説明

立体映像ディスプレイ方法及びシステム並びに立体映像ディスプレイプログラムが記録された記録媒体

【課題】互いに異なる深さ感を有する映像を用いることで、より臨場感のある、高解像度の映像をディスプレイすることができる、立体映像ディスプレイ方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る立体映像ディスプレイ方法は、オブジェクト映像をディスプレイするステップと、3次元映像再生方式を用いて背景映像をディスプレイするステップと、オブジェクト映像及び背景映像が同一視野角内で重畳されるようにオブジェクト映像を近距離に、背景映像を遠距離に配置するステップと、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体映像ディスプレイ方法及びシステムに関するもので、特に立体感を与えるために背景映像を用いる立体映像ディスプレイ方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、3次元映像と映像再生技術に関する研究が盛んに行われている。このような3次元映像関連メディアは、視覚情報の水準を一層高める新しい概念の実感映像メディアであって、次世代ディスプレイを主導すると予想されている。現在、これに関する研究が国内外学界及び産業界を中心にして活発に進められている。また、3次元映像は2次元映像より臨場感があり、自然に見えて、人間が感じる現実に近いため、3次元映像に対する需要が増加しつつある。既存の2Dディスプレイシステムは平面イメージを提供するが、3Dディスプレイシステムは物体が持っている実際のイメージ情報を観察者に見せるという観点から究極的な映像具現技術である。
【0003】
このような3次元立体映像を再生するために、立体鏡学(stereoscopy)、ホログラフィ(holography)、及び集積映像(integral imaging)方法などが研究開発されている。
立体鏡学方式は、人間視覚システム(human visual system)を模倣した方式である。立体鏡学方式は、左右両眼に対応する映像を区分して各々入射させる方式である。すなわち、立体鏡学方式は、映像を左眼映像と右眼映像に分離した後、偏光液晶板からなった眼鏡を装着した観測者の左眼と右眼に各々の映像を入射させて立体映像を感じさせる方式である。
【0004】
ホログラフィ方式は、レーザーを用いて製作したホログラフィを観察時に、特殊眼鏡を装着しなくても実物と同様な立体映像を感じることができる方式である。したがって、ホログラフィ方式は立体感に優れ、人間が疲労感を感じなく3次元映像を見ることができる最も理想的な方式であると知られている。
【0005】
集積映像ディスプレイ方式は、映像獲得段階(ピックアップ)と映像再生段階に大別される。映像獲得段階(ピックアップ)は、イメージセンサのような2次元感知器とレンズアレイとで構成され、3次元客体はレンズアレイの前に位置する。そして、3次元客体の多様な映像情報がレンズアレイを通過して2次元感知器に格納される。このように格納された映像は要素映像として3次元再生のために用いられる。以後、集積映像技術の映像再生段階は、映像獲得段階(ピックアップ)の逆過程であって、液晶表示装置のような映像再生装置とレンズアレイとで構成される。そして、映像獲得段階(ピックアップ)から得られた要素映像は映像再生装置に表示され、要素映像の映像情報はレンズアレイを通過して空間上に3次元映像で再生される。
【0006】
一方、無眼鏡3Dディスプレイ技術の一種であるフローティングディスプレイシステムは博物館や展示場でよく見ることができる3Dディスプレイ方法である。
フローティングディスプレイの主な特徴は、構造が単純で、具現が容易であり、高解像度の映像を実際空間に容易にディスプレイできるという点である。すなわち、LCDのような平面ディスプレイ装置の映像が、凸レンズ(Convex lens)あるいは凹面鏡(Concave mirror)を使用するフローティングレンズを通過すると、その像が空間に形成されて、観察者は目の前に位置し、空中に浮かび上がっている映像を見ることができる。
【0007】
【特許文献1】特開2003−177355号公報
【特許文献2】特開2008−118001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、フローティングディスプレイ方式は、ディスプレイされる映像が一つの実平面(Real plane)に制限されて、立体感が表現できないという短所がある。
また、上述した様々な3次元(3D)ディスプレイ方法は、一つの2次元または3次元映像を3D映像で具現する時、完璧な立体感を得るためにはデータ処理量が非常に多くなって連続的な3D立体感を提供することに限界があった。さらに、一つのシステムから立体映像を提供する場合、ユーザが感じる3D立体感には限界があった。
【0009】
こうした従来技術の問題点に鑑み、本発明は、背景映像を有する立体映像ディスプレイ方法及びシステムを提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、二つ以上の実平面を用いる場合に生じる重畳領域(occlusion region)の問題を解決し、より臨場感のある立体映像を表現するために、背景映像を有する立体映像ディスプレイ方法及びシステムを提供することにある。
本発明のまた他の目的は、3次元映像再生技術のみで映像を具現する場合の解像度が低下するという問題点を解決するために、3次元映像再生技術を用いて3D背景映像をディスプレイし、高解像度のオブジェクト映像を別途にディスプレイする、立体映像ディスプレイ方法及びシステムを提供することにある。
本発明のまた他の目的は、3D背景映像をさらに用いることにより、臨場感のある背景映像が導入された立体映像ディスプレイ方法及びシステムを提供することにある。
本発明が提示する技術的課題は下記の説明を通して容易に理解できよう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、立体映像ディスプレイ方法が提供される。
本発明の一実施例によれば、立体映像ディスプレイシステムで立体映像をディスプレイする方法であって、オブジェクト映像をディスプレイするステップと、3次元映像再生方式を用いて背景映像をディスプレイするステップと、前記オブジェクト映像及び前記背景映像が同一視野角内で重なるように前記オブジェクト映像を近距離に、前記背景映像を遠距離に配置するステップと、を含む立体映像ディスプレイ方法が提供される。
【0011】
前記配置するステップで、前記オブジェクト映像または前記背景映像のうち一映像は透過し、他の映像は反射する半透明ミラー(Half Mirror)を用いて、前記オブジェクト映像または前記背景映像のうち一映像は実像として、他の映像は虚像として結ぶことができる。
【0012】
前記オブジェクト映像は、前記半透明ミラーに反射されて前記半透明ミラーの背面方向に虚像として結ぶことができる。
【0013】
前記背景映像をディスプレイするステップは、前記背景映像をレンズアレイ(Lens Array)に投影して要素映像としてディスプレイするステップを含むことができる。
【0014】
前記背景映像をディスプレイするステップは、前記オブジェクト映像に対応するマスク(Mask)映像を生成するステップと、前記背景映像と前記マスク映像とを結合するステップと、前記結合された映像をレンズアレイに投影して要素映像としてディスプレイするステップと、を含むことができる。
【0015】
前記マスク映像は、オブジェクト映像を黒色で処理した映像であることができる。
【0016】
前記背景映像をディスプレイするステップは、前記背景映像が補色関係の左右画像で出力されるステップと、色眼鏡や色フィルタの使用により前記補色関係の左右画像が分離されるステップと、を含むことができる。
【0017】
前記補色関係の左右画像は、赤色と青色との補色関係にあってもよい。
【0018】
前記背景映像をディスプレイするステップは、偏光方向が異なる偏光眼鏡を使用して前記背景映像の左右画像を分離する偏光方式を用いて前記背景映像をディスプレイすることができる。
【0019】
前記偏光眼鏡は、直線偏光の振動方向の差または円偏光の回転方向の差を用いたものであることがよい。
【0020】
前記背景映像をディスプレイするステップは、前記背景映像が視差を有する左右画像で周期的に反復出力されるステップと、前記反復周期に同期された電子シャッタを通して左右画像が分離されるステップと、を含む時分割方式を用いることができる。
【0021】
前記背景映像をディスプレイするステップは、頭にディスプレイ装置を被って、目の直前に画面をディスプレイして立体感を得るHMD(Head mount display)方式を用いることができる。
【0022】
前記背景映像をディスプレイするステップは、前記背景映像のディスプレイパネルに左右画像が交互に配置され出力されるステップと、前記ディスプレイパネルから一定距離にあるバリアを通過して左右画像が分離されるステップと、を含むパララックスバリア(parallax barrier)方式を用いることができる。
