説明

窒素酸化物の除去装置およびそれを用いる滅菌装置

【課題】wetタイプ(溶液使用)の窒素酸化物(NOx)の除去(deNOx)装置において、コンパクトな構成で実現する。
【解決手段】溶液とNOxガスとを剪断方式のマイクロバブル発生器のミキサー54で混合しdeNOx反応を行わせる。ミキサー54は、筒状に形成され、軸方向上流側のガイドベーン室541と、下流側のカッター室542と、カッター室542にNOxガスを注入するエゼクターパイプ543とを備える。前段のポンプから溶液が注入されると、ガイドベーン室541のカッター5411,5412で螺旋回転が与えられ、カッター室542のキノコ状の衝突体5421で注入されたNOxガスとともに超微細に砕かれて、マイクロバブルとなる。これによって、NOxガスの溶液内での滞留時間を長くし、また接触面積を多くすることで反応効率を高め、高いdeNOx機能をコンパクトに実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素酸化物の除去装置およびそれを用いる滅菌装置に関し、特に前記滅菌装置における滅菌の手段として、二酸化窒素ガスを用いるものに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用器具や食品包装材などの被処理物を処理室に収容し、高度に滅菌する滅菌装置や、或いは前記処理室がクリーンルームやアイソレータなどの場合で該処理室自体を滅菌処理する滅菌装置において、たとえば特許文献1には、前記被処理物の処理に窒素酸化物(NO)ガスを用いることが示されている。詳しくは、特許文献1では、窒素ガスと酸素ガスとの混合気体をプラズマ発生室に導入し、その混合気体をプラズマ化して前記窒素酸化物ガスを生成し、その窒素酸化物ガスを食品に付着した大腸菌の殺菌用に用いている。
【0003】
しかしながら、前記窒素酸化物ガスによる滅菌効率は良いとは言えず、滅菌効率改善の要請があった。そこで本件出願人は、鋭意研究を重ねた結果、細菌類の滅菌に寄与するのは、前記窒素酸化物(NOx)のうち、実質的に二酸化窒素(NO)であることを見出し、特許文献2において、純度の高い二酸化窒素ガスを生成することができる方法、および該方法によって生成された二酸化窒素ガスを貯留する装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58−162276号公報
【特許文献2】特開2010−202448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
その特許文献2によれば、高い滅菌効果を得ることができるものの、生成した二酸化窒素(NO)は、使用後、無害化(deNOx)して排出している。その二酸化窒素(NO)ガスの無害化処理を行う装置は、大きく、効率が悪いという問題がある。すなわち、従来のwetタイプ(溶液使用)の除去装置の場合、前記窒素酸化物(NOx)ガスを、還元可能な溶液のシャワー中に通過させることで除去(deNOx)の反応を行わせているので、大型である。また、入力ガスの濃度が1000ppmに対して、排出ガスの濃度が10ppmと、除去効率も悪い。特に医療用の滅菌装置の場合、短時間で処理するためにガス濃度が高く、50000ppmにも達する。一方、dryタイプ(触媒使用)の除去装置は、高いdeNOx機能を有し、wetタイプより小型であるものの、依然としてサイズが大きいという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、dryタイプ(触媒使用)の除去装置と同様の高いdeNOx機能を、wetタイプの除去装置でありながら、コンパクトな構成で実現することができる窒素酸化物の除去装置およびそれを用いる滅菌装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の窒素酸化物の除去装置は、マイクロバブル発生器と、前記マイクロバブル発生器内に充填され、少なくとも窒素酸化物ガスと反応する溶液と、前記溶液を前記マイクロバブル発生器に圧送する第1のポンプと、前記マイクロバブル発生器からのマイクロバブルを含んだ溶液を蓄積する貯留槽とを含み、前記マイクロバブル発生器にて、前記窒素酸化物ガスを、前記溶液にマイクロバブル化して溶け込ませることを特徴とする。
【0008】
上記の構成によれば、wetタイプ(溶液使用)の窒素酸化物(NOx)の除去(deNOx)装置において、従来の装置では、窒素酸化物(NOx)ガスを還元可能な溶液のシャワー中に前記NOxガスを通過させることで除去(deNOx)、すなわち窒素(N)ガスへの還元の反応を行わせているのに対して、本発明では、溶液と窒素酸化物(NOx)ガスとを、半導体製造等でオゾン水の作成などに用いられるマイクロバブル発生器において混合し、除去(deNOx)の反応を行わせる。
【0009】
詳しくは、前記溶液を、第1のポンプによって前記マイクロバブル発生器に圧送する。その際、マイクロバブル発生器の取り込み側において、負圧吸引、或いは別の(第2の)ポンプによる圧で前記溶液に窒素酸化物(NOx)ガスが混合され、さらにその混合溶液中の窒素酸化物(NOx)ガスがマイクロバブル化されて前記溶液に溶け込ませられる。こうして、前記窒素酸化物(NOx)ガスの溶液内での滞留時間を長くし、また窒素酸化物(NOx)ガスが溶液と接触する表面積を多くすることで、反応効率が高まり、前記窒素酸化物(NOx)ガスは、効率的に除去、たとえば窒素(N)ガスに還元され、貯留槽にて気液分離されて外部へ排出される。
【0010】
したがって、dryタイプ(触媒使用)の除去装置と同様の高いdeNOx機能を、wetタイプの除去装置でありながら、コンパクトな構成で実現することができる。
【0011】
また、本発明の窒素酸化物の除去装置では、前記マイクロバブル発生器は、剪断方式のマイクロバブル発生器であり、その外形が筒状に形成され、前記溶液が前記第1のポンプから圧送され、その溶液を前記筒の周方向に螺旋回転させるガイドベーン室と、前記ガイドベーン室の後方(カレントカッター室の入り口付近)で、かつ軸直角断面の中心付近に開口を有し、前記開口から窒素酸化物ガスを導入して前記溶液に混合するエゼクターパイプと、前記ガイドベーン室に連なり、内壁面にキノコ状の突起を有することで、前記ガイドベーン室から送られてきた溶液と、前記開口から送られてきた窒素酸化物ガスとを共に微細に粉砕し、得られたミクロな気泡粒子群を衝突・反応させることで、前記マイクロバブルを発生させるカレントカッター室とを備えて構成されることを特徴とする。
【0012】
上記の構成によるマイクロバブル発生器は、剪断方式でマイクロバブルを発生することができる。そして、このような構成のマイクロバブル発生器は、任意のスケールで作製可能で、原理的には、処理ガス流量で10L/minの小サイズのものから、10m/minの大サイズのものまで、スケールアップが容易である。
【0013】
さらにまた、本発明の窒素酸化物の除去装置では、前記窒素酸化物ガスを加圧して前記マイクロバブル発生器に圧送する第2のポンプを備えることを特徴とする。
【0014】
上記の構成によれば、マイクロバブル発生器がエゼクター方式になっていると、第1のポンプによって溶液が正常に流れる限り、ガス入口は負圧で吸い込み可能である。しかしながら、窒素酸化物(NOx)ガスに対しても、第2のポンプを設けてマイクロバブル発生器に圧送することで、更にガス流量を稼ぐことができる。
