説明

窒素酸化物吸蔵還元触媒、その製造方法、及びそれを含む窒素酸化物浄化システム

【課題】
窒素酸化物吸蔵及び還元能力が優れており、劣化前後もSO化前後も窒素酸化物吸蔵及び還元能力が優れており、低温環境でも窒素酸化物吸蔵及び還元能力を有する窒素酸化物吸蔵還元触媒の開発。
【解決手段】
アルカリ金属又はアルカリ土金属の何れか一方とアルミナを含む担体と、アルカリ金属、アルカリ土金属又は希土類元素からなる群から選択される1種以上の窒素酸化物吸蔵元素と、白金、パラジウム、ルテニウム、銀、金、及びロジウムからなる群から選択される1種以上の貴金属と、を含む窒素酸化物吸蔵還元触媒を提供する。
アルカリ金属又はアルカリ土金属の何れか一方とアルミナを含む担体は、リチウム又はマグネシウムの何れか一方とアルミナを含む担体であることがより好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素酸化物吸蔵還元触媒、その製造方法、及びそれを含む窒素酸化物の浄化システムに係り、より詳しくは、窒素酸化物吸蔵及び還元能力が優れており、劣化前後もSO化前後も窒素酸化物吸蔵及び還元能力が優れており、低温環境でも窒素酸化物吸蔵及び還元能力を有する窒素酸化物吸蔵還元触媒、その製造方法、及び窒素酸化物吸蔵還元触媒を含む窒素酸化物の浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
窒素酸化物(NOx)は内燃機関を搭載した自動車から排出される代表的な有害排出物であって、一酸化窒素(NO)及び二酸化窒素(NO)を含む。このような窒素酸化物は、呼吸器疾患である肺気腫、気管支炎などの原因となり、光化学的反応により光化学スモッグの原因となるオゾンを発生させることが知られている。
【0003】
最近は内燃機関のエネルギー効率を向上させ、それによって二酸化炭素の排出を減少させるために、リーンバーンエンジンが活発に開発されている。しかし、リーンバーンエンジン内は非常に高い酸化環境が形成されるために、リーンバーンエンジンから排出される窒素酸化物は既存の三元触媒では除去することが難しいということが広く知られている。
【0004】
窒素酸化物(NOx)による病気と環境問題を解決するためにヨーロッパでは、EURO3、EURO4、EURO5及び最近のEURO6につながる強力な規制を宣言した。このように自動車製造産業分野では、自動車排出ガスの規制が年々厳格になっていくので、既存の触媒で除去し難いNOxの排出量を減少させるために、新たなエンジン技術の開発と共に、排気ガスの後処理のための技術開発が活発に行われている。
【0005】
このような排気ガス処理技術開発の一環として、窒素酸化物吸蔵還元触媒の開発に対して関心が高まっている。窒素酸化物吸蔵還元触媒を用いた窒素酸化物の浄化技術は、酸素分圧が高い排気ガス条件下で窒素酸化物を吸着し、炭化水素分圧が高い排気ガス条件で窒素酸化物を炭化水素によって還元し、窒素と二酸化炭素のような無害の物質に還元する方法である。
【0006】
このような窒素酸化物吸蔵還元触媒技術は、リーンバーン燃焼条件で正常作動が可能であると共に、既存の排気装置を僅かに改造するだけで用いることができるので、追加的な設置費用をかけずに、EURO6のような排気ガス規制に効果的に対応することができるため、脚光を浴びている。
【0007】
代表的な吸蔵還元触媒としては、アルミナを担体とし、Baを吸蔵物質とし、白金のような貴金属を窒素酸化物還元触媒として含む窒素酸化物吸蔵還元触媒が挙げられる(例えば特許文献1を参照)。このような貴金属触媒の発展により窒素酸化物吸蔵還元に関する技術は進歩している。しかし現在まで提案された窒素酸化物吸蔵還元触媒は、劣化前後及びSO化前後とも吸蔵活性及び還元能力が低下するという問題点が指摘されている。
【0008】
特に、ディーゼルエンジンが装着された排気パイプのように、低圧縮比を示す環境及び200℃程度の低温環境でも触媒活性が低下することなく、窒素酸化物の吸蔵及び還元能に優れた効果を発揮する触媒の開発が急がれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−16466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、窒素酸化物吸蔵及び還元能力が優れており、劣化前後もSO化前後も窒素酸化物吸蔵及び還元能力が優れており、低温環境でも窒素酸化物吸蔵及び還元能力を有する窒素酸化物吸蔵還元触媒、及びその製造方法を提供、及び窒素酸化物吸蔵還元触媒を含む窒素酸化物浄化システムを提供することにある。
本発明のまた他の目的は、排気パイプに装着された排気装置を用いて、排気ガスに含まれる窒素酸化物を浄化する窒素酸化物浄化システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための本発明の窒素酸化物吸蔵還元触媒は、アルカリ金属又はアルカリ土金属とアルミナの何れか一方を含む担体と、アルカリ金属、アルカリ土金属又は希土類元素からなる群から選択される1種以上の窒素酸化物吸蔵元素と、白金、パラジウム、ルテニウム、銀、金、及びロジウムからなる群から選択される1種以上の貴金属と、を含むことを特徴とする。
