化合物半導体を積層し、n型半導体層、発光層およびp型半導体層を形成した従来公知の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子を含む半導体発光素子に何ら制限無く用いることができる。
【0048】
基板には、サファイア単結晶(Al23;A面、C面、M面、R面)、スピネル単結晶(MgAl24)、ZnO単結晶、LiAlO2単結晶、LiGaO2単結晶、MgO単結晶などの酸化物単結晶、Si単結晶、SiC単結晶、GaAs単結晶、AlN単結晶、GaN単結晶およびZrB2などのホウ化物単結晶などの基板材料を何ら制限なく用いることができる。なお、基板の面方位は特に限定されない。また、ジャスト基板でも良いしオフ角を付与した基板であっても良い。
【0049】
n型半導体層、発光層およびp型半導体層は、各種周知の構造のものを含め何ら制限なく用いることができる。特にp型半導体層のキャリア濃度は一般的な濃度のものを用いてもよいが、比較的キャリア濃度の低い、例えば1×1017cm-3程度のp型半導体層にも本発明の透光性電極は適用できる。
【0050】
本発明におけるn型半導体層、発光層およびp型半導体層を構成する窒化ガリウム系化合物半導体として、一般式AlxInyGa1-x-yN(0≦x<1,0≦y<1,0≦x+y<1)で表わされる各種組成の半導体を何ら制限なく用いることができる。
【0051】
これらの窒化ガリウム系化合物半導体の成長方法は特に限定されず、MOCVD(有機金属化学気相成長法)、HVPE(ハイドライド気相成長法)、MBE(分子線エピタキシー法)、などIII族窒化物半導体を成長させることが知られている全ての方法を適用できる。好ましい成長方法としては、膜厚制御性、量産性の観点からMOCVD法である。MOCVD法では、キャリアガスとして水素(H2)または窒素(N2)、III族原料であるGa源としてトリメチルガリウム(TMG)またはトリエチルガリウム(TEG)、Al源としてトリメチルアルミニウム(TMA)またはトリエチルアルミニウム(TEA)、In源としてトリメチルインジウム(TMI)またはトリエチルインジウム(TEI)、V族原料であるN源としてアンモニア(NH3)、ヒドラジン(N24)などが用いられる。また、ドーパントとしては、n型にはSi原料としてモノシラン(SiH4)またはジシラン(Si26)を、Ge原料としてゲルマン(GeH4)または有機ゲルマニウム化合物を用い、p型にはMg原料としては例えばビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)またはビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム((EtCp)2Mg)を用いる。
【0052】
基板上にn型半導体層、発光層およびp型半導体層が順次積層された窒化ガリウム系化合物半導体のn型半導体層に接して負極を形成するために、発光層およびp型半導体層の一部を除去して、n型半導体層を露出させる。その後残したp型半導体層上に本発明の正極を形成し、露出させたn型半導体層上に負極を形成する。負極としては、周知の負極を含め、各種組成および構造の負極を何ら制限無く用いることができる。
【0053】
サファイアやSiCなどの発光する波長に対して透明な基板を用いた素子の場合、基板の裏面には反射膜を形成しても良い。反射膜を形成すると、基板下面での光の損失を減らすことができ、発光を外部に取り出す効率が更に向上するので望ましい。
【0054】
また、半導体層、透明電極層、あるいは基板の裏面などに、凹凸をつける加工を施すことができ、この加工によっても発光を外部に取り出す効率を向上させることができる。加工は基板に対して垂直な面を形成する他、斜めの面を形成することが考えられる。多重反射を防ぐ目的では、斜めの面を形成することが望ましい。
【0055】
加工は、上記の半導体層、透明電極層、あるいは基板の裏面を削ることで施す方法のほか、透明な材料でできた構造物を付着させる方法をとることもできる。
【0056】
本発明の半導体発光素子用の正極を用いると、高い発光強度の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子を得ることができる。つまり、この技術によって高輝度のLEDランプを作製することができるため、この技術によって作製したチップを組み込んだ携帯電話、ディスプレイ、パネル類などの電子機器や、その電子機器を組み込んだ自動車、コンピュータ、ゲーム機、などの機械装置類は、低電力での駆動が可能となり、高い特性を実現することが可能である。特に、携帯電話、ゲーム機、玩具、自動車部品などの、バッテリ駆動させる機器類において、省電力の効果を発揮する。
【実施例】
【0057】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0058】
(参考例1)