【0015】
また、本発明の窒素酸化物の除去装置では、前記溶液の流量/ガスの流量の比率は、0.66以上、特に好ましくは1.15以上であることを特徴とする。
【0016】
上記のように、本件発明者の実験結果によれば、0.66以上でマイクロバブルを生成することができ、1.15以上で好適なマイクロバブルを生成することができる。
【0017】
さらにまた、本発明の窒素酸化物の除去装置では、前記溶液は、亜硫酸ナトリウム(NaSO)、チオ硫酸ナトリウム(Na)、硫化ナトリウム(NaS)、アスコルビン酸(C)の水溶液、またはそれらの一部の混合溶液、もしくは前記の溶液のNaをKや他の金属イオンに置換した溶液、或いは前記亜硫酸ナトリウム(NaSO)、チオ硫酸ナトリウム(Na)、硫化ナトリウム(NaS)の陰イオンが第一電離した成分(それぞれNaHSO、NaHS、NaHS)の水溶液であることを特徴とする。
【0018】
上記の構成によれば、上記の各溶液を用いることで、前述のような窒素酸化物(NOx)ガスを、窒素(N)ガスに還元することができる。
【0019】
また、本発明の窒素酸化物の除去装置では、前記溶液は、亜硫酸ナトリウム(NaSO)水溶液、または前記亜硫酸ナトリウム(NaSO)とチオ硫酸ナトリウム(Na)との混合水溶液であることを特徴とする。
【0020】
上記の構成によれば、特に効率良く窒素酸化物(NOx)を除去することができる。
【0021】
さらにまた、本発明の窒素酸化物の除去装置では、前記貯留槽から外気へは、開閉制御可能な弁または逆止弁が介在されていることを特徴とする。
【0022】
上記の構成によれば、気液分離された窒素ガス(N)および他のガスが、貯留槽内で所定の圧以上となると、弁を開放させて外部に排出することができる。
【0023】
したがって、貯留槽は、常時外部に開放しておらず、必要なときだけ外部に開放するので、溶液の劣化(酸化)を防止することができる。
【0024】
また、本発明の滅菌装置は、前記窒素酸化物ガスを生成するガス供給源と、前記ガス供給源から供給された窒素酸化物ガスが充填され、滅菌処理を行うべき処理室と、前記処理室で使用された前記窒素酸化物ガスを無害化する前記の窒素酸化物の除去装置とを備えて構成されることを特徴とする。
【0025】
上記の構成によれば、滅菌処理を行うべき処理室を備え、該処理室に収容した被処理物を、或いは該処理室が無菌室等の場合で該処理室自体を、滅菌処理を行う滅菌装置において、前記処理室には、ガス供給源から、滅菌処理用の二酸化窒素ガスなどの前記窒素酸化物ガスを供給して充填を行い、処理後の窒素酸化物ガスは、前記の窒素酸化物の除去装置で無害化する。
【0026】
したがって、窒素酸化物ガスで滅菌処理を行うにあたって、人体に有害な該窒素酸化物を、無害化して排出することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の窒素酸化物の除去装置は、以上のように、wetタイプ(溶液使用)の窒素酸化物(NOx)の除去(deNOx)装置において、溶液と窒素酸化物(NOx)ガスとを、半導体製造等でオゾン水の作成などに用いられるマイクロバブル発生器において混合し、除去(deNOx)の反応を行わせる。
【0028】
それゆえ、前記窒素酸化物(NOx)ガスの溶液内での滞留時間を長くし、また窒素酸化物(NOx)ガスが溶液と接触する表面積を多くすることで、反応効率が高め、dryタイプ(触媒使用)の除去装置と同様の高いdeNOx機能を、wetタイプの除去装置でありながら、コンパクトな構成で実現することができる。
【0029】
また、本発明の滅菌装置は、以上のように、滅菌処理を行うべき処理室を備える滅菌装置において、前記処理室には、ガス供給源から、滅菌処理用の二酸化窒素ガスなどの前記窒素酸化物ガスを供給して充填を行い、処理後の窒素酸化物ガスは、前記の窒素酸化物の除去装置で無害化する。
【0030】
それゆえ、窒素酸化物ガスで滅菌処理を行うにあたって、人体に有害な該窒素酸化物を、無害化して排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の一形態に係る滅菌装置のブロック図である。
【図2】図1で示す滅菌装置におけるマイクロ波供給装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】図1で示す滅菌システムの排気系統におけるミキサーとして用いられるマイクロバブル発生器の一構造例を示す軸線方向断面図である。
【図4】図3で示すマイクロバブル発生器の軸方向出口側から見た側面図である。
【図5】図1で示す滅菌システムにおける排気系統の具体的な構造図である。
【図6】前記滅菌装置の電気的な制御構成を示すブロック図である。
【図7】図6の制御装置による滅菌装置の制御動作を示すタイミングチャートである。
【図8】図7の各工程における第1〜第3、第5ポンプの制御状態を示す表形式の図である。
【図9】図7の各工程における第1〜第9電磁弁の制御状態を示す表形式の図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本発明の実施の一形態に係る滅菌装置1のブロック図である。この滅菌装置1は、滅菌処理を行うべき処理室としてメインチャンバ11を備え、該処理室に収容した被処理物、たとえばメス、鉗子、カテーテルなどの医療用器具や、包装シート、トレイ、ボトルなどの食品包装材に、プラズマによって生成された滅菌剤を作用させて滅菌処理を施すための装置である。
【0033】
本実施形態では、空気を原料ガスとして、その空気を前記プラズマ処理することで生成された二酸化窒素(NO)ガスを前記滅菌剤として用いる例を示す。したがって、本実施の形態の滅菌装置1では、原料ガスの取り扱いが容易であり、コストダウンを図ることができるとともに、人体に有害な二酸化窒素ガスを、必要な場所で、必要な量だけ作成することができる。なお、処理室としては、クリーンルームやアイソレータ等の該処理室自体が滅菌処理されるものであってもよい。
【0034】
滅菌装置1は、大略的に、メインチャンバ11と、サブチャンバ12と、吸気系統20と、ガス供給源30と、連係系統40と、排気系統50とを備えて構成される。前記の系統20〜50の適所には、第1〜第9電磁弁V1〜V9と、第1〜第5ポンプP1〜P5とが配置されている。
【0035】
メインチャンバ11は、前記の被処理物が収容される密閉空間を提供するチャンバであり、たとえばステンレス鋼などで構成され、高度の真空引きに対応できる耐圧構造を備えた大容量のチャンバである。図示は省略しているが、メインチャンバ11には被処理物を搬出入するためのドアが備えられ、その内部には、被処理物を積載するための処理トレイ等が適宜備えられている。
【0036】
メインチャンバ11には、前記二酸化窒素ガスの濃度を計測する第1濃度センサ111と、チャンバ内の圧力を検出する第1圧力センサ112とが備えられている。前記メインチャンバ11は、短時間で滅菌処理を完了するために、運転中は極めて高濃度、たとえば50000ppmの二酸化窒素ガスが充填されるので、前記第1濃度センサ111は、滅菌処理後に該メインチャンバ11を開放するにあたり、充分に濃度が下がったことの確認用に、その計測値が参照される。前記第1圧力センサ112は、メインチャンバ11内の減圧状態、すなわち減圧と、それに伴う乾燥状況を判断し、前記二酸化窒素ガスの充填開始の判断に使用されるセンサである。この他、メインチャンバ11には、温度センサ、湿度センサ、或いはオゾンセンサ等の各種物理量センサが備えられていてもよい。
