説明

立体画像表示機能付き電子機器

【課題】従来のステレオビューア付き電子機器は、2D表示(通常表示)と3D表示(立体表示)の切替えに手間がかかるとともに、薄型化することが困難であるため携帯性が悪かった。
【解決手段】表示素子の筐体と上記筐体裏面のカバーが第一回動軸で結合され、さらにカバーと双眼レンズが第二回動軸で結合され、それぞれ約270度回転することにより、双眼レンズを表示素子に平行に配置した3D表示と、双眼レンズを筐体に収容した2D表示を両立し、薄型で携帯性の高い3D表示機能つき電子機器が実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型の携帯電話や携帯端末や電子機器に用いられる表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話などの携帯端末装置の表示素子は携帯性を考慮し、薄型で3〜4インチの小型なものが用いられている。
【0003】
また、表示素子は高精細化が進み、多量の情報を表示することが可能になったが、携帯端末の表示素子で表示した文字や画像は、細かすぎて見にくくなるという課題がある。
【0004】
メガネを使わずに表示素子で立体画像(3D画像)を再生するには、例えば視差バリア方式による3D表示方法がある。(例えば特許文献1)
しかし、携帯端末などの小型の表示素子では画面が小さいために、立体画像の臨場感が失われる。
【0005】
左目視線の左画像と右目視線の右画像を横に並べたサイドバイサイドのステレオ画像を、それぞれ左右の目で見ることにより、3D画像を表示するステレオビューアを用いた方式が知られている。
【0006】
本方式は小型表示素子でも臨場感のある3D画像を表示することができる。(例えば特許文献2や特許文献3)
図16は従来のステレオビューアによる立体(3D)写真再生装置である。
【0007】
写真枠38に合わせてステレオ写真37を配置し、写真位置から距離をおいて配置した2つの凸レンズ7からなる双眼レンズ6を通して左右の画像をそれぞれ左右の目で見ることにより立体表示が可能になる。
【0008】
写真枠38とアーム36と双眼レンズ6は、図(2)に示すように、2つの回動軸39により折畳み可能な構造を有している。
【0009】
また、電子機器の表示素子(ディスプレイ)の側面に双眼レンズ付きアーム部品を固定することで、表示素子に表示したステレオ画像を立体画像として再生する方法が提案されている。(例えば特許文献4)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平9−15532号公報
【特許文献2】実用新案登録第3025841号公報
【特許文献3】特開2003−228022号公報
【特許文献4】特開2004−177431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の特許文献3に記載された、立体(3D)画像の表示素子を有する電子機器は、アームを表示素子の周囲の筐体枠に固定する構造を有しているため、携帯性が悪かった。
【0012】
電子機器を携帯しやすくするためにアームを電子機器から取り外すことは可能であるが、電子機器本体と双眼レンズを含むアームを別々に携帯する必要があり、持ち運びには適さなかった。
【0013】
また、携帯電話や携帯端末のような電子機器では通話、メール、テレビ、カメラなど多くの機能を有し、立体画像表示(3D表示)でなくても使用できる機能がむしろ多い。立体画像ではない従来の表示画面(2D表示)で操作を行うときには、アームが邪魔になってしまう。または、アームを取り外す手間がかかってしまう。
【0014】
例えば、特許文献1や2に記載された折畳み機能を有するステレオビューアを電子機器の表示素子上に取り付ければ、持ち運びがしやすくなる。
【0015】
しかし、文献1や2に記載されたステレオビューアは双眼レンズがステレオ画像上に収納される構造を有しているため、従来の表示画面による操作を行うことができない。すなわちメールなどの従来機能の操作性が非常に悪くなってしまう。
