説明

窓開閉装置

【課題】
障子を確実に開くことができる窓開閉装置を提供する。
【解決手段】
建物外壁に配置した窓枠3内に、障子4を建物の内外方向に揺動可能な状態で支持している。障子4は、バランサー8によって建物外部側に付勢されている。障子4の框6や窓枠3の周縁に沿って止水部材10を配置してある。障子4を全閉状態にしたときに止水部材10が框6または窓枠3に密着することで、その止水部材10によって框6と窓枠3との間を塞ぐようになっている。障子4を全閉状態でロックするロック機構27を有している。ロック機構27はロックを解除可能になっており、ロック機構27がロックを解除した際に、障子4を建物外部側に押し出す初動操作部43を設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気や排煙を行うために窓を開閉する窓開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビルなどの建物においては、例えば特許文献1に示すように、上下中間部を軸に揺動可能な障子で窓を開閉する、いわゆる横軸回転窓を建物外壁の高所に設置し、その障子をモータなどからなる電動装置によって開閉駆動して換気や排煙を行うものがある。
【0003】
具体的には、前記横軸回転窓では、方形状に枠組みされた窓枠内に、前記障子が回転自在に装着されており、その障子は、方形状に枠組みされた框の内方に板ガラスが装着されている。そして、障子の框や窓枠の周縁に沿って合成ゴムなどからなる止水部材を配置し、窓を全閉したときには、前記止水部材が障子の框や窓枠に密着することで、その窓枠と框との間を塞いで、雨水などが建物内部に浸入することを阻止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−102932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記窓にあっては空気中のダストや風雨などに晒されるために、そのダストなどが止水部材と窓枠の間や、止水部材と障子の框との間などに侵入し易い。その場合、ダストなどによって止水部材と窓枠や障子の框とが付着して、障子が開け難くなるといった問題点があった。
【0006】
本発明は、かかる不都合を解決することを目的として提供されたものであり、障子を確実に開くことができる窓開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる不都合を解決するために、建物外壁に配置した窓枠3内に、障子4を建物の内外方向に揺動可能な状態で支持しており、その障子4は、付勢手段8によって建物外部側または建物内部側に付勢されており、障子4の框6または窓枠3の周縁に沿って止水部材10を配置して、障子4を全閉状態にしたときに止水部材10が框6または窓枠3に密着することで、その止水部材10によって框6と窓枠3との間を塞ぐようにしており、障子4を全閉状態でロックするロック機構27を有しており、そのロック機構27はロックを解除可能になっており、ロック機構27がロックを解除した際に、障子4を建物外部側に押し出す初動操作部43を設けたことを特徴とするものである。ここでは、障子4の全体が建物外部側または建物内部側に揺動する場合や、ヒンジを軸に障子4の下部が建物外部側へ、障子4の上部が建物内部側へ揺動する場合や、ヒンジを軸に障子4の上部が建物外部側へ、障子4の下部が建物内部側へ揺動する場合などが該当する。また、付勢手段8としては、例えばバランサーの重量を用いたものやバネを用いたものが該当する。
【0008】
ロック機構27は、障子4に取り付けた係止片28を係止するためのロック部材29と、ロック部材29を駆動する駆動部30とを有しており、またロック部材29に連動して移動する当接部55を設けており、初動操作部43は、当接部55の当接に伴って作動することで障子4を建物外部側に押すようになっているものとすることができる。ここでの駆動部30は、電動シリンダーやモータなどのアクチュエーターが該当する。
【0009】
ロック部材29と当接部55とは、連結機構31によって連動可能に接続されていて、ロック部材29が係止片28から外れたときに当接部55が初動操作部43に当接するように連結機構31に配置されているものとすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の窓開閉装置は、障子4を全閉状態でロックするロック機構27がそのロックを解除した際に、初動操作部43が障子4を建物外部側に押し出すので、汚れなどによって止水部材10が窓枠3または框6に付着した状態になっていても、その止水部材10と窓枠3または框6とを確実に引き離して、障子4を開くことができる。