【0037】
サブチャンバ12は、ガス供給源30と協働して、該ガス供給源30において常圧下で生成された前記二酸化窒素ガスを、その濃度を上げつつ蓄積するものであり、前記ガス供給源30と前記二酸化窒素ガスの循環経路を形成する。このサブチャンバ12は、前記メインチャンバ11と同様に、たとえばステンレス鋼などで構成され、高度の真空引きに対応できる耐圧構造を備えた比較的小容量のチャンバである。このサブチャンバ12内にも、二酸化窒素ガスの濃度を計測する第2濃度センサ121と、チャンバ内の圧力を検出する第2圧力センサ122とが備えられている。第2濃度センサ121の計測値は、たとえば前記二酸化窒素ガスがメインチャンバ11へ充填される規定の濃度に達した否かを確認するために参照される。
【0038】
吸気系統20は、前記サブチャンバ12、もしくはサブチャンバ12およびメインチャンバ11の双方に乾燥した外気(空気)を導入させるための配管系統である。吸気系統20は、第1ポンプP1、エアドライヤ21、湿度センサ22、第1電磁弁V1、第1常圧配管201および第1真空配管202を含む。第1常圧配管201は、第1ポンプP1と第1電磁弁V1との間を接続する配管であり、その経路中にエアドライヤ21および湿度センサ22が配置されている。第1真空配管202は、第1電磁弁V1とサブチャンバ12との間を接続している。
【0039】
第1ポンプP1は、減圧状態にあるサブチャンバ12、もしくはサブチャンバ12およびメインチャンバ11の双方を常圧に戻すときに動作されるポンプである。第1ポンプP1は、外気を吸入し、第1常圧配管201および第1真空配管202を介してサブチャンバ12内に外気を送り込む。エアドライヤ21は、外気に含まれる水分を除去するもので、たとえば電熱ヒータを備えた乾燥装置が適用される。このエアドライヤ21を通過した空気は、ほぼ湿度がゼロとなる。湿度センサ22は、第1常圧配管201内を流通する空気の湿度を検出する。この湿度センサ22は、専らエアドライヤ21の故障検知のために用いられる。
【0040】
第1電磁弁V1は、第1ポンプP1の稼働時に連動して「開」とされるバルブである。すなわち、第1電磁弁V1は、メインチャンバ11およびサブチャンバ12を含む系統を、外気圧と遮断する必要があるときに「閉」とされ、これを常圧に復帰させるときに「開」とされる。このため、第1電磁弁V1よりも吸気方向下流側は、真空引きに耐性を有する第1真空配管202が用いられている。
【0041】
ガス供給源30は、主に吸気系統20によりサブチャンバ12に導入された乾燥空気をプラズマで電離して、二酸化窒素ガスを生成する際に稼働される系統である。ガス供給源30は、第2電磁弁V2、第3電磁弁V3、プラズマ発生ノズル31、ガス流量計32、第2ポンプP2、第2真空配管301、第3真空配管302、および第2常圧配管303を含む。
【0042】
第2真空配管301の一端側はサブチャンバ12内に連通し、他端側は第2電磁弁V2を介して第2常圧配管303の一端側に接続されている。第3真空配管302の一端側はサブチャンバ12内に連通し、他端側は第3電磁弁V3を介して第2常圧配管303の他端側に接続されている。これにより、サブチャンバ12と連通する、第2真空配管301の一端側を起点として第3真空配管302の一端側に戻るループ管路が形成されている。本実施形態では、第2真空配管301側が、当該ループ管路内を流れる空気流の上流側となる。第2常圧配管303に対して、上流側から順に、プラズマ発生ノズル31、ガス流量計32および第2ポンプP2が配置されている。
【0043】
第2電磁弁V2および第3電磁弁V3は、サブチャンバ12が減圧状態にあるときに「閉」とされ、後述する常圧状態でのNOガス生成時および無害化処理時に「開」とされる弁である。このため、第2電磁弁V2および第3電磁弁V3とサブチャンバ12とを接続する配管として、第2真空配管301および第3真空配管302が適用されている。
【0044】
プラズマ発生ノズル31は、プラズマ(電離気体)を発生させるための電界集中部を提供する。第2常圧配管303を流通する原料ガスとしての空気(窒素および酸素を含むガス)は、該プラズマ発生ノズル31の前記電界集中部を通過することで電離され、NOガスやNOガスを含む窒素酸化物(NOx)ガスに変換される。このようなプラズマを発生させるために、本実施形態ではマイクロ波エネルギーが用いられている。当該マイクロ波エネルギーは、マイクロ波供給装置60から該プラズマ発生ノズル31に与えられる。このプラズマ発生ノズル31の詳しい構成については、後述する。
【0045】
図2は、マイクロ波供給装置60の構成を概略的に示すブロック図である。マイクロ波供給装置60は、マイクロ波エネルギーを発生すると共に、これをプラズマ発生ノズル31に供給するための装置であって、マイクロ波を発生するマイクロ波発生装置61と、前記マイクロ波を伝搬させる導波管62とを含む。この導波管62に、プラズマ発生ノズル31が取り付けられている。また、マイクロ波発生装置61と導波管62との間には、アイソレータ63およびカプラ64が備えられている。
【0046】
マイクロ波発生装置61は、たとえば2.45GHzのマイクロ波を発生するマグネトロン等のマイクロ波発生源と、このマイクロ波発生源にて発生されたマイクロ波の強度を所定の出力強度に調整するアンプとを含む。本実施形態では、たとえば1W〜3kWのマイクロ波エネルギーを出力できる連続可変型のマイクロ波発生装置61が好適に用いられる。
【0047】
導波管62は、アルミニウム等の非磁性金属からなり、断面矩形の長尺管状を呈し、マイクロ波発生装置61により発生されたマイクロ波を、その長手方向に伝搬させる。アイソレータ63は、導波管62からの反射マイクロ波のマイクロ波発生装置61への入射を抑止する機器であり、サーキュレータ631とダミーロード632とを含む。サーキュレータ631は、磁力によって、マイクロ波発生装置61で発生されたマイクロ波を導波管62に向かわせる一方で、反射マイクロ波をダミーロード632に向かわせる。ダミーロード632は、反射マイクロ波を吸収して熱に変換する。カプラ64は、マイクロ波エネルギーの強度を計測する。
【0048】
なお、本実施の形態のマイクロ波供給装置60は、前記のマイクロ波の周波数に対して、マイクロ波発生装置61からプラズマ発生ノズル31までの距離等が適宜チューニングされて、前記プラズマ発生ノズル31でのマイクロ波の受信感度が最大となり、マイクロ波発生装置61側に反射するマイクロ波が最小となるように調整されている。しかしながら、部品のばらつき等に対するチューニングや、一層高精度なチューニングのために、前記プラズマ発生ノズル31に対して、上流側のチューナと、下流側のスライディングショートとの少なくとも一方が設けられてもよい。
【0049】