【0012】
また本発明は、アルカリ金属又はアルカリ土金属の何れか一方とアルミナを含む担体が、リチウム又はマグネシウムの何れか一方とアルミナを含む担体であり、窒素酸化物吸蔵元素が、カリウム、バリウム、ナトリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。
【0013】
また本発明は、担体が、下記の式(1)
[Z−Al(OH)]X・yHO(LiAl−X)]・・・(1)
で表され、層状複水酸化物構造を有することが好ましい(但し、Zは、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、又はRaであり、Xは、Cl、Br、NO、CO−2、又はSO−2であり、yは、0.5〜4の有理数である)。
【0014】
また本発明は、窒素酸化物吸蔵還元触媒全体の重量を100重量%とした場合に、担体は65〜95重量%、窒素酸化物吸蔵元素は4.5〜35重量%、及び貴金属は0.2〜3重量%である。
また本発明は、リチウムとアルミナを含む担体に、カリウムと、白金又は/及びパラジウムが担持された触媒である。
【0015】
また本発明の窒素酸化物吸蔵還元触媒の製造方法は、アルカリ金属の水酸化物又はアルカリ土金属の水酸化物に炭酸塩を加えた水溶液と、硝酸アルミニウムの水溶液と、を混合して混合液とする段階と、混合液を撹拌し、乾燥した後、焼成してアルカリ金属又はアルカリ土金属の何れか一方とアルミナを含む担体を製造する段階と、アルカリ金属又はアルカリ土金属の何れか一方とアルミナを含む担体に、アルカリ金属、アルカリ土金属、又は希土類元素からなる群より選択される1種以上の窒素酸化物吸蔵元素を含浸し、窒素酸化物吸蔵元素を含浸する担体を製造する段階と、窒素酸化物吸蔵元素を含浸する担体を乾燥し、焼成して窒素酸化物吸蔵元素を含有する担体を製造する段階と、窒素酸化物吸蔵元素を含有する担体に、白金、パラジウム、ルテニウム、銀、金、及びロジウムからなる群より選択される1種以上の貴金属を含浸して、触媒前駆体を製造する段階と、触媒前駆体を乾燥し、焼成する段階と、を有することを特徴とする。
【0016】
また本発明は、アルカリ金属又はアルカリ土金属の何れか一方とアルミナを含む担体が、500〜800℃の温度で3〜8時間焼成して製造され、窒素酸化物吸蔵元素を含浸する担体と、触媒前駆体とが、何れも400〜600℃の温度で3〜6時間焼成して製造されることが好ましい。
【0017】
また本発明の窒素酸化物浄化システムは、排気パイプに装着された排気装置を用い、排気ガスに含まれる窒素酸化物を浄化する窒素酸化物浄化システムにおいて、排気装置は排気パイプ又はエンジンに装着されて燃料を追加噴射するインジェクターと、インジェクターの後端の排気パイプに装着され、追加噴射された燃料を、熱分解を通じて高反応性の還元剤に変換させるディーゼル燃料分解触媒と、ディーゼル燃料分解触媒の後端の排気パイプに装着され、排気ガスに含まれる窒素酸化物を貯蔵し、追加噴射される燃料により、貯蔵された窒素酸化物を脱着して高反応性の還元剤との酸化還元反応を通じて還元させる請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の窒素酸化物吸蔵還元触媒を含む窒素酸化物浄化触媒システムと、エンジンの運転条件に応じて燃料の追加噴射を制御する制御部と、を含むことを特徴とする。
【0018】
また本発明は、窒素酸化物浄化触媒システムが、ゼオライト触媒又は多孔性アルミナ担体と、アルカリ金属、アルカリ土金属、又は希土類元素の窒素酸化物吸蔵元素と、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、タングステン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、及び亜鉛からなる群より選択される1種以上の金属と、を含む触媒を更に含むことが好ましい。
【0019】
また本発明は、ゼオライト触媒が、銅、白金、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、金、セリウム、及びガリウムからなる群より選択される1種以上の元素にイオン交換されたものである。
また本発明は、排気パイプが、圧縮比17以下のディーゼルエンジンの排気パイプであることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明による窒素酸化物吸蔵還元触媒は、窒素酸化物吸蔵及び還元能力に優れており、劣化前後及びSO化前後にも吸蔵及び還元能力に優れており、特に低温環境でも活性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例1〜3による窒素吸蔵還元触媒と比較例1〜3によるアルミナを担体とした窒素吸蔵還元触媒とのTPR試験の結果を示す図面である。
【図2】(A)は、本発明の実施例2の窒素吸蔵還元触媒のSO吸着能を示した図面であり、(B)は比較例2の触媒のSO吸着能を比較して示した図面である。