図2は本参考例で作製した窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の断面を示した模式図であり、図3はその平面を示した模式図である。サファイアからなる基板(1)上に、AlNからなるバッファ層(6)を介して、厚さ8μmのアンドープGaNからなる下地層(3a)、厚さ2μmのSiドープn型GaNコンタクト層(3b)、厚さ250nmのn型In0.1Ga0.9Nクラッド層(3c)、厚さ16nmのSiドープGaN障壁層および厚さ2.5nmのIn0.2Ga0.8N井戸層を5回積層し、最後に障壁層を設けた多重量子井戸構造の発光層(4)、厚さ0.01μmのMgドープp型Al0.07Ga0.93Nクラッド層(5a)、厚さ0.15μmのMgドープp型GaNコンタクト層(5b)を順に積層した窒化ガリウム系化合物半導体のp型GaNコンタクト層上に、厚さ1.5nmのPtコンタクト層(111)と厚さ5nmのAu電流拡散層(112)からなる透光性電極(11)および50nmのPt層(13a)、20nmのTi層(13b)、10nmのAl層(13c)、100nmのTi層(13d)、200nmのAu層(13e)からなる5層構造のボンディングパッド電極(13)よりなる本発明の正極(10)を形成した。ボンディングパッド電極を形成する5層のうち、50nmのPt層(13a)が高反射率の反射層にあたる。次にn型GaNコンタクト層上にTi/Auの二層構造の負極(20)を形成し、光取り出し面を半導体側とした発光素子である。正極および負極の形状は図3に示したとおりである。
【0059】
この構造において、n型GaNコンタクト層のキャリア濃度は1×1019cm-3であり、GaN障壁層のSiドープ量は1×1018cm-3であり、p型GaNコンタクト層のキャリア濃度は5×1018cm-3であり、p型AlGaNクラッド層のMgドープ量は5×1019cm-3であった。
【0060】
窒化ガリウム系化合物半導体層の積層は、MOCVD法により、当該技術分野においてよく知られた通常の条件で行なった。また、正極および負極は次の手順で形成した。
【0061】
初めに反応性イオンエッチング法によって負極を形成する部分のn型GaNコンタクト層を下記手順により露出させた。
【0062】
まず、エッチングマスクをp型半導体層上に形成した。形成手順は以下の通りである。レジストを全面に一様に塗布した後、公知のリソグラフィー技術を用いて、正極領域より一回り大きい領域からレジストを除去した。真空蒸着装置内にセットして、圧力4×10-4Pa以下でNiおよびTiをエレクトロンビーム法により膜厚がそれぞれ約50nmおよび300nmとなるように積層した。その後リフトオフ技術により、正極領域以外の金属膜をレジストとともに除去した。
【0063】
次いで、反応性イオンエッチング装置のエッチング室内の電極上に半導体積層基板を載置し、エッチング室を10-4Paに減圧した後、エッチングガスとしてCl2を供給してn型GaNコンタクト層が露出するまでエッチングした。エッチング後、反応性イオンエッチング装置より取り出し、上記エッチングマスクを硝酸およびフッ酸により除去した。
【0064】
次に、公知のフォトリソグラフィー技術及びリフトオフ技術を用いて、p型GaNコンタクト層上の正極を形成する領域にのみ、Ptからなるコンタクト層、Auからなる電流拡散層を形成した。コンタクト層、電流拡散層の形成では、まず、窒化ガリウム系化合物半導体層を積層した基板を真空蒸着装置内に入れ、p型GaNコンタクト層上に初めにPtを1.5nm、次にAuを5nm積層した。引き続き真空室から取り出した後、通常リフトオフと呼ばれる周知の手順に則って処理し、さらに同様な手法で電流拡散層上の一部にPtからなる反射層(13a)、Tiからなるバリア層(13b)、Alからなるバリア層(13c)、Tiからなるバリア層(13d)、Auからなる最上層(13e)を順に積層し、ボンディングパッド電極(13)を形成した。このようにしてp型GaNコンタクト層上に、本発明の正極を形成した。
【0065】
次に、露出したn型GaNコンタクト層上に負極を以下の手順により形成した。レジストを全面に一様に塗布した後、公知リソグラフィー技術を用いて、露出したn型GaNコンタクト層上の負極形成部分からレジストを除去して、通常用いられる真空蒸着法で半導体側から順にTiが100nm、Auが200nmよりなる負極を形成した。その後レジストを公知の方法で除去した。
【0066】
このようにして正極および負極を形成したウエーハを、基板裏面を研削・研磨することにより80μmまで基板の板厚を薄くして、レーザスクライバを用いて半導体積層側から罫書き線を入れたあと、押し割って、350μm角のチップに切断した。続いてこれらのチップをプローブ針による通電で電流印加値20mAにおける順方向電圧の測定をしたところ2.9Vであった。
【0067】
その後、TO−18缶パッケージに実装してテスターによって発光出力を計測したところ印加電流20mAにおける発光出力は4.5mWを示した。またその発光面の発光分布は正極下の全面で発光しているのが確認できた。
【0068】
また、本参考例で作製した反射層の反射率は470nmの波長領域で92%であった。この値は、ボンディングパッド電極形成時に同じチャンバに入れたガラス製のダミー基板を用いて、分光光度計で測定した。