前記チューナは、導波管62に突出可能なスタブを含み、反射マイクロ波が最小となるような調整、つまりプラズマ発生ノズル31でのマイクロ波エネルギーの消費が最大となる調整を行うための機器であり、前記カプラ64は、その調整の際に利用することができる。また、前記スライディングショートは、導波管62の遠端部を閉塞し、導波管62の管軸方向、すなわちマイクロ波の伝搬方向に移動することで、マイクロ波の反射位置を変化させて定在波パターンを調整するための部材である。
【0050】
図1に戻って、ガス流量計32は、第2常圧配管303内を流通する気体の流量を計測する。第2ポンプP2は、NOガス生成時に、サブチャンバ12とガス供給源30のループ管路とで構成される一つの空間内において、ガスを循環させるためのポンプである。プラズマ発生ノズル31が動作している状態で該第2ポンプP2が稼働されると、サブチャンバ12から吸い出されたガスがプラズマ発生ノズル31を通過して前記サブチャンバ12に戻されることを繰り返し、こうしてサブチャンバ12に蓄積されているガスにおけるNOの濃度が徐々に上昇してゆくことになる。第2ポンプP2には、NOx等に耐性を持つ耐薬品性のポンプが用いられる。
【0051】
連係系統40は、メインチャンバ11とサブチャンバ12との間を連通させるための系統である。連係系統40は、第4電磁弁V4、第5電磁弁V5、第3ポンプP3、第4真空配管401および第5真空配管402を含む。
【0052】
第4真空配管401の一端(上流端)はサブチャンバ12に接続され、他端(下流端)はメインチャンバ11に接続されている。この第4真空配管401の上流側に第3ポンプP3が配置され、下流側に第4電磁弁V4が配置されている。第3ポンプP3は、耐薬品性のポンプであって、サブチャンバ12を真空引きする際、サブチャンバ12からNOガスをメインチャンバ11に導入(循環)して滅菌処理を行う際、およびメインチャンバ11内を排気して無害化処理する際に動作する。第4電磁弁V4は、サブチャンバ12側からメインチャンバ11側にガス供給をする際に「開」とされる弁である。
【0053】
第5真空配管402の一端側(上流端)はメインチャンバ11に接続され、他端側(下流端)はサブチャンバ12に接続されている。第5真空配管402には、第5電磁弁V5が取り付けられている。この第5電磁弁V5は、滅菌処理を行う際、メインチャンバ11およびサブチャンバ12を常圧に復帰させる際に「開」とされる弁である。
【0054】
排気系統50は、滅菌処理に用いたNOガスを密閉空間内で無害化すると共に、無害化処理後のNガスを外部に排気するための系統である。排気系統50は、タンク51、ストレーナ52、ポンプP4,P5、流量計53、ミキサー54、電磁弁V6,V7,V8,V9、逆止弁V53、配管501,502,503,504,505を含む。
【0055】
第6真空配管501の一端側(上流端)は、メインチャンバ11に接続され、他端側(下流端)は第6電磁弁V6を介して第7真空配管503の一端側(上流端)に接続されている。また、第8真空配管502の一端側(上流端)は、サブチャンバ12に接続され、他端側(下流端)は第7電磁弁V7を介して第7真空配管503の一端側(上流端)に接続されている。こうして集められた排気処理すべきNOガスは、第4ポンプP4(第1のポンプ)において加圧され、第9真空配管504から第8電磁弁V8および第10真空配管505を介して、ミキサー54に圧送される。ミキサー54では、後に詳述するように、前記NOガスが、第5ポンプP5(第2のポンプ)および流量計53を経て圧送されてきた溶液55中にマイクロバブル56として溶け込み、タンク51内に排出される。
【0056】
タンク51は、前記ミキサー54からのマイクロバブルを気液分離し、溶液55はストレーナ52でゴミが除去された後、再度前記第5ポンプP5からミキサー54に循環され、気体(主に前述のようにN)は弁V10を介して外部へ排出される。弁V10は、開閉制御を行えるものであればよく、電磁弁などを用いることができるが、この図1のように逆止弁を用いることで、タンク51内の圧力が所定値以上に上昇すると自動的に開放するので、制御が不要となって好適である。タンク51は密閉構造とされ、分離された気体が上述のように弁V10を介して排出されることで、溶液55が外気に触れず、該溶液55の酸化を防止できるようになっている。ポンプP4,P5には、NOx等に耐性を持つ耐薬品性のポンプが用いられる。
【0057】
前記ミキサー54は、剪断方式のマイクロバブル発生器であり、たとえばOHR流体工学研究所製のMX−E15を用いることができる。図3はその製品によるミキサー54の構造を説明するための軸線方向断面図であり、図4は軸方向出口側から見た側面図である。このミキサー54は、その外形が筒状に形成され、軸方向上流側のガイドベーン室541と、下流側のカッター室542と、エゼクターパイプ543とを備えて構成される。
【0058】
ガイドベーン室541は、軸線方向から見て、直径線で左右2室に分かれており、それぞれ半楕円板状のカッター5411,5412を有する。前記カッター5411,5412は、互いに逆の傾斜を有しており、図3の例では、入り口5414側から見て、右側のカッター5411が下部を手前(入り口5414側)に、上部を奥方(出口5415側)に、すなわち後ろ上がりの傾斜を有する。これに対して、左側のカッター5412は、上部を手前(入り口5414側)に、下部を奥方(出口5415側)に、すなわち後ろ下がりの傾斜を有する。そして、それら2枚のカッター5411,5412の交点まで、手前(入り口)側から仕切り板5413が設けられている。すなわち、前記仕切り板5413は、前記の直径線上に配置され、側面視で三角の板となる。このように構成されることで、前記第5ポンプP5によって圧送され、入り口5414から流入したてきた溶液55には、前記ポンプP5の吐出圧によって、反時計回りの螺旋回転が与えられる。
【0059】
一方、前記カッター室542では、筒内壁面において、溶液55が通過する螺旋の軌跡上に、間隔を開けて多数のキノコ状の衝突体5421が立設されている。また、このカッター室542の入口、すなわち前記ガイドベーン室541の出口には、その軸直角断面の中心付近に、エゼクターパイプ543の開口5431が配置される。エゼクターパイプ543は、前記第4ポンプP4から圧送されてきたNOガスを導入して前記溶液55に混合する。
【0060】
したがって、カッター室542の入口でエゼクターパイプ543からNOガスを取込んだ溶液55は、前記のカッター5411,5412で与えられている螺旋回転による強い遠心力で、前記衝突体5421と激しく衝突し、外周側の溶液および内周側のNOガスは、共に超微細に砕かれて、ミクロ粒子群となる。また溶液流の衝突体5421との衝突で、40kHz以上の超音波が発生し、このような破砕反応が促進される。カッター室542の出口5415まで、多くの衝突体5421によってこのような反応が繰返し生じることで、溶液中に含まれる気泡の粒子を、0.5〜3μm程度の前記マイクロバブルとし、NOガスの無害化の反応を促進することができる。
【0061】
なお、前記MX−E15のミキサーは、エゼクター方式になっているので、溶液が正常に流れる限り、ガス入口は負圧で吸い込まれる。しかしながら、本実施の形態では、ミキサーに溶液を圧送する第2のポンプである第5ポンプP5とは別に、第1のポンプである第4ポンプP4を設けて、NOガスを加圧して、前記第5ポンプP5で溶液に混合する。これによって、更にガス流量を稼ぐことができる。前記MX−E15のミキサーを用いた本件発明者の実験結果によれば、溶液の流量/ガス流量比率が、0.66以上、特に好ましくは1.15以上であれば、マイクロバブルが生成されることを確認している。