【図3】本発明の実施例2の窒素吸蔵還元触媒のSO化前及びSO化後の窒素酸化物吸着量の低減程度を示した図面である。
【図4】比較例2の窒素吸蔵還元触媒のSO化前及びSO化後の窒素酸化物吸着量の低減程度を示した図面である。
【図5】本発明の実施例2による窒素吸蔵還元触媒表面と比較例2の窒素吸蔵還元触媒表面のTPD試験の結果を比較して示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の具体的な実施形態による窒素酸化物吸蔵還元触媒、その製造方法、及びそれを含む窒素酸化物の浄化システムについて、添付した図面を参照しながら詳しく説明する。
本発明の1実施形態による「窒素酸化物吸蔵還元触媒」(Catalyst for NOxStorage and Reduction、以下、「NSR触媒」と記す)は、アルカリ金属又はアルカリ土金属の何れか一方とアルミニウムを含む担体と、アルカリ金属、アルカリ土金属、及び希土類元素から選ばれる1種以上の窒素酸化物吸蔵元素と、白金、パラジウム、ルテニウム、銀、金、及びロジウムからなる群から選ばれる1種以上の貴金属と、を含む。
【0023】
本発明の発明者らは、アルカリ金属又はアルカリ土金属の何れか一方とアルミニウムを含む担体に担持されたNSR触媒は、アルミナ又はシリカのような金属酸化物の担体を含む従来のNSR触媒に比べて、窒素酸化物吸蔵能力及び還元能力が優れており、更に、劣化前後及びSO化前後にも吸蔵及び還元能力に優れており、特に低温環境でも活性が改善されることを発見して本発明を完成した。
【0024】
図1は、本発明の実施例1〜3による窒素吸蔵還元触媒と比較例1〜3によるアルミナを担体とした窒素吸蔵還元触媒とのTPR試験の結果を示した図面である。より詳細には、本発明の実施例によるアルカリ金属とアルミナを含む担体を含むNSR触媒と、従来からNSR触媒として代表的に使用される白金、パラジウム、又は白金とパラジウム(還元触媒)/K(窒素酸化物吸蔵元素)/アルミナを含むNSR触媒と、の窒素酸化物還元能力を比較して示したTPR(Temperature Programmed Redcution)特性分析データである。
【0025】
図1に示すように、本発明の実施例1〜3によるNSR触媒は、従来に使用されていたNSR触媒に比べ、200℃程度の低温領域でも窒素酸化物還元能力に優れていることが分かる。
【0026】
一方、NSR触媒として実用化されるためには、窒素酸化物の還元能以外にも、SO化(sulfation)後にも窒素酸化物の吸着能力及び還元能の活性を維持しなければならない。従来のNSR触媒の場合には、SO被毒による窒素酸化物の吸着能力及び還元能力の低下が問題点として指摘されていた。
【0027】
図2は、(A)は、本発明の実施例2の窒素吸蔵還元触媒のSO吸着能を示した図面であり、(B)は比較例2の触媒のSO吸着能を比較して示した図面である。
図2のSO化の条件は、下記の実験例でより具体的に説明するが、水が含まれた条件でSOをリチウムとアルミナを担体とするNSR触媒と、従来のアルミナを担体とするNSR触媒と、にそれぞれ吸着させ、生成する硫黄化合物が何であるかを確認して示したものである。
【0028】
図2(A)に示すように、本発明の実施例2によるNSR触媒は、図2(B)に示す、比較例2のアルミナを担体として含むNSR触媒に比べて、SOによる被毒速度が低いことがわかる。
つまり、本発明の一実施例によるNSR触媒の場合、従来のアルミナを担体とするNSR触媒に比べてSOが触媒表面に吸着される速度が遅いことが分かった。
【0029】
このような硫黄化合物による被毒速度と関連し、低温でのNSR触媒の被毒速度と関連し、SO化反応前及びSO化反応後の窒素酸化物吸着量の低減程度を比較して示したものが図3、4である。
【0030】
図3は、本発明の実施例2の窒素吸蔵還元触媒のSO化前及びSO化後の窒素酸化物吸着量低減程度を比較して示した図面であり、図4は、比較例2の窒素吸蔵還元触媒のSO化前及びSO化後の窒素酸化物吸着量低減程度を示した図面である。
【0031】
図3に示したように、本発明の実施例2によるNSR触媒は、SO化後の窒素酸化物の吸着能力の低下が19%であるが、図4に示す、引用例2のNSR触媒の場合、SO化後の吸着能力の低下が37%であった。
【0032】
触媒の親水性と耐硫黄性の関連を調べる目的で、本発明の実施例2のNSR触媒と、アルミナを担体とする比較例2のNSR触媒のHO−TPD実験結果を行った。
図5は、本発明の実施例2による窒素吸蔵還元触媒表面と比較例2の窒素吸蔵還元触媒表面のTPD試験の結果を比較して示した図面である。
図5に示すように、実施例2のアルカリ金属とアルミナを担体とするNSR触媒は疎水性を有して耐硫黄性を示し、引用例2のアルミナを担体とするNSR触媒の場合、親水性を示して耐硫黄性が低下した。
【0033】
本発明のNSR触媒の担体は、アルカリ金属又はアルカリ土金属の何れか一方とアルミナを含むものであれば、その構成に限定はないが、より優れた耐硫黄性及び低温での優れた還元能のために、好ましくはリチウム又はマグネシウムの何れか一方ととアルミナを含む担体である。