【0023】
前記背景映像をディスプレイするステップは、前記背景映像のディスプレイパネルに左右画像が交互に配置され出力されるステップと、前記ディスプレイパネルから一定距離にある半円筒状のレンチキュラー(Lenticular)を通過して左右画像が分離されるステップと、を含むことができる。
【0024】
前記背景映像をディスプレイするステップは、前記背景映像のディスプレイパネルに左右画像が交互に配置され複数の対で出力されるステップと、前記ディスプレイパネルから一定距離にあるバリアを通過して左右画像が複数の視点に分離されるステップと、を含むマルチビュー(multiview)方式を用いることができる。
【0025】
前記オブジェクト映像をディスプレイするステップにおいて、前記レンズは、凸レンズまたは凹面鏡であることができる。
【0026】
前記オブジェクト映像をディスプレイするステップにおいて、前記レンズは、複数の凸レンズまたは複数の凹面鏡であることができる。
【0027】
本発明の他の一実施形態によれば、記録媒体が提供される。
本発明の一実施例によれば、前記立体映像ディスプレイ方法が具現できるように、デジタル処理装置で実行できる命令語のプログラムが類型的に具現されており、前記デジタル処理装置により読み取ることができる背景映像を有する立体映像ディスプレイプログラムが記録された記録媒体が提供される。
【0028】
本発明のまた他の一実施形態によれば、立体映像ディスプレイシステムが提供される。
本発明の一実施例によれば、立体映像ディスプレイシステムであって、オブジェクト映像をディスプレイするオブジェクト映像ディスプレイシステム部と、背景映像を要素映像としてディスプレイする集積映像ディスプレイシステム部と、前記オブジェクト映像及び前記背景映像が同一視野角内で重なるように前記オブジェクト映像を近距離に、前記背景映像を遠距離に配置する光学手段と、を含む立体映像ディスプレイシステムが提供される。
【0029】
前記集積映像ディスプレイシステム部はレンズアレイを含み、前記集積映像ディスプレイシステム部は前記背景映像を前記レンズアレイに投影することができる。
【0030】
前記オブジェクト映像ディスプレイシステム部は、前記オブジェクト映像をパネルにディスプレイするディスプレイパネルと、凸レンズまたは凹面鏡であるフローティングレンズとを含み、前記ディスプレイパネルにディスプレイされた映像は前記フローティングレンズに投影されてフローティングディスプレイされることができる。
【0031】
前記フローティングレンズは、複数の凸レンズまたは複数の凹面鏡であってもよい。
【0032】
前記ディスプレイパネルにディスプレイされたオブジェクト映像が
H=h・f/(h−f
で算出される位置Hに結ぶようにするレンズを含み、ここで、前記ディスプレイパネルと前記レンズとの間の距離がh、前記レンズの焦点距離がf1、前記レンズからオブジェクト映像が表示される位置がHである。
【0033】
前記集積映像ディスプレイシステム部は、背景映像がディスプレイされるディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルの前に位置したレンズアレイを含み、前記背景映像は前記レンズアレイに投影されて要素映像としてディスプレイされることができる。
【0034】
前記光学手段は、前記オブジェクト映像または前記背景映像のうちの一映像は透過させ、他の映像は反射させる半透明ミラーであることができる。
【0035】
前記半透明ミラーは前記オブジェクト映像を反射し、前記オブジェクト映像は前記半透明ミラーの反射面の背面方向に虚像として結ぶことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係る背景映像を有する立体映像ディスプレイ方法及びシステムは、重畳領域の問題を解決し、既存のフローティングディスプレイシステムとは異なって、3D背景映像とオブジェクト映像とを分離して用いることで、より臨場感のある、高解像度の映像をディスプレイすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本発明は多様な変換を加えることができ、様々な実施例を有することができるため、特定実施例を図面に例示し、詳細に説明する。しかし、本発明がこれらの特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物及び代替物を含むものとして理解されるべきである。
【0038】
「第1」、「第2」などの用語は、多様な構成要素を説明するのに用いることに過ぎなく、前記構成要素が前記用語により限定されるものではない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的だけに用いられる。例えば、本発明の権利範囲内における第1構成要素を第2構成要素と命名することができ、同様に第2構成要素を第1構成要素と命名することもできる。「及び」/「または」という用語は、複数の関連のある記載項目の組合いまたは複数の関連のある記載項目のうち何れかの項目を含む。
【0039】
ある構成要素が他の構成要素に「連結」あるいは「接続」されていると記載された場合には、その他の構成要素に直接的に連結されているか、接続されていることは勿論、中間に他の構成要素が存在していることも含むものとして理解しなくてはならない。反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結」あるいは「直接接続」されていると記載された場合には、中間に他の構成要素は存在しないと理解すればよい。
【0040】
本願で用いた用語は、ただ特定の実施例を説明するために用いたものであって、本発明を限定するものではない。単数の表現は、文の中で明らかに表現しない限り、複数の表現を含む。本願において、「含む」または「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在を指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除するものではないと理解しなくてはならない。
【0041】
他に定義しない限り、技術的または科学的用語を含んで、ここで用いられる全ての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。一般的に用いられる予め定義しているような用語は、関連技術の文脈上の意味と一致する意味を有すると解釈すべきで、本願で明らかに定義しない限り、理想的または過度に形式的意味に解釈しない。
【0042】
また、添付図面を参照して説明するに当たって、図面符号に拘わらず同一の構成要素には同一の図面符号を付し、これに対する重複説明は省略する。本発明を説明するに当たって、係る公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨をかえって不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0043】
以下、本発明を添付した図面を参照して詳しく説明する。
図1から図11では本発明の実施例に係る集積映像ディスプレイ方式を用いた、背景映像を有する立体映像ディスプレイシステムについて説明する。図12以下では本発明の他の実施例に係る背景映像を有する立体映像ディスプレイシステムについて説明する。
【0044】
まず、図1及び図2を参照して、背景(Background)映像を集積映像でディスプレイする過程について説明した後、これをオブジェクト(Object)映像と重なるように視野角内部に配置させる過程について説明する。その後、オブジェクト映像は、半透明ミラーのみを用いると虚像として結び、フローティングディスプレイ方法を用いると実像として結ぶようになるが、これについては図3及び図6を参照して各々説明する。
【0045】
図1は、集積映像ディスプレイ方式の概念を説明するための図面である。集積映像ディスプレイ方式は、図1に示すように、ピックアップ(Pick up)及び再生の二段階で構成される。ピックアップ段階は、3次元客体100から、要素レンズ104を用いて各要素レンズ104の位置に応じる視点の差(以下、視差という)を有する要素(Element)映像を得る段階である。ここで、異なる視差を有する要素映像とは、3次元客体100の互いに異なる視点から得られた映像を意味する。
【0046】
ピックアップ段階では、3次元客体100から互いに異なる視差を有する要素映像を抽出できるように、要素レンズ104が1次元または2次元で配列されているレンズアレイ106を使用する。
【0047】
従って、レンズアレイ106でピックアップ時には、3次元客体を様々な方向から見た互いに異なる映像がレンズアレイ106を介して要素映像の形態で格納される。例えば、52×52の小型レンズ(Lenslet)で構成されたレンズアレイを使用する場合、2,704個の小型レンズの位置に応じる要素映像が光センサを通して得られる。