【0062】
また、前記エゼクターパイプ543の出口である開口5431は、ガイドベーン室541に設けられる方が、ガスの微細化の効果が大きくなる。すなわち、ガイドベーン室541とカッター室542との両方で微細化の作用を受けることになる。しかしながら、溶液55として、NOガスの無害化に用いられる後述するような溶液の場合、表面張力が小さく、微小な泡が生成され易い。一方、ガイドベーン室541側で、溶液55にNOガスを混合すると、混合できるガス量が少なくなる。このため、本実施の形態では、カッター室542でNOガスを混合し、上述のように、その混合量、すなわちNOガスの無害化処理量を非常に大きくしている。
【0063】
マイクロバブル発生器には、上述のミキサー54のような剪断方式に限らず、加圧溶解方式、細孔方式、超高速旋回方式、超音波方式等の他の気液混合器が用いられてもよい。
【0064】
図5は、上述の排気系統50の具体的な構造図である。タンク51の下方に大型の第5ポンプP5を配置し、そこへの立下げの管57にストレーナ52を配置し、タンク51とポンプP52との間に、流量計53およびミキサー54を並列に配置している。このように、排気系統50は、コンパクトに構成されている。この排気系統50は、ミキサー54およびそれに合わせて第5ポンプP5のスケールアップが容易であることから、ガス流量で10L/minの小サイズのものから、原理的に10m/minの大サイズのものまで作成可能である。
【0065】
ここで、前記溶液55には、NOガスを、Nガスに還元可能な溶液が用いられる。たとえば、亜硫酸ナトリウム(NaSO)、チオ硫酸ナトリウム(Na)、硫化ナトリウム(NaS)、アスコルビン酸(C)の水溶液、またはそれらの一部の混合溶液、もしくは前記の溶液のNaをKや他の金属イオンに置換した溶液、或いは前記亜硫酸ナトリウム(NaSO)、チオ硫酸ナトリウム(Na)、硫化ナトリウム(NaS)の陰イオンが第一電離した成分(それぞれNaHSO、NaHS、NaHS)の水溶液である。以下に、その反応式を示す。
【0066】
前記亜硫酸ナトリウム(NaSO)水溶液を用いた場合に想定される正味の反応式は、
4NaSO+2NO→4NaSO+N
となり、チオ硫酸ナトリウム(Na)水溶液を用いた場合に想定される正味の反応式は、
Na+2NO+HO→NaSO+HSO+N
となり、前記亜硫酸ナトリウム(NaSO)とチオ硫酸ナトリウム(Na)との混合水溶液を用いた場合は、上記2式となる。
【0067】
一方、硫化ナトリウム(NaS)と水酸化ナトリウム(NaOH)との混合水溶液を用いた場合は、
NaS+2NO→NaSO4+N
となる。ただしこの場合は、水酸化ナトリウム(NaOH)は溶液の吸収を促進させる補助剤として添加されている。
【0068】
また、アスコルビン酸(C)水溶液を用いた場合は、
4C+2NO→4C+N+4H
となる。
【0069】
以上の中でも、前記溶液55には、亜硫酸ナトリウム(NaSO)水溶液、または前記亜硫酸ナトリウム(NaSO)とチオ硫酸ナトリウム(Na)との混合水溶液を用いることで、特に効率良くNOx(NO)を除去することができる。本件発明者の実験によれば、排気系統50に流入したNOガスおよびNOガスのそれぞれの濃度が、50000ppmおよび5000ppmであったのに対して、浄化されて排出されるガスでは、それぞれ10ppmおよび50ppmと、dryタイプ(触媒使用)の除去装置と同様の高いdeNOx機能を実現している。
【0070】
図1に戻って、メインチャンバ11からのNOガスを回収する第6真空配管501およびサブチャンバ12からのNOガスを回収する第8真空配管502は、それぞれ第6電磁弁V6および第7電磁弁V7から第7真空配管503を介して第4ポンプP4に接続され、NOガスが吸引されることになる。ここで、真空ポンプから成る第4ポンプP4は、定常運転することでポンプ構成部品が膨張して、気密構造となり、真空を保てるようになる。したがって、該第4ポンプP4は、24時間稼働させる必要がある。
【0071】
しかしながら、NOx(NO)除去処理を行っている間は、第8電磁弁V8が「開」とされ、第9真空配管504から第10真空配管505を介して、ミキサー54にNOx(NO)ガスが供給されて、該第4ポンプP4の運転に問題は無いが、NOx(NO)除去処理を行っていないときにも、同様の経路で該第4ポンプP4からミキサー54にガスが供給されると、溶液55が劣化してしまう。そのため、前記第9真空配管504は2つに分岐しており、第8電磁弁V8を「閉」としても、該第4ポンプP4からのガスを排気できるように、第9電磁弁V9が設けられている。
【0072】
以上のように、本実施の形態の排気系統50では、wetタイプ(溶液使用)の窒素酸化物(NOx)の除去(deNOx)装置において、従来の装置では、NOxガスを還元可能な溶液のシャワー中に前記NOxガスを通過させることで除去(deNOx)の反応を行わせているのに対して、溶液55とNOx(NO)ガスとを、半導体製造等でオゾン水の作成などに用いられるマイクロバブル発生器であるミキサー54において混合し、除去(deNOx)の反応を行わせている。これによって、NOx(NO)ガスの溶液55内での滞留時間を長くし、またNOx(NO)ガスが溶液55と接触する表面積を多くすることで、反応効率が高まり、前記NOx(NO)ガスは、Nガスに還元され、貯留槽であるタンク51にて気液分離されて外部へ排出される。こうして、上述のようにdryタイプ(触媒使用)の除去装置と同様の高いdeNOx機能を、wetタイプの除去装置でありながら、コンパクトな構成で実現することができる。
【0073】
また、本実施の形態の排気系統50では、マイクロバブル発生器であるミキサー54がエゼクター方式になっていると、第1のポンプである第5ポンプP5によって溶液55が正常に流れる限り、ガス入口は負圧で吸い込み可能であるけれども、NOガスに対しても、第2のポンプである第4ポンプP4を設けて、ミキサー54に圧送するので、更にガス流量を稼ぐことができる。
【0074】
続いて、滅菌装置1の電気的な制御構成を図6に基づいて説明する。図1では図示を省略しているが、滅菌装置1は、当該滅菌装置1の動作を電気的に制御するための制御装置90を備えている。制御装置90は、情報処理等を行うCPU(中央演算処理装置)を備え、該滅菌装置1の動作制御を行うべくプログラミングされたソフトウェアが実行されることで、図6に示す機能部を具備するように動作する。制御装置90は、機能的に、全体制御部91、ポンプ制御部92、電磁弁制御部93、プラズマ制御部94、ロック制御部95およびドライヤ制御部96を備えている。
【0075】
全体制御部91は、滅菌装置1の全体的な動作モードを管理し、各個別の制御部92〜96に対して動作モードの変更および維持を通知する制御信号を与える。第1および第2濃度センサ111、121が計測するメインチャンバ11およびサブチャンバ12内のNOの濃度データ、第1および第2圧力センサ112、122が計測するメインチャンバ11およびサブチャンバ12内の圧力データは、全体制御部91に入力される。全体制御部91は、これらの濃度データおよび圧力データ、図略のタイマー装置から与えられるタイムデータ等に基づいて、滅菌装置1の動作モードを管理する。