【0016】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたもので、従来の2D表示と3D表示を両立しながら、薄型で持ち運びやすい電子機器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
次に、上記の課題を解決するための手段について述べる。
【0018】
本発明は、長方形の第一表示素子と、第一表示素子が固定されている筐体と、前記筐体のカバーと、双眼レンズを有する電子機器において、前記筐体と前記カバーは、前記表示素子の長辺に平行で前記筐体の端部に位置する第一回動軸を有する第一ヒンジで結合され、前記カバーと前記双眼レンズは、前記第一回動軸に平行な第二回動軸を有する第二ヒンジで結合され、前記第一表示素子の長辺が水平または垂直の状態で表示する第一表示モードと、前記第一表示素子の長辺が水平になる配置で、かつ前記表示素子が左右の画面に二分割され、分割された前記画面に左目用画像と右目用画像をそれぞれ表示することにより立体画像を表示する第二表示モードを有し、前記第一表示モードは、前記双眼レンズと前記カバーを、前記第二回動軸を中心に折り畳んだのち、前記カバーと前記筐体を、前記第一回動軸を中心に折り畳んだ第一形態で動作し、前記第二表示モードは、前記第一形態から第一回動軸を中心として前記カバーをほぼ270度の第一回転角で回動したのち、前記第二回動軸を中心として前記双眼レンズをほぼ270度の第二回転角で回動することにより、前記双眼レンズと前記表示素子がほぼ平行に配置した第二形態で動作する。
【0019】
さらに、前記カバーの短辺部分に枠を有し、前記枠は、第一形態において前記筐体側に突出する位置に配置されている。
【0020】
さらに、前記第一回動軸が、前記筐体の前記第一表示素子と反対面に近い位置に配置され、第二形態において前記カバーが前記筐体の側面に接する。
【0021】
さらに、前記カバーが前記第一回動軸を支える軸受けを介して前記筐体に結合されており、前記軸受けと前記筐体間に一定以上の応力が加わったときに前記軸受けと前記筐体が分離する。
【0022】
さらに、前記筐体の第一結合面と前記軸受けの第二結合面が接することで、前記カバーと前記筐体が結合され、前記軸受けが前記第二結合面に平行でありかつ、前記筐体の外側方向にスライドする手段を有する。
【0023】
さらに、前記筐体の前記第一表示素子と反対面に第二表示素子が固定され、前記カバーの一部または全部が透明であって、前記第一形態において、前記第二表示素子は前記双眼レンズのレンズ透明部と重なって配置され、かつ、前記カバーの前記カバーの透明部は前記レンズ透明部と重なって配置されている。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、2D表示と3D表示を両立しながら、薄型で持ち運びやすい電子機器が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1の携帯端末装置の概略構造図
【図2】本発明の実施の形態1の携帯端末装置の概略構造断面図
【図3】本発明の実施の形態1の携帯端末装置のカバーと上筐体の接続部の構造図とカバーの断面図
【図4】本発明の実施の形態1の携帯端末装置の第二形態の概略構造図
【図5】本発明の実施の形態1の携帯端末装置の第一回動軸の構造図
【図6】本発明の実施の形態1の携帯端末装置の第一回動軸と軸受けの詳細構造図
【図7】本発明の実施の形態1の携帯端末装置のバネを含む軸受けの構造図
【図8】本発明の実施の形態1の携帯端末装置の第二回動軸の断面構造図
【図9】本発明の実施の形態1の携帯端末装置の第一形態の構造図
【図10】本発明の実施の形態1の第二形態における表示方法例を示す図
【図11】本発明の実施の形態2の携帯端末装置の第一形態の構造図
【図12】本発明の実施の形態3の携帯端末装置の第一形態の構造図
【図13】本発明の実施の形態4の携帯端末装置の概略構造図
【図14】本発明の実施の形態4の携帯端末装置のもう一つの例を示す図
【図15】本発明の実施の形態5の携帯端末装置の概略構造図
【図16】従来のステレオビューアの概略構造図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態の携帯端末装置の概略斜視構造図である。