【0048】
再生過程では、これら要素映像がディスプレイパネル124及びレンズアレイ106を介して集積され、3次元映像122で再生される。要素映像の形態については図10を参照して後述する。
【0049】
図2は、本発明の実施例に係る立体映像ディスプレイシステムで用いられる重畳除去背景映像の製作方法を示す図面である。
【0050】
本発明の一実施例に係る立体映像ディスプレイシステムは、後述するように、オブジェクト映像ディスプレイシステム部と集積映像ディスプレイシステム部とを含むことができる。オブジェクト映像ディスプレイシステム部と集積映像ディスプレイシステム部とは、各々独立した映像を出力するが、オブジェクト映像については図3及び図6を参照して後述する。
【0051】
以下では図2を参照して、図1で説明した要素映像のピックアップ過程を用いて重畳除去背景映像を製作する過程を説明する。
【0052】
先ず、集積映像ディスプレイシステム部は、入力パネル210とレンズアレイ212とを含むことができる。入力パネルは、CMOSイメージセンサまたはCCDイメージセンサであることができる。したがって、入力パネル210の前方に被写体が存在する場合、被写体の映像が入力パネル210に格納される。
【0053】
しかし、入力パネル210の前方にはレンズアレイ212が配置されているので、前方の被写体から放射(光源の場合)または反射された光はレンズアレイを通過して入力パネルに入力される。
【0054】
例えば、被写体は、レンズアレイ212からZ252だけ離隔されている地球200である。地球200は、図3を参照して後述するように、立体映像中、背景に用いられる映像のベースであって、要素映像としてピックアップされる前の映像に該当するものである。また、レンズアレイ212からZ250だけ離隔されている宇宙船290は、オブジェクトとして用いられる映像のシルエット(Silhouette)に該当する。すなわち、オブジェクトとして用いられる映像の内部を黒色で処理したマスク(Mask)映像である。
【0055】
このような各々の映像200,290は、地球がディスプレイされたLCDパネル(図示せず)及び宇宙船のシルエットがディスプレイされたLCDパネル(図示せず)を用いてZ252、Z250に位置させる。これはレンズ及び鏡(図示せず)を用いて各々の像(Image)が配置されるようにすることができる。
【0056】
とZに配置された各々の地球と宇宙船は、レンズアレイを通過しながら要素映像に変換されて、入力パネル210には変換された要素映像が格納される。この場合、入力パネルに格納される要素映像は宇宙船の黒色シルエット映像と重畳され要素映像に変換された映像であるので、重畳される部分は黒色になって除去される。
【0057】
以下、このようなピックアップ過程から生成された背景映像を重畳除去背景映像という。入力パネル210は、入力パネル210に接続されているメモリに格納されて、後述する立体映像をディスプレイする時に使用できる。
【0058】
上述したように、背景映像である地球からオブジェクト映像のシルエットを除去する理由は、オブジェクト映像(宇宙船)と背景映像(地球)との間の重畳領域及び閉塞領域(Overlapping and Occlusion region)の問題を解消するためである。
【0059】
すなわち、オブジェクト映像と背景映像とが同時にディスプレイされる場合に発生する、ユーザの視覚に現れる重畳領域(occlusion region)を予め除去することである。これは後述する図3に示すように、ユーザにはオブジェクト映像と背景映像とが同一視野角で重なって見えるが、重畳が除去されなかった背景映像とオブジェクト映像とが重なると、オブジェクトの色が異なって見えるからである。
【0060】
したがって、上述したようにオブジェクト映像を背景映像から予め除去して、すなわち、オブジェクト映像のマスク映像が背景映像と重なるようにして重畳除去背景映像を生成することにより、後でオブジェクト映像が異なって見えることを防止できる。重畳除去背景映像がレンズアレイ212を介して要素映像として入力、または変換され入力パネル210に格納されることは前述した通りである。
【0061】
図3は、本発明の実施例に係る立体映像ディスプレイシステムの構成を示す図面である。図3を参照すると、ディスプレイシステムは集積映像ディスプレイ部211,212、半透明ミラー230、オブジェクト映像ディスプレイ部260が示されている。
【0062】
図2を参照して説明したように、本発明の立体映像は、互いに異なる遠近距離を有するオブジェクト映像290と重畳除去背景映像200Rとがユーザに認識される立体映像である。遠近距離とはユーザの視野角内部で認識される深さを意味する。例えば、写真を見る場合、人物は鮮明に写っていて、後ろの山は鮮明に写っていないように区分される深さを意味する。重畳除去背景映像200Rは、ディスプレイパネルから出力されるものであって、図2を参照して説明したように、マスク映像と合成され、レンズアレイを介して要素映像として入力パネルに入力または格納された映像である。
【0063】
すなわち、図2では、ピックアップ過程を説明したが、図3ではピックアップ過程の説明は省略し、ピックアップされた重畳除去背景映像がディスプレイパネル(例えば、LCDパネルなど)を介して出力される「再生」過程を中心に説明する。
【0064】
互いに異なる遠近距離を有するオブジェクト映像290と重畳除去背景映像200Rとは、一つのディスプレイパネルで生成されるものではなく、各々のディスプレイパネルを介して各々出力されて像を結ぶ。ただ、二つの映像290,200Rは、半透明ミラー230を通してユーザの目に立体映像で認知される。
【0065】
オブジェクト映像290はディスプレイパネル1の260にディスプレイされる。ディスプレイパネル1の260は、LCD、PDPなどのような平面ディスプレイパネルであることができる。
【0066】
ディスプレイパネル1の260は、光源(Light Source)としてオブジェクト映像290を形成する光を出力する。例えば、オブジェクト映像は宇宙船(Shuttle)であると仮定する。ここで、オブジェクト映像290は、背景なしに宇宙船(オブジェクト)だけが表現された映像であることができる。
【0067】
すなわち、図3とは異なって、ユーザがディスプレイパネル1の260にディスプレイされる映像を鏡なしに垂直に直接見ると仮定すれば、宇宙船だけが視野に入ってくることになる。
【0068】
本発明の一実施例に係る立体映像ディスプレイシステムでのオブジェクト映像290は、ディスプレイパネル1の260が直接ユーザに向かうように配置されなく、ディスプレイパネル1の260から出力される光は半透明ミラー230から反射されてユーザ側に進むことになる。
【0069】
半透明ミラー230は、鏡の両面のうち一面では光の一部を反射させ、他面では光の一部を透過させる鏡である。半透明ミラー230はハーフミラー(Half Mirror)またはツーウェイミラー(2Way Mirror)とも言える。
【0070】
したがって、図2に示すように、半透明ミラー230の右側から観測しているユーザを基準として説明すると、半透明ミラー230はオブジェクト映像290を反射させ、後述する重畳除去背景映像200Rを透過させて、ユーザの視野角内ではオブジェクト映像290と重畳除去背景映像200Rとが重なるようにする。図3では半透明ミラー230がオブジェクト映像290を反射させ、重畳除去背景映像200Rを透過させるように配置されてユーザが右側から観測することに示されているが、ユーザが下方から観測することもできることは自明である。ただ、以下では説明の便宜のため、ユーザが半透明ミラー230の右側から観測する場合を中心にして説明する。
【0071】
先ず、オブジェクト映像290の説明をしてから重畳除去背景映像200Rについて説明する。
【0072】
ユーザは、半透明ミラー230を通してオブジェクト映像290である宇宙船を見ることができる。ユーザが見る、すなわち認知する宇宙船290の位置は、半透明ミラー230の反対面から距離Lだけ離れた地点である。すなわち、宇宙船は虚像(Virtual Image)であって、半透明ミラー230の反射面の反対面に距離Lだけ離れているとユーザに認識される。半透明ミラー230は、ディスプレイパネル1から出力される映像を反射させユーザの視野角内部に進んで行って、ユーザが見ることができるように所定角度(例えば、45°)傾いて配置されることができる。
【0073】
平面鏡を用いる場合、ユーザが見ることになる像(Image)は常に正立虚像であり、被写体(図3のディスプレイパネル1の260参照)までの距離Lだけ鏡の背面方向に離隔して結んだ虚像である。
【0074】
したがって、光源であるディスプレイパネル1の260からディスプレイされたオブジェクト映像は、ユーザの視線と垂直して半透明ミラー230からLだけ離隔されているが、ユーザはユーザの視線方向で鏡からLだけ離隔されていると認知する。これは潜望鏡の原理と同様である。