【0034】
本発明のNSR触媒の窒素酸化物吸蔵元素は、従来の窒素酸化物吸蔵還元触媒の吸蔵元素として使用されるものであれば、その構成に限定なく使用することができる。具体的に窒素酸化物吸蔵元素は、カリウム、バリウム、ナトリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群より選択される1種以上を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
本発明のNSR触媒の担体は、下記の化学式(1)、
[Z−Al(OH)]X・yHO(LiAl−X)] (1)
で表される層状二重水酸化物(Layered Double Hydroxides)構造である(但し、前記化学式で、Zは、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、又はRaであり、Xは、Cl、Br、NO−3、CO−2又はSO−2であり、yは、0.5〜4の有理数である)。
【0036】
前記のような化学式で表される層状二重水酸化物構造を示す担体を使用する場合、低温でも触媒の活性が改善され、耐硫黄性にも優れている。
本発明に係る触媒は、最も好ましくはリチウムとアルミナを含む担体と、吸蔵元素としてカリウムと、窒素酸化物還元触媒として白金又は/及びパラジウムを含むものである。
【0037】
前述した実施形態によるNSR触媒において、担体、窒素酸化物吸蔵元素及び窒素酸化物還元触媒の構成比率は、その構成に限定はないが、触媒の活性を最適化するために、好ましくは、触媒全体重量を100重量%とした場合に、担体は65〜95重量%、窒素酸化物吸蔵元素は4.5〜35重量%、貴金属は0.2〜3重量%含まれることが好ましい。より好ましくは、担体は触媒全体重量の80〜90重量%、窒素酸化物吸蔵元素は10〜15重量%、貴金属は0.5〜1.5重量%含まれている。
【0038】
本発明はまた、NSR触媒を製造する方法を提供する。具体的には、アルカリ金属の水酸化物又はアルカリ土金属の水酸化物に炭酸塩を加えた水溶液と、沈殿剤である硝酸アルミニウムの水溶液と、を混合する段階と、混合液を撹拌し、乾燥した後、焼成して担体を製造する段階と、担体にアルカリ金属、アルカリ土金属、又は希土類元素からなる群より選択される1種以上の窒素酸化物吸蔵元素を含浸させる段階と、窒素酸化物吸蔵元素を含浸した担体を乾燥し、焼成する段階と、窒素酸化物吸蔵元素を含む担体物に白金、パラジウム、ルテニウム、銀、金、及びロジウムからなる群より選択される1種以上の貴金属を含浸させて触媒前駆体を製造する段階と、触媒前駆体を乾燥し、焼成する段階と、を含む。
【0039】
このような製法により、アルカリ金属又はアルカリ土金属の何れか一方とアルミナを含む担体と、アルカリ金属、アルカリ土金属又は希土類元素から選択される1以上の窒素酸化物吸蔵元素と、白金、パラジウム、ルテニウム、銀、金及びロジウムからなる群より選択される1種以上の貴金属と、を含む窒素酸化物吸蔵還元触媒を製造することができる。
【0040】
より詳細には、アルカリ金属又はアルカリ土金属の何れか一方とアルミナを含む担体は、500〜800℃の温度で3〜8時間焼成することが好ましく、600〜700℃の温度で4〜5時間焼成することがより好ましい。
【0041】
窒素酸化物吸蔵元素を含浸した担体を焼成する段階、及び触媒前駆体を焼成する段階は、何れも400〜600℃の温度で3〜6時間焼成して行なうことが好ましく、最終的に生成される触媒の活性を最適化するために、何れも400〜500℃の温度で4〜5時間焼成することがより好ましい。
このような条件で製造されたNSR触媒は、前述したように、200℃程度の低温条件でも窒素酸化物の還元能力に優れており、耐硫黄性に優れている。
【0042】
一方、本発明の他の実施例によれば、前述したNSR触媒、又は前述した製造方法により製造されるNSR触媒を含む窒素酸化物を浄化システムを提供する。具体的には、排気パイプに装着された排気装置を用いて排気ガスに含まれた窒素酸化物を浄化する窒素酸化物浄化システムにおいて、前記排気装置は排気パイプ又はエンジンに装着されて燃料を追加噴射するインジェクターと、インジェクターの後端の排気パイプに装着され、追加噴射された燃料を熱分解を通じて高反応性の還元剤に変換させるディーゼル燃料分解触媒と、ディーゼル燃料分解触媒の後端の排気パイプに装着され、排気ガスに含まれた窒素酸化物を貯蔵し、追加噴射される燃料により貯蔵された窒素酸化物を脱着して高反応性の還元剤との酸化−還元反応を通じて還元させる、前述した具現例による窒素酸化物吸蔵還元触媒のうちの1種の触媒を含む窒素酸化物浄化触媒システムと、エンジンの運転条件に応じて燃料の追加噴射を制御する制御部と、を含むことが好ましい。
【0043】