【0027】
以下、本実施の形態1では折畳み型の携帯端末装置に適用した場合を例に説明するが、その他、ポータブルなカーナビゲーションやテレビなど、表示素子を有する薄型電子機器に適用した場合も同様である。
【0028】
本実施の形態の携帯端末装置は、上筐体1と下筐体3からなる折畳み型携帯端末装置であり、上筐体には第一表示素子2(メインディスプレイ)、カバー5、双眼レンズ6などを有する。下筐体3には操作キー12を有する。
【0029】
第一表示素子2は長方形状を有していて、図1(5)に示すように、上筐体を長辺に平行なヒンジ4を回転すると、第一表示素子の長辺が水平となり、その下部には操作キーが配置される。これは、従来の携帯端末装置の使用形態の一例であり、ここでは第一形態と呼ぶことにする。
【0030】
なお、第一表示素子の長辺が垂直である状態で表示した使用形態も可能でありこれも第一形態に含まれる。
【0031】
第一形態においては、第一表示素子は従来のように、縦向きまたは横向きの画面を用いて情報を表示する。これを第一表示モードまたは、通常表示(2D表示)と呼ぶことにする。
【0032】
図1(2)から(4)に示すように、上筐体の第一表示素子と反対面にあるカバー5を第一回動軸8回りに回転し、さらに第二回動軸9を中心に双眼レンズ6を回転することで、(4)に示すように、双眼レンズと第一表示素子が所定距離だけ離れた場所に平行に配置することができ、立体画像を表示するためのステレオビューア構造が実現できる。これを第二形態と呼ぶことにする。
【0033】
第二形態では、図1(4)に示すように、第一表示素子を左画面11と右画面10の2画面に分割して左右それぞれ、左目用画像と右目用画像を表示する。これを第二表示モードまたは、立体表示(3D表示)と呼ぶ。双眼レンズは2つの凸レンズからなり、ユーザが上記の左画面と右画面をそれぞれ左右の目で見ることにより、立体画像(3D画像)を再現することができる。
【0034】
図2には本実施の形態の携帯端末装置の概略断面構造図を示す。図2(1)は2D表示を行う第一形態、(4)は立体表示を行う第二形態である。
【0035】
第一形態から第二形態に変化させるには、第一回動軸を中心にカバー5を上筐体1に対する右回りの回転角θ1が約270度になるまで回転したのち、第二回動軸を中心に双眼レンズ6をカバー5に対する右回りの回転角θ2が約270度になるまで回転する。
【0036】
なお、第一表示素子と双眼レンズがほぼ平行になれば、θ1とθ2はともに270度でなくとも構わない。例えばθ1とθ2の和が約540度であれば、第一表示素子と双眼レンズがほぼ平行になる。
【0037】
図3(1)は、本実施の形態の携帯端末装置のカバーと上筐体の接続部の構造図を示す。
【0038】
図3(1)のように、カバーの長辺部分にはカバー用軸受け15、上筐体側には軸受け13を有し、軸14によりカバーと上筐体を結合し、第一ヒンジ16が完成する。軸受け13と上筐体が固定されている面を結合面といい、上筐体の結合面を第一結合面22、軸受け側の結合面を第二結合面23と呼ぶ。
【0039】
図3(1)に記載されているカバーのA−A‘線に沿った第一形態の断面図を図3(2)に示す。カバーの短辺の上筐体側に枠17があり、それと対抗する上筐体側には溝18がある。この枠17は第二形態においてカバーがしなって曲がりやすくなることを防止する効果を有している。第一形態においては溝18と枠17が重なることにより枠17の突起が邪魔になることなく、カバー及び双眼レンズを薄型形状のままに収容できる。
【0040】
図4は第二形態における、カバー及び双眼レンズの構造図を示す。
【0041】
第一形態から、上筐体1に対して第一ヒンジ16を270度回転したのち、第二ヒンジ19を270度回転することで、図4の第二形態を得る。枠17は双眼レンズ6などの重さでカバーがしなることを防止する効果を有している。
【0042】
カバーは例えば樹脂材料からなり、できる限り非透明にすることで、表示素子面に外部光が差し込むことが少なくなり、表示画面が見やすくなる。
【0043】