【0075】
しかし、上述したように、本発明の立体映像ディスプレイシステムから生成される立体映像は、オブジェクト映像290のみで構成されるものではない。オブジェクト映像と異なる深さ(遠近距離)を有する背景映像200Rが存在すれば、ユーザは立体映像として認知することになる。
【0076】
したがって、集積映像システム部は、重畳除去背景映像200Rをディスプレイパネル2を通してディスプレイする。ディスプレイパネル2の211は、ディスプレイパネル1の260と同じくLCD、PDPなどのような平面ディスプレイ装置であることができ、プロジェクション(Projection)ディスプレイ装置であることもできる。
【0077】
ディスプレイパネル2の211は重畳除去背景映像200Rの光源であって、重畳除去背景映像200Rを出力し、重畳除去背景映像200Rを構成する光は2次元のレンズアレイ212を通過する。
【0078】
レンズアレイ212を通過した光はレンズアレイ212を構成する各々の小型レンズ(Lenslet)を通過しながらレンズアレイ212からZ252だけ離隔して像を結ぶ。重畳除去背景映像200Rは、例えば、宇宙からながめた地球が立体的に見える3D集積映像である。
【0079】
ただ、重畳除去背景映像200Rはオブジェクト映像290とは異なる深さを有する位置に像を結ばなければならないので、重畳除去背景映像200Rの位置はオブジェクト映像290からZ250−Z252だけ離隔されることになる。すなわち、重畳除去背景映像200Rはユーザの視線で見ると、オブジェクト映像290の後に存在するように認識される。
【0080】
図3には説明の便宜のため、重畳除去背景映像200Rがレンズアレイ212からZだけ離隔した位置に実像を結ぶことに示されているが、レンズアレイに含まれているレンズの曲率半径またはディスプレイパネル2の211の位置に応じて虚像として像を結ぶことも可能である。すなわち、レンズアレイ212の種類など、予め設定された光学条件に応じて重畳除去背景映像200Rが虚像として結ぶことは本発明の技術分野で通常の知識を有する者にとっては自明なことである。
【0081】
従来技術によれば、ユーザの視線には、オブジェクト映像290と背景映像200とが重畳されて見える重畳領域(occlusion region)が存在して、オブジェクト映像の色が異なって見えるという問題が生ずる。したがって、図2を参照して説明したように、本発明のディスプレイパネル2の211には、背景映像200からオブジェクト映像290に該当する領域が除去された重畳除去背景映像200Rが出力される。
【0082】
ここで、重畳除去背景映像200Rは、ユーザの視線から重畳領域が発生することを防止するために、オブジェクト映像290の重畳される部分を入力パネル210が得た映像を意味する。ディスプレイパネル2の211は、入力パネル210に繋がっているか、入力パネル210を備えていて、入力パネルがピックアップした重畳除去背景映像200Rを出力することができる。
【0083】
したがって、上述した本発明の立体映像システムによれば、ユーザは半透明ミラーを基準として鏡の後面からL距離だけ離れた位置に宇宙船が存在し、宇宙船からZ−Z距離だけ離れた位置に地球が存在すると認知する。すなわち、ユーザは宇宙からながめた地球200Rと宇宙船290とを立体的に認識することになる。
【0084】
図4は、フローティングディスプレイ方式の原理を説明するための図面である。フローティングディスプレイ方式は、前述した図1から図3のオブジェクト映像をディスプレイするために用いられる。
【0085】
図4を参照すると、フローティングディスプレイ装置は、映像表示のためのディスプレイパネル400と凸レンズ402とを含む。ここで、焦点距離を減らすために、凸レンズ402を二つ以上組み合わせて使用してもよい。また、フローティングディスプレイ装置は、凸レンズ402の代わりに凹面鏡を用いて構成されることもできる。凸レンズはフレネルレンズ(Fresnel Lens)であってもよい。
【0086】
ディスプレイパネル400に表示される映像は、ディスプレイパネル400の解像度と同様に表示できる。したがって、高解像度のオブジェクト映像をディスプレイパネル400に表示すると、凸レンズ402を介して空間上にオブジェクト映像404がディスプレイされる。ここで、ディスプレイパネル400と凸レンズ402との間の距離をh420、凸レンズ402の焦点距離をf1とすれば、凸レンズ402からオブジェクト映像404が表示される位置H422は、レンズ公式の一般式(1)で表される。
H=h・f/(h−f) ・・・(1)
【0087】
オブジェクト映像404は、一般式(1)により計算されたH422の位置に表示されることになる。このような技術が、映像を空間に実像として結ぶようにするフローティングディスプレイ(Floating Display)技術である。
【0088】
図5は、本発明の実施例に係るフローティングディスプレイシステムを説明するための図面である。図5を参照すると、フローティングディスプレイシステムはオブジェクト映像をディスプレイするために用いられる。フローティングディスプレイシステム部はディスプレイパネル500と凸レンズ502とを備えることができる。
【0089】
焦点距離を減らすために、凸レンズ502を二つ以上組み合わせて使用してもよい。また、他の実施例によれば、凸レンズ502の代わりに凹面鏡を用いてオブジェクト映像をフローティングすることもできる。
【0090】
ディスプレイパネル500には表現しようとするオブジェクトの宇宙船がディスプレイされる。このオブジェクトは一般的な2D映像であり、ディスプレイパネル500の解像度と同様に表示可能である。したがって、高解像度のオブジェクト映像をディスプレイパネル500に表示すると、凸レンズ502を通して空間上にオブジェクト映像の宇宙船504がディスプレイされる。
【0091】
すなわち、ディスプレイパネル500に表示された2D映像の宇宙船は凸レンズ502を通して凸レンズ502からH542距離だけ離れた距離に実際のオブジェクト映像の宇宙船504としてディスプレイされる。
【0092】
ここで、実際映像を結ぶ位置Hは、レンズ公式により算出できる。ディスプレイパネル500と凸レンズ502との間の距離をh540、凸レンズの焦点距離をf1とすると、オブジェクト映像504が表示される位置H542はレンズ公式の一般式(1)の通りである。
【0093】
図6は、本発明の他の実施例に係る立体映像ディスプレイシステムを示す構成図である。図6に示すように、オブジェクト映像をフローティングレンズ602を用いて像を結ぶディスプレイシステムであることが分かる。
【0094】
すなわち、図6に示されている立体映像システムは2種類のシステム部に大別される。一つはフローティングディスプレイシステム部であり、他の一つは集積映像ディスプレイシステム部である。フローティングディスプレイシステム部はオブジェクト映像ディスプレイシステム部に該当する。
【0095】
ここで、二つのシステム部には、半透明ミラー630を通してオブジェクト映像と重畳除去背景映像とが同一視野角内で重なるようにオブジェクト映像を近距離に、背景映像を遠距離に配置されることができる。
【0096】
このために、半透明ミラー630はフローティングディスプレイシステム部にディスプレイされたオブジェクト映像620、または集積映像ディスプレイシステム部にディスプレイされた重畳除去背景映像614Rのうちのいずれか一つは透過させ、残りの一つは反射させる機能をする。図6では半透明ミラー630がオブジェクト映像620を反射させ、重畳除去背景映像614Rを透過させるように配置されており、ユーザが右側から観測することに示されているが、半透明ミラー630の特性上、ユーザが下方から観測することも可能である。ただ、以下では説明の便宜のため、ユーザが半透明ミラー630の右側から観測する場合を中心にして説明する。また、図6では、オブジェクト映像620が反射され、重畳除去背景映像614Rが透過されて右側ユーザの視野角に進入される構成を中心にして説明する。
【0097】
フローティングディスプレイシステム部は、ディスプレイパネル1の600と凸レンズ602とを備えることができる。ディスプレイパネル1の600には表現しようとするオブジェクト映像が3D映像でディスプレイされる。ディスプレイパネル1の600に表示された3D映像は、凸レンズ602を通して半透明ミラー630の近くで実際のオブジェクト映像620としてディスプレイされる。これは図4及び図5での説明と同様であるので、その説明を省略する。
【0098】
集積映像ディスプレイシステム部は、ディスプレイパネル2の610とレンズアレイ612とを備えることができる。ディスプレイパネル2の610には表現しようとする背景映像(地球)が重畳除去背景映像(宇宙船が除去された地球)としてディスプレイされる。ディスプレイパネル2の610から出力された背景要素映像は、レンズアレイ612を通して半透明ミラー630の近くで重畳除去背景映像614Rとしてディスプレイされる。また、図6では説明の便宜のため、重畳除去背景映像614Rがレンズアレイ612からZだけ離隔された位置に実像として像を結ぶことに示されているが、レンズアレイに含まれたレンズの曲率半径やディスプレイパネル2の610の位置に応じて虚像として像を結ぶこともできる。これは図2及び図3での説明と同様である。