【0011】
ロック部材29に連動して当接部55が移動して、初動操作部43に当接することに伴って、初動操作部43が障子4を建物外部側に押すようになっていると、ロック機構27によるロック解除後に、障子4を直ちに揺動させることができて、障子4を迅速に開くことができる。
【0012】
ロック部材29が係止片28から外れたときに、当接部55が初動操作部43に当接するように連結機構31に配置されていると、初動操作部43が障子4を押すタイミングをロック解除のタイミングに的確に合わせることができる。これにより、例えばロック解除のタイミングよりも、初動操作部43が障子4を押すタイミングが早いために窓枠3と框6とを分離させることができないといったことを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る窓開閉装置の正面図である。
【図2】本発明に係る窓開閉操作部の正面図である。
【図3】窓開閉操作部の側面図である。
【図4】窓開閉装置の縦断側面図である。
【図5】窓開閉装置の要部を示す横断平面図である。
【図6】本発明に係るロック部材を示す平面図である。
【図7】本発明に係る連結機構の要部を示す正面図である。
【図8】本発明に係る初動操作部の平面図である。
【図9】初動操作部の正面図である。
【図10】初動操作部の動作を説明するための平面図である。
【図11】窓開閉装置の動作を説明するための縦断側面図である。
【図12】窓開閉装置の動作を説明するための縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る窓開閉装置を横軸回動窓に適用した実施例を図面に基づいて説明する。横軸回動窓は、図1に示すように、窓部2を左右方向に並べた2連1組の連窓として構成しており、例えば、ビルなどの建物の外壁に形成した開口に取り付けるようになっている。
【0015】
各窓部2は、建物外壁に配置してあって方形状に枠組みした窓枠3内に障子4を左右一対のヒンジ5・5を介して装着している。障子4は、方形状に枠組みした框6の内方に板ガラス7を装着している。各ヒンジ5は、窓枠3の左右の縦枠3a・3aの上下中央よりも上側にそれぞれ配置しており、各障子4は、左右の両ヒンジ5・5を軸に建物の内外方向に揺動自在になっている。
【0016】
障子4の框6の上框6aであって、その上框6aの建物内部側には、図1および図4に示すように、左右横長のバランサー(付勢手段)8を横設しており、障子4は、バランサー8の重量によって当該障子4の上部が建物内部側へ傾くように付勢されている。各窓部2は、左右の両ヒンジ5・5よりも上側では、障子4の框6の建物内部側に合成ゴムなどからなる止水部材10を当該框6の周縁に沿って設けてあり、左右の両ヒンジ5・5よりも下側では、窓枠3の建物外部側に止水部材10を当該窓枠3の周縁に沿って設けている(図12参照)。そして、障子4を全閉状態にしたときに止水部材10が框6または窓枠3に密着することで、その止水部材10によって框6と窓枠3との間が塞がれる。
【0017】
左右の両窓部2・2の間に位置する方立9の建物内部側には、図2および図3に示すように、障子4の揺動を規制するとともにその障子4を閉じ姿勢に駆動するための窓開閉操作部11を配置している。その窓開閉操作部11は、方立9の建物内部側に配置している第1アクチュエーター12と、その第1アクチュエーター12の軸12aに連結している上下動ブラケット13と、その上下動ブラケット13に衝撃緩衝具16を介してそれぞれ支持されている左右一対のアーム14・14と、各アーム14に回動自在に支持される上下一対の合成樹脂製のローラ15・15とを有している。両障子4・4は、窓開閉操作部11によって同時に駆動されるようになっている。
【0018】
第1アクチュエーター12は、電動シリンダーなどからなり、その軸12aが上下方向に伸縮するようになっている。第1アクチュエーター12は、その下端を方立9に固定している支持ブラケット17に揺動可能に支持している。第1アクチュエーター12の軸12aと上下動ブラケット13とは衝撃緩衝部18を介して連結してある。衝撃緩衝部18は、上下動ブラケット13に固定してあって側面視でL字状の連結ブラケット19と、その連結ブラケット19の上端部19aを挟んで上下に配置している合成ゴム製の緩衝部材20・20とを有している。
【0019】