双眼レンズ6は2つの凸レンズ7からなり、以下の3つの機能をもつ。
(1)第一表示素子2に表示された左右画面を分離して見えるようにする。
(2)画面表示を拡大する。
(3)ユーザと左右画面の距離が近距離でも焦点を結ぶことができる。従って、ユーザの視野に対して画面の占める割合(視野角)を大きくすることができる。
【0044】
従来の3インチ程度の表示画面をもつ携帯端末の第一形態での表示では、図2(1)に示すように、ユーザの目と画面の距離が約20cm程度離れた状態で使用することが多い。このときは視野角が約20度程度となる。
【0045】
一方、第二形態の3D表示モードでは、図2(4)に示すように双眼レンズ6に凸レンズを用いることにより近距離で焦点を結ぶことが可能になるため、ユーザの目と画面間距離が10cm程度に小さくすることができる。これにより視野角が40度以上となり臨場感のある3D画像(映像)を得ることができる。
【0046】
なお、凸レンズの倍率はルーペ等で利用される数倍の倍率、すなわち焦点距離が5cm〜15cm程度の低倍率のものが適している。倍率を大きくしすぎると左右画面が視野全体の収まらず、一部しか見えなくなるとともに、画素の粗さが目立ってくる。逆に倍率を小さくしすぎるとユーザと画面の距離を長くしないと焦点を結ぶことが困難となり、視野角が小さくなる。
【0047】
なお、凸レンズは通常のガラスまたは透明樹脂製の凸レンズで構わないが、フレネルレンズを用いることによってより薄型化が可能となる。
【0048】
図5は第一ヒンジの詳細断面構造図を示す。カバー5を第一回動軸9回りに270度回転させた構造を図5(2)に示す。第一回動軸9が上筐体の表示素子2とは反対側の面に近いほうに配置されていることにより、カバー5が270度回転したときに上筐体の外側の側面と接して、その位置で保持することができるようになる。
【0049】
従って、新たにストッパ部品などを追加して270度以上回転しないようにすることが不要となる。
【0050】
図6は第一ヒンジの軸受け13と上筐体1に応力が加わった場合に、分離する機能の一例を示す。
【0051】
第二形態において、例えば落下などにより、図6に示す方向に外部応力24が必要以上に加わると、第一ヒンジに応力が集中し部品が破壊されるおそれがある。そこで、外部応力24が加わったときには、部品を破壊させることなく軸受け13がはずれる機能が有効である。
【0052】
軸受け13は図6(4)に示すように、第一のガイド20により一定方向にスライドする機能を有する。また、軸受け13と上筐体は、図6(1)に示すように磁石21により固定されていて、応力が加わっていないときは、軸受け13が所定の位置に保持されている。
【0053】
以上の構成により、図6(2)のように外部応力24が加わったとき、軸受け13は図の上方へスライドして、最終的に図6(3)のように第一のガイド20からはずれることが可能となる。
【0054】
図7は、バネ25を用いて軸受け13と上筐体が完全に分離しないようにしたものである。これにより、カバーが筐体からはずれてもカバーが紛失することがない。なお、バネの代わりに伸縮性を有するゴムなどの材料を用いても構わない。
【0055】
なお、図6の磁石と図7のバネを組み合わせても構わない。
【0056】
図8は、第二ヒンジ19によりカバー5と双眼レンズ6が回転する概略構造図である。
【0057】
外部応力24が加わると第二ヒンジ19に応力が集中する。
【0058】
双眼レンズ6は樹脂材料のフレネルレンズを用いれば、応力24により湾曲することで第二ヒンジ19の応力集中を低減できる。また、外部応力により第一ヒンジの軸受けが先にはずれることにより、第二ヒンジへの応力集中は低減できる。
【0059】
あるいは、図6と同様に、第二ヒンジ19がカバーから分離できる機能を追加しても構わない。
【0060】
図9は第一形態でカバーと双眼レンズを上筐体1に収容する方法に関する追加機能の説明図である。
【0061】
図9(2)に示すように、カバーを上筐体に折り畳んだ状態では、第一ヒンジの軸は上筐体の側面より外側(図の右側)に飛び出している。
【0062】