【0099】
本発明の実施例によりディスプレイされる3D立体映像は、既存フローティングディスプレイシステムとは異なる特徴を有する。すなわち、本発明の実施例によりディスプレイされる3D立体映像は、3D映像が二つの大きい領域に分けられてディスプレイされる。一つはフローティングディスプレイ方式で表示されるオブジェクト映像620であり、他の一つはこのオブジェクト映像の後に位置し、集積映像ディスプレイ方式で表示される集積映像背景614Rである。
【0100】
ここで、オブジェクト映像620は観測者の関心を引く映像であって高解像度の映像を要するため、フローティングディスプレイ方式を用いて表示することができる。一方、集積映像背景614Rは、立体感を与えることができる背景映像を提供するために、集積映像ディスプレイ方式を用いて表示することができる。
【0101】
本発明は、集積映像ディスプレイ技術で表示される集積映像背景614Rを用いて多視点映像を提供し、オブジェクト映像のマスクを結合した重畳除去背景映像614Rを用いて深さのある立体感を表現することができる。
【0102】
また、集積映像ディスプレイ方式の短所である低解像度を克服するために、オブジェクト映像をフローティングディスプレイ技術で表示するオブジェクト映像620を用いることにより、高解像度のオブジェクト映像620を得ることができる。
【0103】
また、本発明の立体映像ディスプレイシステムは、3D立体映像がディスプレイされる位置を特定できる。すなわち、フローティングディスプレイシステム部では、一般式(1)のレンズ公式を用いてオブジェクト映像が距離Z650に位置するようにすることができ、ディスプレイされたオブジェクト映像を反射させる半透明ミラー630を使用することができる。集積映像ディスプレイシステム部では、集積映像背景が距離Z652に位置するようにすることができる。
【0104】
以上では、本発明の実施例に係る集積映像ディスプレイ方式を用いた背景映像を有する立体映像ディスプレイシステムの構成について説明した。以下では、本発明の実施例に係る集積映像ディスプレイ方式を用いた背景映像を有する立体映像ディスプレイシステムが適用された実験について、実験条件及び実験データを具体的に説明する。
【0105】
図7は、本発明の実施例に係る集積映像背景を有するフローティングディスプレイ方法の実験構成図である。
フローティングディスプレイシステム部は上側に、集積映像ディスプレイシステム部は下側に示されている。この二つのシステムから表示される映像を結合して観測者が見ることができるように、二つのシステムの間に半透明ミラー630が位置している。
【0106】
フローティングディスプレイシステム部では、オブジェクト映像がディスプレイパネル1の600に表示される。ディスプレイパネル1の600はプロジェクタと拡散スクリーンであることができる。本実施例で用いたプロジェクタと拡散スクリーンは、基礎実験のために使用されたものに過ぎなく、このデバイスは使用用途や各特性に応じて他のディスプレイ装置のLCD(liquid crystal display)、PDP(plasma display panel)、その他の映像ディスプレイ装置で代替できることは上述した通りである。
【0107】
凸レンズ602としては低い焦点を容易に具現できるフレネルレンズを用いた。凸レンズ602は拡散スクリーンから680mm距離に位置している。すなわち、ディスプレイパネル1の600と凸レンズ602との間の距離h640は680mmとなる。一般式(1)の条件により、オブジェクト映像(宇宙船)620のイメージは凸レンズ602から254mm離れて表示される。すなわち、オブジェクト映像620が表示される位置H642は254mmになる。
【0108】
一方、集積映像ディスプレイシステム部では、要素映像がディスプレイパネル2の610に表示される。ディスプレイパネル2の610は、プロジェクタと拡散スクリーンであることができる。レンズアレイ612はディスプレイパネル2の610の前に位置している。
【0109】
実験に使用したレンズアレイ612は総53×53の小型レンズから構成されており、小型レンズの焦点距離は3mmである。
【0110】
ディスプレイパネル2の610とレンズアレイ612との間の距離を小型レンズの焦点距離と同じく位置させると、重畳除去背景映像として再生される地球の背景映像614Rは約6mm距離(Z652)に再生される。
【0111】
図8は、本発明の実施例に係る集積映像背景を有する立体映像ディスプレイ方法の実験に使用されたオブジェクト映像図及び背景映像図である。
本発明の有用性を証明する実験を行うために、オブジェクト映像と重畳除去背景映像とを製作する。図8に示すように、実験でのオブジェクト映像620は「宇宙船」の映像であり、背景映像613は「地球」の映像である。オブジェクト映像は、変形なしにそのままディスプレイパネル1の600にディスプレイされる。背景映像613はディスプレイパネル2の610に表示される前に重畳除去背景映像614Rとして変形されることになる。重畳除去背景映像614Rの製作過程については図2で詳述したので、その説明を省略する。
【0112】
図9は、本発明の実施例に係る集積映像ディスプレイシステム部で用いられる重畳除去背景映像の製作図である。ディスプレイパネル2の610から出射される重畳除去背景映像の製作方法は図2で詳述し、重畳除去背景映像がレンズアレイ612、または212を通して立体感を持つ映像としてユーザに認知されることも前述した通りである。
【0113】
図9を参照すると、集積映像ディスプレイシステム部で用いられる重畳除去背景映像の製作例が分かる。
まず、図9に示されている三つの映像は全てレンズアレイ612、または212を通して入力手段210に入力及び格納された映像である。すなわち、レンズアレイを通した多視点集積映像であって、立体感を有する「要素映像」である。
【0114】
このような要素映像のうち、背景要素映像とは図1及び図2で説明したように、被写体を、レンズアレイを通過して配置させ、これをコンピューターピックアップ方式で再現した背景映像である。したがって、本発明の実施例によれば背景要素映像は52×52の要素から構成された背景要素映像になる。
【0115】
背景要素映像800と、オブジェクト映像のオブジェクトを黒色処理したオブジェクト映像のマスク映像(シルエット)の要素映像802とを製作する。以後、背景要素映像800とオブジェクト映像のマスク映像(シルエット)の要素映像802とを結合して重畳除去背景映像900Rを得ることができる。図9に示すように、重畳除去背景映像900Rもレンズアレイ612、または212を通してピックアップ及び再生された映像であるので「要素映像」に該当する。
【0116】
これは、図1及び図2で説明したように、オブジェクト映像の要素映像802を背景要素映像800から除去して重畳領域を除去するためである。
【0117】
したがって、図3及び図6で説明した重畳除去背景映像200R,614Rは集積映像システム部における「要素映像」であって、図9に示された識別番号900R映像と同じである。
【0118】
図10は、本発明の実施例に係る立体映像ディスプレイ方法による立体映像を示す図面である。
ここでは、図7の実験条件によりディスプレイパネル1の600から出射されたオブジェクト映像620とディスプレイパネル2の610から出射された重畳除去背景映像614Rとを用いて本発明の実施例に係る集積映像背景を有するフローティングディスプレイ方法の実験を行った。
【0119】
図10を参照すると、実際3D映像ディスプレイの実験結果を示す映像を見ることができる。図10の各々の映像は、オブジェクト映像のみディスプレイされた映像620、重畳除去背景映像のみディスプレイされた映像614R、及び重畳除去背景映像614Rと共にディスプレイされた映像904を示している。
【0120】
具体的に、図6及び図7の実験構成図から各々2種類の映像を表示して得られた実験結果を示すものである。オブジェクト映像のみディスプレイされた映像620は、フローティングディスプレイシステム部から再生される映像である。実験ではXGA級のプロジェクタを用い、宇宙船の解像度は約600×400ピクセル程度であった。重畳除去背景映像のみディスプレイされた映像614Rは、集積映像ディスプレイシステム部から再生される映像である。この時、再生される集積映像背景614Rは、レンズアレイ612の数と一致する50×50個程度の(円形)点で表現される。
【0121】