第1アクチュエーター12の軸12aの先端には連結具21を揺動可能に連結している。その連結具21に設けてあって上方に延びる固定軸21aが、連結ブラケット19と両緩衝部材20・20とを貫通しており、上側の緩衝部材20から上方へ突出した固定軸21aの上端にナット22を締め込んで、その固定軸21aに両緩衝部材20・20を保持している。このように第1アクチュエーター12の軸12aと上下動ブラケット13との間に両緩衝部材20・20を介在させたことで、その両緩衝部材20・20によって上下動ブラケット13から第1アクチュエーター12の軸12aへ衝撃や振動などが伝達されることが緩和される。
【0020】
上下動ブラケット13は、方立9に固定されたガイド部材24に上下移動可能に係合している。詳しくは、ガイド部材24は方立9に沿って上下方向に延びるように設けており、そのガイド部材24の左右側面に上下方向に延びる溝24aをそれぞれ形成している。上下動ブラケット13には、ガイド部材24の溝24a内を転動する複数個の振れ止めローラ25を設けており、その振れ止めローラ25によって上下動ブラケット13がガイド部材24に沿って上下方向に滑らかに移動することができるようになっている。
【0021】
各アーム14は、上下方向の中央部で屈曲していて上部が建物内部側に向けて斜め上方向に延びており、下部が建物内部側に向けて斜め下方向に延びている。その各アーム14の上下の先端にローラ15がそれぞれ配置されている。各衝撃緩衝具16は、アーム14の屈曲部に固定してあるアーム側固定部16aと、上下動ブラケット13に固定してあるブラケット側固定部16bと、アーム側固定部16aとブラケット側固定部16bとの間に介在する合成ゴム製の緩衝部材16cとを有している。緩衝部材16cによってアーム14から上下動ブラケット13へ衝撃や振動などが伝達されることが緩和される。
【0022】
図1および図2に示すように、各障子4の左右の縦框6bのうち、方立9側に位置する縦框6bには、ヒンジ5と略同一高さ位置において建物内部側に突出する揺動規制具26をそれぞれ固定している。各揺動規制具26は、図4に示すように、縦框6bに固定している基部26aと、その基部26aから建物内部側へ延びる規制部26bとを有している。規制部26bは、その先端部が斜め上方向に延びるように屈曲しており、その規制部26bの先端部を、上下から挟むように上下のローラ15・15を位置させている。
【0023】
左右の窓部2の窓枠3の両下枠3b・3bに亘って、図1および図5に示すように、障子4を全閉状態でロックするためのロック機構27を配置している。ロック機構27は、図5ないし図7に示すように、両窓部2の障子4にそれぞれ取り付けた係止片28・28を係止するための左右一対のロック部材29・29と、そのロック部材29・29を駆動するための第2アクチュエーター(駆動部)30と、その第2アクチュエーター30の軸30aと左右のロック部材29・29とを連結する連結機構31とを有している。第2アクチュエーター30は、一方の窓部2(図1の左側)の下枠3bの建物内部側に配置してあり、第2アクチュエーター30の一端部(図1の左側)を一方の窓部2の下枠3bに固定している。第2アクチュエーター30の軸30aは、左右方向に伸縮するようになっている。第2アクチュエーター30は、電動シリンダーなどからなる。
【0024】
各係止片28は、各障子4の下框6cの下面の左右中央にそれぞれ取り付けてあり、図6に示すように、左右方向に延びてその左右両端部が建物内部側へ屈曲する平面視で台形状に形成されている。各ロック部材29は、各窓部2の下枠3bの上面に配置されていて、平板状の基部29aと、その基部29aから上方へ延びる円柱形状の係止部29bとからなる。
【0025】
連結機構31は、図5ないし図7に示すように、第2アクチュエーター30の軸30aに固定されていて一方の窓部2の下枠3bから他方の窓部2の下枠3bまで延びている長板形状のスライド板33と、一方のロック部材29(図5の左側)の基部29aを固定してあって左右方向に延びる長板形状の第1連結棒34と、他方のロック部材29(図5の右側)の基部29aを固定してあって左右方向に延びる長板形状の第2連結棒35と、スライド板33と第1連結棒34とを連結する第1固定具36と、スライド板33と第2連結棒35とを連結する第2固定具37とを有している。連結機構31によって両ロック部材29・29が連動するようになっている。
【0026】