窒素酸化物浄化触媒システムは、追加的にゼオライト触媒、又は多孔性アルミナ担体、アルカリ金属、アルカリ土金属又は希土類元素の窒素酸化物吸蔵元素;及び白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、タングステン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅及び亜鉛からなる群より選択される1種以上の金属を含む触媒を追加的に含んでも良い。
【0044】
追加的に含まれるゼオライト触媒又は多孔性アルミナ担体を含む触媒は、好ましくは排気ガスに近接して配置され、排気ガスに含まれた窒素酸化物の一部を燃えていない燃料又は排気ガスに含まれた炭化水素との酸化−還元反応により還元させ、残りの窒素酸化物の一部を本発明の前述した具現例によるアルカリ金属及びアルミナ又はアルカリ土金属及びアルミナの担体を含むNSR触媒に拡散を通じて伝達しても良い。
【0045】
拡散を通じて伝達された窒素酸化物は、アルカリ金属とアルミナの担体、又はアルカリ土金属とアルミナの担体、を含むNSR触媒に貯蔵され、設定された周期に応じて追加噴射される燃料により窒素酸化物を脱着し、還元されて浄化される。
【0046】
そして、追加的に含まれ得るゼオライト触媒は、窒素酸化物吸蔵及び還元触媒として市販されているゼオライト触媒であれば、その構成に限定はないが、銅、白金、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、金、セリウム及びガリウムからなる群より選択される1種以上の元素にイオン交換されたゼオライト触媒であっても良い。
【0047】
このように、銅などの元素にイオン交換されたゼオライト触媒は、特に2次噴射系により噴射されて発生した高反応性還元剤である炭化水素(Hydrocarbon、HC)とNOxが反応してNOx浄化に有利にHCの吸着をより有利にするという点が好ましい。
【0048】
そして、実施例による窒素酸化物浄化システムは、希薄燃焼により追加的に発生する粒子状物質(Particulate Matter)を浄化するためのフィルターを追加的に含んでも良い。このような粒子状物質を浄化するためのフィルターは一般に市販されているものであり、構成の制限がない。
【0049】
一方、窒素酸化物浄化システムの排気パイプは、圧縮比17以下のディーゼルエンジンの排気パイプであっても良い。このような窒素酸化物浄化システムをディーゼルエンジンの排気パイプなどに適用することによって、より効率的に窒素酸化物を浄化することができ、特に低い温度でも窒素還元能に優れており、SO化前後にも窒素酸化物浄化能力の低下現象が緩和され、ディーゼルエンジンを装着した自動車などに有用に適用できると期待される。
【0050】
本発明を下記の実施例に基づいてより詳細に説明する。
[アルカリ金属、及びLi−Alの担体を含むNSR触媒の製造]
【実施例1】
【0051】
[1Pt/10K/Li−Al]触媒の製造
リチウム及びアルミナを含む担体を準備するために、リチウム及びアルミナの前駆体であるLiOH・HOを37.76gと、NaCOを5.087gと、を600mlの水に溶解した後、沈澱剤(precipitation agent)であるAl(NO・9HOを適正法で250ml添加した後、75℃で12〜18時間撹拌し、110℃で10〜15時間乾燥後、700℃で5〜8時間焼成し、リチウム及びアルミナを含む担体を合成した。次いで、得られた担体の全体重量に対してK(potassium)を重量比で10重量%含浸させ、110℃で10〜15時間乾燥した後、500℃で5時間焼成し、更に、得られた触媒全体重量に対して白金に換算して1重量%の白金を含浸させ、110℃で10〜15時間乾燥した後、500℃で5時間焼成して、実施例1に係る[1Pt/10K/Li−Al]触媒を合成した。
【0052】
実施例1で合成したリチウム及びアルミナを含む担体は、X線回折分析によって層状複水酸化物(Layered Double Hydroxides)構造であることが示された。
【実施例2】
【0053】
[0.5Pt、0.5Pd/10K/Li−Al]触媒の製造
実施例1で用いた1重量%の白金の代わりに、0.5重量%の白金と0.5重量%のパラジウムを用いた。その他の点を除いては実施例1と同様な方法で合成し、実施例2に係る触媒を得た。
【実施例3】
【0054】
[1Pd/10K/Li−Al]触媒の製造
実施例1で用いた、1重量%の白金の代わりに、1重量%のパラジウムを用いた。その他の点を除いて実施例1と同様な方法で合成し実施例3に係る触媒を得た。
【0055】
[比較例]
[アルカリ金属、及びアルミナを担体とするNSR触媒の製造]
[比較例1]
[1Pt/20K/Al]触媒の製造
最終の触媒全体重量に対して20重量%のK(potassium)を、担体であるAlに湿式含浸(wet impregnation)法で担持した後、500℃で5時間焼成した。また、最終製造される触媒全体重量に対して1重量%の白金を前記担体及びカリウムを含む焼成物質に実施例1と同様な方法で担持させた後、110℃で10〜15時間乾燥後、500℃で5〜8時間焼成し、比較例1の触媒を得た。
【0056】
[比較例2]
[0.5Pt、0.5Pd/20K/Al]触媒の製造