オブジェクト映像620及び重畳除去背景映像614Rが共にディスプレイされた映像904は、フローティングディスプレイシステム部から再生される映像と、集積映像ディスプレイシステム部から再生される映像とが半透明ミラー630を通して合わせられた時の映像である。図10の実験結果から分かるように、互いに異なる二つのシステム部の映像を組み合わせると、立体感のある3D映像が製作できる。また、実験結果より、フローティングディスプレイ方式でディスプレイされる映像、すなわちオブジェクト映像のみディスプレイされた映像620の解像度が、集積映像システムから再生される背景映像、すなわち重畳除去背景映像のみディスプレイされた映像614Rに比べて、極めて高い解像度を有することが分かる。
【0122】
図11は、本発明の実施例に係る集積映像背景を有するフローティングディスプレイを多様な角度から観測した3D映像図面であって、再生された結果を多様な角度から観測した映像を示している。すなわち、上側から見た立体映像1000、左側から見た立体映像1002、右側から見た立体映像1004、中央から見た立体映像1006、下側から見た立体映像1008が示されている。
【0123】
具体的に、中央から見た立体映像1006を基準にして、上側から見た立体映像1000と下側から見た立体映像1008との宇宙船の頭部を比べると、上側から見た立体映像1000の頭部の方が、より広く表示されることが分かる。
【0124】
中央から見た立体映像1006を基準にして、左側から見た立体映像1002と右側から見た立体映像1004との地球背景の左側部分を比べると、左側から見た立体映像1002の方が、より広い面積を占めていることが分かる。
【0125】
このように図11を参照すると、多様な角度から観測した3D立体映像の背景映像が立体感を有することが確認できる。
【0126】
以上、背景映像として集積映像技法を用いた方法の実験について詳述したが、以下では背景映像をレンズアレイによる「要素映像」ではなく、他の3次元映像再生方法によりディスプレイする場合について説明する。
【0127】
図12から図14は、立体鏡学(stereoscopy)方式を適用して背景映像をディスプレイする方法に関する図面である。
立体鏡学方式は仮想3Dディスプレイ方式であって、人間が立体感を感じる様々な要因中の一つである両眼視差(binocular disparity)を用いて平面ディスプレイから仮想的に立体感を感じさせる方法である。
【0128】
通常、人間の目は左右65mmほど離れているため、各々の目に視差情報を有する左右映像が視神経を通して各々反対側の脳に入ると、以後、視覚領(視覚的な情報を処理する後頭部の大脳皮質領域)で二つの映像が一つに合し、空間感を感じることができるようになる。
【0129】
すなわち、人間は両眼視差のため、同じ物体を見ていても左右の空間的情報を少しずつ分けて持っている異なる画像を見ることになり、この二つの画像が網膜を通して脳に伝達されると、人間の脳はこの二つの画像を融合して立体感を感じることができる。立体鏡学方式は、このような原理を用いて2Dディスプレイ装置に視差が異なる左右映像二つを同時に映して各々の目に送る設計を通して仮想的に立体を作り出すことである。
【0130】
このような立体鏡学方式は、眼鏡の着用有無による眼鏡方式と無眼鏡方式に分けられ、どれくらい多様な角度の立体を表現できるのかによる両眼方式と、この拡張概念であるマルチビュー方式とに区分できる。
【0131】
眼鏡方式には、色差方式、偏光方式、時分割方式、HMD(Head mount display)などがある。
色差方式は、補色関係の赤色と青色で左右画像を描き、色フィルタで左右の像を選択・分離して両眼にそれぞれ赤色と青色の色眼鏡をかけて見る方法である。
偏光方式は、直線偏光の振動方向が異なる性質、あるいは円偏光の回転方向が異なる性質をそれぞれ用いて両眼に偏光方向が異なる偏光眼鏡をかけて見る方法である。
時分割方式は、左右画像を両眼に周期的に反復させ、この周期に同期させた電子シャッタが設置された眼鏡をかけることにより立体感を得る方式である。
HMD方式は、頭にディスプレイ装置を被って、目の直前に画面をディスプレイすることで立体感を得る方式である。
【0132】
ここで、前述した各々の方式を適用して、背景映像を有するフローティングディスプレイシステムを構成することができる。但し、偏光を用いる方法は、偏光方向の特性がフローティング映像ディスプレイにも影響を及ぼすので、使用に制約があることもあり得るし、HMD方式も頭に装置を着用して視野を制限するため、フローティング映像を遮るという制約があるので、前述した各々の方式中、時分割方式を用いてシステムを構成することが好ましい。しかし、これは背景映像をディスプレイする方式を限定するものではなく、前述した各々の方式を適用しても背景映像をディスプレイすることができることは明らかである。
【0133】
一方、眼鏡を着用しない代表的な無眼鏡方式としては、パララックスバリア方式、レンチキュラー方式などがある。無眼鏡方式は、眼鏡のような道具を用いずに、ディスプレイ装置の構造と、レンズの屈折などを用いて特定視点内でそれぞれの左右両眼に映像を分離させる方法である。
【0134】
以下、各々の細部的な方法で背景映像をディスプレイする多様な実施例を説明する。
図12は、本発明の他の実施例に係る時分割方式を用いて背景映像をディスプレイする方法に関する図面である。
【0135】
時分割方式とは、一つの画面で左右チャンネルのイメージが速い速度で交互に表示される画面を、シャッタ眼鏡などを用いて、迅速に遮断と開閉を繰り返して、片目に一方向のイメージだけが入るようにする方式である。
【0136】
図12によれば、ディスプレイパネル2の610に、各々の視差の異なる映像が交互に速くディスプレイされる。実験では、左側映像1100を緑色映像で構成し、右側映像1102を青色映像で構成した。観察者が着用したシャッタ眼鏡は、各々の目に合う映像を受け入れるために電子的に作動し、各々交互に目を遮ることになる。このような作動が60回以上迅速に行われ、観察者は二つの画像が同時に一つの画面から出力されると感じることになり、この二つの画像は観察者の脳の中で合わせられて立体感を感じることができるようになる。
【0137】
すなわち、図12で観察者の右眼1104には青色映像が映り、左眼1106には緑色映像が映ることになる。
時分割方式は、偏光方式に比べ、視野角が自由になり、単に同じ画面から左右チャンネルだけが交互に出力されることであるので、上下左右の全方向の視野角には全く損失がない。したがって、観察者は自由な姿勢で仮想立体画面を見ることができる。
【0138】
図13は、本発明のまた他の実施例に係るパララックスバリア方式を用いて背景映像をディスプレイする方法に関する図面である。
パララックスバリア方式とは、光学的技術を用いることではなく、単純に視野を遮断する程度の構造でイメージを区分する方式である。
【0139】
パララックスバリア方式は、パララックスバリア1200と呼ばれる細いスリット状の開口部の後方に一定の間隔をおき、左右両眼分の画像を交互配置して、特定視点からこの開口部を通して見た時、正確に両側画像を分離して見ることができる方式である。すなわち、偏光方式のような光学的技術を用いることではなく、単純に左右チャンネルを壁で塞いで区分させるものである。
【0140】
図13によれば、ディスプレイパネル2の610には左側映像1100と右側映像1102とが交互に配列されている。実験では、左側映像1100を緑色映像で構成し、右側映像1102を青色映像で構成した。ディスプレイパネル2の610の前に細いスリットアレイのパララックスバリア1200が位置すると、特定距離の観察者には二つの映像が分離されて両眼に入ってくることになる。すなわち、図13で観察者の右眼1104には青色映像が映り、左眼1106には緑色映像が映ることになる。
【0141】
図14は、本発明のまた他の実施例に係るレンチキュラー方式を用いて背景映像をディスプレイする方法に関する図面である。
レンチキュラー方式とは、縦に配列されたスクリーン上にレンチキュラーレンズアレイ1300を通して左右画像を屈折させて観察者の両眼にそれぞれの画像を送る方法である。図14によれば、ディスプレイパネル2の610は、レンチキュラーレンズ一つに、両眼に入る左側映像1100と右側映像1102とがアレイされるように構成される。実験では、左側映像1100を緑色映像で構成し、右側映像1102を青色映像で構成した。ディスプレイパネル2の610の前にレンチキュラーレンズアレイ1300を位置させると、左側映像1100と右側映像1102とが分離され左眼1106と右眼1104にそれぞれ入力されることになる。すなわち、図14で、観察者の右眼1104には青色映像が映り、左眼1106には緑色映像が映ることになる。
【0142】
この時、人間の脳は既存の仮想3Dディスプレイ方法から感じたような立体感を感じることになる。
【0143】
レンチキュラー方式は、パララックスバリア方式に比べて、明るさの低下が少なく、2D画面上でのバリアのように目に障る構造物がないという長所がある。
図15は、本発明のまた他の実施例に係るマルチビュー方式を用いて背景映像をディスプレイする方法に関する図面である。
【0144】