そこで、軸受け13が左方向にスライドする機能と、溝18の端に第二のガイド27を設けることにより、カバーを左方向にスライドして第一ヒンジの出っ張りをなくすとともに、第二ガイドとカバーがかみ合うことで、カバーが上筐体と密着した状態で固定することが可能となる。
【0063】
図9(4)にはカバーをスライドした状態での上筐体とカバーの斜視図を示す。
【0064】
図9(3)の第二ガイドの断面(B−B‘)を図9(5)に示す。第二ガイドの断面の先端はかぎ状の構造を有していて、上筐体に対して垂直方向にカバーがはずれない機能を実現できる。
【0065】
図10(1)には、第二形態における3D画像表示画面に対して、2D情報を重ねて表示する方法を示す。
【0066】
例えば、3D画像表示中にメールや電話を受信したことをユーザに知らせたり、時刻表示など、少ない情報を簡潔にユーザに伝達することが必要な場合には、3D画面上に2Dの情報を重ねて表示する必要がある。このとき、左右画面ともに2D表示を行うと、ユーザが左右視差を大きく変化させる必要が生じる。そこで、図10(1)に示すように2D情報は右(または左)画面のみに情報を表示することによって、ユーザが視差を変えずに2D情報を容易に読み取ることが可能となる。
【0067】
図10(2)は、第二形態において2D画像表示を行う方法である。
【0068】
近年、携帯端末用の表示素子は高精細化が進み、多量の情報を表示することが可能になったが、携帯端末の表示素子で表示した文字や画像は、細かすぎて見にくくなるという課題があった。
【0069】
そこで、左画面11と右画面10に同一の画像を表示し、3D表示用双眼レンズを用いて見ることで2D画像の拡大表示が実現できる。
【0070】
このように、本実施の形態1の携帯端末装置により、従来の2D表示と3D表示を両立しながら、薄型な電子機器を実現することができる。
(実施の形態2)
図11は本実施の形態2の携帯端末装置の上筐体の概略斜視構造図を示す。カバー、双眼レンズ、第一及び第二ヒンジの構造については実施の形態1と同様であり、説明を省略する。
【0071】
実施の形態1と大きく異なる点は上筐体の裏面、すなわち第一表示素子(メインディスプレイ)と反対面に第二表示素子29(サブディスプレイ)を有する点である。従来の折畳み型携帯電話では上筐体を閉じた状態でメール受信情報などを知る方法としてサブディスプレイによる表示が一般的である。
【0072】
図11(1)に示すように、第二表示素子29と双眼レンズ6の透明な部分が重なるように配置し、さらに、カバーの中の第二表示素子が配置されている部分を透明にすることによって、第一形態、すなわちカバーが折り畳まれた状態でも第二表示素子を利用することが可能となる。
(実施の形態3)
図12は本実施の形態3の携帯端末装置の第二形態における概略斜視構造図を示す。
【0073】
本実施の形態3は、双眼レンズと第一表示素子間距離の調整機能を追加したものである。その他の構造については実施の形態1や2と同様のため説明を省略する。
【0074】
実施の形態1では、第二ヒンジ19とカバー5は固定されていたが、本実施の形態では図12に示すように、第二ヒンジ19をカバー5から分離し、細長い第二の軸受け30をつけてカバーに第三のガイド31を設けることにより、双眼レンズ6とカバーの距離を伸ばすことが可能となる。ユーザの視力に応じて、双眼レンズの位置の調整を行うことができる。例えば近視の人は、双眼レンズと画面の距離を離したほうが見やすくなる。
(実施の形態4)
図13は本実施の形態4の携帯端末装置の概略斜視構造図を示す。
【0075】
本実施の形態3は、立体画像を撮影するための2つの撮像素子(カメラ)33を追加したものであり、その他の構造については実施の形態1と同様のため説明を省略する。
【0076】
図13(2)に示すように、2つの撮像素子33を約5〜7cm程度の距離だけ離し、上筐体の第一表示素子と反対面上に配置する。人間の左右の目距離(5〜7cm)を離した2つの撮像素子で画像撮影することで、立体画像の撮影が可能になる。このとき図13(1)に示すように、双眼レンズ6が折り畳まれた状態で撮像素子と重ならないように、双眼レンズよりも第一ヒンジに近いところに配置する。これにより、撮像素子上に双眼レンズがないことから薄型化が可能となる。カバー5を折り畳んだときの撮像素子上に、カバー上の第二透明部32を有することにより、双眼レンズ収容時も立体画像撮影が可能となる。