【0076】
ポンプ制御部92は、前記動作モードに応じて、第1〜第4ポンプP1〜P4に対して、個別にポンプ動作の実行および停止を制御する制御信号を与える。電磁弁制御部93は、前記動作モードに応じて、第1〜第8電磁弁V1〜V8に対して、個別に弁を「開」または「閉」とする制御信号を与える。
【0077】
プラズマ制御部94は、マイクロ波供給装置60に、その起動または停止を制御する制御信号を与える。すなわちプラズマ制御部94は、プラズマ発生ノズル31においてプラズマを発生させる期間を制御する。
【0078】
ロック制御部95は、チャンバロック装置13の動作を制御する。チャンバロック装置13は、メインチャンバ11が備える被処理物の搬出入用の開閉ドアをインターロックする装置である(図1では図示省略)。メインチャンバ11の前記ドアは、被処理物に対する一連の滅菌処理工程中は、安全確保のために、このチャンバロック装置13でロックされる。
【0079】
ドライヤ制御部96は、エアドライヤ21のON−OFF動作を制御する。湿度センサ22が計測する湿度データは、ドライヤ制御部96に出力される。ドライヤ制御部96は、前記湿度データが、エアドライヤ21が動作障害を起こしていることを示す異常値であるとき、異常信号を全体制御部91に出力し、ユーザにその異常を報知させる。
【0080】
図7は、制御装置90による滅菌装置1の制御動作を示すタイミングチャートである。また、図8は、図7の各工程における第1〜第5ポンプP1〜P5の制御状態を示す表形式の図、同様に図9は、第1〜第9電磁弁V1〜V9の制御状態を示す表形式の図である。図8において○印はポンプが動作し、×印はポンプが停止している状態をそれぞれ示し、図9において○印は電磁弁が「開」とされ、×印は「閉」とされている状態をそれぞれ表している。なお、図7の横欄の一つの「工程の内容」欄と、図8および図9の最左縦欄の「工程」欄とがリンクしている。
【0081】
時刻T1は、ユーザにより滅菌装置1のスタートボタンが押下され、一連の滅菌処理工程が開始される時刻である。滅菌処理工程は、図7に示されているように、被処理物を真空乾燥させる第1乾燥工程、滅菌材としてのNOガスを生成する滅菌準備工程、被処理物をNOガスと接触させて被処理物を滅菌する滅菌工程、滅菌処理後に残留したNOガスを浄化(deNOx)する排ガス無害化工程、および被処理物を再度乾燥させる第2乾燥工程を含む。なお、時刻T1の前に、医療用器具などの被処理物がメインチャンバ11内に収容されているものとする。
【0082】
第1乾燥工程は、メインチャンバ11およびサブチャンバ12内を高度に真空引きする排気工程と、一定時間だけ状態を維持する保持工程と、サブチャンバ12内にNOガスの生成原料となる乾燥空気を導入する吸気工程とからなる。
【0083】
制御装置90の全体制御部91は、時刻T1に、まずメインチャンバ11の開閉ドアのロック指示をロック制御部95に与える。これを受けてロック制御部95は、チャンバロック装置13を駆動し、メインチャンバ11の開閉ドアをインターロックする。併せて、上記排気工程の実行のため、動作モードを「排気モード」に設定し、各個別制御部92〜96にそのモード設定信号を通知する。
【0084】
排気モードが設定されると、ポンプ制御部92は、第3ポンプP3を動作させ、電磁弁制御部93は第4、第6電磁弁V4、V6を「開」とする。一方、前述のように、第4ポンプP4は常時運転であり、図8では省略している。また、前述のように、第9電磁弁V9も「開」状態である。こうして、サブチャンバ12から、第4真空配管401、メインチャンバ11、第6真空配管501および第7真空配管503を連通して、第4ポンプP4から第9真空配管504に至る排気路が形成される。そして、第3、第4ポンプP3、P4の駆動によって、メインチャンバ11およびサブチャンバ12内は真空引きされる。
【0085】
全体制御部91は、第1、第2圧力センサ112、122から圧力データを所定のサンプリング周期毎に受け取り、メインチャンバ11およびサブチャンバ12の圧力を監視する。圧力データに基づき、時刻T2で所定の真空度(図7では1Torrを例示)に達したと判定すると、全体制御部91は、上記保持工程の実行のため、動作モードを「保持モード」に設定する。
【0086】
保持モードは、第1〜第3、第5ポンプP1〜P3、P5が停止され、第1〜第8電磁弁V1〜V8が「閉」とされるモードである。なお、図8および図9では、この保持モードに対応する保持工程の状態の記載は省いている。したがって、保持モードが設定されると、ポンプ制御部92は、第3ポンプP3を停止させ、電磁弁制御部93は第4、第6電磁弁V4、V6を「閉」とする。全体制御部91は、時刻T2からタイマー装置に計時を開始させ、所定時間が経過する時刻T3まで保持モードを維持する。この保持工程が一定時間継続されることで、メインチャンバ11内、ならびにそこに収容されている被処理物、およびサブチャンバ12の内部から充分に空気が抜け、それらが乾燥状態となる。また、前記保持工程が一定時間継続されることで、メインチャンバ11およびサブチャンバ12内の真空状態が安定する。
【0087】
時刻T3になると、全体制御部91は、上記吸気工程の実行のため動作モードを「吸気モード」に設定する。吸気工程は、減圧下にあるサブチャンバ12内に乾燥空気を導入することを目的とするので、ポンプ制御部92は第1ポンプP1を動作させ、電磁弁制御部93は第1電磁弁V1を「開」とする。また、ドライヤ制御部96は、エアドライヤ21を稼働させる。かかる状態とされることで、第1ポンプP1により外部から吸引された空気が、エアドライヤ21で高度に乾燥されながら、第1常圧配管201と第1真空配管202とを通して、サブチャンバ12内に導入される。なお、第4、第5、第6、第7電磁弁V4、V5、V6、V7は、「閉」のままであるので、メインチャンバ11内は、この吸気工程の間(および次の滅菌準備工程の間)も乾燥工程が継続される。
【0088】
吸気モードの間、全体制御部91は、第2圧力センサ122から圧力データをサンプリング周期毎に受け取り、サブチャンバ12の圧力を監視する。圧力データに基づき、時刻T4で常圧(760Torr)に達したと判定すると、全体制御部91は吸気モードを終了する。また、ポンプ制御部92は第1ポンプP1を停止させ、電磁弁制御部93は第1電磁弁V1を「閉」とし、ドライヤ制御部96は、エアドライヤ21を停止させる。
【0089】
続いて、滅菌準備工程が実行される。この工程は、サブチャンバ12内を所定濃度の滅菌ガスで充満させるために、プラズマで空気を電離してNOガスを生成するプラズマ工程からなる。
【0090】
詳しくは、時刻T4で全体制御部91は、上記プラズマ工程の実行のため動作モードを「プラズマモード」に設定する。プラズマモードが設定されると、ポンプ制御部92は第2ポンプP2を動作させ、電磁弁制御部93は第2、第3電磁弁V2、V3を「開」とする。これにより、サブチャンバ12、第2真空配管301、第2常圧配管303および第3真空配管302で構成される一つの密閉空間が形成され、該密閉空間内を空気(NOガス)が循環可能となる。