比較例1で用いた、1w%の白金の代わりに、0.5w%の白金と0.5w%のパラジウムを用いた点を除いては比較例1と同様な方法で比較例2に係る触媒を得た。
【0057】
[比較例3]
[1Pd/20K/Al]触媒の製造
比較例1で、1w%の白金の代わりに、1w%のパラジウムを用いた点を除いては、比較例1と同様な方法で比較例3に係る触媒を得た。
【0058】
[試験例]
実施例1〜3、及び比較例1〜3のNSR触媒の性能を実験するために、下記のような試験を行なった。
[試験例1]
[TPR(Temperature Programmed Reduction)実験]
NOx還元実験を下記のような条件で温度を昇温させながら実施した。
触媒量:100mg、全体流量:30cc/min、分析のためにガスクロマトグラフィーに注入する反応ガスとレファレンスガスの比率は1:1。
実施例1〜3、及び比較例1〜3で合成したNSR触媒それぞれを、500℃で5%の水素を含むアルゴン中で1時間前処理後、500℃で1時間空気で酸化した。各触媒を空気雰囲気中で常温に冷却した後、5%の水素を含むアルゴン中で1〜2時間加熱して、触媒と反応器に物理吸着した酸素分子を除去し、試験サンプルとした。各試験サンプルを、10℃/minの昇温速度で常温から800℃まで昇温して、触媒により消費されたHの量を測定した。
【0059】
試験結果は図1に示した通りである。図1に示したように、比較例1〜3の20%のK/Alを担体とする触媒には、530℃付近に多少ブロードなピークが出現するが、これはAl触媒結果との比較を通じて、K(potassium)に起因するピークであると判断される。K/Al触媒のピーク強度は貴金属を担持させると顕著に減少する現象を示した。
【0060】
実施例1〜3の10%K/Li−Al担体を基盤とする触媒の、約640℃の高温領域で現れるピークは、比較例1〜3の20%K/Al担体を基盤とする触媒との比較を通じて、K(potassium)に起因したピークであると認めることができる。
【0061】
低温領域に出現するピークに関しては、実施例1〜3の貴金属を含みLi−Al担体を基盤とする触媒と、比較例1〜3の貴金属を含みAl担体を基盤とする触媒との間に差があることが認められる。即ち、実施例1(1%のPt/10%のK/Li−Al)の触媒は270℃付近で比較的緩慢なピークを示し、比較例1(1%のPt/20%のK/Al)触媒は260℃と350℃付近で多少小さい二つのピークを示した。
【0062】
実施例2[0.5%のPt、0.5%のPd/10%のK/Li−Al]の触媒は、120℃付近にH還元ピークが出現し、比較例2の[0.5%、Pt−0.5%のPd/20%のK/Al]触媒の場合、165℃付近にピークが出現することを認めることができる。最も優秀な活性を示す触媒の最大ピークが出現する温度が約50℃程度の差を示すことから、これらの触媒間の酸化還元特性の差が活性差の原因の一つであることが示された。
【0063】
[試験例2]
[SO吸着能実験]
実施例2の触媒及び比較例2の触媒を、水を含む条件下でSOを吸着させ、触媒表面に生成される硫黄化合物種(sulfur species)を確認するために、下記のような実験を行なった。
【0064】
各触媒に、100ppmのSOと、8%の酸素と、10%の水蒸気と、残部がヘリウムと、から成る混合気体を200℃で吸着させ、触媒表面に生成される硫黄化合物をIn−situ FT−IR測定装置(MIDAC corporation製)を用いて30分間測定し、触媒表面に吸着されるSOxの化学種を確認した。時間当り測定される触媒表面に形成された硫黄化合物種は、図2に示した通りである。
図2の(A)は、実施例2の触媒に対する結果であり、図2の(B)は、比較例2の触媒に対する結果である。
【0065】
図2に示したように、全てのピークは触媒上のK(potassium)に起因するピークである。即ち、1,100cm−1付近に表面KSOの形成が観察され、1,160cm−1付近にバルクKSOを検出することができた。また、970cm−1付近に表面Al(SOを、1,330cm−1付近に表面Al(SOを検出することができ、1,580cm−1付近に水によるOHのピークが触媒上に形成されていることを観察することができた。
また図2から、比較例2のAlを担体とする触媒に比べて、実施例2のリチウム及びアルミナを担体とする触媒の方が、KSOの生成速度が遅いことが認められた。
【0066】
[試験例3]
[SO化前後の窒素酸化物吸着量の分析]
実施例2の触媒及び比較例2の触媒を、試験例1と同様の条件でSO化を行って、SO化前とSO化後に、各触媒の触媒表面に形成される窒素酸化物の吸着量を測定するために、下記の条件で窒素酸化物吸着試験を行った。
【0067】
即ち、実施例2の触媒及び比較例2の触媒に、NOを1,000ppmと、酸素を8%と、水蒸気を10%と、残部のヘリウムと、の混合ガスを200℃で30分間吸着させた後、触媒上に形成されたNOx吸着種をFT−IR測定装置(MIDAC corporation製)で測定した。次いで0.5%のHを含む気体で完全に還元した後、100ppmのSOと、8%の酸素と、10%の水蒸気と、残部がヘリウムである混合気体を200℃で吸着後、SO化以前と同じ条件でNOを再吸着させてSOによる触媒上に形成されたNOx吸着種をFT−IR測定装置(MIDAC corporation製)で測定し、結果を図3、4に示した。