スライド板33は、一方の窓部2の下枠3bから他方の窓部2の下枠3bまで左右方向に延びている第1ガイドレール38に嵌合していて、その第1ガイドレール38に沿って左右方向へスライド移動可能になっている。第1連結棒34は、下枠3bに沿って左右方向に延びる第2ガイドレール39に嵌合していて、その第2ガイドレール39に沿って左右方向へスライド移動可能になっている。第2連結棒35は、下枠3bに沿って左右方向に延びる第3ガイドレール40に嵌合していて、その第3ガイドレール40に沿って左右方向へスライド移動可能になっている。
【0027】
そして、両障子4・4の全閉状態で、第2アクチュエーター30が駆動されてスライド板33が図5の左方向に移動することで、左右のロック部材29・29がそれぞれ左方向に移動して、各ロック部材29の係止部29bがそれぞれ全閉状態の両障子4・4の各係止片28の建物外部側に到達する(図6の実線図の状態)。これにより、各障子4の下部側が建物外部側に揺動することが阻止されるロック状態になる。一方、そのロック状態で、第2アクチュエーター30が駆動されてスライド板33が図5の右方向に移動すると、左右のロック部材29・29がそれぞれ右方向に移動して、各ロック部材29の係止部29bがそれぞれ両障子4・4の各係止片28から離れる(図6の仮想線図の状態)。これにより、ロックが解除されて各障子4を開くことが可能になる。
【0028】
また、第1固定具36には、図7に示すように、その上端部の左右両端から斜め下向きにガイド片36a・36aが突出しており、一方の窓部2の下枠3bに設けた左右一対のリミットスイッチ42・42の検出具42a・42aが、ガイド片36a・36aの上面に接触したのち、第1固定具36の上端面に導かれるようになっている。そして、左側のリミットスイッチ42が第1固定具36の上端面に接触したときには、前述のロック状態になっており、右側のリミットスイッチ42が第1固定具36の上端面に接触したときには、前述のロック解除状態になっている。つまり、両リミットスイッチ42・42によってロック状態またはロック解除状態であることを検知することができる。
【0029】
各窓部2の下枠3bには、図1および図5に示すように、全閉状態の障子4を開く際に当該障子4の下框6cを建物外部側に押すための初動操作部43をそれぞれ有している。各初動操作部43は、図8および図9に示すように、下枠3bに固定している基部45と、平面視でL字状に屈曲形成されてその屈曲部46aを基部45に揺動可能に支持している押圧部46と、その押圧部46の屈曲部46aから建物内部側に延びる第1アーム46bに揺動可能に支持している揺動部47とを有している。押圧部46は、その屈曲部46aから下枠3bに沿って左右方向に延びる第2アーム46cの先端にローラ48を回転自在に支持している。そのローラ48は水平方向に回転する。
【0030】
押圧部46は、その屈曲部46aと基部45との間で掛け渡された第1コイルバネ50によって図8の時計回りに付勢されており、基部45に設けたストッパー51に第2アーム46cが受け止められることで、当該第2アーム46cが下枠3bに沿う図8の姿勢に維持される。揺動部47は、その基部45側の端部と基部45との間で掛け渡された第2コイルバネ52によって図8の反時計回りに付勢されている。また、揺動部47は、その右側部47aが下向きに屈曲しており(図9参照)、その右端部47aの基部45側の端面が基部45に受け止められて、図8の姿勢で維持される。揺動部47の左側部47bは、建物内部に向かうに従って右端部47aに近づく平面視で傾斜状に切り欠いている。
【0031】
連結機構31のスライド板33の左右には、図5および図7に示すように、初動操作部43を駆動するための操作具53を取り付けている。操作具53は、基部54aをスライド板33に固定していて上端部54bを建物内部側に屈曲している固定部54と、その固定部54の上端部54bから上方へ延びる円柱形状の当接部55とを有している。つまり、当接部55は、連結機構31によってロック部材29に連動して移動する。
【0032】
そして、両窓部2を開くためにスライド板33を右方向へ移動させた場合には、操作具53の当接部55が初動操作部43の揺動部47の左側部47bに当接し(図8の実線図の状態)、そのまま揺動部47を右方向に押す。すると、押圧部46が第1コイルバネ50の付勢力に抗して、図8の反時計回りに揺動し(図8の仮想線図参照)、ローラ48が障子4の下框6cに押し付けられて、その下框6cを建物外部側に強制的に押す。次いでスライド板33の右方向のさらなる移動に伴って、当接部55が初動操作部43の揺動部47から離れる(図8の仮想線図の状態)。それに伴って第1コイルバネ50の付勢力で押圧部46が、図8の時計回りに揺動して図8の実線図の姿勢に復帰する。
【0033】