【0069】
また、シェアテスタと呼ばれる一般的な装置によりボンディングパッド電極の剥離強度を測定したところ、平均して980mN(100gf)以上であり、ボンディングパッド電極と透明電極との間で剥離したものはなかった。
【0070】
(比較例1)
ボンディングパッド電極を形成すべき部分に透光性電極を設けなかったこと、およびボンディングパッド電極に反射層(13a)を設けなかったこと以外は、参考例1と同様に発光素子を作製した。従って、本比較例では、ボンディングパッド電極の最下層(半導体側)がTiからなる層(13b)であり、その層が直接p型コンタクト層(5b)に接している。
【0071】
なお、ボンディングパッド電極と透光性電極との電気的接触のために、ボンディングパッド電極の周辺部が透光性電極と接触する構造とし、接触する面積はボンディングパッド電極の面積の5%程度とした。電流はこの接触部を通してボンディングパッド電極から透光性電極へ流れる。
【0072】
得られた発光素子を参考例1と同様に評価したところ、順方向電圧は3.1Vであり、発光出力は4.2mWであった。またその発光面の発光分布は、ボンディングパッド電極直下では発光していないのが確認できた。TiはPtに比較し、p型コンタクト層(5b)との接触抵抗が高く、反射率が低いことを示している。
【0073】
(参考例2)
透光性電極(11)のPtコンタクト層(111)の厚さを1nmとし、電流拡散層(112)をスパッタリング法で形成した厚さ100nmのITOとしたこと、およびボンディングパッド電極(13)の反射層(13a)をAlを用いて形成したこと以外は参考例1と同様に発光素子を作製した。
【0074】
得られた発光素子を参考例1と同様に評価したところ、順方向電圧は2.9Vであり、発光出力は5.0mWであった。
【0075】
また、シェアテスタと呼ばれる一般的な装置によりボンディングパッド電極の剥離強度を測定したところ、平均して980mN(100gf)以上であった。剥離がボンディングパッド電極と透明電極との間で起きたサンプルが数個あった。
【0076】
(比較例2)
ボンディングパッド電極(13)の反射層(13a)を設けなかったこと以外は参考例2と同様に発光素子を作製した。得られた発光素子を参考例1と同様に評価したところ、順方向電圧は2.9Vで、参考例2と同様に低かったが、発光出力は4.7mWに低下した。
【0077】
(参考例3)
参考例3では、参考例1と同様な方法で、以下のような積層構造を持つエピタキシャル基板を作製して用いた。つまり、サファイアからなる基板(1)上に、AlNからなるバッファ層(6)を介して、厚さ6μmのアンドープGaNからなる下地層(3a)、厚さ4μmのGeドープn型GaNコンタクト層(3b)、厚さ180nmのSiをドープしたn型In0.1Ga0.9Nクラッド層(3c)、厚さ16nmのSiドープGaN障壁層および厚さ2.5nmのIn0.2Ga0.8N井戸層を5回積層し、最後に障壁層を設けた多重量子井戸構造の発光層(4)、厚さ0.01μmのMgドープp型Al0.07Ga0.93Nクラッド層(5a)、厚さ0.175μmのMgドープp型Al0.02Ga0.98Nコンタクト層(5b)を順に積層し、最後にGeをドープしたn型GaNトンネル層(図示せず)を20nm形成した。n型GaNトンネル層窒化ガリウム系化合物半導体の上に、厚さ250nmのITO電流拡散層(112)のみからなる透光性電極(11)および50nmのAl層(13a)、20nmのTi層(13b)、10nmのAl層(13c)、100nmのTi層(13d)、200nmのAu層(13e)からなる5層構造のボンディングパッド電極(13)よりなる本発明の正極(10)を形成した。ボンディングパッド電極を形成する5層のうち、50nmのAl層(13a)が高反射率の反射層にあたる。次にn型GaNコンタクト層上にTi/Auの二層構造の負極(20)を形成し、光取り出し面を半導体側とした発光素子である。正極および負極の形状は図3に示したとおりである。
【0078】
この構造において、n型GaNコンタクト層のキャリア濃度は8×1018cm-3であり、n型InGaNクラッド層のSiドープ量は7×1018cm-3であり、GaN障壁層のSiドープ量は1×1017cm-3であり、p型AlGaNコンタクト層のキャリア濃度は5×1017cm-3であり、p型AlGaNクラッド層のMgドープ量は2×1020cm-3であった。また、n型GaNトンネル層のGeのドープ量は2×1019cm-3とした。
【0079】
得られた発光素子を参考例1と同様に評価したところ、順方向電圧は3.2Vであり、発光出力は8.5mWであった。
【0080】
また、シェアテスタと呼ばれる一般的な装置によりボンディングパッドの剥離強度を測定したところ、平均して100gf以上であった。剥離がボンディングパッドと透明電極との間で起きたサンプルが数個あった。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の正極を用いて提供される半導体発光素子は、駆動電圧が低く、かつ、発光強度が高いのでランプ等の材料として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の正極を有する半導体発光素子の一例の断面を示した模式図である。