【0091】
また、時刻T4の時点で、プラズマ制御部94はマイクロ波供給装置60を動作させる。これによりマイクロ波供給装置60はプラズマ発生ノズル31にマイクロ波エネルギーを供給し、該プラズマ発生ノズル31でプラズマが発生し、該プラズマ発生ノズル31を通過する空気はNOガスに変換される。この状態が継続されることで、サブチャンバ12内の空気は、徐々にNOガスに変換されてゆく。
【0092】
このプラズマモードの間、全体制御部91は、第2濃度センサ121からNOの濃度データをサンプリング周期毎に受け取り、サブチャンバ12のNO濃度を監視する。濃度データに基づき、時刻T5でNO濃度が所定値、たとえば前記50000ppmに達したと判定すると、全体制御部91はプラズマモードを終了する。これに伴い、プラズマ制御部94はマイクロ波供給装置60の動作を停止させ、次の滅菌工程に移る。或いは、プラズマモードでマイクロ波供給装置60を動作させたまま、滅菌工程に移ってもよい。
【0093】
滅菌工程は、常圧下でサブチャンバ12内に充満しているNOガスを、被処理物を収容し高真空下にあるメインチャンバ11内に、両チャンバの圧力差を利用して一気に導入すると共に、NOガスと被処理物とを充分な滅菌に適した一定時間だけ接触させる工程である。
【0094】
詳しくは、時刻T5で全体制御部91は、上記滅菌工程の実行のため動作モードを「循環モード」に設定する。循環モードが設定されると、ポンプ制御部92は第3ポンプP3を動作させ、電磁弁制御部93は第4、第5電磁弁V4、V5を「開」とする。これにより、メインチャンバ11とサブチャンバ12とは、第4真空配管401および第5真空配管402とで繋がれた、一つの密閉空間となる。この結果、減圧下のメインチャンバ11内には急激にNOガスが入り込み、チャンバ内の被処理物が良好にNOガスに曝される。たとえば被処理物がカテーテルのような細長いチューブであっても、そのチューブ内の微小空間にまでNOガスが行き渡る。したがって、被処理物の良好な殺菌を行い得る。
【0095】
NOガスのメインチャンバ11への導入が進むにつれ、メインチャンバ11とサブチャンバ12との圧力差は減少してゆく。そして、ある時刻T51で、両チャンバの圧力は平衡することになる。時刻T51以降は、専ら第3ポンプP3の動作によって、サブチャンバ12のNOガスがメインチャンバ11に送られる。したがって、この時刻T51までは、第5真空配管402でのガスの流れは逆方向となり、時刻T51からは、サブチャンバ12→第3ポンプP3→第4真空配管401→第4電磁弁V4→メインチャンバ11→第5電磁弁V5→第5真空配管402→サブチャンバ12の一方向の循環経路が形成される。全体制御部91は、時刻T5からタイマー装置に計時を開始させ、所定時間が経過する時刻T6まで循環モードを維持する。
【0096】
なお、メインチャンバ11の容量に比べて、サブチャンバ12の容量が小さい場合、収容した被処理物の容量が小さく、NOガスが多く必要な場合、或いは滅菌工程でのNOガスの濃度を上げて短時間に処理したい場合などには、プラズマ制御部94は、前記滅菌準備工程の終了時点で停止していたマイクロ波供給装置60の動作を適宜再開させて、いわゆる追い炊きの機能を実現してもよく、或いは、前述のように滅菌準備工程からこの滅菌工程の間中、連続して、マイクロ波供給装置60を動作させるようにしてもよい。
【0097】
このような滅菌工程により、被処理物は滅菌された状態となるが、メインチャンバ11およびサブチャンバ12内には、NOガスや、滅菌反応により生成された物質が残存している。これらを浄化するため、排ガス無害化工程が実行される。この工程は、メインチャンバ11およびサブチャンバ12内を常圧に復帰させる復帰工程と、残留NOガスを浄化する浄化工程とからなる。
【0098】
詳しくは、時刻T6になると、全体制御部91は、上記復帰工程の実行のため動作モードを「復帰モード」に設定する。復帰モードが設定されると、ポンプ制御部92は第1ポンプP1を新たに動作させ、第3ポンプP3の運転を継続させる。電磁弁制御部93は、第1、第4電磁弁V1、V4を「開」とする。この結果、減圧状態にあるメインチャンバ11及びサブチャンバ12内に、第1常圧配管201、第1真空配管202および第4真空配管401を介して外気が導入される。
【0099】
復帰モードの間、全体制御部91は、第1、第2圧力センサ112、122から圧力データをサンプリング周期毎に受け取り、メインチャンバ11およびサブチャンバ12の圧力を監視する。圧力データに基づき、時刻T7で両チャンバ内が常圧に達したと判定すると、全体制御部91は復帰モードを終了する。
【0100】
時刻T7で全体制御部91は、浄化工程の実行のために動作モードを「浄化モード」に設定する。浄化モードが設定されると、ポンプ制御部92は、第1、第2、第3、第5ポンプP1、P2、P3、P5、すなわち総てのポンプを動作状態とし、電磁弁制御部93は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8電磁弁V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、すなわち第9電磁弁V9以外を「開」とする。
【0101】
これによって、吸気系統20から乾燥空気を取り入れながら、メインチャンバ11およびサブチャンバ12内の残留NOガスは、ミキサー54で浄化されてゆく。浄化モードの間、全体制御部91は、第1、第2濃度センサ111、121からNOの濃度データをサンプリング周期毎に受け取り、メインチャンバ11およびサブチャンバ12のNO濃度を監視する。濃度データに基づき、時刻T8でNO濃度が所定値以下に低下したと判定すると、全体制御部91は浄化モードを終了する。このとき、ポンプ制御部92は、第1、第2、第5ポンプP1、P2、P5を停止させ、電磁弁制御部93は、第1、第2、第3、第5、第7、第8電磁弁V1、V2、V3、V5、V7、V8電磁弁を「閉」とし、第9電磁弁V9を「開」とする。
【0102】
最後に、第2乾燥工程が実行される。この工程は、滅菌処理後の被処理物を乾燥させるとともに、メインチャンバ11およびサブチャンバ12内を掃気し、かつ残留物を除去するための工程であって、排気工程、保持工程および復帰工程とからなる。これらの各工程は、先に説明したものと同じ動作の工程である。
【0103】
すなわち、時刻T8で全体制御部91は、上記排気工程の実行のため動作モードを「排気モード」に設定する。このとき既に第3ポンプP3は運転しており、ポンプ制御部92は、その運転を継続させる。電磁弁制御部93は、第4、第6、第9電磁弁V4、V6、V9の「開」を維持する。これにより、メインチャンバ11およびサブチャンバ12は真空引きされる。このとき、第4ポンプP4から電磁弁V9を通して、浄化後の無害な気体が排出される。なお、この「排気モード」の際、第2、第3電磁弁V2、V3を「閉」とすることで、真空に対する耐性が比較的弱いプラズマ発生ノズル31を保護することができる。
【0104】