その後に両窓部2を閉じるためにスライド板33を左方向へ移動させた場合には、当接部55が揺動部47の右端部47aに当接し(図10の実線図の状態)、そのまま揺動部47を左方向に押す。すると、揺動部47が、第2コイルバネ52の付勢力に抗して、図10の時計回りに揺動する。これにより、揺動部47が当接部55の左方向の移動の妨げにならず、当接部55が所定の復帰位置に戻ることができる。当接部55が復帰位置に戻ったときには、第2コイルバネ52の付勢力で揺動部47が、図10の反時計回りに揺動して図10の実線図の姿勢に復帰する。押圧部46および揺動部47が復帰することで、障子4が全閉状態になったときに、その障子4に初動操作部43が接触することが回避される。
【0034】
このように、両窓部2を開く際には初動操作部43が障子4の下框6cを建物外部側へ押すので、汚れなどによって止水部材10が窓枠3または框6に付着した状態になっていても、その止水部材10と窓枠3または框6とを確実に引き離して、障子4を開くことができる。
【0035】
各窓部2の窓枠3の下端部の左右両端には、図1および図4に示すように、ソフトアブソーバー57がそれぞれ配置されており、そのソフトアブソーバー57によって窓部2を閉じる際に障子4の框6が窓部2の窓枠3に激突することを緩和させている。また、図1において、左側の窓部2における左側の縦枠3a、および右側の窓部2における右側の縦枠3aには、揺動する障子4を受け止めて、その障子4の開放角度を規制する規制具58を設けている。規制具58は、縦枠3aから斜め下向きに延びて(図4参照)、その先端部58aが窓部2の内方に屈曲して、障子4の框6に臨んでいる。規制具58の先端部58aにおいて框6に臨む上面には、障子4が当たる際の衝撃を緩和するために緩衝部材59を配置している。
【0036】
図3において、ガイド部材24には、上下三箇所にリミットスイッチ61・62・63がそれぞれ配置されており、最上段のリミットスイッチ61が、上下動ブラケット13の上端に設けた上側検出子13aを検知したときには、アーム14が、図4に示す全閉位置に上昇しており、中段のリミットスイッチ62が、上下動ブラケット13の上側検出子13aを検知したときには、アーム14が、図11に示す換気位置に下降している。また、最下段のリミットスイッチ63が、上下動ブラケット13の下端に設けた下側検出子13bを検知したときには、アーム14が、図12に示す全開位置に下降している。
【0037】
次に、本発明に係る横軸回動窓の動作例について説明する。各窓部2の障子4が、図4の全閉位置にある場合には、各ロック部材29の係止部29bがそれぞれ全閉状態の両障子4・4の各係止片28の建物外部側に位置していて、各障子4がロック状態になっている。このとき、窓開閉操作部11の各アーム14は最上端に位置している(全閉位置)。
【0038】
この状態で、例えば操作スイッチ(不図示)によって換気モードに操作されると、第1アクチュエーター12が駆動されてアーム14が下降し、そのアーム14が、図11に示す換気位置に下降したときに、第1アクチュエーター12の駆動が停止して各アーム14が当該換気位置で停止する。次いで、第2アクチュエーター30が駆動されて、各ロック部材29の係止部29bが各係止片28から外れてロック解除状態になる。また、前記ロック解除状態に連動して各当接部55が移動し、各初動操作部43のローラ48が各障子4の下框6cを建物外部側へ押す。これにより、窓枠3と框6とが確実に分離して、バランサー8の重量によって各障子4の下部が建物外部側へ、各障子4の上部が建物内部側へ向かうように付勢されて揺動する。つまり、各障子4が開かれる。
【0039】
その各障子4は、揺動規制具26の規制部26bが換気位置の各アーム14の下側のローラ15で受け止められることで、所定の換気角度で停止する。この状態で強風が各障子4に当たると、それに伴って各障子4は閉じる方向に揺動するが、その揺動は、框6と窓枠3とが止水部材10を介して当接すること、すなわち各障子4が全閉状態になることで規制される。
【0040】
具体的には、図11の換気状態の障子4は、例えば風速3m/s以上の風で全閉方向への揺動を開始する。風が風速3m/sよりも低くなると、バランサー8の重量によって前記換気角度に復帰する。
【0041】
また、例えば各窓部2の障子4が、前述の図4の全閉位置にある場合に、操作スイッチの操作や煙感知装置の作動によって排煙モードに操作されると、換気モードと同様に、各アーム14の下降が開始するとともにロック解除状態になる。このときにも各初動操作部43のローラ48が各障子4の下框6cを建物外部側へ押す。
【0042】