【図2】参考例で作製した本発明の正極を有する窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の断面を示した模式図である。
【図3】参考例で作製した本発明の正極を有する窒化ガリウム系化合物半導体発光素子の平面を示した模式図である。
【符号の説明】
【0083】
1 基板
2 GaN系化合物半導体層
3 n型半導体層
4 発光層
5 p型半導体層
6 バッファ層
10 正極
11 透光性電極
13 ボンディングパッド電極
20 負極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に窒化ガリウム系化合物半導体からなる、n型半導体層、発光層およびp型半導体層をこの順序で有し、p型半導体層およびn型半導体層に正極および負極がそれぞれ設けられた発光素子において、正極が半導体層上に形成された透光性電極および該透光性電極上に形成されたボンディングパッド電極を有し、透光性電極が金属酸化物からなる透明導電材料を含み、ボンディングパッド電極が透光性電極側にPt、Rh、Ru、Ir、AlおよびAgの少なくとも1種を含む金属からなる反射層を有し、かつ透光性電極の中心に設けられていることを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
【請求項2】
ボンディングパッド電極が透光性電極と反対側にAuからなる最上層を有することを特徴とする請求項1に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
【請求項3】
半導体層の基板と反対側から光を取り出すことを特徴とする請求項1または2に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
【請求項4】
基板上に窒化ガリウム系化合物半導体からなる、n型半導体層、発光層およびp型半導体層をこの順序で有し、p型半導体層およびn型半導体層の同一面側に正極および負極がそれぞれ設けられた発光素子において、正極が半導体層上に形成された透光性電極および該透光性電極上に形成されたボンディングパッド電極を有し、ボンディングパッド電極が透光性電極側にPt、Rh、Ru、Ir、AlおよびAgの少なくとも1種を含む金属からなる反射層を有し、かつ透光性電極の中心に設けられていることを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
【請求項5】
ボンディングパッド電極が透光性電極と反対側にAuからなる最上層を有することを特徴とする請求項4に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
【請求項6】
半導体層の基板と反対側から光を取り出すことを特徴とする請求項4または5に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
【請求項7】
基板上に窒化ガリウム系化合物半導体からなる、n型半導体層、発光層およびp型半導体層をこの順序で有し、p型半導体層およびn型半導体層に正極および負極がそれぞれ設けられた発光素子において、正極が半導体層上に形成された透光性電極および該透光性電極上に形成されたボンディングパッド電極を有し、透光性電極が金属酸化物からなる透明導電材料を含み、ボンディングパッド電極が透光性電極側に、反射率が60%以上の金属からなる反射層を有し、かつ透光性電極の中心に設けられていることを特徴とする窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
【請求項8】
ボンディングパッド電極が透光性電極と反対側にAuからなる最上層を有することを特徴とする請求項7に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
【請求項9】
半導体層の基板と反対側から光を取り出すことを特徴とする請求項7または8に記載の窒化ガリウム系化合物半導体発光素子。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の発光素子を用いてなるランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−65196(P2009−65196A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290159(P2008−290159)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【分割の表示】特願2005−219266(P2005−219266)の分割
【原出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】