マルチビュー方式は、上述した両眼方式の視点を拡張する概念である。既存の立体鏡学方式は両眼に入力される二つの映像を認知して生じる1視点の映像を受け入れて立体感を感じる方式であった。しかし、マルチビューはその視点の個数を増加させ、同一視野角内で二つ以上の視点を作り出す方法である。
【0145】
図15を参照すると、ディスプレイパネル2の610にはそれぞれの左右映像の対が五つの単位(最左側映像、左側映像、中間映像、右側映像、最右側映像)で配列されていることが分かる。これは既存のバリア方式やレンチキュラー方式と類似の構造であるが、連続する映像が2色配列ではなく、5色配列に区分される。
【0146】
ここでは、説明の便宜のために5視点配列で構成したが、5視点配列に限定されず、複数の視点を用いてマルチビュー方式を採用できることは明らかである。このように作られた映像がディスプレイパネル2の610の前に位置しているバリア1400を通過して映像を作り出すことになり、この時、視野角を変化させながら映像を観察すると、最左側映像から最右側映像まで五つの視点が順次目に入ることになる。このようにして多視点を有するディスプレイを具現することができる。
【0147】
視点の個数を増やすために、ディスプレイパネル2の610の前に設置するバリア1400を垂直に構成せず、45°あるいは特性に合わせて傾くようにして視点を増やすこともできる。
【0148】
図16は、本発明のまた他の実施例に係るホログラフィ方式を用いて背景映像をディスプレイする方法に関する図面である。
ホログラフィ方式は、レーザーから出た光線を二つに分けて、一つの光は直接スクリーンを照らすようにし、他の一つの光は、見ようとする物体を照らすようにする方式である。ここで、直接スクリーンを照らす光を基準光(reference beam・参照光)といい、物体を照らす光を物体光(object beam)という。
【0149】
物体光は、物体の各表面から反射されて出る光であるため、物体表面に応じて位相差(物体表面からスクリーンまでの距離)が各々異なって表れる。そして、変形されない基準光が物体光と干渉を起こし、この時の干渉縞がスクリーンに格納される。このような干渉縞が格納されたフィルムをホログラムという。
【0150】
格納された映像を再現しようとする場合、記録時に用いられた光線を再びスクリーンに照射しなくてはならない。再生の際に用いられる光線は、記録時と同じ振動数を有する波動だけが3次元で再現され、波長と位相が異なる波は全く効果なく、格納されたホログラムを通過させてしまうので、記録時に用いられた基準光と必ず正確に一致しなくてはならない。
【0151】
このように、ホログラムが既存の写真と異なる点は、格納時と再生時に同じ光線を利用しなくてはならないということと、3次元映像が再現されるということである。
ホログラムは、物体光の強度だけを格納する2次元写真とは異なって、その光の方向まで記録するので、3次元映像を見ることができる。
【0152】
ここでは、実験の容易性のために、実際のホログラムパターンをスクリーンに格納することではなく、CGH(Computer generated hologram)を用いてパターンを生成し、ここに平行光を用いて空間光変調器によりホログラムパターンの回折を起こして実際の空間に3次元映像を表示する。
【0153】
図16は、背景映像をディスプレイするためのホログラムディスプレイ装置の構成図である。図16を参考すると、レーザー1500から出た光は光整列器(collimating)1(シルエット)及び光拡大器(expander)1504を経て平行行光となる。そして、この光は偏光光分割器(polarized beam splitter、PBS)1506を通して空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator)1508に入射される。ここで、空間光変調器としては反射型空間光変調器または透過型空間光変調器を使用できる。空間光変調器1508には、生成されたホログラムパターンが入力されており、ここから回折され出た光は、フィールドレンズを通して実像の3次元ホログラム映像として観察できるようになる。
【0154】
図12から図16までは、背景映像を有するフローティングディスプレイシステムの背景映像の部分をディスプレイする方法について説明した。上述したディスプレイ方法以外にも3次元映像を再生できる方式であれば、何れも前記背景映像のディスプレイに適用できることは本発明の通常の知識を有する者にとって明らかなことである。以下では、既存のフレネルレンズを用いるフローティングシステムの代替具現方法についてを説明する。
図17は、本発明のまた他の実施例に係るフローティングディスプレイ方法に関する図面である。
【0155】
前記では、フローティングディスプレイシステムでディスプレイパネル1の600から出力された2次元平面映像がスクリーンに映り、この映像は凸レンズを通過してレンズ公式により半透明ミラーの近くにあるオブジェクト映像のマスク映像と同じ位置にディスプレイされる方式について詳述した。
【0156】
以下では、図17に基づいて、フローティングディスプレイシステム部の凸レンズの代わりに球形の凹面鏡を設けたシステムについて説明する。
フローティングディスプレイシステム部が、凸レンズまたは同じ特性を有する凹面鏡1600で具現されることができるということは前述した通りである。凹面鏡1600を用いる理由は、凸レンズを用いることにより発生する問題点を効果的に克服することができるからである。
【0157】
凹面鏡1600は、ディスプレイパネル1の600に映られた映像を透過させなく、反射する特性があり、凹んだ屈曲を通して凸レンズと同じ効果を出すので、凸レンズを用いることにより発生し得る明るさの低下、歪み、収差などの問題を改善することができる。
具体的に、図17に示すように、2次元のオブジェクト映像がディスプレイパネル1の600から出力され、新しく追加された半透過鏡1602から反射され、凹面鏡1600に入射される。入射された映像は凹面鏡1600の屈曲面の特性(すなわち、凸レンズを透過した特性)を有することになり、凹面鏡1600から反射された映像情報は、入射された方向の反対方向に映像を出力させる。最終的には、凸レンズを通過してレンズ公式により生成される映像の距離と同じく、半透明ミラー1602を通過して凹面鏡1600との距離によって定められた焦点距離の実際領域にオブジェクト映像620がディスプレイされることになる。
【0158】
上述した全ての実施例は、光学装置を通過した面、すなわち実際領域(real field)に映像を生成させる方法といて具現された。しかし、集積映像ディスプレイ方法及びフローティングディスプレイ方法、そして、言及した全ての3次元ディスプレイ方法は、光学的構成を異なるようにするか、ソフトウェア的な映像のピックアップ方法などを異なるようにして、実際の空間領域ではなく、反対領域である虚像領域(virtual field)にも映像を生成することができる。また、虚像領域を用いることにより、さらに広い領域の深さを表現することや、視野角の変形などのように使用用途に応じて新しい分野への適用が可能である。
【0159】
以上では、本発明の実施例を参照して説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】集積映像ディスプレイ方式の概念を説明するための図面である。
【図2】本発明の実施例に係る立体映像ディスプレイシステムで用いられる重畳除去背景映像の製作方法を示す図面である。
【図3】本発明の実施例に係る立体映像ディスプレイシステムの構成を示す図面である。
【図4】フローティングディスプレイ方式の原理を説明するための図面である。
【図5】本発明の実施例に係るフローティングディスプレイシステムを説明するための図面である。
【図6】本発明の他の実施例に係る立体映像ディスプレイシステムを示す構成図である。
【図7】本発明の実施例に係る集積映像背景を有するフローティングディスプレイ方法の実験構成図である。
【図8】本発明の実施例に係る集積映像背景を有する立体映像ディスプレイ方法の実験に使用されたオブジェクト映像図及び背景映像図である。
【図9】本発明の実施例に係る集積映像ディスプレイシステム部で用いられる重畳除去背景映像の製作図である。
【図10】本発明の実施例に係る立体映像ディスプレイ方法による立体映像を示す図である。
【図11】本発明の実施例に係る集積映像背景を有するフローティングディスプレイを多様な角度から観測した3D映像図である。
【図12】本発明の他の実施例に係る立体鏡学方式の時分割方式を用いて背景映像をディスプレイする方法に関する図面である。
【図13】本発明のまた他の実施例に係る立体鏡学方式のパララックスバリア方式を用いて背景映像をディスプレイする方法に関する図面である。
【図14】本発明のまた他の実施例に係る立体鏡学方式のレンチキュラー方式を用いて背景映像をディスプレイする方法に関する図面である。
【図15】本発明のまた他の実施例に係るマルチビュー方式を用いて背景映像をディスプレイする方法に関する図面である。
【図16】本発明のまた他の実施例に係るホログラフィ方式を用いて背景映像をディスプレイする方法に関する図面である。