【0077】
なお、携帯端末装置が上筐体と下筐体からなる折畳み型の端末の場合は、3Dカメラを下筐体に配置しても構わない。図14は、折畳み型携帯端末装置の下筐体に撮像素子33を2つ配置した例である。
(実施の形態5)
図15は本実施の形態5の双眼レンズアダプタの概略斜視構造図を示す。
【0078】
双眼レンズやカバーからなる部品を双眼レンズアダプタ34として、携帯端末35から着脱可能にしたものを図15に示す。携帯端末35の表示素子が付いた上筐体1の裏面に軸受け13を固定することによって、上述の折畳み可能な双眼レンズによる第二表示モード(3D表示)が可能となる。固定には例えば両面テープやネジなど用いる。
携帯端末35は折畳み型携帯端末である必要はなく、表示素子を有する電子機器であれば構わない。表示素子と反対面の筐体に上記双眼レンズアダプタ34を固定すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は例えば携帯端末装置として有用であり、テレビ、携帯電話、携帯端末、カーナビゲーション、等々の様々な電子機器に利用可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 上筐体
2 第一表示素子
3 下筐体
4 折畳みヒンジ
5 カバー
6 双眼レンズ
7 凸レンズ
8 第一回動軸
9 第二回動軸
10 右画面
11 左画面
12 操作キー
13 軸受け
14 軸
15 カバー側軸受け
16 第一ヒンジ
17 枠
18 溝
19 第二ヒンジ
20 第一のガイド
21 磁石
22 第一結合面
23 第二結合面
24 外部応力
25 バネ
26 バネ押さえ
27 第二のガイド
28 第一透明部
29 第二表示素子
30 第二の軸受け
31 第三のガイド
32 第二透明部
33 撮像素子
34 双眼レンズアダプタ
35 携帯端末
36 アーム
37 ステレオ写真
38 写真枠
39 回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形の第一表示素子と、第一表示素子が固定されている筐体と、前記筐体のカバーと、双眼レンズを有する電子機器において、
前記筐体と前記カバーは、前記表示素子の長辺に平行で前記筐体の端部に位置する第一回動軸を有する第一ヒンジで結合され、
前記カバーと前記双眼レンズは、前記第一回動軸に平行な第二回動軸を有する第二ヒンジで結合され、
前記第一表示素子の長辺が水平または垂直の状態で表示する第一表示モードと、
前記第一表示素子の長辺が水平になる配置で、かつ前記表示素子が左右の画面に二分割され、分割された前記画面に左目用画像と右目用画像をそれぞれ表示することにより立体画像を表示する第二表示モードを有し、
前記第一表示モードは、前記双眼レンズと前記カバーを、前記第二回動軸を中心に折り畳んだのち、前記カバーと前記筐体を、前記第一回動軸を中心に折り畳んだ第一形態で動作し、
前記第二表示モードは、前記第一形態から第一回動軸を中心として前記カバーをほぼ270度の第一回転角で回動したのち、前記第二回動軸を中心として前記双眼レンズをほぼ270度の第二回転角で回動することにより、前記双眼レンズと前記表示素子がほぼ平行に配置した第二形態で動作することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記カバーの短辺部分に枠を有し、
前記枠は、第一形態において前記筐体側に突出する位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記第一回動軸が、前記筐体の前記第一表示素子と反対面に近い位置に配置され、第二形態において前記カバーが前記筐体の側面に接することを特徴とする請求項1または請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記カバーの一部または全部が不透明であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記カバーが前記第一回動軸を支える軸受けを介して前記筐体に結合されており、前記軸受けと前記筐体間に一定以上の応力が加わったときに前記軸受けと前記筐体が分離することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記軸受けと前記筐体が磁石により結合されていることを特徴とする請求項5記載の電子機器。