【0068】
図3は、本発明の実施例2による窒素吸蔵還元触媒のSO化前及びSO化後の窒素酸化物吸着量低減程度を比較して示した図面であり、図4は比較例2の窒素吸蔵還元触媒のSO化前及びSO化後の窒素酸化物吸着量低減程度を比較して示した図面である。
【0069】
図3,4に示すように、1、3、5、7、10、20、及び30分間隔で測定したところ、1,240cm−1付近に、架橋した二座配位の亜硝酸塩(bridged bidentate nitrite)に基づくメインピークが観測され、1,330cm−1付近にK(potassium)に起因した単座配位の亜硝酸塩(monodentate nitrate)のピークが観測され、1,550cm−1付近にキレート二座配位の亜硝酸塩(chelating bidentate nitrate)のピークが観測された。
【0070】
図3によって、実施例2の触媒のSO化前及びSO化後のデータを比較すると、実施例2の触媒は、NOを30分間吸着後のメイン吸着種である架橋した二座配位の亜硝酸塩のピーク強度が、SO化後はSO化前より19%程度減少することを観測することができた。
【0071】
一方、図4によって比較例2の触媒のSO化前及びSO化後のデータを比較すると、メイン吸着種である架橋した二座配位の亜硝酸塩のピーク強度が、SO化後はSO化前より37%程度減少することを観測することができた。
【0072】
[試験例4]
[触媒の親水性の分析]
反応混合ガス中に含まれた水(HO)のOHがSOの酸化能力を増進させてKSOの生成を加速化させるため、触媒自体の親水性が触媒の耐硫黄性に関連する。実施例2及び比較例2のNSR触媒の親水性を測定するために、実施例2のNSR触媒及び比較例2のNSR触媒の水に対するTPD(Temperature Programmed Desorption)を下記のような条件で行なった。
【0073】
水は46℃で一定の気体分圧で発泡(Bubbling)され、Arをバランスガス(balance gas)として用いて実験した。反応混合ガスの全体流量は100cc/minであった。
【0074】
0.1gの試料をU字型石英管反応器(quartz tube reactor)に充填し、500℃で5%の水素を含むアルゴンで1時間前処理した後、温度を200℃に下げて、酸素8%と、水蒸気10%と、炭酸ガス5%と、残部のアルゴンガスとからなる混合気体によって30分間水を吸着させた。
【0075】
触媒上に物理吸着された水と反応器に残留する水成分を除去するために、アルゴンを常温で30分間でパージした後、10℃/minの昇温速度で昇温して触媒から脱着される水の量を、オンラインで連結された質量分析計(Mass spectrometer)により質量数(mass number)17及び18のピークを観察した。
【0076】
図5は、本発明の一実施例による窒素吸蔵還元触媒表面と比較例の触媒表面のTPD試験の結果を比較して示した図面である。
図5に示すように、比較例2の触媒は260℃付近から水が脱着され始め、490℃付近で吸着されていた水が全て脱着されることが観測された。
【0077】
一方、実施例2の触媒は330℃付近から吸着されたHOが脱着され始め、400℃付近で吸着されていた水が全て脱着されることが観測された。また、実施例2の触媒及び比較例2の触媒それぞれの脱着ピークの強度面積を比較すると、実施例2の触媒に吸着された水の量は、比較例2の触媒に吸着された水の量に比べて顕著に少ないことが認められた。水のTPD試験の結果から、実施例2に係るLi−Al担体に担持された触媒は、比較例2のAl触媒に担持された触媒より疎水性であることが認められた。実施例2の触媒は、比較例2の触媒より疎水性であるので、SO吸着過程において水のOHによるSO化の促進作用を受けにくいことが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ金属又はアルカリ土金属の何れか一方とアルミナを含む担体と、
アルカリ金属、アルカリ土金属又は希土類元素からなる群から選択される1種以上の窒素酸化物吸蔵元素と、
白金、パラジウム、ルテニウム、銀、金、及びロジウムからなる群から選択される1種以上の貴金属と、
を含むことを特徴とする窒素酸化物吸蔵還元触媒。
【請求項2】
前記アルカリ金属又はアルカリ土金属の何れか一方とアルミナを含む担体は、リチウム又はマグネシウムの何れか一方とアルミナを含む担体であることを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物吸蔵還元触媒。
【請求項3】
前記窒素酸化物吸蔵元素は、カリウム、バリウム、ナトリウム、ストロンチウム、マグネシウム及びカルシウムからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物吸蔵還元触媒。
【請求項4】
前記担体は、下記の式(1)