全体制御部91は、第1、第2圧力センサ112、122から圧力データをサンプリング周期毎に受け取り、メインチャンバ11およびサブチャンバ12の圧力を監視する。圧力データに基づき、時刻T9で所定の真空度に達したと判定すると、全体制御部91は、上記保持工程の実行のため、動作モードを「保持モード」に設定する。これにより、第1〜第3、第5ポンプP1〜P3、P5が停止され、第1〜第8電磁弁V1〜V8が「閉」とされる。
【0105】
全体制御部91は、時刻T9からタイマー装置に計時を開始させ、所定時間が経過する時刻T10まで保持モードを維持する。この保持工程が一定時間継続されることで、被処理物が乾燥状態とされ、またメインチャンバ11およびサブチャンバ12の内部が清浄化される。
【0106】
時刻T10になると、全体制御部91は動作モードを「復帰モード」に設定する。復帰モードが設定されると、ポンプ制御部92は、第1、第3ポンプP1、P3を動作させ、電磁弁制御部93は第1、第4、第5電磁弁V1、V4、V5を「開」とする。この結果、減圧状態にあるメインチャンバ11およびサブチャンバ12内に外気が導入される。
【0107】
復帰モードの間、全体制御部91は、第1、第2圧力センサ112、122から圧力データをサンプリング周期毎に受け取り、メインチャンバ11およびサブチャンバ12の圧力を監視する。圧力データに基づき、時刻T11で両チャンバ内が常圧に達したと判定すると、全体制御部91は復帰モードを終了する。さらに、ロック制御部95を介してチャンバロック装置13を駆動し、メインチャンバ11の開閉ドアのインターロックを解除する。この解除によって、ユーザは被処理物をメインチャンバ11から取り出せるようになる。
【0108】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば下記(1)〜(4)の変形実施形態を取ることができる。
【0109】
(1)上記実施形態では、マイクロ波供給装置60およびプラズマノズル31を用いて、空気をプラズマ化することで滅菌ガスを生成する例を示した。これに代えて、2つの電極間にアーク放電を生じさせることでプラズマを発生させる方法を採用してもよい。
【0110】
(2)上記実施形態では、無害化処理の際、サブチャンバ12に付設されているガス供給源30に、該サブチャンバ12内で浄化されつつある残留NOガスを循環させる例を示した。これに代えて、無害化処理時には第2電磁弁V2および第3電磁弁V3を「閉」とし、ガス供給源30には残留NOガスが流通されないようにしてもよい。あるいは、残留NOガスがサブチャンバ12に循環されないようにし、メインチャンバ11と排気系統50との間だけで残留NOガスを循環させ、これを浄化するようにしてもよい。
【0111】
(3)上記実施形態では、メインチャンバ11内を減圧した状態で滅菌処理を行う例を示したが、常圧で滅菌処理を行うようにしてもよい。
【0112】
(4)上記実施形態では、メインチャンバ11とサブチャンバ12とが1:1で設けられる例を示した。これに代えて、1つのサブチャンバ12から複数のメインチャンバ11に滅菌ガスを供給可能な構成としてもよい。逆に、1つのメインチャンバ11に複数のサブチャンバ12から滅菌ガスを供給する構成としてもよい。この場合、異種の滅菌ガスを各サブチャンバ12から供給することもできる。
【符号の説明】
【0113】
1 滅菌装置
11 メインチャンバ
12 サブチャンバ
20 吸気系統
30 ガス供給源
31 プラズマ発生ノズル
40 連係系統
50 排気系統
51 タンク
52 ストレーナ
53 流量計
54 ミキサー
60 マイクロ波供給装置
61 マイクロ波発生装置
62 導波管
63 アイソレータ
64 カプラ
90 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロバブル発生器と、
前記マイクロバブル発生器内に充填され、少なくとも窒素酸化物ガスと反応する溶液と、
前記溶液を前記マイクロバブル発生器に圧送する第1のポンプと、
前記マイクロバブル発生器からのマイクロバブルを含んだ溶液を蓄積する貯留槽とを含み、
前記マイクロバブル発生器にて、前記窒素酸化物ガスを、前記溶液にマイクロバブル化して溶け込ませることを特徴とする窒素酸化物の除去装置。
【請求項2】
前記マイクロバブル発生器は、
剪断方式のマイクロバブル発生器であり、その外形が筒状に形成され、
前記溶液が前記第1のポンプから圧送され、その溶液を前記筒の周方向に螺旋回転させるガイドベーン室と、
前記ガイドベーン室の後方で、かつ軸直角断面の中心付近に開口を有し、前記開口から前記窒素酸化物ガスを導入して前記溶液に混合するエゼクターパイプと、
前記ガイドベーン室に連なり、内壁面にキノコ状の突起を有することで、前記ガイドベーン室から送られてきた溶液と、前記開口から送られてきた窒素酸化物ガスとを共に微細に粉砕し、得られたミクロな気泡粒子群を衝突・反応させることで、前記マイクロバブルを発生させるカレントカッター室とを備えて構成されることを特徴とする請求項1記載の窒素酸化物の除去装置。
【請求項3】
前記窒素酸化物ガスを加圧して前記マイクロバブル発生器に圧送する第2のポンプを備えることを特徴とする請求項1または2記載の窒素酸化物の除去装置。
【請求項4】
前記溶液の流量/ガスの流量の比率は、0.66以上、特に好ましくは1.15以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の窒素酸化物の除去装置。
【請求項5】
前記溶液は、亜硫酸ナトリウム(NaSO)、チオ硫酸ナトリウム(Na)、硫化ナトリウム(NaS)、アスコルビン酸(C)の水溶液、またはそれらの一部の混合溶液、もしくは前記の溶液のNaをKや他の金属イオンに置換した溶液、或いは前記亜硫酸ナトリウム(NaSO)、チオ硫酸ナトリウム(Na)、硫化ナトリウム(NaS)の陰イオンが第一電離した成分(それぞれNaHSO、NaHS、NaHS)の水溶液であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の窒素酸化物の除去装置。
【請求項6】
前記溶液は、亜硫酸ナトリウム(NaSO)水溶液、または前記亜硫酸ナトリウム(NaSO)とチオ硫酸ナトリウム(Na)との混合水溶液であることを特徴とする請求項5記載の窒素酸化物の除去装置。
【請求項7】
前記貯留槽から外気へは、開閉制御可能な弁または逆止弁が介在されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の窒素酸化物の除去装置。
【請求項8】
前記窒素酸化物ガスを生成するガス供給源と、
前記ガス供給源から供給された窒素酸化物ガスが充填され、滅菌処理を行うべき処理室と、
前記処理室で使用された前記窒素酸化物ガスを無害化する前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の窒素酸化物の除去装置とを備えて構成されることを特徴とする滅菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−604(P2013−604A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130470(P2011−130470)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(310017552)株式会社サイアン (17)
【Fターム(参考)】