【請求項7】
前記軸受けと前記筐体が伸縮性のある伸縮部品を介して結合していることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれかに記載の電子機器。
【請求項8】
前記筐体の第一結合面と前記軸受けの第二結合面が接することで、前記カバーと前記筐体が結合され、前記軸受けが前記第二結合面に平行でありかつ、前記筐体の外側方向にスライドする手段を有することを特徴とする請求項4から請求項7のいずれかに記載の電子機器。
【請求項9】
前記筐体の前記第一表示素子と反対面に第二表示素子が固定され、前記カバーの一部または全部が透明であって、
前記第一形態において、
前記第二表示素子は前記双眼レンズのレンズ透明部と重なって配置され、かつ、
前記カバーの前記カバーの透明部は前記レンズ透明部と重なって配置されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の電子機器。
【請求項10】
前記双眼レンズは、フレネルレンズであることを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれかに記載の電子機器。
【請求項11】
前記第二表示モードにおいて、前記第一表示素子と前記双眼レンズ間の距離を調整する手段を有することを特徴とする、請求項1から請求項10のいずれかに記載の電子機器。
【請求項12】
前記第一表示素子は前記第二表示モードにおいて、前記分割された左画面または右画面のいずれか一方のみに表示情報を前記立体画像に重ねて表示することを特徴とする、請求項1から請求項11のいずれかに記載の電子機器。
【請求項13】
前記第二表示モードにおいて、前記分割された前記左画面と前記右画面に同一の情報を表示する機能を有することを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載の電子機器。
【請求項14】
前記筐体の前記表示素子と反対面に、第一撮像素子と第二撮像素子が一定距離を置いて配置されていて、前記第二形態において、前記カバーの透明部が前記第一撮像素子と前記第二撮像素子と重なっていることを特徴とする、請求項1から請求項13のいずれかに記載の電子機器。
【請求項15】
前記第二形態において、前記第一撮像素子と前記第二撮像素子が、前記第一回動軸寄りでかつ、前記双眼レンズに重ならない位置に配置されていることを特徴とする、請求項1から請求項14のいずれかに記載の電子機器。
【請求項16】
前記電子機器が第一表示素子を含む第一筐体と、キー操作部を有する第二筐体を有し、前記第一筐体の長辺を軸として折り畳み可能であることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれかに記載の携帯端末装置。
【請求項17】
前記第二筐体の前記キー操作部の裏面に、第一撮像素子と第二撮像素子を有し、前記第一撮像素子と前記第二撮像素子により立体画像を撮影する機能を有することを特徴とする、請求項16記載の携帯端末装置。
【請求項18】
前記カバーと前記双眼レンズと前記第一ヒンジと前記第二ヒンジからなり、前記筐体の前記表示素子と反対面に着脱可能な立体画像表示用双眼レンズアダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−76716(P2013−76716A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13810(P2010−13810)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】