【図17】本発明のまた他の実施例に係るフローティングディスプレイ方法に関する図面である。
【符号の説明】
【0161】
260,600 ディスプレイパネル1
211,610 ディスプレイパネル2
402,502,602 凸レンズ
106,212,612,1300 レンズアレイ
290,404,504,620 オブジェクト映像
230,630 半透明ミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立体映像ディスプレイシステムで立体映像をディスプレイする方法であって、
オブジェクト映像をディスプレイするステップと、
3次元映像再生方式を用いて背景映像をディスプレイするステップと、
前記オブジェクト映像及び前記背景映像が同一視野角内で重なるように前記オブジェクト映像を近距離に、前記背景映像を遠距離に配置するステップと、
を含む立体映像ディスプレイ方法。
【請求項2】
前記配置するステップにおいて、
前記オブジェクト映像または前記背景映像のうちの一映像は透過させ、他の映像は反射させる半透明ミラー(Half Mirror)を用いて、
前記オブジェクト映像または前記背景映像のうちの一映像は実像として、他の映像は虚像として結ぶようにする請求項1記載の立体映像ディスプレイ方法。
【請求項3】
前記オブジェクト映像は、前記半透明ミラーから反射されて前記半透明ミラーの背面方向に虚像として結ぶことを特徴とする請求項2記載の立体映像ディスプレイ方法。
【請求項4】
前記背景映像をディスプレイするステップは、
前記背景映像をレンズアレイ(Lens Array)に投影して要素映像としてディスプレイするステップを含むことを特徴とする請求項1記載の立体映像ディスプレイ方法。
【請求項5】
前記背景映像をディスプレイするステップは、
前記オブジェクト映像に対応するマスク(Mask)映像を生成するステップと、
前記背景映像と前記マスク映像とを結合するステップと、
前記結合された映像をレンズアレイに投影して要素映像としてディスプレイするステップと、
を含む請求項1記載の立体映像ディスプレイ方法。
【請求項6】
前記マスク映像は、オブジェクト映像を黒色で処理した映像であることを特徴とする請求項5記載の立体映像ディスプレイ方法。
【請求項7】
前記背景映像をディスプレイするステップは、
前記背景映像が補色関係の左右画像で出力されるステップと、
色眼鏡や色フィルタの使用により前記補色関係の左右画像が分離されるステップと、を含む色差方式を用いることを特徴とする請求項1記載の立体映像ディスプレイ方法。
【請求項8】
前記補色関係の左右画像は、赤色と青色との補色関係にあることを特徴とする請求項7記載の立体映像ディスプレイ方法。
【請求項9】
前記背景映像をディスプレイするステップは、
偏光方向が異なる偏光眼鏡を使用して前記背景映像の左右画像を分離する偏光方式を用いることを特徴とする請求項1記載の立体映像ディスプレイ方法。
【請求項10】
前記偏光眼鏡は、直線偏光の振動方向の差または円偏光の回転方向の差を用いることを特徴とする請求項9記載の立体映像ディスプレイ方法。
【請求項11】
前記背景映像をディスプレイするステップは、
前記背景映像が視差を有する左右画像で周期的に反復出力されるステップと、
前記反復周期に同期された電子シャッタを通して左右画像が分離されるステップと、を含む時分割方式を用いることを特徴とする請求項1記載の立体映像ディスプレイ方法。
【請求項12】
前記背景映像をディスプレイするステップは、
頭にディスプレイ装置を被って、目の直前に画面を表示して立体感を得るHMD(Head mount display)方式を用いることを特徴とする請求項1記載の立体映像ディスプレイ方法。
【請求項13】
前記背景映像をディスプレイするステップは、
前記背景映像のディスプレイパネルに左右画像が交互に配置され出力されるステップと、
前記ディスプレイパネルから一定距離にあるバリアを通過して左右画像が分離されるステップと、を含むパララックスバリア(parallax barrier)方式を用いることを特徴とする請求項1記載の立体映像ディスプレイ方法。
【請求項14】
前記背景映像をディスプレイするステップは、
前記背景映像のディスプレイパネルに左右画像が交互に配置され出力されるステップと、
前記ディスプレイパネルから一定距離にある半円筒状のレンチキュラー(Lenticular)を通過して左右画像が分離されるステップと、を含むレンチキュラー方式を用いることを特徴とする請求項1記載の立体映像ディスプレイ方法。
【請求項15】
前記背景映像をディスプレイするステップは、
前記背景映像のディスプレイパネルに左右画像が交互に配置され複数の対で出力されるステップと、
前記ディスプレイパネルから一定距離にあるバリアを通過して左右画像が複数の視点に分離されるステップと、を含むマルチビュー(multiview)方式を用いることを特徴とする請求項1記載の立体映像ディスプレイ方法。
【請求項16】
前記オブジェクト映像をディスプレイするステップにおいて、
前記レンズは、凸レンズまたは凹面鏡であることを特徴とする請求項1記載の立体映像ディスプレイ方法。
【請求項17】
前記オブジェクト映像をディスプレイするステップにおいて、
前記レンズは、複数の凸レンズまたは複数の凹面鏡であることを特徴とする請求項1記載の立体映像ディスプレイ方法。
【請求項18】
請求項1から17の何れか1項に記載の背景映像を有する立体映像ディスプレイ方法が具現できるように、デジタル処理装置で実行できる命令語のプログラムが類型的に具現されており、
前記デジタル処理装置により読み取ることができる立体映像ディスプレイプログラムが記録された記録媒体。
【請求項19】
立体映像ディスプレイシステムであって、
オブジェクト映像をディスプレイするオブジェクト映像ディスプレイシステム部と、
背景映像を要素映像としてディスプレイする集積映像ディスプレイシステム部と、
前記オブジェクト映像及び前記背景映像が同一視野角内で重なるように前記オブジェクト映像を近距離に、前記背景映像を遠距離に配置する光学手段と、
を含む立体映像ディスプレイシステム。
【請求項20】
前記集積映像ディスプレイシステム部はレンズアレイを含み、
前記集積映像ディスプレイシステム部は前記要素映像を前記レンズアレイに投影することにより前記背景映像をディスプレイすることを特徴とする請求項19記載の立体映像ディスプレイシステム。
【請求項21】
前記オブジェクト映像ディスプレイシステム部は、
前記オブジェクト映像をパネルにディスプレイするディスプレイパネルと、
凸レンズまたは凹面鏡であるフローティングレンズとを含み、
前記ディスプレイパネルにディスプレイされた映像は前記フローティングレンズに投影されてフローティングディスプレイされることを特徴とする請求項19記載の立体映像ディスプレイシステム。
【請求項22】
前記フローティングレンズは、複数の凸レンズまたは複数の凹面鏡であることを特徴とする請求項21記載の立体映像ディスプレイシステム。
【請求項23】
前記ディスプレイパネルにディスプレイされたオブジェクト映像が
H=h・f/(h−f
で算出される位置Hに像を結ぶようにするレンズを含み、
ここで、前記ディスプレイパネルと前記レンズとの間の距離がh、前記レンズの焦点距離がf、前記レンズからオブジェクト映像が表示される位置がHであることを特徴とする請求項21記載の立体映像ディスプレイシステム。
【請求項24】
前記集積映像ディスプレイシステム部は、
背景映像がディスプレイされるディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルの前に位置したレンズアレイと、を含み、
前記背景映像は前記レンズアレイに投影されて要素映像としてディスプレイされることを特徴とする請求項19記載の立体映像ディスプレイシステム。
【請求項25】
前記光学手段は、
前記オブジェクト映像または前記背景映像のうちの一映像は透過させ、他の映像は反射させる半透明ミラーであることを特徴とする請求項19記載の立体映像ディスプレイシステム。
【請求項26】
前記半透明ミラーは前記オブジェクト映像を反射し、
前記オブジェクト映像は前記半透明ミラーの反射面の背面方向に虚像として結ぶことを特徴とする請求項25に記載の立体映像ディスプレイシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−293022(P2008−293022A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136055(P2008−136055)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(507203157)コワングウーン ユニバーシティー リサーチ インスティテュート フォー インダストリー コーオペレーション (5)
【出願人】(508154575)
【出願人】(508155332)
【Fターム(参考)】