そして、各アーム14が図12の排煙位置(全開位置)に停止することで、各障子4も所定の排煙角度で停止する。その排煙角度は、前記図11の換気角度よりも大きく開いた角度になっており、これによって各窓部2は大きく開放されて迅速な排煙が行われる。なお、この排煙モードでは、各障子4が規制具58の緩衝部材59に受け止められており、強風が各障子4に当たって各障子4が排煙角度よりも開こうとしても、その揺動は規制具58によって阻止される。
【0043】
各窓部2の障子4が開いている状態のときに、例えば操作スイッチによって全閉モードに操作されると、第1アクチュエーター12が駆動されて各アーム14が上昇する。すると、各障子4の揺動規制具26の規制部26bが各アーム14の下側のローラ15によって押し上げられ、それに伴って各障子4が揺動して図4の全閉状態になる。次いで第2アクチュエーター30が駆動されて、各ロック部材29の係止部29bが各窓部2の係止片28の建物外部側に移動してロック状態になる。これによって各障子4の全閉状態が維持される。
【0044】
このように、換気角度で開いて停止している各障子4に対して、例えば強風が当たったときには、その風圧で各障子4が揺動して各窓部2を閉じることができる。これによって前記強風が建物内部の室内に流れ込んで当該室内の書類などが吹き飛んだりするなどを防止することができる。また各障子4が揺動することで、建物内部に流れ込む風を適正な風量に調節することができる。加えてロック部材29が係止片28から外れたときに、当接部55が初動操作部43に当接するように連結機構31に配置されているので、初動操作部43が障子4を押すタイミングをロック解除のタイミングに的確に合わせることができる。
【0045】
なお、初動操作部43のローラ48は省略してもよい。その場合、初動操作部43の押圧部46の第2アーム46cの先端が障子4の下框6cに直接押し付けられることになる。また、例えば換気モードや排煙モードに操作されたときに、先にロックを解除するとともに初動操作部43のローラ48で障子4の下框6cを建物外部側へ押してからアーム14を下降させてもよい。
【符号の説明】
【0046】
3 窓枠
4 障子
6 框
8 バランサー
10 止水部材
27 ロック機構
28 係止片
29 ロック部材
31 連結機構
43 初動操作部
55 当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物外壁に配置した窓枠(3)内に、障子(4)を建物の内外方向に揺動可能な状態で支持しており、
その障子(4)は、付勢手段(8)によって建物外部側または建物内部側に付勢されており、
障子(4)の框(6)または窓枠(3)の周縁に沿って止水部材(10)を配置して、障子(4)を全閉状態にしたときに止水部材(10)が框(6)または窓枠(3)に密着することで、その止水部材(10)によって框(6)と窓枠(3)との間を塞ぐようにしており、
障子(4)を全閉状態でロックするロック機構(27)を有しており、
そのロック機構(27)は前記ロックを解除可能になっており、ロック機構(27)がロックを解除した際に、障子(4)を建物外部側に押し出す初動操作部(43)を設けたことを特徴とする窓開閉装置。
【請求項2】
前記ロック機構(27)は、障子(4)に取り付けた係止片(28)を係止するためのロック部材(29)と、そのロック部材(29)を駆動する駆動部(30)とを有しており、
ロック部材(29)に連動して移動する当接部(55)を設けており、
前記初動操作部(43)は、当接部(55)の当接に伴って作動することで障子(4)を建物外部側に押すようになっていることを特徴とする請求項1記載の窓開閉装置。
【請求項3】
前記ロック部材(29)と前記当接部(55)とは、連結機構(31)によって連動可能に接続されていて、ロック部材(29)が係止片(28)から外れたときに当接部(55)が前記初動操作部(43)に当接するように連結機構(31)に配置されていることを特徴とする請求項2記載の窓開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−196086(P2011−196086A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−63727(P2010−63727)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(397000160)株式会社豊和 (47)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】