[Z−Al(OH)]X・yHO(LiAl−X)] (1)
で表され、層状複水酸化物構造を有することを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物吸蔵還元触媒(但し、Zは、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、又はRaであり、Xは、Cl、Br、NO、CO−2、又はSO−2であり、yは、0.5〜4の有理数である)。
【請求項5】
前記窒素酸化物吸蔵還元触媒全体の重量を100重量%とした場合に、前記担体は65〜95重量%、前記窒素酸化物吸蔵元素は4.5〜35重量%、及び前記貴金属は0.2〜3重量%であることを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物吸蔵還元触媒。
【請求項6】
前記リチウムとアルミナを含む担体に、カリウムと、白金又は/及びパラジウムが担持されることを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物吸蔵還元触媒。
【請求項7】
アルカリ金属の水酸化物又はアルカリ土金属の水酸化物に炭酸塩を加えた水溶液と、硝酸アルミニウムの水溶液と、を混合して混合液とする段階と、
前記混合液を撹拌し、乾燥した後、焼成してアルカリ金属又はアルカリ土金属の何れか一方とアルミナを含む担体を製造する段階と、
前記アルカリ金属又はアルカリ土金属の何れか一方とアルミナを含む担体に、アルカリ金属、アルカリ土金属、又は希土類元素からなる群より選択される1種以上の窒素酸化物吸蔵元素を含浸し、窒素酸化物吸蔵元素を含浸した担体を製造する段階と、
前記窒素酸化物吸蔵元素を含浸した担体を乾燥し、焼成して窒素酸化物吸蔵元素を含有する担体を製造する段階と、
前記窒素酸化物吸蔵元素を含有する担体に、白金、パラジウム、ルテニウム、金、銀、及びロジウムからなる群より選択される1種以上の貴金属を含浸して、触媒前駆体を製造する段階と、
前記触媒前駆体を乾燥し、焼成する段階と、を有することを特徴とする窒素酸化物吸蔵還元触媒の製造方法。
【請求項8】
前記アルカリ金属又はアルカリ土金属の何れか一方とアルミナを含む担体は、500〜800℃の温度で3〜8時間焼成して製造され、
前記窒素酸化物吸蔵元素を含浸した担体と、前記触媒前駆体とは、何れも400〜600℃の温度で3〜6時間焼成されることを特徴とする請求項7に記載の窒素酸化物吸蔵還元触媒の製造方法。
【請求項9】
排気パイプに装着された排気装置を用い、排気ガスに含まれる窒素酸化物を浄化する窒素酸化物浄化システムにおいて、
前記排気装置は前記排気パイプ又はエンジンに装着されて燃料を追加噴射するインジェクターと、
前記インジェクターの後端の排気パイプに装着され、追加噴射された燃料を、熱分解を通じて高反応性の還元剤に変換させるディーゼル燃料分解触媒と、
前記ディーゼル燃料分解触媒の後端の排気パイプに装着され、排気ガスに含まれる窒素酸化物を貯蔵し、追加噴射される燃料により前記貯蔵された窒素酸化物を脱着して前記高反応性の還元剤との酸化還元反応を通じて還元させる請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の窒素酸化物吸蔵還元触媒を含む窒素酸化物浄化触媒システムと、
エンジンの運転条件に応じて燃料の追加噴射を制御する制御部と、
を含むことを特徴とする窒素酸化物浄化システム。
【請求項10】
前記窒素酸化物浄化触媒システムは、ゼオライト触媒又は多孔性アルミナ担体と、アルカリ金属、アルカリ土金属、又は希土類元素からなる群から選択される1種以上の窒素酸化物吸蔵元素と、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、タングステン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、及び亜鉛からなる群から選択される1種以上の金属と、を含む触媒を更に含むことを特徴とする請求項9に記載の窒素酸化物浄化システム。
【請求項11】
前記ゼオライト触媒は、銅、白金、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、金、セリウム、及びガリウムからなる群より選択される1種以上の元素にイオン交換されたものであることを特徴とする請求項10に記載の窒素酸化物浄化システム。
【請求項12】
前記排気パイプは、圧縮比17以下のディーゼルエンジンの排気パイプであることを特徴とする請求項9に記載の窒素酸化物浄化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−35253(P2012−35253A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255893(P2010−255893)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(500518050)起亞自動車株式会社 (449)
【Fターム(参考)】